説明

豆乳組成物

【課題】食材としての大豆の健康上のかつ栄養学的恩恵をより高度に利用するため、味質豊かな満足できる飲料製品とその製造方法が声高に求められている。従って酪乳と同じ舌触りを持つ豆乳組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】乾燥磨砕大豆粒子を準備し;前記粒子に酸及び酸性塩の少なくとも1つを加え;前記粒子に十分な量の水を加えて液体にし;および該液体に6,000psi以上の圧力をかけて処理することを含んでなる大豆飲料の製造方法で得られた大豆飲料組成物であって、10ミクロン未満の大きさの粒子を有し、大豆原料全体を含んでいる大豆飲料組成物及び10ミクロン未満から20ミクロンの大きさの全粒大豆成分;および前記大豆の成分を液体にするのに十分な量の水を含む大豆飲料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して大豆飲料組成物、特に豆乳および大豆飲料さらにその製造方法に関する。本発明の組成物は大豆天然成分および大豆の健康上のかつ栄養学的恩恵を保持し、のみならず酪乳(dairy milk)に似た味質とテクスチャー(texture)を有する。
【背景技術】
【0002】
植物原料を使用する擬似乳製品はかねてより知られている。擬似乳製品を製造するために使用される最も一般的な植物原料は大豆である。大豆から作られる最も一般的な2つの擬似乳製品といえば豆乳および豆腐である。大豆は栄養学的に多くの点で酪乳に匹敵することが判明しているが、豆乳はこの大豆の水抽出物である。豆乳はラクトースを含まず、かつコレステロールがゼロなので理想的な酪乳代用品といえる。ラクトース不耐性の人々やコレステロール摂取が制限されている人々であっても、今や有害な副作用を受けることなく酪乳に近い製品を摂取できる。さらに豆乳は大変安価であり、発展途上国の人々でも容易に購入できるタンパク源である。これらの理由により豆乳の生産と保存に関する問題を解決することは非常に重要であるといえる。
【0003】
だが残念なことに現在の豆乳製造方法では最適な酪乳代用品は作り難い。一般的に豆乳には酪乳と異なる一種独特明白な不快な匂いがあり、かつその異なる舌触りも不味不快である。不味な舌触りの原因は大豆の構成物質のセルロースとタンパク質と炭水化物である。これらの構成物質は当業者にはおからとして知られている。加えて従来の方法によって製造された豆乳は見た目の色と不透明度が酪乳と全く異なる。懸濁液としての酪乳の外観を植物性食材で正確に模倣することは今までなされていなかったが、それは一部には水に対する分散性、つまり一部溶解し一部微小な非沈殿粒子として浮遊することによって可能な分散性が、乳固形分では高いが植物固形分では低い為であり、さらに一部には植物原料の液体の色が黄色、茶褐色或いは緑色がかっている為であった。
【0004】
酪乳模倣品につきまとうこれらの問題の幾つかを解決するために、大豆から酪乳代替物を抽出する方法の改良が行われてきた。擬似乳製品の不快な特徴を除去するための最も一般的な方法は、抽出工程中におからを除去することである。通常全粒大豆の約35%がおからである。おからを除去することは、事実上大豆の35%の栄養価を除去することになる。さらに、おからを除去するとなると廃棄おからを集積する廃棄物保管所が相当必要となる。大豆抽出物からおからを除去し続け、廃棄するとなると莫大な費用が嵩むので深刻な問題である。
【0005】
酪乳と照らして豆乳が抱えるこれらの欠点を解決するための努力が払われてきた。ドラチェンベルグ(Drachenberg)等による米国特許3,941,890号では全粒大豆の使用を試みた豆乳の製造方法が開示されている。その方法によると酪乳と似た濃度を得るために、まずマイクロ波で大豆を加熱し、次に酵素とコロイドミルを使用しなければならない。だがこの方法には少なくとも3つの明確な欠点がある。第一に、この方法では全粒大豆中の酵素を失活させるために大豆をマイクロ波照射装置で加熱する必要がある。第二に、この方法は酵素だけを使用して、おからと呼ばれるそれら大豆構成物質に作用しこれを液化する。酵素は極めて不安定でわずかな熱の変動にもまた不適切な溶液の状態によっても、その効果は変化し、かつ悪影響を受ける可能性があることはよく知られている。酵素は非常に敏感なので、この方法では均一な豆乳製品を製造するための信頼性に欠ける。最後に、この特許に記述される方法では安定した擬似乳製品を得るためにコロイドミルを必要とするが、コロイドミルは一般的に速度が遅く、かつ低量でしか使用できず、および酪乳に似た舌触りを得るためには重要である希望サイズの粒子を安定して得ることが難しい。
【0006】
だが上昇する乳製品コストおよび世界の一部地域で生じている食糧不足の観点から、酪乳の代わりに気軽に摂取できるような低コスト高栄養製品は確かに必要とされている。この必要性は、人々を全く新しい味質と外観を持つ飲料に徐々に慣らしていかなくとも、満たされなければならない。さらにこの必要性は、全粒大豆の栄養価をそのまま保持し、よって豆乳抽出から産生されるおからが除去されたときに生ずる廃棄副産物がゼロになることにより満たされる必要がある。
【0007】
従来の技術、そして今までに調製された豆乳組成物に関しては多くの問題点と欠点が存在している。食材としての大豆の健康上のかつ栄養学的恩恵をより高度に利用するため、味質豊かな満足できる飲料製品とその製造方法が声高に求められている。従って酪乳と同じ舌触りを持つ豆乳組成物を提供することが本発明の第一の目的である。
【0008】
さらに酪乳に似た舌触りを持つ豆乳組成物を、おからを含む全粒大豆から製造することも本発明の目的である。また乳製品もしくは擬似乳製品業界で従事する当業者が通常使用する機器類および安価な添加剤を用いてこれらの目標を達成することも本発明の目的である。
本発明はさらに全粒大豆の全栄養価と酪乳に似た舌触りを併せ持つ豆乳組成物の製造方法を提供することをも目的としている。
【0009】
おから廃棄物を出さずに豆乳抽出物を得る豆乳組成物の製造方法を提供することも本発明の目的である。その結果、栄養価が約35パーセント高く、それと等しい量の環境廃棄物を出さない豆乳を提供できるであろう。
さらに酪乳より大層廉価でありながら酪乳と同じ味質となめらかな特性を持ち、かつ全栄養価を保持する豆乳組成物を提供することも本発明の目的である。
【0010】
従って各種豆乳および/または大豆飲料組成物を提供し、それによって上記を含む従来の技術の各種欠点や不十分さを克服することが本発明の目的である。当業者であれば本発明の態様の一つ以上が特定の目的に合致し、同時に本発明の他の態様の一つ以上が特定の他の目的を導くことも可能であるということは理解するであろう。すべての場合において各目的が本発明の態様の全てに等しく当てはまるとは限らない。従って、これらおよび他の目的は本発明の態様のどの一つに関しても代替案とみなすことができる。
【0011】
本発明の他の目的、特徴、恩恵および利点は本明細書発明の概要および好ましい実施形態の中で明らかにされ、また大豆食品技術と栄養学の分野での知識と経験を有する当業者であれば容易に理解するであろう。このような目的、特徴、恩恵および利点は添付の実施例、データおよびそれらから導き出される全ての合理的な推定と併せ上記からも明らかとなるであろう。
【0012】
一つには、本発明は大豆飲料の製造方法である。本方法は(1)乾燥磨砕大豆粒子を準備すること、(2)有機もしくは無機酸またはそれらの酸性塩のいずれかを加えること、(3)十分な量の水を足して液体(liquid consistency)にすること、および(4)この液体を約2,000psiを超えるの圧力をかけて処理する工程を含み得る。好ましい実施形態では、この有機酸性塩はクエン酸のアルカリ金属塩、クエン酸のアルカリ土類金属塩および/またはそれらの塩類の組合せであり得る。もし大豆の開始原料が粒子サイズ約10ミクロン未満から約100ミクロンに磨砕されるならば好ましい結果が得られる。それはさておき、得られた液体の処理に従来の技術では使用されず考えられもしなかった圧力を使用することも可能である。22,000psiを超えて圧力をかけることも可能だが、それより圧力は若干低めの方が満足のいく結果が得られる。特に処理圧力は約7,000psiから約12,000psiの範囲が好ましい。非常に好適な実施形態では、粒子サイズが約100ミクロン未満、かつこのような圧力をかけることによって良い味質となめらかな舌触りの大豆飲料組成物を得ることができる。
【0013】
本発明の大豆原料は当業者には公知の様々な大豆源から得ることができる。例えば限定されないが全粒大豆、全脂大豆ミールあるいはグリッツ(grits)、全粒大豆粉、脱脂大豆粉、全粒大豆フレーク、脱脂大豆フレーク、全粒大豆粉、脱皮大豆粉、脱脂大豆粉が使用でき、それらはいずれも部分的にまたは完全に炒ってあってもよい。他方上述するように、おからを廃棄もしくは対処する必要性を無くすることによって大幅なコスト削減が実現できる。従って使用される初期大豆原料の種類を問わず、大豆を丸ごと、つまり原料大豆のタンパク質および/またはセルロース成分の全てを、或いは実質全てを使用することによって、本発明はその利点を完全に実現できる。
【0014】
他方、粒子サイズが100ミクロンより大きい大豆も使用できるが、100ミクロン未満のサイズの方が良い結果が得られる。多くの実施形態では好適なサイズは約20ミクロンから約50ミクロンの範囲である。但し、多くの大豆原料はサイズ10ミクロン未満のとき特になめらかな飲料組成物を製造できる。限定されないが、本明細書に記載されるように磨砕された脱脂大豆フレークおよび/または脱脂大豆粉もその原料になる。
【0015】
必ずしも必要ではないが本発明の方法、工程および/または組成物に磨砕大豆粒子と共に酸および/または酸性塩の使用を加えても良い。そのような酸には食品等級の有機または無機酸があり、酸のみでも良いが、適当な対応する塩と共に加えても良い。同様に、好ましい実施形態と関連して上述するように酸性塩を単独で用いても匹敵する結果は得られる。好ましい実施形態では、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムおよび/またはこれらの塩類の組合せを、単独で或いはクエン酸と組み合わせて使用することができる。同様に、別の実施形態として、クエン酸を単独で使用してもよい。またその代わりとして本発明に従って他の一および/または多塩基酸の食品等級塩類を使用することもできる。別個の実施形態として、本発明に食品等級無機酸、対応するそれらの塩類および/またはそれらを組合せて使用することもできる。例えば各種リン酸塩および/または重炭酸塩も十分使用できる。また一方、本発明の方法のパラメーターに沿って、特に本明細書記載の高圧条件下において、これらの無機酸および/または塩類を使用して組成物が製造されれば際立った改善がみられる。
【0016】
いかなる操作の理論もモードも制限しないが、これらの成分は水性条件下でなんらかの緩衝機能を提供すると考えられる。他方で限定しないが、このような酸および/または塩の成分は各種大豆成分、特にペクチンに対してキレート効果を持つと考えられる。この考えに従えば組成物の質がリン酸成分などに比べクエン酸成分によって著しく向上されることにも説明がつくかもしれない。いずれにせよ、本明細書の記載の通りに使用すればこれらの成分によって、固有のもしくは自然に生じたタンパク質分および/またはセルロース分を除去しなくても使用可能な大豆ベースを提供できる。
【0017】
これらの酸、酸性塩類および/または緩衝液成分の濃度は、大豆粒子の量、種類および/またはサイズによって異なり得る。通常の有効な濃度は約0.1から約3.0%の範囲であるが、本発明の処方の多くは、塩濃度約0.3から約0.5%の範囲で調製されている。
本発明の好ましい実施形態では、カルシウムイオンを導入もしくは使用することができる。先と同様に、いかなる操作の理論もモードも制限しないが、カルシウムイオン源には、得られた豆乳あるいは飲料組成物に深み、濃度そして格段のテクスチャーを付与する働きがあると考えられている。各種食品等級カルシウム源は本発明を理解する当業者であれば公知であろう。だが限定しないが、硫酸カルシウムと対応するリン酸塩からは共に良い結果が得られる。
【0018】
本発明の方法もしくは工程を、得られた豆乳もしくは飲料組成物の油脂成分の抑制に用いることもできる。上述するように、各種大豆原料は完全に或いは部分的に脱脂して使用できる。その代わりとして、得られた豆乳もしくは飲料組成物の油脂成分を、所望の植物油、植物性脂肪、動物性脂肪および/またはそれらの組合わせの適切な選択を通して増やすことができる。当業者であれば公知であろうが、全ての市販の油、脂肪もしくはそれらの組合せを使用できる。コーン油やキャノーラ油が好ましい組成物もあるが、限定しないがクリームあるいはバターを含む乳脂肪を使用できる組成物もある。得られた組成物と適切な動物乳および/または穀乳を混合することによって油脂成分を得ることもできる。例えば下記示すような多くの組成物は牛乳、ヤギ乳および/または米穀乳と混合することができる。しかしながら敢えて油脂源を加えなくてもその大豆原料固有の油脂成分で十分満たすこともできる。
【0019】
本発明組成物の補完または少なくとも強化のために外来のタンパク質源を使用することもできる。数個の実施例に示すように、および当業者であれば公知のように、製造中に磨砕大豆原料に単離大豆タンパク質を添加するなど、適切に加えることができる。カゼイン、乳清や他の乳タンパク質濃縮物など他の食品等級タンパク質も同様に使用できる。近年承認された連邦規定に”心臓にやさしい”豆乳もしくは大豆飲料の定義を満たす最小限の要求事項が公表されている。このような組成物は8オンスにつき最低タンパク質濃度6.25グラムを含有するが、それは本発明の一例の一部であり、本明細書記載の方法によって調製することができる。また例えばこの心臓にやさしい組成物の脂肪成分は最高で1.2%である。全粒大豆の油脂成分は全体で約1.8%になるので不具合が生じる。大豆の使用量を控えれば良いが栄養価を犠牲にすることになる。本発明の方法は規定要求事項を満たすために外来タンパク源と同様に脱脂大豆原料も使用できるだけでなく、所望の味質とテクスチャーを特徴とする製品を提供することができる。
【0020】
選択された特定の大豆原料に従って必要とあれば各種分解酵素も任意に使用できる。このような酵素としては限定しないが、ペクチナーゼ、アミラーゼ、セルラーゼおよびヘミセルラーゼがある。同様に各種タンパク質分解酵素もまた単独で或いは他のそのような物質と組み合わせて使用できる。このような酵素の濃度は全て所望するテクスチャー、濃度および/または分解度によって異なるが、使用される大豆原料の量に基づいて簡単な方法で決定することができる。
【0021】
一般的に、本発明の方法は酵素を使用しない場合、温度は約100°Cまで、殊に90から95°Cの間で設定される。この温度で大豆成分を処理すれば、多くの大豆製品に特有の青臭い味質を与えているトリプシン抑制物質を破壊できるが、上記分解酵素を活性化するためには低い工程温度が要求される。特定の酵素に関しては60°C以下の温度が良い。その後、所望の分解度とテクスチャーを得た後、適度に昇温して酵素を失活させることもできる。
【0022】
一部には、本発明は大豆飲料組成物である。このような組成物は約10から20ミクロン未満のサイズの全粒大豆成分を含有し、十分な量の水を含んで乳状を呈している。従来のコロイドミルの工程を経て得られる成分に比べミクロンサイズの大豆成分はより均一で、かつはるかに微小であり、従来の技術からは想像できないほど驚くべき味質とテクスチャーの質を有する。好適なサイズは4ミクロン未満で、大豆原料の適切な選択と加工を通して得られる。乾燥大豆原料をミクロ磨砕し、加水し、そして本明細書に記載されるように高圧下でホモゲナイズする。特に好ましい実施形態では、さらに食品等級緩衝成分もこの組成物に加える。この緩衝剤とは、限定しないが、上記に詳述する有機酸性塩類などである。当業者であれば公知であろうが、本発明に従って製造する大豆飲料は、規制、法的定義もしくはいずれかの添加剤あるいは成分の有無および/または濃度によって、乳もしくは飲料として定義され得る。
【0023】
本発明による大豆飲料組成物、もしくは本明細書に記載される全ての種類の組成物は、後から水で戻すための用として脱水することができる。この保存安定に優れた実施形態は軽量コンパクトであり、かつ輸送経費も安価ですむ。従来のスプレー乾燥装置が使用でき、当業者には周知であり、同じもしくは同様の結果を得ることを意図されている他の方法や技術も使用可能である。
【0024】
好ましい組成物の実施形態の提供に加えて、スプレー乾燥は粒子サイズを減少を促し、なめらかな特性の改良を促進するためにも有効に使用できる。例えば液化大豆ベースは本明細書以外方法でも調製でき、その後圧力処理を行わないでスプレー乾燥できる。大豆原料の初期の粒子サイズはスプレー乾燥によってさらに小さくなる。加水され元に戻された組成物はその後従来の技術に従って低圧力下でホモゲナイズできる。テクスチャー、濃度そして味質特性は、他方上記の高圧条件下で調製された組成物に匹敵する。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の組成物および方法に関して各種態様および特徴を説明するが、これらの実施例およびデータによって本発明は制限されない。このような態様および特徴には、乾燥磨砕大豆微粒子を使用して得られた驚くべき予想外の結果が含まれ、特に可能とは企図も考えもされなかった成分および/または工程パラメーターを使用して得られるなめらかな口当たりと味質特性が含まれる。当然、これらの実施例は説明のみを目的とし、本発明が、本明細書に記される特定の原料、条件、特性などの組合せによって限定されないことは理解されるべきである。本発明の範囲と合致する各種他の方法および/または組成物の実施形態を利用しても、本発明に匹敵する有効性かつ利点は実現できる。
【0026】
本発明を製造使用するための装置は当業者には周知であろう。ただスイス国ウズイル(Uzwil)のビューラー社(Buehler)製マイクログラインダー(微砕機)を使用すれば特に良い結果が得られることが判明している。同様に、本発明に従って各種市販の1段もしくは2段高圧ホモゲナイザーが使用できるが、そのようなホモゲナイザーの一つはマサチューセッツ州ウィルミントン(Wilmington)のAPV社のラニー(Rannie)もしくはゴーリアン(Gaulian)事業部のいずれかで入手できる。
【0027】
本発明に関して使用される全構成要素および/または成分は当業者であれば周知の業者から購入できる。同様に、本明細書記載の各種工程パラメーターは、そのような構成要素および成分の種類あるいは濃度を変化させる、もしくは本明細書に記載する方法に従って目標を達成するのに必要とされる個々の理由によって容易に修正され得る。
【0028】
(実施例1)
微細な磨砕脱皮全粒大豆粉120グラムにクエン酸ナトリウム10グラムに混ぜた。この混合大豆粉を95°Cの湯1870mlに混ぜ、水温を90から95°Cの間で維持しながら約15分間混合した。15分後、チョコレート香味料(1%)をこの液体に加えた。得られた混合物を2段ホモゲナイザーでホモゲナイズした。第1段圧力をおよそ10,000psiに維持し、第2段圧力を1,500psiに維持した。本実施例の大豆飲料は官能評価中ざらついた砂様或いは粉っぽい舌触りは全く無かった。本実施例の粉末原料は粒子サイズ10ミクロン未満に磨砕することができ、かつ第1段では20,000psiの圧力をかけることができる。
【0029】
(実施例2)
微細な磨砕脱皮全粒大豆粉120グラムにクエン酸ナトリウム5グラムおよびクエン酸カリウム5グラムを混ぜた後、さらに95°Cの湯1870mlを加え、混合する水温を90から95°Cに維持して約15分間混合した。15分後、フルーツ香味料をこの液体に加えた。得られた混合物を2段ホモゲナイザーでホモゲナイズした。第1段圧力をおよそ10,000psiに維持し、第2段圧力を1,500psiに維持した。再度、高圧をかけて粒子サイズを減少させ、ざらついた砂様或いは粉っぽい舌触りがしない豆乳を得た。本実施例の大豆原料の代わりに脱脂大豆フレークを用いることができるが、フレークは約5ミクロン未満に磨砕されることが望ましい。その代わりとして1段ホモゲナイザーを使用し本発明に従って圧力をかけることができる。
【0030】
(実施例3)
微細な磨砕脱皮全粒大豆粉160グラムにクエン酸ナトリウム10グラムを加え、さらに95°Cの湯1870mlを混合した。混合パラメーターは実施例2に記載する通りである。15分後、香味料(1%)をこの液体に加えた。得られた混合物を2段ホモゲナイザーでホモゲナイズした。第1段圧力をおよそ10,000psiに維持し、第2段圧力を1,500psiに維持した。別な方法として、本実施例および他の実施例の方法において圧力を逆にかけることもできる。すなわち第1段圧力を1,500psiに維持し、本明細書に従って、第2段で約20,000psiの圧力をかけることも可能である。
【0031】
(実施例4)
微細な磨砕脱皮全粒大豆粉225グラムにクエン酸ナトリウム15グラムを加え、さらに95°Cの湯を2760ml混合した。混合した後、バニラ香味料をこの液体に加えた。得られた混合物を2段ホモゲナイザーでホモゲナイズした。第1段圧力をおよそ8,000psiに維持し、第2段圧力を1,500psiに維持した(任意に、他方で各種酪乳香味料を添加することもできる)。得られた大豆飲料に下記の用量で脂肪分2%を含有する酪乳を混ぜた。
豆乳 250g 300g 350g 400g 450g酪乳 250g 200g 150g 100g 050g 本実施例の方法を修正し、クエン酸成分を水溶液にして、あるいは固体を直接混合水に投入して、および/またはクエン酸混合物および共役塩基の塩として供給することができる。
【0032】
(実施例5)
微細な磨砕脱皮全粒大豆粉125グラムに脱脂大豆粉100グラムおよびクエン酸ナトリウム15グラムを加えた。この混合大豆粉に95°Cの湯を2760mlを混合した。同温度で混合後この液体を3等分した。各液体に植物油(キャノーラ油)を下記の用量で加えた。
豆乳 1000g 990g 985gキャノーラ油 10g 15g 油を混ぜた後、香味料(1%)をこの液体に加えた。得られた混合物を2段ホモゲナイザーでホモゲナイズした。第1段圧力をおよそ10,000psiに維持し、第2段圧力を1,500psiに維持した。本実施例の組成物は味質良くなめらかな特徴を持っているので、香味料や油脂成分を足す必要がない。但し、適当なフルーツ香味成分を全果、フルーツジュース、粉末、濃縮物、ピューレもしくはそれらを組合せを用いて加えることができる。
【0033】
(実施例6)
微細な磨砕脱皮全粒大豆粉100グラムおよび単離大豆タンパク55グラムにクエン酸ナトリウム5グラムおよびクエン酸カリウム5グラムを加えた。この混合大豆粉に95°Cの湯1885mlを混合した。15分後、香味料(1%)をこの液体に加えた。得られた混合物を2段ホモゲナイザーでホモゲナイズした。第1段圧力をおよそ8,000psiに維持し、第2段圧力を1,500psiに維持した。この豆乳は通常の豆乳に比べてタンパク質の量が多く脂肪の量が少ないので、先に述べた“心臓にやさしい”という表示にふさわしいタイプである。脱脂大豆粉を使用すればさらに脂肪成分を減少させることができる。
【0034】
(実施例7)
微細な磨砕脱皮全粒大豆粉100グラムおよび単離大豆タンパク55グラムにクエン酸ナトリウム5グラム、クエン酸カリウム5グラムおよび安定剤のカラギナン0.5グラムを加えた。この混合大豆粉に95°Cの湯1885mlを混合し、90から95°Cで維持しながら15分間混合した。15分後、香味料(1%)をこの液体に加えた。本発明に従って圧力をかけながら得られた混合物を2段ホモゲナイザー用いてホモゲナイズした。この豆乳もまた通常の豆乳に比べてタンパク質の量が多く脂肪の量が少ない。従来公知のカラギナンおよび他のそのような安定剤、懸濁剤および乳化剤が使用できるが、本発明ではそれらを使用しなくても良好な舌触り、テクスチャーおよび濃度を得ることができる。
【0035】
(実施例8)
微細な磨砕脱皮全粒大豆粉100グラムおよび単離大豆タンパク55グラムにクエン酸ナトリウム5グラム、クエン酸カリウム5グラムおよび安定剤のキサンタンガムを2.0グラム加えた。この混合大豆粉に95°Cの湯1885mlを混合し、90から95°Cに維持して15分間混合した。15分後、香味料(1%)をこの液体に加えた。得られた混合物を2段ホモゲナイザーでホモゲナイズした。第1段圧力をおよそ8,000psiに維持し、第2段圧力を1,500psiに維持した。この豆乳は通常の豆乳に比べタンパク質の量が多く脂肪の量が少ない。好適な大豆サイズおよび圧力処理を選択して、本実施例の組成物は粒子サイズ20ミクロン未満、ことに4ミクロン未満にすることができる。
【0036】
(実施例9)
微細な磨砕脱皮全粒大豆粉100グラムおよび単離大豆タンパク55グラムにクエン酸ナトリウム5グラム、クエン酸カリウム5グラム、安定剤のカラギナン0.5グラムおよびリン酸三カルシウム5グラムを加えた。この混合大豆粉に95°Cの湯1885mlを混合し、90から95°Cに維持しながら15分間混合した。15分後、香味料(1%)をこの液体に加えた。得られた混合物を2段ホモゲナイザーでホモゲナイズした。第1段圧力をおよそ8,000psiに維持し、第2段圧力を1,500psiに維持した。この大豆飲料組成物もまた通常の豆乳に比べてタンパク質の量が多く脂肪の量が少ない。さらに他の食品等級塩類、例えば硫酸カルシウムを使用してカルシウムイオンを導入することもできる。
【0037】
(実施例10)
微細な磨砕脱皮全粒大豆粉120グラムにクエン酸ナトリウム10グラムを加えた。この混合大豆粉に50°Cのぬるま湯1870mlを加え、50から55°Cに維持した。混合した後、この混合物をセルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびペクチナーゼを組合せた酵素で約1時間処理した。1時間後、香味料(1%)をこの液体に加えた。得られた混合物を2段ホモゲナイザーでホモゲナイズした。第1段圧力をおよそ6,000psiに維持し、第2段圧力を1,500psiに維持した。本方法および本実施例で得られた組成物から明らかなように、工程温度を減少させれば酵素活性は促進される。その後、昇温により酵素を失活させて、所望の分解量および得られる組成物テクスチャーを調整できる。本実施例の組成物は、無機酸、それらの塩、またはそれらの組合わせ(例、リン酸緩衝液)を、単独で或いは対応するクエン酸と組み合わせて調製することができる。
【0038】
(実施例11)
乾燥重量125グラムの乾燥大豆粒子を微細な磨砕脱皮大豆粉の形態で乾燥重量10グラムのクエン酸ナトリウムと混合する。この大豆ベースを95°Cの湯1.87Lに加える。この大豆混合物を90から95°Cの温度範囲で少なくとも15分間攪拌する。そしてこの大豆混合物を1段ホモゲナイザーで圧力約10,000から20,000psiをかけてホモゲナイズする。この工程によって得られる大豆飲料の粒子物質のサイズは10ミクロン未満で、官能評価中ざらついた砂様或いは粉っぽい舌触りは全く無くなめらかな口あたりである。
【0039】
(実施例12)
実施例1の大豆混合物を2段ホモゲナイザーでホモゲナイズする。別の部分サンプルでは、この大豆混合物を第1段圧力6000から12,000psiをかけてホモゲナイズしてもよい。第2段圧力を1,500psiに維持する。他の方法として、この組成物を1段ホモゲナイザーで圧力6,000から12,000psiをかけて調製することもできる。
【0040】
(実施例13)
実施例11もしくは実施例12に関して、ホモゲナイズに先立ってキャノーラ油を総量に対し以下の割合、つまり1%および1.5%になるように添加する。
【0041】
(実施例14)
実施例13に関して、以下の油脂成分の一つをキャノーラ油に代えることができる。すなわちココナッツ油、紅花油、大豆油、ヒマワリ油、ヤシ油、ココナッツ油、もしくはそれらの組合わせであり、かつ適切に水素添加してもよい。
【0042】
(実施例15)
本明細書の実施例の全てに関して、食品等級カルシウムを豆乳もしくは大豆飲料に添加すれば、深みとテクスチャーを増加させ、かつさらに好ましい舌触りを得ることができる。上記実施例の全てに当てはまるが、大豆ミールおよび/またはグリッツを使用し関連する工程パラメーターを適切に修正してこの組成物を調製することもできる。
【0043】
(実施例16)
実施例1から11に関して大豆ベースに加水しホモゲナイズして得られた豆乳もしくは大豆飲料を、約150°Cで1,2秒間滅菌する超高温滅菌法を含む当業界で公知の方法によって滅菌する。
【0044】
(実施例17)
先のいずれかの実施例の記載に従って調製された大豆飲料に、以下の液状成分つまり動物乳、穀乳およびそれらの組合せを大豆飲料の総量に対し約10%から約50%含有させてもよい。
【0045】
(実施例18)
粒子サイズ100ミクロン未満の乾燥した微細な磨砕脱皮大豆粉を開始原料とし、かつ実施例2の工程温度で30分間維持する以外は実施例2に従う。ホモゲナイズに先立ち、1%乳香味料をこの大豆混合物に加える。次に、この大豆混合物を2段ホモゲナイザーでホモゲナイズする。第1段圧力はおよそ8,000psiである。第2段圧力をおよそ1,500psiにする。次に、ホモゲナイズによって得られた大豆飲料を当業者であれば周知の方法によって滅菌する。本実施例に動物乳あるいは穀乳/飲料に通常使用される数種の香味成分、限定しないがチョコレート、バニラおよび各種フルーツ香味料などの1個以上を使用してもよい。このような香味成分はウィスコンシン州ソークビル(Saukville)のジェニール・バイオテック社(Jeneil Biotech)から購入できる。
【0046】
(実施例19)
全粒大豆粉を使用して本明細書記載の方法に従い組成物を調製した後、ライツ社製位相差顕微鏡を用いて倍率1000Xで検査した。観察された粒子は特性的にも組成物的にも大部分が約1.0ミクロン未満のサイズである。本発明に従い他の大豆原料を使用して、官能評価でも顕微鏡によっても実証できるような匹敵する結果を得ることもできる。
【0047】
本発明の原則は特定の実施形態に関連して記述されているが、これらの記述は選択された代表的組成物、方法および対応するデータと共に、ただ実施例を示すことを目的として行われ、いかなる方法によっても本発明の範囲を制限する意図がないことは明白に理解されるべきである。例えば、本発明の大豆組成物は豆乳もしくは大豆飲料の定義のいずれにも制限されない。本発明の他の利点および特徴は、当業者によって理解される通り合理的な均等によって決定される請求の範囲と共に以下の請求項から明らかになるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥磨砕大豆粒子を準備し;
前記粒子に酸及び酸性塩の少なくとも1つを加え;
前記粒子に十分な量の水を加えて液体にし;および
該液体に6,000psi以上の圧力をかけて処理することを含んでなる大豆飲料の製造方法で得られた大豆飲料組成物であって、
10ミクロン未満の大きさの粒子を有し、大豆原料全体を含んでいることを特徴とする大豆飲料組成物。
【請求項2】
さらにカルシウム添加剤を含む請求項1の組成物。
【請求項3】
さらに、動物乳成分および穀乳成分の少なくとも1つを含む請求項1又は2の組成物。
【請求項4】
前記飲料が豆乳であり、さらに香味成分を含む請求項1〜3のいずれか1つの組成物。
【請求項5】
10ミクロン未満から20ミクロンの大きさの全粒大豆成分;および
前記大豆の成分を液体にするのに十分な量の水を含む大豆飲料組成物。
【請求項6】
さらに食品等級の緩衝成分を含む請求項5の組成物。
【請求項7】
前記緩衝成分が、食品等級のクエン酸のアルカリ塩およびアルカリ土類金属塩の少なくとも1種を含む請求項5又は6の組成物。
【請求項8】
さらに脂肪成分を含む請求項5〜7のいずれか1つの組成物。
【請求項9】
前記脂肪成分が、動物乳、穀乳およびそれらの組合せからなる群から選択される外来の乳添加剤である請求項8の組成物。
【請求項10】
前記飲料がさらに香味成分を含む請求項5〜9のいずれか1つの組成物。
【請求項11】
前記大豆の成分の大きさが4ミクロン未満である請求項5〜11の組成物。
【請求項12】
前記香味成分がフルーツ、フルーツピューレ、ジュース、それらの粉末、濃縮物および組合せからなる群から選択される請求項4又は10の組成物。
【請求項13】
スプレー乾燥して粉末にした請求項1〜12のいずれか1つの組成物。

【公開番号】特開2008−48743(P2008−48743A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289831(P2007−289831)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【分割の表示】特願2001−527656(P2001−527656)の分割
【原出願日】平成12年9月29日(2000.9.29)
【出願人】(502113231)ジェニール バイオテック,インコーポレーティッド (2)
【Fターム(参考)】