誤用を防止する放出制御製剤
多層経口剤形の形態の誤用を防止する放出制御組成物を開示する。第1の層は、中に薬学的活性物質(例えば、オピオイド鎮痛薬)が配置されている複数の放出制御微粒子を含有する。第1の層に隣接していてもよい第2の層は、第1の層の微粒子中の薬学的活性物質と同じであっても異なってもよい薬学的活性物質を含む。組成物は、さらに、前記第1の層、前記第2の層、または前記第1の層と前記第2の層の両方に配置された高吸収性材料(例えば、ポリカルボフィル)を含む。無傷の状態の場合、薬学的活性物質は、第2の層から、前記第1の層の薬学的活性物質より速く放出される。意図的にまたは偶発的に破砕され、水性媒体に曝された場合、存在する高吸水性材料が膨潤して微粒子を封入し、微粒子は実質的に無傷の状態を維持し、それによって前記組成物からの薬学的活性物質の放出が遅延される。また、誤用を防止する放出制御組成物を使用して、少なくとも1種類の薬学的活性物質を、それを必要とする哺乳動物、例えば、ヒトに送達する方法も開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、同時係属中の米国仮特許出願第61/138,092号(2008年12月16日出願)の利益および優先権を主張し、参照によりその内容全体が本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、少なくとも1種類の薬学的活性物質を送達するための放出制御製剤に関し、より具体的には、本発明は、二分または破砕されて様々な媒体に曝された場合でも、少なくとも1種類の薬学的活性物質の放出制御特性を維持する、誤用を防止する放出制御製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
薬物送達の分野では著しい開発が進められてきたが、乱用されやすい薬物(例えば、オピオイド鎮痛薬)に対する懸念が依然としてある。更に、このような薬物を故意にまたは偶発的に誤用する正当な患者の数は深刻な医学的問題を表している。特に、放出制御製剤を使用する場合、投薬頻度の減少を促すために放出制御製剤には通常比較的多量の薬学的活性物質が組み込まれているため、患者のリスクが高くなり得る。しかし、放出制御製剤により利便性の増大がもたらされ、有害事象プロファイルが改善されることも多いが、何らかの方法で、例えば、錠剤を偶発的に噛み砕く、もしくはすりつぶす、もしくは他に損傷を与える、またはアルコールと一緒に摂取することなどにより放出制御機構が損なわれた場合、深刻な問題が生じ得る。このような状況では、薬学的活性物質が即時放出された後、薬学的活性物質が全1日量まで迅速に吸収されると、場合によっては致命的な結果が起こり得る。
【0004】
特定の薬物の乱用および誤用に対処するため、例えば、抑止(deterrent)製剤、アゴニスト/アンタゴニスト製剤、およびプロドラッグ製剤の使用を含む、多くの手法が試みられてきたが、これらの手法の商業化は今日まであまり行われていない。
【0005】
抑止製剤は、カプサイシン、催吐剤、またはナイアシンなどの有害物質を含有する製剤である。その目的は、摂取前に製剤が破砕されるか、または他の方法で損傷を受けた場合、痛みを伴う反応または他の不快な反応を与えることにより故意の乱用を防止することである。例えば、米国特許出願公開第2003/0068370号、同第2003/0068392号および同第2007/0020188号は、オピオイド鎮痛薬を含有する投薬量に、嫌悪薬剤(例えば、苦味剤、刺激物または催吐剤)を組み込むことを記載している。嫌悪薬剤は、乱用者が剤形に不正に手を加え、その後、手を加えた剤形を吸入または注入する意欲をそぐ。このような製剤では、錠剤に偶発的に損傷を与えてしまう正当な使用者に対するこのような添加剤の潜在的リスクに対して対処がなされていない。
【0006】
アンタゴニスト製剤は、治療薬の阻害剤(アンタゴニスト)を含有する。製剤が破砕された場合、阻害剤は、薬学的活性物質の作用を妨げるか、またはそれと逆の作用をし、それによって、医療外の用途での効果を低減するか、またはなくすことを意図したものである。例えば、ペンタゾシンの非経口的乱用を抑止するため、ナロキソンがペンタゾシンと組み合わせられている(Talwin(登録商標)、Sanofi-Winthropにより販売)。ナロキソンは、オピオイド受容体へのペンタゾシンの結合を遮断することを意図したものである。同様に、ナロキソンは、ブプレノルフィン含有製剤(Temgesic(登録商標)、Reckitt & Colmanにより販売)に添加されてきた。さらに、オピオイド受容体アンタゴニストであるナルトレキソンは、モルヒネ含有製剤(Embeda(登録商標)、King Pharmaceuticals,Inc.により販売)に添加されてきた。しかし、阻害剤は消化管を普通に通過する間に放出され得るため、このような手法では正当な患者が不要な薬物に暴露され、場合によっては効果的な治療を妨げ得ると理解される。これらの製剤は、効果的な阻害を達成できる(即ち、意図された受容者で効果的な阻害が誘発されるように、アゴニストとアンタゴニストの生物学的利用能、薬物動態および相対的親和性を適合させることができる)ようになっている。米国特許第3,773,955号および同第3,966,940号は、例えば、オピオイドアゴニストとアンタゴニストの組み合わせを含有する製剤を記載しており、その中で、アンタゴニストは、混合物が経口投与された場合には治療効果を妨げないが、乱用者により破砕された形態で非経口投与された場合には、無痛覚、多幸感、または身体的依存を妨げる。
【0007】
プロドラッグ製剤は、生体内での代謝により、例えば、消化管に見られる酵素によってプロドラックから活性薬物に変化することに依るものである。これらの製剤は薬物の静脈内投与または経鼻投与による多幸感を防止することができるが、それらは経口投与後に起こり得る中毒(例えば、アルコール中毒)に関連する問題に対処していない。
【0008】
既存の技術にはこのような制限があるため、薬学的活性物質を含有する製剤の意図的な乱用および偶発的な誤用のリスクを低減できる、誤用を予防する放出制御製剤が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、一部には、組成物が、切断された(例えば、二分された)または破砕された後でも製剤内に配置された少なくとも1種類の薬学的活性物質の放出制御を可能にする経口剤形である、薬物送達プラットフォームを形成することができるという知見に基づく。本プラットフォームは、誤用(故意または偶発的のいずれかであるが、どちらの場合も害を引き起こす)、乱用され得る、および/または治療指数が狭い薬学的活性物質の投与に特に有用である。有害な誤用または乱用が起こり得る薬剤には、例えば、鎮痛薬(例えば、オピオイド鎮痛薬)、催眠剤、抗不安剤、中枢神経系(CNS)興奮剤および呼吸促進剤が含まれる。治療指数が狭い薬物の例には、テオフィリン、炭酸リチウム、およびジゴキシンが含まれる。
【0010】
一態様では、本発明は、少なくとも1種類の薬学的活性物質を経口投与するための固体組成物(経口剤形)を提供する。本組成物は、(a)中に少なくとも1種類の薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団を含む第1の層;(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層;および(c)第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方に配置された高吸収性材料を含む。別の態様では、本発明は、少なくとも1種類の薬学的活性物質を経口投与するための固体組成物(経口剤形)を提供する。本組成物は、(a)高吸収性材料と、中に少なくとも1種類の薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団とを含む第1の層;および(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層を含む。
【0011】
前述の各態様では、組成物が無傷の状態で(intact)水性環境に曝された場合、第2の層に配置された薬学的活性物質は、最初に、第1の層に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出される。少なくとも1種類の薬学的活性物質は、長時間(例えば、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、または少なくとも24時間)にわたって無傷の状態の製剤から放出される。特定の実施形態では、少なくとも1種類の薬学的活性物質の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは70%、さらにより好ましくは80%が無傷の状態の製剤から実質的に即時に(例えば、30分以内に)放出されることが防止されている。
【0012】
さらに、組成物が破砕されて水性環境に曝された場合、高吸水性材料が膨潤して、微粒子を捕捉する硬質のハードゲルを形成し、微粒子は実質的に無傷の状態を維持する。そのため、微粒子自体によって付与される放出制御特性に加えて、ハードゲルは、その組成に応じて、中に配置された少なくとも1種類の薬学的活性物質の放出を制御することができる。誤用の仕方に応じて、本発明の組成物は誤用者にとって不快な経験をもたらし、薬学的活性物質の抽出を困難にし、および/または用量ダンピングを防止する。例えば、破砕されて鼻孔から吸い込まれた場合、高吸収性材料は、不快な経験をもたらすハードゲルを形成する。さらに、破砕されて抽出媒体に曝された場合、高吸収性材料は抽出媒体を全部吸収することができる。得られるゲルは、注射針を通して押し出すことが困難となり得る。さらに、破砕されて投与された場合、微粒子、または微粒子とゲルの組み合わせによって、薬学的活性物質の放出制御が維持され、用量ダンピングの可能性が低くなるか、またはなくなる。特定の実施形態では、少なくとも1種類の薬学的活性物質の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは70%、さらにより好ましくは80%が製剤から実質的に即時に(例えば、30分以内に)放出されることが防止されている。そのため、本発明の組成物は、製剤が破壊または破砕された場合でも、様々なpHの水、アルコール(例えば、エタノール)、および別の媒体中における用量ダンピングを防止する。
【0013】
第1の層に存在する薬学的活性物質と第2の層に存在する薬学的活性物質は、同じであってもよい。あるいは、それらは異なってもよく、第1の薬学的活性物質が第1の層の微粒子中に存在し、第2の異なる薬学的活性物質が第2の層に存在するようになっていてもよい。さらに、第1の層は、別の薬学的活性物質をさらに含んでもよく、該物質は遊離した形態であっても、または微粒子内に存在してもよい。さらに、第2の層に配置される薬学的活性物質は、任意選択により放出制御微粒子の第2の集団に存在してもよい。
【0014】
本組成物は多層であり、2つ、3つ、4つまたはそれより多くの異なる層を含んでもよい。一実施形態では、第1の層は第2の層に隣接している。このようなものとして、2つの層が2層(bilayer)組成物を形成してもよい。別の実施形態では、本組成物は第3の層を含み、該第3の層は、第1の層に隣接していても、第2の層に隣接していてもよく、または第1の層と第2の層の間に配置される。
【0015】
第2の層に存在する少なくとも1種類の薬学的活性物質は、最初に(例えば、水性環境に曝された後、最初の15分以内にまたは最初の30分以内に)、第1の層の薬学的活性物質より速い速度で放出される。これは、多くの手法で達成することができる。例えば、第1の層の薬学的活性物質は放出制御微粒子中に配置されるが、それに対して第2の層の薬学的活性物質は放出制御微粒子内に存在してもいなければ、他の方法で放出制御微粒子と結合してもいない。さらに、第1の層は第1の放出制御マトリックスを含んでもよく、それに対して第2の層は即時放出マトリックスを含んでもよい。あるいは、第1の層が第1の放出制御マトリックスを含んでもよく、それに対して第2の層が第2の異なる放出制御マトリックスを含み、この場合、第1の放出制御マトリックスは、第2の放出制御マトリックスよりも遅い放出速度(release kinetics)を有する。個々の剤形は、送達される1種類または複数種類の薬学的活性物質、および各薬学的活性物質に望ましい放出プロファイルに応じて変わるであろうことを理解されたい。
【0016】
本発明の実施には、様々な高吸収性材料を使用することができる。高吸収性材料は高分子であってもよく、例えば、多糖類、多糖類誘導体、および合成ポリマーを含み得る。例示的なポリマーには、例えば、デンプングラフト共重合体、架橋(cross-linked)カルボキシメチルセルロース誘導体、架橋ヒドロキシプロピルジスターチホスフェート、加水分解(hydrolyzed)デンプンアクリロニトリルグラフト共重合体、および、中和(neutralized)デンプンアクリル酸グラフト共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ポリビニル酢酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルスルホン酸、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カラゲーナン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアミノプロパノールビニルエーテル、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリグルタミン、ポリカルボフィル、ポリカルボフィルカルシウム、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、およびこれらの混合物が含まれる。好ましい実施形態では、高吸収性材料はポリカルボフィルである。
【0017】
高吸収性材料は、高吸収性材料が存在する層(例えば、第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方、または任意選択の第3の層)の約1%〜約70%(w/w)、または、高吸収性材料が存在する層(例えば、第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方、または任意選択の第3の層)の約4%〜約50%(w/w)を構成してもよい。
【0018】
前述のように、第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方は、さらに放出制御剤を含んでもよい。例示的な放出制御剤には、例えば、アセテートサクシネート、ポリビニル誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギネート、ガム類(例えば、キサンタンガム)、ポリメタクリレート、メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体、ポリメチルビニルエーテルと無水マロン酸の共重合体、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸またはそのエチル−、イソプロピル−、n−ブチルエステルとの共重合体、ゼイン、およびこれらのいずれかの混合物が含まれる。さらに、第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方は、さらに、希釈剤(diluent)、滑沢剤、流動化剤、またはこれらの混合物を含んでもよい。第2の層は、さらに崩壊剤を含んでもよい。無傷の状態の組成物が水性環境に曝された場合、第1の層の崩壊剤が第1の層の崩壊を引き起こし、それによって高吸収性材料が早計に膨潤してハードゲルを形成し得るため、崩壊剤は、好ましくは、第1の層から除外される。
【0019】
本組成物は、さらに、第1の層と第2の層を封入するコーティングを含んでもよいと理解されたい。コーティングは非機能性(美的コーティング)であってもよく、または機能性コーティングであってもよい。例示的な機能性コーティングには、放出制御コーティング(例えば、腸溶性コーティングなどの遅延放出コーティング)、防湿層(moisture barrier)、または味マスキングフィルムが含まれる。放出制御コーティングは放出制御剤を含んでもよく、および/または、放出制御フィルムコーティングであってもよい。
【0020】
第1の層に存在し、任意選択により第2の層にも存在する放出制御微粒子は、中に配置された薬学的活性物質の放出を制御する放出制御剤(例えば、コントラミド(CONTRAMID)(登録商標)の商標名でLabopharm,Inc.,(Laval,Canada)から販売されている架橋高アミロースデンプン)、および/または放出制御コーティングまたはフィルムを含んでもよい。微粒子の平均直径は、約1μm〜約1000μmの範囲である。微粒子は、サイズが小さく曲率半径が大きいため、製剤が例えば通常の錠剤破砕機でまたはスプーン間でまたは乳棒と乳鉢で破砕される場合でも、破砕され難い。一実施形態では、微粒子の平均直径は、約200μm〜約900μm、または約300μm〜約800μmの範囲である。特定の状況下では微粒子の平均直径は約700μmである。別の実施形態では、放出制御微粒子の平均直径は、約1μm〜約400μm、約5μm〜約300μm、または約10μm〜約200μmの範囲である。微粒子の平均直径は、約100μmであってもよい。第1の層、および任意選択により第2の層にも含まれる放出制御微粒子は、1種類以上の放出制御フィルムでコーティングされてもよい。
【0021】
本発明の組成物は特定の性質を有する。例えば、特定の実施形態では、組成物を破砕して、U.S.P.タイプI装置において、100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの水に曝した場合、組成物が破砕され破壊される前に初めから組成物中に存在する薬学的活性物質の約50重量%未満、または任意選択により約25重量%未満が水中に放出される。代わりに、またはさらに、本組成物を破砕して、U.S.P.タイプ1装置内で、100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの60%(v/v)エタノール含有水溶液に曝した場合、組成物が破壊される前に初めから組成物中に存在する薬学的活性物質の約50重量%未満、または任意選択により約25重量%未満が、水溶液中に放出される。
【0022】
本発明の経口剤形は、カプセル、カプレット、丸剤、または圧縮錠剤の形態であってもよいと理解されたい。
【0023】
別の態様では、本発明は、哺乳動物、例えば、ヒトへの薬学的活性物質の放出を制御する方法を提供する。本方法は、薬学的活性物質を必要とする個体に、本明細書に記載の放出制御組成物の1つ以上を経口投与することを含む。
【0024】
本発明の前述のおよび他の目的、特徴、および利点は、添付の図面に示すような以下の好ましい実施形態の説明から明らかになるであろう。対応する図面において、同様の参照符号を有する要素は、共通する特徴を識別するものである。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、それよりもむしろ本発明の原理を例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】例示的な誤用を予防する放出制御組成物の概略図である。図1Aおよび図1Bでは、組成物はコーティングされていない2層であり、図1Cおよび図1Dでは、組成物はコーティングされた2層である。図1Aおよび図1Cでは、薬学的活性物質を含有する放出制御微粒子が第1の層(図1Aおよび図1C)内に配置されており、同じであっても異なってもよい薬学的活性物質が2層組成物の第2の層内に配置されている。図1Bおよび図1Dでは、2層組成物の第2の層は薬学的活性物質を含有する微粒子も含み、この薬学的活性物質は第1の層内に配置された微粒子中の薬学的活性物質と同じであっても異なってもよい。
【図2】コーティングが機能性コーティングであること、例えば、放出制御フィルム、放出制御剤、および放出制御微粒子のうちの1つ以上によって達成可能な放出制御コーティングであることを除き、図1Cおよび図1Dに示されているものと類似の例示的な誤用を予防する放出制御製剤の概略図である。図2Aでは、薬学的活性物質を含有する放出制御微粒子は第1の層内に配置されており、図2Bでは、放出制御微粒子は第1の層と第2の層の両方に存在する。
【図3】U.S.P.タイプIII装置での無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図3A)およびアセトアミノフェン(図3B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図3Aは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で12時間(−△−)、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で12時間(−●−)、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間(−■−)、および40%エタノール中(−▼−)におけるオキシコドンHClの放出プロファイルを示す。図3Bは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で12時間(−△−)、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で12時間(−●−)、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間(−■−)、および40%エタノール中(−▼−)におけるアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図4】U.S.P.タイプI装置でのリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中における3ロットの本発明の例示的放出制御製剤の半錠(図4A)および4分の1錠(図4B)からのオキシコドンHClのインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図5】U.S.P.タイプI装置でのリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中における、3ロットの本発明の例示的放出制御製剤の半錠(図5A)および4分の1錠(図5B)からのアセトアミノフェンのインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図6】U.S.P.タイプI装置での破砕された本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図6A)およびアセトアミノフェン(図6B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図6Aは、酸性にしたリン酸カリウム水溶液(pH3.0)(−□−)、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−▲−)、塩基性にしたリン酸カリウム水溶液(pH10.0)(−◇−)、水(−●−)、20%エタノール(−▽−)、および40%エタノール(−◆−)中におけるオキシコドンHClの放出プロファイルを示す。図6Bは、酸性にしたリン酸カリウム水溶液(pH3.0)(−□−)、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−▲−)、塩基性にしたリン酸カリウム水溶液(pH10.0)(−◇−)、および水(−●−)中におけるアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図7】U.S.P.タイプIII装置での無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図7A)およびアセトアミノフェン(図7B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図7Aは、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で12時間(−●−)、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で12時間(−△−)、および0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間(−■−)におけるオキシコドンHClの放出プロファイルを示す。図7Bは、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で12時間(−●−)、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で12時間(−△−)、および0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間(−■−)におけるアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図8】U.S.P.タイプI装置での破砕された本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図8A)およびアセトアミノフェン(図8B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図8Aは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−△−)、および0.1Mの塩酸(pH1.2)(−●−)中におけるオキシコドンHClの放出プロファイルを示す。図8Bは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−△−)、および0.1Mの塩酸(pH1.2)(−●−)中におけるアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図9】オキシコドンHCl(20mg)/アセトアミノフェン(650mg)を含有するコーティングされた2層の実施形態のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフであり、オキシコドンの放出を、U.S.P.タイプIII装置で100rpmで12時間、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間、測定した。
【図10】U.S.P.タイプIII装置での無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図10A)およびアセトアミノフェン(図10B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図10Aは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中におけるオキシコドンHCl(−●−)の放出プロファイルを示す。図10Bは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中におけるアセトアミノフェン(−●−)の放出プロファイルを示す。
【図11】U.S.P.タイプI装置での破砕された本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図11A)およびアセトアミノフェン(図11B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図11Aは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−●−)中におけるオキシコドンHClの放出プロファイルを示し、図11Bは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−●−)中におけるアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図12】U.S.P.タイプII装置での酸性にした水(pH3.5)中における4種類の無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのメチルフェニデートのインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図13】U.S.P.タイプIII装置でのリン酸塩緩衝液(pH6.8)中における3種類の無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図13A)およびアセトアミノフェン(図13B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図14】U.S.P.タイプI装置でリン酸カリウム緩衝液(pH1.2(−●−)、pH6.8(−□−)およびpH10(−▼−))中、水(−▲−)中、および40%エタノール(−◆−)中で測定した破砕された本発明のコーティングされていない例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図14A)およびアセトアミノフェン(図14B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図15】U.S.P.タイプIII装置で測定した完全なおよび二分された本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図15A)およびアセトアミノフェン(図15B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図15Aは、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中における完全な錠剤(−■−)、40%エタノール中における完全な錠剤(−◆−)、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中における二分された錠剤(−●−)、および40%エタノール中における二分された錠剤(−△−)中のオキシコドンHClの放出プロファイルを示す。図15Bは、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中における完全な錠剤(−■−)、40%エタノール中における完全な錠剤(−◆−)、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中における二分された錠剤(−●−)、および40%エタノール中における二分された錠剤(−△−)中のアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図16】U.S.P.タイプIII装置で酸性媒体(pH1.2)中で1時間、続いてリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で11時間測定した無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(−●−)およびアセトアミノフェン(−○−)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図17】U.S.P.タイプI装置で脱イオン水中で測定した破砕された本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(−●−)およびアセトアミノフェン(−○−)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、一部には、医薬組成物を他の放出制御組成物よりも意図的な乱用や偶発的な誤用が起こりにくくすると共に、有害な添加剤、有効成分アンタゴニスト、およびプロドラッグ等を含まない放出制御プラットフォームを製造することが可能であるという知見に基づく。錠剤を飲み込みやすくするために患者または介護者が錠剤を半分に割る場合に起こり得るように二分された(2つに割られた)場合でも、本製剤は放出制御特性を維持する。破砕された場合でも、組成物内に含有される微粒子が実質的に無傷の状態を維持し、放出制御特性を保つため、本発明の組成物は用量ダンピングを防止する。破砕された製剤は、ハードゲルの形成のため注射器で容易に静脈内投与することができず、破砕されて経鼻投与された場合、それらは不快な感覚を引き起こす臭いがする。
【0027】
一態様では、本発明は、(a)中に薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団を含む第1の層;(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層;および(c)第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方に配置された高吸収性材料(例えば、ポリカルボフィル)を含む放出制御多層組成物を提供する。別の態様では、本発明は、(a)高吸収性材料(例えば、ポリカルボフィル)と、中に少なくとも1種類の薬学的活性物質が配置されている複数の放出制御微粒子とを含む第1の層を含む放出制御多層組成物を提供する。第2の層は、第1の層の微粒子中に存在する薬学的活性物質と同じであっても異なってもよい薬学的活性物質を含む。本発明の各態様では、第1の層と第2の層を非機能性コーティングまたは機能性コーティングのいずれかで封入してもよい。組成物が破砕された場合でも、微粒子は実質的に無傷の状態を維持し、中に配置された薬学的活性物質の放出を制御し、用量ダンピングを防止する。本明細書で使用する場合、「用量ダンピング(dose dumping)」の用語は、製剤中の薬学的活性物質の少なくとも80%が30分以内に放出される(製剤を即時放出製剤と特徴付けるのに使用され得る規格)、薬学的活性物質の非制御放出を意味するものと理解される。
【0028】
図1および図2は、本発明の経口投与製剤の特定の実施形態を示す。各例示的製剤は、第1の層20と第2の層30を有する2層組成物10を含有する。各製剤中、第1の層は、薬学的活性物質を含む複数の放出制御微粒子40を含有する。各製剤の第2の層は、第1の層の微粒子中に存在する薬学的活性物質と同じであっても異なってもよい第2の薬学的活性物質50を含有する。第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方のいずれかが、高吸収性材料を含有してもよい。図1Bおよび図1Dでは、第2の層も、第1の層10に配置された微粒子40と同じであっても異なってもよい放出制御微粒子40’を含有する。図1Aおよび図1Bに示す実施形態では、2層はコーティングされていないが、図1Cおよび図1Dに示す実施形態では、2層はコーティング、例えば、非機能性(美的)コーティングに封入されている。図2Aおよび図2Bに示す実施形態は、コーティング60が機能性コーティングであること以外、図1Cおよび図1Dに示すものと類似している。図示するように、コーティングは、放出制御フィルムによって画定される放出制御コーティングであるか、または放出制御剤および/または放出制御微粒子40”(放出制御微粒子40”は、第1の層20に配置された放出制御微粒子40または第2の層30に配置された任意選択の放出制御微粒子40’と同じであっても異なってもよい)を含有するコーティングである。図1および図2に示す各実施形態では、微粒子は、錠剤が無傷の状態であるか、または損傷している(例えば、二分または破砕することにより)かにかかわらず、有効成分の放出を制御する。さらに、各図に示されている原理は、3層以上を含む多層剤形中に存在し得ると理解されたい。
【0029】
一実施形態では、第1の層20は放出制御層であり、この中で微粒子40は長時間にわたり製剤からの薬学的活性物質の放出制御を可能にする。層20は、放出制御マトリックスを含むまたは画定することもできる。層20、層30、または層20と30の両方に配置されてもよい高吸収性材料は、薬学的活性物質の放出速度を遅くすることもでき、水性媒体と接触した時の膨潤が最小限になる。しかし、組成物が破砕された場合、露出する高吸収性材料の表面積が大きくなり、高吸収性材料は、水性溶媒と接触した時、迅速に膨潤してハードゲルを形成する。
【0030】
一実施形態では、第2の層30は、第2の薬学的活性物質50の迅速な崩壊と放出を可能にする即時放出層(immediate release layer)である。薬剤50は、薬剤40と同じであっても異なってもよい。第2の層は微粒子40’を含有してもよく、微粒子40’は、その中に配置された薬学的活性物質の放出を、薬剤50の放出と比較して遅延させる。別の実施形態では、組成物10は、微粒子40”を含有するコーティング60を有してもよい。
【0031】
通常の使用では、圧縮多層組成物10は、第1の層20、第2の層30、または第1の層20と第2の層30の両方にある高吸収性材料が水性溶媒を吸収することが防止されるように、例えば、約100N〜約500Nの範囲の硬さを有する。そのため、組成物は、水性溶媒と合わせた場合でも、高吸収性材料の大部分が膨潤して多層組成物の完全性を損なうことが防止されるように、十分な完全性を維持する。さらに、得られる硬さによって、組成物が破砕し難くなる。水性溶媒と合わせられた場合、溶媒は、第1の層20と第2の層30の両方に徐々に浸透し、第2の層30に存在する薬学的活性物質は、最初に、第1の層20の微粒子中に存在する薬学的活性物質よりも速く放出される。本明細書で使用する場合、「最初に放出される」の用語は、組成物が水性溶媒に曝された後、15分以内または30分以内に少なくとも1種類の薬学的活性物質が放出されることを指す。しかし、破砕されて水性溶媒に曝された場合、高吸収性材料が膨潤し、微粒子を封入する硬質のゲルを形成する。微粒子は、中に配置された薬学的活性物質の放出を制御するための主要な機構であると理解されたい。しかし、微粒子によって付与される放出制御特性に加えて、微粒子の周囲に形成する硬質のハードゲルも組成物の他の成分と共に放出制御特性を付与し得る。
【0032】
1種類またはそれより多くの(例えば、2種類、3種類、4種類またはそれより多くの)薬学的活性物質を送達するために本明細書に記載の組成物を使用できることが考えられる。図1および図2に示す全ての実施形態に関して、例えば、第1の層20の微粒子40が、第2の層30に存在する薬学的活性物質50と同じ薬学的活性物質を含有し得ると理解されたい。そのため、このような2層組成物は、所望の放出プロファイル(例えば、第2の層30から最初に迅速に放出された後、第1の層20から後でそれよりゆっくりと放出される)の形成を可能にする。あるいは、第1の層の微粒子40中に存在する薬学的活性物質は、第2の層の遊離した薬学的活性物質50と異なってもよい。例えば、第1の層の微粒子40中の薬学的活性物質はオキシコドンであってもよく、それに対して第2の層30の遊離した薬学的活性物質50はアセトアミノフェンであってもよい。さらに、第2の層の同じ薬学的活性物質(例えば、アセトアミノフェン)が第1の層に遊離した(即ち、微粒子中に含まれてもいなければ、微粒子と結合してもいない)形態で存在してもよいと理解されたい。このような例を実施例1および2に示すが、第1の層の微粒子はオキシコドンを含有し、アセトアミノフェンは第1の層と第2の層の両方に遊離した形態で存在する。
【0033】
さらに、図1および図2に示す2層では、第1の層20が放出制御マトリックスを含有または画定してもよく、それに対して第2の層30が即時放出マトリックスを画定してもよいことを企図している。あるいは、第1の層20と第2の層30が両方とも2つの異なる放出制御マトリックスを含有または画定してもよい。さらに、組成物は、非機能性もしくは美的コーティング(図1Cおよび1Dを参照)、または機能性コーティング(図2Aおよび図2Bを参照)をさらに含有してもよい。しかし、どのような1種類または複数種類の薬学的活性物質が放出されるか、および、各薬剤に対してどのような放出プロファイルが望ましいかに応じて、組成は変わり得ると理解されたい。
【0034】
無傷の状態の組成物の場合、水性環境(例えば、少なくとも10%(v/v)の水を含有する溶液)に曝されると、第2の層に配置された薬学的活性物質は、最初に(例えば、水性溶媒に曝された後、15分以内または30分以内に)、第1の層に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出される。少なくとも1種類の薬学的活性物質が、無傷の状態の製剤から長時間(例えば、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、または少なくとも24時間)にわたって放出される。特定の実施形態では、抽出媒体、例えば、水、pH1.2〜6.8の範囲の水溶液、および様々なエタノール媒体(例えば、20%エタノール含有水、40%エタノール含有水、60%エタノール含有水、または80%エタノール含有水、および100%エタノール)に曝された場合、少なくとも1種類の薬学的活性物質の少なくとも50%、好ましくは60%、更に好ましくは70%、さらにより好ましくは80%が無傷の状態の組成物から実質的に即時に(例えば、30分以内に)放出されることが防止されている。
【0035】
患者が錠剤を飲み込みやすくするために錠剤を半分に割る場合に起こり得るように、本発明の経口剤形が二分、例えば、軸方向に二分された場合、第1の層および/または第2の層は損傷を受け、より多くの高吸収性材料が露出する。しかし、第1の層の硬さのため、少量の高吸収性材料しか膨潤せず、二分された錠剤の得られる部分はその完全性を維持する。そのため、本発明の組成物の二分された部分は、薬学的活性物質の放出特性が、無傷の状態の組成物と実質的に同じである。これらの原理を、例えば、実施例1および図3〜5に示すが、高吸収性材料は第1の層に配置されている。さらに、二分された場合でも、本発明の製剤は、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、または少なくとも24時間にわたる薬学的活性物質の放出を可能にする。特定の実施形態では、抽出媒体、例えば、水、pH1.2〜6.8の範囲の水溶液、および様々なエタノール媒体(例えば、20%エタノール含有水、40%エタノール含有水、60%エタノール含有水、または80%エタノール含有水、および100%エタノール)に曝された場合、少なくとも1種類の薬学的活性物質の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは70%、さらにより好ましくは80%が製剤から実質的に即時に(例えば、30分以内に)放出されることが防止されている。
【0036】
本発明の経口剤形が、破砕された(例えば、製剤を少なくとも10個またはそれ以上の小片に割る市販の丸剤破砕機を用いて)後、水性環境に曝された場合、高吸収性材料は迅速に(例えば、約30秒以内に)膨潤し、微小粒子を捕捉するハードゲルを形成する。一部にはそれらのサイズが小さい(曲率半径が大きい)ため、微小粒子は破砕プロセスに耐え、実質的に無傷の状態を維持する。破砕された組成物が鼻孔に吸い上げられ、鼻孔内でゲルの形成が起こった場合、ハードゲルは不快な経験をもたらす。このプロセスには、血流中への有効成分の吸収に必要な鼻汁が高吸収性材料に吸収され、この経路による中毒を防止するという利点がある。同様に、薬学的活性物質を抽出するために組成物が破砕されて水性環境に曝された場合、コアの高吸収性材料は抽出媒体を吸収することができるため、投与のための抽出媒体がほとんどまたは全く残らない。さらに、このプロセスで形成されるハードゲルは、注射針で吸い上げることも、押し出すこともできない。
【0037】
放出制御コーティングを有する組成物の場合、コーティングは破砕により損傷を受けることがある。しかし、微粒子は依然として薬学的活性物質の放出制御を可能にし、薬学的活性物質が製剤から実質的に即時に放出されることを防止し(即ち、微粒子は薬学的活性物質の放出を制御し)、ゲルが形成して微粒子を捕捉する。例えば、少なくとも1種類の薬学的活性物質の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは70%、さらにより好ましくは80%が製剤から実質的に即時に(例えば、30分以内に)放出されることが防止されている(実施例1で論じられる図6Aを参照)。そのため、本発明の組成物は、製剤が破壊または破砕された場合でも、水、20%エタノール、40%エタノール、および60%エタノール中での用量ダンピングを防止する。
【0038】
特定の実施形態では、本発明の組成物を破砕し、U.S.P.タイプI装置において、100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの水に曝した場合、組成物が破砕される前に初めから製剤中に存在する少なくとも1種類の薬学的活性物質の約50重量%未満、約45重量%未満、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、または約20重量%未満が水中に放出される。他の特定の実施形態では、本発明の製剤を破砕し、U.S.P.タイプI装置において、100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの60%(v/v)エタノール含有水溶液に曝した場合、組成物が破壊される前に初めから製剤中に存在する少なくとも1種類の薬学的活性物質の約50重量%未満、約45重量%未満、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、または約20重量%未満が水溶液中に放出される。
【0039】
本発明の製剤の各構成成分について以下の項で論じる。
【0040】
A.多層構成成分に関する検討事項
多層は、2つ、3つ、4つまたはそれより多くの異なる層を含んでもよいと理解されたい。一実施形態では、多層は2層であり、第1の層と第2の層が互いに隣接している。別の実施形態では、組成物は第3の層を含んでもよく、第3の層は第1の層に隣接していても、第2の層に隣接していても、第1の層と第2の層の間に配置されていてもよい。
【0041】
第1の層は、中に少なくとも1種類の薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団を含む。第2の層には、第1の層に配置された微粒子中の薬学的活性物質と同じであっても異なってもよい薬学的活性物質が配置されている。第1の層、第2の層、第1の層と第2の層の両方、または任意選択の第3の層は、高吸収性材料を含んでもよい。第2の層に配置された薬学的活性物質は、最初に、第1の層の微粒子内に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出される。これは、少なくとも1種類の薬学的活性物質を第1の層で微粒子中に含有するが第2の層では含有しないことを含む、多くの様々な方法で達成することができる。さらに、第1の層は放出制御剤を含んでもまたは放出制御マトリックスを画定してもよく、それに対して第2の層は即時放出マトリックスを画定してもよい。あるいは、第1の層と第2の層が両方とも放出制御剤を含んでもまたは放出制御マトリックスを画定してもよいが、薬学的活性物質が最初に第2の層から第1の層より速い速度で放出されるように、それぞれの組成を選択してもよい。
【0042】
本明細書で使用される「高吸収性材料」の用語は、溶媒を吸収し、例えば、1gの材料が少なくとも30mL、より好ましくは50mLの溶媒を吸収し、溶媒を吸収すると膨潤して、水和ゲル(ヒドロゲル)を形成する任意の材料を意味するものと理解される。一般に、有用な高吸収性材料は、水性媒体(例えば、水)に曝された場合、その自重に基づいて10〜15倍超過の、例えば少なくとも30倍より多くの、より好ましくは50倍より多くの水を吸収する。特定の実施形態では、高吸収性材料はポリマーである。
【0043】
高吸収性材料は、多糖類誘導体または架橋高分子電解質から製造されてもよい。多糖類高吸収剤には、デンプングラフト共重合体、架橋カルボキシメチルセルロース誘導体、加水分解デンプンアクリロニトリルグラフト共重合体、および中和デンプンアクリル酸グラフト共重合体が含まれるが、これらに限定されるものではない。架橋高分子電解質は、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、亜硫酸基、リン酸基、アミン基、イミン基、アミド基、第四級アンモニウム基、またはこれらの混合物などの官能基を含有してもよい。高分子電解質ポリマーの例には、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ポリビニル酢酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルスルホン酸、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カラゲーナン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアミノプロパノールビニルエーテル、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリグルタミン、およびこれらの共重合体または混合物の塩または部分塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
例示的な高吸収性材料は、ポリカルボフィル、ポリカルボフィルカルシウム、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含むことができる。ポリカルボフィルは、大量の水を吸収し保持することができる高吸収性ポリマーである。ポリカルボフィルは、ジビニルグリコールで架橋された高分子量のアクリル酸ポリマーであり、Lubrizol Corporation(OH, USA)によりノベオン(NOVEON)(登録商標)AA-1の商標名で販売されている。1gのポリカルボフィルは約62gの水を吸収できることが分かっている。ポリカルボフィルは安定であり、通常の条件下では加水分解も、酸化も受けない。ポリカルボフィルのカルシウム塩(ポリカルボフィルカルシウム)を使用することもでき、Lubrizol Corporation(OH, USA)からノベオン(NOVEON)(登録商標)CA-1またはCA-2の商標名で市販されている。他の例示的な高吸収性材料には、例えば、Lubrizol Corporation(OH, USA)から入手可能なカーボポール(Carbopol)(登録商標)71 G、カーボポール(Carbopol)(登録商標)971P、カーボポール(Carbopol)(登録商標)974が含まれる。
【0045】
高吸収性材料は、2つの機能を付与する。第1に、高吸収性材料(例えば、ポリカルボフィル)を含有する組成物が破砕されて、非経口注入用の溶媒(例えば、水)と合わせられた場合、高吸収性材料は迅速に水を吸収し、膨潤してハードゲルを形成し、このようにして注入を防止する。さらに、加えられる溶媒の量によっては、溶媒が全て吸収され得るため、投与できる残留溶媒が残らない。第2に、組成物が破砕されて鼻孔に吸い込まれた場合、高吸収性材料は鼻孔内の液体を吸収し、高吸収性材料の膨潤が起こる。膨潤は不快感を引き起こすだけでなく、製剤内に配置された薬物が迅速に(例えば、30分未満で)放出されることを防止する。
【0046】
一般に、第1の層における高吸収性材料の割合は、第1の層の約1%(w/w)〜約70%(w/w)、より好ましくは第1の層の約2%(w/w)〜約50%(w/w)の範囲である。さらに、第1の層における高吸収性材料は、無傷の状態の最終組成物の約3%(w/w)〜約20%(w/w)、より好ましくは無傷の状態の最終組成物の約4%(w/w)〜約14%(w/w)、より好ましくは無傷の状態の最終組成物の約4%(w/w)〜約10%(w/w)の範囲である。
【0047】
例示的な放出制御微粒子の組成およびその製造方法については、下記のC項に記載する。高吸収性材料および微粒子の他に、第1の層は任意選択により、放出制御マトリックスをさらに含むまたは画定する。さらに、状況に応じて、第2の層は、任意選択により、即時放出マトリックスまたは放出制御マトリックスのいずれかをさらに含むまたは画定する。
【0048】
好適な放出制御マトリックスを形成するのに使用することができる材料には、例えば、アセチルサクシネート、ポリビニル誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸ビニルとビニルピロリドンの共重合体、酢酸ビニルとクロトン酸の共重合体、ポリビニルピロリドン)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、多糖類(例えば、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースおよびセルロース誘導体(例えば、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート)、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギネート、ガム類(例えば、キサンタンガム)、ポリメタクリレート(例えば、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体、およびメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体を含む)、ポリメチルビニルエーテルと無水マロン酸の共重合体、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸またはそのエチル−、イソプロピル−、n−ブチルエステルの共重合体、ゼイン、およびこれらの混合物が含まれる。
【0049】
即時放出マトリックスを形成するのに使用できる材料としては、例えば、微結晶性セルロース、リン酸カルシウム(一塩基性、二塩基性および/または三塩基性)、ラクトース、スクロース、デキストリンなどの糖類、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、およびクロスポビドンなどのスーパー崩壊剤が含まれると理解されたい。
【0050】
さらに、第1の層と第2の層は、例えば、希釈剤(例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、リン酸二カルシウム、スクロース)、滑沢剤(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、硬化植物油)、流動化剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素およびタルク)、着色剤(dye)(例えば、酸化鉄)および充填剤(例えば、ラクトース、アルファ化デンプン、デキストリン、マルトース、リン酸カルシウム(一塩基性、二塩基性および/または三塩基性)、微結晶性デンプン)の1つ以上を含む他の賦形剤および製造助剤を含んでもよい。
【0051】
さらに、第2の層は、任意選択により、第2の層の崩壊を促進するための崩壊剤を含む。しかし、水性媒体に曝された時、第1の層が崩壊して高吸収性材料の大部分が曝されるリスクを最小限に抑えるため、崩壊剤は典型的には第1の層には含まれない。第1の層は、水性環境に曝されても、無傷の状態を維持することが好ましい。有用な崩壊剤には、例えば、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、およびクロスカルメロースが含まれる。
【0052】
B.コーティングに関する検討事項
項Aに記載の多層組成物は、さらに、コーティング(例えば、図1Cおよび図1Dに示すような非機能性(美的)コーティングまたは機能性コーティング(例えば、図2Aおよび図2Bに示すような放出制御コーティング))を含んでもよいと理解されたい。通常の使用では、コーティングは、依然として、多層を封入し、高吸収性材料の膨潤を最小限に抑えるのに役立ち得る硬質の網状構造を提供する。
【0053】
例示的な非機能性コーティングには、例えば、Innovative Material Technologies製の水性シェラック分散体であるマーコート(MARCOAT) 125(登録商標)、FMC Biopolymers製のエチルセルロースの水性分散体であるアクアコート(AQUACOAT)(登録商標)、BASF製のメタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体であるコリコート(KOLLICOAT)(登録商標)、Aqualon製のヒドロキシプロピルセルロースであるクルーセル(KLUCEL)(登録商標)、Roquette製の加工エンドウ豆デンプンをベースにする水性フィルムコーティング系であるライコート(LYCOAT)(登録商標)、信越化学工業(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートであるAQOAT(登録商標)(HPMCAS)、および、全てColorcon(PA,USA)製であるオパドライ(OPADRY)(登録商標)、オパドライ(OPADRY) TM(登録商標)、オパドライ(OPADRY) FX(登録商標)、オパラックス(OPALUX)(登録商標)、オパグロス(OPAGLOS)(登録商標)、エトセル(Ethocel)(登録商標)10,45,100cps(エチルセルロース)が含まれる。
【0054】
しかし、コーティングは機能性コーティングであってもよいと理解されたい。換言すれば、コーティングは、例えば、組成物内に配置された薬剤の放出制御(放出遅延など)、防湿層、および味マスキングフィルムを含み得る、美的外観を超えた機能を付与する。
【0055】
放出制御コーティングは、抽出媒体のpHが変化する時(例えば、製剤が通常の炭酸飲料と合わさるとき)、薬物の放出に抵抗することができる。さらに、放出制御コーティングは、アルコール飲料のアルコール含有率を超えるレベルで抽出媒体中にアルコールが存在する場合でも、薬物の放出に抵抗することができる。
【0056】
特定の実施形態では、放出制御コーティングは放出制御剤を含む。代わりに、またはさらに、コーティングは放出制御フィルムである。例示的な放出制御剤およびフィルムコーティングは、アセチルサクシネート、ポリビニル誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸ビニルとビニルピロリドンの共重合体、酢酸ビニルとクロトン酸の共重合体、ポリビニルピロリドン)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、多糖類(例えば、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースおよびセルロース誘導体(例えば、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート)、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギネート、ガム類(例えば、キサンタンガム)、ポリメタクリレート(例えば、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体、およびメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体を含む)、メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体、ポリメチルビニルエーテルと無水マロン酸の共重合体、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸またはそのエチル−、イソプロピル−、n−ブチルエステルとの共重合体、ゼイン、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0057】
放出制御フィルムコーティングポリマーの他の例には、メチルセルロース、エチルセルロース(例えば、FMC Corp.製のアクアコート(Aquacoat)(登録商標)タイプ)、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース(例えば、信越化学工業(株)製のPharmacoat(登録商標)タイプ)、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはメチルカルボキシメチルセルロース、アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、または、塩化ビニルとビニルアルコールと酢酸ビニルの三元共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(例えば、信越化学工業(株)製のHPタイプ)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(例えば、信越化学工業(株)製のAqoat)、セルロースアセテートフタレート(例えば、FMC Corp.製のアクアコート(Aquacoat) CPD、またはEastman Chemical製のC-A-P NF)、ポリビニルアセテートフタレート(例えば、Colorcon製のシュアテリック(Sureteric))、カルボキシメチルエチルセルロース、およびメタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル共重合体(例えば、Degussa/Evonik Industries製のオイドラギット(Eudragit)、またはBASF製のコリコート(Kollicoat)、またはColorcon製のアクリル−Eze(Acryl-Eze)、またはEastman Chemical製のイーストアクリル(Eastacryl))が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
例えば、コリドン(Kollidon)(登録商標)SR(ポリ酢酸ビニル(8部、w/w)とポリビニルピロリドン(2部、w/w)からなる粉末)とをキサンタンガムと組み合わせて使用してもよい。コリドン(Kollidon)(登録商標)SRは、BASF(ON,Canada)から入手可能である。あるいは、コーティングは、例えば、Degussa/Evonik Industries(NJ,USA)から入手可能なオイドラギット(Eudragit)(登録商標)L30D 55であってもよい。さらに、望ましい放出速度に応じて、同じ放出制御剤とコーティングを下記のC項に記載の微粒子内に配置してもよく、または微粒子にコーティングしてもよいと理解されたい。
【0059】
例示的な防湿層には、例えば、オパドライ(OPADRY)(商標)Aqueous Moisture Barrier(AMB)、高性能オパドライ(OPADRY) II(Colorcon(PA,USA))が含まれる。
【0060】
例示的な味マスキングフィルムには、例えば、オパドライ(OPADRY)(商標)(Colorcon(PA,USA))が含まれる。
【0061】
さらに、コーティングは、増粘剤(例えば、キサンタンガム、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、セルロースおよびスクロース誘導体)、滑沢剤(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸)、流動化剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素およびタルク)、および着色剤(例えば、酸化鉄)の1つ以上を含むことができる。さらに、コーティングは可塑剤を含んでもよい。可塑剤の例には、セタノール、トリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、コハク酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、安息香酸ベンジル、ステアリン酸カルシウム、ヒマシ油、クロロブタノール、コロイド状二酸化ケイ素、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、シュウ酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、グリセリン、グリセロールトリブチレート、グリセロールトリアセテート、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、硬化植物油、レシチン、ロイシン、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリソルベート、シリコーン、ステアリン酸、タルク、二酸化チタン、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ステアリン酸亜鉛、およびPEG(ポリエチレングリコール)等が含まれるが、これらに制限されるものではない。
【0062】
さらに、コーティングは、目的とする薬学的活性物質を含有する放出制御微粒子を含んでもよい。例示的な放出制御微粒子の組成およびその製造方法については、次の項に記載する。
【0063】
C.放出制御微粒子に関する検討事項
図1および図2に示すように、本発明の組成物は、多層組成物の少なくとも1つの層内(図1A、図1Cおよび図2Aを参照)、多層組成物の2つの層内(図1B、1Dおよび2Bを参照)、または放出制御コーティング内(図2Aおよび図2Bを参照)に放出制御微粒子が配置されている。
【0064】
放出制御微粒子は薬学的活性物質を含有し、その中に配置された薬学的活性物質の放出制御を容易にする。選択された構成に応じて、製剤は、長時間にわたって、例えば、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、または少なくとも24時間にわたって薬学的活性物質を放出することができる。
【0065】
放出制御粒子は様々な形態を取ることができるが、それらには、(i)放出制御特性を有すること、および(ii)製剤が通常の丸剤破砕機等で破砕される場合でも破砕され難いサイズを有すること、を含む多くの共通した特徴がある。微粒子は、コアとコーティングを有してもよく、これらのどちらかが、または両方とも放出制御特性を付与する。
【0066】
微粒子のコアは、薬学的活性物質、並びに、例えば、球形化剤(spheronizing agent)、可塑剤、および放出制御剤の1つ以上を含む様々な賦形剤を含んでもよい。例示的な球形化剤には、例えば、微結晶性セルロース、エチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースおよびリン酸二カルシウム二水和物が含まれる。微結晶性セルロースが好ましく、FMC BioPolymer(DE,USA)からアビセル(Avicel)(登録商標)PHlOlの商標名で市販されている。微結晶性セルロースは、湿潤時に可塑性で凝集性の塊を形成するが、これは球形の顆粒をうまく製造するのに望ましい。微結晶性セルロースは、分子スポンジのように水を吸収することによって球形化プロセスを助け、押出中の湿潤粉末塊の結合および潤滑を助けるものと考えられる。球形化プロセス中、微結晶性セルロースのミクロフィブリルに捕捉された水分は押出物に可塑性を加え、押出によって得られる短い円形の押出物を球形のペレットに変化させることを助ける。様々なグレードの微結晶性セルロースが市販されており、押出−球形化に適した好ましいグレードは、アビセル(Avicel)(登録商標)PH 101であるが、その理由は、粒度が小さく、充填密度が低く、保水性が高いからである。
【0067】
さらに、微粒子のコアは可塑剤を含有してもよい。例示的な可塑剤には、例えば、IMTech(PA,USA)から入手可能なプラスアクリル(Plasacryl)(登録商標)、およびMorflex(NC,USA)から入手可能なクエン酸トリエチルが含まれる。
【0068】
さらに、微粒子のコアは、任意選択により、薬学的活性物質の放出を制御する放出制御剤を含有してもよい。例示的な放出制御剤は、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体、キサンタンガム、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。好ましい実施形態では、放出制御賦形剤には、少なくとも12時間、少なくとも18時間、または少なくとも24時間、薬学的活性物質の放出を制御する架橋高アミロースデンプンであるデンプン誘導体が含まれる。架橋高アミロースデンプンは、オキシ塩化リンで架橋されていてもよく、および/またはヒドロキシプロピル側鎖を含有してもよい。特定の実施形態では、好適な放出制御剤は、Labopharm, Inc.(Laval,Canada)からコントラミド(CONTRAMID)(登録商標)の商標名で市販されている。コントラミド(CONTRAMID)(登録商標)賦形剤の合成は、米国特許第6,607,748号に記載されている。
【0069】
薬学的活性物質を含有する微粒子のコアは、例えば、湿式造粒法および押出−球形化を含む様々な方法で調製することができる。湿式造粒法の際、微粒子は、例えば、流動層ローター造粒機を使用して調製される。湿潤造粒プロセスは、例えば、(i)粉末を湿らせて、湿潤顆粒を形成する工程;(ii)湿潤顆粒をタンブリングまたは球形化する工程;および(iii)得られる製造物を乾燥させる工程を含む。あるいは、ペレットは押出−球形化によって製造されてもよく、これには、再現性が高く、スケールアップが容易であり、費用効率が高いという利点があり、実質的に完全な球形微粒子が製造される。押出−球形化は、例えば、(i)一般に結合剤を含有する水溶液または有機溶液で粉末ブレンドを湿らせて、湿式押出に適した均質な湿塊を形成する工程;(ii)湿塊を押出して、均一な形状とサイズの円筒状の押出物を形成する工程;および(iii)例えば、高速回転円板で押出物をより小さい微粒子に分割して、丸め、球体を形成する球形整粒機(spheronizer)を使用して湿潤押出物を球形化する工程を含む。
【0070】
微粒子のコアは、錠剤形成中において破壊されることなく圧縮下で変形するのに十分な柔軟性のある放出制御コーティングでコーティングすることができる。好適な放出制御剤については前項に記載している。一実施形態では、放出制御コーティングは、ポリメタクリレート(例えば、Degussa/Evonik Industries(NJ,USA)から入手可能なオイドラギット(Eudragit)(登録商標)RS)を含む。特に有用なオイドラギット(Eudragit)(登録商標)RS3ODグレードは、アクリル酸エチルとメタクリル酸メチルとトリメチルアンモニオエチルメタクリレートの1:2:0.1(w/w)の比のポリマー混合物の水性分散体(30%w/w)である。オイドラギット(Eudragit)(登録商標)RSグレードは、徐放性製剤用の水不溶性フィルムコーティングを形成するように設計されている。Eudragit(登録商標)RSグレードは、透過性が低く、柔軟性の高いフィルムコーティングを形成する。別の有用なコーティング材料には、Degussa/Evonik Industries(NJ,USA)から入手可能なEudragit(登録商標)RL30D 55が含まれる。別の放出制御コーティングは、Surelease(登録商標)の商標名で販売されているエチルセルロースを含む。別の放出制御コーティングには、BASF Fine Chemicalsから入手可能なコリコート(Kollicoat)(登録商標)SRが含まれる。一方法では、微粒子のコアは、ボトムスプレーを備えた流動層コーターを使用してコーティングされる。
【0071】
得られる粒子の平均直径は、その組成や製造方法に応じて、約1μm〜約1000μmの範囲である。特定の実施形態では、微粒子の平均直径は、約200μm〜約900μm、または約300μm〜約800μmである。特定の実施形態では、得られる微粒子の平均直径は約700μmである。他の特定の実施形態では、微粒子の平均直径は、約1μm〜約400μm、約5μm〜約300μm、または約10μm〜約200μmである。特定の実施形態では、得られる微粒子の平均直径は約100μmである。
【0072】
D.薬学的活性物質
本明細書に記載の組成物は、1種類以上の薬学的活性物質の送達に使用できると理解されたい。特定の実施形態では、放出制御微粒子は1種類以上の薬学的活性物質を含有してもよい。さらに、本発明の組成物は多くの異なる微粒子を含有してもよく、微粒子の1つの集団が1種類の薬学的活性物質を含有し、微粒子の別の集団が第2の異なる薬学的活性物質を含有してもよいと理解されたい。さらに、微粒子中に薬学的活性物質の1種類以上が存在してもよく、それに対して、他の1種類以上の薬学的活性物質が組成物内に遊離した(即ち、微粒子内に配置されてもいなく、または微粒子と結合してもいない)形態で存在してもよいと理解されたい。
【0073】
多くの薬学的活性物質は、本明細書に記載の製剤を使用して送達されることにより利益を得ることができる。Comprehensive Drug Abuse Prevention and Control Act(1970年)の第II編であるControlled Substance Act(CSA)は、現行の連邦法の下で規制されている全ての物質を、その物質の医薬としての価値、有害性、および乱用または常用癖の可能性に基づいて5つの一覧表のうち1つに分類している。本発明の製剤は、好ましくは、一覧表II、III、IVおよびVの薬物として分類された薬物を送達するのに使用される。同様に、薬物の放出を制御することが有利などのような薬物も本発明の製剤に組み込むことができるが、本明細書に記載の製剤は、例えば、CNS興奮剤および呼吸促進剤、鎮痛薬(例えば、オピオイド鎮痛薬)、催眠剤、抗不安剤、および治療指数が狭い薬剤の送達に特に有用である。本発明の目的では、薬学的活性物質は、薬学的活性物質の塩、エステル、およびプロドラッグを包含することが意図されている。
【0074】
例示的なオピオイド鎮痛薬には、例えば、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カーフェンタニル、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジプレノルフィン、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、β−ヒドロキシ−3−メチルフェンタニル、レボα−アセチルメタドール、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、ペチジン、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トラマドール塩酸塩、またはこれらの混合物が含まれる。
【0075】
オピオイド鎮痛薬を含有する特定の実施形態では、固体組成物は、第2の異なる薬学的活性物質としてアセトアミノフェンをさらに含んでもよい。組成物の所望の特性に応じて、アセトアミノフェンは第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方に含まれてもよい。特定の製剤では、アセトアミノフェンは高濃度では毒性を有することが一般に知られていることから、特定の使用者には、アセトアミノフェンの迅速な放出が、組成物を破砕することに対する更なる抑止力の役割を果たし得ると考えられるため、アセトアミノフェンは微粒子内には含まれない。
【0076】
例示的な催眠薬には、例えば、ベンゾジアゼピンおよび非ベンゾジアゼピンが含まれる。例示的なベンゾジアゼピンには、アルプラゾラム、ジアゼパム、フルラゼパム、ロプラゾラム、メキサゾラム、およびニトラゼパム等が含まれるが、これらに限定されるものではない。例示的な非ベンゾジアゼピンには、バルビツレート(例えば、ブトバルビトン、フェノバルビトン、またはアミロバルビトン)、クロルメチアゾール、エスゾピクロン、ラメルテオン、ザレプロン、ゾピクロン、およびゾルピデム等が含まれるが、これらに制限されるものではない。
【0077】
例示的な抗不安剤には、アンフェタミン、ブスピロン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン(例えば、アルプラゾラム、ブロマゼパム、ブロチゾラム、カマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、デスアルキルフルラゼパム、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、メタクラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、ペンチレンテトラゾール、プラゼパム、テマゼパム、テトラゼパム、およびトリアゾラム)等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
例示的なCNS興奮剤および呼吸促進剤には、キサンチン類(例えば、カフェインおよびテオフィリン)、アンフェタミン類(例えば、アンフェタミン、ベンズフェタミン塩酸塩、デキストロアンフェタミン、デキストロアンフェタミン硫酸塩、レバンフェタミン、レバンフェタミン塩酸塩、メタンフェタミンおよびメタンフェタミン塩酸塩)、並びに、種々の興奮薬、例えば、メチルフェニデート、メチルフェニデート塩酸塩、モダフィニル、ペモリン、シブトラミン、およびシブトラミン塩酸塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
治療指数が狭い薬学的活性物質には、例えば、アミオダロン、アムホテリシン、カルバマゼピン、クロザピン、ジゴキシン、ジソピラミド、炭酸リチウム、ミノキシジル、フェニトイン、プリミドン、プロカインアミド、キニジン、テオフィリン、バルプロ酸、およびワーファリンが含まれる。
【0080】
乱用防止製剤中に存在する薬学的活性物質の量は、通常の錠剤で必要とされる治療量によって決まると理解されたい。一般に、各薬学的活性物質は、重量で約0.5mg〜約900mg、重量で約1mg〜約700mg、重量で約1mg〜約600mg、約1mg〜約500mg、約lmg〜約400mg、約1mg〜約300mg、約1mg〜約200mg、および、約10mg〜約200mgの範囲の量で存在する。しかし、実際の投薬量は、個々の薬学的活性物質およびその提案された用途によって決まると理解されたい。
【0081】
本明細書に記載の無傷の状態の組成物は、製剤の分野の当業者に既知の技術を使用して製造できると理解されたい。放出制御錠剤の例示的な製造手順を実施例1に記載する。しかし、他の方法を使用して本発明の製剤を製造できると理解されたい。
【0082】
特定の実施形態では、製剤の硬さは、約100N〜約500N、または約150N〜約400N、または約200Nから約400N、または約300N〜約400Nの範囲である。特定の実施形態では、製剤の硬さは、約130N〜約280N、約130N〜約210N、約130Nから約195N、約150N〜約250N、約150N〜約200N、約150N〜約180N、約160N〜約195N、約160N〜約180N、約180N〜約230N、約200N〜約250N、約200N〜約260N、約205N〜約280N、約210N〜約250N、または約210N〜約230Nである。
【0083】
特定の実施形態では、例えば、オキシコドンとアセトアミノフェンを含有する経口剤形は、前述の範囲のうちの1つ以上に入る硬さを有してもよい。
【0084】
本組成物は、製造された場合、薬学的活性物質(例えば、疼痛管理のためのオピオイド鎮痛薬)を必要とする哺乳動物、例えば、ヒトに、薬学的活性物質を投与するために使用することができる。正確な投薬量は、症状、年齢、体重、治療される疾患の重症度に応じて変わり、当業者に既知の通常の実験により最適化できると理解されたい。
【実施例】
【0085】
本発明の実施は、以下の実施例からさらに十分に理解されるであろう。但し、それらは単に説明の目的で本明細書に記載され、決して本発明を制限するものと解釈されるべきではない。
【0086】
実施例1−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、例示的な誤用防止錠剤およびその製造方法について記載する。本組成物は、アセトアミノフェン(650mg)とオキシコドンHCl(25mg)の混合物を含む。オキシコドンは、中程度〜中重度の疼痛の治療に使用される薬物であり、誤用される可能性があり、誤用による過剰な暴露により有害な副作用が起こり得る。この錠剤は、非機能性(美的)コーティングを有する2層コアを有する。この実施例では、放出制御層内に高吸収性材料が配置されている。錠剤の処方を表1に記載し、製剤の各構成成分の製造をこの実施例の次の項に記載する。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例全体を通して、コンパップ(COMPAP)(登録商標)(Mallinckrodt,Inc.)は、アセトアミノフェンとアルファ化デンプンの混合物を含む圧縮成形可能な組成物であり、組成物中のアセトアミノフェンのパーセンテージは、コンパップ(COMPAP)(登録商標)のバッチによってわずかに変わり得る。このばらつきを補償するために、圧縮成形される賦形剤のブレンド中のコンパップ(COMPAP)(登録商標)の量を変える。錠剤の重量を維持するため、微結晶性セルロースの量をそれに対応して変更する。さらに、微粒子内に含有されるオキシコドンまたは他の有効成分の量は変わり得るため、微粒子の量を調整して薬物含有量を一定に保つことができる。
【0089】
A.オキシコドン微粒子の製造
表2に記載の構成成分(オイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクを除く)を混合することにより、微粒子を製造した。得られた混合物を押出および球形化し、得られた微粒子をオイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクで、ボトムスプレーを備えた流動層コーター内でコーティングした。錠剤のコアは2層であった。オキシコドン含有微粒子は2層の徐放層に組み込まれ、それに対してアセトアミノフェンは、遊離した形態であり微粒子に組み込まれていないコンパップ(COMPAP)(登録商標)として、即時放出層(rapid release layer)および徐放層(slow release layer)の両方に存在した。
【0090】
【表2】
【0091】
B.2層の製造
コンパップ(COMPAP)(登録商標)とオキシコドン含有微粒子とを含有する第1の層(放出制御層)の組成、およびコンパップ(COMPAP)(登録商標)(アセトアミノフェンを含む)を含有する第2の層の組成を表1に示す。2層は、各層の構成成分を混合した後、材料を打錠機で圧縮成形し、約210Nの硬さを有する錠剤を形成することによって調製した。
【0092】
C.美的コーティング
パンコーティング機を使用し、2層錠を表3に記載のオパグロス(Opaglos)成分を使用する美的コーティングでコーティングし、最終コーティング錠を形成した。
【0093】
【表3】
【0094】
得られた錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプIII装置において、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で12時間、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で12時間、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間、および40%エタノール中で測定した。図3Aに示すように、オキシコドンの放出プロファイルは、試験したpH範囲にわたって実質的に同じであった。さらに、図3Bに示すように、アセトアミノフェンの放出特性も試験したpH範囲にわたって実質的に同じであった。
【0095】
3つのロットの錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプI装置において、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で測定した。オキシコドンの放出に対する錠剤の二分化または四分化の影響を図4A(半錠)および図4B(4分の1錠)に示す。アセトアミノフェンの放出に対する錠剤の二分化または四分化の影響を図5A(半錠)および図5B(4分の1錠)に示す。部分錠は12時間放出制御を維持し、用量ダンピングの証拠は認められなかった。
【0096】
通常の錠剤破砕機を使用して、破砕された錠剤を調製する。破砕された錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプI装置において様々な条件下で測定した。図6Aは、塩基性にしたリン酸カリウム水溶液(pH10.0)、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)、および酸性にしたリン酸カリウム水溶液(pH3.0)、水、20%エタノール含有水、および40%エタノール含有水中におけるオキシコドンの放出速度を示す。オキシコドンの放出制御はすべての条件下で維持され、用量ダンピングの証拠は認められなかった。図6Bはアセトアミノフェンの放出速度を示し、これはオキシコドンの放出速度と比較して制御されていない。放出の増大により、肝毒性の可能性がある破砕された粉末の注入または経鼻吸入の抑止が可能となる。破砕後にアセトアミノフェンが完全に隔離されると、このような抑止は可能にならないであろう。
【0097】
破砕された錠剤は、水に曝された場合、例えば、21秒以内に迅速にゲルを形成した。破砕された錠剤を、表4に示す液体10mLに曝した。得られた混合物を振盪機で120分間撹拌した後、15分間放置してゲルと液体の分離が起こるかどうかを調べた。
【0098】
【表4】
【0099】
表4に示すように、水性溶媒が40%エタノールを含有した場合または水性媒体のpHが3〜10の範囲であった場合、粘稠なゲルが形成した。ゲルは固体と上清に分離しなかったため、組成物から溶出し得たオキシコドンまたはアセトアミノフェンの量を測定するための分析に供し得る液体は存在しなかった。*
【0100】
破砕された錠剤の静脈内または経鼻投与の効果をシミュレートするため、錠剤を破砕し、図5に示すように水道水または40%エタノール含有水2mLと混合した。どちらの場合もハードゲルが形成した。ハードゲルから液体を抽出して分析するため、注射器の先端に脱脂綿フィルタを配置し、強力な吸引下で少量の液体を抽出した。抽出物のオキシコドン含有率とアセトアミノフェン含有率を分析した。
【0101】
【表5】
【0102】
結果から、抽出物中にオキシコドンは検出されなかったが、水と40%エタノールの両方に極微量のアセトアミノフェンが存在した。
【0103】
ゲル破壊時の有効成分放出量を測定するために、水、酸性にしたリン酸カリウム緩衝水溶液(pH3.0)、または40%エタノール含有水のいずれか100mLに、破砕された錠剤を加えた。1分間激しく撹拌することによって、得られたゲルを破壊した。表6に示すように、15、30および60秒における混合物のオキシコドン含有率およびアセトアミノフェン含有率を評価した。
【0104】
【表6】
【0105】
これらの結果からアセトアミノフェンが迅速に放出されることが示されるが、高用量のアセトアミノフェンは肝毒性があることが知られているため、行われ得る静脈内または経鼻投与が抑止され得る。アセトアミノフェンと異なり、破砕後のオキシコドンの放出が最小限になるように、オキシコドンは錠剤処方に微粒子として存在する。
【0106】
実施例2−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、オキシコドンHCl(20mg)およびアセトアミノフェン(650mg)を含有する1日2回服用する錠剤の製造および試験について記載する。2層錠は、オキシコドンHClとおよびコントラミド(Contramid)(登録商標)を含有しかつ腸溶解性コーティングでコーティングされた微粒子を含有する。しかし、得られた2層は、非機能性(美的)コーティングで封入された。高吸収性材料は徐放層に配置した。
【0107】
錠剤の処方を表7に記載し、製剤の各構成成分の製造はこの実施例の次の項に記載する。
【0108】
【表7】
【0109】
A.オキシコドン微粒子の製造
表8に記載の最初の4つの構成成分を混合することにより、微粒子を製造した。得られた混合物を押出および球形化し、ボトムスプレーを備えた流動層コーター内で得られた微粒子を残りの4つの賦形剤(オイドラギット(Eudragit) NE 30D、タルク、オイドラギット(Eudragit) L30D-55、クエン酸トリエチル)でコーティングした。オイドラギット(Eudragit) L30D-55コーティングでコーティングされた微粒子は、低pH(pH1〜3など)で溶解に耐え、オキシコドンの放出を防止する。コーティングはより高いpHで溶解するが、錠剤が破砕された場合のコーティングの機械的除去は最小限である。コーティングは、無傷の状態の錠剤および破砕された錠剤の両方において、低pHでのオキシコドンの放出を防止する。
【0110】
錠剤のコアは2層とした。オキシコドン含有微粒子は2層の徐放層に組み込まれ、それに対して遊離した形態であり微粒子に組み込まれていないコンパップ(COMPAP)(登録商標)としてのアセトアミノフェンは、即時放出層および徐放層の両方に存在した。
【0111】
【表8】
【0112】
B.2層の製造
コンパップ(COMPAP)(登録商標)およびオキシコドン含有微粒子を含有する第1の層(放出制御層)の組成、およびアセトアミノフェンを含有する第2の層の組成を表7に示す。2層は、各層の構成成分を混合した後、材料を打錠機で圧縮成形し、約230Nの硬さを有する錠剤を形成することによって調製した。
【0113】
C.美的コーティング
パンコーティング機を使用することにより、得られた2層を表9に記載のオパグロス(Opaglos)成分でコーティングし、最終コーティング錠を形成した。
【0114】
【表9】
【0115】
得られた錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプI装置において、酸(pH1.2)中で12時間、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中で12時間、および酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で11時間、測定した。無傷の状態の錠剤について放出速度を測定した。図7Aに示すように、オキシコドンの放出プロファイルは、低pHでは少なくとも1時間、放出の遅延を示す。図7Bに示すように、アセトアミノフェンの迅速な放出も見られた。半錠と4分の1錠(データ不示)では、実施例1に類似の放出速度が見られた。
【0116】
得られた錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプI装置において、酸(pH1.2)中で1時間、およびリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で1時間、破砕された錠剤について測定した。図8Aに示すように、オキシコドンの放出プロファイルは、低pHでは少なくとも1時間、放出の遅延を示す。図8Bに示すように、アセトアミノフェンの比較的速い放出が見られた。
【0117】
実施例3−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、オキシコドンHCl(20mg)とアセトアミノフェン(650mg)を含有する錠剤(BID)の製造および試験について記載する。この錠剤は、腸溶性放出制御コーティング(即ち、オイドラギット(Eudragit) L30D55)で囲まれた2層コアを含有する。しかし、微粒子は、放出制御コーティングを有していなかった。徐放層には高吸収性材料が配置されている。
【0118】
表10に記載の構成成分(オイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクを除く)を混合することにより、微粒子を製造した。得られた混合物を押出および球形化し、得られた微粒子をオイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクで、ボトムスプレーを備えた流動層コーター内でコーティングした。
【0119】
【表10】
【0120】
2層であったコアの組成を表11に記載する。オキシコドンを含有する微粒子は2層の徐放層に組み込まれたが、それに対してアセトアミノフェンは、遊離した形態であり微粒子中に組み込まれていないコンパップ(COMPAP)(登録商標)として、即時放出層および徐放層の両方に存在した。
【0121】
【表11】
【0122】
2層のコアは、各層の構成成分を混合した後、材料を打錠機で圧縮成形することによって調製された。2層錠の硬さは、190〜230ニュートンの範囲であった。次いで、パンコーティング機を使用することによって、得られた2層コアをオイドラギット(Eudragit) L30D55でコーティングした。得られたコーティングは、オイドラギット(Eudragit) L30D 55を82mg含有し、それは錠剤の重量の8%であった。
【0123】
得られた錠剤のインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプIII装置において、20dpmで、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間インキュベートした後、続いてリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で11時間インキュベートして測定した。図9に示す結果から、0.1Mの塩酸中でインキュベートしたとき錠剤からオキシコドンは放出されなかったが、1時間後に緩衝液をリン酸塩緩衝液(pH6.8)に変更すると、オキシコドンは制御して放出されたことが示される。
【0124】
実施例4−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、オキシコドンHCl(20mg)およびアセトアミノフェン(650mg)を含有する錠剤(BID)の製造および試験について記載する。この錠剤は2層コアを含み、放出制御層には高吸収性材料(カーボポール(Carbopol) 71G)および脂質(コンプリトール(Compritol) 888 ATO)が存在する。脂質は、低pHで膨潤し、それによってオキシコドンHClの放出を最小限に抑えるように設計されている。2層コアの組成を表12に記載し、製剤の各構成成分の製造をこの実施例の次の項に記載する。
【0125】
【表12】
【0126】
A.オキシコドン微粒子の製造
表13に記載の構成成分(オイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクを除く)を混合することにより、微粒子を製造した。得られた混合物を押出および球形化し、得られた微粒子をボトムスプレーを備えた流動層コーターにおいてオイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクでコーティングした。
【0127】
【表13】
【0128】
B.2層の製造
錠剤のコアは2層とした。オキシコドン含有微粒子は2層の徐放層に組み込まれたが、それに対して遊離した形態であり微粒子に組み込まれていないコンパップ(COMPAP)(登録商標)としてのアセトアミノフェンは、即時放出層および徐放層の両方に存在した。
【0129】
コンパップ(COMPAP)(登録商標)(アセトアミノフェンを含有する)およびオキシコドン含有微粒子とを含有する第1の層(放出制御層)の組成、およびコンパップ(COMPAP)(登録商標)を含有する第2の層の組成を表12に示す。2層は、各層の構成成分を混合した後、材料を打錠機(Manesty(UK))で圧縮成形し、約150Nの硬さを有する錠剤を形成することによって調製した。
【0130】
C.美的コーティング
パンコーティング機を使用することにより、得られた2層を表14に記載のオパグロス(Opaglos)成分を使用する美的コーティングでコーティングし、最終コーティング錠を得た。
【0131】
【表14】
【0132】
得られた錠剤のインビトロ放出特性をU.S.P.タイプIII装置において、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中で測定した。放出速度は無傷の状態の錠剤について測定した。図10Aに示すように、放出制御層中にコンプリトール(Compritol)を含む錠剤中のオキシコドンの放出プロファイルは、類似の条件下における実施例2の無傷の状態の錠剤に関するpH6.8でのデータなどの、オキシコドン粒子上に腸溶性コーティングを有する錠剤と同等であった(図7A)。同様に、図10Bに示すアセトアミノフェンに関する放出速度は、実施例2のものと類似していた(図7B)。
【0133】
得られた錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプI装置において、酸(pH1.2)中で測定した。図11Aに示すように、コンプリトール(Compritol)を含む錠剤中のオキシコドンの放出プロファイルは、同じ条件下における実施例2の処方の破砕された錠剤(図8A)よりもオキシコドンの放出が大きいことを示した。しかし、オキシコドンの用量ダンピングは見られなかった。破砕された錠剤からのアセトアミノフェンの放出に関する実施例2(図8B)と比較して、アセトアミノフェンは、コンプリトール(Compritol)を含有する破砕された錠剤からは、さほど速く放出されなかった(図11B)。
【0134】
実施例5−例示的な放出制御メチルフェニデート製剤
この実施例は、12時間放出制御2層製剤中にメチルフェニデートを含有する錠剤の製造および試験について記載する。この錠剤はコーティングされていないが、美的または機能性(腸溶性などの)コーティングが塗布されてもよい。徐放層内には高吸収性材料が配置されている。錠剤の処方を表15に記載し、製剤の各構成成分の製造をこの実施例の次の項に記載する。
【0135】
【表15】
【0136】
A.メチルフェニデート微粒子の製造
表16に記載の組成を有するメチルフェニデートの微粒子を、押出・微小球形化プロセスを使用して製剤化した。
【0137】
【表16】
【0138】
メチルフェニデート塩酸塩とMCC アビセル(Avicel) PH 101を混合機内で3分間、低剪断条件で混合した。次いで、乾燥ブレンドを同じ混合機内で撹拌しながら、押出に適した均質な湿塊が得られるまで徐々に水を加えることにより濡らした。次いで、直径0.6mmの穴と固定押出間隙を有するドームダイを備えたLaboratory Multigranulator extruder model MG-55(LCI,Inc.(NC,USA)製)を使用して、その湿塊を一定速度(45rpm)で押し出した。次いで、Marumerizer Model QJ-230T(LCI,Inc.(NC,USA)製)を使用して、押出物を一定速度(1800rpm)で球形化した。含水量が約2%に達するまで湿潤微粒子を流動層(Glatt,GPGC-1)内で45℃で乾燥させた。次いで、得られた微粒子を流動層コーティングにより、破砕され難いが腸溶性コーティングではないフィルムであるオイドラギット(Eudragit) RS30D(登録商標)を含有するコーティング溶液を使用してコーティングした。
【0139】
B.2層の製造
メチルフェニデート微粒子(即時放出性)を含有する第1の層(即時放出層)、およびメチルフェニデート微粒子(放出制御)を含有する第2の層(徐放層)の組成を表15に示す。2層は、各層の構成成分を混合した後、打錠機を使用して材料を圧縮成形し、約250Nの硬さを有する錠剤を形成することによって調製した。
【0140】
4ロットの錠剤のメチルフェニデートのインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプII装置において、酸性にした水(pH3.5)中で評価した。無傷の状態の錠剤について放出速度を測定した。図12に示すように、用量ダンピングは見られなかった。最初の1時間において約15%のメチルフェニデートが放出し、12時間までメチルフェニデートの準ゼロ次(quasi-zero order)の放出速度が続いた。
【0141】
実施例6−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、オキシコドンHCl(20mg)とアセトアミノフェン(650mg)を含有する2層錠の調製について説明する。一方の層はアセトアミノフェンを含有する即時放出層であり、他方の層はオキシコドンHCl微粒子とアセトアミノフェンを含む徐放層である。この実施例では、即時放出層に高吸収性材料が配置されている。
【0142】
完全な錠剤の処方を表17に記載する。
【0143】
【表17】
【0144】
A.即時放出層の製造
コンパップ(COMPAP)(登録商標)と表18に記載の即時放出層の成分をVブレンダー内でブレンドし、後の錠剤調製段階のために取っておいた。
【0145】
【表18】
【0146】
B.オキシコドンHCl微粒子の製造
表19に記載の最初の4つの成分(オキシコドンHClを含む)の湿塊を押出し、球形化し、乾燥させ、篩い分けしてコーティングされていない微粒子を得た。次いで、その微粒子を、オイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクのポリマー溶液でコーティングした後、オイドラギット(Eudragit) L30D-55、クエン酸トリエチルおよびタルクのポリマー溶液でコーティングした。次いで、コーティングされた微粒子をコロイド状二酸化ケイ素と混合し、40℃のオーブンで18時間硬化させた。
【0147】
【表19】
【0148】
C.徐放層の製造
オキシコドンHCl微粒子および表20に記載の徐放層の成分をVブレンダー内でブレンドした。
【0149】
【表20】
【0150】
D.錠剤の製造
ブレンドされた即時放出層とブレンドされた徐放層をロータリー式2層錠剤用Picolla 11−ステーションプレスで圧縮成形し、カプレット形の錠剤を得た。得られた錠剤の特徴を表21に要約する。
【0151】
【表21】
【0152】
得られたコーティングされていない錠剤のインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプIII装置において、20dpmで、250mLのリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で測定した。3バッチの無傷の状態の錠剤について12時間、放出速度を測定した。図13Aおよび図13Bに示すように、オキシコドンHClおよびアセトアミノフェンの放出プロファイルは、それぞれ、3つのサンプル全体で実質的に同じであった。
【0153】
図14Aに示すように、破砕されたコーティングされていない錠剤からのオキシコドンHClのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプI装置において、リン酸カリウム水溶液(pH1.2、6.8および10)中、水中、および40%エタノール中で測定した。様々な媒体中に10%未満のオキシコドンHClが放出された。図14Bに示すように、破砕されたコーティングされていない錠剤からのアセトアミノフェンのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプI装置において、リン酸カリウム水溶液(pH1.2、6.8および10)中、水中、および40%エタノール中で測定した。水溶液(pH1.2)中には1時間で50%未満のアセトアミノフェンが放出され、他の媒体中には1時間で20%未満のアセトアミノフェンが放出された。
【0154】
完全な錠剤と二分された錠剤(半錠)からのオキシコドンHClおよびアセトアミノフェンのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプIII装置において、20dpmで、250mLのリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で測定した。二分された錠剤(半錠)からのオキシコドンHClおよびアセトアミノフェンのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプIII装置において、40%エタノール中でも測定した。オキシコドンの放出に対する錠剤の二分化の影響を図15Aに示すが、図15Aは完全な錠剤と半錠の放出プロファイルを示している。アセトアミノフェンの放出に対する錠剤の二分化の影響を図15Bに示すが、図15Bは完全な錠剤と半錠の放出プロファイルを示している。半錠と完全な錠剤は、概して類似の放出特性を示した。40%エタノール中におけるオキシコドンとアセトアミノフェンの放出は、完全な錠剤からの方が二分された錠剤からよりも遅かった。
【0155】
破砕されたコーティングされていない錠剤の誤用防止特性を、水道水、40%エタノール、およびリン酸カリウム水溶液(pH1.2、6.8および10)中への簡単な抽出により調べた。結果を表22に記載する。全ての媒体中でオキシコドンの放出は十分制御されたが、緩衝液(pH1.2および6.8)ではアセトアミノフェンの放出の増加が見られた。
【0156】
【表22】
【0157】
実施例7−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、オキシコドンHCl(20mg)およびアセトアミノフェン(650mg)を含有する2層錠の調製について説明する。一方の層はアセトアミノフェンを含有する即時放出層であり、他方の層はオキシコドンHCl微粒子およびアセトアミノフェンを含有する徐放層である。徐放層には高吸収性材料が配置されている。錠剤の処方を表23に記載する。
【0158】
【表23】
【0159】
A.即時放出層の製造
表23に記載のコンパップ(COMPAP)(登録商標)と即時放出層の成分をVブレンダー内でブレンドし、後の錠剤調製段階のために取っておいた。
【0160】
B.徐放層の製造
実施例6の手順に従ってオキシコドンHCl微粒子を調製した。表23に記載の微粒子と徐放層の成分をVブレンダー内でブレンドした。
【0161】
C.錠剤の製造
ブレンドされた即時放出層とブレンドされた徐放層をロータリー式2層錠剤用Picolla 11−ステーションプレスで圧縮成形し、カプレット形の錠剤を得た。得られた錠剤の特徴を表24に要約する。
【0162】
【表24】
【0163】
得られた無傷の状態の2層錠のオキシコドンHClおよびアセトアミノフェンのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプIII装置において、酸媒体(pH1.2)中で1時間、続いてリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で11時間、測定した。結果を図16に要約するが、図16から、アセトアミノフェンの薬物放出の方がオキシコドンの放出より速いと理解されたい。
【0164】
得られた破砕された2層錠のオキシコドンHClおよびアセトアミノフェンのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプI装置において、900mLの脱イオン水中で、100rpmで60時間測定した。結果を図17に要約するが、図17から、オキシコドンの薬物放出の方がアセトアミノフェンの放出よりずっと遅いと理解されたい。
【0165】
参照による援用
本明細書で参照する各特許および科学文献の開示内容全体が、あらゆる目的で、参照により援用される。
【0166】
同等物
本発明をその好ましい実施態様により説明してきたが、本発明は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その広範な態様を包含することを意図していると理解されたい。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、同時係属中の米国仮特許出願第61/138,092号(2008年12月16日出願)の利益および優先権を主張し、参照によりその内容全体が本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、少なくとも1種類の薬学的活性物質を送達するための放出制御製剤に関し、より具体的には、本発明は、二分または破砕されて様々な媒体に曝された場合でも、少なくとも1種類の薬学的活性物質の放出制御特性を維持する、誤用を防止する放出制御製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
薬物送達の分野では著しい開発が進められてきたが、乱用されやすい薬物(例えば、オピオイド鎮痛薬)に対する懸念が依然としてある。更に、このような薬物を故意にまたは偶発的に誤用する正当な患者の数は深刻な医学的問題を表している。特に、放出制御製剤を使用する場合、投薬頻度の減少を促すために放出制御製剤には通常比較的多量の薬学的活性物質が組み込まれているため、患者のリスクが高くなり得る。しかし、放出制御製剤により利便性の増大がもたらされ、有害事象プロファイルが改善されることも多いが、何らかの方法で、例えば、錠剤を偶発的に噛み砕く、もしくはすりつぶす、もしくは他に損傷を与える、またはアルコールと一緒に摂取することなどにより放出制御機構が損なわれた場合、深刻な問題が生じ得る。このような状況では、薬学的活性物質が即時放出された後、薬学的活性物質が全1日量まで迅速に吸収されると、場合によっては致命的な結果が起こり得る。
【0004】
特定の薬物の乱用および誤用に対処するため、例えば、抑止(deterrent)製剤、アゴニスト/アンタゴニスト製剤、およびプロドラッグ製剤の使用を含む、多くの手法が試みられてきたが、これらの手法の商業化は今日まであまり行われていない。
【0005】
抑止製剤は、カプサイシン、催吐剤、またはナイアシンなどの有害物質を含有する製剤である。その目的は、摂取前に製剤が破砕されるか、または他の方法で損傷を受けた場合、痛みを伴う反応または他の不快な反応を与えることにより故意の乱用を防止することである。例えば、米国特許出願公開第2003/0068370号、同第2003/0068392号および同第2007/0020188号は、オピオイド鎮痛薬を含有する投薬量に、嫌悪薬剤(例えば、苦味剤、刺激物または催吐剤)を組み込むことを記載している。嫌悪薬剤は、乱用者が剤形に不正に手を加え、その後、手を加えた剤形を吸入または注入する意欲をそぐ。このような製剤では、錠剤に偶発的に損傷を与えてしまう正当な使用者に対するこのような添加剤の潜在的リスクに対して対処がなされていない。
【0006】
アンタゴニスト製剤は、治療薬の阻害剤(アンタゴニスト)を含有する。製剤が破砕された場合、阻害剤は、薬学的活性物質の作用を妨げるか、またはそれと逆の作用をし、それによって、医療外の用途での効果を低減するか、またはなくすことを意図したものである。例えば、ペンタゾシンの非経口的乱用を抑止するため、ナロキソンがペンタゾシンと組み合わせられている(Talwin(登録商標)、Sanofi-Winthropにより販売)。ナロキソンは、オピオイド受容体へのペンタゾシンの結合を遮断することを意図したものである。同様に、ナロキソンは、ブプレノルフィン含有製剤(Temgesic(登録商標)、Reckitt & Colmanにより販売)に添加されてきた。さらに、オピオイド受容体アンタゴニストであるナルトレキソンは、モルヒネ含有製剤(Embeda(登録商標)、King Pharmaceuticals,Inc.により販売)に添加されてきた。しかし、阻害剤は消化管を普通に通過する間に放出され得るため、このような手法では正当な患者が不要な薬物に暴露され、場合によっては効果的な治療を妨げ得ると理解される。これらの製剤は、効果的な阻害を達成できる(即ち、意図された受容者で効果的な阻害が誘発されるように、アゴニストとアンタゴニストの生物学的利用能、薬物動態および相対的親和性を適合させることができる)ようになっている。米国特許第3,773,955号および同第3,966,940号は、例えば、オピオイドアゴニストとアンタゴニストの組み合わせを含有する製剤を記載しており、その中で、アンタゴニストは、混合物が経口投与された場合には治療効果を妨げないが、乱用者により破砕された形態で非経口投与された場合には、無痛覚、多幸感、または身体的依存を妨げる。
【0007】
プロドラッグ製剤は、生体内での代謝により、例えば、消化管に見られる酵素によってプロドラックから活性薬物に変化することに依るものである。これらの製剤は薬物の静脈内投与または経鼻投与による多幸感を防止することができるが、それらは経口投与後に起こり得る中毒(例えば、アルコール中毒)に関連する問題に対処していない。
【0008】
既存の技術にはこのような制限があるため、薬学的活性物質を含有する製剤の意図的な乱用および偶発的な誤用のリスクを低減できる、誤用を予防する放出制御製剤が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、一部には、組成物が、切断された(例えば、二分された)または破砕された後でも製剤内に配置された少なくとも1種類の薬学的活性物質の放出制御を可能にする経口剤形である、薬物送達プラットフォームを形成することができるという知見に基づく。本プラットフォームは、誤用(故意または偶発的のいずれかであるが、どちらの場合も害を引き起こす)、乱用され得る、および/または治療指数が狭い薬学的活性物質の投与に特に有用である。有害な誤用または乱用が起こり得る薬剤には、例えば、鎮痛薬(例えば、オピオイド鎮痛薬)、催眠剤、抗不安剤、中枢神経系(CNS)興奮剤および呼吸促進剤が含まれる。治療指数が狭い薬物の例には、テオフィリン、炭酸リチウム、およびジゴキシンが含まれる。
【0010】
一態様では、本発明は、少なくとも1種類の薬学的活性物質を経口投与するための固体組成物(経口剤形)を提供する。本組成物は、(a)中に少なくとも1種類の薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団を含む第1の層;(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層;および(c)第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方に配置された高吸収性材料を含む。別の態様では、本発明は、少なくとも1種類の薬学的活性物質を経口投与するための固体組成物(経口剤形)を提供する。本組成物は、(a)高吸収性材料と、中に少なくとも1種類の薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団とを含む第1の層;および(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層を含む。
【0011】
前述の各態様では、組成物が無傷の状態で(intact)水性環境に曝された場合、第2の層に配置された薬学的活性物質は、最初に、第1の層に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出される。少なくとも1種類の薬学的活性物質は、長時間(例えば、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、または少なくとも24時間)にわたって無傷の状態の製剤から放出される。特定の実施形態では、少なくとも1種類の薬学的活性物質の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは70%、さらにより好ましくは80%が無傷の状態の製剤から実質的に即時に(例えば、30分以内に)放出されることが防止されている。
【0012】
さらに、組成物が破砕されて水性環境に曝された場合、高吸水性材料が膨潤して、微粒子を捕捉する硬質のハードゲルを形成し、微粒子は実質的に無傷の状態を維持する。そのため、微粒子自体によって付与される放出制御特性に加えて、ハードゲルは、その組成に応じて、中に配置された少なくとも1種類の薬学的活性物質の放出を制御することができる。誤用の仕方に応じて、本発明の組成物は誤用者にとって不快な経験をもたらし、薬学的活性物質の抽出を困難にし、および/または用量ダンピングを防止する。例えば、破砕されて鼻孔から吸い込まれた場合、高吸収性材料は、不快な経験をもたらすハードゲルを形成する。さらに、破砕されて抽出媒体に曝された場合、高吸収性材料は抽出媒体を全部吸収することができる。得られるゲルは、注射針を通して押し出すことが困難となり得る。さらに、破砕されて投与された場合、微粒子、または微粒子とゲルの組み合わせによって、薬学的活性物質の放出制御が維持され、用量ダンピングの可能性が低くなるか、またはなくなる。特定の実施形態では、少なくとも1種類の薬学的活性物質の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは70%、さらにより好ましくは80%が製剤から実質的に即時に(例えば、30分以内に)放出されることが防止されている。そのため、本発明の組成物は、製剤が破壊または破砕された場合でも、様々なpHの水、アルコール(例えば、エタノール)、および別の媒体中における用量ダンピングを防止する。
【0013】
第1の層に存在する薬学的活性物質と第2の層に存在する薬学的活性物質は、同じであってもよい。あるいは、それらは異なってもよく、第1の薬学的活性物質が第1の層の微粒子中に存在し、第2の異なる薬学的活性物質が第2の層に存在するようになっていてもよい。さらに、第1の層は、別の薬学的活性物質をさらに含んでもよく、該物質は遊離した形態であっても、または微粒子内に存在してもよい。さらに、第2の層に配置される薬学的活性物質は、任意選択により放出制御微粒子の第2の集団に存在してもよい。
【0014】
本組成物は多層であり、2つ、3つ、4つまたはそれより多くの異なる層を含んでもよい。一実施形態では、第1の層は第2の層に隣接している。このようなものとして、2つの層が2層(bilayer)組成物を形成してもよい。別の実施形態では、本組成物は第3の層を含み、該第3の層は、第1の層に隣接していても、第2の層に隣接していてもよく、または第1の層と第2の層の間に配置される。
【0015】
第2の層に存在する少なくとも1種類の薬学的活性物質は、最初に(例えば、水性環境に曝された後、最初の15分以内にまたは最初の30分以内に)、第1の層の薬学的活性物質より速い速度で放出される。これは、多くの手法で達成することができる。例えば、第1の層の薬学的活性物質は放出制御微粒子中に配置されるが、それに対して第2の層の薬学的活性物質は放出制御微粒子内に存在してもいなければ、他の方法で放出制御微粒子と結合してもいない。さらに、第1の層は第1の放出制御マトリックスを含んでもよく、それに対して第2の層は即時放出マトリックスを含んでもよい。あるいは、第1の層が第1の放出制御マトリックスを含んでもよく、それに対して第2の層が第2の異なる放出制御マトリックスを含み、この場合、第1の放出制御マトリックスは、第2の放出制御マトリックスよりも遅い放出速度(release kinetics)を有する。個々の剤形は、送達される1種類または複数種類の薬学的活性物質、および各薬学的活性物質に望ましい放出プロファイルに応じて変わるであろうことを理解されたい。
【0016】
本発明の実施には、様々な高吸収性材料を使用することができる。高吸収性材料は高分子であってもよく、例えば、多糖類、多糖類誘導体、および合成ポリマーを含み得る。例示的なポリマーには、例えば、デンプングラフト共重合体、架橋(cross-linked)カルボキシメチルセルロース誘導体、架橋ヒドロキシプロピルジスターチホスフェート、加水分解(hydrolyzed)デンプンアクリロニトリルグラフト共重合体、および、中和(neutralized)デンプンアクリル酸グラフト共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ポリビニル酢酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルスルホン酸、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カラゲーナン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアミノプロパノールビニルエーテル、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリグルタミン、ポリカルボフィル、ポリカルボフィルカルシウム、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、およびこれらの混合物が含まれる。好ましい実施形態では、高吸収性材料はポリカルボフィルである。
【0017】
高吸収性材料は、高吸収性材料が存在する層(例えば、第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方、または任意選択の第3の層)の約1%〜約70%(w/w)、または、高吸収性材料が存在する層(例えば、第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方、または任意選択の第3の層)の約4%〜約50%(w/w)を構成してもよい。
【0018】
前述のように、第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方は、さらに放出制御剤を含んでもよい。例示的な放出制御剤には、例えば、アセテートサクシネート、ポリビニル誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギネート、ガム類(例えば、キサンタンガム)、ポリメタクリレート、メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体、ポリメチルビニルエーテルと無水マロン酸の共重合体、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸またはそのエチル−、イソプロピル−、n−ブチルエステルとの共重合体、ゼイン、およびこれらのいずれかの混合物が含まれる。さらに、第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方は、さらに、希釈剤(diluent)、滑沢剤、流動化剤、またはこれらの混合物を含んでもよい。第2の層は、さらに崩壊剤を含んでもよい。無傷の状態の組成物が水性環境に曝された場合、第1の層の崩壊剤が第1の層の崩壊を引き起こし、それによって高吸収性材料が早計に膨潤してハードゲルを形成し得るため、崩壊剤は、好ましくは、第1の層から除外される。
【0019】
本組成物は、さらに、第1の層と第2の層を封入するコーティングを含んでもよいと理解されたい。コーティングは非機能性(美的コーティング)であってもよく、または機能性コーティングであってもよい。例示的な機能性コーティングには、放出制御コーティング(例えば、腸溶性コーティングなどの遅延放出コーティング)、防湿層(moisture barrier)、または味マスキングフィルムが含まれる。放出制御コーティングは放出制御剤を含んでもよく、および/または、放出制御フィルムコーティングであってもよい。
【0020】
第1の層に存在し、任意選択により第2の層にも存在する放出制御微粒子は、中に配置された薬学的活性物質の放出を制御する放出制御剤(例えば、コントラミド(CONTRAMID)(登録商標)の商標名でLabopharm,Inc.,(Laval,Canada)から販売されている架橋高アミロースデンプン)、および/または放出制御コーティングまたはフィルムを含んでもよい。微粒子の平均直径は、約1μm〜約1000μmの範囲である。微粒子は、サイズが小さく曲率半径が大きいため、製剤が例えば通常の錠剤破砕機でまたはスプーン間でまたは乳棒と乳鉢で破砕される場合でも、破砕され難い。一実施形態では、微粒子の平均直径は、約200μm〜約900μm、または約300μm〜約800μmの範囲である。特定の状況下では微粒子の平均直径は約700μmである。別の実施形態では、放出制御微粒子の平均直径は、約1μm〜約400μm、約5μm〜約300μm、または約10μm〜約200μmの範囲である。微粒子の平均直径は、約100μmであってもよい。第1の層、および任意選択により第2の層にも含まれる放出制御微粒子は、1種類以上の放出制御フィルムでコーティングされてもよい。
【0021】
本発明の組成物は特定の性質を有する。例えば、特定の実施形態では、組成物を破砕して、U.S.P.タイプI装置において、100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの水に曝した場合、組成物が破砕され破壊される前に初めから組成物中に存在する薬学的活性物質の約50重量%未満、または任意選択により約25重量%未満が水中に放出される。代わりに、またはさらに、本組成物を破砕して、U.S.P.タイプ1装置内で、100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの60%(v/v)エタノール含有水溶液に曝した場合、組成物が破壊される前に初めから組成物中に存在する薬学的活性物質の約50重量%未満、または任意選択により約25重量%未満が、水溶液中に放出される。
【0022】
本発明の経口剤形は、カプセル、カプレット、丸剤、または圧縮錠剤の形態であってもよいと理解されたい。
【0023】
別の態様では、本発明は、哺乳動物、例えば、ヒトへの薬学的活性物質の放出を制御する方法を提供する。本方法は、薬学的活性物質を必要とする個体に、本明細書に記載の放出制御組成物の1つ以上を経口投与することを含む。
【0024】
本発明の前述のおよび他の目的、特徴、および利点は、添付の図面に示すような以下の好ましい実施形態の説明から明らかになるであろう。対応する図面において、同様の参照符号を有する要素は、共通する特徴を識別するものである。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、それよりもむしろ本発明の原理を例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】例示的な誤用を予防する放出制御組成物の概略図である。図1Aおよび図1Bでは、組成物はコーティングされていない2層であり、図1Cおよび図1Dでは、組成物はコーティングされた2層である。図1Aおよび図1Cでは、薬学的活性物質を含有する放出制御微粒子が第1の層(図1Aおよび図1C)内に配置されており、同じであっても異なってもよい薬学的活性物質が2層組成物の第2の層内に配置されている。図1Bおよび図1Dでは、2層組成物の第2の層は薬学的活性物質を含有する微粒子も含み、この薬学的活性物質は第1の層内に配置された微粒子中の薬学的活性物質と同じであっても異なってもよい。
【図2】コーティングが機能性コーティングであること、例えば、放出制御フィルム、放出制御剤、および放出制御微粒子のうちの1つ以上によって達成可能な放出制御コーティングであることを除き、図1Cおよび図1Dに示されているものと類似の例示的な誤用を予防する放出制御製剤の概略図である。図2Aでは、薬学的活性物質を含有する放出制御微粒子は第1の層内に配置されており、図2Bでは、放出制御微粒子は第1の層と第2の層の両方に存在する。
【図3】U.S.P.タイプIII装置での無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図3A)およびアセトアミノフェン(図3B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図3Aは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で12時間(−△−)、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で12時間(−●−)、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間(−■−)、および40%エタノール中(−▼−)におけるオキシコドンHClの放出プロファイルを示す。図3Bは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で12時間(−△−)、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で12時間(−●−)、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間(−■−)、および40%エタノール中(−▼−)におけるアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図4】U.S.P.タイプI装置でのリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中における3ロットの本発明の例示的放出制御製剤の半錠(図4A)および4分の1錠(図4B)からのオキシコドンHClのインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図5】U.S.P.タイプI装置でのリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中における、3ロットの本発明の例示的放出制御製剤の半錠(図5A)および4分の1錠(図5B)からのアセトアミノフェンのインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図6】U.S.P.タイプI装置での破砕された本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図6A)およびアセトアミノフェン(図6B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図6Aは、酸性にしたリン酸カリウム水溶液(pH3.0)(−□−)、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−▲−)、塩基性にしたリン酸カリウム水溶液(pH10.0)(−◇−)、水(−●−)、20%エタノール(−▽−)、および40%エタノール(−◆−)中におけるオキシコドンHClの放出プロファイルを示す。図6Bは、酸性にしたリン酸カリウム水溶液(pH3.0)(−□−)、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−▲−)、塩基性にしたリン酸カリウム水溶液(pH10.0)(−◇−)、および水(−●−)中におけるアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図7】U.S.P.タイプIII装置での無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図7A)およびアセトアミノフェン(図7B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図7Aは、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で12時間(−●−)、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で12時間(−△−)、および0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間(−■−)におけるオキシコドンHClの放出プロファイルを示す。図7Bは、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で12時間(−●−)、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で12時間(−△−)、および0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間(−■−)におけるアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図8】U.S.P.タイプI装置での破砕された本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図8A)およびアセトアミノフェン(図8B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図8Aは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−△−)、および0.1Mの塩酸(pH1.2)(−●−)中におけるオキシコドンHClの放出プロファイルを示す。図8Bは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−△−)、および0.1Mの塩酸(pH1.2)(−●−)中におけるアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図9】オキシコドンHCl(20mg)/アセトアミノフェン(650mg)を含有するコーティングされた2層の実施形態のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフであり、オキシコドンの放出を、U.S.P.タイプIII装置で100rpmで12時間、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間、測定した。
【図10】U.S.P.タイプIII装置での無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図10A)およびアセトアミノフェン(図10B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図10Aは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中におけるオキシコドンHCl(−●−)の放出プロファイルを示す。図10Bは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中におけるアセトアミノフェン(−●−)の放出プロファイルを示す。
【図11】U.S.P.タイプI装置での破砕された本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図11A)およびアセトアミノフェン(図11B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図11Aは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−●−)中におけるオキシコドンHClの放出プロファイルを示し、図11Bは、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)(−●−)中におけるアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図12】U.S.P.タイプII装置での酸性にした水(pH3.5)中における4種類の無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのメチルフェニデートのインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図13】U.S.P.タイプIII装置でのリン酸塩緩衝液(pH6.8)中における3種類の無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図13A)およびアセトアミノフェン(図13B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図14】U.S.P.タイプI装置でリン酸カリウム緩衝液(pH1.2(−●−)、pH6.8(−□−)およびpH10(−▼−))中、水(−▲−)中、および40%エタノール(−◆−)中で測定した破砕された本発明のコーティングされていない例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図14A)およびアセトアミノフェン(図14B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図15】U.S.P.タイプIII装置で測定した完全なおよび二分された本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(図15A)およびアセトアミノフェン(図15B)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。図15Aは、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中における完全な錠剤(−■−)、40%エタノール中における完全な錠剤(−◆−)、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中における二分された錠剤(−●−)、および40%エタノール中における二分された錠剤(−△−)中のオキシコドンHClの放出プロファイルを示す。図15Bは、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中における完全な錠剤(−■−)、40%エタノール中における完全な錠剤(−◆−)、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中における二分された錠剤(−●−)、および40%エタノール中における二分された錠剤(−△−)中のアセトアミノフェンの放出プロファイルを示す。
【図16】U.S.P.タイプIII装置で酸性媒体(pH1.2)中で1時間、続いてリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で11時間測定した無傷の状態の本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(−●−)およびアセトアミノフェン(−○−)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【図17】U.S.P.タイプI装置で脱イオン水中で測定した破砕された本発明の例示的放出制御製剤からのオキシコドンHCl(−●−)およびアセトアミノフェン(−○−)のインビトロ溶解プロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、一部には、医薬組成物を他の放出制御組成物よりも意図的な乱用や偶発的な誤用が起こりにくくすると共に、有害な添加剤、有効成分アンタゴニスト、およびプロドラッグ等を含まない放出制御プラットフォームを製造することが可能であるという知見に基づく。錠剤を飲み込みやすくするために患者または介護者が錠剤を半分に割る場合に起こり得るように二分された(2つに割られた)場合でも、本製剤は放出制御特性を維持する。破砕された場合でも、組成物内に含有される微粒子が実質的に無傷の状態を維持し、放出制御特性を保つため、本発明の組成物は用量ダンピングを防止する。破砕された製剤は、ハードゲルの形成のため注射器で容易に静脈内投与することができず、破砕されて経鼻投与された場合、それらは不快な感覚を引き起こす臭いがする。
【0027】
一態様では、本発明は、(a)中に薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団を含む第1の層;(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層;および(c)第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方に配置された高吸収性材料(例えば、ポリカルボフィル)を含む放出制御多層組成物を提供する。別の態様では、本発明は、(a)高吸収性材料(例えば、ポリカルボフィル)と、中に少なくとも1種類の薬学的活性物質が配置されている複数の放出制御微粒子とを含む第1の層を含む放出制御多層組成物を提供する。第2の層は、第1の層の微粒子中に存在する薬学的活性物質と同じであっても異なってもよい薬学的活性物質を含む。本発明の各態様では、第1の層と第2の層を非機能性コーティングまたは機能性コーティングのいずれかで封入してもよい。組成物が破砕された場合でも、微粒子は実質的に無傷の状態を維持し、中に配置された薬学的活性物質の放出を制御し、用量ダンピングを防止する。本明細書で使用する場合、「用量ダンピング(dose dumping)」の用語は、製剤中の薬学的活性物質の少なくとも80%が30分以内に放出される(製剤を即時放出製剤と特徴付けるのに使用され得る規格)、薬学的活性物質の非制御放出を意味するものと理解される。
【0028】
図1および図2は、本発明の経口投与製剤の特定の実施形態を示す。各例示的製剤は、第1の層20と第2の層30を有する2層組成物10を含有する。各製剤中、第1の層は、薬学的活性物質を含む複数の放出制御微粒子40を含有する。各製剤の第2の層は、第1の層の微粒子中に存在する薬学的活性物質と同じであっても異なってもよい第2の薬学的活性物質50を含有する。第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方のいずれかが、高吸収性材料を含有してもよい。図1Bおよび図1Dでは、第2の層も、第1の層10に配置された微粒子40と同じであっても異なってもよい放出制御微粒子40’を含有する。図1Aおよび図1Bに示す実施形態では、2層はコーティングされていないが、図1Cおよび図1Dに示す実施形態では、2層はコーティング、例えば、非機能性(美的)コーティングに封入されている。図2Aおよび図2Bに示す実施形態は、コーティング60が機能性コーティングであること以外、図1Cおよび図1Dに示すものと類似している。図示するように、コーティングは、放出制御フィルムによって画定される放出制御コーティングであるか、または放出制御剤および/または放出制御微粒子40”(放出制御微粒子40”は、第1の層20に配置された放出制御微粒子40または第2の層30に配置された任意選択の放出制御微粒子40’と同じであっても異なってもよい)を含有するコーティングである。図1および図2に示す各実施形態では、微粒子は、錠剤が無傷の状態であるか、または損傷している(例えば、二分または破砕することにより)かにかかわらず、有効成分の放出を制御する。さらに、各図に示されている原理は、3層以上を含む多層剤形中に存在し得ると理解されたい。
【0029】
一実施形態では、第1の層20は放出制御層であり、この中で微粒子40は長時間にわたり製剤からの薬学的活性物質の放出制御を可能にする。層20は、放出制御マトリックスを含むまたは画定することもできる。層20、層30、または層20と30の両方に配置されてもよい高吸収性材料は、薬学的活性物質の放出速度を遅くすることもでき、水性媒体と接触した時の膨潤が最小限になる。しかし、組成物が破砕された場合、露出する高吸収性材料の表面積が大きくなり、高吸収性材料は、水性溶媒と接触した時、迅速に膨潤してハードゲルを形成する。
【0030】
一実施形態では、第2の層30は、第2の薬学的活性物質50の迅速な崩壊と放出を可能にする即時放出層(immediate release layer)である。薬剤50は、薬剤40と同じであっても異なってもよい。第2の層は微粒子40’を含有してもよく、微粒子40’は、その中に配置された薬学的活性物質の放出を、薬剤50の放出と比較して遅延させる。別の実施形態では、組成物10は、微粒子40”を含有するコーティング60を有してもよい。
【0031】
通常の使用では、圧縮多層組成物10は、第1の層20、第2の層30、または第1の層20と第2の層30の両方にある高吸収性材料が水性溶媒を吸収することが防止されるように、例えば、約100N〜約500Nの範囲の硬さを有する。そのため、組成物は、水性溶媒と合わせた場合でも、高吸収性材料の大部分が膨潤して多層組成物の完全性を損なうことが防止されるように、十分な完全性を維持する。さらに、得られる硬さによって、組成物が破砕し難くなる。水性溶媒と合わせられた場合、溶媒は、第1の層20と第2の層30の両方に徐々に浸透し、第2の層30に存在する薬学的活性物質は、最初に、第1の層20の微粒子中に存在する薬学的活性物質よりも速く放出される。本明細書で使用する場合、「最初に放出される」の用語は、組成物が水性溶媒に曝された後、15分以内または30分以内に少なくとも1種類の薬学的活性物質が放出されることを指す。しかし、破砕されて水性溶媒に曝された場合、高吸収性材料が膨潤し、微粒子を封入する硬質のゲルを形成する。微粒子は、中に配置された薬学的活性物質の放出を制御するための主要な機構であると理解されたい。しかし、微粒子によって付与される放出制御特性に加えて、微粒子の周囲に形成する硬質のハードゲルも組成物の他の成分と共に放出制御特性を付与し得る。
【0032】
1種類またはそれより多くの(例えば、2種類、3種類、4種類またはそれより多くの)薬学的活性物質を送達するために本明細書に記載の組成物を使用できることが考えられる。図1および図2に示す全ての実施形態に関して、例えば、第1の層20の微粒子40が、第2の層30に存在する薬学的活性物質50と同じ薬学的活性物質を含有し得ると理解されたい。そのため、このような2層組成物は、所望の放出プロファイル(例えば、第2の層30から最初に迅速に放出された後、第1の層20から後でそれよりゆっくりと放出される)の形成を可能にする。あるいは、第1の層の微粒子40中に存在する薬学的活性物質は、第2の層の遊離した薬学的活性物質50と異なってもよい。例えば、第1の層の微粒子40中の薬学的活性物質はオキシコドンであってもよく、それに対して第2の層30の遊離した薬学的活性物質50はアセトアミノフェンであってもよい。さらに、第2の層の同じ薬学的活性物質(例えば、アセトアミノフェン)が第1の層に遊離した(即ち、微粒子中に含まれてもいなければ、微粒子と結合してもいない)形態で存在してもよいと理解されたい。このような例を実施例1および2に示すが、第1の層の微粒子はオキシコドンを含有し、アセトアミノフェンは第1の層と第2の層の両方に遊離した形態で存在する。
【0033】
さらに、図1および図2に示す2層では、第1の層20が放出制御マトリックスを含有または画定してもよく、それに対して第2の層30が即時放出マトリックスを画定してもよいことを企図している。あるいは、第1の層20と第2の層30が両方とも2つの異なる放出制御マトリックスを含有または画定してもよい。さらに、組成物は、非機能性もしくは美的コーティング(図1Cおよび1Dを参照)、または機能性コーティング(図2Aおよび図2Bを参照)をさらに含有してもよい。しかし、どのような1種類または複数種類の薬学的活性物質が放出されるか、および、各薬剤に対してどのような放出プロファイルが望ましいかに応じて、組成は変わり得ると理解されたい。
【0034】
無傷の状態の組成物の場合、水性環境(例えば、少なくとも10%(v/v)の水を含有する溶液)に曝されると、第2の層に配置された薬学的活性物質は、最初に(例えば、水性溶媒に曝された後、15分以内または30分以内に)、第1の層に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出される。少なくとも1種類の薬学的活性物質が、無傷の状態の製剤から長時間(例えば、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、または少なくとも24時間)にわたって放出される。特定の実施形態では、抽出媒体、例えば、水、pH1.2〜6.8の範囲の水溶液、および様々なエタノール媒体(例えば、20%エタノール含有水、40%エタノール含有水、60%エタノール含有水、または80%エタノール含有水、および100%エタノール)に曝された場合、少なくとも1種類の薬学的活性物質の少なくとも50%、好ましくは60%、更に好ましくは70%、さらにより好ましくは80%が無傷の状態の組成物から実質的に即時に(例えば、30分以内に)放出されることが防止されている。
【0035】
患者が錠剤を飲み込みやすくするために錠剤を半分に割る場合に起こり得るように、本発明の経口剤形が二分、例えば、軸方向に二分された場合、第1の層および/または第2の層は損傷を受け、より多くの高吸収性材料が露出する。しかし、第1の層の硬さのため、少量の高吸収性材料しか膨潤せず、二分された錠剤の得られる部分はその完全性を維持する。そのため、本発明の組成物の二分された部分は、薬学的活性物質の放出特性が、無傷の状態の組成物と実質的に同じである。これらの原理を、例えば、実施例1および図3〜5に示すが、高吸収性材料は第1の層に配置されている。さらに、二分された場合でも、本発明の製剤は、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、または少なくとも24時間にわたる薬学的活性物質の放出を可能にする。特定の実施形態では、抽出媒体、例えば、水、pH1.2〜6.8の範囲の水溶液、および様々なエタノール媒体(例えば、20%エタノール含有水、40%エタノール含有水、60%エタノール含有水、または80%エタノール含有水、および100%エタノール)に曝された場合、少なくとも1種類の薬学的活性物質の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは70%、さらにより好ましくは80%が製剤から実質的に即時に(例えば、30分以内に)放出されることが防止されている。
【0036】
本発明の経口剤形が、破砕された(例えば、製剤を少なくとも10個またはそれ以上の小片に割る市販の丸剤破砕機を用いて)後、水性環境に曝された場合、高吸収性材料は迅速に(例えば、約30秒以内に)膨潤し、微小粒子を捕捉するハードゲルを形成する。一部にはそれらのサイズが小さい(曲率半径が大きい)ため、微小粒子は破砕プロセスに耐え、実質的に無傷の状態を維持する。破砕された組成物が鼻孔に吸い上げられ、鼻孔内でゲルの形成が起こった場合、ハードゲルは不快な経験をもたらす。このプロセスには、血流中への有効成分の吸収に必要な鼻汁が高吸収性材料に吸収され、この経路による中毒を防止するという利点がある。同様に、薬学的活性物質を抽出するために組成物が破砕されて水性環境に曝された場合、コアの高吸収性材料は抽出媒体を吸収することができるため、投与のための抽出媒体がほとんどまたは全く残らない。さらに、このプロセスで形成されるハードゲルは、注射針で吸い上げることも、押し出すこともできない。
【0037】
放出制御コーティングを有する組成物の場合、コーティングは破砕により損傷を受けることがある。しかし、微粒子は依然として薬学的活性物質の放出制御を可能にし、薬学的活性物質が製剤から実質的に即時に放出されることを防止し(即ち、微粒子は薬学的活性物質の放出を制御し)、ゲルが形成して微粒子を捕捉する。例えば、少なくとも1種類の薬学的活性物質の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは70%、さらにより好ましくは80%が製剤から実質的に即時に(例えば、30分以内に)放出されることが防止されている(実施例1で論じられる図6Aを参照)。そのため、本発明の組成物は、製剤が破壊または破砕された場合でも、水、20%エタノール、40%エタノール、および60%エタノール中での用量ダンピングを防止する。
【0038】
特定の実施形態では、本発明の組成物を破砕し、U.S.P.タイプI装置において、100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの水に曝した場合、組成物が破砕される前に初めから製剤中に存在する少なくとも1種類の薬学的活性物質の約50重量%未満、約45重量%未満、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、または約20重量%未満が水中に放出される。他の特定の実施形態では、本発明の製剤を破砕し、U.S.P.タイプI装置において、100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの60%(v/v)エタノール含有水溶液に曝した場合、組成物が破壊される前に初めから製剤中に存在する少なくとも1種類の薬学的活性物質の約50重量%未満、約45重量%未満、約40重量%未満、約35重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、または約20重量%未満が水溶液中に放出される。
【0039】
本発明の製剤の各構成成分について以下の項で論じる。
【0040】
A.多層構成成分に関する検討事項
多層は、2つ、3つ、4つまたはそれより多くの異なる層を含んでもよいと理解されたい。一実施形態では、多層は2層であり、第1の層と第2の層が互いに隣接している。別の実施形態では、組成物は第3の層を含んでもよく、第3の層は第1の層に隣接していても、第2の層に隣接していても、第1の層と第2の層の間に配置されていてもよい。
【0041】
第1の層は、中に少なくとも1種類の薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団を含む。第2の層には、第1の層に配置された微粒子中の薬学的活性物質と同じであっても異なってもよい薬学的活性物質が配置されている。第1の層、第2の層、第1の層と第2の層の両方、または任意選択の第3の層は、高吸収性材料を含んでもよい。第2の層に配置された薬学的活性物質は、最初に、第1の層の微粒子内に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出される。これは、少なくとも1種類の薬学的活性物質を第1の層で微粒子中に含有するが第2の層では含有しないことを含む、多くの様々な方法で達成することができる。さらに、第1の層は放出制御剤を含んでもまたは放出制御マトリックスを画定してもよく、それに対して第2の層は即時放出マトリックスを画定してもよい。あるいは、第1の層と第2の層が両方とも放出制御剤を含んでもまたは放出制御マトリックスを画定してもよいが、薬学的活性物質が最初に第2の層から第1の層より速い速度で放出されるように、それぞれの組成を選択してもよい。
【0042】
本明細書で使用される「高吸収性材料」の用語は、溶媒を吸収し、例えば、1gの材料が少なくとも30mL、より好ましくは50mLの溶媒を吸収し、溶媒を吸収すると膨潤して、水和ゲル(ヒドロゲル)を形成する任意の材料を意味するものと理解される。一般に、有用な高吸収性材料は、水性媒体(例えば、水)に曝された場合、その自重に基づいて10〜15倍超過の、例えば少なくとも30倍より多くの、より好ましくは50倍より多くの水を吸収する。特定の実施形態では、高吸収性材料はポリマーである。
【0043】
高吸収性材料は、多糖類誘導体または架橋高分子電解質から製造されてもよい。多糖類高吸収剤には、デンプングラフト共重合体、架橋カルボキシメチルセルロース誘導体、加水分解デンプンアクリロニトリルグラフト共重合体、および中和デンプンアクリル酸グラフト共重合体が含まれるが、これらに限定されるものではない。架橋高分子電解質は、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、亜硫酸基、リン酸基、アミン基、イミン基、アミド基、第四級アンモニウム基、またはこれらの混合物などの官能基を含有してもよい。高分子電解質ポリマーの例には、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ポリビニル酢酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルスルホン酸、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カラゲーナン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアミノプロパノールビニルエーテル、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリグルタミン、およびこれらの共重合体または混合物の塩または部分塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
例示的な高吸収性材料は、ポリカルボフィル、ポリカルボフィルカルシウム、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含むことができる。ポリカルボフィルは、大量の水を吸収し保持することができる高吸収性ポリマーである。ポリカルボフィルは、ジビニルグリコールで架橋された高分子量のアクリル酸ポリマーであり、Lubrizol Corporation(OH, USA)によりノベオン(NOVEON)(登録商標)AA-1の商標名で販売されている。1gのポリカルボフィルは約62gの水を吸収できることが分かっている。ポリカルボフィルは安定であり、通常の条件下では加水分解も、酸化も受けない。ポリカルボフィルのカルシウム塩(ポリカルボフィルカルシウム)を使用することもでき、Lubrizol Corporation(OH, USA)からノベオン(NOVEON)(登録商標)CA-1またはCA-2の商標名で市販されている。他の例示的な高吸収性材料には、例えば、Lubrizol Corporation(OH, USA)から入手可能なカーボポール(Carbopol)(登録商標)71 G、カーボポール(Carbopol)(登録商標)971P、カーボポール(Carbopol)(登録商標)974が含まれる。
【0045】
高吸収性材料は、2つの機能を付与する。第1に、高吸収性材料(例えば、ポリカルボフィル)を含有する組成物が破砕されて、非経口注入用の溶媒(例えば、水)と合わせられた場合、高吸収性材料は迅速に水を吸収し、膨潤してハードゲルを形成し、このようにして注入を防止する。さらに、加えられる溶媒の量によっては、溶媒が全て吸収され得るため、投与できる残留溶媒が残らない。第2に、組成物が破砕されて鼻孔に吸い込まれた場合、高吸収性材料は鼻孔内の液体を吸収し、高吸収性材料の膨潤が起こる。膨潤は不快感を引き起こすだけでなく、製剤内に配置された薬物が迅速に(例えば、30分未満で)放出されることを防止する。
【0046】
一般に、第1の層における高吸収性材料の割合は、第1の層の約1%(w/w)〜約70%(w/w)、より好ましくは第1の層の約2%(w/w)〜約50%(w/w)の範囲である。さらに、第1の層における高吸収性材料は、無傷の状態の最終組成物の約3%(w/w)〜約20%(w/w)、より好ましくは無傷の状態の最終組成物の約4%(w/w)〜約14%(w/w)、より好ましくは無傷の状態の最終組成物の約4%(w/w)〜約10%(w/w)の範囲である。
【0047】
例示的な放出制御微粒子の組成およびその製造方法については、下記のC項に記載する。高吸収性材料および微粒子の他に、第1の層は任意選択により、放出制御マトリックスをさらに含むまたは画定する。さらに、状況に応じて、第2の層は、任意選択により、即時放出マトリックスまたは放出制御マトリックスのいずれかをさらに含むまたは画定する。
【0048】
好適な放出制御マトリックスを形成するのに使用することができる材料には、例えば、アセチルサクシネート、ポリビニル誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸ビニルとビニルピロリドンの共重合体、酢酸ビニルとクロトン酸の共重合体、ポリビニルピロリドン)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、多糖類(例えば、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースおよびセルロース誘導体(例えば、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート)、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギネート、ガム類(例えば、キサンタンガム)、ポリメタクリレート(例えば、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体、およびメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体を含む)、ポリメチルビニルエーテルと無水マロン酸の共重合体、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸またはそのエチル−、イソプロピル−、n−ブチルエステルの共重合体、ゼイン、およびこれらの混合物が含まれる。
【0049】
即時放出マトリックスを形成するのに使用できる材料としては、例えば、微結晶性セルロース、リン酸カルシウム(一塩基性、二塩基性および/または三塩基性)、ラクトース、スクロース、デキストリンなどの糖類、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、およびクロスポビドンなどのスーパー崩壊剤が含まれると理解されたい。
【0050】
さらに、第1の層と第2の層は、例えば、希釈剤(例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、リン酸二カルシウム、スクロース)、滑沢剤(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、硬化植物油)、流動化剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素およびタルク)、着色剤(dye)(例えば、酸化鉄)および充填剤(例えば、ラクトース、アルファ化デンプン、デキストリン、マルトース、リン酸カルシウム(一塩基性、二塩基性および/または三塩基性)、微結晶性デンプン)の1つ以上を含む他の賦形剤および製造助剤を含んでもよい。
【0051】
さらに、第2の層は、任意選択により、第2の層の崩壊を促進するための崩壊剤を含む。しかし、水性媒体に曝された時、第1の層が崩壊して高吸収性材料の大部分が曝されるリスクを最小限に抑えるため、崩壊剤は典型的には第1の層には含まれない。第1の層は、水性環境に曝されても、無傷の状態を維持することが好ましい。有用な崩壊剤には、例えば、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、およびクロスカルメロースが含まれる。
【0052】
B.コーティングに関する検討事項
項Aに記載の多層組成物は、さらに、コーティング(例えば、図1Cおよび図1Dに示すような非機能性(美的)コーティングまたは機能性コーティング(例えば、図2Aおよび図2Bに示すような放出制御コーティング))を含んでもよいと理解されたい。通常の使用では、コーティングは、依然として、多層を封入し、高吸収性材料の膨潤を最小限に抑えるのに役立ち得る硬質の網状構造を提供する。
【0053】
例示的な非機能性コーティングには、例えば、Innovative Material Technologies製の水性シェラック分散体であるマーコート(MARCOAT) 125(登録商標)、FMC Biopolymers製のエチルセルロースの水性分散体であるアクアコート(AQUACOAT)(登録商標)、BASF製のメタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体であるコリコート(KOLLICOAT)(登録商標)、Aqualon製のヒドロキシプロピルセルロースであるクルーセル(KLUCEL)(登録商標)、Roquette製の加工エンドウ豆デンプンをベースにする水性フィルムコーティング系であるライコート(LYCOAT)(登録商標)、信越化学工業(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートであるAQOAT(登録商標)(HPMCAS)、および、全てColorcon(PA,USA)製であるオパドライ(OPADRY)(登録商標)、オパドライ(OPADRY) TM(登録商標)、オパドライ(OPADRY) FX(登録商標)、オパラックス(OPALUX)(登録商標)、オパグロス(OPAGLOS)(登録商標)、エトセル(Ethocel)(登録商標)10,45,100cps(エチルセルロース)が含まれる。
【0054】
しかし、コーティングは機能性コーティングであってもよいと理解されたい。換言すれば、コーティングは、例えば、組成物内に配置された薬剤の放出制御(放出遅延など)、防湿層、および味マスキングフィルムを含み得る、美的外観を超えた機能を付与する。
【0055】
放出制御コーティングは、抽出媒体のpHが変化する時(例えば、製剤が通常の炭酸飲料と合わさるとき)、薬物の放出に抵抗することができる。さらに、放出制御コーティングは、アルコール飲料のアルコール含有率を超えるレベルで抽出媒体中にアルコールが存在する場合でも、薬物の放出に抵抗することができる。
【0056】
特定の実施形態では、放出制御コーティングは放出制御剤を含む。代わりに、またはさらに、コーティングは放出制御フィルムである。例示的な放出制御剤およびフィルムコーティングは、アセチルサクシネート、ポリビニル誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸ビニルとビニルピロリドンの共重合体、酢酸ビニルとクロトン酸の共重合体、ポリビニルピロリドン)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、多糖類(例えば、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースおよびセルロース誘導体(例えば、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート)、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギネート、ガム類(例えば、キサンタンガム)、ポリメタクリレート(例えば、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体、およびメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体を含む)、メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体、ポリメチルビニルエーテルと無水マロン酸の共重合体、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸またはそのエチル−、イソプロピル−、n−ブチルエステルとの共重合体、ゼイン、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0057】
放出制御フィルムコーティングポリマーの他の例には、メチルセルロース、エチルセルロース(例えば、FMC Corp.製のアクアコート(Aquacoat)(登録商標)タイプ)、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース(例えば、信越化学工業(株)製のPharmacoat(登録商標)タイプ)、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはメチルカルボキシメチルセルロース、アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、または、塩化ビニルとビニルアルコールと酢酸ビニルの三元共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(例えば、信越化学工業(株)製のHPタイプ)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(例えば、信越化学工業(株)製のAqoat)、セルロースアセテートフタレート(例えば、FMC Corp.製のアクアコート(Aquacoat) CPD、またはEastman Chemical製のC-A-P NF)、ポリビニルアセテートフタレート(例えば、Colorcon製のシュアテリック(Sureteric))、カルボキシメチルエチルセルロース、およびメタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル共重合体(例えば、Degussa/Evonik Industries製のオイドラギット(Eudragit)、またはBASF製のコリコート(Kollicoat)、またはColorcon製のアクリル−Eze(Acryl-Eze)、またはEastman Chemical製のイーストアクリル(Eastacryl))が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
例えば、コリドン(Kollidon)(登録商標)SR(ポリ酢酸ビニル(8部、w/w)とポリビニルピロリドン(2部、w/w)からなる粉末)とをキサンタンガムと組み合わせて使用してもよい。コリドン(Kollidon)(登録商標)SRは、BASF(ON,Canada)から入手可能である。あるいは、コーティングは、例えば、Degussa/Evonik Industries(NJ,USA)から入手可能なオイドラギット(Eudragit)(登録商標)L30D 55であってもよい。さらに、望ましい放出速度に応じて、同じ放出制御剤とコーティングを下記のC項に記載の微粒子内に配置してもよく、または微粒子にコーティングしてもよいと理解されたい。
【0059】
例示的な防湿層には、例えば、オパドライ(OPADRY)(商標)Aqueous Moisture Barrier(AMB)、高性能オパドライ(OPADRY) II(Colorcon(PA,USA))が含まれる。
【0060】
例示的な味マスキングフィルムには、例えば、オパドライ(OPADRY)(商標)(Colorcon(PA,USA))が含まれる。
【0061】
さらに、コーティングは、増粘剤(例えば、キサンタンガム、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、セルロースおよびスクロース誘導体)、滑沢剤(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸)、流動化剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素およびタルク)、および着色剤(例えば、酸化鉄)の1つ以上を含むことができる。さらに、コーティングは可塑剤を含んでもよい。可塑剤の例には、セタノール、トリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、コハク酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、安息香酸ベンジル、ステアリン酸カルシウム、ヒマシ油、クロロブタノール、コロイド状二酸化ケイ素、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、シュウ酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、グリセリン、グリセロールトリブチレート、グリセロールトリアセテート、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、硬化植物油、レシチン、ロイシン、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリソルベート、シリコーン、ステアリン酸、タルク、二酸化チタン、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ステアリン酸亜鉛、およびPEG(ポリエチレングリコール)等が含まれるが、これらに制限されるものではない。
【0062】
さらに、コーティングは、目的とする薬学的活性物質を含有する放出制御微粒子を含んでもよい。例示的な放出制御微粒子の組成およびその製造方法については、次の項に記載する。
【0063】
C.放出制御微粒子に関する検討事項
図1および図2に示すように、本発明の組成物は、多層組成物の少なくとも1つの層内(図1A、図1Cおよび図2Aを参照)、多層組成物の2つの層内(図1B、1Dおよび2Bを参照)、または放出制御コーティング内(図2Aおよび図2Bを参照)に放出制御微粒子が配置されている。
【0064】
放出制御微粒子は薬学的活性物質を含有し、その中に配置された薬学的活性物質の放出制御を容易にする。選択された構成に応じて、製剤は、長時間にわたって、例えば、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、または少なくとも24時間にわたって薬学的活性物質を放出することができる。
【0065】
放出制御粒子は様々な形態を取ることができるが、それらには、(i)放出制御特性を有すること、および(ii)製剤が通常の丸剤破砕機等で破砕される場合でも破砕され難いサイズを有すること、を含む多くの共通した特徴がある。微粒子は、コアとコーティングを有してもよく、これらのどちらかが、または両方とも放出制御特性を付与する。
【0066】
微粒子のコアは、薬学的活性物質、並びに、例えば、球形化剤(spheronizing agent)、可塑剤、および放出制御剤の1つ以上を含む様々な賦形剤を含んでもよい。例示的な球形化剤には、例えば、微結晶性セルロース、エチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースおよびリン酸二カルシウム二水和物が含まれる。微結晶性セルロースが好ましく、FMC BioPolymer(DE,USA)からアビセル(Avicel)(登録商標)PHlOlの商標名で市販されている。微結晶性セルロースは、湿潤時に可塑性で凝集性の塊を形成するが、これは球形の顆粒をうまく製造するのに望ましい。微結晶性セルロースは、分子スポンジのように水を吸収することによって球形化プロセスを助け、押出中の湿潤粉末塊の結合および潤滑を助けるものと考えられる。球形化プロセス中、微結晶性セルロースのミクロフィブリルに捕捉された水分は押出物に可塑性を加え、押出によって得られる短い円形の押出物を球形のペレットに変化させることを助ける。様々なグレードの微結晶性セルロースが市販されており、押出−球形化に適した好ましいグレードは、アビセル(Avicel)(登録商標)PH 101であるが、その理由は、粒度が小さく、充填密度が低く、保水性が高いからである。
【0067】
さらに、微粒子のコアは可塑剤を含有してもよい。例示的な可塑剤には、例えば、IMTech(PA,USA)から入手可能なプラスアクリル(Plasacryl)(登録商標)、およびMorflex(NC,USA)から入手可能なクエン酸トリエチルが含まれる。
【0068】
さらに、微粒子のコアは、任意選択により、薬学的活性物質の放出を制御する放出制御剤を含有してもよい。例示的な放出制御剤は、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体、キサンタンガム、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。好ましい実施形態では、放出制御賦形剤には、少なくとも12時間、少なくとも18時間、または少なくとも24時間、薬学的活性物質の放出を制御する架橋高アミロースデンプンであるデンプン誘導体が含まれる。架橋高アミロースデンプンは、オキシ塩化リンで架橋されていてもよく、および/またはヒドロキシプロピル側鎖を含有してもよい。特定の実施形態では、好適な放出制御剤は、Labopharm, Inc.(Laval,Canada)からコントラミド(CONTRAMID)(登録商標)の商標名で市販されている。コントラミド(CONTRAMID)(登録商標)賦形剤の合成は、米国特許第6,607,748号に記載されている。
【0069】
薬学的活性物質を含有する微粒子のコアは、例えば、湿式造粒法および押出−球形化を含む様々な方法で調製することができる。湿式造粒法の際、微粒子は、例えば、流動層ローター造粒機を使用して調製される。湿潤造粒プロセスは、例えば、(i)粉末を湿らせて、湿潤顆粒を形成する工程;(ii)湿潤顆粒をタンブリングまたは球形化する工程;および(iii)得られる製造物を乾燥させる工程を含む。あるいは、ペレットは押出−球形化によって製造されてもよく、これには、再現性が高く、スケールアップが容易であり、費用効率が高いという利点があり、実質的に完全な球形微粒子が製造される。押出−球形化は、例えば、(i)一般に結合剤を含有する水溶液または有機溶液で粉末ブレンドを湿らせて、湿式押出に適した均質な湿塊を形成する工程;(ii)湿塊を押出して、均一な形状とサイズの円筒状の押出物を形成する工程;および(iii)例えば、高速回転円板で押出物をより小さい微粒子に分割して、丸め、球体を形成する球形整粒機(spheronizer)を使用して湿潤押出物を球形化する工程を含む。
【0070】
微粒子のコアは、錠剤形成中において破壊されることなく圧縮下で変形するのに十分な柔軟性のある放出制御コーティングでコーティングすることができる。好適な放出制御剤については前項に記載している。一実施形態では、放出制御コーティングは、ポリメタクリレート(例えば、Degussa/Evonik Industries(NJ,USA)から入手可能なオイドラギット(Eudragit)(登録商標)RS)を含む。特に有用なオイドラギット(Eudragit)(登録商標)RS3ODグレードは、アクリル酸エチルとメタクリル酸メチルとトリメチルアンモニオエチルメタクリレートの1:2:0.1(w/w)の比のポリマー混合物の水性分散体(30%w/w)である。オイドラギット(Eudragit)(登録商標)RSグレードは、徐放性製剤用の水不溶性フィルムコーティングを形成するように設計されている。Eudragit(登録商標)RSグレードは、透過性が低く、柔軟性の高いフィルムコーティングを形成する。別の有用なコーティング材料には、Degussa/Evonik Industries(NJ,USA)から入手可能なEudragit(登録商標)RL30D 55が含まれる。別の放出制御コーティングは、Surelease(登録商標)の商標名で販売されているエチルセルロースを含む。別の放出制御コーティングには、BASF Fine Chemicalsから入手可能なコリコート(Kollicoat)(登録商標)SRが含まれる。一方法では、微粒子のコアは、ボトムスプレーを備えた流動層コーターを使用してコーティングされる。
【0071】
得られる粒子の平均直径は、その組成や製造方法に応じて、約1μm〜約1000μmの範囲である。特定の実施形態では、微粒子の平均直径は、約200μm〜約900μm、または約300μm〜約800μmである。特定の実施形態では、得られる微粒子の平均直径は約700μmである。他の特定の実施形態では、微粒子の平均直径は、約1μm〜約400μm、約5μm〜約300μm、または約10μm〜約200μmである。特定の実施形態では、得られる微粒子の平均直径は約100μmである。
【0072】
D.薬学的活性物質
本明細書に記載の組成物は、1種類以上の薬学的活性物質の送達に使用できると理解されたい。特定の実施形態では、放出制御微粒子は1種類以上の薬学的活性物質を含有してもよい。さらに、本発明の組成物は多くの異なる微粒子を含有してもよく、微粒子の1つの集団が1種類の薬学的活性物質を含有し、微粒子の別の集団が第2の異なる薬学的活性物質を含有してもよいと理解されたい。さらに、微粒子中に薬学的活性物質の1種類以上が存在してもよく、それに対して、他の1種類以上の薬学的活性物質が組成物内に遊離した(即ち、微粒子内に配置されてもいなく、または微粒子と結合してもいない)形態で存在してもよいと理解されたい。
【0073】
多くの薬学的活性物質は、本明細書に記載の製剤を使用して送達されることにより利益を得ることができる。Comprehensive Drug Abuse Prevention and Control Act(1970年)の第II編であるControlled Substance Act(CSA)は、現行の連邦法の下で規制されている全ての物質を、その物質の医薬としての価値、有害性、および乱用または常用癖の可能性に基づいて5つの一覧表のうち1つに分類している。本発明の製剤は、好ましくは、一覧表II、III、IVおよびVの薬物として分類された薬物を送達するのに使用される。同様に、薬物の放出を制御することが有利などのような薬物も本発明の製剤に組み込むことができるが、本明細書に記載の製剤は、例えば、CNS興奮剤および呼吸促進剤、鎮痛薬(例えば、オピオイド鎮痛薬)、催眠剤、抗不安剤、および治療指数が狭い薬剤の送達に特に有用である。本発明の目的では、薬学的活性物質は、薬学的活性物質の塩、エステル、およびプロドラッグを包含することが意図されている。
【0074】
例示的なオピオイド鎮痛薬には、例えば、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カーフェンタニル、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジプレノルフィン、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、β−ヒドロキシ−3−メチルフェンタニル、レボα−アセチルメタドール、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、ペチジン、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トラマドール塩酸塩、またはこれらの混合物が含まれる。
【0075】
オピオイド鎮痛薬を含有する特定の実施形態では、固体組成物は、第2の異なる薬学的活性物質としてアセトアミノフェンをさらに含んでもよい。組成物の所望の特性に応じて、アセトアミノフェンは第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の両方に含まれてもよい。特定の製剤では、アセトアミノフェンは高濃度では毒性を有することが一般に知られていることから、特定の使用者には、アセトアミノフェンの迅速な放出が、組成物を破砕することに対する更なる抑止力の役割を果たし得ると考えられるため、アセトアミノフェンは微粒子内には含まれない。
【0076】
例示的な催眠薬には、例えば、ベンゾジアゼピンおよび非ベンゾジアゼピンが含まれる。例示的なベンゾジアゼピンには、アルプラゾラム、ジアゼパム、フルラゼパム、ロプラゾラム、メキサゾラム、およびニトラゼパム等が含まれるが、これらに限定されるものではない。例示的な非ベンゾジアゼピンには、バルビツレート(例えば、ブトバルビトン、フェノバルビトン、またはアミロバルビトン)、クロルメチアゾール、エスゾピクロン、ラメルテオン、ザレプロン、ゾピクロン、およびゾルピデム等が含まれるが、これらに制限されるものではない。
【0077】
例示的な抗不安剤には、アンフェタミン、ブスピロン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン(例えば、アルプラゾラム、ブロマゼパム、ブロチゾラム、カマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、デスアルキルフルラゼパム、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、メタクラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、ペンチレンテトラゾール、プラゼパム、テマゼパム、テトラゼパム、およびトリアゾラム)等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
例示的なCNS興奮剤および呼吸促進剤には、キサンチン類(例えば、カフェインおよびテオフィリン)、アンフェタミン類(例えば、アンフェタミン、ベンズフェタミン塩酸塩、デキストロアンフェタミン、デキストロアンフェタミン硫酸塩、レバンフェタミン、レバンフェタミン塩酸塩、メタンフェタミンおよびメタンフェタミン塩酸塩)、並びに、種々の興奮薬、例えば、メチルフェニデート、メチルフェニデート塩酸塩、モダフィニル、ペモリン、シブトラミン、およびシブトラミン塩酸塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
治療指数が狭い薬学的活性物質には、例えば、アミオダロン、アムホテリシン、カルバマゼピン、クロザピン、ジゴキシン、ジソピラミド、炭酸リチウム、ミノキシジル、フェニトイン、プリミドン、プロカインアミド、キニジン、テオフィリン、バルプロ酸、およびワーファリンが含まれる。
【0080】
乱用防止製剤中に存在する薬学的活性物質の量は、通常の錠剤で必要とされる治療量によって決まると理解されたい。一般に、各薬学的活性物質は、重量で約0.5mg〜約900mg、重量で約1mg〜約700mg、重量で約1mg〜約600mg、約1mg〜約500mg、約lmg〜約400mg、約1mg〜約300mg、約1mg〜約200mg、および、約10mg〜約200mgの範囲の量で存在する。しかし、実際の投薬量は、個々の薬学的活性物質およびその提案された用途によって決まると理解されたい。
【0081】
本明細書に記載の無傷の状態の組成物は、製剤の分野の当業者に既知の技術を使用して製造できると理解されたい。放出制御錠剤の例示的な製造手順を実施例1に記載する。しかし、他の方法を使用して本発明の製剤を製造できると理解されたい。
【0082】
特定の実施形態では、製剤の硬さは、約100N〜約500N、または約150N〜約400N、または約200Nから約400N、または約300N〜約400Nの範囲である。特定の実施形態では、製剤の硬さは、約130N〜約280N、約130N〜約210N、約130Nから約195N、約150N〜約250N、約150N〜約200N、約150N〜約180N、約160N〜約195N、約160N〜約180N、約180N〜約230N、約200N〜約250N、約200N〜約260N、約205N〜約280N、約210N〜約250N、または約210N〜約230Nである。
【0083】
特定の実施形態では、例えば、オキシコドンとアセトアミノフェンを含有する経口剤形は、前述の範囲のうちの1つ以上に入る硬さを有してもよい。
【0084】
本組成物は、製造された場合、薬学的活性物質(例えば、疼痛管理のためのオピオイド鎮痛薬)を必要とする哺乳動物、例えば、ヒトに、薬学的活性物質を投与するために使用することができる。正確な投薬量は、症状、年齢、体重、治療される疾患の重症度に応じて変わり、当業者に既知の通常の実験により最適化できると理解されたい。
【実施例】
【0085】
本発明の実施は、以下の実施例からさらに十分に理解されるであろう。但し、それらは単に説明の目的で本明細書に記載され、決して本発明を制限するものと解釈されるべきではない。
【0086】
実施例1−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、例示的な誤用防止錠剤およびその製造方法について記載する。本組成物は、アセトアミノフェン(650mg)とオキシコドンHCl(25mg)の混合物を含む。オキシコドンは、中程度〜中重度の疼痛の治療に使用される薬物であり、誤用される可能性があり、誤用による過剰な暴露により有害な副作用が起こり得る。この錠剤は、非機能性(美的)コーティングを有する2層コアを有する。この実施例では、放出制御層内に高吸収性材料が配置されている。錠剤の処方を表1に記載し、製剤の各構成成分の製造をこの実施例の次の項に記載する。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例全体を通して、コンパップ(COMPAP)(登録商標)(Mallinckrodt,Inc.)は、アセトアミノフェンとアルファ化デンプンの混合物を含む圧縮成形可能な組成物であり、組成物中のアセトアミノフェンのパーセンテージは、コンパップ(COMPAP)(登録商標)のバッチによってわずかに変わり得る。このばらつきを補償するために、圧縮成形される賦形剤のブレンド中のコンパップ(COMPAP)(登録商標)の量を変える。錠剤の重量を維持するため、微結晶性セルロースの量をそれに対応して変更する。さらに、微粒子内に含有されるオキシコドンまたは他の有効成分の量は変わり得るため、微粒子の量を調整して薬物含有量を一定に保つことができる。
【0089】
A.オキシコドン微粒子の製造
表2に記載の構成成分(オイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクを除く)を混合することにより、微粒子を製造した。得られた混合物を押出および球形化し、得られた微粒子をオイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクで、ボトムスプレーを備えた流動層コーター内でコーティングした。錠剤のコアは2層であった。オキシコドン含有微粒子は2層の徐放層に組み込まれ、それに対してアセトアミノフェンは、遊離した形態であり微粒子に組み込まれていないコンパップ(COMPAP)(登録商標)として、即時放出層(rapid release layer)および徐放層(slow release layer)の両方に存在した。
【0090】
【表2】
【0091】
B.2層の製造
コンパップ(COMPAP)(登録商標)とオキシコドン含有微粒子とを含有する第1の層(放出制御層)の組成、およびコンパップ(COMPAP)(登録商標)(アセトアミノフェンを含む)を含有する第2の層の組成を表1に示す。2層は、各層の構成成分を混合した後、材料を打錠機で圧縮成形し、約210Nの硬さを有する錠剤を形成することによって調製した。
【0092】
C.美的コーティング
パンコーティング機を使用し、2層錠を表3に記載のオパグロス(Opaglos)成分を使用する美的コーティングでコーティングし、最終コーティング錠を形成した。
【0093】
【表3】
【0094】
得られた錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプIII装置において、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で12時間、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で12時間、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で11時間、および40%エタノール中で測定した。図3Aに示すように、オキシコドンの放出プロファイルは、試験したpH範囲にわたって実質的に同じであった。さらに、図3Bに示すように、アセトアミノフェンの放出特性も試験したpH範囲にわたって実質的に同じであった。
【0095】
3つのロットの錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプI装置において、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で測定した。オキシコドンの放出に対する錠剤の二分化または四分化の影響を図4A(半錠)および図4B(4分の1錠)に示す。アセトアミノフェンの放出に対する錠剤の二分化または四分化の影響を図5A(半錠)および図5B(4分の1錠)に示す。部分錠は12時間放出制御を維持し、用量ダンピングの証拠は認められなかった。
【0096】
通常の錠剤破砕機を使用して、破砕された錠剤を調製する。破砕された錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプI装置において様々な条件下で測定した。図6Aは、塩基性にしたリン酸カリウム水溶液(pH10.0)、リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)、および酸性にしたリン酸カリウム水溶液(pH3.0)、水、20%エタノール含有水、および40%エタノール含有水中におけるオキシコドンの放出速度を示す。オキシコドンの放出制御はすべての条件下で維持され、用量ダンピングの証拠は認められなかった。図6Bはアセトアミノフェンの放出速度を示し、これはオキシコドンの放出速度と比較して制御されていない。放出の増大により、肝毒性の可能性がある破砕された粉末の注入または経鼻吸入の抑止が可能となる。破砕後にアセトアミノフェンが完全に隔離されると、このような抑止は可能にならないであろう。
【0097】
破砕された錠剤は、水に曝された場合、例えば、21秒以内に迅速にゲルを形成した。破砕された錠剤を、表4に示す液体10mLに曝した。得られた混合物を振盪機で120分間撹拌した後、15分間放置してゲルと液体の分離が起こるかどうかを調べた。
【0098】
【表4】
【0099】
表4に示すように、水性溶媒が40%エタノールを含有した場合または水性媒体のpHが3〜10の範囲であった場合、粘稠なゲルが形成した。ゲルは固体と上清に分離しなかったため、組成物から溶出し得たオキシコドンまたはアセトアミノフェンの量を測定するための分析に供し得る液体は存在しなかった。*
【0100】
破砕された錠剤の静脈内または経鼻投与の効果をシミュレートするため、錠剤を破砕し、図5に示すように水道水または40%エタノール含有水2mLと混合した。どちらの場合もハードゲルが形成した。ハードゲルから液体を抽出して分析するため、注射器の先端に脱脂綿フィルタを配置し、強力な吸引下で少量の液体を抽出した。抽出物のオキシコドン含有率とアセトアミノフェン含有率を分析した。
【0101】
【表5】
【0102】
結果から、抽出物中にオキシコドンは検出されなかったが、水と40%エタノールの両方に極微量のアセトアミノフェンが存在した。
【0103】
ゲル破壊時の有効成分放出量を測定するために、水、酸性にしたリン酸カリウム緩衝水溶液(pH3.0)、または40%エタノール含有水のいずれか100mLに、破砕された錠剤を加えた。1分間激しく撹拌することによって、得られたゲルを破壊した。表6に示すように、15、30および60秒における混合物のオキシコドン含有率およびアセトアミノフェン含有率を評価した。
【0104】
【表6】
【0105】
これらの結果からアセトアミノフェンが迅速に放出されることが示されるが、高用量のアセトアミノフェンは肝毒性があることが知られているため、行われ得る静脈内または経鼻投与が抑止され得る。アセトアミノフェンと異なり、破砕後のオキシコドンの放出が最小限になるように、オキシコドンは錠剤処方に微粒子として存在する。
【0106】
実施例2−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、オキシコドンHCl(20mg)およびアセトアミノフェン(650mg)を含有する1日2回服用する錠剤の製造および試験について記載する。2層錠は、オキシコドンHClとおよびコントラミド(Contramid)(登録商標)を含有しかつ腸溶解性コーティングでコーティングされた微粒子を含有する。しかし、得られた2層は、非機能性(美的)コーティングで封入された。高吸収性材料は徐放層に配置した。
【0107】
錠剤の処方を表7に記載し、製剤の各構成成分の製造はこの実施例の次の項に記載する。
【0108】
【表7】
【0109】
A.オキシコドン微粒子の製造
表8に記載の最初の4つの構成成分を混合することにより、微粒子を製造した。得られた混合物を押出および球形化し、ボトムスプレーを備えた流動層コーター内で得られた微粒子を残りの4つの賦形剤(オイドラギット(Eudragit) NE 30D、タルク、オイドラギット(Eudragit) L30D-55、クエン酸トリエチル)でコーティングした。オイドラギット(Eudragit) L30D-55コーティングでコーティングされた微粒子は、低pH(pH1〜3など)で溶解に耐え、オキシコドンの放出を防止する。コーティングはより高いpHで溶解するが、錠剤が破砕された場合のコーティングの機械的除去は最小限である。コーティングは、無傷の状態の錠剤および破砕された錠剤の両方において、低pHでのオキシコドンの放出を防止する。
【0110】
錠剤のコアは2層とした。オキシコドン含有微粒子は2層の徐放層に組み込まれ、それに対して遊離した形態であり微粒子に組み込まれていないコンパップ(COMPAP)(登録商標)としてのアセトアミノフェンは、即時放出層および徐放層の両方に存在した。
【0111】
【表8】
【0112】
B.2層の製造
コンパップ(COMPAP)(登録商標)およびオキシコドン含有微粒子を含有する第1の層(放出制御層)の組成、およびアセトアミノフェンを含有する第2の層の組成を表7に示す。2層は、各層の構成成分を混合した後、材料を打錠機で圧縮成形し、約230Nの硬さを有する錠剤を形成することによって調製した。
【0113】
C.美的コーティング
パンコーティング機を使用することにより、得られた2層を表9に記載のオパグロス(Opaglos)成分でコーティングし、最終コーティング錠を形成した。
【0114】
【表9】
【0115】
得られた錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプI装置において、酸(pH1.2)中で12時間、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中で12時間、および酸(pH1.2)中で1時間に続いてリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で11時間、測定した。無傷の状態の錠剤について放出速度を測定した。図7Aに示すように、オキシコドンの放出プロファイルは、低pHでは少なくとも1時間、放出の遅延を示す。図7Bに示すように、アセトアミノフェンの迅速な放出も見られた。半錠と4分の1錠(データ不示)では、実施例1に類似の放出速度が見られた。
【0116】
得られた錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプI装置において、酸(pH1.2)中で1時間、およびリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で1時間、破砕された錠剤について測定した。図8Aに示すように、オキシコドンの放出プロファイルは、低pHでは少なくとも1時間、放出の遅延を示す。図8Bに示すように、アセトアミノフェンの比較的速い放出が見られた。
【0117】
実施例3−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、オキシコドンHCl(20mg)とアセトアミノフェン(650mg)を含有する錠剤(BID)の製造および試験について記載する。この錠剤は、腸溶性放出制御コーティング(即ち、オイドラギット(Eudragit) L30D55)で囲まれた2層コアを含有する。しかし、微粒子は、放出制御コーティングを有していなかった。徐放層には高吸収性材料が配置されている。
【0118】
表10に記載の構成成分(オイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクを除く)を混合することにより、微粒子を製造した。得られた混合物を押出および球形化し、得られた微粒子をオイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクで、ボトムスプレーを備えた流動層コーター内でコーティングした。
【0119】
【表10】
【0120】
2層であったコアの組成を表11に記載する。オキシコドンを含有する微粒子は2層の徐放層に組み込まれたが、それに対してアセトアミノフェンは、遊離した形態であり微粒子中に組み込まれていないコンパップ(COMPAP)(登録商標)として、即時放出層および徐放層の両方に存在した。
【0121】
【表11】
【0122】
2層のコアは、各層の構成成分を混合した後、材料を打錠機で圧縮成形することによって調製された。2層錠の硬さは、190〜230ニュートンの範囲であった。次いで、パンコーティング機を使用することによって、得られた2層コアをオイドラギット(Eudragit) L30D55でコーティングした。得られたコーティングは、オイドラギット(Eudragit) L30D 55を82mg含有し、それは錠剤の重量の8%であった。
【0123】
得られた錠剤のインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプIII装置において、20dpmで、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間インキュベートした後、続いてリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で11時間インキュベートして測定した。図9に示す結果から、0.1Mの塩酸中でインキュベートしたとき錠剤からオキシコドンは放出されなかったが、1時間後に緩衝液をリン酸塩緩衝液(pH6.8)に変更すると、オキシコドンは制御して放出されたことが示される。
【0124】
実施例4−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、オキシコドンHCl(20mg)およびアセトアミノフェン(650mg)を含有する錠剤(BID)の製造および試験について記載する。この錠剤は2層コアを含み、放出制御層には高吸収性材料(カーボポール(Carbopol) 71G)および脂質(コンプリトール(Compritol) 888 ATO)が存在する。脂質は、低pHで膨潤し、それによってオキシコドンHClの放出を最小限に抑えるように設計されている。2層コアの組成を表12に記載し、製剤の各構成成分の製造をこの実施例の次の項に記載する。
【0125】
【表12】
【0126】
A.オキシコドン微粒子の製造
表13に記載の構成成分(オイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクを除く)を混合することにより、微粒子を製造した。得られた混合物を押出および球形化し、得られた微粒子をボトムスプレーを備えた流動層コーターにおいてオイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクでコーティングした。
【0127】
【表13】
【0128】
B.2層の製造
錠剤のコアは2層とした。オキシコドン含有微粒子は2層の徐放層に組み込まれたが、それに対して遊離した形態であり微粒子に組み込まれていないコンパップ(COMPAP)(登録商標)としてのアセトアミノフェンは、即時放出層および徐放層の両方に存在した。
【0129】
コンパップ(COMPAP)(登録商標)(アセトアミノフェンを含有する)およびオキシコドン含有微粒子とを含有する第1の層(放出制御層)の組成、およびコンパップ(COMPAP)(登録商標)を含有する第2の層の組成を表12に示す。2層は、各層の構成成分を混合した後、材料を打錠機(Manesty(UK))で圧縮成形し、約150Nの硬さを有する錠剤を形成することによって調製した。
【0130】
C.美的コーティング
パンコーティング機を使用することにより、得られた2層を表14に記載のオパグロス(Opaglos)成分を使用する美的コーティングでコーティングし、最終コーティング錠を得た。
【0131】
【表14】
【0132】
得られた錠剤のインビトロ放出特性をU.S.P.タイプIII装置において、リン酸塩緩衝液(pH6.8)中で測定した。放出速度は無傷の状態の錠剤について測定した。図10Aに示すように、放出制御層中にコンプリトール(Compritol)を含む錠剤中のオキシコドンの放出プロファイルは、類似の条件下における実施例2の無傷の状態の錠剤に関するpH6.8でのデータなどの、オキシコドン粒子上に腸溶性コーティングを有する錠剤と同等であった(図7A)。同様に、図10Bに示すアセトアミノフェンに関する放出速度は、実施例2のものと類似していた(図7B)。
【0133】
得られた錠剤のインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプI装置において、酸(pH1.2)中で測定した。図11Aに示すように、コンプリトール(Compritol)を含む錠剤中のオキシコドンの放出プロファイルは、同じ条件下における実施例2の処方の破砕された錠剤(図8A)よりもオキシコドンの放出が大きいことを示した。しかし、オキシコドンの用量ダンピングは見られなかった。破砕された錠剤からのアセトアミノフェンの放出に関する実施例2(図8B)と比較して、アセトアミノフェンは、コンプリトール(Compritol)を含有する破砕された錠剤からは、さほど速く放出されなかった(図11B)。
【0134】
実施例5−例示的な放出制御メチルフェニデート製剤
この実施例は、12時間放出制御2層製剤中にメチルフェニデートを含有する錠剤の製造および試験について記載する。この錠剤はコーティングされていないが、美的または機能性(腸溶性などの)コーティングが塗布されてもよい。徐放層内には高吸収性材料が配置されている。錠剤の処方を表15に記載し、製剤の各構成成分の製造をこの実施例の次の項に記載する。
【0135】
【表15】
【0136】
A.メチルフェニデート微粒子の製造
表16に記載の組成を有するメチルフェニデートの微粒子を、押出・微小球形化プロセスを使用して製剤化した。
【0137】
【表16】
【0138】
メチルフェニデート塩酸塩とMCC アビセル(Avicel) PH 101を混合機内で3分間、低剪断条件で混合した。次いで、乾燥ブレンドを同じ混合機内で撹拌しながら、押出に適した均質な湿塊が得られるまで徐々に水を加えることにより濡らした。次いで、直径0.6mmの穴と固定押出間隙を有するドームダイを備えたLaboratory Multigranulator extruder model MG-55(LCI,Inc.(NC,USA)製)を使用して、その湿塊を一定速度(45rpm)で押し出した。次いで、Marumerizer Model QJ-230T(LCI,Inc.(NC,USA)製)を使用して、押出物を一定速度(1800rpm)で球形化した。含水量が約2%に達するまで湿潤微粒子を流動層(Glatt,GPGC-1)内で45℃で乾燥させた。次いで、得られた微粒子を流動層コーティングにより、破砕され難いが腸溶性コーティングではないフィルムであるオイドラギット(Eudragit) RS30D(登録商標)を含有するコーティング溶液を使用してコーティングした。
【0139】
B.2層の製造
メチルフェニデート微粒子(即時放出性)を含有する第1の層(即時放出層)、およびメチルフェニデート微粒子(放出制御)を含有する第2の層(徐放層)の組成を表15に示す。2層は、各層の構成成分を混合した後、打錠機を使用して材料を圧縮成形し、約250Nの硬さを有する錠剤を形成することによって調製した。
【0140】
4ロットの錠剤のメチルフェニデートのインビトロ放出特性を、U.S.P.タイプII装置において、酸性にした水(pH3.5)中で評価した。無傷の状態の錠剤について放出速度を測定した。図12に示すように、用量ダンピングは見られなかった。最初の1時間において約15%のメチルフェニデートが放出し、12時間までメチルフェニデートの準ゼロ次(quasi-zero order)の放出速度が続いた。
【0141】
実施例6−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、オキシコドンHCl(20mg)とアセトアミノフェン(650mg)を含有する2層錠の調製について説明する。一方の層はアセトアミノフェンを含有する即時放出層であり、他方の層はオキシコドンHCl微粒子とアセトアミノフェンを含む徐放層である。この実施例では、即時放出層に高吸収性材料が配置されている。
【0142】
完全な錠剤の処方を表17に記載する。
【0143】
【表17】
【0144】
A.即時放出層の製造
コンパップ(COMPAP)(登録商標)と表18に記載の即時放出層の成分をVブレンダー内でブレンドし、後の錠剤調製段階のために取っておいた。
【0145】
【表18】
【0146】
B.オキシコドンHCl微粒子の製造
表19に記載の最初の4つの成分(オキシコドンHClを含む)の湿塊を押出し、球形化し、乾燥させ、篩い分けしてコーティングされていない微粒子を得た。次いで、その微粒子を、オイドラギット(Eudragit) NE 30Dおよびタルクのポリマー溶液でコーティングした後、オイドラギット(Eudragit) L30D-55、クエン酸トリエチルおよびタルクのポリマー溶液でコーティングした。次いで、コーティングされた微粒子をコロイド状二酸化ケイ素と混合し、40℃のオーブンで18時間硬化させた。
【0147】
【表19】
【0148】
C.徐放層の製造
オキシコドンHCl微粒子および表20に記載の徐放層の成分をVブレンダー内でブレンドした。
【0149】
【表20】
【0150】
D.錠剤の製造
ブレンドされた即時放出層とブレンドされた徐放層をロータリー式2層錠剤用Picolla 11−ステーションプレスで圧縮成形し、カプレット形の錠剤を得た。得られた錠剤の特徴を表21に要約する。
【0151】
【表21】
【0152】
得られたコーティングされていない錠剤のインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプIII装置において、20dpmで、250mLのリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で測定した。3バッチの無傷の状態の錠剤について12時間、放出速度を測定した。図13Aおよび図13Bに示すように、オキシコドンHClおよびアセトアミノフェンの放出プロファイルは、それぞれ、3つのサンプル全体で実質的に同じであった。
【0153】
図14Aに示すように、破砕されたコーティングされていない錠剤からのオキシコドンHClのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプI装置において、リン酸カリウム水溶液(pH1.2、6.8および10)中、水中、および40%エタノール中で測定した。様々な媒体中に10%未満のオキシコドンHClが放出された。図14Bに示すように、破砕されたコーティングされていない錠剤からのアセトアミノフェンのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプI装置において、リン酸カリウム水溶液(pH1.2、6.8および10)中、水中、および40%エタノール中で測定した。水溶液(pH1.2)中には1時間で50%未満のアセトアミノフェンが放出され、他の媒体中には1時間で20%未満のアセトアミノフェンが放出された。
【0154】
完全な錠剤と二分された錠剤(半錠)からのオキシコドンHClおよびアセトアミノフェンのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプIII装置において、20dpmで、250mLのリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)中で測定した。二分された錠剤(半錠)からのオキシコドンHClおよびアセトアミノフェンのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプIII装置において、40%エタノール中でも測定した。オキシコドンの放出に対する錠剤の二分化の影響を図15Aに示すが、図15Aは完全な錠剤と半錠の放出プロファイルを示している。アセトアミノフェンの放出に対する錠剤の二分化の影響を図15Bに示すが、図15Bは完全な錠剤と半錠の放出プロファイルを示している。半錠と完全な錠剤は、概して類似の放出特性を示した。40%エタノール中におけるオキシコドンとアセトアミノフェンの放出は、完全な錠剤からの方が二分された錠剤からよりも遅かった。
【0155】
破砕されたコーティングされていない錠剤の誤用防止特性を、水道水、40%エタノール、およびリン酸カリウム水溶液(pH1.2、6.8および10)中への簡単な抽出により調べた。結果を表22に記載する。全ての媒体中でオキシコドンの放出は十分制御されたが、緩衝液(pH1.2および6.8)ではアセトアミノフェンの放出の増加が見られた。
【0156】
【表22】
【0157】
実施例7−例示的なオキシコドンHCl/アセトアミノフェン錠
この実施例は、オキシコドンHCl(20mg)およびアセトアミノフェン(650mg)を含有する2層錠の調製について説明する。一方の層はアセトアミノフェンを含有する即時放出層であり、他方の層はオキシコドンHCl微粒子およびアセトアミノフェンを含有する徐放層である。徐放層には高吸収性材料が配置されている。錠剤の処方を表23に記載する。
【0158】
【表23】
【0159】
A.即時放出層の製造
表23に記載のコンパップ(COMPAP)(登録商標)と即時放出層の成分をVブレンダー内でブレンドし、後の錠剤調製段階のために取っておいた。
【0160】
B.徐放層の製造
実施例6の手順に従ってオキシコドンHCl微粒子を調製した。表23に記載の微粒子と徐放層の成分をVブレンダー内でブレンドした。
【0161】
C.錠剤の製造
ブレンドされた即時放出層とブレンドされた徐放層をロータリー式2層錠剤用Picolla 11−ステーションプレスで圧縮成形し、カプレット形の錠剤を得た。得られた錠剤の特徴を表24に要約する。
【0162】
【表24】
【0163】
得られた無傷の状態の2層錠のオキシコドンHClおよびアセトアミノフェンのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプIII装置において、酸媒体(pH1.2)中で1時間、続いてリン酸塩緩衝液(pH6.8)中で11時間、測定した。結果を図16に要約するが、図16から、アセトアミノフェンの薬物放出の方がオキシコドンの放出より速いと理解されたい。
【0164】
得られた破砕された2層錠のオキシコドンHClおよびアセトアミノフェンのインビトロ放出速度を、U.S.P.タイプI装置において、900mLの脱イオン水中で、100rpmで60時間測定した。結果を図17に要約するが、図17から、オキシコドンの薬物放出の方がアセトアミノフェンの放出よりずっと遅いと理解されたい。
【0165】
参照による援用
本明細書で参照する各特許および科学文献の開示内容全体が、あらゆる目的で、参照により援用される。
【0166】
同等物
本発明をその好ましい実施態様により説明してきたが、本発明は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その広範な態様を包含することを意図していると理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の薬学的活性物質を経口投与するための固体組成物であって、
(a)中に薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団を含む第1の層と、
(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層と、
(c)前記第1の層、前記第2の層、または前記第1の層と前記第2の層との両方に配置された高吸収性材料と
を含み、
(i)前記組成物が無傷の状態で水性環境に曝された場合、前記第2の層に配置された薬学的活性物質が、最初に、前記第1の層に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出され、
(ii)前記組成物が破砕されて水性環境に曝された場合、前記高吸水性材料が膨潤して、前記微粒子を捕捉するハードゲルを形成し、その際、前記ハードゲル、前記微粒子、または前記ハードゲルと前記微粒子との両方が、前記微粒子内に配置された少なくとも前記薬学的活性物質の放出を制御する、
組成物。
【請求項2】
前記高吸収性材料が、前記第1の層内に配置されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記高吸収性材料が、前記第2の層内に配置されている、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種類の薬学的活性物質を経口投与するための固体組成物であって、
(a)高吸収性材料と、中に薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団とを含む第1の層と、
(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層と
を含み、
(i)前記組成物が無傷の状態で水性環境に曝された場合、前記第2の層に配置された薬学的活性物質が、最初に、前記第1の層に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出され、
(ii)前記組成物が破砕されて水性環境に曝された場合、前記高吸水性材料が膨潤して、前記微粒子を捕捉するハードゲルを形成し、その際、前記ハードゲル、前記微粒子、または前記ハードゲルと前記微粒子との両方が前記微粒子内に配置された少なくとも前記薬学的活性物質の放出を制御する、
組成物。
【請求項5】
前記第2の層に配置された薬学的活性物質が、放出制御微粒子の第2の集団に存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1の層に存在する薬学的活性物質と前記第2の層に存在する薬学的活性物質とが同じである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1の層に存在する薬学的活性物質と前記第2の層に存在する薬学的活性物質とが異なる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1の層が、前記第2の層に隣接している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、2層である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1の層と前記第2の層との間に第3の層が配置されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1の層に存在する薬学的活性物質が、少なくとも6時間にわたって放出される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1の層に存在する薬学的活性物質が、少なくとも12時間にわたって放出される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記第1の層に存在する薬学的活性物質が、少なくとも24時間にわたって放出される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記高吸収性材料が、デンプングラフト共重合体、架橋カルボキシメチルセルロース誘導体、架橋ヒドロキシプロピルジスターチホスフェート、加水分解デンプンアクリロニトリルグラフト共重合体、および中和デンプンアクリル酸グラフト共重合体からなる群から選択される多糖類誘導体である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記高吸収性材料が、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ポリビニル酢酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルスルホン酸、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カラゲーナン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアミノプロパノールビニルエーテル、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリグルタミン、ポリカルボフィル、ポリカルボフィルカルシウム、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記高吸収性材料が、前記第1の層または前記第2の層の約1%〜約70%(w/w)を構成する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記高吸収性材料が、前記第1の層または前記第2の層の約2%〜約50%(w/w)を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記第1の層、前記第2の層、または前記第1の層と第2の層との両方が、さらに放出制御剤を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記放出制御剤が、アセテートサクシネート、ポリビニル誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギネート、ガム類、ポリメタクリレート、メタクリル酸とアクリル酸エチルとの共重合体、ポリメチルビニルエーテルと無水マロン酸との共重合体、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸またはそのエチル−、イソプロピル−、n−ブチルエステルとの共重合体、ゼイン、およびこれらのいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記第1の層、前記第2の層、または前記第1の層と第2の層との両方が、さらに、希釈剤、滑沢剤、流動化剤、またはこれらの混合物を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記第2の層が、さらに崩壊剤を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、さらに、前記第1の層と前記第2の層とを封入するコーティングを含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記コーティングが、放出制御コーティングである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記放出制御コーティングが、放出制御剤を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記放出制御剤が、アセテートサクシネート、ポリビニル誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギネート、ガム類、ポリメタクリレート、メタクリル酸とアクリル酸エチルとの共重合体、ポリメチルビニルエーテルと無水マロン酸との共重合体、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸またはそのエチル−、イソプロピル−、n−ブチルエステルとの共重合体、ゼイン、およびこれらのいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記放出制御コーティングが、中に薬学的活性物質が配置されている微粒子の第3の集団を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記微粒子の第3の集団が、前記微粒子の第1の集団と同じである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記微粒子の第3の集団の薬学的活性物質が、前記微粒子の第1の集団の薬学的活性物質と同じである、請求項26または27に記載の組成物。
【請求項29】
前記微粒子の第3の集団が、前記微粒子の第2の集団と同じである、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記放出制御微粒子の第3の集団の薬学的活性物質が、前記放出制御微粒子の第2の集団の薬学的活性物質と同じである、請求項26〜29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
前記放出制御微粒子が、放出制御フィルムでコーティングされている、請求項1〜30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
前記放出制御フィルムが、ポリメタクリレート、セルロース、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記セルロース誘導体が、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、およびセルロースアセテートトリメリテートからなる群から選択される、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記ポリメタクリレートが、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートのポリマー混合物を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記微粒子の平均直径が、約1μmから約1000μmの範囲である、請求項1〜34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
前記微粒子の平均直径が、約200μmから約900μmの範囲である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記微粒子の平均直径が、約300μmから約800μmの範囲である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記微粒子の平均直径が、約700μmである、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記微粒子の平均直径が、約1μmから約400μmの範囲である、請求項35に記載の組成物。
【請求項40】
前記微粒子の平均直径が、約5μmから約300μmの範囲である、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記微粒子の平均直径が、約10μmから約200μmの範囲である、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記微粒子の平均直径が、約100μmである、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
少なくとも1種類の薬学的活性物質を経口投与するための固体組成物であって、
(a)中に薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団を含む第1の層と、
(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層と、
(c)前記第1の層、前記第2の層、または前記第1の層と前記第2の層との両方に配置された高吸収性材料と、
(d)前記第1の層と前記第2の層の両方を封入するコーティングと
を含み、
(i)前記組成物が無傷の状態で水性環境に曝された場合、前記第2の層に配置された薬学的活性物質が、最初に、前記第1の層に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出され、
(ii)前記組成物が破砕されて水性環境に曝された場合、前記高吸水性材料が膨潤して、前記微粒子を捕捉するハードゲルを形成し、その際、前記ハードゲル、前記微粒子、または前記ハードゲルと前記微粒子との両方が、前記微粒子内に配置された少なくとも前記薬学的活性物質の放出を制御する、
組成物。
【請求項44】
前記高吸収性材料が、前記第1の層内に配置されている、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記高吸収性材料が、前記第2の層内に配置されている、請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
前記第1の層が、前記第2の層に隣接している、請求項43に記載の組成物。
【請求項47】
前記第1の層と前記第2の層との間に第3の層が配置されている、請求項43に記載の組成物。
【請求項48】
前記第1の層、前記第2の層、または前記第1の層と前記第2の層との両方が、さらに放出制御剤を含む、請求項43〜47のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記コーティングが、放出制御フィルムである、請求項43〜48のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
前記コーティングが、放出制御剤を含む、請求項43〜48のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
前記コーティングが、放出制御微粒子の第2の集団を含む、請求項43〜48および請求項50のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項52】
前記第2の層の薬学的活性物質が微粒子の第2の集団に配置されている、請求項43〜51のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
前記第1の層に配置された微粒子中の薬学的活性物質と前記第2の層の薬学的活性物質とが異なる、請求項43〜52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
前記第1の層が、微粒子内に配置されていない薬学的活性物質をさらに含み、前記薬学的活性物質が、前記第2の層に存在する薬学的活性物質と同じである、請求項43〜53のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項55】
前記組成物を破砕し、U.S.P.タイプI装置において100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの水に曝した場合、前記組成物が破砕され破壊される前に初めから前記組成物中に存在する前記薬学的活性物質の約50重量%未満が、前記水中に放出される、請求項1〜54のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項56】
初めから前記組成物中に存在する前記薬学的活性物質の約25重量%未満が、前記水中に放出される、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記組成物を破砕し、U.S.P.タイプI装置において100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの60%(v/v)エタノール含有水溶液に曝した場合、前記組成物が破壊される前に初めから前記組成物中に存在する前記薬学的活性物質の約50重量%未満が、前記水溶液中に放出される、請求項1〜56のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項58】
初めから前記組成物中に存在する前記薬学的活性物質の約25重量%未満が、前記水溶液中に放出される、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記組成物が、カプセル、カプレット、丸剤、または圧縮錠剤の形態である、請求項1〜58のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項60】
前記第1の層または前記第2の層に存在する前記薬学的活性物質の少なくとも1つが、乱用され得る薬物である、請求項1〜59のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項61】
前記薬物が、オピオイド鎮痛薬、催眠剤、抗不安薬、または呼吸促進薬である、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
前記オピオイド鎮痛薬が、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カーフェンタニル、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジプレノルフィン、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、β−ヒドロキシ−3−メチルフェンタニル、レボα−アセチルメタドール、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、ペチジン、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグからなる群から選択される、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
前記催眠剤が、アルプラゾラム、ジアゼパム、フルラゼパム、ロプラゾラム、メキサゾラム、ニトラゼパム、バルビツレート、クロルメチアゾール、エスゾピクロン、ラメルテオン、ザレプロン、ゾピクロン、ゾルピデム、ならびに、これらの薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグからなる群から選択される、請求項61に記載の組成物。
【請求項64】
前記抗不安薬が、アンフェタミン、アルプラゾラム、ジアゼパム、ロラゼパム、メダゼパム、オキサゼパム、ペンチレンテトラゾール、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグからなる群から選択される、請求項61に記載の組成物。
【請求項65】
前記呼吸促進薬が、カフェイン、テオフィリン、アンフェタミン、ベンズフェタミン塩酸塩、デキストロアンフェタミン、デキストロアンフェタミン硫酸塩、レバンフェタミン、レバンフェタミン塩酸塩、メタンフェタミン、メタンフェタミン塩酸塩、メチルフェニデート、メチルフェニデート塩酸塩、モダフィニル、ペモリン、シブトラミン、およびシブトラミン塩酸塩、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグからなる群から選択される、請求項61に記載の組成物。
【請求項66】
薬学的活性物質の放出を制御する方法であって、前記薬学的活性物質を必要とする個体に請求項1〜65のいずれか1項に記載の組成物を経口投与することを含む、方法。
【請求項1】
少なくとも1種類の薬学的活性物質を経口投与するための固体組成物であって、
(a)中に薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団を含む第1の層と、
(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層と、
(c)前記第1の層、前記第2の層、または前記第1の層と前記第2の層との両方に配置された高吸収性材料と
を含み、
(i)前記組成物が無傷の状態で水性環境に曝された場合、前記第2の層に配置された薬学的活性物質が、最初に、前記第1の層に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出され、
(ii)前記組成物が破砕されて水性環境に曝された場合、前記高吸水性材料が膨潤して、前記微粒子を捕捉するハードゲルを形成し、その際、前記ハードゲル、前記微粒子、または前記ハードゲルと前記微粒子との両方が、前記微粒子内に配置された少なくとも前記薬学的活性物質の放出を制御する、
組成物。
【請求項2】
前記高吸収性材料が、前記第1の層内に配置されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記高吸収性材料が、前記第2の層内に配置されている、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種類の薬学的活性物質を経口投与するための固体組成物であって、
(a)高吸収性材料と、中に薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団とを含む第1の層と、
(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層と
を含み、
(i)前記組成物が無傷の状態で水性環境に曝された場合、前記第2の層に配置された薬学的活性物質が、最初に、前記第1の層に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出され、
(ii)前記組成物が破砕されて水性環境に曝された場合、前記高吸水性材料が膨潤して、前記微粒子を捕捉するハードゲルを形成し、その際、前記ハードゲル、前記微粒子、または前記ハードゲルと前記微粒子との両方が前記微粒子内に配置された少なくとも前記薬学的活性物質の放出を制御する、
組成物。
【請求項5】
前記第2の層に配置された薬学的活性物質が、放出制御微粒子の第2の集団に存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1の層に存在する薬学的活性物質と前記第2の層に存在する薬学的活性物質とが同じである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1の層に存在する薬学的活性物質と前記第2の層に存在する薬学的活性物質とが異なる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1の層が、前記第2の層に隣接している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、2層である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1の層と前記第2の層との間に第3の層が配置されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1の層に存在する薬学的活性物質が、少なくとも6時間にわたって放出される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1の層に存在する薬学的活性物質が、少なくとも12時間にわたって放出される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記第1の層に存在する薬学的活性物質が、少なくとも24時間にわたって放出される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記高吸収性材料が、デンプングラフト共重合体、架橋カルボキシメチルセルロース誘導体、架橋ヒドロキシプロピルジスターチホスフェート、加水分解デンプンアクリロニトリルグラフト共重合体、および中和デンプンアクリル酸グラフト共重合体からなる群から選択される多糖類誘導体である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記高吸収性材料が、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ポリビニル酢酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルスルホン酸、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カラゲーナン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアミノプロパノールビニルエーテル、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリグルタミン、ポリカルボフィル、ポリカルボフィルカルシウム、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記高吸収性材料が、前記第1の層または前記第2の層の約1%〜約70%(w/w)を構成する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記高吸収性材料が、前記第1の層または前記第2の層の約2%〜約50%(w/w)を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記第1の層、前記第2の層、または前記第1の層と第2の層との両方が、さらに放出制御剤を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記放出制御剤が、アセテートサクシネート、ポリビニル誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギネート、ガム類、ポリメタクリレート、メタクリル酸とアクリル酸エチルとの共重合体、ポリメチルビニルエーテルと無水マロン酸との共重合体、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸またはそのエチル−、イソプロピル−、n−ブチルエステルとの共重合体、ゼイン、およびこれらのいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記第1の層、前記第2の層、または前記第1の層と第2の層との両方が、さらに、希釈剤、滑沢剤、流動化剤、またはこれらの混合物を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記第2の層が、さらに崩壊剤を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、さらに、前記第1の層と前記第2の層とを封入するコーティングを含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記コーティングが、放出制御コーティングである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記放出制御コーティングが、放出制御剤を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記放出制御剤が、アセテートサクシネート、ポリビニル誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギネート、ガム類、ポリメタクリレート、メタクリル酸とアクリル酸エチルとの共重合体、ポリメチルビニルエーテルと無水マロン酸との共重合体、ポリメチルビニルエーテルとマロン酸またはそのエチル−、イソプロピル−、n−ブチルエステルとの共重合体、ゼイン、およびこれらのいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記放出制御コーティングが、中に薬学的活性物質が配置されている微粒子の第3の集団を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記微粒子の第3の集団が、前記微粒子の第1の集団と同じである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記微粒子の第3の集団の薬学的活性物質が、前記微粒子の第1の集団の薬学的活性物質と同じである、請求項26または27に記載の組成物。
【請求項29】
前記微粒子の第3の集団が、前記微粒子の第2の集団と同じである、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記放出制御微粒子の第3の集団の薬学的活性物質が、前記放出制御微粒子の第2の集団の薬学的活性物質と同じである、請求項26〜29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
前記放出制御微粒子が、放出制御フィルムでコーティングされている、請求項1〜30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
前記放出制御フィルムが、ポリメタクリレート、セルロース、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記セルロース誘導体が、微結晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートブチレート、およびセルロースアセテートトリメリテートからなる群から選択される、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記ポリメタクリレートが、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートのポリマー混合物を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記微粒子の平均直径が、約1μmから約1000μmの範囲である、請求項1〜34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
前記微粒子の平均直径が、約200μmから約900μmの範囲である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記微粒子の平均直径が、約300μmから約800μmの範囲である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記微粒子の平均直径が、約700μmである、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記微粒子の平均直径が、約1μmから約400μmの範囲である、請求項35に記載の組成物。
【請求項40】
前記微粒子の平均直径が、約5μmから約300μmの範囲である、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記微粒子の平均直径が、約10μmから約200μmの範囲である、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記微粒子の平均直径が、約100μmである、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
少なくとも1種類の薬学的活性物質を経口投与するための固体組成物であって、
(a)中に薬学的活性物質が配置されている放出制御微粒子の第1の集団を含む第1の層と、
(b)中に薬学的活性物質が配置されている第2の層と、
(c)前記第1の層、前記第2の層、または前記第1の層と前記第2の層との両方に配置された高吸収性材料と、
(d)前記第1の層と前記第2の層の両方を封入するコーティングと
を含み、
(i)前記組成物が無傷の状態で水性環境に曝された場合、前記第2の層に配置された薬学的活性物質が、最初に、前記第1の層に配置された薬学的活性物質より速い速度で放出され、
(ii)前記組成物が破砕されて水性環境に曝された場合、前記高吸水性材料が膨潤して、前記微粒子を捕捉するハードゲルを形成し、その際、前記ハードゲル、前記微粒子、または前記ハードゲルと前記微粒子との両方が、前記微粒子内に配置された少なくとも前記薬学的活性物質の放出を制御する、
組成物。
【請求項44】
前記高吸収性材料が、前記第1の層内に配置されている、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記高吸収性材料が、前記第2の層内に配置されている、請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
前記第1の層が、前記第2の層に隣接している、請求項43に記載の組成物。
【請求項47】
前記第1の層と前記第2の層との間に第3の層が配置されている、請求項43に記載の組成物。
【請求項48】
前記第1の層、前記第2の層、または前記第1の層と前記第2の層との両方が、さらに放出制御剤を含む、請求項43〜47のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記コーティングが、放出制御フィルムである、請求項43〜48のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
前記コーティングが、放出制御剤を含む、請求項43〜48のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
前記コーティングが、放出制御微粒子の第2の集団を含む、請求項43〜48および請求項50のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項52】
前記第2の層の薬学的活性物質が微粒子の第2の集団に配置されている、請求項43〜51のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
前記第1の層に配置された微粒子中の薬学的活性物質と前記第2の層の薬学的活性物質とが異なる、請求項43〜52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
前記第1の層が、微粒子内に配置されていない薬学的活性物質をさらに含み、前記薬学的活性物質が、前記第2の層に存在する薬学的活性物質と同じである、請求項43〜53のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項55】
前記組成物を破砕し、U.S.P.タイプI装置において100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの水に曝した場合、前記組成物が破砕され破壊される前に初めから前記組成物中に存在する前記薬学的活性物質の約50重量%未満が、前記水中に放出される、請求項1〜54のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項56】
初めから前記組成物中に存在する前記薬学的活性物質の約25重量%未満が、前記水中に放出される、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記組成物を破砕し、U.S.P.タイプI装置において100rpmで30分間37℃で攪拌しながら900mLの60%(v/v)エタノール含有水溶液に曝した場合、前記組成物が破壊される前に初めから前記組成物中に存在する前記薬学的活性物質の約50重量%未満が、前記水溶液中に放出される、請求項1〜56のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項58】
初めから前記組成物中に存在する前記薬学的活性物質の約25重量%未満が、前記水溶液中に放出される、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記組成物が、カプセル、カプレット、丸剤、または圧縮錠剤の形態である、請求項1〜58のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項60】
前記第1の層または前記第2の層に存在する前記薬学的活性物質の少なくとも1つが、乱用され得る薬物である、請求項1〜59のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項61】
前記薬物が、オピオイド鎮痛薬、催眠剤、抗不安薬、または呼吸促進薬である、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
前記オピオイド鎮痛薬が、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カーフェンタニル、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジプレノルフィン、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、β−ヒドロキシ−3−メチルフェンタニル、レボα−アセチルメタドール、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、ペチジン、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグからなる群から選択される、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
前記催眠剤が、アルプラゾラム、ジアゼパム、フルラゼパム、ロプラゾラム、メキサゾラム、ニトラゼパム、バルビツレート、クロルメチアゾール、エスゾピクロン、ラメルテオン、ザレプロン、ゾピクロン、ゾルピデム、ならびに、これらの薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグからなる群から選択される、請求項61に記載の組成物。
【請求項64】
前記抗不安薬が、アンフェタミン、アルプラゾラム、ジアゼパム、ロラゼパム、メダゼパム、オキサゼパム、ペンチレンテトラゾール、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグからなる群から選択される、請求項61に記載の組成物。
【請求項65】
前記呼吸促進薬が、カフェイン、テオフィリン、アンフェタミン、ベンズフェタミン塩酸塩、デキストロアンフェタミン、デキストロアンフェタミン硫酸塩、レバンフェタミン、レバンフェタミン塩酸塩、メタンフェタミン、メタンフェタミン塩酸塩、メチルフェニデート、メチルフェニデート塩酸塩、モダフィニル、ペモリン、シブトラミン、およびシブトラミン塩酸塩、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグからなる群から選択される、請求項61に記載の組成物。
【請求項66】
薬学的活性物質の放出を制御する方法であって、前記薬学的活性物質を必要とする個体に請求項1〜65のいずれか1項に記載の組成物を経口投与することを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−512139(P2012−512139A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539865(P2011−539865)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001823
【国際公開番号】WO2010/069050
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(507176404)ラボファーム インコーポレイテッド (8)
【出願人】(507175050)ラボファーム ユーロープ リミテッド (8)
【出願人】(510167969)ラボファーム (バルバドス) リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001823
【国際公開番号】WO2010/069050
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(507176404)ラボファーム インコーポレイテッド (8)
【出願人】(507175050)ラボファーム ユーロープ リミテッド (8)
【出願人】(510167969)ラボファーム (バルバドス) リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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