説明

調剤廃棄物の識別ラベル付設並びに処理システム、及び関連の使用方法

本発明は、タグ及び健康管理処置施設で生じる薬剤廃棄物を処理することに関連して使用されるラベル付設システムを対象とする。処理システムを選択的に活性化させて特定の種類の廃棄物を取り込むために、そのタグは、変更可能パラメータが備わったRFIDデバイスを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2009年9月21日に出願された米国仮特許出願第61/244,270号に基づいて優先権を主張するものである。この出願は、参照することにより全体が本明細書に援用されている。
【0002】
[技術分野]
本発明は、有害廃棄物管理の分野を対象とし、より詳細には、調剤廃棄物又は医薬廃棄物を管理すること、及びかかる廃棄物を適切に処理するための、識別、ラベル付設、整理を目的とするシステム及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
例えば薬剤、調合薬のような調剤廃棄物は、かかる廃棄物の存在が都市の飲料水システムで確認されてきたため、新たな問題として認識されてきた。24の大都市圏の飲料水供給源で医薬品が検出されたことが、最近のある研究レポートで判明した。廃水からかかる医薬品及び調剤廃棄物を除去するように適切に設計された下水処理システムが存在しないことも、そのレポートは明らかにしている。
【0004】
政府の廃棄物管理規制が施行され、環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)の公表によると、病院、長期療養施設、ホスピス、及び獣医学施設を含む約3500の施設での義務的調査が2009年に完了する。医薬廃棄物及び薬剤廃棄物の処理に関連する専門知識が組織内で全体的に不十分であるため、病院及び他の療養施設で特に深刻な懸念が広がっている。専門知識不足のために、それら療養施設は、廃棄物管理規制を十分に遵守することができない。
【0005】
薬物担当者が正しい処理手順及び方法を認識しているような場合であっても、多くはないにしても大抵の場合、かかる訓練を受けた又は経験豊富な担当者は、単に介護者又は他の職員が余分な薬剤又は薬剤廃棄物を廃棄する場にいない。数千の薬剤の処理に関する情報交換及び手順の確立は、病院及び他の療養施設の課題である。容器に残存する余分な薬剤又は薬剤廃棄物の量によって処理条件に例外がある場合は、特にそうである。
【0006】
関連する廃棄手順を遵守しなかった場合、その病院又は他の療養施設には、高額な刑事上及び民事上の罰金が課される場合がある。この罰金は、1回の違反に対し37,500ドルにも上りかねない。医薬品及び余分な薬剤が1日に投棄される回数又は事例数を考えると、このような状況は当然深刻なものとなり得る。更に、適切な手順が行われなかった場合は、薬剤師も個人的に罰金を科せられ、懲役刑に処される可能性がある。
【0007】
病院、長期療養施設、ホスピス、及び獣医学施設が、「用心するに越したことはない」という立場をとって、全廃棄物を単純に「有害廃棄物」の分類又は収容槽に廃棄した場合、かかる材料を廃棄するために、その施設には、例えば強力な焼却のような処理方法に関連するかなりの処理コストがかかることになり、一般市民に健康管理を提供することに関連するコストを上げることが、全体的に必要となってくる。
【0008】
HIPPAの規制から、薬剤廃棄製品の処理及び扱いにまつわる対処すべきもう1つの課題が浮かび上がってくる。この規制は、極秘状態での患者情報の維持管理を要求しており、したがって、患者情報を有する薬剤は、ごみ箱に捨ててはならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下で説明する本発明の実施形態は、網羅的であることを意図したものでもなければ、本発明を下記の詳細な説明に開示した厳密な形態に限定することを意図したものでもない。そうではなく、それらの実施形態は、当業者が本発明の原理及び実施方法の真価を認め、理解できるように選択され、説明されている。
【0010】
本発明の1つの観点は、無線周波数認識(radio-frequency identification:RFID)タグに関する。このタグは、無線周波数(radio frequency:RF)信号を送受信するように構成されたRFIDトランシーバを具備している。そのRFIDトランシーバでは、集積回路(integrated circuit:IC)がアンテナに結合される。このアンテナは、インピーダンス、利得、及び指向性を含む変更可能なパラメータを有しており、そのICの特性と相まって、RFIDタグの第1の読み取り範囲を規定する。RFIDタグは更に、RFIDトランシーバに脱着可能に係合できるように構成された、脱着可能カプラも具備している。このカプラの例として、カラーコードが付された、廃棄物のレベル又は種類を識別する結合材料が挙げられる。その脱着可能カプラは、RFIDトランシーバと脱着可能に係合されたときに、その結合材料がアンテナのインピーダンス、利得、及び指向性のうちの少なくとも1つを変化させるように構成されており、廃棄物の種類に対応するRFIDタグであって、ロックを解除するように特定の廃棄物収容槽に信号を送るRFIDタグの少なくとも第2の読み取り範囲を規定するものである。その第2の読み取り範囲は、第1の読み取り範囲とは異なる。
【0011】
本発明の更に別の観点は、RFIDタグの読み取り範囲を変更するための方法に関する。この方法は、呼び出し信号に応答してRF信号を提供できるRFIDトランシーバを有するRFIDタグを、係合した状態で提供することを含む。RFIDタグは更に、RFIDトランシーバと係合してRFIDタグの第1の読み取り範囲を規定する、脱着可能カプラも具備している。上記方法は更に、異なる読み取り範囲を与えるようにその脱着可能カプラの少なくとも一部分をRFIDトランシーバから脱係させることによって、RFIDタグを、第1の読み取り範囲とは実質的に異なる第2の読み取り範囲を有する異なる状態に遷移させることも含む。
【0012】
本発明の更に別の実施形態では、実質的に四辺形の基板を有する識別器であって、第1の表面と第2の表面とを有する識別器が設けられる。その基板は、第1及び第2の各目打ち線によって相互に分離できる、第1〜第3の部分を有する。第1の部分は薬剤コンポーネントに関する印刷による印を有し、第2の部分は人間又は機械のうちの少なくとも一方が読める印を含む患者の印を有し、第3の部分は一連の廃棄物分類を表す一連の着色領域を有する。第1の基板の第3の部分は、一連の着色領域の各々をまたがって延在する脱着可能カプラであって、廃棄物分類に対応した個々の区画に分離し分割することが可能な脱着可能カプラを有する。第1の表面及び第2の表面のうちのどちらかは、その脱着可能カプラに結合されるRFID回路を有する。そのRFID回路には、それに関連する医薬品の特定の廃棄物レベルを規定する製品情報がコード化される。
【0013】
更に別の実施形態では、第1の目打ち線は、基板の縁部に略並行に延伸しており、第2の目打ち線は、基板から患者情報を分離するように配置された輪郭線を有する。第2の目打ち線の輪郭線は、拡張された第2の部分領域を形成する。
【0014】
更に別の実施形態では、脱着可能カプラは、各廃棄物分類に対応した第1〜第5の読み取り範囲を有し、着色領域及び脱着可能カプラを第1〜第5の取り外し可能な区画に分離する複数の目打ち線をまたがって、取り外し可能に粘着式に取り付けられる。RFID回路は、脱着可能カプラの縁端部付近に配設され、脱着可能カプラに容量的に結合される。RFID回路には、後で処理システムが読み取るのに備えて、製品情報並びに廃棄物種情報がプログラムされる。
【0015】
本発明の薬剤廃棄物処理システムの別の実施形態は、調剤を収容する薬剤用容器を具備している。タグは、第1の表面並びに第2の表面、長手方向に延在する第1の側面並びに第2の側面、及び横方向に延在する第1の縁部並びに第2の縁部を備えた基板であって、第1〜第3の部分を備えた基板を有している。その第3の部分にはRFIDトランシーバが取り付けられ、そのRFIDトランシーバには脱着可能カプラが容量的に結合される。そのRFIDトランシーバには、製品情報及び廃棄物種情報がコード化される。そのカプラは、選択的にRFIDトランシーバのパラメータを変更するための複数の分離可能な区画を有する。その第3の部分は、上記薬剤用容器に取り付けられる。複数の薬剤廃棄物用容器は、それぞれがRFIDトランシーバの特定のパラメータ又はコード化情報に選択的に応動するリーダーを有する。
【0016】
本発明は、薬剤師が薬剤の適切な処理方法を識別できるようにする、完全な可能化ソリューションである。自動化されたシステムを使用することによって、処理状況が、廃棄物を投棄することに対して責任を負うべき健康管理施設の管理部門及び介護者に伝えられる。そのシステムは、1又は複数の識別手段を利用する。例として、色、無線自動識別(radio frequency identification:RFID)、変更可能特性、及び上記の組み合わせが挙げられる。適切な処理ユニットをロック解除し、又は医薬廃棄物の除去に利用するためには、システムは、ある程度のレベルの比較認識を必要とする。
【0017】
本明細書に規定の廃棄物管理タグを使用するための更に別の代表的方法では、1つの廃棄物管理タグに、集積回路、アンテナ、及び脱着可能カプラを有するRFIDトランシーバと、医薬廃棄物を適切に識別するカラーコード体系とが設けられる。そのタグは医薬品に装着され、その医薬品は健康管理施設において分配される。一連の廃棄物収容槽が設けられ、それら収容槽の各々には、適切なタグが呼び出されたときに、それら廃棄物収容槽のうちのいずれかに応動してそのロックを解除する、RFIDリーダーが設けられる。効果的且つ永久的にアンテナのパラメータを変更すべく脱着可能カプラの一部分が除去され、その廃棄物は配設されて固定される。
【0018】
当業者であれば、本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。但し、種々の実施形態及び具体例の詳細な説明は、本発明の好適な実施形態及び他の実施形態を示しているものの、限定ではなく説明を目的に提示されているのであって、このことは理解されるべきである。本発明の範囲内で、その精神から逸脱することなく、多くの改変及び変更を行うことができるのであり、本発明はかかる変更形態を全て含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】脱着可能カプラを利用した薬剤廃棄物処理タグの正面図である。
【0020】
【図2】脱着可能カプラを有する薬剤廃棄物処理タグの別の図である。
【0021】
【図3】タグの分離可能部分を示した処理タグの図であり、図3Aは、タグと粘着式に接続された脱着可能カプラを示した、本発明のタグの断面図である。
【0022】
【図4】薬剤による影響を除去するためのシステムの概略図である。
【0023】
【図5】本明細書で説明しているような廃棄物管理タグを使った代表的方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目下の好適な代表的実施形態についての下記のより詳細な説明を付属図面と併せて参照することによって、本発明のこれらの目的並びに利点、及び他の目的並びに利点について、より理解が深まるとともに、その良さが分かるであろう。
【0025】
ここでは、下記の詳細な説明によって、本発明がより詳細に説明される。この詳細な説明は、現在のところ、本発明を実施するモードのうちの最もよく知られたものである。但し、この説明は本発明を限定するために使用されているのではないことを、理解されたい。そうではなく、この説明は、本発明の全体的特徴を例示する目的で提供されている。
【0026】
自動識別は、機械に物体を識別させるために使用される多数の技術に適用される、広義な用語である。自動識別は多くの場合、自動データ取り込みと組み合わされる。したがって、諸々の品目を識別したいと考える企業は、それらの品目に関する情報を取り込むこと、取り込んだ情報をコンピュータに格納すること、及び種々の有用な目的のためにその情報をコンピュータから選択的に取り出すことを、全て最小限の手間で行うことができる。
【0027】
自動識別技術の1つは、無線周波数認識(radio-frequency identification:RFID)によるものである。RFIDは、無線波を使って自動的に物体を識別する技術を表す用語である。RFIDを使って物体を識別する方法は、従来からいくつかある。最も一般的なものは、アンテナに取り付けられたマイクロチップ上に、製品を識別するシリアルナンバー又はデータ(及び、所望する場合は他の情報)を格納するものである。それらチップ及びアンテナが一体となって、RFIDトランシーバを規定する。アンテナによって、トランシーバを有する遠隔のリーダー(例えばRFIDリーダー)は、チップと通信を行うことができ、チップは、リーダーによって作動したとき(例えば呼び出されたとき)に、リーダーに識別情報を返信することができる。RFIDリーダーは、RFIDタグから返された無線波を、次にコンピュータが利用できる形態に変換する。
【0028】
無線周波数認識(radio-frequency identification:RFID)タグは、広範囲にわたる適用環境において使用される。典型的なRFIDタグは、RFID集積回路チップと、基板上に搭載されたアンテナとで構成することができる。ある種の構造物をRFIDタグに係脱することで、アンテナのある種の特性であって(例えば、RFID集積回路チップに対するアンテナのインピーダンス、アンテナの利得、アンテナの指向性、等)、RFIDタグの読み取り範囲を変更できる特性を変化させることができる。
【0029】
本明細書では、容器なる用語は、単位投与量パッケージ、シリンジ、アンプル、IVバッグ、びん、バイアル、箱、びん、アンプル、等を含むが、これらに限定されない。
【0030】
RFIDトランシーバ104は、例えば基板106(例えばフェイスストック)上に実装することができる。基板106は、当該技術分野で知られているように、例えば紙又はプラスチックで形成することができ、適切なRFIDインレーは、サウスカロライナ州クリントンのエイブリィデニソンRFID社から市販されている。RFIDインレーは、タグ又はラベルに組み込むこともできれば、容器上に装着することもでき、容器の製造時に中に入れて容器の成形を行うこともできる。加えて、RFIDによってイネーブル化されるデバイス、即ちタグ102は、脱着可能カプラ108を具備することができる。脱着可能カプラ108は、感圧接着剤を使用すること等により、脱着可能に、基板106及び/又はRFIDトランシーバ104と係合することができる。脱着可能カプラ108が基板106及び/又はRFIDトランシーバ104に係合されると(以降、「係合状態」と呼ぶ)、脱着可能カプラ108は、RFIDタグ102の読み取り範囲を、最大読み取り範囲(例えば約8m)まで延長する。「読み取り範囲」なる用語は、外部信号源(例えばRFIDリーダー)から送信された呼び出し信号をRFIDトランシーバ104が欠落なく受信できる範囲、並びにRFIDトランシーバ104から伝送された帰還信号を外部システムが欠落なく受信できる範囲の両方を指しているのであり、このことは理解されている必要がある。いくつかの実施態様では、RFIDトランシーバ104の読み取り範囲を、例えば約15cmまで実質的に短縮するために、エンドユーザが、脱着可能カプラ108を基板106及び/又はRFIDトランシーバ104から脱係することができる。他の実施態様では、RFIDトランシーバ104は、脱着可能カプラ108が基板106及び/又はRFIDトランシーバ104から脱係されると(以降、「非係合状態」と呼ぶ)、RFIDタグ102の遠視野読み取り範囲が実質的に撤廃される(例えば300cm未満)ことになるような形に、構成することができる。
【0031】
例として紹介すると、脱着可能カプラ108は、結合材料の区画を含むことができる。その結合材料は、例えば導電性インク等の導電性材料として実現することができる。かかる実施態様において、その導電性インクは、例えばリボン式プリンタ又はインクジェットプリンタ又はレーザプリンタを使って塗布することができる。代表的プリンタは、オハイオ州マイアミズバーグのエイブリィデニソン社プリンタシステム部から、MONARCHなる商標で市販されている。或いは、結合材料は、導電性金属製(例えば、金、銅、又はアルミニウム)の薄手の区画として形成することができる。他の実施態様では、結合材料は、気相堆積金属とすることができる。その導電性材料は、紙又はプラスチックといった材料の帯に組み込むことができ、その帯は、基板に粘着式に着設することができる。特定の結合材料は、例えば、製造方法又は基板106用に選択された材料に基づいて選択することができる。結合材料とRFIDトランシーバ104との相互作用は、所望される特定の最終用途に合わせた設計及び構造によって変わる。しかしながら、一般的に、半波ダイポールといった単純なアンテナでは、結合材料は、アンテナのインピーダンスを変化させ、したがって、アンテナとRFIDチップとの間の整合性を変化させる。1つの例として紹介すると、結合材料は、アンテナセグメント(例えば、別個の区画)を相互に電気的に結合することができ、それによって、RFIDチップに対するアンテナのインピーダンスが変化する。かかるインピーダンスの変化は、RFIDデバイスの読み取り範囲を広げることができる。
【0032】
更に、脱着可能カプラ108が基板106及び/又はRFIDトランシーバ104から脱係されると(例えば取り外されると)、RFIDデバイスは、非係合状態に遷移する。非係合状態では、結合材料は、諸アンテナセグメントのうちの1又は複数のアンテナセグメントとは、もはや係合しない。したがって、結合材料によって電気的に結合されたアンテナセグメントは、非係合状態では、電気的に結合が解除される。前に論じたように、結合材料とRFIDトランシーバ104との相互作用は、RFIDタグ102の設計及び構造によって変わる。しかしながら、一般的に、半波ダイポールといった単純なアンテナでは、結合材料を係合解除することでアンテナのインピーダンスが変化し、したがって、アンテナとRFIDチップとの間の整合性が変化する。例えば、かかる結合解除は、RFIDチップに対してアンテナのインピーダンスが変化し、ひいてはRFIDデバイス102の読み取り範囲が実質的に狭まる(更には消滅する)ような形に、構成することができる。
【0033】
別の例において、結合材料の係脱は、アンテナに関連する利得及び/又は指向性を変更することができる。例えば、RFIDイネーブル化デバイス102は、RFIDデバイス又はタグ102が係合状態にあるときに、結合材料がアンテナの放射パターンを変更できるような形に、構成することができる。放射パターンを変えることで、例えば一定の方向でRFIDタグ102の感度を増大させ、ひいては、RFIDリーダーシステム及びRFIDタグ102の所与の構成において、RFID読み取り範囲を変化させることができる。逆に、かかる構成において、RFIDタグ102が非係合状態に遷移すると、再度アンテナの放射パターンが変わり、例えばアンテナの感度が一定の方向で低下し、ひいては、RFIDリーダーシステム及びRFIDタグ102の所与の構成において、RFID読み取り範囲が変わることになる。更に、アンテナのインピーダンス、利得、及び指向性の組み合わせを調整して、RFIDタグ102に対し、特定の特性(例えば高精度同調)を達成することができる。
【0034】
多数の構成において、脱着可能カプラ108は、基板106及び/又はRFIDチップに係合することができる。1つの例として紹介すると、脱着可能カプラ108は、粘着性材料(例えば非硬化性感圧接着剤)によって、基板106に固定することができる。或いは、脱着可能カプラ108は、機械的ロック機構を使って、基板106に係合することができる。このロック機構は、例えば、係合解除用に特別に設計されたツールが必要になる可能性がある。更に別の例において、脱着可能カプラ108を、基板106と一緒に一体化されたユニットとして形成することができる。したがって、目打ち線、スリット、刻み目線、等110で、基板106から、脱着可能カプラ108の1つ若しくは複数の部分111、112、113、114又は全部を裂くことによって、脱着可能カプラ108を係合解除することができる。
【0035】
ある種の適用環境では、RFIDタグ102の読み取り範囲を実質的に狭める(更には撤廃する)ことが望ましい場合があることを理解されたい。例えば、廃棄物管理の用途において、リーダーシステム(RFIDリーダーを含む)を、廃棄物収容槽内又はその付近に定置し、RFIDタグ102から受信した信号に基づいて選択的にロック及びロック解除を行なうことができる。そのリーダーシステムは、近傍を通過するRFIDタグを検出するとともに、それを読み取る。RFIDタグ102が装着された特定の種類の廃棄物が差し出されたとき(例えば、その品目が廃棄物収容槽付近に配置されたとき、又は検証できるように差し出されたとき)に、付随するRFIDタグ102を2つ以上の廃棄物収容槽をロック解除するリーダーシステムに読み取らせることは多くの場合、望ましくない。しかしながら、例えば諸廃棄物収容槽のうちのいずれかを選択的にロック解除又はディスエーブルすることを容易にするためには、RFIDタグ102の読み取り範囲を完全撤廃しない方が望ましい場合がある。収容槽がひとたびロック解除されれば、脱着可能カプラは一部分が除去され、それによってアンテナのパラメータが変わり、その結果、それは、脱着可能カプラ全体が所定位置にあった以前と同様には、もはや機能しない。かかる状況において、読み取り範囲が短くなれば(例えば15cm)、RFIDリーダーに極めて近接したRFIDタグ102だけが呼び出せるようになり、したがって、リーダーは、検証チェックを目的に、廃棄物収容槽の中身を読み出して、その中身が認可された種類の廃棄物であることを確認することができる。
【0036】
図2は、本発明の観点に係るRFIDタグ150の透視図を示している。RFIDタグ150は、係合状態にして示されている。図2では、異なる平面を表すために、異なる線パターンが用いられている。例として紹介すると、RFIDタグ150は、実質的に長方形の形状を有することができる。RFIDタグ150は、付随するアンテナ156に識別情報を提供するためのRFIDチップ154を備えた、RFIDトランシーバ152を具備することができる。アンテナ156は、RFIDリーダー等の外部システムに、そのRFIDリーダーからの呼び出し信号を受信したことに応答して識別情報を提供する、RF信号を送信することができる。アンテナ156は、複数のアンテナセグメント158〜166(例えば、別個の区画)を具備することができる。アンテナセグメント158〜166は長方形の形状を有するものとして描かれているが、他の幾何学的構成も可能であることを理解されたい。例えば、それらのアンテナセグメントは、バーコードを形成してもよければ、単語を形成する文字又は他のキャラクタとすることもできる。その単語は、脱着可能カプラの係合解除後に視認できるようになるものであり、「黒」、「黄」、「青」、「赤」、「普通ごみ」といった、RFIDタグ150の状態を表すものとすることができる。例えば、RFIDタグ150が非係合状態にある場合に、諸アンテナセグメントのうちの1つ158がRFIDチップ154に電気的に結合されると、タグへのコード化及びアンテナの有効送信範囲に起因して、「普通ごみ」信号だけが、特定のリーダーによって気付いてもらうことができる。
【0037】
RFIDタグ150は、基板168及び/又はRFIDトランシーバ152と脱着可能に係合することが可能な、脱着可能カプラ170を具備することができる。脱着可能カプラ170は、結合材料172から成る区画を含んでいる。この結合材料は、前に論じたように、導電性材料として実現することができる。脱着可能カプラ170は、基板168と同様の材料(例えば、紙又はプラスチック)で形成することもできれば、異なる材料で形成することもできる。脱着可能カプラ170は、基板168と係合されたときに、アンテナセグメント158〜166を相互に電気的に結合する(結合材料172を介して)。アンテナセグメント158〜166のかかる電気的結合は、RFIDタグ150の読み取り範囲を最大の(又は最大付近の)読み取り範囲まで拡大する。脱着可能カプラ170は、例えばRFIDタグ150のエンドユーザによって、基板168から脱係されることが可能である。脱着可能カプラ170又はカプラ170の一部がひとたび係合解除されれば、RFIDタグ150の読み取り範囲は、実質的に狭まる。即ち、各セグメントを個々に除去することによって、一定量刻みで狭まる。
【0038】
使用に際して、健康管理専門職員は、医薬廃棄物の種類に関連する色を合わせることになるであろう。次いで、例えば各部分相互間の破断線によって、カプラ170の1又は複数の部分(158、160、162、164、166)を選択的に除去することができるが、これは、アンテナ156のインピーダンス、指向性、又は利得といった、RFIDトランシーバ152の所定の諸パラメータのうちのいずれかを変化させるためである。次いで、これにより、本明細書で論じているように材料がひとたび収容槽内に配置されれば、廃棄物収容槽がタグを呼び出したときに、特有の読み取り配置が生じることになる。本発明の譲受人に譲渡された、脱着可能結合を有するRFIDタグなる名称のUS20090206995は、本発明の完全なる理解に必要であるため、本明細書において参照することにより援用されている。
【0039】
図3は、第1の表面12及びその第1の表面に対向する第2の表面(図示省略)を有する薬剤廃棄物識別タグ10の写生図を提供している。タグ10は、長手方向に延在する第1の側縁部14並びに第2の側縁部16、及び横方向に延在する第1の縁端部18並びに第2の縁端部20を有している。タグ10の第1の表面12は、3つの部分22、24、26に分割された状態で示されている。第1の部分22には、印21が設けられている。この印は、例えばタグ10に付随されることになる医薬品の種類に関連するものとすることができる。第2の部分24には、それぞれ人間及び機械が読める印23及び25が設けられている。第2の部分24の印23及び25は、患者情報に関連している。第1の表面12の第3の部分26は、処理情報27〜31を含んでいる。この部分は、患者への投薬後に生じる薬剤廃棄物の種類に応じて、カラーコードが付される。第2の部分24は、接着剤が塗布されていないが、これは、知らないうちに廃棄物貯蔵箱又は細断機に付着し、ひいては、潜在的に患者情報が露出することがないようにするためである。
【0040】
図3は、第1の破断線34及び第2の破断線36も示している。第1の破断線は、第1の長手方向側縁部14及び第2の長手方向側縁部16に平行に延伸している。第2の破断線36は、第1の側面14及び第2の側面16に平行に延伸する第1の部分37と、印25の輪郭に合わせて大きな領域を形成するために使用される第2の部分38とを有する。したがって、患者情報は、その機密性を保持するために取り外すことができる。
【0041】
図3Aは、目下説明中の本発明のタグの断面図であり、基板150と、RFIDトランシーバ152と、脱着可能カプラ170が上に載置される接着剤層153とを有している。カプラ170は、一連の目打ち線を有しており、目打ち線によりいくつかのセグメントに分かれている。
【0042】
図4は、本発明の薬剤廃棄物処理システムの概略図を示している。薬剤用容器200は、感圧接着剤等によって容器200に装着された前掲の図3に示すタグの第3の部分202を有する。第3の部分202には、脱着可能カプラ204を有するRFIDトランシーバ206が設けられている。ここで、RFIDトランシーバ206の読み取り範囲に影響を及ぼすために、タグにコード化されたコード化廃棄物情報及び/又は製品情報を廃棄物収容槽が読み取り、廃棄物収容槽が開いた後に、カプラの一部分208は除去されてしまっている。したがって、タグは、遠距離としては再使用することができず、廃棄物収容槽の中身を検証するのに使用するといった短距離でしか読み取ることができない。
【0043】
図4に複数の廃棄物収容槽212、214、216、218、220を示しており、各々には、各収容槽に関連するRFIDリーダー213、215、217、219、221が備わっている。一体で又はグループ化して収容槽を示しているが、収容槽は、廃棄物の整合性を保持するように、異なる固定的領域に、ばらばらに設置してもよいことを理解されたい。第1のリーダー213は、RFIDトランシーバ206を呼び出している状態が示されている。信号が受信されると、廃棄物収容槽のロックが解除され、適切な収容槽に薬剤廃棄物を投棄することができる。リーダーは、RFIDトランシーバにコード化された情報及び脱着可能カプラの一部分をトランシーバから分離することによって作製される1又は複数のパラメータに応動する。それらのパラメータは、アンテナのインピーダンス、利得、又は指向性を含む群から選択される。
【0044】
廃棄物を収容槽に投入することに続いて、収容槽をスキャンして各チップに関連する製品データを読み取り、貯蔵箱の内容物に誤りはないこと、及び無害物を収容する収容槽の中に有害材料が投棄されていないことを確認することができる。
【0045】
ここで図5を参照する。同図は、本明細書に規定の廃棄物管理タグを使用するための代表的方法のブロック図を示している。ステップ500において、廃棄物管理タグに、RFIDトランシーバと、医薬廃棄物を適切に識別するカラーコード体系とが設けられる。次にステップ510において、そのタグは医薬品に装着され、ステップ520において、その医薬品は分配される。ステップ530で一連の廃棄物収容槽が設けられ、それら収容槽の各々には、ステップ540で適切なタグが呼び出されたときに、それら廃棄物収容槽のうちのいずれかに応動してそのロックを解除する、RFIDリーダーが設けられる。次いでステップ550で、効果的且つ永久的にアンテナのパラメータを変更すべく脱着可能カプラの一部分が除去され、ステップ560で、その廃棄物は処理される。
【0046】
代表的実施形態としてRFIDが使用されてきたが、RFIDの有無に関わらず、光学走査機と一緒にバーコード及び2次元(two dimensional:2−D)バーコードも活用できることを理解されたい。したがって、本発明は、RFIDの有無に関わらず実施することができ、したがって、検証用装備としてRFID又はバーコードのうちの少なくとも一方を使用することができる。バーコードが活用される状況では、カプラに代えて、そのバーコードを除去可能部品に印刷することができる。したがって、その部品の一部を選択的に除去することで、バーコードの一部が破壊され、別の廃棄物収容槽を活性化させるコードは読めなくなる。
【0047】
加えて、本発明のシステムを使用して、バーコード又はRFIDデバイスを読み取った際に健康管理専門職員への信号送信を起動し、医薬材料又は薬剤材料は全て分配されたかどうかを問い合わせることができる。したがって、その容器は普通ごみ収容槽内に入れることができ、このようにして有害廃棄物を処理することに関連するコストが回避される。
【0048】
したがって、本発明によれば、薬剤廃棄物に関連して使用される極めて有利なラベル付設及び処理システムが提供されていたことが分かるであろう。目下のところ最も実用的且つ好適であると考えられる実施形態に関連させて本発明を説明してきたが、本発明は開示の実施形態に限定すべきではないこと、及び本発明の範囲内でその変更形態及び均等物を形成できることは、当業者であれば分かるであろう。この範囲には、全ての均等構造及び製品を包含するように、添付した特許請求の範囲の最も広い解釈が与えられるべきである。
【0049】
本発明は、以下の請求項に記載の本発明の文言の範囲外であるが、実質的にはそこから外れていない機器、システム、方法、又は物品に関するものであるため、本発明の妥当な程度に公正な範囲を判定し評価するのに、発明者らは、均等論に依拠する所存である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤廃棄物に使用するための処理システムであって、
第1の表面並びに第2の表面及び少なくとも第1の部分並びに第2の部分を有する識別構体であって、前記第1の部分は患者及び処置要件に関連する印を取り込むための領域を有し、前記第2の部分は、各々が別個の印を有する複数の廃棄物識別領域を有している、識別構体と、
複数の廃棄物収容槽であって、各々が、前記識別構体の前記第2の部分上の別個の印のうちの少なくとも1つの印と合致する別個の廃棄物識別印を有する、廃棄物収容槽と、
を備え、
前記識別構体及び前記廃棄物収容槽の各々は、薬剤廃棄物の処理を認証する検証用装備を有し、前記検証用装備は、第1の状態から少なくとも第2の状態に変更される、処理システム。
【請求項2】
前記検証用装備は、人間が読めるものであり、色、記号、印、及びそれらの組み合わせを含む群から選択されるものである、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記検証用装備は、バーコード又は無線周波数のうちの一方を利用するものである、請求項1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記検証用装備は、ある永久的状態への変更が可能である、請求項1に記載の処理システム。
【請求項5】
前記第1の状態は、第1の読み取り範囲であり、前記第2の状態は、前記第1の読み取り範囲とは異なる第2の読み取り範囲である、請求項1に記載の処理システム。
【請求項6】
前記第1の状態は、第1の色であり、前記第2の状態は、前記第1の色とは異なる第2の色である、請求項1に記載の処理システム。
【請求項7】
前記廃棄物収容槽の各々は、電子式検出デバイスである、請求項1に記載の処理システム。
【請求項8】
前記電子式検出システムは、無線周波数リーダー、光スキャナ、又はそれらの組み合わせを含む群から選択されるものである、請求項7に記載の処理システム。
【請求項9】
前記検証用装備は、脱着可能カプラによる前記永久的状態への変更が可能である、請求項4に記載の処理システム。
【請求項10】
前記脱着可能カプラは、複数の分離可能区画を有するものである、請求項9に記載の処理システム。
【請求項11】
薬剤廃棄物に使用するためのタグであって、
第1の表面並びに第2の表面、長手方向に延在する第1の側面並びに第2の側面、及び横方向に延在する第1の縁部並びに第2の縁部を有する基板であって、第1〜第3の部分を有する基板と、
前記第3の部分に装着されたRFIDトランシーバであって、集積回路及びアンテナを有し、製品情報及び廃棄物処理情報が共にコード化されている、RFIDトランシーバと、
前記RFIDトランシーバに容量的に結合された脱着可能カプラであって、選択的に前記RFIDトランシーバのパラメータを変更するための複数の分離可能な区画を有する脱着可能カプラと、
を備えているタグ。
【請求項12】
前記分離可能な区画の各々は、カラーコードが付されている、請求項11に記載のタグ。
【請求項13】
前記脱着可能カプラは、前記タグに取り外し可能に装着されている、請求項11に記載のタグ。
【請求項14】
前記RFIDトランシーバの前記パラメータは、アンテナのインピーダンス、利得、又は指向性を含む群から選択されるものである、請求項11に記載のタグ。
【請求項15】
前記脱着可能カプラの前記分離可能な区画は、破断線による分離が可能である、請求項11に記載のタグ。
【請求項16】
薬剤を収容する薬剤用容器と、
第1の表面並びに第2の表面、長手方向に延在する第1の側面並びに第2の側面、及び横方向に延在する第1の縁部並びに第2の縁部を有する基板であって、第1〜第3の部分を有する基板を備えたタグと、
前記第3の部分に装着されたRFIDトランシーバであって、集積回路及びアンテナを有し、製品情報及び廃棄物種情報が共にコード化されている、RFIDトランシーバと、
前記RFIDトランシーバに容量的に結合された脱着可能カプラであって、選択的に前記RFIDトランシーバのパラメータを変更するための複数の分離可能な区画を有する脱着可能カプラと、
ここで前記第3の部分は前記薬剤用容器に装着されており、
各々が前記RFIDトランシーバの特定のパラメータ又はコード化情報に選択的に応動するリーダーを有する、複数の薬剤廃棄物用容器と、
を備えている薬剤廃棄物処理システム。
【請求項17】
前記アンテナのパラメータは、指向性、利得、又はインピーダンスから選択されるものである、請求項16に記載の薬剤廃棄物処理システム。
【請求項18】
薬剤廃棄物を処理するための方法であって、
セグメント化されたRFIDトランシーバ、脱着可能カプラ、及び特定の薬剤廃棄物種類に対応したカラーコードが付された印を有する薬剤廃棄物管理タグを提供するステップと、
前記タグを医薬品に装着するステップと、
前記医薬品を分配するステップと、
一連の廃棄物用収容槽であって、各々が前記収容槽を選択的にロック解除するRFIDリーダーを有している廃棄物収容槽を提供するステップと、
前記タグを読み取って前記収容槽のうちの1つの収容槽をロック解除するステップと、
アンテナパラメータを永久的に変えるように前記脱着可能カプラの一部分を除去するステップと、
薬剤廃棄物製品を処理するステップと、
を含む方法。
【請求項19】
前記アンテナの前記パラメータは、指向性、利得、又はインピーダンスのうちの1つを含むものである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記カラー体系は、前記タグ及び前記脱着可能カプラの両方に設けられている、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−505079(P2013−505079A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529972(P2012−529972)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/049563
【国際公開番号】WO2011/035277
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(511205046)エイブリィ デニソン コーポレーション (15)
【Fターム(参考)】