説明

読取装置、読取装置の制御方法、及び、記憶媒体

【課題】読取対象物のサイズに合わせて効率よくメモリーを利用し、待ち時間を減らすことが可能な読取装置、読取装置の制御方法、及び、記録媒体を提供する。
【解決手段】読取装置1は、小切手4を光学的に読み取る表面CISユニット41及び裏面CISユニット43と、読取画像データを格納するバッファーメモリー53と、小切手4の搬送経路上の上流側に設けられた用紙長検出器27の検出状態に基づき、搬送される読取中の小切手4の少なくとも搬送方向のサイズを検出するサイズ検出部50Aと、検出された読取中の小切手4のサイズをもとにバッファーメモリー53の空き容量を求め、次の小切手4の供給の可否を判定する搬送制御部50Bとを備え、搬送制御部50Bは、用紙長検出器27が小切手4の末端を検出するまでの間は、小切手4のサイズを読取装置1で使用可能な最大サイズとして判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、読取装置の制御方法、及び、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナー等の読取装置において、読み取ったデータをメモリーに格納するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された装置は、メモリー残量の不足によるスキャンの中断を回避するため、当該装置で使用可能な原稿の最大サイズと、メモリー残量に基づいて求めた、データを格納できる原稿サイズとを比較し、メモリー残量が不足する場合はスキャンを禁止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−41431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の読取装置において、読取対象物である原稿のサイズを正確に検出するためには、サイズ検出のための動作が必要になるので、スループットの低下を招いてしまう。このため、例えば特許文献1記載の装置では、原稿のサイズを実際に検出せず、当該装置で使用可能な原稿の最大サイズまたは平均サイズを用いて演算を行っている。このような場合には、正確な原稿のサイズが不明なために不要な待ち時間が発生している可能性があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、読取対象物のサイズに合わせて効率よくメモリーを利用し、待ち時間を減らすことが可能な読取装置、読取装置の制御方法、及び、記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、読読取対象物を光学的に読み取って読取画像データを出力する読取手段と、前記読取対象物を搬送し、前記読取手段に前記読取対象物を供給する供給手段と、前記読取手段が出力する読取画像データを格納するメモリーと、前記読取対象物の搬送経路上の前記読取手段の上流側に設けられた検出部の検出状態に基づき、搬送される前記読取対象物の少なくとも搬送方向のサイズを検出するサイズ検出手段と、前記サイズ検出手段が検出した前記読取対象物のサイズをもとに、当該読取対象物の前記読取画像データを格納した場合の前記メモリーの空き容量を求め、次に読み取られる前記読取対象物の読取画像データが前記メモリーに格納可能であるか否かを判定すると共に、次の前記読取対象物の供給開始の可否を判定する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記サイズ検出手段が、搬送される前記読取対象物の後端を検出するまでは、前記読取装置で使用可能な最大サイズの前記読取画像データが格納されるものとして前記メモリーの空き容量を求め、次の前記読取対象物の供給開始の可否の判定を行うことを特徴とする。
本発明によれば、読取対象物の読取中に次の読取対象物の供給を開始するか判定する場合に、読取中の読取対象物のサイズに基づいてメモリーの空き容量を求め、サイズが検出できなければ最大サイズと推定してメモリーの空き容量を求めるので、メモリーの空き容量を速やかに、かつ適切に求めることができる。このため、メモリーを効率的に使いながら、読取対象物の供給の開始の可否を速やかに判定し、メモリーの空き容量の不足による中断を回避するとともに、不要な待ち時間を減らすことができる。
また、搬送路上に配置される検出器によって、搬送される読読取対象物の前端と後端を検出すると搬送方向のサイズを検知できる。また、搬送方向に対し交わる方向に複数の検出器を配置すれば、読読取対象物の搬送方向と交わる方向のサイズを検知することもできる。小切手等は定型のサイズが決まっているので、一方のサイズが検知できれば、他のサイズを特定することができる。
【0006】
また、本発明は、上記読取装置において、前記制御手段は、次の前記読取対象物の供給開始を可と判定した場合、前記サイズ検出手段の前記検出部が、前記読取対象物の通過を検出すると、前記供給手段により次の前記読取対象物の供給を開始すること、を特徴とする。
次の読取対象物のためのメモリーが空いており、読取対象物の搬送が確認できると、次の読取対象物の供給を開始して、メモリーや処理時間の効率化を図ることができる。
【0007】
また、本発明は、上記読取装置において、前記メモリーに格納された前記読取画像データを読み出して処理するデータ処理手段を備え、前記制御手段は、前記メモリーにおいて前記データ処理手段により前記読取画像データが読み出された領域の容量を空き容量として、前記読取対象物の供給開始の可否の判定を行うことを特徴とする。
本発明によれば、処理済みの読取画像データが格納されていたメモリーの領域を空き容量とすることで、メモリーを効率よく利用し、次の読取対象物の供給開始の待ち時間を短縮できる。
【0008】
また、本発明は、上記読取装置において、前記読取装置は外部装置に接続可能であり、前記データ処理手段は、前記メモリーから読み出した前記読取画像データを外部装置に送信し、前記制御手段は、前記データ処理手段によって送信済みの前記メモリーの領域の容量を空き領域に加えることを特徴とする。
本発明によれば、外部装置にデータを転送する構成において、転送済みの読取画像データが格納された領域を効率よく利用できる。また、読取画像データを生成する速度よりも読取画像データを外部装置に転送する速度が低い場合であっても、読取動作の中断を回避して、不要な待ち時間を減らし、スループットの向上を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明において、前記制御手段は、前記データ処理手段が前記メモリーから前記読取画像データを読み出す速度に基づいて、前記読取画像データが読み出されていない領域の一部を空き容量に算入してもよい。この場合、将来発生するメモリーの空き容量を加味して、次の読取対象物の供給の可否を判定することにより、メモリーを効率よく利用し、待ち時間を短縮できる。
【0010】
また、本発明は、上記読取装置において、前記供給手段は、複数の前記読取対象物を貯留するストッカーから前記読取対象物を順次送り出すことを特徴とする。
本発明によれば、ストッカーに貯留された読取対象物を次々と読み取る構成において、読取対象物を供給するタイミングを適切に判定して待ち時間を減らすことによって、速やかに複数の読取対象物の読み取りを行うことができる。
【0011】
また、本発明は、上記読取装置において、前記読取手段は、シート状の前記読取対象物の表面と裏面のそれぞれを読み取る複数の読取部を有し、前記メモリーには、前記読取対象物の表面と裏面の各々の前記読取画像データを格納する領域が別に設けられ、前記制御手段は、前記メモリーにおいて、前記読取対象物の表面の前記読取画像データを格納する領域と裏面の前記読取画像データを格納する領域との両方の空き容量が、必要な容量以上の場合に次の前記読取対象物の供給を可と判定することを特徴とする。
本発明によれば、読取対象物の表裏両面を読み取ることができ、表面及び裏面のどちらについてもメモリーの空き容量不足による読取動作の中断を回避し、待ち時間を減らして、速やかに読取対象物の読み取りを行うことができる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明は、読取対象物を読み取り手段により光学的に読み取って読取画像データをメモリーに格納する読取装置の制御方法であって、前記読取対象物の搬送経路上の前記読取手段の上流側に設けられた検出部の検出状態に基づき、搬送される前記読取対象物の少なくとも搬送方向のサイズを検出し、検出した前記読取対象物の前記サイズをもとに、当該読取対象物の前記読取画像データを格納した場合の前記メモリーの空き容量を求め、次に読み取られる前記読取対象物の読取画像データが前記メモリーに格納可能であるか否かを判定すると共に、次の前記読取対象物の供給の可否を判定し、前記サイズ検出手段の前記検出部が、搬送される前記読取対象物の後端を検出するまでは、前記読取装置で使用可能な最大サイズの前記読取画像データが格納されるものとして前記メモリーの空き容量を求め、次の前記読取対象物の供給開始の可否の判定を行うことを特徴とする。
本発明によれば、読取対象物の読取中に次の読取対象物の供給を開始するか判定する場合に、読取中の読取対象物のサイズに基づいてメモリーの空き容量を求め、サイズが特定できなければ最大サイズと推定してメモリーの空き容量を求めるので、メモリーの空き容量を速やかに、かつ適切に求めることができる。このため、読取対象物の供給の開始の可否を速やかに判定し、メモリー容量の不足による中断を回避するとともに、不要な待ち時間を減らすことができる。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明は、読取対象物を読取手段により読み取って読取画像データをメモリーに格納する読取装置の各部を制御する制御部が実行するプログラムを記憶した記憶媒体であって、前記制御部が、前記読取対象物の搬送経路上の前記読取手段の上流側に設けられた検出部の検出状態に基づき、搬送される前記読取対象物の少なくとも搬送方向のサイズを検出し、検出した前記読取対象物の前記サイズをもとに、当該読取対象物の前記読取画像データを格納した場合の前記メモリーの空き容量を求め、次に読み取られる前記読取対象物の読取画像データが前記メモリーに格納可能であるか否かを判定すると共に、次の前記読取対象物の供給の可否を判定し、前記サイズ検出手段の前記検出部が、搬送される前記読取対象物の後端を検出するまでは、前記読取装置で使用可能な最大サイズの前記読取画像データが格納されるものとして前記メモリーの空き容量を求め、次の前記読取対象物の供給開始の可否の判定を行うことを実行するプログラムを記憶する。
本発明の記憶媒体に記憶されたプログラムを実行することにより、読取装置は、読取対象物の読取中に次の読取対象物の供給を開始するか判定する場合に、読取中の読取対象物のサイズに基づいてメモリーの空き容量を求め、サイズが特定できなければ最大サイズと推定してメモリーの空き容量を求めるので、メモリーの空き容量を速やかに、かつ適切に求めることができる。このため、読取対象物の供給の開始の可否を速やかに判定し、メモリー容量の不足による中断を回避するとともに、不要な待ち時間を減らすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、読取対象物の供給の開始の可否を速やかに判定し、メモリー容量の不足による中断を回避するとともに、不要な待ち時間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る読取装置の外観斜視図である。
【図2】読取装置の本体の平面図である。
【図3】読取システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図4】バッファーメモリーの構成を模式的に示す図である。
【図5】読取装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】読取装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る読取装置1の外観斜視図である。
読取装置1は、読取対象媒体であるシート状の小切手や帳票類に対し、この読取対象物に記録された磁気インク文字の読み取り、読取対象物の両面の光学的読み取り、及び、当該読取対象物への文字等の記録を行う装置である。また、読取装置1は、クレジットカード等のカード型の媒体に記録された磁気情報を読み取るリーダーとしての機能を備えている。
【0017】
本実施形態では、読取対象物として小切手4を処理する場合を例に挙げて説明する。小切手4は、所定の模様や装飾が施されたシート(用紙)に金額、振出人、通し番号、サインなどが印字または記載された帳票である。これら金額、振出人、通し番号、サインなどは表面4aにあり、裏面4bには裏書き欄が設けられている。この裏書き欄には、後述する記録ヘッド33によって、裏書きに係る所定の文字または画像が記録される。また、表面4aには小切手4の長辺方向に延びる磁気インク文字列4Aが形成されている。磁気インク文字列4Aは、磁気インクで印刷された複数の磁気インク文字(MICR文字)が並んだものであり、磁気的または光学的に読み取ることができる。小切手4の短辺方向及び長辺方向のサイズは規格化されているものの、多様な規格が存在するため、実際には様々なサイズがある。読取装置1では、一般的な小切手4のサイズをほぼ包含し得る最大サイズを規定し、この最大サイズ内の小切手4であれば処理できる。
【0018】
読取装置1は、本体下部を覆う下部ケース2、及び下部ケース2に被せられるカバー3からなる外装を有し、外装の内部に読取装置1の本体が収容されている。読取装置1の前面には、小切手4を挿入する挿入口6が開口しており、挿入口6の奥には複数の小切手4を積層して貯留できるストッカー7が設けられている。また、カバー3には、上面視で略U字形状に、小切手4の搬送路となるスリット8が形成され、スリット8は読取装置1の前面側に設けられたポケット9に達している。
ストッカー7に貯留された小切手4は、後述するように1枚ずつ読取装置1の内部に取り込まれ、スリット8を通る間に処理されて、処理後の小切手4はポケット9に排出される。ポケット9には複数の小切手4を溜めることができる。
また、カバー3には、カバー3を開くためのレバー11と、クレジットカード等のカード類が通されるスリット12とが設けられている。
【0019】
図2は、読取装置1の外装内部に収容されている本体13の構成を示す平面図である。ストッカー7の一側面には略平板状のホッパー14が回動可能に取り付けられ、例えばアクチュエーターの駆動力によりホッパー14を回動させるホッパー駆動部15が配置されている。ホッパー駆動部15は、ホッパー14を図中矢印方向に回動させることで、ストッカー7に収容されている小切手4を他方の側面側に押しつける。ストッカー7の他方の側面には、後述するASFモーター62(図3)により駆動されるピックアップローラー17が配置されており、ホッパー駆動部15によってホッパー14がピックアップローラー17側に回動すると、ストッカー7内の小切手4のうち1枚がピックアップローラー17に接触して、搬送路Wに引き込まれる。
ストッカー7の奥には、一対のローラーで構成されるASF(Automatically Sheet Feeder)ローラー19が配置されている。ASFローラー19の2つのローラーは、搬送路Wの両側に配置され、一方は後述する搬送モーター63(図3)の動力により回転し、他方のローラーは従動ローラーである。ピックアップローラー17に接した小切手4はASFローラー19に挟まれて、下流側へ搬送される。
【0020】
また、ストッカー7においてホッパー14が設けられた側の側面には、ASF用紙検出器16が設けられている。ASF用紙検出器16は、例えば透過型光センサーで構成され、ストッカー7における小切手4の有無を検出する。
このように、ストッカー7、ホッパー14、ホッパー駆動部15、ASF用紙検出器16、ピックアップローラー17及びASFローラー19は、複数の小切手4を収容して1枚ずつ繰り出すASFユニットを構成する。
【0021】
ASFローラー19の下流側には、小切手4の表面4aに接して磁気インク文字列4A(図1)を磁気的に読み取るMICR(Magnetic Ink Character Recognition)ヘッド23が配置されている。MICRヘッド23には、MICRローラー25が対向配置される。MICRローラー25はMICRヘッド23側に付勢されており、小切手4をMICRヘッド23に押しつけながら回転して、小切手4を、MICR文字の読み取りに適した定速で搬送する。MICRヘッド23の上流側には、ASFローラー19により繰り出された小切手4をMICRヘッド23に案内する、一対のローラーからなるアシストローラー21が配置されている。
【0022】
また、搬送路W上においてアシストローラー21とMICRヘッド23との間には、用紙長検出器27(検出部)が配置されている。用紙長検出器27は、例えば反射型光センサーで構成され、搬送路W上を通る小切手4の先端及び後端を検出する。用紙長検出器27の検出値は後述する制御部50により取得され、この検出値の変化に基づいて小切手4の長さが求められる。
搬送路W上でMICRヘッド23の下流側には、搬送路Wを挟んで対向する一対のローラーを有する搬送ローラー31が設けられ、搬送ローラー31によって小切手4は記録ヘッド33へ搬送される。記録ヘッド33は、本体13の後部に配置されており、本体13の前部に収容されているインクカートリッジ35からインクの供給を受けて、小切手4にインクを吐出するインクジェット方式の記録ヘッドである。本実施形態において記録ヘッド33は小切手4の裏面4bに、いわゆる裏書きと呼ばれる文字や画像を印刷(記録)する。
【0023】
記録ヘッド33の下流には、小切手4を光学的に読み取るCIS(Contact Image Sensor)ユニットが配置されている。本体13は、小切手4の表面4aを読み取る表面CISユニット41と、裏面4bを読み取る裏面CISユニット43とを有し、小切手4の両面を読み取り可能である。表面CISユニット41と裏面CISユニット43は搬送路Wを挟んで対向配置され、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の上流側と下流側に搬送ローラーが配置され、読み取り中の小切手4を安定して搬送する。表面CISユニット41及び裏面CISユニット43は読取手段に相当する。
【0024】
表面CISユニット41、裏面CISユニット43の下流側には上述したポケット9が設けられている。ポケット9は、メインポケット9aと、サブポケット9bとに区画されており、それぞれに複数の小切手4を収容できる。そして、表面CISユニット41、裏面CISユニット43から排出された小切手4を、メインポケット9aまたはサブポケット9bに切り替えて案内する切替板45が配置されている。切替板45は、メインポケット9aに繋がる経路とサブポケット9bに繋がる経路のいずれか一方を塞ぐことで小切手4を他方に案内するガイドであり、後述する切替板駆動部61によって駆動される。切替板45からメインポケット9aに繋がる経路には排出ローラー47が設けられ、切替板45からサブポケット9bに繋がる経路には排出ローラー49が設けられており、切替板45により案内された小切手4をスムーズにポケット9に排出する。
【0025】
読取装置1は、MICRヘッド23により磁気インク文字列4Aの読み取りまたは解析に成功した小切手4をメインポケット9aに排出し、磁気インク文字列4Aの読み取りまたは解析に失敗した小切手4はサブポケット9bに排出する。メインポケット9a及びサブポケット9bの各々には、後述する排出紙検出器64(図3)が設けられる。排出紙検出器64は、例えば透過型光センサーで構成され、メインポケット9a及びサブポケット9bにおける小切手4の有無を検出する。
また、ストッカー7の側方にはMCRヘッド46が設けられている。MCRヘッド46は、スリット12(図1)を通るカード類に磁気的に記録された情報を読み取る磁気ヘッドである。
【0026】
図3は、読取装置1とホストコンピューター5とを接続して構成される読取システム10の機能的構成を示すブロック図である。
読取装置1は、読取装置1全体を制御するCPU、RAM、フラッシュROM等により構成される制御部50と、ヘッド駆動回路55、モータードライバー56、読取制御回路57、センサー駆動回路58、及びインターフェース部59を有し、これらの各部は相互に通信可能に接続されている。
【0027】
制御部50は、フラッシュROMに記憶されている制御プログラムをCPUにより読み出して実行することにより、読取装置1の各部を制御する。制御部50は、RAMを備え、CPUが実行するプログラム及び処理対象のデータを一時的に保持するメモリーである。また、制御部50には、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43により読み取られた読取画像データを記憶するバッファーメモリー53(メモリー)が接続される。
【0028】
ヘッド駆動回路55は、制御部50の制御に従って記録ヘッド33に駆動電流を供給し、小切手4への印刷を実行させる。モータードライバー56は、ホッパー駆動部15に接続され、制御部50の制御に従ってホッパー駆動部15を動作させる。また、モータードライバー56は、切替板駆動部61、ASFモーター62、及び搬送モーター63に接続され、これら各モーターに駆動電流や駆動パルスを出力して、制御部50の制御に従い各モーターを動作させる。
【0029】
読取制御回路57は、MICRヘッド23、表面CISユニット41、裏面CISユニット43、及びMCRヘッド46に接続されている。読取制御回路57は、制御部50の制御に従って、スリット12(図1)にカード類が通される際にMCRヘッド46によって磁気情報を読み取らせ、MCRヘッド46が出力する読取信号をデジタル化して制御部50に出力する。同様に、読取制御回路57は、制御部50の制御に従ってMICRヘッド23によって磁気情報を読み取らせ、MICRヘッド23が出力する読取信号をデジタル化して制御部50に出力する。また、読取制御回路57は、制御部50の制御に従って、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43に駆動電流を出力して、小切手4の表面4a及び裏面4bの読み取りを実行させる。この際、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の各々から出力される信号をデジタルデータ化し、制御部50に出力する。
センサー駆動回路58は、ASF用紙検出器16、用紙長検出器27及び排出紙検出器64に接続され、これらの各検出器に電流を供給して、所定周期で出力値を取得し、取得した出力値をデジタルデータに変換して制御部50に出力する。
インターフェース部59は、ホストコンピューター5に対して有線または無線で接続され、制御部50の制御に従って、ホストコンピューター5との間で制御データを含む各種データを送受信する。
【0030】
以上の構成において、ホッパー駆動部15、切替板駆動部61、ASFモーター62及び搬送モーター63の各駆動部は、ホッパー14、ピックアップローラー17、ASFローラー19、MICRローラー25、搬送ローラー31、切替板45及び排出ローラー47とともに、搬送手段を構成する。このうち、ホッパー駆動部15及びASFモーター62は、ホッパー14、ピックアップローラー17、及びASFローラー19とともに、供給手段を構成する。
【0031】
制御部50は、サイズ検出部50A、搬送制御部50B、スキャン制御部50C、及びメモリー制御部50Dを有する。
サイズ検出部50A(サイズ検出手段)は、センサー駆動回路58を介して用紙長検出器27の出力値を取得し、用紙長検出器27が小切手4の先端を検出してから後端を検出するまでの搬送モーター63による搬送量に基づいて、小切手4の長手方向すなわち搬送方向のサイズを検出する。
搬送制御部50B(制御手段)は、モータードライバー56を介してホッパー駆動部15、切替板駆動部61、ASFモーター62、及び搬送モーター63を制御して、小切手4の搬送を制御する。例えば、搬送制御部50Bは、小切手4を読取装置1が処理している間に、ストッカー7(図1)に貯留された次の小切手4の搬送を開始するか否かを判定し、次の小切手4の処理が可能になると、ホッパー駆動部15及びASFモーター62を動作させて次の小切手4をピックアップし、搬送路Wに搬送する。
スキャン制御部50C(データ処理手段)は、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43から読取制御回路57を介して入力されるデータに基づいて読取画像データを生成し、バッファーメモリー53に格納する。また、スキャン制御部50Cは、バッファーメモリー53に格納された読取画像データを、順次、インターフェース部59を介してホストコンピューター5に転送する。
メモリー制御部50Dは、バッファーメモリー53への書込及び読出を管理し、バッファーメモリー53の空き容量を算出する。
【0032】
図4は、バッファーメモリー53の構成を模式的に示す図である。図4(A)は小切手4を連続して処理する場合の初期の状態を示し、図4(B)は複数の小切手4の処理が進行した状態を示す。
図中の左上が先頭アドレスに相当し、右下に向かってデータが書き込まれる。本実施形態では、バッファーメモリー53のアドレス幅と、スキャン制御部50Cが書き込む読取画像データのアドレス幅が一致しており、図中上から下に向かってデータが書込/読出される場合を例示する。図中の符号53Aで示す記号は書込ポインターであり、符号53Bで示す記号は読出ポインターである。
バッファーメモリー53はリングバッファーとして構成されているので、図中下端の末尾アドレスまで書込/読出が済むと、書込ポインター53A及び読出ポインター53Bは先頭アドレス位置に戻る。
【0033】
バッファーメモリー53は、実際には表面CISユニット41の読取画像データを格納する領域と、裏面CISユニット43の読取画像データを格納する領域とに分割されており、各領域がそれぞれ、図4(A)及び(B)に示す構成となっている。従って、バッファーメモリー53には共通の構成を有する2つのメモリー領域が存在し、ここでは一つの領域を例に挙げて説明する。
【0034】
図4(A)に示すように、バッファーメモリー53全体が空き領域となっている場合には、先頭から、1枚目の小切手4の読取画像データ、2枚目の小切手4の読取画像データ…が順に書き込まれる。また、書き込まれた読取画像データは先頭アドレスから順に読み出されてホストコンピューター5(図3)へ転送される。図中斜線で示すように読出が済んだ領域は読取画像データを上書きできるので、空き領域として扱われる。
【0035】
搬送制御部50Bは、小切手4の処理の実行中に、次の小切手4をストッカー7から供給するか否かをバッファーメモリー53の空き領域のサイズ(空き容量)に基づいて決定する。これは、バッファーメモリー53の空き領域が不足してバッファーフルになり、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の読取動作が中断されるのを防ぐためである。図4(B)に示すように、複数の小切手4を連続して処理すると、バッファーメモリー53の空き領域は、読出ポインター53Bと書込ポインター53Aとの間の領域となる。
【0036】
図4(B)の例ではN枚目、N+1枚目、N+2枚目の小切手4の読取画像データが格納されており、さらにN+3枚目の小切手4を表面CISユニット41、裏面CISユニット43によって読取中である。ここで、読出ポインター53Bと書込ポインター53Aとの間にサイズAの空き領域が発生しているが、処理中のN+3枚目の小切手4の読取画像データを格納する領域が必要である。このため、次のN+4枚目の小切手4の読取画像データを格納するために使用できる空き領域のサイズは、N+3枚目の小切手4の読取画像データが格納される領域を除いた、サイズBの領域である。従って、搬送制御部50Bは、読出ポインター53Bと書込ポインター53Aの間の空き領域から、処理中の小切手4の読取画像データの格納に必要な領域を除いて、次の小切手4に使用できる空き領域のサイズを求める。そして、搬送制御部50Bは、この空き領域のサイズが十分か否かに基づいて、次の小切手4の供給を開始するかどうかを判定する。
【0037】
搬送制御部50Bは、空き領域(図4(B)中の斜線部)から、処理中の小切手4の読取画像データを格納するための領域を除いて、バッファーメモリー53の空き領域のサイズを求める。この際、処理中の小切手4のサイズをサイズ検出部50Aが検出していれば、検出されたサイズに基づいて、処理中の小切手4の読取画像データを格納するための容量を求めることができる。しかしながら、図2に示したように、用紙長検出器27は表面CISユニット41及び裏面CISユニット43よりも上流側に位置している。小切手4の長さが、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の読取位置と用紙長検出器27との間の距離よりも長い場合には、読取を行っている小切手4の後を用紙長検出器27が検出していない状態が発生し得る。この場合、サイズ検出部50Aは、処理中の小切手4のサイズとして、読取装置1で使用可能な小切手4の最大サイズ(長さ)を、仮定のサイズとして出力する。搬送制御部50Bは、サイズ検出部50Aが出力した仮定のサイズに基づいてバッファーメモリー53の空き容量を算出する。これにより、バッファーフルによる動作の中断を回避できる。また、バッファーメモリー53の空き容量が十分にある場合には、サイズ検出部50Aが仮のサイズを出力したとしても、次の小切手4の供給を開始できる。このため、バッファーメモリー53の空き容量が回復するまでの待ち時間を短縮できる。
【0038】
図5は、読取装置1の動作を示すフローチャートである。
制御部50は、ホストコンピューター5から送信された小切手4の処理開始を指示するコマンドを受信して(ステップS11)、小切手4の処理を開始する。制御部50は、ASF用紙検出器16の検出値に基づいてストッカー7に小切手4があるか否かを判別し(ステップS12)、小切手4がない場合は(ステップS12;No)、小切手4がセットされるまで待機する。小切手4がストッカー7にある場合(ステップS12;Yes)、搬送制御部50Bは、バッファーメモリー53の空き容量に基づいて小切手4の搬送を開始するか否かの判定を行う(ステップS13)。
【0039】
図6は、読取装置1の動作を示すフローチャートであり、図5のステップS13で行う搬送開始判定処理を詳細に示す。
この処理において、搬送制御部50Bは、バッファーメモリー53の実際の空き容量を取得する(ステップS31)。続いて、サイズ検出部50Aは、処理中の小切手4のサイズが確定しているか否か、すなわち小切手4の後端が用紙長検出器27により検出されたか否かを判別し(ステップS32)、サイズが確定していない場合は(ステップS32;No)、処理中の小切手4のサイズが読取装置1において使用可能な最大のサイズであると仮定して(ステップS33)、ステップS34に移行する。また、サイズが確定している場合は、当該サイズを出力してステップS34に移行する。
【0040】
ステップS34で、搬送制御部50Bは、サイズ検出部50Aが検出したサイズまたはサイズ検出部50Aが仮定した最大サイズに基づき、処理中の小切手4の読取画像データを格納するための容量を求め、この容量を除いた利用可能な空き容量を算出する。搬送制御部50Bは、ステップS34で、バッファーメモリー53に設けられた表面CISユニット41用と裏面CISユニット43用の2つの領域の各々について空き容量を算出する。
そして、搬送制御部50Bは、算出した空き容量が、次の小切手4の読取画像データの格納に十分か否かを判定する(ステップS35)。搬送制御部50Bは、表面CISユニット41用と裏面CISユニット43用の2つの領域の各々について判定を行い、両方の領域において空き容量が十分な場合に(ステップS35;Yes)、次の小切手4の搬送開始が可能であると判定し(ステップS36)、図5のステップS14に移行する。また、表面CISユニット41用と裏面CISユニット43用の2つの領域のいずれか一方でも空き容量が十分でない場合(ステップS35;No)、搬送制御部50BはステップS31に戻る。これにより、制御部50は、バッファーメモリー53の読取画像データがホストコンピューター5に転送されて空き容量が増えるまで、待機することになる。
【0041】
図5のステップS14で、搬送制御部50Bは、ホッパー駆動部15及びASFモーター62を動作させて、ストッカー7内の小切手4の供給を開始する(ステップS14)。小切手4はASFローラー19及びアシストローラー21により搬送され、用紙長検出器27に達する。制御部50は、小切手4の先端が用紙長検出器27によって検出されるまで待機し(ステップS15)、小切手4の先端が検出されると(ステップS15;Yes)、MICRヘッド23によるMICR文字列の読取を開始する(ステップS16)。
サイズ検出部50Aは、用紙長検出器27により小切手4の後端が検出されるまで待機し(ステップS17)、小切手4の後端が検出されると(ステップS17;Yes)、小切手4のサイズを確定する(ステップS18)。
【0042】
制御部50は、MICRヘッド23による読取結果を取得して、インターフェース部59によりホストコンピューター5へ転送し、ホストコンピューター5におけるMICR文字列の解析を実行させる(ステップS19)。さらに、制御部50は、小切手4に対して記録ヘッド33による記録を行い(ステップS20)、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43によるスキャンを開始し(ステップS21)、バッファーメモリー53に格納された読取画像データのホストコンピューター5への転送を行う。
【0043】
その後、制御部50は、MICRヘッド23によるMICR文字列の読取に成功したか否かを判別する(ステップS23)。制御部50は、MICRヘッド23の読取結果をホストコンピューター5が解析し、MICR文字列の認識に成功したことを示す制御データがホストコンピューター5から入力されたか否かに基づき、ステップS23の判別を行う。搬送制御部50Bは、MICR文字列の読取に成功した場合は(ステップS23;Yes)、小切手4の排出先をメインポケット9aに決定する(ステップS24)。搬送制御部50Bは、切替板駆動部61を動作させて切替板45をメインポケット9a側に移動させる(ステップS26)。また、MICR文字列の読取に失敗した場合(ステップS23;No)、搬送制御部50Bは、小切手4の排出先をサブポケット9bに決定し(ステップS25)、切替板駆動部61を動作させて切替板45をサブポケット9b側に移動させる(ステップS26)。これにより、小切手4は、MICR文字列の読取結果に基づいて、メインポケット9aとサブポケット9bに分けて排出される。
【0044】
以上のように、本発明を適用した実施形態に係る読取装置1、及び読取装置1を備えた読取システム10によれば、読取対象物としての小切手4を光学的に読み取って読取画像データを出力する表面CISユニット41及び裏面CISユニット43と、小切手4を搬送し、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43に小切手4を供給するASFモーター62及びピックアップローラー17等を含む供給手段と、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の読取画像データを格納するバッファーメモリー53と、小切手4の搬送経路上の表面CISユニット41及び裏面CISユニット43より上流側に設けられた用紙長検出器27の検出状態に基づき、搬送される小切手4の少なくとも搬送方向のサイズを検出するサイズ検出部50Aと、サイズ検出部50Aが検出した小切手4のサイズをもとに、当該小切手4の読取画像データ全体を格納した場合のバッファーメモリー53の空き容量を求め、次に読み取られる小切手4の読取画像データがバッファーメモリー53に格納可能であるか否かを判定すると共に、次の小切手4の供給開始の可否を判定する搬送制御部50Bと、を備え、搬送制御部50Bは、用紙長検出器27が、搬送される小切手4の末端(後端)を検出するまでは、読取装置で使用可能な最大サイズの読取対象物の読取画像データがバッファーメモリー53に格納されるものとしてバッファーメモリー53の空き容量を求め、次の小切手4の供給開始の可否の判定を行う。これにより、搬送制御部50Bは、小切手4の読取中に次の小切手4の供給を開始するか否かを判定する場合に、読取中の小切手4のサイズに基づいてバッファーメモリー53の空き容量を求め、サイズが検出できなければ最大サイズと推定してバッファーメモリー53の空き容量を求めるので、バッファーメモリー53の空き容量を速やかに、かつ適切に求めることができる。このため、メモリーを効率的に使いながら、小切手4の供給の開始の可否を速やかに判定し、バッファーメモリー53容量の不足による中断を回避するとともに、不要な待ち時間を減らすことができる。
また、搬送路上に配置される用紙長検出器27によって、搬送される小切手4の前端と後端を検出すると搬送方向のサイズを検知できる。また、搬送方向に対し交わる方向に複数の検出器を配置すれば、小切手4の搬送方向と交わる方向のサイズを検知することもできる。小切手等は定型のサイズが決まっているので、一方のサイズが検知できれば、他のサイズを特定することができる。
【0045】
また、制御部50は、次の小切手4の供給開始を可と判定した場合、サイズ検出部50Aの用紙長検出器27が、小切手4の通過を検出すると、供給手段により次の小切手4の供給を開始するので、次の小切手4のためのメモリーが空いており、小切手4の搬送が確認できると、次の小切手4の供給を開始して、メモリーや処理時間の効率化を図ることができる。
【0046】
また、制御部50は、バッファーメモリー53に格納された読取画像データを順次読み出してホストコンピューター5に転送するスキャン制御部50Cを備え、搬送制御部50Bは、バッファーメモリー53において読取画像データが読み出された領域の容量を空き容量として、小切手4の供給開始の可否の判定を行うので、バッファーメモリー53を効率よく利用し、次の小切手4の供給開始までの待ち時間を短縮できる。
また、読取装置1は外部のホストコンピューター5に接続可能であり、バッファーメモリー53から読み出した読取画像データをホストコンピューター5に送信し、制御部50は、送信済みのバッファーメモリー53の領域の容量を空き領域に加えるので、転送済みの読取画像データが格納された領域を効率よく利用できる。また、読取画像データを生成する速度よりも読取画像データを外部装置に転送する速度が低い場合であっても、読取動作の中断を回避して、不要な待ち時間を減らし、スループットの向上を図ることができる。
【0047】
また、読取装置1は、複数の小切手4を貯留するストッカー7と、ストッカー7から小切手4を順次送り出すホッパー駆動部15、ASF用紙検出器16、ピックアップローラー17、及びASFモーター62を有し、ストッカー7に貯留された小切手4を次々と読み取る構成において、小切手4を供給するタイミングを適切に判定して待ち時間を減らし、速やかに複数の小切手4の読み取りを行うことができる。
【0048】
また、読取装置1は、シート状の小切手4の表面と裏面のそれぞれを読み取る複数の表面CISユニット41及び裏面CISユニット43を有し、バッファーメモリー53には、小切手4の表面と裏面の各々の読取画像データを格納する領域が別に設けられ、搬送制御部50Bは、バッファーメモリー53において、小切手4の表面の読取画像データを格納する領域と裏面の読取画像データを格納する領域との両方の空き容量が、必要な容量以上の場合に次の小切手4の供給を可と判定するので、表面及び裏面のどちらについてもバッファーメモリー53の空き容量不足による読取動作の中断を回避し、待ち時間を減らして、速やかに小切手4の読み取りを行うことができる。
【0049】
ここで、搬送制御部50Bは、スキャン制御部50Cがバッファーメモリー53から読取画像データを読み出す速度、或いは、スキャン制御部50Cがホストコンピューター5に読取画像データを転送する速度に基づいて、読取画像データが読み出されていない領域の一部を空き容量に算入してもよい。この場合、将来発生するバッファーメモリー53の空き容量を加味して、次の小切手4の供給の可否を判定することにより、バッファーメモリー53を効率よく利用し、待ち時間を短縮できる。
【0050】
なお、上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、読取システム10において、読取装置1が処理する読取対象物は小切手4に限定されないし、読取装置1で使用可能な読取対象物のサイズについても任意に変更できる。また、表面CISユニット41と裏面CISユニット43の読取画像データを、バッファーメモリー53に設けられた2つの領域の各々に格納する構成を例に挙げて説明したが、表面CISユニット41と裏面CISユニット43に対応する2つの独立したバッファーメモリーを備えてもよい。この場合、搬送制御部50Bは各バッファーメモリーの空き容量について判定を行えばよい。さらに、上記実施形態では読取装置1がホストコンピューター5に読取画像データやMICR文字列の読取データを転送する構成を例に挙げて説明したが、ホストコンピューター5と読取装置1とが同一の装置に組み込まれた構成としてもよい。
【0051】
また、図3のブロック図に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、各機能部を独立したハードウェアにより構成する必要はなく、ソフトウェアとハードウェアとの協働により、複数の機能部の機能を1つのハードウェアに集約して実現することも、一つの機能部を複数のハードウェアにより実現することも勿論可能である。
また、読取装置1が備える記録手段は、インクジェット式の記録ヘッドを用いる構成に限定されず、サーマルラインプリンター、ドットインパクト式プリンター、レーザープリンター、熱昇華型プリンター等を用いることも可能である。また、上述の動作を行う制御部50のCPUが実行するプログラムは、制御部50を構成する不揮発性メモリーが記憶する構成に限らず、可搬型の記録媒体に記憶されている構成であってもよいし、或いは、通信回線を介して接続された他の装置にダウンロード可能に記憶され、これらの装置から読取装置1が上記プログラムをダウンロードして実行してもよく、その他の構成についても任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…読取装置、4…小切手(読取対象物)、4A…磁気インク文字列、4a…表面、4b…裏面、5…ホストコンピューター(外部装置)、7…ストッカー、9…ポケット、9a…メインポケット、9b…サブポケット、10…読取システム、13…本体、14…ホッパー(供給手段)、15…ホッパー駆動部(供給手段)、16…ASF用紙検出器、17…ピックアップローラー(供給手段)、19…ASFローラー、23…MICRヘッド、27…用紙長検出器(検出部)、31…搬送ローラー、33…記録ヘッド、41…表面CISユニット、43…裏面CISユニット、45…切替板、50…制御部、50A…サイズ検出部(サイズ検出手段)、50B…搬送制御部(制御手段)、50C…スキャン制御部(データ処理手段)、50D…メモリー制御部、53…バッファーメモリー(メモリー)、61…切替板駆動部、62…ASFモーター(供給手段)、63…搬送モーター、W…搬送路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象物を光学的に読み取って読取画像データを出力する読取手段と、
前記読取対象物を搬送し、前記読取手段に前記読取対象物を供給する供給手段と、
前記読取手段が出力する前記読取画像データを格納するメモリーと、
前記読取対象物の搬送経路上の前記読取手段の上流側に設けられた検出部の検出状態に基づき、搬送される前記読取対象物の少なくとも搬送方向のサイズを検出するサイズ検出手段と、
前記サイズ検出手段が検出した前記読取対象物の前記サイズをもとに、当該読取対象物の前記読取画像データを格納した場合の前記メモリーの空き容量を求め、次に読み取られる前記読取対象物の読取画像データが前記メモリーに格納可能であるか否かを判定すると共に、次の前記読取対象物の供給開始の可否を判定する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記サイズ検出手段の前記検出部が、搬送される前記読取対象物の後端を検出するまでは、前記読取装置で使用可能な最大サイズの前記読取画像データが格納されるものとして前記メモリーの空き容量を求め、次の前記読取対象物の供給開始の可否の判定を行うこと、
を特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、次の前記読取対象物の供給開始を可と判定した場合、前記サイズ検出手段の前記検出部が、前記読取対象物の通過を検出すると、前記供給手段により次の前記読取対象物の供給を開始すること、
を特徴とする請求項1記載の読取装置。
【請求項3】
前記メモリーに格納された前記読取画像データを読み出して処理するデータ処理手段を備え、
前記制御手段は、前記メモリーにおいて前記データ処理手段により前記読取画像データが読み出された領域の容量を前記空き容量として、前記読取対象物の供給開始の可否の判定を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記読取装置は外部装置に接続可能であり、
前記データ処理手段は、前記メモリーから読み出した前記読取画像データを前記外部装置に送信し、前記制御手段は、前記データ処理手段によって送信済みの前記メモリーの領域の容量を前記空き容量に加えることを特徴とする請求項3記載の読取装置。
【請求項5】
前記読取手段は、シート状の前記読取対象物の表面と裏面のそれぞれを読み取る複数の読取部を有し、
前記メモリーには、前記読取対象物の表面と裏面の各々の前記読取画像データを格納する領域が別に設けられ、
前記制御手段は、前記メモリーにおいて、前記読取対象物の表面の前記読取画像データを格納する領域と裏面の前記読取画像データを格納する領域との両方の空き容量が、所定容量以上の場合に次の前記読取対象物の供給を可と判定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の読取装置。
【請求項6】
読取対象物を読み取り手段により読み取って読取画像データをメモリーに格納する読取装置の制御方法であって、
前記読取対象物の搬送経路上の前記読取手段の上流側に設けられた検出部の検出状態に基づき、搬送される前記読取対象物の少なくとも搬送方向のサイズを検出し、検出した前記読取対象物の前記サイズをもとに、当該読取対象物の前記読取画像データを格納した場合の前記メモリーの空き容量を求め、次に読み取られる前記読取対象物の読取画像データが前記メモリーに格納可能であるか否かを判定すると共に、次の前記読取対象物の供給の可否を判定し、
前記サイズ検出手段の前記検出部が、搬送される前記読取対象物の後端を検出するまでは、前記読取装置で使用可能な最大サイズの前記読取画像データが格納されるものとして前記メモリーの空き容量を求め、次の前記読取対象物の供給開始の可否の判定を行うこと、
を特徴とする読取装置の制御方法。
【請求項7】
読取対象物を読取手段により読み取って読取画像データをメモリーに格納する読取装置の各部を制御する制御部が実行するプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記制御部が、
前記読取対象物の搬送経路上の前記読取手段の上流側に設けられた検出部の検出状態に基づき、搬送される前記読取対象物の少なくとも搬送方向のサイズを検出し、検出した前記読取対象物の前記サイズをもとに、当該読取対象物の前記読取画像データを格納した場合の前記メモリーの空き容量を求め、次に読み取られる前記読取対象物の読取画像データが前記メモリーに格納可能であるか否かを判定すると共に、次の前記読取対象物の供給の可否を判定し、
前記サイズ検出手段の前記検出部が、搬送される前記読取対象物の後端を検出するまでは、前記読取装置で使用可能な最大サイズの前記読取画像データが格納されるものとして前記メモリーの空き容量を求め、次の前記読取対象物の供給開始の可否の判定を行うことを実行するプログラムを記憶する記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−21488(P2013−21488A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152943(P2011−152943)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】