説明

調節可能バイザーを有するヘッドサスペンションシステム及びヘッドギア並びにその調節方法

バイザーと、着用者の頭部に支持されるのに適した可撓性周辺バンドと、を有する着用者を保護するのに適したヘッドギアが開示される。取り付けアタッチメントは、バイザーを着用者の顔の前に一般的には配置した状態で両側の取り付け位置の各々でバイザーを可撓性周辺バンドに取り付ける。取り付けアタッチメントは、可撓性周辺バンドに付随したスライドチャネルとバイザーに付随したスライドを有する。スライドは、スライドチャネル中を着用者の顔に対して前方及び後方に摺動することが可能であり、複数の前方及び後方位置において選択的に固定されるのが可能である。それによって、バイザーは、着用者の顔に対して内向き又は外向きに調節され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にヘッドサスペンションシステム及びヘッドギア、特に寸法又は構成を調節できるようなヘッドサスペンションシステム及びヘッドギア、及びヘッドサスペンションシステムの調節方法又は構成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドサスペンションシステムによっては、再配置ストラップによって調節される場合がある。ヘッドバンドストラップを再配置することで調節されるヘッドサスペンション調節機構の1つの例は、米国特許第5,608,917号(ランディス(Landis)ら)の「人間工学ヘッドバンド装置(Ergonomic Head Band Apparatus)」に開示されている。人間工学ヘッドバンドは、第一及び第二の上向き湾曲側弧状セグメント、前側弧状領域及び着用者の後頭部で連結する尾部を備えている。尾部は、互いに対して再配置可能であり共通の寸法調節を実現させる。フェイスシールド又は他の装置をヘッドバンドと連結させてよい。
【0003】
他のヘッドギア支持体は、互いに対して相対的に摺動する両先端部を備えるヘッドバンドに調整性をもたらす。例として、米国特許第3,500,474号(オースティン(Austin))の「調節可能ヘッドバンド(Adjustable Headband)」;米国特許第4,888,831号(オルソン(Oleson))の装置を調節するのに摺動自在に配置される「安全帽のシェルに使用する調節可能ヘッドバンドサスペンションシステム(Adjustable Head Band Suspension System For Use With Hard Hat Shell)」;米国特許第5,896,586号(フロウンド(Freund))の長手方向に間隔の空いた複数のスロット及び間隔の空いたスロットの端部を摺動自在に受け入れるチャネルを備える「弾性ファスナを有する弾性的に湾曲可能なファスナ表面(Adjustable Headband Having a Resiliently Bowable Fastener Surface)」;及び米国特許第6,341,382号(ライビン(Ryvin)他)の一体形成された摺動自在な調節機構を有する「ワンピース調節ヘッドギア支持体(One-Piece Adjustable Headgear Support)」がある。しかしながら、このような調節機構は現場の着用者が調節するのが常に容易なわけではなく、保護ヘルメットに不要な重さが付加され得る。
【0004】
米国特許第5,077,836号(アイドフ(Idoff)ら)の「ヘッドギア」は、バイザーのような保護具を取り付けるためのヘッドギアを開示している。ヘッドバンドは、額バンド区域、側面バンド区域、首バンド区域を備える。首バンド区域は、ノブで固定された摺動自在な部分を含む調節機構を備える。さらに、額区域は調節可能バックルを備える。また、調節機構は使用者が調節するのが過度に困難であり、ヘッドギアに不要な重さを付加し得る。
【0005】
米国特許第4,942,628号(フロウンド(Freund))の「ラチェット調節を有するヘルメットサスペンション(Helmet Suspension Having Ratchet Adjustment)」は、寸法においてヘッドサスペンションを調節するラチェット調節手段を有する頭部保護又はヘルメットサスペンションを開示している。調節ノブは、ラチェットケース中のピンと係合し、所定の位置でヘッドサスペンション寸法を固定する。調節ノブ及びラチェット機構は、ヘルメットに不要な重さを付加し得る。
【0006】
米国特許第5,571,217号(デルボン(Del Bon)ら)の「人間の頭部を保護するための保護アセンブリ(Protective Assembly For The Protection Of The Human Head)」は、保護アセンブリを着用する人間の頭に連結するのに適した円形支持構造を有する保護アセンブリを開示している。保護バイザーは、低い作業位置及び高い静止位置に関して旋回するような支持構造に枢動可能に連結される。機構及び作動部材は、視認方向に及びより低い作業位置にバイザーの位置を調節及び固定するために設けられている。バイザーの前部及び後部調節手段には、取り外し可能な止めねじ及び取り付けラグが付いている。前部及び後部調節手段は、止めねじを外し、止めねじを異なる取り付け穴位置に再挿入することで得られる。止めねじを外し、再挿入するのは、特に、すでに厳しい条件下で作業中の作業者にとって、煩わしく達成するのが難しい過程であり得る。
【0007】
米国特許第7,007,306号(ハワード(Howard)ら)の「フェイスシールドアセンブリ(Face Shield Assembly)」は、フレームとそのフレームに支持される取り外し可能な保護要素を備えるフェイスシールドアセンブリを開示している。フレームは、高位置(使用外)と低位置(使用中)の間を移動するように、支持構造上に枢動可能に支持される。フレームは、取り付けボルトを外し、異なる取り付け穴位置に再配置することで、使用者の頭部に対して選択的に間隔が空けられ得る。また、取り付けボルトを外して再配置することは、煩わしく、達成するのが困難な過程であり得る。
【0008】
オプトレル(Optrel)(商標)ギャラクシー(Galaxy)(商標)の溶接ヘルメットは、顔から顎までのヘルメットの配置を調節できる傾斜式及び伸縮式ヘッドギアも有する。しかしながら、着用者の顔から顎までのヘルメットの配置を調節できる傾斜式及び伸縮式ヘッドギアを達成する機構について、開示されていない。
【特許文献1】米国特許第5,608,917号
【特許文献2】米国特許第3,500,474号
【特許文献3】米国特許第4,888,831号
【特許文献4】米国特許第5,896,586号
【特許文献5】米国特許第6,341,382号
【特許文献6】米国特許第5,077,836号
【特許文献7】米国特許第4,942,628号
【特許文献8】米国特許第5,571,217号
【特許文献9】米国特許第7,007,306号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
保護ヘルメット、特に溶接ヘルメットは、重く扱いにくい傾向がある。保護ヘルメットの重さは、熱及び他の不都合な要因の厳しい条件においてすでに作業する場合の多い着用者にとって煩わしいものとなる。保護ヘルメットの重さによって、さらにその負担が増加する。
【0010】
保護ヘルメットにおけるヘッドサスペンションシステムは、ヘルメットを満足できるものとするために、着用者の特定の要求に対して調節されなければならない。不適合なヘルメット、特に重いものは、着用者にとって非常に不快であり、作業を誤ったり、怪我をする危険性をもたらす。
【0011】
溶接ヘルメットのような従来の保護ヘルメットにおける調節機構は、典型的に、嵩高であるかもしくは調節が困難であるか、その両方である。嵩高な調節ノブを必要とする調節機構は、保護ヘルメットに相当な重さを付加し得る。一般的な調節機構は、調節が非常に難しい取り外し可能且つ置換可能なボルト又は止めねじを伴う場合がある。緩めなければならないボルトは、多数のボルト、ナット及びワッシャの緩みを招くことが多く、これらを再度組み立てることは困難となり得る。これは、着用者がグローブのような手保護具を装着している際に、特に当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ヘッドサスペンションシステム、ヘッドギア及び軽量且つ着用者が着用している際であっても容易に調節ができるヘッドギアに備えられるバイザーの調節方法を提供する。バイザーは、移動可能な弾性タブを引き上げて摺動させる、及び弾性タブをヘッドバンド上又はヘッドバンドに備えられる複数の固定穴のうちの1つと係合させることで、内向き及び/又は外向き、つまり後方又は前方にそれぞれ調節し得る。
【0013】
一実施形態において、本発明は、バイザーおよび着用者の頭部に支持されるのに適した可撓性周辺バンドを有する、着用者を保護するのに適したヘッドギアを提供する。取り付けアタッチメントは、着用者の顔の前に一般的には配置されるバイザーの両側の取り付け位置の各々で、バイザーを可撓性周辺バンドに取り付ける。取り付けアタッチメントは、第一ヘッドギア部分に備えられるスライドチャネルと第二ヘッドギアを備えられるスライドを有する。スライドは着用者の顔に対して、スライドチャネル中を前後に摺動することができ、複数の前方及び後方位置に選択的に固定されることが可能である。これによって、着用者の顔に対して内向き又は外向きにバイザーを調節することが可能となる。
【0014】
一実施形態において、本発明は着用者を保護するのに適したバイザーを有するヘッドギアのためのヘッドサスペンションシステムを提供する。可撓性周辺バンドは、着用者の頭部に支持されるのに適している。取り付けアタッチメントは、着用者の顔の前に一般的には配置されるバイザーの両側面の取り付け位置の各々で、バイザーを可撓性周辺バンドに取り付ける。取り付けアタッチメントは、第一ヘッドギア部分に付随したスライドチャネルと第二ヘッドギアに付随したスライドを有する。スライドは着用者の顔に対して、スライドチャネル中を前後に摺動することができ、複数の前方及び後方位置に選択的に固定されることが可能である。これによって、着用者の顔に対して内向き又は外向きにバイザーを調節することが可能となる。
【0015】
一実施形態において、第一ヘッドギア部分が周辺バンドであり、第二ヘッドギア部分がバイザーである。
【0016】
一実施形態において、着用者がヘッドギアを着用している間に、バイザーは着用者によって着用者の顔に対して内向き又は外向きに調節され得る。
【0017】
一実施形態において、取り付けアタッチメントは、スライドが複数の前方及び後方位置に調節可能に固定され得るように、スライド及びスライドチャネルの一方の上に突起部、及びスライド及びスライドチャネルの他方の上に複数の噛み合い穴を有する弾力的に偏倚したタブを有する。
【0018】
一実施形態において、弾力的に偏倚したタブが、タブと複数の噛み合い穴のうちの1つの噛み合いへ向けて弾力的に偏倚される。
【0019】
一実施形態において、着用者がヘッドギアを装着している状態で、このタブは引き上げ可能であり、スライドは着用者によって調節可能である。
【0020】
一実施形態において、本発明は、着用者を保護するのに適したヘッドギアに付随したバイザーの位置を調節する方法を提供し、ヘッドギアがバイザーをヘッドサスペンションシステムに取り付けるための取り付けアタッチメントを有し、取り付けアタッチメントは第一ヘッドギア部分に付随したスライドチャンネル、第二ヘッドギア部分に付随したスライドを有し、スライドは着用者の顔に対してスライドチャネル中を前方及び後方に摺動することが可能であり、スライドは複数の前方及び後方位置に選択的に固定され、それによってバイザーは着用者の顔に対して内向き及び外向きに調節され得る。スライドに付随したタブを解放する。タブを使用するスライドチャネルに対してスライドを摺動する。タブを外すことで、複数の前方及び後方位置のうちの1つにスライドを選択的に固定する。
【0021】
一実施形態において、第一ヘッドギア部分が周辺バンドであり、第二ヘッドギア部分がバイザーである。
【0022】
一実施形態において、摺動工程が、着用者がヘッドギアを装着している状態で達成され得る。
【0023】
一実施形態において、取り付けアタッチメントは、スライドが複数の前方及び後方位置に調節可能に固定され得るように、スライド及びスライドチャネルの一方の上に突起部、及びスライド及びスライドチャネルの他方の複数の噛み合い穴を有する弾力的に偏倚したタブを有する。
【0024】
一実施形態において、弾力的に偏倚したタブが、タブと複数の噛み合い穴のうちの1つの噛み合いへ向けて弾力的に偏倚される。
【0025】
一実施形態において、摺動工程が、着用者がヘッドギアを装着している状態で達成され得る。
【0026】
一実施形態において、着用者によって、バイザーが、着用者の顔の前に一般的には配置される低位置、及び着用者の顔の上に一般的には配置される高位置に操作され得るように、取り付けアタッチメントがバイザーに枢動可能に取り付けられる。
【0027】
一実施形態において、バイザーは溶接ヘルメットを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本説明で使用するとき、次の用語は示された意味を有する。
【0029】
「ヘッドギア」は、着用者の頭部に装着されるか又は支持されることを意図とする、多数の一般的な保護品目のいずれかを意味し、限定はされないがヘルメット、特に溶接ヘルメットが挙げられる。
【0030】
「バイザー」は、着用者の頭部、顔又は首を保護するのに使用され得る多数の装置のいずれかを意味し、限定はされないが、バイザー、フェイスマスク及びフェイスシールドが挙げられる。
【0031】
「ヘッドサスペンションシステム」は、ヘッドギアの着用者の頭部に支持され得る機構を意味する。
【0032】
「周辺バンド」は、一般的に少なくとも部分的に着用者の頭部を取り囲み、着用者の頭部に対してヘッドサスペンションシステムを支持するヘッドサスペンションシステムの部分を意味するが、このような周辺バンドは、実際には任意の特定位置で頭部を取り囲む必要はなく、周辺バンドは頭部の正確な周辺に実際に接触する必要はない。
【0033】
「前方部分」は、ヘッドサスペンションシステムの着用者の頭部に向かって前方に一般的に配置されるヘッドサスペンションの部分を意味する。
【0034】
「後方部分」は、ヘッドサスペンションシステムの着用者の頭部に向かって後方に一般的に配置されるヘッドサスペンションの部分を意味する。
【0035】
「側面位置」は、ヘッドサスペンションが着用者の頭部に対して垂直に配置される際に、着用者の頭部の側面に一般的に向かう位置を意味する。
【0036】
「スライドチャネル」は、摺動自在な係合においてスライドを受け入れる機構を意味する。
【0037】
「スライド」は、スライドチャネル内を摺動するのに適した任意の品目を意味する。
【0038】
図1は、ヘッドギア10及び付随するヘッドサスペンションシステム12の斜視図である。バイザー又はフェイスシールド14は、側面取り付け位置16でヘッドサスペンションシステム12に取り付けられている。ヘッドギア10の使用目的に応じて、異なる種類のバイザー又はフェイスシールド14が使用され得る。例えば、溶接ヘルメットは、フェイスシールド14に収納される、恐らく置換可能な保護視野レンズを備えるフェイスシールド14を使用し得る。
【0039】
側面取り付け位置16は、好ましくは、バイザー14又はフェイスシールド14が、着用者の顔の前のバイザー14が作業可能である位置にある低位置と、着用者の頭の上にバイザー14が邪魔にならない視野を可能にする高位置との間で旋回できるようにさせる。
【0040】
ヘッドサスペンションシステム12は、一般的には、周辺バンド18及び冠部バンド20からなる。周辺バンド18は、一般的に、着用者の頭顔部に対してバイザー14を支えるために、着用者の頭部上に載っている。周辺バンド18の後方部分20は、調節可能な方法で後方部分20の分離した部品の端部を調節可能に固定するスライド26内に保持されるラチェット部材24からなる微調節機構22を含む。微調節機構22のような調節機構は、当該分野において周知である。
【0041】
ヘッドサスペンション12は、「全体的」又は大きな調節機構も含む。つまり、微調節機構は、単独の全体的調節機構の存在による寸法、つまり長さ、における大きな変化等に適応する必要はないため、微調節機構22はより小さく軽量に構成され得る。
【0042】
ヘッドサスペンションシステム12は、周辺バンド18に取り付けられる冠部バンド28も有し、さらなる支持を提供するために、着用者の頭部の頂上を通ることを意図している。スライド調節機構30は、冠部28が適合するように調節されるのを可能とする。
【0043】
本実施形態における、バイザー14における取り付け位置として供されるスライドアタッチメント32は、スライドチャネル34によって周辺バンド18に固定される。スライドアタッチメント32は、バイザー14に枢動可能に連結されている。スライドアタッチメントと連結する弾性タブ36は、ヘッドギア10が着用者に装着される間、着用者の顔に対してバイザー14を前後に調節することを可能にする。弾性タブ36は、突起部又はペグ38が周辺バンド18の上又は中に含まれる穴40から切り離され得るように、着用者に握られ、引き上げられ得る。一度切り離されると、弾性タブ36はスライドアタッチメント32を容易に前方に摺動することでバイザー14を外側に、又は後方に摺動することでバイザー14を内側に移動するように操作され得る。弾性タブ36は、突起部又はペグ38を、着用者の顔に対して他の位置でバイザー14を固定する穴40の他の1つの中に解放することができる。弾性タブ36の弾性特性は、弾性タブ36を前方/後方位置においてバイザー14を再び引き上げ、固定するまで、突起部又はペグ38を穴40内に維持することを可能とする。バイザー14は、そのままスライドアタッチメント32上で旋回し得る。
【0044】
図2は、ヘッドサスペンションシステム12を明確にするために、バイザー又はフェイスシールド14を設置しないヘッドサスペンションシステム12を図示する。図2は、周辺バンド18を備えるヘッドサスペンションシステム12の前側部分42のより詳細な図示を提供する。周辺バンド18の前側部分42は、置換可能なブリッジ44又は複数の互換性のあるブリッジのうちの1つとともに図示される。ブリッジ44は、端部の双方において周辺バンド18に連結している。前側部分42の大部分を包含するように示しているが、ブリッジ44は前側部分42のより小さいか、又は大きな部分を包含し得ることが認識及び理解される。後方部分42の位置において優れた操作及び性能が期待されるが、ブリッジ44は後方部分20に収容され得る。
【0045】
好ましくは、いくつか、多く、又は複数の、ブリッジ44における削除部分又は開口部46は、ブリッジ44にさらなる可撓性をもたらす。このような切除部分又は開口部46はまた、周辺バンド18をさらに軽量化させる。切除部分46は、ブリッジ44の対向側から交互に延在するように示されているが、このような切除部分46は、ブリッジ44の片縁部のみから延在するか、削除部分46は、かわりに、ブリッジ44のどちらかの側縁部に延在しないブリッジ44内の開口部46又は穴であり得ることが認識及び理解される。
【0046】
取り付け機構52は、取り付け位置16においてバイザー14を周辺ヘッドギア18、つまりヘッドサスペンションシステム12に取り付けるのに使用され得る。図3は、取り付け位置16の側面における取り付け機構52の分解図である。図4は、取り付け位置16の側面を図示する周辺バンド18の一部分の側面図を図示する。図5は、スライドアタッチメント32の後部斜視図である。図3、図4及び図5はともに、バイザー14のヘッドサスペンションシステム12及びヘッドサスペンションシステム12の前部及び後部調節機構への取り付けを図示する。
【0047】
周辺バンド18におけるスライドチャネル34は、バイザー14において取り付けアタッチメントが固定され得る摺動自在なチャネルを提供する。スライドアタッチメント32は、スライドチャネル34と噛み合うタブ54を有する。スタッド56は、開口部58を通してスライドアタッチメント32に嵌め込まれ、ワッシャ60及びつまみナット62を使用してバイザー14をスライドアタッチメント32に枢動可能に固定する。このように配置することで、スライドアタッチメント32を周辺バンド18のスライドチャネル34中に固定しながら、バイザー14が旋回するのが可能となる。
【0048】
スライドアタッチメント32はまた、着用者の顔に対してバイザー14を調節するように作動する。バイザー14は、着用者の頭部上のヘッドサスペンションシステム12の向きに対して背部又は後方にあるスライドチャネル34において、スライドアタッチメント32を摺動することで着用者の顔に向かって内側に移動し得る。バイザー14はまた、着用者の頭部上のヘッドサスペンションシステム12の向きに対して前方にあるスライドチャネル34において、スライドアタッチメント32を摺動することで着用者の顔に向かって外側にも移動し得る。
【0049】
突起部38(図5に図示する)は、複数の穴40、又は周辺バンド18中にあるか又は備えらている戻り止めのうちの1つと係合し、スライドアタッチメント32を特定の前方/後方位置に固定し、それによって本質的にバーザー14を着用者の顔から内側又は外側の特定の位置に固定する。弾性タブ36は、あるいは着用者によって、あるいはヘッドギア10を着用中に穴40から突起部38を切り離すために、引き上げられ得る。使用者は、弾性タブ36を引き上げながら、スライドアタッチメント32をスライドチャネル34に沿って摺動し、バイザー14を着用者の顔に対して移動させる。適切な又は所望の位置が得られたならば、使用者は弾性タブ36を開放し、突起部38を他又はあるいは同じ穴40と係合させ得る。突起部38と穴40を係合することで、特定な位置でスライドアタッチメントを固定できる。
【0050】
あるいは、スライドチャネル34はバイザーに取り付けられ、スライドアタッチメントは周辺バンド18に取り付けられてよい。
【0051】
着用者の顔64に対するバイザー14の動きが、図6a及び図6bで図示される。図6aにおいて、スライドアタッチメント32の突起部38は、穴40と係合するために図6aの左に向かうか、又は着用者の前頭部に向かって移動する。このように配置することで、バイザー14は着用者の顔64から十分に離れて配置される。それに対して図6bにおいては、スライドアタッチメント32の突起部38は、穴40と係合するために図6bの右に向かうか、又は着用者の後頭部に向かって移動する。このように配置することで、バイザー14は着用者の顔64により近づいて配置される。
【0052】
バイザー14を着用者の顔64からさらに離すか、もしくは着用者の顔64に近づけて配置するのが望ましい。バイザー14を着用者の顔64に対して近づけて配置することで、より広い視界を着用者に提供し得る。しかしながら、バイザー14を着用者の顔64からより離れて配置することで、着用者の快適さを向上し、曇りを低下又は減少させ得る。着用者の顔64に対するバイザー14の正確な配置は、着用者の好み、請け負う作業における特定の条件及び/又は必要条件によるものであり得る。
【0053】
取り付け機構52によって、使用が容易であり、コンパクトで、軽量なヘッドサスペンションシステム12が可能となる。取り付け機構52は、着用者がヘッドギアを装着している際にバイザー14を内側又は外側に移動するために、着用者によって容易に操作され得る。これは、軽量であり、快適なヘッドサスペンションシステム12を提供するだけでなく、着用者の頭部からヘッドギア10を外す必要なく、着用者がバイザー14の位置を調節するのを可能とする。着用者の頭部からヘッドギア10を外すのは、調節されている間、バイザーは着用者の頭部上の適所に実際にはないため、使用者がバイザー14の所望の位置を想像することが必要になるであろう。これは、ヘッドギア10を複数回にわたって外し、複数回にわたって調節することを必要とし、結果として効率を低下させ得る。
【0054】
このように、本発明の実施形態が開示されている。本発明は、開示されたもの以外の実施形態でも実施可能であることを当業者は理解するであろう。開示された実施形態は、例証の目的で提示されているのであって、制限するものではなく、本発明は、次に続く請求項によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ヘッドサスペンションシステムに取り付けられる保護ヘッドギアの斜視図。
【図2】図1のヘッドサスペンションシステムの斜視図。
【図3】取り付けアタッチメント及びバイザースライド機構の分解図。
【図4】スライドチャネルを図示する周辺ヘッドバンドの一部分の側面図。
【図5】図4に図示されるスライドチャネルに使用できるスライドアタッチメントの斜視図。
【図6a】着用者の顔から離れて配置されるバイザーを図示する断面側面図。
【図6b】着用者の顔に向けて配置されるバイザーを図示する断面側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイザーと、
着用者の頭部に支持されるのに適した可撓性周辺バンドと、
前記バイザーを前記着用者の顔の前に一般的には配置した状態で両側の取り付け位置の各々で前記バイザーを前記可撓性周辺バンドに取り付ける取り付けアタッチメントと、を含む、着用者を保護するのに適したヘッドギアであって、
前記取り付けアタッチメントは、
第一ヘッドギア部分に付随したスライドチャネルと、
第二ヘッドギア部分に付随したスライドと、を含み、
前記スライドは、前記スライドチャネル中を前記着用者の顔に対して前方及び後方に摺動することが可能であり、
前記スライドは、複数の前方及び後方位置において選択的に固定されるのが可能であり、
それによって前記バイザーは、前記着用者の顔に対して内向き及び外向きに調節され得る、着用者を保護するのに適したヘッドギア。
【請求項2】
前記第一ヘッドギア部分が、前記周辺バンドを含み、前記第二ヘッドギア部分が、前記バイザーを含む、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項3】
前記着用者が、前記ヘッドギアを装着している状態で、前記着用者によって、前記バイザーが前記着用者の顔に対して内向き及び外向きに調節され得る、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項4】
前記取り付けアタッチメントは、前記スライドが複数の前方及び後方位置に調節可能に固定され得るように、前記スライド及び前記スライドチャネルの一方の上に突起部を有し、そして前記スライド及び前記スライドチャネルの他方の上に複数の噛み合い穴を有する弾力的に偏倚したタブを有する、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項5】
前記弾力的に偏倚したタブは、前記タブと複数の噛み合い穴のうちの1つが噛み合うように弾力的に偏倚される、請求項3に記載のヘッドギア。
【請求項6】
前記着用者が前記ヘッドギアを装着している状態で、前記着用者によって前記タブは引き上げ可能であり、前記スライドは調節可能である、請求項5に記載のヘッドギア。
【請求項7】
前記着用者によって、前記バイザーが前記着用者の顔の前に一般的には配置される低位置へ、及び前記着用者の顔の上に一般的には配置される高位置へ、前記バイザーが操作され得るように、前記取り付けアタッチメントが前記バイザーに枢動可能に取り付けられる、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項8】
前記バイザーは溶接ヘルメットを含む、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項9】
着用者を保護するのに適したバイザーを有するヘッドギアのためのヘッドサスペンションシステムであって、
着用者の頭部に支持されるのに適した可撓性周辺バンドと、
前記着用者の顔の前に一般的には配置される前記バイザーの両側の取り付け位置の各々で前記バイザーを前記可撓性周辺バンドに取り付ける取り付けアタッチメントと、を含み、
前記取り付けアタッチメントが、
第一ヘッドギア部分に付随したスライドチャネルと、
第二ヘッドギア部分に付随したスライドと、を含み、
前記スライドは、前記スライドチャネル中を前記着用者の顔に対して前方及び後方に摺動することが可能であり、
前記スライドは、複数の前方及び後方位置において選択的に固定されるのが可能であり、
ぞれによって前記バイザーは、前記着用者の顔に対して内向き及び外向きに調節され得る、ヘッドサスペンションシステム。
【請求項10】
前記第一ヘッドギア部分が、前記周辺バンドを含み、かつ前記第二ヘッドギア部分が、前記バイザーを含んだ、請求項9に記載のヘッドサスペンションシステム。
【請求項11】
前記着用者が、前記ヘッドギアを装着している状態で、前記着用者によって、前記バイザーが前記着用者の顔に対して内向き及び外向きに調節され得る、請求項9に記載のヘッドサスペンションシステム。
【請求項12】
前記取り付けアタッチメントが、前記スライドが複数の前方及び後方位置に調節可能に固定され得るように、前記スライド及び前記スライドチャネルの一方の上に突起部、及び前記スライド及び前記スライドチャネルの他方の上に複数の噛み合い穴を有する弾力的に偏倚したタブを有する、請求項9に記載のヘッドサスペンションシステム。
【請求項13】
前記弾力的に偏倚したタブが、前記タブと複数の噛み合い穴のうちの1つの噛み合いへ向けて弾力的に偏倚される、請求項12に記載のヘッドサスペンションシステム。
【請求項14】
前記着用者が、前記ヘッドギアを装着している状態で、前記タブは前記着用者によって引き上げ可能であり、かつ前記スライドが調節可能である、請求項13に記載のヘッドサスペンションシステム。
【請求項15】
前記着用者によって、前記バイザーが、前記着用者の顔の前に一般的には配置される低位置、及び前記着用者の顔の上に一般的には配置される高位置に操作され得るように、前記取り付けアタッチメントが前記バイザーに取り付けられる、請求項9に記載のヘッドサスペンションシステム。
【請求項16】
前記バイザーが、溶接ヘルメットを含む、請求項9に記載のヘッドサスペンションシステム。
【請求項17】
着用者を保護するのに適したヘッドギアに付随したバイザーの配置を調節する方法であって、前記ヘッドギアが前記バイザーをヘッドサスペンションシステムに取り付けるための取り付けアタッチメントを有し、前記取り付けアタッチメントは第一ヘッドギア部分に付随したスライドチャネル及び第二ヘッドギア部分に付随したスライドを有し、前記スライドは前記着用者の顔に対して前記スライドチャネル中を前方及び後方に摺動することが可能であり、前記スライドは複数の前方及び後方位置に選択的に固定され、それによって前記バイザーは前記着用者の顔に対して内向き及び外向きに調節され、
前記スライドに付随したタブを解放する工程と、
前記タブを使用する前記スライドチャネルに対して前記スライドを摺動する工程と、
前記タブを外すことで、複数の前方及び後方位置のうちの1つに前記スライドを選択的に固定する工程と、を含む方法。
【請求項18】
前記第一ヘッドギア部分が、前記周辺バンドを含み、かつ前記第二ヘッドギア部分が、前記バイザーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記摺動工程が、前記着用者が前記ヘッドギアを装着している状態で達成され得る、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記取り付けアタッチメントが、前記スライドが複数の前方及び後方位置に調節可能に固定され得るように、前記スライド及び前記スライドチャネルの一方の上に突起部、及び前記スライド及び前記スライドチャネルの他方の上に複数の噛み合い穴を有する弾力的に偏倚したタブを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記弾力的に偏倚したタブが、前記タブと複数の噛み合い穴のうちの1つの噛み合いへ向けて弾力的に偏倚される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記摺動工程が、前記着用者が前記ヘッドギアを装着している状態で達成され得る、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記着用者によって、前記バイザーが、前記着用者の顔の前に一般的には配置される低位置、及び前記着用者の顔の上に一般的には配置される高位置に操作され得るように、前記取り付けアタッチメントが前記バイザーに取り付けられる、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記バイザーは溶接ヘルメットを含む、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2009−534120(P2009−534120A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506694(P2009−506694)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/066528
【国際公開番号】WO2007/121304
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】