読み取り装置
【課題】複数の原稿群を読み取らせる際のユーザの手間が軽くなる読み取り装置の提供。
【解決手段】読み取り部に両面を読み取らせて(S350)、読み取り結果を原稿群Aに分類すべきか原稿群Bに分類すべきかを、裏面が白紙か否かに基づいて判断する(S360)。原稿群Aに属すると判断すると(S360No)、原稿群Aについて設定された出力を実行させる(S330)。原稿群Bに属すると判断すると(S360Yes)、原稿群Bについての出力を実行させる(S380)。
【解決手段】読み取り部に両面を読み取らせて(S350)、読み取り結果を原稿群Aに分類すべきか原稿群Bに分類すべきかを、裏面が白紙か否かに基づいて判断する(S360)。原稿群Aに属すると判断すると(S360No)、原稿群Aについて設定された出力を実行させる(S330)。原稿群Bに属すると判断すると(S360Yes)、原稿群Bについての出力を実行させる(S380)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
原稿を読み取る読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給紙位置にセットされた複数枚の原稿を連続的に読み取る装置(ADF:Auto Document Feeder)が既に知られている。さらに、原稿の両面を一度の搬送で読み取り可能なADFにおいて、読み取り動作の割り込み(以下、単に「割り込み」という)が可能な技術が開示されている(特許文献1)。この技術において割り込みを実現するためには、ある処理(FAX等)のために既に給紙位置にセットされている原稿(以下「原稿群A」という)をADFによる読み取り途中に除けた後に、別の処理(コピー等)のために割り込ませる原稿(以下「原稿群B」という)を給紙位置にセットする必要がある。そして、原稿群Bの処理が終わった後に、再び原稿群Aを給紙位置にセットする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−073036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先述した技術の課題は、上記のような面倒な作業を求めており、ユーザに手間を取らせていたことである。また、割り込み(原稿群A→原稿群B→原稿群A→終了)に限らず、単に順番に読み取らせる場合(原稿群A→原稿群B→終了)であってもやはり、複数の原稿群を予め給紙位置に載置し、連続して別の読み取り処理を行うことができず、原稿群Aの読み取りが終わってからユーザによる何らかの操作(原稿群Aの読み取りが終わったのを確認してから原稿群Bを給紙位置にセットする等)が必要であった。本発明は、この課題を解決するために、複数の原稿群を読み取らせる際のユーザの手間が軽くなる読み取り装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するためになされた請求項1の発明は、複数枚の原稿の両面または片面を連続的に読み取り可能な読み取り手段と、読み取り手段によって両面が読み取られた原稿の特定側の片面が無地か否かに基づいて、読み取り手段の読み取り結果を異なるグループに分類する分類手段とを備えることを特徴とする読み取り装置である。
【0006】
この読み取り装置によれば、複数の原稿群を読み取らせる際のユーザの手間が軽くなる。なぜなら、無地か否かによって、原稿群の切り替わりを検出することで、複数の原稿群を連続して読み取らせても、読み取り結果は分類されるからである。なお、無地か否かで分類できるような原稿群同士(例えば、原稿群A:表面無地/裏面無地でない、原稿群B:表面無地でない/裏面無地、原稿群C:両面無地でない)である必要がある。なお、原稿「群」と言っているが、一枚も含む。このように分類が行われれば、分類された読み取り結果それぞれについて、別々の処理が実行可能になる。
【0007】
ところで、常に分類のための判断を行わなければならないと、装置に負荷がかかる。そこで次のようにすると良い。請求項2の発明は、分類手段は、読み取り結果を特定側の片面が無地か否かに関係なく分類する第一モードから、読み取り結果を特定側の片面が無地か否かに基づいて分類する第二モードへ、ユーザの指示に従って切り換える切り換え手段を備えると共に、読み取り手段による連続的な読み取りが始まってから一回目の切り換え指示までは、第一モードであると共に読み取り結果を同じグループに分類することを特徴とする請求項1の読み取り装置である。
【0008】
この読み取り装置によれば、無駄な分類を行うための判断(読み取り手段によって両面が読み取られた原稿の特定側の片面が無地か否か)を省くことができる。なぜなら、ユーザが切換指示をするまでは、読み取り結果を全て同じグループに分類すればよいからである。また分類のための判断をするには原稿の両面を読み取る必要があるが、このように無駄な判断を減らすことによって、原稿の両面を読み取る回数を減らすことができる。従って、無駄な読み取りを行うことがなくなり、速やかに読み取りを実行することができる。
【0009】
なお、切り換え指示後の第一モードにおいては、分類手段は、ある特定の一つのグループに分類する、或いは枚数に基づいて分類するなどの単純な方法によって分類すればよい。
【0010】
分類のための判断をさらに減らすには、次のようにすると良い。請求項3の発明は、分類手段は、読み取り結果をグループA又はグループBに分類すると共に、第一モードでは読み取り結果をグループAに分類するようになっており、切り換え手段は、第二モードにおいて読み取り結果のグループBへの分類が始まり、その後グループBへの分類が終わったか否かを、特定側の片面が無地か否かに基づいて判断する終了判断手段を備えると共に、グループBへの分類が終わったと終了判断手段によって判断されると、第二モードから第一モードへ切り換えることを特徴とする請求項2の読み取り装置である。
【0011】
この読み取り装置によれば、グループBへの分類が終わった後は、分類を行うための判断(読み取り手段によって両面が読み取られた原稿の特定側の片面が無地か否か)を省くことができる。なぜなら、グループBへの分類が終わった後は、読み取り結果を全て同じグループAに分類すればよいからである。このように無駄な判断をさらに減らすことによって、さらに速やかに読み取りを実行することができる。
【0012】
分類のための判断を減らすために、次のようにしても良い。請求項4の発明は、分類手段は、読み取り結果をグループA又はグループBに分類すると共に、読み取り手段による連続的な読み取りが始まってから一回目の切り換え指示までは読み取り結果をグループAに分類するようになっており、切り換え手段は、第二モードにおいて読み取り結果のグループBへの分類が始まったか否かを、特定側の片面が無地か否かに基づいて判断する開始判断手段を備えると共に、グループBへの分類が始まったと開始判断手段によって判断されると、第二モードから第一モードへ切り換え、分類手段は、グループBへの分類が始まったと開始判断手段によって判断されてから所定枚数分の読み取り結果をグループBに分類し、そのグループBへの分類が終わると読み取り結果をグループAに分類することを特徴とする請求項2の読み取り装置である。
【0013】
この読み取り装置によれば、無駄な分類を行うための判断(読み取り手段によって両面が読み取られた原稿の特定側の片面が無地か否か)を省くことができる。なぜなら、グループBの分類が始まってから所定枚数分は、読み取り結果を全て同じグループBに分類すればよく、グループBの分類が終わったと判断されてからは読み取り結果を全て同じグループAに分類すればよいからである。しかも、グループBの原稿群は一枚目を除いて、無地か否かについて制約がないので、読み取らせることができる原稿の自由度が大きい。このように無駄な判断をさらに減らすことによって、さらに速やかに読み取りを実行することができる。
【0014】
ところで、分類をさせたくない場合や誤操作を防ぎたい場合がある。そこで次のようにすると良い。請求項5の発明は、切り換え手段によって第一モードから第二モードへ切り換えられることを禁止する禁止手段を備えることを特徴とする請求項2〜請求項4何れかの読み取り装置である。
【0015】
この読み取り装置によれば、ユーザが読み取り結果を同じグループとして読み取りたい場合は、読み取り結果を異なるグループに分類することを禁止することができる。また、誤操作を予防できる。
【0016】
ところで、分類判断の負荷を減らすのに加えて、読み取りの負荷も軽減できるのが望ましい。そこで次のようにすると良い。請求項6の発明は、異なる原稿群ごとに原稿の読み取り面をユーザに設定させる設定手段を備え、読み取り手段は、第一モードにおいては設定手段によって設定された読み取り面を読み取り、第二モードにおいては両面を読み取ることを特徴とする請求項2〜請求項5何れかの読み取り装置である。
【0017】
この読み取り装置によれば、無駄な読み取りを省くことができる。第一モードにおいては設定された読み取り面のみを読み取ればよいからである。
【0018】
ところで、分類判断のための条件をユーザが間違えると、正常に分類をすることができない。そこで次のようにすると良い。請求項7の発明は、異なる原稿群ごとに原稿の読み取り面をユーザに設定させる設定手段を備え、設定手段は、読み取り結果を異なるグループに分類すべき複数の原稿群のうち、読み取り面の設定を後で行う原稿群については、先に行われた設定に対して読み取り結果の分類が可能となる読み取り面の候補の中から設定させることを特徴とする請求項1〜請求項5何れかの読み取り装置である。この読み取り装置によれば、読み取り面が間違って設定される可能性が減るので、分類を正常に実行しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】複合機の外観図。
【図2】複合機のブロック構成図。
【図3】原稿群A処理を示すフローチャート。
【図4】割り込み指示の設定画面。
【図5】原稿群B処理を示すフローチャート。
【図6】割り込みのための条件を示すテーブル。
【図7】原稿群Bについての読み取り面の設定画面。
【図8】第一分類処理を示すフローチャート。
【図9】原稿群Bの枚数の設定画面。
【図10】第二分類処理を示すフローチャート。
【図11】第二分類処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明が適用された複合機1の外観図である。複合機1は、操作パネル10とADF20とを備える。また、複合機1は、FAX・コピー・スキャナの各機能を備える。
【0022】
図2は、複合機1のブロック構成図である。図に示すように、操作パネル10・ADF20・読み取り部30・FAX出力部40・スキャナ出力部50・コピー出力部60はそれぞれ、制御部100が制御できるようになっている。
【0023】
制御部100は、操作パネル10を通じて入力された操作情報に基づいて、ADF20に原稿を引き込ませて、読み取り部30に原稿を読み取らせる。そして、制御部100は、読み取り結果を、FAX出力部40、スキャナ出力部50又はコピー出力部60に出力させる。なお、FAX出力部40・スキャナ出力部50・コピー出力部60とは、各名称に対応する機能を実現するためのハードウェア資源である。ここで、スキャナ出力部50とは、読み取り結果を複合機1に接続されたPCやサーバに送信したり、複合機1の内部や複合機1に着脱可能な記憶媒体に記憶させる処理を行ったりするものである。
【0024】
また、読み取り部30は、原稿の両面を読み取り可能になっている。表面だけ又は裏面だけの読み取りもできる。そして、読み取り部30は、原稿の表面と裏面とを別々のセンサーで読み取るようになっている。
【0025】
図3は、原稿群A処理を示すフローチャートである。原稿群Aとは、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、後述する処理によって他の原稿群に割り込まれる場合がある原稿群のことである。原稿群A処理は、制御部100が、原稿群A処理の開始指示を操作パネル10を通じて受けたことを契機に開始する処理である。
【0026】
まず、各種設定指示の入力を操作パネル10を通じて受ける(S110)。具体的には、コピー/FAX/スキャンから一つを選択する指示、両面読み取り/表面(片面)読み取りの選択指示などを受ける。そして、原稿群Aの読み取り中における割り込み(図5〜図7参照)を許可するか否かの入力を受ける(S120)。
【0027】
図4は、割り込みを許可するか否かの入力を受けるために、操作パネル10に表示される画面である。図4(a)は表面読み取りが設定された場合、図4(b)は両面読み取りが設定された場合である。ユーザは、割り込みを許可する場合は「はい」、許可しない場合は「いいえ」を選択する。また、表面読み取りの場合、裏面が白紙でない原稿を含むときは、ユーザは「いいえ」を選択しなければならない(図6参照)。一方、両面読み取りの場合、裏面が白紙の原稿を含むときは、ユーザは「いいえ」を選択しなければならない(図6参照)。
【0028】
図3に戻る。割り込みを許可しないという入力を受けると(S120No)、ADF20に原稿を引き込ませ(S130)、読み取り部30に原稿を読み取らせて(S140)、S110での設定通りに、FAX出力部40、スキャナ出力部50又はコピー出力部60に出力を実行させる(S150)。なお、ここでの出力の実行とは、必ずしも一枚読み取る度に出力を完了させることとは限らない。例えばコピーの場合なら、一枚読み取る度に印刷を順次実行すればよい。一方FAXの場合なら、このステップでは読み取り結果を記憶するための処理を実行し、全て読み取ってからまとめて送信するようにすればよい。
【0029】
そして、ADF20に原稿がある間は(S160Yes)、S130〜S150を繰り返し、ADF20に原稿がなくなったと判断すると(S160No)、原稿群A処理を終える。
【0030】
一方、割り込みを許可するという入力を受けると(S120Yes)、第一分類処理(図8参照)を実行して(S170)、原稿群A処理を終える。(第二分類処理は実施例2で説明する。)
割り込み指示について説明する。図5は、原稿群B処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部100が、原稿群A処理の実行中に繰り返し実行する処理である(但し、第一分類処理(図8参照)のS320でYesと判断してからS390で割り込み指示が解除されるまでは実行しない)。原稿群Bとは、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、原稿群Aに対して割り込ませる原稿群のことである。
【0031】
まず、割り込み許可がされているかを判断する(S210)。されていないと判断すると(S210No)、この処理を終える。一方、許可されていると判断すると(S210Yes)、原稿群A処理のS110において設定された読み取り面に基づいて、原稿群Bについて読み取り可能な面を操作パネル10に表示する(S220)。原稿群Bについて読み取り可能な面について、図6を用いて説明する。
【0032】
図6は、割り込みを実現するための条件を示したテーブルである。このテーブルは複合機1の内部に予め記憶されている。まず、原稿群Aが表面読み取りの場合、割り込みを許可するときは、先述したように、原稿群Aの裏面全てが白紙であることをユーザが確認しなければならない。(白紙でないものを含んでいたとしても、第一分類処理(図8参照)は進行していく。しかし、原稿群Aの裏面が全て白紙であることを前提とした処理なので、割り込みが正常に実行されない可能性がでてくる。)このときに、原稿群Bの読み取り面として設定可能なのは、裏面または両面である。そして、原稿群Bの裏面全てに画像データが有る(白紙でない)ことをユーザが確認しなければならない。
【0033】
一方、原稿群Aが両面読み取りの場合、割り込みを許可するときは、原稿群Aの裏面全てに画像データが有ることをユーザが確認しなければならない。このときに、原稿群Bの読み取り面として設定可能なのは、表面である。そして、原稿群Bの裏面全てが白紙であることをユーザが確認しなければならない。このような関係が満たされれば、裏面が白紙か否かに基づいて読み取り結果が分類できる。
【0034】
図7に移る。図7は、S220において操作パネル10に表示される画面である。図7(a)は原稿群Aの読み取り面が表面の場合、図7(b)は原稿群Aの読み取り面が両面の場合である。図7(a)に示すように、原稿群Aの読み取り面が表面の場合は、原稿群Bについて裏面読み取りか、両面読み取りかをユーザに設定させるようになっている。また、図7(b)に示すように、原稿群Aの読み取り面が両面の場合は、原稿群Bについて表面読み取りで良いか否かを入力させるようになっている。
【0035】
図5に戻る。図7で説明した画面を通じて、読み取り面の入力を受け付ける(S230)。そして、各種設定指示を受け付け(S240)、割り込み指示の確定を受け付けると(S250)、この処理を終える。なお、S250の後に、ユーザは原稿群BをADF20に載置する必要がある。複合機1が割り込み指示を受け付ける前は、全て原稿群Aの設定で読み取りが行われ、出力されてしまうからである。なお、原稿群Aに割り込ませるように載置してもよいし、原稿群Aの読み取りが終わってから原稿群Bの読み取りが始まるように載置してもよい。このようにして、割り込み指示が入力されることで、第一分類処理が始まることになる。
【0036】
図8は、第一分類処理を示すフローチャートである。まず、ADF20に原稿を引き込ませる(S310)。そして、割り込み指示があるかを判断する(S320)。ここで、S250(図5)で割り込み指示の確定を受け付けている場合は、割り込み指示があると判断する。この判断は、無駄に両面を読み取ることを防ぐためのものである。
【0037】
割り込み指示ありと判断すると(S320Yes)、原稿群A又は原稿群Bについて設定された読み取り面に関係なく、読み取り部30に両面を読み取らせる(S350)。そして、S310で引き込んだ原稿が原稿群Bに属するのかを、裏面の読み取り結果に基づいて判断する(S360)。ここでは、読み取った原稿が先述した図6に示す裏面条件のいずれを満たすかに基づいて判断される。例えば、原稿群Aの読み取り面が表面で、原稿群Bの読み取り面が裏または両面に設定されていた場合、読み取られた原稿の裏面に画像データがあるときは、読み取った原稿は原稿群Bに属すると判断される。原稿群Aに属すると判断すると(S360No)、前の原稿が原稿群Bに属するものだったかを判断する(S370)。原稿群Aに属するものだったと判断すると(S370No)、S350の読み取り結果に基づいて、原稿群Aについて設定された出力を実行させる(S330)。
【0038】
そして、ADF20にまだ原稿があるかを判断する(S340)。あると判断すると(S340Yes)、S310に戻る。つまり、割り込み指示あってから、原稿群Aに属する原稿を引き込んでいる間は、上記のステップを繰り返す。
【0039】
一方、S310で引き込んだ原稿が原稿群Bに属すると判断すると(S360Yes)、その原稿の読み取り結果に基づいて、原稿群Bについての出力を実行させる(S380)。そして、S340に進む。そして、原稿群Bに属する原稿を引き込んでいる間は、S360Yesと判断し続けるので、原稿群Bについての出力を継続する。
【0040】
そして、再び原稿群Aを引き込んだと判断すると(S360No)、前の原稿は原稿群Bに属するので(S370Yes)、割り込み指示を解除する(原稿群Bへの分類が終了したと見なす)(S390)。そして、読み取り結果に基づいて、原稿群Aについての出力を実行する(S330)。そして、まだ原稿があると判断すると(S340Yes)、ADF20に原稿を引き込ませて(S310)、割り込み指示が無いと判断すると(S320No)、原稿群Aについて設定された読み取り面を読み取り(S325)、原稿群Aについての出力を実行させる(S330)。そして、ADF20に原稿が無いと判断すると(S340No)、この処理を終える。
【0041】
なお、処理が終わる前に再び割り込み指示があれば、S320Yesと判断し、再び原稿群Bの出力を実行させることになる。
【0042】
効果を述べる。複合機1によれば、割り込みによって複数の原稿群を読み取らせる際のユーザの手間が軽くなる。原稿群Aと原稿群Bとの切り替えが自動的に判断されるので、原稿群Aの読み取り途中であっても、原稿群Aを除けることなく、原稿群BをADF20に載置できるからである。
【0043】
ところで、読み取り結果をグループAかグループBかに分類するためには両面を読み取らなくてはならない。そこで、割り込み指示前、及び割り込み指示後に原稿群Bの読み取りが終わった後については、原稿群Aについて設定された読み取り面を読み取り部30が読み取るようになっているので、常に両面を読み取るのを避けて、無駄な読み取りを省いている。
【0044】
また、原稿群Bについて読み取り可能な面が操作パネル10に表示されるので、ユーザはその指示に従えばよく、便利である。また、割り込み禁止を設定することができるので、誤操作を防ぐことができる。また、読み取り部30は、二つのセンサーによって読み取りを実行するので、読み取りがスムーズである。
【実施例2】
【0045】
実施例1と違う点だけを説明する。違う点は、原稿群B処理のS240、及び第一分類処理に替えて第二分類処理を実行することである。まず、原稿群B処理のS240から説明する。このステップにおいて、実施例1でも受け付ける各種設定指示に加え、原稿群Bの枚数の入力を受け付ける(図9参照)。この枚数を示す数字をMとする。この情報は、第二分類処理で用いる。
【0046】
図10は、第二分類処理を示すフローチャートである。まず、ADF20に原稿を引き込ませる(S410)。そして、割り込み指示があるかを判断する(S420)。割り込み指示ありと判断すると(S420Yes)、設定された読み取り面に関係なく、読み取り部30に両面を読み取らせる(S450)。そして、S410で引き込んだ原稿が原稿群Bに属するのかを、裏面の読み取り結果に基づいて判断する(S460)。原稿群Aに属すると判断すると(S460No)、(ここから図11)S450の読み取り結果に基づいて、原稿群Aについての出力を実行させる(S430)。
【0047】
そして、ADF20にまだ原稿があるかを判断する(S440)。あると判断すると(S440Yes)、(ここから図10)S410に戻る。
【0048】
一方、S410で引き込んだ原稿が原稿群Bに属すると判断すると(S460Yes)、(ここから図11)原稿群Bを処理した枚数を示す変数nに零を代入する(S465)。そして、原稿群Bについての出力を実行させる(S470)。そして、nに1を足す(S475)。そして、ADF20に原稿がまだあると判断すると(S480Yes)、nがM以上かを判断する(S485)。nがM未満と判断すると(S485No)、ADF20に原稿を引き込ませて(S490)、原稿群Bについて設定された読み取り面を読み取って(S493)、S470に戻る。
【0049】
一方、nがM以上と判断すると(S485Yes)、割り込み指示を解除する(S495)。そして、ADF20に原稿がまだあると判断すると(S440Yes)、(ここから図10)S410に戻る。再度の割り込み指示がない場合は、S420でNoと判断することになり、原稿群Aについて設定された読み取り面を読み取って(S425)、S430に進む。
【0050】
割り込み指示が再びあれば、S420でYesと判断して、S450に進む。そして、ADF20に原稿が無いと判断する(S440No又はS480No)、この処理を終える。
【0051】
効果を述べる。実施例1と同じ効果を奏する。さらに、両面を読み取らなくてはいけない期間は、割り込み指示後(S420Yes)から、原稿群Bの一枚目の原稿を検出するまで(S460Yes)なので、実施例1よりも更に短くなっている。また、原稿群Bの一枚目以外は、裏面が白紙か否かについて条件が課されない。
【0052】
変形例を述べる。表面が白紙か否かで分類判断をしても良い。そうすると、原稿群Aについて、裏面だけの読み取りが可能になる。この場合、原稿群Aは表面が白紙である必要があり、原稿群Bは、設定可能読み取り面が表面または両面であると共に、表面に画像データが有ることが必要である。
【0053】
また、表面が白紙か否かで分類判断をする場合、原稿群Aの表面に画像データがあること、原稿群Bの表面が白紙であること、という分類の仕方もできる。そうすると、原稿群Aが表面読み取りの場合でも、裏面が白紙でも白紙でなくても構わなくなる。
【0054】
また、白紙でなくても無地(例えば真っ黒)か否かで、原稿群の違いを判断するようになっていても良い。また、読み取り部30のセンサーは二つでなくても、両面読み取りができるのなら一つでも良い。
【0055】
また、常に両面を読み取り、常に分類判断をするようにしても良い。具体的には、第一分類処理において、S320・S370・S390を飛ばすと共に、S325において両面読み取りをすることで実現できる。そうすれば、どのように原稿群が混ざっていても構わなくなる。また、複合機でなくても、原稿を読み取る他の装置に適用してもよい。
【0056】
実施例と特許請求の範囲との対応を述べる。S110・S230が設定手段、S120が禁止手段、S140・S325・S350・S425・S450・S493が読み取り手段、原稿群A処理・第一/第二分類処理(読み取り手段に相当するステップ除く)が分類手段、S320・S360・S420・S460が切り換え手段、S360が終了判断手段、S460が開始判断手段、のソフトウェアにそれぞれ相当する。また、S320No・S360No・S420No・S460Yesと判断した後が第一モード、反対の判断をした後が第二モードに相当する。
【符号の説明】
【0057】
1…複合機、10…操作パネル、20…ADF、30…読み取り部、40…FAX出力部、50…スキャナ出力部、60…コピー出力部、100…制御部
【技術分野】
【0001】
原稿を読み取る読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給紙位置にセットされた複数枚の原稿を連続的に読み取る装置(ADF:Auto Document Feeder)が既に知られている。さらに、原稿の両面を一度の搬送で読み取り可能なADFにおいて、読み取り動作の割り込み(以下、単に「割り込み」という)が可能な技術が開示されている(特許文献1)。この技術において割り込みを実現するためには、ある処理(FAX等)のために既に給紙位置にセットされている原稿(以下「原稿群A」という)をADFによる読み取り途中に除けた後に、別の処理(コピー等)のために割り込ませる原稿(以下「原稿群B」という)を給紙位置にセットする必要がある。そして、原稿群Bの処理が終わった後に、再び原稿群Aを給紙位置にセットする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−073036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先述した技術の課題は、上記のような面倒な作業を求めており、ユーザに手間を取らせていたことである。また、割り込み(原稿群A→原稿群B→原稿群A→終了)に限らず、単に順番に読み取らせる場合(原稿群A→原稿群B→終了)であってもやはり、複数の原稿群を予め給紙位置に載置し、連続して別の読み取り処理を行うことができず、原稿群Aの読み取りが終わってからユーザによる何らかの操作(原稿群Aの読み取りが終わったのを確認してから原稿群Bを給紙位置にセットする等)が必要であった。本発明は、この課題を解決するために、複数の原稿群を読み取らせる際のユーザの手間が軽くなる読み取り装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するためになされた請求項1の発明は、複数枚の原稿の両面または片面を連続的に読み取り可能な読み取り手段と、読み取り手段によって両面が読み取られた原稿の特定側の片面が無地か否かに基づいて、読み取り手段の読み取り結果を異なるグループに分類する分類手段とを備えることを特徴とする読み取り装置である。
【0006】
この読み取り装置によれば、複数の原稿群を読み取らせる際のユーザの手間が軽くなる。なぜなら、無地か否かによって、原稿群の切り替わりを検出することで、複数の原稿群を連続して読み取らせても、読み取り結果は分類されるからである。なお、無地か否かで分類できるような原稿群同士(例えば、原稿群A:表面無地/裏面無地でない、原稿群B:表面無地でない/裏面無地、原稿群C:両面無地でない)である必要がある。なお、原稿「群」と言っているが、一枚も含む。このように分類が行われれば、分類された読み取り結果それぞれについて、別々の処理が実行可能になる。
【0007】
ところで、常に分類のための判断を行わなければならないと、装置に負荷がかかる。そこで次のようにすると良い。請求項2の発明は、分類手段は、読み取り結果を特定側の片面が無地か否かに関係なく分類する第一モードから、読み取り結果を特定側の片面が無地か否かに基づいて分類する第二モードへ、ユーザの指示に従って切り換える切り換え手段を備えると共に、読み取り手段による連続的な読み取りが始まってから一回目の切り換え指示までは、第一モードであると共に読み取り結果を同じグループに分類することを特徴とする請求項1の読み取り装置である。
【0008】
この読み取り装置によれば、無駄な分類を行うための判断(読み取り手段によって両面が読み取られた原稿の特定側の片面が無地か否か)を省くことができる。なぜなら、ユーザが切換指示をするまでは、読み取り結果を全て同じグループに分類すればよいからである。また分類のための判断をするには原稿の両面を読み取る必要があるが、このように無駄な判断を減らすことによって、原稿の両面を読み取る回数を減らすことができる。従って、無駄な読み取りを行うことがなくなり、速やかに読み取りを実行することができる。
【0009】
なお、切り換え指示後の第一モードにおいては、分類手段は、ある特定の一つのグループに分類する、或いは枚数に基づいて分類するなどの単純な方法によって分類すればよい。
【0010】
分類のための判断をさらに減らすには、次のようにすると良い。請求項3の発明は、分類手段は、読み取り結果をグループA又はグループBに分類すると共に、第一モードでは読み取り結果をグループAに分類するようになっており、切り換え手段は、第二モードにおいて読み取り結果のグループBへの分類が始まり、その後グループBへの分類が終わったか否かを、特定側の片面が無地か否かに基づいて判断する終了判断手段を備えると共に、グループBへの分類が終わったと終了判断手段によって判断されると、第二モードから第一モードへ切り換えることを特徴とする請求項2の読み取り装置である。
【0011】
この読み取り装置によれば、グループBへの分類が終わった後は、分類を行うための判断(読み取り手段によって両面が読み取られた原稿の特定側の片面が無地か否か)を省くことができる。なぜなら、グループBへの分類が終わった後は、読み取り結果を全て同じグループAに分類すればよいからである。このように無駄な判断をさらに減らすことによって、さらに速やかに読み取りを実行することができる。
【0012】
分類のための判断を減らすために、次のようにしても良い。請求項4の発明は、分類手段は、読み取り結果をグループA又はグループBに分類すると共に、読み取り手段による連続的な読み取りが始まってから一回目の切り換え指示までは読み取り結果をグループAに分類するようになっており、切り換え手段は、第二モードにおいて読み取り結果のグループBへの分類が始まったか否かを、特定側の片面が無地か否かに基づいて判断する開始判断手段を備えると共に、グループBへの分類が始まったと開始判断手段によって判断されると、第二モードから第一モードへ切り換え、分類手段は、グループBへの分類が始まったと開始判断手段によって判断されてから所定枚数分の読み取り結果をグループBに分類し、そのグループBへの分類が終わると読み取り結果をグループAに分類することを特徴とする請求項2の読み取り装置である。
【0013】
この読み取り装置によれば、無駄な分類を行うための判断(読み取り手段によって両面が読み取られた原稿の特定側の片面が無地か否か)を省くことができる。なぜなら、グループBの分類が始まってから所定枚数分は、読み取り結果を全て同じグループBに分類すればよく、グループBの分類が終わったと判断されてからは読み取り結果を全て同じグループAに分類すればよいからである。しかも、グループBの原稿群は一枚目を除いて、無地か否かについて制約がないので、読み取らせることができる原稿の自由度が大きい。このように無駄な判断をさらに減らすことによって、さらに速やかに読み取りを実行することができる。
【0014】
ところで、分類をさせたくない場合や誤操作を防ぎたい場合がある。そこで次のようにすると良い。請求項5の発明は、切り換え手段によって第一モードから第二モードへ切り換えられることを禁止する禁止手段を備えることを特徴とする請求項2〜請求項4何れかの読み取り装置である。
【0015】
この読み取り装置によれば、ユーザが読み取り結果を同じグループとして読み取りたい場合は、読み取り結果を異なるグループに分類することを禁止することができる。また、誤操作を予防できる。
【0016】
ところで、分類判断の負荷を減らすのに加えて、読み取りの負荷も軽減できるのが望ましい。そこで次のようにすると良い。請求項6の発明は、異なる原稿群ごとに原稿の読み取り面をユーザに設定させる設定手段を備え、読み取り手段は、第一モードにおいては設定手段によって設定された読み取り面を読み取り、第二モードにおいては両面を読み取ることを特徴とする請求項2〜請求項5何れかの読み取り装置である。
【0017】
この読み取り装置によれば、無駄な読み取りを省くことができる。第一モードにおいては設定された読み取り面のみを読み取ればよいからである。
【0018】
ところで、分類判断のための条件をユーザが間違えると、正常に分類をすることができない。そこで次のようにすると良い。請求項7の発明は、異なる原稿群ごとに原稿の読み取り面をユーザに設定させる設定手段を備え、設定手段は、読み取り結果を異なるグループに分類すべき複数の原稿群のうち、読み取り面の設定を後で行う原稿群については、先に行われた設定に対して読み取り結果の分類が可能となる読み取り面の候補の中から設定させることを特徴とする請求項1〜請求項5何れかの読み取り装置である。この読み取り装置によれば、読み取り面が間違って設定される可能性が減るので、分類を正常に実行しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】複合機の外観図。
【図2】複合機のブロック構成図。
【図3】原稿群A処理を示すフローチャート。
【図4】割り込み指示の設定画面。
【図5】原稿群B処理を示すフローチャート。
【図6】割り込みのための条件を示すテーブル。
【図7】原稿群Bについての読み取り面の設定画面。
【図8】第一分類処理を示すフローチャート。
【図9】原稿群Bの枚数の設定画面。
【図10】第二分類処理を示すフローチャート。
【図11】第二分類処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明が適用された複合機1の外観図である。複合機1は、操作パネル10とADF20とを備える。また、複合機1は、FAX・コピー・スキャナの各機能を備える。
【0022】
図2は、複合機1のブロック構成図である。図に示すように、操作パネル10・ADF20・読み取り部30・FAX出力部40・スキャナ出力部50・コピー出力部60はそれぞれ、制御部100が制御できるようになっている。
【0023】
制御部100は、操作パネル10を通じて入力された操作情報に基づいて、ADF20に原稿を引き込ませて、読み取り部30に原稿を読み取らせる。そして、制御部100は、読み取り結果を、FAX出力部40、スキャナ出力部50又はコピー出力部60に出力させる。なお、FAX出力部40・スキャナ出力部50・コピー出力部60とは、各名称に対応する機能を実現するためのハードウェア資源である。ここで、スキャナ出力部50とは、読み取り結果を複合機1に接続されたPCやサーバに送信したり、複合機1の内部や複合機1に着脱可能な記憶媒体に記憶させる処理を行ったりするものである。
【0024】
また、読み取り部30は、原稿の両面を読み取り可能になっている。表面だけ又は裏面だけの読み取りもできる。そして、読み取り部30は、原稿の表面と裏面とを別々のセンサーで読み取るようになっている。
【0025】
図3は、原稿群A処理を示すフローチャートである。原稿群Aとは、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、後述する処理によって他の原稿群に割り込まれる場合がある原稿群のことである。原稿群A処理は、制御部100が、原稿群A処理の開始指示を操作パネル10を通じて受けたことを契機に開始する処理である。
【0026】
まず、各種設定指示の入力を操作パネル10を通じて受ける(S110)。具体的には、コピー/FAX/スキャンから一つを選択する指示、両面読み取り/表面(片面)読み取りの選択指示などを受ける。そして、原稿群Aの読み取り中における割り込み(図5〜図7参照)を許可するか否かの入力を受ける(S120)。
【0027】
図4は、割り込みを許可するか否かの入力を受けるために、操作パネル10に表示される画面である。図4(a)は表面読み取りが設定された場合、図4(b)は両面読み取りが設定された場合である。ユーザは、割り込みを許可する場合は「はい」、許可しない場合は「いいえ」を選択する。また、表面読み取りの場合、裏面が白紙でない原稿を含むときは、ユーザは「いいえ」を選択しなければならない(図6参照)。一方、両面読み取りの場合、裏面が白紙の原稿を含むときは、ユーザは「いいえ」を選択しなければならない(図6参照)。
【0028】
図3に戻る。割り込みを許可しないという入力を受けると(S120No)、ADF20に原稿を引き込ませ(S130)、読み取り部30に原稿を読み取らせて(S140)、S110での設定通りに、FAX出力部40、スキャナ出力部50又はコピー出力部60に出力を実行させる(S150)。なお、ここでの出力の実行とは、必ずしも一枚読み取る度に出力を完了させることとは限らない。例えばコピーの場合なら、一枚読み取る度に印刷を順次実行すればよい。一方FAXの場合なら、このステップでは読み取り結果を記憶するための処理を実行し、全て読み取ってからまとめて送信するようにすればよい。
【0029】
そして、ADF20に原稿がある間は(S160Yes)、S130〜S150を繰り返し、ADF20に原稿がなくなったと判断すると(S160No)、原稿群A処理を終える。
【0030】
一方、割り込みを許可するという入力を受けると(S120Yes)、第一分類処理(図8参照)を実行して(S170)、原稿群A処理を終える。(第二分類処理は実施例2で説明する。)
割り込み指示について説明する。図5は、原稿群B処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部100が、原稿群A処理の実行中に繰り返し実行する処理である(但し、第一分類処理(図8参照)のS320でYesと判断してからS390で割り込み指示が解除されるまでは実行しない)。原稿群Bとは、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、原稿群Aに対して割り込ませる原稿群のことである。
【0031】
まず、割り込み許可がされているかを判断する(S210)。されていないと判断すると(S210No)、この処理を終える。一方、許可されていると判断すると(S210Yes)、原稿群A処理のS110において設定された読み取り面に基づいて、原稿群Bについて読み取り可能な面を操作パネル10に表示する(S220)。原稿群Bについて読み取り可能な面について、図6を用いて説明する。
【0032】
図6は、割り込みを実現するための条件を示したテーブルである。このテーブルは複合機1の内部に予め記憶されている。まず、原稿群Aが表面読み取りの場合、割り込みを許可するときは、先述したように、原稿群Aの裏面全てが白紙であることをユーザが確認しなければならない。(白紙でないものを含んでいたとしても、第一分類処理(図8参照)は進行していく。しかし、原稿群Aの裏面が全て白紙であることを前提とした処理なので、割り込みが正常に実行されない可能性がでてくる。)このときに、原稿群Bの読み取り面として設定可能なのは、裏面または両面である。そして、原稿群Bの裏面全てに画像データが有る(白紙でない)ことをユーザが確認しなければならない。
【0033】
一方、原稿群Aが両面読み取りの場合、割り込みを許可するときは、原稿群Aの裏面全てに画像データが有ることをユーザが確認しなければならない。このときに、原稿群Bの読み取り面として設定可能なのは、表面である。そして、原稿群Bの裏面全てが白紙であることをユーザが確認しなければならない。このような関係が満たされれば、裏面が白紙か否かに基づいて読み取り結果が分類できる。
【0034】
図7に移る。図7は、S220において操作パネル10に表示される画面である。図7(a)は原稿群Aの読み取り面が表面の場合、図7(b)は原稿群Aの読み取り面が両面の場合である。図7(a)に示すように、原稿群Aの読み取り面が表面の場合は、原稿群Bについて裏面読み取りか、両面読み取りかをユーザに設定させるようになっている。また、図7(b)に示すように、原稿群Aの読み取り面が両面の場合は、原稿群Bについて表面読み取りで良いか否かを入力させるようになっている。
【0035】
図5に戻る。図7で説明した画面を通じて、読み取り面の入力を受け付ける(S230)。そして、各種設定指示を受け付け(S240)、割り込み指示の確定を受け付けると(S250)、この処理を終える。なお、S250の後に、ユーザは原稿群BをADF20に載置する必要がある。複合機1が割り込み指示を受け付ける前は、全て原稿群Aの設定で読み取りが行われ、出力されてしまうからである。なお、原稿群Aに割り込ませるように載置してもよいし、原稿群Aの読み取りが終わってから原稿群Bの読み取りが始まるように載置してもよい。このようにして、割り込み指示が入力されることで、第一分類処理が始まることになる。
【0036】
図8は、第一分類処理を示すフローチャートである。まず、ADF20に原稿を引き込ませる(S310)。そして、割り込み指示があるかを判断する(S320)。ここで、S250(図5)で割り込み指示の確定を受け付けている場合は、割り込み指示があると判断する。この判断は、無駄に両面を読み取ることを防ぐためのものである。
【0037】
割り込み指示ありと判断すると(S320Yes)、原稿群A又は原稿群Bについて設定された読み取り面に関係なく、読み取り部30に両面を読み取らせる(S350)。そして、S310で引き込んだ原稿が原稿群Bに属するのかを、裏面の読み取り結果に基づいて判断する(S360)。ここでは、読み取った原稿が先述した図6に示す裏面条件のいずれを満たすかに基づいて判断される。例えば、原稿群Aの読み取り面が表面で、原稿群Bの読み取り面が裏または両面に設定されていた場合、読み取られた原稿の裏面に画像データがあるときは、読み取った原稿は原稿群Bに属すると判断される。原稿群Aに属すると判断すると(S360No)、前の原稿が原稿群Bに属するものだったかを判断する(S370)。原稿群Aに属するものだったと判断すると(S370No)、S350の読み取り結果に基づいて、原稿群Aについて設定された出力を実行させる(S330)。
【0038】
そして、ADF20にまだ原稿があるかを判断する(S340)。あると判断すると(S340Yes)、S310に戻る。つまり、割り込み指示あってから、原稿群Aに属する原稿を引き込んでいる間は、上記のステップを繰り返す。
【0039】
一方、S310で引き込んだ原稿が原稿群Bに属すると判断すると(S360Yes)、その原稿の読み取り結果に基づいて、原稿群Bについての出力を実行させる(S380)。そして、S340に進む。そして、原稿群Bに属する原稿を引き込んでいる間は、S360Yesと判断し続けるので、原稿群Bについての出力を継続する。
【0040】
そして、再び原稿群Aを引き込んだと判断すると(S360No)、前の原稿は原稿群Bに属するので(S370Yes)、割り込み指示を解除する(原稿群Bへの分類が終了したと見なす)(S390)。そして、読み取り結果に基づいて、原稿群Aについての出力を実行する(S330)。そして、まだ原稿があると判断すると(S340Yes)、ADF20に原稿を引き込ませて(S310)、割り込み指示が無いと判断すると(S320No)、原稿群Aについて設定された読み取り面を読み取り(S325)、原稿群Aについての出力を実行させる(S330)。そして、ADF20に原稿が無いと判断すると(S340No)、この処理を終える。
【0041】
なお、処理が終わる前に再び割り込み指示があれば、S320Yesと判断し、再び原稿群Bの出力を実行させることになる。
【0042】
効果を述べる。複合機1によれば、割り込みによって複数の原稿群を読み取らせる際のユーザの手間が軽くなる。原稿群Aと原稿群Bとの切り替えが自動的に判断されるので、原稿群Aの読み取り途中であっても、原稿群Aを除けることなく、原稿群BをADF20に載置できるからである。
【0043】
ところで、読み取り結果をグループAかグループBかに分類するためには両面を読み取らなくてはならない。そこで、割り込み指示前、及び割り込み指示後に原稿群Bの読み取りが終わった後については、原稿群Aについて設定された読み取り面を読み取り部30が読み取るようになっているので、常に両面を読み取るのを避けて、無駄な読み取りを省いている。
【0044】
また、原稿群Bについて読み取り可能な面が操作パネル10に表示されるので、ユーザはその指示に従えばよく、便利である。また、割り込み禁止を設定することができるので、誤操作を防ぐことができる。また、読み取り部30は、二つのセンサーによって読み取りを実行するので、読み取りがスムーズである。
【実施例2】
【0045】
実施例1と違う点だけを説明する。違う点は、原稿群B処理のS240、及び第一分類処理に替えて第二分類処理を実行することである。まず、原稿群B処理のS240から説明する。このステップにおいて、実施例1でも受け付ける各種設定指示に加え、原稿群Bの枚数の入力を受け付ける(図9参照)。この枚数を示す数字をMとする。この情報は、第二分類処理で用いる。
【0046】
図10は、第二分類処理を示すフローチャートである。まず、ADF20に原稿を引き込ませる(S410)。そして、割り込み指示があるかを判断する(S420)。割り込み指示ありと判断すると(S420Yes)、設定された読み取り面に関係なく、読み取り部30に両面を読み取らせる(S450)。そして、S410で引き込んだ原稿が原稿群Bに属するのかを、裏面の読み取り結果に基づいて判断する(S460)。原稿群Aに属すると判断すると(S460No)、(ここから図11)S450の読み取り結果に基づいて、原稿群Aについての出力を実行させる(S430)。
【0047】
そして、ADF20にまだ原稿があるかを判断する(S440)。あると判断すると(S440Yes)、(ここから図10)S410に戻る。
【0048】
一方、S410で引き込んだ原稿が原稿群Bに属すると判断すると(S460Yes)、(ここから図11)原稿群Bを処理した枚数を示す変数nに零を代入する(S465)。そして、原稿群Bについての出力を実行させる(S470)。そして、nに1を足す(S475)。そして、ADF20に原稿がまだあると判断すると(S480Yes)、nがM以上かを判断する(S485)。nがM未満と判断すると(S485No)、ADF20に原稿を引き込ませて(S490)、原稿群Bについて設定された読み取り面を読み取って(S493)、S470に戻る。
【0049】
一方、nがM以上と判断すると(S485Yes)、割り込み指示を解除する(S495)。そして、ADF20に原稿がまだあると判断すると(S440Yes)、(ここから図10)S410に戻る。再度の割り込み指示がない場合は、S420でNoと判断することになり、原稿群Aについて設定された読み取り面を読み取って(S425)、S430に進む。
【0050】
割り込み指示が再びあれば、S420でYesと判断して、S450に進む。そして、ADF20に原稿が無いと判断する(S440No又はS480No)、この処理を終える。
【0051】
効果を述べる。実施例1と同じ効果を奏する。さらに、両面を読み取らなくてはいけない期間は、割り込み指示後(S420Yes)から、原稿群Bの一枚目の原稿を検出するまで(S460Yes)なので、実施例1よりも更に短くなっている。また、原稿群Bの一枚目以外は、裏面が白紙か否かについて条件が課されない。
【0052】
変形例を述べる。表面が白紙か否かで分類判断をしても良い。そうすると、原稿群Aについて、裏面だけの読み取りが可能になる。この場合、原稿群Aは表面が白紙である必要があり、原稿群Bは、設定可能読み取り面が表面または両面であると共に、表面に画像データが有ることが必要である。
【0053】
また、表面が白紙か否かで分類判断をする場合、原稿群Aの表面に画像データがあること、原稿群Bの表面が白紙であること、という分類の仕方もできる。そうすると、原稿群Aが表面読み取りの場合でも、裏面が白紙でも白紙でなくても構わなくなる。
【0054】
また、白紙でなくても無地(例えば真っ黒)か否かで、原稿群の違いを判断するようになっていても良い。また、読み取り部30のセンサーは二つでなくても、両面読み取りができるのなら一つでも良い。
【0055】
また、常に両面を読み取り、常に分類判断をするようにしても良い。具体的には、第一分類処理において、S320・S370・S390を飛ばすと共に、S325において両面読み取りをすることで実現できる。そうすれば、どのように原稿群が混ざっていても構わなくなる。また、複合機でなくても、原稿を読み取る他の装置に適用してもよい。
【0056】
実施例と特許請求の範囲との対応を述べる。S110・S230が設定手段、S120が禁止手段、S140・S325・S350・S425・S450・S493が読み取り手段、原稿群A処理・第一/第二分類処理(読み取り手段に相当するステップ除く)が分類手段、S320・S360・S420・S460が切り換え手段、S360が終了判断手段、S460が開始判断手段、のソフトウェアにそれぞれ相当する。また、S320No・S360No・S420No・S460Yesと判断した後が第一モード、反対の判断をした後が第二モードに相当する。
【符号の説明】
【0057】
1…複合機、10…操作パネル、20…ADF、30…読み取り部、40…FAX出力部、50…スキャナ出力部、60…コピー出力部、100…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の原稿の両面または片面を連続的に読み取り可能な読み取り手段と、
前記読み取り手段によって両面が読み取られた原稿の特定側の片面が無地か否かに基づいて、前記読み取り手段の読み取り結果を異なるグループに分類する分類手段とを備える
ことを特徴とする読み取り装置。
【請求項2】
前記分類手段は、
前記読み取り結果を前記特定側の片面が無地か否かに関係なく分類する第一モードから、前記読み取り結果を前記特定側の片面が無地か否かに基づいて分類する第二モードへ、ユーザの指示に従って切り換える切り換え手段を備えると共に、
前記読み取り手段による連続的な読み取りが始まってから一回目の前記切り換え指示までは、前記第一モードであると共に前記読み取り結果を同じグループに分類する
ことを特徴とする請求項1の読み取り装置。
【請求項3】
前記分類手段は、前記読み取り結果をグループA又はグループBに分類すると共に、前記第一モードでは前記読み取り結果を前記グループAに分類するようになっており、
前記切り換え手段は、
前記第二モードにおいて前記読み取り結果の前記グループBへの分類が始まり、その後前記グループBへの分類が終わったか否かを、前記特定側の片面が無地か否かに基づいて判断する終了判断手段を備えると共に、
前記グループBへの分類が終わったと前記終了判断手段によって判断されると、前記第二モードから前記第一モードへ切り換える
ことを特徴とする請求項2の読み取り装置。
【請求項4】
前記分類手段は、前記読み取り結果をグループA又はグループBに分類すると共に、前記読み取り手段による連続的な読み取りが始まってから一回目の前記切り換え指示までは前記読み取り結果を前記グループAに分類するようになっており、
前記切り換え手段は、
前記第二モードにおいて前記読み取り結果の前記グループBへの分類が始まったか否かを、前記特定側の片面が無地か否かに基づいて判断する開始判断手段を備えると共に、
前記グループBへの分類が始まったと前記開始判断手段によって判断されると、前記第二モードから前記第一モードへ切り換え、
前記分類手段は、前記グループBへの分類が始まったと前記開始判断手段によって判断されてから所定枚数分の前記読み取り結果を前記グループBに分類し、そのグループBへの分類が終わると前記読み取り結果を前記グループAに分類する
ことを特徴とする請求項2の読み取り装置。
【請求項5】
前記切り換え手段によって前記第一モードから前記第二モードへ切り換えられることを禁止する禁止手段を備える
ことを特徴とする請求項2〜請求項4何れかの読み取り装置。
【請求項6】
異なる原稿群ごとに原稿の読み取り面をユーザに設定させる設定手段を備え、
前記読み取り手段は、前記第一モードにおいては前記設定手段によって設定された読み取り面を読み取り、前記第二モードにおいては両面を読み取る
ことを特徴とする請求項2〜請求項5何れかの読み取り装置。
【請求項7】
異なる原稿群ごとに原稿の読み取り面をユーザに設定させる設定手段を備え、
前記設定手段は、前記読み取り結果を異なるグループに分類すべき複数の原稿群のうち、前記読み取り面の設定を後で行う原稿群については、先に行われた設定に対して読み取り結果の分類が可能となる読み取り面の候補の中から設定させる
ことを特徴とする請求項1〜請求項5何れかの読み取り装置。
【請求項1】
複数枚の原稿の両面または片面を連続的に読み取り可能な読み取り手段と、
前記読み取り手段によって両面が読み取られた原稿の特定側の片面が無地か否かに基づいて、前記読み取り手段の読み取り結果を異なるグループに分類する分類手段とを備える
ことを特徴とする読み取り装置。
【請求項2】
前記分類手段は、
前記読み取り結果を前記特定側の片面が無地か否かに関係なく分類する第一モードから、前記読み取り結果を前記特定側の片面が無地か否かに基づいて分類する第二モードへ、ユーザの指示に従って切り換える切り換え手段を備えると共に、
前記読み取り手段による連続的な読み取りが始まってから一回目の前記切り換え指示までは、前記第一モードであると共に前記読み取り結果を同じグループに分類する
ことを特徴とする請求項1の読み取り装置。
【請求項3】
前記分類手段は、前記読み取り結果をグループA又はグループBに分類すると共に、前記第一モードでは前記読み取り結果を前記グループAに分類するようになっており、
前記切り換え手段は、
前記第二モードにおいて前記読み取り結果の前記グループBへの分類が始まり、その後前記グループBへの分類が終わったか否かを、前記特定側の片面が無地か否かに基づいて判断する終了判断手段を備えると共に、
前記グループBへの分類が終わったと前記終了判断手段によって判断されると、前記第二モードから前記第一モードへ切り換える
ことを特徴とする請求項2の読み取り装置。
【請求項4】
前記分類手段は、前記読み取り結果をグループA又はグループBに分類すると共に、前記読み取り手段による連続的な読み取りが始まってから一回目の前記切り換え指示までは前記読み取り結果を前記グループAに分類するようになっており、
前記切り換え手段は、
前記第二モードにおいて前記読み取り結果の前記グループBへの分類が始まったか否かを、前記特定側の片面が無地か否かに基づいて判断する開始判断手段を備えると共に、
前記グループBへの分類が始まったと前記開始判断手段によって判断されると、前記第二モードから前記第一モードへ切り換え、
前記分類手段は、前記グループBへの分類が始まったと前記開始判断手段によって判断されてから所定枚数分の前記読み取り結果を前記グループBに分類し、そのグループBへの分類が終わると前記読み取り結果を前記グループAに分類する
ことを特徴とする請求項2の読み取り装置。
【請求項5】
前記切り換え手段によって前記第一モードから前記第二モードへ切り換えられることを禁止する禁止手段を備える
ことを特徴とする請求項2〜請求項4何れかの読み取り装置。
【請求項6】
異なる原稿群ごとに原稿の読み取り面をユーザに設定させる設定手段を備え、
前記読み取り手段は、前記第一モードにおいては前記設定手段によって設定された読み取り面を読み取り、前記第二モードにおいては両面を読み取る
ことを特徴とする請求項2〜請求項5何れかの読み取り装置。
【請求項7】
異なる原稿群ごとに原稿の読み取り面をユーザに設定させる設定手段を備え、
前記設定手段は、前記読み取り結果を異なるグループに分類すべき複数の原稿群のうち、前記読み取り面の設定を後で行う原稿群については、先に行われた設定に対して読み取り結果の分類が可能となる読み取り面の候補の中から設定させる
ことを特徴とする請求項1〜請求項5何れかの読み取り装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−199999(P2010−199999A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42813(P2009−42813)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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