説明

警備装置

【課題】犯罪者によるセンサ検知とその他の要因によるセンサ検知とを区別して異常を報知する。
【解決手段】警備装置4は、警備領域Eへの侵入者を監視するセンサ2が異常を検知した場合に報知するものであり、警備領域Eに設置された電気機器の電気エネルギーの消費量を取得する取得部4bと、センサ2が異常を検知すると、所定期間の間において取得部4bにて取得した消費量の変化に基づき異常の緊急度を判定する判定部12と、判定部12にて緊急度が高いと判定した場合に、緊急度が高くない場合と区別して報知するための出力部として通信部4c、表示部4d、鳴動部4eを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、オフィスビル、マンション、戸建住宅などの各種物件の警備領域への侵入者を監視する警備装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、オフィスビル、マンション、戸建住宅などの各種物件の警備領域への侵入を検知するセンサを設け、警備領域への侵入者の監視を行う警備セットモードが警備モードとして設定されている間に、センサが警備領域への侵入を検知した場合に、異常と判定して遠隔地に設けられた監視センタに通信回線を介してこの旨を通報する警備装置が知られている(例えば、下記特許文献1)。
【0003】
ところが、従来の警備装置では、警備領域において犯罪行為を行う犯罪者だけを特定してセンサが検知するとは限らず、その他の要因でもセンサが検知してしまうことがある。このため、警備装置が異常と誤判定してしまう場合がある。
【0004】
例えば、利用者が、警備セットモードの設定を解除することを忘れた状態で警備領域に誤って進入してしまった場合には、センサが利用者を検知して警備装置が異常と誤判定してしまうことがある。
【0005】
また、センサの誤報要因(例えば、小動物や外乱光など)によってセンサが検知した場合も、警備装置が異常と誤判定してしまうことがある。
【0006】
この一方で、例えば、オフィスビル、マンション、戸建住宅などの各種物件において使用する電力の消費量を監視する電力監視装置が一般に知られている(例えば、下記特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−36685号公報
【特許文献2】特開昭63−1325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に開示されるような電力監視装置が取得している電力の消費量を、上記特許文献1に開示されるような警備装置における異常判定の際に考慮に入れることは考えられていなかった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、各種物件の警備領域における電力の消費量を異常判定の際の考慮に入れることで、犯罪者によるセンサ検知とその他の要因によるセンサ検知とを区別して異常を報知することのできる警備装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、本願請求項1に係る警備装置は、警備領域への侵入を監視するセンサが異常を検知した場合に報知する警備装置において、
前記警備領域に設置された電気機器の電気エネルギーの消費量を取得する取得部と、
前記センサが異常を検知すると、所定期間の間において前記取得部にて取得した消費量の変化に基づき前記異常の緊急度を判定する判定部と、
前記判定部にて緊急度が高いと判定した場合に、緊急度が高くない場合と区別して前記報知する出力部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本願請求項2に係る警備装置は、請求項1の警備装置において、
前記判定部は、前記所定期間の間において前記取得部にて取得した消費量が、第1の所定量以上増加しない場合に、前記第1の所定量以上の増加した場合よりも前記緊急度が高いと判定することを特徴とする。
【0012】
本願請求項3に係る警備装置は、請求項1の警備装置において、
前記判定部は、前記所定期間の間において前記取得部にて取得する消費量が、第2の所定量以上減少した場合に、前記第2の所定量以上減少しない場合よりも前記緊急度が高いと判定することを特徴とする。
【0013】
本願請求項4に係る警備装置は、請求項1の警備装置において、
前記判定部は、前記所定期間の間において前記取得部にて取得する消費量が、第3の所定量以上増加又は減少した場合に、前記第3の所定量以上増加又は減少を検出しない場合よりも前記緊急度が高いと判定することを特徴とする。
【0014】
本願請求項5に係る警備装置は、請求項1乃至4のいずれか一項の警備装置において、
現在時刻を計時する時計部と、
所定時間帯を記憶する記憶部とを備え、
前記判定部は、前記センサが異常を検知した時刻が前記所定時間帯に含まれていることを条件として、前記緊急度が高いと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願請求項1に係る警備装置では、センサの検知情報だけではなく、警備領域における電気エネルギーの消費量の変化も考慮して異常の緊急度を判定し、報知するので、異常への対応者は、異常の緊急度に応じた対応を取ることができる。
【0016】
本願請求項2に係る警備装置では、警備領域に侵入した犯罪者が利用者とは異なり電気機器の電源をONしないように行動するという特性を、電気機器の電気エネルギーの消費量の変化から捉えることができるので、異常への対応者は、利用者が誤って警備領域に進入してしまった場合の異常と区別することができる。
【0017】
本願請求項3に係る警備装置では、電源OFFを禁止する電気機器が警備領域に設置されている場合などに、電気機器を犯罪者がOFFした可能性があるという緊急度の高い異常を、他の異常と区別して報知することができる。
【0018】
本願請求項4に係る警備装置では、電気機器の電気エネルギーの消費量が変化した場合、小動物や外乱光によるセンサの誤検知の場合とは異なり、人が監視領域に侵入した可能性が高いとして緊急度が高いと判定することができる。
【0019】
本願請求項5に係る警備装置では、所定時間帯として、例えば、犯罪者が電気機器の電源を極力ONしないように行動するという特性が特に顕著に表れる夜間の時間帯を設定しておけば、緊急度を精度よく判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る警備装置を含む警備システムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明に係る警備装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る警備装置における警備セットモード設定時の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る警備装置における第1の判定処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る警備装置における第2の判定処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る警備装置における第3の判定処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明に係る警備装置を含む警備システムの全体構成を示す図、図2は警備装置の内部構成を示すブロック図、図3は警備装置における警備セットモード設定時の動作を示すフローチャート、図4は警備装置における第1の判定処理の動作を示すフローチャート、図5は警備装置における第2の判定処理の動作を示すフローチャート、図6は警備装置における第3の判定処理の動作を示すフローチャートである。
【0022】
本発明は、犯罪者の行動によるセンサ検知と、利用者の行動によるセンサ検知と、誤報要因(例えば、小動物や外乱光など)によるセンサ検知とでは、それぞれセンサ検知前後における警備領域での電力消費量の変化が異なってくる点に着目してなされたものである。
【0023】
まず、本発明に係る警備装置を含む警備システムの全体構成について説明する。警備システム1は、図1に示すように、例えば、オフィスビル、マンション、戸建住宅などの各種物件の警備対象となる警備領域Eに設けられるセンサ2と、電力検出装置3と、警備装置4と、この警備装置4と通信回線を介して接続される遠隔の監視センタ5とから構築される。各警備領域Eの警備装置4には、同一領域内のセンサ2及び電力検出装置3が接続される。また、監視センタ5には、複数の警備領域Eにそれぞれ設けられた警備装置4が接続される。
【0024】
以下、警備システム1を構築するセンサ2、電力検出装置3、警備装置4、監視センタ5の各構成について説明する。
【0025】
センサ2は、警備領域Eへの侵入者を検知したときに異常を検知した旨の検知信号を警備装置4へ送信する。センサ2としては、例えば扉や窓などの可動部材の移動を検知するマグネットセンサ、窓ガラスの振動を検知するガラスセンサ、赤外線の受光量の変化を検知する受動型赤外線センサ、赤外線を投受光して遮断を検知する対向式赤外線センサ、撮像した画像と基準画像とを比較して画像の変化を検知する画像センサなどの種類がある。これら公知の侵入者検出用のセンサは、警備領域Eの環境に適した種類のものが適宜必要な数だけ設置される。
【0026】
電力検出装置3は、警備領域Eに設置された照明や空調その他の電気機器の消費電力量を測定し、測定した消費電力量の変動に応じた電力量データを警備装置4へ送信する。電力検出装置3は、例えば電力会社の電力メータであり、被測定負荷である各電気機器の電圧値及び電流値から電力消費量を測定し、電力消費量の変動に応じたパルス信号の電力量データを出力する。パルス信号の電力量データは警備装置4に入力され、警備装置4において電力量データのパルス信号数をカウントすることで警備領域Eにおける電力消費量が計数される。
【0027】
この電力検出装置3としては、上記電力メータの他に、クランプ型等の電力量センサを用いて、電気機器が接続された三相3線式、単相3線式、単相2線式のフィーダの電流、電圧値を所定時間間隔毎に計測し、この計測による電力量データを警備装置4へ出力することもできる。
【0028】
警備装置4は、図2に示すように、センサI/F4a、取得部4b、通信部4c、表示部4d、鳴動部4e、操作部4f、時計部4g、記憶部4h、制御部4iを備えて構成される。
【0029】
センサI/F4aは、センサ2から送信される検知信号を警備装置4が受信するためのインターフェースである。センサI/F4aは、受信した検知信号を制御部4iへ出力する。
【0030】
取得部4bは、電力検出装置3から送信される電力量データを受信する。取得部4bは、受信した電力量データを電力消費量に変換して制御部4iに出力する。
【0031】
通信部4cは、制御部4iの制御に基づき、通信回線を介して監視センタ5へ所定の信号を送信する。
【0032】
表示部4dは、例えば液晶表示器から構成され、制御部4iからの制御に基づいて各種表示を行う。
【0033】
鳴動部4eは、例えばスピーカで構成され、制御部4iからの制御に基づいて周囲に音声を出力する。なお、通信部4c、表示部4d、鳴動部4eの何れか又はその組合せは、後述する判定部12にて警備領域Eへの侵入による異常の緊急度が高いと判定した場合に、異常の緊急度が高くないと判定した場合と区別して異常を報知する本願発明の出力部の例に相当するものである。
【0034】
操作部4fは、利用者が警備モードの設定操作をするためのカードリーダ及び操作ボタンから構成される。操作部4fは、利用者が所持するカードのカード情報(暗証情報など)をカードリーダにて読み取り、このカード情報を制御部4iに出力する。また、操作部4fは、利用者が操作した操作ボタンの操作情報を制御部4iに出力する。
【0035】
時計部4gは、現在の時刻を計時し、計時した時刻を制御部4iに出力する。
【0036】
制御部4iは、CPU、ROM/RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、警備装置4の各部を統括制御する。そのために、制御部4iは、このマイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるモジュールとして、モード設定部11、判定部12、及び異常処理部13を有する。なお、上述した記憶部4hは、制御部4iが有する記憶媒体の一部として実現されてもよい。
【0037】
モード設定部11は、操作部4fから出力されたカード情報及び操作ボタンの操作情報に基づき警備モードの設定を行う。具体的に、モード設定部11は、警備モードを所定のモード(後述する警備セットモード又は警備解除モード)に変更する旨の操作情報及びカード情報が操作部4fから出力されると、出力されたカード情報が記憶部4hに記憶されているカード情報と一致すれば、後述する警備モード記憶領域22に記憶されている警備モードを所定のモード(後述する警備セットモード又は警備解除モード)へと上書きする。これに対し、カード情報が一致しない場合は、認証不一致の旨を表示部4dに表示する。
【0038】
判定部12は、後述する図3のフローチャートに基づく動作を実行し、センサI/F4aから出力されるセンサ2の検知信号が出力されたときに異常と判定する。その際、判定部12は、取得部4bから出力される電力消費量の変化に基づいて後述する図4〜図6のフローチャートに基づく判定処理を実行し、判定した異常の緊急度を判定する。
【0039】
異常処理部13は、判定部12にて異常が判定されたときに、通信部4cを制御して警備対象の識別コードとともに異常信号を監視センタ5へ送信する。また、異常処理部13は、判定部12にて異常の緊急度が判定されたときに、通信部4cを制御して緊急度を警備対象の識別コードとともに監視センタ5へ送信する。なお、この緊急度は、後述する判定処理にて判定部12が警備領域Eへの侵入による異常の緊急度「高」と判定したときのみ、警備対象の識別コードとともに監視センタ5へ送信しても良い。そして、異常処理部13は、監視センタ5にて、緊急度「高」の異常を他の異常と区別するように出力部を制御するものであれば良い。
【0040】
記憶部4hは、認証情報記憶領域21、警備モード記憶領域22、時間帯記憶領域23、基準変化量記憶領域24、判定時間記憶領域25、電力消費量記憶領域26を有する。以下、各記憶領域について説明する。
【0041】
認証情報記憶領域21は、警備モードの設定を許容する利用者が所持するカードのカード情報を記憶する。
【0042】
警備モード記憶領域22は、現在設定されている警備モードを記憶する。なお、警備モードには、警備領域Eへの侵入者の監視を行う警備セットモードと、警備領域Eへの侵入者の監視を行わない警備解除モードとがある。
【0043】
時間帯記憶領域23は、異常の緊急度の判定処理を実行する所定時間帯(後述する第1の判定処理を実行する時間帯)の情報を記憶する。
【0044】
基準変化量記憶領域24は、電力消費量の変化度合いを判定するための基準変化量を記憶する。
【0045】
判定時間記憶領域25は、異常判定時を基準として、電力消費量の変化度合いを判定する時間である所定期間の開始と終了を記憶する。具体的には、所定期間の開始及び終了が、異常判定時よりも何時間前か後か、又は異常判定時かという時間情報を記憶する。
【0046】
電力消費量記憶領域26は、過去に取得した電力消費量をその取得時刻と対応付けて記憶する。なお、この記憶処理は、取得部4bから出力される消費電力量に基づいて制御部4iが行う。
【0047】
監視センタ5は、各警備装置4から送信される各種の信号を通信部5aを介してセンタ装置5bにて受信する。センタ装置5bは、CPU、ROM/RAM等からなる端末装置及びその周辺装置で構成され、受信した信号から異常に関する情報及び緊急度の情報を表示する。監視センタ5の監視員は、この表示をモニタし、緊急度等に応じて、警察に通報したり監視対象の近傍に待機する対処員に監視対象の点検をする等の指示を行うなどの対応をとる。
【0048】
次に、上記のように構築される警備システム1における警備装置4の動作について図3〜図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0049】
まず、警備装置4による警備セットモード設定時の動作について図3を参照しながら説明する。警備装置4は、モード設定部11にて警備セットモードが設定された状態で、センサI/F4aからセンサ2の検知信号が出力されたか否か、すなわち異常検知であるか否かを判別する(ST1)。そして、異常検知であると判別すると、監視対象に異常が発生した旨の異常信号を監視センタ5に送信して異常通知する(ST2)。その後、検知した異常の緊急度を判定するための判定処理として、図4〜図6のフローチャートに示す第1乃至第3のいずれか1つの判定処理を実行し(ST3)、この判定処理の結果に応じて監視センタ5に緊急度を通知する(ST4)。その後、モード設定部11にて警備解除モードが設定されたか否かを判別する(ST5)。警備解除モード設定がされたと判別すると、処理を終了する。これに対し、警備解除モードが設定されていないと判別すると、警備セットモードの設定がそのまま継続され、ST1の処理に戻る。
【0050】
次に、警備装置4による判定処理(第1の判定処理、第2の判定処理、第3の判定処理)の動作について図4〜図6を参照しながら説明する。
【0051】
(第1の判定処理)
警備対象に侵入する犯罪者は、警備領域Eに侵入した場合に、警備領域E外にいる人に気付かれないように行動するという特性がある。具体的に、犯罪者は、警備領域E内の照明を点けることや、その他の電気機器の電源を不用意にONすることを極力避けようとする。これに対し、利用者は、警備セットモードの設定を解除することを忘れ、警備領域Eに誤って侵入してしまった場合、何らかの行動を行うために照明や空調などをはじめとした電気機器の電源をONする。つまり、異常検知した場合の電力消費量の変化度合いは、利用者よりも犯罪者の方が小さく変化するものと想定される。
【0052】
そこで、第1の判定処理では、上記の点を考慮して、記憶部4hの基準変化量記憶領域24に第1の所定量W1を記憶する。この第1の所定量W1は、利用者が警備領域Eに進入して活動を行う場合に最低必要な照明やその他の電気機器の電源をONしたときに増加する電力消費量に略等しい値とする。そして、この所定量W1に基づき、電力消費量の変化度合いを監視する。
【0053】
また、記憶部4hの時間帯記憶領域23に「午後8時〜午前4時」を記憶する。このような夜間の時間帯を記憶するのは、日中に比べて、周囲が暗い環境の方が照明の点灯などをした場合に目立つことから、犯罪者は照明の点灯を避ける傾向が強まるのに対し、警備領域E内は暗くなることから、利用者は照明の点灯を行う傾向が強まるので、両者の行動による電力消費量の差が顕著になるということに基づいている。さらに、記憶部4hの判定時間記憶領域25は、所定期間の開始を異常検知時の「3分前」、所定期間の終了を「5分後」として記憶する。
【0054】
上記のような条件下において、第1の判定処理では、図4に示すように、まず時計部4gから現在時刻を取得する(ST11)。続いて、取得した現在時刻がT1からT2の時間範囲内であるか否かを判別する(ST12)。具体的には、取得した現在時刻がT1=午後8時からT2=午前4時の時間範囲内であるか否かを判別する。そして、取得した現在時刻がT1からT2の時間範囲内ではないと判別すると、第1の判定処理を終了する。これに対し、取得した現在時刻がT1からT2の時間範囲内であると判別すると、電力消費量記憶領域26から判定開始時の電力消費量Wsを取得する(ST13)。そして、閾値TH1=Ws+W1を算出する(ST14)。その後、判定終了タイマを起動する(ST15)。続いて、現在の電力消費量Wpを取得する(ST16)。そして、現在の電力消費量Wpが算出した閾値TH1以上か否かを判別する(ST17)。
【0055】
ここで、現在の電力消費量Wpが算出した閾値TH1以上と判別すると、検知した異常は、利用者が誤って警備領域Eに進入したことによる可能性も含まれるため、緊急度「中」と判定する(ST18)。その後、判定終了タイマをクリアし(ST19)、第1の判定処理を終了する。これに対し、現在の電力消費量Wpが算出した閾値TH1以上でない、言い換えれば現在の電力消費量Wpが算出した閾値TH1未満と判別すると、現在時刻がT2になって判定終了か否かを判別する(ST20)。そして、現在時刻がT2になって判定終了であると判別すると、検知した異常は、犯罪者が警備領域Eに侵入した可能性が高いため、緊急度「高」と判定する(ST21)。その後、判定終了タイマをクリアし(ST19)、第1の判定処理を終了する。これに対し、現在時刻がT2にならず判定終了でないと判別すると、ST16の処理に戻る。
【0056】
(第2の判定処理)
第2の判定処理は、警備領域E内に電源OFFしてはならない電気機器がある場合(例えば、発電所や浄水施設など)に、特に好適な処理である。このような警備領域Eにおける犯罪者は、利用者とは異なって、電気機器を故意にOFFすることが考えられる。つまり、異常検知した場合の電力消費量の変化度合いは、利用者よりも犯罪者の方が大きく変化するものと想定される。
【0057】
そこで、第2の判定処理では、上記の点を考慮して、記憶部4hの基準変化量記憶領域24に第2の所定量W2を記憶する。この第2の所定量W2は、電源OFFしてはならない電気機器をONからOFFしたときの電力量の変動量よりも小さな値とする。そして、この所定量W2に基づき電力消費量の変化度合いを監視する。
【0058】
また、記憶部4hの判定時間記憶領域25は、所定期間の開始を「3分後」、所定期間の終了を「10分後」として記憶する。これは、建物屋外の敷地も警備領域Eとなっており、敷地の外周も対向式の赤外線センサなどで侵入者の監視を行っていることを想定したものである。
【0059】
そして、所定時間の開始は、犯罪者が、この赤外線センサによって検知されてから建物内部に入り、電源OFFしてはならない電気機器の電源をOFFするまでには、早くても3分はかかることを考慮したものとなっている。
【0060】
上記のような条件下において、第2の判定処理では、図5に示すように、まず現在時刻が判定開始時間であるか否かを判別する(ST31)。現在時刻が判定開始時間であると判別すると、現在の電力消費量Wpを取得する(ST32)。続いて、閾値TH2=WpーW2を算出する(ST33)。そして、判定終了タイマを起動する(ST34)。その後、現在の電力消費量Wpを取得する(ST35)。そして、現在の電力消費量Wpが算出した閾値TH2より大きいか否かを判別する(ST36)。
【0061】
ここで、現在の電力消費量Wpが算出した閾値TH2より大きくない、言い換えれば現在の電力消費量Wpが算出した閾値TH2以下と判別すると、検知した異常は、犯罪者が警備領域Eに侵入したことによる可能性が高いため、緊急度「高」と判定する(ST37)。そして、判定終了タイマをクリアし(ST38)、第2の判定処理を終了する。これに対し、現在の電力消費量Wpが算出した閾値TH2より大きいと判別すると、現在時刻が判定終了時間となって判定終了であるか否かを判別する(ST39)。そして、現在時刻が判定終了時間となって判定終了であると判別すると、検知した異常は、利用者が誤って警備領域Eに進入したことによる可能性を含むため、緊急度「中」と判定する(ST40)。そして、判定終了タイマをクリアし(ST38)、第2の判定処理を終了する。現在時刻が判定終了時間とならず判定終了でないと判別すると、ST35の処理に戻る。
【0062】
(第3の判定処理)
第3の判定処理は、利用者が警備領域Eに進入することが滅多になく、利用者によって警備装置4が異常を判定してしまうことをほとんど考慮しなくてもよい警備領域Eに対し、特に好適な処理である。
【0063】
第3の判定処理では、上記のような警備領域Eにおいて、電気機器の電源がON又はOFFされて電力消費量に変動があった場合、犯罪者によるものと判断してよいということを考慮したものとなっている。
【0064】
また、第3の判定処理は、センサ2の誤報要因である小動物や外乱光などによる異常の場合、警備領域E内の電気機器が電源ON又はOFFされることはない点も考慮したものである。これらの点を考慮すると、異常検知した場合の電力消費量の変化度合いは、誤報要因よりも犯罪者の方が大きく変化するものと想定される。
【0065】
そこで、第3の判定処理では、上記の点を考慮して、記憶部4hの基準変化量記憶領域24に第3の所定量W3を記憶する。この第3の所定量W3は、電源を常時ONしている電気機器をONしている場合に消費する電力量の変動量を考慮し、この変動量にあそびを加えた値とする。そして、この所定量W3に基づき電力消費量の変化度合いを監視する。
【0066】
また、記憶部4hの判定時間記憶領域25は、所定期間の開始を「5分前」、所定期間の終了を「1分前」として記憶する。これは、警備領域Eとしての建物内部の一部の領域だけ(例えば、金庫が設置してある部屋だけなど)にセンサ2を設置している場合に、犯罪者が建物内部に侵入してからセンサ2を設置している領域に更に侵入して異常が判定されるまでに、照明などの電気機器をONする可能性があることを考慮したものである。
【0067】
上記のような条件下において、第3の判定処理では、図6に示すように、まず判定開始時の電力消費量Ws、判定終了時の電力消費量Weを電力消費量記憶領域26から取得する(ST51)。そして、We−Wsの絶対値がW3より大きいか否かを判別する(ST52)。We−Wsの絶対値がW3より大きいと判別すると、検知した異常は、犯罪者が警備領域Eに侵入したことによる可能性が高いため、緊急度「高」と判定し(ST53)、第3の判定処理を終了する。We−Wsの絶対値がW3より大きくない、すなわちWe−Wsの絶対値がW3以下と判別すると、検知した異常は、誤報要因による可能性を含むため、緊急度「高」の判定はせずに第3の判定処理を終了する。
【0068】
このように、本実施の形態の警備装置4は、電力消費量の変化を用いて警備領域Eにおける異常の緊急度を判定している。すなわち、警備装置4は、センサ2の検知情報だけではなく、警備領域Eにおける電気エネルギーの消費量の変化をも考慮して警備領域Eにおける異常の緊急度を判定し、報知するので、異常への対応者は、異常の緊急度に応じた対応を取ることができる。
【0069】
また、本実施の形態の警備装置4によれば、実行する判定処理(第1の判定処理、第2の判定処理、第3の判定処理)に応じて以下に説明するような効果を奏する。
【0070】
まず、警備装置4は、第1の判定処理(図4参照)の実行により、電力量が上昇しない場合は警備領域Eにおける異常の緊急度が高いと判定している。これにより、警備装置4は、警備領域Eに侵入した犯罪者が利用者とは異なり電気機器の電源をONしないように行動するという特性を、消費量の変化から捉えることができるので、異常への対応者は、犯罪者が侵入した可能性が高い異常を他の異常と区別することができる。
【0071】
そして、警備装置4は、犯罪者が電気機器の電源を極力ONしないように行動するという特性が特に顕著に表れる夜間の時間帯に所定時間帯を設定し、上記第1の判定処理を深夜の時間帯に行えば、さらに緊急度を精度よく判定できる。
【0072】
また、警備装置4は、第2の判定処理(図5参照)の実行により、電力量が下降した場合は警備領域Eへの犯罪者の侵入による異常の緊急度が高いと判定している。これにより、警備装置4は、電源OFFを禁止する電気機器が警備領域Eに設置されている場合などに、この電気機器を犯罪者がOFFした可能性があるという緊急度の高い異常を、他の異常と区別して報知することができる。
【0073】
さらに、警備装置4は、第3の判定処理(図6参照)の実行により、通常の微弱な変化以上に電力消費量が変化した場合に警備領域Eにおける異常の緊急度が高いと判定している。これにより、警備装置4は、電力消費量が変化した場合に、小動物や外乱光によるセンサ2の誤検知の場合とは異なり、人が監視領域Eに侵入した可能性が高いとして緊急度が高いと判定することができる。
【0074】
なお、本実施の形態においては、電力消費量の変化度合いを監視するための処理を、現在の電力消費量と所定量とを比較することで行っていたが、これに限られるものではない。例えば、判定開始から判定終了までにおける消費電力を積算した積算値と所定量とを比較することで変化度合いを監視するようにしても良い。
【0075】
また、第1の判定処理同様、第2、第3の判定処理においては、犯罪者の侵入する可能性の低い時間帯を除く時間帯に所定時間帯を設定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 警備システム
2 センサ
3 電力検出装置
4 警備装置
4a センサI/F
4b 取得部
4c 通信部
4d 表示部
4e 鳴動部
4f 操作部
4g 時計部
4h 記憶部
4i 制御部
5 監視センタ
11 モード設定部
12 判定部
13 異常処理部
21 認証情報記憶領域
22 警備モード記憶領域
23 時間帯記憶領域
24 基準変化量記憶領域
25 判定時間記憶領域
26 電力消費量記憶領域
E 警備領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備領域への侵入を監視するセンサが異常を検知した場合に報知する警備装置において、
前記警備領域に設置された電気機器の電気エネルギーの消費量を取得する取得部と、
前記センサが異常を検知すると、所定期間の間において前記取得部にて取得した消費量の変化に基づき前記異常の緊急度を判定する判定部と、
前記判定部にて緊急度が高いと判定した場合に、緊急度が高くない場合と区別して前記報知する出力部とを備えたことを特徴とする警備装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記所定期間の間において前記取得部にて取得した消費量が、第1の所定量以上増加しない場合に、前記第1の所定量以上の増加した場合よりも前記緊急度が高いと判定することを特徴とする請求項1記載の警備装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記所定期間の間において前記取得部にて取得する消費量が、第2の所定量以上減少した場合に、前記第2の所定量以上減少しない場合よりも前記緊急度が高いと判定することを特徴とする請求項1記載の警備装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記所定期間の間において前記取得部にて取得する消費量が、第3の所定量以上増加又は減少した場合に、前記第3の所定量以上増加又は減少を検出しない場合よりも前記緊急度が高いと判定することを特徴とする請求項1記載の警備装置。
【請求項5】
現在時刻を計時する時計部と、
所定時間帯を記憶する記憶部とを備え、
前記判定部は、前記センサが異常を検知した時刻が前記所定時間帯に含まれていることを条件として、前記緊急度が高いと判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の警備装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−180696(P2011−180696A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42442(P2010−42442)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】