説明

誘導灯用信号装置

【課題】火災信号の受信と制御信号の送信の状況に応じて、各状況を容易に視認することができる誘導灯用信号装置を提供する。
【解決手段】誘導灯用信号装置の操作パネル1には、出力状態表示部10とともに、通電表示灯11、移報入力表示灯12が設置されている。誘導灯用信号装置が火災信号を受信すると、各誘導灯に対して制御信号が送信されるとともに、移報入力表示灯12が点灯する。この後、火災信号の受信が終了しても制御信号の送信は引き続き行われ、このような火災信号の受信終了後で制御信号の送信中では、移報入力表示灯12が点滅する。オペレータが復帰スイッチを操作すると、制御信号の送信が中止され、移報入力表示灯12が消灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災報知器からの火災信号に基づいて、各種の誘導灯に制御信号を送信する誘導灯用信号装置、特に、当該誘導灯用信号装置の表示部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル等の建物には、火災を感知する装置として、自動火災報知設備(以下、単に、火災報知器と称する)が通常設置されている。これとともに、火災が起こった際に避難者を非常口に誘導するための誘導灯も設置されている。この際、火災報知器が発した火災信号は、誘導灯用信号装置および中継盤を介して、誘導灯の使用に準じた制御信号に変換された伝送される。このようなシステムでは、非特許文献1に示すように、火災報知器から火災信号が誘導灯用信号装置に入力(移報)されると、誘導灯用信号装置は、この移報に準じ、誘導灯の種類に準じた制御信号を生成し、中継盤を介して、各種の誘導灯に送信する。
【非特許文献1】”誘導灯用信号装置”、[online]、2003年2月3日、松下電工株式会社、[平成18年12月22日検索]、インターネット<URL:http://biz.national.jp/Ebox/lighting_export/image/preview/doc/03_02_03.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の誘導灯用信号装置では、火災信号を受信して各誘導灯へ制御信号を出力すると、当該出力状態を示す表示が行われる。この際、火災信号を受信し終えて、当該火災信号の新たな入力がない状態であっても、同様に表示が行われる。このため、現在実際に火災信号が受信している状態であるのか、受信が終了して制御信号の送信のみが行われているのかを容易に確認することができなかった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、火災信号の受信と制御信号の送信の状況に応じて、各状況を容易に視認することができる誘導灯用信号装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、火災報知器からの火災信号を受けて、各種の表示態様からなる誘導装置に対して前記火災信号の準じた報知信号を送信する誘導灯用信号装置である。そして、この発明の誘導灯用信号装置は、火災信号の受信の有無、操作入力の有無および報知信号の送信の有無を表示する表示手段を備える。この表示手段は、火災報知器からの火災信号の受信と該火災信号に準じた報知信号の送信とを行っている第1の期間を、他の期間と識別する表示を行う単独の表示素子を有することを特徴としている。
【0006】
この構成では、火災報知器からの火災信号の受信と該火災信号に準じた報知信号の送信とを行っている第1の期間が他の期間(状況)と識別される。この際、単独の特定の表示素子を用いることで、より容易に状況が識別される。
【0007】
また、この発明の誘導灯用信号装置は、表示手段が、火災信号の受信終了後で報知信号の送信を行っている第2の期間を、単独の表示素子を用いて、さらに別の表示態様にて表示することを特徴としている。
【0008】
この構成では、前述の第1の期間とともに、火災信号の受信終了後で報知信号の送信を行っている第2の期間が、他の期間(状況)と識別される。この際にも、単独の特定の表示素子を用いることで、より容易に状況が識別される。
【0009】
また、この発明の誘導灯用信号装置は、操作入力を受け付ける操作パネルを備え、表示手段を操作パネルに設置することを特徴としている。
【0010】
この構成では、操作パネルに表示素子があることで、表示素子を見ながらの操作が容易になる。また、操作入力による状況の変化が容易に識別される。
【0011】
また、この発明の誘導灯用信号装置は、表示素子が、表示手段に設置された他の表示素子と異なる態様からなることを特徴としている。
【0012】
この構成では、表示素子が、表示手段の他の表示素子と異なることから、前述の状況の変化がさらに容易に識別される。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、火災報知器からの火災信号の受信と該火災信号に準じた報知信号の送信とを行っている第1の期間や火災信号の受信終了後で報知信号の送信を行っている第2の期間を、非常に識別しやすくユーザに表示(通知)することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る誘導灯用信号装置について図を参照して説明する。
図1は本実施形態の誘導灯用信号装置の主要構成を示すブロック図である。
図2は本実施形態の誘導灯用信号装置の操作パネルをユーザ側から見た正面図である。
図3は移報入力表示灯12の表示態様を示す図であり、(A)が火災信号受信中、制御信号送信中を示し、(B)が火災信号受信終了後、制御信号送信中を示し、(C)が待機中を示す。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の誘導灯用信号装置は、制御部3、誘導灯用制御信号出力部4、出力状態表示部10、通電表示灯11、移報入力表示灯12、操作入力部20、を備える。ここで、移報入力表示灯12が本発明の「単独の表示素子」に対応する。
【0016】
出力状態表示部10、通電表示灯11、移報入力表示灯12、操作入力部20は、誘導灯信号装置の筐体に設けられた図2に示すような操作パネル1に設置されている。
【0017】
制御部3は、入力監視部31、発光制御部32、出力制御部33を備える。入力監視部31は火災報知器からの火災信号の入力を常時監視する。また、入力監視部31は、操作パネル1に設置された各種の操作ボタンの押下等による操作入力を受け付ける。この際、入力監視部31は、火災信号の入力検出を最優先し、操作パネル1の操作入力を受け付けている最中であっても、火災信号の受信を検出すると、火災信号の受信を優先し、操作パネル1の操作入力を無効にする。また、入力監視部31は、火災報知器からの火災信号の入力(受信)が終了すると、これを検出して、火災信号受信終了検出情報を発光制御部32に与える。
【0018】
出力制御部32は、入力監視部31から与えられた火災信号の検出情報や操作入力情報に基づいて、誘導灯用制御信号出力部4の出力制御を行う。この際、出力制御部32は、出力制御情報を発光制御部33に与える。
【0019】
発光制御部33は、入力監視部31から与えられた火災信号の検出情報や操作入力情報に基づいて、出力状態表示部10、移報入力表示灯12の発光状態を制御する。
【0020】
誘導灯用制御信号出力部4は、それぞれが出力端子から構成されるPC信号出力部41、手動用信号出力部42、点滅用信号出力部43、減光用信号出力部44、および誘導音用信号出力部45を備える。なお、これらの出力部の種類及び個数はこれに限るものではなく、誘導灯の種類等に応じて適宜設定すればよい。また、これらの出力部の並びも一例であり、仕様に応じて適宜設定すればよい。PC信号出力部41は、外光連動形誘導灯が用いられている場合に、PC用中継盤を介して外光連動形誘導灯に制御信号を送信する。手動用信号出力部42は、火災信号の検出情報の取得やオペレータによる操作パネルの操作入力情報の取得に基づいて、中継盤を介して通常の誘導灯、減光形誘導灯、点滅形誘導灯へ汎用点灯用の制御信号を送信する。点滅用信号出力部43は、点滅形誘導灯が用いられている場合に、点滅形誘導灯へ点滅制御信号を送信する。減光用信号出力部44は、減光形誘導灯が用いられている場合に、減光形誘導灯へ減光制御信号を送信する。誘導音用信号出力部45は、誘導音型誘導灯が用いられている場合に、誘導音型誘導灯へ鳴動制御信号を送信する。この際、各出力部は、リレースイッチを備え、通常時、すなわち、火災信号の入力待機中にはリレースイッチがオンである。そして、各出力部は、火災信号の検出情報を取得するとリレースイッチがオフになり、各誘導灯へそれぞれの制御信号を送信する。なお、リレースイッチがオフの場合、0V信号となるため、0でない有限値の電圧レベルからなる信号は送信されないが、この状態が制御信号の送信状態となる。
【0021】
出力状態表示部10は、PC出力表示部101、手動出力表示部102、点滅出力表示部103、減光出力表示部104、および誘導音出力表示部105を備える。PC出力表示部101は、消灯表示発光素子および点灯表示発光素子を備え、PC出力時には点灯表示発光素子が発光し、その他の状態では消灯表示発光素子が発光する。手動出力表示部102は、消灯表示発光素子および点灯表示発光素子を備え、前述の汎用点灯用の制御信号の送信時には点灯表示発光素子が発光し、その他の状態では消灯表示発光素子が発光する。点滅出力表示部103は、停止表示発光素子と点滅表示発光素子とを備え、前述の点滅制御信号の送信時には点滅表示発光素子が発光し、その他の状態では停止表示発光素子が発光する。減光出力表示部104は、減光表示発光素子および100%点灯表示発光素子を備え、前述の減光制御信号の送信時には、100%点灯表示発光素子が発光する。誘導音出力表示部105は、停止表示発光素子と鳴動表示発光素子とを備え、前述の鳴動制御信号の送信時には、鳴動表示発光素子が発光し、その他の状態では停止表示発光素子が発光する。これらのPC出力表示部101、手動出力表示部102、点滅出力表示部103、減光出力表示部104、誘導音出力表示部105は、操作パネル1に配列設置されている。具体的に、PC出力表示部101、手動出力表示部102、点滅出力表示部103、減光出力表示部104、誘導音出力表示部105は、横方向に配列されており、各出力表示部の発光素子は縦方向に配列されている。そして、火災信号の検出情報の取得時に点灯する側の発光素子、すなわち、PC出力表示部101の点灯表示発光素子、手動出力表示部102の点灯表示発光素子、点滅出力表示部103の点滅表示発光素子、減光出力表示部104の100%点灯表示発光素子、誘導音出力表示部105の鳴動表示発光素子は、横方向に一直線状で且つ各出力表示部の配列の下側に配置されている。
【0022】
通電表示灯11は、当該誘導灯用信号装置が電源オン状態に有るかどうかを表示する。具体的に、通電表示灯11は点灯状態と消灯状態とに制御され、電源オン状態であれば点灯する。
【0023】
移報入力表示灯12は、火災信号の受信状況と、各種制御信号の送信状況とに基づく当該誘導灯用信号装置の動作状態を示す表示をする。具体的に、移報入力表示灯12は消灯状態、点灯状態、点滅状態に制御される。移報入力表示灯12は、火災信号の受信が無く、誘導灯用制御信号出力部4からの制御信号の送信がない場合(リレーがオン状態)、すなわち、通常の待機状態にある場合には消灯状態である。そして、移報入力表示灯12は、火災信号を受信し、誘導灯用制御信号出力部4から制御信号が送信されている場合(リレーがオフ状態)、すなわち火災警報初期には点灯状態となる(この期間が、本発明の「第1の期間」に相当する。)。さらに、移報入力表示灯12は、火災信号の受信が終了した後で、誘導灯用制御信号出力部4から制御信号が送信されている場合(リレーがオフ状態)、点滅状態となる(この期間が、本発明の「第2の期間」に相当する。)。このように、各状態により表示態様が異なることで、オペレータは誘導灯用信号装置の動作状態を容易に把握することができる。
【0024】
操作入力部20は、操作パネル1に配列設置された各種の押下式スイッチを備える。具体的には、復帰スイッチ(復帰SW)201、一括スイッチ(一括SW)202、手動スイッチ(手動SW)203、点検スイッチSW(点検SW)204、点検切替スイッチ(点検切替SW)205を備える。復帰SW201は押下により通常の待機状態に復帰する入力を行うスイッチである。一括SW202は、押下により、火災信号の受信且つ各種制御信号の送信状態(第1の期間と同等の状態)と、通常の待機状態との切替を行うスイッチである。手動SW203は、誘導灯への制御信号の送信、停止(実際には、リレーのオン/オフ)の切替を行うスイッチである。点検SW204は、点滅表示の動作/停止の手動切替を行うスイッチである。点検切替SW205は、減光表示の動作/停止の手動切替を行うスイッチである。復帰スイッチを除くこれらのスイッチには操作入力により切り替えられる状態を表す二つの表示素子が備えられており、前述の出力状態表示部10、移報入力表示灯12とともに、スイッチに設けられた表示素子を見ることで、オペレータは復帰や保守時の操作入力による各状態を容易に把握することができる。
【0025】
次に、実際に待機状態から火災信号の受信、復帰に至るまでの誘導灯用信号装置の動作変化を説明する。
【0026】
火災信号の受信が検出されない、いわゆる待機状態では、前述のように待機状態に応じた出力制御が行われるとともに出力状態表示制御が行われる。この際、操作パネル1では、移報入力表示灯12は消灯状態にある。
【0027】
次に、火災報知器からの火災信号を受信すると、誘導灯用信号装置は、前述の用に誘導灯用制御信号出力部4のリレーをオフに切り替えて、各種の制御信号を出力する。この送信とともに、操作パネル1の出力状態表示部10では、PC出力表示部101の点灯表示発光素子、手動出力表示部102の点灯表示発光素子、点滅出力表示部103の点滅表示発光素子、減光出力表示部104の100%点灯表示発光素子、誘導音出力表示部105の鳴動表示発光素子が点灯し、移報入力表示灯12も点灯状態になる。この表示状態を見ることで、オペレータは、火災信号を受信中で且つ制御信号を送信中であることを認識することができる。
【0028】
次に、火災報知器からの火災信号の受信がストップしても、誘導灯用信号装置は、復帰スイッチが押されない限り各種制御信号を出力する。この際、操作パネル1の出力状態表示部10の表示は、火災信号を受信中で且つ制御信号を送信中である時から変化しない。しかしながら、移報入力表示灯12は、点滅状態になる。この表示状態を見ることで、オペレータは、火災信号を受信終了後で且つ制御信号を送信中であることを認識することができる。
【0029】
次に、オペレータにより復帰SWが押下されると、誘導灯用信号装置は待機状態に戻り、移報入力表示灯12は消灯状態になる。
以上のように、誘導灯用信号装置は移報入力表示灯12を備え、当該表示灯により、(1)火災信号を受信中で且つ制御信号を送信中である期間、(2)火災信号を受信終了後で且つ制御信号を送信中である期間、(3)待機期間の、3態様を異なる表示態様で表示することで、オペレータは、これら3態様を容易に且つ明確に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態の誘導灯用信号装置の主要構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の誘導灯用信号装置の操作パネルをユーザ側から見た正面図である。
【図3】移報入力表示灯12の表示態様を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1−操作パネル、10−出力状態表示部、101−PC出力表示部、102−手動出力表示部、103−点滅出力表示部、104−減光出力表示部、105−誘導音出力表示部、11−通電表示灯、12−移報入力表示灯、20−操作入力部、201−復帰SW、202−一括SW、203−手動SW、204−点検SW、205−点検切替SW、3−制御部、31−入力監視部、32−出力制御部、33−発光制御部、4−誘導灯用制御信号出力部、41−PC用信号出力部、42−手動用信号出力部、43−点滅用信号出力部、44−減光用信号出力部、45−誘導音用信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災報知器からの火災信号を受けて、各種の表示態様からなる誘導装置に対して前記火災信号の準じた報知信号を送信する誘導灯用信号装置であって、
火災信号の受信の有無、操作入力の有無および報知信号の送信の有無を表示する表示手段を備え、
該表示手段は、前記火災報知器からの火災信号の受信と該火災信号に準じた報知信号の送信とを行っている第1の期間を、他の期間と識別する表示を行う単独の表示素子を有する誘導灯用信号装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記火災信号の受信終了後で前記報知信号の送信を行っている第2の期間を、前記単独の表示素子を用いて、さらに別の表示態様にて表示する請求項1に記載の誘導灯用信号装置。
【請求項3】
操作入力を受け付ける操作パネルを備え、
前記表示手段は前記操作パネルに設置されている請求項1または請求項2に記載の誘導灯用信号装置。
【請求項4】
前記表示素子は、前記表示手段に設置された他の表示素子と異なる態様からなる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の誘導灯用信号装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−209972(P2008−209972A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43387(P2007−43387)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000001074)クロイ電機株式会社 (49)
【Fターム(参考)】