警報システム
【課題】 RFIDタグを携帯している人が、工場や事業所内で危険な場所に進入した場合等に、進入者の通知レベルに応じて、適切なメッセージをグループや呼出エリアに同報通知して、利便性及び安全性を向上させることができる警報システムを提供する。
【解決手段】 RFIDシステムとPHSシステムとを連動させて制御する管理サーバ1が、RFIDタグ8のタグIDとそれに対応する通知レベル(ユーザグループ)とを記憶するユーザ情報テーブルと、トリガIDとユーザグループの組み合わせに応じた通知先のグループを記憶する動作設定テーブルを備え、トリガIDとタグIDとを受信すると、ユーザ情報テーブルに基づいてタグIDに対応するユーザグループを特定し、当該ユーザグループとトリガIDとで特定される動作設定テーブルに基づいて、通知先のグループの携帯端末4に、音声又は文字メッセージで警報を同報通知する警報システムとしている。
【解決手段】 RFIDシステムとPHSシステムとを連動させて制御する管理サーバ1が、RFIDタグ8のタグIDとそれに対応する通知レベル(ユーザグループ)とを記憶するユーザ情報テーブルと、トリガIDとユーザグループの組み合わせに応じた通知先のグループを記憶する動作設定テーブルを備え、トリガIDとタグIDとを受信すると、ユーザ情報テーブルに基づいてタグIDに対応するユーザグループを特定し、当該ユーザグループとトリガIDとで特定される動作設定テーブルに基づいて、通知先のグループの携帯端末4に、音声又は文字メッセージで警報を同報通知する警報システムとしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency Identification:電波による固体識別)タグを用いた警報システムに係り、特に、危険な場所への進入があった場合に、進入者毎の設定に基づいて、特定のグループや近隣に位置する人に迅速に同報通知することができ、工場や事業所の安全性を向上させることができる警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[先行技術の説明]
[RFIDタグを用いた進入検知システム:図11]
従来、工場や事業所等で作業を行う作業者の位置や進入を報知するシステムとして、RFIDタグを用いた進入検知システムがある。
従来のRFIDタグを用いた進入検知システムについて図11を用いて説明する。図11は、従来のRFIDタグを用いた進入検知システムの模式説明図である。
図11に示すように、従来のRFIDタグを用いた進入検知システムは、RFIDサーバ31と、複数のLF(Low Frequency:低周波数)発信機(トリガユニット)32a、32bと、RF受信アンテナと、RF(Radio Frequency:無線周波数信号)受信機(リーダユニット)34とを備えており、作業者はRFIDタグ35を身につけている。
【0003】
LF発信機32は、危険箇所の近くや入退出を管理するゲート等に設けられ、磁場を生成するトリガコイルを備えている。そして、LF発信機32が常時発信している状態でトリガコイルの磁場圏内にRFIDタグが入ると、自身のID(トリガID)を送出する。図11の例では、LF発信機32aはトリガコイルAを備え、LF発信機32bはトリガコイルBを備えている。
【0004】
RFIDタグ35は、電池を内蔵して数メートルの電波の有効範囲を持ち、LF発信機32に接続されたトリガコイルの圏内に入った場合に、当該LF発信機32のトリガIDを読み取って、自己のID(タグID)を付加して無線送信する。
【0005】
RFアンテナ33は、RFIDタグ35から送信された無線信号を受信し、RF受信機34に送出する。
RF受信機34は、受信したタグIDとトリガIDとを含む信号をLAN等を介してRFIDサーバ31に送信する。
【0006】
RFIDサーバ31は、制御部、記憶部、表示部等を備え、LAN等を介して受信したRFIDタグのタグIDとLF発信機32のトリガIDとを対応付けて記憶すると共に、内部に記憶しているRFIDタグの所持者に関する情報や、トリガIDに対応するLF発信機32の設置場所等の情報を参照して、RFIDタグの所持者が現在どこにいるか、といった位置情報を表示部に表示する。
また、位置情報に基づいて、対応する場所の蛍光灯の点灯や、電子錠の解錠等の制御を行うことも可能である。
【0007】
[関連技術]
尚、RFIDタグや携帯端末を用いて位置を検出するシステムに関する技術としては、特開2008−33765号公報(三菱電機株式会社、特許文献1)、特開2003−123192号公報(三菱重工株式会社、特許文献2)がある。
また、構内無線システムに関する技術としては、特開2000−286967号公報(株式会社日立国際電気、特許文献3)、特開2010−200261号公報(株式会社日立国際電気、特許文献4)がある。
【0008】
特許文献1には、侵入検知エリアにRFIDアンテナを配置し、RFIDアンテナが人に取り付けられたRFIDを検知したときは、コントローラの指示により制御盤が搬送設備を非常停止する搬送設備安全装置が記載されている。
【0009】
特許文献2には、弱者によって携帯される携帯端末が、予め登録された危険地域に接近又は進入した場合に、管理センタが当該携帯端末に対して警告発生命令を出力する弱者支援システムが記載されている。
【0010】
また、特許文献3及び4には、転倒警報先や非常発報先として複数の端末をグループとして登録しておき、構内無線システム内の端末から転倒警報や非常発報が為された場合は、登録していた複数の端末に対して転倒警報や非常発報を行う構内無線システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−33765号公報
【特許文献2】特開2003−123192号公報
【特許文献3】特開2000−286967号公報
【特許文献4】特開2010−200261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来のRFIDを用いた進入検知システムでは、サーバ上で各RFIDタグの位置情報が表示されるものの、工場や事業所において、作業者等が危険な場所に進入した場合等に、進入した人の設定(通知レベル)に応じて、特定のグループや呼出エリア内にメッセージを同報通知することはできず、不便であるという問題点があった。
【0013】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたもので、危険な場所に進入した場合等に、進入した人の設定(通知レベル)を判定して、それに応じたメッセージを特定のグループや呼出エリア内に同報通知して、利便性及び安全性を向上させることができる警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ユーザの移動を警報する警報システムであって、特定の位置に設置され、位置情報を発信する第1の発信装置と、発信される位置情報を受信し、当該受信した位置情報とユーザ情報を発信する第2の発信装置と、第2の発信装置からの位置情報とユーザ情報を受信して出力する受信装置と、複数の基地局が接続され、基地局を介して無線端末との通信を行う無線端末制御装置と、受信装置からの位置情報とユーザ情報を入力し、ユーザ情報に基づいて通知レベルを判定し、当該判定された通知レベルに応じたメッセージを、対応するグループに通知するよう無線端末制御装置を制御する管理サーバとを有することを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、上記警報システムにおいて、管理サーバは、入力された位置情報に基づいて当該位置情報が示す位置が含まれる呼出エリアを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された呼出エリアに通知するよう無線端末制御装置を制御することを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、上記警報システムにおいて、管理サーバは、入力されたユーザ情報に基づいて当該ユーザ情報に対応する通知先グループを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された通知先グループに通知するよう無線端末制御装置を制御することを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、上記警報システムにおいて、管理サーバは、特定設備装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて特定設備装置の制御を行うことを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、上記警報システムにおいて、管理サーバは、電子錠を備える装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて装置における解錠又は施錠の制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザの移動を警報する警報システムであって、特定の位置に設置され、位置情報を発信する第1の発信装置と、発信される位置情報を受信し、当該受信した位置情報とユーザ情報を発信する第2の発信装置と、第2の発信装置からの位置情報とユーザ情報を受信して出力する受信装置と、複数の基地局が接続され、基地局を介して無線端末との通信を行う無線端末制御装置と、受信装置からの位置情報とユーザ情報を入力し、ユーザ情報に基づいて通知レベルを判定し、当該判定された通知レベルに応じたメッセージを、対応するグループに通知するよう無線端末制御装置を制御する管理サーバとを有する警報システムとしているので、特定の位置で検出されたユーザの通知レベルに応じて、適切なメッセージを特定のグループに通知することができ、例えば、権限のないユーザが危険な区域に立ち入った場合等に、管理者や上長から成るグループに通知して、迅速に対処して危険を回避でき、利便性及び工場や事業所の安全性を向上させることができる効果がある。
【0020】
また、本発明によれば、管理サーバは、入力された位置情報に基づいて当該位置情報が示す位置が含まれる呼出エリアを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された呼出エリアに通知するよう無線端末制御装置を制御する上記警報システムとしているので、例えば、権限のないユーザが危険な区域に立ち入った場合等に、立ち入った人の近隣にいる、当該区域が含まれる呼出エリア内の携帯端末に、適切なメッセージを通知することができ、迅速に対処して危険を回避でき、利便性及び工場や事業所の安全性を向上させることができる効果がある。
【0021】
また、本発明によれば、管理サーバは、入力されたユーザ情報に基づいて当該ユーザ情報に対応する通知先グループを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された通知先グループに通知するよう無線端末制御装置を制御する上記警報システムとしているので、検出された位置及びユーザの通知レベルに応じて適切なメンバから成るグループを通知先として指定しておくことにより、当該グループに通知することができ、利便性及び工場や事業所の安全性を向上させることができる効果がある。
【0022】
また、本発明によれば、管理サーバは、特定設備装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて特定設備装置の制御を行う上記警報システムとしているので、例えば、特定設備装置の危険区域内に権限のないユーザが立ち入った場合等は、特定設備装置を緊急停止させて、危険を回避し事故を未然に防ぐことができる効果がある。
【0023】
また、本発明によれば、管理サーバは、電子錠を備える装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて装置における解錠又は施錠の制御を行う上記警報システムとしているので、検出されたユーザの通知レベルに応じて各箇所の解錠又は施錠を行うことができ、セキュリティを向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る警報システムの概略構成ブロック図である。
【図2】管理サーバ1の構成ブロック図である。
【図3】ユーザ情報テーブルの模式説明図である。
【図4】動作設定テーブルの模式説明図である。
【図5】ある装置(△△設備)の危険区域に関する動作設定テーブルの例を示す説明図である。
【図6】通知先テーブルの模式説明図である。
【図7】本人の携帯端末に音声メッセージを送信することを指定する通知先テーブルの説明図である。
【図8】グループ通話により音声メッセージを送信することを指定する通知先テーブルの例を示す説明図である。
【図9】特定のエリア内の端末に音声メッセージを同報通信することを指定する通知先テーブルの例を示す説明図である。
【図10】本システムの運用例を示す模式説明図である。
【図11】従来のRFIDタグを用いた進入検知システムの模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る警報システムは、RFIDシステムとPHSシステムとを連動させて制御する管理サーバを備え、管理サーバが、各タグIDに対応する通知レベル(設定レベル)を記憶すると共に、トリガIDと通知レベルの組み合わせに応じた通知先のグループを記憶しておき、管理サーバが、トリガIDとタグIDとを受信すると、当該タグIDに対応するユーザの通知レベルとトリガIDとで特定される通知先のグループの携帯端末に、音声メッセージ又は文字メッセージで警報を同報通知するものであり、RFIDタグの携帯者の位置に基づいて、危険な状態や不当な侵入があった場合に、管理者等に警報を通知することができ、工場や事業所の安全性を向上させることができるものである。
【0026】
また、本発明の実施の形態に係る警報システムは、管理サーバが、トリガIDと通知レベルの組み合わせに応じてトリガコイルが設置されている呼出エリアを記憶しておき、トリガIDとタグIDとを受信すると、当該タグIDに対応するユーザの通知レベルとトリガIDとで特定される通知先の呼出エリア宛に、音声メッセージ又は文字メッセージを同報通知し、PHSシステムの基地局が、受信した同報通知に自己のエリア番号が含まれる場合には、当該同報通知を自己に位置登録している全ての携帯端末宛に送信するものであり、RFIDタグの携帯者の位置に基づいて、危険な状態や不当な侵入があった場合に、近隣にいる人に警報を通知することができ、迅速な対処を図ることができるものである。
【0027】
[実施の形態に係る警報システムの構成:図1]
本発明の実施の形態に係る警報システムの構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る警報システムの概略構成ブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る警報システム(本システム)は、管理サーバ1と、PHS制御装置2と、基地局3と、携帯端末(PS:Personal Station)4と、LF発信機(トリガユニット)5と、トリガコイル51と、RF受信機(リーダユニット)6と、RFアンテナ61と、クライアントPC7と、作業者等が携帯するRFIDタグ8とを備えている。
【0028】
管理サーバ1には、PHS制御装置2が接続され、更にPHS制御装置2には複数の基地局3が接続されている。また、管理サーバ1には、LANを介してRF受信機6が接続され、RF受信機6にはRFアンテナ61が接続されている。RFアンテナ61の近傍には、トリガコイル51が設けられ、トリガコイル51には、LF発信機5が接続されている。
また、図示は省略するが、LANを介して各種の装置や機器、電子錠を備えたゲート等が接続されている。
LF発信機5は、トリガコイル51を備えている。
尚、LF発信機5、RFIDタグ8は、それぞれ、請求項に記載した第1の発信装置、第2の発信装置に相当している。また、PHS制御装置2は、無線端末制御装置に相当している。
【0029】
[各部の構成:図1]
各構成部分について具体的に説明する。
LF発信機5は、従来と同様のものであり、自己のIDであるトリガIDを低周波数信号で送出しており、対応するトリガコイル51の磁場圏内にRFIDタグ8が進入した場合には、電磁結合によりRFIDタグ8がトリガIDを読み取って、自己のタグIDと共に送信する。図1の例では、LF発信機5aにはトリガコイルA(51a)が設けられ、LF発信機5bにはトリガコイルB(51b)が設けられている。尚、トリガIDは、請求項に記載した第1の発信装置からの位置情報に相当している。
【0030】
RFIDタグ8は、従来と同様のアクティブタグであり、作業者のヘルメットやIDカード等に取り付けられている。そして、トリガコイル51の圏内に入ってLF発信機5から出力されたトリガIDを受信して、自己のタグIDと共に無線送信する。
【0031】
RFアンテナ61は、トリガコイル51の近傍に設けられ、RFIDタグ8から出力される無線信号を受信する。
RF受信機6は、RFアンテナ61からの信号を受信して、LANを介して管理サーバ1に出力する。
また、本システムの特徴として、RF受信機6は、RFアンテナ61からの受信信号レベルに基づいて、送信元のRFIDタグ8の電池残量を検出し、ID情報と共に管理サーバ1に送出する。
【0032】
LF発信機5とRF受信機6、LF発信機5とアンテナ61、RF受信機6とアンテナ61とは1対1に対応していなくてもよい。また、LF発信機5とRF受信機6とを同一の筐体内に設けた構成としてもかまわない。
【0033】
管理サーバ1は、本システムの特徴部分であり、RFIDシステムと構内無線システム(ここではPHSシステムとする)とを統合して、RFIDタグ8の位置情報に基づいて、PHSシステムの携帯端末4に警報や位置情報を提供するものである。
特に、本システムの管理サーバ1は、RFIDタグ8の位置情報や、当該タグの携帯者の設定に基づいて、予め設定された報知動作や制御を行う。設定は、例えば携帯者の権限に応じたものが考えられる。
管理サーバ1が行う動作としては、例えば、作業員が稼働中の危険な装置に接近した場合に、PHS制御装置2を介して、本人の携帯端末4を含む所定の携帯端末4宛に音声や文字のメッセージで警報を通報するとか、装置を緊急停止させる、といった動作がある。
【0034】
管理サーバ1からメッセージを送信する際に、宛先(通知先)となる携帯端末4は複数であってもよく、グループ通話や一斉同報を利用することも可能である。また、通信先の携帯端末4としては、本人、特定のグループ、特定のエリア内、更に、危険な状態にある人の近くにいる人の携帯端末4等が考えられ、設定に基づいて通知される。
管理サーバ1の構成及び動作については、後で詳細に説明する。
【0035】
PHS制御装置2は、構内無線通信システムの制御装置である。
本システムのPHS制御装置2は、管理サーバ1に接続し、管理サーバ1から出力された音声/文字メッセージを、通知先として指定された携帯端末4や指定されたグループ宛に送信する。更に、基地局3宛の音声/文字メッセージを受信した場合には、当該基地局3宛にメッセージを送信する。
また、PHS制御装置2は、携帯端末の位置情報として、各基地局3に位置登録されている携帯端末4の情報を管理サーバ1に通知する。
【0036】
基地局3は、PHSシステムの無線基地局であり、自己のサービスエリア内の携帯端末4との無線通信を行う。また、基地局3は、位置登録されている携帯端末4のIDをPHS制御装置2に通知する。
更に、本システムの基地局3には、特定のトリガID(単数又は複数)に対応するトリガコイル51が設置されている場所を含む呼出エリアのエリア番号が予め設定されており、自己のエリア番号を含む同報通信の音声/文字メッセージを受信すると、自己がカバーするエリア内の全ての携帯端末4に向けて当該メッセージを送信する。更に、基地局3にスピーカを接続して、基地局3宛の音声メッセージを自己がカバーするエリア内の不特定多数の人に報知することも可能である。尚、スピーカから出力するメッセージを、更に各携帯端末4に出力してもよい。
【0037】
携帯端末4は、作業者が携帯するPHSシステムの移動局である。
クライアントPC7は、LANに接続され、管理サーバ1に対するデータの入力や情報閲覧を行う。例えば、クライアントPC7は、後述する各種テーブルの設定等を行う。
【0038】
[管理サーバ1の構成:図2]
次に、管理サーバ1の構成について図2を用いて説明する。図2は、管理サーバ1の構成ブロック図である。
図2に示すように、管理サーバ1は、制御部11と、記憶部12と、音声通話処理部13と、インタフェース部14とを備えている。
【0039】
[制御部11]
制御部11は、管理サーバ1全体の制御を行うものであり、RF受信機6から送信されたID情報に基づいて、記憶部12に対するデータの書き込み/読み出し、PHS制御装置2に対する文字メッセージ送信や音声メッセージ送信の制御、管理対象となっているゲートの開閉制御、電子錠の解錠/施錠、更に工場や事業所内に設置されている他の装置(製造装置等)に対する緊急制御コマンドの送出等を行う。
【0040】
[記憶部12]
記憶部12は、管理サーバ1の処理プログラムを記憶すると共に、本システムにおける携帯端末4への警報出力、及びゲート開閉や緊急制御コマンド送出において用いられる各種データを記憶している。
記憶部12は、各種データとして、ユーザ情報テーブル、動作設定テーブル、通知先テーブル、エリア情報、及び位置情報等を記憶している。
各情報の具体的な内容については後で説明する。
【0041】
[音声通話処理部13]
音声通話処理部13は、音声メッセージを生成して、PHS制御装置2に対して通信先の携帯端末4の番号やエリア番号、又はグループ通話のグループ番号を宛先として発呼し、音声メッセージを出力するものである。例えば、音声通話処理部13は、音声メッセージデータのテーブルを備え、制御部11から指定されたメッセージ番号の音声メッセージを出力する。
[インタフェース部14]
インタフェース部14は、接続部であり、LANや、PHS制御装置2のデータ通信用回線、及び表示装置等の外部機器に接続する。
【0042】
[本システムの動作概略:図1,図2]
記憶部12に記憶されている情報について説明する前に、本システムの動作概略について図1、図2を用いて簡単に説明する。
図1に示すように、RFIDタグ8を携帯する人がトリガコイル51の圏内に入ると、RFIDタグ8は、LF発信機5からのトリガIDを受信し、自己のタグIDを付して無線送信する。
RFIDタグ8から送信された無線信号は、アンテナ61で受信され、RF受信機6で受信信号レベルが検出されて、受信信号レベルの情報を付され、管理サーバ1に送信される。
【0043】
管理サーバ1は、受信したタグIDからユーザを特定し、受信信号レベルに基づいて電池残量を記憶部12に記憶し、タグIDで特定されたユーザの属するユーザグループのIDとトリガIDとに基づいて、記憶部12を参照して対応する動作設定テーブルを特定し、動作設定テーブルの内容に基づいて動作を行う。
ユーザグループについては後述するが、ユーザの通知レベルに対応するものである。
管理サーバ1が行う動作としては、ゲートの解錠/施錠や、PHS制御装置2を介して、動作設定テーブルで設定されている通知先に個別通話やグループ通話で音声メッセージで警報を発したり、特定グループや特定の呼出エリア内に向けて文字メッセージを一斉同報により通知する。
【0044】
[記憶部12に記憶されている情報]
次に、管理サーバ1の記憶部12に記憶されている情報について説明する。
[ユーザ情報テーブル:図3]
まず、ユーザ情報テーブルについて図3を用いて説明する。図3は、ユーザ情報テーブルの模式説明図である。
ユーザ情報テーブルは、RFIDタグ8や携帯端末4を所持する個々のユーザの情報を記憶するテーブルであり、図3に示すように、ユーザの識別番号であるユーザIDと、ユーザの氏名と、当該ユーザが所持しているRFIDタグ8のタグIDと、当該ユーザが所持している携帯端末4の番号と、メールアドレスと、当該ユーザが所属するグループを示すユーザグループIDと、ユーザグループ名と、RFIDタグの電池残量とを記憶している。更に、外部サーバを利用する(インターネット経由の)電子メールのアドレスや、テーブルの更新日時等を記憶してもよい。
【0045】
[ユーザ情報テーブルの各属性について]
ユーザ情報テーブルに記憶される各属性について説明する。
氏名は、本人以外の携帯端末に警報を通知する場合に、「○○さんが△△設備の危険ゾーンに入りました」等、警報対象となる人物を特定したメッセージを作成する際に用いられる。
携帯端末番号は、構内無線システムを利用した音声メッセージや文字メッセージの警報通知の宛先となる番号である。
ユーザグループIDは、本システムの特徴部分であり、当該ユーザの設定に対応する通知レベルを示すものである。すなわち、同じ通知レベルのユーザは同一のユーザグループIDが設定されている。尚、通知レベルは、例えばユーザの権限に応じたものとしてもよい。
【0046】
電池残量は、管理サーバ1がRF受信機6から送信される受信信号強度を閾値と比較して設定するものであり、閾値以上であれば「残量OK」とし、閾値未満であれば「残量NG」とする。
尚、残量NGと判定した場合には、管理サーバ1は、当該ユーザの携帯端末宛に、「RFDIタグの電池残量が少なくなりました」といった文字メッセージや音声メッセージの警報を出力する。
【0047】
そして、管理サーバ1は、ユーザIDとトリガIDとを受信した場合には、ユーザ情報テーブルを参照して、どのユーザからの情報であるかを特定し、当該ユーザの所属するユーザグループID(通知レベル)を特定するものである。
【0048】
[動作設定テーブル:図4]
動作設定テーブルについて図4を用いて説明する。図4は、動作設定テーブルの模式説明図である。
動作設定テーブルは、管理サーバ1が受信したタグIDとトリガIDに応じてどのような動作を行うかを設定するものである。すなわち、あるユーザがある位置で検出された場合にどのような動作(報知動作、制御動作)を行うかを規定するものである。
本システムでは、通知レベル毎に、つまり、ユーザグループ毎に権限が規定されており、タグIDに対応するユーザグループIDと、トリガIDとの組み合わせに対応して動作設定テーブルが規定され、動作が決定される。
【0049】
図4に示すように、動作設定テーブルは、動作IDと、動作名と、動作の種別と、トリガIDと、エリアIDと、ゲートIDと、イベントタイプと、ユーザグループIDと、優先度(権限)と、音声メッセージ情報と、文字メッセージ情報と、通知先IDとを記憶可能なものである。尚、動作設定テーブルでは、これらの属性の内、動作IDと、トリガIDと、ユーザグループIDと、通知先IDは必須であるが他の属性について必要に応じて記憶される。
【0050】
[動作設定テーブルの各属性について]
動作IDは当該動作を特定する識別情報である。
動作種別は、エリアへの進入(存在)/退出(非存在)に応じて動作を行う「エリア動作」であるか、ゲート近傍への進入(存在)/退出(非存在)に応じてゲートの開閉を行う「ゲート動作」であるかを設定する。ゲート動作としては、電子錠の解錠/施錠の動作も含まれる。
トリガIDは、当該エリア又はゲートの近傍に設けられているLF発信機5のトリガIDである。トリガIDによって位置が特定される。
【0051】
トリガIDが1つ設定されている場合には、当該動作設定テーブルはその位置に人がいる場合に行われる動作を設定するものとなる。
また、2つのトリガIDが順序と共に設定されている場合には、人の移動方向を考慮した動作を設定するものとなる。例えば、ゲートの外側と内側にそれぞれトリガコイルを設けた場合には、外→内の順でトリガIDが検出されれば、人物がゲートの外から内側に入ったことが検出され、例えば、ゲート内の室内灯を点灯する、といった制御動作を行うよう動作設定テーブル及び後述する通知先テーブルが規定される。逆に、内→外の順でトリガIDが検出された場合には、室内灯を消灯するよう各テーブルが規定される。
【0052】
エリアIDは、動作種別が「エリア動作」の場合に設定され、当該エリアのIDである。ゲートIDは、動作種別が「ゲート動作」の場合に設定され、当該ゲートのIDである。
【0053】
イベントタイプは、エリア動作の場合にはエリア進入/退出のいずれかが設定され、ゲート動作の場合には、ゲート開(又は電子錠の解錠)又はゲート閉(又は電子錠の施錠)のいずれかが設定される。
尚、ゲート開閉については、後述する優先度を反映させて、ゲート開又はゲート閉のいずれかが設定されている。
【0054】
ユーザグループIDは、通知レベルに相当しており、当該動作に対応するユーザグループIDであり、管理サーバ1がタグIDとトリガIDとを受信した際に参照すべき動作設定テーブルを特定する際のキーとなるものである。
【0055】
優先度は、その動作における当該ユーザグループの優先度(権限)を示すものであり、最優先/優先/普通のいずれかが設定される。例えば、エリア動作の場合に、同じエリアであっても権限に応じて動作が異なり、優先度が「普通」のユーザグループの人が立ち入った場合よりも、優先度が「最優先」のユーザグループの人が立ち入った場合の方が警報の通報を先に行う、といった制御がなされる。
【0056】
音声メッセージ情報は、当該動作に対応する音声メッセージであり、例えば、「危険区域に接近しています」「危険区域に進入しました」等の音声メッセージを特定する情報が記憶される。
文字メッセージ情報は、当該動作に対応する文字メッセージを特定する情報が記憶されている。更に、電子メールで送信するメッセージの内容を記憶してもよい。
【0057】
通知先IDは、本システムの特徴部分であり、当該動作に対応して、警報を通知する通知先や制御を行う対象となる装置を指定するものである。詳細は後述するが、通知先IDは、個々の端末番号や、グループ通話番号、特定のエリア、装置等を指定するものであり、動作設定テーブルでは目的とする動作に応じて通知先を適宜設定可能としている。
【0058】
[動作設定テーブルの具体例:図5]
ここで、動作設定テーブルの具体例について図5を用いて説明する。図5は、ある装置(「△△設備」とする)の危険区域に関する動作設定テーブルの例を示す説明図である。
図5は、△△設備近傍の危険区域に、立ち入る権限のないユーザグループ(ユーザグループID「11」)の人が立ち入った場合の動作を規定するものであり、トリガIDとしては、当該危険区域に設置されているLF発信機5のトリガID「△△bb」が設定されている。
【0059】
また、イベントタイプとして「エリア進入」が設定され、音声メッセージとして音声メッセージ番号m(音声メッセージ「△△設備の危険区域に進入しました」)が設定されている。
そして、通知先IDとして、本人を示す「○○○○」と、上長や管理者を含むグループを示す「○○××」と、△△設備が設置されているエリアを示す「○×○×」が設定されている。つまり、この場合には、本人の携帯端末4と、上長や管理者の携帯端末4と、当該装置を含むエリアにいる携帯端末4に警告が通知されるものである。
【0060】
[エリア情報:図2]
更に、図2に示すように、管理サーバ1は、記憶部12に、トリガIDと呼出エリアのエリア番号とを対応付けたエリア情報を記憶している。
トリガIDに対応する呼出エリアは、当該トリガIDに対応するトリガコイルの設置場所を含む領域となっている。呼出エリアには通常複数の基地局3が含まれる。
そして、管理サーバ1は、例えば、あるユーザが危険な状態に陥った場合に、エリア情報を参照して、当該ユーザのタグIDと共に受信されたトリガIDに対応するエリア番号を読み取り、当該エリア番号宛に警報を出力する。
【0061】
[位置情報:図2]
また、記憶部12に記憶されている位置情報は、PHS制御装置2から取得する携帯端末4の位置情報(位置登録されている基地局3の番号)と、タグIDとトリガIDとで特定される各RFIDタグ8の位置情報(トリガIDに対応するトリガコイルの設置場所)である。これらの位置情報は、図3に示したユーザ情報テーブル内で管理するようにしてもよい。
そして、管理サーバ1は、例えば、あるユーザが危険な状態に陥った場合に、当該ユーザの携帯端末4と同じ基地局3に位置登録されている携帯端末4宛に警報を出力するよう動作する。
【0062】
[通知先テーブル:図6]
次に、記憶部12に記憶されている通知先テーブルについて図6を用いて説明する。図6は、通知先テーブルの模式説明図である。
図6に示すように、通知先テーブルは、動作設定テーブルで設定された通知先の具体的な宛先や通知方法を設定するものであり、通知先IDと、通知先名と、通知種別と、ダイヤル番号と、メール送信先と、機器制御コマンドと、優先度とが記憶可能となっている。
【0063】
[通知先テーブルの各属性について]
通知先としては、特定の携帯端末4、複数の携帯端末4で構成されるグループ、PHSシステムの特定のエリア、制御する装置(機器)があり、宛先毎に通知先IDや通知先名が設定されている。
【0064】
通知種別としては、音声メッセージを携帯端末4に送信(発呼)する「音声」、携帯端末のグループ宛にグループ通話で音声メッセージを送信する「グループ通話(音声グループ通話)」、複数の携帯端末宛に構内PHSシステムを利用した文字メッセージを送信する「同報」、外部サーバを介して電子メールを送信する「メール」、装置の緊急停止等の機器制御を行う「機器制御」があり、これらのいずれかが設定される。
尚、特定の呼出エリアに同報通知する場合は、音声メッセージを送信する場合には「音声」が、文字メッセージを送信する場合には「同報」が設定される。
また、同じ宛先でも音声メッセージの送信と文字メッセージの送信というように、通知種別が異なる場合には、別々の通知先IDが付与されてそれぞれ設定される。
【0065】
ダイヤル番号は、通知種別が「音声」「グループ通話」「同報」の場合に設定される情報である。通知先が特定の携帯端末4の場合には当該携帯端末4の番号や、当該携帯端末4を特定する情報であり、グループ通話や同報通信の場合には同報特番+グループ番号となる。
グループ通話を行う場合、管理サーバ1は、同報特番+グループ番号を宛先として音声メッセージを出力する。
尚、グループ通話のグループに所属する携帯端末4は、自己が属するグループ番号を記憶しており、受信したグループ通話の宛先が内部に記憶されているグループ番号であれば、着信動作を行う。
【0066】
また、同報通信を行う場合には、ダイヤル番号として、グループ番号ではなく複数の携帯端末4の端末番号を記憶しておいて、管理サーバ1では、例えば、それらに対応する単一番号を宛先として文字メッセージを送信することにより一斉同報を行う。
【0067】
更に、本システムの特徴として、ダイヤル番号に同報特番+エリア番号を設定することも可能である。これは、特定の呼出エリア内の携帯端末4宛に音声メッセージや文字メッセージを送信するものである。
呼出エリアは、通常複数の基地局3でカバーされる範囲であり、各基地局3は、自己がどの呼出エリアに属するのか、エリア番号を記憶している。基地局3は、エリア番号を複数記憶していてもよい。
【0068】
そして、管理サーバ1は、呼出エリアを宛先とする場合には、同報特番+エリア番号を宛先として音声メッセージ又は文字メッセージを出力する。PHS制御装置2は、当該信号を受信すると、全ての基地局3にエリア番号を付した音声メッセージや文字メッセージを出力し、基地局3は、受信信号に含まれるエリア番号が内部に記憶しているエリア番号と一致した場合には、当該基地局3に位置登録している全ての携帯端末4の端末番号宛に音声メッセージや文字メッセージを通知する。
【0069】
また、基地局3は、呼出エリア指定の文字メッセージ送信指示を受信した場合に、宛先となる携帯端末4を特定せずに、制御チャネルを用いて文字メッセージを一斉送信することにより当該基地局3に位置登録している全ての携帯端末4に文字メッセージを送信するようにしてもよい。
更に、スピーカ等を基地局3に接続しておき、当該基地局3はスピーカから音声メッセージを出力して、呼出エリア内の携帯端末4を持たない人に対しても報知可能とするように構成してもよい。
【0070】
メール送信先は、通知種別が「メール」の場合に設定される情報であり、外部サーバを経由する電子メールのメールアドレスである。例えば、PHSシステムの外にいる外部の管理会社や装置メンテナンスを行う担当者等に報知する場合等に利用される。
【0071】
機器制御コマンドは、通知種別が「機器制御」の場合に設定される情報であり、例えば、当該機器を停止するコマンドが記憶されている。
優先度は、通知種別が「音声」「同報」の場合に設定される情報であり、最優先、優先、普通のいずれかが設定される。そして、音声メッセージの送信時又は同報通信時には、管理サーバ1は、優先度が高い通知先から順に送信する。
【0072】
[通知先テーブルの具体例(1)本人への通知:図7]
通知先テーブルの具体例について図7を用いて説明する。図7は、本人の携帯端末に音声メッセージを送信することを指定する通知先テーブルの説明図である。
図7に示すように、本人の携帯端末4に音声メッセージを送信するための通知先テーブルでは、通知先ID「○○○○」に対応して、通知先名として「本人携帯端末」が設定され、通知種別として「音声」が設定されている。
特定のダイヤル番号は設定されておらず、タグIDで特定されるユーザ情報テーブルの携帯端末番号を宛先として指定するための情報が記載されている。
【0073】
そして、管理サーバ1は、動作設定テーブルの通知先IDが「○○○○」であった場合には、図7の通知テーブルに基づいて、受信したタグIDに対応するユーザ情報テーブルを参照して、携帯端末4の番号を特定し、当該携帯端末番号宛に動作設定テーブルで指定された音声メッセージを送信する。
【0074】
また、同様に、本人の携帯端末4に文字メッセージを送信する通知先テーブルには、別の通知先IDが付され、通知種別が「同報」として記憶されている。
【0075】
[通知先テーブルの具体例(2)グループへの通知:図8]
図8は、グループ通話により音声メッセージを送信することを指定する通知先テーブルの例を示す説明図である。
図8に示すように、グループ(1)にグループ通話で音声メッセージを送信するための通知先テーブルでは、通知先ID「○○××」に対応して、通知先名「グループ(1)」、通知種別「音声グループ通話」が設定され、ダイヤル番号として「同報特番+グループ番号」が設定されている。宛先となるグループとしては、監視対象のユーザが所属するグループや、上長や管理者のグループ等が考えられる。
【0076】
そして、管理サーバ1は、動作設定テーブルの通知先IDが「○○××」であった場合には、図8の通知先テーブルに基づいて、当該「同報特番+グループ(1)のグループ番号」宛に、動作設定テーブルで指定された音声メッセージを送信する。
【0077】
[通知先テーブルの具体例(3)呼出エリア内への通知:図9]
図9は、特定の呼出エリア内の端末に音声メッセージを同報通知することを指定する通知先テーブルの例を示す説明図である。
図9に示すように、特定の呼出エリア(ここでは「エリアA」)内の全ての端末に音声メッセージを同報通信するための通知先テーブルでは、通知先ID「○×○×」に対応して、通知先名「エリアA」、通知種別「音声」、ダイヤル番号として「同報特番+エリアAのエリア番号」が設定されている。
【0078】
そして、管理サーバ1は、動作設定テーブルの通知先IDが「○×○×」であった場合には、図9の通知先テーブルに基づいて、当該「同報特番+エリアAのエリア番号」宛に、動作設定テーブルで指定された音声メッセージを送信する。
【0079】
[本システムの運用例(警告と装置の緊急制御):図10]
次に、本システムの運用例について図10を用いて説明する。図10は、本システムの運用例を示す模式説明図である。
図10の例では、稼働中の装置(「△△設備」とする)の近くに、当該装置に近寄ることが許可されていない人(「○○さん」とする)が立ち入った場合の動作を示しており、特に、危険への接近度に応じて、段階的に警告や装置の緊急制御として例えば緊急停止を行う場合を示す。
【0080】
[事前の各種情報設定]
[ユーザ情報テーブル]
ユーザ情報テーブル(図3参照)には、予め、○○さんの所持するRFIDタグのタグID(「xx」とする)や携帯端末の番号、ユーザグループID(「11」とする)等を記憶しておく。
【0081】
[トリガコイル]
そして、対象装置の近傍の、危険を警告する区域(警告エリア)にトリガコイルB(トリガID「△△bb」)を設け、緊急制御として例えば緊急停止を行う場合、より装置に近く危険な区域(緊急停止エリア)にトリガコイルA(トリガID「△△aa」)を設ける。
【0082】
[動作設定テーブル]
また、○○さんのユーザグループID「11」とトリガID「△△bb」の組み合わせによって特定される動作設定テーブル(図5参照)には、本人と、上長及び管理者とを含むグループ(1)と、△△設備が設置されているエリアAに対して音声メッセージで警告を報知するよう、通知先IDとして、「○○○○」「○○××」「○×○×」が設定されている。
【0083】
[通知先テーブル]
通知先ID「○○○○」に対応する通知先テーブルは、図7に示したものであり、通知先ID「○○××」に対応する通知先テーブルは、図8に示したものであり、通知先ID「○×○×」に対応する通知先テーブルは、図9に示したものである。
【0084】
[装置緊急停止用の動作設定テーブル及び通知先テーブル]
更に、○○さんのユーザグループIDとトリガID「△△aa」の組み合わせによって特定される動作設定テーブル(図示省略)には、上記と同様の通知先に加えて、△△設備の通知先IDが設定されている。
△△設備の通知先IDに対応する通知先テーブルには、△△設備を制御する制御装置のダイヤル番号と、緊急停止コマンドとが記憶されている。尚、制御装置のダイヤル番号及び緊急停止コマンドを設定する代わりに、△△設備のシーケンサのダイヤル番号と接点制御情報(スイッチオフ)を設定しておいてもよい。
【0085】
[警告動作(トリガコイルB内への進入)]
そして、○○さんがトリガコイルBのエリアに入ってタグID「xx」とトリガID「△△bb」が送信されると、管理サーバ1は、ユーザ情報テーブルを参照して、タグID「xx」に対応するユーザグループID「11」を特定し、ユーザグループID「11」とトリガID「△△bb」との組み合わせに基づいて、図5の動作設定テーブルを特定する。
【0086】
[本人への警告]
そして、管理サーバ1は、図5の動作設定テーブルから通知先IDを読み取り、まず、通知先ID「○○○○」に対応する図7に示した通知先テーブルに基づいて、図3のユーザ情報テーブルから○○さん本人の携帯端末4の番号を読み取り、PHS制御装置2を介して、図5の動作設定テーブルで設定された「△△設備の危険区域に進入しました」という音声メッセージを送信する。
【0087】
[グループへの警告]
また、管理サーバ1は、通知先ID「○○××」に対応する図8に示した通知先テーブルに基づいて、○○さんの上長や管理グループであるグループ(1)の携帯端末に、PHS制御装置2を介したグループ通話によって音声メッセージを送信する。ダイヤル番号は「同報特番+グループ(1)のグループ番号」である。
【0088】
その際、警報の対象者が「○○さん」であることを示すために、ユーザ情報テーブルから読み取った氏名に基づいて、動作設定テーブルで設定されたメッセージに氏名を付して「○○さんが、△△設備の危険区域に進入しました」という音声メッセージを警報として送信する。
PHS制御装置2は、全ての基地局3宛に当該グループ通話を出力し、基地局3は自己のエリアに当該グループ通話の信号を出力するが、受信した各携帯端末4において、内部に当該グループ番号(グループ番号(1))が設定されていれば、着信動作を行う。これにより、グループ(1)に属するユーザの携帯端末4同士で当該グループ通話が行われ、管理サーバ1から出力された音声メッセージが各携帯端末4に出力される。
【0089】
[呼出エリアへの警告]
更に、管理サーバ1は、通知先ID「○×○×」に対応する図9に示した通知先テーブルに基づいて、△△設備が設置されているエリアA宛に音声メッセージ「○○さんが、△△設備の危険区域に進入しました」という警報をPHS制御装置2を介して送信する。ダイヤル番号は「同報特番+エリアAのエリア番号」とする。
PHS制御装置2は、全ての基地局3宛に当該エリア宛の信号を出力し、受信した基地局3が、内部に当該エリア番号が記憶されていれば、自己に位置登録されている全ての携帯端末4宛に音声メッセージを送信する。
【0090】
呼出エリア内の全ての携帯端末4宛にメッセージを送信することにより、△△設備の設置場所がサーバや管理者がいるところから遠い場所であっても、対象者の近くにいる人に危険を報知することが可能となるものである。
【0091】
[装置の緊急停止の動作(トリガコイルAへの進入)]
また、○○さんが、トリガコイルAのエリアに入ってタグID「××」とトリガID「△△aa」が送信されると、管理サーバ1は、上述した処理と同様に、ユーザグループID「11」とトリガID「△△aa」との組み合わせに基づいて、動作設定テーブルを特定する。当該動作設定テーブルには、通知先IDとして、△△設備の緊急停止とグループ(1)及びエリアAへの音声同報通知に対応する通知先IDが記憶されているものとする。
【0092】
そして、管理サーバ1は、当該動作設定テーブルに記載された通知先IDに対応する通知先テーブルを参照して、△△設備宛に緊急停止コマンドを送信し、△△設備を緊急停止させる。
【0093】
更に、管理サーバ1は、当該動作設定テーブルに設定された別の通知先IDに対応する通知先テーブルを参照して、PHS制御装置2を介して、グループ(1)宛に「○○さんが危険場所に入ったため、△△設備を緊急停止しました」の音声メッセージを送信する。
【0094】
同様に、管理サーバ1は、更に別の通知先IDに対応する通知先テーブルを参照して、PHS制御装置2を介して、エリアA宛に同様の音声メッセージを送信する。
このようにして、本システムの運用例における動作が行われるものである。尚、ここでは、警告送信と緊急停止の2段階に分けて制御を行ったが、その間にも複数のトリガを設けてより細かく段階的に警告を送信することも可能である。
【0095】
[他の実施の形態]
本システムの他の実施の形態について簡単に説明する。
[入退室の監視]
上述したように、本システムでは、ゲートの外側と内側とにトリガコイルを設けて、トリガIDの検出順に基づいて人の移動方向を検出し、危険場所への入退室状況を監視する。
そして、危険場所への入室が検出された後、一定時間が経過しても退室が検出されない場合に、上長や管理者、また近くのエリアにいる人に上述したような方法で、音声メッセージや文字メッセージで警報を送信する。また、管理サーバ1の表示装置にその旨表示する。
これにより、危険場所に入った後何らかの事故が発生して、危険な状態に陥ってしまった人を早期に救出することができるものである。
【0096】
[人感センサの利用]
また、RFIDタグを携帯していない人が立入禁止区域に不当に侵入することを検出するため、立入禁止区域の入り口に人感センサとして赤外線カメラやゲート開閉感知装置を備え、管理サーバ1が、当該人感センサからの信号を受信し、且つRFIDタグのタグIDを検出していない場合に、不当侵入として、管理者や近隣エリアの携帯端末4に警報を送信する。また、管理サーバ1の表示装置にその旨表示する。
これにより、RFIDタグを携帯していない人が入場した場合にも迅速に対処できるものである。
【0097】
[電池残量の検出及び警告出力]
上述したように、管理サーバ1は、RF受信機6からの受信信号レベルの情報を予め設定された閾値と比較して、受信信号レベルが閾値未満であった場合には、本人の携帯端末4宛に、「電池残量が少なくなりました。電池を交換してください」といった音声メッセージや文字メッセージの警報を送信する。ユーザは、この警報に基づき、RFIDタグの電池が切れる前に電池交換を行うことができる。
これにより、ユーザがRFIDタグの電池切れに気づかずに位置情報を取得できず、危険な状態になってしまうのを防ぐことができるものである。
【0098】
[タグIDと携帯端末4の位置情報との照合]
また、上述したように、管理サーバ1は、PHS制御装置2から携帯端末4の位置情報を随時取得して記憶しておくと共に、タグIDとトリガIDとで特定される各RFIDタグ8の位置情報も随時更新して保持しておく。
そして、定期的に携帯端末4の位置情報と、RFIDタグ8の位置情報とを照合して、相違があれば、携帯端末4宛に警報を出力して、RFIDタグ8の紛失や位置情報の通知漏れを防ぐ。
【0099】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係る警報システムによれば、RFIDシステムとPHSシステムとを連動させて制御する管理サーバ1を備え、管理サーバ1が、RFIDタグ8のタグIDとそれに対応する通知レベルとしてのユーザグループとを記憶するユーザ情報テーブルと、トリガIDとユーザグループの組み合わせに応じた通知先のグループを記憶する動作設定テーブルを備え、トリガIDとタグIDとを受信すると、ユーザ情報テーブルに基づいて当該タグIDに対応するユーザグループを特定し、当該ユーザグループと受信したトリガIDとで特定される動作設定テーブルに基づいて、通知先のグループの携帯端末4に、グループ通話で音声メッセージを同報通知し、又は文字メッセージで警報を同報通知する警報システムとしており、RFIDタグ8の携帯者の位置及び通知レベルに基づいて、危険な状態や不当な侵入を管理者等に音声メッセージ又は文字メッセージを警報として同報通知することができ、利便性及び工場や事業所の安全性を向上させることができる効果がある。
【0100】
また、本システムによれば、管理サーバ1が、動作設定テーブルに、通知先としてトリガIDに対応するトリガコイルが設置されている場所を含む呼出エリアを記憶しておき、トリガIDとタグIDとを受信すると、ユーザ情報テーブルに基づいて当該タグIDに対応するユーザグループを特定し、PHS制御装置2を介して当該ユーザグループとトリガIDとで特定される動作設定テーブルに基づいて、通知先の呼出エリア宛に、音声メッセージ又は文字メッセージを同報通知し、基地局3が、自己のエリア番号が受信した同報通知の宛先である場合には、当該同報通知を自己に位置登録している携帯端末4宛に送信する警報システムとしており、RFIDタグ8の携帯者の位置及び通知レベルに基づいて、危険な状態や不当な侵入があった場合に、近隣にいる人に警報を同報通知することができ、迅速な対処を図ることができるものである。
【0101】
また、本システムによれば、管理サーバ1が、動作設定テーブルに、通知先として装置を記憶しておき、トリガIDとタグIDとを受信すると、ユーザ情報テーブルに基づいて当該タグIDに対応するユーザグループを特定し、PHS制御装置2を介して当該ユーザグループとトリガIDとで特定される動作設定テーブルを参照して、通知先の装置を緊急停止するコマンドを送出する警報システムとしているので、装置周辺の危険な区域に権限のない人が立ち入った場合には装置を緊急停止させて、危険を回避することができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、危険な場所への進入があった場合に、進入者の設定レベルに基づいて、特定のグループのメンバや近隣に位置する人に迅速に同報通知することができ、工場や事業所の安全性を向上させることができる警報システムに適している。
【符号の説明】
【0103】
1...管理サーバ、 2...PHS制御装置、 3...基地局、 4...携帯端末、 5,32...LF発信機(トリガユニット)、 6,34...RF受信機(リーダユニット)、 7...クライアントC、 8,35...RFIDタグ、 11...制御部、 12...記憶部、 13...音声通話処理部、 14...インタフェース部、 31...RFIDサーバ、 51...トリガコイル、 61,33...RFアンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency Identification:電波による固体識別)タグを用いた警報システムに係り、特に、危険な場所への進入があった場合に、進入者毎の設定に基づいて、特定のグループや近隣に位置する人に迅速に同報通知することができ、工場や事業所の安全性を向上させることができる警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[先行技術の説明]
[RFIDタグを用いた進入検知システム:図11]
従来、工場や事業所等で作業を行う作業者の位置や進入を報知するシステムとして、RFIDタグを用いた進入検知システムがある。
従来のRFIDタグを用いた進入検知システムについて図11を用いて説明する。図11は、従来のRFIDタグを用いた進入検知システムの模式説明図である。
図11に示すように、従来のRFIDタグを用いた進入検知システムは、RFIDサーバ31と、複数のLF(Low Frequency:低周波数)発信機(トリガユニット)32a、32bと、RF受信アンテナと、RF(Radio Frequency:無線周波数信号)受信機(リーダユニット)34とを備えており、作業者はRFIDタグ35を身につけている。
【0003】
LF発信機32は、危険箇所の近くや入退出を管理するゲート等に設けられ、磁場を生成するトリガコイルを備えている。そして、LF発信機32が常時発信している状態でトリガコイルの磁場圏内にRFIDタグが入ると、自身のID(トリガID)を送出する。図11の例では、LF発信機32aはトリガコイルAを備え、LF発信機32bはトリガコイルBを備えている。
【0004】
RFIDタグ35は、電池を内蔵して数メートルの電波の有効範囲を持ち、LF発信機32に接続されたトリガコイルの圏内に入った場合に、当該LF発信機32のトリガIDを読み取って、自己のID(タグID)を付加して無線送信する。
【0005】
RFアンテナ33は、RFIDタグ35から送信された無線信号を受信し、RF受信機34に送出する。
RF受信機34は、受信したタグIDとトリガIDとを含む信号をLAN等を介してRFIDサーバ31に送信する。
【0006】
RFIDサーバ31は、制御部、記憶部、表示部等を備え、LAN等を介して受信したRFIDタグのタグIDとLF発信機32のトリガIDとを対応付けて記憶すると共に、内部に記憶しているRFIDタグの所持者に関する情報や、トリガIDに対応するLF発信機32の設置場所等の情報を参照して、RFIDタグの所持者が現在どこにいるか、といった位置情報を表示部に表示する。
また、位置情報に基づいて、対応する場所の蛍光灯の点灯や、電子錠の解錠等の制御を行うことも可能である。
【0007】
[関連技術]
尚、RFIDタグや携帯端末を用いて位置を検出するシステムに関する技術としては、特開2008−33765号公報(三菱電機株式会社、特許文献1)、特開2003−123192号公報(三菱重工株式会社、特許文献2)がある。
また、構内無線システムに関する技術としては、特開2000−286967号公報(株式会社日立国際電気、特許文献3)、特開2010−200261号公報(株式会社日立国際電気、特許文献4)がある。
【0008】
特許文献1には、侵入検知エリアにRFIDアンテナを配置し、RFIDアンテナが人に取り付けられたRFIDを検知したときは、コントローラの指示により制御盤が搬送設備を非常停止する搬送設備安全装置が記載されている。
【0009】
特許文献2には、弱者によって携帯される携帯端末が、予め登録された危険地域に接近又は進入した場合に、管理センタが当該携帯端末に対して警告発生命令を出力する弱者支援システムが記載されている。
【0010】
また、特許文献3及び4には、転倒警報先や非常発報先として複数の端末をグループとして登録しておき、構内無線システム内の端末から転倒警報や非常発報が為された場合は、登録していた複数の端末に対して転倒警報や非常発報を行う構内無線システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−33765号公報
【特許文献2】特開2003−123192号公報
【特許文献3】特開2000−286967号公報
【特許文献4】特開2010−200261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来のRFIDを用いた進入検知システムでは、サーバ上で各RFIDタグの位置情報が表示されるものの、工場や事業所において、作業者等が危険な場所に進入した場合等に、進入した人の設定(通知レベル)に応じて、特定のグループや呼出エリア内にメッセージを同報通知することはできず、不便であるという問題点があった。
【0013】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたもので、危険な場所に進入した場合等に、進入した人の設定(通知レベル)を判定して、それに応じたメッセージを特定のグループや呼出エリア内に同報通知して、利便性及び安全性を向上させることができる警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ユーザの移動を警報する警報システムであって、特定の位置に設置され、位置情報を発信する第1の発信装置と、発信される位置情報を受信し、当該受信した位置情報とユーザ情報を発信する第2の発信装置と、第2の発信装置からの位置情報とユーザ情報を受信して出力する受信装置と、複数の基地局が接続され、基地局を介して無線端末との通信を行う無線端末制御装置と、受信装置からの位置情報とユーザ情報を入力し、ユーザ情報に基づいて通知レベルを判定し、当該判定された通知レベルに応じたメッセージを、対応するグループに通知するよう無線端末制御装置を制御する管理サーバとを有することを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、上記警報システムにおいて、管理サーバは、入力された位置情報に基づいて当該位置情報が示す位置が含まれる呼出エリアを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された呼出エリアに通知するよう無線端末制御装置を制御することを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、上記警報システムにおいて、管理サーバは、入力されたユーザ情報に基づいて当該ユーザ情報に対応する通知先グループを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された通知先グループに通知するよう無線端末制御装置を制御することを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、上記警報システムにおいて、管理サーバは、特定設備装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて特定設備装置の制御を行うことを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、上記警報システムにおいて、管理サーバは、電子錠を備える装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて装置における解錠又は施錠の制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザの移動を警報する警報システムであって、特定の位置に設置され、位置情報を発信する第1の発信装置と、発信される位置情報を受信し、当該受信した位置情報とユーザ情報を発信する第2の発信装置と、第2の発信装置からの位置情報とユーザ情報を受信して出力する受信装置と、複数の基地局が接続され、基地局を介して無線端末との通信を行う無線端末制御装置と、受信装置からの位置情報とユーザ情報を入力し、ユーザ情報に基づいて通知レベルを判定し、当該判定された通知レベルに応じたメッセージを、対応するグループに通知するよう無線端末制御装置を制御する管理サーバとを有する警報システムとしているので、特定の位置で検出されたユーザの通知レベルに応じて、適切なメッセージを特定のグループに通知することができ、例えば、権限のないユーザが危険な区域に立ち入った場合等に、管理者や上長から成るグループに通知して、迅速に対処して危険を回避でき、利便性及び工場や事業所の安全性を向上させることができる効果がある。
【0020】
また、本発明によれば、管理サーバは、入力された位置情報に基づいて当該位置情報が示す位置が含まれる呼出エリアを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された呼出エリアに通知するよう無線端末制御装置を制御する上記警報システムとしているので、例えば、権限のないユーザが危険な区域に立ち入った場合等に、立ち入った人の近隣にいる、当該区域が含まれる呼出エリア内の携帯端末に、適切なメッセージを通知することができ、迅速に対処して危険を回避でき、利便性及び工場や事業所の安全性を向上させることができる効果がある。
【0021】
また、本発明によれば、管理サーバは、入力されたユーザ情報に基づいて当該ユーザ情報に対応する通知先グループを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された通知先グループに通知するよう無線端末制御装置を制御する上記警報システムとしているので、検出された位置及びユーザの通知レベルに応じて適切なメンバから成るグループを通知先として指定しておくことにより、当該グループに通知することができ、利便性及び工場や事業所の安全性を向上させることができる効果がある。
【0022】
また、本発明によれば、管理サーバは、特定設備装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて特定設備装置の制御を行う上記警報システムとしているので、例えば、特定設備装置の危険区域内に権限のないユーザが立ち入った場合等は、特定設備装置を緊急停止させて、危険を回避し事故を未然に防ぐことができる効果がある。
【0023】
また、本発明によれば、管理サーバは、電子錠を備える装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて装置における解錠又は施錠の制御を行う上記警報システムとしているので、検出されたユーザの通知レベルに応じて各箇所の解錠又は施錠を行うことができ、セキュリティを向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る警報システムの概略構成ブロック図である。
【図2】管理サーバ1の構成ブロック図である。
【図3】ユーザ情報テーブルの模式説明図である。
【図4】動作設定テーブルの模式説明図である。
【図5】ある装置(△△設備)の危険区域に関する動作設定テーブルの例を示す説明図である。
【図6】通知先テーブルの模式説明図である。
【図7】本人の携帯端末に音声メッセージを送信することを指定する通知先テーブルの説明図である。
【図8】グループ通話により音声メッセージを送信することを指定する通知先テーブルの例を示す説明図である。
【図9】特定のエリア内の端末に音声メッセージを同報通信することを指定する通知先テーブルの例を示す説明図である。
【図10】本システムの運用例を示す模式説明図である。
【図11】従来のRFIDタグを用いた進入検知システムの模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る警報システムは、RFIDシステムとPHSシステムとを連動させて制御する管理サーバを備え、管理サーバが、各タグIDに対応する通知レベル(設定レベル)を記憶すると共に、トリガIDと通知レベルの組み合わせに応じた通知先のグループを記憶しておき、管理サーバが、トリガIDとタグIDとを受信すると、当該タグIDに対応するユーザの通知レベルとトリガIDとで特定される通知先のグループの携帯端末に、音声メッセージ又は文字メッセージで警報を同報通知するものであり、RFIDタグの携帯者の位置に基づいて、危険な状態や不当な侵入があった場合に、管理者等に警報を通知することができ、工場や事業所の安全性を向上させることができるものである。
【0026】
また、本発明の実施の形態に係る警報システムは、管理サーバが、トリガIDと通知レベルの組み合わせに応じてトリガコイルが設置されている呼出エリアを記憶しておき、トリガIDとタグIDとを受信すると、当該タグIDに対応するユーザの通知レベルとトリガIDとで特定される通知先の呼出エリア宛に、音声メッセージ又は文字メッセージを同報通知し、PHSシステムの基地局が、受信した同報通知に自己のエリア番号が含まれる場合には、当該同報通知を自己に位置登録している全ての携帯端末宛に送信するものであり、RFIDタグの携帯者の位置に基づいて、危険な状態や不当な侵入があった場合に、近隣にいる人に警報を通知することができ、迅速な対処を図ることができるものである。
【0027】
[実施の形態に係る警報システムの構成:図1]
本発明の実施の形態に係る警報システムの構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る警報システムの概略構成ブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る警報システム(本システム)は、管理サーバ1と、PHS制御装置2と、基地局3と、携帯端末(PS:Personal Station)4と、LF発信機(トリガユニット)5と、トリガコイル51と、RF受信機(リーダユニット)6と、RFアンテナ61と、クライアントPC7と、作業者等が携帯するRFIDタグ8とを備えている。
【0028】
管理サーバ1には、PHS制御装置2が接続され、更にPHS制御装置2には複数の基地局3が接続されている。また、管理サーバ1には、LANを介してRF受信機6が接続され、RF受信機6にはRFアンテナ61が接続されている。RFアンテナ61の近傍には、トリガコイル51が設けられ、トリガコイル51には、LF発信機5が接続されている。
また、図示は省略するが、LANを介して各種の装置や機器、電子錠を備えたゲート等が接続されている。
LF発信機5は、トリガコイル51を備えている。
尚、LF発信機5、RFIDタグ8は、それぞれ、請求項に記載した第1の発信装置、第2の発信装置に相当している。また、PHS制御装置2は、無線端末制御装置に相当している。
【0029】
[各部の構成:図1]
各構成部分について具体的に説明する。
LF発信機5は、従来と同様のものであり、自己のIDであるトリガIDを低周波数信号で送出しており、対応するトリガコイル51の磁場圏内にRFIDタグ8が進入した場合には、電磁結合によりRFIDタグ8がトリガIDを読み取って、自己のタグIDと共に送信する。図1の例では、LF発信機5aにはトリガコイルA(51a)が設けられ、LF発信機5bにはトリガコイルB(51b)が設けられている。尚、トリガIDは、請求項に記載した第1の発信装置からの位置情報に相当している。
【0030】
RFIDタグ8は、従来と同様のアクティブタグであり、作業者のヘルメットやIDカード等に取り付けられている。そして、トリガコイル51の圏内に入ってLF発信機5から出力されたトリガIDを受信して、自己のタグIDと共に無線送信する。
【0031】
RFアンテナ61は、トリガコイル51の近傍に設けられ、RFIDタグ8から出力される無線信号を受信する。
RF受信機6は、RFアンテナ61からの信号を受信して、LANを介して管理サーバ1に出力する。
また、本システムの特徴として、RF受信機6は、RFアンテナ61からの受信信号レベルに基づいて、送信元のRFIDタグ8の電池残量を検出し、ID情報と共に管理サーバ1に送出する。
【0032】
LF発信機5とRF受信機6、LF発信機5とアンテナ61、RF受信機6とアンテナ61とは1対1に対応していなくてもよい。また、LF発信機5とRF受信機6とを同一の筐体内に設けた構成としてもかまわない。
【0033】
管理サーバ1は、本システムの特徴部分であり、RFIDシステムと構内無線システム(ここではPHSシステムとする)とを統合して、RFIDタグ8の位置情報に基づいて、PHSシステムの携帯端末4に警報や位置情報を提供するものである。
特に、本システムの管理サーバ1は、RFIDタグ8の位置情報や、当該タグの携帯者の設定に基づいて、予め設定された報知動作や制御を行う。設定は、例えば携帯者の権限に応じたものが考えられる。
管理サーバ1が行う動作としては、例えば、作業員が稼働中の危険な装置に接近した場合に、PHS制御装置2を介して、本人の携帯端末4を含む所定の携帯端末4宛に音声や文字のメッセージで警報を通報するとか、装置を緊急停止させる、といった動作がある。
【0034】
管理サーバ1からメッセージを送信する際に、宛先(通知先)となる携帯端末4は複数であってもよく、グループ通話や一斉同報を利用することも可能である。また、通信先の携帯端末4としては、本人、特定のグループ、特定のエリア内、更に、危険な状態にある人の近くにいる人の携帯端末4等が考えられ、設定に基づいて通知される。
管理サーバ1の構成及び動作については、後で詳細に説明する。
【0035】
PHS制御装置2は、構内無線通信システムの制御装置である。
本システムのPHS制御装置2は、管理サーバ1に接続し、管理サーバ1から出力された音声/文字メッセージを、通知先として指定された携帯端末4や指定されたグループ宛に送信する。更に、基地局3宛の音声/文字メッセージを受信した場合には、当該基地局3宛にメッセージを送信する。
また、PHS制御装置2は、携帯端末の位置情報として、各基地局3に位置登録されている携帯端末4の情報を管理サーバ1に通知する。
【0036】
基地局3は、PHSシステムの無線基地局であり、自己のサービスエリア内の携帯端末4との無線通信を行う。また、基地局3は、位置登録されている携帯端末4のIDをPHS制御装置2に通知する。
更に、本システムの基地局3には、特定のトリガID(単数又は複数)に対応するトリガコイル51が設置されている場所を含む呼出エリアのエリア番号が予め設定されており、自己のエリア番号を含む同報通信の音声/文字メッセージを受信すると、自己がカバーするエリア内の全ての携帯端末4に向けて当該メッセージを送信する。更に、基地局3にスピーカを接続して、基地局3宛の音声メッセージを自己がカバーするエリア内の不特定多数の人に報知することも可能である。尚、スピーカから出力するメッセージを、更に各携帯端末4に出力してもよい。
【0037】
携帯端末4は、作業者が携帯するPHSシステムの移動局である。
クライアントPC7は、LANに接続され、管理サーバ1に対するデータの入力や情報閲覧を行う。例えば、クライアントPC7は、後述する各種テーブルの設定等を行う。
【0038】
[管理サーバ1の構成:図2]
次に、管理サーバ1の構成について図2を用いて説明する。図2は、管理サーバ1の構成ブロック図である。
図2に示すように、管理サーバ1は、制御部11と、記憶部12と、音声通話処理部13と、インタフェース部14とを備えている。
【0039】
[制御部11]
制御部11は、管理サーバ1全体の制御を行うものであり、RF受信機6から送信されたID情報に基づいて、記憶部12に対するデータの書き込み/読み出し、PHS制御装置2に対する文字メッセージ送信や音声メッセージ送信の制御、管理対象となっているゲートの開閉制御、電子錠の解錠/施錠、更に工場や事業所内に設置されている他の装置(製造装置等)に対する緊急制御コマンドの送出等を行う。
【0040】
[記憶部12]
記憶部12は、管理サーバ1の処理プログラムを記憶すると共に、本システムにおける携帯端末4への警報出力、及びゲート開閉や緊急制御コマンド送出において用いられる各種データを記憶している。
記憶部12は、各種データとして、ユーザ情報テーブル、動作設定テーブル、通知先テーブル、エリア情報、及び位置情報等を記憶している。
各情報の具体的な内容については後で説明する。
【0041】
[音声通話処理部13]
音声通話処理部13は、音声メッセージを生成して、PHS制御装置2に対して通信先の携帯端末4の番号やエリア番号、又はグループ通話のグループ番号を宛先として発呼し、音声メッセージを出力するものである。例えば、音声通話処理部13は、音声メッセージデータのテーブルを備え、制御部11から指定されたメッセージ番号の音声メッセージを出力する。
[インタフェース部14]
インタフェース部14は、接続部であり、LANや、PHS制御装置2のデータ通信用回線、及び表示装置等の外部機器に接続する。
【0042】
[本システムの動作概略:図1,図2]
記憶部12に記憶されている情報について説明する前に、本システムの動作概略について図1、図2を用いて簡単に説明する。
図1に示すように、RFIDタグ8を携帯する人がトリガコイル51の圏内に入ると、RFIDタグ8は、LF発信機5からのトリガIDを受信し、自己のタグIDを付して無線送信する。
RFIDタグ8から送信された無線信号は、アンテナ61で受信され、RF受信機6で受信信号レベルが検出されて、受信信号レベルの情報を付され、管理サーバ1に送信される。
【0043】
管理サーバ1は、受信したタグIDからユーザを特定し、受信信号レベルに基づいて電池残量を記憶部12に記憶し、タグIDで特定されたユーザの属するユーザグループのIDとトリガIDとに基づいて、記憶部12を参照して対応する動作設定テーブルを特定し、動作設定テーブルの内容に基づいて動作を行う。
ユーザグループについては後述するが、ユーザの通知レベルに対応するものである。
管理サーバ1が行う動作としては、ゲートの解錠/施錠や、PHS制御装置2を介して、動作設定テーブルで設定されている通知先に個別通話やグループ通話で音声メッセージで警報を発したり、特定グループや特定の呼出エリア内に向けて文字メッセージを一斉同報により通知する。
【0044】
[記憶部12に記憶されている情報]
次に、管理サーバ1の記憶部12に記憶されている情報について説明する。
[ユーザ情報テーブル:図3]
まず、ユーザ情報テーブルについて図3を用いて説明する。図3は、ユーザ情報テーブルの模式説明図である。
ユーザ情報テーブルは、RFIDタグ8や携帯端末4を所持する個々のユーザの情報を記憶するテーブルであり、図3に示すように、ユーザの識別番号であるユーザIDと、ユーザの氏名と、当該ユーザが所持しているRFIDタグ8のタグIDと、当該ユーザが所持している携帯端末4の番号と、メールアドレスと、当該ユーザが所属するグループを示すユーザグループIDと、ユーザグループ名と、RFIDタグの電池残量とを記憶している。更に、外部サーバを利用する(インターネット経由の)電子メールのアドレスや、テーブルの更新日時等を記憶してもよい。
【0045】
[ユーザ情報テーブルの各属性について]
ユーザ情報テーブルに記憶される各属性について説明する。
氏名は、本人以外の携帯端末に警報を通知する場合に、「○○さんが△△設備の危険ゾーンに入りました」等、警報対象となる人物を特定したメッセージを作成する際に用いられる。
携帯端末番号は、構内無線システムを利用した音声メッセージや文字メッセージの警報通知の宛先となる番号である。
ユーザグループIDは、本システムの特徴部分であり、当該ユーザの設定に対応する通知レベルを示すものである。すなわち、同じ通知レベルのユーザは同一のユーザグループIDが設定されている。尚、通知レベルは、例えばユーザの権限に応じたものとしてもよい。
【0046】
電池残量は、管理サーバ1がRF受信機6から送信される受信信号強度を閾値と比較して設定するものであり、閾値以上であれば「残量OK」とし、閾値未満であれば「残量NG」とする。
尚、残量NGと判定した場合には、管理サーバ1は、当該ユーザの携帯端末宛に、「RFDIタグの電池残量が少なくなりました」といった文字メッセージや音声メッセージの警報を出力する。
【0047】
そして、管理サーバ1は、ユーザIDとトリガIDとを受信した場合には、ユーザ情報テーブルを参照して、どのユーザからの情報であるかを特定し、当該ユーザの所属するユーザグループID(通知レベル)を特定するものである。
【0048】
[動作設定テーブル:図4]
動作設定テーブルについて図4を用いて説明する。図4は、動作設定テーブルの模式説明図である。
動作設定テーブルは、管理サーバ1が受信したタグIDとトリガIDに応じてどのような動作を行うかを設定するものである。すなわち、あるユーザがある位置で検出された場合にどのような動作(報知動作、制御動作)を行うかを規定するものである。
本システムでは、通知レベル毎に、つまり、ユーザグループ毎に権限が規定されており、タグIDに対応するユーザグループIDと、トリガIDとの組み合わせに対応して動作設定テーブルが規定され、動作が決定される。
【0049】
図4に示すように、動作設定テーブルは、動作IDと、動作名と、動作の種別と、トリガIDと、エリアIDと、ゲートIDと、イベントタイプと、ユーザグループIDと、優先度(権限)と、音声メッセージ情報と、文字メッセージ情報と、通知先IDとを記憶可能なものである。尚、動作設定テーブルでは、これらの属性の内、動作IDと、トリガIDと、ユーザグループIDと、通知先IDは必須であるが他の属性について必要に応じて記憶される。
【0050】
[動作設定テーブルの各属性について]
動作IDは当該動作を特定する識別情報である。
動作種別は、エリアへの進入(存在)/退出(非存在)に応じて動作を行う「エリア動作」であるか、ゲート近傍への進入(存在)/退出(非存在)に応じてゲートの開閉を行う「ゲート動作」であるかを設定する。ゲート動作としては、電子錠の解錠/施錠の動作も含まれる。
トリガIDは、当該エリア又はゲートの近傍に設けられているLF発信機5のトリガIDである。トリガIDによって位置が特定される。
【0051】
トリガIDが1つ設定されている場合には、当該動作設定テーブルはその位置に人がいる場合に行われる動作を設定するものとなる。
また、2つのトリガIDが順序と共に設定されている場合には、人の移動方向を考慮した動作を設定するものとなる。例えば、ゲートの外側と内側にそれぞれトリガコイルを設けた場合には、外→内の順でトリガIDが検出されれば、人物がゲートの外から内側に入ったことが検出され、例えば、ゲート内の室内灯を点灯する、といった制御動作を行うよう動作設定テーブル及び後述する通知先テーブルが規定される。逆に、内→外の順でトリガIDが検出された場合には、室内灯を消灯するよう各テーブルが規定される。
【0052】
エリアIDは、動作種別が「エリア動作」の場合に設定され、当該エリアのIDである。ゲートIDは、動作種別が「ゲート動作」の場合に設定され、当該ゲートのIDである。
【0053】
イベントタイプは、エリア動作の場合にはエリア進入/退出のいずれかが設定され、ゲート動作の場合には、ゲート開(又は電子錠の解錠)又はゲート閉(又は電子錠の施錠)のいずれかが設定される。
尚、ゲート開閉については、後述する優先度を反映させて、ゲート開又はゲート閉のいずれかが設定されている。
【0054】
ユーザグループIDは、通知レベルに相当しており、当該動作に対応するユーザグループIDであり、管理サーバ1がタグIDとトリガIDとを受信した際に参照すべき動作設定テーブルを特定する際のキーとなるものである。
【0055】
優先度は、その動作における当該ユーザグループの優先度(権限)を示すものであり、最優先/優先/普通のいずれかが設定される。例えば、エリア動作の場合に、同じエリアであっても権限に応じて動作が異なり、優先度が「普通」のユーザグループの人が立ち入った場合よりも、優先度が「最優先」のユーザグループの人が立ち入った場合の方が警報の通報を先に行う、といった制御がなされる。
【0056】
音声メッセージ情報は、当該動作に対応する音声メッセージであり、例えば、「危険区域に接近しています」「危険区域に進入しました」等の音声メッセージを特定する情報が記憶される。
文字メッセージ情報は、当該動作に対応する文字メッセージを特定する情報が記憶されている。更に、電子メールで送信するメッセージの内容を記憶してもよい。
【0057】
通知先IDは、本システムの特徴部分であり、当該動作に対応して、警報を通知する通知先や制御を行う対象となる装置を指定するものである。詳細は後述するが、通知先IDは、個々の端末番号や、グループ通話番号、特定のエリア、装置等を指定するものであり、動作設定テーブルでは目的とする動作に応じて通知先を適宜設定可能としている。
【0058】
[動作設定テーブルの具体例:図5]
ここで、動作設定テーブルの具体例について図5を用いて説明する。図5は、ある装置(「△△設備」とする)の危険区域に関する動作設定テーブルの例を示す説明図である。
図5は、△△設備近傍の危険区域に、立ち入る権限のないユーザグループ(ユーザグループID「11」)の人が立ち入った場合の動作を規定するものであり、トリガIDとしては、当該危険区域に設置されているLF発信機5のトリガID「△△bb」が設定されている。
【0059】
また、イベントタイプとして「エリア進入」が設定され、音声メッセージとして音声メッセージ番号m(音声メッセージ「△△設備の危険区域に進入しました」)が設定されている。
そして、通知先IDとして、本人を示す「○○○○」と、上長や管理者を含むグループを示す「○○××」と、△△設備が設置されているエリアを示す「○×○×」が設定されている。つまり、この場合には、本人の携帯端末4と、上長や管理者の携帯端末4と、当該装置を含むエリアにいる携帯端末4に警告が通知されるものである。
【0060】
[エリア情報:図2]
更に、図2に示すように、管理サーバ1は、記憶部12に、トリガIDと呼出エリアのエリア番号とを対応付けたエリア情報を記憶している。
トリガIDに対応する呼出エリアは、当該トリガIDに対応するトリガコイルの設置場所を含む領域となっている。呼出エリアには通常複数の基地局3が含まれる。
そして、管理サーバ1は、例えば、あるユーザが危険な状態に陥った場合に、エリア情報を参照して、当該ユーザのタグIDと共に受信されたトリガIDに対応するエリア番号を読み取り、当該エリア番号宛に警報を出力する。
【0061】
[位置情報:図2]
また、記憶部12に記憶されている位置情報は、PHS制御装置2から取得する携帯端末4の位置情報(位置登録されている基地局3の番号)と、タグIDとトリガIDとで特定される各RFIDタグ8の位置情報(トリガIDに対応するトリガコイルの設置場所)である。これらの位置情報は、図3に示したユーザ情報テーブル内で管理するようにしてもよい。
そして、管理サーバ1は、例えば、あるユーザが危険な状態に陥った場合に、当該ユーザの携帯端末4と同じ基地局3に位置登録されている携帯端末4宛に警報を出力するよう動作する。
【0062】
[通知先テーブル:図6]
次に、記憶部12に記憶されている通知先テーブルについて図6を用いて説明する。図6は、通知先テーブルの模式説明図である。
図6に示すように、通知先テーブルは、動作設定テーブルで設定された通知先の具体的な宛先や通知方法を設定するものであり、通知先IDと、通知先名と、通知種別と、ダイヤル番号と、メール送信先と、機器制御コマンドと、優先度とが記憶可能となっている。
【0063】
[通知先テーブルの各属性について]
通知先としては、特定の携帯端末4、複数の携帯端末4で構成されるグループ、PHSシステムの特定のエリア、制御する装置(機器)があり、宛先毎に通知先IDや通知先名が設定されている。
【0064】
通知種別としては、音声メッセージを携帯端末4に送信(発呼)する「音声」、携帯端末のグループ宛にグループ通話で音声メッセージを送信する「グループ通話(音声グループ通話)」、複数の携帯端末宛に構内PHSシステムを利用した文字メッセージを送信する「同報」、外部サーバを介して電子メールを送信する「メール」、装置の緊急停止等の機器制御を行う「機器制御」があり、これらのいずれかが設定される。
尚、特定の呼出エリアに同報通知する場合は、音声メッセージを送信する場合には「音声」が、文字メッセージを送信する場合には「同報」が設定される。
また、同じ宛先でも音声メッセージの送信と文字メッセージの送信というように、通知種別が異なる場合には、別々の通知先IDが付与されてそれぞれ設定される。
【0065】
ダイヤル番号は、通知種別が「音声」「グループ通話」「同報」の場合に設定される情報である。通知先が特定の携帯端末4の場合には当該携帯端末4の番号や、当該携帯端末4を特定する情報であり、グループ通話や同報通信の場合には同報特番+グループ番号となる。
グループ通話を行う場合、管理サーバ1は、同報特番+グループ番号を宛先として音声メッセージを出力する。
尚、グループ通話のグループに所属する携帯端末4は、自己が属するグループ番号を記憶しており、受信したグループ通話の宛先が内部に記憶されているグループ番号であれば、着信動作を行う。
【0066】
また、同報通信を行う場合には、ダイヤル番号として、グループ番号ではなく複数の携帯端末4の端末番号を記憶しておいて、管理サーバ1では、例えば、それらに対応する単一番号を宛先として文字メッセージを送信することにより一斉同報を行う。
【0067】
更に、本システムの特徴として、ダイヤル番号に同報特番+エリア番号を設定することも可能である。これは、特定の呼出エリア内の携帯端末4宛に音声メッセージや文字メッセージを送信するものである。
呼出エリアは、通常複数の基地局3でカバーされる範囲であり、各基地局3は、自己がどの呼出エリアに属するのか、エリア番号を記憶している。基地局3は、エリア番号を複数記憶していてもよい。
【0068】
そして、管理サーバ1は、呼出エリアを宛先とする場合には、同報特番+エリア番号を宛先として音声メッセージ又は文字メッセージを出力する。PHS制御装置2は、当該信号を受信すると、全ての基地局3にエリア番号を付した音声メッセージや文字メッセージを出力し、基地局3は、受信信号に含まれるエリア番号が内部に記憶しているエリア番号と一致した場合には、当該基地局3に位置登録している全ての携帯端末4の端末番号宛に音声メッセージや文字メッセージを通知する。
【0069】
また、基地局3は、呼出エリア指定の文字メッセージ送信指示を受信した場合に、宛先となる携帯端末4を特定せずに、制御チャネルを用いて文字メッセージを一斉送信することにより当該基地局3に位置登録している全ての携帯端末4に文字メッセージを送信するようにしてもよい。
更に、スピーカ等を基地局3に接続しておき、当該基地局3はスピーカから音声メッセージを出力して、呼出エリア内の携帯端末4を持たない人に対しても報知可能とするように構成してもよい。
【0070】
メール送信先は、通知種別が「メール」の場合に設定される情報であり、外部サーバを経由する電子メールのメールアドレスである。例えば、PHSシステムの外にいる外部の管理会社や装置メンテナンスを行う担当者等に報知する場合等に利用される。
【0071】
機器制御コマンドは、通知種別が「機器制御」の場合に設定される情報であり、例えば、当該機器を停止するコマンドが記憶されている。
優先度は、通知種別が「音声」「同報」の場合に設定される情報であり、最優先、優先、普通のいずれかが設定される。そして、音声メッセージの送信時又は同報通信時には、管理サーバ1は、優先度が高い通知先から順に送信する。
【0072】
[通知先テーブルの具体例(1)本人への通知:図7]
通知先テーブルの具体例について図7を用いて説明する。図7は、本人の携帯端末に音声メッセージを送信することを指定する通知先テーブルの説明図である。
図7に示すように、本人の携帯端末4に音声メッセージを送信するための通知先テーブルでは、通知先ID「○○○○」に対応して、通知先名として「本人携帯端末」が設定され、通知種別として「音声」が設定されている。
特定のダイヤル番号は設定されておらず、タグIDで特定されるユーザ情報テーブルの携帯端末番号を宛先として指定するための情報が記載されている。
【0073】
そして、管理サーバ1は、動作設定テーブルの通知先IDが「○○○○」であった場合には、図7の通知テーブルに基づいて、受信したタグIDに対応するユーザ情報テーブルを参照して、携帯端末4の番号を特定し、当該携帯端末番号宛に動作設定テーブルで指定された音声メッセージを送信する。
【0074】
また、同様に、本人の携帯端末4に文字メッセージを送信する通知先テーブルには、別の通知先IDが付され、通知種別が「同報」として記憶されている。
【0075】
[通知先テーブルの具体例(2)グループへの通知:図8]
図8は、グループ通話により音声メッセージを送信することを指定する通知先テーブルの例を示す説明図である。
図8に示すように、グループ(1)にグループ通話で音声メッセージを送信するための通知先テーブルでは、通知先ID「○○××」に対応して、通知先名「グループ(1)」、通知種別「音声グループ通話」が設定され、ダイヤル番号として「同報特番+グループ番号」が設定されている。宛先となるグループとしては、監視対象のユーザが所属するグループや、上長や管理者のグループ等が考えられる。
【0076】
そして、管理サーバ1は、動作設定テーブルの通知先IDが「○○××」であった場合には、図8の通知先テーブルに基づいて、当該「同報特番+グループ(1)のグループ番号」宛に、動作設定テーブルで指定された音声メッセージを送信する。
【0077】
[通知先テーブルの具体例(3)呼出エリア内への通知:図9]
図9は、特定の呼出エリア内の端末に音声メッセージを同報通知することを指定する通知先テーブルの例を示す説明図である。
図9に示すように、特定の呼出エリア(ここでは「エリアA」)内の全ての端末に音声メッセージを同報通信するための通知先テーブルでは、通知先ID「○×○×」に対応して、通知先名「エリアA」、通知種別「音声」、ダイヤル番号として「同報特番+エリアAのエリア番号」が設定されている。
【0078】
そして、管理サーバ1は、動作設定テーブルの通知先IDが「○×○×」であった場合には、図9の通知先テーブルに基づいて、当該「同報特番+エリアAのエリア番号」宛に、動作設定テーブルで指定された音声メッセージを送信する。
【0079】
[本システムの運用例(警告と装置の緊急制御):図10]
次に、本システムの運用例について図10を用いて説明する。図10は、本システムの運用例を示す模式説明図である。
図10の例では、稼働中の装置(「△△設備」とする)の近くに、当該装置に近寄ることが許可されていない人(「○○さん」とする)が立ち入った場合の動作を示しており、特に、危険への接近度に応じて、段階的に警告や装置の緊急制御として例えば緊急停止を行う場合を示す。
【0080】
[事前の各種情報設定]
[ユーザ情報テーブル]
ユーザ情報テーブル(図3参照)には、予め、○○さんの所持するRFIDタグのタグID(「xx」とする)や携帯端末の番号、ユーザグループID(「11」とする)等を記憶しておく。
【0081】
[トリガコイル]
そして、対象装置の近傍の、危険を警告する区域(警告エリア)にトリガコイルB(トリガID「△△bb」)を設け、緊急制御として例えば緊急停止を行う場合、より装置に近く危険な区域(緊急停止エリア)にトリガコイルA(トリガID「△△aa」)を設ける。
【0082】
[動作設定テーブル]
また、○○さんのユーザグループID「11」とトリガID「△△bb」の組み合わせによって特定される動作設定テーブル(図5参照)には、本人と、上長及び管理者とを含むグループ(1)と、△△設備が設置されているエリアAに対して音声メッセージで警告を報知するよう、通知先IDとして、「○○○○」「○○××」「○×○×」が設定されている。
【0083】
[通知先テーブル]
通知先ID「○○○○」に対応する通知先テーブルは、図7に示したものであり、通知先ID「○○××」に対応する通知先テーブルは、図8に示したものであり、通知先ID「○×○×」に対応する通知先テーブルは、図9に示したものである。
【0084】
[装置緊急停止用の動作設定テーブル及び通知先テーブル]
更に、○○さんのユーザグループIDとトリガID「△△aa」の組み合わせによって特定される動作設定テーブル(図示省略)には、上記と同様の通知先に加えて、△△設備の通知先IDが設定されている。
△△設備の通知先IDに対応する通知先テーブルには、△△設備を制御する制御装置のダイヤル番号と、緊急停止コマンドとが記憶されている。尚、制御装置のダイヤル番号及び緊急停止コマンドを設定する代わりに、△△設備のシーケンサのダイヤル番号と接点制御情報(スイッチオフ)を設定しておいてもよい。
【0085】
[警告動作(トリガコイルB内への進入)]
そして、○○さんがトリガコイルBのエリアに入ってタグID「xx」とトリガID「△△bb」が送信されると、管理サーバ1は、ユーザ情報テーブルを参照して、タグID「xx」に対応するユーザグループID「11」を特定し、ユーザグループID「11」とトリガID「△△bb」との組み合わせに基づいて、図5の動作設定テーブルを特定する。
【0086】
[本人への警告]
そして、管理サーバ1は、図5の動作設定テーブルから通知先IDを読み取り、まず、通知先ID「○○○○」に対応する図7に示した通知先テーブルに基づいて、図3のユーザ情報テーブルから○○さん本人の携帯端末4の番号を読み取り、PHS制御装置2を介して、図5の動作設定テーブルで設定された「△△設備の危険区域に進入しました」という音声メッセージを送信する。
【0087】
[グループへの警告]
また、管理サーバ1は、通知先ID「○○××」に対応する図8に示した通知先テーブルに基づいて、○○さんの上長や管理グループであるグループ(1)の携帯端末に、PHS制御装置2を介したグループ通話によって音声メッセージを送信する。ダイヤル番号は「同報特番+グループ(1)のグループ番号」である。
【0088】
その際、警報の対象者が「○○さん」であることを示すために、ユーザ情報テーブルから読み取った氏名に基づいて、動作設定テーブルで設定されたメッセージに氏名を付して「○○さんが、△△設備の危険区域に進入しました」という音声メッセージを警報として送信する。
PHS制御装置2は、全ての基地局3宛に当該グループ通話を出力し、基地局3は自己のエリアに当該グループ通話の信号を出力するが、受信した各携帯端末4において、内部に当該グループ番号(グループ番号(1))が設定されていれば、着信動作を行う。これにより、グループ(1)に属するユーザの携帯端末4同士で当該グループ通話が行われ、管理サーバ1から出力された音声メッセージが各携帯端末4に出力される。
【0089】
[呼出エリアへの警告]
更に、管理サーバ1は、通知先ID「○×○×」に対応する図9に示した通知先テーブルに基づいて、△△設備が設置されているエリアA宛に音声メッセージ「○○さんが、△△設備の危険区域に進入しました」という警報をPHS制御装置2を介して送信する。ダイヤル番号は「同報特番+エリアAのエリア番号」とする。
PHS制御装置2は、全ての基地局3宛に当該エリア宛の信号を出力し、受信した基地局3が、内部に当該エリア番号が記憶されていれば、自己に位置登録されている全ての携帯端末4宛に音声メッセージを送信する。
【0090】
呼出エリア内の全ての携帯端末4宛にメッセージを送信することにより、△△設備の設置場所がサーバや管理者がいるところから遠い場所であっても、対象者の近くにいる人に危険を報知することが可能となるものである。
【0091】
[装置の緊急停止の動作(トリガコイルAへの進入)]
また、○○さんが、トリガコイルAのエリアに入ってタグID「××」とトリガID「△△aa」が送信されると、管理サーバ1は、上述した処理と同様に、ユーザグループID「11」とトリガID「△△aa」との組み合わせに基づいて、動作設定テーブルを特定する。当該動作設定テーブルには、通知先IDとして、△△設備の緊急停止とグループ(1)及びエリアAへの音声同報通知に対応する通知先IDが記憶されているものとする。
【0092】
そして、管理サーバ1は、当該動作設定テーブルに記載された通知先IDに対応する通知先テーブルを参照して、△△設備宛に緊急停止コマンドを送信し、△△設備を緊急停止させる。
【0093】
更に、管理サーバ1は、当該動作設定テーブルに設定された別の通知先IDに対応する通知先テーブルを参照して、PHS制御装置2を介して、グループ(1)宛に「○○さんが危険場所に入ったため、△△設備を緊急停止しました」の音声メッセージを送信する。
【0094】
同様に、管理サーバ1は、更に別の通知先IDに対応する通知先テーブルを参照して、PHS制御装置2を介して、エリアA宛に同様の音声メッセージを送信する。
このようにして、本システムの運用例における動作が行われるものである。尚、ここでは、警告送信と緊急停止の2段階に分けて制御を行ったが、その間にも複数のトリガを設けてより細かく段階的に警告を送信することも可能である。
【0095】
[他の実施の形態]
本システムの他の実施の形態について簡単に説明する。
[入退室の監視]
上述したように、本システムでは、ゲートの外側と内側とにトリガコイルを設けて、トリガIDの検出順に基づいて人の移動方向を検出し、危険場所への入退室状況を監視する。
そして、危険場所への入室が検出された後、一定時間が経過しても退室が検出されない場合に、上長や管理者、また近くのエリアにいる人に上述したような方法で、音声メッセージや文字メッセージで警報を送信する。また、管理サーバ1の表示装置にその旨表示する。
これにより、危険場所に入った後何らかの事故が発生して、危険な状態に陥ってしまった人を早期に救出することができるものである。
【0096】
[人感センサの利用]
また、RFIDタグを携帯していない人が立入禁止区域に不当に侵入することを検出するため、立入禁止区域の入り口に人感センサとして赤外線カメラやゲート開閉感知装置を備え、管理サーバ1が、当該人感センサからの信号を受信し、且つRFIDタグのタグIDを検出していない場合に、不当侵入として、管理者や近隣エリアの携帯端末4に警報を送信する。また、管理サーバ1の表示装置にその旨表示する。
これにより、RFIDタグを携帯していない人が入場した場合にも迅速に対処できるものである。
【0097】
[電池残量の検出及び警告出力]
上述したように、管理サーバ1は、RF受信機6からの受信信号レベルの情報を予め設定された閾値と比較して、受信信号レベルが閾値未満であった場合には、本人の携帯端末4宛に、「電池残量が少なくなりました。電池を交換してください」といった音声メッセージや文字メッセージの警報を送信する。ユーザは、この警報に基づき、RFIDタグの電池が切れる前に電池交換を行うことができる。
これにより、ユーザがRFIDタグの電池切れに気づかずに位置情報を取得できず、危険な状態になってしまうのを防ぐことができるものである。
【0098】
[タグIDと携帯端末4の位置情報との照合]
また、上述したように、管理サーバ1は、PHS制御装置2から携帯端末4の位置情報を随時取得して記憶しておくと共に、タグIDとトリガIDとで特定される各RFIDタグ8の位置情報も随時更新して保持しておく。
そして、定期的に携帯端末4の位置情報と、RFIDタグ8の位置情報とを照合して、相違があれば、携帯端末4宛に警報を出力して、RFIDタグ8の紛失や位置情報の通知漏れを防ぐ。
【0099】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係る警報システムによれば、RFIDシステムとPHSシステムとを連動させて制御する管理サーバ1を備え、管理サーバ1が、RFIDタグ8のタグIDとそれに対応する通知レベルとしてのユーザグループとを記憶するユーザ情報テーブルと、トリガIDとユーザグループの組み合わせに応じた通知先のグループを記憶する動作設定テーブルを備え、トリガIDとタグIDとを受信すると、ユーザ情報テーブルに基づいて当該タグIDに対応するユーザグループを特定し、当該ユーザグループと受信したトリガIDとで特定される動作設定テーブルに基づいて、通知先のグループの携帯端末4に、グループ通話で音声メッセージを同報通知し、又は文字メッセージで警報を同報通知する警報システムとしており、RFIDタグ8の携帯者の位置及び通知レベルに基づいて、危険な状態や不当な侵入を管理者等に音声メッセージ又は文字メッセージを警報として同報通知することができ、利便性及び工場や事業所の安全性を向上させることができる効果がある。
【0100】
また、本システムによれば、管理サーバ1が、動作設定テーブルに、通知先としてトリガIDに対応するトリガコイルが設置されている場所を含む呼出エリアを記憶しておき、トリガIDとタグIDとを受信すると、ユーザ情報テーブルに基づいて当該タグIDに対応するユーザグループを特定し、PHS制御装置2を介して当該ユーザグループとトリガIDとで特定される動作設定テーブルに基づいて、通知先の呼出エリア宛に、音声メッセージ又は文字メッセージを同報通知し、基地局3が、自己のエリア番号が受信した同報通知の宛先である場合には、当該同報通知を自己に位置登録している携帯端末4宛に送信する警報システムとしており、RFIDタグ8の携帯者の位置及び通知レベルに基づいて、危険な状態や不当な侵入があった場合に、近隣にいる人に警報を同報通知することができ、迅速な対処を図ることができるものである。
【0101】
また、本システムによれば、管理サーバ1が、動作設定テーブルに、通知先として装置を記憶しておき、トリガIDとタグIDとを受信すると、ユーザ情報テーブルに基づいて当該タグIDに対応するユーザグループを特定し、PHS制御装置2を介して当該ユーザグループとトリガIDとで特定される動作設定テーブルを参照して、通知先の装置を緊急停止するコマンドを送出する警報システムとしているので、装置周辺の危険な区域に権限のない人が立ち入った場合には装置を緊急停止させて、危険を回避することができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、危険な場所への進入があった場合に、進入者の設定レベルに基づいて、特定のグループのメンバや近隣に位置する人に迅速に同報通知することができ、工場や事業所の安全性を向上させることができる警報システムに適している。
【符号の説明】
【0103】
1...管理サーバ、 2...PHS制御装置、 3...基地局、 4...携帯端末、 5,32...LF発信機(トリガユニット)、 6,34...RF受信機(リーダユニット)、 7...クライアントC、 8,35...RFIDタグ、 11...制御部、 12...記憶部、 13...音声通話処理部、 14...インタフェース部、 31...RFIDサーバ、 51...トリガコイル、 61,33...RFアンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの移動を警報する警報システムであって、
特定の位置に設置され、位置情報を発信する第1の発信装置と、
前記発信される位置情報を受信し、当該受信した位置情報とユーザ情報を発信する第2の発信装置と、
前記第2の発信装置からの位置情報とユーザ情報を受信して出力する受信装置と、
複数の基地局が接続され、前記基地局を介して無線端末との通信を行う無線端末制御装置と、
前記受信装置からの位置情報とユーザ情報を入力し、前記ユーザ情報に基づいて通知レベルを判定し、当該判定された通知レベルに応じたメッセージを、対応するグループに通知するよう前記無線端末制御装置を制御する管理サーバとを有することを特徴とする警報システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、入力された位置情報に基づいて当該位置情報が示す位置が含まれる呼出エリアを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された呼出エリアに通知するよう無線端末制御装置を制御することを特徴とする請求項1記載の警報システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、入力されたユーザ情報に基づいて当該ユーザ情報に対応する通知先グループを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された通知先グループに通知するよう無線端末制御装置を制御することを特徴とする請求項1記載の警報システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、特定設備装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて前記特定設備装置の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の警報システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、電子錠を備える装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて前記装置における解錠又は施錠の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の警報システム。
【請求項1】
ユーザの移動を警報する警報システムであって、
特定の位置に設置され、位置情報を発信する第1の発信装置と、
前記発信される位置情報を受信し、当該受信した位置情報とユーザ情報を発信する第2の発信装置と、
前記第2の発信装置からの位置情報とユーザ情報を受信して出力する受信装置と、
複数の基地局が接続され、前記基地局を介して無線端末との通信を行う無線端末制御装置と、
前記受信装置からの位置情報とユーザ情報を入力し、前記ユーザ情報に基づいて通知レベルを判定し、当該判定された通知レベルに応じたメッセージを、対応するグループに通知するよう前記無線端末制御装置を制御する管理サーバとを有することを特徴とする警報システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、入力された位置情報に基づいて当該位置情報が示す位置が含まれる呼出エリアを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された呼出エリアに通知するよう無線端末制御装置を制御することを特徴とする請求項1記載の警報システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、入力されたユーザ情報に基づいて当該ユーザ情報に対応する通知先グループを指定し、判定された通知レベルに応じたメッセージを、当該指定された通知先グループに通知するよう無線端末制御装置を制御することを特徴とする請求項1記載の警報システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、特定設備装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて前記特定設備装置の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の警報システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、電子錠を備える装置に接続しており、入力された位置情報及び判定された通知レベルに基づいて前記装置における解錠又は施錠の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の警報システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−203616(P2012−203616A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67174(P2011−67174)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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