説明

調節可能なアパーチャを有するシール装置

【課題】外科処置に使用される器具あるいは様々な寸法を収容する、あるいは、器具が操作されるときのシールの完全性を保つ、シール装置の提供
【解決手段】シール装置であって、中央軸を画定するシールハウジングであって、該シールハウジングは内壁および外壁を有し、該内壁は該中央軸に沿った開口部を画定する、シールハウジングと、該シールハウジングに載置された回転可能なヘッドと、該回転可能なヘッドに旋回可能に取り付けられた、少なくとも1つのフィンガであって、該フィンガは、外科用器具を受容するためのアパーチャを画定する、少なくとも1つのフィンガと、該回転可能なヘッドが回転すると該フィンガを旋回させる、該回転可能なヘッドに載置されたカムであって、該少なくとも1つのフィンガは、該外科用器具が該中央軸に関して軸から外れるように動かされ得る量を減少するように構成されている、カムとを含む、シール装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2009年3月27日に出願された米国仮特許出願第61/164,094号の利益および優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に援用されている。
(技術分野)
本開示は、外科用器具の患者体内への導入を可能にするように適合された調節可能なアパーチャシールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
腹腔鏡外科処置のような低侵襲性処置は、同等な開処置よりも患者の外傷性を低減する結果をもたらす。この処置では、カニューレと呼ばれる狭い中空の管を含むトロカールアセンブリが、患者の皮膚にトロカールによって作られた小さな切開に挿入される。細長い外科用器具は、患者の体腔にカニューレを通って挿入される。
【0003】
しばしば、患者の体腔は二酸化炭素によって注入され、腔壁をその中にある内部器官から分離する。これは、作業および観察空間を生成する。従って、体腔と外部環境との間に、密封シールが維持されなければならない。
【0004】
単一の外科処置において、いくつかの外科用器具を、1つのカニューレを通って挿入し取り除くことがしばしば望まれるので、そのようなシールを維持することは、複雑である。最小の利用可能な外科用器具を使用することが理想的である一方で、いくつかの複雑な器具はそのような小さなカニューレの内部には適合しない。使用されるシールは、器具を受容する寸法でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
理想的には、外科医は、外科処置の間に使用されるすべての器具を収容する1つのシステムを使用できるべきである。公知のシールは、器具あるいは様々な寸法を収容することができず、あるいは、器具が操作されるときのシールの完全性を保つことができないなど、多くの方法で不十分である。従って、現在の開示は、これらの不足を解決するシール装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、器具の周りのシールを維持しながら、様々な寸法の外科用器具の患者の体内への導入および使用を可能にするように適合されたシール装置を記述する。1つの実施形態において、シール装置が記述され、外科用器具が挿入されるアパーチャの直径は、アパーチャを画定するフィンガを旋回するカムに結合されたヘッドを回転することによって、調節可能である。これは、シール装置が、先端構成の多様性および、直径の多様性を有する様々な範囲の器具を収容することを可能にする。
【0007】
本発明の特定の実施形態において、シール装置は、中央軸を画定するシールハウジングであって、該シールハウジングは内壁および外壁を有し、該内壁は該中央軸に沿った開口部を画定する、シールハウジングと、該シールハウジングに載置された回転可能なヘッドと、該回転可能なヘッドに旋回可能に載置された、少なくとも1つのフィンガであって、該フィンガは、外科用器具を受容するためのアパーチャを画定する、少なくとも1つのフィンガと、該回転可能なヘッドが回転すると該フィンガを旋回させる、該回転可能なヘッドに載置されたカムであって、該少なくとも1つのフィンガは、該外科用器具が該中央軸に関して軸から外れるように動かされ得る量を減少するように構成されている、カムとを含む。該シール装置は、また、該外科用器具の周りを実質的に密封する器具シールと、外科用器具のない場合、実質的なシールを提供するためのゼロ閉止弁とを含み得る。前記回転可能なヘッドは、印を含み、該印は、該ヘッドを通って挿入され得る器具の適切な寸法についてユーザへの指標を提供する。該印は、該回転可能なヘッドによって画定された窓を含み、該窓を通して数値マークが見られ得る。
【0008】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
シール装置であって、
中央軸を画定するシールハウジングであって、該シールハウジングは内壁および外壁を有し、該内壁は該中央軸に沿った開口部を画定する、シールハウジングと、
該シールハウジングに載置された回転可能なヘッドと、
該回転可能なヘッドに旋回可能に取り付けられた、少なくとも1つのフィンガであって、該フィンガは、外科用器具を受容するためのアパーチャを画定する、少なくとも1つのフィンガと、
該回転可能なヘッドが回転すると該フィンガを旋回させる、該回転可能なヘッドに載置されたカムであって、該少なくとも1つのフィンガは、該外科用器具が該中央軸に関して軸から外れるように動かされ得る量を減少するように構成されている、カムと
を含む、シール装置。
(項目2)
前記外科用器具の周りを実質的に密封するための器具シールをさらに含む、項目1に記載のシール装置。
(項目3)
前記外科用器具のない場合、実質的なシールを提供するためのゼロ閉止シールをさらに含む、項目1〜2のいずれかに記載のシール装置。
(項目4)
前記少なくとも1つのフィンガは、3つのフィンガを含む、項目1〜3のいずれかに記載のシール装置。
(項目5)
前記回転可能なヘッドは、印を含み、該印は、該回転可能なヘッドを通って挿入され得る器具の適切な寸法についてユーザへの指標を提供する、項目1〜4のいずれかに記載のシール装置。
(項目6)
前記印は、前記回転可能なヘッドによって画定された窓を含み、該窓を通して数値マークが見られ得る、項目1〜5のいずれかに記載のシール装置。
(摘要)
シール装置であって、中央軸を画定するシールハウジングであって、該シールハウジングは内壁および外壁を有し、該内壁は該中央軸に沿った開口部を画定する、シールハウジングと、該シールハウジングに載置された回転可能なヘッドと、該回転可能なヘッドに旋回可能に載置された、少なくとも1つのフィンガであって、該フィンガは、外科用器具を受容するためのアパーチャを画定する、少なくとも1つのフィンガと、該回転可能なヘッドが回転すると、該フィンガを旋回させる、該回転可能なヘッドに載置されたカムであって、該少なくとも1つのフィンガは、該外科用器具が該中央軸に関して軸から外れるように動かされ得る量を減少するように構成されている、カムとを含む、シール装置。
【図面の簡単な説明】
【0009】
説明を目的として、本開示の実施形態が添付の図面を参照して記述される。
【図1】図1は、本開示の実施形態によるシール装置の上面図である。
【図2】図2は、図1のシール装置の側面から見た断面図である。
【図3a】図3aは、第1のアパーチャを形成するように調節されたシール装置の透視図である。
【図3b】図3bは、図3aのシール装置の上面図である。
【図4a】図4aは、第2のアパーチャを形成するように調節されたシール装置の透視図である。
【図4b】図4bは、図4aのシール装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照して本明細書に記述される。図面に示されるように、かつ、以下の記述全体にわたって記述されているように、および、伝統的なように、対象の上の相対的な位置を参照する場合、用語「近位の」は、ユーザに最も近い装置の端を言い、用語「遠位の」は、ユーザから最も遠い装置の端を言う。以下の記述において、周知の機能あるいは構成は、本開示を不必要に詳細にすることで、あいまいになることを防ぐために、詳細には述べられない。
【0011】
シール装置100は、ガスあるいは流体の漏洩から体腔の気圧の完全性を保存する一方で、トロカールあるいはカニューレアセンブリを通る挿入に適合された多様な器具の導入および操作を可能にする。そのような処置において使用される器具使用は、これらに限定はされないが、クリップアプライヤ、把持器、解剖器具、レトラクタ、ステープラ、レーザプローブ、発光装置、内視鏡および腹腔鏡、管等を含む。そのような器具は、本明細書では、集団的に、「器具」あるいは「器具使用」と言う。
【0012】
シール装置100は、トロカールアセンブリとの使用に適合され、栓子およびカニューレを含み、内視鏡処置あるいは腹腔鏡処置のような低侵襲性処置に利用される。シール装置100は、栓子あるいは、カニューレを通って延びる他の器具と協働し、器具の外面の周りのシールを形成し、体腔およびトロカールアセンブリを通る流体あるいはガスの通過を締め出す。
【0013】
1つの実施形態において、シール装置100は、カムフィンガ11によって画定された可変直径のアパーチャ15を含む。アパーチャ15は、アパーチャ15を通って挿入された外科用器具の通過を可能にする。シール装置100は、内側ハウジング20および外側ハウジング30を有するとして記述され得る。内側ハウジング20は、その中に形成された空間を有し、カム16およびカムフィンガ11の回転の動きに適応する。外科医がアパーチャ15の直径を調節したいと望むとき、回転可能なヘッド10が回転される。回転された場合、回転可能なヘッド10は、カム16を回転し、カム16は次にカムフィンガ11を旋回する。カムフィンガ11は、集団的にアパーチャ15を画定する。カムフィンガ11を旋回することによって、外科医はアパーチャ15の寸法を調節し得る。図3a−3bおよび図4a−4bは、回転可能なヘッドが配置され異なる直径(例えば、それぞれ5mmおよび10mm)のアパーチャ15を画定した後の、シール装置100を示す。シール装置100は、また、5mmと20mmとの間の多くのアパーチャ(例えば、7mm)あるいは任意の他の寸法のアパーチャを画定し得る。
【0014】
回転可能なヘッド10は、回転可能なヘッド10を通って挿入され得る適切な寸法の器具について、ユーザに指標を提供する印を含み得る。例えば、図1から図4bに示された回転可能なヘッド10は、窓を画定し、窓を通して、数値マークが可視化され得る。この方法において、ユーザにはカムフィンガが、例えば、5mmの器具、10mmの器具等の挿入に対して適切に配置されているとの指標が提供される。
【0015】
この方法におけるカムフィンガ11の調節は、カムフィンガが、カムフィンガに挿入され使用される器具が軸外れに動かされる得る量を低減する助けになり得るので、シールの漏洩を防ぐ助けになり得る。器具が軸外れに動かされ得る量を減少することによって、ギャップが器具と器具シール13との間に形成される傾向が減少する。
【0016】
1つの実施形態において、シール装置100は、近位端および遠位端を有する。シール装置100の近位端は、器具を受容するように適合されている。シール装置の遠位端は、トロカールアセンブリを係合するように適合されている。シール装置の遠位端の下には、ゼロ閉止弁(例えば、ダックビル弁12および器具シール13)がある。器具シール13はトロカールアセンブリとの密封シールを形成するように適合されている。
【0017】
ダックビル弁12は、器具がシール装置100から引き出された後に、流体および/またはガス漏洩を防ぐ。1つの実施形態において、ダックビルシール12は、1方向の弾性の部材であり、器具のシャフトとダックビル弁12との間の流体およびガスの漏洩を抑止しながら、器具の挿入を可能にする。
【0018】
カムフィンガ11、ダックビル弁12および器具シール13は、ウレタン、シリコーン、天然ゴムあるいは合成ゴム、または他の弾性の材料のような、可撓性および/または弾性材料から作られ得る。材料は、引き裂きに対して抵抗があり得、ガスおよび流体に対して不浸透性であるべきである。選択された材料は、微量の金属あるいは抗菌媒体のような、治療の薬あるいは材料で被覆され、あるいは治療の薬あるいは材料を含浸され得る。
【0019】
繊維材料(例えば、LYCRAおよびNYLONの混合を含むSPANDEX)がカムフィンガ11、ダックビルシール12、および器具シール13の上に重ねられ得、器具による可能性のある突入、貫通あるいは破断を最小にする。
【0020】
他の実施形態(示されない)では、器具がシールを通って挿入されている場合と、器具のない場合の両方で、流体/ガスシールを提供するための、事前に形成された小さな穴あるいは交差したスロットを有する隔壁弁、あるいは内側方向に付勢された同様な弁が、ダックビル弁12の代わりに、あるいはダックビル弁12と共に使用され得る。
【0021】
当業者は、本開示の範囲と精神から外れることなく、形態および詳細において様々な修正および変更がなされ得ることを理解するであろう。従って、形態および詳細における修正および変更は、本開示の範囲と精神から外れることなく、なされ得る。
【符号の説明】
【0022】
10 回転可能なヘッド
11 カムフィンガ
12 ダックビル弁
13 器具シール
15 アパーチャ
16 カム
20 内側ハウジング
30 外側ハウジング
100 シール装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール装置であって、
中央軸を画定するシールハウジングであって、該シールハウジングは内壁および外壁を有し、該内壁は該中央軸に沿った開口部を画定する、シールハウジングと、
該シールハウジングに載置された回転可能なヘッドと、
該回転可能なヘッドに旋回可能に取り付けられた、少なくとも1つのフィンガであって、該フィンガは、外科用器具を受容するためのアパーチャを画定する、少なくとも1つのフィンガと、
該回転可能なヘッドが回転すると該フィンガを旋回させる、該回転可能なヘッドに載置されたカムであって、該少なくとも1つのフィンガは、該外科用器具が該中央軸に関して軸から外れるように動かされ得る量を減少するように構成されている、カムと
を含む、シール装置。
【請求項2】
前記外科用器具の周りを実質的に密封するための器具シールをさらに含む、請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記外科用器具のない場合、実質的なシールを提供するためのゼロ閉止シールをさらに含む、請求項1に記載のシール装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフィンガは、3つのフィンガを含む、請求項1に記載のシール装置。
【請求項5】
前記回転可能なヘッドは、印を含み、該印は、該回転可能なヘッドを通って挿入され得る器具の適切な寸法についてユーザへの指標を提供する、請求項1に記載のシール装置。
【請求項6】
前記印は、前記回転可能なヘッドによって画定された窓を含み、該窓を通して数値マークが見られ得る、請求項1に記載のシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【公開番号】特開2010−227576(P2010−227576A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71111(P2010−71111)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】