説明

調味液供給装置

【課題】調味液をその衛生状態を溜ったまま容易に再使用することを可能とする、調味液供給装置を提供すること。
【解決手段】醤油を貯蔵する醤油供給タンク41と、この醤油供給タンク41にて貯蔵された醤油をお握りに向けて供給するノズル42a〜42dと、これらノズル42a〜42dにて供給されお握りに付着しなかった醤油を受容する醤油受けトレー43と、この醤油受けトレー43にて受容された醤油を醤油供給タンク41に送出する循環手段と、この循環手段を含む醤油の通過経路を洗浄する洗浄手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品製造ラインにおいて醤油や味噌液等の調味液を自動供給するための調味液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品製造工場における食品製造ラインには、各種の調味液を自動供給するための調味液供給装置が組み込まれていた。例えば、焼きお握り製造ラインには、調味液供給装置として、お握りに醤油や味噌液を噴霧するための調味液噴霧機が配置されていた。この製造ラインは、概略的には、成形機、調味液噴霧機及び焼成機を順次接続して構成されていた。そして、成形機において米飯を所定形状に成形してお握りとし、調味液噴霧機にて醤油や味噌液をお握りに噴霧した後、焼成機においてお握りをヒータにて焼き上げることで、焼きお握りを製造していた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、従来の調味液噴霧機は、筐体の外部に調味液タンクを備えると共に、筐体の内部にコンベア及び噴霧ノズルを備えて構成されていた。このような構成において、筐体の内部にコンベアによってお握りを搬送すると共に、調味液タンクに貯留された醤油等の調味液を噴霧ノズルに供給し、この噴霧ノズルにて調味液を霧状化してお握りに噴霧していた。
【0004】
【特許文献1】特開平6−14728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来、お握りに付着することなく落下した調味液は、コンベアの下方に設けられた排出口から調味液噴霧機の外部に排出されていた。これは、例えば調味液が醤油である場合、調味液受けタンクに醤油が所定時間以上酸素存在下で放置されると、当該醤油に含まれる酵母が増殖して当該醤油が劣化するため、衛生上の観点から当該醤油を再使用することができなかったためである。
【0006】
また、従来は、醤油を霧状化してお握り等に噴霧していたので、噴霧された醤油が調味液噴霧機の外部に漏れ出して製造室内に拡散するため、当該拡散した醤油を製造室外に排出するための排気システムを設ける必要があった。このため、製造ラインの設置コストが上昇したり、設置工期が長期化するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、調味液をその衛生状態を溜ったまま容易に再使用することを可能とし、あるいは、調味料の拡散を防止して排気システムを省略可能とする、調味液供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の調味液供給装置は、調味液を貯蔵する貯蔵手段と、前記貯蔵手段にて貯蔵された前記調味液を対象物に向けて供給する供給手段と、前記供給手段にて供給され前記対象物に付着しなかった前記調味液を受容する調味液受容手段と、前記受容手段にて受容された前記調味液を前記貯蔵手段に送出する循環手段と、前記循環手段を含む前記調味液の通過経路を洗浄する洗浄手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の調味液供給装置は、請求項1に記載の調味液供給装置において、前記洗浄手段は、前記貯蔵手段に貯蔵された洗浄液を蒸気加熱する加熱手段を備え、前記加熱手段にて蒸気加熱された前記洗浄液を、前記供給手段、前記調味液受容手段及び前記循環手段を順次介して循環させることにより、前記調味液の通過経路を洗浄すること、を特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の調味液供給装置は、請求項1又は2に記載の調味液供給装置において、複数列に整列された前記対象物である第1の対象物と第2の対象物とに前記調味液を噴射する場合において、前記供給手段は、前記対象物の上方側又は下方側の少なくとも一方の位置に、前記複数列の列数に対応する数のノズルを配置して構成され、前記複数のノズルの各々は、前記対象物の上方側に配置されている場合には、当該ノズルの最近傍に位置する第1の対象物の上面、当該第1の対象物の左右いずれかの側面のうち当該ノズルに近い方の第1の側面、及び、当該第1の対象物に隣接する列の第2の対象物の左右いずれかの側面のうち当該ノズルに近い方の第2の側面に対して、前記調味液を噴射し、前記対象物の下方側に配置されている場合には、当該ノズルの最近傍に位置する第1の対象物の下面、当該第1の対象物の左右いずれかの側面のうち当該ノズルに近い方の第1の側面、及び、当該第1の対象物に隣接する列の第2の対象物の左右いずれかの側面のうち当該ノズルに近い方の第2の側面に対して、前記調味液を噴射すること、を特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の調味液供給装置は、請求項3に記載の調味液供給装置において、前記複数のノズルの各々を、前記対象物の搬送方向に沿った非同一位置に配置したこと、を特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の調味液供給装置は、調味液を対象物に向けて液滴状に噴射する供給手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、循環手段を設けることにより、調味液受容手段にて受容された調味液を再使用でき、調味液の歩留まりを向上させることができる。特に、調味液受容手段にて受容された調味液を即座に貯蔵手段に戻して再利用できるので、調味液を調味液受容手段に所定時間以上放置することがなく、調味液の衛生状態を良好に維持することができる。さらに、洗浄手段を設けることにより、調味液の通過経路を洗浄でき、循環経路等に付着している調味液を洗い流すと共に、当該通過経路を加熱殺菌することができるので、当該通過経路の衛生状態を容易に良好に維持することができる。特に、配管系統を着脱することなく洗浄及び殺菌できるので、食品製造ラインの衛生管理が極めて容易になる。
【0014】
請求項2記載の本発明によれば、循環手段を介して洗浄液を循環させることにより、循環手段を流用して洗浄を行うことができるので、洗浄構造を簡素化できる。
【0015】
請求項3記載の本発明によれば、複数列に整列された対象物に調味液を噴射する場合において、複数のノズルの配置位置を工夫することで、少数のノズルで対象物の表面に調味液を噴射でき、調味液供給装置を簡易に構成できると共に、対象物の品質を向上させることができる。
【0016】
請求項4記載の本発明によれば、複数のノズルの各々を、対象物の搬送方向に沿った非同一位置に配置したことにより、各ノズルから噴射された調味液が相互に干渉することなく対象物に到達し、対象物の品質を安定させることができる。
【0017】
請求項5記載の本発明によれば、調味液を液滴状に噴射することで、調味液が調味液供給装置の外部に拡散することを防止でき、拡散した調味液を製造室外に排気するための排気システムを省略することができる。このため、食品製造ラインの設置コストを低減できると共に、その設置工期を短縮化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る調味液供給装置の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態に係る調味液供給装置は、食品製造ラインにおいて醤油や味噌液等の調味液を自動供給するためのものである。
【0020】
ここで、本実施の形態が対象とする「調味液」は、食品調理に使用し得る全ての液状の調味料が該当し、例えば、醤油や、味噌を液状化した味噌液を含む。以下では、醤油を供給する例について説明する。また、調味液を供給する対象物は任意であり、例えば、お握りの他、焼き鳥やお弁当を含む。以下では、お握りを対象物とする例について説明する。
【0021】
この調味液供給装置の特徴の一つは、醤油の自動循環機能と自動洗浄機能とを有する点にある。すなわち、従来は、お握りに付着することなく落下した調味液を廃棄していたが、本実施の形態に係る調味液供給装置では、調味液を循環させる循環手段と、当該循環手段を含む醤油の通過経路を自動洗浄する洗浄手段を設けている。従って、醤油を自動循環させて有効利用できると共に、醤油の通過経路を自動洗浄することで循環手段による循環機能の衛生度や信頼性を向上させている。
【0022】
また、調味液供給装置の他の特徴の一つは、醤油を液滴状に放出する点にある。すなわち、従来は、醤油を霧状化していたが、霧状ではなく液滴状にして放出することで、醤油が製造室内に拡散することを防止でき、醤油を製造室外に排出するための排気システムを省略することができる。
【0023】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、本実施の形態の具体的内容について説明する。図1は、本実施の形態に係る食品製造ライン1の平面図である。この食品製造ライン1は、成形機2、焼成機3、醤油供給機4、接続コンベア5及び焼成機6を順次接続して構成されている。
【0024】
(食品製造ライン1の全体構成)
ここで、成形機2、焼成機3、6及び接続コンベア5は、特記する部分を除いて従来と同様に構成することができるため、その説明は省略する。このような構成について、概略的には、成形機2において米飯を所定形状に成形してお握りとし、焼成機3にてお握りを下焼きし、醤油供給機4にて醤油をお握りに付着させ、接続コンベア5においてお握りに必要な手加工を行った後、焼成機6においてお握りをヒータにて2度焼きすることで、焼きお握りを製造する。ここでは、成形機2から1列で送り出されたお握りが、図示しない振り分け機を介して2列に振り分けられて焼成機3に導入され、以降はこの2列の状態を維持したまま焼成等が行なわれるものとする。なお、食品製造ライン1は、設置スペースの都合に応じて様々な形態で配置でき、図1に示す如き直線状のラインの他、図2の平面図に示す如き曲線状のラインとして構成可能である。
【0025】
(醤油供給機4)
次に、醤油供給機4についてより詳細に説明する。図3は醤油供給機4の平面図、図4は醤油供給機4の側面図である。これら各図に示すように、醤油供給機4は、概略的に、コンベア40、醤油供給タンク41、ノズル42a〜42d、醤油受けトレー43及び制御盤44を備えて構成されている。
【0026】
コンベア40は、前段の焼成機3にて下焼きされたお握りを、当該醤油供給機4の内部を経て、後段の焼成機6に搬送するための搬送手段である。このコンベア40は、例えば、上方の2つのノズル42a、42bから噴霧されお握りに付着しなかった醤油が当該コンベア40を通過して下方に落下可能になると共に、下方の2つのノズル42c、42dから噴霧された醤油が当該コンベア40を通過してお握りに付着可能になるように、網状の搬送体を有するメッシュコンベア40として構成されている。またコンベア40は、醤油に対する耐食性が高い材質(例えばステンレス)にて構成されることが好ましい(この点は、当該醤油供給機4における他の構成要素についても同様)。
【0027】
醤油供給タンク41は、醤油を貯蔵するためのものであり、特許請求の範囲における貯蔵手段に対応する。この醤油供給タンク41は、概略的には直方体状に形成されており、図示しない蓋部を介して、当該醤油供給タンク41の中に醤油を供給することができる。この醤油供給タンク41は、当該醤油供給タンク41に対する醤油の供給が容易な位置に配置されることが好ましく、本実施の形態では当該醤油供給機4の前面下方位置に配置されている。
【0028】
ノズル42a〜42dは、醤油供給タンク41にて貯蔵された醤油をお握りに対して噴射するもので、特許請求の範囲における供給手段に対応する。図4に示すように、コンベア40の上方の2つのノズル42a、42bと、コンベア40の下方の2つのノズル42c、42dとが、コンベア40を挟んで相互に対向する位置に配置されている。そして、醤油供給タンク41にて貯蔵され、ポンプPM(後述する図7においてのみ図示)にて圧送された醤油を、これらノズル42a〜42dを介してお握りに向けて上下から噴射することで、醤油をお握りに対して供給する。この噴射タイミングは、例えば、ノズル42a〜42dの近傍に設けた図示しないセンサにてお握りを検知することにより、あるいは、コンベア40の搬送速度と同期を取ることにより決定される。
【0029】
醤油受けトレー43は、ノズル42a〜42dにて噴射されお握りに付着しなかった醤油を受容するもので、特許請求の範囲における調味液受容手段に対応する。この醤油受けトレー43は、方形板材の四周に立上げ壁を設けて構成されており、ノズル42a〜42dによる醤油の噴射範囲に対応する平面上の位置であって、下方のノズル42c、42dよりもさらに下方の位置に、略水平状に配置されている。従って、上方又は下方のノズル42a〜42dから噴射されてお握りに付着せずに落ちた醤油が、この醤油受けトレー43にて受容される。
【0030】
制御盤44は、醤油供給機4の各部を制御するための制御手段である。この制御盤44は、各部に電気的に接続された各種の電子部品を実装した回路基板や、MPU(Micro Processing Unit)及びプログラム、さらには各種の操作釦やディスプレイを備えて構成されている。そして、これら操作釦やディスプレイを介して、コンベア40の搬送のON/OFFやその搬送速度、あるいは、ノズル42a〜42dの噴射タイミングを設定することができ、この設定内容に応じて、醤油供給機4の各部が自動制御される。
【0031】
(ノズル42a〜42dの詳細)
次に、ノズル42a〜42dの細部について説明する。このノズル42a〜42dは、従来のように醤油を霧状化して噴霧するのではなく、醤油を液滴状に噴射するように構成されている。このため、醤油が醤油供給機4の外部に拡散することを防止でき、排気システムを省略することが可能になっている。
【0032】
具体的には、ノズル42a〜42dの先端部には図示しない噴射孔が形成されており、この噴射孔の内径を約0.2mmから1.5mmの範囲にすると共に、醤油の噴射圧力を約0.1mPaから0.7mPaの範囲にすることで、醤油を外径が約0.25mmから2.0mmの液滴状として噴射している。ただし、これら内径や圧力は例示であり、醤油を液滴状に噴射可能な範囲であれば任意に変更可能である。なお、供給手段としては、醤油を噴射する以外にも、刷毛にて塗布する等、任意の手段を用いることができる。
【0033】
また、できる限り少数のノズル42a〜42dでお握りの表面に醤油を噴射可能なように、当該ノズル42a〜42dの取付位置や噴射角度が工夫されている。図5は醤油の噴射範囲を示す平面図、図6は醤油の噴射範囲を示す正面図(図5のX方向から見た図)である。なお、以下では、図5におけるY方向を左右方向とし、図5の上側を右側、図5の下側を左側と称する。また、本実施の形態においては、コンベア40の上面に円形状のお握り7が左右に2列で整列されていることを前提としている。以下では、説明の都合上、右側を流れるお握りの符合を7a,7b、左側を流れるお握りの符合を7c,7dとして区別する。
【0034】
このような前提において、上方に設けた2つのノズル42a、42bのうち、右側のノズル42aは、右側の列のお握り7a,7bよりやや右方に配置され、左側のノズル42bは、左側の列のお握り7c,7dよりやや左方に配置されている。そして、ノズル42aは、当該ノズル42aの最近傍に位置するお握り(ノズル42aに対して最も近い列を通過するお握りで、ここでは右側のお握り7a,7bであり、特許請求の範囲における第1の対象物に対応する)の上面、当該お握り7a,7bの左右いずれかの側面のうち当該ノズル42aに近い方の第1の側面(右側の側面)、及び、当該お握りに隣接する列のお握り(ここでは左側のお握り7c,7dであって、特許請求の範囲における第2の対象物に対応する)の左右いずれかの側面のうち当該ノズル42aに近い方の第2の側面(右側の側面)に対して、醤油を噴射する。
【0035】
一方、左側のノズル42bは、当該ノズル42bの最近傍に位置するお握り(ノズル42bに対して最も近い列を通過するお握りで、ここでは左側のお握り7c,7dであり、特許請求の範囲における第1の対象物に対応する)の上面、当該お握り7c,7dの左右いずれかの側面のうち当該ノズル42bに近い方の第1の側面(左側の側面)、及び、当該お握り7c,7dに隣接する列のお握り(ここではお握り7a,7bであって、特許請求の範囲における第2の対象物に対応する)の左右いずれかの側面のうち当該ノズル42bに近い方の第2の側面(左側の側面)に対して、醤油を噴射する。
【0036】
この結果、2つのノズル42a〜42dにより、左右各列のお握り7a〜7dの各々上面と左右の両側面とに醤油を噴射できる。例えば、お握り7aに着目すると、このお握り7aがノズル42aの前方を通過する際に、その上面と右側面とに醤油が噴射され、さらに進んでお握り7aがノズル42bの前方を通過する際に、その左側面に醤油が噴射される。つまり、お握り7aにの上面、右側面及び左側面に、醤油が噴射される。
【0037】
ここで、図5、6には上方のノズル42a、42bのみを示したが、下方のノズル42c、42dは、ノズル42a、42bと上下対称に配置されているので、左右各列のお握りの下面にも同様に醤油を噴射できる。この結果、少数のノズル42a〜42dで、お握りのほぼ全ての表面にまんべんなく醤油を噴射することができ、お握りの品質を向上させることができる。
【0038】
さらに本実施の形態では、図5に示すように、上方に配置される複数のノズル42a、42bを、コンベア40によるお握りの搬送方向に沿った前後の非同一位置(距離L1を隔てた位置)に配置している。また、下方のノズル42c、42dについても同様に、前後の非同一位置に配置している。このため、複数のノズル42a〜42dの噴射範囲が相互に重複する場合においても、前後の異なる位置において異なるタイミングで醤油を噴射できるので、各ノズル42a〜42dから噴射された醤油が相互に干渉することなくお握りに到達し、お握りの品質を安定させることができる。
【0039】
(配管系統)
次に、醤油供給機4における醤油の供給又は洗浄のための配管系統について説明する。図7は醤油供給機4の配管系統図である。まず、醤油の循環系統について説明する。醤油供給タンク41に貯蔵された醤油は管路P1を介してポンプPMに導入される。このポンプPMには、管路P2を介して加圧空気が供給されており、ポンプPMにおいて加圧空気と混合された醤油が、管路P3及び管路P4、P5を介してノズル42a〜42dに圧送され、当該ノズル42a〜42dから噴射される。そして、お握りに付着しなかった醤油は、上述のように醤油受けトレー43にて受容される。また、管路P3からは管路P6が引き出されており、この管路P6に設けたリバースバルブV1を開くことで、この管路P6を介して醤油を醤油受けトレー43に排出することができる。なお、図示は省略するは、各管路P1〜P6には必要に応じてレギュレータや流量調整バルブを設けることができ、レギュレータにて醤油や空気の流量を自動調整すると共に、流量調整バルブにて醤油の流量を手動調整できる。
【0040】
ここで、醤油受けトレー43にて受容された醤油は、当該醤油受けトレー43の近傍に配置された三方切換バルブV2に導入される。そして、この三方切換バルブV2を循環方向に切換え操作した場合には、醤油受けトレー43にて受容された醤油を管路P7を経て醤油供給タンク41に戻すことができる。すなわち、これら三方切換バルブV2及び管路P7は、醤油受けトレー43にて受容された醤油を醤油供給タンク41に送出する循環手段を構成する。そして、このように循環手段を設けることにより、醤油受けトレー43にて受容された醤油を再使用でき、醤油の歩留まりを向上させることができる。特に、製造中には三方切換バルブV2を常時循環方向に設定しておくことで、醤油受けトレー43にて受容された醤油を即座に醤油供給タンク41に戻して再利用できるので、醤油を醤油供給タンク41に所定時間以上放置することがなく、醤油の衛生状態を良好に維持することができる。なお、三方切換バルブV2を排出方向に切換え操作した場合には、醤油受けトレー43にて受容された醤油を管路P8を経て外部に排出することができる。
【0041】
(洗浄手段)
ここで、従来は、お握りの製造終了後、配管系統に残存した醤油が固化して、配管系統を目詰まりさせる原因になっていた。そして、このような目詰まりを防止するため、製造終了後には、配管系統を分解洗浄していたので、食品製造ライン1の衛生管理に大変な手間を要していた。そこで本実施の形態においては、このような問題を上記循環手段を流用することで解消すべく、醤油の通過経路を洗浄する洗浄手段を設けている。具体的には、醤油供給タンク41には、給水口41a及び蒸気供給口41bが設けられており、工場内の既存の図示しない給水配管又は蒸気配管をこれら給水口41a及び蒸気供給口41bに接続することで、水(特許請求の範囲における洗浄液に対応する)又は蒸気を醤油供給タンク41に供給することができる。これら給水口41a及び蒸気供給口41bは、特許請求の範囲における洗浄手段(加熱手段)に対応する。
【0042】
そして、醤油供給タンク41に供給した水を、当該醤油供給タンク41に供給した蒸気によって加熱沸騰させて高温水とし、この高温水を、上述の醤油の循環ラインを介して、ノズル42a〜42dから噴射させることによって、又は、管路P6及びリバースバルブV1を介して排出することによって、醤油受けトレー43に導入することができる。このように導入された高温水は、三方切換バルブV2を循環方向に切換え操作することで醤油供給タンク41に導入して再循環させたり、三方切換バルブV2を排出方向に切換え操作することで排出することができる。このように高温水を、醤油の通過経路に導入することで、当該通過経路に付着している醤油を洗い流すと共に、当該通過経路を加熱殺菌することができ、当該通過経路の衛生状態を容易に良好に維持することができる。特に、配管系統を着脱することなく洗浄及び殺菌できるので、食品製造ライン1の衛生管理が極めて容易になる。また、醤油の循環系統を流用して洗浄を行うことができるので、配管構成を簡素化できる。なお、上述のように水を蒸気で加熱する他、水以外の任意の洗浄液を用いたり、任意の手段で予め加熱した洗浄液を給水口41aから導入するようにしてもよい。
【0043】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0044】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明に係る調味液供給装置は、醤油を含む各種の調味液をお握り等の食品に供給する装置として利用でき、特に、余った調味液を循環させて再利用することでその歩留まりを向上させることに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る調味液供給装置を含んだ食品製造ラインの平面図である。
【図2】図1の製造ラインの変形例を示す平面図である。
【図3】醤油供給機の平面図である。
【図4】醤油供給機の側面図である。
【図5】醤油の噴射範囲を示す平面図である。
【図6】醤油の噴射範囲を示す正面図である。
【図7】醤油供給機の配管系統図である。
【符号の説明】
【0047】
1 食品製造ライン
2 成形機
3、6 焼成機
4 醤油供給機
5 接続コンベア
7a〜7d お握り
40 コンベア
41 醤油供給タンク
41a 給水口
41b 蒸気供給口
42a〜42d ノズル
43 醤油受けトレー
44 制御盤
P1〜P8 管路
PM ポンプ
V1 リバースバルブ
V2 三方切換バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調味液を貯蔵する貯蔵手段と、
前記貯蔵手段にて貯蔵された前記調味液を対象物に向けて供給する供給手段と、
前記供給手段にて供給され前記対象物に付着しなかった前記調味液を受容する調味液受容手段と、
前記受容手段にて受容された前記調味液を前記貯蔵手段に送出する循環手段と、
前記循環手段を含む前記調味液の通過経路を洗浄する洗浄手段と、
を備えることを特徴とする調味液供給装置。
【請求項2】
前記洗浄手段は、前記貯蔵手段に貯蔵された洗浄液を蒸気加熱する加熱手段を備え、前記加熱手段にて蒸気加熱された前記洗浄液を、前記供給手段、前記調味液受容手段及び前記循環手段を順次介して循環させることにより、前記調味液の通過経路を洗浄すること、
を特徴とする請求項1に記載の調味液供給装置。
【請求項3】
複数列に整列された前記対象物である第1の対象物と第2の対象物とに前記調味液を噴射する場合において、
前記供給手段は、前記対象物の上方側又は下方側の少なくとも一方の位置に、前記複数列の列数に対応する数のノズルを配置して構成され、
前記複数のノズルの各々は、
前記対象物の上方側に配置されている場合には、当該ノズルの最近傍に位置する第1の対象物の上面、当該第1の対象物の左右いずれかの側面のうち当該ノズルに近い方の第1の側面、及び、当該第1の対象物に隣接する列の第2の対象物の左右いずれかの側面のうち当該ノズルに近い方の第2の側面に対して、前記調味液を噴射し、
前記対象物の下方側に配置されている場合には、当該ノズルの最近傍に位置する第1の対象物の下面、当該第1の対象物の左右いずれかの側面のうち当該ノズルに近い方の第1の側面、及び、当該第1の対象物に隣接する列の第2の対象物の左右いずれかの側面のうち当該ノズルに近い方の第2の側面に対して、前記調味液を噴射すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の調味液供給装置。
【請求項4】
前記複数のノズルの各々を、前記対象物の搬送方向に沿った非同一位置に配置したこと、
を特徴とする請求項3に記載の調味液供給装置。
【請求項5】
調味液を対象物に向けて液滴状に噴射する供給手段を備えること、
を特徴とする調味液供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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