説明

誘電膜、およびその製造方法、並びにそれを用いたアクチュエータ、センサ、トランスデューサ

【課題】 絶縁性が高く、耐久性に優れた誘電膜、およびその製造方法を提供する。また、そのような誘電膜を使用して、耐久性、安定性に優れたアクチュエータ、センサ、トランスデューサを提供する。
【解決手段】 誘電膜は、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと、金属アルコキシド化合物と、から合成された三次元架橋体からなる。この誘電膜を、少なくとも一対の電極間に介装して、アクチュエータ、センサ、トランスデューサを構成する。また、誘電膜の製造方法を、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーが溶解可能であり、かつ、金属アルコキシド化合物をキレート化できる溶剤中で、該ゴムポリマーと該金属アルコキシド化合物とを混合する混合工程と、該ゴムポリマーと該金属アルコキシド化合物との混合溶液から該溶剤を除去して、架橋反応を進行させる架橋工程と、を有するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、センサ、トランスデューサに好適な誘電膜、およびその製造方法、並びにそれを用いたアクチュエータ、センサ、トランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、導電性高分子、イオン導電性高分子(ICPF)、誘電体エラストマー等の高分子材料を利用したアクチュエータが提案されている。この種のアクチュエータは、柔軟性が高く、軽量で小型化し易いため、人工筋肉、医療用器具、流体制御等の様々な分野での使用が検討されている。例えば、特許文献1、2には、誘電体エラストマーからなる誘電膜を一対の電極で狭持した電歪型アクチュエータが紹介されている。
【特許文献1】特表2003−506858号公報
【特許文献2】特開2001−263486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電歪型アクチュエータでは、電極間への印加電圧を大きくすると、電極間の静電引力が大きくなる。このため、電極間に挟まれた誘電膜は膜厚方向から圧縮され、誘電膜の膜厚は薄くなる。膜厚が薄くなると、その分、誘電膜は電極面に対して平行方向に伸長する。一方、電極間への印加電圧を小さくすると、電極間の静電引力が小さくなる。このため、誘電膜に対する膜厚方向からの圧縮力が小さくなり、誘電膜の弾性復元力により膜厚は厚くなる。膜厚が厚くなると、その分、誘電膜は電極面に対して平行方向に収縮する。このように、電歪型アクチュエータは、誘電膜を伸長、収縮させることによって、駆動対象部材を駆動させる。
【0004】
一般に、電歪型アクチュエータの誘電膜としては、上記特許文献1、2に示されているように、シリコーンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等が使用されている。例えば、シリコーンゴムは、シロキサン結合を骨格とするため、絶縁性が高い。このため、シリコーンゴムからなる誘電膜は、絶縁破壊しにくく、伸縮を繰り返してもクリープしにくい。よって、耐久性、安定性に優れたアクチュエータを構成することができる。しかしながら、例えば、ポリジメチルシロキサン系のシリコーンゴムは、極性が小さい。つまり、比誘電率が小さい。このため、印加電圧に対する静電引力が小さい。よって、当該シリコーンゴムを誘電膜とした場合、電圧印加時の応答性は悪い。つまり、充分な変位量を得ることができない。
【0005】
一方、アクリルゴムやウレタンゴムは、比誘電率が比較的大きい。このため、印加電圧に対する静電引力が大きい。よって、アクリルゴム等を誘電膜とした場合には、電圧印加時の応答性は良好である。つまり、印加電圧が比較的小さくても、所望の変位量を得ることができる。しかしながら、アクリルゴム等は、硫黄や有機過酸化物により架橋されている。このため、アクリルゴム等からなる誘電膜の絶縁性は低い。このため、大きな電圧を印加することができない。また、誘電膜が絶縁破壊しやすい。このため、耐久性も充分とはいえない。加えて、アクリルゴム等からなる誘電膜の場合、伸縮を繰り返すとクリープが大きくなる。したがって、アクチュエータを構成した場合に、耐久性、安定性が問題となる。このような耐久性、安定性の問題は、アクチュエータだけでなく、同じような誘電膜を用いたセンサ、トランスデューサにおいても共通する。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、絶縁性が高く、耐久性に優れた誘電膜を提供することを課題とする。また、そのような誘電膜を使用して、変位量が大きく耐久性に優れたアクチュエータを提供することを課題とする。同様に、耐久性に優れたセンサ、トランスデューサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の誘電膜は、アクチュエータ、センサ、トランスデューサのいずれかにおいて少なくとも一対の電極間に介装され、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと、金属アルコキシド化合物と、から合成された三次元架橋体からなることを特徴とする(請求項1に対応)。
【0008】
本発明の誘電膜には、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーを使用する。すなわち、従来から使用されているポリジメチルシロキサン系のシリコーンゴムと比較して、極性の大きな、換言すると比誘電率の大きなゴムポリマーを使用する。このため、本発明の誘電膜によると、印加電圧が比較的小さくても大きな静電引力が発生する。その結果、本発明の誘電膜を用いて、例えばアクチュエータを構成した場合には、所望の変位量を得やすい。
【0009】
通常、極性の大きなゴムポリマーを、硫黄や有機過酸化物等の架橋剤により架橋すると、絶縁性が低下する。この点、本発明の誘電膜によると、金属アルコキシド化合物を用いることで克服される。すなわち、本発明の誘電膜は、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと金属アルコキシド化合物とから合成された三次元架橋体からなる。三次元架橋体は、未架橋のゴムポリマーが金属アルコキシド化合物により架橋されて生成される。あるいは、金属アルコキシド化合物の架橋体中に、未架橋あるいは架橋後のゴムポリマーが侵入して生成される。このような三次元架橋体では、電子の流れが無機物(金属酸化物)により遮断されるため、絶縁性が高くなると考えられる。絶縁性が高いため、三次元架橋体、すなわち本発明の誘電膜には、大きな電圧を印加することができる。したがって、本発明の誘電膜を用いて、例えばアクチュエータを構成した場合には、大きな変位量を得やすい。また、本発明の誘電膜は、絶縁破壊しにくく、耐久性に優れる。
【0010】
このように、本発明の誘電膜を用いると、変位量が大きく、耐久性に優れたアクチュエータを構成することができる。また同様に、耐久性に優れたセンサ、トランスデューサを構成することができる。
【0011】
(2)また、上記本発明の誘電膜の製造に好適な、本発明の誘電膜の製造方法は、ポリジメチルシロキサン以外の前記ゴムポリマーが溶解可能であり、かつ、前記金属アルコキシド化合物をキレート化できる溶剤中で、該ゴムポリマーと該金属アルコキシド化合物とを混合する混合工程と、該ゴムポリマーと該金属アルコキシド化合物との混合溶液から該溶剤を除去して、架橋反応を進行させる架橋工程と、を有する(請求項6に対応)。
【0012】
金属アルコキシド化合物は、水と反応して加水分解すると共に、脱水反応あるいは脱アルコール反応により重縮合して(ゾルゲル反応)、三次元架橋体を構成する。一般に、金属アルコキシド化合物は、水との反応性が高く、取扱いが難しい。この点、本発明の製造方法によると、金属アルコキシド化合物をキレート化することにより、水との急激な反応を抑制することができる。すなわち、本発明の製造方法において、溶剤は、ゴムポリマーを溶解させると共に、キレート剤としての役割を果たす。混合工程において、ゴムポリマーと金属アルコキシド化合物とを混合する際、溶剤中で金属アルコキシド化合物はキレート化される。これにより、金属アルコキシド化合物の加水分解が抑制される。その後、架橋工程において、溶剤を除去する。つまり、キレート剤を除去する。すると、金属アルコキシド化合物の加水分解が促進され、重縮合による架橋反応が進行する。
【0013】
このように、本発明の製造方法によると、金属アルコキシド化合物の反応速度を遅くすることができるため、均質な誘電膜を得ることができる。また、溶剤は、ゴムポリマーを溶解させる溶媒としての役割と、キレート剤としての役割と、の両方を果たす。このため、ゴムポリマーを溶解させる溶媒とキレート剤とを別々に準備する必要がない。よって、製造工程が簡略化され、実用的である。
【0014】
(3)また、本発明のアクチュエータは、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと、金属アルコキシド化合物と、から合成された三次元架橋体からなる誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備え、該電極間への印加電圧に応じて該誘電膜が伸縮することを特徴とする(請求項7に対応)。
【0015】
本発明のアクチュエータは、上記本発明の誘電膜を備える。このため、本発明のアクチュエータによると、より大きな電圧を印加することができる。したがって、より大きな変位量を得ることができる。また、誘電膜の絶縁性が高く、寿命が長いため、本発明のアクチュエータは耐久性に優れる。
【0016】
(4)また、本発明のセンサは、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと、金属アルコキシド化合物と、から合成された三次元架橋体からなる誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備え、該電極間の静電容量変化に基づいて変形を検出することを特徴とする(請求項9に対応)。本発明のセンサは、上記本発明の誘電膜を備える。誘電膜の絶縁性が高く、寿命が長いため、本発明のセンサは、耐久性に優れる。
【0017】
(5)また、本発明のトランスデューサは、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと、金属アルコキシド化合物と、から合成された三次元架橋体からなる誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備えることを特徴とする(請求項10に対応)。本発明のトランスデューサは、上記本発明の誘電膜を備える。誘電膜の絶縁性が高く、寿命が長いため、本発明のトランスデューサは、耐久性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の誘電膜、その製造方法、アクチュエータ、センサ、トランスデューサについて、それぞれ詳細に説明する。
【0019】
<誘電膜>
上述したように、本発明の誘電膜は、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと、金属アルコキシド化合物と、から合成された三次元架橋体からなる。
【0020】
(1)ゴムポリマー
本発明の誘電膜を構成するゴムポリマーは、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーである。ゴムポリマーは、液体でも固体でもよい。また、ゴムポリマーは、硫黄、有機過酸化物等により架橋されたものでもよく、未架橋のものでもよい。ゴムポリマーを金属アルコキシド化合物で架橋する、あるいは、ゴムポリマーの存在下で金属アルコキシド化合物を架橋させることにより、三次元架橋体が合成される。前者の場合、未架橋のゴムポリマーが金属アルコキシド化合物により架橋されて三次元架橋体となる。また、後者の場合、金属アルコキシド化合物の架橋体中に、未架橋あるいは架橋後のゴムポリマーが侵入し、三次元架橋体となる。三次元架橋体の合成方法については、後述する本発明の誘電膜の製造方法の中で説明する。
【0021】
より小さな印加電圧で大きな変位量を得るという観点では、極性が大きい、つまり比誘電率が大きいゴムポリマーが望ましい。例えば、比誘電率が2.8以上(測定周波数100Hz)のものが好適である。このようなゴムポリマーは、(ア)ポリメチレン型の飽和主鎖を持つゴムポリマー、(イ)主鎖に炭素および酸素を持つゴムポリマー、(ウ)ジオレフィン誘導体で不飽和の炭素鎖を持つゴムポリマー、の中から選択することができる。(ア)〜(ウ)から選ばれる一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いればよい。
【0022】
(ア)のゴムポリマーは、耐絶縁破壊性が高い。具体的には、アクリルゴム、エチレンーαオレフィン共役ジエン共重合体、ポリイソブチレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。(イ)のゴムポリマーは、柔軟性が高い。具体的には、エピクロルヒドリンゴム等のポリエーテルゴムが挙げられる。(ウ)のゴムポリマーは、強度が高い。具体的には、ブタジエン、イソプレン、スチレンのうちの一つ以上を重合した重合体、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。
【0023】
また、特に比誘電率が大きいという観点から、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレンから選ばれる一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることが望ましい。
【0024】
また、ゴムポリマーは、カルボキシル基(−COOH)、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH)から選ばれる一種以上の官能基を持つことが望ましい。これらの官能基は、金属アルコキシド化合物と架橋するための架橋サイトとなる。
【0025】
(2)金属アルコキシド化合物
金属アルコキシド化合物の種類は、特に限定されるものではない。金属アルコキシド化合物は、液体でも固体でもよい。金属アルコキシド化合物として、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。金属アルコキシド化合物は、例えば、次の一般式(a)で表される。
M(OR) ・・・(a)
[式(a)中、Mは金属等の原子である。Rは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルケニル基のいずれか一種以上であり、同一であっても、異なっていてもよい。mは金属等の原子Mの価数である。]
また、一分子中に、二つ以上の繰り返し単位[(MO);nは2以上の整数]を有する多量体であってもよい。nの数を変更することにより、ゴムポリマーとの相溶性や、反応速度等を調整することができる。このため、ゴムポリマーの種類に応じて、適宜好適な多量体を選択するとよい。
【0026】
金属等の原子Mとしては、例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、鉄、銅、錫、バリウム、ストロンチウム、ハフニウム、ホウ素等が挙げられる。なかでも反応性が良好であるという理由から、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる一種以上を含むものが望ましい。具体的には、テトラn−ブトキシチタン、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラn−ブトキシシラン、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、テトラi−プロポキシチタン、テトラエトキシシラン等が好適である。
【0027】
<誘電膜の製造方法>
本発明の誘電膜の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、次の方法により製造することができる。
(1)第一の方法としては、上記ゴムポリマーと金属アルコキシド化合物とを、ロールや混練機により混練りし(混練り工程)、薄膜状に成形する(成膜工程)。
(2)第二の方法としては、まず、ゴムポリマーを所定の溶剤に溶解する。この溶液中に、金属アルコキシド化合物をそのまま、あるいは所定の溶剤に溶解した状態で混合し、混合溶液を調製する(混合溶液調製工程)。次に、調製した混合溶液を基材上に塗布し、乾燥させる(成膜工程)。
【0028】
上記第二の方法において、金属アルコキシド化合物を所定の溶剤に溶解して使用する場合、当該溶剤と、ゴムポリマーを溶解させる溶剤と、は同一であっても異なっていてもよい。また、上記いずれの方法においても、ゴムポリマーと金属アルコキシド化合物とを混合する際に、必要に応じて触媒、補強剤、可塑剤、老化防止剤、着色剤等を添加してもよい。
【0029】
金属アルコキシド化合物の配合割合は、ゴムポリマー100重量部に対して、0.5重量部以上40重量部以下とすることが望ましい。0.5重量部未満であると、架橋が充分ではなく、三次元架橋体が生成されにくい。1.5重量部以上が好適である。反対に、40重量部を超えると、架橋が進行し過ぎて膜が硬くなる。これにより、印加電圧に対する変位量が減少する。30重量部以下が好適である。
【0030】
金属アルコキシド化合物は、空気中や、反応系(ゴムポリマー、溶液)中の水分と反応し、加水分解して重縮合する(ゾルゲル反応)。したがって、水との急激な反応を抑制し、均質な膜を形成するためには、金属アルコキシド化合物をキレート剤によりキレート化して用いることが望ましい。この場合、例えば、以下の方法を採用することができる。まず、ゴムポリマーを所定の溶剤に溶解する。この溶液中に、キレート化された金属アルコキシド化合物を混合し、混合溶液を調製する(混合溶液調製工程)。次に、この混合溶液を基材上に塗布し、乾燥させると共に、キレート剤を除去して架橋反応を進行させる(架橋工程)。
【0031】
キレート剤としては、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のβ−ジケトン、アセト酢酸エチル、ベンゾイル酢酸エチル等のβ−ケト酸エステル、トリエタノールアミン、乳酸、2-エチルヘキサンー1,3ジオール、1,3へキサンジオール等が挙げられる。使用するキレート剤の量は、金属アルコキシド化合物100重量部に対して、10重量部以上100000重量部以下とすることが望ましい。10重量部未満であると、充分にキレート化することができない。50重量部以上が好適である。反対に、100000重量部を超えると、除去しにくくなる。このため、例えば、乾燥が過剰に必要となる。8000重量部以下が好適である。
【0032】
例えば、キレート剤がゴムポリマーを溶解可能な場合には、キレート剤をゴムポリマーを溶解させる溶媒として使用することも可能である。この場合、例えば、以下の方法を採用すればよい。まず、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーが溶解可能であり、かつ、金属アルコキシド化合物をキレート化できる溶剤中で、該ゴムポリマーと該金属アルコキシド化合物とを混合する(混合工程)。次に、該ゴムポリマーと該金属アルコキシド化合物との混合溶液から該溶剤を除去して、架橋反応を進行させる(架橋工程)。
【0033】
混合工程では、ゴムポリマーを溶剤に溶解した溶液中に、金属アルコキシド化合物を添加してもよく、溶剤中にゴムポリマーと金属アルコキシド化合物とを同時に添加してもよい。また、溶剤は、すべてがキレート剤であっても、キレート剤とそれ以外の溶剤との混合物であってもよい。架橋工程では、ゴムポリマーと金属アルコキシド化合物との混合溶液を基材上に塗布し、乾燥させればよい。この時の温度は、反応速度等を考慮して、溶剤の種類に応じて適宜決定すればよい。例えば、常温でもよいが、溶剤の沸点以上とすることが望ましい。
【0034】
本発明の誘電膜を用いてアクチュエータ、センサ、トランスデューサを構成する場合、本発明の誘電膜を挟んで少なくとも一対の電極を配置すればよい。以下、本発明のアクチュエータ、センサ、トランスデューサの実施形態を説明する。
【0035】
<アクチュエータ>
図1に、本実施形態におけるアクチュエータの断面模式図を示す。(a)はオフ状態、(b)はオン状態を各々示す。図1に示すように、アクチュエータ10は、誘電膜20と電極30a、30bとを備えている。電極30a、30bは、誘電膜20の表裏に、それぞれ固定されている。電極30a、30bは、導線を介して電源40に接続されている。オフ状態からオン状態に切り替える際は、一対の電極30a、30b間に電圧を印加する。電圧の印加により、誘電膜20の膜厚は薄くなり、その分だけ、図1(b)中白抜き矢印で示すように、電極30a、30b面に対して平行方向に伸長する。これにより、アクチュエータ10は、図中横および上下方向の駆動力を出力する。
【0036】
ここで、誘電膜20は、本発明の誘電膜、すなわち、ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと、金属アルコキシド化合物と、から合成された三次元架橋体からなる。誘電膜20の絶縁性は高いため、大きな電圧を印加することができる。よって、アクチュエータ10によると、大きな変位量を得やすい。また、誘電膜20は、絶縁破壊しにくい。このため、アクチュエータ10は、耐久性に優れる。
【0037】
本発明のアクチュエータにおいても、上述した本発明の誘電膜の好適な態様を採用することが望ましい。また、誘電膜の厚さは、アクチュエータの用途等に応じて適宜決定すればよい。例えば、アクチュエータの小型化、低電位駆動化、および変位量を大きくする等の観点からは、誘電膜の厚さは薄い方が望ましい。この場合、絶縁破壊性等をも考慮して、誘電膜の厚さを、1μm以上1000μm(1mm)以下とすることが望ましい。より好適な範囲は、5μm以上200μm以下である。
【0038】
また、アクチュエータの変位量をより大きくするためには、誘電膜を面延在方向に延伸した状態で取り付けることが望ましい。この場合、誘電膜は、延伸された状態で伸縮を繰り返す。このため、誘電膜には、延伸させないで配置する場合と比較して、より耐クリープ性が必要になる。本発明の誘電膜によると、ゴムポリマーの種類にもよるが、耐クリープ性を向上させることができる。このため、誘電膜を予め延伸した状態で配置する態様に好適である。
【0039】
誘電膜の表面に配置される電極の材質等は、特に限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素材料や金属からなる導電材に、バインダーとしてオイルやエラストマーを混合したペーストまたは塗料を塗布した電極、あるいは炭素材料や金属等をメッシュ状に編んだ電極等を使用することができる。電極は、誘電膜の伸縮に応じて伸縮可能であることが望ましい。電極が、誘電膜と共に伸縮すると、誘電膜の変形が電極によって妨げられにくく、所望の変位量を得やすくなる。
【0040】
また、複数の誘電膜と電極とを交互に積層させた積層構造とすると、より大きな力を発生させることができる。これにより、アクチュエータの出力が大きくなり、駆動対象部材をより大きな力で駆動させることができる。
【0041】
<センサ>
以下、本発明の誘電膜を用いた静電容量型センサの実施形態を説明する。図2に、本実施形態における静電容量型センサの断面模式図を示す。図2に示すように、静電容量型センサ11は、誘電膜21と電極31a、31bと基材41とを備えている。誘電膜21は、左右方向に延びる帯状を呈している。誘電膜21は、基材41の上面に、電極31bを介して配置されている。電極31a、31bは、左右方向に延びる帯状を呈している。電極31a、31bは、誘電膜21の表裏に、それぞれ固定されている。電極31a、31bには、導線(図略)が接続されている。基材41は絶縁性の柔軟なフィルムであって、左右方向に延びる帯状を呈している。基材41は、電極31bの下面に固定されている。
【0042】
静電容量型センサ11の静電容量(キャパシタンス)は、次式(I)により求めることができる。
C=εεS/d ・・・(I)
[C:キャパシタンス、ε:真空中の誘電率、ε:誘電膜の比誘電率、S:電極面積、d:電極間距離]
例えば、静電容量型センサ11が上方から押圧されると、誘電膜21は圧縮され、その分だけ長手方向に伸長する。膜厚dが小さくなると、電極31a、31b間のキャパシタンスは大きくなる。このキャパシタンス変化により、加わった荷重の大きさ、位置等が検出される。ここで、誘電膜21は、上述した本発明の誘電膜である。誘電膜21は、絶縁破壊しにくい。よって、静電容量型センサ11は耐久性に優れる。
【0043】
<トランスデューサ>
以下、本発明のトランスデューサの一例として、発電トランスデューサの実施形態を説明する。図3に、本実施形態における発電トランスデューサの断面模式図を示す。(a)は伸長時、(b)は収縮時を各々示す。図3に示すように、発電トランスデューサ12は、誘電膜22と電極32a、32bとを備えている。電極32a、32bは、誘電膜22の表裏に、それぞれ固定されている。電極32a、32bには、導線が接続されており、電極32bは、接地されている。
【0044】
図3(a)に示すように、発電トランスデューサ12を圧縮し、誘電膜22を電極32a、32b面に対して平行方向に伸長すると、誘電膜22の膜厚は薄くなり、電極32a、32b間に電荷が蓄えられる。その後、圧縮力を除去すると、誘電膜22の弾性復元力により誘電膜22は収縮し、膜厚が厚くなる。その際、電荷が放出され発電される。ここで、誘電膜22は、上述した本発明の誘電膜である。誘電膜22は、絶縁破壊しにくい。よって、発電トランスデューサ12は耐久性に優れる。
【実施例】
【0045】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0046】
<誘電膜の製造>
(1)実施例の誘電膜の製造
下記の表1に示すゴムポリマー、金属アルコキシド化合物等を用いて、実施例1〜6の誘電膜を製造した。すなわち、まず、ゴムポリマーをアセチルアセトンに溶解した。この溶液に、金属アルコキシド化合物を添加し、混合した。なお、アセチルアセトンは、ゴムポリマーを溶解させる溶媒であると共に、金属アルコキシド化合物のキレート剤である。次に、混合溶液を基材上に塗布し、乾燥させた後、175℃で約30分間加熱して誘電膜を得た。実施例の誘電膜の膜厚は、いずれも約25μmとした。
【0047】
(2)比較例の誘電膜の製造
下記の表2に示す原料から、比較例1〜4の誘電膜を製造した。比較例1、2の誘電膜については、まず、所定の原料をロール練り機にて混合、分散させて、ゴム組成物を調製した。次に、調製したゴム組成物を薄いシート状に成形し、それを金型に充填して、175℃で約30分間プレス架橋することにより、誘電膜を得た。また、比較例3、4の誘電膜については、所定の原料をメチルエチルケトンに溶解した溶液を、基材上に塗布し、乾燥させた後、175℃で約30分間加熱して誘電膜を得た。比較例1、2の誘電膜の膜厚は約50μm、比較例3、4の誘電膜の膜厚は約25μmとした。
【0048】
表1、表2に、使用した原料の種類および配合量を示す。なお、表1、表2中、「パラクロン」、「ニポール」、「テルバン」、「サーフィノール」、「ルナック」、「サンセラー」、「コロネート」は、登録商標である。
【表1】

【表2】

【0049】
<誘電膜の物性等>
(1)電気抵抗
実施例および比較例の誘電膜の電気抵抗を、JIS K 6911(1995)に準じて測定した。測定結果を下記表3に示す。表3中、同種のゴムポリマー同士で比較すると、実施例1は比較例3に対して、実施例2は比較例4に対して、実施例3は比較例2に対して、いずれも電気抵抗が大きくなった。このように、ゴムポリマーと金属アルコキシド化合物とから合成した実施例の誘電膜では、ゴムポリマーを従来の架橋剤により架橋したものと比較して、絶縁性が高くなることが確認された。
【0050】
(2)比誘電率
実施例および比較例の誘電膜の比誘電率を測定した。比誘電率の測定は、各誘電膜をサンプルホルダー(ソーラトロン社製、12962A型)に設置し、誘電率測定インターフェイス(同社製、1296型)、および周波数応答アナライザー(同社製、1255B型)を併用して測定した(周波数100Hz)。測定結果を下記表3に示す。表3に示すように、いずれの実施例においても、比誘電率は、シリコーンゴム(比較例1)のそれよりも大きかった。また、同種のゴムポリマー同士で比較すると、実施例1は比較例3に対して、実施例2は比較例4に対して、実施例3は比較例2に対して、比誘電率は略同じ値であった。
【0051】
(3)静的せん断弾性率
実施例および比較例の誘電膜の静的せん断弾性率を、JIS K 6254(2003)に準じて測定した。低変形引張試験における伸び率は25%とした。測定結果を下記表3に示す。表3に示すように、いずれの実施例においても、静的せん断弾性率は、比較例のそれよりも大きくなった。実施例の誘電膜は、無機物(金属酸化物)を含む。このため、比較例の誘電膜と比較して、柔軟性が低下したものと考えられる。なお、実施例において、金属アルコキシド化合物の配合量が少ないものほど(実施例2、5)、静的せん断弾性率は小さくなった。
【0052】
(4)永久歪み
実施例および比較例の誘電膜の永久歪みを、JIS K 6273(2006)の定伸長引張永久歪み試験により測定した。測定は、50%伸長させた状態で、温度60℃で22時間保持した後、収縮させて行った。測定結果を下記表3に示す。表3中、同種のゴムポリマー同士で比較すると、実施例1は比較例3に対して、実施例2は比較例4に対して、実施例3は比較例2に対して、永久歪みは同等、若しくはそれ以下となった。すなわち、ゴムポリマーの種類によって差はあるが、金属アルコキシド化合物を用いて製造された誘電膜では、耐クリープ性が向上することが確認された。
【表3】

【0053】
<アクチュエータの評価>
次に、実施例および比較例の各誘電膜を用いてアクチュエータを構成し、アクチュエータの耐絶縁破壊性、および変位量を評価した。まず、実験装置および実験方法について説明する。
【0054】
実施例および比較例の各誘電膜の上下面に、アクリルゴムにカーボンブラックが混合されてなる電極を各々貼着してアクチュエータを構成した。以下、作製されたアクチュエータを、誘電膜の種類に対応させて、実施例または比較例のアクチュエータと称す。図4に、作製したアクチュエータの上面図を示す。図5に、図4中V−V断面図を示す。
【0055】
図4、図5に示すように、アクチュエータ5は、誘電膜50と一対の電極51a、51bとを備えている。誘電膜50は、直径70mmの円形の薄膜状を呈している。誘電膜50は、所定の延伸率で、予め二軸方向に延伸された状態で配置されている。ここで、延伸率は、次式(II)により算出した値である。
延伸率(%)={√(S/S)−1}×100・・・(II)
[S:延伸前(自然状態)の誘電膜面積、S:二軸方向延伸後の誘電膜面積]
一対の電極51a、51bは、誘電膜50を挟んで上下方向に対向するよう配置されている。電極51a、51bは、直径約27mmの円形の薄膜状を呈しており、各々、誘電膜50と略同心円状に配置されている。電極51aの外周縁には、拡径方向に突出する端子部510aが形成されている。端子部510aは矩形板状を呈している。同様に、電極51bの外周縁には、拡径方向に突出する端子部510bが形成されている。端子部510bは矩形板状を呈している。端子部510bは、端子部510aに対して、180°対向する位置に配置されている。端子部510a、510bは、各々、導線を介して電源52に接続されている。
【0056】
電極51a、51b間に電圧を印加すると、電極51a、51b間に静電引力が生じて、誘電膜50を圧縮する。これにより、誘電膜50の厚さは薄くなり、拡径方向に伸長する。この時、電極51a、51bも、誘電膜50と一体となって拡径方向に伸長する。電極51aには、予め、マーカー530が取り付けられている。マーカー530の変位を、変位計53により測定し、アクチュエータ5の変位量とした。
【0057】
次に、実施例および比較例のアクチュエータについての最大電界強度、最大変位率、耐久性の測定結果を表4に示す。なお、表4には、各アクチュエータにおける誘電膜の予備延伸率を併せて示す。
【表4】

【0058】
(1)最大電界強度
実施例および比較例のアクチュエータにおける最大電界強度を測定した。最大電界強度は、誘電膜に対する印加電圧を増加させ、誘電膜が絶縁破壊した時の電圧値を、誘電膜の膜厚で除した値である。上記表4中、同種のゴムポリマー同士で比較すると、実施例1は比較例3に対して、実施例2は比較例4に対して、実施例3は比較例2に対して、いずれも最大電界強度が大きくなった。また、実施例4〜6の最大電界強度も、実施例1〜3と同等、若しくはそれ以上であった。このように、実施例の誘電膜を用いると、より大きな電圧を印加できることが確認された。
【0059】
(2)最大変位率
上記表4に、実施例および比較例のアクチュエータにおける最大変位率を、その時の印加電圧と共に示す。表4中、変位率が大きいものを○印で、変位率が小さいものを×印で示しており、かっこ内の数字は最大変位率である。変位率は、次式(III)により算出した値である。
変位率(%)=(変位量/電極の半径)×100・・・(III)
表4に示すように、比較例1のアクチュエータ(従来のシリコーンゴム製誘電膜を使用)を除き、実施例および比較例のアクチュエータにおいて、13.6%以上の大きな変位率が得られた。また、実施例のアクチュエータは、各々の誘電膜を構成するゴムポリマーが対応する比較例のアクチュエータと比較して、より大きな電圧を印加することができた。その結果、最大変位率も大きくなった。なお、比較例1のアクチュエータの場合、他のアクチュエータと同程度の電圧を印加しても、小さな変位率しか得られなかった。このため、表4には、5000Vの電圧を印加した結果を示している。しかし、5000Vの高電圧を印加しても、変位率は2.8%と小さかった。
【0060】
(3)耐久性
実施例および比較例のアクチュエータについて、電圧のオン、オフにより誘電膜を繰り返し伸縮させる耐久試験を行った。耐久試験における誘電膜の変位率は2%、電圧の周波数は10Hzとした。表4中、80万回伸縮を繰り返しても誘電膜が破断しなかったものを○印で、途中で誘電膜が破断したものを×印で示している。表4に示すように、実施例のアクチュエータでは、誘電膜が破断したものはなかった。一方、比較例のアクチュエータでは、従来のシリコーンゴム製誘電膜を使用した比較例1のアクチュエータを除いて、いずれも試験途中で誘電膜が破断した。これより、実施例のアクチュエータは、耐久性に優れることが確認された。
【0061】
(4)まとめ
以上(1)〜(3)の結果から、本発明の誘電膜によると、変位量が大きく耐久性に優れたアクチュエータを構成できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の誘電膜は、例えば、産業、医療、福祉ロボット用の人工筋肉、電子部品冷却用や医療用等の小型ポンプ、医療用器具等に用いられる柔軟なアクチュエータに好適である。本発明の誘電膜を用いたアクチュエータは、モータ等機械式アクチュエータおよび圧電素子アクチュエータ等のすべてのアクチュエータの代替として利用することができる。また、本発明の誘電膜は、静電容量型センサ等のセンサ、発電トランスデューサの他、発光、発熱、発色等を行う柔軟なトランスデューサにも好適である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態であるアクチュエータの断面模式図であって、(a)はオフ状態、(b)はオン状態を各々示す。
【図2】本発明の一実施形態である静電容量型センサの断面模式図である。
【図3】本発明の一実施形態である発電トランスデューサの断面模式図であって、(a)は伸長時、(b)は収縮時を示す。
【図4】評価実験に使用したアクチュエータの上面図である。
【図5】図4中のV−V断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10:アクチュエータ 20:誘電膜 30a、30b:電極 40:電源
11:静電容量型センサ 21:誘電膜 31a、31b:電極 41:基材
12:発電トランスデューサ 22:誘電膜 32a、32b:電極
5:アクチュエータ 50:誘電膜 51a、51b:電極 52:電源 53:変位計
510a、510b:端子部 530:マーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ、センサ、トランスデューサのいずれかにおいて少なくとも一対の電極間に介装され、
ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと、金属アルコキシド化合物と、から合成された三次元架橋体からなることを特徴とする誘電膜。
【請求項2】
前記ゴムポリマーは、
(ア)ポリメチレン型の飽和主鎖を持つゴムポリマー、
(イ)主鎖に炭素および酸素を持つゴムポリマー、
(ウ)ジオレフィン誘導体で不飽和の炭素鎖を持つゴムポリマー、
から選ばれる一種以上である請求項1に記載の誘電膜。
【請求項3】
前記ゴムポリマーは、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレンから選ばれる一種以上である請求項1に記載の誘電膜。
【請求項4】
前記ゴムポリマーは、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基から選ばれる一種以上の官能基を持つ請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の誘電膜。
【請求項5】
前記金属アルコキシド化合物は、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる一種以上の金属を含む請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の誘電膜。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の誘電膜の製造方法であって、
ポリジメチルシロキサン以外の前記ゴムポリマーが溶解可能であり、かつ、前記金属アルコキシド化合物をキレート化できる溶剤中で、該ゴムポリマーと該金属アルコキシド化合物とを混合する混合工程と、
該ゴムポリマーと該金属アルコキシド化合物との混合溶液から該溶剤を除去して、架橋反応を進行させる架橋工程と、
を有する誘電膜の製造方法。
【請求項7】
ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと、金属アルコキシド化合物と、から合成された三次元架橋体からなる誘電膜と、
該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備え、
該電極間への印加電圧に応じて該誘電膜が伸縮するアクチュエータ。
【請求項8】
前記誘電膜は、予め延伸された状態で配置されている請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと、金属アルコキシド化合物と、から合成された三次元架橋体からなる誘電膜と、
該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備え、
該電極間の静電容量変化に基づいて変形を検出するセンサ。
【請求項10】
ポリジメチルシロキサン以外のゴムポリマーと、金属アルコキシド化合物と、から合成された三次元架橋体からなる誘電膜と、
該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、
を備えるトランスデューサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−296703(P2009−296703A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144920(P2008−144920)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】