説明

調湿装置

【課題】室外空気の温度(外気温度)が低温度の場合でも、調湿装置の運転を良好に行えるようにする。
【解決手段】調湿装置の冷媒回路(30)に、第1吸着熱交換器(33a)及びレヒート補助熱交換器(35)で冷媒を放熱させるとともに第2吸着熱交換器(33b)で冷媒を吸熱させる第1状態と、上記第2吸着熱交換器(33b)及び上記補助熱交換器(35)で冷媒を放熱させるとともに上記第1吸着熱交換器(33a)で冷媒を吸熱させる第2状態とに切換可能な冷媒側の切換部(32,36a)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿装置に関し、特に、取り込んだ室外空気を予備加熱する手段に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、2つの吸着熱交換器が接続された冷媒回路を備え、室外空気や室内空気を調湿し、調湿後の空気を室内へ供給する調湿装置が知られている。この種の調湿装置では、特許文献1に示すように、冷媒回路の冷媒循環方向を可逆に切り換えることで、第1吸着熱交換器が凝縮器として第2吸着熱交換器が蒸発器としてそれぞれ機能する動作と、第1吸着熱交換器が蒸発器として第2吸着熱交換器が凝縮器としてそれぞれ機能する動作とが交互に行われる。そして、この調湿装置では、各吸着熱交換器を通過した空気の一方を室内へ供給して他方を室外へ排出することにより、除湿運転または加湿運転が行われる。例えば、除湿運転の場合は、蒸発器となる吸着熱交換器を通過した空気が室内へ供給され、加湿運転の場合は、凝縮器となる吸着熱交換器を通過した空気が室内へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−291532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、室外空気の温度(外気温度)が低温度(例えば、氷点下15℃)の環境では、上記各吸着熱交換器の動作を切り換えるダンパ等が凍結し、または、各吸着熱交換器からドレン水が発生し、もしくはこのドレン水が凍結してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、室外空気の温度(外気温度)が低温度の場合でも、調湿装置の運転を良好に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、圧縮機(31,172)と、吸着剤を担持した第1吸着熱交換器(33a,176)及び第2吸着熱交換器(33b,175)と、補助熱交換器(35,194)と、膨張機構(37,38)(198,195)とが接続されて冷媒が循環することにより冷凍サイクルを行う冷媒回路(30,170)と、上記補助熱交換器(35,194)を通過した室外空気を第1吸着熱交換器(33a,176)の吸着剤で調湿する第1状態と、上記補助熱交換器(35,194)を通過した室外空気を第2吸着熱交換器(33b,175)の吸着剤で調湿する第2状態とに切換可能な空気側の切換部(D1〜D4,D13〜D16)と、上記冷媒回路(30,170)に接続されて、上記第1吸着熱交換器(33a,176)及び上記補助熱交換器(35,194)で冷媒を放熱させるとともに上記第2吸着熱交換器(33b,175)で冷媒を吸熱させる第1状態と、上記第2吸着熱交換器(33b,175)及び上記補助熱交換器(35,194)で冷媒を放熱させるとともに上記第1吸着熱交換器(33a,176)で冷媒を吸熱させる第2状態とに切換可能な冷媒側の切換部(32,36a)(173,188)とを備えていることを特徴とする調湿装置である。
【0007】
第1の発明では、上記補助熱交換器(35,194)で加熱した室外空気を吸着熱交換器(33a,175)(33b,176)へ導入できるようにした。ここで、上記冷媒側の切換部(32,36a)(173,188)によって上記冷媒回路(30,170)に係る冷媒流れが第1状態と第2状態とに切り換わる。たとえば、上記冷媒側の切換部(32,36a)(173,188)が第1状態のときに圧縮機(31,172)、第1吸着熱交換器(33a,176)、補助熱交換器(35,194)、膨張機構(37,38)(198,195)、第2吸着熱交換器(33b,175)の順で流れ、上記冷媒側の切換部(32,36a)(173,188)が第2状態のときに圧縮機(31,172)、第2吸着熱交換器(33b,175)、補助熱交換器(35,194)、膨張機構(37,38)(198,195)、第1吸着熱交換器(33a,176)の順で流れる場合において、どちらの状態であっても常に上記補助熱交換器(35,194)が放熱器となるようにした。これにより、上記冷媒側の切換部(32,36a)(173,188)の切換動作に関係なく、常に上記補助熱交換器(35,194)で加熱した室外空気を吸着熱交換器へ導入できるようになる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、上記冷媒回路(30,170)には、上記補助熱交換器(35,194)をバイパスするバイパス通路(36b,197)が設けられていることを特徴としている。
【0009】
第2の発明では、例えば、室外空気の温度が高く、吸着熱交換器(33a,175)(33b,176)のドレン水が凍結する等の不具合がない場合には、室外空気を加熱する必要がないので、バイパス通路(36b,197)を設けて、補助熱交換器(35,194)へ向かう冷媒を迂回させるようにした。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、上記膨張機構(37,38)(198,195)は、上記バイパス通路(36b,197)を流通する冷媒を減圧する第1膨張弁(37,198)と、上記補助熱交換器(35,194)を通過した冷媒を減圧する第2膨張弁(38,195)とであることを特徴としている。
【0011】
第3の発明では、冷凍サイクルに係る冷媒の膨張動作と、上記補助熱交換器(35,194)に係る冷媒のバイパス量の調整動作との両方を上記第1膨張弁(37,198)及び上記第2膨張弁(38,195)で行うことが可能になる。第1膨張弁(37,198)を全閉にし、第2膨張弁(38,195)を適宜調整する(例えば、上記圧縮機(31,172)へ吸入される冷媒の過熱度が所定値となるように調整する)ことにより、上記冷媒回路(30,170)が冷凍サイクルを行いながら、上記補助熱交換器(35,194)で室外空気を加熱する。
【0012】
また、第2膨張弁(38,195)を全閉にし、第1膨張弁(37,198)を適宜調整することにより、上記補助熱交換器(35,194)で室外空気を加熱することなく、上記冷媒回路(30,170)に冷凍サイクルを行わせることが可能となる。このとき、第2膨張弁(38,195)を全閉にすると、上記補助熱交換器(35,194)に冷媒が溜まる場合がある。この場合には、第2膨張弁(38,195)を僅かに開くことで、上記補助熱交換器(35,194)内を冷媒が僅かに流通する状態にして、上記補助熱交換器(35,194)に冷媒が溜まるのを防ぐことが可能となる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、上記冷媒側の切換部(32,36a)(173,188)は、第1から第4の逆止弁(CV-1〜CV-4)(189a〜191a)を有する逆止弁ブリッジ回路(36a,188)を有し、上記第1逆止弁(CV-1,189a)と上記第2逆止弁(CV-2,190a)との間から延びる第1冷媒通路(6)が第1吸着熱交換器(33a,176)の一端に接続され、上記第1逆止弁(CV-1,189a)と上記第3逆止弁(CV-3,191a)との間から延びる第2冷媒通路(7)が上記補助熱交換器(35,194)の一端に接続され、上記第3逆止弁(CV-3,191a)と上記第4逆止弁(CV-4,192a)との間から延びる第3冷媒通路(8)が第2吸着熱交換器(33b,175)の一端に接続され、上記第4逆止弁(CV-4,192a)と上記第2逆止弁(CV-2,190a)との間から延びる第4冷媒通路(9)が第2膨張弁(38,195)を経て補助熱交換器(35,194)の他端に接続される一方、上記バイパス通路(36b,197)は、上記2冷媒通路(7)と第4冷媒通路(9)とを接続することを特徴としている。
【0014】
第4の発明では、上記補助熱交換器(35,194)及び上記第2膨張弁(38,195)をバイパスして冷媒がバイパス通路(36b,197)を流れる。この場合において、全ての冷媒がバイパス通路(36b,197)へ向かうわけでなく、一部が上記補助熱交換器(35,194)及び上記第2膨張弁(38,195)へ向かって流れて溜まり込むことがある。
【0015】
仮に、上記バイパス通路(36b,197)が上記第1冷媒通路(6)と上記第3冷媒通路(8)とを接続する場合には、上記補助熱交換器(35,194)と上記第2膨張弁(38,195)と上記逆止弁ブリッジ回路(36a,188)とをバイパスすることになり、上記逆止弁ブリッジ回路(36a,188)にも冷媒が溜まり込むことになる。第4の発明のように、上記バイパス通路(36b,197)を設けると、上記逆止弁ブリッジ回路(36a,188)に冷媒が溜まり込まなくなり、冷媒の溜まり込みによる調湿運転時の冷媒不足が発生しにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記冷媒側の切換部(32,36a)(173,188)によって上記冷媒回路(30,170)に係る冷媒流れが第1状態及び第2状態のどちらに切り換わった場合でも、常に上記補助熱交換器(35,194)が放熱器となり、低温度の室外空気を補助熱交換器(35,194)で加熱した後で吸着熱交換器(33a,175)(33b,176)へ導入することができる。これにより、吸着熱交換器(33a,175)(33b,176)のドレン水が凍結する等の不具合がなくなって、室外空気が低温度の場合でも、調湿装置の運転を良好に行うことができる。
【0017】
また、上記第2の発明によれば、上記冷媒回路(30,170)にバイパス通路(36b,197)を設けることにより、このバイパス通路(36b,197)を通じて、補助熱交換器(35,194)へ向かう冷媒の少なくとも一部を迂回させることができる。これにより、例えば室外空気の温度が高い場合に、無駄に室外空気を加熱されるのを防ぐことができる。
【0018】
また、上記第3の発明によれば、上記第1膨張弁及び上記第2膨張弁(37,198)(38,195)が、冷凍サイクルに係る冷媒の膨張動作と、上記補助熱交換器(35,194)に係る冷媒のバイパス量の調整動作との両方を兼ねる。これにより、冷媒の膨張動作に係るものとバイパス量の調整動作に係るものの2つの弁を設ける必要がなく、調湿装置の部品点数が削減され、調湿装置の低コスト化を図ることができる。
【0019】
また、上記第4の発明によれば、上記バイパス通路(36b,197)が上記第1冷媒通路(6)と上記第3冷媒通路(8)とを接続する場合に比べて、上記逆止弁ブリッジ回路(36a,188)をバイパスしない分だけ、冷媒の溜まり込む量を少なくすることができる。これにより、冷媒がバイパス通路(36b,197)を通過するバイパス運転のとき、冷媒の溜まり込みによる冷媒不足が生じにくくなり、上記バイパス運転を安定して行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態1に係る調湿装置の概略構成図である。
【図2】実施形態1に係るケーシングの内部構造を示す概略の斜視図である。
【図3】実施形態1に係る調湿装置の概略構成図であり、図3(A)は上面図を示し、図3(B)は図3(A)のW−W矢視図を示し、図3(C)は図3(A)のX−X矢視図を示し、図3(D)は図3(A)のY−Y矢視図を示し、図3(E)は図3(A)のZ−Z矢視図を示している。
【図4】実施形態1に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第1動作中の空気の流れのうち、室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図5】実施形態1に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第1動作中の空気の流れのうち、室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図6】実施形態1に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第2動作中の空気の流れのうち、室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図7】実施形態1に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第2動作中の空気の流れのうち、室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
【図8】実施形態1に吸着熱交換器の構成を示す斜視図である。
【図9】実施形態1に係る調湿装置の冷媒回路を示す配管系統図である。
【図10】実施形態1に係る調湿装置の室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する模式図である。
【図11】実施形態1に係る調湿装置の室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する模式図である。
【図12】従来例に係る調湿装置のケーシングの内部構造を示す概略の斜視図である。
【図13】図13は、実施形態2に係る調湿装置のケーシング構造を表した斜視図である。
【図14】図14は、実施形態2に係る調湿装置のフレーム構造を表した斜視図である。
【図15】図15は、実施形態2に係る調湿装置を模式的に表した構成図であり、図15(A)は、調湿装置を上面から、図15(B)は、調湿装置の内部構造を前面から、図15(C)は、調湿装置の内部構造を左側面から、図15(D)は、調湿装置の内部構造を右側面から、それぞれ視たものである。
【図16】図16は、実施形態2に係る調湿装置の模式的に表した構成図であり、図16(A)は、調湿装置の内部構造を図15(A)のY−Y断面から視たものであり、図16(B)は、調湿装置の内部構造を図16(A)のZ−Z断面から視たものである。
【図17】図17は、実施形態2に係る調湿装置の内部構造を示した組立斜視図であり、特に、下部空間の内部構造を表したものである。
【図18】図18は、実施形態2に係る調湿装置の内部構造を示した組立斜視図であり、特に、レヒート熱交換器の周辺構造を表したものである。
【図19】図19は、実施形態2に係る調湿装置の内部構造を示した組立斜視図であり、特に、下側ダンパの周辺構造を表したものである。
【図20】図20は、実施形態2に係る調湿装置の内部構造を示した組立斜視図であり、特に、上側ダンパの周辺構造を表したものである。
【図21】図21は、実施形態2に係る吸着熱交換器の斜視図に、その周囲の調湿室を仮想線を用いて付加したものである。
【図22】図22は、実施形態2に係る調湿装置の内部構造を示した斜視図であり、特に上部空間の内部構造を表したものである。
【図23】図23は、実施形態2に係る調湿装置の冷媒回路の概略構成図である。
【図24】図24は、実施形態2に係る調湿装置の除湿運転時の第1動作、又は加湿運転時の第1動作の空気流れを示した、図15相当図である。
【図25】図25は、実施形態2に係る調湿装置の除湿運転時の第1動作、又は加湿運転時の第1動作の空気流れを示した、図16相当図である。
【図26】図26は、実施形態2に係る調湿装置の除湿運転時の第2動作、又は加湿運転時の第2動作の空気流れを示した、図15相当図である。
【図27】図27は、実施形態2に係る調湿装置の除湿運転時の第2動作、又は加湿運転時の第2動作の空気流れを示した、図16相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
《発明の実施形態1》
図1〜図3に示すように、本発明の実施形態1に係る調湿装置(110)は、室内の床面に設置されて室内の湿度調節を行う床置き型の調湿装置である。調湿装置(110)は、例えば衣服等が収納されるクローゼットの収納空間などに設置可能に構成されている。
【0023】
上記調湿装置(110)は、縦長の直方体状に形成されたケーシング(111)を備えている。尚、以下の説明における上下方向および左右方向は、図1のケーシング(111)の前面側から視たそれぞれの方向をいうものとする。
【0024】
上記ケーシング(111)は、その前面を覆うと共に、ケーシング(111)に対して着脱自在に取り付けられる前面カバー(112)を備え、後面側に背面板(115)とが取り付けられている。
【0025】
上記ケーシング(111)には、上端部に天板(116)が、下端部に底板(117)がそれぞれ取り付けられている。ケーシング(111)には、右端部に右側面板(113)が左端部に左側面板(114)がそれぞれ取り付けられている。
【0026】
上記天板(116)には、4つのダクト接続口(150〜153)が形成されている。これらのダクト接続口(150〜153)は、天板(116)の4隅に対応するように互いに隣り合って形成されている。具体的には、4つのダクト接続口(150〜153)は、天板(116)の前方左側寄りに形成される室外吸込口(150)と、天板(116)の後方右寄りに形成される室内給気口(151)と、天板(116)の前方右寄りに形成される室内吸込口(152)と、天板(116)の後方左寄りに形成される室外排気口(153)とで構成されている。つまり、ケーシング(111)の上面には、室外吸込口(150)と室内給気口(151)と室内吸込口(152)と室外排気口(153)とが集約されて形成されている。
【0027】
各ダクト接続口(150〜153)には、それぞれ空気が流通可能なダクト(図示なし)が取り付けられている。各ダクトは、室内の天井側に向かって上方に延び、天井裏を伝って所定の空間まで配設されている。これらのダクトを介して室外吸込口(150)および室外排気口(153)は室外空間と繋がり、室内吸込口および室内給気口(151)は室内空間と繋がっている。また、上記室外吸込口(150)は、フィルタユニット(154)を介してダクトに接続されている。フィルタユニット(154)は、室外吸込口(150)の上部に設けられ、外気フィルタ(156)を収容している。つまり、ダクトを流れる室外空気は、フィルタユニット(154)の内部を流れ、外気フィルタ(156)を通過した後、室外吸込口(150)からケーシング(111)内に取り込まれる。そして、室外吸込口(150)は、室外空気(OA)をケーシング(111)の内部に導入するための開口を形成し、室内吸込口(152)は、室内空気(RA)をケーシング(111)の内部に導入するための開口を形成している。また、室外排気口(153)は、ケーシング(111)内の空気を排出空気(EA)として室外へ排出するための開口を構成し、室内給気口(151)は、ケーシング(111)内の空気を供給空気(SA)として室内へ供給するための開口を構成している。
【0028】
上記前面カバー(112)は、ケーシング(111)の前側の開放部を覆うようにケーシング(111)に取り付け/取り外し可能に構成されている。前面カバー(112)には、調湿装置(110)の利用者などが調湿装置(110)の運転を切り換えるための操作スイッチ(図示なし)が設けられている。また、前面カバー(112)の上部には、フィルタ(155,156)を取り出し/取り付け可能とする開口部と、この開口部を開閉可能な開閉蓋とが設けられている。開閉蓋は、前面カバー(112)に対して着脱自在に構成されている。
【0029】
上記ケーシング(111)は、その内部に直方体状の空間が形成されている。ケーシング(111)の内部には、上部仕切板(120)と下部仕切板(121)とが上下に並んで設けられている。上部仕切板(120)および下部仕切板(121)は、矩形状の板材に形成され、ケーシング(111)の内部で水平な姿勢で支持されている。
【0030】
下部仕切板(121)と底板(117)との間には、扁平な直方体状の機械室(160)が区画されている。機械室(160)には、後述する冷媒回路(170)に接続される圧縮機(172)、四路切換弁(173)および制御基板(161)などが収納されている。圧縮機(172)は、縦置き型の圧縮機に構成され、ケーシング(111)の底板(117)に据え付けられている。圧縮機(172)は、例えばスクロール型又はロータリ型の圧縮機構を有して構成されている。
【0031】
また、下部仕切板(121)の上面には、各吸着熱交換器(175,176)で結露した水分を貯留するドレンパン(1102)が設けられている。このドレンパン(1102)は、後述する第1調湿室(127)および第2調湿室(128)に跨って形成されている。
【0032】
上記上部仕切板(120)と天板(116)との間には、扁平な直方体状の空間が区画されている。この空間には、縦仕切板(118)と横仕切板(119)とが設けられている。縦仕切板(118)は、長辺が前後方向に延びる板状に形成され、横仕切板(119)は、長辺が左右方向に延びる鉛直な姿勢でケーシング(111)に支持されている。縦仕切板(118)および横仕切板(119)は、上部仕切板(120)と天板(116)との間の空間を4つの部屋(145,146,147,148)に区画している。これらの4つの部屋は、第1〜第4部屋(145,146,147,148)で構成されている。上記第1室(145)は、ケーシング(111)の前方左寄りに形成され、第2室(146)は、ケーシング(111)の前方右寄りに形成されている。また、第3室(147)は、ケーシング(111)の後方右側寄りに形成され、第4室(148)は、ケーシング(111)の後方左側寄りに形成されている。
【0033】
上記縦仕切板(118)は、図3〜図7に示すように、上記第1室(145)と第2室(146)とを仕切る部分のやや後方寄りに第1開口(141)が形成され、第3室(147)と第4室(148)とを仕切る部分のやや前方寄りに第4開口(144)が形成されている。この第1開口(141)は、第1室(145)と第2室(146)とを繋ぐものであり、第4開口(144)は、第3室(147)と第4室(148)とを繋ぐものである。
【0034】
上記上部仕切板(120)には、図3〜図7に示すように、第1、第2、第7および第8流通口(131,132,137,138)と、第2および第3開口(142,143)が形成されている。第1流通口(131)は、上部仕切板(120)における第1室(145)に臨む部位に形成されている。第2開口(142)は、上部仕切板(120)における第2室(146)に臨む部位の前方側に形成されている。第2流通口(132)は、上部仕切板(120)における第2室(146)に臨む部位の後方側に形成されている。第7流通口(137)は、上部仕切板(120)における第3室(147)に臨む部位の前方側に形成されている。第3開口(143)は、上部仕切板(120)における第3室(147)に臨む部位の後方側に形成されている。第8流通口(138)は、上部仕切板(120)における第4室(148)に臨む部位に形成されている。
【0035】
上記第1室(145)には、天板(116)と上部仕切板(120)との間に、取付板(129)によって取り付けられた補助熱交換器(194)が配置されている。上記取付板(129)は、前後に跨る略長方形の矩形状に形成された枠体である。取付板(129)は、第1室(145)内において斜めの姿勢で配置され、その下側に補助熱交換器(194)が嵌め込まれている。また、取付板(129)の側面部には、レヒート冷媒配管(7)を補助熱交換器(194)の空気の下流側に導くための管連通部(130)が形成されている。管連通部(130)は、取付板(129)の一側面部に沿って延びる開口であって、本発明に係る開口部を構成している。レヒート冷媒配管(7)は、管連通部(130)を介して補助熱交換器(194)の伝熱管と接続されている。
【0036】
上記補助熱交換器(194)は、室外吸込口(150)から吸い込んだ室外の空気を予備加熱するものである。補助熱交換器(194)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。補助熱交換器(194)は、銅製の伝熱管とアルミニウム製のフィンとを備えている。補助熱交換器(194)は、矩形の枠体に形成された取付板(129)に嵌め込まれている。つまり、第1室(145)の内部は、補助熱交換器(194)および取付板(129)によって空気の上流側と下流側とに仕切られている。尚、本実施形態1の補助熱交換器(194)はクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されているが、これに限定される必要はなく、例えば、プレート型の熱交換器やシェル・アンド・チューブ熱交換器で構成されていもよい。
【0037】
図2に示すように、上記第1室(145)では、取付板(129)および補助熱交換器(194)の空気の下流側には、レヒート冷媒配管(7)、第2電動弁(195)、バイパス管(197)、および第1電動弁(198)が配置されている。
【0038】
上記第2室(146)には、天板(116)と上部仕切板(120)との間の下側寄りに外気通路カバー(162)が配置されている。外気通路カバー(162)は、第1開口(141)と第2流通口(132)とに両方連通する空間を形成するものである。外気通路カバー(162)は、第1開口(141)および第2流通口(132)と、第2開口(142)とを仕切るように第2室(146)に設けられている。
【0039】
また、第2室(146)内の第2流通口(132)には、内気フィルタ(155)が設けられている。内気フィルタ(155)は、室内吸込口(152)の下側に配設されている。内気フィルタ(155)は、板状、あるいはシート状に形成され、第2流通口(132)を覆うように取り付けられている。この内気フィルタ(155)は、第2室(146)において前後方向に進退自在に構成されている。
【0040】
上記第3室(147)には、天板(116)と上部仕切板(120)との間の下側寄りに排気通路カバー(163)が配置されている。排気通路カバー(163)は、第4開口(144)と第7流通口(137)との両方に連通する空間を形成するものである。排気通路カバー(163)は、第4開口(144)および第7流通口(137)と、第3開口(143)とを仕切るように第3室(147)に設けられている。
【0041】
また、第3室(147)には上記排気通路カバー(163)の上部に給気ファン(157)が設けられ、第4室(148)には排気ファン(158)が設けられている。これらのファン(157,158)は、それぞれ遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)で構成されている。給気ファン(157)は、第3開口(143)から誘引した空気を室内給気口(151)に向かって送風する。排気ファン(158)は、第7流通口(137)又は第8流通口(138)から誘引した空気を室外排気口(153)に向かって排気する。
【0042】
下部仕切板(121)と上部仕切板(120)との間には、直方体状の空間が区画されている。この空間には、前側仕切板(123)と後側仕切板(124)とが設けられている。前側仕切板(123)および後側仕切板(124)は、下部仕切板(121)から上部仕切板(120)に亘って形成され、ケーシング(111)の左右の側面板(113,114)と平行に鉛直な姿勢でケーシング(111)に支持されている。そして、前側仕切板(123)および後側仕切板(124)は、下部仕切板(121)および上部仕切板(120)の間の空間を3つの空間に仕切っている。
【0043】
上記前側仕切板(123)には、第3および第4流通口(133,134)が形成されている。第3流通口(133)は、前側仕切板(123)の下部の左側寄りに形成され、第2吸着熱交換器(175)に対応している。第4流通口(134)は、前側仕切板(123)の下部の右側寄りに形成され、第1吸着熱交換器(176)に対応している。
【0044】
上記後側仕切板(124)には、第5および第6流通口(135,136)が形成されている。第5流通口(135)は、前側仕切板(123)の下部の左側寄りに形成されている。第5流通口(135)は、第2吸着熱交換器(175)に対応している。第6流通口(136)は、前側仕切板(123)の下部の右側寄りに形成されている。第6流通口(136)は、第1吸着熱交換器(176)に対応している。
【0045】
上記3つの空間のうち、前側寄りの空間は第1中間通路(125)を構成している。第1中間通路(125)は、前側仕切板(123)とケーシング(111)の前面カバー(112)との間に形成されている。また、3つの空間のうち、後側寄りの空間は第2中間通路(126)を構成している。第2中間通路(126)は、後側仕切板(124)とケーシング(111)の背面板(115)との間に形成されている。
【0046】
上記第1中間通路(125)は、その上端が第2開口(142)と連通し、その下端が下部仕切板(121)によって閉塞されている。また、第2中間通路(126)は、その上端が第3開口(143)と連通し、その下端が下部仕切板(121)によって閉塞されている。
【0047】
上記3つの空間のうちの中央の空間は、中央仕切板(122)によって左右に区画されている。そして、左右の空間のうち、左側の空間が第1調湿室(127)を構成し、右側の空間が第2調湿室(128)を構成している。つまり、第1調湿室(127)と第2調湿室(128)とは、中央仕切板(122)を挟んで互いに隣り合うように左右に並んで形成されている。
【0048】
第1調湿室(127)には、第2吸着熱交換器(175)が収納され、第2調湿室(128)には、第1吸着熱交換器(176)が収納されている。各吸着熱交換器(175,176)は、それぞれの調湿室(127,128)において水平となる姿勢で配置されている。第2吸着熱交換器(175)および第1吸着熱交換器(176)は、後述する冷媒回路(170)に直列に接続されている。つまり、上記各吸着熱交換器(175,176)は、上記補助熱交換器(194)の空気の下流側に配置されている。
【0049】
上記各吸着熱交換器(175,176)は、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。これら吸着熱交換器(175,176)は、図8に示すように、銅製の伝熱管(177)とアルミニウム製のフィン(178)とを備えている。吸着熱交換器(175,176)に設けられた複数のフィン(178)は、それぞれが長方形状に形成され、一定の間隔で並べられている。また、伝熱管(177)は、フィン(178)の配列方向に蛇行する形状となっている。つまり、この伝熱管(177)では、各フィン(178)を貫通する直管部と、隣り合った直管部同士を接続するU字管部とが交互に構成されている。
【0050】
上記各吸着熱交換器(175,176)では、各フィン(178)の表面に吸着剤が担持されており、フィン(178)の間を通過する空気がフィン(178)に担持された吸着剤と接触する。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水分に対して所定の吸脱着性能を有するものが用いられている。
【0051】
尚、本実施形態1の吸着熱交換器(175,176)はクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されているが、これに限定される必要はなく、例えば、プレート型の熱交換器やシェル・アンド・チューブ熱交換器で構成されていもよい。
【0052】
上述したように、上部仕切板(120)には、第1、第2、第7および第8流通口(131,132,137,138)と、第1および第2開口(141,142)が形成されている。第1流通口(131)は、第1室(145)と第1調湿室(127)とを連通させ、第2流通口(132)は、第1開口(141)を介して第2調湿室(128)と第1室(145)とを連通させ、第7流通口(137)は、第4開口(144)を介して第2調湿室(128)と第4室(148)とを連通させ、第8流通口(138)は、第1調湿室(127)と第4室(148)とを連通させている。尚、上述したように、第1開口(141)は、第1室(145)と第2室(146)とを繋ぎ、第4開口(144)は、第3室(147)と第4室(148)とを繋いでいる。
【0053】
図3〜図7に示すように、前側仕切板(123)には、第3および第4流通口(133,134)が形成されている。第3流通口(133)は、第1中間通路(1125)と第1調湿室(1127)とを連通させ、第4流通口(134)は、第1中間通路(125)と第2調湿室(128)とを連通させている。
【0054】
また、後側仕切板(124)には、第5および第6流通口(135,136)が形成されている。第5流通口(135)は、第2中間通路(126)と第1調湿室(127)とを連通させ、第6流通口(136)は、第2中間通路(126)と第2調湿室(128)とを連通させている。
【0055】
上記上部仕切板(120)、前側仕切板(123)および後側仕切板(124)には、対応する流通口(131〜138)を開閉自在とするダンパが設けられている。具体的に、上部仕切板(120)には、第1流通口(131)を断続する第1ダンパ(D11)と、第2流通口(132)を断続する第2ダンパ(D12)と、第7流通口(137)を断続する第7ダンパ(D17)と、第8流通口(138)を断続する第8ダンパ(D18)とが設けられている。また、前側仕切板(123)には、第3流通口(133)を断続する第3ダンパ(D13)と、第4流通口(134)を断続する第4ダンパ(D14)が設けられている。さらに、後側仕切板(124)には、第5流通口(135)を断続する第5ダンパ(D15)と、第6流通口(136)を断続する第6ダンパ(D16)とが設けられている。
【0056】
各ダンパ(D11〜D18)は、例えば2枚のシャッタと、水平軸を支点として各シャッタを回転させるモータとを有している。即ち、各ダンパ(D11〜D18)では、モータの回転により2枚のシャッタが変位して対応する流通口(131〜138)を開放状態と閉鎖状態とに切り換わる。
【0057】
−冷媒回路の構成−
調湿装置(110)に搭載される冷媒回路(170)について図9を参照しながら説明する。冷媒回路(170)は、主回路(171)とバイパス回路(196)とで構成されている。
【0058】
上記主回路(171)は、第2吸着熱交換器(175)、第1吸着熱交換器(176)、圧縮機(172)、四路切換弁(173)、ブリッジ回路(188)、補助熱交換器(194)および第2電動弁(195)が互いに冷媒配管(185)によって接続された閉回路である。主回路(171)は、冷媒配管(185)の内部を冷媒が循環されることによって、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うものである。上記冷媒配管(185)のうち、補助熱交換器(194)と連通する冷媒配管(185)は、レヒート冷媒配管(7)に構成されている。レヒート冷媒配管(7)は、第1室(145)内において、補助熱交換器(194)の空気の下流側に配置されている。このため、室外空気が低温の場合であっても、レヒート冷媒配管(7)の周囲には、補助熱交換器(194)で予め加熱された空気が流れることになる。
【0059】
上記圧縮機(172)は、その吐出側が四路切換弁(173)の第1ポートに、その吸入側がアキュームレータ(179)を介して四路切換弁(173)の第2ポートにそれぞれ接続されている。圧縮機(172)の吐出側と上記第1ポートを繋ぐ高圧ライン(186)には、圧縮機(172)の吐出側の冷媒の温度を検知する吐出温度センサ(180)と、圧縮機(172)の吐出側の冷媒の圧力を検知する吐出圧力センサ(181)と、圧縮機(172)の吐出圧が所定圧力よりも高圧となった場合に圧縮機(172)の運転を自動停止させる高圧遮断スイッチ(182)とが設けられている。また、圧縮機(172)の吸入側と上記第2ポートを繋ぐ低圧ライン(187)には、サーミスタ(1101)と、圧縮機(172)の吸入側の冷媒の温度を検知する吸入温度センサ(183)と、圧縮機(172)の吸入側の冷媒の圧力を検知する吸入圧力センサ(184)とが設けられている。
【0060】
上記四路切換弁(173)は、第1のポートと第4のポートとが連通して第2のポートと第3のポートとが連通する第1状態と、第1のポートと第3のポートとが連通して第2のポートと第4のポートとが連通する第2状態とに切り換え可能となっている。
【0061】
また、第2吸着熱交換器(175)と、フィルタ(1100)と、ブリッジ回路(188)と、補助熱交換器(194)と、第2電動弁(195)と、ストレーナ(199)と、第1吸着熱交換器(176)とが四路切換弁(173)の第3ポートから第4ポートへ向かって順に接続されている。
【0062】
上記ブリッジ回路(188)は、四路切換弁(173)の切り換え状態(第1状態または第2状態)によって、可逆の何れの方向に循環する冷媒も第2電動弁(195)に対して同一方向に通過させるよう冷媒の流れを制御するものである。
【0063】
このブリッジ回路(188)は、第2吸着熱交換器(175)と第1吸着熱交換器(176)との間の液ラインに配置されている。ブリッジ回路(188)は、ブリッジ状に接続された第1から第4までの配管(189,190,191,192)と、各配管(189,190,191,192)にそれぞれ設けられた第1から第4までの逆止弁(189a,190a,191a,192a)と、第1配管(189)および第3配管(191)の流出側と第2配管(190)および第4配管(192)の流入側とを繋ぐ一方向通路(9)とで構成されている。この一方向通路(9)は、主回路(171)を流れる冷媒のうち、両吸着熱交換器(175,176)で凝縮された冷媒が一方向に流れる冷媒通路であって、冷媒配管(185)の一部である。
【0064】
第1配管(189)の流入側および第2配管(190)の流出側は、第1冷媒通路(6)を介して第1吸着熱交換器(176)と接続されている。一方、第3配管(191)の流入側および第4配管(192)の流出側は、第3冷媒通路(8)を介して第2吸着熱交換器(175)と接続されている。また、第2配管(190)および第4配管(192)の流入側は、補助熱交換器(194)の流出側に接続されている。一方、第1配管(189)および第3配管(191)の流出側は、補助熱交換器(194)の流入側に接続されている。
【0065】
上記補助熱交換器(194)は、冷媒配管(185)を流れる気液二相の冷媒を凝縮(放熱)させて過冷却させるためのものである。補助熱交換器(194)には、ブリッジ回路(188)から流出した冷媒が流入する一方、室外吸込口(150)から取り込んだ室外空気(OA)が通過する。つまり、補助熱交換器(194)は、両吸着熱交換器(175,176)を流出した気液二相の冷媒によって通過する室外空気を加熱するよう構成されている。
【0066】
上記第2電動弁(195)は、補助熱交換器(194)を流出した冷媒を膨張させる膨張弁を構成するものである。第2電動弁(195)は、補助熱交換器(194)の冷媒の下流側に設けられ、該補助熱交換器(194)を流出した冷媒を膨張させて減圧する。
【0067】
上記バイパス回路(196)は、各吸着熱交換器(175,176)を流出した冷媒が流れて補助熱交換器(194)および第2電動弁(195)をバイパスするものである。バイパス回路(196)は、第1電動弁(198)がバイパス管(197)によって接続された回路である。
【0068】
上記バイパス管(197)は、ブリッジ回路(188)の一方向通路(9)を流れる冷媒を流すものである。バイパス管(197)は、その内部を冷媒が循環する管状に形成され、その一端がブリッジ回路(188)の第1配管(189)および第3配管(191)の流出側と補助熱交換器(194)との間に接続される一方、その他端がブリッジ回路(188)の第2配管(190)および第4配管(192)の流入側と第2電動弁(195)との間に接続されている。上記バイパス管(197)は、その途中に第1電動弁(198)が接続されている。
【0069】
上記第1電動弁(198)は、バイパス回路(196)を循環する冷媒を膨張させる膨張弁を構成している。第1電動弁(198)は、バイパス管(197)の途中に設けられている。そして、バイパス管(197)を流れる冷媒は、第1電動弁(198)で膨張した後、第2配管(190)および第4配管(192)に流入する。
【0070】
−運転動作−
上記実施形態1の調湿装置(110)は、「除湿換気運転」と「加湿換気運転」とを選択的に行う。「除湿換気運転」と「加湿換気運転」では、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調整してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。以下には、これらの運転について詳細に説明する。
【0071】
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿装置(110)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
【0072】
除湿換気運転中の調湿装置(110)において、給気ファン(157)を運転すると、室外空気が室外吸込口(150)からケーシング(111)の内へ第1空気として取り込まれる。また、排気ファン(158)を運転すると、室内空気が室内吸込口(152)からケーシング(111)内へ第2空気として取り込まれる。尚、通常の運転では、第2電動弁(195)が閉状態に設定され、第1電動弁(198)が制御用の弁として使用される。
【0073】
先ず、除湿換気運転の第1動作について説明する。図4および図5に示すように、この第1動作中には、各ダンパ(D11〜D18)の状態が切り換わることで、第1流通口(131)、第4流通口(134)、第5流通口(135)、および第7流通口(137)が開状態となり、第2流通口(132)、第3流通口(133)、第6流通口(136)、および第8流通口(138)が閉状態となる。
【0074】
第1動作中の冷媒回路(170)では、図9に実線で示すように、四路切換弁(173)が第1状態に設定される。この状態の冷媒回路(170)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(170)では、圧縮機(172)から吐出された冷媒が第1吸着熱交換器(176)、ブリッジ回路(188)、バイパス管(197)、第1電動弁(198)、第2吸着熱交換器(175)の順に通過し、第1吸着熱交換器(176)が凝縮器となって、第2吸着熱交換器(175)が蒸発器となる。
【0075】
図4、図5、図10および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(156)を通過した空気は、室外吸込口(150)から第1室(145)へ流入する。外気フィルタ(156)では、第1空気中に含まれる塵埃が捕捉される。第1室(145)へ流入した第1空気は、第1流通口(131)を流れて第1調湿室(127)へ流入する。この第1空気は、第1調湿室(127)内を流れて第2吸着熱交換器(175)を通過する。第2吸着熱交換器(175)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(175)で除湿された第1空気は、第5流通口(135)から第2中間通路(126)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(126)を上右方に流れて第3開口(143)から第3室(147)内へ流入し、第3室(147)を流れて室内給気口(151)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0076】
一方、上記室内吸込口(152)から第2室(146)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(155)を通過する。内気フィルタ(155)では、第2空気中に含まれる塵埃が捕捉される。内気フィルタ(155)を通過した第2空気は、第2開口(142)から第1中間通路(125)に流れ、第4流通口(134)より第2調湿室(128)へ流入する。この第2空気は、第2調湿室(128)内を流れて第1吸着熱交換器(176)を通過する。第1吸着熱交換器(176)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気へ付与される。第1吸着熱交換器(176)の吸着剤の再生に利用された第2空気は、第7流通口(137)から第3室(147)内に流入し、第4開口(144)を通過して第4室(148)内に流入する。第2空気は、第4室(148)内を流れて室外排気口(153)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0077】
次に、除湿換気運転の第2動作について説明する。図6および図7に示すように、この第2動作中には、各ダンパ(D11〜D18)の状態が切り換わることで、第2流通口(132)、第3流通口(133)、第6流通口(136)、および第8流通口(138)が開状態となり、第1流通口(131)、第4流通口(134)、第5流通口(135)、および第7流通口(137)が閉状態となる。
【0078】
第2動作中の冷媒回路(170)では、図9に破線で示すように、四路切換弁(173)が第2状態に設定される。この状態の冷媒回路(170)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(170)では、圧縮機(172)から吐出された冷媒が第2吸着熱交換器(175)、ブリッジ回路(188)、バイパス管(197)、第1電動弁(198)、第1吸着熱交換器(176)の順に通過し、第2吸着熱交換器(175)が凝縮器となって、第1吸着熱交換器(176)が蒸発器となる。
【0079】
図6、図7、図10および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(156)を通過した空気は、室外吸込口(150)から第1室(145)へ流入する。外気フィルタ(156)では、第1空気中に含まれる塵埃が捕捉される。第1室(145)へ流入した第1空気は、第1開口(141)を通過して第2室(146)内へ流れ、第2流通口(132)を流れて第2調湿室(128)へ流入する。この第1空気は、第2調湿室(128)内を流れて第1吸着熱交換器(176)を通過する。第1吸着熱交換器(176)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(176)で除湿された第1空気は、第6流通口(136)から第2中間通路(126)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(126)を上方に流れて第3室(147)内へ流入し、第3室(147)を流れて室内給気口(151)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0080】
一方、上記室内吸込口(152)から第2室(146)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(155)を通過する。内気フィルタ(155)では、第2空気中に含まれる塵埃が捕捉される。内気フィルタ(155)を通過した第2空気は、第2開口(142)から第1中間通路(125)に流れ、第3流通口(133)より第1調湿室(127)へ流入する。この第2空気は、第1調湿室(127)内を流れて第2吸着熱交換器(175)を通過する。第2吸着熱交換器(175)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気へ付与される。第2吸着熱交換器(175)の吸着剤の再生に利用された第2空気は、第8流通口(138)から第4室(148)内に流入に流入する。第2空気は、第4室(148)内を流れて室外排気口(153)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0081】
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿装置(110)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
【0082】
加湿換気運転中の調湿装置(110)において、給気ファン(157)を運転すると、室外空気が室外吸込口(150)からケーシング(111)の内へ第1空気として取り込まれる。また、排気ファン(158)を運転すると、室内空気が室内吸込口(152)からケーシング(111)内へ第2空気として取り込まれる。尚、通常の運転では、第2電動弁(195)が制御用の弁として使用され、第1電動弁(198)が閉状態に設定される。
【0083】
先ず、加湿換気運転の第1動作について説明する。図4および図5に示すように、この第1動作中には、各ダンパ(D11〜D18)の状態が切り換わることで、第1流通口(131)、第4流通口(134)、第5流通口(135)、および第7流通口(137)が開状態となり、第2流通口(132)、第3流通口(133)、第6流通口(136)、および第8流通口(138)が閉状態となる。また、第1動作中の冷媒回路(170)では、第2吸着熱交換器(175)が凝縮器となって、第1吸着熱交換器(176)が蒸発器となる。
【0084】
図4、図5、図10、および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(156)を通過した空気は、室外吸込口(150)から第1室(145)へ流入する。第1室(145)へ流入した第1空気は、第1流通口(131)を流れて第1調湿室(127)へ流入する。この第1空気は、第1調湿室(127)内を流れて第2吸着熱交換器(175)を通過する。第2吸着熱交換器(175)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第1空気に付与される。第2吸着熱交換器(175)で加湿された第1空気は、第5流通口(135)から第2中間通路(126)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(126)を上右方に流れて第3開口(143)から第3室(147)内へ流入し、第3室(147)を流れて室内給気口(151)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0085】
一方、上記室内吸込口(152)から第2室(146)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(155)を通過し、第2開口(142)から第1中間通路(125)に流れ、第4流通口(134)より第2調湿室(128)へ流入する。この第2空気は、第2調湿室(128)内を流れて第1吸着熱交換器(176)を通過する。第1吸着熱交換器(176)では、第2空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(176)で除湿された第2空気は、第7流通口(137)から第3室(147)内に流入し、第4開口(144)を通過して第4室(148)内に流入する。第2空気は、第4室(148)内を流れて室外排気口(153)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0086】
次に、加湿換気運転の第2動作について説明する。図6および図7に示すように、この第2動作中には、各ダンパ(D11〜D18)の状態が切り換わることで、第2流通口(132)、第3流通口(133)、第6流通口(136)、および第8流通口(138)が開状態となり、第1流通口(131)、第4流通口(134)、第5流通口(135)、および第7流通口(137)が閉状態となる。また、第2動作中の冷媒回路(170)では、第2吸着熱交換器(175)が蒸発器となって、第1吸着熱交換器(176)が凝縮器となる。
【0087】
図6、図7、図10、および図11に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(156)を通過した空気は、室外吸込口(150)から第1室(145)へ流入する。第1室(145)へ流入した第1空気は、第1開口(141)を通過して第2室(146)内へ流れ、第2流通口(132)を流れて第2調湿室(128)へ流入する。この第1空気は、第2調湿室(128)内を流れて第1吸着熱交換器(176)を通過する。第1吸着熱交換器(176)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第1空気に付与される。第1吸着熱交換器(176)で加湿された第1空気は、第6流通口(136)から第2中間通路(126)へ流出する。第1空気は、第1中間通路(125)を上方に流れて第3室(147)内へ流入し、第3室(147)を流れて室内給気口(151)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
【0088】
一方、上記室内吸込口(152)から第2室(146)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(155)を通過し、第2開口(142)から第1中間通路(125)に流れ、第3流通口(133)より第1調湿室(127)へ流入する。この第2空気は、第1調湿室(127)内を流れて第2吸着熱交換器(175)を通過する。第2吸着熱交換器(175)では、第2空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸着される。第2吸着熱交換器(175)で除湿された第2空気は、第8流通口(138)から第4室(148)内に流入に流入する。第2空気は、第4室(148)内を流れて室外排気口(153)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
【0089】
〈冬季、又は室外温度が低温の場合の運転動作〉
次に、冬季、又は室外温度が低温となった場合における除湿換気運転、又は加湿換気運転について説明する。冬季で外気温度の低い(例えば氷点下5℃以下)環境では、コントローラ等により、第2電動弁(195)が開状態に設定され、第1電動弁(198)が閉状態に設定される。
【0090】
まず、図9の実線で示すように、第1状態における冷媒回路(170)について説明する。この状態の冷媒回路(170)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(170)では、圧縮機(172)から吐出された冷媒が、第1吸着熱交換器(176)に流れ、周囲の空気との間で熱交換が行われる。そして、第1吸着熱交換器(176)を流出した冷媒は、ブリッジ回路(188)を経て補助熱交換器(194)に流入する。補助熱交換器(194)では、室外吸込口(150)から第1室(145)内に吸い込まれた空気と、第1吸着熱交換器(176)を流出した気液二相の冷媒との間で熱交換が行われる。そして、第1室(145)内に取り込まれた室外空気が加熱される。補助熱交換器(194)を流出した冷媒は、第2電動弁(195)、ブリッジ回路(188)、第2吸着熱交換器(175)の順に通過し、第2吸着熱交換器(175)において蒸発する。
【0091】
次に、図9の破線で示すように、第2状態における冷媒回路(170)について説明する。この状態の冷媒回路(170)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。この際、冷媒回路(170)では、圧縮機(172)から吐出された冷媒が第2吸着熱交換器(175)に流れ、周囲の空気との間で熱交換が行われる。そして、第1吸着熱交換器(176)を流出した冷媒は、ブリッジ回路(188)を経て補助熱交換器(194)に流入する。補助熱交換器(194)では、室外吸込口(150)から第1室(145)内に吸い込まれた空気と、第1吸着熱交換器(176)を流出した気液二相の冷媒との間で熱交換が行われる。そして、第1室(145)内に取り込まれた室外空気が加熱される。補助熱交換器(194)を流出した冷媒は、第2電動弁(195)、ブリッジ回路(188)、第1吸着熱交換器(176)の順に通過し、第1吸着熱交換器(176)において蒸発する。
【0092】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、レヒート冷媒配管(7)を補助熱交換器(194)の空気の下流側に配置したため、レヒート冷媒配管(7)の周囲を流れる空気温度を上げることができる。このため、レヒート冷媒配管(7)の周囲の空気への放熱量を抑えることができる。これにより、冷媒配管(185)から補助熱交換器(194)へ流入する冷媒温度の低下を抑えることができる。この結果、取り込まれる室外空気を予備加熱する補助熱交換器(194)を備えた調湿装置において、補助熱交換器(194)での予備加熱性能の低下を抑制することができる。
【0093】
また、各吸着熱交換器(175,176)で凝縮した冷媒を補助熱交換器(194)に流入させるようにしたため、凝縮後の気液二相の冷媒によって室外吸込口(150)から取り込まれた空気を加熱することができ、顕熱能力も向上させることができる。
【0094】
さらに、補助熱交換器(194)を取付板(129)の下側に取り付け、この取付板(129)に開口部(130)を設けたため、補助熱交換器(194)に繋がる冷媒配管(185)を補助熱交換器(194)の空気の下流側に配置することができる。
【0095】
最後に、冷媒回路(170)を流れる冷媒が補助熱交換器(194)をバイパスするバイパス回路(196)を設けたため、例えば室外温度が高い場合などにおいて補助熱交換器(194)によって室外吸込口(150)から吸い込まれた空気が加熱されるのを防止することができる。
【0096】
また、上記実施形態1によれば、四路切換弁(173)とブリッジ回路(188)によって上記冷媒回路(170)に係る冷媒流れがどちらに切り換わった場合でも、常に上記補助熱交換器(194)が放熱器となり、低温度の室外空気を補助熱交換器(194)で加熱した後で吸着熱交換器(176,175)へ導入することができる。これにより、吸着熱交換器(176,175)のドレン水が凍結する等の不具合がなくなって、室外空気が低温度の場合でも、調湿装置の運転を良好に行うことができる。
【0097】
また、上記実施形態1によれば、上記冷媒回路(170)にバイパス管(197)を設けることにより、このバイパス管(197)を通じて、補助熱交換器(194)へ向かう冷媒の少なくとも一部を迂回させることができる。これにより、例えば室外空気の温度が高い場合に、無駄に室外空気を加熱されるのを防ぐことができる。
【0098】
また、上記実施形態1によれば、上記第1電動弁及び上記第2電動弁(198,195)が、冷凍サイクルに係る冷媒の膨張動作と、上記補助熱交換器(194)に係る冷媒のバイパス量の調整動作との両方を兼ねる。これにより、冷媒の膨張動作に係るものとバイパス量の調整動作に係るものの2つの弁を設ける必要がなく、調湿装置の部品点数が削減され、調湿装置の低コスト化を図ることができる。
【0099】
また、上記実施形態1によれば、第1電動弁(198)を全閉にし、第2電動弁(195)を適宜調整する(例えば、上記圧縮機(172)へ吸入される冷媒の過熱度が所定値となるように調整する)ことにより、上記冷媒回路(170)が冷凍サイクルを行いながら、上記補助熱交換器(194)で室外空気を加熱する。
【0100】
また、第2電動弁(195)を全閉にし、第1電動弁(198)を適宜調整することにより、上記補助熱交換器(194)で室外空気を加熱することなく、上記冷媒回路(170)に冷凍サイクルを行わせることが可能となる。このとき、第2電動弁(195)を全閉にすると、上記補助熱交換器(194)に冷媒が溜まる場合がある。この場合には、第2電動弁(195)を僅かに開くことで、上記補助熱交換器(194)内を冷媒が僅かに流通する状態にして、上記補助熱交換器(35,194)に冷媒が溜まるのを防ぐことが可能となる。
【0101】
また、上記実施形態1によれば、上記バイパス管(197)が上記第1冷媒通路(6)と上記第3冷媒通路(8)とを接続する場合に比べて、上記逆止弁ブリッジ回路(188)をバイパスしない分だけ、冷媒の溜まり込む量を少なくすることができる。これにより、冷媒がバイパス管(197)を通過するバイパス運転のとき、冷媒の溜まり込みによる冷媒不足が生じにくくなり、上記バイパス運転を安定して行わせることができる。
【0102】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2に係る調湿装置(10)は、室内の床面に設置されて室内の湿度調節を行う床置き型の調湿装置である。調湿装置(10)は、例えば衣服等が収納されるクローゼットの収納空間等に設置される。
【0103】
調湿装置(10)の構成について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における「上」「下」「右」「左」「前」「後」の各方向を表す記載は、原則として、図13に示す調湿装置(10)を前面側から視た場合を基準とする。また、図15及び図16は、調湿装置(10)を模式的に表したものであり、図15(A)は調湿装置(10)の上面を、図15(B)は調湿装置(10)の前側の内部構造を、図15(C)は調湿装置(10)の左側の内部構造を、図15(D)は調湿装置の右側の内部構造をそれぞれ表している。また、図16(A)は、図15(A)の調湿装置の内部構造をY−Y断面から視たものであり、図16(B)は、図16(A)の調湿装置の内部構造をZ−Z断面から視たものである。
【0104】
〈ケーシング構造〉
図13に示すように、調湿装置(10)は、縦長の直方体形の箱形のケーシング(11)を備えている。ケーシング(11)は、矩形板状の底板(12)及び天板(13)と、底板(12)及び天板(13)のそれぞれの四辺に対応する4枚の矩形板状のパネル(14,15,16,17)とを備えている。これらのパネル(14,15,16,17)は、前面側の前面パネル(14)と、後面側の後面パネル(15)と、右側の右側面パネル(16)と、左側の左側面パネル(17)とで構成される。ケーシング(11)では、底板(12)、天板(13)、後面パネル(15)、右側面パネル(16)、及び左側面パネル(17)が、前側に開放面を形成したケーシング本体(11a)を構成する。前面パネル(14)は、ビス等の締結部材を介してケーシング本体(11a)に対して着脱自在に構成される。また、ケーシング(11)は、後面パネル(15)が室内の壁の付近に設置される。
【0105】
前面パネル(14)は、ケーシング(11)の下部空間(S1)を覆う下部パネル(14a)と、ケーシング(11)の上部空間(S3)を覆う上部パネル(14b)と、ケーシング(11)の中間空間(S2)を覆う中間パネル(14c)とによって構成される。更に、下部パネル(14a)の左下側の隅部には、フィルタメンテナンスパネル(14d)が設けられる。前面パネル(14)では、これらのパネル(14a,14b,14c,14d)が、それぞれ個別に取り外し可能に構成される。
【0106】
天板(13)には、4つのダクト接続口(18)が取り付けられている。具体的に、天板(13)では、前側右寄りに給気接続口(18a)が設けられ、後側右寄りに排気接続口(18b)が設けられ、後側左寄りに外気接続口(18c)が設けられ、前側左寄りに内気接続口(18d)が設けられる。給気接続口(18a)及び内気接続口(18d)は、それぞれダクトを介して室内空間と連通し、排気接続口(18b)及び外気接続口(18c)は、それぞれダクトを介して室外空間と連通する。つまり、調湿装置(10)では、室内空間と繋がる給気接続口(18a)及び内気接続口(18d)が、ケーシング(11)の前側に集約して配置され、室外空間と繋がる排気接続口(18b)及び外気接続口(18c)が、ケーシング(11)の後側に集約して配置される。外気接続口(18c)には室外空気(OA)が吸い込まれ、内気接続口(18d)には、室内空気(RA)が吸い込まれる。給気接続口(18a)からは、室内へ供給空気(SA)が吹き出され、排気接続口(18b)からは、室外へ排出空気(EA)が吹き出される。
【0107】
〈フレーム構造〉
図14に示すように、ケーシング(11)の内部には、底板(12)の四隅に対応する4本の縦フレーム(支柱部材)(21)が設けられる。これらの縦フレーム(21)は、前側右寄りの第1縦フレーム(21a)と、後側右寄りの第2縦フレーム(21b)と、後側左寄りの第3縦フレーム(21c)と、前側左寄りの第4縦フレーム(21d)とで構成される。各縦フレーム(21)は、ケーシング(11)の高さ方向の中間部よりもやや上側寄りまで垂直に延びている。つまり、ケーシング(11)の内部では、天板(13)から各縦フレーム(21)の上端までの間に底板(12)と直に連結する縦フレームが設けられてない。
【0108】
各縦フレーム(21)の上部には、水平方向に延びる4本の横フレーム(22)(梁部材)が架橋される。これらの横フレーム(22)は、第1縦フレーム(21a)と第2縦フレーム(21b)との間の第1横フレーム(22a)と、第2縦フレーム(21b)と第3縦フレーム(21c)との間の第2横フレーム(22b)と、第3縦フレーム(21c)と第4縦フレーム(21d)との間の第3横フレーム(22c)と、第4縦フレーム(21d)と第1縦フレーム(21a)との間の第4横フレーム(22d)とで構成される。第2、第3、第4横フレーム(22b,22c,22d)は、対応する各縦フレーム(21)の上端部に連結される。これに対し、第1横フレーム(22a)は、第1及び第2縦フレーム(21a,21b)の上端よりもやや低い部位に連結される。
【0109】
横フレーム(22)の下側には、水平に延びる3本の中間フレーム(23)が設けられる。これらの中間フレーム(23)は、第1横フレーム(22a)の下側に形成される第1中間フレーム(23a)と、第2横フレーム(22b)の下側に形成される第2中間フレーム(23b)と、第3横フレーム(22c)の下側に形成される第3中間フレーム(23c)とで構成される。
【0110】
縦フレーム(21)、横フレーム(22)、及び中間フレーム(23)は、調湿装置(10)の構成部品のうち比較的重量が大きな重量物(詳細は後述するダンパ仕切板(45,48)や吸着熱交換器(33))の荷重が作用して、これらを支持する支持部材を構成している。
【0111】
〈ケーシングの内部空間〉
図14に示すように、ケーシング(11)の内部は、下部パネル(14a)の背面側に形成される下部空間(S1)と、中間パネル(14c)の背面側に形成される中間空間(S2)と、上部パネル(14b)の背面側に形成される上部空間(S3)とに大別できる。
【0112】
〈下部空間の構成部品〉
図17及び図18に示すように、下部空間(S1)には、左側面パネル(17)に沿うように下部区画部材(41)が設置される。下部区画部材(41)は、ポリスチレン等の樹脂材料で構成され、上側及び下側が開放された枠状に形成される。下部区画部材(41)は、下部空間(S1)を左右に仕切る下部仕切部(41a)と、第3縦フレーム(21c)に近接して配置される横断面が略矩形状の小径筒部(41b)と、第4縦フレーム(21d)に近接して配置される横断面が略矩形状の大径筒部(41c)とを有している。小径筒部(41b)の内部には、外気流入路(61)が区画される。大径筒部(41c)の内部には、レヒート室(63)が区画される。外気流入路(61)とレヒート室(63)とは、連通口(62)を介して互いに連通する(図18を参照)。
【0113】
レヒート室(63)には、下部区画部材(41)と一体に形成された上側支持板(41d)が設けられる。上側支持板(41d)は、大径筒部(41c)の左側の内壁に連続し、底板(12)と平行となるように水平な状態で支持される。レヒート室(63)では、上側支持板(41d)の下側に連通口(62)に連続する下部外気流路(63a)が形成され、上側支持板(41d)の上側に下部外気流路(63a)に連続する上部外気流路(63b)が形成される(図15(B)及び図18を参照)。つまり、レヒート室(63)では、下部外気流路(63a)の流入側から上部外気流路(63b)の流出側に亘って、縦断面が略コの字状(Uの字状)の空気流路が形成される。
【0114】
図18等に示すように、下部外気流路(63a)には、上流側から下流側に向かって順に、虫取りフィルタ(26)、プリーツフィルタ(27)、及びレヒートユニット(28)が設けられる。
【0115】
虫取りフィルタ(26)は、室外空気中の虫や比較的大きな埃等を捕捉する網状の部材である。プリーツフィルタ(27)は、虫取りフィルタ(26)よりも細かい目を有する空気清浄用のフィルタであり、室外空気中の比較的小さな塵埃を捕捉する。下部区画部材(41)には、上述したフィルタメンテナンスパネル(14d)の背面側にメンテナンス蓋(41e)が設けられる(図17を参照)。メンテナンス蓋(41e)は、虫取りフィルタ(26)及びプリーツフィルタ(27)のメンテナンス口を開閉自在に構成される。即ち、フィルタメンテナンスパネル(14d)を取り外し、次いでメンテナンス蓋(41e)を開放すると、虫取りフィルタ(26)やプリーツフィルタ(27)の前端部がケーシング本体(11a)の外部へ露出される。
【0116】
レヒートユニット(28)は、枠体(29)と、該枠体(29)の内部に固定されるレヒート熱交換器(35)とを有している。枠体(29)は、一対のサイドステー(29a)と、内壁が斜め下方を向くように一対のサイドステー(29a)に狭持される枠体本体(29b)とを有している。枠体本体(29b)には、斜めに傾斜した開口面(29c)が形成され、この開口面(29c)に沿ってレヒート熱交換器(35)が保持される。レヒート熱交換器(35)は、冷媒によって室外空気を加熱する加熱熱交換器を構成する。
【0117】
図17に示すように、下部空間(S1)では、その右側の略半分(下部区画部材(41)の外側)に機械室(60)が区画される。機械室(60)では、前面パネル(14)の背面側に電装品箱(90)が設置される。電装品箱(90)には、圧縮機(31)のモータの電源供給回路のプリント基板や、このプリント基板上の回路に電気的に接続するリアクトル等の電装品が収容される。また、機械室(60)には、電装品箱(90)の背面側に圧縮機(31)や四方切換弁(32)が設置される。つまり、前面パネル(14)の下部パネル(14a)を取り外すと、電装品箱(90)がケーシング本体(11a)の外部に露出される。更に電装品箱(90)を外部へ取り出すと、圧縮機(31)や四方切換弁(32)がケーシング本体(11a)の外部へ露出される。
【0118】
〈中間空間〉
中間空間(S2)には、下側から上側に向かって順に、第1中間区画部材(43)、第2中間区画部材(44)、第3中間区画部材(47)が設けられる。これらの中間区画部材(43,44,47)は、いずれも一体に成型されたポリスチレン等の樹脂部材である。
【0119】
図19に示すように、第1中間区画部材(43)は、機械室(60)の上側開放部を閉塞している。第1中間区画部材(43)の上面には、矩形状に突設された枠部(43a)と、該枠部(43a)の左右外方に形成される一対の凹溝(43c,43c)とが形成される。枠部(43a)は、第1中間区画部材(43)の前後に亘って形成される。枠部(43a)の内側には、調湿室(66a,66b)で発生した凝縮水を受けるための受水部(43b)が形成される。受水部(43b)は、第1中間区画部材(43)の前後に亘って形成される。受水部(43b)の底面は、水平面よりもやや斜め上方を向くように傾斜している。つまり、受水部(43b)に溜まった水は、傾斜した底面に沿って前方へと導かれる。凹溝(43c,43c)は、枠部(43a)の左右の側壁に沿って前後方向に延びている。
【0120】
図20に示すように、第2中間区画部材(44)は、第1中間フレーム(23a)と第2中間フレーム(23b)とに支持されながら、第1中間区画部材(43)の上側に所定の間隔を置いて配置される。第2中間区画部材(44)には、第1中間区画部材(43)の各凹溝(43c,43c)に対応する位置に、前後方向に延びる凹溝(44a,44a)が形成される。
【0121】
一方、図19に示すように、第1中間区画部材(43)と第2中間区画部材(44)との間には、2枚の下側ダンパ仕切板(45)と、1枚の横仕切板(46)とが形成される。2枚の下側ダンパ仕切板(45)及び1枚の横仕切板(46)は、各々の板厚方向が水平となるような、縦置きの配置となっている。2枚の下側ダンパ仕切板(45)は、外気ダンパ仕切板(45a)と排気ダンパ仕切板(45b)とで構成される。
【0122】
外気ダンパ仕切板(45a)は、その下端部が第1中間区画部材(43)の左側の凹溝(43c)に嵌り込み、その上端部が第2中間区画部材(44)の左側の凹溝(44a)に嵌り込んでいる。排気ダンパ仕切部材(45b)は、その下端部が第1中間区画部材(43)の右側の凹溝(43c)に嵌り込み、その上端部が第2中間区画部材(44)の左側の凹溝(44a)に嵌り込んでいる。下側ダンパ仕切板(45)の前端部は、前面パネル(14)の背面側に位置している。つまり、前面パネル(14)を取り外すと、下側ダンパ仕切板(45)の前端部がケーシング本体(11a)の外部へ露出される。前面パネル(14)を取り外した状態では、下側ダンパ仕切板(45)が、各凹溝(43c,44a)に沿って前後に引き出し可能となる。
【0123】
図15、図19、図20に示すように、外気ダンパ仕切板(45a)の左側には、レヒート室(63)と連通する中間外気流路(64)が前後に延びて形成される。外気ダンパ仕切板(45a)には、前寄りに第1ダンパ(D1)が、後寄りに第2ダンパ(D2)が設けられる。排気ダンパ仕切板(45b)の右側には、中間排気流路(65)が前後に延びて形成される。排気ダンパ仕切板(45b)には、前寄りに第3ダンパ(D3)が、後寄りに第4ダンパ(D4)が設けられる。
【0124】
図19や図21に示すように、外気ダンパ仕切板(45a)と排気ダンパ仕切板(45b)の間の空間は、横仕切板(46)によって前後に2つの調湿室(66)に仕切られている。これらの調湿室(66)は、前寄りの空間が第1調湿室(66a)を、後寄りの空間が第2調湿室(66b)を構成する。第1調湿室(66a)は、第1ダンパ(D1)及び第3ダンパ(D3)に対応する位置に形成され、第2調湿室(66b)は、第2ダンパ(D2)及び第4ダンパ(D4)に対応する位置に形成される。第1調湿室(66a)及び第2調湿室(66b)は、第2中間区画部材(44)の内部に亘って形成される。
【0125】
図21に示すように、2つの吸着熱交換器(33)は、第1調湿室(66a)に収容される第1吸着熱交換器(33a)と、第2調湿室(66b)に収容される第2吸着熱交換器(33b)とで構成される。吸着熱交換器(33)は、クロスフィン型のフィンアンドチューブ式の熱交換器本体(34)の表面に吸着剤が担持されて構成される。
【0126】
吸着熱交換器(33)の熱交換器本体(34)は、銅製の伝熱管(34a)と、アルミニウム製の多数のフィン(34b)とを有している。伝熱管(34a)は、直管部とU字部とが交互に連続して蛇行状に形成される。フィン(34b)は、縦長の板状に形成され、その厚さ方向に伝熱管(34a)の直管部が貫通している。つまり、多数のフィン(34b)は、伝熱管(34a)の直管部の軸方向に沿って平行に配列される。
【0127】
吸着剤は、多数のフィン(34b)及び伝熱管(34a)の表面に担持されている。吸着剤は、多数のフィン(34b)及び伝熱管(34a)の表面に担持されている。吸着剤と空気との界面では、空気中の水分が吸着剤へ吸着されるか、又は吸着された水分が空気中へ脱離する(吸着剤が再生される)。吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料等が用いられる。また、吸着剤としては、水分を吸着するだけで機能だけなく、水分を吸収する機能を有する材料(いわゆる収着剤)を用いてもよい。
【0128】
吸着熱交換器(33)は、フィン(34b)の短辺側が垂直となり、且つ伝熱管(34a)のU字部が左右両側に位置するように、収容室(67)に保持される。
【0129】
図20に示すように、第3中間区画部材(47)は、第2中間区画部材(44)の上側に積層されている。第3中間区画部材(47)の上面には、左右に幅広の一対の幅広溝(47a,47a)が形成される。これらの幅広溝(47a)には、一対の上側ダンパ仕切板(48)が厚さ方向に嵌合している。これらの上側ダンパ仕切板(48)は、各々の板厚方向が垂直となるような、横置きの配置となっている。上側ダンパ仕切板(48)の前端部は、前面パネル(14)の背面側に位置している。つまり、前面パネル(14)を取り外すと、上側ダンパ仕切板(48)の前端部がケーシング本体(11a)の外部へ露出される。前面パネル(14)を取り外した状態では、上側ダンパ仕切板(48)が、各幅広溝(47a)に沿って前後に引き出し可能となる。
【0130】
一対の上側ダンパ仕切板(48)は、左寄りの内気ダンパ仕切板(48a)と、右寄りの給気ダンパ仕切板(48b)とで構成される。内気ダンパ仕切板(48a)には、前寄りに第5ダンパ(D5)が、後方寄りに第6ダンパ(D6)が設けられる。給気ダンパ仕切板(48b)には、前寄りに第7ダンパ(D7)が設けられ、後寄りに第8ダンパ(D8)が設けられる。第5ダンパ(D5)及び第7ダンパ(D7)は、第1調湿室(66a)に対応する位置に形成され、第6ダンパ(D6)及び第8ダンパ(D8)は、第2調湿室(66b)に対応する位置に形成される。
【0131】
第2中間区画部材(44)及び第3中間区画部材(47)の右後側の隅部には、前後に延びる横長の貫通穴がそれぞれ形成され、これらの貫通穴が連続して排気連絡流路(68)を構成する。
【0132】
中間空間(S2)の左後側の隅部には、第1上部区画部材(51)の外気ダクト部(53)が上下に延びている(図20及び図22を参照)。外気ダクト部(53)の下端は、下部区画部材(41)の大径筒部(41c)に連続する。また、中間空間(S2)には、第1調湿室(66a)の前側にスペーサ部材(24)が設けられる。スペーサ部材(24)は、第1中間区画部材(43)と第1中間フレーム(23a)との間に所定の間隔を確保するように、両者の間に介設される。
【0133】
〈上部空間〉
図22に示すように、上部空間(S3)には、第1上部区画部材(51)、第2上部区画部材(54)、及び第3上部区画部材(80)が設けられる。これらの区画部材(51,54,80)は、いずれも一体に成型されたポリスチレン製の樹脂材料である。上部空間(S3)では、これらの区画部材(51,54,80)によって、4つの上部室(19)が区画される。これらの上部室(19)は、前側右寄りの室内給気室(19a)と、後側右寄りの室外排気室(19b)と、後側左寄りの外気吸込室(19c)と、前側左寄りの内気吸込室(19d)とで構成される。室内給気室(19a)は給気接続口(18a)と連通し、室外排気室(19b)は排気接続口(18b)と連通し、外気吸込室(19c)は外気接続口(18c)と連通し、内気吸込室(19d)は内気接続口(18d)と連通する。室内給気室(19a)には、給気ファンユニット(84)が設けられ、室外排気室(19b)には、排気ファンユニット(87)が設けられる。
【0134】
第1上部区画部材(51)は、上部空間(S3)の左寄りに設けられる。第1上部区画部材(51)は、左側面パネル(17)に沿ってケーシング(11)の前後両端に亘って形成される左側壁部(52)と、第3縦フレーム(21c)に沿って上下に延びる筒状の外気ダクト部(53)とを有している。外気ダクト部(53)は、上部空間(S3)に配置されて内部に外気吸込室(19c)を区画する大径ダクト部(53a)と、大径ダクト部(53a)の下端から連続するように中間空間(S2)に配置され、大径ダクト部(53a)よりも小径に形成される小径ダクト部(53b)とを有している。
【0135】
上部空間(S3)では、大径ダクト部(53a)の内部に外気吸込室(19c)が形成され、大径ダクト部(53a)の外方前側に内気吸込室(19d)が形成される。また、上部空間(S3)では、大径ダクト部(53a)の外方下側から前面パネル(14)に亘って上部内気流路(69)が区画される。上部内気流路(69)の上端は、内気吸込室(19d)と連通している。また、上部内気流路(69)には、内気ダンパ仕切板(48a)の第5ダンパ(D5)及び第7ダンパ(D7)が臨んでいる。小径ダクト部(53b)の内部には、外気流入路(61)に繋がるダクト内流路(71)が形成される(図15(B)を参照)。
【0136】
第2上部区画部材(54)は、ケーシング(11)の右側面パネル(16)に沿ってケーシング(11)の前後両端に亘って形成される右側壁部(55)と、上部空間(S3)を左右に仕切る中央仕切部(56)と、右側壁部(55)及び中央仕切部(56)の各後端部に連続する後側壁部(57)とを有している。
【0137】
右側壁部(55)の内側には、台座部(55a)形成されている。台座部(55a)は、縦断面がLの字状に形成され、後側壁部(57)から前面パネル(14)側に亘って前後に延びている。台座部(55a)の上端面には、各ファンユニット(84,87)及び第3上部区画部材(80)が前後に案内自在に設置される、第1設置面(55c)が形成される。
【0138】
右側壁部(55)の前後方向の中間部には、上下に延びる柱状の第1当接部(55b)が形成される。第1当接部(55b)には、その前端に第3上部区画部材(80)の後端部が当接する。また、第1当接部(55b)には、第3上部区画部材(80)に対する当接面にシール材(図示省略)が形成される。
【0139】
中央仕切部(56)は、垂直な第1縦壁(56a)と、該第1縦壁(56a)の下端から水平に屈曲した横壁(56b)と、該横壁(56b)の右端から垂直に屈曲した第2縦壁(56c)とを有する。中央仕切部(56)の上端面には、各ファンユニット(84,87)及び第3上部区画部材(80)が前後に案内自在に設置される、第2設置面(56d)が形成される。
【0140】
中央仕切部(56)は、前後に並ぶ外気吸込室(19c)及び内気吸込室(19d)と、前後に並ぶ室外排気室(19b)及び室内給気室(19a)とを、左右に仕切るように、ケーシング(11)の前後に延びる主仕切部を構成している。中央仕切部(56)は、ケーシング(11)に沿った右側壁部(55)及び後側壁部(57)と一体に成型されているため、他の部材と独立して中央仕切部(56)だけを取り外すことはできない。
【0141】
中央仕切部(56)の前後方向の中間部には、上下に延びる柱状の第2当接部(56e)が形成される。第2当接部(56e)には、その前端に第3上部区画部材(80)の後端部が当接する。また、第2当接部(56e)には、第3上部区画部材(80)に対する当接面にシール材(図示省略)が形成される。
【0142】
第2上部区画部材(54)では、右側壁部(55)と後側壁部(57)との間の隅部と、中央仕切部(56)と後側壁部(57)との間の隅部に、それぞれ挿通部(58)が形成される。各挿通部(58)には、それぞれ補強リブ(75)が挿通される。各補強リブ(75)の上端は、ケーシング(11)の天板(13)に固定される。これらの補強リブ(75)は、排気ファンユニット(87)が固定されて支持される取付部材を構成している。
【0143】
第2上部区画部材(54)には、排気ファンユニット(87)の下側に横仕切部(59)が一体に形成される(図16(A)及び図17を参照)。上部空間(S3)では、この横仕切部(59)の上側に室外排気室(19b)が区画され、横仕切部(59)の下側から前面パネル(14)に亘って上部給気流路(70)が区画される。室外排気室(19b)は、図20に示す排気連絡流路(68)と連通している。上部給気流路(70)の上端は、室内給気室(19a)と連通している。また、上部給気流路(70)には、給気ダンパ仕切板(48b)の第6ダンパ(D6)及び第8ダンパ(D8)が臨んでいる。
【0144】
図17に示すように、横仕切部(59)の前縁上面には、左右に延びる柱状の第3当接部(59a)が形成される。第3当接部(59a)には、その前端に第3上部区画部材(80)の後端部が当接する。また、第3当接部(59a)には、第3上部区画部材(80)に対する当接面にシール材(図示省略)が形成される。
【0145】
図22に示すように、第3上部区画部材(80)は、第2上部区画部材(54)の右側壁部(55)に沿って形成される第1側板部(81)と、第2上部区画部材(54)の中央仕切部(56)に沿って形成される第2側板部(82)と、第1側板部(81)の後端部と第2側板部(82)の後端部に亘って形成される中間側板部(83)とを有している。つまり、第3上部区画部材(80)は、その横断面形状が、前側に開放部を有する略コの字状(Uの字状)に形成される。
【0146】
第3上部区画部材(80)は、各側板部(81,82)の下端が第2上部区画部材(54)の各設置面(55c,56d)にそれぞれ設置され、且つ中間側板部(83)の左右両端部が第2上部区画部材(54)の各当接部(55b,56e,59a)に当接するように配置される。このように第3上部区画部材(80)を配置すると、右側壁部(55)と中央仕切部(56)との間の空間が、前後に2つの空間(即ち、室内給気室(19a)及び室外排気室(19b))に仕切られる。第3上部区画部材(80)は、室内給気室(19a)及び室外排気室(19b)を前後に仕切るようにケーシング(11)に着脱自在に取り付けられる給排気仕切部を構成している。
【0147】
給気ファンユニット(84)は、給気ファン(85)と、この給気ファン(85)を支持するための給気側取付板(86)とによって構成される。給気ファン(85)は、遠心側の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。給気側取付板(86)は、給気ファン(85)のモータが取り付けられる本体部(86a)と、本体部(86a)の左右側方に形成される側板部(86b)と、本体部(86a)の上側に形成される上板部(86c)とで構成される。給気側取付板(86)の各側板部(86b)は、第2上部区画部材(54)の各設置面(55c,56d)に設置される。また、給気側取付板(86)のうち右側の側板部(86b)と上板部(86c)とは、上述した前面パネル(14)(図13を参照)にビス等の締結部材を介して固定される。
【0148】
排気ファンユニット(87)は、排気ファン(88)と、この排気ファン(88)を支持するための排気側取付板(89)とによって構成される。排気ファン(88)は、遠心側の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。排気側取付板(89)は、排気ファン(88)のモータが取り付けられる本体部(89a)と、該本体部(89a)の左右側方に形成される側板部(89b)とで構成される。排気側取付板(89)の各側板部(89b)は、第2上部区画部材(54)の各設置面(55c,56d)に設置される。また、これらの側板部(89b)は、上述した補強リブ(75)を介して天板(13)に固定される。
【0149】
〈冷媒回路の構成〉
調湿装置(10)は、上述した圧縮機(31)や吸着熱交換器(33)が接続される冷媒回路(30)を備えている。この冷媒回路(30)の構成について、図23を参照しながら説明する。
【0150】
冷媒回路(30)は、冷媒配管が接続された閉回路であり、内部に冷媒が充填される。冷媒回路(30)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(30)には、圧縮機(31)と、四方切換弁(32)と、第1吸着熱交換器(33a)と、第2吸着熱交換器(33b)とが接続されている。
【0151】
圧縮機(31)は、いわゆるインバータ制御によって容量(運転周波数)が可変に構成されている。つまり、圧縮機(31)のモータは、供給される交流電力の出力周波数(運転周波数)に応じて回転数が調節可能に構成される。
【0152】
四方切換弁(32)は、第1から第4までのポートを有し、これらのポートの連通状態を切換可能に構成される。四方切換弁(32)の第1ポートは、圧縮機(31)の吐出管(31a)に接続し、四方切換弁(32)の第3ポートは、圧縮機(31)の吸入管(31b)に接続している。四方切換弁(32)の第2ポートは、第1吸着熱交換器(33a)の一端部に接続し、四方切換弁(32)の第4ポートは、第2吸着熱交換器(33b)の一端部に接続している。四方切換弁(32)は、第1ポートと第4ポートとを連通させて第2ポートと第3ポートとを連通させる状態(図23の実線で示す第1状態)と、第1ポートと第2ポートとを連通させて第3ポートと第4ポートとを連通させる状態(図23の破線で示す第2状態)とに切換可能に構成される。即ち、四方切換弁(32)は、第2吸着熱交換器(33b)で冷媒が放熱して第1吸着熱交換器(33a)で冷媒が蒸発する流路と、第1吸着熱交換器(33a)で冷媒が放熱して第2吸着熱交換器(33b)で冷媒が蒸発する流路とに、冷媒回路(30)の流路を切り換える冷媒流路切換機構を構成する。
【0153】
冷媒回路(30)には、四方切換弁(32)の状態が切り換わっても、冷媒の流れを一方向のままとする一方向回路(36)が設けられる。この一方向回路(36)には、第1から第4の逆止弁(CV-1,CV-2,CV-3,CV-4)がブリッジ状に接続されたブリッジ回路(36a)を有している。ブリッジ回路(36a)の各逆止弁(CV-1,CV-2,CV-3,CV-4)は、図23の矢印の方向の冷媒の流れを許容し、これとは逆方向の冷媒の流れを禁止する。
【0154】
上記第1逆止弁(CV-1)と上記第2逆止弁(CV-2)との間から延びる第1冷媒通路(6)が第1吸着熱交換器(33a)の他端部に接続され、上記第1逆止弁(CV-1)と上記第3逆止弁(CV-3)との間から延びる第2冷媒通路(7)が上記レヒート熱交換器(35)の一端に接続され、上記第3逆止弁(CV-3)と上記第4逆止弁(CV-4)との間から延びる第3冷媒通路(8)が第2吸着熱交換器(33b)の他端部に接続され、上記第4逆止弁(CV-4)と上記第2逆止弁(CV-2)との間から延びる第4冷媒通路(9)がレヒート側膨張弁(38)を経てレヒート熱交換器(35)の他端に接続される。尚、第2冷媒通路(7)は、上記レヒート熱交換器(35)を通過する空気の下流側に配置されている。
【0155】
また、冷媒回路(30)には、上記2冷媒通路(7)と第4冷媒通路(9)とを接続するバイパス配管(36b)が設けられている。このバイパス配管(36b)に主膨張弁(37)が取り付けられている。主膨張弁(37)及びレヒート側膨張弁(38)は、開度が可変な電動式の流量調節弁であり、例えば電子膨張弁で構成される。
【0156】
〈制御部及びセンサ〉
図23に示すように、調湿装置(10)は、コントローラ(100)と、各種のセンサを備えている。コントローラ(100)は、運転条件や各センサの検出値に応じて、圧縮機(31)の運転容量や各膨張弁(37,38)の開度を調節する。また、コントローラ(100)は、運転条件に応じて、各ダンパ(D1〜D8)の開閉状態や、各ファン(85,88)の運転風量を調節する。
【0157】
図15(B)に模式的に示すように、本実施形態2の調湿装置(10)は、内気湿度センサ(111)と、外気湿度センサ(113)と、第1外気温度センサ(114)と、第2外気温度センサ(115)とを備えている。
【0158】
内気湿度センサ(111)は、上部内気流路(69)に配置されている。内気湿度センサ(111)は、内気吸込室(19d)に取り込まれた室内空気(RA)の湿度(相対湿度)を検出する。
【0159】
外気湿度センサ(113)及び第1外気温度センサ(114)は、下部外気流路(63a)において、フィルタ(26,27)とレヒート熱交換器(35)の間に配置される。外気湿度センサ(113)は、レヒート熱交換器(35)の上流側の室外空気(OA)の湿度(相対湿度)を検出し、第1外気温度センサ(114)は、レヒート熱交換器(35)の上流側の室外空気(OA)の温度を検出する。第2外気温度センサ(115)は、下部外気流路(63a)において、レヒート熱交換器(35)の下流側に配置される。第2外気温度センサ(115)は、レヒート熱交換器(35)の下流側の室外空気(OA)の温度を検出する。
【0160】
本実施形態2のコントローラ(100)では、これらのセンサ(111,113,114,115)の検出値に基づいて、調湿装置(10)の必要な調湿能力(除湿運転時の除湿負荷や加湿運転時の加湿負荷)が求められる。コントローラ(100)は、この調湿能力を満たすように圧縮機(31)の運転容量(即ち、冷媒回路(30)の冷媒循環量)を制御する。
【0161】
−運転動作−
次いで、調湿装置(10)の運転動作について図面を参照しながら順に説明する。この調湿装置(10)は、室内を除湿する除湿運転と、室内を加湿する加湿運転とが切り換えて実行される。
【0162】
〈除湿運転〉
除湿運転は、夏季等において室外の温度と湿度とが比較的高い条件下で実行される。この除湿運転では、室外空気(OA)が除湿され、除湿された空気が室内へ供給空気(SA)として供給される。同時に、除湿運転では、室内空気(RA)が排出空気(EA)として室外へ排出される。この除湿運転では、第1動作と第2動作とが所定の間隔置きに交互に実行され、室内が連続的に除湿される。
【0163】
除湿運転の第1動作において、図23に示す冷媒回路(30)では、四方切換弁(32)が第1状態に設定され、レヒート側膨張弁(38)がほぼ全閉に近い状態に、主膨張弁(37)が所定の開度で開放される。圧縮機(31)が運転されると、圧縮機(31)で圧縮された冷媒が第2吸着熱交換器(33b)で放熱し、ブリッジ回路(36a)を通過して、バイパス配管(36b)を流れる。バイパス配管(36b)では、冷媒が主膨張弁(37)によって減圧される。主膨張弁(37)で減圧された冷媒は、ブリッジ回路(36a)を通過し、第1吸着熱交換器(33a)で蒸発し、圧縮機(31)に吸入される。
【0164】
除湿運転の第2動作において、図23に示す冷媒回路(30)では、四方切換弁(32)が第2状態に設定され、レヒート側膨張弁(38)がほぼ全閉に近い状態となり、主膨張弁(37)が所定の開度で開放される。圧縮機(31)が運転されると、圧縮機(31)で圧縮された冷媒が第1吸着熱交換器(33a)で放熱し、ブリッジ回路(36a)を通過して、バイパス配管(36b)を流れる。バイパス配管(36b)では、冷媒が主膨張弁(37)によって減圧される。主膨張弁(37)で減圧された冷媒は、ブリッジ回路(36a)を通過し、第2吸着熱交換器(33b)で蒸発し、圧縮機(31)に吸入される。
【0165】
以上のように、調湿装置(10)の除湿運転では、原則として、レヒート熱交換器(35)に冷媒が供給されない。つまり、除湿運転では、レヒート熱交換器(35)が停止状態となる。
【0166】
除湿運転の第1動作では、図24及び図25に示すように、第1ダンパ(D1)、第4ダンパ(D4)、第6ダンパ(D6)、及び第7ダンパ(D7)が開放状態となり、第2ダンパ(D2)、第3ダンパ(D3)、第5ダンパ(D5)、及び第8ダンパ(D8)が閉鎖状態となり、給気ファン(85)及び排気ファン(88)が運転される。なお、図24〜図27においては、ハッチングを付したダンパが閉状態を、白抜きのダンパが開状態を表している。また、図24〜図27において、白抜きの矢印は、室外から室内へ供給される空気(室外空気(OA)ないし供給空気(SA)を表し、黒抜きの矢印は、室内から室外へ排出される空気(室内空気(RA)ないし排出空気(EA))を表している。
【0167】
除湿運転の第1動作において、ダクトを経由して外気吸込室(19c)に取り込まれた室外空気(OA)は、ダクト内流路(71)、外気流入路(61)を順に流れて、下部外気流路(63a)へ流入する。この空気は、虫取りフィルタ(26)及びプリーツフィルタ(27)を順に流れて清浄化された後、レヒート熱交換器(35)を通過する。除湿運転では、上述のようにレヒート熱交換器(35)が停止状態である。このため、レヒート熱交換器(35)では、空気が加熱されることがない。
【0168】
レヒート熱交換器(35)を通過した空気は、上部外気流路(63b)、中間外気流路(64)、第1ダンパ(D1)を順に流れ、第1吸着熱交換器(33a)を通過する。蒸発器の状態の第1吸着熱交換器(33a)では、空気中の水蒸気が吸着剤に吸着される。この際に生じた吸着熱は、冷媒の蒸発熱に利用される。第1吸着熱交換器(33a)で吸着されて除湿された空気は、第7ダンパ(D7)、上部給気流路(70)、室内給気室(19a)を順に流れ、ダクトを経由して室内空間へ供給空気(SA)として供給される。
【0169】
除湿運転の第1動作において、室内側のダクトを経由して内気吸込室(19d)に取り込まれた室内空気(RA)は、上部内気流路(69)、第6ダンパ(D6)を順に流れ、第2吸着熱交換器(33b)を通過する。放熱器の状態の第2吸着熱交換器(33b)では、吸着剤から空気中へ水蒸気が脱離し、吸着剤が再生される。第2吸着熱交換器(33b)の吸着剤の再生に利用された空気は、第4ダンパ(D4)、中間排気流路(65)、排気連絡流路(68)、室外排気室(19b)を順に流れ、ダクトを経由して室外空間へ排出空気(EA)として排出される。
【0170】
除湿運転の第2動作では、図26及び図27に示すように、第2ダンパ(D2)、第3ダンパ(D3)、第5ダンパ(D5)、及び第8ダンパ(D8)が開放状態となり、第1ダンパ(D1)、第4ダンパ(D4)、第6ダンパ(D6)、及び第7ダンパ(D7)が閉鎖状態となり、給気ファン(85)及び排気ファン(88)が運転される。
【0171】
除湿運転の第2動作において、ダクトを経由して外気吸込室(19c)に取り込まれた室外空気(OA)は、ダクト内流路(71)、外気流入路(61)を順に流れて、下部外気流路(63a)へ流入する。この空気は、虫取りフィルタ(26)及びプリーツフィルタ(27)を順に流れて清浄化された後、レヒート熱交換器(35)を通過する。除湿運転では、上述のようにレヒート熱交換器(35)が停止状態である。このため、レヒート熱交換器(35)では、空気が加熱されることがない。
【0172】
レヒート熱交換器(35)を通過した空気は、上部外気流路(63b)、中間外気流路(64)、第2ダンパ(D2)を順に流れ、第2吸着熱交換器(33b)を通過する。蒸発器の状態の第2吸着熱交換器(33b)では、空気中の水蒸気が吸着剤に吸着される。この際に生じた吸着熱は、冷媒の蒸発熱に利用される。第2吸着熱交換器(33b)で吸着されて除湿された空気は、第8ダンパ(D8)、上部給気流路(70)、室内給気室(19a)を順に流れ、ダクトを経由して室内空間へ供給空気(SA)として供給される。
【0173】
除湿運転の第2動作において、室内側のダクトを経由して内気吸込室(19d)に取り込まれた室内空気(RA)は、上部内気流路(69)、第5ダンパ(D5)を順に流れ、第1吸着熱交換器(33a)を通過する。放熱器の状態の第1吸着熱交換器(33a)では、吸着剤から空気中へ水蒸気が脱離し、吸着剤が再生される。第1吸着熱交換器(33a)の吸着剤の再生に利用された空気は、第3ダンパ(D3)を通過し、中間排気流路(65)、排気連絡流路(68)、室外排気室(19b)を順に流れ、ダクトを経由して室外空間へ排出空気(EA)として排出される。
【0174】
〈加湿運転〉
加湿運転は、冬季等において室外の温度と湿度とが比較的低い条件下で実行される。この加湿運転では、室外空気(OA)が加湿され、加湿された空気が室内へ供給空気(SA)として供給される。同時に、加湿運転では、室内空気(RA)が排出空気(EA)として室外へ排出される。この加湿運転では、第1動作と第2動作とが所定の間隔置きに交互に実行され、室内が連続的に加湿される。
【0175】
加湿運転の第1動作において、図23に示す冷媒回路(30)では、四方切換弁(32)が第2状態に設定され、主膨張弁(37)が閉状態となり、レヒート側膨張弁(38)が所定の開度で開放される。圧縮機(31)が運転されると、圧縮機(31)で圧縮された冷媒が第1吸着熱交換器(33a)で放熱し、ブリッジ回路(36a)を通過して、気液二相状態の高圧冷媒が、レヒート熱交換器(35)を流れ、この冷媒が空気(室外空気(OA))へ放熱する。レヒート熱交換器(35)で放熱した冷媒は、レヒート側膨張弁(38)によって減圧される。レヒート側膨張弁(38)で減圧された冷媒は、ブリッジ回路(36a)を通過し、第2吸着熱交換器(33b)で蒸発し、圧縮機(31)に吸入される。
【0176】
加湿運転の第2動作において、図23に示す冷媒回路(30)では、四方切換弁(32)が第1状態に設定され、主膨張弁(37)が閉状態となり、レヒート側膨張弁(38)が所定の開度で開放される。圧縮機(31)が運転されると、圧縮機(31)で圧縮された冷媒が第2吸着熱交換器(33b)で放熱し、ブリッジ回路(36a)を通過して、気液二相状態の高圧冷媒が、レヒート熱交換器(35)を流れ、この冷媒が空気(室外空気(OA))へ放熱する。レヒート熱交換器(35)で放熱した冷媒は、レヒート側膨張弁(38)によって減圧される。レヒート側膨張弁(38)で減圧された冷媒は、ブリッジ回路(36a)を通過し、第1吸着熱交換器(33a)で蒸発し、圧縮機(31)に吸入される。
【0177】
以上のように、調湿装置(10)の加湿運転では、レヒート熱交換器(35)に冷媒が供給され、レヒート熱交換器(35)が運転される。このレヒート熱交換器(35)の加熱能力は、レヒート側膨張弁(38)の開度に応じて適宜調節される。また、この加湿運転において、室外空気(OA)の温度が所定温度よりも高くなると、レヒート側膨張弁(38)が全閉に近い状態となり、主膨張弁(37)が所定の開度で開放される。これにより、レヒート熱交換器(35)を停止しつつ、各吸着熱交換器(33a,33b)で空気を加湿できる。
【0178】
加湿運転の第1動作では、図24及び図25に示すように、第1ダンパ(D1)、第4ダンパ(D4)、第6ダンパ(D6)、及び第7ダンパ(D7)が開放状態となり、第2ダンパ(D2)、第3ダンパ(D3)、第5ダンパ(D5)、及び第8ダンパ(D8)が閉鎖状態となり、給気ファン(85)及び排気ファン(88)が運転される。
【0179】
加湿運転の第1動作において、ダクトを経由して外気吸込室(19c)に取り込まれた室外空気(OA)は、ダクト内流路(71)、外気流入路(61)を順に流れて、下部外気流路(63a)へ流入する。この空気は、虫取りフィルタ(26)及びプリーツフィルタ(27)を順に流れて清浄化された後、レヒート熱交換器(35)を通過する。加湿運転では、このレヒート熱交換器(35)に冷媒が適宜供給され、室外空気(OA)がレヒート熱交換器(35)によって加熱される。
【0180】
レヒート熱交換器(35)で加熱された空気は、上部外気流路(63b)、中間外気流路(64)、第1ダンパ(D1)を順に流れ、第1吸着熱交換器(33a)を通過する。放熱器の状態の第1吸着熱交換器(33a)では、吸着剤から空気中へ水蒸気が脱離し、この空気が加湿される。第1吸着熱交換器(33a)で加湿された空気は、第7ダンパ(D7)、上部給気流路(70)、室内給気室(19a)を順に流れ、ダクトを経由して室内空間へ供給空気(SA)として供給される。
【0181】
加湿運転の第1動作において、室内側のダクトを経由して内気吸込室(19d)に取り込まれた室内空気(RA)は、上部内気流路(69)、第6ダンパ(D6)を順に流れ、第2吸着熱交換器(33b)を通過する。蒸発器の状態の第2吸着熱交換器(33b)では、空気中の水蒸気が吸着剤に吸着され、この吸着剤に水分が付与される。第2吸着熱交換器(33b)の吸着剤に水分を付与した空気は、第4ダンパ(D4)、中間排気流路(65)、排気連絡流路(68)、室外排気室(19b)を順に流れ、ダクトを経由して室外空間へ排出空気(EA)として排出される。
【0182】
加湿運転の第2動作では、図26及び図27に示すように、第2ダンパ(D2)、第3ダンパ(D3)、第5ダンパ(D5)、及び第8ダンパ(D8)が開放状態となり、第1ダンパ(D1)、第4ダンパ(D4)、第6ダンパ(D6)、及び第7ダンパ(D7)が閉鎖状態となり、給気ファン(85)及び排気ファン(88)が運転される。
【0183】
加湿運転の第2動作において、ダクトを経由して外気吸込室(19c)に取り込まれた室外空気(OA)は、ダクト内流路(71)、外気流入路(61)を順に流れて、下部外気流路(63a)へ流入する。この空気は、虫取りフィルタ(26)及びプリーツフィルタ(27)を順に流れて清浄化された後、レヒート熱交換器(35)を通過する。加湿運転では、このレヒート熱交換器(35)に冷媒が適宜供給され、室外空気(OA)がレヒート熱交換器(35)によって加熱される。
【0184】
レヒート熱交換器(35)で加熱された空気は、上部外気流路(63b)、中間外気流路(64)、第2ダンパ(D2)を順に流れ、第2吸着熱交換器(33b)を通過する。放熱器の状態の第2吸着熱交換器(33b)では、吸着剤から空気中へ水蒸気が脱離し、この空気が加湿される。第2吸着熱交換器(33b)で加湿された空気は、第8ダンパ(D8)、上部給気流路(70)、室内給気室(19a)を順に流れ、ダクトを経由して室内空間へ供給空気(SA)として供給される。
【0185】
加湿運転の第2動作において、室内側のダクトを経由して内気吸込室(19d)に取り込まれた室内空気(RA)は、上部内気流路(69)、第5ダンパ(D5)を順に流れ、第1吸着熱交換器(33a)を通過する。蒸発器の状態の第1吸着熱交換器(33a)では、空気中の水蒸気が吸着剤に吸着され、この吸着剤に水分が付与される。第1吸着熱交換器(33a)の吸着剤に水分を付与した空気は、第3ダンパ(D3)、中間排気流路(65)、排気連絡流路(68)、室外排気室(19b)を順に流れ、ダクトを経由して室外空間へ排出空気(EA)として排出される。
【0186】
−実施形態2の効果−
実施形態2によれば、上記四方切換弁(32)と上記ブリッジ回路(36a)によって上記冷媒回路(30)に係る冷媒流れがどちらに切り換わった場合でも、常に上記レヒート熱交換器(35)が放熱器となり、低温度の室外空気をレヒート熱交換器(35)で加熱した後で吸着熱交換器(33a,33b)へ導入することができる。これにより、吸着熱交換器(33a,33b)のドレン水が凍結する等の不具合がなくなって、室外空気が低温度の場合でも、調湿装置の運転を良好に行うことができる。
【0187】
また、実施形態2によれば、上記冷媒回路(30)にバイパス配管(36b)を設けることにより、このバイパス配管(36b)を通じて、レヒート熱交換器(35)へ向かう冷媒の少なくとも一部を迂回させることができる。これにより、例えば室外空気の温度が高い場合に、無駄に室外空気を加熱されるのを防ぐことができる。
【0188】
また、実施形態2によれば、上記主膨張弁及び上記レヒート側膨張弁(37,38)が、冷凍サイクルに係る冷媒の膨張動作と、上記レヒート熱交換器(35)に係る冷媒のバイパス量の調整動作との両方を兼ねる。これにより、冷媒の膨張動作に係るものとバイパス量の調整動作に係るものの2つの弁を設ける必要がなく、調湿装置の部品点数が削減され、調湿装置の低コスト化を図ることができる。
【0189】
また、実施形態2によれば、上記バイパス配管(36b)が上記第1冷媒通路(6)と上記第3冷媒通路(8)とを接続する場合に比べて、上記逆止弁ブリッジ回路(36a)をバイパスしない分だけ、冷媒の溜まり込む量を少なくすることができる。これにより、冷媒がバイパス配管(36b)を通過するバイパス運転のとき、冷媒の溜まり込みによる冷媒不足が生じにくくなり、上記バイパス運転を安定して行わせることができる。
【0190】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0191】
上記実施形態1では、吸着剤としては、ゼオライトやシリカゲル等の主に水蒸気の吸着を行う材料と用いたが、本発明はこれに限られず、水蒸気の吸着と吸収の両方を行う材料(いわゆる収着剤)を用いてもよい。
【0192】
具体的には、本発明のその他の実施形態1の吸着剤は、吸湿性を有する有機高分子材料が吸着剤として用いられている。吸着剤として用いられる有機高分子材料では、分子中に親水性の極性基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋されており、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。
【0193】
本形態の吸着剤は、水蒸気を捕捉(即ち、吸湿)することによって膨潤する。この吸着剤が吸湿することによって膨潤するメカニズムは、以下のようなものと推測される。つまり、この吸着剤が吸湿する際には、親水性の極性基の周りに水蒸気が吸着され、親水性の極性基と水蒸気が反応することで生じた電気的な力が高分子主鎖に作用し、その結果、高分子主鎖が変形する。そして、変形した高分子主鎖同士の隙間へ水蒸気が毛細管力によって取り込まれ、水蒸気が入り込むことによって複数の高分子主鎖からなる三次元構造体が膨らみ、その結果、吸着剤の体積が増加する。
【0194】
このように、本実施形態1の吸着剤では、水蒸気が吸着剤に吸着される現象と、水蒸気が吸着剤に吸収される現象の両方が起こる。つまり、この吸着剤には、水蒸気が収着される。また、この収着剤に捕捉された水蒸気は、互いに架橋された複数の高分子主鎖からなる三次元構造体の表面だけでなく、その内部にまで入り込む。その結果、この吸着剤には、表面に水蒸気を吸着するだけのゼオライト等に比べ、多量の水蒸気が捕捉される。
【0195】
また、この吸着剤は、水蒸気を放出(即ち、放湿)することによって収縮する。つまり、この吸着剤が放湿する際には、高分子主鎖同士の隙間に捕捉された水の量が減少してゆき、複数の高分子主鎖で構成された三次元構造体の形状が元に戻ってゆくため、吸着剤の体積が減少する。
【0196】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0197】
以上説明したように、本発明は、調湿装置について有用である。
【符号の説明】
【0198】
111 ケーシング
129 取付板
130 管連通部
150 室外吸込口
151 室内給気口
170 冷媒回路
175 第1吸着熱交換器
176 第2吸着熱交換器
194 補助熱交換器
195 第1電動弁
196 バイパス回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(31,172)と、吸着剤を担持した第1吸着熱交換器(33a,176)及び第2吸着熱交換器(33b,175)と、補助熱交換器(35,194)と、膨張機構(37,38)(198,195)とが接続されて冷媒が循環することにより冷凍サイクルを行う冷媒回路(30,170)と、
上記補助熱交換器(35,194)を通過した室外空気を第1吸着熱交換器(33a,176)の吸着剤で調湿する第1状態と、上記補助熱交換器(35,194)を通過した室外空気を第2吸着熱交換器(33b,175)の吸着剤で調湿する第2状態とに切換可能な空気側の切換部(D1〜D4,D13〜D16)と、
上記冷媒回路(30,170)に接続されて、上記第1吸着熱交換器(33a,176)及び上記補助熱交換器(35,194)で冷媒を放熱させるとともに上記第2吸着熱交換器(33b,175)で冷媒を吸熱させる第1状態と、上記第2吸着熱交換器(33b,175)及び上記補助熱交換器(35,194)で冷媒を放熱させるとともに上記第1吸着熱交換器(33a,176)で冷媒を吸熱させる第2状態とに切換可能な冷媒側の切換部(32,36a)(173,188)と、
を備えていることを特徴とする調湿装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記冷媒回路(30,170)には、上記補助熱交換器(35,194)をバイパスするバイパス通路(36b,197)が設けられていることを特徴とする調湿装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記膨張機構(37,38)(198,195)は、上記バイパス通路(36b,197)を流通する冷媒を減圧する第1膨張弁(37,198)と、上記補助熱交換器(35,194)を通過した冷媒を減圧する第2膨張弁(38,195)とであることを特徴とする調湿装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記冷媒側の切換部(32,36a)(173,188)は、第1から第4の逆止弁(CV-1〜CV-4)(189a〜191a)を有する逆止弁ブリッジ回路(36a,188)を有し、
上記第1逆止弁(CV-1,189a)と上記第2逆止弁(CV-2,190a)との間から延びる第1冷媒通路(6)が第1吸着熱交換器(33a,176)の一端に接続され、上記第1逆止弁(CV-1,189a)と上記第3逆止弁(CV-3,191a)との間から延びる第2冷媒通路(7)が上記補助熱交換器(35,194)の一端に接続され、上記第3逆止弁(CV-3,191a)と上記第4逆止弁(CV-4,192a)との間から延びる第3冷媒通路(8)が第2吸着熱交換器(33b,175)の一端に接続され、上記第4逆止弁(CV-4,192a)と上記第2逆止弁(CV-2,190a)との間から延びる第4冷媒通路(9)が第2膨張弁(38,195)を経て補助熱交換器(35,194)の他端に接続される一方、
上記バイパス通路(36b,197)は、上記2冷媒通路(7)と第4冷媒通路(9)とを接続することを特徴とする調湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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