試験紙測定装置及び測定方法
【課題】試験紙を測定部にランダムに置いても、更には、試験紙がランダムな状態で載置測定部まで搬送されても、支障なく測定し得る試験紙測定装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】試験紙を含むように撮像する撮像素子と、撮像したRGBデジタル画像データを格納するメモリーと、メモリー上の該データから目的試験紙のデジタル画像データを抽出するマイクロプロセッサと、を具備することにより、試験紙の位置・姿勢を検出できるから、試験紙を載置部にランダムに置いても、更には、試験紙がランダムな状態で測定部まで搬送されても支障なく測定できる。
【解決手段】試験紙を含むように撮像する撮像素子と、撮像したRGBデジタル画像データを格納するメモリーと、メモリー上の該データから目的試験紙のデジタル画像データを抽出するマイクロプロセッサと、を具備することにより、試験紙の位置・姿勢を検出できるから、試験紙を載置部にランダムに置いても、更には、試験紙がランダムな状態で測定部まで搬送されても支障なく測定できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試験紙を用いて測定を行う試験紙測定装置及び測定方法に係り、詳記すれば試験紙を測定部にランダムに載置又は測定部への搬送装置上にランダムに置いても、支障なく測定し得る試験紙測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙を用いて液体試料中の成分の測定を行う試験紙分析装置においては、測定者が該試験紙を当該液体試料に浸漬した後、搬送機構により測定部まで搬送するか、或いは搬送機構が無く測定者自らが該試験紙を測定部に載置している。
【0003】
従来の測定装置に於いては、試験紙(プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙の場合は点着された呈色試験片)の位置を検出する機能がないため、検出機構の測定範囲全体を呈色試験片が占めるようにする必要があったので、呈色試験片が検出機構の測定範囲全体を占めるように載置する必要があった。しかしながら装置の検出機構は固定されているので、試験紙の呈色試験片が検出機構の測定範囲全体を占めるようにするには、制限された所定の載置位置に試験紙を正確に載置し、試験紙の載置方向・位置が固定されるようにしなければならないから、試験紙をランダムに載置することができなかった。
【0004】
また、ランダムに載置しても、測定部では一定の姿勢になるように補正する装置は知られているが、測定部にまでランダムに搬送されても、或いは測定部にランダムに載置しても、支障なく測定し得る装置は未だ知られていない。
【0005】
また、特許文献1には、イメージセンサを使用して撮像する方法が提案されている。この特許明細書においては、「試験片の位置がずれた場合でも、試験片の位置の認識を行って補正」と記載されているが、試験紙上の呈色試験部を横断する範囲を測定するだけであるので、実際には試験紙の長辺方向搬送面の載置位置のずれしか補正できなかった。ランダムに載置したのでは、測定し得ないということである。
【0006】
また特許文献2には、搬送機構が無く測定者自らが該試験紙を測定部に載置する装置において、CCDカラーイメージセンサを使用し、RGB、三刺激値XYZあるいは色度座標を測定する呈色物定量装置が開示されている。しかしながらこの装置は、試験紙は所定の載置位置に載置、固定されて測定するものであって、ランダムに載置されても支障なく測定しようとする思想は全くなかった。また、実際、この特許明細書には、「測定者の入力により装置が取得した試験紙識別情報に対応する配置情報を読み出すことによって、対象となっている試験紙の形状(試験紙画像データ内の各画素と、試験部の対応関係)を認識」と記載されていることから明らかなように、装置が自動的に試験紙の抽出を行っていないので、試験紙の載置位置のずれを補正できなかった。
【0007】
また、従来の装置は、単一の試験紙を載置する載置部(場所)を有する試験紙搬送路又は載置部(場所)を備えたものであり、複数の試験紙を載置し得る載置部(場所)を有する試験紙搬送路(複数列の試験紙搬送路)又は複数の試験紙を載置し得る載置部(場所)を備えた試験紙測定装置は全く知られていない。試験紙を搬送する従来の装置は、試験紙を間欠的に搬送し、静止状態で1枚ずつ測定するものであるので、複数の試験紙を載置し得るようにしたのでは、測定し得なかったからである。また、搬送機構が無く測定者自らが該試験紙を測定部に載置する従来の装置は、試験紙を1枚ずつ測定するものであり、複数の試験紙を1度に測定しようとする思想は全くなかった。
【0008】
更に、測定者が試験紙を用手法で試料に浸漬させた後に装置に載置して測定部に搬送される従来の試験紙分析装置にあっては、単一の試験紙搬送路しか備えていなかったことと、間欠的に搬送するものであったことから、自由なタイミングで試験紙を装置に載置することはできなかった。
【特許文献1】特開平7−5110
【特許文献2】特開平10−73534
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、このような点に着目してなされたものであり、試験紙を載置測定(載置して測定)部にランダムに置いても、更には、試験紙がランダムな状態で測定部まで搬送されても、支障なく測定し得る試験紙測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。しかして従来、このような測定装置及び測定方法は全く知られていない。
【0010】
またこの発明は、測定部に複数の試験紙を載置しても、更には複数列で試験紙を測定部に搬送しても測定し得る測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【0011】
またこの発明は、試験紙を載置する位置の制約を無くしただけでなく、自由なタイミングで試験紙を装置に載置できる測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的に沿う本発明のうち請求項1に記載の測定装置は、試験紙を含むように撮像する撮像素子と、撮像したRGBデジタル画像データを格納するメモリーと、メモリー上の該データから目的試験紙のデジタル画像データを抽出するマイクロプロセッサと、を具備することを特徴とする。
【0013】
ここで試験紙を含むというのは、例えば尿検査やドライケミストリー等の分野で用いられる試験紙(試験具)の、目的の測定を行うための呈色し得る試験片(呈色試験片:呈色部分)を全て含む意味である。例えば、濾紙などでできた試験紙の一部又は全部に試薬を含浸させ、その部分が呈色するスティック状等の試験紙の場合はその全体であり、また、例えばプラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙の場合は、全ての呈色試験片を含む意味である。試験紙全体を含むのが好ましいが、スティック状試験紙の呈色しない(測定しない)手持ち部分は、必ずしも含まなくとも差し支えない。尚、手持ち部分とは、例えば、測定者が試験紙を取り扱うための、非呈色部分(試薬不含部分)であって、他の非呈色部分(試薬不含部分)よりも長い、後端の試験紙部分である。また、例えばプラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙の場合は、測定者が試験紙を取り扱うための、呈色試験片が貼着されておらず、他の試験片が貼着されていない部分よりも長い、後端の試験紙ベース部分である。
【0014】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙の呈色前後の色とは異なるRGB値を示すように形成し、前記マイクロプロセッサは、前記呈色前後の色とは異なるR、G及びB値の少なくとも1つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基に前記試験紙を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備するようにして、試験紙のデジタル画像データを抽出することができる(請求項2)。
【0015】
ここで、載置面を、試験紙の呈色前後の色とは異なるRGB値を示すように形成するとは、載置面の色を、全ての呈色試験片を含む試験紙の呈色前の色及び呈色後の色が示すRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)のうちの最大値より大きい値を示す色、或いは全ての呈色試験片を含む試験紙の呈色前の色及び呈色後の色が示すRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)のうちの最小値より小さい値を示す色とすることを意味する。尚、RGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)とは、R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値(RとG、RとB、GとB)、或いはR、G及びBのうちの1種の値(R、G又はB)を意味する。即ち、R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値が、全ての呈色試験片を含む試験紙の呈色前の色及び呈色後の色が示す対応するRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)の最大値よりも大きくなるように、或いは全ての呈色試験片を含む試験紙の呈色前の色及び呈色後の色が示すRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)の最小値よりも小さくなるようにすればよい。
【0016】
前記試験紙が、プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙の場合は、前記マイクロプロセッサは、スティック状試験紙のデジタル画像データを抽出した後、前記呈色試験片のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備するようにするのが好ましい(請求項3)。
【0017】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙を構成するスティックの色とは異なるRGB値を示すように形成し、前記マイクロプロセッサは、前記試験紙を構成するスティックの色のR,G及びB値の少なくとも一つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基に前記試験紙画像を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備するようにして、試験紙のデジタル画像データを抽出することができる(請求項4)。
【0018】
ここで、載置面を、試験紙を構成するスティックの色とは異なるRGB値を示すように形成するとは、載置面の色を、スティックの色が示すRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)より大きい値を示す色、或いはスティックの色が示すRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)より小さい値を示す色とすることを意味する。尚、RGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)とは、R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値(RとG、RとB、GとB)、或いはR、G及びBのうちの1種の値(R、G又はB)を意味する。即ち、R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値が、スティックの色が示す対応するRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)よりも大きくなるように、或いはスティックの色が示す対応するRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)よりも小さくなるようにすればよい。
【0019】
前記マイクロプロセッサは、前記メモリー上の抽出目的試験紙画像の外形を明確にするための二値化若しくは濃淡処理を行うプログラムと、前記抽出目的試験紙画像の外形をエッジサーチするプログラムと、を具備するようにして試験紙のデジタル画像データを抽出することもできる(請求項5)。
【0020】
二値化若しくは濃淡処理としては、例えば、画像の各画素の明暗情報を階調分析し、しきい値を設定してそれより明るいか暗いかによって白と黒の二つに分ける二値化処理、画像を例えば256階調(データサイズが1バイトの場合)の濃淡画像として扱うより高精度なグレー処理、更にはカラー画像のRGB各々を例えば256階調(RGB各々のデータサイズが1バイトの場合)に分け、基準色だけを抽出して他の色と分けることによって各画像を色によって二つに分けるカラー二値化処理、カラー画像のRGB各々を例えば256階調(データサイズが1バイトの場合)に分け、基準色を抽出し基準色の違いを例えば256階調(データサイズが1バイトの場合)の濃淡データに変換するカラー濃淡処理等が挙げられる。
【0021】
エッジとは、画像内に生じる明るい部分と暗い部分の境界であるが、エッジサーチとは、この濃淡変化の境界を画像処理で検出することである。
【0022】
本発明の測定装置は、装置とは別体として若しくは一体として、試験紙を載置する載置面を有する載置部を測定部に具備することもできる(請求項6)。要するに、上記載置面を有する載置部は、装置(装置自体)から独立していても、装置(装置本体)と一体となっていても別体となっていても良く、本発明の装置には、装置自体は、このような載置部を具備していないものも含まれる。装置(装置自体)から独立している場合としては、例えば机や適当な紙、板等の上面等、任意なものを載置部とすることが挙げられる。このように構成すると、試験紙の搬送機構が不要となるのでより安価な装置が可能となるほか、装置自体のいかなる部分も試験紙に接触させることなく測定が可能となるから、装置の試料による汚染を解消することができ、メンテナンスの負担も軽減できる。特に、載置部に廃棄が容易な紙等を使用した場合、大幅にメンテナンスの負担を軽減できる。
【0023】
また、本発明の装置は、前記載置面を、撮像素子により試験紙を含むように撮像される測定部まで試験紙を搬送するための搬送機構における搬送面とし、液体試料が滴下・含浸等された試験紙を、載置面に載置し、搬送機構によって自動的に測定部にまで搬送されるようにしても良い(請求項7)。
【0024】
搬送機構が無く測定者自らが該試験紙を測定部に載置する場合あるいは上記の任意なものを載置部とする場合には、複数の試験紙を1度に測定し得ることから前記載置部は、複数の試験紙を載置し得るように巾広に形成するのが好ましく、また、載置部が測定部まで試験紙を搬送するための搬送面を有する搬送機構からなるものである場合にあっては、測定者が試験紙を載置しようとした時に、常に試験紙搬送面を待機状態(試験紙を載置することができる場所が試験紙搬送面に確保されている状態)とし得ることから前記搬送面は、複数の試験紙を載置し得るように巾広に形成し、複数の試験紙を搬送する複数列の試験紙搬送路を形成するのが好ましい(請求項8、9)。
【0025】
前記撮像素子は、リニアイメージセンサであり、該リニアイメージセンサは、試験紙搬送面の幅方向で下方を通過する前記試験紙を撮像し得るように配設することによって、複数の試験紙を同時に連続的に撮像することができる(請求項10)。
【0026】
前記試験紙を搬送する搬送機構は、間欠的に試験紙を搬送し得るように構成するよりも試験紙を連続的に搬送し得るように、即ち、測定中に、試験紙搬送面が間欠的でなく(停止することなく)、一定の速度で動いているように構成するのが、構造が簡単になることから好ましい。更に、搬送面を巾広に形成するのが、複数の搬送列が形成されるので、測定者が自由なタイミングでランダムに載置できることから好ましい(請求項11)。
【0027】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、補正用白色板を配設するのが好ましい(請求項12)。
【0028】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、ランク判定を決定するための色調表を配設することができる(請求項13)。尚、前記色調表をランク判定のしきい値を決定するためのものとするのが好ましい(請求項14)。
【0029】
本発明の測定装置は、試験紙が異なる姿勢で測定部に載置又は搬送されても測定し得る測定装置として、(請求項15)また前記試験紙が尿検査用試験紙である尿検査用試験紙測定装置として好適である(請求項16)。ここで、異なる姿勢とは、試験紙を所定の載置位置(一定の載置方向・位置)に載置する必要がないことを意味し、測定毎に試験紙が異なる姿勢(試験紙の裏返りはないが、それぞれの試験紙の載置方向・位置が一定でない状態)になり得ることを意味する。
【0030】
本発明の測定方法は、試験紙の画像を含むように撮像素子で撮像し、撮像したRGBデジタル画像データをメモリーに転送し、メモリー上の該データから目的試験紙デジタル画像データを、マイクロプロセッサを使用して抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験紙の対応するR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定することを特徴とする(請求項16)。ここで、標準の試験紙のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値とは、既知濃度の被測定物含有試料(スタンダード、キャリブレーター等)を用いた場合の試験紙のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値、或いは所定の装置内部に設定された既知濃度の被測定物含有試料を用いた場合の試験紙と同等の色調表のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値等を意味する。また、R、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値とは、R、G及びB値の少なくとも1つの値自体(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)、R、G及びB値の少なくとも1つの値から換算して得られる値(例えば色度座標での値)等である。
【0031】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙の呈色前後の色とは異なるRGB値を示す色とし、前記試験紙の呈色度合いを基に予め設定したR、G及びB値の少なくとも1つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基にマイクロプロセッサによって、前記試験紙を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験紙の対応するR,G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定することができる(請求項18)。
【0032】
前記試験紙が、プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙である場合は、前記マイクロプロセッサで、前記スティック状試験紙のデジタル画像データを抽出した後、前記呈色試験片のデジタル画像を抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験片の対応するR,G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定するようにするのが好ましい(請求項19)。
【0033】
試験紙を載置する載置面の色を、前記試験紙を構成するスティックの色とは異なるRGB値を示す色とし、前記マイクロプロセッサは、前記試験紙を構成するスティックの色を基に前記試験紙画像を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出し、得られたRGB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験紙のRGB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定することができる(請求項20)。
【0034】
メモリー上の前記デジタル画像は、二値化若しくは濃淡処理を行って検出する目的試験紙画像の外形を明確とし、該外形をエッジサーチして抽出することもできる(請求項21)。
【0035】
前記試験紙の載置面を、測定部まで試験紙を搬送するための搬送機構の搬送面とし、当該搬送機構により前記試験紙を測定部に搬送することもできる(請求項22)。
【0036】
前記撮像素子をリニアイメージセンサとし、該リニアイメージセンサの下を通過する試験紙を連続的に撮像するのが好ましい(請求項23)。
【0037】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、補正用白色板を配設して、前記RGB値の階調補正をするのが好ましい(請求項24)。
【0038】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、色調表を配設してランク判定を行うことができる(請求項25)。尚、色調表を配設してランク判定のしきい値を得、得られたしきい値に基づいてランク判定を行うのが好ましい(請求項26)。
【0039】
前記試験紙の姿勢を自由な姿勢で前記測定部に載置又は測定部に搬送するのが作業が容易となるから(請求項27)、尿検査用試験紙測定方法として好適である(請求項28)。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、載置測定部又は測定部への搬送面に試験紙をどのように置いても支障なく測定できるので、試験紙載置位置の制約が実質的になくなり、測定操作性が著しく向上する。
また、請求項6記載の発明によれば、測定部に複数(列)載置若しくは測定部に複数列で搬送することもできるので、測定者の自由なタイミングで試験紙を載置することができる。
【0041】
本発明で単に試験紙といった場合は、目的の測定を行うための呈色し得る試験片(呈色試験片)そのものと、このような試験片を1片以上有する試験紙全体を含む意味であるが、貼着させた呈色試験片と区別するため試験紙全体のみを意味する場合がある。例えばスティック状試験紙の場合は、この全体の場合と、貼着されている試験片を意味する場合とがある。一工程で試験紙を抽出する場合は、呈色し得る試験片の意味であるが、二工程で抽出する場合は、第一工程はスティック状試験紙であり、第二工程は呈色し得る試験片の意味である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
図1は、本発明の一実施例を示すものであり、試験紙搬送ベルトと直交する細長いCCDリニアイメージセンサ(撮像素子)の下をスティック状試験紙が順次通過するに従って連続的に撮像されるようになっている。
【0044】
CCDリニアイメージセンサは、試験紙搬送ベルトと直交するように構成するのが、試験紙が載置順番どおりにイメージセンサに到達することから好ましい。しかしながら、試験紙が載置順番どおりにイメージセンサに到達しなくても、斜めの交差角度(程度)から、イメージセンサに到達した試験紙の順番を載置した順番に補正可能であれば、イメージセンサをベルトと直交とせずに斜めに交差させても差し支えない。
【0045】
本発明に使用する撮像素子としては、RGBデジタル画像データとして撮像できれば良く、特に限定されない。このようなものとしては、カラーイメージセンサやカラーフィルターと組み合わせたモノクロイメージセンサ等のイメージセンサ、例えばCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、VMISイメージセンサ等が挙げられる。またイメージセンサには、リニアイメージセンサとエリアイメージセンサがあり、本発明には、いずれも使用可能であるが、リニアイメージセンサを使用するのが好ましい。
【0046】
搬送されてくる試験紙の撮像は、連続画面として撮像することも、所定の長さ(範囲)づつ(ページ単位)撮像することもできる。
【0047】
複数の試験紙を同時に搬送する際には、一度に取り扱うことができるメモリー容量等の制限から1枚の試験紙画像データが分割される(即ち、全体の画像が撮像されない試験紙が生じる)場合や、所定の長さ(範囲)ずつ撮像すると、全体の画像が撮像されない試験紙が生じる場合等が考えられる。このような場合には、分割された試験紙の画像データを画像処理で繋いで再構成すればよい。
【0048】
尚、メモリーの容量オーバーとならないように、画像処理・抽出が終わったデータは、順次削除するのが良い。
【0049】
ピクセル座標は、撮像開始と同時に設定され、撮像面積が大きくなるほど、ピクセル座標も大きくなる。画像データは、ピクセル座標とその座標におけるRGB値、即ち、各点におけるRGBの量(強度)を数値で示したもの(階調データ)である。
【0050】
このピクセル座標から、試験紙の単複に関わらず、試験紙の「位置の検出」ができるので、試験紙の載置した順番を検出することができ、画像がどの検体の試験紙か特定できる。
【0051】
検体と測定結果を対応させるのが測定順で、測定順は、検出される試験紙の順番となる。仮に、複数の試験紙の先頭が完全に一致する場合、装置は検体と測定結果とを対応させることができなくなる。しかしながら、試験紙を取り出し、試料に浸漬し、装置に載置するのに5〜8秒を要するので、試験紙の先頭が完全に一致する場合は通常考えられない。試験紙の先頭が完全に一致した場合、何か異常が発生したことが考えられるので、エラーメッセージを出して状況の確認、再測定を行うようにすると良い。
【0052】
上記は図1等に示すように複数の試験紙を長辺方向に搬送する場合であり、1枚の試験紙の場合、試験紙の先頭位置の比較とか、試験紙が載置された順番の決定は、不要である。また、横置きにして搬送する場合、検出・測定機構に複数の試験紙が同時に入って来ることはなく、先に載置した試験紙の測定が終了してから、次の試験紙が検出・測定機構に入ってくるので、先頭位置の検出は不要である。
【0053】
種類の異なる試験紙を同時に測定する場合は、試験紙の種類を判別する必要がある。試験紙の種類の決定は、次の三法のいずれかによって行うことができる。
(1)呈色試験片数または/および呈色試験片の色から試験紙の種類を決定
呈色試験片数は、取得した試験紙画像の二値化処理或いはエッジサーチにより取得することができる。呈色試験片数が同じ試験紙が2種類以上ある場合、試験紙の種類によって色の異なる呈色試験片の色を検出して種類を決定する。また、複数の呈色試験片を有する試験紙の場合には、呈色試験片の数と、呈色試験片の色(呈色前の色又は/及び呈色後の色)の組合せ(配列)とを検出し、これと、予め記憶させておいた試験紙の種類に応じた呈色試験片の数と呈色試験片の色の組合せ(配列)とを照合することにより、試験紙の種類の特定及び試験紙の方向の検出も行うことができる。
(2)予め記録された試験紙の呈色試験片の画像パターンと比較して試験紙の種類を決定
また、スティック状試験紙の場合、ピクセル座標の画像のR、G及びB値の少なくとも1つの値から試験紙ベースの手持ち部分を検知することができ、搬送されてきた試験紙の方向の検出ができる。このようにして、試験紙の先頭部分(手持ち部分の反対端)が検知できるから、試験紙の種類がわかっている場合は、この先頭部分から特定の位置にある呈色試験片の順番も検出できる。この順番から試験片の種類を特定できる。
(3)予め記憶された試験紙の種類と試験紙のマークとの対応関係に照合して試験紙の種類を決定
試験紙ベース等に試験紙の種類に応じた特定のマーク(印)を付しておき、当該マークと試験紙の種類との対応関係(どのマークがどの種類の試験紙であるのか)を予め記憶させておけば、搬送されてきた試験紙に付されているマークを検出し、これを予め記憶されている当該マークと試験紙の種類との対応関係と照合することにより、搬送されてきた試験紙の種類を特定することができる。また、同様に試験紙の方向の検出も可能である。
尚、上記(1)〜(3)の試験紙の種類を判別する方法は、種類の異なる試験紙を同時に測定する場合だけでなく、一種類(単一)の試験紙を測定する場合にも利用できる。即ち、上記の判別方法を行えば、装置に自動的に試験紙の種類の判別・特定を行わせることができ、測定者が予め装置に使用する試験紙の種類を入力する必要がなくなる。
【0054】
また、試験紙、呈色試験片の大きさは予め判っているので、ピクセル座標から、検出した試験紙、呈色試験片の大きさを確認して、検出が正確に行われていることのチェックができる。
【0055】
更に、ピクセル座標の画像のRGB値から、試料の含浸が不均一で起こる不均一反応、非溶血検体による不均一反応等の異常反応の検出をすることができる。
従来法での反射率測定の場合、不均一反応であっても試験片全体の反射率データしか得られないので、不均一反応は検出できないが、本発明では、試験紙(呈色試験片)全体の各ピクセル座標における多数のRGB値データが得られるので、このRGB値のデータの不均一性から不均一反応を検出できる。
【0056】
また、反射率を測定する従来法では色の識別ができないので、異常反応が検出できないが、本発明の場合、色を識別するので、正常反応で得られる呈色結果をRGB値のデータ若しくは色座標データとして予め登録しておけば、それ以外のものを異常反応として検出できる。
【0057】
図2に、撮像後の画像処理工程をブロック図で示す。
マイクロプロセッサは、プログラムを読み込み、次にプログラムの指示に従ってメモリーなどの記憶装置からデータを受け取り、データをプログラム通りに演算・加工した上でメモリーなどの記憶装置やディスプレイ(表示装置)などの出力装置に送る、という処理を行う。
【0058】
本発明の場合、マイクロプロセッサは、イメージセンサ(入力装置)から撮像した画像のRGB値データをメモリーに保管した後に、画像処理と定量・ランク判定を行い、ディスプレイに表示したり、プリンター(出力装置)で印刷する。
【0059】
イメージセンサ、マイクロプロセッサ及びメモリーの接続方法としては、例えば、図3(A)に示すフレーム・バッファー方式と図3(B)に示すFIFO方式とが挙げられる。
【0060】
フレーム・バッファー方式は、イメージセンサからの画像を制御ロジックによってメモリーに保存し、メモリーの画像を制御ロジックを介して、マイクロプロセッサが画像処理する。
【0061】
FIFO方式は、マイクロプロセッサによってイメージセンサからの画像をFIFOメモリーに保存し、FIFOメモリーの画像をマイクロプロセッサによって画像処理する。
【0062】
上記いずれの方式においても、「抽出」などの画像処理と「定量・ランクの判定」は、メモリーのデータを参照しながら、マイクロプロセッサが行う。例えば、「抽出」は、メモリーに記憶された「全体画像」(試験紙の画像と背景である搬送ベルト等の画像を含む)からマイクロプロセッサが「試験紙画像」を抽出して、抽出した画像を、例えばメモリー上の別の領域に記憶させる。この段階で「全体画像」が不要になる場合(例えば、全体画像に複数の試験紙画像がある場合で、最後の試験紙画像が抽出された場合)は、「全体画像」は、メモリーから消去され、解放されたメモリーは次の処理に使用される。「定量・ランクの判定」は、測定した呈色試験片から得たRGB値の少なくとも1つの値に基づく値のデータを、予め設定されていて所定のメモリー領域に記憶されているRGB値の少なくとも1つの値に基づくデータと比較して行う。
【0063】
次に、スティック状試験紙の場合の本発明の具体的測定法を説明する。
【0064】
イメージセンサは、撮像した画像のRGB値(デジタル)データをメモリーに転送し、メモリーに転送されてきた画像データは、メモリー上で静止している。この状態で試験紙の先頭端(又は/及び後端)はわかる。
【0065】
次に、メモリー上で画像処理、抽出を行う具体的方法を説明する。メモリー上の画像は、マイクロプロセッサによって、次のように画像処理プログラムで処理されて、目的画像の抽出、定量或いはランク判定を行う。
【0066】
(1)メモリー上の画像データを、例えば「白黒二値化処理」、「白黒濃淡処理(グレー処理)」、「カラー二値化処理」、「カラー濃淡処理」のいずれかの処理を行った後、エッジサーチを行う。
【0067】
(2)検出したエッジを基に認識した部分画像(試験紙全体)を予め登録されている試験紙の画像データと比較して、試験紙の画像部分を検出し、抽出する。このようにして抽出したスティック状試験紙の画像も、メモリーに保存される。
【0068】
(3)メモリー上のスティック状試験紙の画像データを、例えば「白黒二値化処理」、「白黒濃淡処理(グレー処理)」、「カラー二値化処理」、「カラー濃淡処理」のいずれかの処理を行った後、呈色試験片についてのエッジサーチを行う。
【0069】
(4)検出したエッジを基に認識した部分画像を、予め登録されている呈色試験片の画像データと比較して、呈色試験片の画像部分を検出し、抽出し、メモリーに保存する。
【0070】
(5)抽出した呈色試験片の数・特徴的な色の配列から試験紙の種類を決定して、各呈色試験片の検査項目を決定する。
【0071】
(6)次に、定量又はランク判定を行う。この定量及びランク判定は、いわゆるR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を用いて行われる。各検査項目の測定結果を、抽出した画像のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、それに対応し基準となるR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と濃度との関係を使用して、濃度算出あるいは、ランク判定を行う。
ここで、R、G及びB値の少なくとも1つの値とは、R、G及びBから選ばれる1つ以上の値である。即ち、本発明の定量及びランク判定においては、R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値(RとG、RとB、GとB)、或いはR、G及びBのうちの1種の値(R、G又はB)のどれを用いて行ってもよい。
また、R、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値とは、R、G及びB値の少なくとも1つの値自体(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)、RGB値の少なくとも1つの値から換算して得られる各種の値を意味し、具体的には、R、G及びB値の少なくとも1つの値自体、R、G及びB値の少なくとも1つの値から換算して得られる色度座標での値等である。尚、当該色度座標での値以外にも、R、G及びB値の少なくとも1つの値から換算して得られる値は全て包含される。
具体的には、例えば下記に記載の(a)〜(f)の方法で定量あるいはランク判定を行う。
(a)抽出した画像のR、G及びB値の少なくとも1つの値から、それと対応し記憶しているR、G及びB値の少なくとも1つの値と濃度の関係を使用して、濃度算出あるいは、ランク判定をする。
(b)抽出した画像のR、G及びB値の少なくとも1つの値から、それと対応する色調表(標準)のR、G及びB値の少なくとも1つの値と濃度の関係を使用して、濃度を算出あるいは、ランク判定をする。
(c)抽出した画像のR、G及びB値の少なくとも1つの値から、既知濃度の分析対象物を含有する標準液等を用いて同様に測定した呈色試験片(対照)から得た、対応するRGB値の少なくとも1つの値と濃度の関係を使用して、濃度を算出あるいは、ランク判定をする。
(d)抽出した画像のR、G及びB値を色度座標のパラメーターに変換して、得られた色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と、それと対応し記憶している色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と濃度の関係から、濃度算出あるいは、ランク判定をする。
(e)抽出した画像のR、G及びB値を色度座標のパラメーターに変換して、得られた色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と、それと対応する色調表(標準)の色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と濃度の関係から、濃度算出あるいは、ランク判定をする。
(f)抽出した画像のR、G及びB値を色度座標のパラメーターに変換して、得られた色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と、既知濃度の分析対象物を含有する標準液等を用いて同様に測定した呈色試験片(対照)から得た、それと対応する色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と濃度の関係から、濃度算出あるいは、ランク判定をする。
尚、上記標準液としては、通常、異なる濃度を含有する複数の標準液が使用される。また、本発明における定量及びランク判定は、上記の(a)〜(f)の方法に限定されるわけではない。
【0072】
上記実施例では、2度抽出を行っているが、呈色試験片の部分だけ一度抽出して行っても差し支えない。しかしながら、2度抽出すると何らかのトラブルで載置した試験紙が裏返ってしまった場合に、これを検出できることから好ましい。
【0073】
即ち、呈色試験片だけを検出・抽出する場合、裏返った試験紙は検出されず、装置の検出系からは透明状態となる。したがって、検体と対応する検査結果がずれる。
上記実施例のように「試験紙の検出・抽出」、「呈色試験片の検出・抽出」の2段階で行うと、
(試験紙全体を検出・抽出)+(呈色試験片が無い)→「試験紙の裏返り」
と試験紙の裏返りを検出できる。
R、G及びB値の色度座標データへの変換はマイクロプロセッサが行う。R、G及びB値の色度座標への変換は、公知の方法で行えば良い。例えば、R、G及びB値を、γ補正を経て三刺激値XYZに変換し、この三刺激値XYZから、各種表色系のパラメータに変換すればよい。尚、R、G及びB値の少なくとも1つの値を色度座標での値以外に換算する場合も、通常はマイクロプロセッサが行う。
【0074】
画像データ上の抽出目的試験紙(又は/及び呈色試験片)の画像データを検出するには、画像データ上の抽出目的試験紙(又は/及び呈色試験片)の画像データと、予め記憶させておいた標準となる試験紙(又は/及び呈色試験片)と比較してもよい。即ち、抽出目的試験紙(又は/及び呈色試験片)の画像データと標準となる試験紙(又は/及び呈色試験片)の画像データとが一致するように、両者の一方又は両方の画像データをピクセル座標上で移動処理や回転処理等を行い、一致した画像部分を検出する。しかし、試験紙の方向がばらばらでも、画像処理によって、RGB値データを読むべき試験紙(呈色試験片)部分のピクセル座標が決められるので、目的のRGBデータを取得する際に位置補正は行わなくとも良い。
【0075】
試験紙を載置するベルト(搬送面)のR、G及びB値の少なくとも1つの値(A)を、それと対応する、スティック状試験紙のスティックのR、G及びB値の少なくとも1つの値(B)及び対応する、呈色試験片および呈色した呈色試験片のR、G及びB値の少なくとも1つの値(C)と異なる値にすることにより、二値化若しくは濃淡処理、エッジ処理を行わなくても、試験紙・呈色試験片と背景のベルトを含む全体の画像から、試験紙・呈色試験片を検出し、抽出することができる。尚、直接呈色試験片を抽出する場合は、スティック状試験紙のスティックのR、G及びB値のいずれも、載置するベルト(搬送面)のR、G及びB値のいずれの値と同じであっても良い。
【0076】
図4は、黒色のベルトでスティック状尿試験紙を測定する場合の実施例を示すものである。
【0077】
黒は、RGB値を0〜255の256階調で表現した場合、R=0、G=0、B=0となることから、紙験紙・呈色試験片の検出・抽出には、ベルトを黒色とするのが最も好ましい。スティック状尿試験紙は、通常白いプラスチックのベースに1〜10項目の呈色試験片を貼り付けている。白はR=255、G=255、B=255となるから、ベルトの画像データはR=0、G=0、B=0となり、試験紙のベースはR=255、G=255、B=255となる。
【0078】
呈色試験片の色と呈色して出現する色のRGB値が50〜200の範囲である場合、例えば、RGB値の下限のしきい値を25、上限のしきい値を225に設定することにより、呈色試験片の画像をエッジ処理することなく検出し、抽出することができる。尚。下限のしきい値は、25より小さく、0より大きければ良く、上限のしきい値は200より大きく255より小さければよい。検出・抽出する画像のRGBをゼロより大きく、50より小さい値、例えば、R>25、G>25、B>25とした場合、スティック状試験紙のスティックを含む全体が検出・抽出できる。
【0079】
試験紙全体を検出・抽出した後、それぞれの試験片をメモリーに別々に記憶させ、上記と同様にそれぞれ標準と比べて濃度測定(定量)又はランク判定をする。
【0080】
呈色試験片の色と呈色して出現する色のR、G及びB値の少なくとも1つの値が、試験片により全て異なる場合は、別々に試験片を検出・抽出することができる。抽出した試験片は、それぞれ別々にメモリーに記憶させ、同様にそれぞれ標準と比べて濃度測定(定量)又はランク判定をする。
【0081】
載置面のR、G及びB値(A)、スティックのR、G及びB値(B)及び呈色試験紙片及び呈色した試験紙片のR、G及びB値(C)の全てが完全に同一の場合は、しきい値の設定は出来ない。しかし、(A)と(B)が完全に同じでも(C)のR、G及びB値の少なくとも一つの値が異なれば、上記と同様にしきい値を設定することができる。現行のスティック状尿試験紙の場合は、複数の呈色試験片のRGB値は、全て異なるので、ベルトと同じ呈色試験片は、1個より多くなることはない。
【0082】
イメージセンサを用いて測定する場合、撮像した画像には、反射率測定等の従来法よりも大きな範囲のデータが採取され、その中から必要な部分を選択して対象成分の濃度を算出(定量)又はランクを判定する。撮像した画像のどの部分を使用して濃度算出(定量)又はランク判定するかは、撮像後の画像処理によって決定されるので、撮像時には不明である。従って、撮像範囲全体の均一照明が非常に重要である。
【0083】
図5に示す実施例においては、リニアイメージセンサの前方に搬送ベルトと直交して細長い光源が設けられている。この光源は、発光面がライン状になったライン照明である。この照明は、斜光照明(暗視野照明)であり、光を斜めから当てる方法である。
【0084】
図6に示す実施例では、リニアイメージセンサを細長い光源(ライン照明)で挟むように配置している。このように構成することにより、測定部の均一照明範囲をより大きくすることができる。
【0085】
これは、図9(B)に示す斜光照明(暗視野照明)に相当し、光源は撮像対象物に進行方向前方と後方から斜めに当たるようになっている。ライン照明は、リニアイメージセンサで撮像するのに適している。
【0086】
図7に示す実施例においては、イメージセンサの上方に、発光面がリング状になったリング照明(リングの直径がイメージセンサよりも大きい)で広範囲に照明する例を示す。
【0087】
図8に示す実施例は、図9(A)に示す同軸落射照明(明視野照明)で撮像対象物を照明する例を示す。
細長い光源(ライン照明)をリニアイメージセンサの前方に位置させ、イメージセンサと撮像対象物との間にハーフミラーを入れて、カメラの撮像面と同じ方向から照射するようにしている。
【0088】
上記リング照明及びライン照明に利用できる光源としては、例えば、ハロゲンランプ、LED、蛍光灯、タングステンランプ、メタルハライド及びキセノンランプ等が挙げられる。
【0089】
光源・イメージセンサの経時的劣化、ロット間差、温度等の環境条件による状態変化によるデータの変動、装置間差等を補正するため、補正用白色板及び/又は色調表を具備するのが好ましい。
【0090】
図10は、イメージセンサ及びこれを挟む光源の搬送ベルト側端よりも突出している部分の光源の下方に、補正用白色板及び色調表を配設した例を示す。
【0091】
白色板は、RGB値の階調(256階調)補正(ホワイトバランス)に使用し、色調表はランク判定を決定するための標準として使用する。尚、具体的には、この色調表はランク判定のしきい値を得るために使用される。
【0092】
「補正用白色板」を用いた階調補正(ホワイトバランス)の手順は、(1)白色板測定時のRGB値の階調を255とし、(2)光源を点灯していないときのRGB値の階調を0とすればよい。
【0093】
この補正は検体測定直前に行うのが良いが、検出・測定機構の光学特性が安定であれば、補正値の変動が殆ど無いので、装置の電源投入時に補正を行い、検体測定毎の補正は行わず、例えば、安定性が1日間継続するので、そのまま一日測定することもできる。
【0094】
「色調表」を用いたランク判定の手順は、(1)呈色した呈色試験片のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を読み取り、(2)その後(あるいはその前に)、しきい値相当の呈色と同等の色調表のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を読み取り、(3)呈色した呈色試験片と色調表のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を比較することにより、ランク判定を行う。
【0095】
検出・測定機構からの光学特性が安定であれば、色調表からの読み取り値の変動が殆ど無いので、装置の電源投入時に全項目の全ランクのしきい値を読み込み、検体測定毎の色調表読み取りは行わず、例えば色調表からの読み取り値が1日間安定であるので、そのまま一日測定することもできる。
【0096】
「補正用白色板」、「色調表」の設置場所は、試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所であれば、装置内のどこに設置してもよい。この条件を満たす最も好都合な場所は、試験紙の測定場所のすぐ近くである。しかしながら、試料の付着した試験紙による「補正用白色板」、「色調表」の汚染を防ぐ為に、上記照明条件を満たす場所で、イメージセンサの方向を変更可能であれば、試験紙の測定場所のすぐ近くでなくてもよい。
【0097】
図1、図5〜図8、図10に示すように、試験紙の長辺方向に搬送する場合は、試験紙を取り出し、試料に浸漬し、装置(搬送面)に載置するのに5〜8秒を要するので、5列であれば、1検体目(1本目の試験紙)を載置してから6検体目(6本目の試験紙)を載置するまでに25〜40秒要する。試験紙の長さを10cmとすれば、25〜40秒間に10cm以上搬送すれば、常に試験紙を載置する場所を確保できる。従って、この搬送速度で、タイミングの制約無く、試験紙を載置することができる。
図1、図5〜図8、図10では、5本の試験紙を載置する場合を示しているが、本発明の装置に係る試験紙搬送面(搬送ベルト)の幅、搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、一般に以下のように設定すればよい。
試験紙搬送面(搬送ベルト)の幅は、目的とする数の試験紙を重ねずに載置できるような幅とすればよい。具体的には、試験紙1本(1検体)当たりの試験紙搬送面(搬送ベルト)の部分(割り当て部分)が、試験紙(1本)の短辺方向の幅の2〜5倍、好ましくは3〜4倍となるように、試験紙搬送面(搬送ベルト)の全体の幅を設定すればよい。n本(検体)の試験紙を試験紙搬送面(搬送ベルト)に載置させる場合は、試験紙1本(1検体)当たりの試験紙搬送面(搬送ベルト)の部分(割り当て部分)が試験紙(1本)の短辺方向の幅(Ycm)の2〜5倍、好ましくは3〜4倍(即ち2×Ycm〜5×Ycm、好ましくは3×Ycm〜4×Ycm)であって、試験紙搬送面(搬送ベルト)の全体の幅が試験紙(1本)の短辺方向の幅(Ycm)のn×2〜n×5倍、好ましくはn×3〜n×4倍(即ち2×n×Ycm〜5×n×Ycm、好ましくは3×n×Ycm〜4×n×Ycm)である。例えば、幅0.5cmの試験紙を5本載置する場合には、試験紙1本当たりの試験紙搬送面の割り当て部分は1.0cm〜2.5cm、好ましくは1.5cm〜2.0cmで、試験紙搬送面全体の幅は5.0cm〜12.5cm、好ましくは7.5cm〜10.0cmとなる。
尚、試験紙搬送面(搬送ベルト)に載置させる試験紙の数(本数)は特に限定されないが、通常1〜10本、好ましくは2〜8本、より好ましくは4〜6であり、装置の大きさが大きくならないので5本程度が特に好ましい。
また、試験紙搬送面(搬送ベルト)には、試験紙を載置する位置の目安となるように、試験紙1本(1検体)当たりの試験紙搬送面(搬送ベルト)の部分(割り当て部分)の境界に、例えば区切り線が描かれていても、仕切等を有していても良い。尚、これら区切り線や仕切等はあくまでも試験紙載置位置の目安であって、個々の試験紙をこれら区切り線や仕切等の内側に必ず載置させる必要はない。
【0098】
また、試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、設定された数(本数)の試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置し、次の新たな試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置させるときに、最初に載置した試験紙の後方の搬送面(搬送ベルト)部分に新たな試験紙を載置し得る場所が確保できるような速度、換言すれば、設定された数(本数)より1つ(本)多い試験紙を載置するまでの時間と同じかあるいはその時間内に試験紙の長辺方向の長さと同じかあるいはその長さ以上の距離を搬送できるような速度で搬送面(搬送ベルト)を搬送させればよい。n本(検体)の試験紙を試験紙搬送面(搬送ベルト)に載置させる場合は、上記したように、1本(検体)の試験紙を取り出し、試料に浸漬し、装置(搬送面)に載置するのに通常5〜8秒を要するので、1本目の試験紙を載置してからn+1本目の試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置させるまでに5×n〜8×n秒要することとなる。試験紙の長辺方向の長さをXcmとすれば、この5×n〜8×n秒間にXcm以上搬送すれば、n+1本目の試験紙を載置する場所が確保でき、常に試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置することができる。従って、試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、X/(8×n)〜X/(5×n)cm/秒以上となる。尚、搬送速度を速くすると確実に試験紙の載置場所を確保することができるが、あまり速くすると試験紙搬送面(搬送ベルト)の全長が長くなり、装置が大きくなったり、また、測定者が試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置することが困難となるので、上限は4×X/(8×n)〜4×X/(5×n)cm/秒以下、好ましくは3×X/(8×n)〜3×X/(5×n)cm/秒以下、より好ましくは2×X/(8×n)〜2×X/(5×n)cm/秒以下である。例えば、長辺方向の長さが11cmである試験紙を5本載置する場合には、試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、下限が0.27〜0.44cm/秒以上であって、上限が1.1〜1.76cm/秒以下、好ましくは0.82〜1.32cm/秒、より好ましくは0.55〜0.88cm/秒以下である。
【0099】
また、試験紙の短辺方向(横置き)に搬送することも可能である。
この場合の試験紙搬送面(搬送ベルト)の幅は、試験紙を安定した状態で載置・搬送し得る幅とすればよい。具体的には、下限は試験紙の長辺方向の長さの1/2以上であって、試験紙に貼着された試験片の長さ以上であり、上限は特に限定されないが、試験紙の長辺方向の長さの1.5倍以下、好ましくは1倍以下、より好ましくは1倍未満である。試験紙搬送面(搬送ベルト)の幅が短すぎると試験紙を安定して載置・搬送できないおそれがあるが、あまり長すぎると測定者が試験紙を載置するのが困難となるので、試験紙の長辺方向の長さより若干短い幅とするのがよい。
試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、1本の試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置し、次の新たな試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置させるときに、新たな試験紙を載置し得る場所が確保できるような速度、換言すれば、1本目の試験紙を載置してから2本目の試験紙を載置するまでの時間と同じかあるいはその時間内に試験紙の短辺方向の長さと同じかあるいはその長さ以上の距離を搬送できるような速度で搬送面(搬送ベルト)を搬送させればよい。好ましくは試験紙(1本)の短辺方向の幅の2〜5倍、より好ましくは3〜4倍の距離を搬送できるような速度で搬送面(搬送ベルト)を搬送させればよい。上記したように、1本(検体)の試験紙を取り出し、試料に浸漬し、装置(搬送面)に載置するのに通常5〜8秒を要するので、1本目の試験紙を載置してから2本目の試験紙を載置するまでの時間も通常5〜8秒を要する。試験紙の短辺方向の長さをYcmとすれば、この5〜8秒間にYcm以上搬送すれば、2本目の試験紙を載置する場所が確保でき、常に試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置することができる。従って、試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、Y/8〜Y/5cm/秒以上であり、好ましくは試験紙(1本)の短辺方向の幅の2×Y/8〜2×Y/5cm/秒、より好ましくは3×Y/8〜3×Y/5cm/秒、更に好ましくは4×Y/8〜4×Y/5cm/秒、特に好ましくは5×Y/8〜5×Y/5cm/秒である。尚、搬送速度を速くすると確実に試験紙の載置場所を確保することができるが、あまり速くすると試験紙搬送面(搬送ベルト)の全長が長くなり、装置が大きくなったり、また、測定者が試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置することが困難となる。例えば、短辺方向の長さが0.5cmである試験紙を載置する場合には、試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、0.06〜0.1cm/秒以上であって、好ましくは0.12〜0.2cm/秒、より好ましくは0.18〜0.3cm/秒、更に好ましくは0.25〜0.4cm/秒、特に好ましくは0.31〜0.5 cm/秒である。従って、このようにすればこの搬送速度で、タイミングの制約無く試験紙を載置することができる。
試験紙搬送面(搬送ベルト)には、試験紙を載置する位置の目安となるように、試験紙1本(1検体)当たりの試験紙搬送面(搬送ベルト)の部分(割り当て部分)(この場合には、上記した如き次の試験紙を載置するまでに移動する搬送距離)の境界に、例えば区切り線が描かれていても、仕切等を有していても良い。尚、これら区切り線や仕切等はあくまでも試験紙載置位置の目安であって、個々の試験紙をこれら区切り線や仕切等の内側に必ず載置させる必要はない。
尚、上記の実施態様は、試験紙の長辺方向に搬送する場合及び試験紙の短辺方向(横置き)に搬送する場合であるが、本発明においては、試験紙を斜めに載置・搬送することも可能であり、その場合には、試験紙搬送面(搬送ベルト)の幅や搬送速度等は上記に準じて適宜設定すればよい。
【0100】
上記したように、いずれの場合も連続的に搬送する場合は勿論のこと、間欠的であっても、通常のベルトの速度で、測定者が試験紙を載置しようとするときは、常に試験紙の無い状態とすることができるが、本発明においては連続的に搬送するのが好ましい。
【0101】
尚、上記の実施例は、装置と一体となった載置部として、搬送機構からなる載置部を有する測定装置に関するものであるが、装置と別体となった載置部を有する測定装置についても、上記実施例に従って実施することができる。 図11及び12に、装置と別体となっている載置部を有する本発明の実施例を示す。
図11は、リング状の光源と、該光源の中心部に位置するイメージセンサとを内装した装置を、試験紙載置場所上の試験紙を覆うように載置した例を示す。
上記実施例では、スティック状試験紙を使用しているので、全ての呈色試験片が覆われるようにすれば良く、手持ち部分は覆われていなくとも良い。要するに、試験紙を含む(この意味は前述したとおり)ように撮像できれば良い。
試験紙載置場所としては、実験台等の測定用台上で良く、該台上に紙などの吸湿性材料を置いて、その上に試験紙を載置するのが好ましい。このようにすると、装置自体は試料に全く接触しないので、装置の試料による汚染を回避することができると共に、余分の試料は吸湿性材料に吸収されるので、清掃、メンテナンスの負担を軽減することができる。
図12は、棒状の光源と、該光源に近接して巾方向に略平行に位置するイメージセンサとを内装した装置を、試験紙載置場所上の試験紙を覆うように載置した例を示す。尚、この実施例では、イメージセンサを、光源の巾方向に略平行に位置させているが、特にこれに限定されない。
試験紙載置場所は、測定装置の一部として、即ち、測定装置の底面に着脱し得るように嵌合する底板として、開閉し得るような底板として、又は一体とした底板として形成しても良い。しかしながら、メンテナンスの負担を軽減し且つ安価に形成できることから、図11及び図12の実施例のように装置とは別体とするのが好ましい。
図11の測定装置は、複数の試験紙を同時に撮像可能な面積を有するので複数試験紙を同時に測定できるが、図12の測定装置は、一枚づつ測定するための装置であるので、試験紙一枚分しか撮像可能な面積がないようになっている。
図11及び図12の試験紙を使用して測定するには、試料を供試(滴下又は浸漬)した試験紙上に装置を載置して、所定の反応時間後にイメージセンサで撮像し、前記実施例と同様にして、画像のRGB値データをメモリーに保管した後に、画像処理と定量・ランク判定を行い、ディスプレイに表示したり、プリンター(出力装置)で印刷する。
尚、図11及び図12に示したように、装置と別体となっている載置部として、例えば机や適当な紙、板等の上面等、任意なものを載置部とした場合、これらの上面(載置面)の色も、前述と同様の色とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の一実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図2】本発明の装置構成の実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明のメモリーの接続を示す(A)フレーム・バッファ方式(B)FIFO方式、のブロック図である。
【図4】本発明のしきい値での抽出を説明する図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図9】本発明に使用する(A)同軸落射照明(B)射光照明、の側面図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図11】本発明の他の実施例を示す(A)上面透視図、(B)前面透視図である。
【図12】本発明の他の実施例を示す(A)上面透視図、(B)前面透視図、(C)内部図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、試験紙を用いて測定を行う試験紙測定装置及び測定方法に係り、詳記すれば試験紙を測定部にランダムに載置又は測定部への搬送装置上にランダムに置いても、支障なく測定し得る試験紙測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙を用いて液体試料中の成分の測定を行う試験紙分析装置においては、測定者が該試験紙を当該液体試料に浸漬した後、搬送機構により測定部まで搬送するか、或いは搬送機構が無く測定者自らが該試験紙を測定部に載置している。
【0003】
従来の測定装置に於いては、試験紙(プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙の場合は点着された呈色試験片)の位置を検出する機能がないため、検出機構の測定範囲全体を呈色試験片が占めるようにする必要があったので、呈色試験片が検出機構の測定範囲全体を占めるように載置する必要があった。しかしながら装置の検出機構は固定されているので、試験紙の呈色試験片が検出機構の測定範囲全体を占めるようにするには、制限された所定の載置位置に試験紙を正確に載置し、試験紙の載置方向・位置が固定されるようにしなければならないから、試験紙をランダムに載置することができなかった。
【0004】
また、ランダムに載置しても、測定部では一定の姿勢になるように補正する装置は知られているが、測定部にまでランダムに搬送されても、或いは測定部にランダムに載置しても、支障なく測定し得る装置は未だ知られていない。
【0005】
また、特許文献1には、イメージセンサを使用して撮像する方法が提案されている。この特許明細書においては、「試験片の位置がずれた場合でも、試験片の位置の認識を行って補正」と記載されているが、試験紙上の呈色試験部を横断する範囲を測定するだけであるので、実際には試験紙の長辺方向搬送面の載置位置のずれしか補正できなかった。ランダムに載置したのでは、測定し得ないということである。
【0006】
また特許文献2には、搬送機構が無く測定者自らが該試験紙を測定部に載置する装置において、CCDカラーイメージセンサを使用し、RGB、三刺激値XYZあるいは色度座標を測定する呈色物定量装置が開示されている。しかしながらこの装置は、試験紙は所定の載置位置に載置、固定されて測定するものであって、ランダムに載置されても支障なく測定しようとする思想は全くなかった。また、実際、この特許明細書には、「測定者の入力により装置が取得した試験紙識別情報に対応する配置情報を読み出すことによって、対象となっている試験紙の形状(試験紙画像データ内の各画素と、試験部の対応関係)を認識」と記載されていることから明らかなように、装置が自動的に試験紙の抽出を行っていないので、試験紙の載置位置のずれを補正できなかった。
【0007】
また、従来の装置は、単一の試験紙を載置する載置部(場所)を有する試験紙搬送路又は載置部(場所)を備えたものであり、複数の試験紙を載置し得る載置部(場所)を有する試験紙搬送路(複数列の試験紙搬送路)又は複数の試験紙を載置し得る載置部(場所)を備えた試験紙測定装置は全く知られていない。試験紙を搬送する従来の装置は、試験紙を間欠的に搬送し、静止状態で1枚ずつ測定するものであるので、複数の試験紙を載置し得るようにしたのでは、測定し得なかったからである。また、搬送機構が無く測定者自らが該試験紙を測定部に載置する従来の装置は、試験紙を1枚ずつ測定するものであり、複数の試験紙を1度に測定しようとする思想は全くなかった。
【0008】
更に、測定者が試験紙を用手法で試料に浸漬させた後に装置に載置して測定部に搬送される従来の試験紙分析装置にあっては、単一の試験紙搬送路しか備えていなかったことと、間欠的に搬送するものであったことから、自由なタイミングで試験紙を装置に載置することはできなかった。
【特許文献1】特開平7−5110
【特許文献2】特開平10−73534
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、このような点に着目してなされたものであり、試験紙を載置測定(載置して測定)部にランダムに置いても、更には、試験紙がランダムな状態で測定部まで搬送されても、支障なく測定し得る試験紙測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。しかして従来、このような測定装置及び測定方法は全く知られていない。
【0010】
またこの発明は、測定部に複数の試験紙を載置しても、更には複数列で試験紙を測定部に搬送しても測定し得る測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【0011】
またこの発明は、試験紙を載置する位置の制約を無くしただけでなく、自由なタイミングで試験紙を装置に載置できる測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的に沿う本発明のうち請求項1に記載の測定装置は、試験紙を含むように撮像する撮像素子と、撮像したRGBデジタル画像データを格納するメモリーと、メモリー上の該データから目的試験紙のデジタル画像データを抽出するマイクロプロセッサと、を具備することを特徴とする。
【0013】
ここで試験紙を含むというのは、例えば尿検査やドライケミストリー等の分野で用いられる試験紙(試験具)の、目的の測定を行うための呈色し得る試験片(呈色試験片:呈色部分)を全て含む意味である。例えば、濾紙などでできた試験紙の一部又は全部に試薬を含浸させ、その部分が呈色するスティック状等の試験紙の場合はその全体であり、また、例えばプラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙の場合は、全ての呈色試験片を含む意味である。試験紙全体を含むのが好ましいが、スティック状試験紙の呈色しない(測定しない)手持ち部分は、必ずしも含まなくとも差し支えない。尚、手持ち部分とは、例えば、測定者が試験紙を取り扱うための、非呈色部分(試薬不含部分)であって、他の非呈色部分(試薬不含部分)よりも長い、後端の試験紙部分である。また、例えばプラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙の場合は、測定者が試験紙を取り扱うための、呈色試験片が貼着されておらず、他の試験片が貼着されていない部分よりも長い、後端の試験紙ベース部分である。
【0014】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙の呈色前後の色とは異なるRGB値を示すように形成し、前記マイクロプロセッサは、前記呈色前後の色とは異なるR、G及びB値の少なくとも1つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基に前記試験紙を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備するようにして、試験紙のデジタル画像データを抽出することができる(請求項2)。
【0015】
ここで、載置面を、試験紙の呈色前後の色とは異なるRGB値を示すように形成するとは、載置面の色を、全ての呈色試験片を含む試験紙の呈色前の色及び呈色後の色が示すRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)のうちの最大値より大きい値を示す色、或いは全ての呈色試験片を含む試験紙の呈色前の色及び呈色後の色が示すRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)のうちの最小値より小さい値を示す色とすることを意味する。尚、RGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)とは、R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値(RとG、RとB、GとB)、或いはR、G及びBのうちの1種の値(R、G又はB)を意味する。即ち、R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値が、全ての呈色試験片を含む試験紙の呈色前の色及び呈色後の色が示す対応するRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)の最大値よりも大きくなるように、或いは全ての呈色試験片を含む試験紙の呈色前の色及び呈色後の色が示すRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)の最小値よりも小さくなるようにすればよい。
【0016】
前記試験紙が、プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙の場合は、前記マイクロプロセッサは、スティック状試験紙のデジタル画像データを抽出した後、前記呈色試験片のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備するようにするのが好ましい(請求項3)。
【0017】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙を構成するスティックの色とは異なるRGB値を示すように形成し、前記マイクロプロセッサは、前記試験紙を構成するスティックの色のR,G及びB値の少なくとも一つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基に前記試験紙画像を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備するようにして、試験紙のデジタル画像データを抽出することができる(請求項4)。
【0018】
ここで、載置面を、試験紙を構成するスティックの色とは異なるRGB値を示すように形成するとは、載置面の色を、スティックの色が示すRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)より大きい値を示す色、或いはスティックの色が示すRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)より小さい値を示す色とすることを意味する。尚、RGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBから選ばれる1つ以上の値)とは、R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値(RとG、RとB、GとB)、或いはR、G及びBのうちの1種の値(R、G又はB)を意味する。即ち、R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値が、スティックの色が示す対応するRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)よりも大きくなるように、或いはスティックの色が示す対応するRGB値の少なくとも1つの値(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)よりも小さくなるようにすればよい。
【0019】
前記マイクロプロセッサは、前記メモリー上の抽出目的試験紙画像の外形を明確にするための二値化若しくは濃淡処理を行うプログラムと、前記抽出目的試験紙画像の外形をエッジサーチするプログラムと、を具備するようにして試験紙のデジタル画像データを抽出することもできる(請求項5)。
【0020】
二値化若しくは濃淡処理としては、例えば、画像の各画素の明暗情報を階調分析し、しきい値を設定してそれより明るいか暗いかによって白と黒の二つに分ける二値化処理、画像を例えば256階調(データサイズが1バイトの場合)の濃淡画像として扱うより高精度なグレー処理、更にはカラー画像のRGB各々を例えば256階調(RGB各々のデータサイズが1バイトの場合)に分け、基準色だけを抽出して他の色と分けることによって各画像を色によって二つに分けるカラー二値化処理、カラー画像のRGB各々を例えば256階調(データサイズが1バイトの場合)に分け、基準色を抽出し基準色の違いを例えば256階調(データサイズが1バイトの場合)の濃淡データに変換するカラー濃淡処理等が挙げられる。
【0021】
エッジとは、画像内に生じる明るい部分と暗い部分の境界であるが、エッジサーチとは、この濃淡変化の境界を画像処理で検出することである。
【0022】
本発明の測定装置は、装置とは別体として若しくは一体として、試験紙を載置する載置面を有する載置部を測定部に具備することもできる(請求項6)。要するに、上記載置面を有する載置部は、装置(装置自体)から独立していても、装置(装置本体)と一体となっていても別体となっていても良く、本発明の装置には、装置自体は、このような載置部を具備していないものも含まれる。装置(装置自体)から独立している場合としては、例えば机や適当な紙、板等の上面等、任意なものを載置部とすることが挙げられる。このように構成すると、試験紙の搬送機構が不要となるのでより安価な装置が可能となるほか、装置自体のいかなる部分も試験紙に接触させることなく測定が可能となるから、装置の試料による汚染を解消することができ、メンテナンスの負担も軽減できる。特に、載置部に廃棄が容易な紙等を使用した場合、大幅にメンテナンスの負担を軽減できる。
【0023】
また、本発明の装置は、前記載置面を、撮像素子により試験紙を含むように撮像される測定部まで試験紙を搬送するための搬送機構における搬送面とし、液体試料が滴下・含浸等された試験紙を、載置面に載置し、搬送機構によって自動的に測定部にまで搬送されるようにしても良い(請求項7)。
【0024】
搬送機構が無く測定者自らが該試験紙を測定部に載置する場合あるいは上記の任意なものを載置部とする場合には、複数の試験紙を1度に測定し得ることから前記載置部は、複数の試験紙を載置し得るように巾広に形成するのが好ましく、また、載置部が測定部まで試験紙を搬送するための搬送面を有する搬送機構からなるものである場合にあっては、測定者が試験紙を載置しようとした時に、常に試験紙搬送面を待機状態(試験紙を載置することができる場所が試験紙搬送面に確保されている状態)とし得ることから前記搬送面は、複数の試験紙を載置し得るように巾広に形成し、複数の試験紙を搬送する複数列の試験紙搬送路を形成するのが好ましい(請求項8、9)。
【0025】
前記撮像素子は、リニアイメージセンサであり、該リニアイメージセンサは、試験紙搬送面の幅方向で下方を通過する前記試験紙を撮像し得るように配設することによって、複数の試験紙を同時に連続的に撮像することができる(請求項10)。
【0026】
前記試験紙を搬送する搬送機構は、間欠的に試験紙を搬送し得るように構成するよりも試験紙を連続的に搬送し得るように、即ち、測定中に、試験紙搬送面が間欠的でなく(停止することなく)、一定の速度で動いているように構成するのが、構造が簡単になることから好ましい。更に、搬送面を巾広に形成するのが、複数の搬送列が形成されるので、測定者が自由なタイミングでランダムに載置できることから好ましい(請求項11)。
【0027】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、補正用白色板を配設するのが好ましい(請求項12)。
【0028】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、ランク判定を決定するための色調表を配設することができる(請求項13)。尚、前記色調表をランク判定のしきい値を決定するためのものとするのが好ましい(請求項14)。
【0029】
本発明の測定装置は、試験紙が異なる姿勢で測定部に載置又は搬送されても測定し得る測定装置として、(請求項15)また前記試験紙が尿検査用試験紙である尿検査用試験紙測定装置として好適である(請求項16)。ここで、異なる姿勢とは、試験紙を所定の載置位置(一定の載置方向・位置)に載置する必要がないことを意味し、測定毎に試験紙が異なる姿勢(試験紙の裏返りはないが、それぞれの試験紙の載置方向・位置が一定でない状態)になり得ることを意味する。
【0030】
本発明の測定方法は、試験紙の画像を含むように撮像素子で撮像し、撮像したRGBデジタル画像データをメモリーに転送し、メモリー上の該データから目的試験紙デジタル画像データを、マイクロプロセッサを使用して抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験紙の対応するR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定することを特徴とする(請求項16)。ここで、標準の試験紙のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値とは、既知濃度の被測定物含有試料(スタンダード、キャリブレーター等)を用いた場合の試験紙のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値、或いは所定の装置内部に設定された既知濃度の被測定物含有試料を用いた場合の試験紙と同等の色調表のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値等を意味する。また、R、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値とは、R、G及びB値の少なくとも1つの値自体(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)、R、G及びB値の少なくとも1つの値から換算して得られる値(例えば色度座標での値)等である。
【0031】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙の呈色前後の色とは異なるRGB値を示す色とし、前記試験紙の呈色度合いを基に予め設定したR、G及びB値の少なくとも1つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基にマイクロプロセッサによって、前記試験紙を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験紙の対応するR,G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定することができる(請求項18)。
【0032】
前記試験紙が、プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙である場合は、前記マイクロプロセッサで、前記スティック状試験紙のデジタル画像データを抽出した後、前記呈色試験片のデジタル画像を抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験片の対応するR,G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定するようにするのが好ましい(請求項19)。
【0033】
試験紙を載置する載置面の色を、前記試験紙を構成するスティックの色とは異なるRGB値を示す色とし、前記マイクロプロセッサは、前記試験紙を構成するスティックの色を基に前記試験紙画像を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出し、得られたRGB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験紙のRGB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定することができる(請求項20)。
【0034】
メモリー上の前記デジタル画像は、二値化若しくは濃淡処理を行って検出する目的試験紙画像の外形を明確とし、該外形をエッジサーチして抽出することもできる(請求項21)。
【0035】
前記試験紙の載置面を、測定部まで試験紙を搬送するための搬送機構の搬送面とし、当該搬送機構により前記試験紙を測定部に搬送することもできる(請求項22)。
【0036】
前記撮像素子をリニアイメージセンサとし、該リニアイメージセンサの下を通過する試験紙を連続的に撮像するのが好ましい(請求項23)。
【0037】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、補正用白色板を配設して、前記RGB値の階調補正をするのが好ましい(請求項24)。
【0038】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、色調表を配設してランク判定を行うことができる(請求項25)。尚、色調表を配設してランク判定のしきい値を得、得られたしきい値に基づいてランク判定を行うのが好ましい(請求項26)。
【0039】
前記試験紙の姿勢を自由な姿勢で前記測定部に載置又は測定部に搬送するのが作業が容易となるから(請求項27)、尿検査用試験紙測定方法として好適である(請求項28)。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、載置測定部又は測定部への搬送面に試験紙をどのように置いても支障なく測定できるので、試験紙載置位置の制約が実質的になくなり、測定操作性が著しく向上する。
また、請求項6記載の発明によれば、測定部に複数(列)載置若しくは測定部に複数列で搬送することもできるので、測定者の自由なタイミングで試験紙を載置することができる。
【0041】
本発明で単に試験紙といった場合は、目的の測定を行うための呈色し得る試験片(呈色試験片)そのものと、このような試験片を1片以上有する試験紙全体を含む意味であるが、貼着させた呈色試験片と区別するため試験紙全体のみを意味する場合がある。例えばスティック状試験紙の場合は、この全体の場合と、貼着されている試験片を意味する場合とがある。一工程で試験紙を抽出する場合は、呈色し得る試験片の意味であるが、二工程で抽出する場合は、第一工程はスティック状試験紙であり、第二工程は呈色し得る試験片の意味である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
図1は、本発明の一実施例を示すものであり、試験紙搬送ベルトと直交する細長いCCDリニアイメージセンサ(撮像素子)の下をスティック状試験紙が順次通過するに従って連続的に撮像されるようになっている。
【0044】
CCDリニアイメージセンサは、試験紙搬送ベルトと直交するように構成するのが、試験紙が載置順番どおりにイメージセンサに到達することから好ましい。しかしながら、試験紙が載置順番どおりにイメージセンサに到達しなくても、斜めの交差角度(程度)から、イメージセンサに到達した試験紙の順番を載置した順番に補正可能であれば、イメージセンサをベルトと直交とせずに斜めに交差させても差し支えない。
【0045】
本発明に使用する撮像素子としては、RGBデジタル画像データとして撮像できれば良く、特に限定されない。このようなものとしては、カラーイメージセンサやカラーフィルターと組み合わせたモノクロイメージセンサ等のイメージセンサ、例えばCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、VMISイメージセンサ等が挙げられる。またイメージセンサには、リニアイメージセンサとエリアイメージセンサがあり、本発明には、いずれも使用可能であるが、リニアイメージセンサを使用するのが好ましい。
【0046】
搬送されてくる試験紙の撮像は、連続画面として撮像することも、所定の長さ(範囲)づつ(ページ単位)撮像することもできる。
【0047】
複数の試験紙を同時に搬送する際には、一度に取り扱うことができるメモリー容量等の制限から1枚の試験紙画像データが分割される(即ち、全体の画像が撮像されない試験紙が生じる)場合や、所定の長さ(範囲)ずつ撮像すると、全体の画像が撮像されない試験紙が生じる場合等が考えられる。このような場合には、分割された試験紙の画像データを画像処理で繋いで再構成すればよい。
【0048】
尚、メモリーの容量オーバーとならないように、画像処理・抽出が終わったデータは、順次削除するのが良い。
【0049】
ピクセル座標は、撮像開始と同時に設定され、撮像面積が大きくなるほど、ピクセル座標も大きくなる。画像データは、ピクセル座標とその座標におけるRGB値、即ち、各点におけるRGBの量(強度)を数値で示したもの(階調データ)である。
【0050】
このピクセル座標から、試験紙の単複に関わらず、試験紙の「位置の検出」ができるので、試験紙の載置した順番を検出することができ、画像がどの検体の試験紙か特定できる。
【0051】
検体と測定結果を対応させるのが測定順で、測定順は、検出される試験紙の順番となる。仮に、複数の試験紙の先頭が完全に一致する場合、装置は検体と測定結果とを対応させることができなくなる。しかしながら、試験紙を取り出し、試料に浸漬し、装置に載置するのに5〜8秒を要するので、試験紙の先頭が完全に一致する場合は通常考えられない。試験紙の先頭が完全に一致した場合、何か異常が発生したことが考えられるので、エラーメッセージを出して状況の確認、再測定を行うようにすると良い。
【0052】
上記は図1等に示すように複数の試験紙を長辺方向に搬送する場合であり、1枚の試験紙の場合、試験紙の先頭位置の比較とか、試験紙が載置された順番の決定は、不要である。また、横置きにして搬送する場合、検出・測定機構に複数の試験紙が同時に入って来ることはなく、先に載置した試験紙の測定が終了してから、次の試験紙が検出・測定機構に入ってくるので、先頭位置の検出は不要である。
【0053】
種類の異なる試験紙を同時に測定する場合は、試験紙の種類を判別する必要がある。試験紙の種類の決定は、次の三法のいずれかによって行うことができる。
(1)呈色試験片数または/および呈色試験片の色から試験紙の種類を決定
呈色試験片数は、取得した試験紙画像の二値化処理或いはエッジサーチにより取得することができる。呈色試験片数が同じ試験紙が2種類以上ある場合、試験紙の種類によって色の異なる呈色試験片の色を検出して種類を決定する。また、複数の呈色試験片を有する試験紙の場合には、呈色試験片の数と、呈色試験片の色(呈色前の色又は/及び呈色後の色)の組合せ(配列)とを検出し、これと、予め記憶させておいた試験紙の種類に応じた呈色試験片の数と呈色試験片の色の組合せ(配列)とを照合することにより、試験紙の種類の特定及び試験紙の方向の検出も行うことができる。
(2)予め記録された試験紙の呈色試験片の画像パターンと比較して試験紙の種類を決定
また、スティック状試験紙の場合、ピクセル座標の画像のR、G及びB値の少なくとも1つの値から試験紙ベースの手持ち部分を検知することができ、搬送されてきた試験紙の方向の検出ができる。このようにして、試験紙の先頭部分(手持ち部分の反対端)が検知できるから、試験紙の種類がわかっている場合は、この先頭部分から特定の位置にある呈色試験片の順番も検出できる。この順番から試験片の種類を特定できる。
(3)予め記憶された試験紙の種類と試験紙のマークとの対応関係に照合して試験紙の種類を決定
試験紙ベース等に試験紙の種類に応じた特定のマーク(印)を付しておき、当該マークと試験紙の種類との対応関係(どのマークがどの種類の試験紙であるのか)を予め記憶させておけば、搬送されてきた試験紙に付されているマークを検出し、これを予め記憶されている当該マークと試験紙の種類との対応関係と照合することにより、搬送されてきた試験紙の種類を特定することができる。また、同様に試験紙の方向の検出も可能である。
尚、上記(1)〜(3)の試験紙の種類を判別する方法は、種類の異なる試験紙を同時に測定する場合だけでなく、一種類(単一)の試験紙を測定する場合にも利用できる。即ち、上記の判別方法を行えば、装置に自動的に試験紙の種類の判別・特定を行わせることができ、測定者が予め装置に使用する試験紙の種類を入力する必要がなくなる。
【0054】
また、試験紙、呈色試験片の大きさは予め判っているので、ピクセル座標から、検出した試験紙、呈色試験片の大きさを確認して、検出が正確に行われていることのチェックができる。
【0055】
更に、ピクセル座標の画像のRGB値から、試料の含浸が不均一で起こる不均一反応、非溶血検体による不均一反応等の異常反応の検出をすることができる。
従来法での反射率測定の場合、不均一反応であっても試験片全体の反射率データしか得られないので、不均一反応は検出できないが、本発明では、試験紙(呈色試験片)全体の各ピクセル座標における多数のRGB値データが得られるので、このRGB値のデータの不均一性から不均一反応を検出できる。
【0056】
また、反射率を測定する従来法では色の識別ができないので、異常反応が検出できないが、本発明の場合、色を識別するので、正常反応で得られる呈色結果をRGB値のデータ若しくは色座標データとして予め登録しておけば、それ以外のものを異常反応として検出できる。
【0057】
図2に、撮像後の画像処理工程をブロック図で示す。
マイクロプロセッサは、プログラムを読み込み、次にプログラムの指示に従ってメモリーなどの記憶装置からデータを受け取り、データをプログラム通りに演算・加工した上でメモリーなどの記憶装置やディスプレイ(表示装置)などの出力装置に送る、という処理を行う。
【0058】
本発明の場合、マイクロプロセッサは、イメージセンサ(入力装置)から撮像した画像のRGB値データをメモリーに保管した後に、画像処理と定量・ランク判定を行い、ディスプレイに表示したり、プリンター(出力装置)で印刷する。
【0059】
イメージセンサ、マイクロプロセッサ及びメモリーの接続方法としては、例えば、図3(A)に示すフレーム・バッファー方式と図3(B)に示すFIFO方式とが挙げられる。
【0060】
フレーム・バッファー方式は、イメージセンサからの画像を制御ロジックによってメモリーに保存し、メモリーの画像を制御ロジックを介して、マイクロプロセッサが画像処理する。
【0061】
FIFO方式は、マイクロプロセッサによってイメージセンサからの画像をFIFOメモリーに保存し、FIFOメモリーの画像をマイクロプロセッサによって画像処理する。
【0062】
上記いずれの方式においても、「抽出」などの画像処理と「定量・ランクの判定」は、メモリーのデータを参照しながら、マイクロプロセッサが行う。例えば、「抽出」は、メモリーに記憶された「全体画像」(試験紙の画像と背景である搬送ベルト等の画像を含む)からマイクロプロセッサが「試験紙画像」を抽出して、抽出した画像を、例えばメモリー上の別の領域に記憶させる。この段階で「全体画像」が不要になる場合(例えば、全体画像に複数の試験紙画像がある場合で、最後の試験紙画像が抽出された場合)は、「全体画像」は、メモリーから消去され、解放されたメモリーは次の処理に使用される。「定量・ランクの判定」は、測定した呈色試験片から得たRGB値の少なくとも1つの値に基づく値のデータを、予め設定されていて所定のメモリー領域に記憶されているRGB値の少なくとも1つの値に基づくデータと比較して行う。
【0063】
次に、スティック状試験紙の場合の本発明の具体的測定法を説明する。
【0064】
イメージセンサは、撮像した画像のRGB値(デジタル)データをメモリーに転送し、メモリーに転送されてきた画像データは、メモリー上で静止している。この状態で試験紙の先頭端(又は/及び後端)はわかる。
【0065】
次に、メモリー上で画像処理、抽出を行う具体的方法を説明する。メモリー上の画像は、マイクロプロセッサによって、次のように画像処理プログラムで処理されて、目的画像の抽出、定量或いはランク判定を行う。
【0066】
(1)メモリー上の画像データを、例えば「白黒二値化処理」、「白黒濃淡処理(グレー処理)」、「カラー二値化処理」、「カラー濃淡処理」のいずれかの処理を行った後、エッジサーチを行う。
【0067】
(2)検出したエッジを基に認識した部分画像(試験紙全体)を予め登録されている試験紙の画像データと比較して、試験紙の画像部分を検出し、抽出する。このようにして抽出したスティック状試験紙の画像も、メモリーに保存される。
【0068】
(3)メモリー上のスティック状試験紙の画像データを、例えば「白黒二値化処理」、「白黒濃淡処理(グレー処理)」、「カラー二値化処理」、「カラー濃淡処理」のいずれかの処理を行った後、呈色試験片についてのエッジサーチを行う。
【0069】
(4)検出したエッジを基に認識した部分画像を、予め登録されている呈色試験片の画像データと比較して、呈色試験片の画像部分を検出し、抽出し、メモリーに保存する。
【0070】
(5)抽出した呈色試験片の数・特徴的な色の配列から試験紙の種類を決定して、各呈色試験片の検査項目を決定する。
【0071】
(6)次に、定量又はランク判定を行う。この定量及びランク判定は、いわゆるR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を用いて行われる。各検査項目の測定結果を、抽出した画像のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、それに対応し基準となるR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と濃度との関係を使用して、濃度算出あるいは、ランク判定を行う。
ここで、R、G及びB値の少なくとも1つの値とは、R、G及びBから選ばれる1つ以上の値である。即ち、本発明の定量及びランク判定においては、R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値(RとG、RとB、GとB)、或いはR、G及びBのうちの1種の値(R、G又はB)のどれを用いて行ってもよい。
また、R、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値とは、R、G及びB値の少なくとも1つの値自体(R、G及びBの3種全ての値、R、G及びBのうちの2種の値又はR、G及びBのうちの1種の値)、RGB値の少なくとも1つの値から換算して得られる各種の値を意味し、具体的には、R、G及びB値の少なくとも1つの値自体、R、G及びB値の少なくとも1つの値から換算して得られる色度座標での値等である。尚、当該色度座標での値以外にも、R、G及びB値の少なくとも1つの値から換算して得られる値は全て包含される。
具体的には、例えば下記に記載の(a)〜(f)の方法で定量あるいはランク判定を行う。
(a)抽出した画像のR、G及びB値の少なくとも1つの値から、それと対応し記憶しているR、G及びB値の少なくとも1つの値と濃度の関係を使用して、濃度算出あるいは、ランク判定をする。
(b)抽出した画像のR、G及びB値の少なくとも1つの値から、それと対応する色調表(標準)のR、G及びB値の少なくとも1つの値と濃度の関係を使用して、濃度を算出あるいは、ランク判定をする。
(c)抽出した画像のR、G及びB値の少なくとも1つの値から、既知濃度の分析対象物を含有する標準液等を用いて同様に測定した呈色試験片(対照)から得た、対応するRGB値の少なくとも1つの値と濃度の関係を使用して、濃度を算出あるいは、ランク判定をする。
(d)抽出した画像のR、G及びB値を色度座標のパラメーターに変換して、得られた色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と、それと対応し記憶している色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と濃度の関係から、濃度算出あるいは、ランク判定をする。
(e)抽出した画像のR、G及びB値を色度座標のパラメーターに変換して、得られた色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と、それと対応する色調表(標準)の色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と濃度の関係から、濃度算出あるいは、ランク判定をする。
(f)抽出した画像のR、G及びB値を色度座標のパラメーターに変換して、得られた色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と、既知濃度の分析対象物を含有する標準液等を用いて同様に測定した呈色試験片(対照)から得た、それと対応する色度座標のパラメーターのうちの少なくとも1つの値と濃度の関係から、濃度算出あるいは、ランク判定をする。
尚、上記標準液としては、通常、異なる濃度を含有する複数の標準液が使用される。また、本発明における定量及びランク判定は、上記の(a)〜(f)の方法に限定されるわけではない。
【0072】
上記実施例では、2度抽出を行っているが、呈色試験片の部分だけ一度抽出して行っても差し支えない。しかしながら、2度抽出すると何らかのトラブルで載置した試験紙が裏返ってしまった場合に、これを検出できることから好ましい。
【0073】
即ち、呈色試験片だけを検出・抽出する場合、裏返った試験紙は検出されず、装置の検出系からは透明状態となる。したがって、検体と対応する検査結果がずれる。
上記実施例のように「試験紙の検出・抽出」、「呈色試験片の検出・抽出」の2段階で行うと、
(試験紙全体を検出・抽出)+(呈色試験片が無い)→「試験紙の裏返り」
と試験紙の裏返りを検出できる。
R、G及びB値の色度座標データへの変換はマイクロプロセッサが行う。R、G及びB値の色度座標への変換は、公知の方法で行えば良い。例えば、R、G及びB値を、γ補正を経て三刺激値XYZに変換し、この三刺激値XYZから、各種表色系のパラメータに変換すればよい。尚、R、G及びB値の少なくとも1つの値を色度座標での値以外に換算する場合も、通常はマイクロプロセッサが行う。
【0074】
画像データ上の抽出目的試験紙(又は/及び呈色試験片)の画像データを検出するには、画像データ上の抽出目的試験紙(又は/及び呈色試験片)の画像データと、予め記憶させておいた標準となる試験紙(又は/及び呈色試験片)と比較してもよい。即ち、抽出目的試験紙(又は/及び呈色試験片)の画像データと標準となる試験紙(又は/及び呈色試験片)の画像データとが一致するように、両者の一方又は両方の画像データをピクセル座標上で移動処理や回転処理等を行い、一致した画像部分を検出する。しかし、試験紙の方向がばらばらでも、画像処理によって、RGB値データを読むべき試験紙(呈色試験片)部分のピクセル座標が決められるので、目的のRGBデータを取得する際に位置補正は行わなくとも良い。
【0075】
試験紙を載置するベルト(搬送面)のR、G及びB値の少なくとも1つの値(A)を、それと対応する、スティック状試験紙のスティックのR、G及びB値の少なくとも1つの値(B)及び対応する、呈色試験片および呈色した呈色試験片のR、G及びB値の少なくとも1つの値(C)と異なる値にすることにより、二値化若しくは濃淡処理、エッジ処理を行わなくても、試験紙・呈色試験片と背景のベルトを含む全体の画像から、試験紙・呈色試験片を検出し、抽出することができる。尚、直接呈色試験片を抽出する場合は、スティック状試験紙のスティックのR、G及びB値のいずれも、載置するベルト(搬送面)のR、G及びB値のいずれの値と同じであっても良い。
【0076】
図4は、黒色のベルトでスティック状尿試験紙を測定する場合の実施例を示すものである。
【0077】
黒は、RGB値を0〜255の256階調で表現した場合、R=0、G=0、B=0となることから、紙験紙・呈色試験片の検出・抽出には、ベルトを黒色とするのが最も好ましい。スティック状尿試験紙は、通常白いプラスチックのベースに1〜10項目の呈色試験片を貼り付けている。白はR=255、G=255、B=255となるから、ベルトの画像データはR=0、G=0、B=0となり、試験紙のベースはR=255、G=255、B=255となる。
【0078】
呈色試験片の色と呈色して出現する色のRGB値が50〜200の範囲である場合、例えば、RGB値の下限のしきい値を25、上限のしきい値を225に設定することにより、呈色試験片の画像をエッジ処理することなく検出し、抽出することができる。尚。下限のしきい値は、25より小さく、0より大きければ良く、上限のしきい値は200より大きく255より小さければよい。検出・抽出する画像のRGBをゼロより大きく、50より小さい値、例えば、R>25、G>25、B>25とした場合、スティック状試験紙のスティックを含む全体が検出・抽出できる。
【0079】
試験紙全体を検出・抽出した後、それぞれの試験片をメモリーに別々に記憶させ、上記と同様にそれぞれ標準と比べて濃度測定(定量)又はランク判定をする。
【0080】
呈色試験片の色と呈色して出現する色のR、G及びB値の少なくとも1つの値が、試験片により全て異なる場合は、別々に試験片を検出・抽出することができる。抽出した試験片は、それぞれ別々にメモリーに記憶させ、同様にそれぞれ標準と比べて濃度測定(定量)又はランク判定をする。
【0081】
載置面のR、G及びB値(A)、スティックのR、G及びB値(B)及び呈色試験紙片及び呈色した試験紙片のR、G及びB値(C)の全てが完全に同一の場合は、しきい値の設定は出来ない。しかし、(A)と(B)が完全に同じでも(C)のR、G及びB値の少なくとも一つの値が異なれば、上記と同様にしきい値を設定することができる。現行のスティック状尿試験紙の場合は、複数の呈色試験片のRGB値は、全て異なるので、ベルトと同じ呈色試験片は、1個より多くなることはない。
【0082】
イメージセンサを用いて測定する場合、撮像した画像には、反射率測定等の従来法よりも大きな範囲のデータが採取され、その中から必要な部分を選択して対象成分の濃度を算出(定量)又はランクを判定する。撮像した画像のどの部分を使用して濃度算出(定量)又はランク判定するかは、撮像後の画像処理によって決定されるので、撮像時には不明である。従って、撮像範囲全体の均一照明が非常に重要である。
【0083】
図5に示す実施例においては、リニアイメージセンサの前方に搬送ベルトと直交して細長い光源が設けられている。この光源は、発光面がライン状になったライン照明である。この照明は、斜光照明(暗視野照明)であり、光を斜めから当てる方法である。
【0084】
図6に示す実施例では、リニアイメージセンサを細長い光源(ライン照明)で挟むように配置している。このように構成することにより、測定部の均一照明範囲をより大きくすることができる。
【0085】
これは、図9(B)に示す斜光照明(暗視野照明)に相当し、光源は撮像対象物に進行方向前方と後方から斜めに当たるようになっている。ライン照明は、リニアイメージセンサで撮像するのに適している。
【0086】
図7に示す実施例においては、イメージセンサの上方に、発光面がリング状になったリング照明(リングの直径がイメージセンサよりも大きい)で広範囲に照明する例を示す。
【0087】
図8に示す実施例は、図9(A)に示す同軸落射照明(明視野照明)で撮像対象物を照明する例を示す。
細長い光源(ライン照明)をリニアイメージセンサの前方に位置させ、イメージセンサと撮像対象物との間にハーフミラーを入れて、カメラの撮像面と同じ方向から照射するようにしている。
【0088】
上記リング照明及びライン照明に利用できる光源としては、例えば、ハロゲンランプ、LED、蛍光灯、タングステンランプ、メタルハライド及びキセノンランプ等が挙げられる。
【0089】
光源・イメージセンサの経時的劣化、ロット間差、温度等の環境条件による状態変化によるデータの変動、装置間差等を補正するため、補正用白色板及び/又は色調表を具備するのが好ましい。
【0090】
図10は、イメージセンサ及びこれを挟む光源の搬送ベルト側端よりも突出している部分の光源の下方に、補正用白色板及び色調表を配設した例を示す。
【0091】
白色板は、RGB値の階調(256階調)補正(ホワイトバランス)に使用し、色調表はランク判定を決定するための標準として使用する。尚、具体的には、この色調表はランク判定のしきい値を得るために使用される。
【0092】
「補正用白色板」を用いた階調補正(ホワイトバランス)の手順は、(1)白色板測定時のRGB値の階調を255とし、(2)光源を点灯していないときのRGB値の階調を0とすればよい。
【0093】
この補正は検体測定直前に行うのが良いが、検出・測定機構の光学特性が安定であれば、補正値の変動が殆ど無いので、装置の電源投入時に補正を行い、検体測定毎の補正は行わず、例えば、安定性が1日間継続するので、そのまま一日測定することもできる。
【0094】
「色調表」を用いたランク判定の手順は、(1)呈色した呈色試験片のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を読み取り、(2)その後(あるいはその前に)、しきい値相当の呈色と同等の色調表のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を読み取り、(3)呈色した呈色試験片と色調表のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を比較することにより、ランク判定を行う。
【0095】
検出・測定機構からの光学特性が安定であれば、色調表からの読み取り値の変動が殆ど無いので、装置の電源投入時に全項目の全ランクのしきい値を読み込み、検体測定毎の色調表読み取りは行わず、例えば色調表からの読み取り値が1日間安定であるので、そのまま一日測定することもできる。
【0096】
「補正用白色板」、「色調表」の設置場所は、試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所であれば、装置内のどこに設置してもよい。この条件を満たす最も好都合な場所は、試験紙の測定場所のすぐ近くである。しかしながら、試料の付着した試験紙による「補正用白色板」、「色調表」の汚染を防ぐ為に、上記照明条件を満たす場所で、イメージセンサの方向を変更可能であれば、試験紙の測定場所のすぐ近くでなくてもよい。
【0097】
図1、図5〜図8、図10に示すように、試験紙の長辺方向に搬送する場合は、試験紙を取り出し、試料に浸漬し、装置(搬送面)に載置するのに5〜8秒を要するので、5列であれば、1検体目(1本目の試験紙)を載置してから6検体目(6本目の試験紙)を載置するまでに25〜40秒要する。試験紙の長さを10cmとすれば、25〜40秒間に10cm以上搬送すれば、常に試験紙を載置する場所を確保できる。従って、この搬送速度で、タイミングの制約無く、試験紙を載置することができる。
図1、図5〜図8、図10では、5本の試験紙を載置する場合を示しているが、本発明の装置に係る試験紙搬送面(搬送ベルト)の幅、搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、一般に以下のように設定すればよい。
試験紙搬送面(搬送ベルト)の幅は、目的とする数の試験紙を重ねずに載置できるような幅とすればよい。具体的には、試験紙1本(1検体)当たりの試験紙搬送面(搬送ベルト)の部分(割り当て部分)が、試験紙(1本)の短辺方向の幅の2〜5倍、好ましくは3〜4倍となるように、試験紙搬送面(搬送ベルト)の全体の幅を設定すればよい。n本(検体)の試験紙を試験紙搬送面(搬送ベルト)に載置させる場合は、試験紙1本(1検体)当たりの試験紙搬送面(搬送ベルト)の部分(割り当て部分)が試験紙(1本)の短辺方向の幅(Ycm)の2〜5倍、好ましくは3〜4倍(即ち2×Ycm〜5×Ycm、好ましくは3×Ycm〜4×Ycm)であって、試験紙搬送面(搬送ベルト)の全体の幅が試験紙(1本)の短辺方向の幅(Ycm)のn×2〜n×5倍、好ましくはn×3〜n×4倍(即ち2×n×Ycm〜5×n×Ycm、好ましくは3×n×Ycm〜4×n×Ycm)である。例えば、幅0.5cmの試験紙を5本載置する場合には、試験紙1本当たりの試験紙搬送面の割り当て部分は1.0cm〜2.5cm、好ましくは1.5cm〜2.0cmで、試験紙搬送面全体の幅は5.0cm〜12.5cm、好ましくは7.5cm〜10.0cmとなる。
尚、試験紙搬送面(搬送ベルト)に載置させる試験紙の数(本数)は特に限定されないが、通常1〜10本、好ましくは2〜8本、より好ましくは4〜6であり、装置の大きさが大きくならないので5本程度が特に好ましい。
また、試験紙搬送面(搬送ベルト)には、試験紙を載置する位置の目安となるように、試験紙1本(1検体)当たりの試験紙搬送面(搬送ベルト)の部分(割り当て部分)の境界に、例えば区切り線が描かれていても、仕切等を有していても良い。尚、これら区切り線や仕切等はあくまでも試験紙載置位置の目安であって、個々の試験紙をこれら区切り線や仕切等の内側に必ず載置させる必要はない。
【0098】
また、試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、設定された数(本数)の試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置し、次の新たな試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置させるときに、最初に載置した試験紙の後方の搬送面(搬送ベルト)部分に新たな試験紙を載置し得る場所が確保できるような速度、換言すれば、設定された数(本数)より1つ(本)多い試験紙を載置するまでの時間と同じかあるいはその時間内に試験紙の長辺方向の長さと同じかあるいはその長さ以上の距離を搬送できるような速度で搬送面(搬送ベルト)を搬送させればよい。n本(検体)の試験紙を試験紙搬送面(搬送ベルト)に載置させる場合は、上記したように、1本(検体)の試験紙を取り出し、試料に浸漬し、装置(搬送面)に載置するのに通常5〜8秒を要するので、1本目の試験紙を載置してからn+1本目の試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置させるまでに5×n〜8×n秒要することとなる。試験紙の長辺方向の長さをXcmとすれば、この5×n〜8×n秒間にXcm以上搬送すれば、n+1本目の試験紙を載置する場所が確保でき、常に試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置することができる。従って、試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、X/(8×n)〜X/(5×n)cm/秒以上となる。尚、搬送速度を速くすると確実に試験紙の載置場所を確保することができるが、あまり速くすると試験紙搬送面(搬送ベルト)の全長が長くなり、装置が大きくなったり、また、測定者が試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置することが困難となるので、上限は4×X/(8×n)〜4×X/(5×n)cm/秒以下、好ましくは3×X/(8×n)〜3×X/(5×n)cm/秒以下、より好ましくは2×X/(8×n)〜2×X/(5×n)cm/秒以下である。例えば、長辺方向の長さが11cmである試験紙を5本載置する場合には、試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、下限が0.27〜0.44cm/秒以上であって、上限が1.1〜1.76cm/秒以下、好ましくは0.82〜1.32cm/秒、より好ましくは0.55〜0.88cm/秒以下である。
【0099】
また、試験紙の短辺方向(横置き)に搬送することも可能である。
この場合の試験紙搬送面(搬送ベルト)の幅は、試験紙を安定した状態で載置・搬送し得る幅とすればよい。具体的には、下限は試験紙の長辺方向の長さの1/2以上であって、試験紙に貼着された試験片の長さ以上であり、上限は特に限定されないが、試験紙の長辺方向の長さの1.5倍以下、好ましくは1倍以下、より好ましくは1倍未満である。試験紙搬送面(搬送ベルト)の幅が短すぎると試験紙を安定して載置・搬送できないおそれがあるが、あまり長すぎると測定者が試験紙を載置するのが困難となるので、試験紙の長辺方向の長さより若干短い幅とするのがよい。
試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、1本の試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置し、次の新たな試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置させるときに、新たな試験紙を載置し得る場所が確保できるような速度、換言すれば、1本目の試験紙を載置してから2本目の試験紙を載置するまでの時間と同じかあるいはその時間内に試験紙の短辺方向の長さと同じかあるいはその長さ以上の距離を搬送できるような速度で搬送面(搬送ベルト)を搬送させればよい。好ましくは試験紙(1本)の短辺方向の幅の2〜5倍、より好ましくは3〜4倍の距離を搬送できるような速度で搬送面(搬送ベルト)を搬送させればよい。上記したように、1本(検体)の試験紙を取り出し、試料に浸漬し、装置(搬送面)に載置するのに通常5〜8秒を要するので、1本目の試験紙を載置してから2本目の試験紙を載置するまでの時間も通常5〜8秒を要する。試験紙の短辺方向の長さをYcmとすれば、この5〜8秒間にYcm以上搬送すれば、2本目の試験紙を載置する場所が確保でき、常に試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置することができる。従って、試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、Y/8〜Y/5cm/秒以上であり、好ましくは試験紙(1本)の短辺方向の幅の2×Y/8〜2×Y/5cm/秒、より好ましくは3×Y/8〜3×Y/5cm/秒、更に好ましくは4×Y/8〜4×Y/5cm/秒、特に好ましくは5×Y/8〜5×Y/5cm/秒である。尚、搬送速度を速くすると確実に試験紙の載置場所を確保することができるが、あまり速くすると試験紙搬送面(搬送ベルト)の全長が長くなり、装置が大きくなったり、また、測定者が試験紙を搬送面(搬送ベルト)に載置することが困難となる。例えば、短辺方向の長さが0.5cmである試験紙を載置する場合には、試験紙搬送面(搬送ベルト)の搬送速度は、0.06〜0.1cm/秒以上であって、好ましくは0.12〜0.2cm/秒、より好ましくは0.18〜0.3cm/秒、更に好ましくは0.25〜0.4cm/秒、特に好ましくは0.31〜0.5 cm/秒である。従って、このようにすればこの搬送速度で、タイミングの制約無く試験紙を載置することができる。
試験紙搬送面(搬送ベルト)には、試験紙を載置する位置の目安となるように、試験紙1本(1検体)当たりの試験紙搬送面(搬送ベルト)の部分(割り当て部分)(この場合には、上記した如き次の試験紙を載置するまでに移動する搬送距離)の境界に、例えば区切り線が描かれていても、仕切等を有していても良い。尚、これら区切り線や仕切等はあくまでも試験紙載置位置の目安であって、個々の試験紙をこれら区切り線や仕切等の内側に必ず載置させる必要はない。
尚、上記の実施態様は、試験紙の長辺方向に搬送する場合及び試験紙の短辺方向(横置き)に搬送する場合であるが、本発明においては、試験紙を斜めに載置・搬送することも可能であり、その場合には、試験紙搬送面(搬送ベルト)の幅や搬送速度等は上記に準じて適宜設定すればよい。
【0100】
上記したように、いずれの場合も連続的に搬送する場合は勿論のこと、間欠的であっても、通常のベルトの速度で、測定者が試験紙を載置しようとするときは、常に試験紙の無い状態とすることができるが、本発明においては連続的に搬送するのが好ましい。
【0101】
尚、上記の実施例は、装置と一体となった載置部として、搬送機構からなる載置部を有する測定装置に関するものであるが、装置と別体となった載置部を有する測定装置についても、上記実施例に従って実施することができる。 図11及び12に、装置と別体となっている載置部を有する本発明の実施例を示す。
図11は、リング状の光源と、該光源の中心部に位置するイメージセンサとを内装した装置を、試験紙載置場所上の試験紙を覆うように載置した例を示す。
上記実施例では、スティック状試験紙を使用しているので、全ての呈色試験片が覆われるようにすれば良く、手持ち部分は覆われていなくとも良い。要するに、試験紙を含む(この意味は前述したとおり)ように撮像できれば良い。
試験紙載置場所としては、実験台等の測定用台上で良く、該台上に紙などの吸湿性材料を置いて、その上に試験紙を載置するのが好ましい。このようにすると、装置自体は試料に全く接触しないので、装置の試料による汚染を回避することができると共に、余分の試料は吸湿性材料に吸収されるので、清掃、メンテナンスの負担を軽減することができる。
図12は、棒状の光源と、該光源に近接して巾方向に略平行に位置するイメージセンサとを内装した装置を、試験紙載置場所上の試験紙を覆うように載置した例を示す。尚、この実施例では、イメージセンサを、光源の巾方向に略平行に位置させているが、特にこれに限定されない。
試験紙載置場所は、測定装置の一部として、即ち、測定装置の底面に着脱し得るように嵌合する底板として、開閉し得るような底板として、又は一体とした底板として形成しても良い。しかしながら、メンテナンスの負担を軽減し且つ安価に形成できることから、図11及び図12の実施例のように装置とは別体とするのが好ましい。
図11の測定装置は、複数の試験紙を同時に撮像可能な面積を有するので複数試験紙を同時に測定できるが、図12の測定装置は、一枚づつ測定するための装置であるので、試験紙一枚分しか撮像可能な面積がないようになっている。
図11及び図12の試験紙を使用して測定するには、試料を供試(滴下又は浸漬)した試験紙上に装置を載置して、所定の反応時間後にイメージセンサで撮像し、前記実施例と同様にして、画像のRGB値データをメモリーに保管した後に、画像処理と定量・ランク判定を行い、ディスプレイに表示したり、プリンター(出力装置)で印刷する。
尚、図11及び図12に示したように、装置と別体となっている載置部として、例えば机や適当な紙、板等の上面等、任意なものを載置部とした場合、これらの上面(載置面)の色も、前述と同様の色とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の一実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図2】本発明の装置構成の実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明のメモリーの接続を示す(A)フレーム・バッファ方式(B)FIFO方式、のブロック図である。
【図4】本発明のしきい値での抽出を説明する図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図9】本発明に使用する(A)同軸落射照明(B)射光照明、の側面図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す(A)平面図、(B)側面図である。
【図11】本発明の他の実施例を示す(A)上面透視図、(B)前面透視図である。
【図12】本発明の他の実施例を示す(A)上面透視図、(B)前面透視図、(C)内部図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験紙を含むように撮像する撮像素子と、撮像したRGBデジタル画像データを格納するメモリーと、メモリー上の該データから目的試験紙のデジタル画像データを抽出するマイクロプロセッサと、を具備することを特徴とする試験紙測定装置。
【請求項2】
前記試験紙を載置する載置面を、前記試験紙の呈色前後の色とは異なるRGB値を示すように形成し、前記マイクロプロセッサは、前記試験紙の呈色前後の色とは異なるR、G及びB値の少なくとも1つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基に前記試験紙を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備する請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記試験紙が、プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙であり、前記マイクロプロセッサは、前記スティック状試験紙のデジタル画像データを抽出した後、前記呈色試験片のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備する請求項1記載の測定装置。
【請求項4】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙を構成するスティックの色とは異なるRGB値を示すように形成し、前記マイクロプロセッサは、前記試験紙を構成するスティックの色のR、G及びB値の少なくとも1つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基に前記試験紙画像を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備する請求項3記載の測定装置。
【請求項5】
前記マイクロプロセッサは、前記メモリー上の抽出目的試験紙画像の外形を明確にするための二値化若しくは濃淡処理を行うプログラムと、前記目的試験紙画像の外形をエッジサーチするプログラムと、を具備する請求項1又は3に記載の測定装置。
【請求項6】
装置とは別体として若しくは一体として、試験紙を載置する載置面を有する載置部を測定部に具備する請求項1〜5のいずれかに記載の測定装置。
【請求項7】
試験紙を載置する載置面が、測定部まで試験紙を搬送するための搬送機構における搬送面となるものである、請求項1〜5のいずれかに記載の測定装置。
【請求項8】
試験紙を載置する載置面は、複数の試験紙を載置し得るように巾広に形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の測定装置。
【請求項9】
前記搬送面には、複数の試験紙を搬送する複数列の試験紙搬送路が形成されている請求項8記載の測定装置。
【請求項10】
前記撮像素子は、リニアイメージセンサであり、該リニアイメージセンサは、試験紙搬送面の幅方向で下方を通過する前記試験紙を撮像し得るように配設されている請求項7又は9記載の測定装置。
【請求項11】
前記試験紙を搬送する搬送機構は、試験紙を連続的に搬送し得るように構成されている請求項7又は9記載の測定装置。
【請求項12】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、補正用白色板を配設する請求項1〜11のいずれかに記載の測定装置。
【請求項13】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、ランク判定を決定するための色調表を配設する請求項1〜12のいずれかに記載の測定装置。
【請求項14】
前記色調表が、ランク判定のしきい値を決定するためのものである請求項13記載の測定装置。
【請求項15】
試験紙が異なる姿勢で測定部に載置又は測定部に搬送されても測定し得る請求項1〜14のいずれかに記載の測定装置。
【請求項16】
前記試験紙は尿検査用試験紙である請求項1〜15のいずれかに記載の測定装置。
【請求項17】
試験紙の画像を含むように撮像素子で撮像し、撮像したRGBデジタル画像データをメモリーに転送し、メモリー上の該データから目的試験紙デジタル画像データを、マイクロプロセッサを使用して抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験紙の対応するR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定することを特徴とする試験紙測定方法。
【請求項18】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙の呈色前後の色とは異なるRGB値を示す色とし、前記試験紙の呈色度合いを基に予め設定したR、G及びB値の少なくとも1つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基に、マイクロプロセッサによって前記試験紙を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験紙の対応するR,G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定する請求項17記載の測定方法。
【請求項19】
前記試験紙が、プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙であり、前記マイクロプロセッサで、スティック状試験紙のデジタル画像データを抽出した後、前記呈色試験片のデジタル画像を抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験片の対応するR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定する請求項17記載の測定方法。
【請求項20】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙を構成するスティックの色とは異なるRGB値を示す色とし、前記マイクロプロセッサは、前記試験紙を構成するスティックの色を基に前記試験紙画像を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出し、更に、呈色試験片のデジタル画像データを抽出した後、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている対応する標準の試験紙のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定する請求項19記載の測定方法。
【請求項21】
メモリー上の前記試験紙のデジタル画像は、二値化若しくは濃淡処理を行って抽出目的試験紙画像の外形を明確とし、該外形をエッジサーチして抽出する請求項17及び19に記載の測定方法。
【請求項22】
前記試験紙の載置面が、測定部まで試験紙を搬送するための搬送機構の搬送面である、請求項16〜20のいずれかに記載の測定方法。
【請求項23】
前記撮像素子はリニアイメージセンサであり、該リニアイメージセンサの下を通過する試験紙を連続的に撮像する請求項17〜22のいずれかに記載の測定方法。
【請求項24】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、補正用白色板を配設して、前記RGB値の階調補正をする請求項17〜23のいずれかに記載の測定方法。
【請求項25】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、色調表を配設してランク判定を行う請求項17〜24のいずれかに記載の測定方法。
【請求項26】
前記色調表を配設してランク判定のしきい値を得る請求項25記載の測定方法。
【請求項27】
前記試験紙を、自由な姿勢で前記測定部に載置又は測定部に搬送する搬送面に載置する請求項17〜26のいずれかに記載の測定方法。
【請求項28】
前記試験紙は尿検査用試験紙である請求項17〜27のいずれかに記載の測定方法。
【請求項1】
試験紙を含むように撮像する撮像素子と、撮像したRGBデジタル画像データを格納するメモリーと、メモリー上の該データから目的試験紙のデジタル画像データを抽出するマイクロプロセッサと、を具備することを特徴とする試験紙測定装置。
【請求項2】
前記試験紙を載置する載置面を、前記試験紙の呈色前後の色とは異なるRGB値を示すように形成し、前記マイクロプロセッサは、前記試験紙の呈色前後の色とは異なるR、G及びB値の少なくとも1つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基に前記試験紙を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備する請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記試験紙が、プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙であり、前記マイクロプロセッサは、前記スティック状試験紙のデジタル画像データを抽出した後、前記呈色試験片のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備する請求項1記載の測定装置。
【請求項4】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙を構成するスティックの色とは異なるRGB値を示すように形成し、前記マイクロプロセッサは、前記試験紙を構成するスティックの色のR、G及びB値の少なくとも1つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基に前記試験紙画像を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出するプログラムを具備する請求項3記載の測定装置。
【請求項5】
前記マイクロプロセッサは、前記メモリー上の抽出目的試験紙画像の外形を明確にするための二値化若しくは濃淡処理を行うプログラムと、前記目的試験紙画像の外形をエッジサーチするプログラムと、を具備する請求項1又は3に記載の測定装置。
【請求項6】
装置とは別体として若しくは一体として、試験紙を載置する載置面を有する載置部を測定部に具備する請求項1〜5のいずれかに記載の測定装置。
【請求項7】
試験紙を載置する載置面が、測定部まで試験紙を搬送するための搬送機構における搬送面となるものである、請求項1〜5のいずれかに記載の測定装置。
【請求項8】
試験紙を載置する載置面は、複数の試験紙を載置し得るように巾広に形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の測定装置。
【請求項9】
前記搬送面には、複数の試験紙を搬送する複数列の試験紙搬送路が形成されている請求項8記載の測定装置。
【請求項10】
前記撮像素子は、リニアイメージセンサであり、該リニアイメージセンサは、試験紙搬送面の幅方向で下方を通過する前記試験紙を撮像し得るように配設されている請求項7又は9記載の測定装置。
【請求項11】
前記試験紙を搬送する搬送機構は、試験紙を連続的に搬送し得るように構成されている請求項7又は9記載の測定装置。
【請求項12】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、補正用白色板を配設する請求項1〜11のいずれかに記載の測定装置。
【請求項13】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、ランク判定を決定するための色調表を配設する請求項1〜12のいずれかに記載の測定装置。
【請求項14】
前記色調表が、ランク判定のしきい値を決定するためのものである請求項13記載の測定装置。
【請求項15】
試験紙が異なる姿勢で測定部に載置又は測定部に搬送されても測定し得る請求項1〜14のいずれかに記載の測定装置。
【請求項16】
前記試験紙は尿検査用試験紙である請求項1〜15のいずれかに記載の測定装置。
【請求項17】
試験紙の画像を含むように撮像素子で撮像し、撮像したRGBデジタル画像データをメモリーに転送し、メモリー上の該データから目的試験紙デジタル画像データを、マイクロプロセッサを使用して抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験紙の対応するR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定することを特徴とする試験紙測定方法。
【請求項18】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙の呈色前後の色とは異なるRGB値を示す色とし、前記試験紙の呈色度合いを基に予め設定したR、G及びB値の少なくとも1つの値の上限又は/及び下限のしきい値を基に、マイクロプロセッサによって前記試験紙を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験紙の対応するR,G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定する請求項17記載の測定方法。
【請求項19】
前記試験紙が、プラスチックなどでできたスティックに呈色試験片を貼着したスティック状試験紙であり、前記マイクロプロセッサで、スティック状試験紙のデジタル画像データを抽出した後、前記呈色試験片のデジタル画像を抽出し、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている標準の試験片の対応するR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定する請求項17記載の測定方法。
【請求項20】
試験紙を載置する載置面を、前記試験紙を構成するスティックの色とは異なるRGB値を示す色とし、前記マイクロプロセッサは、前記試験紙を構成するスティックの色を基に前記試験紙画像を検出し、検出した試験紙のデジタル画像データを抽出し、更に、呈色試験片のデジタル画像データを抽出した後、得られたR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値を、予めメモリーに記憶されている対応する標準の試験紙のR、G及びB値の少なくとも1つの値に基づく値と比べて、被測定物の濃度を測定する請求項19記載の測定方法。
【請求項21】
メモリー上の前記試験紙のデジタル画像は、二値化若しくは濃淡処理を行って抽出目的試験紙画像の外形を明確とし、該外形をエッジサーチして抽出する請求項17及び19に記載の測定方法。
【請求項22】
前記試験紙の載置面が、測定部まで試験紙を搬送するための搬送機構の搬送面である、請求項16〜20のいずれかに記載の測定方法。
【請求項23】
前記撮像素子はリニアイメージセンサであり、該リニアイメージセンサの下を通過する試験紙を連続的に撮像する請求項17〜22のいずれかに記載の測定方法。
【請求項24】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、補正用白色板を配設して、前記RGB値の階調補正をする請求項17〜23のいずれかに記載の測定方法。
【請求項25】
前記試験紙の測定場所と同等の照明条件が得られる場所に、色調表を配設してランク判定を行う請求項17〜24のいずれかに記載の測定方法。
【請求項26】
前記色調表を配設してランク判定のしきい値を得る請求項25記載の測定方法。
【請求項27】
前記試験紙を、自由な姿勢で前記測定部に載置又は測定部に搬送する搬送面に載置する請求項17〜26のいずれかに記載の測定方法。
【請求項28】
前記試験紙は尿検査用試験紙である請求項17〜27のいずれかに記載の測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−212261(P2007−212261A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31805(P2006−31805)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000252300)和光純薬工業株式会社 (105)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000252300)和光純薬工業株式会社 (105)
【Fターム(参考)】
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