説明

調理装置

【課題】油槽の油をクリーンな状態に維持できて安定した食材の調理が可能で、また換気効率に優れた調理装置を提供する。
【解決手段】油槽2と、油槽2の油を加熱する電磁誘導による加熱手段15とを備えた調理装置である。油槽2内に浸漬されてその底壁に複数の油きり用孔部36を設けたバスケット30と、バスケット30に収納される揚げカス回収手段33とを備える。揚げカス回収手段33が収納された状態でのバスケット30の油槽2への出し入れを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レストラン等の厨房に設置されて食材の調理を行う調理装置に関し、特に食材(食品)を油で揚げて食品加工を行うフライヤーを備えた調理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に食品を油で揚げて食品加工を行うフライヤーは油槽を外からガスや電気ヒーターを熱源として加熱しているが、油の温度むらが生じ、部分的に高温になるので、食材を均一加工できず、また、油の熱酸化による劣化も早い問題点を有していた。
【0003】
そこで、近年では、このような問題点を解決するため、電磁誘導加熱を利用する電磁誘導式フライヤーが提案されている(特許文献1及び特許文献2等)。電磁誘導式フライヤーの加熱手段としては、例えば、鉄心に誘導コイルを巻設し、このコイル巻設体を油槽内の円筒管(円筒鉄)に挿入したものを使用する。
【0004】
すなわち、誘導コイルに電圧を印加することによって、誘導コイルが交番磁束を発生し、この誘導コイルと同心上に配設された円筒管は、電磁誘導輪を形成する。このため、円筒鉄の肉厚内に円周方向の短絡電流を誘起して円筒鉄が発熱体となって、自己発熱し、油槽内の油が加熱される。
【0005】
この場合、例えば、温度センサにて油の温度を検出して、この温度と、使用する食材に最適温度である設定温度とを比較して、誘導コイルに印加する電圧を制御して、最適温度に近づけるようにするのが好ましい。
【特許文献1】実開昭59−22635号公報
【特許文献2】特開平9−168484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、最適温度に近づけるように制御して、温度センサが配置された部位の温度が設定温度になったとしても、食材を揚げることによって、揚げカスが生じる。油表面に浮いている揚げカスは例えばお玉等にて掬い上げることができるが、油槽の底部に沈んでいる揚げカスは掬い上げることができない。このため、揚げカスを除去しようとすると、油を一旦油槽から排出させる必要があり、作業性に劣るものであった。
【0007】
通常、揚げものを提供する店においては、お客の注文を聞いてから揚げることになる。このため、注文を聞いた後直ぐに揚げる必要があるので、油槽の油を常時高温に加熱した状態に維持する必要がある。このように、高温に加熱した状態を長時間維持すれば、油の劣化進むことになる。すなわち、油が分解して生じた脂肪酸が揚げ種から溶け出した物資(例えば食塩や魚・肉の血液の成分)と化合して出来た老廃物等の揚げカスが増加して油の品質が劣化する。その結果、揚げ物の品質が低下し、揚げた状態にばらつきも生じる。また、油内に老廃物(揚げカス)が増加すると、熱の伝わり方が高まったり、揚げ物への油のしみ込みが増えたりする。このため、いわゆる「ベタベタ」とした仕上がりになって、おいしく食することができない。さらに油の劣化が進むと油自体が泡立ったり、油の表面から煙が出る場合もある。
【0008】
また、食材を揚げる場合、調理室(キッチン)乃至キッチンに連続した店舗(店)内に臭いが残らないように換気する必要があるので、フライヤーの上方に換気手段が設けられる。しかしながら、換気手段は、天井に付設される換気フード等にて構成される。このため、油槽とこの換気フードとの間は比較的大とされ、効率よく換気できず、店舗内に臭いが残りやすい。このため、臭いが店舗の壁や天井等に染み込んだりして客足が遠のく原因と一つとなっていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みて、油槽の油をクリーンな状態に維持できて安定した食材の調理が可能で、また換気効率に優れた調理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の調理装置は、油槽と、この油槽の油を加熱する電磁誘導による加熱手段とを有するプライヤーを備えた調理装置であって、油槽内に浸漬されてその底壁に複数の油きり用孔部を設けたバスケットと、このバスケットに収納される揚げカス回収手段とを備え、揚げカス回収手段が収納された状態での前記バスケットの油槽への出し入れを可能としたものである。
【0011】
本発明の調理装置によれば、バスケットを油槽内に浸漬して食材を揚げる等の調理を行った後、バスケットを油槽から出せば、揚げカス(揚げる時に副産物として生じるもの)が揚げカス回収手段にて回収された状態で、バスケットを引き上げることができる。揚げカスが油内に存在すると、前記したように油の劣化の原因となる。また、バスケットの底壁に油きり用孔部が設けられているので、バスケット内の油がこの油きり用孔部から抜け出る。
【0012】
揚げカス回収手段は、一対の網状体と、この網状体間に挟まれる油カス回収用フィールタとを備えたものが好ましい。この場合、揚げカス回収用フィールタが一対の網状体にて挟持されるので、フィールタが平面状を維持して安定して底壁に沿って配設される。また、揚げカス回収手段として、回収用フィールタと、この油カス回収用フィールタ上面側に配設される揚げカス拡散防止用シート状体とを備えたものであってもよい。
【0013】
前記油槽内の油の温度を検出する温度検出手段を備え、この温度検出手段は、浸漬部が油槽の油内に浸漬された状態での揺動が可能な攪拌棒と、この攪拌棒の浸漬部に付設される温度検出器とを有するものが好ましい。このように構成すれば、温度検出手段にて検出した油槽内の油の温度に基づいて、制御手段にて油槽内の油の温度を制御(調整)できる。また、検出手段は攪拌棒を有するので、この攪拌棒にて油槽の油を攪拌することができ、これによって、油槽の油の温度の均一化を図ることができる。すなわち、本発明の調理装置によれば、均一化された油槽の油温度を検出でき、この検出温度に基づいて油の温度を設定温度に近づけることができる。
【0014】
温度検出手段が、上部検出器と中部検出器と下部検出器とを有するものでは、油槽の上部と中部と下部との温度を検出することができ、油槽全体の油温度の温度分布状態を把握できる。
【0015】
前記攪拌棒は、油槽の上部において水平方向に延びる支持棒部と、この支持棒部から分岐して油内への浸漬が可能な前記浸漬部とを有し、前記支持棒部がその基部を中心に水平面内を揺動して、この支持棒部から垂下された状態で油内に浸漬している浸漬部による油の攪拌を可能とするのが好ましい。攪拌棒による攪拌は、手動にて行うことも、自動で行わせるようにしてもよい。
【0016】
また、攪拌棒は、浸漬部が油内に浸漬した攪拌可能状態と、油槽からの退避した退避状態との変位を可能とすることができる。浸漬部を攪拌可能状態とすれば、この浸漬部によって、油槽内の油を攪拌でき、浸漬部を退避状態とすれば、食材の出し入れを容易にできる。
【0017】
装置ケーシングに、操作用のパネルを設けることができ、この場合、この操作用のパネルに油槽の油の温度分布状態を示す温度分布表示部を有するものが好ましい。また、油の設定温度を表示する設定温度表示部と現在の油の温度を表示する油温度表示部とを有するのが好ましい。
【0018】
油槽の底壁の下面側に油保温手段を設けるのが好ましい。油保温手段を設けることによって、加熱手段による油の加熱を中断しても、油槽内の油の温度があまり低下しない。このため、再加熱して適温に達するまでの時間(ウォーミングアップ時間)の短縮を図ることができる。したがって、加熱手段による長時間の連続した加熱を行う必要が無くなって、油の劣化の進行を遅らせることができる。また、油保温手段は、油槽の底壁の下面側に配置される中空室と、この中空室に充填される液状保温材とを備えたもので構成することができる。
【0019】
油槽の上方に配置される換気扇を有する換気フードを備え、この換気フードと油槽とが一体ユニット化されたものが好ましい。換気フードにて換気することができ、しかも、換気フードと油槽とが一体ユニット化されているので、油槽の上方に比較的近接して配置することができる。また、ユニット化によって装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0020】
油劣化防止用の電磁場を生成する油劣化防止手段を設けたことものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の調理装置によれば、揚げカス回収手段を備えたバスケットを有するので、バスケットを油槽から出せば、揚げカスが揚げカス回収手段にて回収された状態で、バスケットを引き上げることができる。このため、揚げカスの除去作業(回収作業)の容易化を図ることできて、頻繁に揚げカスの回収作業を行うことができ、揚げカスに起因する油の劣化を防止できる。これに対して、従来では、店等が閉店した夜等に一回程度、油槽の下方から揚げカスを抜き取っていた。このため、揚げカスの除去作業の作業性が悪いとともに、揚げカスによる油の劣化が進行することになっていた。また、バスケット内の油がこの油きり用孔部から抜け出るので、バスケットを持ち上げる際には重くならず、しかも油を外部へ漏らしにくく、調理室(キッチン)を汚したり、油槽内の油の減少を防止できる。
【0022】
揚げカス回収用フィールタが一対の網状体にて挟持されるものでは、フィールタが平面状を維持して安定して底壁に沿って配設されるので、揚げカスの回収性に優れる。また、揚げカス回収用フィールタを簡単に交換できるので、このフィールタのいわゆる使い捨てが可能となって、揚げカス回収手段による揚げカス回収精度を維持できる。
【0023】
揚げカス回収用フィールタが揚げカス拡散防止用シート状体を備えたものであれば、油槽から引き上げる際に、揚げカス回収用フィールタにて回収された揚げカスをこのフィールタから逃がす(拡散する)ことを防止でき、揚げカスによる油の劣化を有効に防止できる。これに対して、揚げカス拡散防止用シート状体がなければ、油槽から引き上げる際に揚げカスがフィールタから逃げるおそれがあり、このように逃げれば、揚げカス回収手段の機能が損なわれることになり、揚げカス回収手段を配設することが無駄になる。
【0024】
浸漬部が油槽の油内に浸漬された状態での揺動が可能な攪拌棒を有する温度検出手段を備えたものでは、均一化された油槽の油温度を検出でき、この検出温度に基づいて油の温度を設定温度に近づけることができる。これによって、各種の食材を最適温度で調理することができ、食材に対して高品質の加工が可能となる。すなわち、低温加熱で揚げ物をいわゆる「カラット」揚げることができる。また、油の高温化を防止でき、油の酸化、劣化を抑えることができ、油消費量、廃油処理経費の経費削減が可能となる。さらには、火力を使用しないので、調理室(キッチン)をクリーンな状態に維持できるとともに、火災の心配も少ない。
【0025】
上部検出器と中部検出器と下部検出器とを備えたものでは、油槽の上部と中部と下部との温度を検出することができ、油槽全体の油温度の温度分布状態を把握できる。このため、油槽全体の油温度の均一化を高精度に行うことができ、高品質の加工が一層可能となる。
【0026】
前記攪拌棒は、支持棒部から垂下された状態で油内に浸漬している浸漬部による油の攪拌を可能とするものでは、油槽の油の攪拌を安定して確実に行うことができる。これによって、油槽内の油の温度均一化の精度向上を図ることができる。攪拌を手動にて行うようにしたものでは、作業者(調理人)が任意の時に油を攪拌することができ、調理作業の妨げにならない。また、攪拌を自動で行うようにすれば、作業者(調理人)の作業が減少して作業効率の向上を図ることができる。
【0027】
また、浸漬部を退避状態とできるものであれば、食材の出し入れを容易にでき、作業性の向上を図ることができる。
【0028】
装置ケーシングに操作用のパネルを設けることができ、これによって、作業者の操作性の向上を図ることができる。特に、操作用のパネルに油槽の油の温度分布状態を示す温度分布表示部を有するものでは、視覚的に温度分布を把握することができ、油槽内の油全体が適温になる以前に食材を投入するのを防止できる。これによって、熟練を要することなく、食材を高品質に調理(揚げる)ことができる。また、油の設定温度を表示する設定温度表示部と現在の油の温度を表示する油温度表示部とを有する場合、油の設定温度と現在の油の温度との差を視覚的に把握でき、投入時期までの時間を予測等できて、作業性の向上を図ることができる。
【0029】
油保温手段を設けることによって、加熱手段による油の加熱を中断しても、油槽内の油の温度を適温に加熱するまでの時間(ウォーミングアップ時間)の短縮を図ることができる。このため、加熱手段による長時間連続した加熱を行う必要が無くなって、油の劣化の進行を遅らせることができ、「カラッ」と揚げた状態の揚げ物をお客に提供することができる。しかも、ウォーミングアップ時間を短縮することによって、消費電力の低減を図ることができ、コスト低減を達成できる。また、油保温手段による保温効果で、油が劣化し難い温度の維持が可能となる。
【0030】
油保温手段として、油槽の底壁の下面側に配置される中空室と、この中空室に充填される液状保温材とを備えたもので構成でき、構成の簡略化及び低コスト化を図ることができる。しかも、液状保温材を用いるので、保温効果に優れる。
【0031】
換気フードと油槽とが一体ユニット化されたものでは、換気フードにて換気することができ、しかも、油槽の上方に比較的近接して配置することができるので、換気性に優れ、油の臭いも外部へ安定して排出することができる。このため、調理室(キッチン)は油煙及び臭いが少なく、快適空間に維持でき、作業者は快適に作業できる。しかも、キッチン乃至キッチンに連続した店舗(店)内に臭いが残りくい。このため、店舗の天井や壁等に臭いが染み込まず、客足が遠のくのを有効に回避することができる。
【0032】
また、ユニット化によって装置全体のコンパクト化を図ることができ、この装置の設置スペースが小さく、作業者の作業スペースを大きくとったり、キッチンに他の調理装置を配置したりすることができる。しかも意匠的に優れる利点もあり、この装置を既存のキッチンに配置してもこのキッチンの雰囲気を壊すことを回避することができる。
【0033】
油劣化防止用の電磁場を生成する油劣化防止手段を設けることによって、油槽2内にプラズマ状態を作り、油の酸化や過酸化脂質化を分解し還元を行い、油の劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下本発明の実施の形態を図1〜図15に基づいて説明する。
【0035】
図1に本発明に係る調理装置の簡略斜視図を示し、この調理装置は、装置ケーシング1と、この装置ケーシング1の上部に配置される油槽2と、この油槽2の上方に配置される換気フード3等を備え、これらが一体ユニット化されている。すなわち、この装置は、油槽2と、この油槽2内の油を加熱する加熱手段15(図2等参照)を有するプライヤーを備える。
【0036】
油槽2は、図2〜図4に示すように、装置ケーシング1の上方開口部に装着され、四角筒からなる周壁5と、この周壁5の下方開口部を塞ぐ底壁6とを備える。底壁6には図示省略の栓部材を介して塞がれる油排出路7が接続されている。底壁6は、下方側に凸状となるコーン状とされ、この最下部に前記油排出路7が接続(連結)されている。
【0037】
油槽2の下部には油保温手段8が設けられている。油保温手段8は、油槽2の底壁6の下面側に配置される中空室10と、この中空室10に充填される液状保温材11とを備える。すなわち、中空室10は、油槽2の周壁5及び底壁6に沿って配設され、その底壁最下部に液排出路12が接続されている。なお、この液排出路12には図示省略の栓部材が付設されている。
【0038】
液状保温材11としては、熱伝導率が小さい油、水等を使用することができる。また、中空室10の上部には、保温材注入口が設けられ、この保温材注入口は内部キャップ13(図13参照)にて塞がれる。
【0039】
また、油槽2には加熱手段15が配置される。加熱手段15は、例えば、鉄心に誘導コイルを巻設し、このコイル巻設体を油槽内の円筒管(円筒鉄)16に挿入したものを使用する。なお、加熱手段15の円筒管16は油槽2の底部に配設される。
【0040】
誘導コイルに電圧を印加することによって、誘導コイルが交番磁束を発生し、この誘導コイルと同心上に配設された円筒管は、電磁誘導輪を形成する。このため、円筒鉄の肉厚内に円周方向の短絡電流を誘起して円筒鉄が発熱体となって、自己発熱し、油槽内の油が加熱される。また、この加熱手段15の誘導コイルへの電圧の印加は、後述する制御手段19にて制御される。
【0041】
油槽2の油の温度は温度検出手段20にて検出することができる。この場合の温度検出手段20は、図5〜図7に示すように、攪拌棒21と、この攪拌棒21に付設される温度検出器26とを有する。攪拌棒21は、油槽1の上部において水平方向に延びる支持棒部23と、この支持棒部23から分岐して油内への浸漬が可能な一対の浸漬部24,24とを有し、支持棒部23がその基部を中心に水平面内を揺動する。すなわち、支持棒部23の基部には鉛直方向に延びる支柱棒部25が連設され、この支柱棒部24が装置ケーシング1の上面のコーナ部に挿入支持されている。
【0042】
支柱棒部25はその軸心廻りの回転が可能とされる。すなわち、装置ケーシング1の上面後方には、油煙吸引口18を有する立上り壁1aが設けられ、この立上り壁1aに沿って前記支持棒部23が平行に配置される平行状態と、この平行状態から図6や図8に示す矢印Aのように、支持棒部23が水平面内を約90°揺動した直交状態とに変位し、しかも、この平行状態と直交状態との間を自由に揺動する。すなわち、支持棒部23は、水平面内を矢印A、B方向に任意に揺動する。
【0043】
また、支持棒部23はその軸心廻りに回転(回動)し、これによって、図7に示すように、浸漬部24,24が水平方向に沿って配設される水平状態と、浸漬部24,24が鉛直方向に沿って配設される鉛直状態とに変位する。すなわち、浸漬部24,24は、鉛直面内を矢印C、Dのように揺動する。
【0044】
各浸漬部24,24には、上部検出器26(26a)と中部検出器26(26b)と下部検出器26(26c)が配置される。各検出器26は、例えば温度サミスタ等にて構成される。図9に示すように、各浸漬部24,24が鉛直方向に沿って配設されて油槽2の油内に浸漬された状態では、上部検出器26aが油槽2の上部の油の温度を検出し、中部検出器26bが油槽2の中部の油の温度を検出し、下部検出器26cが油槽2の下部の油の温度を検出することができる。
【0045】
しかも、図9等に示すように、各浸漬部24,24が鉛直方向に沿って配設された状態で、支持棒部23を図8の矢印A、Bのように揺動させたり、浸漬部24を矢印7の矢印C、Dのように揺動させたりすることによって、油槽2の油を攪拌することができる。この場合、攪拌棒21による攪拌は手動にて行うことになる。
【0046】
ところで、油槽2の油は加熱手段15にて下部において加熱される。しかしながら、対流によって、上部と中部と下部とで温度差が生じる。このため、攪拌棒21にて油槽2の油を攪拌すれば、このため、上部と中部と下部との温度差を無くすことができ、油槽2の油の温度を均一とすることができる。
【0047】
油槽2にはバスケット30が浸漬される。バスケット30は、図10に示すように、バスケット本体31と、この本体31に付設される一対の取手部32,32とを備え、揚げカス回収手段33が収容されている。バスケット本体31は、角筒状の周壁34と、この周壁34の下方開口部を塞ぐ底壁35とからなる。底壁35に複数の油きり用孔部36が設けられている。なお、油きり用孔部36は図例では長円形状であるが、このような長円形状に限るものではなく、円形、三角、矩形、5角形以上の多角形等の種々の形状のものを採用できる。また、数としても任意である。要は油槽2に浸漬されている状態からバスケット30を持ち上げた場合に、揚げカス回収手段33を介して油きり用孔部36から油が抜け出ればよい。
【0048】
バスケット本体31の周壁34は、その外形が油槽2の周壁5の外径より僅かに小さい程度とされ、その高さ寸法が油槽2の周壁5の高さ寸法と略同一に設定される。このため、図2と図3等に示すように、バスケット30を油槽2に収容することができる。また、取手部32は、バスケット本体31の上方開口部から上方に延びる鉛直部32aと、この鉛直部32aの上端縁から水平方向外方に延びる水平部32bとからなる。そして、取手部32は、バスケット本体31の周壁34の長辺部34a,34bにそれぞれ付設されている。バスケット本体31の周壁34のコーナ部34cはアール状に形成されている。
【0049】
このため、バスケット30を油槽2に収容した際には、取手部32が油槽2から上方へ突出し、この取手部32を作業者(調理者)が掴むことができる。取手部32を掴むことによって、バスケット30を油槽2から持ち上げることができる。
【0050】
揚げカス回収手段33は、一対の網状体37、38と、この網状体37、38間に挟まれる揚げカス回収用フィールタ39とを備える。網状体37、38は、矩形状の周囲枠37a、38aと、周囲枠37a、38a内に配置される網体37b、38bとからなる。なお、網状体37、38の外形は、バスケット30のバスケット本体31に対して出し入れできる最大寸法とされる。揚げカス回収用フィールタ39は、その外形が網状体37、38と略同一の大きさとされた市販の油こし紙を使用することができる。
【0051】
このため、揚げカス回収手段33を収納したバスケット30を油槽2内に浸漬すれば、揚げカス回収用フィールタ39は一対の網状体37、38にて挟まれているので、安定してバスケット30の底部に沈んだ状態にシート状を維持したまま保持される。そして、この状態からバスケット30を引き上げれば、揚げカスや食材等の一部が揚げカス回収用フィールタ39に付着した状態で受けられ、また、バスケット30内の油は、揚げカス回収用フィールタ39を介してバスケット本体30の油きり用孔部36から抜け出して油槽2内に残る。
【0052】
図11はこの調理装置の制御部のブロック図を示し、温度検出手段20にて検出された油の温度が制御手段19に入力され、この制御手段19にて、予め設定された設定温度と、検出温度とを比較して、温度差がある場合には、設定温度となるように加熱手段15を制御する。これによって、油の温度が設定温度に近づく。なお、制御手段19は、例えば、この装置内に収容されるマイクロコンピュータ等にて構成することができる。
【0053】
ところで、装置ケーシング1には、油槽2の下部に、各種の部品(作業用手袋、皿、食材等)を収容できる収納庫41が設けられ、前面に扉40が設けられている。また、油槽2の一方の側部(攪拌棒21の支柱棒部25と反対側)には、油きりプレート42が配置される受け枠体42aが設けられている。なお、この油きりプレート42は、油槽2側が下傾するように配置される。また、この受け枠体42aの下部には、前記収納庫41とは別の収納庫43(前面に扉44が設けられている)が配置されている。
【0054】
また、装置ケーシング1には、図12に示すような操作用のパネル45が配置されている。この場合のパネル45は、電源ボタン46と、油槽2の油の温度分布を表示する温度分布表示部47と、現在の油の温度を油温度表示部48と、油の設定温度を表示する設定温度表示部49と、設定温度を変更する変更ボタン50と、調理する食材に応じた最適温度を指定する指定ボタン51a、51b、51c、51d、51eと、指定スイッチ51a、51b、51c、51d、51eの選択モードに切り替える切り替えボタン52と、リセットボタン53とを備える。油温度表示部48は、現在の油の温度を表示する温度表示部48aと、設定温度までの時間を表示する時間表示部48bとを備える。
【0055】
ところで、パネル45の各ボタンの外周部には、図14に示すように、膨出部55が形成され、ボタン操作を行い易くしている。また、パネル45はメンブレム仕様であり、汚れても簡単に拭くことができるようにしている。なお、図1に示す調理装置では、装置ケーシング1の前面上部に膨出部63が形成され、この膨出部63の上端傾斜面63aに前記パネル45が配設されている。
【0056】
換気フード3は、装置ケーシング1の立ち上がり壁1aに連設されるフードケーシング55と、このフードケーシング55内に配置される図示省略の換気扇とを備える。フードケーシング55は、油槽2の上方位置において開口する下方開口部55aを有し、換気扇が駆動することによって、下方開口部55aから油煙がフードケーシング55に吸引される。また、立ち上がり壁1aには、前記したように油煙吸引口18が開設されているので、この油煙吸引口18からフードケーシング55に吸引される。なお、フードケーシング55は調理室(キッチン)の天井に配置される排気ダクトに接続され、フードケーシング55に吸引された油煙は、この排気ダクトを介して外部へ排出される。
【0057】
装置ケーシング1の底面56には脚部57が設けられている。これによって、設置面58と装置ケーシング1の底面56との間に隙間を設けている。この隙間を設けることによって、設置面58の清掃をし易くしている。なお、脚部57を高さ調整が可能なアジャスタにて構成するのが好ましい。高さ調整が可能なアジャスタを用いれば、設置面53に凹凸部がある場合や、設置面58が傾斜している場合にも、装置ケーシング1を、傾かせたり、がたつかせたりすることなく、設置することができる。また、装置ケーシング1、延いては油槽2の高さ調整ができる。
【0058】
次にこの調理装置の使用方法を説明する。まず、揚げカス回収手段33を収納したバスケット30を油槽2内に浸漬した状態で、電源ボタン46を押してこの装置をオン状態とする。そして、設定温度を設定する。すなわち、切り替えボタン52を押すことによって、指定ボタン51a、51b、51c、51d、51eの指定を可能として、設定する温度の指定ボタンを押す。これによって、設定温度表示部にその設定温度が表示される。この際、この設定温度を変更する場合、設定温度の調整を変更ボタン50を操作することによって行う。変更後は、再度切り替えボタン52を押すことによって、設定温度が決定して、設定温度表示部49に設定温度が表示される。
【0059】
また、温度検出手段20にて油の温度が検出され、その温度分布状態が温度分布表示部47に表示される。この場合、上部、中部、及び下部にそれぞれ3箇所の点灯部(LED)60a、60b、60c、61a、61b、61c、62a、62b、62cが設けられ、油槽2のこれらの対応する部位の温度が設定温度になれば、それぞれの点灯部が独立して点灯する。
【0060】
すなわち、図13(a)の状態、つまり、点灯部60a、60b、60c、61bが点灯し、点灯部61a、61c、62a、62b、62cが点灯していない状態では、点灯部60a、60b、60c、61bに対応する部位の油の温度は設定温度に達したが、点灯部61a、61c、62a、62b、62cに対応する部位の油の温度は設定温度に達していないことを示している。なお、図13(a)の状態は一例であって、この状態となるとは限らない。
【0061】
この際、攪拌棒21にて油槽2の油を攪拌することによって、油槽2の油の均一化を図ることができる。そして、全点灯部60a・・・が点灯すれば、油槽2の油が設定温度に達したことになる。この状態で、食材を油槽2に投入することによって、食材を調理する(揚げる)ことができる。なお、図2に示すフライかご70を油槽2に沈めておき、このフライかご70内に食材を投入すれば、調理後、このフライかご70を油槽2から引き上げれば、調理された食材を油槽2から引き上げることができる。また、油槽2から引き上げた食材は、一旦、油きりプレート42に載せられ、食材から十分に油を落とした後、皿等に盛り付けされる。
【0062】
調理終了後は、加熱手段15による油の加熱が停止され、バスケット30が油槽2から引き上げられる。これによって、バスケット30の揚げカス回収手段33にて揚げカス、食材の一部を回収することができ、油槽2の油のクリーン化を図ることができる。
【0063】
また、調理中等においては、換気フード3の換気扇を駆動させると、フードケーシング55の下方開口部55aおよび立ち上がり壁1aの油煙吸引口18からフードケーシング55に油煙が吸引される。
【0064】
本発明の調理装置によれば、揚げカス回収手段33を備えたバスケット30を有するので、バスケット30を油槽2から出せば、揚げカスが揚げカス回収手段33にて回収された状態で、バスケット30を引き上げることができる。このため、揚げカスの除去作業(回収作業)の容易化を図ることできて、頻繁に揚げカスの回収作業を行うことができ、揚げカスに起因する油の劣化を防止できる。これに対して、従来では、店等が閉店した夜等に一回程度、油槽の下方から揚げカスを抜き取っていた。このため、揚げカスの除去作業の作業性が悪いとともに、揚げカスによる油の劣化が進行することになっていた。また、バスケット内の油がこの油きり用孔部から抜け出るので、バスケットを持ち上げる際には重くならず、しかも油を外部へ漏らしにくく、調理室(キッチン)を汚したり、油槽内の油の減少を防止できる。
【0065】
揚げカス回収用フィールタ39が一対の網状体37,37にて挟持されるので、フィールタ39が平面状を維持して安定して底壁に沿って配設されるので、揚げカスの回収性に優れる。なお、実施形態のように、バスケット本体31の周壁34のコーナ部34cをアール状に形成することによって、このバスケット33の簡易な洗浄が可能となる。
【0066】
温度検出手段20にて検出した油槽2内の油の温度に基づいて、制御手段19にて油槽内の油の温度を制御(調整)できる。また、検出手段20は攪拌棒21を備えるので、この攪拌棒21にて油槽2の油を攪拌することができ、これによって、油槽2の油の温度の均一化を図ることができる。すなわち、本発明の調理装置によれば、均一化された油槽2の油温度を検出でき、この検出温度に基づいて油の温度を設定温度に近づけることができる。これによって、各種の食材を最適温度で調理することができ、食材に対して高品質の加工が可能となる。また、油の高温化を防止でき、油の酸化、劣化を抑えることができ、油消費量、廃油処理経費の経費削減が可能となる。
【0067】
温度検出手段20は、油槽2の上部の温度を検出する上部検出器26aと、油槽の中部の温度を検出する中部検出器26bと、油槽2の下部の温度を検出する下部検出器26cとを有するので、油槽2の上部と中部と下部との温度を検出することができ、油槽全体の油温度の温度分布状態を把握できる。このため、油槽2全体の油温度の均一化を高精度に行うことができ、高品質の加工が一層可能となる。
【0068】
前記攪拌棒21は、油槽2の上部において水平方向に延びる支持棒部23と、この支持棒部23から分岐して油内への浸漬が可能な浸漬部24とを有し、支持棒部23がその基部を中心に水平面内を揺動して、この支持棒部23から垂下された状態で油内に浸漬している浸漬部23による油の攪拌を可能としているので、油槽2の油の攪拌を安定して確実に行うことができる。これによって、油槽2内の油の温度均一化の精度向上を図ることができる。
【0069】
また、浸漬部24を退避状態とできるので、食材の出し入れを容易にでき、作業性の向上を図ることができる。
【0070】
装置ケーシング1に操作用のパネル45を設けているので、作業者の操作性の向上を図ることができる。特に、操作用のパネル45に油槽の油の温度分布状態を示す温度分布表示部47を有するものでは、視覚的に温度分布を把握することができ、油槽内の油全体が適温になる以前に食材を投入するのを防止できる。これによって、熟練を要することなく、食材を高品質に調理(揚げる)ことができる。また、油の設定温度を表示する設定温度表示部49と現在の油の温度を表示する油温度表示部48とを有する場合、油の設定温度と現在の油の温度との差を視覚的に把握でき、投入時期までの時間を予測等できて、作業性の向上を図ることができる。
【0071】
油保温手段8を設けることによって、加熱手段15による油の加熱を中断しても、油槽内の油の温度があまり低下しない。このため、再加熱して適温に達するまでの時間(ウォーミングアップ時間)の短縮を図ることができる。したがって、加熱手段による長時間の連続した加熱を行う必要が無くなって、油の劣化の進行を遅らせることができ、「カラッ」と揚げた状態の揚げ物をお客に提供することができる。しかも、ウォーミングアップ時間を短縮することによって、消費電力の低減を図ることができ、コスト低減を達成できる。また、油保温手段15による保温効果で、油が劣化し難い温度の維持が可能となる。
【0072】
油保温手段8として、油槽2の底壁6の下面側に配置される中空室10と、この中空室10に充填される液状保温材11とを備えたもので構成でき、構成の簡略化及び低コスト化を図ることができる。しかも、液状保温材を用いるので、保温効果に優れる。
【0073】
換気フード2と油槽2とが一体ユニット化されるので、換気フード3にて換気することができ、しかも、油槽2の上方に比較的近接して配置することができるので、換気性に優れ、油の臭いも外部へ安定して排出することができる。このため、調理室(キッチン)は油煙及び臭いが少なく、快適空間に維持でき、作業者は快適に作業できる。しかも、キッチン乃至キッチンに連続した店舗(店)内に臭いが残りくい。このため、店舗の天井や壁等に臭いが染み込まず、客足が遠のくのを有効に回避することができる。
【0074】
また、ユニット化によって装置全体のコンパクト化を図ることができ、この装置の設置スペースが小さく、作業者の作業スペースを大きくとったり、キッチンに他の調理装置を配置したりすることができる。しかも意匠的に優れる利点もあり、この装置を既存のキッチンに配置してもこのキッチンの雰囲気を壊すことを回避することができる。
【0075】
攪拌棒21による攪拌は、前記実施形態では作業者(調理人)による手動によって行われるものであるが、この攪拌棒21に駆動手段(駆動用モータ及び駆動用モータの駆動の駆動力を攪拌棒に伝達する伝達機構等から構成される)を連設することによって、自動的に攪拌するようにしてもよい。この場合、制御手段19によって、所望のタイミングで攪拌棒21による攪拌を行わせることができる。
【0076】
攪拌を手動にて行うようにしたものでは、作業者(調理人)が任意の時に油を攪拌することができ、調理作業の妨げにならない。また、攪拌を自動で行うようにすれば、作業者(調理人)の作業が減少して作業効率の向上を図ることができる。
【0077】
ところで、図15は他の実施形態を示し、この場合、装置ケーシング1に前面上部に凹窪部65が形成され、この凹窪部65の下端傾斜面65aに操作用のパネル45が付設されている。この調理装置の他の構成は、前記図1に示す調理装置と同様であるので、同一部材は図1と同一の符号を付してそれらの説明は省略する。このため、図15に示す調理装置は図1に示す調理装置と同様の作用効果を奏する。特に、パネル45を凹窪部65内に設けたことによって、パネル45の各ボタンに不用意に当たることを回避することができ、パネル45の損傷を防止できるとともに、作業者(調理人)が意図しない操作を防止できる。
【0078】
揚げカス回収手段33として、図16に示すように、揚げカス回収手段33は、油カス回収用フィールタ39の上面側に配設される揚げカス拡散防止用シート状体70とを備えたものであってもよい。揚げカス拡散防止用シート状体70は、いわゆるこしのある紙、合成樹脂、不織布等のシート体からなり、複数の油抜き孔71が形成される。この油抜き孔71は、例えば図17に示すように、略コの字状のスリット72を形成することによって構成される。このため、通常状態では、スリット72内の残部が蓋部材73となって、油抜き孔71を塞いでいる。
【0079】
通常状態では、スリット72内の残部が蓋部材73となって、油抜き孔71を塞いでいる。しかしながら、揚げカス回収手段33を油槽2内に浸漬する際、この揚げカス回収手段33を浸漬させていくことによって、図16の仮想線で示すように、蓋部材73がその基部73aを中心に上方へ揺動する。このため、油抜き孔71が開状態となって、油がこの油抜き孔71を通過することができ、この揚げカス回収手段33の油槽2内への浸漬が可能となる。
【0080】
そして、バスケット30を油槽2から引き上げることによって、揚げカス回収手段33を油槽2から取り出すことになるが、この際、揚げカス拡散防止用シート状体70にて油カス回収用フィールタ39が押えられている。これによって、油カス回収用フィールタ39に回収されている揚げカス80がフィールタ39から拡散するのを防止することができる。
【0081】
このように、揚げカス拡散防止用シート状体70を備えた揚げカス回収手段33も、一対の網状体37、38にて挟持するようにするのが好ましいが、揚げカス拡散防止用シート状体70は、上側の網状体37のようにフィールタ39の浮き上がりを防止できるものであれば、この上側の網状体37を省略してもよい。また、この揚げカス拡散防止用シート状体70は、主に、揚げカス回収手段33を油槽2から引き上げる際に必要である。このため、調理時において揚げカス拡散防止用シート状体70が浸漬される状態であっても、引き上げ時のみに浸漬される状態であってもよい。なお、引き上げ時のみ浸漬させる場合、上側の網状体37を一旦取り出す必要がある。
【0082】
前記各実施形態において、図示省略するが、油劣化防止用の電磁場を生成する油劣化防止手段を設けることができる。油劣化防止手段は電磁誘導装置からなり、この電磁誘導装置から出る高周波によって、油槽2内において電流を流し、多量の電子を油内に放出させて電磁場を形成する。これによって、油槽2内にプラズマ状態を作り、油の酸化や過酸化脂質化を分解し還元を行い、油の劣化を防止することができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。前記実施形態では、攪拌棒21の油内への浸漬が可能な浸漬部の数は2個(2本)に限るものではなく、少なくとも1個あればよく、3個以上であってもよい。また、複数個設ける場合、長さや太さ等が相違してもよい。浸漬部24に付設される温度センサとしては、サミスタに限るものではなく、測温抵抗体や熱電対等の温度センサであってもよい。
【0084】
浸漬部24に付設される温度検出器26も、上部と中部と下部との3箇所に配設することなく、1箇所、2箇所、さらには4箇所以上に配設してもよい。また、油保温手段8の保温剤として油や水等の液状のもの以外の固形状のものであってもよい。
【0085】
パネル45の表示部(操作部)として、図12に示すものに限るこのではなく、例えば、指定ボタン51a、51b、51c、51d、51eや油温度表示部48の時間表示部48b等を有さないものであってもよい。また、油きりプレート42を有する場合、前記実施形態では、攪拌棒21の反基部側に配置されていたが、逆に攪拌棒21の基部側に配置してもよい。さらに、油きりプレート42の下方の収納庫43を省略してもよい。
【0086】
攪拌棒21による攪拌は、前記実施形態では作業者(調理人)による手動によって行われるものであるが、この攪拌棒21に駆動手段(駆動用モータ及び駆動用モータの駆動の駆動力を攪拌棒に伝達する伝達機構等から構成される)によって、自動的に攪拌するものであってもよい。この場合、制御手段19によって、所望のタイミングで攪拌棒21による攪拌を行わせることができる。
【0087】
揚げカス拡散防止用シート状体70において、油抜き孔71の形状、大きさ、数、配設ピッチ等は任意に設定できる。また、シート状体70として、平織り、綾織り、平畳織り、綾畳織り等のメッシュ状のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1実施形態を示す調理装置の斜視図である。
【図2】前記図1に示す調理装置の簡略断面側面図である。
【図3】前記図1に示す調理装置の簡略断面正面図である。
【図4】前記図1に示す調理装置の簡略断面平面図である。
【図5】前記図1に示す調理装置の温度検出手段を示す斜視図である。
【図6】前記図5に示す温度検出手段を平面図である。
【図7】前記図5に示す温度検出手段を側面図である。
【図8】前記図5に示す温度検出手段の浸漬部を油槽に浸漬させた状態の平面図である。
【図9】前記図5に示す温度検出手段の浸漬部を油槽に浸漬させた状態の側面図である。
【図10】前記図1に示す調理装置のバスケットを示す斜視図である。
【図11】前記図1に示す調理装置の制御部のブロック図である。
【図12】前記図1に示す調理装置の操作用のパネルの平面図である。
【図13】前記図12に示す操作用のパネルの温度分布表示部を示し、(a)は油槽の油全体が設定温度になっていない状態の拡大図であり、(b)は油槽の油全体が設定温度になった状態の拡大図である。
【図14】前記図12に示す操作用のパネルを示し、(a)は簡略断面図であり、(b)は簡略拡大断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態を示す調理装置の斜視図である。
【図16】揚げカス回収手段の変形例を示す簡略断面図である。
【図17】前記図16の揚げカス回収手段に用いられる揚げカス拡散防止用シート状体の斜視図である。
【符号の説明】
【0089】
1 装置ケーシング
2 油槽
3 換気フード
8 油保温手段
10 中空室
11 液状保温材
15 加熱手段
19 制御手段
20 温度検出手段
21 攪拌棒
23 支持棒部
24 浸漬部
26 検出器
26a 上部検出器
26b 中部検出器
26c 下部検出器
30 バスケット
33 揚げカス回収手段
36 油きり用孔部
37 網状体
39 揚げカス回収用フィールタ
45 パネル
47 温度分布表示部
48 油温度表示部
49 設定温度表示部
70 揚げカス拡散防止用シート状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油槽と、この油槽の油を加熱する電磁誘導による加熱手段とを有するフライヤーを備えた調理装置であって、
油槽内に浸漬されてその底壁に複数の油きり用孔部を設けたバスケットと、このバスケットに収納される揚げカス回収手段とを備え、揚げカス回収手段が収納された状態での前記バスケットの油槽への出し入れを可能としたことを特徴とする調理装置。
【請求項2】
揚げカス回収手段は、一対の網状体と、この網状体間に挟まれる油カス回収用フィールタとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の調理装置。
【請求項3】
揚げカス回収手段は、油カス回収用フィールタと、この油カス回収用フィールタ上面側に配設される揚げカス拡散防止用シート状体とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の調理装置。
【請求項4】
前記油槽内の油の温度を検出する温度検出手段を備え、この温度検出手段は、浸漬部が油槽の油内に浸漬された状態での揺動が可能な攪拌棒と、この攪拌棒の浸漬部に付設される温度検出器とを有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の調理装置。
【請求項5】
前記温度検出手段は、油槽の上部の温度を検出する上部検出器と、油槽の中部の温度を検出する中部検出器と、油槽の下部の温度を検出する下部検出器とを有することを特徴とする請求項4に記載の調理装置。
【請求項6】
前記攪拌棒は、油槽の上部において水平方向に延びる支持棒部と、この支持棒部から分岐して油内への浸漬が可能な前記浸漬部とを有し、前記支持棒部がその基部を中心に水平面内を揺動して、この支持棒部から垂下された状態で油内に浸漬している浸漬部による油の攪拌を可能としたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の調理装置。
【請求項7】
攪拌棒は、浸漬部が油内に浸漬した攪拌可能状態と、油槽からの退避した退避状態との変位を可能としたことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の調理装置。
【請求項8】
前記油槽のケーシングに、操作用のパネルを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の調理装置。
【請求項9】
前記操作用のパネルに油槽の油の温度分布状態を示す温度分布表示部を有することを特徴とする請求項8に記載の調理装置。
【請求項10】
油の設定温度を表示する設定温度表示部と現在の油の温度を表示する油温度表示部とを備えたことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の調理装置。
【請求項11】
油槽の底壁の下面側に油保温手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の調理装置。
【請求項12】
油保温手段は、油槽の底壁の下面側に配置される中空室と、この中空室に充填される液状保温材とを備えたことを特徴とする請求項11に記載の調理装置。
【請求項13】
油槽の上方に配置される換気扇を有する換気フードを備え、この換気フードと油槽とが一体ユニット化されたことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の調理装置。
【請求項14】
油劣化防止用の電磁場を生成する油劣化防止手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の調理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−189402(P2009−189402A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30444(P2008−30444)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(508021299)
【出願人】(508021303)
【Fターム(参考)】