説明

貝表面清浄機

【課題】 貝表面の全体を清浄することが困難であった。
【解決手段】 側面V字状の貝移動通路の側面に開口部を形成し、貝移動通路の上部に貝移動通路内に突出するように設けた貝移送体の回転により貝移動通路内の貝を貝移動通路の入口側から出口側に移送し、その移送中に、貝移動通路の外側方に設けた汚れ除去具が貝移動通路の開口部から貝移動通路内に突出して回転して貝の表面の汚れを除去する貝表面清浄機において、汚れ除去具は貝移動通路の両外側に貝移動通路に沿って配置した回転軸に爪取付盤が間隔をあけて取り付け、爪取付盤は円盤状の本体の外周面又は放射状の羽根の外側に爪を取付けて、回転軸回転により爪取付盤が回転して爪により貝表面の汚れを掻き落として除去することを特徴とする貝表面清浄機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帆立貝等の貝類の殻表面に付着している付着物を除去する貝表面清浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、帆立貝等の貝類の殻の表面に付着している付着物を清浄する貝表面清浄機としては、特許文献1に示すように、側面V字状の貝移動通路内の貝を、回転移送体により移送し、移送中に、掃除具の爪を貝表面に接触させて、爪で貝表面に付着している付着物を掻き落すようにしたものがある。前記貝移動通路は棒材を間隔をあけて左右2列に配置し、左右列の棒材を配列方向に互い違いにずらして形成されており、各列の棒材間を開口部としてある。前記貝移送体は貝移動通路の上方に配置した回転ベルトに爪を取付けてあり、爪が貝移動通路の上方開口部から貝移動通路内に突出し、その回転により貝移動通路内の貝を回転させながら移動させるようにしてある。前記掃除具は、図10に示すように、回転帯Cに爪Fが取り付けられており、その爪Fが前記開口部から貝移動通路の内側に突出して、貝表面の付着物を掻き落すようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭52−43676号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の貝表面清浄機には次のような課題があった。
(1)図10に示す無端ベルトEに爪Fを取付けた掃除具Aでは、爪Fが帆立貝の貝殻の形状、即ち、中央部が外側に膨らみ、外周部が薄くなっている形状に追随しきれず、貝殻の全般を万遍無く清浄する(付着物を掻き落とす)ことは困難であり、付着物が残ることが多々あった。
(2)回転軸が貝移動通路の入口側から出口側まで水平であるため、開口部からV字状貝移動通路に突出する爪の位置(高さ)がどの開口部においても同じであるため、貝表面への爪の接触位置が常に一定であり、貝表面の同じ箇所しか清浄されず、貝表面の全体を清浄することが困難であった。
(3)無端ベルトEは切れ易く、無端ベルトEが切れると交換に手間を要し、作業性に難点があった。
(4)従来の貝表面清浄機は、図10に示すように、掃除具A一つにつき軸Bが二本必要であって、更に回転帯C一列につき、二つのプーリーDが必要であり、各プーリーDにベルトEを掛けて爪Fを備える必要がある。前記のような回転帯Cが、掃除具A一つにつき複数列備えられている。従来の貝表面清浄機には掃除具Aが左右で2本備えられるため、軸Bは4本必要であり、例えば掃除具Aの回転帯Cが10列である場合には、プーリーDは左右で40個、ベルトEは左右で20本必要となるため、部品が大量に必要であり、また、貝表面清浄機全体も重くなる。また、前記のような多くの部品の内1つでも故障した場合には部品の交換が必要であり、部品の交換の手間がかかる上に、その間貝表面清浄機を停止させなければならず、作業効率が悪い。また、交換用部品も多くなるため、コスト高となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、爪が貝表面全般に万遍なく接触して、貝表面全般を清浄できる貝表面清浄機を提供するところにある。
【0006】
本件出願の貝表面清浄機は、上方開口で下方細りである側面略V字状の貝移動通路の側面に貝の移動方向に間隔をあけて開口部が形成され、貝移動通路の上部に貝移動通路内に突出するように設けられた貝移送体の回転により貝移動通路内の貝を貝移動通路の入口側から出口側に移送し、その移送中に、貝移動通路の外側方に設けられた汚れ除去具が貝移動通路の開口部から貝移動通路内に突出して回転して貝の表面の汚れを除去する貝表面清浄機において、前記汚れ除去具は、貝移動通路の両外側に貝移動通路に沿って配置された2本の回転軸と、この回転軸に間隔をあけて取り付けられた多数の爪取付盤からなり、前記爪取付盤は、円盤状の本体の外周面又は放射状の羽根の外側に爪が取付けられて構成され、爪取付盤の爪は前記貝移動通路の開口部から貝移動通路内に突出させて配置され、回転軸の回転により爪取付盤が回転して爪により貝表面の汚れを掻き落として除去するものである。
【0007】
本件出願の第1の貝表面清浄機は、前記貝表面清浄機において、貝移動通路の両外側に貝移動通路に沿って配置された2本の回転軸が、貝移動通路の入口側から出口側に向けて上り傾斜又は下り傾斜の同傾斜に配置され、前記貝移動通路内を移送中の貝表面への前記爪の接触位置が、貝の移送に伴って貝表面の下部から上部に又は上部から下部に自動的に変化して、貝表面の汚れが掻き落とされて除去するようにしたものである。
【0008】
本件出願貝表面清浄機は、前記貝表面清浄機において、貝移動通路の両外側に貝移動通路に沿って配置された2本の回転軸のうち、一方の回転軸は貝移動通路の入口側から出口側に向けて下り傾斜に配置されて、他方の回転軸は入口側から出口側に向けて上り傾斜に配置されて、前記貝移動通路内を移送中の貝表面への前記爪の接触位置が、貝の移送に伴って貝表面の下部から上部に又は上部から下部に自動的に変化して、貝表面の汚れが掻き落とされて除去するようにしたものである。
【0009】
本件出願の第の貝表面清浄機は、前記貝表面清浄機において、貝移動通路の両外側に配置された2本の回転軸間の間隔が、貝移動通路の入口側を広く、出口側を狭くして配置されて、貝移動通路内を移送される貝表面に接触するようにしたものである。
【0010】
本件出願の第の貝表面清浄機は、前記貝表面清浄機において、爪取付盤を弾性のあるものとしてある。
【0011】
本件出願の第の貝表面清浄機は、貝移動通路の両外側に配置された2本の回転軸が、一方の回転軸の回転力を機械的手段により他方の回転軸に伝達することによって、双方の回転軸を一つの駆動体によって回転させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本件出願の貝表面清浄機には次のような効果がある。
(1)汚れ除去具は貝移動通路の両外側に貝移動通路に沿って配置された回転軸に爪取付盤が間隔をあけて取り付けられ、爪取付盤は円盤状の本体の外周面又は放射状の羽根の外側に爪が取付けられて、回転軸の回転により爪取付盤が回転して爪により貝表面の汚れを掻き落として除去するものであるので、部品が少なく組み立てるのが容易で便利である。また、強度が強いため切れることがなく、部品の取り替え等の労力及び費用を減らすことができる。
【0013】
本件出願の第1の貝表面清浄機には、上記効果の他、次のような効果がある。
(1)貝移動通路の両外側に貝移動通路に沿って配置された回転軸が、貝移動通路の入口側から出口側に向けて上り傾斜又は下り傾斜に配置され、その回転軸に取り付けられた爪取付盤の爪が、貝移動通路内を移送される貝表面の下部から上部まで接触するようにしたので、貝の表面に、上から下へ、又は下から上へと万遍無く爪を当てることができ、より確実に貝表面を清浄化出来る。
【0014】
本件出願貝表面清浄機には、上記効果の他、次のような効果がある。
(1)貝移動通路の両外側に貝移動通路に沿って配置された回転軸のうち、一方の回転軸は貝移動通路の入口側から出口側に向けて下り傾斜に配置されて、その回転軸に取り付けられた爪取付盤の爪が、貝移動通路内を移送される貝表面の上部から下部へ接触し、他方の回転軸は入口側から出口側に向けて上り傾斜に配置されて、その回転軸に取り付けられた爪取付盤の爪が、貝移動通路内を移送される貝表面の下部から上部へ接触するようにしたので、貝の表面に、上から下へ、又は下から上へと万遍無く爪を当てることができ、また、貝の右側と左側とで、掃除具が貝の異なる部分に接触するので、貝の挟着力が増し、貝を安定した状態にして貝表面をバランスよくより確実に清浄することができる。
【0015】
本件出願の第の貝表面清浄機には、上記効果の他、次のような効果がある。
(1)貝移動通路の両外側に配置された回転軸間の間隔が、貝移動通路の入口側を広く、出口側を狭くして配置されて、貝移動通路内を移送される貝表面に接触するようにしたので、入口側付近の掃除具同士の間隔が広い部分では貝に付着した大きなごみ等の汚れを重点的に除去し、出口側付近の掃除具同士の間隔が狭い部分では貝表面の汚れを重点的に除去することができる。
【0016】
本件出願の第の貝表面清浄機には、上記効果の他、次のような効果がある。
(1)爪取付盤が弾性を有するので、貝の表面の形状に追随して貝殻表面の付着物を掻き落とすことができ、貝の表面を清浄化できる。
【0017】
本件出願の第の貝表面清浄機には、上記効果の他、次のような効果がある。
(1)貝移動通路の両外側に配置された回転軸が、一方の回転軸の回転力を、機械的手段を用いて他方の回転軸に伝達することによって、両回転軸とも一つの駆動体によって回転するものであるので、駆動体が一つでよく、装置全体の軽量化を実現できる。
(2)ギア等を用いた場合には、ベルト等のように切れるおそれがなく、部品交換の手間を減らすことができ、コスト減にも資する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の貝表面清浄機の実施形態の一例を示す正面図。
【図2】図1に示す貝表面清浄機を示す平面図。
【図3】図1に示す貝表面清浄機を示す左側面図。
【図4】図1に示す貝表面清浄機を示す断面図。
【図5】(a)は、図1に示す貝表面清浄機の貝移動通路の様子を示す平面図。(b)は、(a)に示す貝移動通路と回転軸との関係を示す説明正面図。
【図6】図1に示す貝表面清浄機に用いる爪取付盤の正面図。
【図7】図1に示す貝表面清浄機に用いる他の爪取付盤の正面図。
【図8】(a)は図1に示す貝表面清浄機に用いるスペーサの斜視図。(b)は(a)に示すスペーサの使用の様子を示す説明斜視図。(c)は(a)に示すスペーサの使用の様子を示す説明正面図。
【図9】(a)は貝表面清浄機の実施形態の他の例を示す側面説明図。(b)は(a)に示す貝表面洗浄機の平面説明図。
【図10】従来の貝表面清浄機の掃除具の様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
本発明の貝表面清浄機の実施形態を図面を参照して説明する。この実施形態の貝表面清浄機は、図1に示すように、四角い枠形の架台1のコーナーに支持脚2を四本備え、該架台1に貝移動通路3を備え、貝移動通路3の上部に貝移送体4を備え、貝移動通路3の左右両側に掃除具5a、5bを備えてなる。
【0020】
前記貝移動通路3は、図5(a)に示すように多数本の棒材7を左列と右列に向かい合わせて互い違いに並べ、しかも、棒材7の上端から下端に向けて内側に傾斜させて側面形状をV字状にし、左列と右列の夫々の棒材7は上端部を架台1に溶接とか他の手段で固定し、下端同士は互いに接触しないように隙間をあけて交差させて底面77を形成し、その底面の上を貝が脱落することなく移動できるようにすると共に、貝表面から掻き落とされたゴミがその隙間から落下して貝移動通路3内に溜まらないようにしてある。また、左列と右列の夫々の棒材7を間隔をあけて配置して、隣接する棒材7の間の空間を開口部8としてある。棒材7同士の間隔による開口部8は前記掃除具5の爪9の幅よりも広くして、爪9がその開口部8から貝移動通路3内に突出できるようにしてある。左列と右列の棒材7の上端は離れたまま(開口したまま)にして、貝移動通路3を上面開口にしてある。図2に示すように貝移動通路3の入口50側の上方開口部6には貝を投入するためのホッパー55が備えられている。ホッパー55は上方広がりであり、下方が細くなって、投入された貝を貝移動通路3内に案内できるようにしてある。
【0021】
前記貝移送体4は図1〜図4に示すようにベルトコンベア11の外周面に押板10を間隔をあけて取付けたものであり、押板10の先端部が貝移動通路3の上方開口部6(図5参照)から貝移動通路3内に入り込むようにしてあり、ベルトコンベア11を図2のモータ23により図1の矢印方向(貝移動通路3の入口50側から出口60側)に回転させると、押板10も回転して貝移動通路3内の貝を貝移動通路3の出口60側に送り出すようしてある。この場合、貝は回転しながら貝移動通路3内を移送される。前記押板10には例えば硬質製のゴム板や樹脂板等が適し、その形状は貝移動通路3のV字形状に合わせて先端部の幅を細くしてある。押板10は図1に示すようにベルトコンベア11に対して先端が後方に傾斜するように取付けてある。
【0022】
前記掃除具5a、5bは図1、図3及び図4に示すように、一本の回転軸12に多数の爪取付盤13が間隔をあけて取付けられている。図6に示す爪取付盤13はゴム、樹脂等の弾性を有する素材により円盤状に成形され、その中心に中心孔14が開口され、外周寄りの箇所に開口部15を一定間隔で開口して、開口部15の間の連結部16に弾性を付与し、連結部16の外側の外輪部17の外周面にL字状の金属製の爪9を取付けてある。
【0023】
図7に示す爪取付盤13はゴム、樹脂等の弾性を有する素材により円盤状の中心部32から外側に多数枚の羽根33が放射状に突設され、中心部32の中心に中心孔31が開口され、夫々の羽根33の先端寄りに金属製の爪9が取り付けられている。図6の場合も図7の場合も爪9の取付けにはボルトとナットを使用したり、接着剤を使用したりすることが出来る。
【0024】
爪取付盤13を回転軸12に取り付ける場合、図8のスペーサ18を使用して一定間隔で多数枚並べてある。スペーサ18は図8(a)に示すように回転軸12を挿通させるパイプ19とそれよりも径の大きな円盤20とが硬質樹脂で一体に成型されている。このスペーサ18は図8(b)のように、爪取付盤13の中心孔14(31)にパイプ19を差込み、中心孔14(31)から突出したパイプ19の先端部を隣の円盤の中心穴に差し込んで2枚のスペーサ18同士を連結すると共に爪取付盤13を2枚のスペーサ18の円盤20間に挟み、この繰り返しにより必要枚数の爪取付盤13を同軸に連結し、連結されたスペーサ18のパイプ19に回転軸12を挿通し、図8(c)に示すように、中心孔14の内径の一部を矩形に切り欠いたキー溝45と、回転軸12の外周の一部を矩形に切り欠いたキー溝46とを組みあわせて作った長方形のキー孔47に、該キー孔47に適合した長方形の断面形状の長棒体からなるスピル48を挿通し、スペーサ18と回転軸12とを互いに固定する。また、両端のスペーサ18の外側をボルトとナットで挟んで締め付けて、スペーサ18及び爪取付盤13を回転軸12に固定し、更に、両端のスペーサ18同士を固定具で固定して、回転軸12の長手方向についてもスペーサ18及び爪取付盤13を回転軸12に固定してある。
【0025】
掃除具5a、5bは貝移動通路3の左右両外側に配置されて、夫々の掃除具5a、5bの爪の先端部が貝移動通路3の開口部8から貝移動通路3内に突出するようにしてある。また、2本の掃除具5a、5bのうち1本は図4に示すように貝移動通路3の入口50側から出口60側に向けて下り傾斜に配置され、他の1本は図4に示すように貝移動通路3の入口50側から出口60側に向けて上り傾斜に配置されている。本実施形態では、2本の掃除具5a、5b間の間隔は、入口50側も出口60側も等間隔としてある。このように、2本の掃除具5a、5bを傾斜させて配置することにより、一方の掃除具は入口50側で貝の上部に、出口60側で貝の下部に接触して貝表面全般の付着物を掻き落とすことができる。他方の掃除具は入口50側で貝の下部に、出口60側で貝の上部に接触して貝表面全般の付着物を掻き落とすことができる。更に、2本の掃除具5a、5bを逆向きに傾斜させて配置することにより、貝の右側と左側とで、掃除具が貝の異なる部分に接触するので、貝の挟着力が増し、貝を安定した状態にして清浄することができる。
【0026】
図3に示すように、前記掃除具5a、5bの回転軸12の端部にはスプロケット21が取付けられており、両スプロケット21と伝達スプロケット25とガイドスプロケット27とに伝達チェーン22が掛けられ、モータ23のスプロケット24と伝達スプロケット25とに駆動チェーン26が掛けられて、モータ23が回転すると駆動チェーン26を介して伝達スプロケット25が回転し、その回転に伴って伝達チェーン22が回転し、その回転により回転軸12の両スプロケット21が回転して回転軸12が回転するようにしてある。図3の場合、両スプロケット21が両回転軸12を同方向(共に下向き方向)に回転させるようにしてある。共に下向き方向に回転させることにより、貝移動通路3内の貝に引き下げ方向(貝移動通路3の底方向)の力が働き、貝が貝移動通路3内で安定し、付着物が掻き落とされ易くなる。また、前記スプロケット21、伝達スプロケット25、ガイドスプロケット27は、夫々プーリーに置き換えて、また伝達チェーン22及び駆動チェーン26は、夫々ベルトに置き換えて両回転軸12を回転させることも可能である。
【0027】
(使用例)
本実施形態の貝殻表面清浄機を使用するには、以下のようにする。
1.図2のモータ23を回転させて貝移送体4のベルトコンベア11を回転させ、図2のモータ28を回転させて掃除具5a、5bの回転軸12を回転させる。
2.貝移動通路3の入口50側のホッパー55に帆立貝などの貝Sを手作業で投入する。
3.ホッパー55内の貝Sは回転する貝移送体4の押板10に引かれて貝移動通路3内に落下する。
4.貝移動通路3内の縦向きの貝Sは貝移送体4の押板10により押されて回転しながら、貝移動通路3の入口50側から出口60側に移動される。
5.貝移動通路3内の縦向きの貝Sが移動する間に、貝移動通路3の左右両外側の掃除具5a、5bの爪9が貝移動通路3の開口部8から貝移動通路3内に突出して、貝表面の付着物が掻き落とされる。この場合、一方の掃除具5bの回転軸12が入口側から出口側に下り傾斜に、他方の掃除具5aの回転軸が入口側から出口側に上り傾斜になっているため、掃除具5a、5bの爪9が貝表面の下から上まで接触し、更に、貝Sが回転しながら移動されるため、掃除具5a、5bの爪9が貝表面全般に接触し、貝表面全般が掃除される。
5.貝移動通路3内で付着物が掻き落とされた貝Sは押板10により押されて貝移動通路3内の出口60から排出され、出口60の下方に配置してある容器内に落下し、回収される。
6.前記1〜5の作業により、ホッパー55に投入される貝Sが次から次へと清浄される。
【0028】
(実施形態2)
本発明の貝表面清浄機の実施形態の他の例について説明する。本発明の貝表面清浄機についても、その基本的な構成態様は前記実施形態1の貝表面清浄機と共通するが、2本の掃除具の回転軸において実施形態1とは異なる。前記実施形態1では、2本の掃除具5a、5bの回転軸12を逆向きに傾斜させてあるが、本実施形態においては2本の掃除具の回転軸は同じ向きに傾斜させる点が異なる。また、本実施形態では、2本の掃除具5a、5b間の間隔は、入口50側も出口60側も等間隔としてある。このように2本の掃除具の回転軸を同じ向きに傾斜させて備えた場合であっても貝表面を上部から下部まで清浄することができる。
【0029】
(実施形態3)
本発明の貝表面清浄機の実施形態の他の例について説明する。本発明の貝表面清浄機についても、その基本的な構成態様は前記実施形態1の貝表面清浄機と共通するが、2本の掃除具の回転軸において実施形態1とは異なる。前記実施形態1では、2本の掃除具5a、5bの回転軸12を逆向きに傾斜させてあるが、本実施形態においては2本の掃除具の回転軸は傾斜させないで水平にして備える点が異なる。また、本実施形態では、2本の掃除具5a、5b間の間隔は、入口50側も出口60側も等間隔としてある。このように2本の掃除具の回転軸を傾斜させないで水平にして備えた場合であっても貝表面を上部から下部まで清浄することができる。
【0030】
(実施形態4)
本発明の貝表面清浄機の実施形態の他の例について説明する。本発明の貝表面清浄機についても、その基本的な構成態様は前記実施形態1の貝表面清浄機と共通するが、2本の掃除具の回転軸において実施形態1とは異なる。前記実施形態1では、2本の掃除具5a、5b間の間隔は、入口50側も出口60側も等間隔としてあるが、本実施形態においては2本の掃除具の回転軸間の間隔は、入口側を広く、出口側を狭くすることもできる。その場合は、2本の掃除具5a、5bは、回転軸12が逆向きに傾斜され、且つ2本の掃除具間の間隔は、入口側を広く、出口側を狭くして配置されることとなる。入口側付近の掃除具同士の間隔が広い部分では貝に付着した大きなごみ等の汚れを重点的に除去し、出口側付近の掃除具同士の間隔が狭い部分では貝表面の汚れを重点的に除去することができる。
【0031】
(実施形態5)
本発明の貝表面清浄機の実施形態の他の例について説明する。本発明の貝表面清浄機についても、その基本的な構成態様は前記実施形態2の貝表面清浄機と共通するが、2本の掃除具の回転軸において実施形態2とは異なる。前記実施形態2では、2本の掃除具5a、5b間の間隔は、入口50側も出口60側も等間隔としてあるが、本実施形態においては2本の掃除具の回転軸間の間隔は、入口側を広く、出口側を狭くすることもできる。その場合は、本実施形態においては2本の掃除具の回転軸は同じ向きに傾斜され、且つ2本の掃除具間の間隔は、入口側を広く、出口側を狭くして配置されることとなる。
【0032】
(実施形態6)
本発明の貝表面清浄機の実施形態の他の例について説明する。本発明の貝表面清浄機についても、その基本的な構成態様は前記実施形態3の貝表面清浄機と共通するが、2本の掃除具の回転軸において実施形態3とは異なる。前記実施形態3では、2本の掃除具5a、5b間の間隔は、入口50側も出口60側も等間隔としてあるが、本実施形態においては2本の掃除具の回転軸間の間隔は、入口側を広く、出口側を狭くすることもできる。その場合は、本実施形態においては2本の掃除具の回転軸は傾斜させないで水平にして備えられ、且つ2本の掃除具間の間隔は、入口側を広く、出口側を狭くして配置されることとなる。
【0033】
(実施形態7)
本発明の貝表面清浄機の実施形態の他の例について説明する。本発明の貝表面清浄機は、その基本的な構成態様は前記実施形態1〜6の貝表面清浄機と共通するが、本実施形態においても2本の掃除具の回転軸において前記各実施形態とは異なる。前記各実施形態では、2本の掃除具5a、5bの端部にはスプロケット21が取り付けられ、伝達チェーン22を用いて両回転軸12を同方向に回転させるようにしたり、スプロケットをプーリーに置き換え、チェーンをベルトに置き換えて両回転軸12を回転させたりしていたが、回転軸の回転力の伝達方法はスプロケット及びチェーンや、プーリー及びベルトには限られるものではない。本実施形態においては、図9(a)(b)に示すように、両回転軸12の端部の間隔や高さの差に合わせたねじ歯車や傘型歯車等のギア40及び41を組み合わせて、一方の回転軸12の回転力を直接他方の回転軸12に伝達できるようにしてある。その場合、図3に示すモータ23を、回転軸12の、ギア40及び41側と反対側の端部側に設置して、両回転軸12を回転させるようにして、図3中の、ガイドスプロケット27や伝達チェーン22を省くことができる。また、2本の掃除具間の間隔を、入口側を広く、出口側を狭くすることもギアを変えることによって行うことができる。また、図9(a)(b)に示すギアの他にも、タイヤチューブを二本組み合わせて用いることも可能である。また、タイヤチューブとホイールの組み合わせを用いることも可能である。その他にも、球型のギアを用いたり、一方の回転軸の回転力を直接他方の回転軸に伝達することが可能であれば任意の方法を用いることができる。
【0034】
(他の実施形態)
前記各実施形態では移送体用のモータ28と掃除具用のモータ23とを別にしてあるが、可能であれば一つのモータを両用に共用することもできる。爪取付盤の形状も図7、図8とは別の形状とすることもできる。回転軸へ取り付けた爪取付盤をスペーサがなくとも貝移動通路の開口部の間隔と同一間隔に保持することが出来れば、スペーサは必ずしも必要ではない。
【符号の説明】
【0035】
1 架台
2 支持脚
3 貝移動通路
4 貝移送体
5a 掃除具
5b 掃除具
7 棒材
8 開口部
9 爪
10 押板
11 ベルトコンベア
12 回転軸
13 爪取付盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方開口で下方細りである側面略V字状の貝移動通路の側面に貝の移動方向に間隔をあけて開口部が形成され、貝移動通路の上部に貝移動通路内に突出するように設けられた貝移送体の回転により貝移動通路内の貝を貝移動通路の入口側から出口側に移送し、その移送中に、貝移動通路の外側方に設けられた汚れ除去具が貝移動通路の開口部から貝移動通路内に突出して回転して貝の表面の汚れを除去する貝表面清浄機において、
前記汚れ除去具は、貝移動通路の両外側に貝移動通路に沿って配置された2本の回転軸と、この回転軸に間隔をあけて取り付けられた多数の爪取付盤からなり、
前記爪取付盤は円盤状の本体の外周面又は放射状の羽根の外側に爪が取付けられた構成であり、
前記2本の回転軸が、貝移動通路の入口側から出口側に向けて上り傾斜又は下り傾斜の同傾斜に配置され、且つ爪取付盤の爪を前記貝移動通路の開口部から貝移動通路内に突出させて配置して、
前記貝移動通路内を移送中の貝表面への前記爪の接触位置が、貝の移送に伴って貝表面の下部から上部に又は上部から下部に自動的に変化して、貝表面の汚れが掻き落とされて除去されるようにしたことを特徴とする貝表面清浄機。
【請求項2】
請求項記載の貝表面清浄機において、貝移動通路の両外側に配置された2本の回転軸間の間隔が、貝移動通路の入口側を広く、出口側を狭くして配置されたことを特徴とする貝表面清浄機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の貝表面清浄機において、爪取付盤が弾性を有するものであることを特徴とする貝表面清浄機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の貝表面清浄機において、貝移動通路の両外側に配置された2本の回転軸は、一方の回転軸の回転力を機械的手段により他方の回転軸に伝達することによって、双方の回転軸を一つの駆動体によって回転させるものであることを特徴とする貝表面清浄機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−99087(P2010−99087A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10180(P2010−10180)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【分割の表示】特願2003−169671(P2003−169671)の分割
【原出願日】平成15年6月13日(2003.6.13)
【出願人】(398000288)株式会社むつ家電特機 (17)
【Fターム(参考)】