説明

誘電体バリア放電管を用いた表示装置

【課題】 蛍光体膜の発光を利用した模様表示を行うことができる誘電体バリア放電管を用いた表示装置を提供する。
【解決手段】 筐体11において対向配置された蓋体13及び底部14の間には放電空間を設け、蓋体13の内面には蛍光体膜からなる文字列17を設ける。蓋体13の外面には、放電空間と対向する全エリアのうち、文字列17と対面する領域を含む一部の範囲のみに設けられた放電部19bを有する透明放電電極19を設ける。底部14の内面には、文字列17と対面する文字列18を設け、底部14の外面には、放電空間と対向する全エリアのうち、文字列18と対面する領域を含む一部の範囲のみに設けられた放電部20bを有する透明放電電極20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向配置された一対の誘電体間に、放電性ガスが封入された放電空間が設けられている誘電体バリア放電管を用いた表示装置に関するものである。なお、本明細書において、「模様」とは、文字、数字、記号、図形、図柄等を含む。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の誘電体バリア放電管としては特許文献1で開示される平面型放電管がある。この平面型放電管においては、対向配置された一対のガラス基板間に放電空間が形成されている。両ガラス基板の一方には、その外面に透明放電電極が形成され、その内面に蛍光体膜が形成されている。また、両ガラス基板のもう一方には、その内面に透明放電電極が形成され、この透明放電電極上に蛍光体膜が形成されている。各透明放電電極には、その周縁に四角片状の導電体(通電用電極)が取り付けられており、この導電体に給電用の電線が半田付けされている。
【特許文献1】特開2003−31182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に記載されたような平面型放電管は、放電空間全体を均一に発光させるものであるため、単なる照明装置としての用途しかなく、文字、数字、記号、図形、あるいは図柄といったような何らかの模様を表示することはできなかった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、蛍光体膜の発光を利用した模様表示を行うことができる平面型放電管を用いた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、対向配置された一対の放電電極間に、放電性ガスが封入された放電空間と、誘電体とを設けるとともに、両前記放電空間に臨むように蛍光体膜を設けた誘電体バリア放電管を用いた表示装置であって、前記放電電極のうちの少なくとも一方を透明放電電極とし、この透明放電電極を通じて前記放電空間を視認可能とするとともに、前記蛍光体膜により模様を表したことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記誘電体を、前記放電空間を挟んで対向配置された一対とし、そのうちの少なくとも一方を透明とするとともにその内面又は外面に前記透明放電電極を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、一対の誘電体を共に透明とし、各誘電体の外面にそれぞれ前記透明放電電極を設けるとともに、両誘電体のうちの少なくとも一方の内面には模様を形成する前記蛍光体膜を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、一対の放電電極のうちの少なくとも一方を前記放電空間に臨む誘電体の内面に設けるとともに誘電体膜よりなる保護膜で被覆し、さらにその上に前記蛍光体膜よりなる模様を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記一対の放電電極のいずれか一方を前記透明放電電極とし、他方を不透明電極としたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、筐体の表裏面両板を誘電体で形成し、そのうちの少なくとも表面板を透明誘電体とし、同表面板の外面又は内面に透明放電電極を設けるとともに、同裏面板の外面又は内面に放電電極を設け、同筐体内部に放電性ガスを封入して放電空間とし、同筐体の表裏面両板のいずれか少なくとも一方の内面に模様を構成する蛍光体膜を設け、さらに、前記透明誘電体及び透明放電電極を通して前記放電空間を外部から視認可能にしたことを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載の発明は、筐体の表面板を透明誘電体で形成し、裏面板を絶縁体で形成し、同表面板の外面又は内面に透明放電電極を設け、同裏面板の内面に放電電極を設けるとともに、同筐体内部に放電性ガスを封入して放電空間とし、同表裏面両板のいずれか少なくとも一方の内面に模様を構成する蛍光体膜を設け、さらに、前記透明誘電体及び前記透明放電電極を通して前記放電空間を外部から視認可能にしたことを特徴とする。
【0011】
請求項8に記載の発明は、筐体の表面板を透明誘電体で形成し、裏面板を放電電極を兼用する金属体で形成し、同表面板の外面又は内面に透明放電電極を設けるとともに、同筐体内部に放電性ガスを封入して放電空間とし、同表裏両面板のいずれか少なくとも一方の内面に模様を構成する蛍光体膜を設け、さらに、前記透明誘電体及び前記透明放電電極を通して前記放電空間を外部から視認可能にしたことを特徴とする。
【0012】
請求項9に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の発明において、前記透明放電電極及び放電電極のいずれか少なくとも一方を、前記筐体の周縁に沿って延びる基部と、前記模様と対面する位置に設けられた放電部と、同基部と同放電部を繋ぐ接続部とから構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記透明放電電極及び放電電極を、それぞれ前記基部、前記放電部及び前記接続部とから構成し、同透明放電電極の放電部と同放電電極の放電部とを同じ位置に設けるとともに、同透明放電電極の前記基部及び前記接続部と同放電電極の前記基部及び前記接続部とを異なる位置に設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は請求項10に記載の発明において、前記放電部を、模様を構成する前記蛍光体膜の領域を最小限含む範囲に設けたことを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記表面板の内面に前記模様を構成する蛍光体膜を設けるとともに、前記裏面板の内面全面に蛍光体膜を形成したことを特徴とする。
【0015】
請求項13に記載の発明は、請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の発明において、前記表面板の内面に前記透明放電電極を設け、同透明放電電極を誘電体膜よりなる保護膜で被覆し、その上に前記蛍光体膜よりなる模様を設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項14に記載の発明は、請求項6〜請求項13のいずれか一項に記載の発明において、前記筐体を円弧状に湾曲させたことを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項6〜請求項13のいずれか一項に記載の発明において、前記筐体を球面状に湾曲させたことを特徴とする。
【0017】
請求項16に記載の発明は、径が異なる2つの円筒状の誘電体を同一中心軸線上において互いに重なるように配置し、両誘電体の間に円筒状の放電空間を形成し、そのうちの少なくとも外側の誘電体を透明誘電体とし、外側の誘電体の外面又は内面に透明放電電極を設け、内側の誘電体の外面又は内面に放電電極を設け、外側の誘電体の内面、及び、内側の誘電体の外面のいずれか少なくとも一方に模様を構成する蛍光体膜を設け、さらに、前記透明誘電体及び透明放電電極を通して前記放電空間を視認可能としたことを特徴とする。
【0018】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の発明において、前記外側の誘電体の外面に前記透明放電電極を設け、前記内側の誘電体の外面に前記放電電極を設け、その表面を保護膜で被覆し、さらに、外側の誘電体の内面、又は、前記保護膜の上のいずれか少なくとも一方に前記蛍光体膜よりなる模様を設けたことを特徴とする。
【0019】
(作用)
請求項1〜10に記載の発明によれば、模様状の蛍光体膜が発光することにより、照明器具としてのみならず模様表示機能が発揮される。
【0020】
請求項11に記載の発明によれば、誘電体の全エリアのうち蛍光体膜と対面する領域を最小限含む一部の範囲に対してのみ放電部から駆動電圧が印可される。従って、放電空間と対向する誘電体の全エリアに放電部を設けた場合に比較して消費電力が小さくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、模様状の蛍光体膜が発光することにより、照明器具としてのみならず、文字、数字、記号、図形又は図柄等の模様の表示機能が発揮される。従って、蛍光体膜の発光を利用した模様表示を行うことができる表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
次に、本発明を平面型放電管を用いた表示装置に具体化した第1実施形態を図1及び図2に従って説明する。
【0023】
図1及び図2(a),(b)に示すように、本実施形態の平面型放電管を用いた表示装置10は、扁平な筐体11からなり、この筐体11は、一方面が開口した有底の箱本体12と、この箱本体12の開口部を閉塞する表面板としての四角平板状の蓋体13とを備えている。箱本体12は、裏面板としての平板状の底部14と、その周縁の枠状の側壁部15とからなる。箱本体12及び蓋体13はともに透明ガラス等の透明誘電体により形成されており、低融点ガラスフリットを用いて接合されている。そして、筐体11において、蓋体13と、箱本体12の底部14とは互いに平行をなすとともに、側壁部15により設定される間隔を隔てて対向配置されている。本実施形態では、蓋体13及び底部14が一対の誘電体を構成する。また、筐体11内において、蓋体13と底部14との間には、密封された放電空間16(図2(b)に図示)が形成され、そこには放電性ガスとしての不活性ガスが封入されている。この不活性ガスは、例えばキセノンガス、キセノンガスを含む混合ガス等の主に紫外線を発生するものである。
【0024】
蓋体13の内面(図1における下面)には、蛍光体膜からなる文字列17が設けられている。また、箱本体12の底部14の内面(図1における上面)には、文字列17と同じ蛍光体膜からなる文字列18が設けられている。両文字列17,18は、同じ形状であるとともに同じ位置に設けられている。各文字列17,18は、例えばスクリーン印刷により形成されている。
【0025】
蓋体13の外面(図1における上面)、及び、底部14の外面(図1における下面)には、それぞれ透明放電電極19及び20が設けられている。放電電極としての各透明放電電極19,20は、例えば酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化スズ、又は酸化亜鉛をスパッタリング、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition :化学気相蒸着法)、又は塗布することにより形成されている。
【0026】
透明放電電極19は、蓋体13の周縁に沿って延びる基部19aと、文字列17と対面する位置に設けられた放電部19bと、基部19aと放電部19bとを繋ぐ接続部19cとから構成されている。詳述すると、放電部19bは、放電空間16全体と対向する蓋体13の全エリアのうち、文字列17と対面する領域を最小限含む一部の範囲のみに設けられている。基部19aの端部には、透明放電電極19に給電するための通電電極21aが接合され、通電電極21aには給電用の電線(図2(a),(b)に図示)22が半田付けされている。すなわち、基部19aは、電線22を透明放電電極19に接続するために設けられ、放電部19bは、放電空間16の全領域のうち、文字列17と対面する領域に放電させるために設けられている。また、接続部19cは、基部19aから放電部19bに給電するために設けられている。
【0027】
また、前記透明放電電極20は、透明放電電極19と同様に、底部14の周縁に沿って延びる基部20aと、文字列18と対面する位置に設けられた放電部20bと、基部20aと放電部20bとを繋ぐ接続部20cとから構成されている。詳述すると、放電部20bは、放電空間16全体と対向する底部14の全エリアのうち、文字列18と対面する領域を最小限含む一部の範囲のみに設けられている。基部20aの端部には、透明放電電極20に給電するための通電電極21bが接合され、通電電極21bには給電用の電線22が半田付けされている。また、放電部20bは、透明放電電極19の放電部19bと同一形状及び同一サイズに形成されるとともに同じ位置に設けられている。一方、基部20a及び接続部20cは、基部19a及び接続部19cとは異なる位置に設けられている。そして、基部20a、放電部20b及び接続部20cは、それぞれ基部19a、放電部19b及び接続部19cと同じ機能を有する。
【0028】
さて、前述のように構成された表示装置10において、両通電電極21a,21bを介して両透明放電電極19,20間に駆動電圧を印可すると、放電空間16における両放電部19b,20b間の領域に放電状態が発生する。この放電により放電性ガスが電離して紫外線が発生し、この紫外線が各文字列17,18に照射される。すると、各文字列17,18において可視光線が発生し、この可視光線が蓋体13を通して筐体11の外部に放射される。この結果、表示装置10の前面側(蓋体13の外面側)及び背面側(底部14の外面側)を通して、蛍光体膜により表された文字列17,18が発光表示される。
【0029】
従って、本実施形態によれば、以下の各効果を得ることができる。
(1) 蛍光体膜によって模様としての文字列17,18を表したので、文字列17,18が発光することにより、その文字列17,18を発光表示することができる。従って、平面型放電管を表示装置として用いることができる。
【0030】
(2) 各透明放電電極19,20の放電部19b,20bを、放電空間16全体と対向する蓋体13及び底部14の全エリアのうち、文字列17,18と対面する領域を最小限含む一部の範囲のみに設けた。また、透明放電電極19の基部19a及び接続部19cと、透明放電電極20の基部20a及び接続部20cとを互いに対応しない異なる位置に設けた。このため、文字列17,18と対面する放電部19b,20bに対してのみ駆動電圧を印可することができる。従って、放電空間16と対向する蓋体13及び底部14の全エリアに放電部を設けた場合に比較して消費電力が小さくなる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図3及び図4(a),(b)に従って説明する。本実施形態は、両透明放電電極19,20が前記第1実施形態と異なる。従って、第1実施形態と同じ構成については、符号を同じにしてその説明を省略する。
【0032】
図3及び図4(a),(b)に示すように、蓋体13の外面に設けられた本実施形態の透明放電電極19は、蓋体13の周縁に沿って延びる基部19aと、前記蛍光体膜よりなる文字列17と対面する位置に設けられた放電部19bと、基部19aと放電部19bとを繋ぐ接続部19cとから構成されている。詳述すると、放電部19bは、放電空間16と対向する蓋体13の全エリアのうち、文字列17の各文字と対向する領域のみに設けられている。すなわち、文字列17と放電部19bとは同一形状及び同一サイズとされている。なお、基部19a、放電部19b及び接続部19cの機能は第1実施形態と同じである。
【0033】
また、底部14の外面に設けられた透明放電電極20は、透明放電電極19と同様に、蓋体13の周縁に沿って延びる基部20aと、文字列17と対面する位置に設けられた放電部20bと、基部20aと放電部20bとを繋ぐ接続部20cとから構成されている。詳述すると、放電部20bは、放電空間16と対向する底部14の全エリアのうち、前記蛍光体膜よりなる文字列18の各文字と対面する領域のみに設けられている。すなわち、文字列18と放電部20bとは同一形状及び同一サイズとされている。一方、基部20a及び接続部20cは、前記基部19a及び接続部19cと対応しない異なる位置に設けられている。また、基部20a、放電部20b及び接続部20cは、それぞれ基部19a、放電部19b及び接続部19cと同じ機能を有する。
【0034】
さて、以上のように構成された表示装置10においては、前記第1実施形態において(1)に記載した効果を得ることができる。しかも、文字列17,18と対面する領域のみに設けた放電部19b,20bにより、放電空間16全体のうち文字列17,18と対面する範囲に対してのみ駆動電圧を印可することができるので、前記(2)に記載の効果がより顕著となる。
【0035】
(変形例)
なお、前記各実施形態は、次のように変更して実施してもよい。なお、以下の図7〜図12に示す断面図は、図4(b)の断面図に相当する。
【0036】
・ 第1実施形態又は第2実施形態において、蛍光体膜よりなる模様としての文字列は、文字列17及び18のいずれか一方のみであってもよい。
・ 図3に二点鎖線で示すように、各放電部19b,20bのサイズを、文字列17,18のサイズよりもやや大きくしてもよい。また、図示はしないが、逆に、各放電部19b,20bのサイズを、文字列17,18のサイズよりもやや小さくしてもよい。
【0037】
・ 前記各実施形態及び下記の各変形例において、「文字列」なる記載は全て模様としての文字列であって、1つの文字、数字、記号、図形又は図柄であってもよく、これらのうちのいずれか複数の組み合わせであってもよい。
【0038】
・ 図5に示す、第2実施形態の透明放電電極19と、第1実施形態の透明放電電極20とを組み合わせた構成としてもよい。この場合も、第2実施形態と同様の効果がある。
・ 図6に示すように、第1実施形態の透明放電電極19と、底部14の内面のほぼ全面に設けた透明放電電極23とを組み合わせた構成としてもよい。この場合、透明放電電極23を、透明放電電極19の基部19a及び接続部19cと対面する領域を除くように形成し、同領域での無用な放電を防止するようにしてもよい。この場合にも、第1実施形態と同様の効果がある。
【0039】
・ 図7(a)に示すように、筐体11を、表面板としての前面誘電体平板30と、裏面板としての背面誘電体平板31とを、枠部材32を挟んで接合することで構成している。そして、前面誘電体平板30の内外両面には、第2実施形態と同様の文字列17及び透明放電電極19を設けている。一方、背面誘電体平板31の内面には、文字列17と対面する放電部20bを有する透明放電電極20を設けるとともに、この透明放電電極20をMgO、SiO2 、ZnS、MgF2 等やその他の誘電体薄膜による保護膜33により被覆している。さらに、この保護膜33上において放電部20bと対応する領域に、蛍光体膜よりなる模様としての文字列18を形成している。すなわち、文字列18は、文字列17と対面している。この構成では、透明放電電極20からのスパッタリング現象による悪影響が保護膜33により防止される。なお、基部20aの端部は、背面誘電体平板31と枠部材32との間から筐体11の外部に引き出されている。この場合には、両透明放電電極19,20間に、誘電体として前面誘電体平板30及び保護膜33が配置される。
【0040】
・ 図7(b)に示すように、前面誘電体平板30の内面には文字列17に対応する放電部19bを備えた透明放電電極19を設けるとともに、この透明放電電極19を誘電体薄膜からなる保護膜33により被覆している。さらに、この保護膜33上において放電部19bと対応する領域に、蛍光体膜よりなる模様としての文字列17を形成している。また、背面誘電体平板31の内面には、透明放電電極19と同様の透明放電電極20を形成し、この透明放電電極20を被覆する保護膜33上において放電部20bと対応する領域に、蛍光体膜よりなる模様としての文字列18を形成している。この構成では、透明放電電極19,20からのスパッタリング現象による悪影響が各保護膜33により防止される。また、両透明放電電極19,20間に、誘電体として透明放電電極19,20上の各保護膜33が配置される。
【0041】
・ 図8(a)に示すように、蓋体13の内外両面には、第2実施形態と同様にそれぞれ文字列17及び透明放電電極19を設けている。一方、箱本体12の底部14の外面には、不透明電極としての金属放電電極34を設けている。この場合、蓋体13側からのみ、文字列17による発光表示を視認することができる。この構成では、透明放電電極19と金属放電電極34との間に、誘電体として蓋体13及び底部14が配置される。
【0042】
・ 図8(b)に示すように、蓋体13の内外両面には、第2実施形態と同様にそれぞれ文字列17及び透明放電電極19を設けている。一方、底部14の内面全体に蛍光体膜35を形成し、底部14の外面には、放電空間16全体と対向する透明放電電極20を設けている。この場合、蛍光体膜35は、文字列17とは異なる色の発光が可能である。この構成では、両透明放電電極19,20間に、誘電体として蓋体13及び底部14が配置される。
【0043】
・ 図9(a)に示すように、前面誘電体平板30の外面には、第2実施形態と同様に透明放電電極19を設けている。一方、背面誘電体平板31の内面には、その内面全体に透明放電電極20を設けるとともに、この透明放電電極20の全面を誘電体薄膜よりなる保護膜33で被覆している。さらに、この保護膜33の上面において透明放電電極19の放電部19bと対向する領域には、蛍光体膜よりなる模様としての文字列18を設けている。この構成では、両透明放電電極19,20間に、誘電体として前面誘電体平板30及び保護膜33が配置される。
【0044】
・ 図9(b)に示すように、前面誘電体平板30の内外両面には、第2実施形態と同様の文字列17及び透明放電電極19を設けている。一方、背面誘電体平板31の内面には、文字列17と対面する放電部20bを有する透明放電電極20を設けるとともに、この透明放電電極20を誘電体薄膜よりなる保護膜33により被覆している。この構成では、両透明放電電極19,20間に、誘電体として前面誘電体平板30及び保護膜33が配置される。
【0045】
・ 図10(a)に示すように、蓋体13の内外両面には、第2実施形態と同様にそれぞれ文字列17及び透明放電電極19を設けている。一方、底部14の内面には、文字列17と対面する文字列18を設けている。また、底部14の外面において放電空間16全体と対向する全エリアのうち、文字列18と対面する領域を最小限含む一部の範囲に不透明電極としての金属放電電極34を設けている。この構成では、透明放電電極19と金属放電電極34との間に、誘電体として蓋体13及び底部14が配置される。なお、この構成において、文字列17,18のいずれか一方を省いた構成としてもよい。
【0046】
・ 図10(b)に示すように、前面誘電体平板30の内外両面には、第2実施形態と同様にそれぞれ文字列17及び透明放電電極19を設けている。一方、背面誘電体平板31に代えて、放電電極を兼ねる金属体としての金属平板36を筐体11の一部として設け、この金属平板36の内面に蛍光体膜よりなる模様としての文字列18を設けている。この構成では、透明放電電極19と金属平板36との間に、誘電体として前面誘電体平板30のみが配置される。なお、この構成において、文字列17,18のいずれか一方を省いた構成としてもよい。
【0047】
・ 図11(a)に示すように、前面誘電体平板30の内外両面には、第2実施形態と同様にそれぞれ文字列17及び透明放電電極19を設けている。一方、背面誘電体平板31に代えて絶縁体平板37を筐体11の一部として設け、この絶縁体平板37の内面に不透明な放電電極38を形成している。なお、この放電電極38は、第1実施形態の透明放電電極20と同じ形状である。この絶縁体平板37としては、例えばセラミック、陶磁器材、コンクリート、木材等を用いることができる。この構成では、透明放電電極19と放電電極38との間に、誘電体として前面誘電体平板30のみが配置される。なお、この構成において、前面誘電体平板30の内面に透明放電電極19を設け、透明放電電極19を誘電体薄膜の保護膜33で覆った上に文字列17を設けた構成としてもよい。
【0048】
・ 図11(b)に示すように、前面誘電体平板30の内面には透明放電電極19を設け、この透明放電電極19を誘電体薄膜からなる保護膜33により被覆した構成とする。この構成では、両透明放電電極19,20間に、誘電体として保護膜33のみが配置される。なお、この構成を、透明放電電極19を保護膜33により被覆せず、透明放電電極20を保護膜33により被覆した構成に代えてもよい。
【0049】
・ 図12に示すように、筐体11全体をその表面が凸面又は凹面となるように円弧状に湾曲させた構成としてもよい。この湾曲方向は、上下方向に限らず、左右方向であってもよい。また、筐体11をその表面が球面状の凹面又は凸面となるように湾曲させてもよい。この構成では、円弧状の凸面又は凹面、又は、球面状の凸面又は凹面である筐体11の表面に模様を表示させることができる。
【0050】
・ 図13(a),(b)に示すように、表示装置40を、同一軸線上において互いに重なる位置に配置された大小2つの透明なガラス管41,42からなり、両ガラス管41,42間に円筒状の放電空間43が形成された円筒型の誘電体バリア放電管によって構成する。この表示装置40において、外側に配置されるガラス管41の外面には透明放電電極44を形成し、ガラス管41の内面には、蛍光体膜よりなる模様としての図柄45を形成している。また、内側に配置されるガラス管42の内面には、透明放電電極46を形成している。この表示装置40によれば、円筒状の周面に図柄45が表示される。なお、ガラス管42の外側に図柄45を設けてもよい。前記各実施形態の構成は、この実施形態にも応用可能である。この構成では、両透明放電電極44,46間に、誘電体としてガラス管41,42が配置される。なお、この構成において、内側のガラス管42を不透明ガラス管としたり、透明放電電極46に代えて不透明放電電極を設けてもよい。
【0051】
・ 図14に示すように、ガラス管41の外側に透明放電電極44を設け、ガラス管41の内側に蛍光体膜よりなる図柄45を設ける。一方、ガラス管42の外側に透明放電電極46を設け、その上を誘電体薄膜よりなる保護膜47で被覆する。また、図柄45を、ガラス管41の内側ではなく、保護膜47の上に設けてもよい。この構成では、両透明放電電極44,46間に、誘電体としてガラス管41及び保護膜47が配置される。
【0052】
・ 表示装置10の正面視の形状は、四角形に限らず、その他例えば、楕円形、円形、三角形、五角形以上の多角形、あるいは、不定形等であってもよい。
・ 放電性ガスとして、文字列17,18を発光させる紫外線に加えて、可視光線を発生する例えば、Ne、Ar、He、Krの希ガスや、N、O等の分子ガスを用いてもよい。また、同じく、Kr−F、Kr−Cl、Xe−F、Xe−Clその他上記希ガスや分子ガスの混合ガスや、Zn、Cd、Hg、Na等の金属を希ガスと混合することで蒸気化させた金属ガス(金属蒸気)を用いてもよい。この場合には、文字列17,18が発光表示されることに加え、放電性ガスが発する可視光線により放電空間16全体が発光する。このため、文字列17,18の発光色と、放電性ガスの発光色とを異ならせることにより、多彩な表示を行うことができる。
【0053】
・ 誘電体としての蓋体13及び底部14(箱本体12)を、誘電性の鉱物であるマイカや大理石等、あるいは、誘電性の合成樹脂であるポリエステル樹脂、メタクリル樹脂又は塩化ビニル樹脂等により形成してもよい。この場合、底部14を不透明な誘電体としてもよい。前面誘電体平板30及び背面誘電体平板31についても同様である。
【0054】
次に、上記各実施形態から把握できる技術的思想のうち、請求項に記載した以外の思想をその効果とともに記載する。
(1) 請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置において、前記放電性ガスは、可視光線を発するものであることを特徴とする誘電体バリア放電管を用いた表示装置。このような構成によれば、蛍光体膜が発光することにより、蛍光体膜により表された模様が発光表示されることに加え、放電性ガスが発する可視光線により放電空間が発光する。従って、蛍光体膜による模様の発光色と、放電性ガスの発光色とを異ならせることにより、より多彩な表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態の表示装置を示す分解斜視図。
【図2】(a)は表示装置を示す正面図、(b)は(a)におけるa−a線断面図。
【図3】第2実施形態の表示装置を示す分解斜視図。
【図4】(a)は表示装置を示す正面図、(b)は(a)におけるb−b線断面図。
【図5】透明放電電極の変形例を示す斜視図。
【図6】透明放電電極の変形例を示す斜視図。
【図7】(a),(b)はともに表示装置の変形例を示す断面図。
【図8】(a),(b)はともに表示装置の変形例を示す断面図。
【図9】(a),(b)はともに表示装置の変形例を示す断面図。
【図10】(a),(b)はともに表示装置の変形例を示す断面図。
【図11】(a),(b)はともに表示装置の変形例を示す断面図。
【図12】表示装置の変形例を示す縦断面図。
【図13】(a)は円筒型の誘電体バリア放電管を用いた表示装置を示す縦断面図、(b)は(a)におけるc−c線断面図。
【図14】表示装置の変形例を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0056】
10…表示装置、11…筐体、13…誘電体及び表面板としての蓋体、14…誘電体及び裏面板としての(箱本体)の底部、16…放電空間、17,18…模様としての文字列、19…放電電極としての透明放電電極、19a…基部、19b…放電部、19c…接続部、20…放電電極としての透明放電電極、20a…基部、20b…放電部、20c…接続部、23…放電電極としての透明放電電極、30…誘電体及び表面板としての前面誘電体平板、31…誘電体及び裏面板としての背面誘電体平板、33…誘電体及び誘電体膜としての保護膜、34…不透明電極としての金属放電電極、35…蛍光体膜、36…金属体としての金属体としての金属平板、37…絶縁体平板、38…-放電電極、40…表示装置、41,42…誘電体としてのガラス管、43…放電空間、44,46…透明放電電極、45…模様としての図柄、47…誘電体としての保護膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された一対の放電電極間に、放電性ガスが封入された放電空間と、誘電体とを設けるとともに、両前記放電空間に臨むように蛍光体膜を設けた誘電体バリア放電管を用いた表示装置であって、
前記放電電極のうちの少なくとも一方を透明放電電極とし、この透明放電電極を通じて前記放電空間を視認可能とするとともに、前記蛍光体膜により模様を表したことを特徴とする誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項2】
前記誘電体を、前記放電空間を挟んで対向配置された一対とし、そのうちの少なくとも一方を透明とするとともにその内面又は外面に前記透明放電電極を設けたことを特徴とする請求項1に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項3】
一対の誘電体を共に透明とし、各誘電体の外面にそれぞれ前記透明放電電極を設けるとともに、両誘電体のうちの少なくとも一方の内面には模様を形成する前記蛍光体膜を設けたことを特徴とする請求項2に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項4】
一対の放電電極のうちの少なくとも一方を前記放電空間に臨む誘電体の内面に設けるとともに誘電体膜よりなる保護膜で被覆し、さらにその上に前記蛍光体膜よりなる模様を設けたことを特徴とする請求項1に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項5】
一対の放電電極のいずれか一方を前記透明放電電極とし、他方を不透明電極としたことを特徴とする請求項1に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項6】
筐体の表裏面両板を誘電体で形成し、そのうちの少なくとも表面板を透明誘電体とし、同表面板の外面又は内面に透明放電電極を設けるとともに、同裏面板の外面又は内面に放電電極を設け、同筐体内部に放電性ガスを封入して放電空間とし、同筐体の表裏面両板のいずれか少なくとも一方の内面に模様を構成する蛍光体膜を設け、さらに、前記透明誘電体及び透明放電電極を通して前記放電空間を外部から視認可能にしたことを特徴とする誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項7】
筐体の表面板を透明誘電体で形成し、裏面板を絶縁体で形成し、同表面板の外面又は内面に透明放電電極を設け、同裏面板の内面に放電電極を設けるとともに、同筐体内部に放電性ガスを封入して放電空間とし、同表裏面両板のいずれか少なくとも一方の内面に模様を構成する蛍光体膜を設け、さらに、前記透明誘電体及び前記透明放電電極を通して前記放電空間を外部から視認可能にしたことを特徴とする誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項8】
筐体の表面板を透明誘電体で形成し、裏面板を放電電極を兼用する金属体で形成し、同表面板の外面又は内面に透明放電電極を設けるとともに、同筐体内部に放電性ガスを封入して放電空間とし、同表裏両面板のいずれか少なくとも一方の内面に模様を構成する蛍光体膜を設け、さらに、前記透明誘電体及び前記透明放電電極を通して前記放電空間を外部から視認可能にしたことを特徴とする誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項9】
前記透明放電電極及び放電電極のいずれか少なくとも一方を、前記筐体の周縁に沿って延びる基部と、前記模様と対面する位置に設けられた放電部と、同基部と同放電部を繋ぐ接続部とから構成したことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項10】
前記透明放電電極及び放電電極を、それぞれ前記基部、前記放電部及び前記接続部とから構成し、同透明放電電極の放電部と同放電電極の放電部とを同じ位置に設けるとともに、同透明放電電極の前記基部及び前記接続部と同放電電極の前記基部及び前記接続部とを異なる位置に設けたことを特徴とする請求項9に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項11】
前記放電部を、模様を構成する前記蛍光体膜の領域を最小限含む範囲に設けたことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項12】
前記表面板の内面に前記模様を構成する蛍光体膜を設けるとともに、前記裏面板の内面全面に蛍光体膜を形成したことを特徴とする請求項6に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項13】
前記表面板の内面に前記透明放電電極を設け、同透明放電電極を誘電体膜よりなる保護膜で被覆し、その上に前記蛍光体膜よりなる模様を設けたことを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項14】
前記筐体を円弧状に湾曲させたことを特徴とする請求項6〜請求項13のいずれか一項に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項15】
前記筐体を球面状に湾曲させたことを特徴とする請求項6〜請求項13のいずれか一項に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項16】
径が異なる2つの円筒状の誘電体を同一中心軸線上において互いに重なるように配置し、両誘電体の間に円筒状の放電空間を形成し、そのうちの少なくとも外側の誘電体を透明誘電体とし、外側の誘電体の外面又は内面に透明放電電極を設け、内側の誘電体の外面又は内面に放電電極を設け、外側の誘電体の内面、及び、内側の誘電体の外面のいずれか少なくとも一方に模様を構成する蛍光体膜を設け、さらに、前記透明誘電体及び透明放電電極を通して前記放電空間を視認可能としたことを特徴とする誘電体バリア放電管を用いた表示装置。
【請求項17】
前記外側の誘電体の外面に前記透明放電電極を設け、前記内側の誘電体の外面に前記放電電極を設け、その表面を保護膜で被覆し、さらに、外側の誘電体の内面、又は、前記保護膜の上のいずれか少なくとも一方に前記蛍光体膜よりなる模様を設けたことを特徴とする請求項16に記載の誘電体バリア放電管を用いた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−236623(P2006−236623A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45955(P2005−45955)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】