課金装置及び課金方法並びにプログラム
【課題】有料道路を走行している車両を停止させることなく料金を収受する課金装置において、対向車線や直下の一般道を走行する車両に対して誤課金が発生しないようにすると共に、有料道路を走行している車両に対する課金漏れをなくす。
【解決手段】ETC処理アンテナ部131の道路幅方向のサイズは、道路幅よりも広く、車載器との間で安定した無線通信が行えるようになっている。LID取得アンテナ部141の不安定通信エリア143の道路幅方向のサイズは道路幅とほぼ等しく、一般道や対向車線に電波が漏洩しないようになっている。課金は、LID取得アンテナ部141およびETC処理アンテナ部131の双方でLIDが取得された車両に対してのみ行う。
【解決手段】ETC処理アンテナ部131の道路幅方向のサイズは、道路幅よりも広く、車載器との間で安定した無線通信が行えるようになっている。LID取得アンテナ部141の不安定通信エリア143の道路幅方向のサイズは道路幅とほぼ等しく、一般道や対向車線に電波が漏洩しないようになっている。課金は、LID取得アンテナ部141およびETC処理アンテナ部131の双方でLIDが取得された車両に対してのみ行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などの有料道路において、走行している車両を停止させることなく料金を収受する課金技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が料金所ゲートを通過する際に、車両に搭載されている車載器と料金所ゲートに設置されているアンテナとの間で課金データを無線でやり取りすることにより、ノンストップで料金を収受できるようにしたETC(Electronic Toll Collection)システムは、多くの有料道路で利用できるようになってきている。
【0003】
また、本線を高速走行する車両に対し、ノンストップで料金収受を行うETCフリーフローシステムも設置されるようになってきている。ETCフリーフローシステムでは、図14に示すように、門型柱などを用いてETC処理アンテナ部131を本線上に配置し、ETC処理アンテナ部131とその安定通信エリア132に進入した車両の車載器との間で課金データを無線でやり取りすることにより、ノンストップで料金を収受するようにしている。ここで、安定通信エリア132とは、車載器との間で安定した無線通信(ビット誤り率が予め定められている基準値以下の無線通信)を行うことができるエリアで、車載器への入射電力が予め定められている値(安定通信エリア下限値)以上となるエリアである。ETCフリーフローシステムによれば、料金所ゲートを不要にできるので、料金所ゲートでの車両の速度低下をなくすことができると共に、設置コストを抑えることができる。
【0004】
また、2つの路側無線器を利用して、一般道から料金課金対象エリアに進入する車両に対してはノンストップで課金を行い、料金課金対象エリアから一般道に退出する車両に対しては課金が行われないようにした課金システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に記載されている課金システムは、図15に示すように、一般道に沿って設置された2つの路側無線器1,2を備えている。一般道から料金課金対象エリア5に進入しようとしている車両6は、先ず、路側無線器1の通信エリア3を通過し、次いで、路側無線機2の通信エリア4を通過し、その後、料金課金対象エリア5に進入する。
【0006】
車両6が通信エリア3に進入すると、路側無線器1は、車両6の車載器と無線通信を行うことにより車両6の固有情報を取得し、取得した固有情報を路側無線器2へ送信する。路側無線器2は、路側無線器1から固有情報が送られてくると、それを固有情報記憶部(図示せず)に蓄積する。
【0007】
その後、車両6が通信エリア4に進入すると、路側無線器2は、車載器との間の無線通信により車両6の固有情報を取得し、それと同一の固有情報が固有情報記憶部に蓄積されているか否かを調べる。そして、同一の固有情報が蓄積されている場合は、車両6は料金課金対象エリア5に進入すると判断し、車載器に対する課金処理を実行する。この例では、車両6の固有情報と同一の固有情報が固有情報記憶部に蓄積されているので、路側無線器2は、課金処理を実行するが、もし、車両6の固有情報と同一の固有情報が蓄積されていなかった場合は、路側無線器2は課金処理を実行しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3666406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ETCフリーフローシステムでは、料金所ゲートをなくすことができるので、料金所ゲートにおける車両のスピード低下や、設置コストを抑えることができる。しかし、ETCフリーフローシステムは、複数車線から構成される本線を高速走行している車両を課金対象にしており、また、トラック等の大型車両によるシャドウイングの影響も考慮しなければならないため、図14に示すように、安定通信エリア132のサイズを大きくすることが必要になる。このため、本来通信すべき範囲外にも電波が漏洩してしまい、対向車線や隣接する一般道を走行する車両153,154と無線通信を行い、誤課金してしまう可能性がある。このような誤課金を防止するために、安定通信エリア132のサイズを小さくすると、高速走行車両や、シャドウイングの影響を受けた車両と正常通信ができなくなり、課金漏れが発生してしまう可能性がある。なお、図14において、不安定通信エリア133は、車載器への入射電力が、安定通信エリア下限値よりも小さく、無応答レベル(車載器が基地局からの通信に対して無応答となるべき入射電力)よりも大きいエリアである。車載器によっては、不安定通信エリア133に進入した場合、ETC処理アンテナ部131と無線通信を行ってしまう場合がある。
【0010】
また、特許文献1に記載されている技術によれば、一般道から有料道路に進入する車両に対してはノンストップで課金を行い、有料道路から一般道へ退出する車両に対しては課金処理が行われないようにすることができる。しかし、特許文献1に記載されている技術をETCフリーフローシステムに適用した場合、誤課金や課金漏れが発生する可能性がある。今、図16に示すように、路側無線器1,2を有料道路の本線上に設置し、各無線器1,2の通信エリア(安定通信エリア)3,4のサイズを大きく設定したとする。この場合、本線を走行する車両7は、路側無線器1,2の順番で無線通信を行うので、通信エリア4に進入した際、路側無線器2によって課金される。また、対向車線を走行する車両8は、漏洩電波の影響を受けて路側無線器1,2と通信を行ったとしても、通信順が路側無線器2,1であるので、課金されることはない。しかし、本線と隣接あるいは直下の一般道を走行している車両9は、漏洩電波の影響を受けて路側無線器1,2と通信を行うと、通信順が路側無線器1,2であるので、誤課金されてしまう。また、このような事態の発生を防ぐために、通信エリアのサイズを小さくすると、課金漏れが発生する可能性がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、誤課金や課金漏れが発生する可能性があるという課題を解決する課金装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる第1の課金装置は、
有料道路に設置される固有情報取得用アンテナと、
該固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナと、
前記固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信する無線制御部と、
該無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示する課金処理部とを備える。
【0013】
本発明にかかる第1の課金方法は、
無線制御部が、有料道路に設置された固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信し、
課金処理部が、前記無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示する。
【0014】
本発明にかかる第1のプログラムは、
有料道路に設置される固有情報取得用アンテナと、該固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナと通信を行うコンピュータを、
前記固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信する無線制御部、
該無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示する課金処理部として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、対向車線や一般道を走行する車両に対する誤課金を防止することができると共に、本線を走行する車両に対する課金漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる課金装置の第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】ETC処理アンテナ部131、LID取得アンテナ部141の位置関係および安定通信エリアおよび不安定通信エリアを示す図である。
【図3】通信フレームの一例を示す図である。
【図4】無線制御部121の構成例を示すブロック図である。
【図5】ETC制御部111の構成例を示すブロック図である。
【図6】車載器60の構成例を示すブロック図である。
【図7】第1の実施の形態において、車両に対して課金が行われる様子を示したシーケンス図である。
【図8】制御部112の処理例を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態において、誤課金が防止される様子を示したシーケンス図である。
【図10】本発明にかかる課金装置の第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明にかかる課金装置の第3の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図12】第3の実施の形態におけるアンテナ部の位置関係、安定通信エリア、および、不安定通信エリアを示す図である。
【図13】本発明にかかる第4の課金装置を説明するための図である。
【図14】ETCフリーフローシステムを説明するための図である。
【図15】特許文献1に記載されている課金システムを説明するための図である。
【図16】特許文献1に記載されている技術の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
[本発明の第1の実施の形態]
図1を参照すると、本発明にかかる課金装置の第1の実施の形態は、ETC制御部111と、無線制御部121と、ETC処理アンテナ部131と、LID(リンクID)取得アンテナ部141とを備えている。
【0019】
ETC処理アンテナ部131及びLID取得アンテナ部141は、門型柱などにより、有料道路の本線上に設置される。本実施の形態では、図2に示すように、両アンテナ部131,141は、3車線構成の上りの本線上に設置されているとする。
【0020】
ETC処理アンテナ部131は、本線上において、LID取得アンテナ部141よりも下流に設けられている。また、ETC処理アンテナ部131の安定通信エリア132及び不安定通信エリア133のサイズは、LID取得アンテナ部141の安定通信エリア142及び不安定通信エリア143のサイズよりも大きくなっている。図2の例では、ETC処理アンテナ部131の安定通信エリア132の道路幅方向のサイズは、道路幅(上り本線の幅)よりも大きくなっており、LID取得アンテナ部141の安定通信エリア142の道路幅方向のサイズは、道路幅よりも小さくなっている。また、LID取得アンテナ141の不安定通信エリア143の道路幅方向のサイズは、道路幅とほぼ等しくなっている。
【0021】
ETC処理アンテナ部131は、アンテナANT1を備えると共に、図示を省略した送受共用部や変復調部を備えている。また、LID取得アンテナ部141は、アンテナANT2を備えると共に、図示を省略した送受共用部や変復調部を備えている。
【0022】
無線制御部121は、複数のスロットから構成される通信フレームを使用して車載器と無線通信を行い、車両の固有情報としてのLIDや、課金処理に必要な情報(課金処理情報)をやりとりする。また、無線制御部121は、図3に示すように、通信フレーム単位で使用するアンテナ部を切り替える。図3の例では、通信フレーム201,203の各スロットはETC処理アンテナ部131を介して送受信され、通信フレーム202,204の各スロットはLID取得アンテナ部141を介して送受信されている。なお、通信フレームは、スロット割当てを行うフレームコントロールメッセージスロット(FCMS)と、データ転送用のメッセージデータスロット(MDS)と、基地局の通信リンクへのアソシエーション(リンク要求)用のアクチベーションスロット(ACTS)からなる。なお、ARIB STD-T75では、変調方式がASKの場合は伝送速度を1024Kbps、変調方式がπ/4シフトQPSKの場合は伝送速度を4096Kbpsとすることが規定されており、本実施の形態もこれに従うものとする。
【0023】
図4を参照すると、無線制御部121は、切り替え手段125と、データ処理部126とを備えている。切り替え手段125は、通信フレーム単位で使用するアンテナ部131,141を切り替える機能を有する。データ処理部126は、ETC処理アンテナ部131或いはLID取得アンテナ部141を介して車載器から送られてきたLIDや課金処理情報をETC制御部111に渡す機能や、ETC制御部111から渡された課金処理用情報をETC処理アンテナ部131用の通信フレームの適切なスロットに挿入して切り替え手段125に渡す機能を有する。なお、データ処理部126は、車載器から送られてきたLIDをETC処理部111に渡す際、それがETC処理アンテナ部131で受信されたものなのか、LID取得アンテナ部141で受信されたものなのかを示す受信元アンテナ部情報もETC処理部111に渡す。
【0024】
図5を参照すると、ETC制御部111は、制御部112と、LID記憶部115とを備えている。制御部112は、判定手段113と、課金処理手段114とを備えている。
【0025】
判定手段113は、無線制御部121から渡されたLIDが、LID取得アンテナ部141で受信されたものである場合は、上記LIDをLID記憶部115に記録する。また、制御部121から渡されたLIDがETC処理アンテナ部131で受信されたものである場合は、上記LIDとLID記憶部115に記録されているLIDとを比較し、同一のLIDが存在する場合は課金処理を行うと判定し、同一のLIDが存在しない場合は課金処理を行わないと判定する。
【0026】
課金処理手段114は、判定手段113が課金処理を行うと判定した場合は、課金対象車両の車載器と初期接続するために必要になる情報(課金対象車両のLID)を無線制御部121に渡したり、課金対象車両から送られてきた情報に基づいて作成した、車載器のICカードに書き込む情報などを無線制御部121に渡す機能を有する。
【0027】
尚、ETC制御部111内の制御部112、および、無線制御部121内のデータ処理手段126は、CPU(中央処理装置)によって実現することが可能であり、CPUによって実現する場合は、例えば、次のようにする。CPUを制御部112、データ処理手段126として機能させるためのプログラムを記録したディスク、半導体メモリなどの記録媒体を用意し、CPUに上記プログラムを読み取らせる。CPUは、読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御することにより、自CPU上に制御部112及びデータ処理手段126を実現する。
【0028】
図6を参照すると、車載器60は、アンテナ61と、送受信部62と、変復調部63と、データ処理部(信号処理部)64と、車載器全体の制御を行う制御部65と、ICカード接続部66と、課金処理を行うために必要となる情報が記録されているICカード67とを備えている。
【0029】
制御部65は、エンジン始動時などにランダムに4オクテットのLIDを選択し、車両の固有情報として図示を省略した記憶部に記録しておく。また、制御部65は、受信したFCMSやMDSの内容に応じて、LIDや課金処理情報を送信したり、ICカード67に対する情報の読み書きを行う。
【0030】
次に、本実施の形態の動作について説明する。図2に示すように、有料道路の本線を走行している車両151がLID取得アンテナ部141の安定通信エリア142に進入すると、車両151に搭載されている車載器60は、受信したFCMSの内容に従って自車両151のLID=A(値がAのLID)をLID取得アンテナ部141へ送信する(図7のS71)。このLID=Aは、LID取得アンテナ部141、無線制御部121を介してETC制御部111へ送られる。なお、無線制御部121は、LID=AをETC制御部111に渡す際、その受信元がLID取得アンテナ部141であること示す受信元アンテナ部情報も渡す。
【0031】
ETC制御部111内の判定手段113は、受信元アンテナ部情報に基づいてLID=AがLID取得アンテナ部141で受信されたものであると判断すると(図8のS81がYES)、LID=AをLID記憶部115に記録する(S85)。
【0032】
その後、車両115がETC処理アンテナ部131の安定通信エリア132に進入すると、車載器60は、自車両115のLID=AをETC処理アンテナ部131へ送信する(図7のS72)。このLID=Aは、ETC処理アンテナ部131、無線制御部121を介してETC制御部111へ送信される。その際、上記LID=Aの受信元がETC処理アンテナ部131であることを示す受信元アンテナ部情報もETC制御部111へ送られる。
【0033】
ETC制御部111内の判定手段113は、受信元アンテナ部情報に基づいてLID=AがETC処理アンテナ部131で受信されたものであると判断すると(図8のS81がNO)、LIS記憶部115にLID=Aが記録されているか否かを調べる(S82)。そして、記録されていない場合(S82がNO)は、車載器との間の無線通信の終了処理を行う(S84)。これに対して、記録されている場合(S82がYES)は、課金処理手段114が課金処理、終了処理を実行する(S83、S84)。課金処理においては、課金対象車両151の車載器60と初期接続するために必要になる情報(車両151のLID=A)を無線制御部121に渡したり、課金対象車両151から送られてきた情報に基づいて作成した、車載器60のICカード67に書き込む情報などを無線制御部121に渡したりする。これにより、図7に示すように、車両151の車載器60との間で初期接続動作(S73)が行われ、その後、情報取得処理、情報書込処理、終了処理(S74〜S76)といったETC処理が行われる。なお、課金処理においては、LID記憶部115から課金対象車両のLID=Aを削除する処理も行う。
【0034】
次に、対向車線を走行している車両153が、図2に示すように、ETC処理アンテナ部131の不安定通信エリア133に進入した場合の動作を説明する。車両153がETC処理アンテナ部131の不安定通信エリア133に進入した場合、車載器とETC処理アンテナ部131との間で無線通信が行われ、図9のS91に示すように車両153のLID=BがETC処理アンテナ部131へ送信される場合がある。このLID=Bは、ETC処理アンテナ部131、無線制御部121を介してETC制御部111へ送られる。ETC制御部111内の判定手段113は、LID記憶部115にLID=Bが記録されているか否かを調べる(図8のS82)。この場合、車両153は、LID取得アンテナ部141の安定通信エリア142も不安定通信エリア143も通過していないので、LID記憶部115には、LID=Bは記録されていない。従って、判定手段113は、車載器との間の無線通信を終了させる終了処理を行うので(S84),車両153が課金(誤課金)されることはない。また、一般道を走行する車両154が図2に示すようにETC処理アンテナ部131の不安定エリア133に進入し、車載器とETC処理アンテナ部131との間で無線通信が行われたとしても、LID取得アンテナ部141によってLIDが取得されていないので、前述した処理と同様の処理が行われ、車両154に対して誤課金が発生することはない。
【0035】
[第1の実施の形態の効果]
本実施の形態によれば、対向車線や隣接する一般道を走行する車両に対する誤課金を防止することができると共に、本線を走行する車両に対する課金漏れを防止することができるという第1の効果を得ることができる。その理由は、固有情報取得用アンテナとしてのLID取得アンテナ部141と、LID取得アンテナ部141よりも通信エリア(安定通信エリア)のサイズが大きい課金処理用アンテナとしてのETC処理アンテナ部131とを有料道路に設置し、LID取得アンテナ部141を介して車両の固有情報であるLIDを取得できなかった車両については、ETC処理アンテナ部131で車両のLIDを取得できた場合であっても、課金処理を行わないようにしているからである。つまり、LID取得アンテナ部141の通信エリアのサイズを小さくすることにより、高速道路を走行している課金対象の車両以外の車両のLIDを取得することがなくなるので、対向車線や隣接する一般道を走行している車両に対して誤課金を行うことがなくなる。また、ETC処理アンテナ部131の通信エリアのサイズを大きくすることにより、課金対象の車両に搭載されている車載器との間で、ETCに関わる様々な情報の送受信を安定して行うことができるので、本線を走行する車両に対する課金漏れを防ぐことができる。なお、LID取得アンテナ部141は、LID取得に関する情報だけを送受信するものであるので、その通信エリアのサイズを小さくしても問題はない。
【0036】
また、本実施の形態では、無線制御部121がETC処理アンテナ部131と、LID取得アンテナ部141とを通信フレーム単位で切り替えて使用するようにしており、無線制御部の個数を1個とすることができるので、構成を経済的なものにすることができるという第2の効果を得ることができる。
【0037】
[本発明の第2の実施の形態]
次に、本発明にかかる課金装置の第2の実施の形態について説明する。
【0038】
図10を参照すると、本実施の形態にかかる課金装置は、ETC処理アンテナ部131及びLID取得アンテナ部141それぞれに対して無線制御部123,124が設けられている点が図1に示した第1の実施の形態の課金装置と相違している。また、ETC制御部111内の判定手段113(図5参照)が行う処理も、第1の実施の形態とは多少異なっている。
【0039】
無線制御部123は、ETC処理アンテナ部131を介して車載器から送られてくるLIDや課金処理情報をETC制御部111に渡す機能や、ETC制御部111から渡された課金処理情報を通信フレームの適切なスロットに挿入してETC処理アンテナ部131へ送信する機能を有する。また、無線制御部124は、LID取得アンテナ部141を介して車載器から送られてくるLIDをETC制御部111に渡す機能を有する。
【0040】
次に、本実施の形態の動作について説明する。なお、両アンテナ部131,141の設置位置や安定通信エリアおよび不安定通信エリアの関係は、図2に示すものであるとする。
【0041】
LID取得アンテナ部141は、その安定通信エリア142に進入した車両の車載器から送られてくるLIDを無線制御部124に渡し、無線制御部124は、上記LIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部124からLIDが渡されると、それをLID記憶部115に記録する。
【0042】
また、ETC処理アンテナ部131は、その安定通信エリア132もしくは不安定通信エリア133に進入した車両の車載器から送られてくるLIDを無線制御部123に渡し、無線制御部123は、上記LIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部123からLIDが渡されると、それと同一のLIDがLID記憶部115に記録されているか否かを判定する。そして、記録されていない場合は、車載器との間の無線処理を終了させる終了処理を行う。これに対して、記録されている場合は、課金処理手段114を起動し、前述した処理と同様の処理を行わせる。
【0043】
[第2の実施の形態の効果]
本実施の形態によれば、前述した第1の効果に加えて、切り替え手段を備えていない一般的な無線制御部を利用して課金装置を構成することができるという第3の効果を得ることができる。
【0044】
[本発明の第3の実施の形態]
次に、本発明にかかる課金装置の第3の実施の形態について説明する。
【0045】
図11を参照すると、本実施の形態にかかる課金装置は、無線制御部124a,124bが追加されている点、および、アンテナANT2a,ANT2bを有するLID取得アンテナ部141a,141bが追加されている点が図10に示した第2の実施の形態の課金装置と相違している。また、ETC制御部111内の判定手段113が行う処理も第2の実施の形態とは多少相違している。
【0046】
図12を参照すると、ETC処理アンテナ部131は、上り本線の中央車線上に設置され、LID取得アンテナ部141,141a,141bは、それぞれ第1,2,3車線上に設置されている。ETC処理アンテナ部131の安定通信エリア132の道路幅方向のサイズは、道路幅(上り本線の幅)よりも大きくなっており、LID取得アンテナ部141,141a,141bの安定通信エリア142,142a,142bの道路幅方向のサイズは、車線幅よりも小さくなっている。また、LID取得アンテナ141,141a,141bの不安定通信エリア143,143a,143bの道路幅方向のサイズは、車線幅とほぼ等しくなっている。
【0047】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
【0048】
LID取得アンテナ部141,141a,141bは、その安定通信エリア142,142a,142bに進入した車両の車載器から送られてくるLIDを無線制御部124,124a,124bに渡し、無線制御部124,124a,124bは、上記LIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部124,124a,124bからLIDが渡されると、それと同じLIDがLID記憶部115に記録されているか否かを調べる。そして、記録されていない場合は、上記LIDを記録する。
【0049】
また、ETC処理アンテナ部131は、その安定通信エリア132もしくは不安定通信エリア133に進入した車両の車載器から送られてくるLIDを無線制御部123に渡し、無線制御部123は、上記LIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部123からLIDが渡されると、それと同一のLIDがLID記憶部115に記録されているか否かを判定する。そして、記録されていない場合は、無線処理部123、および、ETC処理アンテナ部131を介して、車載器との間の無線処理を終了させる終了処理を行う。これに対して、記録されている場合は、課金処理手段114を起動し、前述した処理と同様の処理を行わせる。
【0050】
[第3の実施の形態の効果]
本実施の形態では、複数のLID取得アンテナ部141,141a,141bを道路の幅方向に互いに離間して配置したので、不安定通信エリア143,143a,143bの面積を第1、第2の実施の形態に比較して小さくすることができる。その結果、本実施の形態によれば、前述した第1の効果に加え、本線を走行する車両が不安定通信エリアを走行する確率が小さくなり、高い確率で車両のLIDを取得できるようになるので、課金漏れを極めて少なくすることができるという第4の効果を得ることができる。
【0051】
[本発明の第4の実施の形態]
次に、本発明にかかる課金装置の第4の実施の形態について説明する。
【0052】
本実施の形態では、図11に示した課金装置のETC処理アンテナ部131、および、LID取得アンテナ部141,141a,141bを図13に示すように有料道路の上り本線上に設置している。
【0053】
これらのアンテナ部は、本線の下流から上流に向かって、ETC処理アンテナ部131、LID取得アンテナ部141,141a,141bの順で設置されている。ETC処理アンテナ部131の安定通信エリア132の道路幅方向のサイズは、道路幅よりも僅かに大きくなっている。また、LID取得アンテナ部141,141a,141bの安定通信エリア142,142a,142bの道路幅方向のサイズは、道路幅よりも小さく、不安定通信エリア143,143a,143bの道路幅方向のサイズは、道路幅とほぼ等しくなっている。
【0054】
次に、本実施の形態の動作について説明する。無線制御部124,124a,124bは、車載器からLID取得アンテナ部141,141a,141bを介して送られてくるLIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部124,124a,124bから渡されたLIDと同一のLIDがLID記憶部115に記録されているか否かを調べ、記録されていなければ、上記LIDをLID記憶部115に記録する。つまり、LID取得アンテナ部141,141a,141bの内の少なくとも1つが車両のLIDを取得できれば、LID記憶部115のその車両のLIDが記録されることになる。
【0055】
無線制御部123は、車載器からETC処理アンテナ部131を介してLIDが送られてくるLIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部123から渡されたLIDと同一のLIDがLID記憶部115に記録されているか否かを判定する。そして、記録されていない場合は、無線制御部123およびETC処理アンテナ部131を介して、車載器との間の無線通信を終了させる終了処理を行う。これに対して記録されている場合は、課金処理手段114を起動し、前述した処理と同様の処理を行わせる。
【0056】
[第4の実施の形態の効果]
本実施の形態では、複数のLID取得アンテナ部141,141a,141bを車両の走行方向に沿って互いに離間して配置し、少なくとも1つのLID取得アンテナ部によってLIDが取得された車両に対しては、課金処理を行うようにしたので、前述した第1の効果に加え、LID取得アンテナ部に障害が発生した場合であっても、確実に課金を行うことが可能になるという第5の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ETCフリーフローシステムに適用すると好適である。
【符号の説明】
【0058】
111・・・ETC制御部
112・・・制御部
113・・・判定手段
114・・・課金処理手段
115・・・LID記憶部
121・・・無線制御部
125・・・切り替え手段
126・・・データ処理部
131・・・ETC処理アンテナ部
132・・・安定通信エリア
133・・・不安定通信エリア
141・・・LID取得アンテナ部
142・・・安定通信エリア
143・・・不安定通信エリア
151〜154・・・車両
60・・・車載器
61・・・アンテナ
62・・・送受信部
63・・・変復調部
64・・・データ処理部
65・・・制御部
66・・・ICカード接続部
67・・・ICカード
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などの有料道路において、走行している車両を停止させることなく料金を収受する課金技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が料金所ゲートを通過する際に、車両に搭載されている車載器と料金所ゲートに設置されているアンテナとの間で課金データを無線でやり取りすることにより、ノンストップで料金を収受できるようにしたETC(Electronic Toll Collection)システムは、多くの有料道路で利用できるようになってきている。
【0003】
また、本線を高速走行する車両に対し、ノンストップで料金収受を行うETCフリーフローシステムも設置されるようになってきている。ETCフリーフローシステムでは、図14に示すように、門型柱などを用いてETC処理アンテナ部131を本線上に配置し、ETC処理アンテナ部131とその安定通信エリア132に進入した車両の車載器との間で課金データを無線でやり取りすることにより、ノンストップで料金を収受するようにしている。ここで、安定通信エリア132とは、車載器との間で安定した無線通信(ビット誤り率が予め定められている基準値以下の無線通信)を行うことができるエリアで、車載器への入射電力が予め定められている値(安定通信エリア下限値)以上となるエリアである。ETCフリーフローシステムによれば、料金所ゲートを不要にできるので、料金所ゲートでの車両の速度低下をなくすことができると共に、設置コストを抑えることができる。
【0004】
また、2つの路側無線器を利用して、一般道から料金課金対象エリアに進入する車両に対してはノンストップで課金を行い、料金課金対象エリアから一般道に退出する車両に対しては課金が行われないようにした課金システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に記載されている課金システムは、図15に示すように、一般道に沿って設置された2つの路側無線器1,2を備えている。一般道から料金課金対象エリア5に進入しようとしている車両6は、先ず、路側無線器1の通信エリア3を通過し、次いで、路側無線機2の通信エリア4を通過し、その後、料金課金対象エリア5に進入する。
【0006】
車両6が通信エリア3に進入すると、路側無線器1は、車両6の車載器と無線通信を行うことにより車両6の固有情報を取得し、取得した固有情報を路側無線器2へ送信する。路側無線器2は、路側無線器1から固有情報が送られてくると、それを固有情報記憶部(図示せず)に蓄積する。
【0007】
その後、車両6が通信エリア4に進入すると、路側無線器2は、車載器との間の無線通信により車両6の固有情報を取得し、それと同一の固有情報が固有情報記憶部に蓄積されているか否かを調べる。そして、同一の固有情報が蓄積されている場合は、車両6は料金課金対象エリア5に進入すると判断し、車載器に対する課金処理を実行する。この例では、車両6の固有情報と同一の固有情報が固有情報記憶部に蓄積されているので、路側無線器2は、課金処理を実行するが、もし、車両6の固有情報と同一の固有情報が蓄積されていなかった場合は、路側無線器2は課金処理を実行しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3666406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ETCフリーフローシステムでは、料金所ゲートをなくすことができるので、料金所ゲートにおける車両のスピード低下や、設置コストを抑えることができる。しかし、ETCフリーフローシステムは、複数車線から構成される本線を高速走行している車両を課金対象にしており、また、トラック等の大型車両によるシャドウイングの影響も考慮しなければならないため、図14に示すように、安定通信エリア132のサイズを大きくすることが必要になる。このため、本来通信すべき範囲外にも電波が漏洩してしまい、対向車線や隣接する一般道を走行する車両153,154と無線通信を行い、誤課金してしまう可能性がある。このような誤課金を防止するために、安定通信エリア132のサイズを小さくすると、高速走行車両や、シャドウイングの影響を受けた車両と正常通信ができなくなり、課金漏れが発生してしまう可能性がある。なお、図14において、不安定通信エリア133は、車載器への入射電力が、安定通信エリア下限値よりも小さく、無応答レベル(車載器が基地局からの通信に対して無応答となるべき入射電力)よりも大きいエリアである。車載器によっては、不安定通信エリア133に進入した場合、ETC処理アンテナ部131と無線通信を行ってしまう場合がある。
【0010】
また、特許文献1に記載されている技術によれば、一般道から有料道路に進入する車両に対してはノンストップで課金を行い、有料道路から一般道へ退出する車両に対しては課金処理が行われないようにすることができる。しかし、特許文献1に記載されている技術をETCフリーフローシステムに適用した場合、誤課金や課金漏れが発生する可能性がある。今、図16に示すように、路側無線器1,2を有料道路の本線上に設置し、各無線器1,2の通信エリア(安定通信エリア)3,4のサイズを大きく設定したとする。この場合、本線を走行する車両7は、路側無線器1,2の順番で無線通信を行うので、通信エリア4に進入した際、路側無線器2によって課金される。また、対向車線を走行する車両8は、漏洩電波の影響を受けて路側無線器1,2と通信を行ったとしても、通信順が路側無線器2,1であるので、課金されることはない。しかし、本線と隣接あるいは直下の一般道を走行している車両9は、漏洩電波の影響を受けて路側無線器1,2と通信を行うと、通信順が路側無線器1,2であるので、誤課金されてしまう。また、このような事態の発生を防ぐために、通信エリアのサイズを小さくすると、課金漏れが発生する可能性がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、誤課金や課金漏れが発生する可能性があるという課題を解決する課金装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる第1の課金装置は、
有料道路に設置される固有情報取得用アンテナと、
該固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナと、
前記固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信する無線制御部と、
該無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示する課金処理部とを備える。
【0013】
本発明にかかる第1の課金方法は、
無線制御部が、有料道路に設置された固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信し、
課金処理部が、前記無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示する。
【0014】
本発明にかかる第1のプログラムは、
有料道路に設置される固有情報取得用アンテナと、該固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナと通信を行うコンピュータを、
前記固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信する無線制御部、
該無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示する課金処理部として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、対向車線や一般道を走行する車両に対する誤課金を防止することができると共に、本線を走行する車両に対する課金漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる課金装置の第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】ETC処理アンテナ部131、LID取得アンテナ部141の位置関係および安定通信エリアおよび不安定通信エリアを示す図である。
【図3】通信フレームの一例を示す図である。
【図4】無線制御部121の構成例を示すブロック図である。
【図5】ETC制御部111の構成例を示すブロック図である。
【図6】車載器60の構成例を示すブロック図である。
【図7】第1の実施の形態において、車両に対して課金が行われる様子を示したシーケンス図である。
【図8】制御部112の処理例を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態において、誤課金が防止される様子を示したシーケンス図である。
【図10】本発明にかかる課金装置の第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明にかかる課金装置の第3の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図12】第3の実施の形態におけるアンテナ部の位置関係、安定通信エリア、および、不安定通信エリアを示す図である。
【図13】本発明にかかる第4の課金装置を説明するための図である。
【図14】ETCフリーフローシステムを説明するための図である。
【図15】特許文献1に記載されている課金システムを説明するための図である。
【図16】特許文献1に記載されている技術の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
[本発明の第1の実施の形態]
図1を参照すると、本発明にかかる課金装置の第1の実施の形態は、ETC制御部111と、無線制御部121と、ETC処理アンテナ部131と、LID(リンクID)取得アンテナ部141とを備えている。
【0019】
ETC処理アンテナ部131及びLID取得アンテナ部141は、門型柱などにより、有料道路の本線上に設置される。本実施の形態では、図2に示すように、両アンテナ部131,141は、3車線構成の上りの本線上に設置されているとする。
【0020】
ETC処理アンテナ部131は、本線上において、LID取得アンテナ部141よりも下流に設けられている。また、ETC処理アンテナ部131の安定通信エリア132及び不安定通信エリア133のサイズは、LID取得アンテナ部141の安定通信エリア142及び不安定通信エリア143のサイズよりも大きくなっている。図2の例では、ETC処理アンテナ部131の安定通信エリア132の道路幅方向のサイズは、道路幅(上り本線の幅)よりも大きくなっており、LID取得アンテナ部141の安定通信エリア142の道路幅方向のサイズは、道路幅よりも小さくなっている。また、LID取得アンテナ141の不安定通信エリア143の道路幅方向のサイズは、道路幅とほぼ等しくなっている。
【0021】
ETC処理アンテナ部131は、アンテナANT1を備えると共に、図示を省略した送受共用部や変復調部を備えている。また、LID取得アンテナ部141は、アンテナANT2を備えると共に、図示を省略した送受共用部や変復調部を備えている。
【0022】
無線制御部121は、複数のスロットから構成される通信フレームを使用して車載器と無線通信を行い、車両の固有情報としてのLIDや、課金処理に必要な情報(課金処理情報)をやりとりする。また、無線制御部121は、図3に示すように、通信フレーム単位で使用するアンテナ部を切り替える。図3の例では、通信フレーム201,203の各スロットはETC処理アンテナ部131を介して送受信され、通信フレーム202,204の各スロットはLID取得アンテナ部141を介して送受信されている。なお、通信フレームは、スロット割当てを行うフレームコントロールメッセージスロット(FCMS)と、データ転送用のメッセージデータスロット(MDS)と、基地局の通信リンクへのアソシエーション(リンク要求)用のアクチベーションスロット(ACTS)からなる。なお、ARIB STD-T75では、変調方式がASKの場合は伝送速度を1024Kbps、変調方式がπ/4シフトQPSKの場合は伝送速度を4096Kbpsとすることが規定されており、本実施の形態もこれに従うものとする。
【0023】
図4を参照すると、無線制御部121は、切り替え手段125と、データ処理部126とを備えている。切り替え手段125は、通信フレーム単位で使用するアンテナ部131,141を切り替える機能を有する。データ処理部126は、ETC処理アンテナ部131或いはLID取得アンテナ部141を介して車載器から送られてきたLIDや課金処理情報をETC制御部111に渡す機能や、ETC制御部111から渡された課金処理用情報をETC処理アンテナ部131用の通信フレームの適切なスロットに挿入して切り替え手段125に渡す機能を有する。なお、データ処理部126は、車載器から送られてきたLIDをETC処理部111に渡す際、それがETC処理アンテナ部131で受信されたものなのか、LID取得アンテナ部141で受信されたものなのかを示す受信元アンテナ部情報もETC処理部111に渡す。
【0024】
図5を参照すると、ETC制御部111は、制御部112と、LID記憶部115とを備えている。制御部112は、判定手段113と、課金処理手段114とを備えている。
【0025】
判定手段113は、無線制御部121から渡されたLIDが、LID取得アンテナ部141で受信されたものである場合は、上記LIDをLID記憶部115に記録する。また、制御部121から渡されたLIDがETC処理アンテナ部131で受信されたものである場合は、上記LIDとLID記憶部115に記録されているLIDとを比較し、同一のLIDが存在する場合は課金処理を行うと判定し、同一のLIDが存在しない場合は課金処理を行わないと判定する。
【0026】
課金処理手段114は、判定手段113が課金処理を行うと判定した場合は、課金対象車両の車載器と初期接続するために必要になる情報(課金対象車両のLID)を無線制御部121に渡したり、課金対象車両から送られてきた情報に基づいて作成した、車載器のICカードに書き込む情報などを無線制御部121に渡す機能を有する。
【0027】
尚、ETC制御部111内の制御部112、および、無線制御部121内のデータ処理手段126は、CPU(中央処理装置)によって実現することが可能であり、CPUによって実現する場合は、例えば、次のようにする。CPUを制御部112、データ処理手段126として機能させるためのプログラムを記録したディスク、半導体メモリなどの記録媒体を用意し、CPUに上記プログラムを読み取らせる。CPUは、読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御することにより、自CPU上に制御部112及びデータ処理手段126を実現する。
【0028】
図6を参照すると、車載器60は、アンテナ61と、送受信部62と、変復調部63と、データ処理部(信号処理部)64と、車載器全体の制御を行う制御部65と、ICカード接続部66と、課金処理を行うために必要となる情報が記録されているICカード67とを備えている。
【0029】
制御部65は、エンジン始動時などにランダムに4オクテットのLIDを選択し、車両の固有情報として図示を省略した記憶部に記録しておく。また、制御部65は、受信したFCMSやMDSの内容に応じて、LIDや課金処理情報を送信したり、ICカード67に対する情報の読み書きを行う。
【0030】
次に、本実施の形態の動作について説明する。図2に示すように、有料道路の本線を走行している車両151がLID取得アンテナ部141の安定通信エリア142に進入すると、車両151に搭載されている車載器60は、受信したFCMSの内容に従って自車両151のLID=A(値がAのLID)をLID取得アンテナ部141へ送信する(図7のS71)。このLID=Aは、LID取得アンテナ部141、無線制御部121を介してETC制御部111へ送られる。なお、無線制御部121は、LID=AをETC制御部111に渡す際、その受信元がLID取得アンテナ部141であること示す受信元アンテナ部情報も渡す。
【0031】
ETC制御部111内の判定手段113は、受信元アンテナ部情報に基づいてLID=AがLID取得アンテナ部141で受信されたものであると判断すると(図8のS81がYES)、LID=AをLID記憶部115に記録する(S85)。
【0032】
その後、車両115がETC処理アンテナ部131の安定通信エリア132に進入すると、車載器60は、自車両115のLID=AをETC処理アンテナ部131へ送信する(図7のS72)。このLID=Aは、ETC処理アンテナ部131、無線制御部121を介してETC制御部111へ送信される。その際、上記LID=Aの受信元がETC処理アンテナ部131であることを示す受信元アンテナ部情報もETC制御部111へ送られる。
【0033】
ETC制御部111内の判定手段113は、受信元アンテナ部情報に基づいてLID=AがETC処理アンテナ部131で受信されたものであると判断すると(図8のS81がNO)、LIS記憶部115にLID=Aが記録されているか否かを調べる(S82)。そして、記録されていない場合(S82がNO)は、車載器との間の無線通信の終了処理を行う(S84)。これに対して、記録されている場合(S82がYES)は、課金処理手段114が課金処理、終了処理を実行する(S83、S84)。課金処理においては、課金対象車両151の車載器60と初期接続するために必要になる情報(車両151のLID=A)を無線制御部121に渡したり、課金対象車両151から送られてきた情報に基づいて作成した、車載器60のICカード67に書き込む情報などを無線制御部121に渡したりする。これにより、図7に示すように、車両151の車載器60との間で初期接続動作(S73)が行われ、その後、情報取得処理、情報書込処理、終了処理(S74〜S76)といったETC処理が行われる。なお、課金処理においては、LID記憶部115から課金対象車両のLID=Aを削除する処理も行う。
【0034】
次に、対向車線を走行している車両153が、図2に示すように、ETC処理アンテナ部131の不安定通信エリア133に進入した場合の動作を説明する。車両153がETC処理アンテナ部131の不安定通信エリア133に進入した場合、車載器とETC処理アンテナ部131との間で無線通信が行われ、図9のS91に示すように車両153のLID=BがETC処理アンテナ部131へ送信される場合がある。このLID=Bは、ETC処理アンテナ部131、無線制御部121を介してETC制御部111へ送られる。ETC制御部111内の判定手段113は、LID記憶部115にLID=Bが記録されているか否かを調べる(図8のS82)。この場合、車両153は、LID取得アンテナ部141の安定通信エリア142も不安定通信エリア143も通過していないので、LID記憶部115には、LID=Bは記録されていない。従って、判定手段113は、車載器との間の無線通信を終了させる終了処理を行うので(S84),車両153が課金(誤課金)されることはない。また、一般道を走行する車両154が図2に示すようにETC処理アンテナ部131の不安定エリア133に進入し、車載器とETC処理アンテナ部131との間で無線通信が行われたとしても、LID取得アンテナ部141によってLIDが取得されていないので、前述した処理と同様の処理が行われ、車両154に対して誤課金が発生することはない。
【0035】
[第1の実施の形態の効果]
本実施の形態によれば、対向車線や隣接する一般道を走行する車両に対する誤課金を防止することができると共に、本線を走行する車両に対する課金漏れを防止することができるという第1の効果を得ることができる。その理由は、固有情報取得用アンテナとしてのLID取得アンテナ部141と、LID取得アンテナ部141よりも通信エリア(安定通信エリア)のサイズが大きい課金処理用アンテナとしてのETC処理アンテナ部131とを有料道路に設置し、LID取得アンテナ部141を介して車両の固有情報であるLIDを取得できなかった車両については、ETC処理アンテナ部131で車両のLIDを取得できた場合であっても、課金処理を行わないようにしているからである。つまり、LID取得アンテナ部141の通信エリアのサイズを小さくすることにより、高速道路を走行している課金対象の車両以外の車両のLIDを取得することがなくなるので、対向車線や隣接する一般道を走行している車両に対して誤課金を行うことがなくなる。また、ETC処理アンテナ部131の通信エリアのサイズを大きくすることにより、課金対象の車両に搭載されている車載器との間で、ETCに関わる様々な情報の送受信を安定して行うことができるので、本線を走行する車両に対する課金漏れを防ぐことができる。なお、LID取得アンテナ部141は、LID取得に関する情報だけを送受信するものであるので、その通信エリアのサイズを小さくしても問題はない。
【0036】
また、本実施の形態では、無線制御部121がETC処理アンテナ部131と、LID取得アンテナ部141とを通信フレーム単位で切り替えて使用するようにしており、無線制御部の個数を1個とすることができるので、構成を経済的なものにすることができるという第2の効果を得ることができる。
【0037】
[本発明の第2の実施の形態]
次に、本発明にかかる課金装置の第2の実施の形態について説明する。
【0038】
図10を参照すると、本実施の形態にかかる課金装置は、ETC処理アンテナ部131及びLID取得アンテナ部141それぞれに対して無線制御部123,124が設けられている点が図1に示した第1の実施の形態の課金装置と相違している。また、ETC制御部111内の判定手段113(図5参照)が行う処理も、第1の実施の形態とは多少異なっている。
【0039】
無線制御部123は、ETC処理アンテナ部131を介して車載器から送られてくるLIDや課金処理情報をETC制御部111に渡す機能や、ETC制御部111から渡された課金処理情報を通信フレームの適切なスロットに挿入してETC処理アンテナ部131へ送信する機能を有する。また、無線制御部124は、LID取得アンテナ部141を介して車載器から送られてくるLIDをETC制御部111に渡す機能を有する。
【0040】
次に、本実施の形態の動作について説明する。なお、両アンテナ部131,141の設置位置や安定通信エリアおよび不安定通信エリアの関係は、図2に示すものであるとする。
【0041】
LID取得アンテナ部141は、その安定通信エリア142に進入した車両の車載器から送られてくるLIDを無線制御部124に渡し、無線制御部124は、上記LIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部124からLIDが渡されると、それをLID記憶部115に記録する。
【0042】
また、ETC処理アンテナ部131は、その安定通信エリア132もしくは不安定通信エリア133に進入した車両の車載器から送られてくるLIDを無線制御部123に渡し、無線制御部123は、上記LIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部123からLIDが渡されると、それと同一のLIDがLID記憶部115に記録されているか否かを判定する。そして、記録されていない場合は、車載器との間の無線処理を終了させる終了処理を行う。これに対して、記録されている場合は、課金処理手段114を起動し、前述した処理と同様の処理を行わせる。
【0043】
[第2の実施の形態の効果]
本実施の形態によれば、前述した第1の効果に加えて、切り替え手段を備えていない一般的な無線制御部を利用して課金装置を構成することができるという第3の効果を得ることができる。
【0044】
[本発明の第3の実施の形態]
次に、本発明にかかる課金装置の第3の実施の形態について説明する。
【0045】
図11を参照すると、本実施の形態にかかる課金装置は、無線制御部124a,124bが追加されている点、および、アンテナANT2a,ANT2bを有するLID取得アンテナ部141a,141bが追加されている点が図10に示した第2の実施の形態の課金装置と相違している。また、ETC制御部111内の判定手段113が行う処理も第2の実施の形態とは多少相違している。
【0046】
図12を参照すると、ETC処理アンテナ部131は、上り本線の中央車線上に設置され、LID取得アンテナ部141,141a,141bは、それぞれ第1,2,3車線上に設置されている。ETC処理アンテナ部131の安定通信エリア132の道路幅方向のサイズは、道路幅(上り本線の幅)よりも大きくなっており、LID取得アンテナ部141,141a,141bの安定通信エリア142,142a,142bの道路幅方向のサイズは、車線幅よりも小さくなっている。また、LID取得アンテナ141,141a,141bの不安定通信エリア143,143a,143bの道路幅方向のサイズは、車線幅とほぼ等しくなっている。
【0047】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
【0048】
LID取得アンテナ部141,141a,141bは、その安定通信エリア142,142a,142bに進入した車両の車載器から送られてくるLIDを無線制御部124,124a,124bに渡し、無線制御部124,124a,124bは、上記LIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部124,124a,124bからLIDが渡されると、それと同じLIDがLID記憶部115に記録されているか否かを調べる。そして、記録されていない場合は、上記LIDを記録する。
【0049】
また、ETC処理アンテナ部131は、その安定通信エリア132もしくは不安定通信エリア133に進入した車両の車載器から送られてくるLIDを無線制御部123に渡し、無線制御部123は、上記LIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部123からLIDが渡されると、それと同一のLIDがLID記憶部115に記録されているか否かを判定する。そして、記録されていない場合は、無線処理部123、および、ETC処理アンテナ部131を介して、車載器との間の無線処理を終了させる終了処理を行う。これに対して、記録されている場合は、課金処理手段114を起動し、前述した処理と同様の処理を行わせる。
【0050】
[第3の実施の形態の効果]
本実施の形態では、複数のLID取得アンテナ部141,141a,141bを道路の幅方向に互いに離間して配置したので、不安定通信エリア143,143a,143bの面積を第1、第2の実施の形態に比較して小さくすることができる。その結果、本実施の形態によれば、前述した第1の効果に加え、本線を走行する車両が不安定通信エリアを走行する確率が小さくなり、高い確率で車両のLIDを取得できるようになるので、課金漏れを極めて少なくすることができるという第4の効果を得ることができる。
【0051】
[本発明の第4の実施の形態]
次に、本発明にかかる課金装置の第4の実施の形態について説明する。
【0052】
本実施の形態では、図11に示した課金装置のETC処理アンテナ部131、および、LID取得アンテナ部141,141a,141bを図13に示すように有料道路の上り本線上に設置している。
【0053】
これらのアンテナ部は、本線の下流から上流に向かって、ETC処理アンテナ部131、LID取得アンテナ部141,141a,141bの順で設置されている。ETC処理アンテナ部131の安定通信エリア132の道路幅方向のサイズは、道路幅よりも僅かに大きくなっている。また、LID取得アンテナ部141,141a,141bの安定通信エリア142,142a,142bの道路幅方向のサイズは、道路幅よりも小さく、不安定通信エリア143,143a,143bの道路幅方向のサイズは、道路幅とほぼ等しくなっている。
【0054】
次に、本実施の形態の動作について説明する。無線制御部124,124a,124bは、車載器からLID取得アンテナ部141,141a,141bを介して送られてくるLIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部124,124a,124bから渡されたLIDと同一のLIDがLID記憶部115に記録されているか否かを調べ、記録されていなければ、上記LIDをLID記憶部115に記録する。つまり、LID取得アンテナ部141,141a,141bの内の少なくとも1つが車両のLIDを取得できれば、LID記憶部115のその車両のLIDが記録されることになる。
【0055】
無線制御部123は、車載器からETC処理アンテナ部131を介してLIDが送られてくるLIDをETC制御部111に渡す。ETC制御部111内の判定手段113は、無線制御部123から渡されたLIDと同一のLIDがLID記憶部115に記録されているか否かを判定する。そして、記録されていない場合は、無線制御部123およびETC処理アンテナ部131を介して、車載器との間の無線通信を終了させる終了処理を行う。これに対して記録されている場合は、課金処理手段114を起動し、前述した処理と同様の処理を行わせる。
【0056】
[第4の実施の形態の効果]
本実施の形態では、複数のLID取得アンテナ部141,141a,141bを車両の走行方向に沿って互いに離間して配置し、少なくとも1つのLID取得アンテナ部によってLIDが取得された車両に対しては、課金処理を行うようにしたので、前述した第1の効果に加え、LID取得アンテナ部に障害が発生した場合であっても、確実に課金を行うことが可能になるという第5の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ETCフリーフローシステムに適用すると好適である。
【符号の説明】
【0058】
111・・・ETC制御部
112・・・制御部
113・・・判定手段
114・・・課金処理手段
115・・・LID記憶部
121・・・無線制御部
125・・・切り替え手段
126・・・データ処理部
131・・・ETC処理アンテナ部
132・・・安定通信エリア
133・・・不安定通信エリア
141・・・LID取得アンテナ部
142・・・安定通信エリア
143・・・不安定通信エリア
151〜154・・・車両
60・・・車載器
61・・・アンテナ
62・・・送受信部
63・・・変復調部
64・・・データ処理部
65・・・制御部
66・・・ICカード接続部
67・・・ICカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路に設置される固有情報取得用アンテナと、
該固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナと、
前記固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信する無線制御部と、
該無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示する課金処理部とを備えたことを特徴とする課金装置。
【請求項2】
請求項1記載の課金装置において、
前記無線制御部は、前記固有情報取得用アンテナを介した無線通信と、前記課金処理用アンテナを介した無線通信とを時分割で行うことを特徴とする課金装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の課金装置において、
前記固有情報取得用アンテナの通信エリアは、その道路幅方向のサイズが道路幅よりも小さいことを特徴とする課金装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の課金装置において、
前記課金処理用アンテナの通信エリアは、その道路幅方向のサイズが道路幅よりも大きいことを特徴とする課金装置。
【請求項5】
請求項1記載の課金装置において、
前記固有情報取得用アンテナは複数存在し、
該複数の固有情報取得用アンテナは、有料道路の幅方向に互いに離間して配置され、
前記無線制御部は、前記複数の固有情報取得用アンテナそれぞれについて、その通信エリアに進入した移動局と無線通信を行うことによりその移動局の固有情報を取得することを特徴とする課金装置。
【請求項6】
請求項1記載の課金装置において、
前記固有情報取得用アンテナは複数存在し、
該複数の固有情報取得用アンテナは、有料道路の移動局の進行方向に沿って互いに離間して配置され、
前記無線通信制御部は、前記複数の固有情報取得用アンテナそれぞれについて、その通信エリアに進入した移動局と無線通信を行うことによりその移動局の固有情報を取得することを特徴とする課金装置。
【請求項7】
無線制御部が、有料道路に設置された固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信し、
課金処理部が、前記無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示することを特徴とする課金方法。
【請求項8】
請求項7記載の課金方法において、
前記無線制御部は、前記固有情報取得用アンテナを介した無線通信と、前記課金処理用アンテナを介した無線通信とを時分割で行うことを特徴とする課金方法。
【請求項9】
有料道路に設置される固有情報取得用アンテナと、該固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナと通信を行うコンピュータを、
前記固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信する無線制御部、
該無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示する課金処理部として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9記載のプログラムにおいて、
前記無線制御部は、前記固有情報取得用アンテナを介した無線通信と、前記課金処理用アンテナを介した無線通信とを時分割で行うことを特徴とするプログラム。
【請求項1】
有料道路に設置される固有情報取得用アンテナと、
該固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナと、
前記固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信する無線制御部と、
該無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示する課金処理部とを備えたことを特徴とする課金装置。
【請求項2】
請求項1記載の課金装置において、
前記無線制御部は、前記固有情報取得用アンテナを介した無線通信と、前記課金処理用アンテナを介した無線通信とを時分割で行うことを特徴とする課金装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の課金装置において、
前記固有情報取得用アンテナの通信エリアは、その道路幅方向のサイズが道路幅よりも小さいことを特徴とする課金装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の課金装置において、
前記課金処理用アンテナの通信エリアは、その道路幅方向のサイズが道路幅よりも大きいことを特徴とする課金装置。
【請求項5】
請求項1記載の課金装置において、
前記固有情報取得用アンテナは複数存在し、
該複数の固有情報取得用アンテナは、有料道路の幅方向に互いに離間して配置され、
前記無線制御部は、前記複数の固有情報取得用アンテナそれぞれについて、その通信エリアに進入した移動局と無線通信を行うことによりその移動局の固有情報を取得することを特徴とする課金装置。
【請求項6】
請求項1記載の課金装置において、
前記固有情報取得用アンテナは複数存在し、
該複数の固有情報取得用アンテナは、有料道路の移動局の進行方向に沿って互いに離間して配置され、
前記無線通信制御部は、前記複数の固有情報取得用アンテナそれぞれについて、その通信エリアに進入した移動局と無線通信を行うことによりその移動局の固有情報を取得することを特徴とする課金装置。
【請求項7】
無線制御部が、有料道路に設置された固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信し、
課金処理部が、前記無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示することを特徴とする課金方法。
【請求項8】
請求項7記載の課金方法において、
前記無線制御部は、前記固有情報取得用アンテナを介した無線通信と、前記課金処理用アンテナを介した無線通信とを時分割で行うことを特徴とする課金方法。
【請求項9】
有料道路に設置される固有情報取得用アンテナと、該固有情報取得用アンテナよりも通信エリアが広く、且つ、前記有料道路において前記固有情報取得用アンテナよりも下流に設置される課金処理用アンテナと通信を行うコンピュータを、
前記固有情報取得用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記固有情報取得用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、前記課金処理用アンテナの通信エリアに進入した移動局と前記課金処理用アンテナを介して無線通信を行うことにより前記移動局の固有情報を取得し、課金対象にする移動局が指示されることにより前記課金処理用アンテナを介して前記指示された移動局と無線通信を行い、課金処理用情報を送受信する無線制御部、
該無線制御部が前記固有情報取得用アンテナを介して取得した固有情報を固有情報記憶部に記録し、前記無線制御部が前記課金処理用アンテナを介して取得した固有情報と同一の固有情報が前記固有情報記憶部に記録されている場合は、該固有情報を有する移動局を課金対象にすることを前記無線制御部に対して指示する課金処理部として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9記載のプログラムにおいて、
前記無線制御部は、前記固有情報取得用アンテナを介した無線通信と、前記課金処理用アンテナを介した無線通信とを時分割で行うことを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−65501(P2011−65501A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216565(P2009−216565)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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