説明

試料調製のための方法

【課題】用量分注装置により試料を調製するのに役立ち、目標容器内に分注される用量物質量の高精度の測定を可能にする方法を提案する。
【解決手段】用量分注ユニットが第1の位置で静止しておりかつ目標容器が荷重受け部上の定位置にある間に、計量システムにより開始時重量値が決定され、記憶ユニット内に格納されるステップと、用量分注ユニットが、第2の位置に動かされるステップと、用量分注周期が実施され、処理装置により、所定の質量の用量物質が、用量分注ユニットから目標容器内に送達されるステップと、用量分注ユニットが、第1の位置に動かされるステップと、用量分注ユニットが第1の位置で静止している間に、計量システムにより、終了時重量値が決定されるステップとを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用量分注装置による試料調製のための方法、本方法のステップが実施されるコンピュータプログラム、および本コンピュータプログラムが格納されている用量分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記種類の用量分注装置および用量分注方法は、産業の多くの分野で共通して既知であり、長年にわたって使用されてきている。それらは、大抵の場合、用量物質(dosage material)の分注質量の測定に用いられる重量測定器、具体的には計量システムを含む。測定される質量は、トンから最小量の数マイクログラムまで変動する。特に、例えば新しい活性成分の開発における極少量の分注は、たとえ活性成分の質量の最小偏差であっても用量分注行程後に実施される実験に大きく影響を及ぼし得るので、最高の精度を必要とする。例えば、物質が混合された場合、質量偏差の結果として、反応速度が相当に変動する可能性があり、または臨床試験では、被験者の生体への効果が予想される結果から大幅に逸脱して、数個の例しか示さない可能性がある。
【0003】
実験を実施するために、多数の試料が準備されなければならない。例えば、少量の粉末状物質が目標容器内に分注され、そこで、溶媒を添加することによりそれらが溶解される。この方法で調整された試料は、その後、例えば高速液体クロマトグラフィ(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)分析器内で分析される。
【0004】
微量の質量を量り分けることができる用量分注装置および用量分注行程を最適化する方法が、欧州特許出願公開第1947427(A1)号に開示されている。用量分注装置は、荷重受け部を備えた計量システムと、処理装置と、記憶ユニットと、交換可能な用量分注ユニットとを含む。用量分注ユニットは、目標容器がその上の定位置に置かれ得る荷重受け部の上方に配置される。異なる高さの目標容器が使用され得るように、用量分注ユニットは、荷重受け部に対して高さ調節可能である。
【0005】
極度に小さい質量が量り分けられる場合、外的影響が重要な役割を果たす。空気の動き、温度変動等が、計量結果、またはより具体的には計量システムにより決定される重量値に大きく影響を及ぼす可能性がある。これらの重量値が用量分注行程の制御のためにかつその後に添加される溶媒の量または質量の基礎として用いられる場合、上記外的要因は、誤った試料に導く可能性がある。
【0006】
上述の用量分注装置で粉末状物質を量り分ける場合、静電効果もまた、計量結果に相当な誤差を導入する可能性があることが分かった。目標容器および/または用量分注ユニットが導電性でない材料を含む場合、それらは静電的に帯電する可能性がある。このことは、目標容器および用量分注ユニットが相互に反発するかまたは互いに引き付け合うことを招く可能性がある。したがって、計量システムは、目標容器内に実際に存在する質量より高いまたはより低い値を測定することになる。
【0007】
この問題に対する解決策として、用量分注ユニットおよび目標容器の外気がイオン化されるのに用いられるイオン化装置が提供されており、それにより帯電が効果的に除去され得る。しかし、これらのイオン化装置は高電圧レベルを使用し、したがって磁場を生成するので、それらの動作も同様に、計量システムの重量値に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、イオン化装置のイオン流は、空気塊を動かす可能性があり、その空気塊は、荷重受け部に力を及ぼす可能性がある。
【0008】
この問題を解決するためのさらなる取組みでは、用量分注装置、用量分注ユニット、および目標容器の全ての構成要素が導電性にされており、接地に接続されている。このことは、通常、非常に良い結果に繋がる。しかし、それは、金属被覆の適用または金属部品の製造を伴い、導電材料層に非導電材料が被覆されなければならないか、または各部品が金属で作製されなければならないので、経費を大幅に増大させる。
【0009】
さらに、広範な実験により、帯電を蓄積する能力は用量分注ユニットおよび/または目標容器に限定されないことが分かっている。それらの静電挙動に関して重大であり、かつ分注行程中のブレークアップ(break−up)および摩擦効果の結果として著しく帯電を増大させ得る、いくつかの粉末状物質もある。導電性の接地された目標容器または用量分注ユニットおよび/またはイオン化装置を使用しても、この問題のための申し分のない解決策は見つかっていない。例えば、(アセトアミノフェンとしても既知の)パラセタモールを12mgの用量(dosage quantity)で量り分ける場合、特定質量の40%に匹敵する、静電効果による偏差が観察され得ると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1947427(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、用量分注装置により試料を調製するのに役立ち、目標容器内に分注される用量物質量の高精度の測定を可能にする方法を提案することを目的としている。さらなる目的が、本方法を実施する能力を備えた用量分注装置を作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、独立特許請求項に記載されている特徴を有する方法、コンピュータプログラム、および用量分注装置を用いて解決される。
試料調製のための本方法を実行するために、荷重受け部を備えた計量システムと、処理装置と、記憶ユニットと、交換可能な用量分注ユニットとを含む用量分注装置が利用可能である必要がある。目標容器が、荷重受け部上に置かれることが可能である。用量分注ユニットおよび/または目標容器は、電気絶縁材料を含み得る。用量分注ユニットは、荷重受け部に対して第1の位置と第2の位置との間で滑動するかまたは旋回する能力を有して、荷重受け部の上方に配置される。
【0013】
試料調製のための本方法の下に、
− 用量分注ユニットが第1の位置で静止しておりかつ目標容器が荷重受け部上の定位置にある間に、計量システムにより開始時重量値が決定され、記憶ユニット内に格納されるステップと、
− 用量分注ユニットは、第2の位置に動かされるステップと、
− 用量分注周期が実施され、処理装置により、所定の質量に基づいて、用量物質が用量分注ユニットから目標容器内に送達されるステップと、
− 用量分注ユニットは、第1の位置に動かされるステップと、
− 用量分注ユニットが第1の位置で静止している間に、計量システムにより、終了時重量値が決定されるステップと
が実施される。
【0014】
所定の質量は、用量分注装置の入力ユニット内に入力することにより、使用者によって設定される目標値である。本発明の方法は、試料の分析では調製された全試料の質量はそれほどの要因ではないが、溶媒中に溶解されている物質の正確な濃度を知ることが重要であるという理解に基づいている。したがって、正確な濃度を計算することができるように、物質および溶媒の各質量が可能な限り最高の精度で測定され得ることが必要である。
【0015】
用量分注行程中に用量物質がこぼれないように、用量分注ユニット、さらに具体的にはその送達口は、目標容器の注入開口部の上方に非常に近接して配置される必要がある。このように、第2の位置はまた、荷重受け部上に立っている目標容器の高さによって決まる。静電引力の影響が用量分注ユニットと目標容器との間の距離の増大と共に二次的に減少するため、本発明に明記されているように、荷重受け部に対して用量分注ユニットを滑動させるかまたは旋回させることの結果として、実際の分注質量の精密な測定が可能になる。
【0016】
したがって、本発明による方法では、目標容器内に実際に存在する質量の計算に用いられる開始時重量値および終了時重量値は、常に第1の位置で測定され、そこで、用量分注ユニットは、目標容器からかつ荷重受け部からその最大距離にある。
【0017】
その後、処理装置は、終了時重量値から開始時重量値を減じることができる。用量物質の計量済み質量を示す結果は、次いで、記憶ユニット内に格納されるか、または出力ユニットまたはプロセス制御システムへ送信される。計量済み質量は、目標容器内の用量物質量の未補正の実際の値である。用量分注装置を実用的な外形寸法に制限するために、第1の位置と第2の位置との間の距離は妥当な制限内に保たれるべきであるので、第1の位置で測定される重量値は依然として帯電による誤差を含む可能性があるため、この値は未補正と呼ばれる。しかし、大抵の場合、質量は、未補正の実際の値として適切に決定される。
【0018】
用量物質の混合物を調製する能力を提供するために、上述の方法は、さらなるステップ、具体的には、
− 用量物質の計量済み質量および所望の混合比に基づいて、さらなる用量物質の質量が、処理装置により計算されるステップと、
− 既に分注されている用量物質を有する用量分注ユニットが、さらなる用量物質を有するさらなる用量分注ユニットに置き換えられるステップと、
− 前述の順序のステップがさらなる用量分注ユニットで繰り返されるステップと
を含むように拡張され得る。
【0019】
本文脈では、用語「混合物」は、常に、少なくとも2つの固体物質、練り物様物質、または液体物質の混合物を意味する。当然、物質の一方が固体であり、他方が液体である可能性がある。物質が溶媒中に溶解しているか否かに関わらず、本明細書では、溶媒が添加された物質が溶液と呼ばれる。
【0020】
第1の位置および第2の位置はまた、帯電がまさに存在するかどうかを確定するのに使用され得る。これは、簡単な試験を用いると可能である。計量システムが、(用量分注ユニットから物質が放出されていない条件で)第1の位置および第2の位置に関して同一の重量値をもたらす場合、これは、帯電が無いかまたは帯電の蓄積が僅かであることを示す。したがって、第2の位置で登録される試験値が、開始時重量値と比較される。2つの重量値が互いに異なる場合、用量分注行程は遮られる可能性があり、使用者は警告される可能性がある。当然、本明細書に記載されている比較において帯電が検出された場合、用量分注装置内に配置されているイオン化装置はまた、自動的にかまたは使用者の介入によるかのどちらかで、スイッチが入れられることが可能である。
【0021】
分注された用量物質量の計算用重量値が第1の位置で測定されても、存在する可能性がある静電力が、依然として、計量システムに僅かに影響を及ぼす可能性がある。クーロンの法則の助けで、第1の位置および第2の位置で測定された値は、第1の位置で生じてくる静電力の決定および定量化を可能にする。本発明による方法は、さらなるステップ、すなわち、
− 用量分注行程が完了した後、重量の誤差値が、計量システムにより第2の位置で決定されるステップと、
− 終了時重量値、誤差値、および第1の位置と第2の位置との間の距離に基づいて、補正値が計算されるステップと、
− 用量物質の計量済み質量および補正値に基づいて、用量物質の補正済み質量が計算されるステップと
で拡張されることが可能である。
【0022】
さらに、用量物質の計量済み質量または補正済み質量および所望の濃度に基づいて、添加される必要がある溶媒の質量が、処理装置により計算され得る。
用量分注行程を制御するために、計量システムは、用量分注行程中、継続的に、不連続に、事象誘発の間隔または任意の間隔で、中間重量値を取得することができ、中間重量値は、用量分注行程の制御のために処理装置内に入力されることが可能である。当然、中間重量値もまた、先に決定された補正値で補正され得る。
【0023】
中間重量値は、種々の方法において用いられ得る。最も容易な手法は、中間重量値が所定の値に等しくなり次第、シャッタ本体が出口開口部を閉鎖するように、用量分注ユニットのシャッタ本体を直接作動させることである。しかし、この方法は、通常、所定の値の超過を引き起こす。より精密な結果は、出口(outlet orifice)がいつ閉鎖されなければならないかを前もって推定することにより達成され得る。このことは、少なくとも2つの中間重量値、それらの間の時間間隔、および中間重量値が測定された時点での用量分注ユニットの出口の開口部横断面の評価を必要とする。この情報に基づいて、用量物質の流動特性を特徴付ける流動パラメータが決定され得る。
【0024】
その後、閉鎖の時間プロフィールが、流動パラメータにより推定され得る。用量分注ユニットの開口部は、次いで、この時間プロフィールに従って閉鎖される。
当然、用量分注装置は、用量分注行程の開始前に既に帯電ができる限りたくさん中和され得るように、イオン化装置を含み得る。イオン化装置は、用量分注ユニットが第1の位置から第2の位置へ動かされた時にスイッチを入れられることが好ましい。
【0025】
イオン化装置はまた、用量分注行程中に定期的にスイッチを入れられ、切られることが可能である。しかし、上記の副次的悪影響の観点から、中間重量値の測定は、イオン化装置がスイッチを切られた時にのみ起こることが好ましい。
【0026】
本発明による方法およびその個々のステップは、試料調製のための用量分注装置の処理装置内で、実行可能なコンピュータプログラムで実施され得る。このことは、使用者が、利用可能である多数から所望の行程ステップを選択し、組み立てることを可能にするが、以下のステップ、すなわち、
− 用量分注ユニットが第1の位置で静止しておりかつ目標容器が荷重受け部上の定位置にある間に、計量システムにより開始時重量値が決定され、記憶ユニット内に格納されるステップと、
− 用量分注ユニットは、第2の位置に動かされるステップと、
− 用量分注行程が実施され、処理装置の制御下で、所定の質量の用量物質が、用量分注ユニットから目標容器内に分注されるステップと、
− 用量分注ユニットは、第1の位置に動かされるステップと、
− 用量分注ユニットが第1の位置で静止している間に、計量システムにより、終了時重量値が測定されるステップと
が常時含まれている必要がある。
【0027】
コンピュータプログラムは、用量分注装置内で使用され得る。用量分注装置は、少なくとも計量システムと、処理装置と、記憶ユニットと、交換可能な用量分注ユニットとを含み、用量分注ユニットは、計量システムの荷重受け部の上方に配置され、第1の位置と第2の位置とのとの間で移動させられるかまたは旋回させられることが可能である。コンピュータプログラムは、記憶ユニット内に格納されることが好ましい。但し、このことは、プログラムが、常時、記憶ユニット内に格納されていなければならないことを意味しない。プログラムは、データ記憶媒体またはサーバ上に格納されることも可能であり、適切な手段により処理装置にアクセス可能にされることも可能である。
【0028】
用量分注装置には、用量分注ユニットが交換可能に連結され得る保持装置が備え付けられていることが好ましい。保持装置は、駆動ユニットにより第1の位置と第2の位置との間で移動可能であるように、保持装置、延いてはまた連結されている用量分注装置の動きが、垂直直線案内部により抑制されるように構成され得る。
【0029】
第1の位置および第2の位置での安定した保持を実現するために、駆動ユニットは、回転運動を直線運動に変換する自動ロック式スピンドルを含むことが好ましい。
用量分注装置による試料の完全な調製のために、用量分注装置はまた、液体を分注することができなければならない。したがって、用量分注装置はまた、処理装置により計算されたある量の溶媒が目標容器内に分注され得るために用いられる液体用用量分注頭部を含み得る。
【0030】
本発明による方法の詳細および本発明による用量分注装置は、図面に示されておりかつ以下に記載されている実施形態の例を通して提示されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】用量分注頭部が駆動装置から分離されて示されている状態の、駆動装置を備えた、かつ用量分注頭部を備え付けられている異なる長さの2つの源容器を備えた、本発明による用量分注装置の図である。
【図2】用量分注ユニットの位置を変更する駆動ユニットを含む、第1の位置と第2の位置とを示す、図1の用量分注装置の簡略化された図の側面図である。
【図3】不可欠なステップのみを含む、本発明による方法の流れ図である。
【図4】コンピュータプログラムで実施され得ると考えられる種類の、さらなる可能な行程ステップを含む、本発明による方法の詳細な流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、取り付けられ、また再度除去される用量分注ユニット105、105’のために設計されている駆動装置150を有する用量分注装置100を示す。用量分注ユニット105、105’は、用量分注頭部122と源容器110、110’とを含む。また、ホース連結器186を通して液体を供給され得る液体分注頭部185が図面に示されている。液体分注頭部185は、液体分注頭部185が同様に駆動装置150内に挿入され得る程度に、用量分注ユニット105、105’の形状に適合する外面輪郭形状を有する。電磁弁(図面に示されていない)が液体分注頭部185の内側に配置されており、質量流量を制御する。
【0033】
駆動装置150は、上部157と下部158とを有する。用量分注装置100の動作位置では、2つの部品は、基本的に垂直方向に、互いから離れてかつ互いの方へ直線運動が可能である。このことにより、異なる長さの源容器110、110’を使用することが可能になる。用量分注ユニット105、105’の容易な交換および安全かつ正確な分注動作を可能にするために、用量分注ユニット105、105’および駆動装置150には、互いとの形状嵌合係合(form−fitting engagement)のために設計されている、適切な機械的、または必要であれば機械的かつ電気的、連結器要素が備え付けられているべきである。用量分注ユニット105、105’は、上部157上に形成されているかまたはそれに連結されている第1の相手方部品151により、(用量分注装置100の動作位置に対して)水平板の画定された位置に保持される少なくとも第1の形状嵌合要素111を有する。用量分注ユニット105、105’は、下部158上に形成されているかまたはそれに連結されている第2の相手方部品181により、駆動装置150に対して空間的に配置される少なくとも第2の形状嵌合要素121をさらに含む。この配置の結果として、用量分注ユニット105、105’、具体的には用量物質送達のためのその出口は、目標容器200に対して精密に位置合わせされる。イオン化装置250が、第2の相手方部品181の所に配置されており、それは、用量分注ユニットおよび/または目標容器の帯電を少なくとも減少させることを助ける。用量分注装置100は、例えば所定の質量公差および所望の質量公差ならびに混合比および所望の濃度などのデータが入力されることが可能であるように介在し、かつ用量分注行程または試料調製が完了した時に表示する入力/出力ユニット270に連結されている。さらに、多数の異なる種類の情報が、入力/出力ユニット270により呼び出されるかまたは入力されることが可能である。さらに、用量分注装置100の処理装置165が、種々のメッセージおよび警告を生成することができ、入力/出力ユニット270によりそれらを使用者に伝えることができる。
【0034】
処理装置165はまた、試料調製全体、特に用量分注行程を制御し、調整する。この機能を実施するために、記憶ユニット166内に格納されているコンピュータプログラムが呼び出され、そのコンピュータプログラムにおいて実施される行程ステップが実行される。また、現在実施されている行程ステップによって決まる種々の情報項目、例えば入力/出力ユニット270を介して使用者から要求された質量データまたは計量システム190から来る用量分注行程の中間重量値が、処理装置165を介して呼び出される。
【0035】
図1の源容器110は、基本的に円筒形状を有する。しかし、例えば外側および内側上に四角形、六角形、または八角形の横断面を有する、源容器の他の形状もまた可能である。源容器110、110’を備えた分注頭部122が駆動装置150に据え付けられた後、その長手方向軸は、その装置の動作位置において垂直に配向されており、分注頭部122は、源容器110、110’の第2の端部に配置されている。駆動源により回転させられることが可能であるシャッタ本体(図面に示されていない)が、分注頭部122に組み込まれている。シャッタ本体は、源容器110内で移動可能に抑制するシャッタシャフト132に連結されている。源容器110の本体は、円筒形状を有して設計されており、頂部において蓋部113により閉鎖されている。蓋部113は、シャッタ本体から最も遠いシャッタシャフト132の端部が回転可能に抑制されておりかつ源容器110の外側に突出する、貫通開口部130を含む。シャッタシャフト132のこの端部は、この例では四角い外形部分として構成されている継ぎ手部131を担持する。少なくとも用量分注行程中に、継ぎ手部131は、継ぎ手受け口154を介して、駆動装置150に組み込まれている駆動源155と連結される。継ぎ手が係合されるのを可能にするために、駆動源155または駆動源に連結されている少なくとも駆動シャフト156は、(動作位置に対して)直線垂直運動が可能であるべきである。当然、四角い外形部分の代わりに、その継ぎ手半片が容易に分離可能であるならば、既知の形状係止連結器(form−locking coupler)または摩擦に基づく連結器(friction−based coupler)のいずれかが使用されることが可能であると考えられる。
【0036】
第1の形状嵌合要素111が第1の相手方部品151から滑り出るのを防止するために、用量分注ユニット105、105’が定位置に据え付けられると、ばね付勢式保持器掛け金153が、第1の形状嵌合要素111を溝穴底部152に押し付ける。用量分注ユニット105、105’を駆動装置150から除去するために、保持掛け金153は、電気機械的にまたは空気圧で外され得る。図1に示されている通り、保持器鼻状部の適切な設計で、保持器掛け金153は、用量分注ユニット105、105’を除去するために相当量の力をかけることにより、形状嵌合要素111によって押しやられることが可能である。ばね付勢式保持器掛け金153および/または溝穴底部152には、さらに、用量分注ユニット105、105’が定位置に据え付けられると、第1の形状嵌合要素111または源容器110に配置されている整合接点と接続し、それにより用量分注ユニット105、105’と駆動装置150との間に電気接続が確立される電気接点が備え付けられていることが可能である。この種の電気接点は、以下に記載される通り、用量分注ユニット105、105’を接地に接続するのに、また、用量分注ユニット105、105’内にまたは用量分注ユニット105、105’に配置されているメモリモジュール115、115’、123に接続するのに使用され得る。流動パラメータを格納することに加えて、このメモリモジュール115、115’、123はまた、駆動装置150が自体を源容器110、110’の異なる長さに自動的に適合させるように、源容器110、110’の長さを格納するのに使用され得る。当然ながら、同じことはまた、液体分注頭部185に当てはまる。
【0037】
駆動装置150は、用量分注ユニット105、105’が定位置に据え付けられると蓋部113に当接してのしかかりかつ垂直方向の転移に抗して用量分注ユニット105、105’を固定する係止装置160をさらに含む。保持器掛け金153に関して既に述べた通り、係止装置160には、同様に、メモリモジュール115、115’、123への付加的な電気接点および接続部が備え付けられていることが可能であり、電気機械的にまたは空気圧で作動させられ得る。
【0038】
さらに、蓋部113上に形成されている切欠き114がある。用量分注ユニット105、105’が定位置に据え付けられると、この切欠き114は、駆動源155により用量分注ユニット105、105’にかけられるトルクを吸収しそれに対抗するのに役立つ回転係止部170により係合される。回転係止部170は、この例では、用量分注ユニット105、105’を定位置に据え付ける行程において、回転係止部170に対する切欠き114の位置が無関係であるように、単純なばね掛け金として構成されている。駆動源155が駆動シャフト156によりシャッタシャフト132に連結されかつトルクがシャッタシャフト132に作用しているとすぐに、用量分注ユニット105、105’は、回転係止部170がパチンと音を立てて係合するまで回転させられる。当然、用量分注ユニット105、105’はまた、正確な位置に手動で回転させられることが可能である。ばね掛け金に加えて、ボルト、ピン、握持駒爪等も、回転係止部170に使用することができると考えられる。さらに、回転係止部170はまた、前述の保持器掛け金153の接続部と類似している、メモリモジュール115、115’、123への電気接続部を有することができると考えられる。付加的な機能として、本明細書に示されている回転係止部170は、同時に、シャッタシャフト132が用量分注ユニット105、105’内で詰まった場合に駆動源のための過負荷開放器として作動する。当然、切欠き114は、用量分注ユニット105、105’の任意の所望の位置に形成されることが可能であり、回転係止部170は、駆動装置150上の適切な整合位置に配置され得る。
【0039】
しかし、メモリモジュール115、115’、123は、信号ケーブルまたはバスシステム等などの導電体を介して用量分注装置100の処理装置165に、必ずしも物理的に接続されていなければならない必要はない。また、例えば誘導的にまたは無線伝送により動作する読み書き装置175により、無線接続を使用することも可能である。特に、無線ICタグ(RFID:Radio Frequency Identification)トランスポンダ技術に基づく装置が、この目的のために思い浮かぶ。
【0040】
用量分注行程の調整および制御のための各入力変数を収集するために、駆動装置150は、その荷重受け部191上に目標容器200が置かれている計量システム190への電気接続部(図面に示されていない)を有する。目標容器200は、無線接続により、例えばまた読み書き装置175により、アクセスされることが好ましく、かつ物質の称号、混合比、溶媒、溶液の濃度、物質の使用期限または流動パラメータなどの、調製試料の特徴的属性が格納され得る、目標容器メモリモジュール201を含み得る。
【0041】
直線案内装置159が、駆動装置150と計量システム190との間に配置されており、2つのユニットを機械的に連結している。直線案内装置159は、異なる形状のかつ異なる容器高さを有する目標容器200を使用することを可能にする。その配置により、静電的に帯電した部品の力に起因する最小誤差を有するかまたは誤差の無い計量システム190により重量値が決定され得るように、用量分注ユニット105、105’または液体分注頭部185が目標容器200から十分な距離へ持ち上げられることがさらに可能になる。当然、図1から逸脱する配置を選択することもまた可能であり、そこでは、計量システム190は、駆動装置150から機械的に分離されている。このことにより、分注行程中に計量システム190に伝達されており、それにより重量値および/または計量システム190の応答時間が悪影響を与えられる可能性があると考えられる、駆動装置150の振動の問題が回避される。目標容器200および荷重受け部191からのその距離が重量値の決定のために十分である、用量分注ユニット105、105’の位置は、第1の位置として定義される。用量分注ユニット105、105’が目標容器200および荷重受け部191にできる限り近接している、分注行程中の位置は、第2の位置として定義される。ねじスピンドル188を備えた駆動ユニットが、用量分注ユニットを、第1の位置から第2の位置へ移動させるのに役立つ。当然、駆動装置150が計量システム190に対して異なる位置間で旋回することが可能であるように、ねじスピンドル188および直線案内装置159の代わりに、駆動装置150と計量システム190との間に配置されている旋回蝶番(図面に示されていない)が存在し得る。旋回配置により、駆動装置150および駆動装置に据え付けられている用量分注ユニット105、105’は、一点鎖線両矢印Xで示されている通り、第1の位置および第2の位置に旋回することができる。当然、計量システム190に対する用量分注ユニット105、105の水平直線滑動配置もまた、可能な代替案である。
【0042】
第1の位置OPおよび第2の位置UPが、図式的に簡略化された側面図で用量分注装置100を示す図2に示されている。図1に示されている部品と同一のそれらの部品は、図2においてもやはり同一の参照記号を持つ。用量分注装置105の出口124は、分注行程中、目標容器200の注入開口部に隣接する可能な限り最小の距離rの所に、しかし目標容器の注入開口部に接触することなく配置されているべきなので、第2の位置UPは、目標容器200の容器高さにほとんど等しい。第1の位置OPは、目標容器200から出口124の最大可能距離r、または直線案内装置の所与の長さで達成可能である荷重受け部191からの最大距離を表すことが好ましい。しかし、図4を参照して以下に記載されている通り、静電力の影響が小さい場合または静電力の影響が補正値により説明され得る場合、別のより小さい距離を第1の位置OPとして定義することもまた可能である。当然、本発明による方法はまた、用量分注ユニット105、105’が目標容器200に対して横方向に旋回することができる配置で実施されることが可能であり、その場合、第2の位置での用量分注ユニット105、105’は、目標容器200のきっちり上方に配置されている。したがって、第1の位置OPは、用量分注ユニット105、105’が目標容器200から横方向にずれている旋回した位置で表される。
【0043】
荷重受け部191に機械的に連結されている計量セル192が、計量システム190の筺体193(断面図で示されている)内に配置されており、荷重受け部191上に載っている荷重を計量信号に変換する。計量信号は、処理装置165に伝達され、そこで、計量信号が、例えば重量値にさらに処理される。ねじスピンドル188を備えた駆動ユニット187が、やはり筺体193内に配置されている。ねじスピンドル188は、筺体193を貫通し、駆動装置150の下部158内に配置されているスピンドルナット189により係合される。
【0044】
図3は、不可欠なステップのみを含む、本発明による方法300の流れ図を示す。開始310で始まり、使用者は、第1のステップ311において、用量物質の所定の質量を入力することを求められる。第2のステップ312において、使用者は、新しい用量分注ユニットを駆動装置内に据え付ける必要がある。第3のステップ313は、用量分注ユニットが第1の位置に配置されているかどうかを判定する確認から成る。そうではない場合、次に、用量分注ユニット、より具体的には用量分注ユニットが中に据え付けられる保持装置は、第1の位置に移動させられる必要がある。第4のステップ314において、目標容器が荷重受け部上に置かれ、開始時重量値が確定される。次に、第5のステップ315において、駆動ユニットの助けで、用量分注ユニットが第2の位置に移動させられる。ここで、ステップ340において試験が行われ、その試験では、試験重量値が決定され、比較される。(用量分注ユニットから物質がまだ放出されていなかったという条件で)開始時重量値および試験重量値が同一であることが分かった場合、このことは、帯電が無いことまたは僅かな帯電の蓄積のみを示す。2つの重量値が互いに異なる場合、分注行程は遮られる可能性があり、使用者は警告される可能性がある。明らかに、本明細書に記載されている比較において帯電が検出された場合、用量分注装置内に配置されているイオン化装置が、自動的にまたは使用者の介入により、スイッチを入れられることもまた可能である。
【0045】
第6のステップ316において、用量分注プログラムが開始され、用量物質は、第1のステップ311において入力された所定の質量に基づいて、目標容器内に送達される。分注行程が完了した後、用量分注ユニットは、ステップ317において第1の位置に戻される。次に、計量システムは、第8のステップ318において終了時重量値を測定する。用量物質の計量済み質量を計算するために、第9のステップ319において、開始時重量値が終了時重量値から減じられ、それは処理装置により実施される。用量物質の計量済み質量を表すこの計算された値は、さらなる処理段階、例えば表示装置(indicator unit)に直接送信されることが可能であるか、またはその計算された値は、後の処理のために記憶ユニット内に格納され得る。用量物質の計量済み質量の計算後に、不可欠なステップの流れ図は320で終了する。
【0046】
帯電の影響により、計量済み質量は、所定の質量から逸脱する可能性がある。用量物質の計量済み質量を所定の質量とより近似に一致させるために、計量済み質量の値が所与の公差範囲内で所定の質量に一致するまで、上述のステップ312からステップ319が繰り返されることが可能である。この閉回路は破線で示されている。
【0047】
図4は、図3の流れ図が追加の行程ステップでどのようにして拡張され得るかを示す。図4は、コンピュータプログラムで実施され得る種類のさらに可能なステップを有する、本発明による方法400の詳細な流れ図を示す。図3の場合に既に検討されたステップは、同一の参照記号で識別され、再度説明されない。
【0048】
4つの混合物調製ステップ411、412、413および414は、流れ図300のステップへの第1の追加を示す。第9のステップ319の後または以下に説明される第3の補正ステップ423の後に起こる第1の混合物調製ステップ411では、使用者、記憶ユニット、または上位プロセス制御システムは、混合物が目標容器内に既に分注された物質を用いて調製されるかどうか問い合わせられ、はい/いいえの応答が要求される。答えが肯定である場合、後続の混合物調製ステップ412、413、414は実行され、第2から第9までのステップ312から319が繰り返される。
【0049】
第2混合物調製ステップ412では、プログラムが混合比を使用者、記憶ユニット、または上位プロセス制御システムからの入力として呼び出す。第3の混合物調製ステップ413では、保持装置内に現在据え付けられている用量分注ユニットは除去される。第4の混合物調製ステップ414では、添加される次の用量物質の質量が、用量物質の計量済み質量および混合比に基づいて計算される。この後に、第2から第9までのステップ312から319が続く。
【0050】
第9のステップ319までの2回目のパスが完了した後、目標容器内の2つの物質の混合物にさらなる物質が添加され得るように、第2混合物調製ステップ412の2回目の問い合わせが起こる。図3に記載された閉回路に類似して、所定の混合比公差の範囲内の所望の混合比を得るために、同じ用量分注ユニットでいくつかのパスを用いることもまた可能である。
【0051】
第1の位置と第2の位置との間の距離が設計制限を受けるので、たとえ開始時重量値および終了時重量値が第1の位置で決定されても、それらは依然として誤差を含む可能性がある。その未補正の実際の量における計量済み質量がさらに修正され得るように、この残余誤差は、補正ステップ421、422および423により補正され得る。第6のステップ316と第7のステップ317との間に起こる第1の補正ステップ421は、用量分注ユニットが依然として第2の位置にある場合、用量分注行程の直後に誤差重量値を確定するのに役立つ。第8のステップ318において決定された誤差重量値および終了時重量値は、ここで、第2の補正ステップ422において処理される。
【0052】
【数1】

【0053】
として数学的に表現されるクーロンの法則に基づいて、上方位置で作用する静電力、または補正値は、荷重受け部からの第1の位置の距離r、荷重受け部からの第2の位置の距離r、および測定された計量誤差と終了時重量値との差に基づいて計算され得る。クーロンの法則に基づいて、以下の近似補正値に到達し、その補正値は、重量値と同じ単位で表され、第9のステップ319において決定された計量済み質量から減じられ得る。
【0054】
【数2】

【0055】
その減算は、第3の補正ステップ423において起こり、表示装置に送信されるかつ/または記憶ユニット内に格納されるかつ/またはプロセス制御システムに伝達される補正済み質量の値をもたらす。
【0056】
物質服用量の全てが送達された後、いくつかの場合に、試料の調製を完了させるために、ある測定された量の溶媒が目標容器に添加されなければならないこともある。補正ステップ421、422および423が適用されたか否かによって、選択された溶媒の質量は、計量済み質量または補正済み質量および所望の濃度に基づいて計算され得る。プログラムは、第1の試料調製ステップ431において、濃度および選択された溶媒を呼び出す。溶媒の質量の計算および溶媒の分注は、第2の試料調製ステップ432において起こり、その後、本行程はその終了320に到達した。
【0057】
図1に示されているイオン化装置は、本方法400の異なるステップ中にまたはステップの全ての間で使用され得ることが、さらに言及されるべきである。ステップ441として示されているイオン化装置の使用は、例えば第3のステップ313、第5のステップ315、および第6のステップ316の間に起こり得る。
【0058】
明らかに、また、使用者は、完全自動化試料調製のために、処理システムおよびプロセス制御システムにより取って代わられることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 用量分注装置
105、105’ 用量分注ユニット
110、110’ 源容器
111 第1の形状嵌合要素
113 蓋部
114 切欠き
115、115’、123 メモリモジュール
121 第2の形状嵌合要素
122 用量分注頭部
124 出口
130 貫通開口部
131 継ぎ手部
132 シャッタシャフト
150 駆動装置
151 第1の相手方部品
152 溝穴底部
153 ばね付勢式保持器掛け金
154 継ぎ手受け口
155 駆動源
156 駆動シャフト
157 上部
158 下部
159 直線案内装置
160 係止装置
165 処理装置
166 記憶ユニット
170 回転係止部
175 読み書き装置
181 第2の相手方部品
185 液体分注頭部
186 ホース連結器
187 駆動ユニット
188 ねじスピンドル
189 スピンドルナット
190 計量システム
191 荷重受け部
192 計量セル
193 筺体
200 目標容器
201 目標容器メモリモジュール
250 イオン化装置
270 入力/出力ユニット
300、400 方法
310 開始
311 第1のステップ:用量物質の所定の質量を入力する
312 第2のステップ:新しい用量分注ユニットを取り付ける
313 第3のステップ:用量分注ユニットを第1の位置に動かす
314 第4のステップ:目標容器を定位置に置き、開始時重量値を決定する
315 第5のステップ:用量分注ユニットを第2の位置に動かす
316 第6のステップ:用量分注行程
317 (第7の)ステップ:用量分注ユニットを第1の位置に動かす
318 第8のステップ:終了時重量値を決定する
319 第9のステップ:用量物質の計量済み質量を計算する
320 終了
340 試験:試験重量値を取得し、開始時重量値と比較する
411 第1の混合物調製ステップ:粉末混合物が所望されているか否かを問い合わせる
412 第2の混合物調製ステップ:混合比の要求を入力する(entry/input)
413 第3の混合物調製ステップ:現在取り付けられている用量分注ユニットを除去する
414 第4の混合物調製ステップ:添加される物質の質量を計算する
421 第1の補正ステップ:誤差重量値を決定する
422 第2の補正ステップ:補正値を計算する
423 第4の補正ステップ:補正済み質量を計算する
431 第1の試料調製ステップ:所望の濃度の入力を要求する
432 第2の試料調製ステップ:溶媒の必要量を計算し、分注する
441 イオン化装置の使用

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重受け部(191)を備えた計量システム(190)と、処理装置(165)と、記憶ユニット(166)と、交換可能な用量分注ユニット(105、105’)とを含む用量分注装置(100)による試料調製のための方法であり、目標容器(200)が前記荷重受け部(191)上に置かれることが可能であり、前記用量分注ユニット(105、105’)および/または前記目標容器(200)は電気絶縁材料を含み、用量分注行程の開始前に既に帯電ができる限りたくさん中和されることが可能であるように、イオン化装置(250)が含まれており、前記用量分注ユニット(105、105’)は前記荷重受け部(191)に対して第1の位置(OP)と第2の位置(UP)との間で滑動するかまたは旋回する能力を有して、前記荷重受け部(191)の上方に配置されている、方法において、
− 前記用量分注ユニット(105、105’)が前記第1の位置(OP)で静止しておりかつ前記目標容器(200)が前記荷重受け部(191)上の定位置にある間に、前記計量システム(190)により開始時重量値が決定され、前記記憶ユニット(166)内に格納されるステップと、
− 前記用量分注ユニット(105、105’)は、前記第2の位置(UP)に動かされるステップと、
− 用量分注周期(316)が実施され、前記処理装置(165)により、所定の質量の用量物質が前記用量分注ユニット(105、105’)から前記目標容器(200)内に送達されるステップと、
− 前記用量分注ユニット(105、105’)は、前記第1の位置(OP)に動かされるステップと、
− 前記用量分注ユニット(105、105’)が前記第1の位置(OP)で静止している間に、前記計量システム(190)により、終了時重量値が決定されるステップと、
− 中間重量値の測定が、前記イオン化装置(250)がスイッチを切られた時にのみ起こるステップと
を定めるステップ(311、312、313、314、315、316、317、318)を特徴とする、方法。
【請求項2】
帯電を検出するのに役立つ試験ステップ(340)を特徴とする方法であって、試験重量値が前記第2の位置(UP)でかつ前記用量分注周期を実施する前記ステップ(316)の前に決定され、前記試験重量値は、前記開始時重量値と比較されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記開始時重量値は、前記処理装置(165)内で前記終了時重量値から減じられ、その結果は、前記用量物質の計量済み質量として、前記記憶ユニット(166)内に格納されるかまたは出力ユニット(270)に送信される、さらなるステップを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
− 前記用量物質の前記計量済み質量および所望の混合比に基づいて、さらなる用量物質の質量が前記処理装置(165)により計算されるステップと、
− 既に分注されている前記用量物質を有する前記用量分注ユニット(105)は、前記さらなる用量物質を有するさらなる用量分注ユニット(105’)に置き換えられるステップと、
− 請求項1の前記ステップ(311、312、313、314、315、316、317、318)が前記さらなる用量分注ユニット(105’)で繰り返されるステップと
を定めるさらなるステップ(411、412、413、414)を特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
− 前記用量分注行程が完了した後、前記用量分注ユニットが、依然として前記第2の位置(UP)にあり、誤差重量値が、前記計量システム(190)により決定されるステップと、
− 前記終了時重量値、前記誤差重量値、および前記第1の位置(OP)と前記第2の位置(UP)との間の距離に基づいて、補正値が計算されるステップと、
− 前記用量物質の前記計量済み質量および前記補正値に基づいて、前記用量物質の前記補正済み質量が計算されるステップと
を定める前記さらなるステップ(421、422、423)を特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記用量物質の前記計量済み質量または前記補正済み質量に基づいて、かつ所望の濃度に基づいて、添加される溶媒の質量が、前記処理装置(165)により計算されることを特徴とする、請求項3から5の一項に記載の方法。
【請求項7】
前記用量分注行程中、前記計量システム(190)は、継続的に、不連続に、事象誘発の間隔または任意の間隔で、中間重量値を決定すること、および前記中間重量値は、前記用量分注行程の制御のために前記処理装置(165)へ送達されることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2つの中間重量値の評価、それらの間の時間間隔、および前記中間重量値が測定された時点の前記用量分注ユニット(105、105’)の前記出口の開口部断面により、前記用量物質の流動特性を特徴付ける流動パラメータが決定されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記流動パラメータにより、前記用量分注ユニット(105、105’)の前記出口の前記開口部断面がそれに基づいて閉鎖される、閉鎖の時間プロフィールが推定されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記用量分注装置(100)は、前記イオン化装置(250)を含むこと、および前記用量分注ユニット(105、105’)が前記第1の位置(OP)から前記第2の位置(UP)に移動させられている時間中、前記イオン化装置は動作中であることを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の方法。
【請求項11】
前記イオン化装置(250)は、前記用量分注行程中に定期的にスイッチを入れられ、切られることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記イオン化装置(250)がスイッチを切られた状態にある間にのみ、前記中間重量値が測定されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
試料調製のための用量分注装置(100)の処理装置(165)において実行可能であるコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータプログラムでは、請求項1から12の一項による行程ステップ(311、312、313、314、315、316、317、318、...)が実施されることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項14】
計量システム(190)と、処理装置(165)と、記憶ユニット(166)と、交換可能な用量分注ユニット(105、105’)とを含む用量分注装置(100)であり、前記用量分注ユニット(105、105’)は、前記計量システム(190)の荷重受け部(191)の上方に配置されており、前記荷重受け部(191)に対して第1の位置(OP)と第2の位置(UP)との間で移動可能である、用量分注装置(100)において、請求項13によるコンピュータプログラムが前記記憶ユニット(166)内に格納されていることを特徴とする、用量分注装置(100)。
【請求項15】
前記用量分注ユニット(105、105’)は、垂直直線案内部(159)によりその可動度内に抑制され、かつ駆動ユニット(187)により前記第1の位置(OP)と前記第2の位置(UP)との間で移動可能であることを特徴とする、請求項14に記載の用量分注装置(100)。
【請求項16】
液体用の用量分注頭部(185)が利用可能であり、当該用量分注頭部(185)によって、前記処理装置(165)により計算されたある量の溶媒が目標容器(200)内に分注され得ることを特徴とする、請求項13から15の一項に記載の用量分注装置(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−53045(P2012−53045A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−187656(P2011−187656)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】