説明

詰替え容器およびその製造方法

【課題】本発明の課題は、既存の製袋機や充填包装機を大幅に改造する必要なしに実施が可能であり、しかも詰替え操作が迅速に行えて、ハンドリング性も良好な詰替え容器ならびにその製造方法を提供することである。
【解決手段】基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、容器上辺においてシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体と本体裏面積層体を形成し、サイドシール部と底シール部によって周縁をシールしてなる詰替え容器であって、前記折り曲げ部の前端は、注出ノズルシール部および抜き加工部シール部と共に、注出ノズルを形成しており、該注出ノズルの先端は、開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成するものであり、前記折り曲げ部の後端は、該折り曲げ部と、前記サイドシール部と、これらのそれぞれに交わる気室形成シール部を3辺とする独立気室を形成したことを特徴とする詰替え容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品等を収納する詰替え容器に関し、特に手で掴みやすい保持部を有し、注出時の利便性に優れた詰替え容器ならびにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤や柔軟仕上げ剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品は、それぞれ使いやすいような形状の専用容器に収納されている。専用容器は、構造もしっかりしており、従って高価であることから、内容物が無くなった段階で、繰り返し使用することができるように、内容物のみを詰替える詰替え容器入りの製品が別途販売されていることが多い。
【0003】
例えば液体洗剤の容器は、洗剤を使用する時にその都度適切な量を計量して取り出す必要があるため、軽量カップに注ぎやすいように、注出口にノズルを備えた剛性のあるプラスチック容器が、繰り返し使用容器として用いられている。この容器に対して、内容物を補充するための詰替え用の容器としては、軟包装フィルムからなる柔軟な容器に、注出口を形成した容器や、口栓を取付けた容器が一般的に使用されている。
【0004】
繰り返し使用する剛性の容器は、もっぱら注出し易いように設計されているため、繰り返し使用する容器に対して、詰替え容器から内容物を補充する詰替え操作の利便性を考慮したものでは、必ずしもなかった。
【0005】
また一方、詰替え容器も、もっぱら安価に製造することに重点を置くあまり、必ずしも詰替え操作の利便性を考慮したものではなかった。この詰替え操作における利便性の中で最も基本的な課題の一つとしては、注出口の閉塞性の問題が挙げられる。
【0006】
図6に示した従来の詰替え容器は、注出口31の上下がシール部13、16で挟まれているため、注出口の全巾に対する有効開口巾が狭くなり、しかも注出口の両端がシールされている関係上、注出口を形成する表裏のフィルムが密着して注出口が閉塞しやすい。このため、注出操作に時間がかかるという問題があった。
【0007】
本出願人の出願になる特許文献1に記載された軟質包装袋の注出口は、この詰替え容器の注出口が閉塞しやすいという問題を解消するためになされたものであり、図7に示したように、1枚の積層樹脂フィルムの上辺を二つ折りして注出口を形成したことにより、液状の収納物が残り少なくなっても表裏のフィルムが密着して注出口が閉塞することがない。
【0008】
しかし特許文献1に記載された注出口を有する軟質包装袋は、注出する際に手で掴むために用意された部分が特に存在しないため、注出に際しては、両手で袋をかかえるように保持しなければならず、詰替え操作におけるハンドリング性の面では必ずしも十分なものではなかった。
【0009】
本出願人の出願になる特許文献2に記載された自立袋は、この内容物を注出する際のハンドリング性を向上させた自立袋であって、袋の胴部を形成する外縁シール部内に内容物収納部とは別の、取っ手機能を有する独立気室を設けたことを特徴とする自立袋である。
【0010】
特許文献2に記載された自立袋は、外縁シール部に設けた独立気室が取っ手としての機
能を発揮するため、片手でも容易に保持することが可能であり、注出時のハンドリング性が向上した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008-18991号公報
【特許文献2】特開2006-36213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献2に記載された自立袋は、独立気室に空気や水を封入して膨らませるための特殊な装置が必要であり、このため既存の製袋機や充填包装機で実施しようとすると、設備の改造も含めて大幅なコストアップにならざるを得なかった。
【0013】
本発明の解決しようとする課題は、既存の製袋機や充填包装機を大幅に改造する必要なしに実施が可能であり、しかも詰替え操作が迅速に行えて、ハンドリング性も良好な詰替え容器ならびにその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、容器上辺においてシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体と本体裏面積層体を形成し、サイドシール部と底シール部によって周縁をシールしてなる詰替え容器であって、前記折り曲げ部の前端は、注出ノズルシール部および抜き加工部シール部と共に、内容物を注出するための注出ノズルを形成しており、該注出ノズルの先端は注出ノズル先端シール部によってシールされており、開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成するものであり、前記折り曲げ部の後端は、該折り曲げ部と、前記サイドシール部と、これらのそれぞれに交わる気室形成シール部を3辺とする独立気室を形成したことを特徴とする詰替え容器である。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、シーラント層を外側にして折り曲げて底テープとし、前記本体表面積層体と本体裏面積層体の間に挿入して周縁をシールしてなるスタンディングパウチ形状としたことを特徴とする請求項1に記載の詰替え容器である。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、前記独立気室内に空気追い出しシール部を設け、空気追い出しシール部によって追い出された空気が溜まった、空気の膨らみを形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の詰替え容器である。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、前記空気追い出しシール部が、複数本の平行線からなることを特徴とする請求項3に記載の詰替え容器である。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、容器上辺においてシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体と本体裏面積層体を形成する工程と、サイドシール部を形成する工程と、気室形成シール部を形成して、前記折り曲げ部と、前記サイドシール部と、気室形成シール部を3辺とする独立気室を形成する工程とを少なくともこの順序に有することを特徴とする請求項1または2に記載の詰替え容器の製造方法である。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、容器上辺においてシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層
体と本体裏面積層体を形成する工程と、サイドシール部を形成する工程と、気室形成シール部を形成して、前記折り曲げ部と、前記サイドシール部と、気室形成シール部を3辺とする独立気室を形成する工程と、前記独立気室内に空気追い出しシール部を設け、空気追い出しシール部によって追い出された空気が溜まった、空気の膨らみを形成する工程とを少なくともこの順序に有することを特徴とする請求項3または4に記載の詰替え容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る詰替え容器は、1枚の積層体を、容器上辺においてシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部を形成し、折り曲げ部の前端は、注出ノズルシール部および抜き加工部シール部と共に、内容物を注出するための注出ノズルを形成したので、折り曲げ部における積層体の反発力によってノズルは常に開こうとする。従って、従来の詰替え容器における、上下がシール部によって挟まれた注出ノズルのように、特に注出の最後においてノズルが閉塞することがなく、迅速な注出操作が可能である。
【0021】
また、折り曲げ部の後端は、折り曲げ部と、サイドシール部と、これらのそれぞれに斜めに交わる気室形成シール部を3辺とする独立気室を形成したので、この部分を手で掴むことができる。従って詰替え操作に当たっては、片手で確実に把持することが可能となり、詰替え操作におけるハンドリング性が向上した。
【0022】
容器をスタンディングパウチ形状とした場合は、大容量の容器を容易に実現できるため、本発明の詰替え容器としての、注出が迅速であり、詰替え時の操作性が良いという効果を最大限に発揮できる。
【0023】
独立気室内に空気追い出しシール部を設け、空気追い出しシール部によって追い出された空気が溜まった、空気の膨らみを形成した場合においては、空気の膨らみの部分を手で持ちやすくなり、ハンドリング性がさらに向上する。
【0024】
空気追い出しシール部が、複数本の平行線からなる場合においては、空気追い出しシール部の部分が筋状の凸凹となるので、滑り止めとしての効果を発揮する。このためハンドリング性がさらに向上する。
【0025】
本発明に係る詰替え容器は、1枚の積層体を、容器上辺においてシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体と本体裏面積層体を形成する工程と、サイドシール部を形成する工程と、気室形成シール部を形成して、前記折り曲げ部と、前記サイドシール部と、気室形成シール部を3辺とする独立気室を形成する工程とを少なくともこの順序に有するだけの簡単な工程で製造可能であるため、既存の製袋機や充填包装機を大幅に改造しなくても済む。通常は既存の設備に、気室形成シール部を形成するシール装置と、必要ならば空気追い出しシール部を形成するシール装置を付加するだけでよいため、容易に実施が可能であり、従ってコストアップの要因も少ない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明に係る詰替え容器の基本的な実施態様を示した模式図である。
【図2】(1)は、図1のA−A’断面を示した断面模式図である。(2)は層構成を示した断面模式図である。(3)は、図1のB−B’断面を示した断面模式図である。
【図3】図3は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した模式図である。
【図4】(1)は、図3のC−C’断面を示した断面模式図である。(2)は、図3のD−D’断面を示した断面模式図である。
【図5】図5は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した模式図である。
【図6】図6は、従来の詰替え容器の例を示した模式図である。
【図7】図7は、従来の詰替え容器の例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明に係る詰替え容器について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る詰替え容器の一実施態様を示した模式図である。また図2(1)は、図1のA−A’断面を示した断面模式図である。また(2)は、詰替え容器を構成する積層体の層構成を示した断面模式図である。また(3)は、図1のB−B’断面を示した断面模式図である。
【0028】
本発明に係る詰替え容器1は、図2(2)に示したように、基材11とシーラント層12を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって、図1、図2(1)に示したように、1枚の積層体を、シーラント層12を内側にして折り曲げて、折り曲げ部6と本体表面積層体2と本体裏面積層体3を形成し、周縁をシールしてなる詰替え容器である。
【0029】
折り曲げ部前端6aは、注出ノズルシール部16および抜き加工部シール部19と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズル32を形成しており、注出ノズル32の先端は注出ノズル先端シール部17によってシールされており、開封予定線34に沿って切り離すことにより注出口31を形成するものであり、折り曲げ部後端6bは、折り曲げ部後端6bと、サイドシール部14と、これらのそれぞれに斜めに交わる気室形成シール部7を3辺とする独立気室8を形成したことを特徴とする。
【0030】
本発明に係る詰替え容器1における第一の特徴は、折り曲げ部6を有することである。折り曲げ部6は、1枚の積層体をシーラント層12を内側にして天部で折り曲げて形成したものであり、折り曲げ部6は、折り曲げ部6の下部に設けた注出ノズルシール部16および抜き加工部シール部19と共に、注出口31を形成している。折り曲げ部6における積層体の戻ろうとする弾性の働きにより、注出口31の断面は、常に上部が膨らんだ状態となる。このため、注出口31の断面積を広く確保することが可能となり、一度に大量の内容物を排出することが可能となるばかりでなく、特に注出の最後において、注出口31を形成する積層体同士が付着して注出口が閉塞することがない。
【0031】
また本発明に係る詰替え容器1における第二の特徴は、折り曲げ部6の後端6bが、折り曲げ部後端6bと、サイドシール部14と、これらのそれぞれに斜めに交わる気室形成シール部7を3辺とする独立気室8を形成したことである。
【0032】
図2(3)に示したように、折り曲げ部6における積層体の戻ろうとする弾性の働きにより、独立気室8の断面は、注出口31と同様に常に上部が膨らんだ状態となる。図6に示されたような従来の詰替え容器では、容器の上辺がトップシール部13となっているため、仮に気室形成シール部を設けたとしても、特に膨らむことはないが、本発明の詰替え容器の場合、折り曲げ部6が存在するために、気室形成シール部7を設けただけで、ある程度空気が閉じ込められた独立気室8が形成されるのである。
【0033】
この平らに押しつぶされた気室形成シール部7と、ある程度膨らんだ独立気室8が詰替え容器1を手で持つ時の保持部となるため、注出時のハンドリング性が向上する。
【0034】
気室形成シール部7を設けるに当たっては、まず基材11とシーラント層12を少なくとも有する1枚の積層体を、容器上辺においてシーラント層12を内側にして折り曲げて、折り曲げ部6と本体表面積層体2と本体裏面積層体3を形成する。次にサイドシール部14を形成する。次に気室形成シール部7を形成して、折り曲げ部6と、サイドシール部14と、気室形成シール部7を3辺とする独立気室8を形成する。各工程をこの順序に実施することによって、容易に独立気室8が形成される。
【0035】
なお気室形成シール部7は、図1では直線状であるが、必ずしも直線である必要はなく、図5に示した例のように、曲線状でもよい。
【0036】
図1に示した実施態様においては、本体表面積層体2と本体裏面積層体3は、サイドシール部14と底シール部15においてシールされて袋状となっている。実際の容器では、内容物を充填するための充填用開口部が必要であるが図1では省略されている。図1に示された実施態様においては、底シール部15ないしはサイドシール部14に充填用開口部を設けることができる。また折り曲げ部6の中央部を切り開いて、充填用開口部とすることもできる。
【0037】
開封予定線34に相当する注出口シール部にV字型やU字型のノッチや切込み線を設けたり、注出口シール部の先端部を広巾に加工して開封つまみ33を設けたりすることにより、開封のし易さが向上する。
【0038】
なお開封予定線34は、開封位置を示す仮想的な線であるが、開封位置を明らかにするために、実際に印刷表示等を行っても良い。また、開封予定線34は、本体表面積層体2および本体裏面積層体3の外側面に連続して設けたハーフカット線であることが好ましい。このようにすることにより、開封予定線34の部分を手で引き裂いて注出口31を容易に形成することが可能となる。ハーフカット線は、刃物によって形成する方法と、レーザー加工によって形成する方法が一般に用いられているが、レーザー加工による方法の方が均一で安定した切れ目を形成できるので好ましい。レーザーの種類としては、炭酸ガスレーザーがより好ましい。開封予定線34は、折り曲げ部の稜線に対して垂直である必要はなく、斜めでもよい。
【0039】
本発明に係る詰替え容器に使用する積層体としては、通常軟包装袋に使用される積層体を用いることができる。基材11としては、1層ないしは数層からなる紙や金属箔や合成樹脂フィルムを使用する。一例を挙げれば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、セロハン、三酢酸セルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹脂フィルムおよび紙、金属箔等が単体または、複合して使用される。基材11には、必要に応じて印刷層や接着剤層が含まれる。
【0040】
紙としては、上質紙、片アート紙、コート紙、キャストコート紙、模造紙などを用いることができる。環境配慮の点からも、紙を用いることは有効である。
【0041】
シーラント層12としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが使用される。またこれらの樹脂を複合した多層フィルムが使用されることもある。
【0042】
積層体の具体的な構成例としては、PET/印刷層/接着剤層/延伸ポリアミド樹脂フィルム(以下ONYと略す)/接着剤層/LLDPEからなる構成のフィルムや、ONY/接着剤層/LLDPE、ONY/接着剤層/ONY/接着剤層/LLDPE、紙/LDPE/アルミニウム箔/LDPE、紙/LDPEなどが挙げられる。
【0043】
図3は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した模式図である。図4(1)は、図3のC−C’断面を示した断面模式図であり、(2)は、図3のD−D’断面を示した断面模式図である。
この実施態様においては、基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、シーラント層を外側にして折り曲げて底テープ4とし、本体表面積層体2と本体裏面積層体3の間に挿入して周縁をシールしてなるスタンディングパウチ形状としたものである。このような形状の場合、内容物を充填する充填用開口部をサイドシール部に設けることができないため、折り曲げ部6の中央部を切り開いて、充填用開口部としてある。図3に示した実施態様では、充填用開口部は、シールされて充填シール部41となっている。このように、容器の天部に充填用の開口部が存在すると、内容物の充填操作がやり易くなる利点がある。
【0044】
スタンディングパウチ形状の容器は、底テープ4が広がるため、大容量の容器とすることが容易に可能である。従って、本発明に係る詰替え容器における注出時間が短くて済むという特徴を十分に生かすことができる。
【0045】
折り曲げ部6は、1枚の積層体をシーラント層を内側にして天部で折り曲げて、形成されており、折り曲げ部前端6aは注出ノズルシール部16および抜き加工部シール部19と共に、注出口31を形成している。このようにすることにより、特に内容物が液体の場合には、内容物を注出する際、内容物が直線状の流出路を円滑に流れるために、迅速な注出を可能とする。この特徴は、この実施態様においては、容器が大容量であるためにより一層効果的なものとなっている。
【0046】
図3に示した実施態様においては、独立気室内に空気追い出しシール部9を設け、空気追い出しシール部9によって追い出された空気が溜まった、空気の膨らみ10を形成したことを特徴とする。気室形成シール部7によって独立気室が形成された後に、空気追い出しシール部9を設けることにより、独立気室内の空気は、追いやられて空気の膨らみ10を形成する。空気の膨らみ10は、空気が集中するために膨らみが大きくなり、手に持ちやすくなるため、ハンドリング性が向上する。
【0047】
空気追い出しシール部9が図3のように複数の平行線からなる場合には、図4(2)に示したように、その断面が凹凸になるので、手で持った時に滑りにくくなり、ハンドリング性はさらに向上する。
【0048】
図3の例では、空気追い出しシール部9は、折り曲げ部に平行な3本の平行線からなっており、気室形成シール部7から離れている。この場合には、3本の線からなる空気追い出しシール部9は、一度の熱シール工程で設けることができる。図示しないが、この3本の線が気室形成シール部7に到達しているような場合には、一度に設けず、短い線から順
番に3回に分けて設けることにより、より効果的に空気を追いやることができる。
【0049】
空気追い出しシール部9は、図3のように折り曲げ部に平行な複数の平行線からなるものに限らず、図示しないが、例えば気室形成シール部7に平行な複数の平行線でもよいし、また図5に示したようにべた状に施しても良い。要は独立気室内の空気を空気による膨らみ10に追い込むことができるような形状であればよい。
【0050】
図5は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した模式図である。この実施態様においては、気室形成シール部7が湾曲した曲線状であり、空気追い出しシール部9がベタ状になっている。
以下実施例に基づいて、本発明に係る詰替え容器についてさらに具体的に説明する。
【実施例1】
【0051】
本体表面積層体および本体裏面積層体として以下の構成からなる積層体を使用した。
<積層体の構成>
PET(東レ社製P60、12μm)/印刷層/接着剤層(東洋モートン社製TM272、3g/m(dry))/ONY(ユニチカ社製ONMB、15μm)/接着剤層(同上)/LLDPE(タマポリ社製MZ433C、150μm)
底テープとして以下の構成からなる積層体を使用した。
<積層体の構成>
ONY(ユニチカ社製ONM、25μm)/LLDPE(東セロ社製TUX−FCS、130μm)
【0052】
上記の積層体を用いて、図3に示した形状のスタンディングパウチを作製した。パウチサイズは、巾150mm、高さ272mmとした。
まず約560mm巾にスリットした積層体の中央部を折り曲げて折り曲げ部を形成すると共に、約90mm巾にスリットして中央部で折り曲げた底テープを挿入し、サイドシール部ならびに底シール部を形成した。次に気室形成シール部7を底面からの角度が約60°となるように形成し、独立気室を形成した。次に3本の平行線からなる空気追い出しシール部9を三段階に形成し、抜き加工を行って図3に示した形状のスタンディングパウチを得た。
こうして得られた詰替え容器に液体洗剤を900g充填し、充填開口部をヒートシールして評価用試験体とした。
【実施例2】
【0053】
気室形成シール部7を図5に示したような湾曲した曲線とし、空気追い出しシール部9をべた状とした以外は、実施例1と同様にしてスタンディングパウチを作製し、同様の内容物を充填した。
<比較例>
【0054】
気室形成シール部および空気追い出しシール部を形成しない以外は、実施例1と同様にしてスタンディングパウチを作製し、同様の内容物を充填した。
【0055】
上記の各評価用試験体容器の注出ノズル先端を開封予定線に沿って切り取り、内容物の注出操作性を評価した。比較例の容器は、片手で保持しにくいため両手で保持する必要があったが、実施例の容器はいずれも手で掴む箇所がエアーで膨らんでいるため、滑らず持ち易く、片手で安定して保持することができ、ハンドリング性が良好であった。
【符号の説明】
【0056】
1・・・詰替え容器
2・・・本体表面積層体
3・・・本体裏面積層体
4・・・底テープ
6・・・折り曲げ部
6a・・・折り曲げ部前端
6b・・・折り曲げ部後端
7・・・気室形成シール部
8・・・独立気室
9・・・空気追い出しシール部
10・・・空気による膨らみ
11・・・基材
12・・・シーラント層
13・・・トップシール部
14・・・サイドシール部
15・・・底シール部
16・・・注出ノズルシール部
17・・・注出ノズル先端シール部
18・・・抜き加工部
19・・・抜き加工部シール部
31・・・注出口
32・・・注出ノズル
33・・・開封つまみ
34・・・開封予定線
35・・・V字切欠き
41・・・充填シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、容器上辺においてシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体と本体裏面積層体を形成し、サイドシール部と底シール部によって周縁をシールしてなる詰替え容器であって、前記折り曲げ部の前端は、注出ノズルシール部および抜き加工部シール部と共に、内容物を注出するための注出ノズルを形成しており、該注出ノズルの先端は注出ノズル先端シール部によってシールされており、開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成するものであり、前記折り曲げ部の後端は、該折り曲げ部と、前記サイドシール部と、これらのそれぞれに交わる気室形成シール部を3辺とする独立気室を形成したことを特徴とする詰替え容器。
【請求項2】
基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、シーラント層を外側にして折り曲げて底テープとし、前記本体表面積層体と本体裏面積層体の間に挿入して周縁をシールしてなるスタンディングパウチ形状としたことを特徴とする請求項1に記載の詰替え容器。
【請求項3】
前記独立気室内に空気追い出しシール部を設け、空気追い出しシール部によって追い出された空気が溜まった、空気の膨らみを形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の詰替え容器。
【請求項4】
前記空気追い出しシール部は、複数本の平行線からなることを特徴とする請求項3に記載の詰替え容器。
【請求項5】
基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、容器上辺においてシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体と本体裏面積層体を形成する工程と、サイドシール部を形成する工程と、気室形成シール部を形成して、前記折り曲げ部と、前記サイドシール部と、気室形成シール部を3辺とする独立気室を形成する工程とを少なくともこの順序に有することを特徴とする請求項1または2に記載の詰替え容器の製造方法。
【請求項6】
基材とシーラント層を少なくとも有する1枚の積層体を、容器上辺においてシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体と本体裏面積層体を形成する工程と、サイドシール部を形成する工程と、気室形成シール部を形成して、前記折り曲げ部と、前記サイドシール部と、気室形成シール部を3辺とする独立気室を形成する工程と、前記独立気室内に空気追い出しシール部を設け、空気追い出しシール部によって追い出された空気が溜まった、空気の膨らみを形成する工程とを少なくともこの順序に有することを特徴とする請求項3または4に記載の詰替え容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−1266(P2012−1266A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140496(P2010−140496)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】