説明

護岸の補強工法及びそれに用いられるグラウト材

【課題】護岸の捨石層全体を均一にグラウト材で補強することが出来て、当該捨石層が海水に浸漬していても、注入されたグラウト材が分離して海中に溶け出してしまうことがない護岸の補強工法及びそれに用いられるグラウト材の提供。
【解決手段】1m当たり、セメント系固化材を200kg〜450kg、フライアッシュを200kg〜450kg、増粘剤を23.4kg〜70kg、水を600kg〜850kg包含しており、そのフロー値は200mm〜500mmであるグラウト材を、透水係数が1×10cm/sec〜1×10cm/secである捨石層に注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設護岸や捨石護岸の地盤補強(例えば液状化防止)のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図3で示す捨石護岸10において、その陸地側(図3では右側)における符合BGの領域は埋立地である。
地震の際に、埋立地BGが液状化してしまう恐れが存在する。埋立地BGの液状化を防止するために、地盤補強をする必要がある。
図3で示す捨石護岸10については、地盤補強としては、捨石層16にグラウト材を注入するのが一般的である。
【0003】
ここで、図3において捨石層16にグラウト材を注入すると、従来のグラウト材では下方にのみ浸透するため、捨石層16の下方にのみグラウト材が注入されてしまっていた。そのため、捨石層16全体を均一にグラウト材で補強することが困難であり、地震の際に埋立地BG(図3)が液状化してしまうことを、十分に防止することが出来なかった。
これに対して、グラウト材が、三次元の全方向に均一に注入される、換言すれば、グラウト材注入領域が三次元的に均等になる様に(球状になる様に)注入されれば、捨石層16全体を均一にグラウト材で補強することが可能となり、地盤補強として好適である。
しかし、捨石層16内で、注入領域が三次元的に均等になる様に(球状になる様に)グラウト材を注入することは、従来技術では困難であった。
【0004】
また、図8で示す様に、海中(図8の符号S)に設置されており、捨石からなる構造物50において、地盤補強のために構造物50中にグラウト材を注入しても、海水の流れStにより、構造物50に注入されたグラウト材が分離して、矢印gtで示す様に海中に溶け出してしまう恐れがあった。
そして、グラウト材が分離して、海中に溶け出してしまうと、深刻な環境汚染の問題が生じる。
【0005】
その他の従来技術として、グラウト材の水中打設に用いられ、水中不分離性を有するグラウト材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、係るグラウト材を捨石護岸の液状化防止工法に使用した場合には、捨石層内に注入された際に、三次元の全方向に均一に注入される(或いは、グラウト材注入領域が球状になる様に注入される)か否かは不明である。
従って、捨石層を全領域に亘って均等に補強することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−126506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、護岸の捨石層全体を均一にグラウト材で補強することが出来て、当該捨石層が海水に浸漬していても、注入されたグラウト材が分離して海中に溶け出してしまうことがない護岸の補強工法及びそれに用いられるグラウト材の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の護岸の補強工法は、護岸の捨石層(16)にグラウト材(LG:薬液)を注入する工程を備え、
当該グラウト材(LG)は、1m当たり、セメント系固化材(例えば、早強ポルトランドセメント、高炉セメント)を200kg〜450kg、フライアッシュを200kg〜450kg、増粘剤を23.4kg〜70kg、水(海水を含む)を600kg〜850kg包含しており、そのフロー値は200mm〜500mmであり、
前記捨石層(16)の透水係数は1×10cm/sec〜1×10cm/secであることを特徴としている。
【0009】
本発明において、前記グラウト材(LG)を注入する工程では、捨石層(16)の海(S)側表面と端部(いわゆる妻部:図3〜図7で紙面に垂直な方向の端部)の近傍に三次元方向に均等に拡散する様に(球状に)グラウト材を注入する工程と、捨石層(16)の海(S)側表面と端部の近傍にグラウト材を注入した後に、捨石層(16)の内側の領域(未だにグラウト材が注入されていない領域)にグラウト材を注入する工程を行うのが好ましい。
【0010】
また、本発明のグラウト材(LG)は、1m当たり、セメント系固化材(例えば、早強ポルトランドセメント、高炉セメント)を200kg〜450kg、フライアッシュを200kg〜450kg、増粘剤を23.4kg〜70kg、水(海水を含む)を600kg〜850kg包含しており、そのフロー値は200mm〜500mmである。
【0011】
本発明において、前記グラウト材(LG)は、硬化調整剤を(例えば、グラウト材1m当たり5kg)包含することが出来る。
【発明の効果】
【0012】
上述する構成を具備する本発明のグラウト材によれば、
水中不分離性が高い、
安定した流動性を具備する、
ホモゲルの状態で流水に流されない、
注入された際に、薬液注入範囲が三次元的に均等になる(球状になる)、
固化後に所定以上の強度(一軸圧縮強度:例えば、100kN/m以上)を持つ、
海水により練ることが可能、
という条件を、全て充足することが出来る。
【0013】
その結果、本発明の護岸の補強工法では、グラウト材(LG)が注入された際に薬液注入範囲が三次元的に均等になる(球状になる)ため、捨石層(16)を全領域に亘って均等に補強することが出来る。
また、注入されたグラウト材(LG)が、水中不分離性が高く、ホモゲルの状態で流水に流されない性質を有しているため、海の環境をグラウト材(LG)によって汚染してしまうことが防止される。
【0014】
さらに、本発明の工法で使用されるグラウト材が、安定した流動性を具備しているので、通常のグラウトポンプを用いて施工することが出来る。
そして本発明の工法では、注入されたグラウト材が固化後に所定以上の強度(一軸圧縮強度:例えば、100kN/m以上)を発揮するので、捨石層が補強され、埋立地(BG)の地盤補強をすることが出来る。
これに加えて、本発明の工法で使用されるグラウト材は、施工現場である海岸でグラウト材を練り上げる際に、海水を用いることが出来るので、水分の供給の心配がない。
【0015】
本発明の護岸の補強工法において、前記グラウト材(LG)を注入する工程において、先ず捨石層(16)の海(S)側表面と端部(いわゆる妻部:図3〜図7で紙面に垂直な方向の端部)(の近傍)に三次元方向に均等に拡散する様に(球状に)グラウト材を注入し、その後、捨石層(16)の内側の領域(未だにグラウト材が注入されていない領域)にグラウト材を注入すれば、グラウト材が三次元方向に均等に拡散している(グラウト材が浸透した球状の領域が存在する)ことにより、捨石層(16)の海(S)側表面と端部(いわゆる妻部:図3〜図7で紙面に垂直な方向の端部)は、水中不分離性が良好なグラウト材が三次元的に均等に拡散している(球状の)領域により被覆されることになる。
その結果、捨石層(16)の海(S)側表面と端部(いわゆる妻部:図3〜図7で紙面に垂直な方向の端部)の内側の領域は、水中不分離性が良好なグラウト材により海水からシールされることになり、海中にグラウト材(LG)が拡散してしまうことがない。
【0016】
そして、捨石層(16)の海(S)側表面と端部(いわゆる妻部:図3〜図7で紙面に垂直な方向の端部)の内側の領域を、水中不分離性が良好なグラウト材により海水からシールすることが出来るので、本発明によれば、当該内側の領域は既存のグラウト材により補強することが可能である。
勿論、当該内側の領域を、本発明に係るグラウト材により補強しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の原理を示す工程図である。
【図2】実施形態の原理を示す図であって、図1に続く工程を示す工程図である。
【図3】実施形態に係るグラウト材が注入される捨石護岸の構造を示す断面図である。
【図4】捨石層の海側表面に被覆層を構築した状態を示す説明図である。
【図5】図4の状態で、捨石層にグラウト材を注入する工程を示す説明図である。
【図6】図5で捨石層にグラウト材を注入する態様の一例を示す説明図である。
【図7】捨石層にグラウト材を注入する態様における図6とは別の例を示す説明図である。
【図8】従来技術において、構造物に注入されたグラウト材が海中に溶け出す態様を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に図1、図2を参照して、本発明の実施形態に係る補強工法の原理について、説明する。
図1において、捨石で構成された海中構造物50において、海Sに接する表面近傍の領域に、本発明の実施形態で使用されるグラウト材を注入する。詳細は後述するが、実施形態で使用されるグラウト材は、捨石内を三次元的に均等に(球状に)拡散して固化する作用を奏すると共に、水中(海中)において高い不分離性を発揮する。そのため、図1において符号LG−1で示すグラウト材が三次元的に均等に(球状に)浸透し、当該グラウト材LG−1(三次元的に均等に拡がったグラウト材)によって、海中構造物50の表面が被覆されれば、海中構造物50の内部(グラウト材LG−1の内側の領域)は、海Sに対してシールされたのと同様な状態になる。
【0019】
係る状態で、図2で示すように、海中構造物50の内部(グラウト材LG−1の内側の領域)にグラウト材LG−2を注入すれば、グラウト材LG−2が水中不分離性を有していなくても、海中構造物50の内部(グラウト材LG−1の内側の領域)はグラウト材LG−1により海Sに対して遮蔽されているので、海流Stにより、グラウト材LG−2が海S中に溶け出してしまうことが防止される。
そのため、実施形態の補強工法によれば、グラウト材の使用量を節約することができて、しかも、海Sを汚染してしまうことがない。
【0020】
次に、図3〜図7を参照して、本発明の実施形態を、捨石護岸の耐震工事としての薬液注入工法に適用した場合について説明する。換言すれば、図3〜図7は、図1、図2の構造物50に代えて、捨石護岸について適用された実施形態を示している。
図3は、薬液注入が行なわれる捨石護岸を示している。図3において、捨石護岸構造は全体を符号10で示されており、基礎部分12上に配置されている。そして、基礎部分12には、捨石層16が設けられている。
図3において、符合Sは海を示し、符号WLは海面を示し、符合BGは捨石護岸10の陸地を示している。ここで、陸地BGは、例えば埋立地である。
【0021】
先ず図4で示すように、捨石層16の海S側の表面(斜面)と、図3〜図7で紙面に垂直な方向の端部(いわゆる妻部)の近傍の領域に、三次元方向に均等に拡散する様に(球状に)、実施形態に係るグラウト材LG−1が注入される。
詳細を後述する様に、実施形態で使用されるグラウト材は、捨石層16内を三次元的に均等に(球状に)拡散して固化する。そして、高い水中(海中)不分離性を発揮する。
図4において、捨石層16の海S側の表面(斜面)と、図3〜図7で紙面に垂直な方向の端部(いわゆる妻部)の近傍の領域にグラウト材LG−1を注入するに際しては、従来公知の薬液注入技術が用いられる。
【0022】
図4で示すように、グラウト材LG−1が三次元的に均等に(球状に)浸透し、捨石層16の海S側の表面(斜面)と、図4の紙面に垂直な方向の端部(いわゆる妻部)表面を覆うことにより、捨石層16の内部(グラウト材LG−1の内側の領域:図4ではグラウト材LG−1の右下側の領域)は、海Sに対して遮断される。
図4で示す状態、すなわち、三次元的に均等に(球状に)浸透したグラウト材LG−1により捨石層16の内部が海Sに対して遮断されている状態になったならば、図5で示す様に、捨石層16の内部(グラウト材LG−1の内側の領域)に薬液(グラウト材)を注入する。
【0023】
薬液(グラウト材)を注入するため、例えば図5で示す様に、全体を符合30で示すグラウト材注入機構を陸地GLに設置する。
グラウト材注入機構30はグラウトミキサ32を備え、グラウトミキサ32により混連されたグラウト材(薬液)は、グラウトポンプ34を介して、薬液注入管36を介して、捨石層16内に注入される。
【0024】
図6は、捨石層16の内部に注入される薬液(グラウト材)LG−2が、既存のグラウト材(捨石層16内を三次元的に均等に拡散せず、高い水中(海中)不分離性を有していないグラウト材)である場合を示している。
図6において、グラウト材LG−2の注入は、従来技術と同様であり、薬液注入管36から注入されるグラウト材LG−2は、注入された箇所から下方へ浸透する。
【0025】
これに対して、後述する図示の実施形態で使用されるグラウト材が捨石層16の内部に注入される場合が、図7で示されている。
図7で示すように、グラウト材LG−2が捨石層16に注入される際に、薬液注入管36から、三次元的に(立体的に)均一に拡散する。その結果、捨石層16内でグラウト材注入領域が、三次元的に均等に(球状に)拡大する(グラウト材LG−2が球状に注入される)。
図7の場合には、グラウト材LG−2を、捨石層16内に均等に注入し易くなる。
【0026】
ここで、上述した捨石護岸10の捨石層16の地盤補強を行うに際して、使用される薬液(グラウト材)、すなわち図1〜図7のグラウト材LG−1及び図7のグラウト材LG−2としては、
水中不分離性が高い、
安定した流動性を具備する、
ホモゲルの状態で流水に流されない、
注入された際に、薬液注入範囲が三次元的に均一な範囲となる(球状になる)、
固化後に所定以上の強度(一軸圧縮強度:例えば、100kN/m以上)を持つ、
海水により練ることが可能、
という条件を充足する必要がある。
係る条件を充足する薬液(グラウト材)として、図示の実施形態では、表1及び表2で示す組成のグラウト材を使用した。換言すれば、第1実施例に係るグラウト材の組成が、表1及び表2で示されている。
【0027】
表1

【0028】
表2

【0029】
ここで、第1実施例に係るグラウト材は、2種類の流体(表1では「A液」、「B液」と表示)を、注入経路の途中で混合させて使用するタイプ(いわゆる「1.5ショット」)のグラウト材(薬液)である。
表1では当該2種類の流体(A液、B液)の組成が示されており、表2では当該2種類の流体(A液、B液)の各々の合計の重量及び容量を示している。
表1、表2において、増粘剤−1(第1の増粘剤)としては、アルキルアリルスルフォン酸塩を包含する増粘剤(例えば、商品名「ビスコトップ100AK」:花王株式会社製造)を用いている。
また、増粘剤−2(第2の増粘剤)としては、アルキルアンモニウム塩を包含する増粘剤(例えば、商品名「ビスコトップ100BK」:花王株式会社製造)を用いている。
ここで、増粘剤−1(第1の増粘剤)と増粘剤−2(第2の増粘剤)は、常に同一量である。
【0030】
表1、表2における「早強ポルトランドセメント」の組成、「フライアッシュ」の組成、「増粘剤−1」の物性(pH、密度)、「増粘剤−2」の物性(pH、密度)及び一部組成物量(塩化イオン量、アルカリ量)、硬化調整剤の物性(比重)及び一部組成物(酸化アルミニウム、酸化ナトリウム)の名称が、表3で示されている。
表3

【0031】
表1〜表3で示すグラウト材(薬液)が、護岸(例えば、捨石護岸)の地盤補強を行うために必要な性状を具備することを、実験例1、実験例2を参照して説明する。
【0032】
[実験例1]
実験例1では、グラウト材の流動性と、水中不分離性について、実験を行なった。
グラウト材の流動性については、フローコーンにグラウト材を充填して引き抜いて、コーン引き抜き後のグラウト材の塊の直径を測定して、グラウト材の流動性を確かめた。
また、実験例1では、水(水温18℃)を満たした水槽に、グラウト材をゆっくりと投入して、投入直後に水槽内の水が濁るか否かを目視観測することにより、水中不分離性を実験した。ここで、グラウト材の水中不分離性が低ければ水槽内の水が濁り、グラウト材の水中不分離性が高ければ水槽内の水は濁らない。
【0033】
実験例1で用いられたグラウト材は、表1〜表3で示すグラウト材と同様な配合であるが、増粘剤(増粘剤−1及び/又は増粘剤−2)の量が、海水に対して2%(試料No.1)、3%(試料No.2)、4%である。
増粘剤の量が海水に対して4%の試料として、硬化調整剤を含有していない試料(試料No.3)と、硬化調整剤をグラウト材1mに対して20kgの割合(20kg/m)で含有した試料(試料No.4)を用意した。
実験例1の結果を、表4、表5で示す。
【0034】
表4

【0035】
表5

【0036】
表4で示すように、試料1〜4は、必要な流動性を発揮する。ここで、硬化調整剤を20kg/mだけ含有した試料(試料No.4)は、フローコーン引き抜き後、0.5h経過後にはグラウト材の固化が確認された。
また、表5で示すように、増粘剤(増粘剤−1及び/又は増粘剤−2)の配合が、水(海水)に対して4%以上であれば、水中における不分離性(水中に溶け出さない性質)が保たれる。換言すれば、実験例1から、増粘剤(増粘剤−1及び/又は増粘剤−2)は、水(海水)に対して4%以上含有するべきことが分かる。
これに加えて、表1、表2で示す様に、試料1〜4は海水を用いており、実験例1において流動性や水中不分離性の実験を行うに際して特に問題が生じないことから、第1実施例に係るグラウト材は、「海水により練ることが可能」であるという性質を充足することが確認された。
【0037】
[実験例2]
実験例2では、実験例1で用いた試料No.3、試料No.4(増粘剤の配合が、海水に対して4%の試料)のグラウト材を、模擬地盤中に注入した。
以って、「ホモゲルの状態で流水に流されない」性質、「注入された際に、薬液注入範囲が三次元的に均一な範囲となる(球状になる)」性質、「固化後に所定以上の強度(一軸圧縮強度:例えば、100kN/m以上)を持つ」性質を確かめた。
実験例2では、模擬地盤として、透水係数が異なる3種類の模擬地盤、
5mm以上の礫:透水係数1×10cm/sec.
砂と礫の混合物:透水係数1×10cm/sec.
砂60%の砂質土:透水係数1×10−2cm/sec.
を用意した。
【0038】
上述した模擬地盤を透水可能に構成された型枠(例えば、ネット状部材からなる型枠)で包囲し、型枠で包囲された模擬地盤を、水が充填された水槽中に浸漬する。そして、模擬地盤中に、0.6リットル/分で、試料No.3、試料No.4のグラウト材を注入した。
その際に、水槽には3cm/秒の水流を発生させた。
なお、表6における「ロットNo.」は、上記3種類の模擬地盤に試料No.3のグラウト材(硬化調整剤を含有していないグラウト材)を注入した場合と、試料No.4のグラウト材(硬化調整剤をグラウト材1mに対して20kgの割合で含有したグラウト材)を注入した場合の6通り(=3×2)の実験結果の各々を意味している。
実験例2の結果を、表6で示す。
【0039】
表6

【0040】
表6において、「球状」なる文言は、薬液注入領域が三次元的に均等に拡大したことを意味している。
表6のロットNo.1において、透水係数が1×10cm/secであれば、試料No.3のグラウト材(硬化調整剤を含有していないグラウト材)は、三次元的に均等な範囲に注入される(球状に注入される)ことが分った。そして、模擬地盤全体に自在に充填された。
透水係数が1×10cm/secの模擬地盤で行なわれたロットNo.2においても、試料No.4のグラウト材(硬化調整剤をグラウト材1mに対して20kgの割合で含有したグラウト材)の注入領域は、三次元的に均等に拡大して球状となり、直ちに固化した。そして、水槽内に水流が存在しても、流されることはなかった。
ロットNo.1、No.2より、透水係数が1×10cm/secの地盤であれば、試料No.3、試料No.4のグラウト材は、礫間に注入されることが明らかになった。
【0041】
ロットNo.3において、透水係数が1×10cm/secであっても、硬化調整剤を含有していないグラウト材(試料No.3のグラウト材)は、三次元的に均等な範囲に(球状に)注入された。この際に、グラウト材の注入領域の立体形状は、完全な球形ではないが、施工に際しては問題がない程度に、三次元方向に均等に注入された。注入に際して、グラウト材は、空洞に向って注入され、砂の間の領域にも侵入した。
ロットNo.4では、硬化調整剤をグラウト材1mに対して20kgの割合で含有したグラウト材(試料No.4)は、模擬地盤の空洞にのみ充填された。模擬地盤の砂質土部分は、試料No.4のグラウト材注入後も、そのまま残留した。
【0042】
ロットNo.5の透水係数が1×10−2cm/secの模擬地盤では、試料No.3のグラウト材(硬化調整剤を含有していないグラウト材)の注入の際に注入圧がかかり、いわゆる「割裂注入」となり、注入領域よりも上方の模擬地盤を持ち上げて隆起した。
透水係数が1×10−2cm/secの模擬地盤について、試料No.4のグラウト材(硬化調整剤をグラウト材1mに対して20kgの割合で含有したグラウト材)を注入する実験(ロットNo.6)は、グラウト材の注入が不可能であると判断して、注入をしなかった。
【0043】
ここで、ロットNo.1、No.3と、ロットNo.2、No.4を比較すると、硬化調整剤を含有しないグラウト材(試料No.3)を注入する際に注入圧が発生しなくても、硬化調整剤を含有するグラウト材(試料No.4)を注入する際に注入圧が発生することが確認された。
【0044】
実験例2において、ロットNo.1〜No.6において、グラウト材が水槽中に流出することは観察されなかった。このことから、少なくとも、試料No.3、試料No.4のグラウト材であれば、「ホモゲルの状態で流水に流されない」という性質を具備することが確認できた。
【0045】
また実験例2において、ロットNo.1において、グラウト材が注入されて固化した塊の一軸圧縮強度は425kN/mであり、ロットNo.2において、グラウト材が注入されて固化した塊の一軸圧縮強度は398kN/mであった。
何れも、捨石層に必要とされる一軸圧縮強度(例えば、100kN/m)を上回る強度を発現した。
【0046】
表7で示すのは第2実施例に係るグラウト材の組成であり、表1〜表3で示す第1実施例のグラウト材とは異なる組成を具備している。
表7

【0047】
発明者は、表7で示す組成のグラウト材についても、実験例1、実験例2と同様な実験を行い、「水中不分離性が高い」、「安定した流動性を具備する」、「ホモゲルの状態で流水に流されない」、「注入された際に、薬液注入範囲が三次元的に均等に拡大して球状になる」、「固化後に所定以上の強度(一軸圧縮強度:例えば、100kN/m以上)を持つ」、「海水により練ることが可能」という性質を具備していることを確認している。
発明者による実験によれば、表7で示す組成のグラウト材が固化した後の一軸圧縮強度は、359kN/mであった。
一軸圧縮強度以外については、第2実施例に対して、第1実験例、第2実験例と同様な実験を行なった結果については、表4〜表6を参照して上述したのと同様であるので、詳細は省略する。
【0048】
表7において、増粘剤(33kg)の海水(831kg)に対する割合は3.97%であり、4%を僅かに下回っている。
換言すれば、発明者の実験により、第2実施例に係るグラウト材が水中不分離性を有することが確認されているので、増粘剤の海水に対する割合は3.97%以上であれば良いことが確認された。
表7において、「増粘剤1+増粘剤2」なる表記は、表1、表2に関連して上述した増粘剤−1と増粘剤−2を、同一量ずつ混合して包含したことを意味している。
【0049】
次に、上述した性状を具備するグラウト材の組成物の含有量の範囲について、実験例3〜実験例11を参照して説明する。
なお、実験例3〜実験例11を参照して説明する含有量は、実施例1のグラウト材の練り上がり1m当たりの重量である。
【0050】
[実験例3]
実験例3では、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材の組成物である早強ポルトランドセメント(セメント類)の含有量の下限値について、確かめた。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、早強ポルトランドセメントの含有量を160kg〜210kgまで、10kg刻みで変化させた6種類のグラウト材(試料1〜試料6)について、固化したか否かを確認した。
実験例3の結果を、表8で示す。
【0051】
表8

【0052】
表8において、記号「○」はグラウト材が固化したことを意味しており、記号「×」はグラウト材が固化しなかったことを意味している。
早強ポルトランドセメントの含有量が160kg〜190kgの試料1〜試料4では、固化しなかった。一方、早強ポルトランドセメントの含有量が200kg、210kgの試料5、試料6は固化した。
このことから、実施例1に係るグラウト材であれば、早強ポルトランドセメントの含有量は200kg以上にするべきことが分った。
【0053】
[実験例4]
実験例4では、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材の組成物である早強ポルトランドセメントの含有量の上限値を確認した。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、早強ポルトランドセメントの含有量を400kg〜460kgまで、10kg刻みで変化させた7種類のグラウト材(試料1〜試料7)について、通常のグラウトポンプで注入可能であるか否かを確認した。
実験例4の結果を、表9で示す。
【0054】
表9

【0055】
表9において、記号「○」はグラウト材がグラウトポンプで供給可能であることを意味しており、記号「×」はグラウト材の粘性が高く、グラウトポンプでは供給できなかったことを意味している。
早強ポルトランドセメントの含有量が400kg〜450kgの試料1〜試料6では、グラウト材は通常のグラウトポンプで注入可能であった。
しかし、早強ポルトランドセメントの含有量が460kgの試料7は、その粘度が高すぎて、グラウトポンプで供給することができなかった。
このことから、実施例1に係るグラウト材では、早強ポルトランドセメントの含有量を450kg以下にするべきことが確認された。
【0056】
[実験例5]
実験例5では、実施例1に係るグラウト材の組成物であるフライアッシュ(骨材)の含有量の下限値について、確かめた。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、フライアッシュの含有量を160kg〜210kgまで、10kg刻みで変化させた6種類のグラウト材(試料1〜試料6)について、注入材として安定したか否かを確認した。
実験例5の結果を、表10で示す。
【0057】
表10

【0058】
表10において、記号「○」はグラウト材が均一な性状で安定した状態になったことを意味しており、記号「×」はグラウト材が不均一な性状であり、注入材として安定しなかったことを意味している。
フライアッシュの含有量が160kg〜190kgの試料1〜試料4では、グラウト材が不均一な性状であり、注入材として安定しなかった。一方、フライアッシュの含有量が200kg、210kgの試料5、試料6は、グラウト材が均一な性状で安定した状態になった。
このことから、実施例1に係るグラウト材であれば、フライアッシュの含有量は200kg以上にするべきであることが分った。
【0059】
[実験例6]
実験例6では、実施例1におけるフライアッシュの含有量の上限値を確認した。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、フライアッシュの含有量を400kg〜460kgまで、10kg刻みで変化させた7種類のグラウト材(試料1〜試料7)について、通常のグラウトポンプで注入可能であるか否かを確認した。
実験例6の結果を、表11で示す。
【0060】
表11

【0061】
表11において、記号「○」はグラウト材がグラウトポンプで供給可能であることを意味しており、記号「×」はグラウト材の粘性が高く、グラウトポンプでは供給できなかったことを意味している。
フライアッシュの含有量が400kg〜450kgの試料1〜試料6では、グラウト材は通常のグラウトポンプで注入可能であった。
しかし、フライアッシュの含有量が460kgの試料7は、その粘度が高すぎて、グラウトポンプで供給することができなかった。
このことから、実施例1に係るグラウト材では、フライアッシュの含有量は450kg以下にするべきであることが確認された。
【0062】
[実験例7]
実験例7は、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材における水分(海水)量の下限値を確認する実験である。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、海水の含有量を560kg〜620kgまで、20kg刻みで変化させた4種類のグラウト材(試料1〜試料4)について、通常のグラウトポンプで注入可能であるか否かを確認した。
実験例7の結果を、表12で示す。
【0063】
表12

【0064】
表12において、記号「○」は通常のグラウトポンプで注入可能であることを意味しており、記号「×」は注入できないことを意味している。
海水の含有量が560kg、580kgの試料1、試料2では、練り上がったグラウト材の流動性が低く、通常のグラウトポンプでは注入することが出来なかった。一方、海水量が600kg、620kgの試料3、試料4は、通常のグラウトポンプで注入可能であった。
このことから、実施例1に係るグラウト材であれば、海水含有量は600kg以上にするべきことが分った。
【0065】
[実験例8]
実験例8により、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材の海水含有量の上限値を確認した。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、海水含有量を810kg〜870kgの範囲で、20kg刻みで変化させた4種類のグラウト材(試料1〜試料4)について、固化するか否かを確認した。
実験例8の結果を、表13で示す。
【0066】
表13

【0067】
表13において、記号「○」はグラウト材が固化したことを意味しており、記号「×」はグラウト材が固化しなかったことを意味している。
海水含有量が810kg、830kg、850kgの試料1、試料2、試料3のグラウト材は固化した。しかし、海水含有量が870kg以上である試料4のグラウト材は、固化しなかった。
このことから、実施例1に係るグラウト材では、海水含有量を870kg以下にするべきであることが確認された。
【0068】
次に、実施例1に係るグラウト材の増粘剤の含有量について、説明する。
ここで、表5及び表7より、増粘剤の含有量は、海水の4%(より詳細には3.97%)以上とするべきことが分かっている。上述した様に、海水の下限値は600kgである。従って、実施例1に係るグラウト材の増粘剤の含有量は、増粘剤−1と増粘剤−2の合計で、23.4kg以上とするべきである。
次に、実施例1に係るグラウト材の増粘剤の含有量の上限値について、実験例9に基いて説明する。
【0069】
[実験例9]
実験例9では、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材の増粘剤含有量の上限値を確認した。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、海水含有量を850kgにして、増粘剤含有量を66kg〜78kgの範囲で、2kg刻みで変化させた7種類のグラウト材(試料1〜試料7)について、水中不分離性や「ホモゲルの状態で流水に流されない性質」を観察した。
なお、実験例9の結果については、表では示していない。
【0070】
実験例9の結果、増粘剤含有量(増粘剤−1と増粘剤−2の合計)が66kg〜70kgの範囲では、増粘剤含有量が増加するほど、水中不分離性や「ホモゲルの状態で流水に流されない性質」は向上することが分った。
一方、増粘剤含有量(増粘剤−1と増粘剤−2の合計)が70kgを超えると、増粘剤含有量を増加しても、水中不分離性や「ホモゲルの状態で流水に流されない性質」は向上しないことが確認された。
増粘剤は比較的高価な素材であるため、経済的な観点から、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材における増粘剤の含有量は、70kg以下にするべきことが確認された。
【0071】
[実験例10]
実験例10は、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材のフロー値の上限値について、確認するための実験である。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、早強ポルトランドセメント、フライアッシュの含有量を440kg以下にして、且つ、海水含有量を600kg以上にして、フロー値が480mm〜520mmとなる5つのサンプル(試料1〜試料5)を作成した。
そして、係る5つのサンプルについて、実験例1と同様な手法で水中不分離性を確認し、且つ、実験例2と同様な手法で模擬地盤中へ三次元的に均等に注入されるか否か(球状に注入されるか否か)を確認した。
実験例10の結果を、表14で示す。
【0072】
表14

【0073】
表14において、記号「○」は、良好な水中不分離性を示し、且つ、模擬地盤中を三次元的に均等に注入された(球状に注入された)ことを意味している。一方、記号「×」は、水中不分離性が悪く、グラウト材が水中に溶け出してしまい、しかも、模擬地盤中に三次元全方向について不均一な注入であった(三次元的に均等に注入されなかった)ことを意味している。
フロー値が510mm、520mmのサンプル(試料4、試料5)では、粘性が低過ぎるために水中不分離性が悪化し、そして、流動性が高過ぎるために模擬地盤中で三次元的に均等に注入することが出来なかった(球状に注入することが出来なかった)ものと推定される。
このことから、実施例1に係るグラウト材であれば、フロー値を500mm以上に管理する必要があることが分った。
【0074】
[実験例11]
実験例11では、実実施例1に係るグラウト材のフロー値の下限値について、確認するための実験である。
実施例1に係るグラウト材において、早強ポルトランドセメント、フライアッシュの含有量を200kg以上にして、且つ、海水含有量を850kg以下にして、フロー値が180mm〜210mmとなる4つのサンプル(試料1〜試料4)を作成した。
そして、係る4つのサンプルについて、通常のグラウトポンプで注入が可能であるか否かを試験した。
実験例11の結果を、表15で示す。
【0075】
表15

【0076】
表15において、記号「○」は通常のグラウトポンプによりグラウト材を注入することが出来たことを意味しており、記号「×」はグラウト材を注入することが出来なかったことを意味している。
フロー値が200mm、210mmのサンプル(試料3、試料4)では、通常のグラウトポンプで注入をすることができた。これに対して、フロー値が180mm、190mmのサンプル(試料1、試料2)では、流動性が悪いため、通常のグラウトポンプでは注入することが出来なかった。
このことから、実施例1に係るグラウト材であれば、フロー値を200mm以上に管理する必要があることが分った。
【0077】
実験例3〜実験例11の結果から求められた実施例1に係るグラウト材の組成と、その含有量の範囲を、以下の表16に示す。
ここで、フロー値は200mm〜500mmの範囲で管理されている。そして、表16で示す組成は、グラウト材の練り上がり1mに対する量である。
表16

【0078】
[実験例12]
発明者は、表16で示す組成のグラウト材(実施例1に係るグラウト材)を、実験例2で使用されたものとは透水係数が異なる3種類の模擬地盤に注入して、その注入状態を観察した。
当該3種類の模擬地盤の透水係数は、
1×10cm/sec、
1×10cm/sec、
1×10−1cm/sec、
である。
表6で示す実験例2の結果と併せて、当該3種類の模擬地盤に表16で示す組成のグラウト材(実施例1に係るグラウト材)を注入した結果について、表17で示す。
【0079】
表17

【0080】
表17より、表16で示す組成のグラウト材(実施例1に係るグラウト材)は、透水係数が1×10cm/sec〜1×10cm/secの地盤について適用されるべきことが判明した。
なお、表17において、透水係数が大きい模擬地盤は、いわゆる「粗い」粒径の地盤である。一方、透水係数が小さい模擬地盤は、いわゆる「細かい」粒径の地盤である。
【0081】
以上説明したように、図示の実施形態、実施例、実験例で説明したグラウト材を用いれば、表16、表17で示す範囲内において、
水中不分離性が高く、
安定した流動性を具備しており、
ホモゲルの状態で流水に流されず、
注入された際に、薬液注入範囲が三次元的に均等になり(球状になり)、
固化後に所定以上の強度(一軸圧縮強度:例えば、100kN/m以上)を有し、
海水により練ることが可能である。
【0082】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
例えば、図示の実施形態では言及されていないが、本発明のグラウト材に微量の消泡剤を添加しても良い。増粘剤と水(海水)を混合する際に、泡が発生する場合がある。微量の消泡剤を添加すれば、係る発泡を抑えることができる。
【符号の説明】
【0083】
10・・・捨石護岸構造
12・・・基礎部分12
16・・・捨石層
18・・・被覆層
22・・・上部コンクリート部分
S・・・海
WL・・・海面
BG・・・埋立地
30・・・グラウト材注入機構
32・・・グラウトミキサ
34・・・グラウトポンプ
36・・・薬液注入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
護岸の捨石層にグラウト材を注入する工程を備え、
当該グラウト材は、1m当たり、セメント系固化材を200kg〜450kg、フライアッシュを200kg〜450kg、増粘剤を23.4kg〜70kg、水を600kg〜850kg包含しており、そのフロー値は200mm〜500mmであり、
前記捨石層の透水係数は1×10cm/sec〜1×10cm/secであることを特徴とする護岸の補強工法。
【請求項2】
前記グラウト材を注入する工程では、捨石層の海側表面と端部の近傍に三次元方向に均等に拡散する様にグラウト材を注入する工程と、捨石層の海側表面と端部の近傍にグラウト材を注入した後に、捨石層の内側の領域にグラウト材を注入する工程を行う請求項1の護岸の補強工法。
【請求項3】
1m当たり、セメント系固化材を200kg〜450kg、フライアッシュを200kg〜450kg、増粘剤を23.4kg〜70kg、水を600kg〜850kg包含しており、そのフロー値は200mm〜500mmであることを特徴とするグラウト材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−229541(P2012−229541A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97748(P2011−97748)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(390002233)ケミカルグラウト株式会社 (79)
【Fターム(参考)】