説明

詰替容器、拡開具及び詰替容器セット

【課題】袋の詰め替え作業を簡易かつ衛生的に行う。
【解決手段】容器本体2の開口縁と嵌合する嵌合部8を備える一対の枠体16、17と、両方の前記枠体16、17の下方に延びる挿入体21と、を具備し、一方の前記枠体16の挿入体21が、容器本体2内に収容された袋1の開封口1eに差し入れられ、前記開封口1eの一辺側を拡開するように一方の枠体16を移動して前記容器本体2の開口縁に取り付けられ、その後、他方の前記枠体17の挿入体21が、容器本体2内に収容された袋1の開封口1eに差し入れられ、前記開封口1eの前記一辺と向かい合う他辺側を拡開するように他方の枠体17を移動して前記容器本体2の開口縁に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば粉ミルク等の内容物を入れた袋体を開封して袋ごと詰め替えることができる詰替容器、及び袋体の開封口を円滑かつ正確に拡開して容器本体に取付可能な拡開具並びに詰替容器セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉ミルク等の内容物は缶に充填され密封された包装体として流通市場に供給されている。缶には開閉蓋付き蓋体が付属しており、缶を開封した後にこの開閉蓋付き蓋体を缶に被せ、開閉蓋を開閉すれば、缶内の内容物を小出しに取り出すことが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ふりかけ等を収納する容器には、ふりかけ等を収納した袋を開封した後に袋ごと容器本体内に収納し、容器本体の開口部を開閉蓋付き蓋体で覆うようにしたものがある。この容器は、開閉蓋付き蓋体と容器本体との嵌合部に袋の開封口の縁を挟み込むことで、容器から中身を振り出す際に、容器本体内への中味の落下を防止するようになっている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4219205号公報
【特許文献2】実用新案登録第2554822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術のうち前者は使い捨ての包装体であるから、中味を消費した後の缶の処分が面倒であるという問題がある。
【0006】
後者の包装体は金属以外のプラスチック、紙等で作ることができるので、中味を消費した後の容器本体、袋等の処分は容易である。また、空の袋を中味の入った新しいものと交換することで容器本体、開閉蓋付き蓋体は再使用することができる。しかし、後者の包装体は、柔らかい袋の開封口の全周縁を指で拡げてその拡げた状態を保持しながら、容器本体側の開口縁を袋の開封口の全周縁と共に開閉蓋付き蓋体側の環状溝内に押し込まなければならず、そのため袋を容器本体内に装着したり、袋を新しいものと交換したりする際の操作が極めて面倒である。また、袋を容器本体内に装着する際に、袋開封口の周縁の一部が容器本体の内側に取り残されたりすることがあり、その場合は取り残された箇所から中味が袋と容器本体との間に入り込むという不具合が生じる。さらに、袋を容器本体内に装着する際に、指で袋の開封口を支える必要があり、その指が袋内に侵入して内容物に接触するので不衛生であるという問題がある。
【0007】
したがって、本発明は、上記問題点を解決することができる詰替容器等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0009】
なお、本発明の理解を容易にするため図面の参照符号を付するが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0010】
すなわち、請求項1に係る詰替容器は、内容物(a)が収容された袋(1)と、この袋が挿入される開口部を有する容器本体(2)と、前記開口部に配置され上記袋の開封口(1e)を拡開する拡開部材(3)と、上記容器本体の開口部を開閉可能な開閉蓋(4)と、を具備する詰替容器において、拡開部材は、一対の枠体(16、17)と、両方の前記枠体の下方に延び、前記袋体の開口部へと挿入される挿入体(21)と、を具備し、上記拡開部材の一方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口に差し入れられ、前記開封口の一辺側を拡開するように一方の枠体を移動して前記容器本体の開口部に取り付け、その後、他方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口に差し入れられ、前記開封口の前記一辺と向かい合う他辺側を拡開するように他方の枠体を移動して前記容器本体の開口部に取り付けることを特徴とする。
【0011】
なお、上記内容物(a)は乳製品とすることができる。乳製品には、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令):昭和26年12月27日厚生省令第52号」における「乳」、「乳製品」及び「乳又は乳製品を主原料とする食品」が含まれ、具体的には、乳、加工乳、乳飲料、はっ酵乳、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、チーズ、調製粉乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、練乳等が挙げられ、この詰替容器はいずれの乳製品も包装可能である。
【0012】
ただし、本発明は、容器が開封された後に長期にわたり喫食される乳製品に好適であり、かかる乳製品としては粉末形状の乳製品、即ち粉乳が好ましく、本発明の効果を最大限に享受することができる。
【0013】
なお、粉乳とは、調製粉乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等の他、粉末クリーム、インスタントクリーミーパウダー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳等も含まれる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の詰替容器において、前記拡開部材の両方の枠体には、上記容器本体の開口部への装着が完了する際に前記袋の開封口の内周縁と当接して当該開封口を整った形状に拡開する斜面部(13)を更に備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1、又は2に記載の詰替容器において、前記拡開部材は上記容器本体の開口部と嵌合する嵌合部(8)を有し、前記開閉蓋は前記拡開部材の嵌合部の上から上記容器本体の開口部に嵌合する嵌合部(9)を有することを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の詰替容器において、前記開閉蓋を開けた際に前記拡開部材を受容しうる凹部が前記開閉蓋に形成されたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の詰替容器において、両方の前記枠体には、前記開口部を横断するようにして剛性を高めるための補強体(19)が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の詰替容器において、両方の前記枠体には、内容物を計量するための計量具(18)を開口部を横断するように配置して収容する収納部(14)が形成されていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項7に記載の拡開具は、容器本体(2)の開口縁と嵌合する嵌合部(8)を備える一対の枠体(16、17)と、両方の前記枠体の下方に延びる挿入体(21)と、を具備し、一方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口(1e)に差し入れられ、前記開封口の一辺側を拡開するように一方の枠体を移動して前記容器本体の開口縁に取り付けられ、その後、他方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口に差し入れられ、前記開封口の前記一辺と向かい合う他辺側を拡開するように他方の枠体を移動して前記容器本体の開口縁に取り付けられることを特徴とする。
【0020】
また、請求項8に記載の詰替容器セットは、内容物が収容された袋と、この袋が挿入される開口部を有する容器本体と、前記開口部に配置され上記袋の開封口を拡開する拡開部材と、上記容器本体の開口部を開閉可能な開閉蓋と、を具備する詰替容器セットにおいて、拡開部材は、一対の枠体と、両方の前記枠体の下方に延び、前記袋体の開口部へと挿入される挿入体と、を具備し、上記拡開部材の一方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口に差し入れられ、前記開封口の一辺側を拡開するように一方の枠体を移動して前記容器本体の開口部に取り付け、その後、他方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口に差し入れられ、前記開封口の前記一辺と向かい合う他辺側を拡開するように他方の枠体を移動して前記容器本体の開口部に取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、袋を容器本体に装着する際に、当該袋に接触することなく、容易に半開き状態の袋を拡開して装着することができる。また、内容物が消費された場合には、新しい袋と交換可能であって、その交換時の操作をきわめて簡単に行うことができる。さらに、内容物が容器本体とガセット袋との間に漏れ出るという不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る詰替容器の平面図である。
【図2】図1中、II−II線矢視断面図である。
【図3】図1中、III−III線矢視断面図である。
【図4】拡開部材の平面図である。
【図5】拡開部材を左枠部と右枠部とに分割した状態を示す平面図である。
【図6】左枠部を斜め上から見た斜視図である。
【図7】袋の開封口の拡開作用を説明するための図であり、図7(a)は左枠体の挿入体を袋の開封口に挿入する時の状態図、図7(b)は右枠体の挿入体を袋の開封口に挿入する時の状態図、図7(c)は袋の開封口を完全に開いた時の状態図である。
【図8】詰替え用のガセット袋を示し、図8(a)は未開封状態を示す斜視図、図8(b)は開封状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の望ましい形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、内容物aを収容する袋の一例としてガセット袋を用いているが、一般的に自立袋と称される袋体等他の形態の袋体を適用することが可能である。
【0024】
図1乃至図3に示すように、この詰替容器は、内容物aが収容された詰替え用の袋1と、この袋1が挿入される開口部を有する容器本体2と、容器本体2の開口部に配置されて袋1の開封口1eを拡開する拡開部材3と、容器本体2の開口部を開閉可能な開閉蓋4と、を具備する。
【0025】
上記袋1は、詰替前は内容物aを収納したうえで、図8(a)に示すように密封されている。図8(a)中、符号1aはヒートシール等による封緘部を示し、符号1bは切り取り予定線を示す。内容物は、例えば乳製品である粉ミルク等である。
【0026】
この袋1は、詰替に際して切り取り予定線1b上で封緘部1aが切除されることにより開封される。図8(b)に示すように、開封された袋1の開封口1eは、半開状態となり、さらに具体的には、本実施形態における袋はガセット袋であることから、両側中央部に内向きに折れ曲がるノッチ部1dが生じる。この開封された袋1は、図8(b)に示す開封状態で容器本体2内に収納されるか、若しくは容器本体2内に収納された後に開封される。
【0027】
なお、このノッチ部1dとは、袋1(ガセット袋)を構成するシートの折り目が開封口1eの内側に略V字状に突出した部分をいう。
【0028】
容器本体2は、図示しないが上端部に開口部を有し、図2及び図3に示すように、前後壁2a、2bと左右壁2c、2dと底壁2eとを具備した全体として略直方体の箱に形成される。この容器本体2には、図2及び図3に示すように、上記開封された袋1(又は未開封の袋1)が開口部から挿入され収納される。
【0029】
容器本体2の開口部の外周縁には嵌合突起5が設けられ、その嵌合突起5の下方には、上リブ6、下リブ7が順に設けられる。図2及び図3に示すように、嵌合突起5は、外周にわたって外側に突出した部材であって、拡開部材3の嵌合部8が容器本体2の開口縁に被さったときに、この嵌合部8の嵌合突起8aと嵌合される。図2に示すように、上リブ6は、外周にわたって嵌合突起5よりも外側に突出した部材であって、この上リブ6には拡開部材3の嵌合部8の下縁が当接される。また、下リブ7は、外周にわたって上リブ6よりも外側に突出した部材であって、この下リブ7には開閉蓋4の嵌合部9の下縁が当接される。
【0030】
また、容器本体2の後壁2bには、一対のヒンジを構成するためのブラケット10が設けられる。図1、及び図3に示すように、このブラケット10には、開閉蓋4のヒンジ軸11が連結されている。このブラケット10とヒンジ軸11からなるヒンジは例えば薄肉部で連結して、容器本体2及び開閉蓋4と一体的に形成することも可能である。また、ヒンジは拡開部材3と開閉蓋4との間に設けることも可能である。
【0031】
開閉蓋4は、図2及び図3に示すように、台形状に形成された天板12と、天板12の外周縁で上方に突出する内外二重の周壁9a、9bよりなる嵌合部9とを具備する。
【0032】
図1乃至図3に示すように、この開閉蓋4の嵌合部9が、拡開部材3の嵌合部8の上から容器本体2の開口縁に嵌合する。すなわち、開閉蓋4で容器本体2の開口部を閉じたとき、容器本体2の開口部に嵌合した拡開部材3の嵌合部8が内外二重の周壁9a、9b間に侵入し、これにより容器本体2と拡開部材3と開閉蓋4の三者が合体する。
【0033】
また、天板12と内周壁9aとの間には、凹部4aが形成される。ガセット袋1の詰替等にあたり、開閉蓋4を開けた際に、この凹部4a内に拡開部材3を入れ、拡開部材3の嵌合部8を開閉蓋4の嵌合部9に挿入することで、ガセット袋1を開封操作等する際に拡開部材3を仮置きすることが可能である。
【0034】
拡開部材3は、図4乃至図6に示すように、容器本体2と開閉蓋4とは別体の袋拡開用の拡開具として形成される。
【0035】
拡開部材3は、図4に示すように、容器本体2の開口縁にほぼ合致しうる大きさの枠型に形成された左右一対の枠体15を備える。この枠体15は、図5に示すように、左右に2分割して形成され、容器本体2の開口部の略半分の大きさを有する左枠部16、及び右枠部17を備える。
【0036】
各枠部16、17の外周縁には、図1乃至図6に示すように、容器本体2の開口縁に被さり、また、開閉蓋4の嵌合部9に被せられることで、この拡開部材3を容器本体2と開閉蓋4と一体化させる嵌合部8が設けられている。
【0037】
拡開部材3における嵌合部8の内周側には、図5及び図6に示すように、滑らかに下降するように斜面部13が形成され、その中央には開口部3aを有する。この開口部3aは容器本体2の開口部の開口よりやや小さく、この開口を通して内容物aの取り出しが行われる。
【0038】
また、各枠部16、17には、各枠部16、17の剛性を補強するために、中央の開口3aを前後方向に横断するようにして補強体19が設けられている。この補強体19は、後述する計量具18で掬った内容物aを摺り切る摺り切りとしても機能する。
【0039】
また、この斜面部13の左右両側下端面には、図2、図3、及び図6に示すように、ガセット袋1の開封口1eへの挿入体21が略垂直状に設けられる。この挿入体21は、やや先細りの略三角形状に形成され、ノッチ部1dを拡開して袋1の開封口1eを開くためのガイド体として機能する。
【0040】
また、斜面部13の内周には、下方に延びて設けられる内枠22が開口部3aを縁取りするように設けられている。
【0041】
そして、開封された袋1が収納された容器本体2の開口部に、拡開部材3が装着される際、図7(a)に示すように、まず、左枠部16の挿入体21の先端部を袋1の開封口1eにおける左側のノッチ部1d内に侵入させ、左枠部16を左方に移動し、左枠部16の嵌合部8を容器本体2の開口縁に嵌合することで、図7(b)に示すように、左側のノッチ部1dを拡開させる。次に、右枠部17を左枠部16の上方で重ね合わせるようにして、右枠部17の挿入体21の先端部を袋の開封口1eにおける右側のノッチ部1d内に侵入させ、右枠部17を右方に移動し、右枠部17の嵌合部8を容器本体2の開口縁に嵌合することで、図7(c)に示すように、右側のノッチ部1dを拡開させる。また、拡開部材3が容器本体2と一体化することで斜面部13の下端面に開封口1eの内周縁が当接して開封口1eが整った形状に保形される。かくて、この拡開部材3の容器本体2の開口部への装着が完了する。
【0042】
なお、袋1の開封端は、斜面部13の下端近傍に配置され、この開封端は、内枠22と挿入体21が、その開封口1eの縁を上から覆うようになっており、袋1の開封口1eの内周縁は、当該内枠22と挿入体21とで遮蔽されるので、袋1から内容物aを取り出す際に内容物aが容器本体2とガセット袋1との間に落下するという不具合が防止される。
【0043】
また、上記斜面部13からつづく水平壁14には平坦部を形成し、図1及び図2に示すように、この平坦部内にスプーン等の計量具18が収納される。また、上記計量具18で掬った内容物aは補強体19により摺り切ることが可能である。
【0044】
また、拡開部材3の周縁すなわち嵌合部には、図4に示すように外方向に突出する摘み片20が設けられる。操作者は摘み片20を持って拡開部材3を容器本体2等に対し簡易に着脱することできる。
【0045】
次に、上記構成の詰替容器及び拡開部材の作用について説明する。
【0046】
(1)粉ミルク等の内容物aが収納された袋1は、当初図8(a)に示すような開封口1eが封緘部1aで密封された状態にある。
【0047】
この袋1の封緘部1aが、切り取り予定線1b上で切除されることにより、図8(b)に示すように開封される。この開封された袋1が容器本体2内に挿入される。あるいは、未開封の袋1が容器本体2内に収納された後、その封緘部1aが切除されることにより開封される。
【0048】
(2)袋1の開封口1eは、半開状態となっており、本実施形態では、例えば、両側中央部から内向きにノッチ部1dが生じている。
【0049】
ここで、図7(a)に示すように、まず、操作者によって拡開部材3の一方(例えば、左枠部16)の挿入体21の先端部が容器本体2内の袋1の開封口1eにおける左側のノッチ部1d内に挿入され、当該左枠部16が左方に移動され、図7(b)に示すように、左枠部16の嵌合部8が容器本体2の開口縁に嵌合される。この左枠部16の動作により、左側のノッチ部1dが拡開される。
【0050】
(3)次に、図7(b)に示すように、右枠部17の挿入体21の先端部が袋1の開封口1eにおける右側のノッチ部1d内に挿入され、当該右枠部17が右方に移動され、図7(c)に示すように、右枠部17の嵌合部8が容器本体2の開口縁に嵌合される。この右枠部16の動作により、右側のノッチ部1dが拡開される。
【0051】
このように左右枠部16、17の動作により、左右両方のノッチ部1dが押し広げられて拡開し、半開状態の開封口を完全に開く。また、拡開部材3が容器本体2と一体化されると、図7(c)に示すように、開封口1eの内周縁は、斜面部13の下端面に当接して開封口1eが整った形状に保持される。
【0052】
かくて、操作者の指等が袋1の内部に触れることなく、袋1の開封口1eが完全に開かれた状態で速やかに詰替容器の開口部に装着されることとなる。
【0053】
(4)また、袋1の内容物aを取り出すには、スプーン等の計量具18を拡開部材3の開口3aから袋1内に挿入して内容物aを掬い、摺り切りとして機能する補強体19で余剰の内容物aを除去した後、内容物aを容器本体2外へと取り出す。
【0054】
(5)内容物aの取り出し後、開閉蓋4を容器本体2の開口部側に倒して開閉蓋4の嵌合部9を拡開部材3の嵌合部8に嵌合させることで、開閉蓋4によって再び袋1内を密閉状態に保つことができる。
【0055】
(6)袋1内の内容物aが消費されると、開閉蓋4と拡開部材3を容器本体2から取り外し、空の袋1を容器本体2から抜き取り、新しい袋1を開封して上述したと同様な手順で容器本体2内に装着し、拡開部材3で袋1の開封口1eを拡開することで中味の内容物aを取り出すことができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変更可能である。例えば、実施の形態では内容物は粉ミルクであるが、そのような粉末状のほか、顆粒状、粒状、ブロック状、ペースト状等各種の形態の食品とすることができる。その他、内容物は、錠剤であってもよいし、個々のピースが個包装されたピース状のものであってもよい。
【0057】
また、内容物が収容された袋と、この袋が挿入される開口部を有する容器本体と、開口部に配置され袋の開封口を拡開する拡開部材と、容器本体の開口部を開閉可能な開閉蓋とが組み合わされた詰替容器セットとして構成することも本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0058】
1…ガセット袋
1e…開封口
1d…ノッチ部
2…容器本体
3…拡開部材
4…開閉蓋
8、9…嵌合部
16…左枠部
17…右枠部
19…補強体
21…挿入体
a…内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容された袋と、この袋が挿入される開口部を有する容器本体と、前記開口部に配置され上記袋の開封口を拡開する拡開部材と、上記容器本体の開口部を開閉可能な開閉蓋と、を具備する詰替容器において、
拡開部材は、一対の枠体と、両方の前記枠体の下方に延び、前記袋体の開口部へと挿入される挿入体と、を具備し、
上記拡開部材の一方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口に差し入れられ、前記開封口の一辺側を拡開するように一方の枠体を移動して前記容器本体の開口部に取り付け、その後、他方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口に差し入れられ、前記開封口の前記一辺と向かい合う他辺側を拡開するように他方の枠体を移動して前記容器本体の開口部に取り付けることを特徴とする詰替容器。
【請求項2】
前記拡開部材の両方の枠体には、上記容器本体の開口部への装着が完了する際に前記袋の開封口の内周縁と当接して当該開封口を整った形状に拡開する斜面部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の詰替容器。
【請求項3】
前記拡開部材は上記容器本体の開口部と嵌合する嵌合部を有し、前記開閉蓋は前記拡開部材の嵌合部の上から上記容器本体の開口部に嵌合する嵌合部を有することを特徴とする請求項1、又は2に記載の詰替容器。
【請求項4】
前記開閉蓋を開けた際に前記拡開部材を受容しうる凹部が前記開閉蓋に形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の詰替容器。
【請求項5】
両方の前記枠体には、前記開口部を横断するようにして剛性を高めるための補強体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の詰替容器。
【請求項6】
両方の前記枠体には、内容物を計量するための計量具を開口部を横断するように配置して収容する収納部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の詰替容器。
【請求項7】
容器本体の開口縁と嵌合する嵌合部を備える一対の枠体と、両方の前記枠体の下方に延びる挿入体と、を具備し、
一方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口に差し入れられ、前記開封口の一辺側を拡開するように一方の前記枠体を移動して前記容器本体の開口縁に取り付けられ、その後、他方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口に差し入れられ、前記開封口の前記一辺と向かい合う他辺側を拡開するように他方の枠体を移動して前記容器本体の開口縁に取り付けられることを特徴とする拡開具。
【請求項8】
内容物が収容された袋と、この袋が挿入される開口部を有する容器本体と、前記開口部に配置され上記袋の開封口を拡開する拡開部材と、上記容器本体の開口部を開閉可能な開閉蓋と、を具備する詰替容器セットにおいて、
拡開部材は、一対の枠体と、両方の前記枠体の下方に延び、前記袋体の開口部へと挿入される挿入体と、を具備し、
上記拡開部材の一方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口に差し入れられ、前記開封口の一辺側を拡開するように一方の枠体を移動して前記容器本体の開口部に取り付け、その後、他方の前記枠体の挿入体が、容器本体内に収容された袋の開封口に差し入れられ、前記開封口の前記一辺と向かい合う他辺側を拡開するように他方の枠体を移動して前記容器本体の開口部に取り付けることを特徴とする詰替容器セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−197109(P2012−197109A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63228(P2011−63228)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000006127)森永乳業株式会社 (269)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】