説明

認証判定装置

【課題】簡単な構成で、各アンテナ部と夫々電磁結合した各ICカードとの間でループアンテナを介して電磁波による情報の授受を行い、ICカードが認証されたICカードであるか否かを判定する認証判定装置を提供する。
【解決手段】本発明の認証判定装置50は、ICカード6に記録された情報を読み取るための電磁波を放射するループアンテナ2、及びループアンテナ2を介して所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダ本体1を備えたリーダ41と、ループアンテナ2から放射される電磁波と電磁結合する受電部3、及び受電部3により誘起された電流により電磁波を発生するアンテナ部5を有する少なくとも1つのハンディアンテナ40と、リーダ41の動作を制御すると共に、リーダ41により読取ったICカード6に記録されたIDが認証されたIDであるか否かを判定するPC(制御手段)13と、を備えた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証判定装置に関し、さらに詳しくは、1つのリーダに少なくとも1つの移動可能なハンディアンテナを電磁結合させ、該ハンディアンテナにより読取ったICカードのIDが認証されているか否かを判定する認証判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、イベント会場及び有料施設等では、入場者を特定するためのID情報、会場名、入場日時等のデータを記録した入場券等を発行し、入場する際に、ゲートに配置されたハンディリーダを持った係員により、入場券等に記録されているデータを読み取り、その場で入場券等が正規のものであるか否かを判定している。しかし、ハンディリーダには、入場券等のデータを読み取る読取部と、読取ったデータが正規の内容であるか否かを判断する制御部と、電力を供給するバッテリ等が搭載されているため、片手で把持、操作する際に大きな負担となる重量物であり、操作者が疲労し易かった。また、コストも決して安価なものではないため、多数の係員にハンディリーダを持たせることにより、運用コストが嵩むといった問題がある。
従来技術として特許文献1には、商品に添付された情報を読み取るハンディリーダと、読取った情報を記憶するメモリと、表示部と、通信手段とを備え、タグの個々の情報だけでなく、タグ内のメモリ内容を情報記憶コンテンツとして活用し、ネットワークに接続することなく簡易にリーダライタにより表示することができる商品情報表示システムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−237869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、ハンディリーダとリーダライタが1対1に固定的に構成されているため、ハンディリーダを増加するたびにリーダライタが必要となり、装置コストが高くなるといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、1つのリーダのループアンテナに受電部とアンテナ部を有する複数のハンディアンテナを電磁結合させることにより、簡単な構成で、各アンテナ部と夫々電磁結合した各ICカードとの間でループアンテナを介して電磁波による情報の授受を行い、ICカードが認証されたICカードであるか否かを判定する認証判定装置を提供することを目的とする。
また、他の目的は、既設の据え置き型のリーダをハンディタイプに置き換えることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、非接触情報記録媒体に記録された情報を読み取るための電磁波を放射するループアンテナ、及び該ループアンテナを介して所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダ本体を備えたリーダと、前記ループアンテナから放射される電磁波と電磁結合する受電部、及び該受電部により誘起された電流により電磁波を発生するアンテナ部を有する少なくとも1つのハンディアンテナと、前記リーダの動作を制御すると共に、前記リーダにより読取った前記非接触情報記録媒体に記録されたID情報が認証されたID情報であるか否かを判定する制御手段と、を備え、前記制御手段による前記ID情報の判定結果に基づいて、前記ID情報の認証の成否を報知することを特徴とする。
本発明の認証判定装置は、PC等により構成される制御手段、リーダ、及び少なくとも1つのハンディアンテナにより構成されている。特に、ハンディアンテナは、リーダ本体のループアンテナから放射される電磁波と電磁結合する受電部と、受電部により受電した電磁波により誘起された電流で電磁波を発生するアンテナ部とを備えている。従って、アンテナ部にICカードをかざすことでICカードに記録されているID情報を読取ることができる。この読取ったID情報を制御部により認証されたID情報であるか否かを判定し、その結果をハンディアンテナに返送する。これにより、軽量な構成で且つ低コストに実現したハンディアンテナにより、従来のハンディリーダと同じ機能を実現することができる。
【0006】
請求項2は、前記ハンディアンテナは、前記受電部により誘起された電流を断接する断接手段と、前記受電部により誘起された電流を整流して直流電力を生成する電源部と、前記非接触情報記録媒体に記録されたID情報が正規のID情報であることを報知する報知手段と、前記判定結果を前記リーダ本体を介して受信して検波する検波手段と、該検波手段により検波された信号に基づいて前記報知手段を駆動する駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明のハンディアンテナは、ハンディアンテナの手元側に断接手段(スイッチ)を備え、受電部で誘起された電流を整流して直流電力を生成する電源部と、ID情報が正規のID情報であることを報知する報知手段と、制御手段から送信された判定結果を検波する検波手段と、検波手段により検波された信号に基づいて報知手段を駆動する駆動手段とを備える。即ち、本発明では、ハンディアンテナの手元側にスイッチを備え、そのスイッチをONにするとアンテナ部から電磁波が放射するとともに、その電磁波を電力として使用して、制御手段から返送されたID情報の認証可否を報知する構成とした。これにより、不要な電磁波を放射することを防止すると共に、電力供給源を別途設ける必要がなくなり、小型・軽量化することができる。
【0007】
請求項3は、前記直流電力をバッテリから供給することを特徴とする。
受電部で誘起された電流を整流して直流電力を生成する場合、複数のハンディアンテナのスイッチがONされると、リーダからの電力が不足する場合もある。そこで本発明では、直流電力を別に設けたバッテリから供給するようにする。これにより、複数のハンディアンテナが同時に使用されても、リーダの電力が低下することを防止することができる。
【0008】
請求項4は、前記報知手段が発光ダイオードにより構成されていることを特徴とする。
使用者にID情報が正規のID情報であるか否かを報知する手段として、光または音による手段がある。しかし、受電部で誘起された電流はあまり大きくないので、可能な限り消費電流が小さいことが望まれる。そこで本発明では、光による報知手段として発光ダイオードを使用する。これにより、消費電流が少なく、且つ明瞭な報知を行うことができる。
【0009】
請求項5は、前記断接手段を接状態にしたときに、前記受電部により誘起された電流が前記電源部に供給されるように構成したことを特徴とする。
電源部は実際に動作する時に直流電力が駆動手段に供給される構成が望ましい。そこで本発明では、断接手段が接状態のときに電流が電源部に供給されるように構成する。これにより、不要な電流を極力抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、読取ったID情報を制御部により認証されたID情報であるか否かを判定し、その結果をループアンテナに返送するので、軽量な構成で且つ低コストに実現したハンディアンテナにより、従来のハンディリーダと同じ機能を実現することができる。
また、本発明では、ハンディアンテナの手元側にスイッチを備え、そのスイッチをONにするとアンテナ部から電磁波が放射するとともに、その電磁波を電力に変換して、制御手段から返送されたID情報の認証可否を報知する構成としたので、不要な電磁波を放射することを防止すると共に、電力供給源を別途設ける必要がなくなり、小型・軽量化することができる。
また、電源を別のバッテリから供給するようにするので、複数のハンディアンテナが同時に使用されても、リーダの電力が低下することを防止することができる。
また、光による報知手段として発光ダイオードを使用するので、消費電流が少なく、且つ明瞭な報知を行うことができる。
また、断接手段が接状態のときに電流が電源部に流れるように構成するので、不要な電流を極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の認証判定装置の構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係るハンディアンテナの外観構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係るハンディアンテナの機能を説明する図である。
【図4】第2の実施形態に係るハンディアンテナの機能を説明する図である。
【図5】第3の実施形態に係るハンディアンテナの機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0013】
図1は本発明の認証判定装置の構成を示す図である。
本発明の認証判定装置50は、ICカード(非接触情報記録媒体)6に記録された情報を読み取るための電磁波を放射するループアンテナ2、及びループアンテナ2を介して所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダ本体1を備えたリーダ41と、ループアンテナ2から放射される電磁波と電磁結合する受電部3、及び受電部3により誘起された電流により電磁波を発生するアンテナ部5を有する少なくとも1つのハンディアンテナ40と、リーダ41の動作を制御すると共に、リーダ41により読取ったICカード6に記録されたIDが認証されたIDであるか否かを判定するPC(制御手段)13と、を備え、PC16により判定されたID情報の判定結果に基づいて、ID情報の認証の成否を報知する。尚、ハンディアンテナ40は、受電部3とアンテナ部5をケーブル4により接続し、ケーブル4の長さは所定の長さに設定される。また、図1ではハンディアンテナ40は1つであるが、複数のハンディアンテナの夫々の受電部3によりループアンテナ2と電磁結合しても良い。
【0014】
即ち、本実施形態の認証判定装置50は、PC16により構成される制御手段、リーダ41、及び少なくとも1つのハンディアンテナ40により構成されている。特に、ハンディアンテナ40は、リーダ本体1のループアンテナ2から放射される電磁波と電磁結合する受電部3と、受電部3により受電した電磁波により誘起された電流で電磁波を発生するアンテナ部5とを備えている。従って、アンテナ部5にICカード6をかざすことでICカード6に記録されているID情報を読取ることができる。この読取ったID情報をPC16により認証されたID情報であるか否かを判定し、その判定結果をハンディアンテナ40に返送する。これにより、軽量な構成で且つ低コストに実現したハンディアンテナ40により、従来のハンディリーダと同じ機能を実現することができる。
また、本実施形態では、ハンディアンテナ40の手元側にスイッチ7を備え、そのスイッチ7をONにするとアンテナ部5から電磁波が放射する構成とした。これにより、軽量な構成で且つ低コストに実現したハンディアンテナにより、従来のハンディリーダと同じ機能を実現することができる。また、不要な電磁波を放射することを防止することができる。
【0015】
図2は本実施形態に係るハンディアンテナの外観構成を示す図である。本実施形態に係るハンディアンテナ40は、ケース9にアンテナ部5、スイッチ7、及びLED8を実装し、ケース9からケーブル4を介して受電部3が接続されている。ここで、アンテナ部5は、円状に構成し、円状部分がICカード6と近接するように操作する。また、スイッチ7は、例えばスイッチ7を押している間は接続され、押圧を解除すると接続が遮断される構造にしても良いし、スライドスイッチのような構成でも構わない。
【0016】
図3は第1の実施形態に係るハンディアンテナの機能を説明する図である。本実施形態のハンディアンテナ40は、受電部3により誘起された電流を断接するスイッチ7と、受電部3により誘起された電流を整流する保護抵抗14を直列接続したダイオード15と、スイッチ7を接状態にしたときに電磁波がアンテナ部5に供給されていることを報知するLED8と、を備え、スイッチ7が接状態のときにアンテナ部5より電磁波が放射される構成とし、電磁波が放射されているときに、保護抵抗14とダイオード15を介してLED8に電流が流れて、LED8を点灯する。本実施形態の場合、ハンディアンテナ40の手元ではICカード6のIDが認証されたか否かを認識することができないので、PC16の近傍にいて、認証の結果は、PC16の表示部に表示するようにする。
【0017】
図4は第2の実施形態に係るハンディアンテナの機能を説明する図である。本実施形態のハンディアンテナ41は、受電部3により誘起された電流を断接するスイッチ7と、受電部3により誘起された電流を整流して直流電力を生成する電源部10と、ICカード6に記録されたID情報が正規のID情報であることを報知するLED(報知手段)8と、PC16により判定された結果をリーダ本体1を介して受信して検波する検波回路(検波手段)13と、検波回路13により検波された信号に基づいてLED18を点灯するLED駆動部(駆動手段)11と、を備えた。尚、スイッチ7を接状態にしたときに、受電部3により誘起された電流が電源部10に流れるように構成した。
即ち、本実施形態のハンディアンテナ41は、スイッチ7と、受電部3で誘起された電流を整流して直流電力を生成する電源部10と、ID情報が正規のID情報であることを報知するLED8と、PC16から送信された信号を検波する検波回路13と、検波回路13により検波された信号に基づいてLED8を駆動するLED駆動部11とを備える。これにより、ハンディアンテナ41の手元でID情報が認証されたID情報であるか否かを確認することができる。
また、電源部10は実際に動作する時に直流電力がLED駆動部11に供給される構成が望ましい。そこで本実施形態では、スイッチ7が接状態のときに電流が電源部10に流れるように構成する。これにより、不要な電流を極力抑えることができる。
また、使用者にID情報が正規のID情報であるか否かを報知する手段として、光または音による手段がある。しかし、受電部3で誘起された電流はあまり大きくないので、可能な限り消費電流が小さいことが望まれる。そこで本実施形態では、光による報知手段としてLED(発光ダイオード)8を使用する。これにより、消費電流が少なく、且つ明瞭な報知を行うことができる。
【0018】
図5は第3の実施形態に係るハンディアンテナの機能を説明する図である。本実施形態のハンディアンテナ42は、電源部がバッテリ12により構成されている。尚、バッテリ12の出力側には、スイッチ7aと同時に動作するスイッチ7bが直列に接続され、検波回路13とLED駆動部11の構成は図4と同様である。
即ち、受電部3で誘起された電流を整流して直流電力を生成する場合、複数のハンディアンテナのスイッチがONされると、リーダ41からの電力が不足する場合もある。そこで本実施形態では、電力を別のバッテリ12から供給するようにする。これにより、複数のハンディアンテナが同時に使用されても、リーダ41の電力が低下することを防止することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 リーダ本体、2 ループアンテナ、3 受電部、4 ケーブル、5 アンテナ部、6 ICカード、7 スイッチ、8 LED、9 ケース、10 電源部、11 LED駆動部、12 バッテリ、13 検波回路、14 保護抵抗、15 ダイオード、40〜42 ハンディアンテナ、50 認証判定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触情報記録媒体に記録された情報を読み取るための電磁波を放射するループアンテナ、及び該ループアンテナを介して所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダ本体を備えたリーダと、
前記ループアンテナから放射される電磁波と電磁結合する受電部、及び該受電部により誘起された電流により電磁波を発生するアンテナ部を有するハンディアンテナと、
前記リーダの動作を制御すると共に、前記リーダにより読取った前記非接触情報記録媒体に記録されたID情報が認証されたID情報であるか否かを判定する制御手段と、を備え、
前記制御手段による前記ID情報の判定結果に基づいて、前記ID情報の認証の成否を報知することを特徴とする認証判定装置。
【請求項2】
前記ハンディアンテナは、前記受電部により誘起された電流を断接する断接手段と、
前記受電部により誘起された電流を整流して直流電力を生成する電源部と、
前記非接触情報記録媒体に記録されたID情報が正規のID情報であることを報知する報知手段と、
前記判定結果を前記リーダ本体を介して受信して検波する検波手段と、
該検波手段により検波された信号に基づいて前記報知手段を駆動する駆動手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の認証判定装置。
【請求項3】
前記直流電力をバッテリから供給することを特徴とする請求項2に記載の認証判定装置。
【請求項4】
前記報知手段が発光ダイオードにより構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の認証判定装置。
【請求項5】
前記断接手段を接状態にしたときに、前記受電部により誘起された電流が前記電源部に供給されるように構成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の認証判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−43190(P2012−43190A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183977(P2010−183977)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】