説明

貨物自動車

【課題】建設機械等の積み込みにおける作業効率を向上するとともに、土砂等の積載の作業効率を向上することができる荷台が備えられた貨物自動車を提供する。
【解決手段】床板とこの床板に立設された複数枚のゲートとを有するとともに車枠上に搭載された荷台が傾動装置により傾動され、前記複数枚のゲートにおける一部のゲートは、下部ヒンジを中心に回動して上開きする貨物自動車において、前記一部のゲート42には、当該ゲート42の長手方向と略垂直な方向に突出する歩み板6が固設されており、当該歩み板6は、その突出部6aが前記一部のゲート側42に回動自在な構成を有している構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾動可能な荷台が備えられた貨物自動車、特に上開き可能なゲートを有する荷台が備えられた貨物自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
床板とこの床板の側方と後方に立設したゲートとを含んでなる荷台を車枠上に搭載した貨物自動車で、荷台の前方が持ち上げられて土砂等の荷台積載物を車両後方に排出(ダンプ)する排出作業と、建設機械や農業機械等を荷台に積み込んで運搬する運搬作業とを兼用した貨物自動車がある。こうした貨物自動車のテールゲートは、排出作業を行う際には上部ヒンジを中心にして下方から上方に下開きし、運搬作業を行うために建設機械等を積み込む際には下部ヒンジを中心にして上方から下方に上開きが可能となるように配されている(特許文献1)。
【0003】
建設機械等を積み込む際には、荷台を例えばスライド傾動させて上開きしたテールゲートの先端を接地させる。また、テールゲートに対して、その先端よりもさらに突出した歩み板を設けたものもある。当該歩み板を設けた貨物自動車の場合、歩み板の先端部を接地させれば建設機械等の積み込みが可能となり、その積み込み角度を小さくすることができる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2556543号公報
【特許文献2】実公平8−001137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、荷台に突出した歩み板が設けられたままだと、水平な状態の荷台に対して土砂等を積載する作業の邪魔になりやすく、また、運転席からの後方視界も阻害しやすい。そのため、特許文献2のようにテールゲートに対して脱着可能な歩み板も考えられているが、当該歩み板は建設機械等の積み込み等に用いられるため寸法や重量が大きく、脱着作業を簡易に行うことは難しい。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされており、建設機械等の積み込みにおける作業効率を向上するとともに、土砂等の積載の作業効率を向上することができる荷台が備えられた貨物自動車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記課題を解決するための手段として、床板とこの床板に立設された複数枚のゲートとを有するとともに車枠上に搭載された荷台が傾動装置により傾動され、前記複数枚のゲートにおける一部のゲートは、下部ヒンジを中心に回動して上開きする貨物自動車において、次の構成とする。
【0008】
前記一部のゲートには、当該ゲートの長手方向と略垂直な方向に突出する歩み板が固設されており、当該歩み板は、その突出部が前記一部のゲート側に回動自在な構成を有しているものとする。
【0009】
前記歩み板に関しては、前記突出部と、前記一部のゲート上に対する固設された基端部とを有する構成とすることができる。また、前記基端部は、前記一部のゲートにおいて前記荷台の内方側となる主面上に配されている構成とすることが望ましい。
【0010】
また、前記突出部は、前記基端部との間に配されたヒンジ部を介して前記荷台の外方側に回動自在に配されており、前記ヒンジ部は、前記歩み板の厚み方向に沿って、起立した状態の前記一部のゲートに対する後方側端部に設けられている構成としても良い。
【0011】
そして、前記一部のゲートの側方には、当該ゲートとの係合部を有する側方ゲートが配されており、前記一部のゲートは、前記係合部に係合される被係合部が設けられ、前記歩み板は、側方からみて前記被係合部と重なるように配されている構成とすることもできる。このとき、前記一部のゲートは、前記被係合部が前記係合部に係合された状態において、前記被係合部を中心に回動して下開き可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のように、突出部が回動自在な歩み板をゲートに対して設けることで、その突出部を突出させれば荷台への建設機械等の積み込みが容易になり、かつ、突出部を折り畳めば、土砂等の積み込み作業で歩み板が邪魔になることもなく、さらに運転室からの後方視界を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る貨物自動車の荷台の作動状態を示す模式側面図である。
【図2】本発明に係る荷台のテールゲートを示す後面図及び要部斜視図である。
【図3】本発明に係る歩み板の作動状態を示す側方断面図である。
【図4】本発明に係る歩み板の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る実施形態の一例に関して、図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施例に係る貨物自動車100を示す側面図である。貨物自動車100は、図1(a)のように水平状態の荷台(一点鎖線部)1を車両後方にスライドして傾斜させ、建設機械101を積み込んで運搬する運搬作業を行うタイプと、図1(b)のように水平状態の荷台(一点鎖線部)1の前方側を大きく持ち上げ、荷台に積まれた土砂等を車両後方に排出する作業を行うタイプとを兼用したものである。
【0016】
貨物自動車100は、車枠2上には、車枠2の後端にヒンジシャフト(不図示)で枢支されたダンプフレーム3を介して荷台1が搭載されている。荷台1は、床部1aと、この床部1aに対して立設するサイドゲート1bと、フロントパネル1cと、テールゲート4とで構成される。荷台1と車枠2との間にはスライド傾動装置10が配されており、当該装置によって荷台1は運搬作業用もしくは排出作業用として機能されている。スライド傾動装置は、ダンプフレーム3と、車枠2とダンプフレーム3の間に配されたダンプシリンダ10aと、ダンプフレーム3と荷台との間に配されたスライドシリンダ(不図示)とを備えている。建設機械101等の運搬作業時には、スライドシリンダを伸長させて荷台1をダンプフレーム3に沿って後方にスライドさせ、荷台1が図1(a)のように傾斜される。このとき、荷台1を構成するテールゲート4は下方のヒンジ部5aを中心して上開きさせておく。一方、土砂等の排出作業時には、ダンプシリンダ10aを伸長させて荷台1を図1(b)のように傾斜させる。このとき、テールゲート4は自重によって上方のヒンジ部5bを中心にして下開きする。
【0017】
貨物自動車100において上開き又は下開きする際のテールゲート4について図2を用いて説明する。図2(a)は運搬作業の際のテールゲート4を後方から見た図であり、図2(b)は排出作業の際のテールゲートを後方から見た図であり、図2(c)は、運搬作業時にテールゲートを車両後方に上開き(回動)させた状態の要部斜視図である。
【0018】
テールゲート4には、図2(a)のように上方に突出する歩み板6が所定位置に2つ設けられている。「上方」とは、テールゲート4の長手方向と略垂直な方向を意味する。歩み板4は、突出部分に相当して先端側部分となる先端部6aと、テールゲート4の主面41上に固設されて基端側部分となる基端部6b(図2(c)参照)と、先端部6aと基端部6bとの間に設けられ、この先端部6aと基端部6bとを連結するヒンジ部6c(図2(c)参照)とで構成されている。先端部6aは、このヒンジ部6cを回動軸として車両後方側(荷台の外方側)に折り畳み自在に配されている。基端部6bは、図2(c)で示す位置となるテールゲート4の主面41上に溶接されて固設されているが、ボルトを介して固設する等の他の固設方法でも構わない。また、テールゲート4の荷台外方側主面(基端部6bが固設された主面41と反対側の主面)42には上端部及び下端部に水平補強枠42a、42bと、これらの水平補強枠42a、42bに架設するように鉛直補強枠42e、42fとが設けられており、上端部の補強枠42aは3分割されてなる構成であり、歩み板6の先端部6aが折り畳まれて配置される部分42cには水平補強枠42aが配されていない。
【0019】
テールゲート4には、荷台床部下方において車両後方に延出した下方係合部(不図示)に係合する下方被係合部50aが、図2(a)及び図2(b)に示すように、テールゲート4の中央側下方部の2箇所に設けられている。この下方被係合部50aは、それぞれテールゲート4の下縁部から突出した一対の支持プレート51aと、その間に架設されたシャフト部5aとで構成されている。テールゲート4の上開きは、上記の下方係合部に係合した状態のシャフト部5aを中心にして行われる。
【0020】
また、テールゲート4には、サイドゲート1c(図1(a)参照)と係合する上方被係合部50bが上方側両端部に設けられている。上方被係合部50bは、テールゲート4の上縁部及びその近傍から延出した支持プレート51bと、テールゲート4の長手方向に沿って支持プレート51b先端から側方に延びるシャフト部5bとで構成されている。具体的には、当該シャフト部5bが、サイドゲート1cの上縁部に設けられたU字状の係合部(不図示)に係合されることで、上開きされたテールゲート4が固縛されるとともに、テールゲート4が下開きの際の回動軸として機能する。
【0021】
テールゲート4に配された2つの歩み板6のそれぞれは、折り畳まれた状態(図2(b))からテールゲート4から突出した状態(図2(a))とし、図2(c)で示すように、テールゲート4が上開きして傾斜した方向(X方向)を長手方向として、テールゲート4上端部から突出して延びた状態となる。突出している先端部6aは車両幅方向(Y方向)に沿って離間配置された2本の板材で構成されており、互いの板材の間には車両幅方向を長手方向とする補強材7aが配されている。基端部6bはテールゲート4の下端部付近から上端部まで延びる2本の板材で構成されており、これらの板材の間にも同様に補強材7bが配されている。ヒンジ部6cは、図2(c)において、歩み板6の厚み方向(Z方向)に沿って歩み板6の下面側に配されており、先端部6aを荷台外方側主面の方(Z方向の負方向側)に折り畳むことが可能となっている。ヒンジ部6cはテールゲート4の上縁部近傍に配されているため、先端部6を折り畳むと歩み板6はテールゲート4と略同じ高さとなり突出しない。したがって、水平な状態の荷台1に土砂等を直接積み込む際に歩み板6が邪魔にならず、土砂等の積み込みをスムーズに行うことができる。また、運転席からの後方視界を確保することもできる。さらに、排出作業時には、テールゲート4はその自重によって下開きするので、歩み板6が固設されるテールゲート4は下開きし易い。
【0022】
貨物自動車100の運搬作業の際に用いる歩み板6について図3を用いて説明する。図3(a)は、図2(a)におけるA−A断面図であり、図3(b)は突出された状態から接地した歩み板6の側方断面図である。
【0023】
貨物自動車100が停車した後、折り畳まれた歩み板6をテールゲート4から突出した状態とする。このとき、先端部6aはテールゲート4の後面に沿って車両前方に向かって回動するので、荷台上の建設機械に干渉することなく突出状態にすることができる。なお、鉛直補強枠42e、42fと、左右の歩み板6との一つずつを架設するようにロック装置(不図示)が設けられており、走行中はこのロック装置によって、先端部6aがテールゲート4に対して固縛されて先端部6aが揺動することはない。ロック装置は、鉛直補強枠42eと歩み板6との間に車両幅方向に配された筒状部材と、当該筒状部材内を摺動するシャフト部材とが係合することで固縛機能を備えている。このロック装置の固縛を解除した後に歩み板6の先端部6aを回動させてテールゲート4から突出させる。
【0024】
歩み板6をテールゲート4から突出した状態にすると、図3(a)のように、先端部6aは基端部6bと略一直線状になる。先端部6aが折り畳まれた状態(一点鎖線部)では、車両後方に向かって先端部6aが補強枠42a、42bの厚みD1、D2とほぼ同じ大きさの範囲に収まっている。これにより、車両後端部を荷台後端部と略一致させることができ、荷台積載容量の低下を防止することができる。
【0025】
歩み板6を突出させて建設車両等の積み込みに利用する際には、作業者が折り畳まれた歩み板6の先端部6aを上方に回動させる。先端部6aと基端部6bを略一直線状態にした後、上方係合部50bに設けられた操作ハンドルを介して、テールゲート4とサイドゲート1cとの固縛を解除する。スライド傾動装置10(図1参照)を用いて荷台1を傾動させると、歩み板6の先端部6aが図1(a)のように接地する。なお、図示はしていないが、折り畳まれた歩み板6が貨物自動車の走行中に揺動しないように、例えばテールゲート4の荷台外方側主面42と先端部6aの側縁部とに互いに係合する係合部及び被係合部とが設けられている。また、上方に回動された先端部6aが略一直線状を保持できるように、先端部6aの側縁部とテールゲート4の上縁部とにも、互いに係合する係合部及び被係合部とが設けられている。なお、略一直線状となってテールゲート4から突出した歩み板6に関しては、略一直線状を維持するために、基端部6bに対して先端部6aが固定されるような固縛部材と設けても構わない。また、こうした固縛部材は設けずにヒンジ部6cにおける締め付け力(摩擦力)を適宜、設定調整して略一直線状を維持できる構成としても良い。仮に、テールゲート4の後方回動途中に、先端部6aが基端部6bに対して折れ曲がるように先端部6aが車両後方側に回動しても、テールゲート4の後方回動に伴って、先端部6aの先端が接地し、そのまま折れ曲がった歩み板6が改めて略一直線状に戻ることができるため、積込手段として良好な性能を発揮することができる。
【0026】
図3(b)のように傾斜した荷台1に対して、テールゲート4が下方ヒンジ部5aを中心にしてテールゲート4を回動した(上開きした)状態となると、歩み板6の先端接地部60aが接地し、歩み板6をテールゲート4とともに荷台1への建設機械等の積み込みの際の架け橋として利用できる。なお、歩み板接地部60aは樹脂等で形成されており、緩衝部材として用いられている。
【0027】
歩み板6の機能について図4を用いて具体的に説明する。図4(a)は図3(b)における二点鎖線部の拡大図であり、図4(b)はテールゲート4上縁部に設けられたシャフト部5bと歩み板6の配設位置を示す側面図であり、図4(c)は荷台1の床部1aに対する歩み板6とテールゲート4の配設位置を示す側面図である。
【0028】
図4(a)で示すように、建設機械等の積み込みは積み込み角度D1で地面に対して傾斜した歩み板6を介して行うことができる。このとき、テールゲート4の上端部40は接地しておらず、歩み板6を設けずにテールゲート4の上端部40を接地させる場合よりも積み込み角度D1は小さくなるので、建設機械等の乗り入れが容易となる。また、歩み板6のヒンジ部6cは、図4(a)の状態において下面側(テールゲート4が起立した状態の際には、歩み板6の厚み方向に沿って車両後方側端部)に位置する構成のため、建設機械等が歩み板6に乗入れた際にも先端部6aが上方に回動することがなく基端部6bに対して略一直線状態を保持することができる。また、先端部6aと基端部6bとで歩み板6における建設機械等の乗入れ面は面一状態となっている。
【0029】
次に、歩み板6の厚みは、図4(b)のように、テールゲート4のシャフト部5bが側面からみて先端部6aと重なるように配置されている。具体的には、延出した支持プレート51b及びシャフト部5bが、先端部6aにおける乗入れ面60aから突出しない大きさに設定されている。これにより、建設機械等が荷台1に積み込まれる際に、歩み板6の幅よりも大きな車輪等を有する建設機械等がシャフト部5bと干渉することを防止できる。また、図中ではシャフト部5bは先端部6aと重なるように設定されているが、サイドゲート1cの係合部との係合位置によっては、基端部6bやテールゲート4と重なるように設定された構成とすることもできる。なお、先端部6a(又は基端部6b、テールゲート4)の厚みはシャフト部5bが突出しなければ図示する厚み以上であっても構わない。
【0030】
歩み板6は、図4(c)のとおり、テールゲート4が上開き時には床部1aの床面から高さD10だけ低い箇所に位置する鉤状の下方係合部52aで固縛されたシャフト部5aを中心にして回動する。このとき、テールゲート4は床部1cと段差H2を生じるが、テールゲート4上に基端部6bが固設されているので、基端部6bと床部1aとの段差を高さH1の大きさまで小さくすることができる。これにより、建設機械等の荷台1aへの積み込みを円滑に行うことができる。また、テールゲート4に対して嵩増ししている箇所は歩み板6が配されている2箇所の領域(図2(a)参照)だけなので、荷台1内の容積(土砂等の積載物の積載容量)の低減も抑制できる。当該段差H1の大きさに関しては、歩み板6の大きさや重量等を考慮して図4(c)のように設定しているが、基端部6bと床部1aの建設機械乗入れ面が同じ高さ、つまり上記の段差の大きさH1が0となるように設定することも可能である。また、基端部6bの上記乗入れ面の方が床部1aよりも上側に位置するように厚みの設定をしても構わない。なお、先端部6aの厚みD22と基端部6bの厚みD21とを同じ大きさに設定しているが、ヒンジ部6cの位置や大きさ等によっては、これらの厚みD21、D22を異なる大きさにして先端部6aと基端部6bとの建設機械乗入れ面が面一となるように設定しても構わない。また、床部1aと歩み板6との段差H1が大きい場合には、この段差H1を小さくするために基端部6bの厚みD21を大きくして、先端部6aの厚みD22を小さくし、先端部6aと基端部6bとの間にも段差を設ける構成として構わない。先端部6aの厚みD22を小さくすることで歩み板6全体の重量が大きくなることを抑制することができる。
また、建設機械の乗入れに関して、乗入れ角度の点でも次の効果を得ることができる。
【0031】
歩み板6が設けられておらず、テールゲート4の上端部40が接地する構成の場合、テールゲート4の地面Gに対する傾斜角度が大きくなり、荷台1aの床面とテールゲート4内側面とは屈折した状態となるが、本実施形態の場合、荷台1aの床面とテールゲート4内側面とが略一直線となるのでは、建設機械の乗り入れが容易となる。
(その他の事項)
【0032】
本発明では歩み板6を基端部6bと先端部6aとからなる構成としているが、基端部6bは設けずに、テールゲート4上縁部にヒンジ部6cを介して先端部6aのみを回動自在に直接設けた構成としても構わない。この際、テールゲート4の荷台内方側主面41において、建設機械等が荷台1に乗り入れするときに通過する領域のみ肉厚加工して、荷台1の床部1cとテールゲート4との段差H2を小さくする構成とすることもできる。または、上記段差H2を解消することができるようにテールゲート4を全体的に厚肉化しても構わない。基端部6bの配設位置に関しては、テールゲート4の荷台内方側主面41上に限定されず、外方側主面42上に固設した構成としても構わない。
【0033】
歩み板6のヒンジ部6cの位置に関しては、テールゲート4の上縁部近傍に設けることで、歩み板6が折り畳まれた状態ではテールゲート4の上方には歩み板6が突出していない構成としたが、ヒンジ6cの配設位置はこれに限定せず、運転席からの後方視界の確保や荷台1aに対する土砂等の積み込み作業の効率を維持できれば、テールゲート4の上縁部より上方であっても構わない。
【0034】
また、歩み板6が折り畳まれた際に先端部6aがテールゲート4の補強枠42a等と干渉しないように、当該補強枠42aは三分割された状態で設けられている(図2(a)参照)が、この構成に限定されず、先端部6aの方に切欠き部を設ける構成、例えば、水平補強枠42aは車両幅全体に亘って設けられ、歩み板6折り畳まれる際に水平補強枠42aに対応する先端部6aの箇所を切り欠いた構成としても良い。
【0035】
歩み板6はテールゲート4が1枚設けられた構成に対して2枚設けているが、テールゲート4が分割した構成、例えば2枚に分割された構成の場合には、それぞれのテールゲート4に対して1つずつ歩み板6が設けられた構成としても構わない。その他、歩み板6はテールゲート4に対して部分的に設けられた構成に限定されず、車幅方向全体に亘って形成された構成とすることもできる。
歩み板6の折り畳みに関しては、先端部6aが折り畳まれる方向に付勢する付勢手段を設けても構わない。
【0036】
また、歩み板6が折り畳まれた状態での固縛に関しては、走行中の先端部6aの揺動を防止できる構成であれば、先端部6aの裏面側やその他の位置に係合部材を設けてテールゲート4に固縛される構成としても構わない。同様に、突出した先端部6aが基端部6bと略一直線状態を保持するための固縛手段に関しても先端部6aの裏面側やその他の位置に設けても構わない。
【0037】
歩み板6はテールゲート4に設けているが、サイドゲート1bに設け、サイドダンプする貨物自動車用として設けても構わない。また、建設機械等の積み込みの際には、スライドシリンダを用いて荷台1をスライドさせる構成としているが、スライドシリンダを用いずにダンプシリンダ10aのみで荷台の傾斜角度を調整して、土砂等の排出機能を兼用する構成としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、貨物自動車だけでなく歩み板を備える運搬車両にも有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 荷台
1a 床部(荷台床部)
2 車枠
3 ダンプフレーム
4 テールゲート
5a 下方ヒンジ部
5b 上方ヒンジ部
6 歩み板
6a 先端部(歩み板)
6b 基端部(歩み板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床板とこの床板に立設された複数枚のゲートとを有するとともに車枠上に搭載された荷台が傾動装置により傾動され、前記複数枚のゲートにおける一部のゲートは、下部ヒンジを中心に回動して上開きする貨物自動車において、
前記一部のゲートには、当該ゲートの長手方向と略垂直な方向に突出する歩み板が固設されており、
当該歩み板は、その突出部が前記一部のゲート側に回動自在な構成を有している
ことを特徴とする貨物自動車。
【請求項2】
前記歩み板は、前記突出部と、前記一部のゲート上に対する固設された基端部とを有している
ことを特徴とする請求項1に記載の貨物自動車。
【請求項3】
前記基端部は、前記一部のゲートにおいて前記荷台の内方側となる主面上に配されている
ことを特徴とする請求項2に記載の貨物自動車。
【請求項4】
前記突出部は、前記基端部との間に配されたヒンジ部を介して前記荷台の外方側に回動自在に配されており、
前記ヒンジ部は、前記歩み板の厚み方向に沿って、起立した状態の前記一部のゲートに対する後方側端部に設けられている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の貨物自動車。
【請求項5】
前記一部のゲートの側方には、当該ゲートとの係合部を有する側方ゲートが配されており、
前記一部のゲートは、前記係合部に係合される被係合部が設けられ、
前記歩み板は、側方からみて前記被係合部と重なるように配されている
ことを特徴とする請求項1から4に記載の貨物自動車。
【請求項6】
前記一部のゲートは、前記被係合部が前記係合部に係合された状態において、前記被係合部を中心に回動して下開き可能である
ことを特徴とする請求項5に記載の貨物自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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