説明

貨幣取引装置および貨幣取引方法

【課題】操作者が毎日同じ時間帯に同じ操作を行う際に操作時間の短縮を図るとともに人的操作ミスを防止することができる貨幣取引装置および貨幣取引方法を提供する。
【解決手段】貨幣取引装置10は、ID情報を受け付けるID情報受付部28と、ID情報に対応する処理可能内容を、予め設定された複数の時間帯毎に記憶する記憶部26と、表示部22と、制御部20とを備えている。制御部20は、現在の時刻、およびID情報受付部28により受け付けられたID情報に対応する、記憶部26に記憶された処理可能内容を表示部22に表示させるよう当該表示部22の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣の処理を行う貨幣取引装置および貨幣取引方法に関し、とりわけ、操作者が毎日同じ時間帯に同じ操作を行う際に操作時間の短縮を図るとともに人的操作ミスを防止することができる貨幣取引装置および貨幣取引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、貨幣の処理を行う貨幣取引装置として様々な種類のものが用いられている。例えば、特許文献1には、金融機関や交通機関の窓口、あるいはスーパーマーケット等の精算所において紙幣や硬貨の入金処理や出金処理を行う貨幣入出金処理システムが開示されている。従来の貨幣取引装置では、操作者が携帯するIDカードをカードリーダにより読み取ることによって操作者ID情報が受け付けられ、この受け付けられた操作者ID情報に基づいて当該操作者ID情報に対応する処理内容が実行可能となる。このようにして、操作者の管理権限に応じて実行可能な処理内容を操作者毎に変えることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4128244号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から用いられている貨幣取引装置では、上述のように、操作者ID情報に基づいて当該操作者ID情報に対応する処理内容が実行可能となっている。しかしながら、操作の予測が行われることがないため、操作者は貨幣取引装置において毎日同じ操作を行わなければならないという問題がある。また、従来から用いられている貨幣取引装置において、時間帯によって処理モードを自動的に変更するものが知られているが、このような貨幣取引装置において操作者の管理権限に応じて処理モードの内容を変えるという処理は従来行われていなかった。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、現在の時刻、およびID情報受付部において受け付けられたID情報に対応する、記憶部に記憶された処理可能内容を表示部に表示させることにより、操作者が毎日同じ時間帯に同じ操作を行う際に操作時間の短縮を図るとともに人的操作ミスを防止することができる貨幣取引装置および貨幣取引方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の貨幣取引装置は、ID情報を受け付けるID情報受付部と、ID情報に対応する処理可能内容を、予め設定された複数の時間帯毎に記憶する記憶部と、表示部と、現在の時刻、および前記ID情報受付部により受け付けられたID情報に対応する、前記記憶部に記憶された処理可能内容を前記表示部に表示させるよう当該表示部の制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このような貨幣取引装置によれば、ID情報受付部においてID情報が受け付けられたときに、現在の時刻、およびID情報受付部において受け付けられたID情報に対応する、記憶部に記憶された処理可能内容のみを表示部に表示させることにより、操作者により実行可能な処理内容とは全く関係のない処理内容を含む全ての処理内容を表示部に表示させる場合と比較して、操作者が毎日同じ時間帯に同じ操作を行う際に操作時間の短縮を図るとともに人的操作ミスを防止することができる。
【0008】
本発明の貨幣取引装置においては、前記ID情報は、操作者ID情報またはレジID情報を含むようになっていてもよい。
【0009】
本発明の貨幣取引装置においては、前記時間帯は、日毎の時間帯または曜日毎の時間帯であってもよい。
【0010】
本発明の貨幣取引装置においては、前記処理可能内容は、前記貨幣取引装置からの貨幣の出金額の上限値に係る情報または前記貨幣取引装置への貨幣の入金額の上限値に係る情報を含んでいてもよい。
【0011】
本発明の貨幣取引装置においては、前記ID情報受付部は、操作者が携帯するIDカードを読み取るカードリーダからなっていてもよい。
【0012】
本発明の貨幣取引装置においては、前記制御部に対して操作者が指令を行うための操作部を更に備え、前記制御部は、前記表示部に処理可能内容が表示された後、前記操作部により確定の指令が与えられたときに、前記貨幣取引装置において前記表示部に表示された前記処理可能内容を実行するよう当該貨幣取引装置の制御を行うようになっていてもよい。
【0013】
本発明の貨幣取引方法は、貨幣取引装置における貨幣取引方法であって、ID情報に対応する処理可能内容を、予め設定された複数の時間帯毎に記憶部に記憶させておく工程と、前記貨幣取引装置においてID情報を受け付ける工程と、現在の時刻、および前記貨幣取引装置において受け付けられたID情報に対応する、前記記憶部に記憶された処理可能内容を表示部に表示させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
このような貨幣取引方法によれば、ID情報が受け付けられたときに、現在の時刻、および受け付けられたID情報に対応する、記憶部に記憶された処理可能内容のみを表示部に表示させることにより、操作者により実行可能な処理内容とは全く関係のない処理内容を含む全ての処理内容を表示部に表示させる場合と比較して、操作者が毎日同じ時間帯に同じ操作を行う際に操作時間の短縮を図るとともに人的操作ミスを防止することができる。
【0015】
本発明の貨幣取引方法においては、前記表示部に処理可能内容が表示された後、前記貨幣取引装置に対して確定の指令が与えられたときに、前記貨幣取引装置において前記表示部に表示された前記処理可能内容を実行する工程を更に備えていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の貨幣取引装置および貨幣取引方法によれば、操作者が毎日同じ時間帯に同じ操作を行う際に操作時間の短縮を図るとともに人的操作ミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一の実施の形態による貨幣入出金機が設けられた店舗システムの構成を示す構成図である。
【図2】図1に示す貨幣入出金機の斜視図である。
【図3】図2に示す貨幣入出金機の制御ブロック図である。
【図4】各々の作業時間帯における操作者毎の処理可能内容を示す表であって、(a)は、土日祝日を除く平日における処理可能内容を示す表であり、(b)は、土日祝日における処理可能内容を示す表である。
【図5】図1に示す店舗システムにおける各処理内容を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図5は、本実施の形態に係る貨幣入出金機(貨幣取引装置)等を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による貨幣入出金機が設けられた店舗システムの構成を示す構成図である。また、図2は、本実施の形態による貨幣入出金機の斜視図であり、図3は、図2に示す貨幣入出金機の制御ブロック図である。また、図4は、各々の作業時間帯における操作者毎の処理可能内容を示す表であり、図5は、図1に示す店舗システムにおける各処理内容を示す表である。
【0019】
図1に示すように、店舗システム1には、複数のレジスター70と、貨幣入出金機10と、金庫80とが設けられている。より詳細には、店舗システム1は、店員が顧客との間で実際にやりとりした現金を入出金するフロント領域2と、フロント領域2の現金や商品を管理するバックヤード領域3とに区分けされており、各レジスター70はフロント領域2に配置されているとともに、貨幣入出金機10および金庫80はバックヤード領域3に配置されている。また、店舗システム1とは別の場所には警備会社90が設けられており、警備会社90における警備員が、貨幣入出金機10や金庫80から店舗システム1における店舗売上金等を回収したり、店舗システム1の各レジスター70で用いられる釣銭準備金等を貨幣入出金機10および金庫80に補充したりするようになっている。
【0020】
次に、図2を用いて貨幣入出金機10の構成の概略について説明する。図2に示すように、本実施の形態による貨幣入出金機10は、紙幣入出金装置40と、硬貨入出金装置50と、棒金投出装置60とを備えている。紙幣入出金装置40は、筐体40aの外部から内部に投入されたバラ紙幣を金種別に収納するとともに、収納されたバラ紙幣を筐体40aの内部から外部に投出するようになっている。また、硬貨入出金装置50は、筐体50aの外部から内部に投入されたバラ硬貨を金種別に収納するとともに、収納されたバラ硬貨を筐体50aの内部から外部に投出するようになっている。また、棒金投出装置60は、筐体60a内に収納された棒金硬貨を当該筐体60aの外部に投出するようになっている。
【0021】
また、図3に示すように、貨幣入出金機10には制御部20が設けられており、紙幣入出金装置40、硬貨入出金装置50および棒金投出装置60はそれぞれ制御部20に接続されている。そして、制御部20がこれらの紙幣入出金装置40、硬貨入出金装置50および棒金投出装置60にそれぞれ制御信号を送ることにより、紙幣入出金装置40、硬貨入出金装置50および棒金投出装置60の制御を行うようになっている。
【0022】
また、図2に示すように、紙幣入出金装置40にはターミナル装置21が載置されており、このターミナル装置21には、様々な情報を表示するためのモニタ等からなる表示部22と、操作者が制御部20に対して様々な指令を行うための操作部24と、操作者が携帯するIDカードを読み取るためのカードリーダ28とがそれぞれ設けられている。本発明においては、ターミナル装置21に設けられたカードリーダ28により、操作者ID情報を受け付けるID情報受付部が構成されている。また、図3に示すように、制御部20には記憶部26が接続されており、この記憶部26には貨幣入出金機10における様々な設定情報、ならびに貨幣の入金結果や出金結果等が記憶されるようになっている。ここで、図3で示される制御部20および記憶部26はそれぞれターミナル装置21内に収容されている。
【0023】
また、ターミナル装置21には、感熱紙等に所定の情報を印字するサーマルプリンタ30と、貨幣入出金機10における貨幣の入金結果や出金結果等の所定の情報を帳票等に印字する認証プリンタ32とが接続されている。図3に示すように、これらのサーマルプリンタ30や認証プリンタ32は制御部20に接続されており、制御部20からサーマルプリンタ30や認証プリンタ32に指令信号が送られることによりこれらのサーマルプリンタ30や認証プリンタ32において印字が行われるようになっている。
【0024】
また、図3に示すように、ターミナル装置21内には、警備会社90に設置されたコンピュータ36や、店舗の本部に設置された上位機器38等に情報を送信したり、これらのコンピュータ36や上位機器38から情報を受信したりする送受信部34が収容されており、この送受信部34は制御部20に接続されるようになっている。
【0025】
次に、図1に示す店舗システム1における様々な処理の内容について図5に示す表を用いて説明する。
【0026】
まず、フロント領域2に設けられたレジスター70とバックヤード領域3に設けられた貨幣入出金機10との間で行われる処理内容としては、以下に示すようなものが挙げられる。具体的には、図1において符号(a)で示すように、レジスター70から貨幣入出金機10へレジ売上金を入金するという処理が行われるようになっている。このような処理は、店長や特定の管理権限を有する社員A、ならびにテナントの店員等により行われるようになっている。
【0027】
また、図1において符号(b)(i)で示すように、貨幣入出金機10から釣銭準備金を出金してレジスター70に補充するという処理が行われるようになっている。このような貨幣入出金機10からの釣銭準備金の出金は、全てのレジスター70に対して行われるか(符号(b))、あるいは操作者が担当する特定の担当レジスター70に対してのみ行われる(符号(i))ようになっている。なお、全てのレジスター70に対して行われる貨幣入出金機10からの釣銭準備金の出金は、店長や社員A、ならびに社員Aよりも管理権限の小さい社員Bや社員C等により行われるようになっている。また、特定の担当レジスター70に対してのみ行われる貨幣入出金機10からの釣銭準備金の出金は、パートやテナントの店員等により行われるようになっている。
【0028】
また、図1において符号(c)(j)で示すように、貨幣入出金機10とレジスター70との間で貨幣を両替するという処理が行われるようになっている。このような貨幣入出金機10とレジスター70との間における貨幣の両替は、全てのレジスター70に対して行われるか(符号(c))、あるいは担当レジスター70に対してのみ行われる(符号(j))ようになっている。なお、全てのレジスター70に対して行われる貨幣入出金機10との間の貨幣の両替は、店長や社員A、社員B、社員C等により行われるようになっている。一方、担当レジスター70に対してのみ行われる貨幣入出金機10との間の貨幣の両替は、パートやアルバイト、テナントの店員等により行われるようになっている。
【0029】
次に、バックヤード領域3にそれぞれ設けられた貨幣入出金機10と金庫80との間で行われる処理内容について説明する。貨幣入出金機10と金庫80の間で行われる処理内容としては、以下に示すようなものが挙げられる。具体的には、図1において符号(d)で示すように、金庫80から取り出された配送金(翌日分の釣銭準備金)を貨幣入出金機10に補充するという処理が行われるようになっている。このような処理は、店長や特定の管理権限を有する社員A等により行われるようになっている。
【0030】
また、図1において符号(e)で示すように、貨幣入出金機10から貨幣を回収して金庫80に収納するという処理が行われるようになっている。このような処理も、店長や社員A等により行われるようになっている。
【0031】
また、図1において符号(f)で示すように、貨幣入出金機10と金庫80との間で貨幣を両替するという処理が行われるようになっている。このような処理も、店長や社員A等により行われるようになっている。
【0032】
次に、バックヤード領域3に設けられた貨幣入出金機10や金庫80と警備会社90の間で行われる処理内容について説明する。貨幣入出金機10や金庫80と警備会社90の間で行われる処理内容としては、以下に示すようなものが挙げられる。具体的には、図1において符号(g)で示すように、警備会社90から配送金(翌日分の釣銭準備金)を受け取り、金庫80に補充するという処理が行われるようになっている。このような処理は、店長等により行われるようになっている。
【0033】
また、図1において符号(h)に示すように、貨幣入出金機10や金庫80から配送金(店舗売上金)の回収を行って警備会社90に運搬するという処理が行われるようになっている。このような処理は、警備会社90の警備員等により行われるようになっている。
【0034】
本実施の形態の貨幣入出金機10においては、ターミナル装置21内に設けられた記憶部26には、図5に示す各処理内容のうち、操作者が操作可能な処理可能内容が、操作者の種類毎に、かつ予め設定された複数の曜日毎の時間帯毎に記憶されるようになっている。より具体的には、図4(a)(b)に示すように、土日祝日を除く平日、および土日祝日の各々について、操作者の種類毎に、7つの時間帯についてそれぞれ1または複数の処理可能内容が設定されており、このような設定内容が記憶部26に記憶されるようになっている。ここで、操作者の種類としては、店長、特定の管理権限を有する社員A、社員Aよりも管理権限の小さい社員Bや社員C、パート、アルバイト、テナントの店員、警備員等が挙げられる。また、時間帯としては、6時〜9時、9時〜12時、12時〜15時、15時〜18時、18時〜21時、21時〜0時、0時〜6時と、3時間または6時間毎に区切られたものが用いられるようになっている。このため、各々の種類の操作者は、図4(a)(b)に示されるような設定内容に基づいて、各々の時間帯について、特定の処理内容のみを実行するようになっている。例えば、パートは、土日祝日を除く平日において、9時から18時までの時間帯では、符号(i)(j)で示す処理内容、すなわちこのパートが担当する特定のレジスター70に対してのみ行われる貨幣入出金機10からの釣銭準備金の出金や、当該パートが担当する特定のレジスター70に対してのみ行われる貨幣入出金機10との間の貨幣の両替のみを行うことができるようになる。
【0035】
次に、このような構成からなる貨幣入出金機10の動作について以下に説明する。以下に示す貨幣入出金機10の動作は、制御部20が貨幣入出金機10の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
【0036】
まず、操作者は、自分が携帯するIDカードをカードリーダ28により読み取らせる。カードリーダ28は、IDカードを読み取ることにより操作者ID情報を検知し、この操作者ID情報を制御部20に送信する。
【0037】
制御部20は、現在の時刻および操作者ID情報に対応する、記憶部26に記憶された処理可能内容を表示部22に表示させる。具体的には、図4に示すような表に基づいて、カードリーダ28により読み取られたIDカードの操作者ID情報および現在の時刻に対応する処理可能内容を表示部22に表示させる。例えば、現在の時刻が平日の13時であり、社員BがIDカードをカードリーダ28により読み取らせた場合には、「釣銭準備金を出金する(全てのレジにて可能)」および「レジ両替を行う(全てのレジにて可能)」という2つの処理可能内容が表示部22に表示されるようになる。なお、操作者がIDカードをカードリーダ28により読み取らせたときに、該当する処理可能内容が存在しないときには、表示部22に「実行可能な処理はありません」と表示される。なお、図5に示す各処理内容のうち、符号(g)で示す処理内容は貨幣入出金機10とは直接関係のないものであり、この符号(g)で示す処理内容が貨幣入出金機10の表示部22に表示されることはない。
【0038】
そして、操作者が操作部24により、表示部22に表示された処理可能内容から実際に処理を行うものを選択し、確定キーを押下すると、当該処理内容が貨幣入出金機10において実行される。なお、貨幣入出金機10から貨幣を出金する場合や、貨幣入出金機10に貨幣を入金する場合には、前述のように確定キーを押下すると、予め設定された貨幣の入金額または出金額に係る情報が表示部22に更に表示される。そして、操作者が操作部24における確定キーを更に押下することにより、表示部22に表示された入金額分または出金額分の貨幣が貨幣入出金機10から入出金される。
【0039】
なお、IDカードがカードリーダ28により読み取られた後に表示部22に表示される処理可能内容について、操作者が実際に行いたい処理内容が存在しなかったり、あるいは表示部22に「実行可能な処理はありません」と表示されたりした場合には、操作者は操作部24におけるESCキーを押下すると、全ての処理内容(例えば図5に示す10種類の処理内容のうち符号(g)で示される処理内容を除く全ての処理内容)が表示部22に表示されるようになる。そして、操作者が操作部24により、表示部22に表示された全ての処理内容の中から実際に処理を行うものを選択し、確定キーを押下すると、当該処理内容が貨幣入出金機10において実行されるようになる。
【0040】
以上のように本実施の形態の貨幣入出金機10においては、操作者ID情報に対応する処理可能内容を、予め設定された複数の時間帯毎に記憶する記憶部26が設けられており、制御部20は、現在の時刻、およびカードリーダ28からなるID情報受付部により受け付けられた操作者ID情報に対応する、記憶部26に記憶された処理可能内容を表示部22に表示させるよう制御を行うようになっている。このように、ID情報受付部において操作者ID情報が受け付けられたときに、現在の時刻、およびID情報受付部において受け付けられた操作者ID情報に対応する、記憶部26に記憶された処理可能内容のみが表示部22に表示されることにより、操作者が毎日同じ時間帯に同じ操作を行う際に操作時間の短縮を図るとともに人的操作ミスを防止することができる。
【0041】
具体的に説明すると、従来の貨幣入出金機では、操作者がIDカードをカードリーダにより読み取らせると、当該操作者により実行可能な処理内容とは全く関係のない処理内容を含む全ての処理内容(例えば図5に示す10種類の処理内容のうち符号(g)で示される処理内容を除く全ての処理内容)が表示部に表示されるようになっており、操作者は、表示部に表示された全ての処理内容の中から実際に実行すべき処理内容を選択しなければならないようになっていた。このため、操作者が誤った処理内容を選択してしまうおそれがあった。また、適切な処理内容を操作者が選択した場合でも、当該処理内容に係る詳細の処理事項の候補が表示部に更に表示され、操作者は表示部に表示された詳細の処理事項の候補の中から一の処理事項を選択する必要があった。例えば、従来の入出金機において、図5における符号(i)で示されるような「釣銭準備金を出金する」という処理内容を選択したときに、表示部には、「1. 当日釣銭準備金」「2. 翌日釣銭準備金」という2つの処理事項の候補が表示され、操作者が例えば「1. 当日釣銭準備金」を選択すると、表示部には更に、「1. 任意出金」「2. パターン出金」という更なる2つの処理事項の候補が表示され、操作者が例えば「2. パターン出金」を選択することにより初めて、設定された額の釣銭準備金が出金されるようになっていた。
【0042】
これに対し、本実施の形態の貨幣入出金機10では、操作者がIDカードをカードリーダ28により読み取らせると、当該操作者により実行可能な処理内容のみが表示部22に表示され、操作者がこの表示部22に表示された処理内容から実際に実行すべき処理内容を選択すると、この処理内容について予め設定された方法により当該処理内容が貨幣入出金機10において実行されるようになっている。具体的には、操作者が図5における符号(i)で示されるような「釣銭準備金を出金する」という処理内容を選択すると、予め設定された貨幣の出金額に係る情報が表示部22に表示される。そして、操作者が操作部24における確定キーを更に押下することにより、予め設定された額の釣銭準備金が出金されるようになる。このように、本実施の形態の貨幣入出金機10では、操作者が携帯するIDカードがカードリーダ28により読み取られた時点で、操作者の種類とその時の時間を制御部20において認識することにより、上述のような従来の貨幣入出金機で必要とされる「当日釣銭準備金」「パターン出金」等の詳細の処理事項の候補の表示および選択について省略(ショートカット)することができるようになる。このように、とりわけ担当の入れ替わりが激しく、機械に不慣れなパートやアルバイトにとっては、貨幣入出金機10における処理を限定することで、上述のようなショートカットメニューが有効となる。
【0043】
以上のように、本実施の形態の貨幣入出金機10では、操作者がIDカードをカードリーダ28により読み取らせると、現在の時刻、およびカードリーダ28において受け付けられた操作者ID情報に対応する、記憶部26に記憶された処理可能内容のみが表示部22に表示されるようになるので、操作者により実行可能な処理内容とは全く関係のない処理内容を含む全ての処理内容を表示部22に表示させる場合と比較して、操作者が毎日同じ時間帯に同じ操作を行う際に操作時間の短縮を図るとともに人的操作ミスを防止することができるようになる。このことにより、例えば、テナントの店員や警備会社90の警備員等が貨幣入出金機10に対して行う処理についても、時間帯により処理内容を限定することができ、これらのテナントの店員や警備会社90の警備員にとって操作時間を短縮することができるようになる。
【0044】
また、本実施の形態の貨幣入出金機10においては、制御部20は、表示部22に処理可能内容が表示された後、操作部24により確定の指令が与えられたときに、貨幣入出金機10において表示部22に表示された処理可能内容を実行するよう当該貨幣入出金機10の制御を行うようになっている。具体的には、IDカードをカードリーダ28により読み取らせることによって表示部22に処理可能内容を表示させた後、操作者が操作部24により、表示部22に表示された処理可能内容から実際に処理を行うものを選択し、確定キーを押下すると、当該処理内容が貨幣入出金機10において実行されるようになる。
【0045】
なお、本実施の形態における貨幣入出金機10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、ID情報として、操作者ID情報を用いる代わりにレジスター70のID情報(以下、レジID情報ともいう)を用いることができる。この場合には、記憶部26には、レジID情報に対応する処理可能内容を、予め設定された複数の時間帯毎に記憶するようになり、制御部20は、現在の時刻およびレジID情報に対応する、記憶部26に記憶された処理可能内容を表示部22に表示させるよう制御を行うようになる。
【0046】
また、予め設定された複数の時間帯は、図4(a)(b)に示すような曜日毎の時間帯ではなく、単に日毎の時間帯であってもよい。この場合には、平日や土日祝日に関係なく、各時間帯における操作者の種類と処理可能内容との関係について例えば図4(a)に示されるような一つの表のみが用いられるようになる。
【0047】
また、本実施の形態の貨幣入出金機10においては、処理可能内容として、貨幣入出金機10からの貨幣の出金額の上限値に係る情報または貨幣入出金機10への貨幣の入金額の上限値に係る情報が含まれるようになっていてもよい。この場合には、操作者は、これらの出金額や入金額の上限値を超える金額の貨幣を入出金することができないようになる。このことにより、例えばパートやアルバイトが貨幣入出金機10から多額の貨幣を出金してしまうといったトラブルを防止することができるようになる。
【0048】
また、本実施の形態の貨幣入出金機10においては、社員がIDカードとしての社員証をカードリーダ28に読み取らせると、制御部20は、店舗の本部に設置された上位機器38に対して当該社員の勤怠データを当該上位機器38から制御部20に送信させ、貨幣入出金機10において勤怠管理を行うようになっていてもよい。
【0049】
また、本実施の形態のレジスター70は、紙幣や硬貨の入出金を自動的に行う釣銭機が接続されたものであってもよい。
【0050】
また、本発明による貨幣取引装置は、図2等に示すような貨幣入出金機10に限定されることはない。本発明による貨幣取引装置として、紙幣入出金装置または硬貨入出金装置のいずれか一方のみが設けられたもの等、様々な種類の貨幣取引装置を用いることができる。また、本発明による貨幣取引装置は、店舗におけるバックヤード領域ではなくフロント領域に設けられるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 店舗システム
2 フロント領域
3 バークヤード領域
10 貨幣入出金機
20 制御部
21 ターミナル装置
22 表示部
24 操作部
26 記憶部
28 カードリーダ
30 サーマルプリンタ
32 認証プリンタ
34 送受信部
36 コンピュータ
38 上位機器
40 紙幣入出金装置
40a 筐体
50 硬貨入出金装置
50a 筐体
60 棒金投出装置
60a 筐体
70 レジスター
80 金庫
90 警備会社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ID情報を受け付けるID情報受付部と、
ID情報に対応する処理可能内容を、予め設定された複数の時間帯毎に記憶する記憶部と、
表示部と、
現在の時刻、および前記ID情報受付部により受け付けられたID情報に対応する、前記記憶部に記憶された処理可能内容を前記表示部に表示させるよう当該表示部の制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする貨幣取引装置。
【請求項2】
前記ID情報は、操作者ID情報またはレジID情報を含むことを特徴とする請求項1記載の貨幣取引装置。
【請求項3】
前記時間帯は、日毎の時間帯または曜日毎の時間帯であることを特徴とする請求項1または2記載の貨幣取引装置。
【請求項4】
前記処理可能内容は、前記貨幣取引装置からの貨幣の出金額の上限値に係る情報または前記貨幣取引装置への貨幣の入金額の上限値に係る情報を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貨幣取引装置。
【請求項5】
前記ID情報受付部は、操作者が携帯するIDカードを読み取るカードリーダからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の貨幣取引装置。
【請求項6】
前記制御部に対して操作者が指令を行うための操作部を更に備え、
前記制御部は、前記表示部に処理可能内容が表示された後、前記操作部により確定の指令が与えられたときに、前記貨幣取引装置において前記表示部に表示された前記処理可能内容を実行するよう当該貨幣取引装置の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の貨幣取引装置。
【請求項7】
貨幣取引装置における貨幣取引方法であって、
ID情報に対応する処理可能内容を、予め設定された複数の時間帯毎に記憶部に記憶させておく工程と、
前記貨幣取引装置においてID情報を受け付ける工程と、
現在の時刻、および前記貨幣取引装置において受け付けられたID情報に対応する、前記記憶部に記憶された処理可能内容を表示部に表示させる工程と、
を備えたことを特徴とする貨幣取引方法。
【請求項8】
前記表示部に処理可能内容が表示された後、前記貨幣取引装置に対して確定の指令が与えられたときに、前記貨幣取引装置において前記表示部に表示された前記処理可能内容を実行する工程を更に備えたことを特徴とする請求項7記載の貨幣取引方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−203450(P2012−203450A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64606(P2011−64606)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】