説明

豆腐用凝固剤及びその製造方法

【課題】風味、弾力、食感、収率の優秀な豆腐を製造するために使われる優良な豆腐用凝固剤を得ようとする。
【解決手段】
本発明は豆腐の製造に際して豆乳の凝固のために使われる凝固剤において、上記の凝固剤はゲル状物質内に速効性凝固剤が含有されている。豆腐製造の際に上記のゲル状物質内に含有されている速効性凝固剤が徐々に溶出される。このような豆腐用凝固剤は、不必要な成分の使用を減らしながらも、凝固反応速度を遅効化して風味、弾力、食感、収率などの優季な豆腐を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は豆腐用凝固剤及びその製造方法に関するもので、より詳細には風味、弾力、食感、収率の優秀な豆腐を製造するために使用される豆腐用凝固剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
豆腐は、伝統食品として今までも広く愛用されている食品の一つである。このような豆腐の製造は、豆から分離した豆乳に苦汁、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムなどのような凝固剤を混合して凝固させた後、これを熟成させる方法が用いられて来た。
この際に伝統的な凝固剤として苦汁が使われていたが、これは苦汁の主な成分である塩化マグネシウムによって、豆の香ばしい味がよく生き返って風味の良い豆腐を作ることができると知られているからである。
【0003】
このような豆腐用の凝固剤は一般的に遅効性凝固剤と速効性凝固剤に分けられる。
上記の遅効性凝固剤は、豆乳に添加したとき約5秒〜1分以内に凝固反応を始める豆乳タンパク質との反応速度が遅い凝固剤で、硫酸カルシウム、グルコノデルタラクトンなどが含まれる。このような遅効性凝固剤はその反応速度の遅さによって保水性の良い豆腐を得ることができるが、風味の良い豆腐を得ることができないという短所がある。
【0004】
上記の速効性凝固剤は豆乳に添加した際に、約1〜2秒以内に凝固反応を始める豆乳タンパク質との反応速度の速い凝固剤で、塩化マグネシウム、苦汁、濃縮海水、塩化カルシウム、乳酸などのような有機酸及びその塩などが含まれる。
特に、塩化マグネシウム及びこれを主な成分にする苦汁、濃縮海水などの速効性凝固剤は豆腐の風味をよくする長所があり、最近ではマグネシウム成分がミネラル成分としてその摂取が重要視されることによって、マグネシウムの量が豊かに含有された塩化マグネシウム豆腐についての認識が高まっている。
【0005】
しかし、このような速効性凝固剤を使って豆腐を製造する場合、凝固速度が速いので保水性、弾力、食感、収率などの優秀な豆腐を製造するために、余ほど精巧な制御を要する技術的な問題点がある。
従って、上記のような速効性凝固剤を利用しながら、豆乳タンパク質と凝固剤の反応速度を遅効化して風味、弾力、食感、収率などの優秀な良質の豆腐を製造するための多様な研究が行われて来ているし、初期には塩化マグネウムのような速効性凝固剤と硫酸カルシウムなどの遅効性凝固剤を併用して速効性凝固剤の反応速度を遅効化するか、クエン酸などのような有機酸及びその塩類などを使って化学的に遅効化させる方法が使われた。
【0006】
また、他の方法では豆乳を冷却して凝固剤による凝固の起き難い環境を造成した後、速効性凝固剤を添加して混合してから熱湯、蒸気または電気的に温度上昇を制御しながら徐々に豆乳が加熱されるようにして凝固させる方法が使われた。
【0007】
しかし、上記のような方法は速効性凝固剤を使って保水性が良いながらも、風味を持つ豆腐を製造するために過多な生産設備、時間、エネルギーなどが必要であり、これを制御するために相当な熟練と技術を要するという問題点があった。
これを改善するための方策として、とうもろこし油、大豆油、オリーブ油などのような植物油や乳化剤で塩化マグネシウムのような速効性凝固剤を乳化させて、すなわち速効性凝固剤を油脂層でコーティングすることで遅効化する方法が提供された事があり、この他に塩化マグネシウムを微細粉末化してからとうもろこし油などの食用油脂に分散させて使う方法などが提供された事がある。(特許文献1)
【0008】
しかし、上記のような方法は凝固の役目をする塩化マグネシウムのような速効性凝固剤より、これを乳化するために使われる付随的な成分である油脂及び乳化剤が多く含有されて、多量の油脂及び乳化剤が使われて資源の無駄使いになるだけでなく、豆乳に添加の際に乳化層破壊のために別途の装置を必ず必要とするという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−57002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記のような問題点を解決するためのもので、付随的な成分の量を最小化しながら速効性凝固剤の凝固速度を遅効化して風味、食感、弾力、収率の優秀な豆腐を製造するための豆腐用凝固剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的はより効果的に凝固速度を遅効化することにある。
本発明のその他の目的は製造された豆腐の風味を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するために本発明は、豆腐の製造に際して豆乳の凝固のために使われる凝固剤において、この凝固剤はゲル状物質内に速効性凝固剤が含有されて、豆腐製造の際に上記の速効性凝固剤が徐々に溶出されることを特徴とする豆腐用凝固剤を提供する。
また、上記の凝固剤はゲル化物質0.1〜10重量%、速効性凝固剤3〜75重量%、残部は水であることを特徴とする。
【0012】
また、上記のゲル化物質は寒天、ゼラチン、カラギナン、アルギン酸塩、ペクチンの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物であることを特徴とする。
更に、上記ゲル化物質には砂糖、結晶果塘、液状果糖、オリゴ糖、CMC(カルボキシメチルセルロース)、アラビアガム、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガムの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物が補助剤として添加されたことを特徴とする。
【0013】
また、上記の速効性凝固剤は塩化マグネシウム、苦汁(粗製海水塩化マグネシウム)、濃縮海水(かん水)、塩化カルシウム、乳酸及びその塩の中で選択される一つまたは二つ以上の混合物であることを特徴とする。
さらに、上記ゲル状物質内に塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウムの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物が更に含有されることを特徴とする。
【0014】
また、ゲル化物質と水を混合して0.1〜10重量%のゲル化物質水溶液を製造する段階と;上記のゲル化物質水溶液に速効性凝固剤を投入して溶解させる段階と;速効性凝固剤が溶解されたゲル化物質水溶液を0〜40℃の温度で冷却させてゲル化する段階;を含むことを特徴とする豆腐用凝固剤の製造方法を提供する。
更に、ゲル化物質と水を混合して0.1〜10重量%のゲル化物質水溶液を製造する段階と;上記のゲル化物質水溶液を冷却してゲル化させる段階と;速効性凝固剤水溶液に上記のゲル化させたゲル状物質を沈積させ及び撹拌を行い、浸透現象で速効性凝固剤をゲル状物質に浸透させる段階;を含むことを特徴とする豆腐用凝固剤の製造方法を提供する。
また、上記の製造方法によって製造された凝固剤を固体状または半固体状に乾燥させる段階をさらに遂行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上述したように、本発明による豆腐用凝固剤はこれを成す成分の大部分が水と塩化マグネシウムなどで付随的な成分はほとんど含まれないで、速効性凝固剤を使うから風味の優秀なことは勿論、ゲル状物質を通じて速効性凝固剤と豆乳タンパク質との反応を引き延ばせることにより、凝固剤が豆乳内に均一に分散した後に凝固剤と豆乳タンパタ質との間の反応が起こるようになって、保水性の優秀な豆腐の製造が可能になる。また、弾力や食感、収率の優秀な豆腐を製造できる効果を有する。
【0016】
また、ゲル状物質の組織内に速効性凝固剤が適量含有されていて、豆腐製造の際に豆乳タンパク質とすぐに化学反応を起さないように、より効果的に反応の速度を遅効化させて、凝固剤が均一に分散する前に凝固されることを効果的に防止する効果を持つ。
また、別途の添加剤を使うことで豆腐の風味をもっと高めることができる効果を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例による豆腐用凝固剤の製造方法の工程を表わした説明図である。
【図2】本発明の第2実施例による豆腐用凝固剤の製造方法の工程を表わした説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では本発明の豆腐用凝固剤及びその製造方法についてより詳細に説明する。
本発明の豆腐用凝固剤は、豆腐の製造に際して豆乳の凝固のために使われる凝固剤において、上記の凝固剤はゲル状物質内に速効性凝固剤が含有されて、豆腐製造の際に上記の速効性凝固剤が徐々に溶出されるようにしたもので、このような豆腐用凝固剤は速効性凝固剤を使うが、豆乳タンパク質との反応速度を遅効化させたことである。
より詳細には、上記の凝固剤は主としてゲル化物質、速効性凝固剤、水で成り立ったもので、上記凝固剤の上記ゲル化物質は寒天、ゼラチン、カラギナン、アルギン酸塩、ペクチンの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物が使われ、このようなゲル化物質のゲル化を通じてゲル状物質が生成される。
【0019】
このようなゲル状物質は3次元的網組織を持つ物質で、組織内に多量の水を含むことができる。本発明はこのようなゲル状物質の3次元的網組織内に速効性凝固剤が含有されることにより、豆腐製造の際に本発明の凝固剤が豆乳内に均一に分散される前に、豆乳タンパク質と速効性凝固剤が直接的に接触して化学反応の起きることを防止してくれる。
また、豆乳の温度や撹拌などによって上記ゲル状物質の組織が徐々に分解されながら自然にゲル状物質の内部から速効性凝固剤が溶出されて豆乳タンバタ質との反応が起こるようにしてくれる。
【0020】
したがって上記のような豆腐用凝固剤を使えば、速効性凝固剤を使うため風味の優秀な豆腐を得ることは勿論、ゲル状物質を通じて速効性凝固剤と豆乳タンバタ質との反応を引き延ばさせることで凝固剤が豆乳内に均一に分散された後に、凝固剤と豆乳タンバタ質との反応が起きるため保水性の優秀な豆腐製造が可能になる。また、このように豆腐用凝固剤によって製造された豆腐は、弾力や食感、収率も優秀である。
【0021】
上記の速効性凝固剤は豆乳タンパク質との化学反応で豆乳を凝固させる。この際本発明の豆腐用凝固剤に使われる速効性凝固剤としては塩化マグネシウム、苦汁、濃縮海水、塩化カルシウム、乳酸などのような有機酸及びその塩の中で選択される一つまたは二つ以上の混合物が使われる。
また、上記の凝固剤はゲル化物質0.1〜10重量%、速効性凝固剤3〜75重量%、残部は水であることが望ましい。
もし上記ゲル化物質が0.1重量%より少なければ、ゲル状物質が形成されないので速効性凝固剤をその組織内に閉じこめておくことができなくなるし、これによって豆腐製造の際に速効性凝固剤と豆乳タンバタ質との化学反応を遅効化させることが難しくなる。反対に上記のゲル化物質が10重量%より多く含まれれば、ゲル化物質の過多添加によって水溶液化し難くなり、過多なゲル化物質の使用で非経済的になる。
【0022】
また、上記速効性凝固剤が3重量%未満で含有されれば凝固剤内の速効性凝固剤の量が少なくて、上記範囲で含有された凝固剤より相対的に多くの量の凝固剤を使わなければならないので非経済的で、また豆腐の弾力などの物性が悪くなることがある。反対に75重量%を超過するようになれば速効性凝固剤を溶解させ難くて、ゲル状物質の中に速効性凝固剤成分の結晶が析出されるなどの理由によって豆乳の凝固の速度を遅効化させる効果を発揮し難くなる。
【0023】
上記と同じく適切な割合で各成分が含有された豆腐用凝固剤は、ゲル状物質の組織内に速効性凝固剤が適量含有されていて、豆腐製造の際に豆乳タンパク質とすぐに化学反応を起こさないようにより効果的に反応速度を遅効化させて、凝固剤が均一に分散される前に凝固されることを防止することができるし、これによって保水性も良くて風味、食感、収率なども優秀な豆腐を製造することができる。
この際本発明の豆腐用凝固剤は豆乳の温度や撹拌によって自然にゲル状組織内に含有されていた速効性凝固剤が溶出されて出ることができる。また、ゲル化物質の種類及び含量、速効性凝固剤の含量などを変えるか、豆腐製造時の豆乳の温度、本発明による凝固剤と豆乳の混合方法、撹拌速度などを通じて溶出速度を制御できる。
【0024】
また、上記ゲル化物質には砂糖、結晶果糖、液状果糖、オリゴ糖、CMC(カルボキシメチルセルロース)、アラビアガム、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガムの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物が補助剤として添加されることができる。このような補助剤はゲル状物質の物性に影響を与えてゲル状物質のゲル化程度を調節できるし、これを通じて凝固剤の溶出速度も制御できる。したがって上記の補助剤は速効性凝固剤を溶出させようとする溶出速度を考慮して任意にその添加量を調節して使える。
【0025】
一方、上記のゲル状物質内に塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウムの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物が更に含有されることができる。
これは豆腐の風味をもっと良くするために添加される添加剤として、上記のような添加剤は速効性凝固剤対比10重量%以下で添加されることができるし、より詳細には上記の塩化ナトリウムは速効性凝固剤対比2〜7重量%、塩化カリウムは速効性凝固剤対比1〜3重量%、硫酸マグネシウムは速効性凝固剤対比5〜10重量%で添加されることができる。
【0026】
上記のような豆腐用凝固剤は、下記のような方法を通じてより容易に製造できる。
図1は本発明の第1実施例による豆腐用凝固剤の製造方法の工程を現わした説明図である。ここに図示されたように、本発明による豆腐用凝固剤を製造するためには、まず、ゲル化物質を水と混合して0.1〜10重量%のゲル化物質水溶液を製造する段階(Sl)を経る。この際、水の温度は80〜100℃にされ、これはゲル化物質水溶液が液状として維持されることのできる温度である。また、ゲル化物質水溶液の濃度がもし0.1重量%より低ければ濃度がとても薄くて、その後ゲル化が進まないこともあるし、10重量%より高い場合、粘度の上昇によって水溶液化し難くなり、過多なゲル化物質の使用で非経済的である。
【0027】
その後、上記の段階(Sl)で製造されたゲル化物質水溶液に速効性凝固剤を投入して溶解させる段階(S2)を経る。この際上記のゲル化物質水溶液に速効性凝固剤を投入した後、撹拌を通じてゲル化物質水溶液内に速効性凝固剤が均一に分布されるようにする。最後に速効性凝固剤の溶解が完了した後にはこれを0〜40℃の温度で冷却させてゲル化する段階(S3)を遂行することでゲル状物質の豆腐用凝固剤製造が完了する。
【0028】
ここで上記のゲル化する段階(S3)遂行の際、凝固剤製造に使われたゲル化物質の種類によって塩化カルシウムのような2価金属塩を使ってゲル化物質のゲル化が円滑に起きるようにすることもできる。
この際上記のゲル化物質は寒天、ゼラチン、カラギナン、アルギン酸塩、ペクチンの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物を使う。
また、上記ゲル化物質水溶液は、寒天、アルギン酸ナトリウムをゲル状物質で使う場合にはゲル状水溶液の濃度が0.4〜5重量%になるようにして、カラギナンを使う場合にはゲル状水溶液の濃度が0.1〜3重量%になるようにすることがゲル化物質の使用量を減らしながらも最大の効果が得られて望ましい。
【0029】
また、上記のゲル化物質には砂糖、結晶果糖、液状果糖、オリゴ糖、CMC(カルボキシメチルセルロース)、アラビアガム、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガムの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物が補助剤として更に添加されて、ゲル化物質の物性を改善してゲル化が円滑に進行できるようにすることができる。
【0030】
同時に上記の速効性凝固剤としては前述したように塩化マグネシウム、苦汁、濃縮海水、塩化カルシウム、乳酸などのような有機酸及びその塩の中で選択される一つまたは二つ以上の混合物を使うことができるし、速効性凝固剤に塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウムの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物を更に添加することによって豆腐の風味を向上させられる。
上記のような製造方法で得られたゲル状物質の凝固剤は通常の豆腐製造方法によって豆乳に添加して使うことができる。
【0031】
一方、上記と一緒にゲル化する段階(S3)を経てゲル状の凝固剤の製造が完了した後、上記の製造された凝固剤を固体状または半固体状に乾燥させる段階(S6)が更に遂行されることもある。
このような乾燥には凍結乾燥するか、50〜100℃の温度で乾燥する方法が使われて、このような乾燥をすれば豆腐用凝固剤が固体状または半固体状へ変化されることによって、より簡便に凝固剤を使うことができる。
【0032】
一方、本発明による豆腐用凝固剤を製造する方法として次のような方法が使える。図2は本発明の第2実施例による豆腐用凝固剤の製造方法の工程を現わした説明図である。
ここに図示されたように、先にゲル化物質と水を混合して0.1〜10重量%のゲル化物質水溶液を製造する段階(Sl)を経る。この際、水の温度は80〜100℃にされ、これはゲル化物質が液状で維持されることのできる温度である。また、ゲル化物質水溶液の濃度がもし0.1重量%より低ければ濃度がとても薄くて、その後ゲル化が円滑に進まないこともあり、10重量%より高ければその粘度が高くて水溶液化し難く、過多なゲル化物質の使用で非経済的である。
【0033】
その後、上記のゲル化物質水溶液を冷却してゲル化させる段階(S4)を経てゲル状物質を得る。この際ゲル化は0〜40℃でゲル化物質水溶液を冷却させれば遂行できる。
ここで上記ゲル化させた段階(S4)遂行の際、凝固剤製造に使われたゲル化物質の種類によって塩化カルシウムのような2価金属塩を使ってゲル化物質のゲル化が円滑に起きるようにすることもできる。
【0034】
その後、最後の段階として速効性凝固剤水溶液に上記段階(S4)でゲル化させたゲル状物質を沈積及び撹拌して浸透現象で速効性凝固剤をゲル状物質に浸透させる段階(S5)を通じてゲル状物質の豆腐用凝固剤の製造が完了できる。
この際速効性凝固剤やゲル化物質の種類は前述の第1実施例による豆腐用凝固剤製造方法と等しいので詳しい説明は省略する。
同時に速効性凝固剤水溶液の製造の際に塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウムの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物が更に添加された豆腐用凝固剤を製造して、後に製造された豆腐の風味を向上させることもできる。
上記のような製造方法で得られたゲル状物質の凝固剤は通常の豆腐製造方法によって豆乳に添加して使うことができる。
【0035】
一方、上記のように速効性凝固剤をゲル状物質に浸透させる段階(S5)を経て凝固剤の製造を完了した後、上記で製造された凝固剤を固体状または半固体状に乾燥させる段階(S6)が更に遂行されることもある。
このような乾燥は凍結乾燥するか50〜100℃の温度で乾焼する方法が使えて、このような乾燥により豆腐用凝固剤が固体状または半固体状に変化されることによって、より簡便に凝固剤を使うことができる。
【0036】
以下、本発明をより効果的に説明するために下記の実施例を通じてより詳細に説明することにする。これは本発明の理解を助けるために提示されるだけのことであり、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
寒天粉末1.5gを95±5℃の水に溶解させて2.5重量%の濃度を持つゲル化物質水溶液60gを得た。その後このゲル化物質水溶液に塩化マグネシウム40gを加えて徐々に混合、撹拌して溶解させた後、常温で冷却させて組織内に塩化マグネシウム40重量%を含有したゲル状物質の凝固剤約100gを得た。
【0038】
(実施例2)
カラギナン粉末1.1gを80℃の水に溶解させて1.4重量%の濃度を持つゲル化物質水溶液80gを得て、塩化マグネシウム30gを使ったことを除き実施例1と同じ方法で製造して塩化マグネシウム27重量%を含有したゲル状物質の凝固剤約110gを得た。
【0039】
(実施例3)
アルギン酸ナトリウム粉末2gを90±10℃の水に溶解させて2.5重量%の濃度を持つゲル化物質水溶液80gを得た後、これを塩化カルシウム10重量%水溶液でゲル化させた。その後塩化マグネシウム飽和水溶液240gの内にゲル化させたアルギン酸カルシウムを3時間沈積させて浸透現象により組織内に塩化マグネシウムが浸透されるようにした後、塩化マグネシウムが約35重量%含有されたゲル状物質の凝固剤約100gを得た。
【0040】
(実施例4)
上記実施例3で得たゲル状物質の凝固剤50gを70±5℃で3〜5時間乾燥させて23gの固体状の凝固剤を得た。
【0041】
(実施例5)
寒天粉末1gとカラギナン粉末1gを95士5℃の水に溶解させて2.5重量%の濃度を持つゲル化物質水溶液80gを得た。その後これを常温で冷却させてゲル化させて、このゲル化させたゲル状物質を塩化マグネシウム飽和水溶液240gに3時間沈積させて浸透現象によって塩化マグネシウムがゲル状物質の組織に浸透されるようにした後、遊離水分をとり除いて塩化マグネシウム約40重量%を含有したゲル状物質の凝固剤約125gを得た。
【0042】
(実施例6)
寒天粉末1.5gを90士5℃の水に溶解させて2.2重量%の濃度を持つゲル化物質水溶液67.5gを得た。この温度を維持して塩化マグネシウム30gと塩化ナトリウム2g、塩化カリウム0.5gを一緒に添加して混合、撹拌した後、常温で冷却して塩化マグネシウム約30重量%、塩化ナトリウム約2重量%、塩化カリウム約0.5重量%が含有されたゲル状物質の凝固剤約110gを得た。
【0043】
(実験例1:豆腐の製造)
65〜95℃の温度を維持している豆乳で、通常の豆腐の製造方法によって豆腐を製造するが、凝固剤として上記の実施例1で製造した凝固剤を投入し、撹拌して豆乳を凝固させた。豆腐の凝固反応が終わるまで5分位が所要され、これを15分位熟成させた。
この実験例1で製造された豆腐は、食感と弾力、収率が優秀であり、従来速効性凝固剤を使った豆腐と同一の風味を持つ豆腐を製造することができた。
【0044】
(実験例2:豆腐の製造)
実験例1と同一の方法で豆腐を製造するが、凝固剤として実施例2ないし実施例6の凝固剤をそれぞれ投入して6種類の豆腐を製造した。豆乳の凝固反応が完了され豆腐が製造されるまで5秒〜5分ぐらいが所要された。
この実施例2ないし実施例6の凝固剤によって製造されたそれぞれの豆腐は、遅効性凝固剤を使った場合と同じく食感と弾力、収率が優秀であり、速効性凝固剤を使った豆腐と同じく優秀な風味を持つことを確認した。
【0045】
上記のような結果を通じて、本発明による豆腐用凝固剤はこれを構成する成分の大部分が水と塩化マグネシウムで付随的な成分はほとんど含まれていなくても速効性凝固剤と同一の風味を持つ豆腐の製造が可能であり、その凝固速度は遅効性凝固剤と同じく充分に延ばすことができて食感や弾力、収率などの優秀な豆腐の製造が可能であることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆腐の製造に際して豆乳の凝固のために使われる凝固剤において、上記の凝固剤はゲル状物質内に速効性凝固剤が含有されて豆腐製造の際に上記速効性凝固剤が徐々に溶出されることを特徴とする豆腐用凝固剤。
【請求項2】
上記凝固剤は、ゲル化物質0.1〜10重量%、速効性凝固剤3〜75重量%、残部は水であることを特徴とする請求項1に記載の豆腐用凝固剤。
【請求項3】
上記ゲル状物質は寒天、ゼラチン、カラギナン、アルギン酸、ペクチンの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の豆腐用凝固剤。
【請求項4】
上記ゲル状物質には砂糖、結晶果糖、液状果糖、オリゴ糖、CMC(カルボキシメチルセルロース)、アラビアガム、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガムの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物が補助剤として更に添加されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の豆腐用凝固剤。
【請求項5】
上記速効性凝固剤は、塩化マグネシウム、苦汁、濃縮海水、塩化カルシウム、乳酸及びその塩の中で選択される一つまたは二つ以上の混合物であることを特徹とする請求項1〜4のいずれかに記載の豆腐用凝固剤。
【請求項6】
上記ゲル状物質内に塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウムの中で選択される一つまたは二つ以上の混合物が更に含有されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の豆腐用凝固剤。
【請求項7】
ゲル化物質と水を混合して0.1〜10重量%のゲル化物質水溶液を製造する段階(Sl)と;上記のゲル化物質水溶液に速効性凝固剤を投入して溶解させる段階(S2)と;速効性凝固剤が溶解されたゲル化物質水溶液を0〜40℃の温度で冷却させてゲル化する段階(S3)を含むことを特徴とする豆腐用凝固剤の製造方法。
【請求項8】
ゲル化物質と水を混合して0.1〜10重量%のゲル化物質水溶液を製造する段階(Sl)と;上記ゲル化物質水溶液を冷却してゲル化させた段階(S4)と;速効性凝固剤水溶液に上記でゲル化させたゲル状物質を沈積及び撹拌して浸透現象で速効性凝固剤をゲル状物質に浸透させる段階(S5)を含むことを特徹とする豆腐用凝固剤の製造方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8の製造方法によって製造された豆腐用凝固剤を固体状または半固体状に乾燥させる段階(S6)を更に遂行することを特徴とする豆腐用凝固剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−130760(P2011−130760A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65424(P2010−65424)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(510079352)株式会社 テ ジン ジーエヌエス (1)
【出願人】(598114516)有限会社吉川化学工業所 (1)
【Fターム(参考)】