警報システム
【課題】従来技術においては火災などによって発生する高温領域などの存在を検知して警報出力することは可能であったが、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することはできなかった。
【解決手段】本発明の「警報システム」0100は、「熱画像カメラ」0101によって取得される設置空間内の温度分布と所定の温度条件に基づいて警報を出力するための「注目エリア」0102を設定し、人が注目エリアに対して「所定の範囲」0103まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定し、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【解決手段】本発明の「警報システム」0100は、「熱画像カメラ」0101によって取得される設置空間内の温度分布と所定の温度条件に基づいて警報を出力するための「注目エリア」0102を設定し、人が注目エリアに対して「所定の範囲」0103まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定し、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、防災・防犯対策のために赤外線カメラなどを利用して所定の領域を監視し、異常を検知した場合に警報出力をすることが可能なシステムが知られていた。
【0003】
例えば、特許文献1においては、熱画像を用いて複数の監視領域を監視し、監視領域ごとに火災発生に関する警報を発することが可能な火災監視システムが開示されている。また、特許文献2においては、熱画像から得られる貯蔵容器の表面温度データを用いて異常温度を示す領域の画像データを作成し、当該データを表示装置に対して出力可能な異常監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3326482号
【特許文献2】特開2003−207596
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては火災などによって発生する高温領域などの存在を検知して警報出力することは可能であったが、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定し、人が近づいたことを検知して警報出力することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、熱画像カメラによって設置空間内の温度分布を取得する温度分布取得部と、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件を格納した温度条件格納部と、取得された温度分布と温度条件から注目エリアを設定する注目エリア設定部と、取得された温度分布から人の位置を取得する人位置取得部と、警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件を格納する警報出力条件格納部と、設定された注目エリアと人の位置と警報出力条件に基づいて警報を出力するか判断する警報出力判断部と、からなる警報システムを提案する。
【発明の効果】
【0007】
上記の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定し、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の警報システムの概要を示す図
【図2】実施例1の警報システムの構成を示す図
【図3】実施例1の警報システムのハードウェア構成の一例を示す図
【図4】実施例1の警報方法の処理の流れの一例を示す図
【図5】実施例2の警報システムの構成を示す図
【図6】実施例2の警報システムの注目エリア設定部の構成例を示す図
【図7】実施例3の警報システムの構成を示す図
【図8】実施例4の警報システムの構成を示す図
【図9】実施例5の警報システムの構成を示す図
【図10】実施例6の警報システムの概要を示す図
【図11】実施例6の警報システムの構成を示す図
【図12】実施例6の警報方法の処理の流れの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施例を説明する。実施例と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。実施例1は主に請求項1に対応し、実施例2は主に請求項2に対応し、実施例3は主に請求項3に対応し、実施例4は主に請求項4に対応し、実施例5は主に請求項5に対応し、実施例6は主に請求項6に対応する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施しうる。
【実施例1】
【0010】
<概要>
図1は、本実施例の警報システムの概要を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0100は、「熱画像カメラ」0101によって取得される設置空間内の温度分布と所定の温度条件に基づいて警報を出力するための「注目エリア」0102を設定し、人が注目エリアに対して「所定の範囲」0103まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【0011】
<構成>
図2は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0200は、「温度分布取得部」0201と、「温度条件格納部」0202と、「注目エリア設定部」0203と、「人位置取得部」0204と、「警報出力条件格納部」0205と、「警報出力判断部」0206と、から構成される。以下、各構成について説明する。
【0012】
「温度分布取得部」は、熱画像カメラによって設置空間内の温度分布を取得する機能を有する。温度分布取得部の具体例としては、熱画像カメラとインターフェイス機器(A/D変換機器、通信機器等も含む)、処理演算装置(CPU、MPU等)、記憶装置(RAM等)からなる構成が考えられる。
【0013】
ここで、熱画像カメラとしては、放射温度計の機能を備えたカメラが考えられる。例えば、マイクロボロメータ、サーモパイル(センサ素子)などを用いたカメラや、焦電形温度センサや、光起電力形温度センサ、光電導形温度センサなどを用いたカメラ等が考えられる。なお、用途に応じてこれらのセンサの前面に波長選択フィルタを設けることが好ましい。例えば、赤外線領域透過フィルタを設けて可視光を遮断し、太陽光や大気中水分の影響を低減させることが考えられる。
【0014】
熱画像カメラの温度測定範囲や、温度分解能、検出素子の画素数、測定視野角は、設計により種々考えられる。例えば、サーモパイル素子を用いて、−10℃〜300℃の温度測定範囲、0.5℃の温度分解能、略2000画素数、60°の測定視野角を用いることが可能である。
【0015】
また、熱画像カメラは単数である必要はなく、空間内に複数設ける構成も可能である。当該構成とすることにより、一の視点から見た熱画像では重なって見える人の温度パターンなどを分離して取得しやすくなる。
【0016】
「温度条件格納部」は、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件を格納する機能を有する。温度条件格納部の具体例としては、データを長期的に蓄積可能な記憶装置(ROMやハードディスク等)が主として考えられる。
【0017】
ここで、人と注目エリアの位置関係としては、人と注目エリアとの間隔や方向関係が主として考えられる。ここで、人の注目エリアに対する間隔や方向は、例えば、人に対する注目エリアの最短地点を基準とすることも可能であるし、注目エリアの中心を基準としたり、注目エリアにおいて特定の条件を満たすポイント(最高温度や最低温度のポイント)を基準としたりすることが可能である。なお、間隔は平面的な距離に限られず、三次元的な距離も含まれるものである。
【0018】
また、警報を出力する方法としては、音声機器からの音声出力や、ディスプレイ機器からの表示出力(光点滅・点灯表示等も含む)、プリンタ機器からの印刷出力、通信機器からの情報送信(携帯電話に対するメール送信等も含む)、バイブレータ機器からの振動出力など種々の方法が考えられる。これらの警報を出力するために、対応する機器に対して動作を制御するための制御命令を送信することが考えられる。
【0019】
また、注目エリアが満たすべき温度条件としては、例えば、「所定の温度以下であること又は所定の温度以上であること」(実施例2にて説明)、「温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること」(実施例3にて説明)、「温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること」(実施例4にて説明)、「所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であること」(実施例5にて説明)などが考えられる。ここで、上記の条件において、注目エリアの温度や温度の変化値については、その最大値や最小値を用いてもよいし、平均値を用いてもよく、種々の態様で設定することが可能である。
【0020】
その他の温度条件の例としては、例えば、「温度分布の一様性が所定レベル以上であること又は所定レベル以下であること」、「温度分布の等方性が所定レベル以上であること又は所定レベル以下であること」、「特定方向(又は任意方向)の温度勾配が一定値以上であること又は一定値以下であること」なども考えられる。
【0021】
なお、温度条件は一つである必要はなく、複数の温度条件を同時に又は選択的に利用する構成も可能である。例えば、季節や日付、曜日、時間帯、設置空間の雰囲気温度(熱画像の温度分布から取得可能)、外気の温度の情報に応じて自動的に温度条件を変更する構成が考えられる。これらの付帯的な情報は、所定の情報取得プログラムに基づいて内部記憶装置や、ネットワークを介して接続される他の記憶装置から通信機器を利用して取得することも可能である。
【0022】
「注目エリア設定部」は、取得された温度分布と温度条件から注目エリアを設定する機能を有する。注目エリア設定部の具体例としては、所定の処理演算を実行可能な処理演算装置と記憶装置と注目エリアを設定する処理内容が記載されたプログラム等からなる構成が考えられる。
【0023】
注目エリアを設定する方法としては、例えば温度分布から温度条件を満たす領域を特定する処理を行うことが考えられる。具体的には、温度条件を満たす熱画像領域に属する各画素の座標情報を取得し、注目エリアを構成するデータとして記憶領域に保持することが考えられる。
【0024】
なお、温度分布や温度条件によっては、注目エリアが複数設定される場合もあれば、一の注目エリアも設定されない場合も考えられる。また、温度条件が複数ある場合は、各温度条件を満たす注目領域を個別に設定することも可能である。
【0025】
「人位置取得部」は、取得された温度分布から人の位置を取得する機能を有する。人位置取得部の具体例としては、所定の処理演算を実行可能な処理演算装置と記憶装置と温度分布から人の位置を取得する処理内容が記載された処理演算プログラム等からなる構成が考えられる。
【0026】
ここで、温度分布から人の位置を取得する方法としては、熱画像から人の体温に近い温度(例えば、30℃〜40℃)となっている領域を特定する処理を行うことが考えられる。具体的には、所定範囲の温度となる熱画像領域に属する各画素の座標情報を取得し、人の位置を構成するデータとして記憶領域に保持することが考えられる。
【0027】
また、典型的な人の熱パターンを示すサンプルデータを保持しておき、当該データとの相関性(例えば、所定温度範囲の領域の長さや幅、面積等についてのサンプルとの差)に基づいて特定する処理を行うことも可能である。
【0028】
また、人の位置としては、熱画像から人であると認識される領域の重心位置とすることも可能であるし、熱画像から人の足であると認識される領域の中心位置とすることも可能である。また、熱画像から体の部位(例えば、手や顔など)を選択的に認識し、該当部位の中心位置を取得する構成も可能である。
【0029】
「警報出力条件格納部」は、警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件を格納する機能を有する。警報出力条件格納部の具体例としては、データを長期的に蓄積可能な記憶装置(ROMやハードディスク等)が主として考えられる。
【0030】
ここで、警報出力条件としては、例えば、「人と注目エリアの最短距離が所定値以下であること」や、「注目エリアに対する人の方向が特定の方向であること」などが考えられる。
ここで、人と注目エリアの間隔は、実空間距離とすることも考えられるし、熱画像中における画素間距離(例えば、画素数)とすることも考えられる。
【0031】
なお、警報の出力可否を判断するための警報出力条件としては、注目エリアと人との位置関係の条件と合わせて、設置空間内にて人が保持している識別情報(ID)が満たすべき条件(実施例6にて説明する)や、設置空間内に人が滞在する日程や時間帯、その長さに関する条件、設置空間内の人の人数、分布が満たすべき条件、人の体温が満たすべき条件などを用いることが考えられる。また、これらの条件を複数組み合わせて用いることも可能である。
【0032】
例えば、人の体温が所定温度(例えば、37.5℃)未満である場合は、注目領域(例えば、ストーブ)に対して第一基準値(例えば、50cm)以内まで近づかないと警報出力しないが、体温が所定温度以上である場合は、注目領域に対して第二基準(例えば、1m)以内まで近づくと警報出力するといった警報出力条件を用いる構成が考えられる。当該構成とすることにより、人の体温が温められ過ぎることを防止することができ、安全性を高めることが可能になる。なお、人の体温の情報も熱画像から取得することができるため、別に新たなハードウェア構成を設ける必要はない。
【0033】
「警報出力判断部」は、設定された注目エリアと人の位置と警報出力条件に基づいて警報を出力するか判断する機能を有する。警報出力判断部の具体例としては、所定の処理演算を実行可能な処理演算装置と記憶装置と警報を出力するか判断する処理内容が記載されたプログラム等からなる構成が考えられる。
【0034】
ここで、設定された注目エリアと人の位置と警報出力条件に基づいて警報を出力する方法としては、設定された注目エリアと人の位置から位置関係を示す値(距離値や方向角)を算出する処理を行い、当該算出結果が警報出力条件を満たすか判断する処理を行うことが考えられる。なお、警報出力条件が実空間位置情報に基づいて規定されている場合は、熱画像の縮尺、視線角等に基づいて画素空間位置情報を実空間位置情報に変換する処理を行う。当該熱画像の縮尺や視線角等は予め内部記憶装置に保持する構成も可能であるが、熱画像中の特徴的な目印(サイズや形状が分かっている物体等)に基づいて算出する構成も可能である。
【0035】
注目エリアと人の位置が警報出力条件に該当すると判断される場合は、警報を出力するための制御命令を警報機器に対して送信する。なお、警報出力条件に応じて警報の種類を変更したり、制御命令を送信する警報機器を変更したりすることも可能である。また、設定により警報の態様を変更可能な構成とすることも考えられる。
【0036】
<具体的な構成>
図3は、本実施例の警報システムの機能的な各構成要素をハードウェアとして実現した際の具体的な構成の一例を示す概略図である。
【0037】
この図にあるように、警報システムは、「CPU」0301と、「RAM」0302と、「ROM」0303と、「熱画像センサ」0304と、「センサインターフェイス」0305と、「通信機器」0306と、「通信インターフェイス」0307と、「警報機器」0308と、「警報インターフェイス」0309とから構成される。上記の構成は、「システムバス」0310のデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0038】
CPUは、ROMに格納されているプログラムにより各構成を制御する。RAMは、CPUが各構成を制御する際に必要なデータの書き込みや読出しが行われ、揮発性メモリ等で構成される(以下、同様である)。
【0039】
CPUは、センサインターフェイスを介して熱画像カメラから設置空間内の温度分布を示す熱画像データを取得し、RAMに格納する。
【0040】
次にCPUは、ROMに格納されている人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0041】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された注目エリア設定プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データと温度条件を示すデータを利用して注目エリアを設定する処理を行う。具体的には、温度条件を満たす熱画像領域を検索する処理を行い、温度条件を満たす領域に属する各画素の座標情報を取得して注目エリアを構成するデータとしてRAMに格納する処理を行う。
【0042】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された人位置取得プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データを利用して人の位置を取得する処理を行う。具体的には、人の体温程度の温度になっており、かつ、典型的な人の形状(幅、高さ、比率、大きさ等)を示す領域を検索する処理を行い、該当する領域に属する各画素の座標情報を人の位置を示すデータとしてRAMに格納する処理を行う。
【0043】
次にCPUは、ROMに格納されている警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0044】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された警報出力判断プログラムを実行し、RAMに格納された注目エリアを示すデータと人の位置を示すデータと警報出力条件を示すデータを利用して警報を出力するか判断する処理を行う。具体的には、注目エリアを示すデータと人の位置を示すデータから注目エリアと人との位置関係を示すデータを算出する処理を行い、当該算出結果が警報出力条件を満たすか判断する処理を行う。
【0045】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された警報出力プログラムを実行し、警報出力判断プログラムの実行結果が警報出力条件を満たすとの判断結果である場合は、警報を出力するための制御命令を警報機器に対して送信する処理を行う。制御命令を受信した警報機器は、制御命令に応じた警報を出力する処理を行う。
【0046】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。図4は、本実施例の処理の流れの概要を示す図である。
【0047】
まずステップS0401において、熱画像カメラによって設置空間内の温度分布を取得する(温度分布取得ステップ)。
【0048】
次にステップS0402において、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件と取得された温度分布から注目エリアを設定する(注目エリア設定ステップ)。
【0049】
次にステップ0403において、注目エリア設定ステップにて一以上の注目エリアが設定されたか判断する(注目エリア存在判断ステップ)。ここでの判断が一以上の注目エリアが設定されたとの判断である場合は、ステップS0404に進む。ここでの判断が一以上の注目エリアが設定されていないとの判断である場合は、ステップS0408に進む。
【0050】
次にステップS0404において、取得された温度分布から人の位置を取得する(人位置取得ステップ)。
【0051】
次にステップS0405において、人位置取得ステップにて一以上の人の位置が取得されたか判断する(人存在判断ステップ)。ここでの判断が、一以上の人の位置が取得できたとの判断である場合は、ステップS0406に進む。ここでの判断が、一以上の人の位置が取得できなかったとの判断である場合は、ステップS0408に進む。
【0052】
次にステップS0406において、警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件と設定された注目エリアと人の位置に基づいて警報を出力するか判断する(警報出力判断ステップ)。ここでの判断が警報を出力するとの判断である場合は、ステップS0407に進む。ここでの判断が警報を出力しないとの判断である場合は、ステップS0408に進む。
【0053】
次にステップS0407において、警報を出力する(警報出力ステップ)。
【0054】
次にステップS0408において、処理を終了するか判断する(処理終了判断ステップ)。ここでの判断が処理を終了するとの判断である場合は、処理を終了する。ここでの判断が処理を終了しないとの判断である場合は、ステップS0401に戻る。
【0055】
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【実施例2】
【0056】
<概要>
本実施例の警報システムは、熱画像カメラによって取得される設置空間内の温度分布から所定の温度以上となる(又は所定の温度以下となる)注目エリアを設定し、人が注目エリアに対して所定の範囲まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、例えば、高温の物体などが上記設置空間内に入ってきた場合などにおいてもダイナミックに注目エリアを設定し、人が誤って近づきすぎないように適宜警報出力することが可能になる。
【0057】
<構成>
図5は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0500は、「温度分布取得部」0501と、「温度条件格納部」0502と、「注目エリア設定部」0503と、「人位置取得部」0504と、「警報出力条件格納部」0505と、「警報出力判断部」0506と、から構成され、温度条件格納部は「第一格納手段」0507を有する。以下、実施例1との相違点である第一格納手段について説明する。
【0058】
「第一格納手段」は、温度条件として所定の温度以下であること又は所定の温度以上であることを格納する機能を有する。ここで、温度条件として所定の温度未満とすること又は所定の温度より大きくすることは上記条件と同等である。また、温度条件として所定の温度範囲ではないとすることも上記条件と同等である。
【0059】
上記のような条件とすることにより、注目エリア設定部は、熱画像の任意の領域が所定の温度以下となっている場合又は所定の温度以上となっている場合に、当該領域を注目エリアとして設定する。
【0060】
なお、注目エリア設定部は、所定の温度以上となる注目エリアを、その温度範囲に応じてさらに分類して設定する手段(分類設定手段)を有する構成とすることも可能である。例えば、図6に示すように、所定の温度以上で、かつ、第一温度未満の温度範囲である場合は、「第一レベル注目エリア」0601と設定し、第一温度以上で、かつ、第二温度未満の温度範囲である場合は、「第二レベル注目エリア」0602と設定し、第二温度以上の温度範囲である場合は、「第三レベル注目エリア」0602と設定することなどが考えられる。なお、温度条件として所定の温度以下であることとした場合も同様の構成が可能である。
【0061】
また、第一格納手段に格納された温度条件の基準となる所定の温度を段階的に調整可能な手段(第一温度条件調整部)を設けることも可能である。例えば、設置空間内に第一の基準温度以上である領域を設定した後に(又は該当領域が見つからなかった場合に)、第一の基準温度よりも低い第二の基準温度を設定し、さらに第二の基準温度以上である領域を設定した後に(又は該当領域が見つからない場合に)、第二の基準温度よりも低い第三の基準温度を設定する、といったよう温度条件の基準となる所定の温度を段階的に調整することが考えられる。当該構成とすることにより、複数の温度条件を保持することなく段階的に注目すべきエリアを設定することが可能になる。
【0062】
<具体的な構成>
本実施例の警報システムの具体的な構成は、図3で示した実施例1の警報システムの具体的な構成と同様である。ただし、所定の温度以下であること又は所定の温度以上であることを温度条件としてROMに保持している(第一温度条件情報)。以下、実施例1と相違点である温度条件に関連する処理について説明する。
【0063】
CPUは、ROMに格納されている人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件(所定の温度以下であること又は所定の温度以上であること)を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0064】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された注目エリア設定プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データと温度条件を示すデータを利用して注目エリアを設定する処理を行う。具体的には、所定の温度以上になる熱画像領域(又は所定の温度以下になる熱画像領域)を検索する処理を行い、所定の温度以上になる熱画像領域(又は所定の温度以下になる熱画像領域)に属する各画素の座標情報を取得して注目エリアを構成するデータとしてRAMの所定のアドレスに格納する処理を行う。
【0065】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。なお、警報方法の処理の流れは図4で示した実施例1の処理の流れと同様である。ただし、注目エリア設定ステップにおいて、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件として、所定の温度以下であること又は所定の温度以上であることを利用することを特徴とする。
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【実施例3】
【0066】
<概要>
本実施例の警報システムは、熱画像カメラによって取得される設置空間内の温度分布から、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上となる(又は所定の値以下となる)注目エリアを設定し、人が注目エリアに対して所定の範囲まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、例えば、温度の時間当たりの変化値が大きく変化している領域をダイナミックに注目エリアとして設定し、人が誤って近づきすぎないように適宜警報出力することが可能になる。
【0067】
<構成>
図7は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0700は、「温度分布取得部」0701と、「温度条件格納部」0702と、「注目エリア設定部」0703と、「人位置取得部」0704と、「警報出力条件格納部」0705と、「警報出力判断部」0706と、から構成され、温度条件格納部は「第二格納手段」0707を有する。以下、実施例1との相違点である第二格納手段について説明する。
【0068】
「第二格納手段」は、温度条件として温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納する機能を有する。ここで、温度条件として温度の時間当たりの変化値が所定の値よりも大きいこと又は所定の値未満であることは、上記条件と同様である。また、温度条件として温度の時間当たりの変化値が所定の範囲ではないこととすることも上記条件と同等である。また、温度の時間当たりの変化値は、単位時間当たりの変化値とすることも可能であるし、所定の時間当たりの変化値とすることも可能である。
【0069】
温度条件を上記のような条件とすることにより、注目エリア設定部は、熱画像の任意の領域の温度の時間あたりの変化が所定の値以上となっている場合又は所定の値以下となっている場合は、当該領域を注目エリアとして設定する。
【0070】
なお、注目エリア設定部は、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上となる注目エリアを、その変化の程度に応じてさらに分類して設定する手段(第二分類設定手段)を有する構成とすることも可能である。例えば、温度の単位時間当たりの変化値が所定の値以上で、かつ、第一変化値未満の変化である場合は、第一レベル注目エリアと設定し、第一変化値以上で、かつ、第二変化値未満の変化である場合は、第二レベル注目エリアと設定し、第二変化値以上の変化である場合は、第三レベル注目エリアと設定することなどが考えられる。なお、温度条件として温度の時間当たりの変化値が所定の値以下であることとした場合も同様の構成が可能である。
【0071】
<具体的な構成>
本実施例の警報システムの具体的な構成は、図3で示した実施例1の警報システムの具体的な構成と同様である。ただし、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを温度条件として長期記憶装置に保持している(第二温度条件情報)。以下、実施例1と相違点である温度条件に関連する処理について説明する。
【0072】
CPUは、ROMに格納されている人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件(温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること)を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0073】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された注目エリア設定プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データと温度条件を示すデータを利用して注目エリアを設定する処理を行う。具体的には、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上になる熱画像領域(又は温度の時間当たりの変化値が所定の値以下になる熱画像領域)を検索する処理を行い、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上になる熱画像領域(又は温度の時間当たりの変化値が所定の値以下になる熱画像領域)に属する各画素の座標情報を取得して注目エリアを構成するデータとしてRAMの所定のアドレスに格納する処理を行う。
【0074】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。なお、警報方法の処理の流れは図4で示した実施例1の処理の流れと同様である。ただし、注目エリア設定ステップにおいて、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件として、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを特徴とする。
【0075】
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【実施例4】
【0076】
<概要>
本実施例の警報システムは、熱画像カメラによって取得される設置空間内の温度分布から、温度の変化値が所定の値以上となる(又は所定の値以下となる)注目エリアを設定し、人が注目エリアに対して所定の範囲まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、例えば、温度の変化値が大きく変化している領域についてダイナミックに注目エリアとして設定し、人が誤って近づきすぎないように適宜警報出力することが可能になる。
【0077】
<構成>
図8は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0800は、「温度分布取得部」0801と、「温度条件格納部」0802と、「注目エリア設定部」0803と、「人位置取得部」0804と、「警報出力条件格納部」0805と、「警報出力判断部」0806と、から構成され、温度条件格納部は「第三格納手段」0807を有する。以下、実施例1との相違点である第三格納手段について説明する。
【0078】
「第三格納手段」は、温度条件として温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納する機能を有する。ここで、温度条件として温度の変化値が所定の値よりも大きいこと又は所定の値未満であることは、上記条件と同様である。また、温度条件として温度の変化値が所定の範囲ではないこととすることも上記条件と同等である。
【0079】
温度条件を上記のような条件とすることにより、注目エリア設定部は、熱画像の任意の領域の温度の変化値が所定の値以上となっている場合又は所定の値以下となっている場合に、当該領域を注目エリアとして設定する。実施例2で説明した第二格納手段に格納される温度条件との違いは、時間の長さに関係なく、温度の変化値が所定の値以上となったこと又は所定の値以下となったことを条件としている点である。つまり、比較的長い時間を経て異常温度状態に移行する物体等を検知することが可能になる。
【0080】
なお、注目エリア設定部は、温度の変化値が所定の値以上となる注目エリアを、その変化値の程度に応じてさらに分類して設定する手段(第三分類設定手段)を有する構成とすることも可能である。例えば、温度の変化値が所定の値以上で、かつ、第一変化値未満の変化である場合は、第一レベル注目エリアと設定し、第一変化値以上で、かつ、第二変化値未満の変化である場合は、第二レベル注目エリアと設定し、第二変化値以上の変化である場合は、第三レベル注目エリアと設定することなどが考えられる。なお、温度条件として温度の変化値が所定の値以下であることとした場合も同様の構成が可能である。
【0081】
<具体的な構成>
本実施例の警報システムの具体的な構成は、図3で示した実施例1の警報システムの具体的な構成と同様である。ただし、温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを温度条件として長期記憶装置に保持している(第三温度条件情報)。以下、実施例1と相違点である温度条件に関連する処理について説明する。
【0082】
CPUは、ROMに格納されている人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件(温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること)を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0083】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された注目エリア設定プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データと温度条件を示すデータを利用して注目エリアを設定する処理を行う。具体的には、温度の変化値が所定の値以上になる熱画像領域(又は温度の変化値が所定の値以下になる熱画像領域)を検索する処理を行い、温度の変化値が所定の値以上になる熱画像領域(又は温度の変化値が所定の値以下になる熱画像領域)に属する各画素の座標情報を取得して注目エリアを構成するデータとしてRAMの所定のアドレスに格納する処理を行う。
【0084】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。なお、警報方法の処理の流れは図4で示した実施例1の処理の流れと同様である。ただし、注目エリア設定ステップにおいて、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件として、温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを特徴とする。
【0085】
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【実施例5】
【0086】
<概要>
本実施例の警報システムは、熱画像カメラによって取得される設置空間内の温度分布から、所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上となる(又は所定の値以下となる)注目エリアを設定し、人が注目エリアに対して所定の範囲まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、例えば、高温の領域が広がってきた場合においてダイナミックに注目エリアを設定して、人が誤って近づきすぎないように適宜警報出力することが可能になる。
【0087】
<構成>
図9は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0900は、「温度分布取得部」0901と、「温度条件格納部」0902と、「注目エリア設定部」0903と、「人位置取得部」0904と、「警報出力条件格納部」0905と、「警報出力判断部」0906と、から構成され、温度条件格納部は「第四格納手段」0907を有する。以下、実施例1との相違点である第四格納手段について説明する。
【0088】
「第四格納手段」は、温度条件として所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納する機能を有する。ここで、温度条件として所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値よりも大きいこと又は所定の値未満であることは上記条件と同等である。また、温度条件として所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の範囲の値ではないことも上記条件と同等である。
【0089】
温度条件を上記のような条件とすることにより、注目エリア設定部は、熱画像の任意の領域において所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上となっている場合又は所定の値以下となっている場合に、当該任意の領域を注目エリアとして設定する。
【0090】
ここで、所定の条件としては、実施例2から4で述べた温度条件のように、所定の温度以下であること又は所定の温度以上であること、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること、温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること、とすることが考えられる。
【0091】
また、その他に、所定の条件として、温度分布の一様性が所定レベル以上であること又は所定レベル以下であること、温度分布の等方性が所定レベル以上であること又は所定レベル以下であること、特定方向(又は任意方向)の温度勾配が一定値以上であること又は一定値以下であること、とすることも考えられる。
【0092】
温度領域の大きさは、熱画像中の画素数と熱画像の縮尺等に基づいて取得することが可能である。また、熱画像の縮尺が固定されている場合は、単に画素数のみに基づいて温度領域の大きさを判断することも可能である。具体的には、任意の領域において所定の条件を満たす画素の数を取得し、総画素数が所定の数以上である場合は、上記任意の領域に属する各画素の座標情報を注目エリアを構成するデータとして記憶領域に保持することが考えられる。
【0093】
<具体的な構成>
本実施例の警報システムの具体的な構成は、図3で示した実施例1の警報システムの具体的な構成と同様である。ただし、所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であることを温度条件として長期記憶装置に保持している(第四温度条件情報)。実施例1と相違点である温度条件に関連する処理について説明する。
【0094】
CPUは、ROMに格納されている人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件(所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であること)を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0095】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された注目エリア設定プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データと温度条件を示すデータを利用して注目エリアを設定する処理を行う。具体的には、所定の条件(例えば、所定の温度以上であること)を満たす温度領域の大きさが所定の値以上になる熱画像領域(又は所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以下になる熱画像領域)を検索する処理を行い、所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上になる熱画像領域(又は所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以下になる熱画像領域)に属する各画素の座標情報を取得して注目エリアを構成するデータとしてRAMの所定のアドレスに格納する処理を行う。
【0096】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。なお、警報方法の処理の流れは図4で示した実施例1の処理の流れと同様である。ただし、注目エリア設定ステップにおいて、所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であることを特徴とする。
【0097】
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【実施例6】
【0098】
<概要>
図10は、本実施例の警報システムの概要を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」1000は、「熱画像カメラ」1001によって取得される設置空間内の温度分布から、所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上となる(又は所定の値以下となる)「注目エリア」1002を設定し、識別条件を満たす識別情報(ID)を有する人が注目エリアに対して「所定の範囲」1003まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、例えば、高温の物体などが上記設置空間内に入ってきた場合などにおいてダイナミックに注目エリアを設定し、管理者などではない人が誤って近づきすぎないように適宜警報出力することが可能になる。
【0099】
<構成>
図11は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」1100は、「温度分布取得部」1101と、「温度条件格納部」1102と、「注目エリア設定部」1103と、「人位置取得部」1104と、「警報出力条件格納部」1105と、「警報出力判断部」1106と、「紐付部」1107と、「同一性認識部」1108と、「識別条件格納部」1109と、から構成され、「警報出力判断部」は、「人別警報出力判断手段」1110を有する。以下、実施例1との相違点である、「紐付部」と、「同一性認識部」と、「識別条件格納部」と、「人別警報出力判断手段」について説明する。
【0100】
「紐付部」は、設置空間内にて人が保持している識別情報とその人の熱パターンとを紐付けて取得する機能を有する。紐付部の具体例としては、所定の処理演算を実行可能な処理演算装置と記憶装置と上記紐付けをする処理内容が記載されたプログラム等からなる構成が考えられる。
【0101】
ここで、設置空間内にて人が保持している識別情報は、例えば設置空間の入口付近のICタグリーダにて読み取られるICタグ(ICカードや携帯電話等に格納されているものも含む)の情報や、入口付近の操作入力機器にて受付けるID情報、マイクからの音声入力に基づく人の特定情報や、指紋センサや静脈センサ、網膜センサに基づく人の特定情報なども含まれるものである。つまり、人が保持している識別情報とは、人が保持している物の識別情報の他に、人自身が生体情報として保持している識別情報も含まれる。
【0102】
また、人の熱パターンとは、熱画像においてその人が示す熱分布をいうものである。設置空間内にて人が保持している識別情報とその人の熱パターンとを紐付けて取得する方法としては、例えば人が保持している識別情報の取得が特定場所(入口付近等)にて行われる場合は、当該特定場所の熱画像を取得し、熱画像に写り込んだ人の熱パターンと識別情報を関連付けて記憶装置に保持することが考えられる。
【0103】
「同一性認識部」は、人位置取得部にて連続的に位置が取得される人の熱パターンから立止り又は移動する人の同一性を認識する機能を有する。同一性認識部の具体例としては、所定の処理演算を実行可能な処理演算装置と記憶装置と上記同一性を認識するための処理内容が記載されたプログラム等からなる構成が考えられる。
【0104】
連続的に位置が取得される人の熱パターンから立ち止まり又は移動する人の同一性を認識する方法としては、連続する複数のフレームにおいて連続的な画素座標の位置に相関の高い熱分布が検出されるか否か判定することが考えられる。
【0105】
ここで、識別情報との紐付けが行われている過去のフレームにおける人(過去の同一人物)との同一性が認識された場合、現時点でのフレームにおける人に対しても識別情報を紐付けることが可能になる。このように紐付け処理を人位置取得部及び同一性認識部の処理と合わせて連続的に行うことにより、人位置取得部によりその時点での位置が取得される人の識別情報を取得することが可能になる。
【0106】
「識別条件格納部」は、警報を出力し又は出力しないなどのために識別情報が満たすべき条件である識別条件を格納する機能を有する。識別条件格納部の具体例としては、データを長期的に蓄積可能な記憶装置(ROMやハードディスク等)が主として考えられる。
【0107】
ここで、識別条件としては、警報を出力する又は出力しない対象の識別情報のリストを保持しておき、当該リストに識別情報のデータが存在する又は存在しないことを条件とすることが考えられる。例えば、特定の関係者(管理者等)については警報を出力する対象から外し、それ以外の対象については警報を出力する、といった構成が可能である。
【0108】
また、識別条件の他の例としては、設置空間内に入った回数が所定回数以内であること又は所定回数以上であることや、設置空間内に入った時点から所定時間以上経過していること又は所定時間以上経過していないこと、なども考えられる。
【0109】
「人別警報出力判断手段」は、人位置取得部によりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報又は人位置取得部によりその時点での位置が取得される人との同一性が認識される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報と識別条件にも基づいて警報を出力するか判断する機能を有する。
【0110】
つまり、警報出力判断部は、設定された注目エリアと人の位置と、警報出力条件と、設置空間内にて人が保持している識別情報と、識別情報が満たすべき条件である識別条件に基づいて警報を出力するか判断する機能を有する。
【0111】
判断に用いる識別情報は、人位置取得部によりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対して紐付部により既に識別情報との紐付け処理が行われている場合は、その識別情報を取得する。また、人位置取得部によりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対してまだ識別情報との紐付け処理が行われていない場合は、同一性認識部により同一性が認識され、かつ識別情報との紐付け処理が既に行われた人(過去の熱画像フレームにおける同一人物)の熱パターンに紐付けられた識別情報を取得する。
【0112】
上記識別情報と識別条件にも基づいて警報を出力する方法としては、識別情報と識別条件に基づいて設置空間内の人が警報出力の対象となる人物であるか否かを判断し、警報出力の対象となる人物であると判断される場合は警報出力の対象であることを示すフラッグを立て、警報出力の対象となる人物ではないと判断される場合は警報出力の対象であることを示すフラッグを立てない、といった処理を行うことが考えられる。当該フラッグの情報は、同一性認識部の処理により以後のフレームにおける同一人物に対する情報として引き継ぐことが可能である。
【0113】
<具体的な構成>
本実施例の警報システムの具体的な構成は、図3で示した実施例1の警報システムの具体的な構成と同様である。以下、実施例1と相違点である紐付処理、同一性認識処理、警報出力判断処理について説明する。
【0114】
CPUは、ROMからRAMに読み出された紐付プログラムを実行し、通信インターフェイスを介して識別情報取得装置(ICタグリーダ等)から設置空間内にて人が保持している識別情報を示すデータを取得し、RAMに格納する。さらに、識別情報を取得した時点における人の熱パターンを含む熱画像のデータをセンサインターフェイスを介して熱画像カメラから取得し、識別情報のデータと関連付けてRAMに格納する。
【0115】
さらに、CPUは、ROMからRAMに読み出された同一性認識プログラムを実行し、人位置取得プログラムにて連続的に位置が取得される人の熱パターンから立止り又は移動する人の同一性を認識する処理を行う。具体的には、連続するフレームにおいて連続的な画素位置に相関の高い人の熱パターンが検出されるか否か判定し(例えば、温度の大きさや分布の幅の値が近いか否か判定する)、相関性が高い人の熱パターンが連続する熱画像のフレームにおいて検出された場合は当該相関性の高い人の熱パターンについて同一識別子を付与する処理を行う。
【0116】
次にCPUは、ROMに格納されている警報を出力し又は出力しないなどのために識別情報が満たすべき条件である識別条件を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0117】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された警報出力判断プログラムの人別警報出力判断ルーチンを実行し、人位置取得プログラムによりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報のデータを取得する処理を行う。ここで、識別情報のデータが取得できない場合は、その時点での位置が取得される人との同一性が認識される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報のデータを取得する処理を行う。さらに、CPUは、識別情報のデータと識別条件のデータに基づいて設置空間内の人が警報出力の対象となる人物であるか否かを判断する処理を行い、警報出力の対象となる人物であると判断される場合は警報出力の対象であることを示すフラッグを立てる処理を行う。以後の処理は、実施例1で説明した警報出力判断プログラムの処理と同様である。
【0118】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。図12は、本実施例の処理の流れの概要を示す図である。
【0119】
まずステップS1201において、熱画像カメラによって設置空間内の温度分布を取得する(温度分布取得ステップ)。
【0120】
次にステップS1202において、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件と取得された温度分布から注目エリアを設定する(注目エリア設定ステップ)。
【0121】
次にステップ1203において、注目エリア設定ステップにて一以上の注目エリアが設定されたか判断する(注目エリア存在判断ステップ)。ここでの判断が一以上の注目エリアが設定されたとの判断である場合は、ステップS1204に進む。ここでの判断が一以上の注目エリアが設定されていないとの判断である場合は、ステップS1211に進む。
【0122】
次にステップS1204において、取得された温度分布から人の位置を取得する(人位置取得ステップ)。
【0123】
次にステップS1205において、人位置取得ステップにて一以上の人の位置が取得されたか判断する(人存在判断ステップ)。ここでの判断が、一以上の人の位置が取得できたとの判断である場合は、ステップS1206に進む。ここでの判断が、一以上の人の位置が取得できなかったとの判断である場合は、ステップS1211に進む。
【0124】
次にステップS1206において、人位置取得ステップにて連続的に位置が取得される人の熱パターンから立止り又は移動する人の同一性を認識する(同一性認識ステップ)。
【0125】
次にステップS1207において、人位置取得ステップによりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報又は人位置取得ステップによりその時点での位置が取得される人との同一性が同一性認識ステップにて認識される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報を取得する(識別情報取得ステップ)。なお、この図では記載していないが、設置空間内にてその人が保持している識別情報とその人の熱パターンとを同期的に取得可能なタイミングにおいて、その人の識別情報と熱パターンとを紐付けて取得する(紐付ステップ)。
【0126】
次にステップS1208において、識別情報取得ステップにて取得した識別情報と識別条件に基づいて識別情報を取得した人が警報を出力する対象であるか否か判断する(人別警報出力判断ステップ)。ここでの判断が、警報を出力する対象であるとの判断である場合はステップS1209に進む。ここでの判断が、警報を出力する対象ではないとの判断である場合はステップS1211に進む。
【0127】
次にステップS1209において、警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件と設定された注目エリアと人の位置に基づいて警報を出力するか判断する(警報出力判断ステップ)。ここでの判断が警報を出力するとの判断である場合は、ステップS1210に進む。ここでの判断が警報を出力しないとの判断である場合は、ステップS1211に進む。
【0128】
次にステップS1210において、警報を出力する(警報出力ステップ)。
【0129】
次にステップS1211において、処理を終了するか判断する(処理終了判断ステップ)。ここでの判断が処理を終了するとの判断である場合は、処理を終了する。ここでの判断が処理を終了しないとの判断である場合は、ステップS1201に戻る。
【0130】
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、管理者以外の人等が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【符号の説明】
【0131】
0200…警報システム、0201…温度分布取得部、0202…温度条件格納部、0203…注目エリア設定部、0204…人位置取得部、0205…警報出力条件格納部、0206…警報出力判断部、0301…CPU、0302…RAM、0303…ROM、0304…センサインターフェイス、0305…熱画像センサ、0306…通信機器、0307…通信インターフェイス、0308…警報機器、0309…警報インターフェイス、0507…第一格納手段、0707…第二格納手段、0807…第三格納手段、0907…第四格納手段、1107…紐付部、1108…同一性認識部、1109…識別条件格納部、1110…人別警報出力判断手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、防災・防犯対策のために赤外線カメラなどを利用して所定の領域を監視し、異常を検知した場合に警報出力をすることが可能なシステムが知られていた。
【0003】
例えば、特許文献1においては、熱画像を用いて複数の監視領域を監視し、監視領域ごとに火災発生に関する警報を発することが可能な火災監視システムが開示されている。また、特許文献2においては、熱画像から得られる貯蔵容器の表面温度データを用いて異常温度を示す領域の画像データを作成し、当該データを表示装置に対して出力可能な異常監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3326482号
【特許文献2】特開2003−207596
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては火災などによって発生する高温領域などの存在を検知して警報出力することは可能であったが、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定し、人が近づいたことを検知して警報出力することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、熱画像カメラによって設置空間内の温度分布を取得する温度分布取得部と、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件を格納した温度条件格納部と、取得された温度分布と温度条件から注目エリアを設定する注目エリア設定部と、取得された温度分布から人の位置を取得する人位置取得部と、警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件を格納する警報出力条件格納部と、設定された注目エリアと人の位置と警報出力条件に基づいて警報を出力するか判断する警報出力判断部と、からなる警報システムを提案する。
【発明の効果】
【0007】
上記の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定し、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の警報システムの概要を示す図
【図2】実施例1の警報システムの構成を示す図
【図3】実施例1の警報システムのハードウェア構成の一例を示す図
【図4】実施例1の警報方法の処理の流れの一例を示す図
【図5】実施例2の警報システムの構成を示す図
【図6】実施例2の警報システムの注目エリア設定部の構成例を示す図
【図7】実施例3の警報システムの構成を示す図
【図8】実施例4の警報システムの構成を示す図
【図9】実施例5の警報システムの構成を示す図
【図10】実施例6の警報システムの概要を示す図
【図11】実施例6の警報システムの構成を示す図
【図12】実施例6の警報方法の処理の流れの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施例を説明する。実施例と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。実施例1は主に請求項1に対応し、実施例2は主に請求項2に対応し、実施例3は主に請求項3に対応し、実施例4は主に請求項4に対応し、実施例5は主に請求項5に対応し、実施例6は主に請求項6に対応する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施しうる。
【実施例1】
【0010】
<概要>
図1は、本実施例の警報システムの概要を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0100は、「熱画像カメラ」0101によって取得される設置空間内の温度分布と所定の温度条件に基づいて警報を出力するための「注目エリア」0102を設定し、人が注目エリアに対して「所定の範囲」0103まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【0011】
<構成>
図2は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0200は、「温度分布取得部」0201と、「温度条件格納部」0202と、「注目エリア設定部」0203と、「人位置取得部」0204と、「警報出力条件格納部」0205と、「警報出力判断部」0206と、から構成される。以下、各構成について説明する。
【0012】
「温度分布取得部」は、熱画像カメラによって設置空間内の温度分布を取得する機能を有する。温度分布取得部の具体例としては、熱画像カメラとインターフェイス機器(A/D変換機器、通信機器等も含む)、処理演算装置(CPU、MPU等)、記憶装置(RAM等)からなる構成が考えられる。
【0013】
ここで、熱画像カメラとしては、放射温度計の機能を備えたカメラが考えられる。例えば、マイクロボロメータ、サーモパイル(センサ素子)などを用いたカメラや、焦電形温度センサや、光起電力形温度センサ、光電導形温度センサなどを用いたカメラ等が考えられる。なお、用途に応じてこれらのセンサの前面に波長選択フィルタを設けることが好ましい。例えば、赤外線領域透過フィルタを設けて可視光を遮断し、太陽光や大気中水分の影響を低減させることが考えられる。
【0014】
熱画像カメラの温度測定範囲や、温度分解能、検出素子の画素数、測定視野角は、設計により種々考えられる。例えば、サーモパイル素子を用いて、−10℃〜300℃の温度測定範囲、0.5℃の温度分解能、略2000画素数、60°の測定視野角を用いることが可能である。
【0015】
また、熱画像カメラは単数である必要はなく、空間内に複数設ける構成も可能である。当該構成とすることにより、一の視点から見た熱画像では重なって見える人の温度パターンなどを分離して取得しやすくなる。
【0016】
「温度条件格納部」は、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件を格納する機能を有する。温度条件格納部の具体例としては、データを長期的に蓄積可能な記憶装置(ROMやハードディスク等)が主として考えられる。
【0017】
ここで、人と注目エリアの位置関係としては、人と注目エリアとの間隔や方向関係が主として考えられる。ここで、人の注目エリアに対する間隔や方向は、例えば、人に対する注目エリアの最短地点を基準とすることも可能であるし、注目エリアの中心を基準としたり、注目エリアにおいて特定の条件を満たすポイント(最高温度や最低温度のポイント)を基準としたりすることが可能である。なお、間隔は平面的な距離に限られず、三次元的な距離も含まれるものである。
【0018】
また、警報を出力する方法としては、音声機器からの音声出力や、ディスプレイ機器からの表示出力(光点滅・点灯表示等も含む)、プリンタ機器からの印刷出力、通信機器からの情報送信(携帯電話に対するメール送信等も含む)、バイブレータ機器からの振動出力など種々の方法が考えられる。これらの警報を出力するために、対応する機器に対して動作を制御するための制御命令を送信することが考えられる。
【0019】
また、注目エリアが満たすべき温度条件としては、例えば、「所定の温度以下であること又は所定の温度以上であること」(実施例2にて説明)、「温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること」(実施例3にて説明)、「温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること」(実施例4にて説明)、「所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であること」(実施例5にて説明)などが考えられる。ここで、上記の条件において、注目エリアの温度や温度の変化値については、その最大値や最小値を用いてもよいし、平均値を用いてもよく、種々の態様で設定することが可能である。
【0020】
その他の温度条件の例としては、例えば、「温度分布の一様性が所定レベル以上であること又は所定レベル以下であること」、「温度分布の等方性が所定レベル以上であること又は所定レベル以下であること」、「特定方向(又は任意方向)の温度勾配が一定値以上であること又は一定値以下であること」なども考えられる。
【0021】
なお、温度条件は一つである必要はなく、複数の温度条件を同時に又は選択的に利用する構成も可能である。例えば、季節や日付、曜日、時間帯、設置空間の雰囲気温度(熱画像の温度分布から取得可能)、外気の温度の情報に応じて自動的に温度条件を変更する構成が考えられる。これらの付帯的な情報は、所定の情報取得プログラムに基づいて内部記憶装置や、ネットワークを介して接続される他の記憶装置から通信機器を利用して取得することも可能である。
【0022】
「注目エリア設定部」は、取得された温度分布と温度条件から注目エリアを設定する機能を有する。注目エリア設定部の具体例としては、所定の処理演算を実行可能な処理演算装置と記憶装置と注目エリアを設定する処理内容が記載されたプログラム等からなる構成が考えられる。
【0023】
注目エリアを設定する方法としては、例えば温度分布から温度条件を満たす領域を特定する処理を行うことが考えられる。具体的には、温度条件を満たす熱画像領域に属する各画素の座標情報を取得し、注目エリアを構成するデータとして記憶領域に保持することが考えられる。
【0024】
なお、温度分布や温度条件によっては、注目エリアが複数設定される場合もあれば、一の注目エリアも設定されない場合も考えられる。また、温度条件が複数ある場合は、各温度条件を満たす注目領域を個別に設定することも可能である。
【0025】
「人位置取得部」は、取得された温度分布から人の位置を取得する機能を有する。人位置取得部の具体例としては、所定の処理演算を実行可能な処理演算装置と記憶装置と温度分布から人の位置を取得する処理内容が記載された処理演算プログラム等からなる構成が考えられる。
【0026】
ここで、温度分布から人の位置を取得する方法としては、熱画像から人の体温に近い温度(例えば、30℃〜40℃)となっている領域を特定する処理を行うことが考えられる。具体的には、所定範囲の温度となる熱画像領域に属する各画素の座標情報を取得し、人の位置を構成するデータとして記憶領域に保持することが考えられる。
【0027】
また、典型的な人の熱パターンを示すサンプルデータを保持しておき、当該データとの相関性(例えば、所定温度範囲の領域の長さや幅、面積等についてのサンプルとの差)に基づいて特定する処理を行うことも可能である。
【0028】
また、人の位置としては、熱画像から人であると認識される領域の重心位置とすることも可能であるし、熱画像から人の足であると認識される領域の中心位置とすることも可能である。また、熱画像から体の部位(例えば、手や顔など)を選択的に認識し、該当部位の中心位置を取得する構成も可能である。
【0029】
「警報出力条件格納部」は、警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件を格納する機能を有する。警報出力条件格納部の具体例としては、データを長期的に蓄積可能な記憶装置(ROMやハードディスク等)が主として考えられる。
【0030】
ここで、警報出力条件としては、例えば、「人と注目エリアの最短距離が所定値以下であること」や、「注目エリアに対する人の方向が特定の方向であること」などが考えられる。
ここで、人と注目エリアの間隔は、実空間距離とすることも考えられるし、熱画像中における画素間距離(例えば、画素数)とすることも考えられる。
【0031】
なお、警報の出力可否を判断するための警報出力条件としては、注目エリアと人との位置関係の条件と合わせて、設置空間内にて人が保持している識別情報(ID)が満たすべき条件(実施例6にて説明する)や、設置空間内に人が滞在する日程や時間帯、その長さに関する条件、設置空間内の人の人数、分布が満たすべき条件、人の体温が満たすべき条件などを用いることが考えられる。また、これらの条件を複数組み合わせて用いることも可能である。
【0032】
例えば、人の体温が所定温度(例えば、37.5℃)未満である場合は、注目領域(例えば、ストーブ)に対して第一基準値(例えば、50cm)以内まで近づかないと警報出力しないが、体温が所定温度以上である場合は、注目領域に対して第二基準(例えば、1m)以内まで近づくと警報出力するといった警報出力条件を用いる構成が考えられる。当該構成とすることにより、人の体温が温められ過ぎることを防止することができ、安全性を高めることが可能になる。なお、人の体温の情報も熱画像から取得することができるため、別に新たなハードウェア構成を設ける必要はない。
【0033】
「警報出力判断部」は、設定された注目エリアと人の位置と警報出力条件に基づいて警報を出力するか判断する機能を有する。警報出力判断部の具体例としては、所定の処理演算を実行可能な処理演算装置と記憶装置と警報を出力するか判断する処理内容が記載されたプログラム等からなる構成が考えられる。
【0034】
ここで、設定された注目エリアと人の位置と警報出力条件に基づいて警報を出力する方法としては、設定された注目エリアと人の位置から位置関係を示す値(距離値や方向角)を算出する処理を行い、当該算出結果が警報出力条件を満たすか判断する処理を行うことが考えられる。なお、警報出力条件が実空間位置情報に基づいて規定されている場合は、熱画像の縮尺、視線角等に基づいて画素空間位置情報を実空間位置情報に変換する処理を行う。当該熱画像の縮尺や視線角等は予め内部記憶装置に保持する構成も可能であるが、熱画像中の特徴的な目印(サイズや形状が分かっている物体等)に基づいて算出する構成も可能である。
【0035】
注目エリアと人の位置が警報出力条件に該当すると判断される場合は、警報を出力するための制御命令を警報機器に対して送信する。なお、警報出力条件に応じて警報の種類を変更したり、制御命令を送信する警報機器を変更したりすることも可能である。また、設定により警報の態様を変更可能な構成とすることも考えられる。
【0036】
<具体的な構成>
図3は、本実施例の警報システムの機能的な各構成要素をハードウェアとして実現した際の具体的な構成の一例を示す概略図である。
【0037】
この図にあるように、警報システムは、「CPU」0301と、「RAM」0302と、「ROM」0303と、「熱画像センサ」0304と、「センサインターフェイス」0305と、「通信機器」0306と、「通信インターフェイス」0307と、「警報機器」0308と、「警報インターフェイス」0309とから構成される。上記の構成は、「システムバス」0310のデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0038】
CPUは、ROMに格納されているプログラムにより各構成を制御する。RAMは、CPUが各構成を制御する際に必要なデータの書き込みや読出しが行われ、揮発性メモリ等で構成される(以下、同様である)。
【0039】
CPUは、センサインターフェイスを介して熱画像カメラから設置空間内の温度分布を示す熱画像データを取得し、RAMに格納する。
【0040】
次にCPUは、ROMに格納されている人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0041】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された注目エリア設定プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データと温度条件を示すデータを利用して注目エリアを設定する処理を行う。具体的には、温度条件を満たす熱画像領域を検索する処理を行い、温度条件を満たす領域に属する各画素の座標情報を取得して注目エリアを構成するデータとしてRAMに格納する処理を行う。
【0042】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された人位置取得プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データを利用して人の位置を取得する処理を行う。具体的には、人の体温程度の温度になっており、かつ、典型的な人の形状(幅、高さ、比率、大きさ等)を示す領域を検索する処理を行い、該当する領域に属する各画素の座標情報を人の位置を示すデータとしてRAMに格納する処理を行う。
【0043】
次にCPUは、ROMに格納されている警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0044】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された警報出力判断プログラムを実行し、RAMに格納された注目エリアを示すデータと人の位置を示すデータと警報出力条件を示すデータを利用して警報を出力するか判断する処理を行う。具体的には、注目エリアを示すデータと人の位置を示すデータから注目エリアと人との位置関係を示すデータを算出する処理を行い、当該算出結果が警報出力条件を満たすか判断する処理を行う。
【0045】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された警報出力プログラムを実行し、警報出力判断プログラムの実行結果が警報出力条件を満たすとの判断結果である場合は、警報を出力するための制御命令を警報機器に対して送信する処理を行う。制御命令を受信した警報機器は、制御命令に応じた警報を出力する処理を行う。
【0046】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。図4は、本実施例の処理の流れの概要を示す図である。
【0047】
まずステップS0401において、熱画像カメラによって設置空間内の温度分布を取得する(温度分布取得ステップ)。
【0048】
次にステップS0402において、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件と取得された温度分布から注目エリアを設定する(注目エリア設定ステップ)。
【0049】
次にステップ0403において、注目エリア設定ステップにて一以上の注目エリアが設定されたか判断する(注目エリア存在判断ステップ)。ここでの判断が一以上の注目エリアが設定されたとの判断である場合は、ステップS0404に進む。ここでの判断が一以上の注目エリアが設定されていないとの判断である場合は、ステップS0408に進む。
【0050】
次にステップS0404において、取得された温度分布から人の位置を取得する(人位置取得ステップ)。
【0051】
次にステップS0405において、人位置取得ステップにて一以上の人の位置が取得されたか判断する(人存在判断ステップ)。ここでの判断が、一以上の人の位置が取得できたとの判断である場合は、ステップS0406に進む。ここでの判断が、一以上の人の位置が取得できなかったとの判断である場合は、ステップS0408に進む。
【0052】
次にステップS0406において、警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件と設定された注目エリアと人の位置に基づいて警報を出力するか判断する(警報出力判断ステップ)。ここでの判断が警報を出力するとの判断である場合は、ステップS0407に進む。ここでの判断が警報を出力しないとの判断である場合は、ステップS0408に進む。
【0053】
次にステップS0407において、警報を出力する(警報出力ステップ)。
【0054】
次にステップS0408において、処理を終了するか判断する(処理終了判断ステップ)。ここでの判断が処理を終了するとの判断である場合は、処理を終了する。ここでの判断が処理を終了しないとの判断である場合は、ステップS0401に戻る。
【0055】
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【実施例2】
【0056】
<概要>
本実施例の警報システムは、熱画像カメラによって取得される設置空間内の温度分布から所定の温度以上となる(又は所定の温度以下となる)注目エリアを設定し、人が注目エリアに対して所定の範囲まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、例えば、高温の物体などが上記設置空間内に入ってきた場合などにおいてもダイナミックに注目エリアを設定し、人が誤って近づきすぎないように適宜警報出力することが可能になる。
【0057】
<構成>
図5は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0500は、「温度分布取得部」0501と、「温度条件格納部」0502と、「注目エリア設定部」0503と、「人位置取得部」0504と、「警報出力条件格納部」0505と、「警報出力判断部」0506と、から構成され、温度条件格納部は「第一格納手段」0507を有する。以下、実施例1との相違点である第一格納手段について説明する。
【0058】
「第一格納手段」は、温度条件として所定の温度以下であること又は所定の温度以上であることを格納する機能を有する。ここで、温度条件として所定の温度未満とすること又は所定の温度より大きくすることは上記条件と同等である。また、温度条件として所定の温度範囲ではないとすることも上記条件と同等である。
【0059】
上記のような条件とすることにより、注目エリア設定部は、熱画像の任意の領域が所定の温度以下となっている場合又は所定の温度以上となっている場合に、当該領域を注目エリアとして設定する。
【0060】
なお、注目エリア設定部は、所定の温度以上となる注目エリアを、その温度範囲に応じてさらに分類して設定する手段(分類設定手段)を有する構成とすることも可能である。例えば、図6に示すように、所定の温度以上で、かつ、第一温度未満の温度範囲である場合は、「第一レベル注目エリア」0601と設定し、第一温度以上で、かつ、第二温度未満の温度範囲である場合は、「第二レベル注目エリア」0602と設定し、第二温度以上の温度範囲である場合は、「第三レベル注目エリア」0602と設定することなどが考えられる。なお、温度条件として所定の温度以下であることとした場合も同様の構成が可能である。
【0061】
また、第一格納手段に格納された温度条件の基準となる所定の温度を段階的に調整可能な手段(第一温度条件調整部)を設けることも可能である。例えば、設置空間内に第一の基準温度以上である領域を設定した後に(又は該当領域が見つからなかった場合に)、第一の基準温度よりも低い第二の基準温度を設定し、さらに第二の基準温度以上である領域を設定した後に(又は該当領域が見つからない場合に)、第二の基準温度よりも低い第三の基準温度を設定する、といったよう温度条件の基準となる所定の温度を段階的に調整することが考えられる。当該構成とすることにより、複数の温度条件を保持することなく段階的に注目すべきエリアを設定することが可能になる。
【0062】
<具体的な構成>
本実施例の警報システムの具体的な構成は、図3で示した実施例1の警報システムの具体的な構成と同様である。ただし、所定の温度以下であること又は所定の温度以上であることを温度条件としてROMに保持している(第一温度条件情報)。以下、実施例1と相違点である温度条件に関連する処理について説明する。
【0063】
CPUは、ROMに格納されている人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件(所定の温度以下であること又は所定の温度以上であること)を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0064】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された注目エリア設定プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データと温度条件を示すデータを利用して注目エリアを設定する処理を行う。具体的には、所定の温度以上になる熱画像領域(又は所定の温度以下になる熱画像領域)を検索する処理を行い、所定の温度以上になる熱画像領域(又は所定の温度以下になる熱画像領域)に属する各画素の座標情報を取得して注目エリアを構成するデータとしてRAMの所定のアドレスに格納する処理を行う。
【0065】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。なお、警報方法の処理の流れは図4で示した実施例1の処理の流れと同様である。ただし、注目エリア設定ステップにおいて、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件として、所定の温度以下であること又は所定の温度以上であることを利用することを特徴とする。
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【実施例3】
【0066】
<概要>
本実施例の警報システムは、熱画像カメラによって取得される設置空間内の温度分布から、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上となる(又は所定の値以下となる)注目エリアを設定し、人が注目エリアに対して所定の範囲まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、例えば、温度の時間当たりの変化値が大きく変化している領域をダイナミックに注目エリアとして設定し、人が誤って近づきすぎないように適宜警報出力することが可能になる。
【0067】
<構成>
図7は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0700は、「温度分布取得部」0701と、「温度条件格納部」0702と、「注目エリア設定部」0703と、「人位置取得部」0704と、「警報出力条件格納部」0705と、「警報出力判断部」0706と、から構成され、温度条件格納部は「第二格納手段」0707を有する。以下、実施例1との相違点である第二格納手段について説明する。
【0068】
「第二格納手段」は、温度条件として温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納する機能を有する。ここで、温度条件として温度の時間当たりの変化値が所定の値よりも大きいこと又は所定の値未満であることは、上記条件と同様である。また、温度条件として温度の時間当たりの変化値が所定の範囲ではないこととすることも上記条件と同等である。また、温度の時間当たりの変化値は、単位時間当たりの変化値とすることも可能であるし、所定の時間当たりの変化値とすることも可能である。
【0069】
温度条件を上記のような条件とすることにより、注目エリア設定部は、熱画像の任意の領域の温度の時間あたりの変化が所定の値以上となっている場合又は所定の値以下となっている場合は、当該領域を注目エリアとして設定する。
【0070】
なお、注目エリア設定部は、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上となる注目エリアを、その変化の程度に応じてさらに分類して設定する手段(第二分類設定手段)を有する構成とすることも可能である。例えば、温度の単位時間当たりの変化値が所定の値以上で、かつ、第一変化値未満の変化である場合は、第一レベル注目エリアと設定し、第一変化値以上で、かつ、第二変化値未満の変化である場合は、第二レベル注目エリアと設定し、第二変化値以上の変化である場合は、第三レベル注目エリアと設定することなどが考えられる。なお、温度条件として温度の時間当たりの変化値が所定の値以下であることとした場合も同様の構成が可能である。
【0071】
<具体的な構成>
本実施例の警報システムの具体的な構成は、図3で示した実施例1の警報システムの具体的な構成と同様である。ただし、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを温度条件として長期記憶装置に保持している(第二温度条件情報)。以下、実施例1と相違点である温度条件に関連する処理について説明する。
【0072】
CPUは、ROMに格納されている人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件(温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること)を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0073】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された注目エリア設定プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データと温度条件を示すデータを利用して注目エリアを設定する処理を行う。具体的には、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上になる熱画像領域(又は温度の時間当たりの変化値が所定の値以下になる熱画像領域)を検索する処理を行い、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上になる熱画像領域(又は温度の時間当たりの変化値が所定の値以下になる熱画像領域)に属する各画素の座標情報を取得して注目エリアを構成するデータとしてRAMの所定のアドレスに格納する処理を行う。
【0074】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。なお、警報方法の処理の流れは図4で示した実施例1の処理の流れと同様である。ただし、注目エリア設定ステップにおいて、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件として、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを特徴とする。
【0075】
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【実施例4】
【0076】
<概要>
本実施例の警報システムは、熱画像カメラによって取得される設置空間内の温度分布から、温度の変化値が所定の値以上となる(又は所定の値以下となる)注目エリアを設定し、人が注目エリアに対して所定の範囲まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、例えば、温度の変化値が大きく変化している領域についてダイナミックに注目エリアとして設定し、人が誤って近づきすぎないように適宜警報出力することが可能になる。
【0077】
<構成>
図8は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0800は、「温度分布取得部」0801と、「温度条件格納部」0802と、「注目エリア設定部」0803と、「人位置取得部」0804と、「警報出力条件格納部」0805と、「警報出力判断部」0806と、から構成され、温度条件格納部は「第三格納手段」0807を有する。以下、実施例1との相違点である第三格納手段について説明する。
【0078】
「第三格納手段」は、温度条件として温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納する機能を有する。ここで、温度条件として温度の変化値が所定の値よりも大きいこと又は所定の値未満であることは、上記条件と同様である。また、温度条件として温度の変化値が所定の範囲ではないこととすることも上記条件と同等である。
【0079】
温度条件を上記のような条件とすることにより、注目エリア設定部は、熱画像の任意の領域の温度の変化値が所定の値以上となっている場合又は所定の値以下となっている場合に、当該領域を注目エリアとして設定する。実施例2で説明した第二格納手段に格納される温度条件との違いは、時間の長さに関係なく、温度の変化値が所定の値以上となったこと又は所定の値以下となったことを条件としている点である。つまり、比較的長い時間を経て異常温度状態に移行する物体等を検知することが可能になる。
【0080】
なお、注目エリア設定部は、温度の変化値が所定の値以上となる注目エリアを、その変化値の程度に応じてさらに分類して設定する手段(第三分類設定手段)を有する構成とすることも可能である。例えば、温度の変化値が所定の値以上で、かつ、第一変化値未満の変化である場合は、第一レベル注目エリアと設定し、第一変化値以上で、かつ、第二変化値未満の変化である場合は、第二レベル注目エリアと設定し、第二変化値以上の変化である場合は、第三レベル注目エリアと設定することなどが考えられる。なお、温度条件として温度の変化値が所定の値以下であることとした場合も同様の構成が可能である。
【0081】
<具体的な構成>
本実施例の警報システムの具体的な構成は、図3で示した実施例1の警報システムの具体的な構成と同様である。ただし、温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを温度条件として長期記憶装置に保持している(第三温度条件情報)。以下、実施例1と相違点である温度条件に関連する処理について説明する。
【0082】
CPUは、ROMに格納されている人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件(温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること)を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0083】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された注目エリア設定プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データと温度条件を示すデータを利用して注目エリアを設定する処理を行う。具体的には、温度の変化値が所定の値以上になる熱画像領域(又は温度の変化値が所定の値以下になる熱画像領域)を検索する処理を行い、温度の変化値が所定の値以上になる熱画像領域(又は温度の変化値が所定の値以下になる熱画像領域)に属する各画素の座標情報を取得して注目エリアを構成するデータとしてRAMの所定のアドレスに格納する処理を行う。
【0084】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。なお、警報方法の処理の流れは図4で示した実施例1の処理の流れと同様である。ただし、注目エリア設定ステップにおいて、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件として、温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを特徴とする。
【0085】
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【実施例5】
【0086】
<概要>
本実施例の警報システムは、熱画像カメラによって取得される設置空間内の温度分布から、所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上となる(又は所定の値以下となる)注目エリアを設定し、人が注目エリアに対して所定の範囲まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、例えば、高温の領域が広がってきた場合においてダイナミックに注目エリアを設定して、人が誤って近づきすぎないように適宜警報出力することが可能になる。
【0087】
<構成>
図9は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」0900は、「温度分布取得部」0901と、「温度条件格納部」0902と、「注目エリア設定部」0903と、「人位置取得部」0904と、「警報出力条件格納部」0905と、「警報出力判断部」0906と、から構成され、温度条件格納部は「第四格納手段」0907を有する。以下、実施例1との相違点である第四格納手段について説明する。
【0088】
「第四格納手段」は、温度条件として所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納する機能を有する。ここで、温度条件として所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値よりも大きいこと又は所定の値未満であることは上記条件と同等である。また、温度条件として所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の範囲の値ではないことも上記条件と同等である。
【0089】
温度条件を上記のような条件とすることにより、注目エリア設定部は、熱画像の任意の領域において所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上となっている場合又は所定の値以下となっている場合に、当該任意の領域を注目エリアとして設定する。
【0090】
ここで、所定の条件としては、実施例2から4で述べた温度条件のように、所定の温度以下であること又は所定の温度以上であること、温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること、温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であること、とすることが考えられる。
【0091】
また、その他に、所定の条件として、温度分布の一様性が所定レベル以上であること又は所定レベル以下であること、温度分布の等方性が所定レベル以上であること又は所定レベル以下であること、特定方向(又は任意方向)の温度勾配が一定値以上であること又は一定値以下であること、とすることも考えられる。
【0092】
温度領域の大きさは、熱画像中の画素数と熱画像の縮尺等に基づいて取得することが可能である。また、熱画像の縮尺が固定されている場合は、単に画素数のみに基づいて温度領域の大きさを判断することも可能である。具体的には、任意の領域において所定の条件を満たす画素の数を取得し、総画素数が所定の数以上である場合は、上記任意の領域に属する各画素の座標情報を注目エリアを構成するデータとして記憶領域に保持することが考えられる。
【0093】
<具体的な構成>
本実施例の警報システムの具体的な構成は、図3で示した実施例1の警報システムの具体的な構成と同様である。ただし、所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であることを温度条件として長期記憶装置に保持している(第四温度条件情報)。実施例1と相違点である温度条件に関連する処理について説明する。
【0094】
CPUは、ROMに格納されている人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件(所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であること)を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0095】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された注目エリア設定プログラムを実行し、RAMに格納された温度分布を示す熱画像データと温度条件を示すデータを利用して注目エリアを設定する処理を行う。具体的には、所定の条件(例えば、所定の温度以上であること)を満たす温度領域の大きさが所定の値以上になる熱画像領域(又は所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以下になる熱画像領域)を検索する処理を行い、所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上になる熱画像領域(又は所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以下になる熱画像領域)に属する各画素の座標情報を取得して注目エリアを構成するデータとしてRAMの所定のアドレスに格納する処理を行う。
【0096】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。なお、警報方法の処理の流れは図4で示した実施例1の処理の流れと同様である。ただし、注目エリア設定ステップにおいて、所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であることを特徴とする。
【0097】
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、人が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【実施例6】
【0098】
<概要>
図10は、本実施例の警報システムの概要を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」1000は、「熱画像カメラ」1001によって取得される設置空間内の温度分布から、所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上となる(又は所定の値以下となる)「注目エリア」1002を設定し、識別条件を満たす識別情報(ID)を有する人が注目エリアに対して「所定の範囲」1003まで近づいた場合にその人に対して警報を出力する構成を有する。当該構成により、例えば、高温の物体などが上記設置空間内に入ってきた場合などにおいてダイナミックに注目エリアを設定し、管理者などではない人が誤って近づきすぎないように適宜警報出力することが可能になる。
【0099】
<構成>
図11は、本実施例の警報システムの構成を示す図である。この図にあるように、本実施例の「警報システム」1100は、「温度分布取得部」1101と、「温度条件格納部」1102と、「注目エリア設定部」1103と、「人位置取得部」1104と、「警報出力条件格納部」1105と、「警報出力判断部」1106と、「紐付部」1107と、「同一性認識部」1108と、「識別条件格納部」1109と、から構成され、「警報出力判断部」は、「人別警報出力判断手段」1110を有する。以下、実施例1との相違点である、「紐付部」と、「同一性認識部」と、「識別条件格納部」と、「人別警報出力判断手段」について説明する。
【0100】
「紐付部」は、設置空間内にて人が保持している識別情報とその人の熱パターンとを紐付けて取得する機能を有する。紐付部の具体例としては、所定の処理演算を実行可能な処理演算装置と記憶装置と上記紐付けをする処理内容が記載されたプログラム等からなる構成が考えられる。
【0101】
ここで、設置空間内にて人が保持している識別情報は、例えば設置空間の入口付近のICタグリーダにて読み取られるICタグ(ICカードや携帯電話等に格納されているものも含む)の情報や、入口付近の操作入力機器にて受付けるID情報、マイクからの音声入力に基づく人の特定情報や、指紋センサや静脈センサ、網膜センサに基づく人の特定情報なども含まれるものである。つまり、人が保持している識別情報とは、人が保持している物の識別情報の他に、人自身が生体情報として保持している識別情報も含まれる。
【0102】
また、人の熱パターンとは、熱画像においてその人が示す熱分布をいうものである。設置空間内にて人が保持している識別情報とその人の熱パターンとを紐付けて取得する方法としては、例えば人が保持している識別情報の取得が特定場所(入口付近等)にて行われる場合は、当該特定場所の熱画像を取得し、熱画像に写り込んだ人の熱パターンと識別情報を関連付けて記憶装置に保持することが考えられる。
【0103】
「同一性認識部」は、人位置取得部にて連続的に位置が取得される人の熱パターンから立止り又は移動する人の同一性を認識する機能を有する。同一性認識部の具体例としては、所定の処理演算を実行可能な処理演算装置と記憶装置と上記同一性を認識するための処理内容が記載されたプログラム等からなる構成が考えられる。
【0104】
連続的に位置が取得される人の熱パターンから立ち止まり又は移動する人の同一性を認識する方法としては、連続する複数のフレームにおいて連続的な画素座標の位置に相関の高い熱分布が検出されるか否か判定することが考えられる。
【0105】
ここで、識別情報との紐付けが行われている過去のフレームにおける人(過去の同一人物)との同一性が認識された場合、現時点でのフレームにおける人に対しても識別情報を紐付けることが可能になる。このように紐付け処理を人位置取得部及び同一性認識部の処理と合わせて連続的に行うことにより、人位置取得部によりその時点での位置が取得される人の識別情報を取得することが可能になる。
【0106】
「識別条件格納部」は、警報を出力し又は出力しないなどのために識別情報が満たすべき条件である識別条件を格納する機能を有する。識別条件格納部の具体例としては、データを長期的に蓄積可能な記憶装置(ROMやハードディスク等)が主として考えられる。
【0107】
ここで、識別条件としては、警報を出力する又は出力しない対象の識別情報のリストを保持しておき、当該リストに識別情報のデータが存在する又は存在しないことを条件とすることが考えられる。例えば、特定の関係者(管理者等)については警報を出力する対象から外し、それ以外の対象については警報を出力する、といった構成が可能である。
【0108】
また、識別条件の他の例としては、設置空間内に入った回数が所定回数以内であること又は所定回数以上であることや、設置空間内に入った時点から所定時間以上経過していること又は所定時間以上経過していないこと、なども考えられる。
【0109】
「人別警報出力判断手段」は、人位置取得部によりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報又は人位置取得部によりその時点での位置が取得される人との同一性が認識される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報と識別条件にも基づいて警報を出力するか判断する機能を有する。
【0110】
つまり、警報出力判断部は、設定された注目エリアと人の位置と、警報出力条件と、設置空間内にて人が保持している識別情報と、識別情報が満たすべき条件である識別条件に基づいて警報を出力するか判断する機能を有する。
【0111】
判断に用いる識別情報は、人位置取得部によりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対して紐付部により既に識別情報との紐付け処理が行われている場合は、その識別情報を取得する。また、人位置取得部によりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対してまだ識別情報との紐付け処理が行われていない場合は、同一性認識部により同一性が認識され、かつ識別情報との紐付け処理が既に行われた人(過去の熱画像フレームにおける同一人物)の熱パターンに紐付けられた識別情報を取得する。
【0112】
上記識別情報と識別条件にも基づいて警報を出力する方法としては、識別情報と識別条件に基づいて設置空間内の人が警報出力の対象となる人物であるか否かを判断し、警報出力の対象となる人物であると判断される場合は警報出力の対象であることを示すフラッグを立て、警報出力の対象となる人物ではないと判断される場合は警報出力の対象であることを示すフラッグを立てない、といった処理を行うことが考えられる。当該フラッグの情報は、同一性認識部の処理により以後のフレームにおける同一人物に対する情報として引き継ぐことが可能である。
【0113】
<具体的な構成>
本実施例の警報システムの具体的な構成は、図3で示した実施例1の警報システムの具体的な構成と同様である。以下、実施例1と相違点である紐付処理、同一性認識処理、警報出力判断処理について説明する。
【0114】
CPUは、ROMからRAMに読み出された紐付プログラムを実行し、通信インターフェイスを介して識別情報取得装置(ICタグリーダ等)から設置空間内にて人が保持している識別情報を示すデータを取得し、RAMに格納する。さらに、識別情報を取得した時点における人の熱パターンを含む熱画像のデータをセンサインターフェイスを介して熱画像カメラから取得し、識別情報のデータと関連付けてRAMに格納する。
【0115】
さらに、CPUは、ROMからRAMに読み出された同一性認識プログラムを実行し、人位置取得プログラムにて連続的に位置が取得される人の熱パターンから立止り又は移動する人の同一性を認識する処理を行う。具体的には、連続するフレームにおいて連続的な画素位置に相関の高い人の熱パターンが検出されるか否か判定し(例えば、温度の大きさや分布の幅の値が近いか否か判定する)、相関性が高い人の熱パターンが連続する熱画像のフレームにおいて検出された場合は当該相関性の高い人の熱パターンについて同一識別子を付与する処理を行う。
【0116】
次にCPUは、ROMに格納されている警報を出力し又は出力しないなどのために識別情報が満たすべき条件である識別条件を示すデータをRAMに読み出す処理を行う。
【0117】
次にCPUは、ROMからRAMに読み出された警報出力判断プログラムの人別警報出力判断ルーチンを実行し、人位置取得プログラムによりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報のデータを取得する処理を行う。ここで、識別情報のデータが取得できない場合は、その時点での位置が取得される人との同一性が認識される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報のデータを取得する処理を行う。さらに、CPUは、識別情報のデータと識別条件のデータに基づいて設置空間内の人が警報出力の対象となる人物であるか否かを判断する処理を行い、警報出力の対象となる人物であると判断される場合は警報出力の対象であることを示すフラッグを立てる処理を行う。以後の処理は、実施例1で説明した警報出力判断プログラムの処理と同様である。
【0118】
<方法の発明>
本実施例の上記発明は、警報方法の発明として捉えることが可能である。図12は、本実施例の処理の流れの概要を示す図である。
【0119】
まずステップS1201において、熱画像カメラによって設置空間内の温度分布を取得する(温度分布取得ステップ)。
【0120】
次にステップS1202において、人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件と取得された温度分布から注目エリアを設定する(注目エリア設定ステップ)。
【0121】
次にステップ1203において、注目エリア設定ステップにて一以上の注目エリアが設定されたか判断する(注目エリア存在判断ステップ)。ここでの判断が一以上の注目エリアが設定されたとの判断である場合は、ステップS1204に進む。ここでの判断が一以上の注目エリアが設定されていないとの判断である場合は、ステップS1211に進む。
【0122】
次にステップS1204において、取得された温度分布から人の位置を取得する(人位置取得ステップ)。
【0123】
次にステップS1205において、人位置取得ステップにて一以上の人の位置が取得されたか判断する(人存在判断ステップ)。ここでの判断が、一以上の人の位置が取得できたとの判断である場合は、ステップS1206に進む。ここでの判断が、一以上の人の位置が取得できなかったとの判断である場合は、ステップS1211に進む。
【0124】
次にステップS1206において、人位置取得ステップにて連続的に位置が取得される人の熱パターンから立止り又は移動する人の同一性を認識する(同一性認識ステップ)。
【0125】
次にステップS1207において、人位置取得ステップによりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報又は人位置取得ステップによりその時点での位置が取得される人との同一性が同一性認識ステップにて認識される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報を取得する(識別情報取得ステップ)。なお、この図では記載していないが、設置空間内にてその人が保持している識別情報とその人の熱パターンとを同期的に取得可能なタイミングにおいて、その人の識別情報と熱パターンとを紐付けて取得する(紐付ステップ)。
【0126】
次にステップS1208において、識別情報取得ステップにて取得した識別情報と識別条件に基づいて識別情報を取得した人が警報を出力する対象であるか否か判断する(人別警報出力判断ステップ)。ここでの判断が、警報を出力する対象であるとの判断である場合はステップS1209に進む。ここでの判断が、警報を出力する対象ではないとの判断である場合はステップS1211に進む。
【0127】
次にステップS1209において、警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件と設定された注目エリアと人の位置に基づいて警報を出力するか判断する(警報出力判断ステップ)。ここでの判断が警報を出力するとの判断である場合は、ステップS1210に進む。ここでの判断が警報を出力しないとの判断である場合は、ステップS1211に進む。
【0128】
次にステップS1210において、警報を出力する(警報出力ステップ)。
【0129】
次にステップS1211において、処理を終了するか判断する(処理終了判断ステップ)。ここでの判断が処理を終了するとの判断である場合は、処理を終了する。ここでの判断が処理を終了しないとの判断である場合は、ステップS1201に戻る。
【0130】
<効果>
本実施例の発明により、特定の温度条件を満たす領域をダイナミックに設定して、管理者以外の人等が近づいたことを検知して警報出力することが可能になる。
【符号の説明】
【0131】
0200…警報システム、0201…温度分布取得部、0202…温度条件格納部、0203…注目エリア設定部、0204…人位置取得部、0205…警報出力条件格納部、0206…警報出力判断部、0301…CPU、0302…RAM、0303…ROM、0304…センサインターフェイス、0305…熱画像センサ、0306…通信機器、0307…通信インターフェイス、0308…警報機器、0309…警報インターフェイス、0507…第一格納手段、0707…第二格納手段、0807…第三格納手段、0907…第四格納手段、1107…紐付部、1108…同一性認識部、1109…識別条件格納部、1110…人別警報出力判断手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱画像カメラによって設置空間内の温度分布を取得する温度分布取得部と、
人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件を格納した温度条件格納部と、
取得された温度分布と温度条件から注目エリアを設定する注目エリア設定部と、
取得された温度分布から人の位置を取得する人位置取得部と、
警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件を格納する警報出力条件格納部と、
設定された注目エリアと人の位置と警報出力条件に基づいて警報を出力するか判断する警報出力判断部と、
からなる警報システム。
【請求項2】
温度条件格納部は、温度条件として所定の温度以下であること又は所定の温度以上であることを格納した第一格納手段を有する請求項1に記載の警報システム。
【請求項3】
温度条件格納部は、温度条件として温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納した第二格納手段を有する請求項1又は2に記載の警報システム。
【請求項4】
温度条件格納部は、温度条件として温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納した第三格納手段を有する請求項1又は2に記載の警報システム。
【請求項5】
温度条件格納部は、温度条件として所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納した第四格納手段を有する請求項1から4のいずれか一に記載の警報システム。
【請求項6】
設置空間内にて人が保持している識別情報とその人の熱パターンとを紐付けて取得する紐付部と、
人位置取得部にて連続的に位置が取得される人の熱パターンから立止り又は移動する人の同一性を認識する同一性認識部と、
警報を出力し又は出力しないなどのために識別情報が満たすべき条件である識別条件を格納する識別条件格納部と、
を有し、
警報出力判断部は、人位置取得部によりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報又は人位置取得部によりその時点での位置が取得される人との同一性が認識される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報と識別条件にも基づいて警報を出力するか判断する人別警報出力判断手段を有する請求項1から5のいずれか一に記載の警報システム。
【請求項1】
熱画像カメラによって設置空間内の温度分布を取得する温度分布取得部と、
人との位置関係で警報を出力するための注目エリアが満たすべき温度条件を格納した温度条件格納部と、
取得された温度分布と温度条件から注目エリアを設定する注目エリア設定部と、
取得された温度分布から人の位置を取得する人位置取得部と、
警報の出力可否を判断するための注目エリアと人との位置関係を含む警報出力条件を格納する警報出力条件格納部と、
設定された注目エリアと人の位置と警報出力条件に基づいて警報を出力するか判断する警報出力判断部と、
からなる警報システム。
【請求項2】
温度条件格納部は、温度条件として所定の温度以下であること又は所定の温度以上であることを格納した第一格納手段を有する請求項1に記載の警報システム。
【請求項3】
温度条件格納部は、温度条件として温度の時間当たりの変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納した第二格納手段を有する請求項1又は2に記載の警報システム。
【請求項4】
温度条件格納部は、温度条件として温度の変化値が所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納した第三格納手段を有する請求項1又は2に記載の警報システム。
【請求項5】
温度条件格納部は、温度条件として所定の条件を満たす温度領域の大きさが所定の値以上であること又は所定の値以下であることを格納した第四格納手段を有する請求項1から4のいずれか一に記載の警報システム。
【請求項6】
設置空間内にて人が保持している識別情報とその人の熱パターンとを紐付けて取得する紐付部と、
人位置取得部にて連続的に位置が取得される人の熱パターンから立止り又は移動する人の同一性を認識する同一性認識部と、
警報を出力し又は出力しないなどのために識別情報が満たすべき条件である識別条件を格納する識別条件格納部と、
を有し、
警報出力判断部は、人位置取得部によりその時点での位置が取得される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報又は人位置取得部によりその時点での位置が取得される人との同一性が認識される人の熱パターンに対して紐付けられた識別情報と識別条件にも基づいて警報を出力するか判断する人別警報出力判断手段を有する請求項1から5のいずれか一に記載の警報システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−43069(P2012−43069A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181865(P2010−181865)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000133526)株式会社チノー (113)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000133526)株式会社チノー (113)
【Fターム(参考)】
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