説明

試験管自動準備装置用ラベル貼付装置

【課題】簡単な構造で、採血管に既に貼り付けられているラベルへの識別ラベルの重ね貼りをすることができる試験管自動準備装置用ラベル貼付装置を提供する。
【解決手段】採血管自動準備装置用ラベル貼付装置は、既貼ラベルL2におけるバーコードの端縁位置を検出するよう、採血管駆動手段及びバーコードリーダ16の動作を制御し、かつ、検出した既貼ラベルのバーコードの端縁位置に関する情報と、既貼ラベルの余白距離情報とに基づいて採血管aにおける既貼ラベルの端縁位置を算出し、算出した既貼ラベルの端縁位置とラベル貼付位置にある採血管に対応する採血管の直径情報とに基づいて、採血管の外面に、採血管の軸方向に連続する隙間を残して既貼ラベル上に識別ラベルを重ね貼りするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血に用いられる採血管を採血前に患者毎に自動的に準備する採血管自動準備装置に用いられるラベル貼付装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、採血に用いられる採血管を効率よく確実に自動的に準備するために、検査情報等の患者に関する情報に基づいて、患者に必要な採血管を自動的に選択すると共に、前記患者に関する検査情報や患者ID等をラベルに印字して識別ラベルを作成し、選択した採血管に印字済の識別ラベルを自動的に貼り付け、識別ラベル貼付後の採血管を患者毎にトレイ等に収容する採血管自動準備装置は既に提案されている(特許文献1〜3)。
採血管に貼り付けられたラベルに印字された情報は、採血現場で採血作業者が患者と採血管とを照合するために用いられたり、採血後に自動分析装置が採血管の識別を行うために用いられたりする。
図4(a)は識別ラベルが貼り付けられた採血管を示している。
しかし、上記したように採血管に識別ラベルを貼り付けて準備を行っていても、全ての採血管が必ず採血で使用されるとは限らず、採血に使われないキャンセル採血管が発生することがある。
このように既に識別ラベルL2が貼り付けられているキャンセル採血管を再利用しようとする場合、キャンセル採血管aに、無造作に新たな識別ラベルLを貼り付けると、前に貼り付けられていた識別ラベルL2と新たに貼り付ける識別ラベルLとで、採血管aの外面を全周に亘って覆ってしまうことがある(図4(b)参照)。
しかし、このようにラベルで採血管aの外面を全周に亘って覆ってしまうと、採血作業時に採血作業者が採血した血液の量を目視確認できないという問題が生じる。血液検査では一つの採血管に採血した血液を複数の検査に用いることもあれば、一種類の検査にしか用いないこともある。このため、採血作業者は、全ての採血管に同一量の血液を採血するのではなく、検査の目的や採血管の種類に応じて採血量を変えなければならないのであるが、上記したように、採血管aの外面がラベルによって全周に亘って覆われていると、採血しながら採血量を確認することが極めて困難になるため問題になる。
また、採血後の採血管は自動分析機を用いて分析されるが、上記したように、採血管aの外面がラベルによって全周に亘って覆われていると、自動分析機が採血管の中に入っている血液の分量を自動的に測定することができないという問題も生じる。
上記した問題は、使用されなかったキャンセル採血管だけでなく、間違えてラベルを貼り付けてしまったエラー採血管や、予め真空採血管の種類や製造元の名称が印字された製品ラベルが貼られている採血管でも生じる。
既に製品ラベルが貼り付けられている採血管への識別ラベルの貼り付けに関する問題を解消するために、識別ラベルを貼り付ける前に、採血管に貼られた製品ラベルの位置を確認し、ラベル貼付け後に二つのラベルで採血管の外面を全周に亘って覆ってしまわないように、新たに貼り付ける識別ラベルを既に貼られている製品ラベルに重ねて貼り付けるラベル重ね貼り装置が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】第2834595号
【特許文献2】第2871502号
【特許文献3】特許第3070522号
【特許文献4】特開2008−302934
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献4に開示されているラベル重ね貼り装置は、
識別ラベルを貼り付けるべき採血管に既に貼り付けられている製品ラベルの端縁を検出する製品ラベル位置検出センサと、
前記採血管の外周面に近接して配置され、ラベル発行装置から供給される識別ラベルの先端位置を検出する識別ラベル位置検出センサと
を設け、
これらのセンサからの信号に基づいて、採血管の回転動作のタイミングと識別ラベルの採血管への供給動作のタイミングとを制御して、採血管の外面が全周に亘ってラベルで覆われてしまわないように、識別ラベルを製品ラベルに重ねて貼り付けるように構成されている。
このように構成することで、製品ラベルと識別ラベルとで採血管の外面が全周に亘って覆われてしまうことがなくなるという効果がある。
しかし、上記した特許文献4に係るラベル重ね貼り装置は、適当な重ね貼りをするために二つのセンサ(即ち、識別ラベル位置検出センサ及び製品ラベル位置検出センサ)を新たに設けなければならないという問題がある。
このように新たに二つのセンサを設けると、構造が複雑になるばかりでなく、製造コストも上がってしまう。特に、特許文献4における識別ラベル位置検出センサは、ラベル発行装置から供給される識別ラベルの先端位置を検出するものであるため、当然のことながら、ラベル発行装置と識別ラベルを貼り付けるべき採血管との間に設けられている。しかし、このように、ラベル発行装置と識別ラベルを貼り付けるべき採血管との間にセンサを設けるためには、ラベル発行装置と識別ラベルを貼り付けるべき採血管との間にある程度の間隔を設けなければならないので、多少なりとも装置が大型化してしまうという問題も生じる。
また、製品ラベルの端縁を検出する既貼ラベル位置検出センサが、識別ラベルの重ね貼りを開始するラベル貼付け開始位置で製品ラベルの端縁を検出するように設けられていれば、製品ラベルの端縁を検出した時点で採血管の回転を一時停止すると共に、識別ラベルをラベル貼付け開始位置に供給するだけで、製品ラベルの端縁に識別ラベルの端縁を合わせて重ね貼りすることが可能であるが、ラベル貼付け開始位置は、ラベルを貼り付けるためのローラの頂点付近であるので、ラベル貼付け開始位置で製品ラベルの端縁を検出するように製品ラベル位置検出センサを設けることはできない。このため、製品ラベル位置検出センサは、ラベル貼付け開始位置とは異なる位置で、製品ラベルの端縁を検出するように設けられることになる。そして、製品ラベルの端縁が、検出した位置からラベル貼付け開始位置まで移動するように採血管を回転すると共に、製品ラベルの端縁がラベル貼付け開始位置に到達するタイミングに合わせて、識別ラベルの先端がラベル貼付け開始位置に到達するように、採血管の回転動作のタイミングと識別ラベルの採血管への供給動作のタイミングとが制御される。
ところで、採血管は全て同じ管径ではなく、様々な管径の採血管がある。管径が異なると、製品ラベルの端縁を検出する位置からラベル貼付け開始位置までの距離も異なるため、製品ラベルの端縁をラベル貼付け開始位置まで移動させるために採血管を回転させる距離も異なる。
特許文献4に開示されているラベル重ね貼り装置は、採血管の管径の違いについては全く考慮されていないため、実際に処理する採血管の管径が基準値と異なる場合には、識別ラベルを重ね貼りする時に、識別ラベルの端縁が、製品ラベルの端縁とずれることになるので問題である。
このように一つの採血管に二種類の異なるラベルがずれた状態で貼り付けられていると、たとえ、ラベルで全周を覆ってしまわなくても、二種類の異なる情報が採血管上に存在することになるため管理上の問題も生じる。具体的には、例えば、キャンセル管の場合、前に貼り付けられていた識別ラベルL2と、新たに貼り付ける識別ラベルLとがずれた状態で採血管に貼り付けられると、識別ラベルL2に印字されたバーコードと、識別ラベルLに印字されたバーコードが両方共採血管の表面に現れてしまう可能性がある。そうすると、採血後の採血管を自動分析機を用いて分析する時に、自動分析機が識別ラベルL2に印字されたバーコードを読み取ってしまい、分析結果が異なる患者の分析結果として取り扱われてしまう可能性もあるので問題である。
発明者等は、上記した従来の問題点を見出し、これを解決するために、本発明を発明するに至った。
本発明は、従来の重ね貼り装置の問題点を解決し、簡単な構造で、採血管に既に貼り付けられているラベル(以下、この明細書では「既貼ラベル」と称する。)への識別ラベルの重ね貼りをすることができる試験管自動準備装置用ラベル貼付装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る採血管自動準備装置用ラベル貼付装置は、患者に関する情報に基づいて、患者の検査に必要な種類の採血管を採血管収容部から自動的に選択して取り出すと共に、ラベルに前記患者に関する情報に基づいて検査情報及び/又は患者情報を印字して識別ラベルを作成し、取り出した採血管に前記識別ラベルを貼り付け、識別ラベル貼付後の採血管を患者毎に収容するように構成された採血管自動準備装置に用いられるラベル貼付装置であって、前記患者に関する情報に基づいて選択して取り出された採血管をラベル貼付位置で支持する支持手段、ラベル貼付位置にある採血管を回転駆動させる採血管駆動手段、前記患者に関する情報に基づいてラベルに検査情報及び/又は患者情報を印字して識別ラベルを作成し、同識別ラベルを前記ラベル貼付位置に出力するラベル印字手段、及びラベル印字手段から出力された識別ラベルを、ラベル貼付位置にある採血管の表面に貼り付けるよう前記ラベル印字手段及び前記採血管駆動手段の動作を制御する制御装置を備えたラベル貼付装置において、該ラベル貼付装置が、採血管に貼り付けた識別ラベルの検証を行うための検証のバーコードリーダを備え、前記制御装置が、識別ラベル貼付け前の採血管に予め貼り付けられた既貼ラベルの端縁から該既貼ラベルに印字されたバーコードの端縁までの距離に関する余白情報を有し、前記制御手段が、ラベル貼付位置にあるラベル貼付け前の採血管を回転させ、採血管の回転中に前記既貼ラベルに印字されたバーコードを前記バーコードリーダで連続して読み取ることにより前記既貼ラベルにおけるバーコードの端縁位置を検出するよう、前記採血管駆動手段及び前記バーコードリーダの動作を制御し、かつ、前記制御手段が、前記バーコードリーダで検出した前記既貼ラベルのバーコードの端縁位置と、前記既貼ラベルの余白情報とに基づいて採血管における既貼ラベルの端縁位置を算出すると共に、算出した既貼ラベルの端縁位置とラベル貼付位置にある採血管に対応する採血管の直径情報とに基づいて、採血管の外面に、採血管の軸方向に連続する隙間を残して既貼ラベル上に識別ラベルを重ね貼りするように、前記ラベル印字手段及び前記採血管駆動手段の動作を制御するように構成されている。
前記余白情報は、全ての既貼ラベルに共通の固定値であってもよく、また、制御手段に前記余白情報を採血管の種類毎に記憶させておき、処理中の採血管の種類に対応する前記余白情報を用いて既貼ラベルの端縁位置を算出するように構成してもよい。
また、前記余白情報は、前記既貼ラベルの上端縁から既貼ラベルに印字されたバーコードの上端縁までの上部余白情報及び/又は前記既貼ラベルの下端縁から既貼ラベルに印字されたバーコードの下端縁までの下部余白情報であり得る。
さらに、前記余白情報が、前記既貼ラベルの上端縁から既貼ラベルに印字されたバーコードの上端縁までの上部余白情報及び前記既貼ラベルの下端縁から既貼ラベルに印字されたバーコードの下端縁までの下部余白情報を有する場合、前記制御装置は、ラベル貼付位置における採血管の向きに応じて上部余白情報又は下部余白情報の何れかを用いて既貼ラベルの端縁位置を算出するように構成され得る。
また、本発明に係る採血管自動準備装置用ラベル貼付装置は、前記制御手段が、既貼ラベル上に識別ラベルを重ね貼りした後に、再度、ラベル貼付け後の採血管を回転させ、採血管の回転中に採血管の表面に現れるバーコードを前記バーコードリーダで連続して読み取ることにより、採血管の表面に既貼ラベルのバーコードが現れていないか否かを確認するよう、前記採血管駆動手段及び前記バーコードリーダの動作を制御するように構成され得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る採血管自動準備装置用ラベル貼付装置は、患者に関する情報に基づいて、患者の検査に必要な種類の採血管を採血管収容部から自動的に選択して取り出すと共に、ラベルに前記患者に関する情報に基づいて検査情報及び/又は患者情報を印字して識別ラベルを作成し、取り出した採血管に前記識別ラベルを貼り付け、識別ラベル貼付後の採血管を患者毎に収容するように構成された採血管自動準備装置に用いられるラベル貼付装置であって、前記患者に関する情報に基づいて選択して取り出された採血管をラベル貼付位置で支持する支持手段、ラベル貼付位置にある採血管を回転駆動させる採血管駆動手段、前記患者に関する情報に基づいてラベルに検査情報及び/又は患者情報を印字して識別ラベルを作成し、同識別ラベルを前記ラベル貼付位置に出力するラベル印字手段、及びラベル印字手段から出力された識別ラベルを、ラベル貼付位置にある採血管の表面に貼り付けるよう前記ラベル印字手段及び前記採血管駆動手段の動作を制御する制御装置を備えたラベル貼付装置において、該ラベル貼付装置が、採血管に貼り付けた識別ラベルの検証を行うための検証のバーコードリーダを備え、前記制御装置が、識別ラベル貼付け前の採血管に予め貼り付けられた既貼ラベルの端縁から該既貼ラベルに印字されたバーコードの端縁までの距離に関する余白情報を有し、前記制御手段が、ラベル貼付位置にあるラベル貼付け前の採血管を回転させ、採血管の回転中に前記既貼ラベルに印字されたバーコードを前記バーコードリーダで連続して読み取ることにより前記既貼ラベルにおけるバーコードの端縁位置を検出するよう、前記採血管駆動手段及び前記バーコードリーダの動作を制御し、かつ、前記制御手段が、前記バーコードリーダで検出した前記既貼ラベルのバーコードの端縁位置と、前記既貼ラベルの余白情報とに基づいて採血管における既貼ラベルの端縁位置を算出すると共に、算出した既貼ラベルの端縁位置とラベル貼付位置にある採血管に対応する採血管の直径情報とに基づいて、採血管の外面に、採血管の軸方向に連続する隙間を残して既貼ラベル上に識別ラベルを重ね貼りするように、前記ラベル印字手段及び前記採血管駆動手段の動作を制御するように構成されているので、従来のようにラベル印字手段から供給される印字済の識別ラベルの先端位置を検出するセンサを別途設ける必要がなく、ラベル印字手段とラベル貼付位置にある採血管との間に無駄な隙間を設ける必要がない。従って、センサの数が少ない分、構造が簡単になり、かつ、装置が大型化することもない。
また、本発明に係る採血管自動準備装置用ラベル貼付装置によれば、予めラベルが貼り付けられている採血管に、採血管の外面に、採血管の軸方向に連続する隙間を残して新しい識別ラベルを貼り付けることができるので、識別ラベルを貼り付けて準備をしたにも拘わらず採血に使われなかったキャンセル管や、間違えてラベルを貼り付けてしまったエラー採血管を、そのまま採血管自動準備装置にセットして再利用することができるので、今まで廃棄されていたキャンセル採血管やエラー採血管が無駄になることがない。
また、本発明に係る採血管自動準備装置用ラベル貼付装置は、検証のバーコードリーダで採血管の回転中に前記既貼ラベルに印字されたバーコードを連続して読み取ることにより前記既貼ラベルにおけるバーコードの端縁位置を検出し、検出したバーコードの端縁位置と既貼ラベルの端縁から該既貼ラベルに印字されたバーコードの端縁までの距離に関する余白情報とに基づいて既貼ラベルの端縁位置を算出するように構成しているので、既貼ラベルの端縁位置の検出のために複雑な処理を必要としない。
さらに、本発明に係る採血管自動準備装置用ラベル貼付装置は、採血管に対応する採血管の直径情報と、既貼ラベルの端縁に関する情報とに基づいて、制御装置で、前記ラベル印字手段及び前記採血管駆動手段の動作を制御するので、採血管の直径に応じて常に正確な重ね貼りを行うことが可能になるという効果を奏する。
さらにまた、本発明に係る採血管自動準備装置用ラベル貼付装置によれば、前記制御手段を、既貼ラベル上に識別ラベルを重ね貼りした後に、再度、ラベル貼付け後の採血管を回転させ、採血管の回転中に採血管の表面に現れるバーコードを前記バーコードリーダで連続して読み取ることにより、採血管の表面に既貼ラベルのバーコードが現れていないか否かを確認するよう、前記採血管駆動手段及び前記バーコードリーダの動作を制御するように構成することにより、採血管上に既貼ラベルの情報が現れることを確実に防止することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係るラベル貼付装置が設けられた試験管準備システムの概略構成図
【図2】ラベル貼付装置の構成を示す概略側面図
【図3】バーコードリーダによる端縁検出処理を概念的に示す図である。
【図4】(a)は既に識別ラベルが貼り付けられた、即ち、既貼ラベルを有するキャンセル真空採血管を、(b)は既貼ラベルに識別ラベルが貼り付けられた結果、外面が全周に亘ってラベルで覆われてしまった真空採血管を、(c)は本発明に係るラベル貼付装置で既貼ラベルを有するキャンセル真空採血管に識別ラベルを貼り付けた真空採血管を各々示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明に係る採血管自動準備装置用ラベル貼付装置の実施の形態を説明していく。
【0009】
図1は、本発明に係る試験管準備システムの概略構成図である。
図中、符号1は採血管自動準備装置を示している。
この採血管自動準備装置1は、各々同一種類の採血管a(a1〜a4)を収容する複数の採血管収容部2(2a〜2d)と、これら採血管収容部2から選択的に採血管aを取り出し、取り出した採血管aをラベル貼付位置まで移送する移送手段(図示せず)を備えている。
また、この採血管自動準備装置1は、前記ラベル貼付位置に本発明に係るラベル貼付装置10を備えている。
このラベル貼付装置10は、前記移送手段で移送されてくる採血管aに対応する患者に関する情報に基づいて検査情報及び/又は患者情報をラベルにバーコード及び文字の形態で印字して識別ラベルLを作成し、同識別ラベルLを対応する採血管aに貼り付ける。
ここで、検査情報とは、例えば、患者が受けるべき検査の種類に関する情報であり、患者情報とは、例えば、患者ID、患者氏名、採血の受付番号等であり得る。
識別ラベル貼付後の採血管aは、不図示の排出手段(コンベヤ等)を介して排出部4から、回収手段5に排出される。
回収手段5は、トレイや袋等の適当な収容手段5aを備え、一人分の患者の採血管aが全て収容されると、トレイ5aを、次のトレイに入れ替える。
これにより、患者の採血に必要な採血管aが自動的に選択され、かつ、必要情報が印字及び書き込みされたラベルを貼り付けた状態で、患者毎にトレイ5aに収容される。
【0010】
以下、本発明に係るラベル貼付装置の構成について詳細に説明していく。
図2は、ラベル貼付装置10の構成を示す概略側面図である。
図2において、符号6は、不図示の移送手段で移送されてきた採血管をラベル貼付装置10に供給するための採血管供給手段を示している。
図面に示すように、このラベル貼付装置10は、ラベルプリンタ11、駆動ローラ12、支持ローラ13、加圧手段14、ガイド部材15及びバーコードリーダ16を備えており、前記駆動ローラ12、支持ローラ13及び加圧手段14でラベル貼付位置Xを画定している。
前記ラベルプリンタ11は、ラベル貼付位置Xに移送されてきた採血管aに対応する患者に関する情報に基づいて検査情報及び/又は患者情報をバーコード及び文字の形態でラベルに印字して識別ラベルLを作成する。
ラベルプリンタ11で作成された識別ラベルLは、ラベル貼付位置Xにおける採血管aと駆動ローラ12との間に向けて排出される。
前記加圧手段14は、加圧ローラ14aと、加圧ローラ14aをラベル貼付位置Xに向けて進退可能に動かす加圧台14bとを有する。
加圧手段14の加圧台14bは、採血管aが採血管供給手段6から供給される前は下方(即ち、ラベル貼付位置Xから離れる方向)に下げられており、採血管供給手段6から採血管aが供給されると上方(即ち、ラベル貼付位置Xに近づく方向)に動かされ、採血管aを駆動ローラ12に押し付ける。
採血管aが加圧手段14によって駆動ローラ12に適当な力で押し付けられている位置がラベル貼付位置Xであり、この状態で採血管aは、駆動ローラ12、支持ローラ13及び加圧ローラ14aによって3点で支持されることになる。
上記したラベルプリンタ11、駆動ローラ12、加圧手段14、バーコードリーダ16及び採血管供給手段6は、採血管自動準備装置1の動作を制御する制御装置7によって制御される。
【0011】
バーコードリーダ16は、採血管aに貼り付けた識別ラベルLのバーコードを読み取って識別ラベルLに印字された情報に間違いがないかを検証するために用いられるものであるが、本発明では、このバーコードリーダ16は、採血管aに予め貼り付けられた既貼ラベルの端縁位置を検出するためにも用いられる。具体的には、この実施例では、採血管aは、既に識別ラベルL2が貼り付けられたキャンセル採血管である。
【0012】
以下、バーコードリーダ16による端縁検出処理について説明をしていく。
図3は、バーコードリーダ16による端縁検出処理を概念的に示す図である。
主制御装置7は、ラベル貼付位置Xに採血管aが供給されると、駆動ローラ12によってラベル貼付位置Xにある採血管aを所定の速度で1回転させる。
バーコードリーダ16は、採血管aが回転している間に、採血管aに既に貼付けられた識別ラベルL2のバーコードを連続して読み続ける。
バーコードリーダ16によるバーコードの読取間隔は、端縁検出に対して要求される精度に応じて設定することができる。具体的には、例えば、バーコードリーダ16は、採血管aが0.2mm回される毎にバーコードの読み取りを実行し得る。
バーコードリーダ16は、既貼ラベルL2のバーコードが読めるようになった位置を、既貼ラベルL2に印字されたバーコードの上端位置P1として主制御装置7に送る。
一方、主制御装置7には、予め既貼ラベルL2におけるラベルの上端からバーコードの上端までの距離が上部余白情報A1として記憶されている。
主制御装置7は、バーコードリーダ16から入力したバーコードの上端位置Pと、予め記憶した既貼ラベルL2に関する上部余白情報A1とに基づいて、採血管aにおける製品ラベルL2の上端位置P2を算出する。
【0013】
主制御装置7は、ラベル貼付位置Xにある採血管aの管径情報を有し、該管径情報と前記既貼ラベルL2の上端位置P2とに基づいて、ラベルプリンタ11の連続動作により供給される識別ラベルLの端縁が、既貼ラベルL2の上端位置P2と一致するように、駆動ローラ12の動作を制御する。これにより、識別ラベルLの貼り付け後に、識別ラベルLと既貼ラベルL2とにより採血管aが全周に亘って覆われてしまうことがなくなり、採血管aの外面に軸方向に連続する隙間Dを残して視認性を確保することが可能になる(図9(c)参照)。
【0014】
主制御装置7は、採血管aに識別ラベルLを貼り付けた後、再度、駆動ローラ12を動かしてラベル貼付け後の採血管aを1回転させる。
バーコードリーダ16は、ラベル貼付け後の採血管aが1回転している間に、識別ラベルLに印字されたバーコードを連続して読み続ける。
主制御装置7は、バーコードリーダ16が読み取ったバーコード情報が間違いないか否かを検証すると共に、バーコードリーダ16から読み取ったバーコード情報が1種類か否かを確認する。
バーコードリーダ16から読み取った情報が2種類あるということは、既貼ラベルL2のバーコードが識別ラベルLで完全に隠れていないということになるので、主制御装置7は、既貼ラベルL2と識別ラベルLとがずれていると判断してエラー処理を行う。
エラー処理は、装置全体の動作を停止するものでも、聴覚的又は視覚的に使用者にエラーが発生していることを表示するものでもよい。
主制御装置7は、バーコードリーダ16で読み取ったバーコード情報が1種類であり、かつ、その内容に間違いがない場合には、加圧手段14を下方に下げて、ラベル貼付後の採血管aを不図示の排出手段へ排出する。
【0015】
採血管aの管径情報は、主制御装置7又は採血管自動準備装置1に接続されたホストコンピュータに記憶させておいてもよい。
具体的には、例えば、主制御装置7に記憶手段(図示せず)を設けておき、予め、各試験管収容部2に収容される採血管の直径情報を前記記憶手段に記憶させておいてもよい。
また、ラベル貼付位置Xにある採血管の直径を検出するセンサを設け、前記センサから採血管aの管径情報を取得するように構成してもよい。
上記した実施例では、主制御装置7が、予め既貼ラベルL2におけるラベルの上端からバーコードの上端までの距離を上部余白情報A1として記憶しているが、この上部余白情報A1は全ての採血管a1〜a4に共通の固定値であってもよく、また、採血管a1〜a4毎に記憶されているものであってもよい。具体的には、例えば、各採血管a1〜a4に、上部余白の距離が異なる既貼ラベルが各々貼り付けられている場合には、主制御装置7に採血管a1〜a4毎に余白情報を記憶させ、主制御装置7で処理中の採血管a1〜a4に対応する余白情報を用いて既貼ラベルL2の上端位置P2を算出させるように構成してもよい。
また、上記した実施例では、既貼ラベルL2におけるラベルの上端からバーコードの上端までの距離である上部余白情報A1を使用して製品ラベルL2の上端位置P2を算出しているが、これは本実施例に限定されることなく、例えば、制御装置7に、上部余白情報A1に加えて、既貼ラベルL2におけるラベルの下端からバーコードの下端までの距離に関する下部余白情報A2を予め記憶させておき、ラベル貼付位置Xにおける採血管aの向きに応じて、上部余白情報A1又は下部余白情報A2を選択的に使用して既貼ラベルL2の下端位置P3を算出するように構成してもよい。
【0016】
上記した実施例では、既貼ラベルL2の有無に関係なく、ラベル貼付位置Xに供給された採血管aに対して端縁検出処理を行っているが、例えば、予め各採血管収容部2に収容される採血管の既貼ラベルの有無に関する情報を主制御装置7に記憶させておき、その情報に基づいて既貼ラベルを有する採血管aのみ端縁検出処理を実行し、既貼ラベルを有しない採血管aに対しては端縁検出処理を実行しないように構成してもよい。
さらにまた、上記した実施例では、既に識別ラベルL2が貼り付けられたキャンセル採血管を例に挙げているが、採血管の種類は本実施例に限定されることなく、エラー採血管であってもよく、また、予め製品ラベルが貼り付けられた採血管であってもよい。
【符号の説明】
【0017】
a 採血管
L 識別ラベル
L2 既貼ラベル
X ラベル貼付位置

P1 製品ラベルに印字されたバーコードの上端位置
P2 採血管aにおける製品ラベルL2の上端位置
P3 採血管aにおける製品ラベルL2の下端位置

A1 上部余白情報
A2 下部余白情報

D 隙間

1 採血管自動準備装置
2 試験管収容部
4 排出部
5 回収手段
5a 収容手段
6 採血管供給手段
7 制御装置
10 ラベル貼付装置
11 ラベルプリンタ
12 駆動ローラ
13 支持ローラ
14 加圧手段
14a 加圧ローラ
14b 加圧台
15 ガイド部材
16 バーコードリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に関する情報に基づいて、患者の検査に必要な種類の採血管を採血管収容部から自動的に選択して取り出すと共に、ラベルに前記患者に関する情報に基づいて検査情報及び/又は患者情報を印字して識別ラベルを作成し、取り出した採血管に前記識別ラベルを貼り付け、識別ラベル貼付後の採血管を患者毎に収容するように構成された採血管自動準備装置に用いられるラベル貼付装置であって、
前記患者に関する情報に基づいて選択して取り出された採血管をラベル貼付位置で支持する支持手段、
ラベル貼付位置にある採血管を回転駆動させる採血管駆動手段、
前記患者に関する情報に基づいてラベルに検査情報及び/又は患者情報を印字して識別ラベルを作成し、同識別ラベルを前記ラベル貼付位置に出力するラベル印字手段、及び
ラベル印字手段から出力された識別ラベルを、ラベル貼付位置にある採血管の表面に貼り付けるよう前記ラベル印字手段及び前記採血管駆動手段の動作を制御する制御装置
を備えたラベル貼付装置において、
該ラベル貼付装置が、採血管に貼り付けた識別ラベルの検証を行うための検証のバーコードリーダを備え、
前記制御装置が、識別ラベル貼付け前の採血管に予め貼り付けられた既貼ラベルの端縁から該既貼ラベルに印字されたバーコードの端縁までの距離に関する余白情報を有し、
前記制御手段が、ラベル貼付位置にあるラベル貼付け前の採血管を回転させ、採血管の回転中に前記既貼ラベルに印字されたバーコードを前記バーコードリーダで連続して読み取ることにより前記既貼ラベルにおけるバーコードの端縁位置を検出するよう、前記採血管駆動手段及び前記バーコードリーダの動作を制御し、
かつ、前記制御手段が、前記バーコードリーダで検出した前記既貼ラベルのバーコードの端縁位置に関する情報と、前記既貼ラベルの余白距離情報とに基づいて採血管における既貼ラベルの端縁位置を算出すると共に、算出した既貼ラベルの端縁位置とラベル貼付位置にある採血管に対応する採血管の直径情報とに基づいて、採血管の外面に、採血管の軸方向に連続する隙間を残して既貼ラベル上に識別ラベルを重ね貼りするように、前記ラベル印字手段及び前記採血管駆動手段の動作を制御する
ように構成されていることを特徴とする採血管自動準備装置用ラベル貼付装置。
【請求項2】
前記余白情報が固定値である
ことを特徴とする請求項1に記載の採血管自動準備装置用ラベル貼付装置。
【請求項3】
制御手段が、前記余白情報を採血管の種類毎に有し、
処理中の採血管の種類に対応する前記余白情報を用いて既貼ラベルの端縁位置を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の採血管自動準備装置用ラベル貼付装置。
【請求項4】
前記余白情報が、
前記既貼ラベルの上端縁から既貼ラベルに印字されたバーコードの上端縁までの上部余白情報及び/又は
前記既貼ラベルの下端縁から既貼ラベルに印字されたバーコードの下端縁までの下部余白情報
である
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の採血管自動準備装置用ラベル貼付装置。
【請求項5】
前記余白情報が、前記既貼ラベルの上端縁から既貼ラベルに印字されたバーコードの上端縁までの上部余白情報及び前記既貼ラベルの下端縁から既貼ラベルに印字されたバーコードの下端縁までの下部余白情報を有し、
前記制御装置が、ラベル貼付位置における採血管の向きに応じて上部余白情報又は下部余白情報の何れかを用いて既貼ラベルの端縁位置を算出する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の採血管自動準備装置用ラベル貼付装置。
【請求項6】
前記制御手段が、既貼ラベル上に識別ラベルを重ね貼りした後に、再度、ラベル貼付け後の採血管を回転させ、採血管の回転中に採血管の表面に現れるバーコードを前記バーコードリーダで連続して読み取ることにより、採血管の表面に既貼ラベルのバーコードが現れていないか否かを確認するよう、前記採血管駆動手段及び前記バーコードリーダの動作を制御する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の採血管自動準備装置用ラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−240693(P2012−240693A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111040(P2011−111040)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(591086854)株式会社テクノメデイカ (50)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】