説明

負の異常光視症を軽減するように設計された周辺領域を持つ眼内レンズ

一つの側面において、本発明は光学素子(12)とその光学素子を囲む周辺光学フランジ(14)とを含む眼内レンズ(IOL)を提供する。光学素子は視野像をIOLユーザの網膜上に形成し、周辺光学フランジは異常光視症を抑制する。例として、周辺光学フランジは少なくとも一つのテクスチャ化された面を含み、そのテクスチャ化された面は、大きな視角で眼に入射する周辺光線を受光し、それらの周辺光線を散乱させて、例えば、2次像を形成することを阻害することにより、または、一部の光を、そのような2次像とIOLにより形成される像との間の影領域へ散乱させることにより、異常光視症を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に眼内レンズ(IOL)に関し、特に、周辺視野における視覚アーティファクトを知覚することのない視野像を患者に提供するIOLに関する。
【背景技術】
【0002】
眼の光学パワーは、角膜の光学パワーと、眼全体の光学パワーの約1/3を提供する水晶体の光学パワーにより決定される。老化のプロセスだけでなく、糖尿病のような特定の病気も、水晶体を曇らせる、一般に白内障として知られているコンディションを生じることがあり、それは患者の視力に悪影響を与える。
【0003】
眼内レンズは、そのような曇った水晶体を置き換えるのに通常採用される。そのようなIOLは患者の視力の質をほぼ回復させることができるものの、IOLを埋め込まれた患者によっては、彼らの視野内にハロー、グレアまたは暗領域といった異常な光学現象が起きることを訴えるものもいる。これらの異常は、しばしば「異常光視症(dysphotopsia)」と呼ばれる。特に、患者によっては、特に側頭部の周辺視野において影を知覚することを訴えるものもいる。この現象は、一般に「負の異常光視症(negative dysphotopsia)」と呼ばれる。
【0004】
そこで、向上されたIOL、特に、異常光視症全般、とりわけ、影の知覚すなわち負の異常光視症を軽減可能なIOLについてのニーズが存在する。
【発明の概要】
【0005】
一般に、本発明は、眼内レンズ(IOL)内の光学素子の周辺領域が、IOLを持つ患者が訴える影の知覚を軽減するよう、好ましくは解消されるよう設計されたIOLを提供する。
【0006】
一つには、本発明は、IOLを持つ患者により知覚される影は、光が非常に大きい視角で眼に入射するときの二重像効果により引き起こされ得るという発見に基づいている。特に、多くの市販IOLにおいて、眼に入射する光の大部分は角膜とIOLの両方によって網膜上に焦点を結ぶものの、周辺光の一部はIOLを透過せず、そのためその一部の光は角膜によってのみ焦点を結ばされるということが分かっている。これは周辺の第2の像の形成をもたらす。この像は周辺視野を広げるので有用ではあるが、IOLユーザによっては気を散らす影状現象の知覚をもたらし得る。
【0007】
白内障手術の潜在的な合併症を少なくするよう、近年のIOL設計者は、患者の固有の水晶体の除去の後、非常に容易にIOLを水晶体嚢へ挿入できるよう、光学要素(光学素子)をより小さく(好ましくは折り曲げ可能に)することを研究してきた。レンズの直径を小さくすること、及びレンズ素材を曲げ可能なものにすることは、必要とされる角膜の切開サイズを減らすので、近年のIOL手術の成功において重要なファクターである。同様に、このことは、しばしば縫合の必要性をなくすので、手術の切開からの角膜の収差の減少をもたらす。セルフシーリング切開の使用は、急速な回復をもたらし、生じた収差をさらに減らす。しかし、光学素子の直径選択の結果は、IOL光学素子が眼に入射する光の全てを受光するのに、常に十分大きいとは限らない(または、虹彩から離れ過ぎて配置される)ということになる。
【0008】
さらに、向上した高分子材料の使用及びIOL技術における他の進歩は、嚢混濁を大きく減らしてきた。嚢混濁は、眼にIOLを埋め込んだ後に、例えば細胞増殖のために経時的に生じるものであった。また、手術技術も、レンズ設計及びIOLの端部近傍での光に影響する生体材料とともに向上してきたが、IOLの周囲の領域ではそうではない。これらの向上は、IOLユーザに対して、より良好な中心視覚だけでなく、より良好な周辺視覚をもたらしてきた。周辺像は、中心(軸上)像ほどシャープには見えないが、周辺視覚は非常に有用である。例えば、周辺視覚は、IOLユーザに視野内の物体の存在を気付かせ、それに応じてIOLユーザはその物体のよりシャープな像を得るよう向くことができる。この点で、網膜が大きくカーブした光学センサであり、そのため比較可能な平面状のフォトセンサよりも軸外検知能力に優れるということに注意することは興味深い。実際、そう広くはないが、約60度よりも大きい視角に対する周辺網膜センサは眼の前方部分に配置され、一般に眼の後方を向いている。しかし、IOLユーザによっては、強化された周辺視覚が、例えば、影の形成において、周辺視覚アーティファクトの知覚をもたらすか、悪化させる。
【0009】
異常光視症(または負の異常光視症)は、患者の視野の一部においてのみ、患者によって観察される。これは、鼻、頬及び眉が、側頭部から眼に入射する光線を除いて、非常に高角度の周辺光線を遮るためである。さらに、IOLは、代表的には触覚によって水晶体嚢の内面に取り付けられるよう設計されるので、固定の誤差または水晶体嚢自体の非対称性が、特に、配置のずれがIOL光学素子をバイパスする側頭部からの周辺光をより増やす場合、この問題を悪化させるおそれがある。
【0010】
多くの実施形態では、本発明のIOLは、異常光視症を抑制する方法で眼に入射した周辺光線を捕捉またはその方向を変えるよう構成される。例として、幾つかの実施形態では、本発明のIOLは、大きな視角で眼に入射した光線を受光するよう適合された周辺フランジにより囲まれた光学素子を含む。幾つかの実施形態では、そのようなフランジは、入射した光線を(例えば、1以上のテクスチャ化された面を介して)散乱させて異常光視症を軽減する。例えば、光学素子により形成された像と分離した周辺像の形成を抑制したり、眼に入射したIOLを透過しない光線により形成される2次周辺像と光学素子により形成される主像との間の強度の低い(影)領域へ光の一部を向ける。他の実施形態では、フランジは不透明であり、入射した周辺光線が網膜へ達することを抑制し、または眼に入射したIOLを透過しない光線の一部により網膜上に形成される2次周辺像を弱めるよう、そのような光線の強度を減衰させる。さらに他の実施形態では、IOLは、例えば、散乱または吸収を介して、または視野の単一像が形成されるよう光線に焦点を結ばせることにより、周辺光が2次像を形成することを抑制する十分に大きな光学素子を含む。
【0011】
一つの側面において、本発明は、光学素子とその光学素子を囲む周辺光学フランジとを有する眼内レンズ(IOL)を提供する。その光学素子は視野像をIOLが埋め込まれた患者の眼の網膜上に形成し、周辺フランジは患者の周辺視野における視覚アーティファクトの知覚(例えば、異常光視症)を抑制する。例として、幾つかの場合では、周辺フランジは、眼に大きな視角で入射する周辺光線を捕捉してその光線が2次周辺像を形成することを抑制し、他の場合では、周辺フランジは、そのような2次像とIOLにより形成される像との間の影領域へ、(例えば、散乱によって)光線の一部を向ける。多くの場合、光学素子は約4ミリメータ(mm)から約9mmの範囲内の直径を持ち、周辺フランジは約0.5mmから約1mmの範囲内の幅を持つ。
【0012】
関連する側面において、周辺フランジは、少なくとも一つのテクスチャ化された面、例えばテクスチャ化された前面を有し、そのテクスチャ化された面はその面に入射した光を散乱させて異常光視症を抑制するように適合される。例えば、テクスチャ化された面は、大きな視角(例えば、約50度から約80度の範囲内の角度)で眼に入射した周辺光を受光し、それらの光線を散乱させて、それらの光線が、抑制されなければ異常光視症を引き起こす2次像を形成することを抑制する。あるいは、テクスチャ化された面はその面に入射した光線の少なくとも一部を影領域へ向ける。面のテクスチャ化は、例えば、可視光波長のオーダーの光路距離効果を生じる振幅を持つ複数の面凹凸を介して達成される。例えば、幾つかの実施形態では、物理面の振幅は約0.2ミクロンから約2ミクロンの範囲内とすることができる。あるいは、テクスチャ化された周辺フランジは、そのフランジに入射した光線の少なくとも一部を2次像とIOLの光学素子により形成される像との間の影領域へ散乱させる。
【0013】
他の側面において、周辺光学フランジは可視放射線に対して不透明である。幾つかの場合、そのような不透明な周辺フランジは、大きな視角で眼に入射する周辺光線を受光し、その光線が2次網膜像を形成することを(例えば、吸収を介して)抑制する。あるいは、不透明な周辺フランジは、そこを透過する周辺光線の強度を減衰させる。
【0014】
他の側面では、周辺フランジは可視放射線に対して半透明である。半透明なフランジに入射した光線(例えば、大きな視角で眼に入射した光線)の一部は、フランジを透過するが、拡散される。これは、2次周辺像の形成を抑制し、及び/または周辺視野における視覚アーティファクトの知覚を抑制するのに十分な光を影領域へ向けることができる。
【0015】
他の側面では、周辺フランジは、その周辺フランジ面に配置された(例えば、フランジの前面に配置された)回折構造を有し、その回折構造は、回折構造に入射した光の一部を2次周辺像と光学素子により形成される像との間の影領域へ向けるよう適合される。幾つかの場合、回折構造に関する光学パワーは、眼の角膜単独の光学パワーよりも小さく、及び/または角膜の光学パワーと光学素子の光学パワーの組み合わせよりも(例えば、約25%から約75%の範囲内だけ)小さい。
【0016】
さらに他の側面において、周辺フランジは、光学素子により形成される像と眼に入射したIOLを透過しない光線により形成された2次周辺像との間の網膜の影領域へ、周辺フランジに入射した光を向けるフレネルレンズを有する。幾つかの実施形態では、フレネルレンズの光学パワーは、眼の角膜単独の光学パワーよりも小さく、及び/または角膜の光学パワーと光学素子の光学パワーの組み合わせよりも(例えば、約25%から約75%の範囲内だけ)小さい。例えば、いくつかの実施例では、フレネルレンズの光学パワーは角膜の光学パワーとIOLの中心の光学素子の光学パワーとの組み合わせの約半分である。
【0017】
さらに他の側面において、上記のIOLにおいて、光学素子は多焦点を提供してもよい。例えば、光学素子は、前面と後面と、それらの面の少なくとも一方に配置された回折構造を有する。回折構造は、遠焦点光学パワーだけでなく、近焦点光学パワー(例えば、約1Dから約4Dの範囲内の近焦点パワー)を提供してもよい。
【0018】
他の側面において、開示されるIOLは、前面と後面とを有する光学素子を含み、その光学素子は視野像を生じる中心部と、例えば、2次周辺像の形成を抑制することにより異常光視症を抑制する周辺部とを含む。例として、光学素子は約4mmから約9mmの範囲内の直径を持ち、その中心部は約3.5mmから約8mmの範囲内の直径を持ち、その周辺部は約0.5mmから約1mmの範囲内の幅を持つ。
【0019】
関連する側面において、上記のIOLでは、光学素子の周辺部はテクスチャ化された領域(例えば、複数の面凹凸により特徴付けられる)を有し、その周辺部はそこに入射した光線(例えば、眼に大きな視角で入射した周辺光線)を散乱し、例えば、2次網膜像の形成を抑制し、または光の一部を影領域へ向けることにより、異常光視症を抑制するように適合される。テクスチャ化された領域は前面または後面に配置され、好ましくは、テクスチャ化された領域は前面の周辺部に配置される。
【0020】
他の側面において、光学素子の周辺部は不透明または半透明とすることができる。不透明な周辺部は、大きな視角で眼に入射する周辺光線が異常光視症を生じさせる2次網膜像を形成することを、例えば、吸収または光線の拡散を介して抑制する。あるいは、不透明な部分は、そのような2次像の強度を実質的に減衰させる。半透明な部分は、2次周辺像の形成を抑制することにより、及び/またはその部分に入射した光の少なくとも一部を、例えば、拡散を介して、影領域へ向けることにより、異常光視症を抑制する。
【0021】
他の側面において、光学素子の周辺部に、光の一部を2次周辺像とIOLにより形成される像との間の影領域へ向ける回折構造が配置されてもよい。例として、回折構造は、角膜単独の集光パワーよりも小さく、及び/または角膜とIOLを組み合わせたパワーよりも小さい集光パワーを提供する。
【0022】
さらに他の側面において、光学素子の前面及び/または後面の周辺部に、IOLにより形成される像と眼に入射したIOLを透過しない光線により形成された2次周辺像との間の網膜の影領域へ光を向けるフレネルレンズが配置されてもよい。
【0023】
他の側面において、開示されたIOLは、眼に入射した軸上光に焦点を結ばせるだけでなく、眼に大きな視角で入射した光線も視野の単一像を形成するのに十分な大きさを持つ集光面を有する。例として、そのようなIOLは、光軸に対して配置された前面と後面とを持つ光学素子を有し、前面及び後面は約6.5mmよりも大きい(例えば、約6.5mmから約9mmの範囲内の)直径を持つ。
【0024】
さらに他の側面において、IOLが遠焦点パワーだけでなく近焦点パワー(例えば、約1Dから約4Dの範囲内の追加パワーに対応する)も提供することができるように回折構造がIOLの前面及び/または後面の少なくとも一方に配置される。
【0025】
他の側面において、開示される視覚矯正方法は、中心光学素子とその光学素子を囲む周辺フランジとを持つIOLを提供し、そのIOLを患者の眼に埋め込むことを含む。光学素子は視野の像を形成するよう適合され、フランジは異常光視症を抑制するよう適合される。
【0026】
他の側面において、本発明は、IOLが大きな視角で眼に入射する周辺光線を捕捉し、またはその光線を視野の単一像を形成するよう網膜へ向けるのに十分な大きさを持つことを確保することで、IOLが埋め込まれた患者の眼の視野における異常光視症を抑制する方法を提供する。
【0027】
以下の詳細な説明を、以下に簡単に述べられる関連する図面とともに参照することで、本発明をよりよく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】本発明の一つの実施形態によるIOLの概略平面図である。
【図1B】図1Aに示されたIOLの概略側面図である。
【図1C】他の実施形態による、中心光学素子と周辺フランジとを有し、周辺フランジが中心光学素子に対して傾斜されたIOLの概略図である。
【図2A】患者の眼に埋め込まれた従来のIOLの概略を示し、かつ大きい視角で眼に入射し、IOLを透過しない周辺光線による2次像の形成を概略的に示す図である。
【図2B】患者の眼に埋め込まれた本発明の一つの実施形態によるIOLの概略を示し、かつIOLの周辺フランジが大きい視角で眼に入射した周辺光線による2次像の形成を抑制することを概略的に示す図である。
【図2C】患者の眼に埋め込まれた本発明の一つの実施形態によるIOLの概略を示し、かつIOLのテクスチャ化された周辺フランジが、IOLの光学素子により形成される像と眼に入射したIOLを透過しない光線により形成される2次周辺像との間の影領域へ、光線の一部を散乱させることを概略的に示す図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるIOLの概略前面図である。
【図4】本発明の他の実施形態によるIOLの概略側面図である。
【図5A】本発明の他の実施形態によるIOLの概略側面図である。
【図5B】本発明の他の実施形態による、集光フランジにより囲まれた光学素子を有するIOLの概略側面図である。
【図5C】本発明の他の実施形態による、回折周辺フランジを持つIOLの概略側面図である。
【図5D】図5CのIOLの概略前面図である。
【図5E】本発明の他の実施形態による、IOLの周辺フランジの前面にフレネルレンズを持つIOLの概略側面図である。
【図6A】本発明の他の実施形態によるIOLの概略側面図である。
【図6B】図6AのIOLの概略前面図である。
【図7A】患者の眼に埋め込まれた図6AのIOLの概略を示し、かつIOLの周辺部が異常光視症を抑制することを概略的に示す図である。
【図7B】患者の眼に埋め込まれた図6AのIOLのテクスチャ化された周辺部が、そのIOLにより形成される像と眼に入射したIOLを透過しない光線により形成される2次周辺像との間の影領域へ、光線の一部を散乱させる一実施例の概略図である。
【図8A】本発明の他の実施形態による、不透明な周辺部を持つIOLの概略側面図である。
【図8B】図8AのIOLの概略前面図である。
【図9】本発明の他の実施形態によるIOLの概略側面図である。
【図10A】本発明の他の実施形態によるIOLの概略側面図である。
【図10B】本発明の他の実施形態による、IOLの前面の周辺部に配置されたフレネルレンズを持つIOLの概略側面図である。
【図11】本発明の他の実施形態によるIOLの概略側面図である。
【図12】患者の眼に埋め込まれた図11のIOLが異常光視症を抑制することを図示する概略図である。
【図13A】本発明の他の実施形態によるIOLの前面に回折構造を持つ多焦点IOLである。
【図13B】図13AのIOLの概略前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本願は、2007年4月30日に出願された、米国特許出願第11/742,041号に対して、米国特許法第119条の優先権を主張し、その内容全体がここに参照として組み込まれる。
【0030】
本願は、本願と同時に出願された以下の特許出願と関連し、各特許出願はここに参照として組み込まれる。
「非対称光学素子を備えた眼内レンズ」(代理人整理番号3360)、
「負の異常光視症を軽減するIOLの周辺面設計」(代理人整理番号3345)、
「非対称触覚を備えた眼内レンズ」(代理人整理番号3227)、
「エッジ変調を備えた眼内レンズ」(代理人整理番号3225)、
「異常光視症、グレア、ハロー及び暗い影を補正する新しい眼内インプラント」(代理人整理番号3226)、
「負の異常光視症を軽減する触覚接合設計」(代理人整理番号3344)、
「段階的ブルーフィルタ眼内レンズ」(代理人整理番号2962)。
【0031】
本発明は、一般に眼内レンズ(IOL)を提供する。この眼内レンズは、IOLを持つ一部の患者が報告する暗い影の知覚を軽減し、好ましくは防止する。そのような効果は、一般に異常光視症として知られている。以下に詳細に述べるように、多くの実施形態では、本発明のIOLは、周辺フランジで囲まれた中心光学素子を有し、その周辺フランジは、例えば、2次周辺像の形成を抑制し、またはそのような2次周辺像とIOLにより形成される主像との間の影領域へ光の一部を向けることにより、異常光視症を抑制する。そのために、幾つかの場合、周辺フランジは、例えば大きな視角で、眼に入射した周辺光線を散乱させ、他の実施形態では、周辺フランジは可視放射線に対して実質的に不透明とすることができる。さらに他の場合、周辺フランジは、中心光学素子が像を形成する網膜の一部へ周辺光線を屈折または回折する、あるいは光の一部を影領域へ集光する集光素子として機能して、異常光視症を抑制する。他の実施形態では、分離された光学フランジを利用するよりも、IOLの光学素子は、眼に大きな角度で入射した周辺光線を捕捉し、またはその光線の方向を変えるのに十分な大きさを持つことで異常光視症を抑制する。「眼内レンズ」という用語及びその略語「IOL」は、ここでは、固有の水晶体が除去されるか否かにかかわらず、患者の固有の水晶体を置換するか他の視力向上の何れかのために目の内部に埋め込まれるレンズを記述するために、同じ意味で用いられる。
【0032】
図1A及び図1Bは、本発明の一つの実施形態によるIOL10の概略を示し、IOL10は光軸OAに対して配置される中心光学素子12及び周辺フランジ14を有し、周辺フランジ14は中心光学素子を囲む。この実施形態では、中心光学素子は光軸に対して約2mmから約3.5mmの範囲内の半径(R)を持ち、周辺フランジは光軸に対して約2.5mmから約4.5mmの範囲内の半径(R')を持つ。
【0033】
中心光学素子12は、前面16と後面18とを有し、前面16と後面18は協働して所望の光学パワーを提供する。この実施形態では、中心光学素子は両凸形状を有しているが、他の実施形態では、中心光学素子は他の形状、例えば、凸−凹、平凸または平凹を持っていてもよい。同様に、周辺フランジは、前面20と後面22とを有する。この実施形態では、フランジの前面及び後面は、略平面であるが、他の実施形態では、フランジの前面及び後面はそこに入射した光に焦点を結ばせる曲面であってもよい。
【0034】
光学素子12及び周辺フランジ14は、軟性アクリル、シリコン、ヒドロゲル、または特定用途に対して必要な屈折率を持つ、他の生体適合性高分子材料といった生体適合性材料により形成されることが好ましい。例えば、幾つかの実施形態では、光学素子及び周辺フランジは、アクリソフ(Acrysof)として通常知られる、2-フェニルエチルアクリレート(2-phenylethyl acrylate)と2-フェニルエチルメタクリレート(2-phenylethyl methacrylate)の架橋されたコポリマーで形成される。またIOL10は固定部材(触覚)24のペアを含み、その固定部材は眼におけるIOLの配置を容易にする。触覚24も、ポリメチルメタクリレートといった適切な生体適合性材料で形成される。幾つかの実施形態では、触覚は光学素子と一体的に形成され、他の実施形態(マルチピースIOLと呼ばれる)では、触覚は光学素子と分離して形成され、公知の方法により光学素子に取り付けられる。後者の場合、触覚を形成する材料は光学素子を形成する材料と同じでも、異なっていてもよい。レンズの安定及び中心位置合わせを維持する、例えば、Cループ、Jループ及び面形状触覚設計を含む、様々な触覚の設計が公知であることは明らかであろう。本発明において、これらの触覚設計の何れかを採用することは容易である。
【0035】
引き続いて図1A及び図1Bを参照すると、フランジの前面20はテクスチャ化され、そこに入射した光を散乱させる。以下に述べるように、この実施形態では、IOLが眼に埋め込まれると、大きな視角で眼に入射した周辺光線の少なくとも一部はテクスチャ化されたフランジの前面に入射し、そしてその光線が散乱して2次像の形成を抑制する。ここで用いられる「大きな視角」という用語は、眼の視軸に対して約50度よりも大きい角度、例えば、約50度から約80度の範囲内の角度を表す。この実施形態では、フランジの前面のテクスチャ化は、約0.2ミクロンから約2ミクロンの範囲内の物理的な面振幅を持つ複数の面の凹凸26により達成される。多くの実施形態では、テクスチャ化された面による光の散乱は、その面に入射した光の少なくとも40%、または少なくとも約90%、あるいは少なくとも約95%を複数の方向にわたってランダムに分布させる。
【0036】
幾つかの実施形態では、IOLの周辺フランジは、IOLの中心光学素子に対して前側または後側へ傾斜していてもよい。例として、図1Cを参照すると、IOL110’は、周辺フランジ20’で囲まれた中心光学素子12’を有し、周辺フランジ20’は中心光学素子に対して傾斜している。特に、中心光学素子のエッジ面ES1の法線N1は、IOLの光軸OAに対して略直交しており、それに対してフランジのエッジ面ES2の法線N2は光軸に対して角度θをなす。フランジは、例えば、上記または以下に述べる方法により、異常光視症を抑制するように構成される。さらに、この実施形態または他の実施形態の幾つかの実施例では、フランジの厚さは、中心光学素子の厚さの最小値(または平均値)よりも小さい(例えば、約5倍だけ小さい)。
【0037】
白内障手術中に、曇ってしまった固有の水晶体を除去し、IOL10で置換することができる。例として、例えば、ダイヤモンドブレードを用いて、角膜が切開されて眼に他の器具を挿入することを可能とする。続いて、前側水晶体嚢がその切開を介してアクセスされ、円形に切断されて眼から除去される。そしてプローブが角膜の切開を通じて挿入され、超音波を用いて水晶体を粉砕し、そのレンズの破片を吸引する。インジェクタを用いて、折り曲げられた状態でいるIOLをオリジナルの水晶体嚢に配置する。挿入後、IOLは展開され、その触覚が水晶体嚢内にIOLをしっかりと固定する。
【0038】
幾つかの場合、IOLは鉗子挿入を用いるよりもインジェクタシステムを利用することにより眼に埋め込まれる。例えば、小さな切開を通じて眼内に挿入するのに適したノズルを持つインジェクションハンドピースを用いることができる。IOLは、折り曲げられ、捻られ、あるいは他の圧縮された状態でノズルボアを通じて押し出され、水晶体嚢へ配送される。そのようなインジェクションシステムの使用は、小さな切開を通じてIOLを眼内に埋め込むことを可能とし、さらに専門医によるIOLのハンドリングを最小化するという利点を有する。例として、米国特許第7,156,854号、「レンズ配送システム」がIOLインジェクタシステムを開示している。この特許文献は、参照としてここに組み込まれる。IOL10といった、本発明の様々な実施形態によるIOLは、その形状及びサイズがインジェクタシステムを用いて小さな切開を通じてIOLを眼に挿入することを可能にしつつ、異常光視症を抑制するよう設計されることが好ましい。
【0039】
一旦眼に埋め込まれると、この例示の実施形態では、IOLの中心光学素子は視野像を形成し、IOLの周辺フランジは異常光視症を引き起こす2次周辺像の形成を抑制する。異常光視症を抑制する周辺フランジの役割をさらに説明するため、図2Aは眼に埋め込まれた従来のIOL28を示し、図2Bは眼に埋め込まれた上記のIOL10を示す。図2Aを参照すると、従来のIOL28は、眼に入射する複数の光線(光線17など)を網膜上に集光することにより、視野の像I1を形成する。しかし、大きな視角で眼に入射する複数の周辺光線(光線19など)は、角膜によって屈折されるが、IOL28を透過しない。これらの光線自体は像I1から離れた位置で網膜に達し、多くの場合2次周辺像I2を形成する。そのような2次像の形成は、例えば、約25%から約100%の範囲内で、患者によるそれらの像間に影状の現象の知覚をもたらす。
【0040】
これに対して、図2Bに概略的に示されるように、IOL10の中心光学素子12は、複数の光線(光線30など)を網膜上に集光することにより、患者の網膜上に像I1を形成し、大きな視角で眼に入射する周辺光線(光線32など)は周辺フランジ14のテクスチャ化された前面20に入射する。テクスチャ化された面は入射した光線を散乱させ、それによりそれらの光線が患者の網膜上に2次像を形成することを抑制する。この方法で、IOLは異常光視症を抑制する。
【0041】
この実施形態では、フランジ14の後面22はテクスチャ化されておらず(フランジの後面は滑らかな面プロファイルを持つ)、後嚢混濁(PCO)が生じる可能性を最小化している。しかし、他の実施形態では、フランジの後面、またはフランジの前面と後面の両方がテクスチャ化されることもある。
【0042】
この実施形態の幾つかの他の実施例では、2次周辺像の形成を抑制するよりも、テクスチャ化されたフランジは、そのような2次周辺像とIOLにより形成される主像との間の影領域へ光線の一部を散乱させて、周辺視についての利点を有する2次周辺像を失わないようにしつつ、例えば、暗い影のような周辺視覚アーティファクトをIOLユーザが知覚することを抑制する。例えば、図2Cに概略的に示されるように、IOL10が患者の眼に埋め込まれると、その中心光学素子は視野の像I1を形成する。しかしこの場合、フランジが非常に大きな視覚で眼に入射する周辺光線を捕捉できるほど、IOLは十分に大きくない。そのような場合、それらの光線の少なくとも一部(例えば、例示の光線21)は、IOLを透過せず、そのため角膜によってのみ屈折されて2次周辺像(I2)を形成する。この2次周辺像はIOLユーザの周辺視を広げることができるものの、上記のように、場合によっては、例えば二つの像間の影領域の存在により、異常光視症を引き起こし得る。この効果を軽減するために、この場合、フランジのテクスチャ化された面は、その面に入射した光線の一部(例示の光線23など)をそのような影領域へ散乱させ、それにより周辺視覚アーティファクトの知覚を軽減し、好ましくは防止する。
【0043】
上記の例示のIOL10では、フランジ14の前面全体がテクスチャ化されているが、他の実施形態では、その面の中心部のみがテクスチャ化されてもよい。例えば、図3は、中心光学素子36と周辺フランジ38とを有するIOL34を示し、側頭部側から大きな視角で眼に入射する周辺光を受光する、フランジの前面の一部40がテクスチャ化される。
【0044】
他の実施形態では、IOLの周辺光学フランジは、異常光視症を抑制するために可視放射線に対して不透明となっている。例として、図4はそのような実施形態によるIOL42の概略を示し、IOL42は周辺フランジ46に囲まれた中心光学素子44を有する。図示していないが、IOL42は、患者の眼にIOLを配置することを容易にする複数の固定部材(触覚)を有していてもよい。中心光学素子44は、前面48と後面50とを有し、それらの面は協働して患者の網膜上に視野を結像するための所望の光学パワーを提供する。さらに、周辺光学フランジは、前面52と後面54とを有する。この実施形態では、フランジの前面及び後面は略平面であるが、他の実施形態では、フランジの前面及び後面は曲線プロファイルを有していてもよい。
【0045】
引き続き図4を参照すると、フランジ46は可視放射線に対して不透明となっており、大きな視角で眼に入射した周辺光線が網膜に達することを抑制し、またはそれらの光線の強度を減衰させる。ここで用いられる「可視放射線に対して不透明」という用語は、可視放射線、例えば、約380nmから約780nmの波長を持つ放射線の強度を、約25%よりも大きいか、約40%よりも大きいか、または約90%よりも大きいか、あるいは約95%よりも大きいか、若しくは約100%減衰させる不透明性を表す。例として、多くの実施形態では、不透明なフランジを透過する入射放射線の強度は、約25%よりも大きく、好ましくは約50%よりも大きく減衰される。
【0046】
幾つかの場合、フランジの不透明性は、フランジの生体適合性材料に、可視波長領域に吸収スペクトルを持つ1以上の染料を含浸させることにより達成される。そのような染料の例は、米国特許第5,528,322号、「重合性黄色染料及び眼内レンズにおけるその使用」、米国特許第5,470,932号、「重合性黄色染料及び眼内レンズにおけるその使用」、米国特許第5,543,504号、「重合性黄色染料及び眼内レンズにおけるその使用」、及び米国特許第5,662,707号、「重合性黄色染料及び眼内レンズにおけるその使用」において提供されている。これらの特許文献の全ては、ここに参照として組み込まれる。さらに、この実施形態では、周辺の拡張部全体が不透明となっているが、他の実施形態では、周辺拡張部の一部のみ、例えば、拡張部の前面及び/または後面付近がそのような不透明性を示してもよい。
【0047】
他の実施形態では、周辺フランジは半透明となっており、大きな視角で眼に入射した周辺光線が2次周辺像を生成することを抑制し、または光の一部が2次周辺像とIOLにより形成される主像との間の影領域に達するよう、周辺フランジを透過した光を拡散させる。例として、図5Aはそのような実施形態によるIOL56の概略を示し、IOL56は中心光学素子58と、その中心光学素子を囲む周辺フランジ60とを有する。周辺フランジは可視放射線に対して半透明となっている。この場合、周辺フランジは周辺光線を透過させるが、拡散させる。このことは2次像の形成を阻害するか、または2次周辺像とIOLの主像との間の光強度が減衰した網膜の領域へ、光線の一部を入射させ、それにより異常光視症を防ぐか、少なくとも軽減する。例として、半透明なフランジは、生体適合性の透明な高分子材料内に散乱中心を組み込むことで形成される。幾つかの場合、周辺フランジは、約0.2ミクロンから約2ミクロンの範囲(好ましくは、約0.2ミクロンから約0.4ミクロンの範囲)内の振幅を持つ面の凹凸(またはラフネス)を少なくともその一方の面に形成することにより、半透明とすることができる。
【0048】
さらに他の実施形態では、周辺フランジは大きな視角で眼に入射した周辺光線を、患者の網膜上の中心光学素子により形成される像の周辺へ向けて、IOLユーザの周辺視を向上しつつ、異常光視症を抑制するよう適合された1以上の曲面を有していてもよい。例として、図5Bは、光学フランジ61が連結された中心光学素子59を持つIOL57の概略を示す。中心光学素子59は、前面59aと後面59bとを有する両凸レンズ形状をしている。しかし、中心光学素子を、平凸または平凹といった他の形状とすることも可能である。前面と後面の曲率は、中心光学素子が視野像を生成するための所望の光学パワー、例えば、約-15Dから約40Dの範囲内の光学パワーを提供するよう選択される。図示していないが、IOL57は眼内の移植を確実にするための触覚を有していてもよい。
【0049】
引き続き図5Bを参照すると、周辺フランジは前面61aと後面61bとから形成され、その両方の面は曲面である。多くの実施形態では、これらの面の曲率は、フランジが中心光学素子59の光学パワーと略同一の光学パワーを提供するようにされる。そのような実施形態では、フランジは、フランジに入射した周辺光線を網膜上へ集光し、周辺光線が中心光学素子により集光された光線とともに、単一の視野像を形成する。
【0050】
幾つかの他の実施形態では、フランジにより提供される光学パワーは、中心光学素子の光学パワーよりも小さくてよい。例えば、フランジの光学パワーを、中心光学素子の光学パワーと約25%から約75%の範囲内だけ異ならせることができる。例として、幾つかの実施形態では、フランジの光学パワーは中心光学素子の光学パワーの約50%よりも小さい。場合によっては、フランジの光学パワーは角膜の光学パワー、及び/または角膜と中心光学素子を組み合わせた光学パワーよりも(例えば、約25%から約75%の範囲内(例えば、約50%)だけ)小さくてよい。
【0051】
幾つかの場合では、フランジは回折構造を有し、その回折構造は、眼に入射し、IOLを透過しない周辺光線により形成される2次周辺像と、IOLにより形成される像との間の影領域へ回折構造に入射した光線を向ける。例として、図5Cは、IOL63の概略を示し、IOL63は中心光学素子65と、その中心光学素子を囲む周辺フランジ67とを有し、周辺フランジ67は前面67aと後面67bとを持つ。回折構造69は、フランジの前面に配置される。回折構造69は複数の回折ゾーン71から形成されており、各回折ゾーンはステップにより隣接するゾーンと分離されている。この実施形態では、ステップの高さは均一であり(他の実施形態において、ステップ高さを不均一とすることも可能である)、次式により表される。
【数1】

λは設計波長(例えば、550nm)を示し、
aは様々な次数に関する回折効率を制御するために調節可能なパラメータを示し、例えば、aは1となるように選択される。
n2は光学素子の屈折率を示す。
n1はレンズが置かれた媒体の屈折率を示す。
【0052】
使用の際、回折構造69は、その構造に入射した光線の少なくとも一部を、2次周辺像とIOLによって形成された像の間の影領域へ向ける。幾つかの実施例では、回折構造は、中心光学素子の光学パワーよりも(例えば、約25%から約75%の範囲だけ)小さい光学パワーを提供する。多くの実施形態では、回折構造69は軸外の周辺光線を受光し、その回折構造は、そのような周辺光線(例えば、約50度から約80度の範囲内の視角で眼に入射した光線)が中心光学素子により形成される像と、眼に入射し、IOLを透過しない光線により形成される像との間の網膜の影領域に達するように、それらの周辺光線を曲げるのに効果を持つ光学パワーを持つことによって特徴付けられる。
【0053】
幾つかの実施形態では、フランジは、光を網膜の影領域へ向けるフレネルレンズを有する。例として、図5Eは、そのような実施形態による、IOL81の概略を示し、IOL81は周辺フランジ85によって囲まれた中心光学素子83を有し、周辺フランジ85は前面85aと後面85bとを持つ。フレネルレンズ87は前面に配置され、そのレンズに入射した光線を網膜の影領域へ向けるよう適合される。そのために、多くの実施例では、フレネルレンズは、角膜単独の光学パワー及び/または角膜とIOLの中心光学素子の光学パワーよりも小さい光学パワーを持つ。例えば、フレネルレンズの光学パワーは、角膜単独の光学パワー及び/または角膜とIOLの中心光学素子の光学パワーの約半分とすることができる。
【0054】
他の実施形態では、中心光学素子及び分離した周辺フランジを用いるよりも、IOLは、視野像を生じる集光面として機能する中心部と、例えば、大きな視角で眼に入射する周辺光線による2次像の形成を抑制するか、または光を影領域へ向けることにより、異常光視症を抑制するよう適合された周辺部とを持つ光学面を含む。例として、図6A及び図6Bは、そのような実施形態によるIOL62の概略を示し、IOL62は光軸OAに対して配置された前面66と後面68とを持つ光学素子64を有する。光学素子64は、光軸に対して、約2mmから約4.5mmの範囲内、好ましくは約2.5mmから約3.5mmの範囲内の半径方向の広がりRを持つ。前面及び後面は、それぞれ、IOLが患者の眼に埋め込まれたときに、協働して視野の像を形成する中心部66a及び68aと、例えば、2次像の形成を阻害することにより、異常光視症を抑制する周辺部66b及び68bとを持つことにより特徴付けられる。中心部66a及び68aは、光軸に対して約2mmから約3.5mmの範囲内の半径を持ち、周辺部66b及び68bは約0.5mmから約1mmの範囲内の幅(w)を持つ。先の実施形態と同様に、IOL62は、眼内におけるIOLの配置を容易にする固定部材(触覚)70のペアを有してもよい。
【0055】
この実施形態では、前面66の周辺部66bは、そこに入射した光線を散乱させる複数の面の凹凸72を含む。言い換えれば、前面の周辺部はテクスチャ化される。多くの場合、その凹凸は、約0.2ミクロンから約2ミクロンの範囲内の物理的な面振幅を持つ。
【0056】
図7Aに概略的に示されるように、幾つかの実施例では、IOL62が一旦眼に埋め込まれると、前面及び後面の中心部は、視野像を、例えば例示の光線72を網膜上へ集光することにより形成する。しかし、IOLの前面の周辺部66bは、大きな視角、例えば、約50度よりも大きい視角で眼に入射する周辺光線(光線74など)を受光し、その光線を散乱させる。そのような散乱は、それらの周辺光線が影領域の知覚をもたらす2次像を形成することを抑制する。
【0057】
あるいは、図7Bを参照すると、幾つかの他の実施例では、IOLの前面のテクスチャ化された周辺部66bは、2次周辺像の形成を阻害するよりも、その周辺部へ入射した光線の一部を、そのような2次周辺像(I2)とIOLにより形成される主像(I1)との間の影領域へ向ける。
【0058】
この実施形態では、前面の周辺部がテクスチャ化されているが、他の実施形態では、後面の周辺部、または両方の面の周辺部がテクスチャ化されてもよい。ただし、幾つかの場合、後嚢混濁(PCO)のリスクを低下させるので、前面の周辺部をテクスチャ化するよう制限することが好ましい。
【0059】
図8A及び図8Bを参照すると、他の実施形態では、IOL76は光軸OAに対して配置された光学素子78を有し、その光学素子は周辺部82により囲まれた中心部80を有する。特に、IOL76は、前面82と後面84とを有し、各面は中心部(面82及び84にそれぞれ対応する部分82a及び84a)から周辺部(面82及び84にそれぞれ対応する部分82b及び84b)まで広がる。光学素子78は、約2mmから約4.5mmの範囲内の半径を持つとともに、中心部は約2mmから約3.5mmの範囲内の半径を持ち、周辺部66は約0.5mmから約1mmの範囲内の幅を持つ。多くの実施形態では、不透明な周辺部は、レンズを形成する生体適合性高分子材料に1以上の適切な染料を含浸させることによって形成できる。
【0060】
この実施形態では、周辺部82は可視放射線に対して不透明である。IOL76が患者の眼に埋め込まれると、光学素子の中心部は視野の像を形成する。しかし、大きな視角で眼に入射する複数の周辺光線は、IOL76の周辺部に入射する。周辺部は不透明なので、そのような周辺光線の大部分(幾つかの場合では、周辺光線の全て)は網膜に達せず、そのため2次周辺像の形成を抑制し、または2次周辺像の強度を大幅に低下させる。例として、周辺部は、周辺部を透過する光線の強度を、少なくとも約25%か、少なくとも約40%か、または少なくとも約90%か、あるいは少なくとも約95%か、若しくは100%減衰させる。
【0061】
図9は、本発明の他の実施形態によるIOL86の概略を示し、IOL86は前面90と後面92から形成される光学素子88を有する。光学素子88は、視野像を形成するよう適合される中心部88aと、異常光視症を抑制するよう適合される半透明な周辺部88bとを有する。多くの場合、光学素子の中心部は約2mmから約3.5mmの範囲内の半径を持ち、半透明な環状部は約0.5mmから約1mmの範囲内の幅(w)を持つ。使用の際、IOLの半透明な部分は、大きな視角で眼に入射する光線を受光し、その光線が網膜上に2次周辺像を形成することを抑制する。あるいは、いくつかの実施例では、2次周辺像の形成を阻害するよりも、半透明部は、その半透明部に入射した光線の少なくとも一部をそのような2次周辺像とIOLの主像との間の影領域へ向けることで異常光視症を抑制する。
【0062】
図10Aを参照すると、幾つかの実施形態では、IOL73は、前面75と、後面77お、その前面の周辺部(または他の実施例では後面の周辺部)に配置された回折構造79とを有し、その回折構造79は、その構造に入射した光線の一部を2次周辺像とIOLにより形成される像との間の影領域へ向ける。例として、回折構造のパラメータは、上述したIOL63に関して上記した手法によって選択できる。図10Bを参照すると、幾つかの実施例では、フレネルレンズ89がIOL73’の前面75’の周辺部に配置され、フレネルレンズに入射した光を網膜の影領域へ向ける。幾つかの場合、そのようなフレネルレンズの光学パワーは、角膜単独の光学パワー及び/または角膜とIOLを組み合わせた光学パワー(例えば、その約半分)よりも小さい。
【0063】
他の実施形態では、異常光視症を抑制するのに十分大きい集光光学素子を有するIOLが提供される。例として、図11は、そのような実施形態によるIOL94の概略を示し、IOL94は約6.5mmよりも大きい直径、好ましくは約6.5mmから約8mmの範囲内の直径を持つ光学素子96を有する。光学素子は、前面96aと後面96bとから形成され、それらの面は協働して視野の像を形成する。多くの実施形態では、前面と後面とは協働して約-15Dから約40Dの範囲内の光学パワーを提供する。
【0064】
図12を参照すると、一旦IOL94が患者の眼に埋め込まれると、光学素子96は中心光線(98a及び98bなど)を集光するだけでなく、大きな視角、例えば、約50度から約80度の範囲内の角度で眼に入射する周辺光線(例示の光線100など)も集光して、視野の単一の像I1を形成する。言い換えれば、光学素子は、周辺光線を受光し、それらの光線が集光されてIOLにより形成される単一像の周辺部を生成するようにする。
【0065】
幾つかの実施例では、IOL94は、例えば、約-10から約-100の範囲内の円錐定数、または約-15から約-25の範囲内の円錐定数によって特徴付けられる、少なくとも一つの非球面を有してもよい。さらに、幾つかの場合、IOL94の少なくとも一つの面は、トーリックプロファイル(すなわち、二つの直交する面方向に沿って異なる二つの光学パワーにより特徴付けられるプロファイル)を有してもよい。IOLにおける非球面及び/またはトーリック面の使用に関する追加的な教示は、ここに述べられる様々な実施形態のように、2005年12月1日に出願された米国特許出願第11/000,728号及びその公開公報第2006/0116763号、「コントラスト向上非球面眼内レンズ」において見ることができる。この特許文献は、その全体が参照としてここに組み込まれる。
【0066】
上記の実施形態では、IOLは単一の光学パワーを提供しているが、他の実施形態では、例えば、回折構造を利用することにより、遠焦点光学パワーだけでなく近焦点光学パワーも備える多焦点IOLが提供される。例として、そのような回折構造は、上述した実施形態の何れかに対応するIOLの光学素子の前面(または後面若しくは両面)に配置される。例えば、図13A及び図13Bを参照すると、そのような一つの実施形態によるIOL102は、周辺フランジ106により囲まれた中心光学素子104を有し、その周辺フランジ及び中心光学素子は光軸に対して配置される。中心光学素子は、前面108と後面110とを有する。一旦IOLが患者の眼に埋め込まれると、中心光学素子は患者の網膜上に視野の像を形成し、周辺フランジは異常光視症を抑制する。このために、幾つかの実施形態では、周辺フランジが大きな視角で眼に入射した周辺光線を散乱させ、他の実施形態では、周辺フランジは不透明または半透明であり、それら周辺光線による2次像の形成を抑制する。光学素子の前面及び後面の曲率は、IOLが所望の遠焦点光学パワー、例えば、約-15Dから約34Dの範囲内の遠焦点光学パワーを提供するよう選択される。
【0067】
引き続き図13A及び図13Bを参照すると、前面に配置された回折構造108は、近焦点光学パワー、例えば、約1Dから約4Dの範囲内の近焦点光学パワーを提供する。この実施形態では、回折構造108は、光軸OAから増加する距離の関数として高さが減少することを示す複数のステップ(他の実施形態ではステップの高さを均一としてもよい)により互いに分離された複数の回折ゾーン110を含む。言い換えれば、この実施形態では、回折ゾーンの境界におけるステップ高さは「アポタイズ」されて、絞りサイズの関数として近焦点及び遠焦点に回折される光エネルギーの割合を変える(例えば、絞りサイズが大きくなるにつれて、光エネルギーのより多くが遠焦点へ回折される)。例として、各ゾーンの境界におけるステップ高さは、次式に従って定義される。
【数2】

λは設計波長(例えば、550nm)を示し、
aは様々な次数に関する回折効率を制御するために調節可能なパラメータを示し、例えば、aは1.9となるように選択される。
n2は光学素子の屈折率を示す。
n1はレンズが置かれた媒体の屈折率を示す。
fapodizeは、レンズの前面と光軸の交点からの半径方向に増加する距離の関数として減少する値を持つスケーリング関数を表す。例として、スケーリング関数fapodizeは次式により定義される。
【数3】

riはi番目のゾーンの半径方向の距離を示し、
routは最後の二重焦点回折ゾーンの外側半径を示す。また、他のアポダイゼーションスケーリング関数を採用することも可能であり、そのような関数は、同時係属中の特許出願第11/000770号、“アポダイズ非球面回折レンズ”、2004年12月1日出願、に開示されている。その文献は、ここに参照として組み込まれる。また、アポタイズ回折レンズに関する更なる教示は、米国特許第5,688,142号、「回折多焦点眼内レンズ」において見つけられる。その文献は、ここに参照として組み込まれる。
【0068】
この例示の実施形態では、回折ゾーンは環状領域で形成され、ゾーン境界の半径方向位置(ri)は次式に従って定義される。
【数4】

iはゾーン番号を示し(i=0は中心ゾーンを示す)、
riはi番目のゾーンの半径方向の位置を示し、
λは設計波長を示し、
fは追加パワーを示す。
【0069】
射出成型といった、公知の様々なIOL製造技術を、本発明の教示によるIOLを形成するために採用できる。
当業者は、本発明の範囲から外れることなく、上記の実施形態に様々な修正を行うことができることが理解できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内レンズ(IOL)であって、
中心光学素子と、
前記中心光学素子を囲む周辺光学フランジとを有し、
前記中心光学素子は視野像を前記IOLが埋め込まれた患者の眼の網膜上に形成し、かつ、前記周辺光学フランジは患者の周辺視野における視覚アーティファクトの知覚を抑制する、
ことを特徴とするIOL。
【請求項2】
前記周辺光学フランジは、眼に入射し、前記IOLを透過しない周辺光線による2次周辺像の形成を抑制する、請求項1に記載のIOL。
【請求項3】
前記周辺光学フランジは、光線の一部を、前記IOLにより形成される像と、眼に入射し、前記IOLを透過しない周辺光線により形成される2次像との間の影領域へ向ける、請求項1に記載のIOL。
【請求項4】
前記中心光学素子は約2mmから約3.5mmの範囲内の半径を持ち、前記周辺光学フランジは約0.5mmから約1mmの範囲内の幅を持つ、請求項1に記載のIOL。
【請求項5】
前記周辺光学フランジは少なくとも一つのテクスチャ化された面を有する、請求項1に記載のIOL。
【請求項6】
前記テクスチャ化された面は、約0.2ミクロンから約2ミクロンの範囲内の物理的面振幅を持つ複数の面の凹凸を有する、請求項5に記載のIOL。
【請求項7】
前記周辺光学フランジは前面と後面とを有し、前記テクスチャ化された面は当該前面を形成する、請求項1に記載のIOL。
【請求項8】
前記テクスチャ化された面は、大きな視角で眼に入射する周辺光線を受光し、該周辺光線を散乱させて該周辺光線が2次像を形成することを阻害するよう適合される、請求項6に記載のIOL。
【請求項9】
前記テクスチャ化された面は、当該テクスチャ化された面に入射した光線の少なくとも一部を、前記IOLにより形成される像と、眼に入射し、前記IOLを透過しない周辺光線により形成される2次周辺像との間の影領域へ散乱させるよう適合される、請求項6に記載のIOL。
【請求項10】
前記周辺光学フランジは可視放射線に対して不透明である、請求項1に記載のIOL。
【請求項11】
前記不透明な周辺光学フランジは、眼に大きな視角で入射する周辺光線を受光し、該周辺光線が網膜上に2次像を形成することを抑制するよう適合される、請求項10に記載のIOL。
【請求項12】
前記不透明な周辺光学フランジは、眼に大きな視角で入射する周辺光線を受光し、該周辺光線により形成される2次周辺像の強度を低下させるよう適合される、請求項10に記載のIOL。
【請求項13】
前記周辺光学フランジは可視放射線に対して半透明である、請求項1に記載のIOL。
【請求項14】
前記半透明な周辺光学フランジは、眼に大きな視角で入射する周辺光線を受光し、該周辺光線が網膜上に患者の視野において影領域を知覚させる2次像を形成することを抑制するよう適合される、請求項13に記載のIOL。
【請求項15】
前記半透明な周辺光学フランジは、当該半透明な周辺光学フランジに入射した光線の少なくとも一部を、前記IOLにより形成される像と、眼に入射し、前記IOLを透過しない光線により形成される2次周辺像との間の影領域へ拡散させる、請求項13に記載のIOL。
【請求項16】
前記周辺光学フランジの面に配置された回折構造をさらに有する、請求項1に記載のIOL。
【請求項17】
前記回折構造は、前記中心光学素子の光学パワーよりも小さい光学パワーを提供する、請求項1に記載のIOL。
【請求項18】
前記回折構造は、角膜の光学パワーよりも小さい光学パワーを提供する、請求項1に記載のIOL。
【請求項19】
前記回折構造は、角膜と前記中心光学素子を組み合わせた光学パワーよりも小さい光学パワーを提供する、請求項1に記載のIOL。
【請求項20】
前記周辺光学フランジは、屈折光学パワーを提供する1以上の曲面を有する、請求項1に記載のIOL。
【請求項21】
前記周辺光学フランジの前記光学パワーは、前記中心光学素子の光学パワーよりも約25%から約75%の範囲内だけ小さい、請求項20に記載のIOL。
【請求項22】
前記周辺光学フランジの前記光学パワーは、角膜の光学パワーまたは角膜と前記中心光学素子を組み合わせた光学パワーの何れかよりも小さい、請求項20に記載のIOL。
【請求項23】
前記中心光学素子は、眼に前記IOLを挿入することを可能とするよう折り曲げ可能である、請求項1に記載のIOL。
【請求項24】
前記中心光学素子の面に配置された回折構造をさらに有する、請求項1に記載のIOL。
【請求項25】
前記回折構造は、約1Dから約4Dの範囲内の近焦点光学パワーを提供する、請求項24に記載のIOL。
【請求項26】
前記中心光学素子は前側光学面と後側光学面とを有し、前記回折構造は、該前側光学面に配置される、請求項24に記載のIOL。
【請求項27】
眼内レンズ(IOL)であって、
前面と後面とを有する光学素子を有し、
前記光学素子は周辺部まで広がる中心部を有することで特徴付けられ、
前記光学素子は視野像を前記IOLが埋め込まれた患者の眼の網膜上に形成し、かつ、前記周辺部は患者の周辺視野における視覚アーティファクトの知覚を抑制するよう適合されたことを特徴とするIOL。
【請求項28】
前記光学素子は約4mmから約9mmの範囲内の直径を持つ、請求項27に記載のIOL。
【請求項29】
前記光学素子の前記周辺部はテクスチャ化された領域を含み、該テクスチャ化された領域は当該領域に入射した光線を散乱させるよう適合される、請求項27に記載のIOL。
【請求項30】
前記光学素子の前記前面の周辺部が前記テクスチャ化された領域を含む、請求項29に記載のIOL。
【請求項31】
前記周辺部は可視放射線に対して不透明である、請求項27に記載のIOL。
【請求項32】
前記不透明な周辺部は、眼に大きな視角で入射する周辺光線を受光し、該周辺光線が網膜上に2次像を形成することを抑制するよう適合される、請求項31に記載のIOL。
【請求項33】
前記不透明な周辺部は、眼に大きな視角で入射する周辺光線を受光し、該周辺光線により形成される2次周辺像の強度を低下させるよう適合される、請求項31に記載のIOL。
【請求項34】
前記周辺部は可視放射線に対して半透明である、請求項27に記載のIOL。
【請求項35】
前記半透明な周辺部は、眼に大きな視角で入射する周辺光線を受光し、該周辺光線が網膜上に2次像を形成することを抑制するよう適合される、請求項34に記載のIOL。
【請求項36】
前記半透明な周辺部は、当該半透明な周辺部に入射した光線の少なくとも一部を、前記IOLにより形成される像と、眼に入射し、前記IOLを透過しない周辺光線により形成される2次周辺像との間の影領域へ拡散させる、請求項34に記載のIOL。
【請求項37】
前記周辺部は、該周辺部に入射した光を集光して、前記周辺部が前記中心部とともに視野の単一像を形成する、請求項27に記載のIOL。
【請求項38】
前記前面と前記後面の少なくとも一方に配置された回折構造をさらに有する、請求項27に記載のIOL。
【請求項39】
前記回折構造は、約1Dから約4Dの範囲内の近焦点光学パワーを提供する、請求項38に記載のIOL。
【請求項40】
前記周辺部の面に配置されたフレネルレンズをさらに有する、請求項27に記載のIOL。
【請求項41】
前記フレネルレンズは、眼の角膜の光学パワーよりも小さい光学パワーを提供する、請求項40に記載のIOL。
【請求項42】
前記フレネルレンズは、角膜と前記光学素子を組み合わせたパワーよりも小さい光学パワーを提供する、請求項40に記載のIOL。
【請求項43】
視野矯正方法であって、
中心光学素子と前記中心光学素子を囲む周辺フランジとを有し、前記中心光学素子は視野像を形成するよう適合され、かつ、前記周辺フランジは異常光視症を抑制するよう適合されたIOLを提供し、
前記IOLを患者の眼に埋め込む、
ことを特徴とする方法。
【請求項44】
IOLが埋め込まれた患者の眼の視野における異常光視症を抑制する方法であって、
眼に大きな視角で入射した周辺光線を受光し、該周辺光線が異常光視症を生じさせることを抑制するよう適合された周辺部を持つ前記IOLを提供する、
ことを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2010−525884(P2010−525884A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506575(P2010−506575)
【出願日】平成20年4月29日(2008.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/061896
【国際公開番号】WO2008/137419
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(501449322)アルコン,インコーポレイティド (140)
【Fターム(参考)】