警報システム並びに中継器ノード及び電波中継ノード
【課題】警報システムにおいて警戒区域間の双方向通信を可能にし、システム性能やシステムユーザの利便性を向上できるようにする。
【解決手段】監視区域1F〜3Fにおいて警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機3と、監視区域1F〜3Fに対応して設置された無線監視回線を通じて受信したイベント信号を受信機3へ送信する複数の中継器ノード5と、を備え、異なる無線監視回線のそれぞれに対応する中継器ノード5どうしを、双方向の伝送路4によって接続する。
【解決手段】監視区域1F〜3Fにおいて警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機3と、監視区域1F〜3Fに対応して設置された無線監視回線を通じて受信したイベント信号を受信機3へ送信する複数の中継器ノード5と、を備え、異なる無線監視回線のそれぞれに対応する中継器ノード5どうしを、双方向の伝送路4によって接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、警報システム並びに中継器ノード及び電波中継ノードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警報システムの一例として、所定の監視区域(警戒区域)おける火災の発生を監視し、火災発生を警報する火災自動通報システムが知られている。このようなシステムには、近年、火災発生を示す信号を無線により伝送する無線式のシステムもある。
【0003】
例えば、ビル等の建物の各フロアといった警戒区域単位で1又は複数の無線式感知器を例えば設置し、いずれかの無線式感知器で火災の発生を検出すると、火災発生を示す無線信号を同じフロアに設置され当該無線感知器の回線に対応した無線受信用中継器に送信する。無線受信用中継器は、感知器回線を介して火災受信機と接続されており、火災発生を示す信号を無線感知器から無線により受信すると、火災発報信号を火災受信機に送信する。そして、火災受信機は、火災発報信号を受信すると、火災警報を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−041545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術は、警戒区域毎の通信態様について記載するに留まり、警戒区域間の通信態様については検討されていない。
【0006】
本発明の目的の1つは、警報システムにおいて警戒区域間の双方向通信を可能にし、システム性能やシステムユーザの利便性を向上できるようにすることにある。
【0007】
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の警報システムの一態様は、監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機と、監視区域に対応して設置された無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する複数の中継器ノードと、を備え、異なる無線監視回線のそれぞれに対応する中継器ノード同士が、双方向の伝送路によって接続される。
【0009】
また、本発明の中継器ノードの一態様は、監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機に接続された中継器ノードであって、イベント信号を受信する受信部と、前記受信部によって第1の監視区域に対応して設置された第1の無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する送信部と、第2の監視区域に対応して設置された第2の無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する第2の中継器ノードとの間で、双方向の伝送路を通じて通信する通信部と、を備える。
【0010】
更に、本発明の電波中継ノードの一態様は、監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機と、監視区域に対応して設置された無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する複数の中継器ノードと、を備えた警報システムにおいて第1の監視区域に対応して設置された第1の無線監視回線に属する電波中継ノードであって、前記第1の無線監視回線に対応する第1の中継器ノードとの間の双方向の無線リンク、及び、第2の監視区域に対応して設置された第2の無線監視回線に対応する第2の中継器ノードと前記第1の中継器ノードとの間の双方向の伝送路を通じて、前記第2の無線監視回線と通信する通信部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の警報システムの一例である自動火災報知システムの構成例を示す図である。
【図2】図1に例示する無線受信用中継器、無線式感知器及び電波中継器の構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態で用いるコマンドのフォーマットの一例を示す図である。
【図4】本実施形態で用いる情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】本実施形態における発報イベント処理及び生存確認処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態における発報イベント処理及び生存確認処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態における発報イベント処理及び生存確認処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態における接続確認処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態における情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態における情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態における情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態における接続確認処理の一例を示すシーケンス図である。
【図13】本実施形態における情報取得処理の一例を示すシーケンス図である。
【図14】本実施形態における情報取得処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。但し、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。
【0013】
(自動火災報知システムの構成)
図1は、本実施形態の警報システムの一例である自動火災報知システム1の構成例を示す図である。図1に例示する自動火災報知システム1(以下、単に「システム1」ともいう。)は、例えば、ビル等の建物2を監視対象とする。自動火災報知システム1は、例えば、P型又はR型の受信機3と、1又は複数の無線受信用中継器5と、1又は複数の無線式感知器6と、1又は複数の電波中継器7とを備える。
【0014】
ここで、無線式感知器6は、それぞれ内蔵の電池電源により動作する。このため信号線だけでなく電源線についても配線の必要がなくなり、設置上の利便性を向上することができる。電波中継器7も同様とすることができる。
【0015】
無線受信用中継器5及び無線式感知器6は、それぞれ中継器ノード及び送信端末の一例であり、例えば、建物2の各階(1F〜3F)のそれぞれにつき少なくとも1つ設置される。なお、本例では、便宜的に建物2の1つの階が1つの警戒区域に相当すると考えるが、警戒区域の設定態様は適宜に変更してよい。
【0016】
受信機3は、例えば、建物2の1階(1F)に設置され、有線又は無線の伝送路4を介して各階に設置された無線受信用中継器5と接続されている。有線伝送路4の一例は、P型の感知器回線である。この感知器回線は、L線とC線とを有し、L線とC線との間に発報電流を流す接点出力動作により、無線受信用中継器5から受信機3に発報信号を送信することができる。なお、無線受信用中継器5の動作電源も、このL線、C線を介して受信機3から供給される。受信機3(この場合P型受信機)からはこのような感知器回線が1または複数引き出されており、回線毎に無線受信用中継器5を1台ずつ接続している。図1では複数のP型感知器回線を有線伝送路4としてまとめて図示している。
【0017】
無線受信用中継器5は、1又は複数の無線式感知器6が送信した無線信号を受信することができる。無線式感知器6の送信無線信号が十分な電波強度で無線受信用中継器5に届かない場合には、電波中継器7を補完的に設置することができる。電波中継器7は、1又は複数の無線式感知器6から受信した無線信号を無線受信用中継器5へ無線により中継送信する電波中継ノードの一例である。図1においては、建物2の2階及び3階にそれぞれ電波中継器7が設置された様子を例示している。なお、無線式感知器6から無線信号を受信した1の電波中継器7で中継送信された無線信号が、同一回線に対応する他の電波中継器7による再中継を経て無線受信用中継器5で受信されるといった伝送経路も設定し得るが、説明を省略する。
【0018】
無線受信用中継器5は、それぞれ同一階に設置された無線式感知器6及び/又は電波中継器7が送信した無線信号を受信することで、当該階の火災の発生の有無を受信機3に通報することができる。別言すれば、各階に設置された無線受信用中継器5は、それぞれ同一階に設置された無線式感知器6(電波中継器7が設置されている階においては無線式感知器6及び電波中継器7)と共に無線ネットワークによる無線監視回線に属する一例を成す。これは、建物2の1つの階が1つの警戒区域に相当し、当該警戒区域毎に無線監視回線が設置されているとみることができる。
【0019】
無線式感知器6は、例えば火災によって発生する熱、煙、炎、一酸化炭素のいずれかを単独であるいは複合的に検出することで、火災の発生を検出する。熱を検出する無線式感知器6の一例としては、定温式スポット型感知器、差動式スポット型感知器、等が挙げられる。煙を検出する無線式感知器6の一例としては、光電式スポット型感知器、イオン化式スポット型感知器、光電式分離型感知器等が挙げられる。炎を検出する無線式感知器6の一例としては、炎が放射する特定の波長(紫外線や赤外線)を検出する、紫外線式スポット型炎感知器、赤外線式スポット型炎感知器等が挙げられる。
【0020】
無線式感知器6は、検出値が所定の閾値を超える等して火災発生と判断すると、火災発生を示す信号(以下「発報イベント信号」と称することがある。)を無線により送信する。なお、火災発生は、警戒区域において警報を発すべきイベント発生の一例である。したがって、無線式感知器6には、例えば、火災に限らず、ガス漏れ、盗難、家屋侵入等の発生を示す他のイベントを検出可能な機器を適用してもよい。例えば、防犯受信機と侵入検知器、ガス漏れ受信機とガス漏れ検知器等を組み合わせる警報システムを構築してもよい。
【0021】
電波中継器7は、無線式感知器6から発報イベント信号を受信すると、受信した発報イベント信号を無線受信用中継器5宛に無線により送信すなわち中継する。電波中継器7を設けることで、無線式感知器6から送信した発報イベント信号等の無線信号が無線受信用中継器5に十分な電波強度で届かないために喪失してしまうことを防止できる(不感帯の補完)。
【0022】
無線受信用中継器5は、例えば、無線式感知器6及び/又は電波中継器7から無線により送信された発報イベント信号を受信すると、有線伝送路4を介して受信機3に発報信号を送信する。
【0023】
受信機3は、いずれかの無線受信用中継器5から発報信号を受信すると、警報処理を実施する。警報処理の一例としては、受信機3に装備された火災灯や火災の発生した警戒区域に対応する地区窓の地区灯の点灯、主音響(ブザーやベル)の鳴動、火災の発生した警戒区域の地区音響(ベル)の鳴動、非常放送設備や防火防排煙設備、消火設備などの起動が挙げられる。
【0024】
また、無線式感知器6及び電波中継器7は、それぞれが適正に動作していることを知らせるための信号(以下「生存確認信号」と称する。)を定期的に無線受信用中継器5宛に送信することができる。無線受信用中継器5は、生存確認信号を定期的に受信できているか否かを確認することで、無線式感知器6及び電波中継器7が適正に動作していること、ひいては持ち去りや電池切れ、通信障害等が発生していないことを確認することができる。
【0025】
無線受信用中継器5は、監視担当の無線監視回線に属する無線式感知器6及び/又は電波中継器7についての生存確認タイマ(例えば、プログラムによるタイマ機能)を備えてよい。生存確認タイマは、生存確認信号が受信されるとリスタートされる。生存確認タイマがリスタートされないままタイムアウトしても生存確認信号が受信されないと、無線受信用中継器5は、受信機3に対し、異常発生の旨を通知する。
【0026】
なお、無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7は、それぞれ、例えば、通信相手となり得る機器の識別子(ID)を登録(例えばメモリ等に記憶)しておくことで、登録されたIDと一致する機器と通信できる仕様あるいは設定とすることができる。
【0027】
(システム1における無線区間の通信態様)
建物2の各警戒区域(別言すると、個々の無線監視回線)において、無線式感知器6と無線受信用中継器5との間、及び、無線式感知器6と電波中継器7との間は、いずれも、無線式感知器6から無線受信用中継器5(又は電波中継器7)へ向かう方向(上り方向)である片方向の無線リンクにより接続することができる。
【0028】
別言すると、無線式感知器6は、無線受信用中継器5及び/又は電波中継器7と上り方向の無線リンクを通じて無線による送信を行なえればよい。したがって、無線式感知器6には、無線受信系を備えなくてもよいから、電波中継器7や無線受信用中継器5に比べてシステム1において設置数の多い無線式感知器6の構成を簡易にすることができる。結果として、システム1全体のコストや電力消費量を抑えることができる。また、無線式感知器6の駆動時間(電池寿命)を延ばす、あるいは無線式感知器6に求められる電池容量を抑えて無線式感知器6の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0029】
これに対し、無線受信用中継器5と電波中継器7との間は、双方向の無線リンクにより接続することができ、互いに無線による双方向通信が可能である。これにより、無線受信用中継器5と電波中継器7との間において、既述のイベント信号以外にも特定の情報を送受信することが可能になる。
【0030】
特定の情報の一例としては、コマンド等の制御情報(例えば、無線リンクの接続確認、警報処理(警報表示、報知音出力)の開始/停止等)や、機器(ノード)の設定情報(例えば、通信モード(片方向/双方向)やセンサ感度、表示形式等)、機器の動作状態に関する情報(例えば、電源/電池電圧等)、通信相手との通信状態に関する情報(例えば、イベント信号の受信履歴や送信/中継履歴、無線リンクの通信品質(例えば受信電波強度)等が挙げられる。
【0031】
別言すれば、無線受信用中継器5及び電波中継器7は、双方向の無線リンクを通じて、互いの動作を制御したり所望の情報を送受信したりすることができる。
【0032】
例えば、無線受信用中継器5は、電波中継器7に対して各種コマンドを送信することで、電波中継器7から所望の情報を受信することができる。同様に、電波中継器7は、無線受信用中継器5に対して各種コマンドを送信することで、無線受信用中継器5から所望の情報を受信することができる。
【0033】
従って、システム1の性能やシステムユーザ(以下、単に「ユーザ」という。)の利便性を向上できる。例えば、無線受信用中継器5では、電波中継器7の設定情報や動作状態に関する情報、当該電波中継器7が中継を担当する無線式感知器6の情報、当該無線式感知器6からの受信電波強度の情報、当該無線式感知器6から受信したイベント信号の中継履歴の情報、当該無線式感知器6の電池電圧の情報等のいずれかを受信して確認することができる。同等の確認を電波中継器7でも行なうことができる。従って、無線受信用中継器5が監視を担当する無線監視回線の状態を電波中継器7において確認することも可能になる。
【0034】
また、無線受信用中継器5では、イベント信号の中継(送信)履歴の情報を電波中継器7から受信することで、当該無線受信用中継器5におけるイベント信号の受信履歴との整合性を確認することができる。従って、無線通信に起因する誤報の有無等を確認することができる。例えば、電波中継器7においてイベント信号の送信履歴が記録されていないにもかかわらず、無線受信用中継器5においてイベント信号の受信履歴が記録されている場合には、無線通信に起因する誤報発生の可能性を確認できる。当該確認は、電波中継器7においても、無線受信用中継器5におけるイベント信号の受信履歴を当該無線受信用中継器5から受信することで可能である。
【0035】
更に、電波中継器7の設定情報を更新したり電波中継器7を交換したりする場合に、電波中継器7の設定情報を無線受信用中継器5から受信(ダウンロード)することも可能である。従って、電波中継器7の設定作業効率の向上、設定ミスの低減、省力化を図ることができる。
【0036】
また、無線受信用中継器5及び電波中継器7の一方又は双方において両者の間の無線接続の状況を確認することができる。従って、例えば、電波中継器7を新たに設置する場合等において、無線受信用中継器5との無線接続が可能か否かを電波中継器7において確認しながら、電波中継器7を適切な設置場所に容易に設置することができる。その結果、電波中継器7の設置作業の効率化、省力化を図ることができる。
【0037】
更に、電波中継器7から無線受信用中継器5を制御することも可能なので、例えば、無線受信用中継器5による警報(警報表示や報知音出力)の停止を電波中継器7から行なうことも可能である。或いは、電波中継器7から無線受信用中継器5を介して受信機3による警報処理を停止させることも可能である。もちろん、電波中継器7に警報出力機能が設けられている場合は、受信機3や無線受信用中継器5側からも電波中継器7による警報出力動作を停止させることができる。
【0038】
以上のような無線受信用中継器5及び電波中継器7間の無線通信区間を双方向化することによってもたらされるメリットは、機器サイズやコスト、消費電力増加等のデメリットを補って余りある。
【0039】
なお、無線式感知器6から無線受信用中継器5への電波強度が十分であり本来は電波中継が必要の無い無線監視回線に、無線受信用中継器5と無線による双方向通信が可能な電波中継器7をあえて設置しても構わない。電波中継器7をあえて設置することで、上記と同等のメリットを得ることができる。
【0040】
なお、無線受信用中継器5及び電波中継器7間の双方向の無線リンクは、片方向(例えば上り方向)の無線リンクとの間で選択的に切り替えられるようにしてもよい。当該双方向及び片方向間の無線リンクの切り替え(別言すると、通信モードの切り替え)は、例えば、無線受信用中継器5及び/又は電波中継器7に対する操作や、無線リンクを通じたコマンド等の制御情報の送信によって実施できる。
【0041】
双方向から片方向へ通信モードを切り替えると、当該切り替えに関わる機器の例えば送信処理系及び受信処理系の一方を停止してもよいので、電力消費量を抑えることができる。したがって、消費電力を抑えたい場合には、片方向の通信モード(低消費電力モード)を選択することができる。
【0042】
通信モードの切り替えを実施する態様の一例としては、以下の態様が挙げられる。
(1)双方向→片方向(電波中継器7→無線受信用中継器5)への切り替え
無線による双方向通信が可能な状態において、例えば、無線受信用中継器5についてはユーザの操作を受けて片方向モードに切り替わると共に、当該操作を受けた無線受信用中継器5から担当範囲内の電波中継器7に対して切り替えコマンドを送信する。当該コマンドを受けた電波中継器7は片方向モードに切り替わる。電波中継器7からモード切り替えを実施する場合も同様である。もちろん、無線受信用中継器5及び電波中継器7の両方を操作して個別に通信モードを切り替えてもよいが、上記のように切り替えコマンドの送信を行なう方が、機器コストや使い勝手の面で好ましい。
【0043】
(2)片方向(電波中継器7→無線受信用中継器5)→双方向への切り替え
電波中継器7から無線受信用中継器5への片方向の無線通信が可能な状態において、例えば電波中継器7についてはユーザの操作を受けて双方向モードに切り替わると共に、当該操作を受けた電波中継器7から無線受信用中継器5に対して切り替えコマンドを送信する。当該コマンドを受けた無線受信用中継器5は双方向モードに切り替わる。なお、電波中継器7及び無線受信用中継器5の両方を操作して個別に通信モードを切り替えるようにしてもよい。また、電波中継器7及び無線受信用中継器5のどちらか一方だけは常に双方向モード動作としておくことで、上記(1)と同様のモード切り替えを可能にしてもよい。
【0044】
なお、以上の通信モードの切り替え態様において、切り替えコマンドの送信は、ユーザによる切り替え操作に応じて実施してもよいし、操作後所定タイミングの到来に応じて実施してもよい。
【0045】
無線監視回線が建物2の各階(フロア)に分けて設置されている場合、異なる無線監視回線間(例えば、電波中継器7どうし)でダイレクトに無線通信を行なうことは通信環境の面から容易でない。しかし、受信機3といずれかの無線受信用中継器5との間及び無線受信用中継器5間では、互いに十分な電波強度で無線信号を受信可能(捕獲的相互通信可能)な場合がある。例えば、受信機3及び各無線受信用中継器5が建物2の階段や吹き抜け空間付近に沿ってある程度見通せるよう、上下縦列状に設置されている場合等である。このような場合、伝送路4による接続を例えば双方向の無線リンクによる接続とすることで、或いは伝送路4の回線毎に接続されている無線受信用中継器5の相互間を双方向の無線リンクによる接続とすることで、無線受信用中継器5を通じて異なる無線監視回線間の通信が可能になる。
【0046】
例えば、或る無線監視回線に属する電波中継器7は、当該無線監視回線に属する(図1の例では同一フロアに設置された)無線受信用中継器5を通じて、他の無線監視回線(図1の例において異なるフロア)に属する無線受信用中継器5や電波中継器7と制御通信や情報通信を実施することが可能である。無線監視回線間の通信は、例えば無線受信用中継器5のIDに基づいて識別制御することができる。
【0047】
したがって、既述のように1つの無線監視回線に属する無線受信用中継器5及び電波中継器7間の無線通信を双方向化することによってもたらされるメリットを、異なる無線監視回線間についても得ることができる。よって、システム1の性能やユーザの利便性を更に向上することができる。即ち、或るフロアの電波中継器7から当該フロアの無線受信用中継器5を介して異なるフロアの無線受信用中継器5や電波中継器7、送信端末6に関する情報を収集したり、それらに対する制御を行ったりすることが可能になる。また或るフロアの無線受信用中継器5からも、同様の情報収集、制御が可能になる。
【0048】
例えば、ユーザは、建物2のいずれかの階に設置された無線受信用中継器5や電波中継器7において、異なる階に設置された無線受信用中継器5や電波中継器7の動作を制御したり、異なる階に設置された無線受信用中継器5や電波中継器7、無線式感知器6の設定や動作状態、動作履歴等を確認したりすることが可能になる。別言すると、ユーザは、建物2のどの階に居ても当該階の無線監視回線のみならず、他の階の無線監視回線の状態等を適宜に確認したり制御したりすることができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0049】
なお、伝送路4は無線リンクでなくてもよい。インテリジェントな双方向通信が可能な有線伝送路4であれば、上述したような異なる無線監視回線間の双方向通信を実現できる。この場合、無線リンクに比べて伝送路4を通じた通信の信頼性を向上できる。またこのような場合、それぞれ異なるフロア(回線)に設置されている無線受信用中継器5間の相互通信は、受信機3を介して行うものとしてもよい。
【0050】
(無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7の構成例)
次に、図2に、本実施形態の無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7の構成例を示す。
【0051】
(無線式感知器6)
無線式感知器6は、例えば、センサ部11、CPU12、無線送信部13、アンテナ14及びバッテリー15を備える。
【0052】
センサ部11は、既述のように、例えば火災によって発生する熱、煙、炎、一酸化炭素のいずれかを単独であるいは複合的に検出する。センサ部11の検出値は、CPU12に与えられる。
【0053】
CPU12は、無線式感知器6の動作を統括的に制御する部分であり、例えば、メモリ(図示せず)に記憶されているプログラムの実行により実現する機能として、センサ処理部16を備える。
【0054】
センサ処理部16は、センサ部11から検出値を受け取ると、例えば、センサ部11の検出値を所定の閾値と比較し、火災発生の有無を判断する。例えば、検出値が閾値を超えると火災発生と判断する。火災発生と判断すると、センサ処理部16は、火災発生を示す発報イベント信号を生成し、無線送信部13を通じてアンテナ14から発報イベント信号を無線送信する。
【0055】
センサ処理部16は、図示しない電源監視回路を介してバッテリー15の容量(電源電圧)を監視し、容量が所定以上低下した場合には、バッテリー容量低下を示すイベント信号を生成し、無線送信部13を通じてアンテナ14から無線送信する。
【0056】
センサ処理部16は、所定時間を繰り返しカウントする生存確認タイマ(図示せず)を備える。当該生存確認タイマが所定時間をカウントする毎に(つまりは定期的に)、センサ処理部16は、生存確認信号を生成し、無線送信部13からアンテナ14を通じて生存確認信号を無線送信することができる。
【0057】
なお、センサ処理部16は、例えば、無線式感知器6の設定や状態、仕様に関する情報(例えば、センサ感度に関する情報やバッテリー容量に関する情報、検出値に関する情報等)を生成し、当該情報(以下「感知器情報」ともいう。)を含む信号(以下「感知器情報信号」ともいう。)を無線送信部13からアンテナ14を通じて無線送信してもよい。感知器情報は、生存確認信号の送信周期に同期して送信してもよいし、非同期に送信してもよい。
【0058】
無線送信部13は、例えば、CPU12から上記各種の信号を受信すると、受信した信号をアンテナ14から同一の無線監視回線に属する無線受信用中継器5及び/又は電波中継器7宛に無線送信する。
【0059】
無線送信部13による無線送信は、例えば、400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に従う。無線式感知器6は、上り方向への片方向通信によって少なくとも発報イベント信号及び生存確認信号を送信できれば足りるので、無線受信系は不要である。
【0060】
バッテリー15は、センサ部11、CPU12及び無線送信部13に対し、例えば、直流電源を供給する。
【0061】
(電波中継器7)
次に、図2に例示する電波中継器7は、例えば、操作部21、CPU22、メモリ23、表示部24、無線通信部25、アンテナ26及びバッテリー27を備える。
【0062】
操作部21は、例えば、ユーザによる操作を受け付けて、当該操作に応じた信号を生成する。ユーザによる操作の一例としては、当該電波中継器7が属する無線監視回線に対応する無線受信用中継器5との無線リンク接続確認のための操作や、当該無線受信用中継器5から特定の情報を受信(取得)するための操作、当該無線受信用中継器5を制御するための操作、無線受信用中継器5との間の通信モード(双方向−片方向)の切り替え操作等が挙げられる。これらの操作に応じた信号はCPU22に与えられる。
【0063】
CPU22は、電波中継器7の動作を統括的に制御する部分であり、例えば、メモリ23に記憶されているプログラム(図示せず)の実行により実現される機能として、中継処理部28、接続確認処理部29及び情報通信処理部30を備える。
【0064】
中継処理部28は、例えば、無線通信部25を通じて無線式感知器6が送信した無線信号(発報イベント信号、バッテリー容量低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号等)を受信すると、受信した信号を、無線通信部25を通じアンテナ26から無線受信用中継器5へ無線送信(中継)する。
【0065】
なお、中継処理部28は、電波中継器7が適正に動作していることを知らせるための生存確認信号を定期的に生成し、生成した生存確認信号を無線通信部25からアンテナ26を通じて無線受信用中継器5へ送信する。これにより、無線受信用中継器5では、電波中継器7の無線リンク接続状態について正常/異常を定期的に確認することが可能となる。生存確認信号の定期的な生成、送信のため、中継処理部28には、所定時間を繰り返しカウントする生存確認タイマを備える。
【0066】
また、中継処理部28は、無線式感知器6から受信した信号(発報イベント信号、バッテリー容量低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号)の受信履歴及び/又は送信(中継)履歴等の情報や、感知器情報信号に含まれる感知器情報をメモリ23に記録するようにしてもよい。このように記録されたメモリ23内の情報は、必要に応じ表示部25に適宜表示するようにすることができる。例えば、情報の種類に応じて常に現状表示するようにしてもよい。また操作部41の所定操作により、任意のタイミングで表示できるようにしてもよい。表示はLEDの点灯や点滅、或いは液晶表示器等のテキスト表示等、公知の表示手段と方法によって行うことができる。
【0067】
接続確認処理部29は、例えば、操作部21で受け付けられた接続確認操作に応じた信号を受け取ると、接続確認要求(コマンド)を生成し、当該接続要求を無線通信部25及びアンテナ26を通じ無線受信用中継器5へ送信する。なお、接続確認要求の生成、送信は、ユーザの操作部21に対する接続確認操作の有無に関わらず、定期的に実施するようにしてもよい。また、接続確認処理部29は、例えば、無線通信部25を通じて無線受信用中継器5から接続確認応答信号を接続確認要求の送信から所定時間内に受け取ると、当該無線受信用中継器5との無線通信が可能(接続確認結果が良好)であると判断する。判断結果は、例えば表示部24に表示してよい。
【0068】
また、接続確認処理部29は、例えば、無線通信部25を通じて無線受信用中継器5から接続確認要求を受け取ると、接続確認応答信号を生成し、当該応答信号を無線通信部25から接続確認要求の送信元である無線受信用中継器5へ送信する。なお、接続確認処理部29は、接続確認要求の受信の有無に関わらず、定期的に、接続確認応答に相当する信号を生成し、生成した信号を無線通信部25から無線受信用中継器5宛に送信するようにしてもよい。これにより、無線受信用中継器5は、接続確認要求を電波中継器7宛に送信しないときでも、定期的に電波中継器7との通信の可否を確認することが可能となる。
【0069】
情報通信処理部30は、例えば、操作部21で受け付けられた情報取得要求操作に応じた信号を受け取ると、情報取得要求(コマンド)を生成し、当該情報取得要求を無線通信部25及びアンテナ26を通じ無線受信用中継器5へ送信する。なお、情報取得要求の生成、送信は、操作部21に対する情報取得操作の有無に関わらず、定期的に実施するようにしてもよい。また、情報通信処理部30は、例えば、無線通信部25を通じて情報取得応答信号を無線受信用中継器5から受信すると、当該応答信号に含まれる情報(情報取得要求により要求した情報)の全部又は一部を例えばメモリ23に記憶する。情報通信処理部30は、当該情報の一部又は全部を例えば表示部24に表示させることができる。
【0070】
CPU28は、無線式感知器6の場合と同様に図示しない監視回路からの信号に基づいてバッテリー27の容量低下を判別し、容量が所定以下に低下している場合には、表示部24にその旨を表示すると共に、バッテリー容量低下を示すイベント信号を生成し、無線送信部32の情報通信部34を通じアンテナ26から無線受信用中継器5へ送信する。バッテリー27に代えて他の電源とする場合には、当該電源の状態(例えばAC電源の停電や予備電源の容量低下)を監視して異常がある場合に同様の処理を行う。
【0071】
更に、情報通信処理部30は、例えば、無線通信部25を通じて無線受信用中継器5から情報取得要求を受信すると、当該情報取得要求に応じた情報を含む情報取得応答信号を生成する。生成した情報取得応答は、無線通信部45から情報取得要求の送信元である無線受信用中継器5へ送信する。
【0072】
例示的に、情報通信処理部30には、通信モード切り替え制御部301としての機能を備えることができる。通信モード切り替え制御部301は、操作部21で受け付けられた通信モード切り替え操作に応じた信号の受信、操作後所定タイミングの到来、あるいは無線受信用中継器5からの通信モード切り替え要求(コマンド)の受信に応じて、無線通信部25の通信モードを切り替えることができる。例えば、双方向から片方向への切り替えであれば、無線通信部25において無線受信用中継器5からの受信処理系を停止し、逆の切り替えであれば当該受信処理系を起動する。
【0073】
なお、通信モード切り替え制御部301は、操作部21で受け付けられた通信モード切り替え操作に応じた信号を受信した場合、及び、操作後所定タイミングが到来した場合、通信モード切り替え要求(コマンド)を生成し、無線通信部25を通じて当該要求を無線受信用中継器5へ無線送信することができる。
【0074】
なお、電波中継器7には、表示部24に加えて、音響出力部等を備える報知部(図示省略)を備えてもよい。報知部を備えることで、電波中継器7は、所望の情報等を表示部に表示すると共に音響出力部により例えば音声出力することが可能になる。あるいは、表示部24に代えて音響出力部を備える報知部を設けてもよい。
【0075】
中継処理部28、接続確認処理部29及び情報通信処理部30による具体的な処理については、図5〜図14により後述する。
【0076】
メモリ23には、情報管理テーブル31を記憶することができる。情報管理テーブル31には、直接的又は間接的に通信相手となる無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7のID、設定情報、動作状態情報及び/又は通信状態情報等を記憶することができる。なお、情報管理テーブル31の具体例については、図4により後述する。
【0077】
表示部24は、CPU22による制御の下、例えば、接続確認処理の結果(良/不良)や、メモリ23(例えば情報管理テーブル31)に記憶された情報の一部又は全部を表示する。
【0078】
無線通信部25は、無線式感知器6の上り方向の片方向通信により無線式感知器6の送信した無線信号を受信する一方、無線受信用中継器5と無線による双方向通信を行う。無線式感知器6との間の無線通信は片方向(上り方向)通信で構わないので、無線通信部25に無線式感知器6へ無線信号を送信する無線送信系(ハードウェアとして送受信系が共通の場合はその無線式感知器6に対する送信処理)は不要である。
【0079】
無線式感知器6との間の片方向通信及び無線受信用中継器5との間の双方向通信には、無線式感知器6(無線送信部13)と同様に、400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に従った無線通信を適用する。無線通信部25は、無線式感知器6との間の片方向通信及び無線受信用中継器5との間の双方向通信において受信した無線信号の強度(受信電波強度)を測定する機能を具備してよい。測定した受信電波強度の情報は、既述の情報取得応答信号に含めることができる。
【0080】
無線通信部25には、送受信する無線信号の種類に応じた機能部(通信インターフェース等)を備えることができる。例示的に、無線通信部25には、無線中継部32、接続確認部33及び情報通信部34を備えることができる。
【0081】
無線中継部32は、例えば、無線式感知器6から無線送信された信号(発報イベント信号、バッテリー容量低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号等)をアンテナ26を介して受信すると、この内容を一旦CPU22に渡す。CPU22は、ここで受信した信号に含まれる情報を含む中継送信用の無線信号を生成して無線中継部32に送り、アンテナ26から同一の無線監視回線に属する無線受信用中継器5宛に無線送信する。
【0082】
接続確認部33は、CPU22が生成した接続確認要求(コマンド)を受信すると、当該要求をアンテナ26から無線受信用中継器5宛に無線送信する。当該接続確認要求に対する接続確認応答信号がアンテナ26を通じて受信されると、接続確認部33は、受信した接続確認応答をCPU22(接続確認処理部29)に与える。
【0083】
また、接続確認部33は、無線受信用中継器5から接続確認要求をアンテナ26を介して受信すると、当該要求をCPU22(接続確認処理部29)に与える。当該要求に対する接続確認応答がCPU22(接続確認処理部29)から受信されると、接続確認部33は、当該接続確認応答信号をアンテナ26から接続確認要求の送信元である無線受信用中継器5宛に無線送信する。
【0084】
情報通信部34は、CPU22(情報通信処理部30)が生成した情報取得要求及び通信モード切り替え要求を受信すると、当該要求をアンテナ26から無線受信用中継器5宛に無線送信する。情報取得要求に対する応答(情報取得応答)信号がアンテナ26を通じて受信されると、情報通信部34は、受信した情報取得応答をCPU22(情報通信処理部30)に与える。
【0085】
また、情報通信部34は、無線受信用中継器5から情報取得要求及び通信モード切り替え要求を受信すると、当該要求をCPU22(情報通信処理部30)に与える。受信した情報取得要求に対する情報取得応答がCPU22(情報通信処理部30)から受信されると、情報通信部34は、当該情報取得応答信号をアンテナ26から情報取得要求の送信元である無線受信用中継器5宛に無線送信する。
【0086】
バッテリー27は、例えば、直流電力を操作部21、CPU22、メモリ23、表示部24及び無線通信部25に供給する。なお、当該電力供給は、代替的に、商用AC100ボルトの交流電源を直流電源に変換することによって実施しても構わない。商用交流電源を備える場合、バッテリー27を予備電源として利用してもよい。
【0087】
(無線受信用中継器5)
無線受信用中継器5は、例えば、操作部41、CPU42、メモリ43、表示部44、無線通信部45、伝送路通信部46及びアンテナ47を備える。無線受信用中継器5は、例えば受信機3から感知器回線(L線,C線)を介して供給される電源で動作する。伝送路通信部46は、この電源の無極性化や平滑、電流制限等を行う電源回路(図示省略)を備える。
【0088】
操作部41は、例えば、ユーザによる操作を受け付けて、当該操作に応じた信号を生成する。ユーザによる操作の一例としては、同一の無線監視回線に属する電波中継器7との無線による接続確認のための操作や、当該電波中継器7及び/又は異なる無線監視回線に属する無線受信用中継器5から特定の情報を受信(取得)するための操作、当該電波中継器7及び/又は異なる無線監視回線に属する無線受信用中継器5を制御するための操作、電波中継器7との間の通信モード(双方向−片方向)の切り替え操作等が挙げられる。これらの操作に応じた信号はCPU42に与えられる。
【0089】
CPU42は、電波中継器7の動作を統括的に制御する部分であり、例えば、メモリ43に記憶されているプログラム(図示せず)の実行により実現する機能として、受信処理部49、接続確認処理部50及び情報通信処理部51を備える。
【0090】
受信処理部49は、例えば、アンテナ47及び無線通信部45を通じて無線式感知器6又は電波中継器7、あるいは異なる無線監視回線に属する無線受信用中継器5が無線送信した信号を受信すると、受信した信号に応じた処理を実施する。当該処理の一例は、発報イベント信号の受信による受信機3への発報信号の送信処理や、生存確認信号の受信の有無に応じた無線式感知器6又は電波中継器7の正常/異常確認処理、感知器情報信号の受信による情報受信処理、要求(コマンド)の受信による各種対応処理等である。
【0091】
受信機3への発報信号の送信処理や、無線式感知器6又は電波中継器7から生存確認信号を所定時間内に受信できない場合に受信機3へ異常発生を通知する処理は、例えば伝送路通信部46を通じて実施される。なお、無線式感知器6や電波中継器7からのバッテリー容量低下を示すイベント信号受信に伴う障害信号も、伝送路通信部46を通じて受信機3に送信することができる。
【0092】
なお、以上の処理に伴って、受信処理部49は、発報イベント信号及び/又は生存確認信号の受信履歴や、受信機3に対する発報信号及び/又は異常発生通知の送信履歴、感知器情報信号に含まれる感知器情報等をメモリ43に記録しておくことができる。このように記録したメモリ内の情報は、必要に応じ表示部44に適宜表示するようにすることができる。例えば、情報の種類に応じて常に現状表示するようにしてもよい。また操作部41の所定操作により、任意のタイミングで表示できるようにしてもよい。表示はLEDの点灯や点滅、或いは液晶表示器等のテキスト表示等、公知の表示手段と方法によって行うことができる。
【0093】
接続確認処理部50は、例えば、操作部41で受け付けられた接続確認操作に応じた信号を受け取ると、接続確認要求(コマンド)を生成し、生成した接続確認要求を無線通信部45からアンテナ47を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に送信する。なお、接続確認要求の生成、送信は、ユーザの操作部41に対する接続確認操作の有無に関わらず、定期的に実施してもよい。
【0094】
当該接続確認要求に対する接続確認応答信号がアンテナ47及び無線通信部45を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5から受信されると、接続確認処理部50は、当該電波中継器7又は他の無線受信用中継器5との通信が可能(接続確認処理結果が良好)であると判断する。判断結果は、例えば表示部44に表示してよい。
【0095】
また、接続確認処理部50は、例えば、アンテナ47及び無線通信部45を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5から接続確認要求を受け取ると、当該接続確認要求に対する接続確認応答信号を生成し、生成した接続確認応答信号を無線通信部45からアンテナ47を通じて接続確認要求の送信元である電波中継器7又は他の無線受信用中継器5へ送信する。
【0096】
なお、接続確認処理部50は、接続確認要求受信の有無に関わらず、定期的に、接続確認応答に相当する信号を生成し、生成した信号を無線通信部45から電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に送信してもよい。これにより、電波中継器7又は他の無線受信用中継器5は、接続確認要求を無線受信用中継器5宛に送信しないときでも、定期的に当該無線受信用中継器5との通信の可否を確認することが可能となる。
【0097】
情報通信処理部51は、例えば、操作部41で受け付けられた情報取得操作に応じた信号を受信すると、情報取得要求(コマンド)を生成し、当該要求を無線通信部45からアンテナ47を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に送信する。なお、情報取得要求の生成、送信は、操作部41に対する情報取得操作の有無に関わらず、定期的に実施するようにしてもよい。
【0098】
当該情報取得要求に対する情報取得応答信号が無線通信部45を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5から受信されると、情報通信処理部51は、受信した情報取得応答に含まれる情報の全部又は一部を例えばメモリ43に記憶する。メモリ43に記憶された情報の一部又は全部は、例えば表示部44に表示することができる。
【0099】
更に、情報通信処理部51は、例えば、無線通信部45を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5から情報取得要求を受信すると、当該情報取得要求に応じた情報を含む情報取得応答信号を生成し、生成した情報取得応答信号を無線通信部45からアンテナ47を通じて情報取得要求の送信元である電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に送信する。
【0100】
なお、無線受信用中継器5には、表示部44に加えて、音響出力部等を備える報知部(図示省略)を備えてもよい。報知部を備えることで、無線受信用中継器5は、所望の情報等を表示部44に表示すると共に、音響出力部により音声出力することが可能になる。あるいは、表示部44に代えてこのような報知部を設けてもよい。
【0101】
なお、例示的に、情報通信処理部51には、通信モード切り替え制御部511を備えることができる。通信モード切り替え制御部511は、操作部41で受け付けられた通信モード切り替え操作に応じた信号の受信、操作後所定タイミングの到来、あるいは電波中継器7及び/又は他の無線受信用中継器5が送信した通信モード切り替え要求(コマンド)の受信に応じて、無線通信部45及び/又は伝送路通信部46の通信モードを切り替えることができる。
【0102】
無線通信部45の通信モードを切り替えることで、無線受信用中継器5と電波中継器7との間の無線リンクの双方向/片方向が切り替えられる。一方、伝送路通信部46の通信モードを切り替えることで、伝送路4の双方向/片方向が切り替えられる。
【0103】
例示的に、無線受信用中継器5と電波中継器7との間の無線リンクを双方向から片方向への切り替えるのであれば、無線通信部45において電波中継器7への送信処理系を停止し、逆の切り替えであれば当該送信処理系を起動する。また、伝送路4を双方向から片方向に切り替えるのであれば、伝送路通信部46において、受信機3側からの受信処理系を停止し、逆の切り替えであれば、当該受信処理系を起動する。
【0104】
なお、通信モード切り替え制御部511は、操作部41で受け付けられた通信モード切り替え操作に応じた信号を受信した場合、及び、操作後所定タイミングが到来した場合、通信モード切り替え要求(コマンド)を生成し、無線通信部45を通じて電波中継器7へ、あるいは伝送路通信部46を通じて他の無線受信用中継器5へ、生成した通信モード切り替え要求を送信することができる。
【0105】
受信処理部49、接続確認処理部50及び情報通信処理部51による具体的な処理については、図5〜図14により後述する。
【0106】
メモリ43には、情報管理テーブル52を記憶することができる。情報管理テーブル52には、直接的又は間接的に通信相手となる無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7のID、設定情報、動作状態情報及び/又は通信状態情報等を記憶することができる。なお、情報管理テーブル52の具体例については、図4により後述する。
【0107】
表示部44は、CPU42による制御の下、例えば、接続確認処理の結果(良/不良)、メモリ43(例えば情報管理テーブル52)に記憶された情報の一部又は全部を表示する。
【0108】
無線通信部45は、アンテナ47を介して無線式感知器6からの上り方向の片方向通信により無線式感知器6が送信した無線信号を受信する一方、電波中継器7と無線による双方向通信を行う。無線式感知器6との間の無線通信は片方向(上り方向)通信なので、無線通信部45に無線式感知器6へ無線信号を送信する無線送信系(ハードウェアとして送受信系が共通の場合はその無線式感知器6に対する送信処理)は不要である。無線式感知器6との間の片方向通信及び電波中継器7との間の双方向通信には、無線式感知器6(無線送信部13)と同様に、400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に従った無線通信を適用する。
【0109】
無線通信部45には、送受信する無線信号の種類に応じた機能部を備えることができる。例えば、無線通信部45には、無線受信部53、接続確認部54及び情報通信部55を備えることができる。
【0110】
無線受信部53は、例えば、無線式感知器6及び/又は電波中継器7から無線送信された信号(発報イベント信号、バッテリー容量低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号等)をアンテナ47を通じて受信すると、当該信号をCPU42(受信処理部49)に与える。
【0111】
接続確認部54は、CPU42(接続確認処理部50)が生成した接続確認要求を受信すると、当該要求をアンテナ47から電波中継器7宛に無線送信する。当該接続確認要求に対する接続確認応答信号がアンテナ47を通じて受信されると、接続確認部54は、受信した接続確認応答信号をCPU42(接続確認処理部50)に与える。
【0112】
また、接続確認部54は、電波中継器7から接続確認要求をアンテナ47を通じて受信すると、受信したコマンドをCPU42(接続確認処理部50)に与える。当該接続確認要求に対する接続確認応答がCPU42(接続確認処理部50)から受信されると、接続確認部54は、受信した接続確認応答信号をアンテナ47から接続確認要求の送信元である電波中継器7宛に無線送信する。
【0113】
情報通信部55は、CPU42(情報通信処理部51)から情報取得要求及び通信モード切り替え要求を受信すると、当該要求をアンテナ47から電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に無線送信する。情報取得要求に対する情報取得応答信号がアンテナ47を通じて受信されると、情報通信部55は、受信した情報取得応答信号をCPU42(情報通信処理部51)に与える。
【0114】
また、情報通信部55は、電波中継器7又は他の無線受信用中継器5から情報取得要求及び通信モード切り替え要求がアンテナ47を通じて受信されると、受信した要求をCPU42(情報通信処理部51)に与える。受信した情報取得要求に対する情報取得応答がCPU42から受信されると、情報通信部55は、当該情報取得応答信号をアンテナ47から情報取得要求の送信元である電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に無線送信する。
【0115】
伝送路通信部46は、有線又は無線の通信路を通じて受信機3と通信する。伝送路通信部46は、CPU42(受信処理部49)から発報イベント信号を受信すると、発報信号を受信機3に送信し、また、CPU42(受信処理部49)による生存確認処理の結果として異常発生通知を受信すると、受信機3に異常発生を通知することができる。また、伝送路通信部46は、無線式感知器6や電波中継器7からのバッテリー容量低下を示すイベント信号受信に伴う障害信号を受信機3に送信することもできる。
【0116】
本システムにおいて、既存の有線設備(原始的P型設備含む)の受信機3をそのまま流用できるよう、伝送路4をL線及びC線から成る有線通信路(原始的なP型回線)とする場合、受信機3の受信回路(図示省略)でL線に受信抵抗が接続されており、L線及びC線は受信抵抗を備えるループ回路を形成する。このループ回路に無線受信用中継器5(伝送路通信部46)及び終端器を並列接続してなる負荷が設けられる。すなわち、負荷の合成インピーダンスと受信抵抗とが直列接続される。伝送路通信部46は、通常時は高インピーダンスで異常発生時に短絡する。このため異常発生時にはループ(受信抵抗)に流れる電流が増加し、これが受信機3の受信回路で検出される。一方、断線時には擬似的に終端器がオープンになるので、受信機3は、通常時に比べて電流が減少することを検出して断線判定することができる。
【0117】
なお、生存確認処理の結果(異常発生通知)の送信や、異常バッテリー容量低下を示すイベント信号に伴う障害信号の送信は、断線時と同様の送信としてよい。この場合、受信機3では生存確認異常やバッテリー容量低下についても断線として報知表示することになる。バッテリー容量低下を断線として報知表示することは、電池切れ等による無線式感知器6や電波中継器7の動作停止に伴う回線の通信断を予告する警報と考えることができる。但し、原始的P型設備の流用に拘らずに、よりインテリジェントなP型設備(アドレスやコマンド、簡単なデータ伝送が可能)の受信機やR型設備の受信機を用いる場合、また別に専用の受信機を開発する場合には、受信機3に対する各種通知は個別に実施することができる。
【0118】
また、本システムにおいては回線が途中から無線になるので、終端器は無線受信用中継器5のL線及びC線の接続端子間に接続する。終端器を無線受信用中継器5に内蔵してもよいが、同一回線に複数の無線受信用中継器5を設けることを排除しないので、この場合は終端接続/未接続の切り替え機能を備えて、終端の無線受信用中継器5のみを接続状態に設定する等するとよい。
【0119】
また、伝送路通信部46は、図示しない電源回路により直流電力を操作部41、CPU42、メモリ43、表示部44及び無線通信部45に供給する。なお、伝送路を無線通信路とする場合には電源(商用AC電源やバッテリー他の電源装置)を無線受信用中継器5に備える。商用AC電源部を備える場合は、停電に備えてバックアップ用の予備電源(バッテリー)を備えてもよい。
【0120】
次に、図3は、本実施形態で用いるコマンド61のフォーマットの一例を示す図である。コマンド61は、例えば、電波中継器7のCPU22及び/又は無線受信用中継器5のCPU42において生成される。生成されたコマンド61は、既述のように、無線受信用中継器5と電波中継器7との間及び/又は無線受信用中継器5間において送受信される。
【0121】
コマンド61は、例えば、連番フィールド62、送信元IDフィールド63、コマンド符号フィールド64、宛先IDフィールド65及びチェック符号フィールド66を有する。
【0122】
連番フィールド62には、例えば、コマンド61の順番を示す連続番号が設定され、当該連続番号は、電波中継器7及び無線受信用中継器5においてコマンド61の送信毎に1ずつ増加する。連続番号は、自動火災報知システム1において送受信されるコマンド61を管理するために利用することができる。例えば、コマンド送信順の管理や再中継を禁止する処理等に用いるが、説明を省略する。なお、コマンド61以外の「イベント信号」等は電波中継器7及び無線受信用中継器5のほかに無線式感知器6からも送信され得るが、「イベント信号」についての連番処理もコマンド61の場合と同様である。図3はコマンド61のフォーマットを例示しているが、「イベント信号」の場合はコマンド61のコマンド符号(フィールド)64をイベント符号フィールドに置き換えればよい。
【0123】
送信元IDフィールド63には、例えば、コマンド61の送信元を識別する識別子が設定される。識別子には、非限定的な一例として、32ビットのコードを用いることができる。コマンド61を受信した電波中継器7や無線受信用中継器5は、送信元IDフィールド63に設定された識別子によって識別される送信元宛に応答を返すことができる。なお、例えば中継送信されるコマンドの場合には、送信元IDフィールド63に、送信元の識別子と中継を行った端末の識別子の両方を付す等する。
【0124】
コマンド符号フィールド64には、コマンド61の種別(接続確認要求/応答、情報取得要求/応答等)を識別する情報が設定される。非限定的な一例として、コマンド符号フィールド64には、5〜6ビットの識別情報を設定できる。コマンド61を受信した無線受信用中継器5(CPU42)や電波中継器7(CPU22)は、コマンド符号フィールド64に設定された識別情報を解析することで、受信したコマンド61の種別を識別でき、識別した種別に応じた処理(接続確認要求/応答、情報取得要求/応答の生成、通信モードの切り替え、警報の停止等)を実施することができる。
【0125】
なお、情報取得要求を示すコマンド61には、取得を要求する情報の種類(例えば、「設定情報」や「動作状態情報」、「通信状態情報」等)に応じて複数の種別を用意してよい。したがって、情報取得応答を示すコマンド61の種別についても、応答に含まれる情報の種類(「設定情報」や「動作状態情報」、「通信状態情報」等)に応じて複数種類を用意してよい。
【0126】
宛先IDフィールド65には、例えば、コマンド61の1又は複数の宛先を識別する識別子(宛先情報)が設定される。識別子には、非限定的な一例として、32ビットのコードを用いることができる。コマンド61を受信した電波中継器7や無線受信用中継器5は、宛先IDフィールド65に自身の識別子が設定されていれば、コマンド符号フィールド64の情報から識別されるコマンド種別に応じた処理を実施する。一方、コマンド61を受信した無線受信用中継器5は、宛先IDフィールド65に電波中継器7や他の無線受信用中継器5の識別子が設定されていれば、受信したコマンド61を該当機器宛に転送(無線送信)する。なお、複数の宛先に対してコマンドを送信する場合には、宛先毎に同様のコマンドを送信するか、宛先IDフィールド65に複数の宛先の識別子を付して送信する。宛先IDフィールド65に複数の宛先に対応する識別子を設定した場合には、それぞれの宛先でコマンド種別に応じた処理と受信したコマンド61の転送とが実施され得る。
【0127】
チェック符号フィールド66には、連番フィールド62、送信元IDフィールド63、コマンド符号フィールド64及び宛先IDフィールド65に設定された情報のチェックサムやCRC等の適宜のチェック符号が設定される。
【0128】
次に、図4は、電波中継器7(無線受信用中継器5)のメモリ23(52)に記憶される情報管理テーブル31(52)の一例を示す図である。情報管理テーブル31(52)は、例示的に、ID欄、設定情報欄、動作状態情報欄及び通信状態情報欄を有する。
【0129】
ID欄には、例示的に、直接的又は間接的に通信相手となる無線式感知器6、電波中継器7、無線受信用中継器5等の各種機器(ノード)を識別する情報(ノードID、識別子)が記録される。なお、自己の識別情報も同様に記録してよい。
【0130】
設定情報欄には、例示的に、ノードIDによって識別される機器の設定情報が記録される。例えば、ノードIDが無線受信用中継器5又は電波中継器7のノードIDである場合、設定情報欄には、無線による双方向/片方向通信の設定や、表示部24(44)への情報表示設定等に関する設定情報を設定できる。また、ノードIDが無線式感知器6のノードIDである場合、設定情報欄には、例えば、無線式感知器6のセンサ感度等の感知器情報が記録される。
【0131】
動作状態情報欄には、例示的に、ノードIDによって識別される機器の動作状態に関する情報が記録される。例えば、ノードIDが無線受信用中継器5又は電波中継器7のノードIDである場合、動作状態情報欄には、バッテリー27又は伝送路通信部46(電源回路)の出力電圧の情報等を記録できる。ノードIDが無線式感知器6のノードIDである場合、動作状態情報欄には、バッテリー15の出力電圧の情報等を記録できる。
【0132】
通信状態情報欄には、例示的に、ノードIDによって識別される機器の通信状態に関する情報が記録される。例えば、ノードIDが無線式感知器6のノードIDである場合、通信状態情報欄には、発報イベント信号、バッテリー容量低下を示すイベント信号、生存確認信号の送信履歴の情報等を記録できる。また、ノードIDが無線受信用中継器5又は電波中継器7のノードIDである場合、通信状態情報欄には、発報イベント信号及び/又は生存確認信号の受信履歴や送信/中継履歴、コマンド61の送受信履歴、バッテリー容量低下を示すイベント信号の送信履歴、受信電波強度等を記録できる。
【0133】
(システム動作説明)
次に、本実施形態の自動火災報知システム1における無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7の動作について、図5〜図14を併用して、更に説明する。
【0134】
(無線式感知器6による発報イベント処理及び生存確認処理)
図5は、本実施形態の無線式感知器6による発報イベント処理及び生存確認処理RT1の一例を示すフローチャートである。
【0135】
無線式感知器6のCPU12は、例えば、電源がオンになると、発報イベント処理及び生存確認処理RT1を開始し、ハードウェアチェック及び生存確認タイマのリスタートを含む初期化処理を実施する(ステップSP1)。
【0136】
次いで、無線式感知器6のCPU12は、所定のイベント発生条件が成立したか否かをチェックする(ステップSP2)。イベント発生条件の成立の一例は、センサ部11の検出値が所定の閾値を超えた場合やバッテリー15の容量(電源電圧)が所定以上低下した場合である。チェックの結果、イベント発生条件が成立している場合(ステップSP2:YES)、無線式感知器6のCPU12は、成立した条件に応じたイベント信号(例えば、発報イベント信号あるいはバッテリー容量低下を示すイベント信号)を生成し、無線送信部13を通じてアンテナ14から生成した信号を電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP3)。一方、イベント発生条件が成立していない場合(ステップSP2:NO)、無線式感知器6のCPU12は、ステップSP4の処理に進む。
【0137】
その後、無線式感知器6のCPU12は、生存確認タイマが所定時間をカウント(タイムアウト)したか否かをチェックする(ステップSP4)。チェックの結果、生存確認タイマがタイムアウトした場合(ステップSP4:YES)、無線式感知器6のCPU12は、生存確認信号を生成し、無線送信部13からアンテナ14を通じて生存確認信号を無線受信用中継器5及び/又は電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP5)。また、無線式感知器6のCPU12は、生存確認タイマをリスタートする(ステップSP6)。その後、無線式感知器6のCPU12は、ステップSP2の処理に戻り、以降、ステップSP2〜SP6の処理を繰り返す。
【0138】
なお、生存確認タイマがタイムアウトしていない場合(ステップSP4:NO)、無線式感知器6のCPU12は、ステップSP2の処理に戻り、以降、ステップSP2〜SP6の処理を繰り返す。
【0139】
(電波中継器7による発報イベント処理及び生存確認処理)
次に、図6は、本実施形態の電波中継器7による発報イベント処理及び生存確認処理RT2の一例を示すフローチャートである。
【0140】
電波中継器7のCPU22は、例えば、電源がオンになると、発報イベント処理及び生存確認処理RT2を開始し、ハードウェアチェック及び生存確認タイマのリスタートを含む初期化処理を実施する(ステップSP11)。
【0141】
次いで、電波中継器7のCPU22は、無線式感知器6から無線送信された信号(発報イベント信号、電池電圧低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号)を受信したか否かをチェックする(ステップSP12)。
【0142】
チェックの結果、無線式感知器6から無線送信された信号を受信している場合(ステップSP12:YES)、電波中継器7のCPU22は、受信した信号を無線通信部25からアンテナ26により無線受信用中継器5宛に無線送信(中継)する(ステップSP13)。
【0143】
その際、電波中継器7のCPU22は、必要に応じて、無線受信用中継器5宛の送信(中継)履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP14)。なお、「必要に応じて」とは、例えば信号の種類によって記録するものと記録しないものとを分けることが有り得ることを示唆している。また、発報に対する復旧(解消)、電池電圧低下等の障害に対する復旧(解消)を示す信号が電波中継器7において中継送信される場合、こうしたイベントの発生及び解消の記録から両状態の整合性を確認することも可能である。
【0144】
一方、無線式感知器6から無線送信された信号を受信していない場合、(ステップSP12:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP15の処理に進む。
【0145】
ステップSP15の処理において、電波中継器7のCPU22は、生存確認タイマがタイムアウトしたか否かをチェックする(ステップSP15)。チェックの結果、生存確認タイマがタイムアウトしている場合(ステップSP15:YES)、電波中継器7のCPU22は、電波中継器7の生存確認信号を生成し、無線通信部25からアンテナ26により生存確認信号を無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP16)。
【0146】
生存確認信号の送信に伴い、電波中継器7のCPU22は、必要に応じて、無線受信用中継器5宛の生存確認信号の送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP17)。
【0147】
その後、電波中継器7のCPU22は、生存確認タイマをリスタートする(ステップSP18)。続いて、電波中継器7のCPU22は、ステップSP12の処理に戻り、以降、ステップSP12〜SP18の処理を繰り返す。
【0148】
なお、生存確認タイマがタイムアウトしていない場合(ステップSP15:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP12の処理に戻り、以降、ステップSP12〜SP18の処理を繰り返す。
【0149】
(無線受信用中継器5による発報イベント処理及び生存確認処理)
次に、図7は、本実施形態の無線受信用中継器5による発報イベント処理及び生存確認処理RT3の一例を示すフローチャートである。
【0150】
無線受信用中継器5のCPU42は、例えば、電源がオンになると、発報イベント処理及び生存確認処理RT3を開始し、ハードウェアチェック及び生存確認タイマのリスタートを含む初期化処理を実施する(ステップSP21)。
【0151】
次いで、無線受信用中継器5のCPU42は、無線式感知器6及び/又は電波中継器7が無線送信した信号(発報イベント信号、電池電圧低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号等)を受信したか否かをチェックする(ステップSP22)。
【0152】
チェックの結果、無線式感知器6及び/又は電波中継器7が無線送信した信号を受信している場合(ステップSP22:YES)、無線受信用中継器5のCPU42は、必要に応じて、受信した無線信号の受信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する(ステップSP23)。
【0153】
一方、無線式感知器6及び/又は電波中継器7が無線送信した信号を受信していない場合(ステップSP22:NO)、無線受信用中継器5のCPU42は、ステップSP27の処理(生存確認処理)に進む。
【0154】
無線式感知器6及び/又は電波中継器7が送信した無線信号を受信した場合、無線受信用中継器5のCPU42は、受信した無線信号が所定の信号であるか、例えば、発報イベント信号であるか、生存確認信号であるか、バッテリー容量低下等の障害を示すイベント信号であるか、また各復旧を示すイベント信号であるか否かをチェックする(ステップSP24)。
【0155】
無線受信用中継器5のCPU42は、当該チェックの結果に応じた信号(例えば、発報信号、生存確認異常信号、障害信号、復旧信号等)を生成し、生成した信号を伝送路通信部46により受信機3に送信する(ステップSP25)。また、無線受信用中継器5のCPU42は、受信機3への信号の送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する(ステップSP26)。なお、受信した無線信号が所定の信号でない場合は、例えば当該信号をエラーとして無視してよい。
【0156】
さらに、無線受信用中継器5のCPU42は、ステップSP27において、監視担当の無線監視回線に属する無線式感知器6及び/又は電波中継器7から生存確認信号を受信しないまま生存確認タイマがタイムアウトしたか否かをチェックする(ステップSP27)。
【0157】
生存確認信号を受信しないまま生存確認タイマがタイムアウトし場合(ステップSP27:YES)、無線受信用中継器5のCPU42は、該当する無線式感知器6及び/又は電波中継器7に異常が発生していることを通知するための信号を生成し、当該信号を伝送路通信部46により受信機3に送信する(ステップSP28)。
【0158】
当該送信に伴い、無線受信用中継器5のCPU42は、受信機3への異常発生通知の送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する(ステップSP29)。その後、無線受信用中継器5のCPU42は、ステップSP22の処理に戻り、以降、ステップSP22〜SP29の処理を繰り返す。
【0159】
なお、生存確認タイマがタイムアウトしていない場合(ステップSP27:NO)、無線受信用中継器5のCPU42は、ステップSP22の処理に戻り、以降、ステップSP22〜SP29の処理を繰り返す。
【0160】
(電波中継器7による接続確認処理)
次に、図8は、本実施形態の電波中継器7による接続確認処理RT4の一例を示すフローチャートである。
【0161】
電波中継器7のCPU22は、例えば、電源がオンになると、接続確認処理RT4を開始し、操作部21から接続確認操作に応じた信号を受信したか否かをチェックする(ステップSP31)。
【0162】
チェックの結果、操作部21から接続確認操作に応じた信号を受信していない場合(ステップSP31:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP37の処理に進む。一方、操作部21から接続確認操作に応じた信号を受信した場合(ステップSP31:YES)、電波中継器7のCPU22は、接続確認要求(コマンド)を生成し、当該要求を無線通信部25からアンテナ26を通じて同一無線監視回線に属する無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP32)。
【0163】
接続確認要求(コマンド)の送信により、電波中継器7のCPU22は、無線受信用中継器5への送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP33)。
【0164】
その後、電波中継器7のCPU22は、アンテナ26及び無線通信部25を通じて接続確認応答信号を無線受信用中継器5から所定時間内に受信したか否かをチェックする(ステップSP34)。
【0165】
チェックの結果、無線受信用中継器5から接続確認応答信号を所定時間内に受信した場合(ステップSP34:YES)、電波中継器7のCPU22は、無線受信用中継器5との電波が受信できている状態(接続可能な範囲)にある旨を例えば表示部24に表示する(ステップSP35)。
【0166】
一方、無線受信用中継器5から接続確認応答を所定時間内に受信していない場合(ステップSP34:NO)、電波中継器7のCPU22は、無線受信用中継器5と接続可能な範囲にない旨を例えば表示部24に表示する(ステップSP36)。
【0167】
また、電波中継器7のCPU22は、無線受信用中継器5からアンテナ26及び無線通信部25により接続確認要求(コマンド)を受信したか否かをチェックする(ステップSP37)。
【0168】
チェックの結果、無線受信用中継器5から接続確認要求を受信した場合(ステップSP37:YES)、電波中継器7のCPU22は、接続確認応答信号を生成し、当該応答を無線通信部25からアンテナ26を通じて無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP38)。
【0169】
接続確認要求の受信及び接続確認応答信号の送信に伴い、電波中継器7のCPU22は、それぞれの履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP39)。その後、電波中継器7のCPU22は、ステップSP31の処理に戻り、以降、ステップSP31〜SP39の処理を繰り返す。
【0170】
なお、無線受信用中継器5から接続確認要求を受信していない場合(ステップSP37:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP31の処理に戻り、以降、ステップSP31〜SP39の処理を繰り返す。
【0171】
また、無線受信用中継器5のCPU42による接続確認処理は、上記のステップSP31〜SP39の各処理において接続確認要求の送信元と送信先とをそれぞれ無線受信用中継器5と電波中継器7とに入れ替えた処理に相当する。
【0172】
(電波中継器7による情報取得処理)
次に、図9は、本実施形態の電波中継器7による情報取得処理RT5の一例を示すフローチャートである。
【0173】
電波中継器7のCPU22は、例えば、電源がオンになると、情報取得処理RT5を開始し、操作部21から情報取得操作に応じた信号を受信したか否かをチェックする(ステップSP41)。
【0174】
チェックの結果、操作部21から情報取得操作に応じた信号を受信していない場合(ステップSP41:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP47の処理に進む。一方、操作部21から情報取得操作に応じた信号を受信した場合(ステップSP41:YES)、電波中継器7のCPU22は、情報取得要求(コマンド)を生成し、当該情報取得要求を無線通信部25からアンテナ26により無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP42)。情報取得要求の宛先(フィールド)には、同一の無線監視回線に属する無線受信用中継器5、異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5及び他の電波中継器7のいずれかの識別子が設定される。
【0175】
情報取得要求(コマンド)の送信に伴い、電波中継器7のCPU22は、無線受信用中継器5への情報取得要求の送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP43)。
【0176】
その後、電波中継器7のCPU22は、同一の無線監視回線に属する無線受信用中継器5からアンテナ26及び無線通信部25を通じて情報取得応答を所定時間内に受信したか否かをチェックする(ステップSP44)。
【0177】
チェックの結果、当該無線受信用中継器5から情報取得応答信号を所定時間内に受信した場合(ステップSP44:YES)、電波中継器7のCPU22は、受信した情報取得応答信号に含まれる情報の全部又は一部をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する。その際、CPU22は、情報取得応答信号の受信履歴情報を併せて記録してもよい。また、CPU22は、情報取得応答信号に含まれる情報の全部又は一部を例えば表示部24に表示してもよい(ステップSP45)。
【0178】
一方、無線受信用中継器5から情報取得応答信号を所定時間内に受信していない場合(ステップSP44:NO)、電波中継器7のCPU22は、情報取得応答信号を受信できない旨を例えば表示部24に表示する(ステップSP46)。
【0179】
また、電波中継器7のCPU22は、同一の無線監視回線に属する無線受信用中継器5からアンテナ26及び無線通信部25を通じて当該電波中継器7宛の情報取得要求(コマンド)を受信したか否かをチェックする(ステップSP47)。
【0180】
チェックの結果、当該電波中継器7宛の情報取得要求を受信している場合(ステップSP47:YES)、電波中継器7のCPU22は、情報取得応答信号を生成し、当該応答信号を無線通信部25からアンテナ26により無線送信する。ここで、当該情報取得応答信号の宛先(フィールド)には、受信した情報取得要求の送信元(フィールド)の情報が設定される。なお、受信した情報取得要求の宛先が当該電波中継器7宛でない場合、電波中継器7のCPU22は、受信した情報取得要求の宛先情報に応じた機器宛に当該情報取得要求を転送(無線送信)する(ステップSP48)。なお、情報取得要求に複数の宛先が設定されている場合には、それぞれの宛先で情報取得応答信号の返信と受信した情報取得要求の転送とが実施され得る。
【0181】
情報取得要求の受信/転送、及び、情報取得応答信号の送信に伴い、それぞれの履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP49)。その後、電波中継器7のCPU22は、ステップSP41の処理に戻り、以降、ステップSP41〜SP49の処理を繰り返す。
【0182】
なお、無線受信用中継器5から情報取得要求を受信していない場合(ステップSP47:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP41の処理に戻り、以降、ステップSP41〜SP49の処理を繰り返す。
【0183】
(無線受信用中継器5による情報取得処理)
図10及び図11は、本実施形態の無線受信用中継器5による情報取得処理RT6の一例を示すフローチャートである。
【0184】
無線受信用中継器5のCPU42は、例えば、電源がオンになると、情報取得処理RT6を開始し、操作部41から情報取得操作に応じた信号を受信したか否かをチェックする(ステップSP51)。
【0185】
チェックの結果、操作部41から情報取得操作に応じた信号を受信していない場合(ステップSP51:NO)には、無線受信用中継器5のCPU42は、ステップSP57の処理に進む。
【0186】
一方、操作部41から情報取得操作に応じた信号を受信した場合(ステップSP51:YES)、無線受信用中継器5のCPU42は、情報取得要求(コマンド)を生成し、当該要求を無線通信部45からアンテナ47を通じて無線送信する(ステップSP52)。なお、当該情報取得要求の宛先には、同一の無線監視回線に属する電波中継器7や異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5の識別子を設定できる。
【0187】
情報取得要求(コマンド)の送信に伴い、無線受信用中継器5のCPU42は、当該情報取得要求の送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する(ステップSP53)。
【0188】
その後、無線受信用中継器5のCPU42は、同一の無線監視回線に属する電波中継器7又は異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5から、アンテナ47及び無線通信部45を通じて、当該無線受信用中継器5を宛先とする情報取得応答信号を所定時間内に受信したか否かをチェックする(ステップSP54及びSP55)。
【0189】
チェックの結果、当該無線受信用中継器5を宛先とする情報取得応答信号を所定時間内に受信しなかった場合(ステップSP54:NO)、当該無線受信用中継器5のCPU42は、情報取得応答信号を受信できない旨(情報取得NG)を例えば表示部44に表示する(ステップSP58)。併せて、CPU42は、情報取得応答信号を受信できない旨を通信異常等として受信機3へ送信するようにしてもよい。
【0190】
一方、当該無線受信用中継器5を宛先とする情報取得要求を所定時間内に受信した場合(ステップSP54及びSP55:YES)、当該無線受信用中継器5のCPU42は、受信した情報取得応答に含まれる情報の全部又は一部をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する。CPU42は、情報取得応答に含まれる情報の全部又は一部を例えば表示部44に表示してもよい(ステップSP56)。
【0191】
情報取得応答信号を所定時間内に受信したが当該応答信号の宛先が当該無線受信用中継器5でない(同一又は異なる無線監視回線に属する電波中継器7が宛先、又は異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5が宛先である)場合(ステップSP54:YES、ステップSP55:NO)、当該無線受信用中継器5のCPU42は、受信した情報取得応答信号の宛先に応じた機器宛に当該情報取得応答を転送(無線送信)する(ステップSP57)。
【0192】
また、無線受信用中継器5のCPU42は、同一の無線監視回線に属する電波中継器7又は異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5から、アンテナ47及び無線通信部45を通じて、当該無線受信用中継器5を宛先とする情報取得要求(コマンド)を受信したか否かをチェックする(ステップSP59及びSP60)。
【0193】
チェックの結果、当該無線受信用中継器5を宛先とする情報取得要求を受信した場合(ステップSP59及びSP60:YES)、無線受信用中継器5のCPU42は、情報取得応答信号を生成し、当該応答を無線通信部45からアンテナ47を通じて情報取得要求元の機器宛に無線送信する(ステップSP61)。受信した情報取得要求の宛先が当該無線受信用中継器5ではない(同一又は異なる無線監視回線に属する電波中継器7が宛先、又は異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5が宛先である)場合(ステップSP59YES、ステップSP60:NO)、当該無線受信用中継器5のCPU42は、受信した情報取得要求の宛先に応じた機器宛に当該情報取得要求を転送(無線送信)する(ステップSP62)。なお、情報取得要求に複数の宛先が設定されている場合には、それぞれの宛先で情報取得応答の返信と受信した情報取得要求の転送とが実施され得る。
【0194】
情報取得要求の受信/転送、及び、情報取得応答信号の送信に伴い、無線受信用中継器5のCPU42は、それぞれの履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する(ステップSP63)。
【0195】
その後、無線受信用中継器5のCPU42は、図10のステップSP51に戻り、以降、ステップSP51〜SP61の処理を繰り返す。なお、情報取得要求を受信していない場合(ステップSP59:NO)についても、無線受信用中継器5のCPU42は、図10のステップSP51の処理に戻り、以降、ステップSP51〜SP61の処理を繰り返す。
【0196】
(接続確認処理の実施例)
次に、図12は、本実施形態の電波中継器7及び無線受信用中継器5間の接続確認処理の一例を示すシーケンス図である。
【0197】
まず、建物2(図1参照)の2階(2F)に設置された電波中継器7(CPU22)は、例えば、操作部21から接続確認操作に応じた信号を受信すると(ステップSP71)、接続確認要求(コマンド)を無線通信部25からアンテナ26により同一フロア(2F)に設置された無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP72)。当該無線送信に伴い、電波中継器7(CPU22)は、接続確認要求の送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP73)。
【0198】
一方、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、同一フロア(2F)に設置された電波中継器7から接続確認要求を受信すると(ステップSP74)、接続確認応答信号を同一フロア(2F)の電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP75)。接続確認要求の受信及び接続確認応答信号の送信に伴い、CPU42は、それぞれの履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP76)。
【0199】
2Fに設置された電波中継器7(CPU22)は、同一フロア(2F)に設置された無線受信用中継器5から上記接続確認応答信号を受信すると(ステップSP77)、当該無線受信用中継器5から無線電波が受信できている状態(接続可能な範囲)にある旨を例えば表示部24に表示する(ステップSP78)。
【0200】
なお、3Fに設置された電波中継器7と3Fに設置された無線受信用中継器5との間の無線リンクの接続確認処理についても上記と同様である。
【0201】
このように、本実施形態の自動火災報知システム1によれば、電波中継器7の無線による接続可否を容易に確認することができるので、例えば電波中継器7の設置時に、無線受信用中継器5と通信が可能な設置場所をユーザが容易に確認することができる。
【0202】
(情報取得処理の実施例)
次に、図13及び図14は、本実施形態の電波中継器7及び無線受信用中継器5間の情報取得処理の一例を示すシーケンス図である。図13及び14には、建物2(図1参照)の2Fに設置された電波中継器7において、2Fの無線受信用中継器5、3Fの無線受信用中継器5、3Fの電波中継器7のそれぞれから情報を取得するための通信を行なう場合の動作例を示している。
【0203】
まず、建物2の2Fに設置された電波中継器7(CPU22)は、例えば、操作部21から情報取得操作に応じた信号を受信すると(ステップSP81)、情報取得要求(コマンド)をアンテナ26から無線送信する(ステップSP82)。当該情報取得要求は、例示的に、通信対象の機器(ノード)のID、すなわち、2Fに設置された無線受信用中継器5と、3Fに設置された無線受信用中継器5と、3Fに設置された電波中継器7との各IDを宛先情報に含む。当該情報取得要求の無線送信に伴い、電波中継器7(CPU22)は、情報取得要求の送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録してよい(ステップSP83)。
【0204】
一方、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、同一フロア(2F)に設置された電波中継器7から上記情報取得要求を受信すると(ステップSP84)、当該要求に3Fに設置された他の無線受信用中継器5のIDが含まれているので、3Fに設置された他の無線受信用中継器5宛に情報取得要求を無線送信する(ステップSP85)。
【0205】
また、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、2Fに設置された電波中継器7から受信した情報取得要求に対する情報取得応答信号を生成し、当該応答を2Fに設置された電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP86)。当該ステップSP86の処理と上記ステップSP85の処理は順序を入れ替えてもよい。
【0206】
なお、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、例示的に、2Fに設置された電波中継器7との間の情報取得要求/応答信号の受信/送信履歴情報と、3Fに設置された無線受信用中継器5への情報取得要求の送信履歴情報と、をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録してよい。
【0207】
一方、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、異なるフロア(2F)に設置された無線受信用中継器5から無線送信された情報取得要求を受信すると(ステップSP87)、当該要求には3Fに設置された電波中継器7のIDが含まれているので、情報取得要求をアンテナ47から同一フロア(3F)に設置された電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP88)。
【0208】
また、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、2Fに設置された無線受信用中継器5から受信した情報取得要求に対する情報取得応答信号を生成し、当該応答信号を2Fに設置された無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP89)。当該ステップSP89の処理と上記ステップSP88の処理の順序は入れ替えてもよい。
【0209】
なお、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、例示的に、2Fに設置された無線受信用中継器5との間の情報取得要求/応答信号の受信/送信履歴情報と、同一フロア(3F)に設置された電波中継器7への情報取得要求の送信履歴情報と、をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録してよい。
【0210】
一方、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、3Fに設置された無線受信用中継器5から無線送信された情報取得応答信号を受信すると(ステップSP101)、受信した情報取得応答信号を情報取得要求の送信元である2Fの電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP102)。なお、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、例示的に、情報取得応答信号の受信/送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録してよい(ステップSP103)。
【0211】
次に、3Fに設置された電波中継器7(CPU22)は、ステップSP88において同一フロア(3F)の無線受信用中継器5から無線送信された情報取得要求を受信すると(ステップSP90)、当該要求には当該電波中継器7のIDが含まれているので、受信した情報取得要求に対する情報取得応答信号を生成し、同一フロア(3F)に設置された無線受信用中継器5宛に情報取得応答信号を無線送信する(ステップSP91)。
【0212】
当該電波中継器7(CPU22)は、例示的に、同一フロア(3F)に設置された無線受信用中継器5との間の情報取得要求/応答信号の受信/送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録してよい(ステップSP92)。
【0213】
次に、図14に示すように、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、同一フロア(3F)に設置された電波中継器7から情報取得応答を受信すると(ステップSP93)、当該応答には2Fの電波中継器7のIDが含まれているので、2Fに設置された無線受信用中継器5宛に情報取得応答を無線送信する(ステップSP94)。
【0214】
また、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、例示的に、同一フロア(3F)に設置された電波中継器7からの情報取得応答信号の受信履歴情報及び/又は異なるフロア(2F)に設置された無線受信用中継器5への情報取得応答信号の送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録してよい(ステップSP95)。このとき、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、受信した情報取得応答信号に含まれる情報の全部又は一部をメモリ43(情報管理テーブル52)に併せて記録してもよい。
【0215】
一方、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、ステップSP94において3Fに設置された無線受信用中継器5が無線送信した情報取得応答信号を受信すると(ステップSP96)、当該応答信号には2Fの電波中継器7のIDが含まれているので、情報取得応答信号を情報取得要求の送信元である電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP97)。
【0216】
また、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、異なるフロア(3F)に設置された無線受信用中継器5からの情報取得応答の受信履歴情報及び同一フロア(2F)に設置された電波中継器7への情報取得応答の送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録してよい(ステップSP98)。このとき、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、受信した情報取得応答信号に含まれる情報の全部又は一部をメモリ43(情報管理テーブル52)に併せて記録してもよい。
【0217】
そして、2Fに設置された電波中継器7(CPU22)は、ステップSP86(図13参照)、ステップSP102(図13参照)、及びステップSP97(図14参照)でそれぞれ同一フロア(2F)に設置された無線受信用中継器5から無線送信された情報取得応答信号を受信すると(ステップSP99)、各情報取得応答に含まれる情報、すなわち2Fの無線受信用中継器5、3Fの無線受信用中継器5、及び3Fの電波中継器7からそれぞれ取得した情報の全部又は一部をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録し、必要に応じて当該情報を表示部24に表示する(ステップSP100)。なお、2Fに設置された電波中継器7(CPU22)は、例示的に、受信した情報取得応答の受信履歴情報を併せてメモリ23(情報管理テーブル31)に記録してよい。
【0218】
電波中継器7のメモリ23(情報管理テーブル31)の全部又は一部、及び、無線受信用中継器5のメモリ43(情報管理テーブル52)に記録された情報の全部又は一部は、記録後に受信される情報取得要求に対する情報取得応答信号に含められる対象にしてよい。
【0219】
なお、上述した例では、情報取得のための通信の対象を2Fの無線受信用中継器5、3Fの無線受信用中継器5、3Fの電波中継器7の3つの機器(ノード)としているが、3つの機器のいずれか1又は2つのIDを情報取得要求に含めれば、当該1又は2つの機器から情報を取得することができる。別言すると、当該通信は、システム1における個々の機器を対象にすることもできるし、システム1における複数の機器をまとめて対象にすることもできる。
【符号の説明】
【0220】
1…自動火災報知システム、2…建物、3…受信機、4…伝送路、5…無線受信用中継器、6…無線式感知器、7…電波中継器、11…センサ部、12,22,42…CPU、13…無線送信部、14,26,47…アンテナ、15,27…バッテリー、21,41…操作部、23,43…メモリ、24,44…表示部、25,45…無線通信部、28…中継処理部、29,50…無線通信確認処理部、30,51…情報通信処理部、31,52…情報管理テーブル、32…無線中継部、33,54…接続確認部、34,55…情報通信部、46…伝送路通信部、49…受信処理部、53…無線受信部、61…コマンド、62…連番フィールド、63…送信元IDフィールド、64…コマンド符号フィールド、65…宛先IDフィールド、66…チェック符号フィールド、301,511…通信モード切り替え制御部
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、警報システム並びに中継器ノード及び電波中継ノードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警報システムの一例として、所定の監視区域(警戒区域)おける火災の発生を監視し、火災発生を警報する火災自動通報システムが知られている。このようなシステムには、近年、火災発生を示す信号を無線により伝送する無線式のシステムもある。
【0003】
例えば、ビル等の建物の各フロアといった警戒区域単位で1又は複数の無線式感知器を例えば設置し、いずれかの無線式感知器で火災の発生を検出すると、火災発生を示す無線信号を同じフロアに設置され当該無線感知器の回線に対応した無線受信用中継器に送信する。無線受信用中継器は、感知器回線を介して火災受信機と接続されており、火災発生を示す信号を無線感知器から無線により受信すると、火災発報信号を火災受信機に送信する。そして、火災受信機は、火災発報信号を受信すると、火災警報を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−041545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術は、警戒区域毎の通信態様について記載するに留まり、警戒区域間の通信態様については検討されていない。
【0006】
本発明の目的の1つは、警報システムにおいて警戒区域間の双方向通信を可能にし、システム性能やシステムユーザの利便性を向上できるようにすることにある。
【0007】
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の警報システムの一態様は、監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機と、監視区域に対応して設置された無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する複数の中継器ノードと、を備え、異なる無線監視回線のそれぞれに対応する中継器ノード同士が、双方向の伝送路によって接続される。
【0009】
また、本発明の中継器ノードの一態様は、監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機に接続された中継器ノードであって、イベント信号を受信する受信部と、前記受信部によって第1の監視区域に対応して設置された第1の無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する送信部と、第2の監視区域に対応して設置された第2の無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する第2の中継器ノードとの間で、双方向の伝送路を通じて通信する通信部と、を備える。
【0010】
更に、本発明の電波中継ノードの一態様は、監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機と、監視区域に対応して設置された無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する複数の中継器ノードと、を備えた警報システムにおいて第1の監視区域に対応して設置された第1の無線監視回線に属する電波中継ノードであって、前記第1の無線監視回線に対応する第1の中継器ノードとの間の双方向の無線リンク、及び、第2の監視区域に対応して設置された第2の無線監視回線に対応する第2の中継器ノードと前記第1の中継器ノードとの間の双方向の伝送路を通じて、前記第2の無線監視回線と通信する通信部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の警報システムの一例である自動火災報知システムの構成例を示す図である。
【図2】図1に例示する無線受信用中継器、無線式感知器及び電波中継器の構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態で用いるコマンドのフォーマットの一例を示す図である。
【図4】本実施形態で用いる情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】本実施形態における発報イベント処理及び生存確認処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態における発報イベント処理及び生存確認処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態における発報イベント処理及び生存確認処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態における接続確認処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態における情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態における情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態における情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態における接続確認処理の一例を示すシーケンス図である。
【図13】本実施形態における情報取得処理の一例を示すシーケンス図である。
【図14】本実施形態における情報取得処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。但し、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。
【0013】
(自動火災報知システムの構成)
図1は、本実施形態の警報システムの一例である自動火災報知システム1の構成例を示す図である。図1に例示する自動火災報知システム1(以下、単に「システム1」ともいう。)は、例えば、ビル等の建物2を監視対象とする。自動火災報知システム1は、例えば、P型又はR型の受信機3と、1又は複数の無線受信用中継器5と、1又は複数の無線式感知器6と、1又は複数の電波中継器7とを備える。
【0014】
ここで、無線式感知器6は、それぞれ内蔵の電池電源により動作する。このため信号線だけでなく電源線についても配線の必要がなくなり、設置上の利便性を向上することができる。電波中継器7も同様とすることができる。
【0015】
無線受信用中継器5及び無線式感知器6は、それぞれ中継器ノード及び送信端末の一例であり、例えば、建物2の各階(1F〜3F)のそれぞれにつき少なくとも1つ設置される。なお、本例では、便宜的に建物2の1つの階が1つの警戒区域に相当すると考えるが、警戒区域の設定態様は適宜に変更してよい。
【0016】
受信機3は、例えば、建物2の1階(1F)に設置され、有線又は無線の伝送路4を介して各階に設置された無線受信用中継器5と接続されている。有線伝送路4の一例は、P型の感知器回線である。この感知器回線は、L線とC線とを有し、L線とC線との間に発報電流を流す接点出力動作により、無線受信用中継器5から受信機3に発報信号を送信することができる。なお、無線受信用中継器5の動作電源も、このL線、C線を介して受信機3から供給される。受信機3(この場合P型受信機)からはこのような感知器回線が1または複数引き出されており、回線毎に無線受信用中継器5を1台ずつ接続している。図1では複数のP型感知器回線を有線伝送路4としてまとめて図示している。
【0017】
無線受信用中継器5は、1又は複数の無線式感知器6が送信した無線信号を受信することができる。無線式感知器6の送信無線信号が十分な電波強度で無線受信用中継器5に届かない場合には、電波中継器7を補完的に設置することができる。電波中継器7は、1又は複数の無線式感知器6から受信した無線信号を無線受信用中継器5へ無線により中継送信する電波中継ノードの一例である。図1においては、建物2の2階及び3階にそれぞれ電波中継器7が設置された様子を例示している。なお、無線式感知器6から無線信号を受信した1の電波中継器7で中継送信された無線信号が、同一回線に対応する他の電波中継器7による再中継を経て無線受信用中継器5で受信されるといった伝送経路も設定し得るが、説明を省略する。
【0018】
無線受信用中継器5は、それぞれ同一階に設置された無線式感知器6及び/又は電波中継器7が送信した無線信号を受信することで、当該階の火災の発生の有無を受信機3に通報することができる。別言すれば、各階に設置された無線受信用中継器5は、それぞれ同一階に設置された無線式感知器6(電波中継器7が設置されている階においては無線式感知器6及び電波中継器7)と共に無線ネットワークによる無線監視回線に属する一例を成す。これは、建物2の1つの階が1つの警戒区域に相当し、当該警戒区域毎に無線監視回線が設置されているとみることができる。
【0019】
無線式感知器6は、例えば火災によって発生する熱、煙、炎、一酸化炭素のいずれかを単独であるいは複合的に検出することで、火災の発生を検出する。熱を検出する無線式感知器6の一例としては、定温式スポット型感知器、差動式スポット型感知器、等が挙げられる。煙を検出する無線式感知器6の一例としては、光電式スポット型感知器、イオン化式スポット型感知器、光電式分離型感知器等が挙げられる。炎を検出する無線式感知器6の一例としては、炎が放射する特定の波長(紫外線や赤外線)を検出する、紫外線式スポット型炎感知器、赤外線式スポット型炎感知器等が挙げられる。
【0020】
無線式感知器6は、検出値が所定の閾値を超える等して火災発生と判断すると、火災発生を示す信号(以下「発報イベント信号」と称することがある。)を無線により送信する。なお、火災発生は、警戒区域において警報を発すべきイベント発生の一例である。したがって、無線式感知器6には、例えば、火災に限らず、ガス漏れ、盗難、家屋侵入等の発生を示す他のイベントを検出可能な機器を適用してもよい。例えば、防犯受信機と侵入検知器、ガス漏れ受信機とガス漏れ検知器等を組み合わせる警報システムを構築してもよい。
【0021】
電波中継器7は、無線式感知器6から発報イベント信号を受信すると、受信した発報イベント信号を無線受信用中継器5宛に無線により送信すなわち中継する。電波中継器7を設けることで、無線式感知器6から送信した発報イベント信号等の無線信号が無線受信用中継器5に十分な電波強度で届かないために喪失してしまうことを防止できる(不感帯の補完)。
【0022】
無線受信用中継器5は、例えば、無線式感知器6及び/又は電波中継器7から無線により送信された発報イベント信号を受信すると、有線伝送路4を介して受信機3に発報信号を送信する。
【0023】
受信機3は、いずれかの無線受信用中継器5から発報信号を受信すると、警報処理を実施する。警報処理の一例としては、受信機3に装備された火災灯や火災の発生した警戒区域に対応する地区窓の地区灯の点灯、主音響(ブザーやベル)の鳴動、火災の発生した警戒区域の地区音響(ベル)の鳴動、非常放送設備や防火防排煙設備、消火設備などの起動が挙げられる。
【0024】
また、無線式感知器6及び電波中継器7は、それぞれが適正に動作していることを知らせるための信号(以下「生存確認信号」と称する。)を定期的に無線受信用中継器5宛に送信することができる。無線受信用中継器5は、生存確認信号を定期的に受信できているか否かを確認することで、無線式感知器6及び電波中継器7が適正に動作していること、ひいては持ち去りや電池切れ、通信障害等が発生していないことを確認することができる。
【0025】
無線受信用中継器5は、監視担当の無線監視回線に属する無線式感知器6及び/又は電波中継器7についての生存確認タイマ(例えば、プログラムによるタイマ機能)を備えてよい。生存確認タイマは、生存確認信号が受信されるとリスタートされる。生存確認タイマがリスタートされないままタイムアウトしても生存確認信号が受信されないと、無線受信用中継器5は、受信機3に対し、異常発生の旨を通知する。
【0026】
なお、無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7は、それぞれ、例えば、通信相手となり得る機器の識別子(ID)を登録(例えばメモリ等に記憶)しておくことで、登録されたIDと一致する機器と通信できる仕様あるいは設定とすることができる。
【0027】
(システム1における無線区間の通信態様)
建物2の各警戒区域(別言すると、個々の無線監視回線)において、無線式感知器6と無線受信用中継器5との間、及び、無線式感知器6と電波中継器7との間は、いずれも、無線式感知器6から無線受信用中継器5(又は電波中継器7)へ向かう方向(上り方向)である片方向の無線リンクにより接続することができる。
【0028】
別言すると、無線式感知器6は、無線受信用中継器5及び/又は電波中継器7と上り方向の無線リンクを通じて無線による送信を行なえればよい。したがって、無線式感知器6には、無線受信系を備えなくてもよいから、電波中継器7や無線受信用中継器5に比べてシステム1において設置数の多い無線式感知器6の構成を簡易にすることができる。結果として、システム1全体のコストや電力消費量を抑えることができる。また、無線式感知器6の駆動時間(電池寿命)を延ばす、あるいは無線式感知器6に求められる電池容量を抑えて無線式感知器6の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0029】
これに対し、無線受信用中継器5と電波中継器7との間は、双方向の無線リンクにより接続することができ、互いに無線による双方向通信が可能である。これにより、無線受信用中継器5と電波中継器7との間において、既述のイベント信号以外にも特定の情報を送受信することが可能になる。
【0030】
特定の情報の一例としては、コマンド等の制御情報(例えば、無線リンクの接続確認、警報処理(警報表示、報知音出力)の開始/停止等)や、機器(ノード)の設定情報(例えば、通信モード(片方向/双方向)やセンサ感度、表示形式等)、機器の動作状態に関する情報(例えば、電源/電池電圧等)、通信相手との通信状態に関する情報(例えば、イベント信号の受信履歴や送信/中継履歴、無線リンクの通信品質(例えば受信電波強度)等が挙げられる。
【0031】
別言すれば、無線受信用中継器5及び電波中継器7は、双方向の無線リンクを通じて、互いの動作を制御したり所望の情報を送受信したりすることができる。
【0032】
例えば、無線受信用中継器5は、電波中継器7に対して各種コマンドを送信することで、電波中継器7から所望の情報を受信することができる。同様に、電波中継器7は、無線受信用中継器5に対して各種コマンドを送信することで、無線受信用中継器5から所望の情報を受信することができる。
【0033】
従って、システム1の性能やシステムユーザ(以下、単に「ユーザ」という。)の利便性を向上できる。例えば、無線受信用中継器5では、電波中継器7の設定情報や動作状態に関する情報、当該電波中継器7が中継を担当する無線式感知器6の情報、当該無線式感知器6からの受信電波強度の情報、当該無線式感知器6から受信したイベント信号の中継履歴の情報、当該無線式感知器6の電池電圧の情報等のいずれかを受信して確認することができる。同等の確認を電波中継器7でも行なうことができる。従って、無線受信用中継器5が監視を担当する無線監視回線の状態を電波中継器7において確認することも可能になる。
【0034】
また、無線受信用中継器5では、イベント信号の中継(送信)履歴の情報を電波中継器7から受信することで、当該無線受信用中継器5におけるイベント信号の受信履歴との整合性を確認することができる。従って、無線通信に起因する誤報の有無等を確認することができる。例えば、電波中継器7においてイベント信号の送信履歴が記録されていないにもかかわらず、無線受信用中継器5においてイベント信号の受信履歴が記録されている場合には、無線通信に起因する誤報発生の可能性を確認できる。当該確認は、電波中継器7においても、無線受信用中継器5におけるイベント信号の受信履歴を当該無線受信用中継器5から受信することで可能である。
【0035】
更に、電波中継器7の設定情報を更新したり電波中継器7を交換したりする場合に、電波中継器7の設定情報を無線受信用中継器5から受信(ダウンロード)することも可能である。従って、電波中継器7の設定作業効率の向上、設定ミスの低減、省力化を図ることができる。
【0036】
また、無線受信用中継器5及び電波中継器7の一方又は双方において両者の間の無線接続の状況を確認することができる。従って、例えば、電波中継器7を新たに設置する場合等において、無線受信用中継器5との無線接続が可能か否かを電波中継器7において確認しながら、電波中継器7を適切な設置場所に容易に設置することができる。その結果、電波中継器7の設置作業の効率化、省力化を図ることができる。
【0037】
更に、電波中継器7から無線受信用中継器5を制御することも可能なので、例えば、無線受信用中継器5による警報(警報表示や報知音出力)の停止を電波中継器7から行なうことも可能である。或いは、電波中継器7から無線受信用中継器5を介して受信機3による警報処理を停止させることも可能である。もちろん、電波中継器7に警報出力機能が設けられている場合は、受信機3や無線受信用中継器5側からも電波中継器7による警報出力動作を停止させることができる。
【0038】
以上のような無線受信用中継器5及び電波中継器7間の無線通信区間を双方向化することによってもたらされるメリットは、機器サイズやコスト、消費電力増加等のデメリットを補って余りある。
【0039】
なお、無線式感知器6から無線受信用中継器5への電波強度が十分であり本来は電波中継が必要の無い無線監視回線に、無線受信用中継器5と無線による双方向通信が可能な電波中継器7をあえて設置しても構わない。電波中継器7をあえて設置することで、上記と同等のメリットを得ることができる。
【0040】
なお、無線受信用中継器5及び電波中継器7間の双方向の無線リンクは、片方向(例えば上り方向)の無線リンクとの間で選択的に切り替えられるようにしてもよい。当該双方向及び片方向間の無線リンクの切り替え(別言すると、通信モードの切り替え)は、例えば、無線受信用中継器5及び/又は電波中継器7に対する操作や、無線リンクを通じたコマンド等の制御情報の送信によって実施できる。
【0041】
双方向から片方向へ通信モードを切り替えると、当該切り替えに関わる機器の例えば送信処理系及び受信処理系の一方を停止してもよいので、電力消費量を抑えることができる。したがって、消費電力を抑えたい場合には、片方向の通信モード(低消費電力モード)を選択することができる。
【0042】
通信モードの切り替えを実施する態様の一例としては、以下の態様が挙げられる。
(1)双方向→片方向(電波中継器7→無線受信用中継器5)への切り替え
無線による双方向通信が可能な状態において、例えば、無線受信用中継器5についてはユーザの操作を受けて片方向モードに切り替わると共に、当該操作を受けた無線受信用中継器5から担当範囲内の電波中継器7に対して切り替えコマンドを送信する。当該コマンドを受けた電波中継器7は片方向モードに切り替わる。電波中継器7からモード切り替えを実施する場合も同様である。もちろん、無線受信用中継器5及び電波中継器7の両方を操作して個別に通信モードを切り替えてもよいが、上記のように切り替えコマンドの送信を行なう方が、機器コストや使い勝手の面で好ましい。
【0043】
(2)片方向(電波中継器7→無線受信用中継器5)→双方向への切り替え
電波中継器7から無線受信用中継器5への片方向の無線通信が可能な状態において、例えば電波中継器7についてはユーザの操作を受けて双方向モードに切り替わると共に、当該操作を受けた電波中継器7から無線受信用中継器5に対して切り替えコマンドを送信する。当該コマンドを受けた無線受信用中継器5は双方向モードに切り替わる。なお、電波中継器7及び無線受信用中継器5の両方を操作して個別に通信モードを切り替えるようにしてもよい。また、電波中継器7及び無線受信用中継器5のどちらか一方だけは常に双方向モード動作としておくことで、上記(1)と同様のモード切り替えを可能にしてもよい。
【0044】
なお、以上の通信モードの切り替え態様において、切り替えコマンドの送信は、ユーザによる切り替え操作に応じて実施してもよいし、操作後所定タイミングの到来に応じて実施してもよい。
【0045】
無線監視回線が建物2の各階(フロア)に分けて設置されている場合、異なる無線監視回線間(例えば、電波中継器7どうし)でダイレクトに無線通信を行なうことは通信環境の面から容易でない。しかし、受信機3といずれかの無線受信用中継器5との間及び無線受信用中継器5間では、互いに十分な電波強度で無線信号を受信可能(捕獲的相互通信可能)な場合がある。例えば、受信機3及び各無線受信用中継器5が建物2の階段や吹き抜け空間付近に沿ってある程度見通せるよう、上下縦列状に設置されている場合等である。このような場合、伝送路4による接続を例えば双方向の無線リンクによる接続とすることで、或いは伝送路4の回線毎に接続されている無線受信用中継器5の相互間を双方向の無線リンクによる接続とすることで、無線受信用中継器5を通じて異なる無線監視回線間の通信が可能になる。
【0046】
例えば、或る無線監視回線に属する電波中継器7は、当該無線監視回線に属する(図1の例では同一フロアに設置された)無線受信用中継器5を通じて、他の無線監視回線(図1の例において異なるフロア)に属する無線受信用中継器5や電波中継器7と制御通信や情報通信を実施することが可能である。無線監視回線間の通信は、例えば無線受信用中継器5のIDに基づいて識別制御することができる。
【0047】
したがって、既述のように1つの無線監視回線に属する無線受信用中継器5及び電波中継器7間の無線通信を双方向化することによってもたらされるメリットを、異なる無線監視回線間についても得ることができる。よって、システム1の性能やユーザの利便性を更に向上することができる。即ち、或るフロアの電波中継器7から当該フロアの無線受信用中継器5を介して異なるフロアの無線受信用中継器5や電波中継器7、送信端末6に関する情報を収集したり、それらに対する制御を行ったりすることが可能になる。また或るフロアの無線受信用中継器5からも、同様の情報収集、制御が可能になる。
【0048】
例えば、ユーザは、建物2のいずれかの階に設置された無線受信用中継器5や電波中継器7において、異なる階に設置された無線受信用中継器5や電波中継器7の動作を制御したり、異なる階に設置された無線受信用中継器5や電波中継器7、無線式感知器6の設定や動作状態、動作履歴等を確認したりすることが可能になる。別言すると、ユーザは、建物2のどの階に居ても当該階の無線監視回線のみならず、他の階の無線監視回線の状態等を適宜に確認したり制御したりすることができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0049】
なお、伝送路4は無線リンクでなくてもよい。インテリジェントな双方向通信が可能な有線伝送路4であれば、上述したような異なる無線監視回線間の双方向通信を実現できる。この場合、無線リンクに比べて伝送路4を通じた通信の信頼性を向上できる。またこのような場合、それぞれ異なるフロア(回線)に設置されている無線受信用中継器5間の相互通信は、受信機3を介して行うものとしてもよい。
【0050】
(無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7の構成例)
次に、図2に、本実施形態の無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7の構成例を示す。
【0051】
(無線式感知器6)
無線式感知器6は、例えば、センサ部11、CPU12、無線送信部13、アンテナ14及びバッテリー15を備える。
【0052】
センサ部11は、既述のように、例えば火災によって発生する熱、煙、炎、一酸化炭素のいずれかを単独であるいは複合的に検出する。センサ部11の検出値は、CPU12に与えられる。
【0053】
CPU12は、無線式感知器6の動作を統括的に制御する部分であり、例えば、メモリ(図示せず)に記憶されているプログラムの実行により実現する機能として、センサ処理部16を備える。
【0054】
センサ処理部16は、センサ部11から検出値を受け取ると、例えば、センサ部11の検出値を所定の閾値と比較し、火災発生の有無を判断する。例えば、検出値が閾値を超えると火災発生と判断する。火災発生と判断すると、センサ処理部16は、火災発生を示す発報イベント信号を生成し、無線送信部13を通じてアンテナ14から発報イベント信号を無線送信する。
【0055】
センサ処理部16は、図示しない電源監視回路を介してバッテリー15の容量(電源電圧)を監視し、容量が所定以上低下した場合には、バッテリー容量低下を示すイベント信号を生成し、無線送信部13を通じてアンテナ14から無線送信する。
【0056】
センサ処理部16は、所定時間を繰り返しカウントする生存確認タイマ(図示せず)を備える。当該生存確認タイマが所定時間をカウントする毎に(つまりは定期的に)、センサ処理部16は、生存確認信号を生成し、無線送信部13からアンテナ14を通じて生存確認信号を無線送信することができる。
【0057】
なお、センサ処理部16は、例えば、無線式感知器6の設定や状態、仕様に関する情報(例えば、センサ感度に関する情報やバッテリー容量に関する情報、検出値に関する情報等)を生成し、当該情報(以下「感知器情報」ともいう。)を含む信号(以下「感知器情報信号」ともいう。)を無線送信部13からアンテナ14を通じて無線送信してもよい。感知器情報は、生存確認信号の送信周期に同期して送信してもよいし、非同期に送信してもよい。
【0058】
無線送信部13は、例えば、CPU12から上記各種の信号を受信すると、受信した信号をアンテナ14から同一の無線監視回線に属する無線受信用中継器5及び/又は電波中継器7宛に無線送信する。
【0059】
無線送信部13による無線送信は、例えば、400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に従う。無線式感知器6は、上り方向への片方向通信によって少なくとも発報イベント信号及び生存確認信号を送信できれば足りるので、無線受信系は不要である。
【0060】
バッテリー15は、センサ部11、CPU12及び無線送信部13に対し、例えば、直流電源を供給する。
【0061】
(電波中継器7)
次に、図2に例示する電波中継器7は、例えば、操作部21、CPU22、メモリ23、表示部24、無線通信部25、アンテナ26及びバッテリー27を備える。
【0062】
操作部21は、例えば、ユーザによる操作を受け付けて、当該操作に応じた信号を生成する。ユーザによる操作の一例としては、当該電波中継器7が属する無線監視回線に対応する無線受信用中継器5との無線リンク接続確認のための操作や、当該無線受信用中継器5から特定の情報を受信(取得)するための操作、当該無線受信用中継器5を制御するための操作、無線受信用中継器5との間の通信モード(双方向−片方向)の切り替え操作等が挙げられる。これらの操作に応じた信号はCPU22に与えられる。
【0063】
CPU22は、電波中継器7の動作を統括的に制御する部分であり、例えば、メモリ23に記憶されているプログラム(図示せず)の実行により実現される機能として、中継処理部28、接続確認処理部29及び情報通信処理部30を備える。
【0064】
中継処理部28は、例えば、無線通信部25を通じて無線式感知器6が送信した無線信号(発報イベント信号、バッテリー容量低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号等)を受信すると、受信した信号を、無線通信部25を通じアンテナ26から無線受信用中継器5へ無線送信(中継)する。
【0065】
なお、中継処理部28は、電波中継器7が適正に動作していることを知らせるための生存確認信号を定期的に生成し、生成した生存確認信号を無線通信部25からアンテナ26を通じて無線受信用中継器5へ送信する。これにより、無線受信用中継器5では、電波中継器7の無線リンク接続状態について正常/異常を定期的に確認することが可能となる。生存確認信号の定期的な生成、送信のため、中継処理部28には、所定時間を繰り返しカウントする生存確認タイマを備える。
【0066】
また、中継処理部28は、無線式感知器6から受信した信号(発報イベント信号、バッテリー容量低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号)の受信履歴及び/又は送信(中継)履歴等の情報や、感知器情報信号に含まれる感知器情報をメモリ23に記録するようにしてもよい。このように記録されたメモリ23内の情報は、必要に応じ表示部25に適宜表示するようにすることができる。例えば、情報の種類に応じて常に現状表示するようにしてもよい。また操作部41の所定操作により、任意のタイミングで表示できるようにしてもよい。表示はLEDの点灯や点滅、或いは液晶表示器等のテキスト表示等、公知の表示手段と方法によって行うことができる。
【0067】
接続確認処理部29は、例えば、操作部21で受け付けられた接続確認操作に応じた信号を受け取ると、接続確認要求(コマンド)を生成し、当該接続要求を無線通信部25及びアンテナ26を通じ無線受信用中継器5へ送信する。なお、接続確認要求の生成、送信は、ユーザの操作部21に対する接続確認操作の有無に関わらず、定期的に実施するようにしてもよい。また、接続確認処理部29は、例えば、無線通信部25を通じて無線受信用中継器5から接続確認応答信号を接続確認要求の送信から所定時間内に受け取ると、当該無線受信用中継器5との無線通信が可能(接続確認結果が良好)であると判断する。判断結果は、例えば表示部24に表示してよい。
【0068】
また、接続確認処理部29は、例えば、無線通信部25を通じて無線受信用中継器5から接続確認要求を受け取ると、接続確認応答信号を生成し、当該応答信号を無線通信部25から接続確認要求の送信元である無線受信用中継器5へ送信する。なお、接続確認処理部29は、接続確認要求の受信の有無に関わらず、定期的に、接続確認応答に相当する信号を生成し、生成した信号を無線通信部25から無線受信用中継器5宛に送信するようにしてもよい。これにより、無線受信用中継器5は、接続確認要求を電波中継器7宛に送信しないときでも、定期的に電波中継器7との通信の可否を確認することが可能となる。
【0069】
情報通信処理部30は、例えば、操作部21で受け付けられた情報取得要求操作に応じた信号を受け取ると、情報取得要求(コマンド)を生成し、当該情報取得要求を無線通信部25及びアンテナ26を通じ無線受信用中継器5へ送信する。なお、情報取得要求の生成、送信は、操作部21に対する情報取得操作の有無に関わらず、定期的に実施するようにしてもよい。また、情報通信処理部30は、例えば、無線通信部25を通じて情報取得応答信号を無線受信用中継器5から受信すると、当該応答信号に含まれる情報(情報取得要求により要求した情報)の全部又は一部を例えばメモリ23に記憶する。情報通信処理部30は、当該情報の一部又は全部を例えば表示部24に表示させることができる。
【0070】
CPU28は、無線式感知器6の場合と同様に図示しない監視回路からの信号に基づいてバッテリー27の容量低下を判別し、容量が所定以下に低下している場合には、表示部24にその旨を表示すると共に、バッテリー容量低下を示すイベント信号を生成し、無線送信部32の情報通信部34を通じアンテナ26から無線受信用中継器5へ送信する。バッテリー27に代えて他の電源とする場合には、当該電源の状態(例えばAC電源の停電や予備電源の容量低下)を監視して異常がある場合に同様の処理を行う。
【0071】
更に、情報通信処理部30は、例えば、無線通信部25を通じて無線受信用中継器5から情報取得要求を受信すると、当該情報取得要求に応じた情報を含む情報取得応答信号を生成する。生成した情報取得応答は、無線通信部45から情報取得要求の送信元である無線受信用中継器5へ送信する。
【0072】
例示的に、情報通信処理部30には、通信モード切り替え制御部301としての機能を備えることができる。通信モード切り替え制御部301は、操作部21で受け付けられた通信モード切り替え操作に応じた信号の受信、操作後所定タイミングの到来、あるいは無線受信用中継器5からの通信モード切り替え要求(コマンド)の受信に応じて、無線通信部25の通信モードを切り替えることができる。例えば、双方向から片方向への切り替えであれば、無線通信部25において無線受信用中継器5からの受信処理系を停止し、逆の切り替えであれば当該受信処理系を起動する。
【0073】
なお、通信モード切り替え制御部301は、操作部21で受け付けられた通信モード切り替え操作に応じた信号を受信した場合、及び、操作後所定タイミングが到来した場合、通信モード切り替え要求(コマンド)を生成し、無線通信部25を通じて当該要求を無線受信用中継器5へ無線送信することができる。
【0074】
なお、電波中継器7には、表示部24に加えて、音響出力部等を備える報知部(図示省略)を備えてもよい。報知部を備えることで、電波中継器7は、所望の情報等を表示部に表示すると共に音響出力部により例えば音声出力することが可能になる。あるいは、表示部24に代えて音響出力部を備える報知部を設けてもよい。
【0075】
中継処理部28、接続確認処理部29及び情報通信処理部30による具体的な処理については、図5〜図14により後述する。
【0076】
メモリ23には、情報管理テーブル31を記憶することができる。情報管理テーブル31には、直接的又は間接的に通信相手となる無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7のID、設定情報、動作状態情報及び/又は通信状態情報等を記憶することができる。なお、情報管理テーブル31の具体例については、図4により後述する。
【0077】
表示部24は、CPU22による制御の下、例えば、接続確認処理の結果(良/不良)や、メモリ23(例えば情報管理テーブル31)に記憶された情報の一部又は全部を表示する。
【0078】
無線通信部25は、無線式感知器6の上り方向の片方向通信により無線式感知器6の送信した無線信号を受信する一方、無線受信用中継器5と無線による双方向通信を行う。無線式感知器6との間の無線通信は片方向(上り方向)通信で構わないので、無線通信部25に無線式感知器6へ無線信号を送信する無線送信系(ハードウェアとして送受信系が共通の場合はその無線式感知器6に対する送信処理)は不要である。
【0079】
無線式感知器6との間の片方向通信及び無線受信用中継器5との間の双方向通信には、無線式感知器6(無線送信部13)と同様に、400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に従った無線通信を適用する。無線通信部25は、無線式感知器6との間の片方向通信及び無線受信用中継器5との間の双方向通信において受信した無線信号の強度(受信電波強度)を測定する機能を具備してよい。測定した受信電波強度の情報は、既述の情報取得応答信号に含めることができる。
【0080】
無線通信部25には、送受信する無線信号の種類に応じた機能部(通信インターフェース等)を備えることができる。例示的に、無線通信部25には、無線中継部32、接続確認部33及び情報通信部34を備えることができる。
【0081】
無線中継部32は、例えば、無線式感知器6から無線送信された信号(発報イベント信号、バッテリー容量低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号等)をアンテナ26を介して受信すると、この内容を一旦CPU22に渡す。CPU22は、ここで受信した信号に含まれる情報を含む中継送信用の無線信号を生成して無線中継部32に送り、アンテナ26から同一の無線監視回線に属する無線受信用中継器5宛に無線送信する。
【0082】
接続確認部33は、CPU22が生成した接続確認要求(コマンド)を受信すると、当該要求をアンテナ26から無線受信用中継器5宛に無線送信する。当該接続確認要求に対する接続確認応答信号がアンテナ26を通じて受信されると、接続確認部33は、受信した接続確認応答をCPU22(接続確認処理部29)に与える。
【0083】
また、接続確認部33は、無線受信用中継器5から接続確認要求をアンテナ26を介して受信すると、当該要求をCPU22(接続確認処理部29)に与える。当該要求に対する接続確認応答がCPU22(接続確認処理部29)から受信されると、接続確認部33は、当該接続確認応答信号をアンテナ26から接続確認要求の送信元である無線受信用中継器5宛に無線送信する。
【0084】
情報通信部34は、CPU22(情報通信処理部30)が生成した情報取得要求及び通信モード切り替え要求を受信すると、当該要求をアンテナ26から無線受信用中継器5宛に無線送信する。情報取得要求に対する応答(情報取得応答)信号がアンテナ26を通じて受信されると、情報通信部34は、受信した情報取得応答をCPU22(情報通信処理部30)に与える。
【0085】
また、情報通信部34は、無線受信用中継器5から情報取得要求及び通信モード切り替え要求を受信すると、当該要求をCPU22(情報通信処理部30)に与える。受信した情報取得要求に対する情報取得応答がCPU22(情報通信処理部30)から受信されると、情報通信部34は、当該情報取得応答信号をアンテナ26から情報取得要求の送信元である無線受信用中継器5宛に無線送信する。
【0086】
バッテリー27は、例えば、直流電力を操作部21、CPU22、メモリ23、表示部24及び無線通信部25に供給する。なお、当該電力供給は、代替的に、商用AC100ボルトの交流電源を直流電源に変換することによって実施しても構わない。商用交流電源を備える場合、バッテリー27を予備電源として利用してもよい。
【0087】
(無線受信用中継器5)
無線受信用中継器5は、例えば、操作部41、CPU42、メモリ43、表示部44、無線通信部45、伝送路通信部46及びアンテナ47を備える。無線受信用中継器5は、例えば受信機3から感知器回線(L線,C線)を介して供給される電源で動作する。伝送路通信部46は、この電源の無極性化や平滑、電流制限等を行う電源回路(図示省略)を備える。
【0088】
操作部41は、例えば、ユーザによる操作を受け付けて、当該操作に応じた信号を生成する。ユーザによる操作の一例としては、同一の無線監視回線に属する電波中継器7との無線による接続確認のための操作や、当該電波中継器7及び/又は異なる無線監視回線に属する無線受信用中継器5から特定の情報を受信(取得)するための操作、当該電波中継器7及び/又は異なる無線監視回線に属する無線受信用中継器5を制御するための操作、電波中継器7との間の通信モード(双方向−片方向)の切り替え操作等が挙げられる。これらの操作に応じた信号はCPU42に与えられる。
【0089】
CPU42は、電波中継器7の動作を統括的に制御する部分であり、例えば、メモリ43に記憶されているプログラム(図示せず)の実行により実現する機能として、受信処理部49、接続確認処理部50及び情報通信処理部51を備える。
【0090】
受信処理部49は、例えば、アンテナ47及び無線通信部45を通じて無線式感知器6又は電波中継器7、あるいは異なる無線監視回線に属する無線受信用中継器5が無線送信した信号を受信すると、受信した信号に応じた処理を実施する。当該処理の一例は、発報イベント信号の受信による受信機3への発報信号の送信処理や、生存確認信号の受信の有無に応じた無線式感知器6又は電波中継器7の正常/異常確認処理、感知器情報信号の受信による情報受信処理、要求(コマンド)の受信による各種対応処理等である。
【0091】
受信機3への発報信号の送信処理や、無線式感知器6又は電波中継器7から生存確認信号を所定時間内に受信できない場合に受信機3へ異常発生を通知する処理は、例えば伝送路通信部46を通じて実施される。なお、無線式感知器6や電波中継器7からのバッテリー容量低下を示すイベント信号受信に伴う障害信号も、伝送路通信部46を通じて受信機3に送信することができる。
【0092】
なお、以上の処理に伴って、受信処理部49は、発報イベント信号及び/又は生存確認信号の受信履歴や、受信機3に対する発報信号及び/又は異常発生通知の送信履歴、感知器情報信号に含まれる感知器情報等をメモリ43に記録しておくことができる。このように記録したメモリ内の情報は、必要に応じ表示部44に適宜表示するようにすることができる。例えば、情報の種類に応じて常に現状表示するようにしてもよい。また操作部41の所定操作により、任意のタイミングで表示できるようにしてもよい。表示はLEDの点灯や点滅、或いは液晶表示器等のテキスト表示等、公知の表示手段と方法によって行うことができる。
【0093】
接続確認処理部50は、例えば、操作部41で受け付けられた接続確認操作に応じた信号を受け取ると、接続確認要求(コマンド)を生成し、生成した接続確認要求を無線通信部45からアンテナ47を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に送信する。なお、接続確認要求の生成、送信は、ユーザの操作部41に対する接続確認操作の有無に関わらず、定期的に実施してもよい。
【0094】
当該接続確認要求に対する接続確認応答信号がアンテナ47及び無線通信部45を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5から受信されると、接続確認処理部50は、当該電波中継器7又は他の無線受信用中継器5との通信が可能(接続確認処理結果が良好)であると判断する。判断結果は、例えば表示部44に表示してよい。
【0095】
また、接続確認処理部50は、例えば、アンテナ47及び無線通信部45を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5から接続確認要求を受け取ると、当該接続確認要求に対する接続確認応答信号を生成し、生成した接続確認応答信号を無線通信部45からアンテナ47を通じて接続確認要求の送信元である電波中継器7又は他の無線受信用中継器5へ送信する。
【0096】
なお、接続確認処理部50は、接続確認要求受信の有無に関わらず、定期的に、接続確認応答に相当する信号を生成し、生成した信号を無線通信部45から電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に送信してもよい。これにより、電波中継器7又は他の無線受信用中継器5は、接続確認要求を無線受信用中継器5宛に送信しないときでも、定期的に当該無線受信用中継器5との通信の可否を確認することが可能となる。
【0097】
情報通信処理部51は、例えば、操作部41で受け付けられた情報取得操作に応じた信号を受信すると、情報取得要求(コマンド)を生成し、当該要求を無線通信部45からアンテナ47を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に送信する。なお、情報取得要求の生成、送信は、操作部41に対する情報取得操作の有無に関わらず、定期的に実施するようにしてもよい。
【0098】
当該情報取得要求に対する情報取得応答信号が無線通信部45を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5から受信されると、情報通信処理部51は、受信した情報取得応答に含まれる情報の全部又は一部を例えばメモリ43に記憶する。メモリ43に記憶された情報の一部又は全部は、例えば表示部44に表示することができる。
【0099】
更に、情報通信処理部51は、例えば、無線通信部45を通じて電波中継器7又は他の無線受信用中継器5から情報取得要求を受信すると、当該情報取得要求に応じた情報を含む情報取得応答信号を生成し、生成した情報取得応答信号を無線通信部45からアンテナ47を通じて情報取得要求の送信元である電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に送信する。
【0100】
なお、無線受信用中継器5には、表示部44に加えて、音響出力部等を備える報知部(図示省略)を備えてもよい。報知部を備えることで、無線受信用中継器5は、所望の情報等を表示部44に表示すると共に、音響出力部により音声出力することが可能になる。あるいは、表示部44に代えてこのような報知部を設けてもよい。
【0101】
なお、例示的に、情報通信処理部51には、通信モード切り替え制御部511を備えることができる。通信モード切り替え制御部511は、操作部41で受け付けられた通信モード切り替え操作に応じた信号の受信、操作後所定タイミングの到来、あるいは電波中継器7及び/又は他の無線受信用中継器5が送信した通信モード切り替え要求(コマンド)の受信に応じて、無線通信部45及び/又は伝送路通信部46の通信モードを切り替えることができる。
【0102】
無線通信部45の通信モードを切り替えることで、無線受信用中継器5と電波中継器7との間の無線リンクの双方向/片方向が切り替えられる。一方、伝送路通信部46の通信モードを切り替えることで、伝送路4の双方向/片方向が切り替えられる。
【0103】
例示的に、無線受信用中継器5と電波中継器7との間の無線リンクを双方向から片方向への切り替えるのであれば、無線通信部45において電波中継器7への送信処理系を停止し、逆の切り替えであれば当該送信処理系を起動する。また、伝送路4を双方向から片方向に切り替えるのであれば、伝送路通信部46において、受信機3側からの受信処理系を停止し、逆の切り替えであれば、当該受信処理系を起動する。
【0104】
なお、通信モード切り替え制御部511は、操作部41で受け付けられた通信モード切り替え操作に応じた信号を受信した場合、及び、操作後所定タイミングが到来した場合、通信モード切り替え要求(コマンド)を生成し、無線通信部45を通じて電波中継器7へ、あるいは伝送路通信部46を通じて他の無線受信用中継器5へ、生成した通信モード切り替え要求を送信することができる。
【0105】
受信処理部49、接続確認処理部50及び情報通信処理部51による具体的な処理については、図5〜図14により後述する。
【0106】
メモリ43には、情報管理テーブル52を記憶することができる。情報管理テーブル52には、直接的又は間接的に通信相手となる無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7のID、設定情報、動作状態情報及び/又は通信状態情報等を記憶することができる。なお、情報管理テーブル52の具体例については、図4により後述する。
【0107】
表示部44は、CPU42による制御の下、例えば、接続確認処理の結果(良/不良)、メモリ43(例えば情報管理テーブル52)に記憶された情報の一部又は全部を表示する。
【0108】
無線通信部45は、アンテナ47を介して無線式感知器6からの上り方向の片方向通信により無線式感知器6が送信した無線信号を受信する一方、電波中継器7と無線による双方向通信を行う。無線式感知器6との間の無線通信は片方向(上り方向)通信なので、無線通信部45に無線式感知器6へ無線信号を送信する無線送信系(ハードウェアとして送受信系が共通の場合はその無線式感知器6に対する送信処理)は不要である。無線式感知器6との間の片方向通信及び電波中継器7との間の双方向通信には、無線式感知器6(無線送信部13)と同様に、400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に従った無線通信を適用する。
【0109】
無線通信部45には、送受信する無線信号の種類に応じた機能部を備えることができる。例えば、無線通信部45には、無線受信部53、接続確認部54及び情報通信部55を備えることができる。
【0110】
無線受信部53は、例えば、無線式感知器6及び/又は電波中継器7から無線送信された信号(発報イベント信号、バッテリー容量低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号等)をアンテナ47を通じて受信すると、当該信号をCPU42(受信処理部49)に与える。
【0111】
接続確認部54は、CPU42(接続確認処理部50)が生成した接続確認要求を受信すると、当該要求をアンテナ47から電波中継器7宛に無線送信する。当該接続確認要求に対する接続確認応答信号がアンテナ47を通じて受信されると、接続確認部54は、受信した接続確認応答信号をCPU42(接続確認処理部50)に与える。
【0112】
また、接続確認部54は、電波中継器7から接続確認要求をアンテナ47を通じて受信すると、受信したコマンドをCPU42(接続確認処理部50)に与える。当該接続確認要求に対する接続確認応答がCPU42(接続確認処理部50)から受信されると、接続確認部54は、受信した接続確認応答信号をアンテナ47から接続確認要求の送信元である電波中継器7宛に無線送信する。
【0113】
情報通信部55は、CPU42(情報通信処理部51)から情報取得要求及び通信モード切り替え要求を受信すると、当該要求をアンテナ47から電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に無線送信する。情報取得要求に対する情報取得応答信号がアンテナ47を通じて受信されると、情報通信部55は、受信した情報取得応答信号をCPU42(情報通信処理部51)に与える。
【0114】
また、情報通信部55は、電波中継器7又は他の無線受信用中継器5から情報取得要求及び通信モード切り替え要求がアンテナ47を通じて受信されると、受信した要求をCPU42(情報通信処理部51)に与える。受信した情報取得要求に対する情報取得応答がCPU42から受信されると、情報通信部55は、当該情報取得応答信号をアンテナ47から情報取得要求の送信元である電波中継器7又は他の無線受信用中継器5宛に無線送信する。
【0115】
伝送路通信部46は、有線又は無線の通信路を通じて受信機3と通信する。伝送路通信部46は、CPU42(受信処理部49)から発報イベント信号を受信すると、発報信号を受信機3に送信し、また、CPU42(受信処理部49)による生存確認処理の結果として異常発生通知を受信すると、受信機3に異常発生を通知することができる。また、伝送路通信部46は、無線式感知器6や電波中継器7からのバッテリー容量低下を示すイベント信号受信に伴う障害信号を受信機3に送信することもできる。
【0116】
本システムにおいて、既存の有線設備(原始的P型設備含む)の受信機3をそのまま流用できるよう、伝送路4をL線及びC線から成る有線通信路(原始的なP型回線)とする場合、受信機3の受信回路(図示省略)でL線に受信抵抗が接続されており、L線及びC線は受信抵抗を備えるループ回路を形成する。このループ回路に無線受信用中継器5(伝送路通信部46)及び終端器を並列接続してなる負荷が設けられる。すなわち、負荷の合成インピーダンスと受信抵抗とが直列接続される。伝送路通信部46は、通常時は高インピーダンスで異常発生時に短絡する。このため異常発生時にはループ(受信抵抗)に流れる電流が増加し、これが受信機3の受信回路で検出される。一方、断線時には擬似的に終端器がオープンになるので、受信機3は、通常時に比べて電流が減少することを検出して断線判定することができる。
【0117】
なお、生存確認処理の結果(異常発生通知)の送信や、異常バッテリー容量低下を示すイベント信号に伴う障害信号の送信は、断線時と同様の送信としてよい。この場合、受信機3では生存確認異常やバッテリー容量低下についても断線として報知表示することになる。バッテリー容量低下を断線として報知表示することは、電池切れ等による無線式感知器6や電波中継器7の動作停止に伴う回線の通信断を予告する警報と考えることができる。但し、原始的P型設備の流用に拘らずに、よりインテリジェントなP型設備(アドレスやコマンド、簡単なデータ伝送が可能)の受信機やR型設備の受信機を用いる場合、また別に専用の受信機を開発する場合には、受信機3に対する各種通知は個別に実施することができる。
【0118】
また、本システムにおいては回線が途中から無線になるので、終端器は無線受信用中継器5のL線及びC線の接続端子間に接続する。終端器を無線受信用中継器5に内蔵してもよいが、同一回線に複数の無線受信用中継器5を設けることを排除しないので、この場合は終端接続/未接続の切り替え機能を備えて、終端の無線受信用中継器5のみを接続状態に設定する等するとよい。
【0119】
また、伝送路通信部46は、図示しない電源回路により直流電力を操作部41、CPU42、メモリ43、表示部44及び無線通信部45に供給する。なお、伝送路を無線通信路とする場合には電源(商用AC電源やバッテリー他の電源装置)を無線受信用中継器5に備える。商用AC電源部を備える場合は、停電に備えてバックアップ用の予備電源(バッテリー)を備えてもよい。
【0120】
次に、図3は、本実施形態で用いるコマンド61のフォーマットの一例を示す図である。コマンド61は、例えば、電波中継器7のCPU22及び/又は無線受信用中継器5のCPU42において生成される。生成されたコマンド61は、既述のように、無線受信用中継器5と電波中継器7との間及び/又は無線受信用中継器5間において送受信される。
【0121】
コマンド61は、例えば、連番フィールド62、送信元IDフィールド63、コマンド符号フィールド64、宛先IDフィールド65及びチェック符号フィールド66を有する。
【0122】
連番フィールド62には、例えば、コマンド61の順番を示す連続番号が設定され、当該連続番号は、電波中継器7及び無線受信用中継器5においてコマンド61の送信毎に1ずつ増加する。連続番号は、自動火災報知システム1において送受信されるコマンド61を管理するために利用することができる。例えば、コマンド送信順の管理や再中継を禁止する処理等に用いるが、説明を省略する。なお、コマンド61以外の「イベント信号」等は電波中継器7及び無線受信用中継器5のほかに無線式感知器6からも送信され得るが、「イベント信号」についての連番処理もコマンド61の場合と同様である。図3はコマンド61のフォーマットを例示しているが、「イベント信号」の場合はコマンド61のコマンド符号(フィールド)64をイベント符号フィールドに置き換えればよい。
【0123】
送信元IDフィールド63には、例えば、コマンド61の送信元を識別する識別子が設定される。識別子には、非限定的な一例として、32ビットのコードを用いることができる。コマンド61を受信した電波中継器7や無線受信用中継器5は、送信元IDフィールド63に設定された識別子によって識別される送信元宛に応答を返すことができる。なお、例えば中継送信されるコマンドの場合には、送信元IDフィールド63に、送信元の識別子と中継を行った端末の識別子の両方を付す等する。
【0124】
コマンド符号フィールド64には、コマンド61の種別(接続確認要求/応答、情報取得要求/応答等)を識別する情報が設定される。非限定的な一例として、コマンド符号フィールド64には、5〜6ビットの識別情報を設定できる。コマンド61を受信した無線受信用中継器5(CPU42)や電波中継器7(CPU22)は、コマンド符号フィールド64に設定された識別情報を解析することで、受信したコマンド61の種別を識別でき、識別した種別に応じた処理(接続確認要求/応答、情報取得要求/応答の生成、通信モードの切り替え、警報の停止等)を実施することができる。
【0125】
なお、情報取得要求を示すコマンド61には、取得を要求する情報の種類(例えば、「設定情報」や「動作状態情報」、「通信状態情報」等)に応じて複数の種別を用意してよい。したがって、情報取得応答を示すコマンド61の種別についても、応答に含まれる情報の種類(「設定情報」や「動作状態情報」、「通信状態情報」等)に応じて複数種類を用意してよい。
【0126】
宛先IDフィールド65には、例えば、コマンド61の1又は複数の宛先を識別する識別子(宛先情報)が設定される。識別子には、非限定的な一例として、32ビットのコードを用いることができる。コマンド61を受信した電波中継器7や無線受信用中継器5は、宛先IDフィールド65に自身の識別子が設定されていれば、コマンド符号フィールド64の情報から識別されるコマンド種別に応じた処理を実施する。一方、コマンド61を受信した無線受信用中継器5は、宛先IDフィールド65に電波中継器7や他の無線受信用中継器5の識別子が設定されていれば、受信したコマンド61を該当機器宛に転送(無線送信)する。なお、複数の宛先に対してコマンドを送信する場合には、宛先毎に同様のコマンドを送信するか、宛先IDフィールド65に複数の宛先の識別子を付して送信する。宛先IDフィールド65に複数の宛先に対応する識別子を設定した場合には、それぞれの宛先でコマンド種別に応じた処理と受信したコマンド61の転送とが実施され得る。
【0127】
チェック符号フィールド66には、連番フィールド62、送信元IDフィールド63、コマンド符号フィールド64及び宛先IDフィールド65に設定された情報のチェックサムやCRC等の適宜のチェック符号が設定される。
【0128】
次に、図4は、電波中継器7(無線受信用中継器5)のメモリ23(52)に記憶される情報管理テーブル31(52)の一例を示す図である。情報管理テーブル31(52)は、例示的に、ID欄、設定情報欄、動作状態情報欄及び通信状態情報欄を有する。
【0129】
ID欄には、例示的に、直接的又は間接的に通信相手となる無線式感知器6、電波中継器7、無線受信用中継器5等の各種機器(ノード)を識別する情報(ノードID、識別子)が記録される。なお、自己の識別情報も同様に記録してよい。
【0130】
設定情報欄には、例示的に、ノードIDによって識別される機器の設定情報が記録される。例えば、ノードIDが無線受信用中継器5又は電波中継器7のノードIDである場合、設定情報欄には、無線による双方向/片方向通信の設定や、表示部24(44)への情報表示設定等に関する設定情報を設定できる。また、ノードIDが無線式感知器6のノードIDである場合、設定情報欄には、例えば、無線式感知器6のセンサ感度等の感知器情報が記録される。
【0131】
動作状態情報欄には、例示的に、ノードIDによって識別される機器の動作状態に関する情報が記録される。例えば、ノードIDが無線受信用中継器5又は電波中継器7のノードIDである場合、動作状態情報欄には、バッテリー27又は伝送路通信部46(電源回路)の出力電圧の情報等を記録できる。ノードIDが無線式感知器6のノードIDである場合、動作状態情報欄には、バッテリー15の出力電圧の情報等を記録できる。
【0132】
通信状態情報欄には、例示的に、ノードIDによって識別される機器の通信状態に関する情報が記録される。例えば、ノードIDが無線式感知器6のノードIDである場合、通信状態情報欄には、発報イベント信号、バッテリー容量低下を示すイベント信号、生存確認信号の送信履歴の情報等を記録できる。また、ノードIDが無線受信用中継器5又は電波中継器7のノードIDである場合、通信状態情報欄には、発報イベント信号及び/又は生存確認信号の受信履歴や送信/中継履歴、コマンド61の送受信履歴、バッテリー容量低下を示すイベント信号の送信履歴、受信電波強度等を記録できる。
【0133】
(システム動作説明)
次に、本実施形態の自動火災報知システム1における無線受信用中継器5、無線式感知器6及び電波中継器7の動作について、図5〜図14を併用して、更に説明する。
【0134】
(無線式感知器6による発報イベント処理及び生存確認処理)
図5は、本実施形態の無線式感知器6による発報イベント処理及び生存確認処理RT1の一例を示すフローチャートである。
【0135】
無線式感知器6のCPU12は、例えば、電源がオンになると、発報イベント処理及び生存確認処理RT1を開始し、ハードウェアチェック及び生存確認タイマのリスタートを含む初期化処理を実施する(ステップSP1)。
【0136】
次いで、無線式感知器6のCPU12は、所定のイベント発生条件が成立したか否かをチェックする(ステップSP2)。イベント発生条件の成立の一例は、センサ部11の検出値が所定の閾値を超えた場合やバッテリー15の容量(電源電圧)が所定以上低下した場合である。チェックの結果、イベント発生条件が成立している場合(ステップSP2:YES)、無線式感知器6のCPU12は、成立した条件に応じたイベント信号(例えば、発報イベント信号あるいはバッテリー容量低下を示すイベント信号)を生成し、無線送信部13を通じてアンテナ14から生成した信号を電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP3)。一方、イベント発生条件が成立していない場合(ステップSP2:NO)、無線式感知器6のCPU12は、ステップSP4の処理に進む。
【0137】
その後、無線式感知器6のCPU12は、生存確認タイマが所定時間をカウント(タイムアウト)したか否かをチェックする(ステップSP4)。チェックの結果、生存確認タイマがタイムアウトした場合(ステップSP4:YES)、無線式感知器6のCPU12は、生存確認信号を生成し、無線送信部13からアンテナ14を通じて生存確認信号を無線受信用中継器5及び/又は電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP5)。また、無線式感知器6のCPU12は、生存確認タイマをリスタートする(ステップSP6)。その後、無線式感知器6のCPU12は、ステップSP2の処理に戻り、以降、ステップSP2〜SP6の処理を繰り返す。
【0138】
なお、生存確認タイマがタイムアウトしていない場合(ステップSP4:NO)、無線式感知器6のCPU12は、ステップSP2の処理に戻り、以降、ステップSP2〜SP6の処理を繰り返す。
【0139】
(電波中継器7による発報イベント処理及び生存確認処理)
次に、図6は、本実施形態の電波中継器7による発報イベント処理及び生存確認処理RT2の一例を示すフローチャートである。
【0140】
電波中継器7のCPU22は、例えば、電源がオンになると、発報イベント処理及び生存確認処理RT2を開始し、ハードウェアチェック及び生存確認タイマのリスタートを含む初期化処理を実施する(ステップSP11)。
【0141】
次いで、電波中継器7のCPU22は、無線式感知器6から無線送信された信号(発報イベント信号、電池電圧低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号)を受信したか否かをチェックする(ステップSP12)。
【0142】
チェックの結果、無線式感知器6から無線送信された信号を受信している場合(ステップSP12:YES)、電波中継器7のCPU22は、受信した信号を無線通信部25からアンテナ26により無線受信用中継器5宛に無線送信(中継)する(ステップSP13)。
【0143】
その際、電波中継器7のCPU22は、必要に応じて、無線受信用中継器5宛の送信(中継)履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP14)。なお、「必要に応じて」とは、例えば信号の種類によって記録するものと記録しないものとを分けることが有り得ることを示唆している。また、発報に対する復旧(解消)、電池電圧低下等の障害に対する復旧(解消)を示す信号が電波中継器7において中継送信される場合、こうしたイベントの発生及び解消の記録から両状態の整合性を確認することも可能である。
【0144】
一方、無線式感知器6から無線送信された信号を受信していない場合、(ステップSP12:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP15の処理に進む。
【0145】
ステップSP15の処理において、電波中継器7のCPU22は、生存確認タイマがタイムアウトしたか否かをチェックする(ステップSP15)。チェックの結果、生存確認タイマがタイムアウトしている場合(ステップSP15:YES)、電波中継器7のCPU22は、電波中継器7の生存確認信号を生成し、無線通信部25からアンテナ26により生存確認信号を無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP16)。
【0146】
生存確認信号の送信に伴い、電波中継器7のCPU22は、必要に応じて、無線受信用中継器5宛の生存確認信号の送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP17)。
【0147】
その後、電波中継器7のCPU22は、生存確認タイマをリスタートする(ステップSP18)。続いて、電波中継器7のCPU22は、ステップSP12の処理に戻り、以降、ステップSP12〜SP18の処理を繰り返す。
【0148】
なお、生存確認タイマがタイムアウトしていない場合(ステップSP15:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP12の処理に戻り、以降、ステップSP12〜SP18の処理を繰り返す。
【0149】
(無線受信用中継器5による発報イベント処理及び生存確認処理)
次に、図7は、本実施形態の無線受信用中継器5による発報イベント処理及び生存確認処理RT3の一例を示すフローチャートである。
【0150】
無線受信用中継器5のCPU42は、例えば、電源がオンになると、発報イベント処理及び生存確認処理RT3を開始し、ハードウェアチェック及び生存確認タイマのリスタートを含む初期化処理を実施する(ステップSP21)。
【0151】
次いで、無線受信用中継器5のCPU42は、無線式感知器6及び/又は電波中継器7が無線送信した信号(発報イベント信号、電池電圧低下を示すイベント信号、生存確認信号、感知器情報信号等)を受信したか否かをチェックする(ステップSP22)。
【0152】
チェックの結果、無線式感知器6及び/又は電波中継器7が無線送信した信号を受信している場合(ステップSP22:YES)、無線受信用中継器5のCPU42は、必要に応じて、受信した無線信号の受信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する(ステップSP23)。
【0153】
一方、無線式感知器6及び/又は電波中継器7が無線送信した信号を受信していない場合(ステップSP22:NO)、無線受信用中継器5のCPU42は、ステップSP27の処理(生存確認処理)に進む。
【0154】
無線式感知器6及び/又は電波中継器7が送信した無線信号を受信した場合、無線受信用中継器5のCPU42は、受信した無線信号が所定の信号であるか、例えば、発報イベント信号であるか、生存確認信号であるか、バッテリー容量低下等の障害を示すイベント信号であるか、また各復旧を示すイベント信号であるか否かをチェックする(ステップSP24)。
【0155】
無線受信用中継器5のCPU42は、当該チェックの結果に応じた信号(例えば、発報信号、生存確認異常信号、障害信号、復旧信号等)を生成し、生成した信号を伝送路通信部46により受信機3に送信する(ステップSP25)。また、無線受信用中継器5のCPU42は、受信機3への信号の送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する(ステップSP26)。なお、受信した無線信号が所定の信号でない場合は、例えば当該信号をエラーとして無視してよい。
【0156】
さらに、無線受信用中継器5のCPU42は、ステップSP27において、監視担当の無線監視回線に属する無線式感知器6及び/又は電波中継器7から生存確認信号を受信しないまま生存確認タイマがタイムアウトしたか否かをチェックする(ステップSP27)。
【0157】
生存確認信号を受信しないまま生存確認タイマがタイムアウトし場合(ステップSP27:YES)、無線受信用中継器5のCPU42は、該当する無線式感知器6及び/又は電波中継器7に異常が発生していることを通知するための信号を生成し、当該信号を伝送路通信部46により受信機3に送信する(ステップSP28)。
【0158】
当該送信に伴い、無線受信用中継器5のCPU42は、受信機3への異常発生通知の送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する(ステップSP29)。その後、無線受信用中継器5のCPU42は、ステップSP22の処理に戻り、以降、ステップSP22〜SP29の処理を繰り返す。
【0159】
なお、生存確認タイマがタイムアウトしていない場合(ステップSP27:NO)、無線受信用中継器5のCPU42は、ステップSP22の処理に戻り、以降、ステップSP22〜SP29の処理を繰り返す。
【0160】
(電波中継器7による接続確認処理)
次に、図8は、本実施形態の電波中継器7による接続確認処理RT4の一例を示すフローチャートである。
【0161】
電波中継器7のCPU22は、例えば、電源がオンになると、接続確認処理RT4を開始し、操作部21から接続確認操作に応じた信号を受信したか否かをチェックする(ステップSP31)。
【0162】
チェックの結果、操作部21から接続確認操作に応じた信号を受信していない場合(ステップSP31:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP37の処理に進む。一方、操作部21から接続確認操作に応じた信号を受信した場合(ステップSP31:YES)、電波中継器7のCPU22は、接続確認要求(コマンド)を生成し、当該要求を無線通信部25からアンテナ26を通じて同一無線監視回線に属する無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP32)。
【0163】
接続確認要求(コマンド)の送信により、電波中継器7のCPU22は、無線受信用中継器5への送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP33)。
【0164】
その後、電波中継器7のCPU22は、アンテナ26及び無線通信部25を通じて接続確認応答信号を無線受信用中継器5から所定時間内に受信したか否かをチェックする(ステップSP34)。
【0165】
チェックの結果、無線受信用中継器5から接続確認応答信号を所定時間内に受信した場合(ステップSP34:YES)、電波中継器7のCPU22は、無線受信用中継器5との電波が受信できている状態(接続可能な範囲)にある旨を例えば表示部24に表示する(ステップSP35)。
【0166】
一方、無線受信用中継器5から接続確認応答を所定時間内に受信していない場合(ステップSP34:NO)、電波中継器7のCPU22は、無線受信用中継器5と接続可能な範囲にない旨を例えば表示部24に表示する(ステップSP36)。
【0167】
また、電波中継器7のCPU22は、無線受信用中継器5からアンテナ26及び無線通信部25により接続確認要求(コマンド)を受信したか否かをチェックする(ステップSP37)。
【0168】
チェックの結果、無線受信用中継器5から接続確認要求を受信した場合(ステップSP37:YES)、電波中継器7のCPU22は、接続確認応答信号を生成し、当該応答を無線通信部25からアンテナ26を通じて無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP38)。
【0169】
接続確認要求の受信及び接続確認応答信号の送信に伴い、電波中継器7のCPU22は、それぞれの履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP39)。その後、電波中継器7のCPU22は、ステップSP31の処理に戻り、以降、ステップSP31〜SP39の処理を繰り返す。
【0170】
なお、無線受信用中継器5から接続確認要求を受信していない場合(ステップSP37:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP31の処理に戻り、以降、ステップSP31〜SP39の処理を繰り返す。
【0171】
また、無線受信用中継器5のCPU42による接続確認処理は、上記のステップSP31〜SP39の各処理において接続確認要求の送信元と送信先とをそれぞれ無線受信用中継器5と電波中継器7とに入れ替えた処理に相当する。
【0172】
(電波中継器7による情報取得処理)
次に、図9は、本実施形態の電波中継器7による情報取得処理RT5の一例を示すフローチャートである。
【0173】
電波中継器7のCPU22は、例えば、電源がオンになると、情報取得処理RT5を開始し、操作部21から情報取得操作に応じた信号を受信したか否かをチェックする(ステップSP41)。
【0174】
チェックの結果、操作部21から情報取得操作に応じた信号を受信していない場合(ステップSP41:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP47の処理に進む。一方、操作部21から情報取得操作に応じた信号を受信した場合(ステップSP41:YES)、電波中継器7のCPU22は、情報取得要求(コマンド)を生成し、当該情報取得要求を無線通信部25からアンテナ26により無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP42)。情報取得要求の宛先(フィールド)には、同一の無線監視回線に属する無線受信用中継器5、異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5及び他の電波中継器7のいずれかの識別子が設定される。
【0175】
情報取得要求(コマンド)の送信に伴い、電波中継器7のCPU22は、無線受信用中継器5への情報取得要求の送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP43)。
【0176】
その後、電波中継器7のCPU22は、同一の無線監視回線に属する無線受信用中継器5からアンテナ26及び無線通信部25を通じて情報取得応答を所定時間内に受信したか否かをチェックする(ステップSP44)。
【0177】
チェックの結果、当該無線受信用中継器5から情報取得応答信号を所定時間内に受信した場合(ステップSP44:YES)、電波中継器7のCPU22は、受信した情報取得応答信号に含まれる情報の全部又は一部をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する。その際、CPU22は、情報取得応答信号の受信履歴情報を併せて記録してもよい。また、CPU22は、情報取得応答信号に含まれる情報の全部又は一部を例えば表示部24に表示してもよい(ステップSP45)。
【0178】
一方、無線受信用中継器5から情報取得応答信号を所定時間内に受信していない場合(ステップSP44:NO)、電波中継器7のCPU22は、情報取得応答信号を受信できない旨を例えば表示部24に表示する(ステップSP46)。
【0179】
また、電波中継器7のCPU22は、同一の無線監視回線に属する無線受信用中継器5からアンテナ26及び無線通信部25を通じて当該電波中継器7宛の情報取得要求(コマンド)を受信したか否かをチェックする(ステップSP47)。
【0180】
チェックの結果、当該電波中継器7宛の情報取得要求を受信している場合(ステップSP47:YES)、電波中継器7のCPU22は、情報取得応答信号を生成し、当該応答信号を無線通信部25からアンテナ26により無線送信する。ここで、当該情報取得応答信号の宛先(フィールド)には、受信した情報取得要求の送信元(フィールド)の情報が設定される。なお、受信した情報取得要求の宛先が当該電波中継器7宛でない場合、電波中継器7のCPU22は、受信した情報取得要求の宛先情報に応じた機器宛に当該情報取得要求を転送(無線送信)する(ステップSP48)。なお、情報取得要求に複数の宛先が設定されている場合には、それぞれの宛先で情報取得応答信号の返信と受信した情報取得要求の転送とが実施され得る。
【0181】
情報取得要求の受信/転送、及び、情報取得応答信号の送信に伴い、それぞれの履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP49)。その後、電波中継器7のCPU22は、ステップSP41の処理に戻り、以降、ステップSP41〜SP49の処理を繰り返す。
【0182】
なお、無線受信用中継器5から情報取得要求を受信していない場合(ステップSP47:NO)、電波中継器7のCPU22は、ステップSP41の処理に戻り、以降、ステップSP41〜SP49の処理を繰り返す。
【0183】
(無線受信用中継器5による情報取得処理)
図10及び図11は、本実施形態の無線受信用中継器5による情報取得処理RT6の一例を示すフローチャートである。
【0184】
無線受信用中継器5のCPU42は、例えば、電源がオンになると、情報取得処理RT6を開始し、操作部41から情報取得操作に応じた信号を受信したか否かをチェックする(ステップSP51)。
【0185】
チェックの結果、操作部41から情報取得操作に応じた信号を受信していない場合(ステップSP51:NO)には、無線受信用中継器5のCPU42は、ステップSP57の処理に進む。
【0186】
一方、操作部41から情報取得操作に応じた信号を受信した場合(ステップSP51:YES)、無線受信用中継器5のCPU42は、情報取得要求(コマンド)を生成し、当該要求を無線通信部45からアンテナ47を通じて無線送信する(ステップSP52)。なお、当該情報取得要求の宛先には、同一の無線監視回線に属する電波中継器7や異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5の識別子を設定できる。
【0187】
情報取得要求(コマンド)の送信に伴い、無線受信用中継器5のCPU42は、当該情報取得要求の送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する(ステップSP53)。
【0188】
その後、無線受信用中継器5のCPU42は、同一の無線監視回線に属する電波中継器7又は異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5から、アンテナ47及び無線通信部45を通じて、当該無線受信用中継器5を宛先とする情報取得応答信号を所定時間内に受信したか否かをチェックする(ステップSP54及びSP55)。
【0189】
チェックの結果、当該無線受信用中継器5を宛先とする情報取得応答信号を所定時間内に受信しなかった場合(ステップSP54:NO)、当該無線受信用中継器5のCPU42は、情報取得応答信号を受信できない旨(情報取得NG)を例えば表示部44に表示する(ステップSP58)。併せて、CPU42は、情報取得応答信号を受信できない旨を通信異常等として受信機3へ送信するようにしてもよい。
【0190】
一方、当該無線受信用中継器5を宛先とする情報取得要求を所定時間内に受信した場合(ステップSP54及びSP55:YES)、当該無線受信用中継器5のCPU42は、受信した情報取得応答に含まれる情報の全部又は一部をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する。CPU42は、情報取得応答に含まれる情報の全部又は一部を例えば表示部44に表示してもよい(ステップSP56)。
【0191】
情報取得応答信号を所定時間内に受信したが当該応答信号の宛先が当該無線受信用中継器5でない(同一又は異なる無線監視回線に属する電波中継器7が宛先、又は異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5が宛先である)場合(ステップSP54:YES、ステップSP55:NO)、当該無線受信用中継器5のCPU42は、受信した情報取得応答信号の宛先に応じた機器宛に当該情報取得応答を転送(無線送信)する(ステップSP57)。
【0192】
また、無線受信用中継器5のCPU42は、同一の無線監視回線に属する電波中継器7又は異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5から、アンテナ47及び無線通信部45を通じて、当該無線受信用中継器5を宛先とする情報取得要求(コマンド)を受信したか否かをチェックする(ステップSP59及びSP60)。
【0193】
チェックの結果、当該無線受信用中継器5を宛先とする情報取得要求を受信した場合(ステップSP59及びSP60:YES)、無線受信用中継器5のCPU42は、情報取得応答信号を生成し、当該応答を無線通信部45からアンテナ47を通じて情報取得要求元の機器宛に無線送信する(ステップSP61)。受信した情報取得要求の宛先が当該無線受信用中継器5ではない(同一又は異なる無線監視回線に属する電波中継器7が宛先、又は異なる無線監視回線に属する他の無線受信用中継器5が宛先である)場合(ステップSP59YES、ステップSP60:NO)、当該無線受信用中継器5のCPU42は、受信した情報取得要求の宛先に応じた機器宛に当該情報取得要求を転送(無線送信)する(ステップSP62)。なお、情報取得要求に複数の宛先が設定されている場合には、それぞれの宛先で情報取得応答の返信と受信した情報取得要求の転送とが実施され得る。
【0194】
情報取得要求の受信/転送、及び、情報取得応答信号の送信に伴い、無線受信用中継器5のCPU42は、それぞれの履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録する(ステップSP63)。
【0195】
その後、無線受信用中継器5のCPU42は、図10のステップSP51に戻り、以降、ステップSP51〜SP61の処理を繰り返す。なお、情報取得要求を受信していない場合(ステップSP59:NO)についても、無線受信用中継器5のCPU42は、図10のステップSP51の処理に戻り、以降、ステップSP51〜SP61の処理を繰り返す。
【0196】
(接続確認処理の実施例)
次に、図12は、本実施形態の電波中継器7及び無線受信用中継器5間の接続確認処理の一例を示すシーケンス図である。
【0197】
まず、建物2(図1参照)の2階(2F)に設置された電波中継器7(CPU22)は、例えば、操作部21から接続確認操作に応じた信号を受信すると(ステップSP71)、接続確認要求(コマンド)を無線通信部25からアンテナ26により同一フロア(2F)に設置された無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP72)。当該無線送信に伴い、電波中継器7(CPU22)は、接続確認要求の送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP73)。
【0198】
一方、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、同一フロア(2F)に設置された電波中継器7から接続確認要求を受信すると(ステップSP74)、接続確認応答信号を同一フロア(2F)の電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP75)。接続確認要求の受信及び接続確認応答信号の送信に伴い、CPU42は、それぞれの履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録する(ステップSP76)。
【0199】
2Fに設置された電波中継器7(CPU22)は、同一フロア(2F)に設置された無線受信用中継器5から上記接続確認応答信号を受信すると(ステップSP77)、当該無線受信用中継器5から無線電波が受信できている状態(接続可能な範囲)にある旨を例えば表示部24に表示する(ステップSP78)。
【0200】
なお、3Fに設置された電波中継器7と3Fに設置された無線受信用中継器5との間の無線リンクの接続確認処理についても上記と同様である。
【0201】
このように、本実施形態の自動火災報知システム1によれば、電波中継器7の無線による接続可否を容易に確認することができるので、例えば電波中継器7の設置時に、無線受信用中継器5と通信が可能な設置場所をユーザが容易に確認することができる。
【0202】
(情報取得処理の実施例)
次に、図13及び図14は、本実施形態の電波中継器7及び無線受信用中継器5間の情報取得処理の一例を示すシーケンス図である。図13及び14には、建物2(図1参照)の2Fに設置された電波中継器7において、2Fの無線受信用中継器5、3Fの無線受信用中継器5、3Fの電波中継器7のそれぞれから情報を取得するための通信を行なう場合の動作例を示している。
【0203】
まず、建物2の2Fに設置された電波中継器7(CPU22)は、例えば、操作部21から情報取得操作に応じた信号を受信すると(ステップSP81)、情報取得要求(コマンド)をアンテナ26から無線送信する(ステップSP82)。当該情報取得要求は、例示的に、通信対象の機器(ノード)のID、すなわち、2Fに設置された無線受信用中継器5と、3Fに設置された無線受信用中継器5と、3Fに設置された電波中継器7との各IDを宛先情報に含む。当該情報取得要求の無線送信に伴い、電波中継器7(CPU22)は、情報取得要求の送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録してよい(ステップSP83)。
【0204】
一方、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、同一フロア(2F)に設置された電波中継器7から上記情報取得要求を受信すると(ステップSP84)、当該要求に3Fに設置された他の無線受信用中継器5のIDが含まれているので、3Fに設置された他の無線受信用中継器5宛に情報取得要求を無線送信する(ステップSP85)。
【0205】
また、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、2Fに設置された電波中継器7から受信した情報取得要求に対する情報取得応答信号を生成し、当該応答を2Fに設置された電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP86)。当該ステップSP86の処理と上記ステップSP85の処理は順序を入れ替えてもよい。
【0206】
なお、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、例示的に、2Fに設置された電波中継器7との間の情報取得要求/応答信号の受信/送信履歴情報と、3Fに設置された無線受信用中継器5への情報取得要求の送信履歴情報と、をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録してよい。
【0207】
一方、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、異なるフロア(2F)に設置された無線受信用中継器5から無線送信された情報取得要求を受信すると(ステップSP87)、当該要求には3Fに設置された電波中継器7のIDが含まれているので、情報取得要求をアンテナ47から同一フロア(3F)に設置された電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP88)。
【0208】
また、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、2Fに設置された無線受信用中継器5から受信した情報取得要求に対する情報取得応答信号を生成し、当該応答信号を2Fに設置された無線受信用中継器5宛に無線送信する(ステップSP89)。当該ステップSP89の処理と上記ステップSP88の処理の順序は入れ替えてもよい。
【0209】
なお、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、例示的に、2Fに設置された無線受信用中継器5との間の情報取得要求/応答信号の受信/送信履歴情報と、同一フロア(3F)に設置された電波中継器7への情報取得要求の送信履歴情報と、をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録してよい。
【0210】
一方、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、3Fに設置された無線受信用中継器5から無線送信された情報取得応答信号を受信すると(ステップSP101)、受信した情報取得応答信号を情報取得要求の送信元である2Fの電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP102)。なお、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、例示的に、情報取得応答信号の受信/送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録してよい(ステップSP103)。
【0211】
次に、3Fに設置された電波中継器7(CPU22)は、ステップSP88において同一フロア(3F)の無線受信用中継器5から無線送信された情報取得要求を受信すると(ステップSP90)、当該要求には当該電波中継器7のIDが含まれているので、受信した情報取得要求に対する情報取得応答信号を生成し、同一フロア(3F)に設置された無線受信用中継器5宛に情報取得応答信号を無線送信する(ステップSP91)。
【0212】
当該電波中継器7(CPU22)は、例示的に、同一フロア(3F)に設置された無線受信用中継器5との間の情報取得要求/応答信号の受信/送信履歴情報をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録してよい(ステップSP92)。
【0213】
次に、図14に示すように、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、同一フロア(3F)に設置された電波中継器7から情報取得応答を受信すると(ステップSP93)、当該応答には2Fの電波中継器7のIDが含まれているので、2Fに設置された無線受信用中継器5宛に情報取得応答を無線送信する(ステップSP94)。
【0214】
また、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、例示的に、同一フロア(3F)に設置された電波中継器7からの情報取得応答信号の受信履歴情報及び/又は異なるフロア(2F)に設置された無線受信用中継器5への情報取得応答信号の送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録してよい(ステップSP95)。このとき、3Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、受信した情報取得応答信号に含まれる情報の全部又は一部をメモリ43(情報管理テーブル52)に併せて記録してもよい。
【0215】
一方、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、ステップSP94において3Fに設置された無線受信用中継器5が無線送信した情報取得応答信号を受信すると(ステップSP96)、当該応答信号には2Fの電波中継器7のIDが含まれているので、情報取得応答信号を情報取得要求の送信元である電波中継器7宛に無線送信する(ステップSP97)。
【0216】
また、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、異なるフロア(3F)に設置された無線受信用中継器5からの情報取得応答の受信履歴情報及び同一フロア(2F)に設置された電波中継器7への情報取得応答の送信履歴情報をメモリ43(情報管理テーブル52)に記録してよい(ステップSP98)。このとき、2Fに設置された無線受信用中継器5(CPU42)は、受信した情報取得応答信号に含まれる情報の全部又は一部をメモリ43(情報管理テーブル52)に併せて記録してもよい。
【0217】
そして、2Fに設置された電波中継器7(CPU22)は、ステップSP86(図13参照)、ステップSP102(図13参照)、及びステップSP97(図14参照)でそれぞれ同一フロア(2F)に設置された無線受信用中継器5から無線送信された情報取得応答信号を受信すると(ステップSP99)、各情報取得応答に含まれる情報、すなわち2Fの無線受信用中継器5、3Fの無線受信用中継器5、及び3Fの電波中継器7からそれぞれ取得した情報の全部又は一部をメモリ23(情報管理テーブル31)に記録し、必要に応じて当該情報を表示部24に表示する(ステップSP100)。なお、2Fに設置された電波中継器7(CPU22)は、例示的に、受信した情報取得応答の受信履歴情報を併せてメモリ23(情報管理テーブル31)に記録してよい。
【0218】
電波中継器7のメモリ23(情報管理テーブル31)の全部又は一部、及び、無線受信用中継器5のメモリ43(情報管理テーブル52)に記録された情報の全部又は一部は、記録後に受信される情報取得要求に対する情報取得応答信号に含められる対象にしてよい。
【0219】
なお、上述した例では、情報取得のための通信の対象を2Fの無線受信用中継器5、3Fの無線受信用中継器5、3Fの電波中継器7の3つの機器(ノード)としているが、3つの機器のいずれか1又は2つのIDを情報取得要求に含めれば、当該1又は2つの機器から情報を取得することができる。別言すると、当該通信は、システム1における個々の機器を対象にすることもできるし、システム1における複数の機器をまとめて対象にすることもできる。
【符号の説明】
【0220】
1…自動火災報知システム、2…建物、3…受信機、4…伝送路、5…無線受信用中継器、6…無線式感知器、7…電波中継器、11…センサ部、12,22,42…CPU、13…無線送信部、14,26,47…アンテナ、15,27…バッテリー、21,41…操作部、23,43…メモリ、24,44…表示部、25,45…無線通信部、28…中継処理部、29,50…無線通信確認処理部、30,51…情報通信処理部、31,52…情報管理テーブル、32…無線中継部、33,54…接続確認部、34,55…情報通信部、46…伝送路通信部、49…受信処理部、53…無線受信部、61…コマンド、62…連番フィールド、63…送信元IDフィールド、64…コマンド符号フィールド、65…宛先IDフィールド、66…チェック符号フィールド、301,511…通信モード切り替え制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機と、
監視区域に対応して設置された無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する複数の中継器ノードと、を備え、
異なる無線監視回線のそれぞれに対応する中継器ノード同士が、双方向の伝送路によって接続された、警報システム。
【請求項2】
前記双方向の伝送路は、双方向の有線又は無線の伝送路である、請求項1に記載の警報システム。
【請求項3】
前記無線監視回線の一部又は全部には、
監視区域において前記イベントの発生を検出するとイベント信号を無線により送信する送信端末と、
前記送信端末が無線により送信したイベント信号を受信して当該監視区域に対応する中継器ノードへ中継送信する電波中継ノードと、
前記送信端末から前記電波中継ノードへの片方向の無線リンクと、
前記電波中継ノードと前記中継器ノードとの間の双方向の無線リンクと、が属する、請求項1又は2に記載の警報システム。
【請求項4】
第1の無線監視回線の前記電波中継ノードは、前記双方向の無線リンクと前記双方向の伝送路とを通じて、第2の無線監視回線の中継器ノード又は電波中継ノードと双方向の通信を実施する、請求項3に記載の警報システム。
【請求項5】
1つの無線監視回線に属する前記中継器ノード及び前記電波中継ノードの少なくとも一方は、他方のノードとの間の無線リンクを、前記双方向の無線リンクと、前記電波中継ノードから前記中継器ノードへの片方向の無線リンクと、の間で選択的に切り替える手段を備えた、請求項3又は4に記載の警報システム。
【請求項6】
異なる無線監視回線に対応する各中継器ノードの少なくとも一方は、相手ノードとの間の伝送路を、前記双方向の伝送路と、前記受信機へ向かう片方向の伝送路との間で選択的に切り替える手段を備えた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の警報システム。
【請求項7】
監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機に接続された中継器ノードであって、
イベント信号を受信する受信部と、
前記受信部によって第1の監視区域に対応して設置された第1の無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する送信部と、
第2の監視区域に対応して設置された第2の無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する第2の中継器ノードとの間で、双方向の伝送路を通じて通信する通信部と、を備えた、中継器ノード。
【請求項8】
前記双方向の伝送路は、双方向の有線又は無線の伝送路である、請求項7に記載の中継器ノード。
【請求項9】
前記第2の無線監視回線には、
前記第2の監視区域において前記イベントの発生を検出するとイベント信号を無線により送信する送信端末と、
前記送信端末が無線により送信したイベント信号を受信して前記第2の中継器ノードへ中継送信する電波中継ノードと、
前記送信端末から前記電波中継ノードへの片方向の無線リンクと、
前記電波中継ノードと前記第2の中継器ノードとの間の双方向の無線リンクと、が属する、請求項7又は8に記載の中継器ノード。
【請求項10】
前記通信部は、
前記双方向の伝送路と前記双方向の無線リンクとを通じて、前記第2の無線監視回線に対応する中継器ノード又は前記第2の無線監視回線に属する電波中継ノードと通信する、請求項9に記載の中継器ノード。
【請求項11】
監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機と、監視区域に対応して設置された無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する複数の中継器ノードと、を備えた警報システムにおいて第1の監視区域に対応して設置された第1の無線監視回線に属する電波中継ノードであって、
前記第1の無線監視回線に対応する第1の中継器ノードとの間の双方向の無線リンク、及び、第2の監視区域に対応して設置された第2の無線監視回線に対応する第2の中継器ノードと前記第1の中継器ノードとの間の双方向の伝送路を通じて、前記第2の無線監視回線と通信する通信部を備えた、電波中継ノード。
【請求項12】
前記双方向の伝送路は、双方向の有線又は無線の伝送路である、請求項10に記載の電波中継ノード。
【請求項13】
前記第2の無線監視回線との通信は、前記第2の監視区域に対応した前記第2の無線監視回線に属する第2の電波中継ノードとの通信を含む、請求項11又は12に記載の電波中継ノード。
【請求項1】
監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機と、
監視区域に対応して設置された無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する複数の中継器ノードと、を備え、
異なる無線監視回線のそれぞれに対応する中継器ノード同士が、双方向の伝送路によって接続された、警報システム。
【請求項2】
前記双方向の伝送路は、双方向の有線又は無線の伝送路である、請求項1に記載の警報システム。
【請求項3】
前記無線監視回線の一部又は全部には、
監視区域において前記イベントの発生を検出するとイベント信号を無線により送信する送信端末と、
前記送信端末が無線により送信したイベント信号を受信して当該監視区域に対応する中継器ノードへ中継送信する電波中継ノードと、
前記送信端末から前記電波中継ノードへの片方向の無線リンクと、
前記電波中継ノードと前記中継器ノードとの間の双方向の無線リンクと、が属する、請求項1又は2に記載の警報システム。
【請求項4】
第1の無線監視回線の前記電波中継ノードは、前記双方向の無線リンクと前記双方向の伝送路とを通じて、第2の無線監視回線の中継器ノード又は電波中継ノードと双方向の通信を実施する、請求項3に記載の警報システム。
【請求項5】
1つの無線監視回線に属する前記中継器ノード及び前記電波中継ノードの少なくとも一方は、他方のノードとの間の無線リンクを、前記双方向の無線リンクと、前記電波中継ノードから前記中継器ノードへの片方向の無線リンクと、の間で選択的に切り替える手段を備えた、請求項3又は4に記載の警報システム。
【請求項6】
異なる無線監視回線に対応する各中継器ノードの少なくとも一方は、相手ノードとの間の伝送路を、前記双方向の伝送路と、前記受信機へ向かう片方向の伝送路との間で選択的に切り替える手段を備えた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の警報システム。
【請求項7】
監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機に接続された中継器ノードであって、
イベント信号を受信する受信部と、
前記受信部によって第1の監視区域に対応して設置された第1の無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する送信部と、
第2の監視区域に対応して設置された第2の無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する第2の中継器ノードとの間で、双方向の伝送路を通じて通信する通信部と、を備えた、中継器ノード。
【請求項8】
前記双方向の伝送路は、双方向の有線又は無線の伝送路である、請求項7に記載の中継器ノード。
【請求項9】
前記第2の無線監視回線には、
前記第2の監視区域において前記イベントの発生を検出するとイベント信号を無線により送信する送信端末と、
前記送信端末が無線により送信したイベント信号を受信して前記第2の中継器ノードへ中継送信する電波中継ノードと、
前記送信端末から前記電波中継ノードへの片方向の無線リンクと、
前記電波中継ノードと前記第2の中継器ノードとの間の双方向の無線リンクと、が属する、請求項7又は8に記載の中継器ノード。
【請求項10】
前記通信部は、
前記双方向の伝送路と前記双方向の無線リンクとを通じて、前記第2の無線監視回線に対応する中継器ノード又は前記第2の無線監視回線に属する電波中継ノードと通信する、請求項9に記載の中継器ノード。
【請求項11】
監視区域において警報を発すべきイベントが発生したことを示すイベント信号の受信に応じて警報処理を実施する受信機と、監視区域に対応して設置された無線監視回線を通じて受信したイベント信号を前記受信機へ送信する複数の中継器ノードと、を備えた警報システムにおいて第1の監視区域に対応して設置された第1の無線監視回線に属する電波中継ノードであって、
前記第1の無線監視回線に対応する第1の中継器ノードとの間の双方向の無線リンク、及び、第2の監視区域に対応して設置された第2の無線監視回線に対応する第2の中継器ノードと前記第1の中継器ノードとの間の双方向の伝送路を通じて、前記第2の無線監視回線と通信する通信部を備えた、電波中継ノード。
【請求項12】
前記双方向の伝送路は、双方向の有線又は無線の伝送路である、請求項10に記載の電波中継ノード。
【請求項13】
前記第2の無線監視回線との通信は、前記第2の監視区域に対応した前記第2の無線監視回線に属する第2の電波中継ノードとの通信を含む、請求項11又は12に記載の電波中継ノード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−8194(P2013−8194A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140366(P2011−140366)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
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