説明

試験方法及び試験装置

【課題】RRCレイヤで無線リンク状態の失敗を検出した時点で、接続状態の再構築の処理を開始する場合にも、移動局が下りリンクの同期状態を正常に検出しているか否かについて確認する。
【解決手段】本発明に係る試験方法は、無線品質を第1閾値以上である第1状態から前記第1閾値以下である第2状態に変更した場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出するか否かについて判定する第1工程と、前記無線品質を前記第1状態から前記第2状態に変更した時点から第1時間間隔経過した後に、前記無線品質を第2閾値以上である第3状態に変更した場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出しないか否かについて判定する第2工程とを有することを要旨とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験方法及び試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、移動通信システムでは、無線基地局と移動局との間の同期状態が監視されるように構成されている。例えば、WCDMA方式の移動通信システムにおいては、物理レイヤにおける下りリンクの同期状態を判定するために、以下の2つ指標が定義されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
・ 個別物理制御チャネル(DPCCH:Dedicated Physical Control Channel)の無線品質(DPCCH quality)
・ 巡回冗長検査(CRC(Cyclic Redundancy Check) check)結果
ここで、「DPCCH quality」は、パイロットシンボル(Pilot symbols)や送信電力制御(TPC: transmission power control)ビットの受信品質、例えば、SIR(signal-to-interference power ratio)や受信レベルに相当し、「CRC check結果」は、ブロックエラーレート(Block error rate)に相当する。
【0004】
すなわち、移動局は、例えば、DPCCHの無線品質に基づいて、下りリンクの同期状態を判定している。
【0005】
ところで、一般に、移動通信システムにおいて、その通信品質を担保するために、移動局及び無線基地局に対して、試験が適用される。例えば、WCDMA方式における移動局の試験仕様として、TS25.101(非特許文献2)が作成されている。
【0006】
上述した移動局における下りリンクの同期状態の判定動作は、非特許文献2のSection6.4.4に記載されている。
【0007】
以下に、図1を参照しながら、上述したWCDMA方式の移動局における下りリンクの同期状態の判定動作を確認する試験方法について説明する。
【0008】
図1において、「DPCCH_Ec/Ior」は、DPCCHの電力レベルであり、DPCCHの無線品質に相当する。また、「Qin」及び「Qout」は、下りリンクの同期状態を判定するための閾値である。
【0009】
ここで、下りリンクの同期状態がOKである状態を「In-sync(In-Synchronous)」と呼び、下りリンクの同期状態がNGである状態を「Out-of-sync(Out-of-Synchronous)」と呼んでもよい。
【0010】
また、無線リンク状態の問題が検出されていない状態を「In-sync」と呼び、無線リンク状態の問題が検出されている状態を「Out-of-sync」と呼んでもよい。
【0011】
図1に示す試験方法においては、時刻Bにおいて、DPCCHの無線品質が、所定の閾値Qoutより高い状態から低い状態に変更され、時刻Cにおいて、移動局が上りリンクの信号を停止していることに基づいて、移動局が正常に下りリンクの同期状態を判定していることを確認する。
【0012】
すなわち、移動局は、Out-of-syncを検出した場合に、上りリンクの信号を停止するという動作を行うため、時刻Cにおいて、移動局が上りリンクの信号を停止しているという動作を確認することにより、移動局が正常にOut-of-syncを検出していることが確認される。
【0013】
なお、時刻BからCまでの時間差は、移動局における判定遅延を考慮するために設定されている。
【0014】
一方、時刻Eにおいて、DPCCHの無線品質が、所定の閾値Qinより低い状態から高い状態に変更され、時刻Fにおいて、移動局が上りリンクの信号を送信していることに基づいて、移動局が正常に下りリンクの同期状態を判定していることを確認する。
【0015】
すなわち、移動局は、In-syncを検出した場合に、上りリンクの信号の送信を開始するという動作を行うため、時刻Fにおいて、移動局が上りリンクの信号を送信しているという動作を確認することにより、移動局が正常にIn-syncを検出していることが確認される。
【0016】
なお、時刻EからFまでの時間差は、移動局における判定遅延を考慮するために設定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】3GPP TS25.214 V8.1.0(2008年5月)、“4.3.1.3 Uplink Synchronization primitives”
【非特許文献2】3GPP TS25.101 V8.2.0(2008年3月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述したように、WCDMA方式における移動局の下りリンクの同期状態の判定動作を確認する試験方法においては、DPCCHの無線品質を変動させ、DPCCHの無線品質がQout以下になった場合に、移動局が上りリンクの送信を停止し、DPCCHの無線品質がQin以上になった場合に、移動局が上りリンクの送信を開始することに基づいて、移動局が正常に下りリンクの同期状態の判定動作を行っていることを確認していた。
【0019】
しかしながら、移動通信システムによっては、上述した試験方法を適用できない場合がある。
【0020】
例えば、WCDMA方式の後継のシステムであるLTE(Long TermEvolution)方式においては、移動局は、物理レイヤで、下りリンクの同期状態を判定した時点ではなく、RRCレイヤで、無線リンク状態の失敗を判定した時点で、上りリンクの信号を停止する。
【0021】
この時、移動局は、RRCレイヤにおける無線リンク状態の失敗を判定した時点から、接続状態の再構築の処理を開始するため、図1で示した試験方法を適用することができないという問題が存在する。
【0022】
より具体的には、図1における時刻Cで、上りリンクの信号の送信が停止されていることを確認した時点で、移動局は、接続状態の再構築の処理を開始しているため、時刻Eにおいて、DPCCHの無線品質がQinより大きくなったとしても、上りリンクの信号の送信を開始しない。よって、結果として、図1に示す試験方法を適用することができない。
【0023】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、RRCレイヤで無線リンク状態の失敗を検出した時点で、接続状態の再構築の処理を開始する場合にも、移動局が下りリンクの同期状態を正常に検出しているか否かについて確認することを可能にする試験方法及び試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の第1の特徴は、試験方法であって、移動局における無線リンク状態の問題検出手段を確認する試験方法であって、無線品質を第1閾値以上である第1状態から前記第1閾値以下である第2状態に変更した場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出するか否かについて判定する第1工程と、前記無線品質を前記第1状態から前記第2状態に変更した時点から第1時間間隔経過した後に、前記無線品質を第2閾値以上である第3状態に変更した場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出しないか否かについて判定する第2工程とを有することを要旨とする。
【0025】
本発明の第1の特徴において、前記第1工程及び前記第2工程において、前記移動局が上りリンクの信号を送信しているか否かに基づいて、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出したか否かについて判定してもよい。
【0026】
本発明の第1の特徴において、前記第1工程及び前記第2工程において、前記移動局が上りリンクの信号を送信している場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出していないと判定し、前記移動局が上りリンクの信号を送信していない場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出したと判定してもよい。
【0027】
本発明の第1の特徴において、前記上りリンクの信号は、周期的に送信される上りリンクの信号であってもよい。
【0028】
本発明の第1の特徴において、前記上りリンクの信号は、サウンディング用の参照信号又は下りリンクの無線品質状態を通知する制御信号であってもよい。
【0029】
本発明の第1の特徴において、前記第2工程において、前記第1時間間隔は、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出した時点から起動される接続状態の再構築を行う処理を開始するためのタイマーの値と同一であってもよい。
【0030】
本発明の第1の特徴において、前記第1工程において、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出した場合に、前記移動局が正常に動作したと判定してもよい。
【0031】
本発明の第1の特徴において、前記第2工程において、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出しなかった場合に、前記移動局が正常に動作したと判定してもよい。
【0032】
本発明の第2の特徴は、試験装置移動局における無線リンク状態の問題検出手段を確認する試験装置であって、無線品質を第1閾値以上である第1状態から前記第1閾値以下である第2状態に変更した場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出するか否かを判定するように構成されている第1判定部と、前記無線品質を前記第1状態から前記第2状態に変更した時点から第1時間間隔経過した後に、前記無線品質を第2閾値以上である第3状態に変更した場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出しないか否かについて判定するように構成されている第2判定部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、RRCレイヤで無線リンク状態の失敗を検出した時点で、接続状態の再構築の処理を開始する場合にも、移動局が下りリンクの同期状態を正常に検出しているか否かについて確認することを可能にする試験方法及び試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】WCDMA方式における下りリンク同期状態の判定方法を示す図である。
【図2】本実施形態に係る試験システムの構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係る移動局の構成を示す図である。
【図4】本実施形態に係る移動局における下りリンクの同期状態の判定の様子について説明するための図である。
【図5】本実施形態に係る移動局における無線リンク失敗状態検出の様子について説明するための図である。
【図6】本実施形態に係る移動局におけるIn-syncの検出の様子について説明するための図である。
【図7】本実施形態に係る試験装置の構成を示す図である。
【図8】本実施形態に係る試験方法を示す図である。
【図9】本実施形態に係る試験方法を示す図である。
【図10】本実施形態に係る試験方法を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る試験方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(本発明の第1の実施形態に係る試験システムの構成)
図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る試験システムの構成について説明する。
【0036】
図2に示すように、本実施形態に係る試験システムは、LTE方式の移動通信システムを前提としている試験システムであり、LTE方式の移動通信システムにおける移動局の動作を確認するための試験システムである。
【0037】
かかる試験システムでは、無線アクセス方式として、下りリンクについては「OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式」が適用され、上りリンクについては「SC-FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)方式」が適用される。
【0038】
OFDM方式は、特定の周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各周波数帯域上にデータを載せて伝送を行う方式である。かかるOFDM方式によれば、サブキャリアを周波数軸上で一部重なりあいながらも互いに干渉することなく密に並べることで、高速伝送を実現し、周波数の利用効率を上げることができる。
【0039】
また、SC-FDMA方式は、特定の周波数帯域を分割し、複数の移動局UEの間で異なる周波数帯域を用いて伝送することで、複数の移動局UEの間における干渉を低減することができる伝送方式である。SC-FDMA方式によれば、送信電力の変動が小さくなる特徴を有することから、移動局UEの低消費電力化及び広いカバレッジを実現することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る試験システムでは、試験装置200が、移動局100に対して、物理下り制御チャネルPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を介して下り制御信号を送信し、物理下り共有チャネルPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を介して下りデータ信号を送信するように構成されている。
【0041】
また、試験装置200は、下りリンクのパイロット信号であるDownlink Reference Signal(DL RS)を送信するように構成されている。
【0042】
また、下りリンクにおいては、干渉信号生成装置300から移動局100に対して、干渉信号が送信される。
【0043】
本実施形態に係る試験システムにおいては、PDCCH、PDSCH、DL RSの信号電力と、前記干渉信号の電力とを調節することにより、移動局100の受信端におけるPDCCH、PDSCH、DL RSの無線品質が調整される。
【0044】
ここで、無線品質とは、例えば、SIR(Signal-to-Interference Ratio)である。
【0045】
一方、本実施形態に係る試験システムでは、移動局100は、上りリンクにおいて、物理上り共有チャネルPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)を介して上りデータ信号を送信するように構成されている。
【0046】
また、移動局100は、上りリンクにおいて、物理上り制御チャネルPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を介して上り制御信号を送信するように構成されている。
【0047】
また、移動局100は、上りリンクにおいて、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)を介してランダムアクセスプリアンブルを送信するように構成されている。
【0048】
ここで、上り制御信号には、下りリンクの無線品質情報(Channel Quality Indication(CQI)又はPrecoding Matrix Indication(PMI)又はRank Indication(RI))や、スケジューリングリクエストや、PDSCHに対する送達確認情報(ACK information)等が含まれる。
【0049】
さらに、移動局100は、上りリンクにおいて、サウンディング用の参照信号Sounding Reference Signal(Souding RS)を送信するように構成されている。
【0050】
図2において、試験装置200と移動局100と干渉信号生成装置300とは、有線で接続されているが、有線の代わりに、無線で接続されていてもよい。
【0051】
また、試験装置200や移動局100や干渉信号生成装置300に加えて、フェージングシミュレータ等の装置が追加で接続されてもよい。かかるフェージングシミュレータが接続される場合には、フェージング環境下での試験を適用することが可能となる。
【0052】
後述するように、移動局100がランダムアクセスプリアンブルを送信したか否かに基づいて、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かについて判定する場合には、試験装置200は、移動局100が再接続の処理を行うことができるように、移動局100が最初に通信を行うセルに加えて、再接続先のセルを設定してもよい。
【0053】
この場合、移動局100は、再接続の処理を行う際に、セルサーチを行うことにより、前記再接続先のセルをサーチし、その後、前記再接続先のセルに対してランダムアクセスプロシージャーを行うことにより、再接続の処理を行う。
【0054】
前記再接続先のセルは、例えば、移動局100が最初に通信を行うセルと同じ周波数である別のセルであってもよいし、或いは、異なる周波数である別のセルであってもよい。また、前記再接続先のセルには、移動局100が最初に通信を行うセルに対して、同一基地局内における異なるセクタが含まれてもよい。いずれにせよ、前記再接続先のセルにおいて、移動局100に関するUE Contextが保持されている。
【0055】
図3に示すように、移動局100は、同期状態判定部102と、無線リンク失敗状態判定部104と、再接続処理部106と、上り信号送信部108とを具備している。
【0056】
同期状態判定部102は、移動局100における下りリンクの無線品質を測定し、かかる無線品質に基づいて、下りリンクの同期状態を判定するように構成されている。
【0057】
ここで、移動局100における下りリンクの無線品質とは、試験装置200と移動局UEとの間の無線リンクの品質である。なお、試験装置200は、LTE方式が適用される移動通信システムにおいては、無線基地局eNBに相当する。
【0058】
例えば、同期状態判定部102は、移動局UEにおける下りリンクの無線品質として、移動局100の下りリンクの信号(例えば、参照信号(DL RS)等)のSIRを測定し、かかるSIRに基づいて、下りリンクの同期状態を判定してもよい。
【0059】
より具体的には、同期状態判定部102は、かかるSIRが所定閾値よりも大きい場合に、下りリンクの同期状態がOKである、すなわち、In-syncであると判定し、かかるSIRが所定閾値以下の場合に、下りリンクの同期状態がNGである、すなわち、Out-of-syncであると判定してもよい。
【0060】
或いは、同期状態判定部102は、図4に示すように、Qout及びQinの2つの閾値を設定し、上述のSIRとQoutとQinとに基づいて、下りリンクの同期状態を判定してもよい。
【0061】
ここで、Qout<Qinであり、QinとQoutと差、すなわち、「Qin−Qout」がヒステリシスに相当する。すなわち、図4の例においては、同期状態判定部102は、T<Aにおいては、SIRがQoutよりも大きいため、In-syncであると判定し、時刻T=Aにおいて、SIRがQout以下となったことに基づき、Out-of-syncであると判定する。
【0062】
そして、同期状態判定部102は、時刻T=Bにおいて、SIRがQinより大きくなったことに基づき、In-syncであると判定し、その後、時刻T=Cにおいて、SIRがQout以下となったことに基づき、Out-of-syncであると判定する。
【0063】
このように、2つの閾値を設定することにより、すなわち、「Qin−Qout」というヒステリシスを設定することにより、In-syncとOut-of-syncとの判定におけるばたつきを低減することが可能となる。
【0064】
なお、同期状態判定部102は、上述のSIRの値として、瞬時のSIRを所定平均化区間で平均化した値を用いてもよい。ここで、所定平均化区間としては、例えば、160msであってもよいし、200msであってもよいし、20msであってもよいし、それ以外の値であってもよい。
【0065】
また、かかるSIRの値は、周波数方向に関して、システム帯域全体で平均した値であってもよいし、システム帯域内の一部の帯域で平均した値であってもよい。かかるシステム帯域内の一部の帯域とは、例えば、システム帯域の中心に位置する、所定の帯域幅を有する帯域であってもよい。或いは、かかるシステム帯域内の一部の帯域とは、例えば、同期信号又は物理報知チャネルが送信される帯域であってもよい。
【0066】
同期状態判定部102は、上述した下りリンクの同期状態の判定結果(In-sync/Out-of-sync)を無線リンク失敗状態判定部104に通知する。
【0067】
なお、同期状態判定部102は、上述の下りリンクの同期状態の判定結果(In-sync/Out-of-sync)を、10ms毎に、無線リンク失敗状態判定部104に通知してもよい。ここで、上述の10msは、あくまでも一例であり、10ms以外の値であってもよい。
【0068】
また、同期状態判定部102は、上述の下りリンクの同期状態の判定結果(In-sync/Out-of-sync)を、無線リンクフレーム(Radio Link Frame)毎に、無線リンク失敗状態判定部104に通知してもよい。
【0069】
また、同期状態判定部102は、上述した例において、下りリンクの無線品質として、リファレンス信号(Reference Signal)のSIRを用いたが、代わりに、リファレンス信号の受信電力(Reference Signal Received Power(RSRP))やReference Signal Received Quality(RSRQ)、CQIを用いてもよい。
【0070】
或いは、同期状態判定部102は、リファレンス信号のSIRの代わりに、PDCCHの誤り率や、PCFICHの誤り率や、PCFICHにおけるSIRや、PDSCHの誤り率や、DL RSのシンボル誤り率等を用いてもよい。
【0071】
ここで、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)は、下りリンクの制御用のOFDM symbolの数を通知するための制御信号である。
【0072】
或いは、同期状態判定部102は、下りリンクの無線品質として、リファレンス信号(Reference Signal)のSIRや、リファレンス信号の受信電力や、RSRQや、CQIや、PDCCHの誤り率や、PCFICHの誤り率や、PCFICHのSIRや、PDSCHの誤り率や、DL RSのシンボル誤り率の内の少なくとも1つを用いてもよい。
【0073】
なお、RSRQ(Reference Signal Received QualityPower)とは、下りリンクの参照信号の受信電力を、下りリンクのRSSI(Received Signal Strength Indicator)で割った値である。
【0074】
ここで、RSSIとは、移動局において観測されるトータルの受信レベルであり、熱雑音や他セルからの干渉電力や、自セルからの希望信号の電力等の全てを含んだ受信レベルのことである(RSRQの定義については、非特許文献TS36.214、V8.3.0参照)。
【0075】
また、CQI(Channel Quality Indication)とは、下りリンクの無線品質情報である(CQIの定義については、非特許文献TS36.213、V8.3.0参照)。
【0076】
無線リンク失敗状態判定部104は、上述の同期状態判定部102における下りリンクの同期状態の判定結果に基づいて、無線リンク失敗状態(RLF:Radio Link Failure)であるか否かについて判定するように構成されている。
【0077】
例えば、無線リンク失敗状態判定部104は、同期状態判定部102より、N310回連続して、Out-of-syncが報告された場合に、タイマーT310を起動し、かかるタイマーT310が満了した場合に、無線リンク失敗状態であると判定してもよい。
【0078】
より具体的には、無線リンク失敗状態判定部104は、図5に示すように、時刻T=Aから時刻T=Bまでの間に、同期状態判定部102から、連続してN310回、下りリンクの同期状態として、Out-of-syncを示す通知を受信する。
【0079】
かかる場合、時刻T=Bにおいて、無線リンク失敗状態判定部104は、タイマーT310を起動する。そして、無線リンク失敗状態判定部104は、タイマーT310が満了した場合に(時刻T=C)、無線リンク失敗状態であると判定する。
【0080】
かかるタイマーT310は、移動局が無線リンク状態の問題を検出した時点から起動される、接続状態の再構築を行う処理を開始するためのタイマーに相当する。
【0081】
ここで、図6に示すように、無線リンク失敗状態判定部104は、タイマーT310を起動している状態において、同期状態判定部102より、時刻T=Cから時刻T=Dまでの間に、連続してN311回、下りリンクの同期状態として、In-syncという通知を受信する。
【0082】
かかる場合、時刻T=Dにおいて、無線リンク失敗状態判定部104は、タイマーT310を停止する。この場合、タイマーT310が、満了する前に停止されたため、無線リンク失敗状態判定部104は、無線リンク失敗状態であるとは判定しない。
【0083】
なお、上述した例において、N310やN311は、Out-of-sync又はIn-syncが連続して通知される回数に関する閾値であったが、代わりに、Out-of-sync又はIn-syncが連続して通知される時間に関する閾値であってもよい。
【0084】
すなわち、N310やN311は、T310と同様にタイマーとして扱われてもよい。すなわち、上述したN311やN311は、その単位として、同期状態判定部102より同期状態を通知される回数であってもよいし、代わりに、同期状態判定部102より同期状態を通知される時間であってもよい。
【0085】
無線リンク失敗状態判定部104は、無線リンク失敗状態であると判定した場合に、かかる判定結果を、再接続処理部106と上りリンク信号送信部108に通知する。
【0086】
なお、無線リンク失敗状態判定部104は、無線リンク失敗状態であると判定した結果を通知する代わりに、タイマーT310が満了したという結果を、再接続処理部106と上りリンク信号送信部108に通知してもよい。
【0087】
再接続処理部106は、無線リンク失敗状態判定部104から、無線リンク失敗状態であるという判定結果を通知された場合に、再接続の処理を行う。また、再接続処理部104は、前記再接続の処理を行う前に、移動局100と試験装置200との間の通信の設定(Configuration)をクリアしてもよい。
【0088】
なお、再接続の処理とは、例えば、「Cell Update処理」と呼ばれてもよい。また、「Cell Update処理」とは、例えば、セルサーチ、サーチしたセルの無線品質のメジャメント等を行い、通信可能なセルが存在する場合に、当該セルに対して接続の構築を再度行うことを指す。
【0089】
ここで、移動局100が、当該セルに対して接続の構築を再度行う場合、まず当該セルに対してランダムアクセスプロシージャー(ランダムアクセス手順)を行う。すなわち、移動局は、当該セルに対して接続の構築を再度行う場合、まず当該セルに対して、PRACHを介してランダムアクセスプリアンブルを送信する。
【0090】
なお、「Cell Update処理」は、「Connection Re-establishment処理」と呼ばれてもよい。
【0091】
なお、上述した「無線リンク失敗状態判定部104から、無線リンク失敗状態であるという判定結果を通知された場合」とは、「無線リンク失敗状態判定部104から、タイマーT310が満了したという結果を通知された場合」という意味であってもよい。
【0092】
すなわち、再接続処理部106は、無線リンク失敗状態判定部104から、タイマーT310が満了したという結果を通知された場合に、再接続の処理を行ってもよい。
【0093】
上りリンク信号送信部108は、上りリンクにおいて、試験装置200に対して上りリンクの信号を送信する。
【0094】
ここで、かかる上りリンクの信号には、例えば、PUSCHやPUCCH、サウンディング用のリファレンス信号等が含まれる。なお、前記PUCCHにより、例えば、下りリンクの無線品質情報である、CQI、PMI、RI等が送信されてもよい。
【0095】
上りリンク信号送信部108は、無線リンク失敗状態判定部104から、無線リンク失敗状態であるという判定結果を通知された場合に、かかる上りリンクの信号の送信を停止する。
【0096】
なお、上述した「無線リンク失敗状態判定部104から、無線リンク失敗状態であるという判定結果を通知された場合」とは、「無線リンク失敗状態判定部104から、タイマーT310が満了したという結果を通知された場合」という意味であってもよい。
【0097】
すなわち、上りリンク信号送信部108は、無線リンク失敗状態判定部104から、タイマーT310が満了したという結果を通知された場合に、かかる上りリンクの信号の送信を停止してもよい。
【0098】
なお、上りリンク信号送信部108は、上述したように、再接続の処理において、通信可能なセルに対して接続の構築を再度行う場合に、前記通信可能なセルに対して、PRACHを介してランダムアクセスプリアンブルを送信してもよい。
【0099】
なお、上述した例においては、移動局100が上りリンクにおいて、PUSCHまたはPUCCHを送信する場合を示したが、代わりに、移動局100がPUSCHやPUCCHを送信しない場合の動作を以下に説明する。例えば、LTEにおいては、上りリンクのタイミング同期(Uplink Time Alignment)が維持されていない場合や、間欠受信制御(DRX:Discontinuous Reception Control)が適用されている場合においては、移動局100は、基本的に、上述した、上りリンクの信号、すなわち、PUSCHやPUCCHを送信しない。
【0100】
この場合、上りリンク信号送信部108は、上述した、PUSCHやPUCCH、サウンディング用のリファレンス信号等は送信せず、上述した、再接続の処理において、PRACHを介してランダムアクセスプリアンブルを送信するという動作を行うように構成されていてもよい。
【0101】
図7に示すように、試験装置200は、下りリンク信号送信部202と、信号電力調節部204と、上り信号受信部206と、移動局動作判定部208とを具備する。
【0102】
下りリンク信号送信部202は、移動局100に対して、下りリンクの信号を送信するように構成されている。かかる下りリンクの信号には、PDSCHやPDCCH、DL RS、PCFICH等が含まれる。
【0103】
また、下りリンク信号送信部202は、後述する信号電力調節部204から通知される信号電力に関する情報に基づいて、かかる下りリンクの信号電力を設定し、かかる下りの信号電力に基づいて、かかる下りリンクの信号の送信を行う。
【0104】
信号電力調節部204は、移動局100の受信端における無線品質が所定の値に設定されるように、かかる下りリンクの信号の信号電力を調節し、その調節した結果を、信号電力に関する情報として、下りリンク信号送信部202に通知する。
【0105】
信号電力調節部204は、下りリンクの信号の送信電力を調節する場合に、後述するように、移動局動作判定部208より通知される、各時刻における移動局の受信端における下りリンクの無線品質に基づいて、各時刻における下りリンクの信号の送信電力を調節してもよい。
【0106】
なお、本処理において、干渉信号生成装置300からの干渉信号の電力を固定とし、信号電力調節部204において、下りリンクの信号の信号電力が調節されることにより、上述したような移動局100の受信端における下りリンクの信号の無線品質が調整されてもよい。
【0107】
或いは、信号電力調節部204において設定される下りリンクの信号の信号電力を固定とし、干渉信号生成装置300からの干渉信号の電力が調節されることにより、上述したような移動局100の受信端における下りリンクの信号の無線品質が調整されてもよい。
【0108】
或いは、号電力調節部204において設定される下りリンクの信号の信号電力と、干渉信号生成装置300からの干渉信号の電力との両方が調節されることにより、移動局100の受信端における下りリンクの信号の無線品質が調整されてもよい。
【0109】
上りリンク信号受信部206は、移動局100から送信される上りリンクの信号を受信する。ここで、かかる上りリンクの信号には、例えば、PUSCHやPUCCH、Sounding RS等が含まれる。
【0110】
また、上りリンク信号受信部206は、移動局100から送信されるランダムアクセスプリアンブルを受信する。
【0111】
また、上りリンク信号受信部206は、移動局100から送信される上りリンクの信号の品質(例えば、信号電力やSIR等)を測定することにより、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かについて判定する。なお、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かについて精度良く判定できるのであれば、上記以外の方法を用いて、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かについて判定してもよい。
【0112】
そして、上りリンク信号受信部206は、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かについての情報を、移動局動作判定部208に通知する。
【0113】
或いは、上りリンク信号受信部206は、移動局100から送信されたランダムアクセスプリアンブルを受信する場合に、移動局100がランダムアクセスプリアンブルを送信したという情報を、移動局動作判定部208に通知する。
【0114】
ここで、上りリンク信号受信部206は、前記ランダムアクセスプリアンブルを、上述した、再接続の処理における、通信可能なセルとして受信してもよい。
【0115】
すなわち、上りリンク信号受信部206は、例えば、移動局100がもともと通信を行っていたセルとは別のセルとして、前記ランダムアクセスプリアンブルを受信してもよい。
【0116】
前記移動局100がもともと通信を行っていたセルとは別のセルとは、例えば、同じ周波数である別のセルであってもよいし、異なる周波数である別のセルであってもよい。また、前記別のセルには、同一基地局内における異なるセクタが含まれてもよい。
【0117】
移動局動作判定部208は、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否か、すなわち、移動局100が正常に下りリンクの無線リンクにおいて問題が生じているか否かについて判定する。
【0118】
より具体的には、移動局動作判定部208は、上りリンク信号送信部206から通知される、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かについての情報に基づいて、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かについて判定する。
【0119】
ここで、移動局動作判定部208は、図8及び図9に示すように、移動局の受信端における下りリンクの無線品質を時間的に変化させることにより、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かについて判定する。
【0120】
この場合、移動局動作判定部208は、各時刻における移動局の受信端における下りリンクの無線品質を、信号電力調節部204に通知することにより、移動局の受信端における下りリンクの無線品質を時間的に変化させてもよい。
【0121】
以下に、図8及び図9を用いて、本実施形態における試験システムにおける、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かについて確認するための試験方法を説明する。
【0122】
図8を用いて、下りリンクの無線品質が良好な状態から、劣悪な状態に変化した場合に、移動局が正常に下りリンクの同期状態を判定するか否かについて確認するための試験方法を説明する。
【0123】
まず、当該試験において、N310は0に設定され、タイマーT310は「0ms」に設定されている。また、上りリンクにおいて、移動局100は、周期的な信号を送信するように設定されている。
【0124】
ここで、かかる周期的な信号は、例えば、Sounding RSやCQI/PMI/RIを送信するためのPUCCHであってもよい。また、かかる周期的な信号の送信周期は、2msであってもよい。なお、かかる周期的な信号の送信周期は、2ms以外の値でもよいが、できる限り小さい値が望ましい。
【0125】
時刻Bにおいて、移動局動作判定部208は、下りリンクの無線品質を、Qoutより大きい状態からQoutより小さい状態に変更する。
【0126】
時刻Cにおいて、移動局動作判定部208は、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かに基づいて、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かについて判定する。
【0127】
より具体的には、移動局動作判定部208は、移動局100が、上りリンクの信号を送信していない場合に、移動局100が、Out-of-syncを検出したと判断し、移動局100が、正常に下りリンクの同期状態を判定していると判定し、移動局100が、上りリンクの信号を送信している場合に、移動局100が、Out-of-syncを検出していないと判断し、移動局100が、正常に下りリンクの同期状態を判定していないと判定する。
【0128】
ここで、上述した判定処理は、N310の値が「0」であり、かつ、タイマーT310が「0ms」であることにより、下りリンクの無線品質がQoutよりも小さくなった瞬間に、移動局100は、無線リンク失敗状態を判定し、上りリンクの信号の送信を停止する、という動作に基づいている。
【0129】
なお、時刻Bから時刻Cまでの時間は、移動局100における処理遅延を考慮した時間である。
【0130】
また、上述した例においては、N310の値を「0」とし、タイマーT310の値を「0ms」としているが、上記以外の値が用いられてもよい。この場合、N310及びT310の値に基づいて、時刻Cが設定される。
【0131】
なお、上述した例においては、移動局100が上りリンクにおいて、PUSCHまたはPUCCHを送信する場合における移動局動作判定部208の処理を示したが、以下では、代わりに、PUSCH又はPUCCHを送信しない場合における移動局動作判定部208の処理を示す。
【0132】
ここで、PUSCH又はPUCCHを送信しない場合とは、例えば、上りリンクのタイミング同期(Uplink Time Alignment)が維持されていない場合や、間欠受信制御(DRX:Discontinuous Reception Control)が適用されている場合である。
【0133】
この場合、移動局動作判定部208は、時刻Cにおいて、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かに基づいて、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かについて判定する代わりに、移動局100がランダムアクセスプリアンブルを送信したか否かに基づいて移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かについて判定する。
【0134】
より具体的には、移動局動作判定部208は、移動局100が、ランダムアクセスプリアンブルを送信したと判定した場合に、移動局100が、Out-of-syncを検出したと判断し、移動局100が、正常に下りリンクの同期状態を判定していると判定し、移動局100が、ランダムアクセスプリアンブルを送信しなかったと判定した場合に、移動局100が、Out-of-syncを検出していないと判断し、移動局100が、正常に下りリンクの同期状態を判定していないと判定する。
【0135】
図9を用いて、下りリンクの無線品質が劣悪な状態から、良好な状態に変化した場合に、移動局が正常に下りリンクの同期状態を判定するか否かについて確認するための試験方法を説明する。
【0136】
まず、当該試験において、N310及びN311は「0」に設定され、タイマーT310は、時刻Bから時刻Fまでの時間間隔に設定されている。或いは、時刻Fが、時刻BからタイマーT310だけ経過した時刻になるように設定されている。また、時刻Bから時刻Cまでの時間間隔は、時刻Fから時刻Gまでの時間間隔と同一となるように設定されている。
【0137】
また、上りリンクにおいて、移動局100は、周期的な信号を送信するように設定されている。ここで、かかる周期的な信号は、例えば、Sounding RSやCQI/PMI/RIを送信するためのPUCCHであってもよい。また、かかる周期的な信号の送信周期は、2msであってもよい。なお、かかる周期的な信号の送信周期は、2ms以外の値でもよいが、できる限り小さい値が望ましい。
【0138】
時刻Bにおいて、移動局動作判定部208は、下りリンクの無線品質を、Qoutより大きい状態からQoutより小さい状態に変更する。
【0139】
時刻Eにおいて、移動局動作判定部208は、下りリンクの無線品質を、Qinより小さい状態からQinより大きい状態に変更する。
【0140】
時刻Gにおいて、移動局動作判定部208は、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かに基づいて、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かを判定する。
【0141】
より具体的には、移動局動作判定部208は、移動局100が、上りリンクの信号を送信している場合に、移動局100が、In-syncを検出していると判断し、移動局100が、正常に下りリンクの同期状態を判定していると判定し、移動局100が、上りリンクの信号を送信していない場合に、移動局100が、In-syncを検出していないと判断し、移動局100が、正常に下りリンクの同期状態を判定していないと判定する。
【0142】
ここで、上述した判定処理は、N310及びN311の値が「0」であり、かつ、タイマーT310が時刻Bから時刻Fまでの時間間隔に設定されていることにより、下りリンクの無線品質がQoutよりも小さくなった瞬間に、移動局100は、タイマーT310を起動し、タイマーT310が起動中に、下りリンクの無線品質がQinよりも大きくなった瞬間に、タイマーT310を停止する、という動作に基づいている。
【0143】
逆に言えば、時刻Eから時刻Gまでの間に、移動局が、In-syncを検出しない場合、タイマーT310が停止されないため、時刻Gまでに、タイマーT310は満了すると考えられる。
【0144】
この場合、移動局100は、上りリンクの信号の送信を停止し、再接続の処理を開始するため、結果として、時刻Gにおいて、上りリンクの信号を送信していないことになる。
【0145】
なお、時刻Eから時刻Fまでの時間は、移動局100における処理遅延を考慮した時間である。
【0146】
また、上述した例においては、N310及びN311の値を0とし、タイマーT310の値を時刻Bか時刻Fまでの時間間隔としているが、上記以外の値が用いられてもよい。この場合、N310及びN311及びT310の値に基づいて、時刻Gが設定される。
【0147】
なお、上述した例においては、移動局100が上りリンクにおいて、PUSCHまたはPUCCHを送信する場合における移動局動作判定部208の処理を示したが、以下では、代わりに、PUSCH又はPUCCHを送信しない場合における移動局動作判定部208の処理を示す。
【0148】
ここで、PUSCH又はPUCCHを送信しない場合とは、例えば、上りリンクのタイミング同期(Uplink Time Alignment)が維持されていない場合や、間欠受信制御(DRX:Discontinuous Reception Control)が適用されている場合である。
【0149】
この場合、移動局動作判定部208は、時刻Gにおいて、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かに基づいて、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かについて判定する代わりに、移動局100がランダムアクセスプリアンブルを送信したか否かに基づいて移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かについて判定する。
【0150】
より具体的には、移動局動作判定部208は、移動局100が、ランダムアクセスプリアンブルを送信しなかったと判定した場合に、移動局100が、In−Syncを検出していると判断し、移動局100が、正常に下りリンクの同期状態を判定していると判定し、移動局100が、ランダムアクセスプリアンブルを送信したと判定した場合に、移動局100が、In−syncを検出していないと判断し、移動局100が、正常に下りリンクの同期状態を判定していないと判定する。
【0151】
なお、上述した時刻Gにおいて、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かに基づいて、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かを判定する方法は、タイマーT310が、時刻Bから時刻Cの間に起動されていることを前提としている。
【0152】
かかる移動局100が時刻Bから時刻Cの間にタイマーT310を起動するという動作は、上述した、図8を用いて説明した試験方法により保証されると考えられる。
【0153】
なお、上述した例において、試験装置200は、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かに基づいて、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かを判定しているが、代わりに、移動局100が再接続の処理を行ったか否かに基づいて、移動局100が正常に下りリンクの同期状態を判定しているか否かを判定してもよい。
【0154】
この場合、移動局100が上りリンクの信号を送信しているという状態が、移動局100が再接続の処理を行わなかったという状態に対応し、移動局100が上りリンクの信号を送信していないという状態が、移動局100が再接続の処理を行った、或いは、行っているという状態に対応する。
【0155】
(本発明の第1の実施形態に係る試験システムの動作)
図10及び図11を参照して、本発明の第1の実施形態に係る試験システムの動作について説明する。
【0156】
図10を用いて、移動局100が、無線品質が良好な状態から劣悪な状況に変化した場合に、適切に、下りリンクの同期状態を判定することを確認する試験方法(動作)について説明する。
【0157】
ステップS1002において、試験装置200は、移動局100における下りリンクの受信端における無線品質を、Qoutより高い状態から、Qoutより低い状態に変更する。
【0158】
ステップS1004において、試験装置200は、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かを判定する。
【0159】
なお、試験装置200は、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かの代わりに、移動局100が再接続の処理を行ったか否かを判定してもよい。この場合、上りリンクの信号を送信しているという動作が、再接続の処理を行わなかったという動作に対応し、上りリンクの信号を送信していないという動作が、再接続の処理を行ったという動作に対応する。
【0160】
移動局100が上りリンクの信号を送信している場合(ステップS1004:YES)、ステップS1006に進む。
【0161】
ステップS1006において、試験装置200は、移動局100が下りリンクの同期状態を正常に判定していないと判定する。
【0162】
移動局100が上りリンクの信号を送信していない場合(ステップS1004:NO)、ステップS1008に進む。
【0163】
ステップS1008において、試験装置200は、移動局100が下りリンクの同期状態を正常に判定していると判定する。
【0164】
図11を用いて、移動局100が、無線品質が劣悪な状態から良好な状況に変化した場合に、適切に、下りリンクの同期状態を判定することを確認する試験方法(動作)について説明する。
【0165】
ステップS1102において、試験装置200は、移動局100における下りリンクの受信端における無線品質を、Qoutより高い状態から、Qoutより低い状態に変更する。
【0166】
ステップS1104において、試験装置200は、ステップS1102における時点から、タイマーT310だけ経過した時点において、移動局100における下りリンクの受信端における無線品質を、Qinより低い状態から、Qinより高い状態に変更する。
【0167】
ステップS1106において、試験装置200は、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かについて判定する。
【0168】
なお、試験装置200は、移動局100が上りリンクの信号を送信しているか否かの代わりに、移動局100が再接続の処理を行ったか否かを判定してもよい。この場合、上りリンクの信号を送信しているという動作が、再接続の処理を行わなかったという動作に対応し、上りリンクの信号を送信していないという動作が、再接続の処理を行ったという動作に対応する。
【0169】
移動局100が上りリンクの信号を送信していない場合(ステップS1106:NO)、ステップS1108に進む。
【0170】
ステップS1108において、試験装置200は、移動局100が下りリンクの同期状態を正常に判定していないと判定する。
【0171】
移動局100が上りリンクの信号を送信している場合(ステップS1106:NO)、ステップS1110に進む。
【0172】
ステップS1110において、試験装置200は、移動局100が下りリンクの同期状態を正常に判定していると判定する。
【0173】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの作用・効果)
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、移動局が、RRCレイヤで無線リンク状態の失敗を検出した時点で、接続状態の再構築の処理を開始する場合にも、移動局が下りリンクの同期状態を正常に検出しているか否かを確認することができ、結果として、移動局の動作品質を保証することが可能となり、結果として、移動通信システムにおける通信品質の安定、更にはユーザ利便性を向上することができる。
【0174】
なお、上述の試験装置200や移動局100、干渉信号生成装置300の動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0175】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0176】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、試験装置200や移動局100や干渉信号生成装置300内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして試験装置200や移動局100や干渉信号生成装置300内に設けられていてもよい。
【0177】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0178】
100…移動局
102…同期状態判定部
104…無線リンク失敗状態判定部
106…再接続処理部
108…上りリンク信号送信部
200…試験装置
202…下りリンク信号送信部
204…信号電力調節部
206…上りリンク信号受信部
206…移動局動作判定部
300…干渉信号生成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局における無線リンク状態の問題検出手段を確認する試験方法であって、
無線品質を第1閾値以上である第1状態から前記第1閾値以下である第2状態に変更した場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出するか否かについて判定する第1工程と、
前記無線品質を前記第1状態から前記第2状態に変更した時点から第1時間間隔経過した後に、前記無線品質を第2閾値以上である第3状態に変更した場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出しないか否かについて判定する第2工程とを有することを特徴とする試験方法。
【請求項2】
前記第1工程及び前記第2工程において、
前記移動局が上りリンクの信号を送信しているか否かに基づいて、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出したか否かについて判定することを特徴とする請求項1に記載の試験方法。
【請求項3】
前記第1工程及び前記第2工程において、
前記移動局が上りリンクの信号を送信している場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出していないと判定し、
前記移動局が上りリンクの信号を送信していない場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出したと判定することを特徴とする請求項2に記載の試験方法。
【請求項4】
前記上りリンクの信号は、周期的に送信される上りリンクの信号であることを特徴とする請求項3に記載の試験方法。
【請求項5】
前記上りリンクの信号は、サウンディング用の参照信号又は下りリンクの無線品質状態を通知する制御信号であることを特徴とする請求項4に記載の試験方法。
【請求項6】
前記第2工程において、
前記第1時間間隔は、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出した時点から起動される接続状態の再構築を行う処理を開始するためのタイマーの値と同一であることを特徴とする請求項1に記載の試験方法。
【請求項7】
前記第1工程において、
前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出した場合に、前記移動局が正常に動作したと判定することを特徴とする請求項1に記載の試験方法。
【請求項8】
前記第2工程において、
前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出しなかった場合に、前記移動局が正常に動作したと判定することを特徴とする請求項1に記載の試験方法。
【請求項9】
移動局における無線リンク状態の問題検出手段を確認する試験装置であって、
無線品質を第1閾値以上である第1状態から前記第1閾値以下である第2状態に変更した場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出するか否かを判定するように構成されている第1判定部と、
前記無線品質を前記第1状態から前記第2状態に変更した時点から第1時間間隔経過した後に、前記無線品質を第2閾値以上である第3状態に変更した場合に、前記移動局が前記無線リンク状態の問題を検出しないか否かについて判定するように構成されている第2判定部とを具備することを特徴とする試験装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−15433(P2011−15433A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206055(P2010−206055)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【分割の表示】特願2009−22064(P2009−22064)の分割
【原出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】