説明

販売促進システム及び販売促進処理方法

【課題】客が商品を手に取ったか否かを含む行動情報を取得し、その情報を販売促進に結び付けることができる販売促進システム及び販売促進処理方法を提供すること
【解決手段】商品運搬手段100から商品運搬手段100を識別する識別情報CIDを、人体通信によって、商品陳列手段200に送信する。さらに、商品陳列手段200から、商品陳列手段200を識別する識別情報SIDとともに、当該識別情報CIDを情報処理手段300に送信する。情報処理手段300は、これらの識別情報SIDと識別情報CIDを取得して、履歴格納部320に格納する。履歴格納部320に格納されたこれらの情報からクーポンを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売促進システム及び販売促進処理方法に関し、特に、来店客に対する商品の販売を促進する販売促進システム及び販売促進処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小売店において、来店客の店内での行動に関する情報は、販売促進や顧客満足度向上のために重要である。来店客の行動に関する情報としては、例えば、店内での移動経路、滞留時間、購入商品情報がある。従来、これらの行動情報は、測位システムやPOS(Point Of Sales)などを用いて取得されていた。
【0003】
特許文献1には、ショッピングカートの移動履歴から店舗における顧客の行動情報を取得するシステムが開示されている。特許文献1に開示されたシステムでは、ショッピングカートに設けられたRFID(Radio Frequency IDentification)を、陳列棚に設けられたRFIDリーダが読み取り、管理サーバに送信する。これにより、ショッピングカートの移動に関する情報を取得することができる。
【0004】
また、特許文献2には、人体を通信媒体とする通信技術を、複数の売り場や店舗を有する百貨店やショッピングモールに適用し、来店者に対してポイントを付与したり、販売情報を提供するシステムが開示されている。しかし、特許文献1に開示されたシステムでは、ショッピングカートの移動情報を取得するのみであり、また、特許文献2に開示されたシステムでは、個々の売り場や店舗に来場したかどうかを検出するのみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−204020号公報
【0006】
【特許文献2】特開2006−350990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、これらのシステムでは、来店客が商品購入前にどのような商品に手を伸ばしたかといった情報まで取得することはできず、商品の販売を促進するシステムや方法も提案されていなかった。
【0008】
本発明は、客がどのような商品に手を伸ばしたかを含む行動情報を取得し、その情報を販売促進に結び付けることができる販売促進システム及び販売促進処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる販売促進システムは、客によって携行される携行手段に設けられ、当該携行手段を識別する携行手段識別情報を保持し、人体通信可能な第1の処理手段と、商品又は商品の近傍に設けられ、当該商品を識別する商品識別情報を保持し、人体通信可能な第2の処理手段と、前記第1の処理手段と前記第2の処理手段との間で前記客の体を介して伝送された前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の一方の情報と、前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の他方の情報とを取得して接触履歴情報として履歴格納部に格納する情報収集手段と、客が購入した商品の商品識別情報と、購入した客によって携行された携行手段の携行手段識別情報を含む購買履歴情報を取得し、前記情報収集手段に送信する会計手段とを備え、前記情報収集手段は、さらに、前記履歴格納部に格納された前記接触履歴情報と、前記購買履歴情報に基づいて、客が接触したが購入しなかった商品に関する情報を生成し、この商品に関するクーポン情報を生成するものである。
【0010】
本発明にかかる別の観点による販売促進システムは、客によって携行される携行手段に設けられ、当該携行手段を識別する携行手段識別情報を保持し、人体通信可能な第1の処理手段と、商品又は商品の近傍に設けられ、当該商品を識別する商品識別情報を保持し、人体通信可能な第2の処理手段と、前記第1の処理手段と前記第2の処理手段との間で前記客の体を介して伝送された前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の一方の情報と、前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の他方の情報とを取得して接触履歴情報として履歴格納部に格納する情報収集手段とを備え、前記情報収集手段は、さらに、前記履歴格納部に格納された前記接触履歴情報に基づいて、客が接触した商品に関する情報を生成し、前記第1の処理手段に送信し、前記第1の処理手段は、送信された商品情報を表示するものである。
【0011】
本発明にかかる別の観点による販売促進システムは、客によって携行される携行手段に設けられ、当該携行手段を識別する携行手段識別情報を保持し、人体通信可能な第1の処理手段と、商品又は商品の近傍に設けられ、当該商品を識別する商品識別情報を保持し、人体通信可能な第2の処理手段と、前記第1の処理手段と前記第2の処理手段との間で前記客の体を介して伝送された前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の一方の情報と、前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の他方の情報とを取得して接触履歴情報として履歴格納部に格納する情報収集手段とを備え、前記情報収集手段は、さらに、前記履歴格納部に格納された前記接触履歴情報に基づいて、客が接触した商品に関する情報を生成し、客の携帯電話に送信するものである。
【0012】
本発明にかかる別の観点による販売促進システムは、客によって携行される携行手段に設けられ、人体通信可能な第1の処理手段と、商品又は商品の近傍に設けられ、当該商品を識別する商品識別情報を保持し、人体通信可能な第2の処理手段と、前記第1の処理手段は、前記第2の処理手段から前記客の体を介して伝送された前記商品識別情報を受信し、当該商品識別情報に基づいて客が接触した商品に関する情報を生成し、表示するものである。
【0013】
本発明にかかる販売促進処理方法は、商品を陳列する商品陳列手段を識別する商品陳列手段識別情報を当該商品陳列手段から情報収集手段に伝送するステップと、客によって携行される携行手段を識別する携行手段識別情報を、当該携行手段から客の人体を介して人体通信により前記商品陳列手段に伝送するステップと、前記商品陳列手段から前記携行手段識別情報を前記情報収集手段に伝送するステップと、前記情報収集手段において、伝送された前記商品陳列手段識別情報及び前記携行手段識別情報を関連づけて接触履歴情報として格納するステップと、前記情報収集手段において、格納された前記接触履歴情報と、購買履歴情報に基づいて、客が接触したが購入しなかった商品に関する情報を生成し、この商品に関するクーポン情報を生成するステップを備えたものである。
【0014】
本発明にかかる別の観点による販売促進処理方法は、商品を陳列する商品陳列手段を識別する商品陳列手段識別情報を当該商品陳列手段から情報収集手段に伝送するステップと、客によって携行される携行手段を識別する携行手段識別情報を、当該携行手段から客の人体を介して人体通信により前記商品陳列手段に伝送するステップと、前記商品陳列手段から前記携行手段識別情報を前記情報収集手段に伝送するステップと、前記情報収集手段において、伝送された前記商品陳列手段識別情報及び前記携行手段識別情報を関連づけて接触履歴情報として格納するステップと、前記情報収集手段は、さらに、格納された前記接触履歴情報に基づいて、客が接触した商品に関する情報を生成し、客の携帯電話に送信するステップを備えたものである。
【0015】
本発明にかかる別の観点による販売促進処理方法は、商品を陳列する商品陳列手段を識別する商品陳列手段識別情報を、当該商品陳列手段から人体通信により、客により携行される携行手段に伝送するステップと、当該携行手段は、伝送された商品陳列手段識別情報に基づいて、客が接触した商品に関する情報を生成し、表示するステップを備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、客がどのような商品に手を伸ばしたかを含む行動情報を取得し、その情報を販売促進に結び付けることができる販売促進システム及び販売促進処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1にかかる販売促進システムの概念を示す概念図である。
【図2】実施の形態1にかかる販売促進システムの構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1にかかる商品運搬手段のID格納手段に格納された情報例を示す図である。
【図4】実施の形態1にかかる商品陳列手段のID格納手段に格納された情報例を示す図である。
【図5】実施の形態1にかかる商品情報格納手段に格納された情報例を示す図である。
【図6】実施の形態1にかかる履歴格納手段に格納された情報例を示す図である。
【図7】実施の形態1にかかる履歴格納手段に格納された情報例を示す図である。
【図8】実施の形態1にかかる販売促進システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態1にかかる販売促進システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1にかかる販売促進システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施の形態1にかかる販売促進システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2にかかる販売促進システムの構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態2にかかる販売促進システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】実施の形態3にかかる販売促進システムの構成を示すブロック図である。
【図15】実施の形態4にかかる販売促進システムの構成を示すブロック図である。
【図16】実施の形態5にかかる販売促進システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の実施の形態1.
最初に、本実施の形態1にかかる販売促進システムの概念について、説明する。当該販売促進システムは、人体通信を用いて、店舗に来店した客が商品を購入する前に、どのような商品に手を伸ばしたかという情報を取得し、その情報に基づいて作成されたクーポンを提供することができるシステムである。
【0019】
当該販売促進システムは、図1に示されるように、基本的な構成として、商品運搬手段100と、商品陳列手段200と、情報収集手段300と、会計手段400を備えている。
【0020】
商品運搬手段100は、例えば、買い物かごであり、第1の処理部101によって商品運搬手段100を識別する識別情報CIDを人体通信により商品陳列手段200に送信する機能を備えている。ここで、商品運搬手段100は、客が携行する携行手段の一例である。本発明としては、必ずしも商品の運搬機能を有しない携行手段(携行型情報機器)にも適用することが可能である。かかる携行手段としては、顧客行動情報の取得のために客に付与する専用機器や、ICカード(例えば、店のメンバーカード)、携帯電話機、携帯型情報機器がある。但し、携行手段としては、人体通信を行うため、人体の近傍に位置して用いられるものであることが好ましい。しかしながら、人体通信は、直接、微弱電流が流れる電極が皮膚に接しなくても実現できるので、携行手段は、客が直接触れるものでなくてもよい。
【0021】
また、商品陳列手段200は、例えば、商品陳列棚や服飾商品を吊り下げるハンガーである。かかる商品陳列手段200は、第2の処理部201によって商品運搬手段100から客の人体を介して識別情報CIDを受信し、当該商品陳列手段200の識別情報SIDとともに、情報収集手段300に送信する機能を備えている。ここで、商品陳列手段200によって保持された識別情報SIDは、直接的には、商品陳列手段200を識別するものであるが、商品陳列手段200の識別を通じて、商品を識別している。即ち、識別情報SIDは、商品を識別する商品識別情報の一例である。商品識別情報としては、個別の商品を具体的に識別する情報に限定されず、商品種類を識別する情報も含まれる。本発明では、第2の処理部201は、商品陳列手段200に設けられていなくてもよく、商品又は商品の近傍に設けられていればよい。
【0022】
例えば、第2の処理部201が設けられる対象には次のものがある。
(1)商品そのもの
典型的な例は、製品価格が比較的高い電気製品である。例えば、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ等である。これらの電気製品に第2処理部201を内蔵させてもよく、外付けし、購入手続時に取り外すようにしてもよい。
(2)展示商品
典型的な例は、携帯電話機である。店頭に並べられた携帯電話機は、実際に販売されるものと異なり、通信機能や画面表示機能は、ダミー部品が組み込まれている場合が多いが、かかるダミー部品の搭載部分に、第2の処理部201を組み込む。
(3)レンタル商品
レンタルDVD等のレンタル商品に、第2の処理部201を設ける。一般に消費者に販売される商品の場合には、第2の処理部201自体が販売により消費者に渡ることになるため、第2の処理部201相当のコストを販売価格に上乗せしなければならないが、レンタル商品の場合には返却されるので販売価格に反映させる必要がない。
(4)商品の包装やタグ
商品そのものでなくても、商品の包装やタグに第2の処理部201が設けられていてもよい。特に、販売時に商品から取り外され回収される防犯タグに第2の処理部201を設けることにより、新たに、回収作業が発生しないという利点がある。
【0023】
情報収集手段300は、商品陳列手段200から受信した識別情報CIDと識別情報SIDを互いを関連づけて所定の記憶部に格納する。
【0024】
本実施の形態1にかかる販売促進システムでは、商品運搬手段100を保持する客500が、商品陳列手段200に陳列された商品に手を伸ばすと、商品運搬手段100の識別情報CIDが客500の人体を介して商品陳列手段200に送信される。そして、商品陳列手段200は、受信した識別情報CIDを、商品陳列手段200の識別情報SIDとともに、情報収集手段300に送信する。
【0025】
このようにして、当該販売促進システムは、客500が商品に手を伸ばす行動を認識することができる。なお、以下では、客500が商品に手を伸ばすことを、商品に接触する又は手に取ると表現する場合がある。
【0026】
さらに、当該販売促進システムは、客500が手を伸ばした商品のうち、実際に購入した商品を除いた商品を抽出して、客500が手を伸ばしたが購入しなかった商品の情報を取得する。そして、その商品に関する割引クーポンを例えば会計手段において印刷する。店員は、印刷された割引クーポンを客500に手渡す。
【0027】
客が手を伸ばしたが購入しなかった商品は、客にとって購入までには至らなかったが、興味を持った商品であるため、割引があれば購入する可能性が高い。従って、その商品について割引クーポンを客に手渡すことにより、次回、その客が来店したときに当該商品を購入してもらえる可能性を高くすることができ、販売を促進できる。
【0028】
また、このような仕組みにすることによって、人体通信を利用した情報収集システムの運用を促進することができるため、購買分析を行う上で有用な行動情報の取得が容易になるという利点もある。
【0029】
続いて、図2を用いて、本実施の形態1にかかる販売促進システムの構成について具体的に説明する。当該販売促進システムは、商品運搬手段100と、商品陳列手段200と、情報収集手段300と、会計手段400を備えている。
【0030】
商品運搬手段100は、店舗内で来店客に携行される携行手段であり、さらに、購入商品を運搬する機能を有する。商品運搬手段100は、例えば、買い物かご、ショッピングカートである。本例にかかる商品運搬手段100は、人体通信部110と、ID格納部120と、商品格納部130とを備えている。
【0031】
ここで、人体通信部110は、導体である人体を通信媒体として利用する通信である人体通信を行う機能を有する。ここで、人体通信では、体内を流れる電流の変化を利用する電流方式と、人体の表面電界の変化を利用する電界方式があり、本発明ではいずれの技術も適用できる。電界方式では、伝達可能な範囲は手や足が接触した部分だけではなく、体表面から数センチメートルの範囲でも通信できる。例えば、人体通信を行うためには、まずトランシーバの送信電極によって人体表面に電圧をかけ、電界を発生させる。体表面に広がった電界を受信電極で取得し、フォトニック電界センサで読み取る。
【0032】
具体的には、人体通信部110は、送信機能として、送信すべき情報を変調し、変調信号に応じた微弱電流を発生させる微弱電流発生部と、微弱電流発生部において発生した微弱電流を人体に対して印加する電極を備えている。この電極は、買い物かごやショッピングカートにおいて、客の手と触れる持ち手部分の表面に設けられる。また、人体通信部110は、受信機能として、客の手を流れる微弱電流を電極を介して検出する電流変化検出部と、電流変化検出部によって検出された電流変化に基づいて変調信号を生成する変調信号生成部と、変調信号生成部によって生成された変調信号を復調し、送信データを取得する復調部を備えている。
【0033】
ID格納部120は、商品運搬手段100に割り当てられ、商品運搬手段100を一意に識別する識別情報CIDを格納する機能を有する記憶媒体、即ちメモリである。ここで、図3に、ID格納部120に格納される情報の例を示す。この例では、当該商品運搬手段100の識別情報CIDが、「025」であることが示されている。
【0034】
商品格納部130は、客が購入しようとする商品を格納する機能を有する。買い物かごやショッピングカートにおける「かご」の部分が、当該商品格納部130に相当する。
【0035】
商品陳列手段200は、店舗内に設置され、商品を陳列する機能を有する。商品陳列手段200は、例えば、商品陳列棚であるが、必ずしも多段である必要はなく、一段であってもよい。典型的な商品陳列手段200は、商品を客が手にとることが可能な状態で、陳列するものである。
【0036】
商品陳列手段200は、人体通信部210と、ID格納部220とを備えている。これらの人体通信部210とID格納部220は、複数の商品陳列手段200のそれぞれに設けられている。例えば、商品陳列手段200が商品陳列棚の場合には、棚毎に、これらの人体通信部210とID格納部220が設けられている。但し、複数の商品陳列手段200において、人体通信部210とID格納部220が完全に独立して設けられている必要性はなく、一部の機能を共通化させたり、同じ位置に設けてもよい。
【0037】
ここで、人体通信部210は、人体通信を行う機能を有する。人体通信部210は、受信機能として客の手を流れる微弱電流を電極を介して検出する電流変化検出部と、電流変化検出部によって検出された電流変化に基づいて変調信号を生成する変調信号生成部と、変調信号生成部によって生成された変調信号を復調し、送信データを取得する復調部を備えている。また、人体通信部210は、送信機能として、送信すべき情報を変調し、変調信号に応じた微弱電流は発生させる微弱電流発生部と、微弱電流発生部において発生した微弱電流を人体に対して印加する電極を備えている。この電極は、例えば、商品陳列手段200の棚板の上面の一部に設けられる。好ましくは、当該電極は、陳列された商品よりも前側において、横広のストライプ上の構造を有しており、同一商品が陳列されている領域全体に亘るよう、配置されている。本例における人体通信部210は、商品運搬手段100のID格納部120から人体通信部110によって送信された識別情報CIDを、客の体を介して受信する。
【0038】
図4に、ID格納部220に格納される情報の例を示す。この例では、当該商品陳列手段200の識別情報SIDが、「0003」であることが示されている。
【0039】
情報収集手段300は、顧客の商品接触履歴情報を収集する機能を有する。情報収集手段300は、例えば、CPU、ROM、RAM等により構成されるコンピュータに、アプリケーションプログラムをインストールすることによって構成される。かかるアプリケーションプログラムは、様々な記憶媒体に格納することが可能であり、また通信媒体を介して伝達されることが可能である。ここで、記憶媒体には、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きRAMメモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等を含む。また、通信媒体には、電話回線等の有線通信媒体、マイクロ波回線等の無線通信媒体等を含み、インターネットも含まれる。
【0040】
情報収集手段300は、集計部310と、履歴格納部320と、商品情報格納部330と、クーポン生成部340を備えている。集計部310は、顧客が商品を接触した情報を収集する機能を有する。この集計部310は、時刻情報を生成するタイマを備えている。集計部310は、商品陳列手段200の人体通信部210及び会計手段400の購入商品情報取得部410と接続されている。ここで、これらの接続に用いられる接続手段は、有線ネットワーク、無線ネットワークなど、任意の手段で構わない。集計部310は、客が手を伸ばしたが、購入はされなかった商品の情報を取得することができる。
【0041】
履歴格納部320は、顧客の行動履歴情報を格納する機能を有する。本例では、履歴格納部320に、手を伸ばしたが未購入の商品の識別情報PID、手を伸ばした商品の識別情報PID及び購入した商品の識別情報PIDが格納される。商品情報格納部330は、店舗内の商品の情報を格納する機能を有する。
【0042】
クーポン生成部340は、手を伸ばしたが、購入はされなかった商品についてクーポン情報を生成する。より具体的には、クーポン生成部340は、予め商品毎に商品の識別情報と関連づけてクーポン情報が記憶手段に格納されて、設定されている。そして、クーポン生成部340は、手を伸ばしたが、未購入の商品の識別情報PIDを履歴格納部320から取得し、取得した商品の識別情報PIDと、当該記憶手段において関連づけられたクーポン情報を読み出し、会計手段400に対して送信する。
【0043】
図5に、商品情報格納部330に格納される情報の例を示す。この例では、商品棚(即ち、商品の陳列位置)と、そこに陳列される商品との対応関係が示されている。例えば、「0001 00005,00008,00009」という行は、識別情報SIDが「0001」である商品陳列手段200に、識別情報PIDが「00005」「00008」「00009」の商品が陳列されていることを表している。
【0044】
会計手段400は、顧客の商品購入手続を行う機能を有する。会計手段400は、例えば、POSレジスタである。会計手段400は、顧客が購入した商品の情報を取得する機能を有する購入商品情報取得部410と、クーポン提供部420を備えている。会計手段400は、具体的には、商品の包装に印刷されたバーコードを読み取るバーコードスキャナ、ディスプレイ、制御コンピュータ、キーボード、印刷装置等を備えている。購入商品情報の取得方法の例としては、店員がキーボードに対して手入力で商品情報を登録するという方法や、商品のバーコードをスキャナで読み取る方法等がある。
【0045】
クーポン提供部420は、情報収集手段300のクーポン生成部340から送信された手を伸ばしたが未購入の商品に関するクーポン情報を受信し、客に対してクーポンを提供する処理を実行する。例えば、クーポン情報に基づいて、会計終了後に発行されるレシートの一部にクーポンを印刷する。クーポンは、当該レシートとは別の紙に印刷するようにしてもよい。
【0046】
次に、本実施の形態にかかる販売促進システムの動作の詳細について説明する。
まず、情報収集手段300内の集計部310による、情報収集の手順について説明する。集計部310は、以下の2つのタイミングで情報収集処理を行う。
(1)客による商品接触
(2)客による商品購入
【0047】
以下、順に説明する。
(1)客による商品接触
集計部310は、接続先の人体通信部210での通信の発生を、監視する。このとき、商品運搬手段100の一部を把持した来店客が、商品陳列手段200に陳列された商品を手に取ろうとして、商品陳列手段200の近傍に手を入れたものとする。この状態では、客の一方の手が商品運搬手段100の人体通信部110の電極に触れ、他方の手が商品陳列手段200の人体通信部210の近傍に位置するため、人体通信部110と、人体通信部210との間で通信が確立する。このとき、客の手が商品陳列手段200の人体通信部210の電極に直接触れている場合のみならず、客の手がこの電極の近傍に位置することによっても、人体通信部110と、人体通信部210との間で通信が確立する。
【0048】
通信確立後の、集計部310の動作を図8のフローチャートに示す。
まず、集計部310は、商品運搬手段100との間で通信が確立した商品陳列手段200から、該商品陳列手段200の識別情報SIDを取得する(ステップS11)。具体的には、集計部310から、有線ネットワーク又は無線ネットワークで接続された、商品陳列手段200の人体通信部210に対して、商品陳列手段200の識別情報SIDの取得要求を送信する。商品陳列手段200の人体通信部210は、かかる取得要求を受信すると、ID格納部220に格納された識別情報SIDを読み出し、集計部310に対して送信する。集計部310は、送信された識別情報SIDを受信することによって、当該識別情報SIDを取得する。
【0049】
次に、集計部310は、該商品陳列手段200と通信を確立した商品運搬手段100の識別情報CIDを、取得する(ステップS12)。具体的には、集計部310から、有線ネットワーク又は無線ネットワークで接続された、商品陳列手段200の人体通信部210に対して、商品運搬手段100の識別情報CIDの取得要求を送信する。商品陳列手段200の人体通信部210は、かかる取得要求を受信すると、人体通信可能に接続された商品運搬手段100の人体通信部110に対して、この取得要求を転送する。商品運搬手段100の人体通信部110は、当該取得要求を受信すると、ID格納部120に格納された識別情報CIDを読み出し、商品陳列手段200の人体通信部210に対して、送信する。商品陳列手段200の人体通信部210は、識別情報CIDを受信し、集計部310に対して転送する。集計部310は、送信された識別情報CIDを受信することによって、当該識別情報CIDを取得する。
【0050】
次に、集計部310は、ステップS11で取得した商品陳列手段200の識別情報SIDと、ステップS12で取得した商品運搬手段100の識別情報CIDと、現在時刻の情報を互いに関連づけて履歴格納部320に格納する(ステップS13)。
【0051】
ステップS13の処理により、履歴格納部320に格納される情報の例を図6に示す。この例では、商品運搬手段単位で、来店客の接触履歴が格納されている。例えば、「2008/12/10 15:20:32 0003」という行は、時刻「2008/12/10 15:20:32」に、識別情報CIDが「025」である商品運搬手段100を保持する来店客が、識別情報SIDが「0003」である商品陳列手段200の近傍に手を伸ばしたことを表す。
【0052】
以上の一連の処理により、履歴格納部320には、来店客が商品に手を伸ばした時の、時刻と、その商品陳列手段200の識別情報SIDと、その時に客が保持していた商品運搬手段の識別情報CIDの情報を含む接触履歴情報が格納される。
【0053】
(2)客による商品購入
集計部310は、接続先の購入商品情報取得部410での商品購入の発生を、監視する。このとき、客が、購入しようとする商品を商品陳列手段200から取り出して、商品格納部130に格納し、会計手段400の設置場所まで来て、商品に対する支払いを行ったとする。店員は、購入した商品の情報を手入力又はバーコードスキャナによる入力等によって会計手段400に入力する。これにより、会計手段400の購入商品情報部410によって購入した商品に関する情報(以下、購買履歴情報とする)を取得する。購買履歴情報には、例えば、商品運搬手段100の識別情報CIDと、購入対象となった商品の識別情報PIDが含まれる。
【0054】
商品購入発生後の、集計部310の動作を図9に示す。
まず、集計部310は、購入商品情報取得部410から、会計対象となった商品運搬手段100の識別情報CIDと、購入対象となった商品の識別情報PIDを取得する(ステップS21)。具体的には、集計部310から会計手段400の購入商品情報取得部410に対して、購買履歴情報の取得要求を送信する。かかる取得要求を受信した購入商品情報取得部410は、取得済みで所定の記憶手段に格納された識別情報CIDと識別情報PIDを読み出し、集計部310に対して送信する。集計部310は、このようにして識別情報CIDと識別情報PIDを取得する。
【0055】
次に、集計部310は、商品情報格納部330を参照し、ステップS21で取得した商品の識別情報PIDに対応する商品陳列手段200の識別情報SIDを取得する(ステップS22)。
【0056】
次に、集計部310は、ステップS21で取得した商品運搬手段100のCIDと、ステップS22で取得した商品陳列手段200のSIDと、現在時刻の情報を、履歴格納部320に格納する(ステップS23)。
【0057】
ステップS23の処理により、履歴格納部320に格納される情報の例を図7に示す。この例では、商品運搬手段単位で、購買履歴が格納されている。
例えば、この図の「2008/12/10 15:48:29 0043 2008/12/10 15:48:29 0003 2008/12/10 15:48:29 0105」という3行は、時刻「2008/12/10 15:48:29」に、識別情報CIDが「025」である商品運搬手段100を保持する来店客が、識別情報SIDが「0043」「0003」「0105」である商品陳列手段に陳列していた商品を購入したことを表す。
【0058】
以上の一連の処理により、履歴格納部320には、来店客が商品を購入した時刻と、その時に購入した商品が陳列されていた商品陳列手段200の識別情報SIDと、その時に保持していた商品運搬手段100の識別情報CIDの情報が格納される。
【0059】
以上の(1)、(2)の処理により、履歴格納部320には、顧客が手を伸ばした商品陳列手段の情報と、顧客が実際に購入した商品が陳列されていた商品陳列手段の情報と、が格納される。
【0060】
これらの情報を比較することにより、例えば「手を伸ばしたが、購入はされなかった商品」の情報を取得することが可能となる。
【0061】
例えば、図6の情報と図7の情報とを比較することにより、「識別情報SIDが「0043」「0003」「0105」である商品陳列手段に陳列していた商品は購入されたが、識別情報SIDが「0239」である商品陳列手段に陳列していた商品は手は伸ばされたが購入はされなかった」ということが推測され得る。
【0062】
図10は、本実施の形態1にかかる販売促進システムの比較・分析処理の流れを示すフローチャートである。この比較・分析処理を行う段階で、履歴格納部320には、商品に対して客が手を伸ばしたことを意味する接触履歴情報として、時刻、商品陳列手段200の識別情報SID、商品運搬手段100の識別情報CIDが互いに関連付けられて格納されているとともに、購買履歴情報として、時刻、購入商品が陳列された商品陳列手段200の識別情報SID、商品運搬手段100の識別情報CIDが互いに関連付けられて格納されている。
【0063】
まず、集計部310は、履歴格納部320から任意の商品運搬手段100の識別情報CIDと関連づけられた接触履歴情報及び購買履歴情報を抽出し、任意のワークエリアに保存する(ステップS31)。
【0064】
次に、集計部310は、ワークエリアに保存した接触履歴情報と、購買履歴情報とを比較し、差分情報を抽出する(ステップS32)。具体的には、接触履歴情報において客が接触した商品が陳列された商品陳列手段200の識別情報SIDのうち、購買履歴情報において客が購入した商品が陳列された商品陳列手段200の識別情報SIDに含まれない識別情報SIDに関する接触履歴情報を抽出する。
【0065】
次に、集計部310は、抽出した差分情報を、履歴格納部320に、手を伸ばしたが購入しなかった商品に関する情報として格納する(ステップS33)。このとき、ステップS32において差分情報として抽出された、商品陳列手段200の識別情報SIDに基づいて、さらに、その識別情報SIDと関連づけられた、当該商品陳列手段200に陳列された商品の識別情報PIDを取得すると、手を伸ばしたが購入しなかった商品そのものの情報を取得することが可能となる。
【0066】
本実施の形態1にかかる販売促進システムでは、さらに、手を伸ばしたが購入しなかった商品の情報を用いて、割引クーポンを生成して、客に対して提供する。
図11は、クーポンを提供するまでの処理の流れを示すフローチャートである。まず、クーポン生成部340は、履歴格納部320から手を伸ばしたが未購入の商品の識別情報PIDを取得する(ステップS41)。
【0067】
次に、クーポン生成部340は、取得した商品の識別情報PIDに基づいて割引クーポン情報を生成し、会計手段400に送信する(ステップS42)。例えば、クーポン生成部340は、未購入の商品の識別情報PIDを履歴格納部320から取得すると、予め商品毎に商品の識別情報と関連づけてクーポン情報を格納した記憶手段を参照して、取得した商品の識別情報PIDと関連づけられたクーポン情報を読み出す。そして、クーポン生成部340は、読み出したクーポン情報を、会計手段400に対して送信する。
【0068】
会計手段400のクーポン提供部420は、情報収集手段300のクーポン生成部340から送信されたクーポン情報を受信してクーポンを印刷する(ステップS43)。このとき、クーポンは、会計終了後に発行されるレシートの一部または当該レシートとは別の紙に印刷される。印刷されたクーポンは、客に手渡され、次回以降の来店時に使用することができる。
【0069】
以上説明したように、発明の実施の形態1にかかる販売促進システムでは、客が手を伸ばしたが未購入の商品の情報を取得し、そして、その商品のクーポンを客に提供するようにしたので、次回以降に来店した際にその商品の購入意欲を促進させることができ、効果の高い販売促進活動を行うことができる。
【0070】
発明の実施の形態2.
発明の実施の形態1にかかる販売促進システムでは、集計部310は、商品陳列手段200を介して、商品陳列手段200の識別情報SIDとともに商品運搬手段100の識別情報CIDを取得していた。本実施の形態2にかかる販売促進システムでは、商品運搬手段100と集計部310とを無線ネットワークで接続し、集計部310は、商品運搬手段100を介して、商品運搬手段100の識別情報CIDとともに商品陳列手段200から識別情報SIDを取得する。
【0071】
当該販売促進システムは、図12に示されるように、商品運搬手段100に、さらに、集計部310と無線通信を行う無線通信部140を備えている。また、当該販売促進システムの商品陳列手段200の人体通信部210は、必ずしも情報収集手段300の集計部310と通信可能に接続されている必要はない。その他の構成については、基本的に発明の実施の形態1にかかる販売促進システムと同じであり、説明を省略する。
【0072】
上述した、(1)客による商品接触及び(2)客による商品購入のうち、(1)客による商品接触のみ特徴的であるため、以下説明する。
【0073】
集計部310は、接続先の人体通信部210での通信の発生を、監視する。このとき、商品運搬手段100の一部を把持した来店客が、商品陳列手段200に陳列された商品を手に取ろうとして、商品陳列手段200の近傍に手を入れたものとする。この状態では、客の一方の手が商品運搬手段100の人体通信部110の電極に触れ、他方の手が商品陳列手段200の人体通信部210の近傍に位置するため、人体通信部110と、人体通信部210との間で通信が確立する。
【0074】
通信確立後の、集計部310の動作を図13のフローチャートに示す。
まず、集計部310は、商品運搬手段100から、その識別情報CIDを取得する(ステップS51)。具体的には、集計部310から、無線ネットワークで接続された、商品運搬手段100の無線通信部140に対して、商品運搬手段100の識別情報CIDの取得要求を送信する。商品運搬手段100の無線通信部140は、かかる取得要求を受信すると、ID格納部120に格納された識別情報CIDを読み出し、集計部310に対して送信する。集計部310は、送信された識別情報CIDを受信することによって、当該識別情報CIDを取得する。
【0075】
次に、集計部310は、商品運搬手段100を介して商品陳列手段200の識別情報SIDを、取得する(ステップS52)。具体的には、集計部310から、無線ネットワークで接続された、商品運搬手段100の無線通信部140に対して、商品陳列手段200の識別情報SIDの取得要求を送信する。商品陳列手段200の無線通信部140は、かかる取得要求を受信すると、人体通信部110によって、人体通信可能に接続された商品陳列手段200の人体通信部210に対してこの取得要求を転送する。商品陳列手段200の人体通信部210は、当該取得要求を受信すると、ID格納部220に格納された識別情報SIDを読み出し、商品運搬手段100の人体通信部110に対して、送信する。商品運搬手段100の人体通信部110は、識別情報SIDを受信し、無線通信部140によって集計部310に対して転送する。集計部310は、送信された識別情報SIDを受信することによって、当該識別情報SIDを取得する。
【0076】
以上の一連の処理により、履歴格納部320には、来店客が商品に手を伸ばした時の、時刻と、その商品陳列手段200の識別情報SIDと、その時に客が保持していた商品運搬手段100の識別情報CIDの情報が格納される(ステップS53)。
【0077】
以上、説明したように、本実施の形態2にかかる販売促進システムにおいても、発明の実施の形態1と同様に、店舗の来店客が、商品購入前にどのような商品を手に取ったかといった情報を取得することが可能となり、そしてその情報に基づいてクーポンを客に提供することができる。
【0078】
発明の実施の形態3.
本実施の形態3にかかる販売促進システムは、クーポンを電子クーポンとして携帯電話に送信するものである。
【0079】
図14に示されるように、情報収集手段300のクーポン生成部340において生成されたクーポン情報は、予め登録された客の携帯電話600に対して送信される。送信方法は、電子メールにより当該携帯電話600のアドレスに対して送信してもよく、ブルートゥース(登録商標)等の短距離通信により直接携帯電話600に対して送信してもよい。クーポン情報としては、携帯電話600のディスプレイに表示するクーポンデータそのものであっても、携帯電話600のディスプレイに表示するクーポンデータにアクセスするためのアドレス情報のいずれでもよい。
【0080】
携帯電話600は、クーポン取得部610を備えている。クーポン取得部610は、上述の各方法により送信されたクーポン情報を取得する。クーポンを使用する場合には、例えば、携帯電話600のディスプレイにクーポンデータを表示させる。
【0081】
以上、説明したように、本実施の形態3にかかる販売促進システムにおいても、発明の実施の形態1、2と同様の効果を奏することができる。
【0082】
なお、本実施の形態3にかかる販売促進システムは、情報を収集するための基本的な構成を発明の実施の形態1と同様の構成としたが、発明の実施の形態2と同様の構成としてもよい。
【0083】
発明の実施の形態4.
本実施の形態4にかかる販売促進システムは、商品運搬手段100に、客が手に取った商品のリストを表示する機能を備えている。
【0084】
図15に示されるように、商品運搬手段100は、商品リスト生成部150及び商品リスト表示部160を備えている。商品リスト生成部150は、客が手に取った商品のリストを生成する。商品リスト表示部160は、商品リスト生成部150により生成された商品のリストを表示するディスプレイである。
【0085】
続いて、本実施の形態4にかかる販売促進システムにおいて、客が手に取った商品のリストを表示するまでの処理の流れについて説明する。
【0086】
集計部310は、接続先の人体通信部210での通信の発生を、監視する。このとき、商品運搬手段100の一部を把持した来店客が、商品陳列手段200に陳列された商品を手に取ろうとして、商品陳列手段200の近傍に手を入れたものとする。この状態では、客の一方の手が商品運搬手段100の人体通信部110の電極に触れ、他方の手が商品陳列手段200の人体通信部210の近傍に位置するため、人体通信部110と、人体通信部210との間で通信が確立する。
【0087】
まず、集計部310は、商品運搬手段100から、その識別情報CIDを取得する。具体的には、集計部310から、無線ネットワークで接続された、商品運搬手段100の無線通信部140に対して、商品運搬手段100の識別情報CIDの取得要求を送信する。商品運搬手段100の無線通信部140は、かかる取得要求を受信すると、ID格納部120に格納された識別情報CIDを読み出し、集計部310に対して送信する。集計部310は、送信された識別情報CIDを受信することによって、当該識別情報CIDを取得し、履歴格納部320に格納する。
【0088】
次に、集計部310は、商品運搬手段100を介して商品陳列手段200の識別情報SIDを、取得する。具体的には、集計部310から、無線ネットワークで接続された、商品運搬手段100の無線通信部140に対して、商品陳列手段200の識別情報SIDの取得要求を送信する。商品陳列手段200の無線通信部140は、かかる取得要求を受信すると、人体通信部110によって、人体通信可能に接続された商品陳列手段200の人体通信部210に対してこの取得要求を転送する。商品陳列手段200の人体通信部210は、当該取得要求を受信すると、ID格納部220に格納された識別情報SIDを読み出し、商品運搬手段100の人体通信部110に対して、送信する。商品運搬手段100の人体通信部110は、識別情報SIDを受信し、無線通信部140によって集計部310に対して転送する。集計部310は、送信された識別情報SIDを受信することによって、当該識別情報SIDを取得し、履歴格納部320に格納する。
【0089】
集計部310は、履歴格納部320に格納された商品陳列手段の識別情報SIDに基づいて、商品情報格納部330を参照して、当該識別情報SIDに対応づけられた商品情報を取得する。この商品情報は、客が手を伸ばした商品の情報である。集計部310は、さらに取得した商品情報を商品運搬手段100に対して送信する。
【0090】
商品運搬手段100の無線通信部140は、当該商品情報を取得して、商品リスト生成部150に出力する。商品リスト生成部150は、入力された商品情報を適宜蓄積していきリスト化する。商品リスト生成部150は、作成した商品リストを商品リスト表示部160に出力する。商品リスト表示部160は、入力された商品リストを表示する。
【0091】
このように本実施の形態にかかる販売促進システムでは、商品が手に取った商品のリストを商品運搬手段100に表示することができるので、客は、興味があって手に取った商品の一覧を見ることができるので、購入忘れを防止することができる。このため、店舗側にとっても、販売を促進することにつながる。
【0092】
なお、本実施の形態では、集計部310が購買情報を商品運搬手段100を経由して取得しているが、発明の実施の形態1のように、商品陳列手段200を経由して取得するシステムに適用することも可能である。
【0093】
また、本実施の形態では、客が手に取った商品の情報を情報収集手段300から取得するようにしたが、これに限らず、商品運搬手段100が商品陳列手段200から人体通信により送信された識別情報SIDを受信して、これを商品情報に変換する処理を実行するようにしてもよい。この場合には、各商品運搬手段100に商品情報格納部330と同等の記憶部を設ける必要がある。
【0094】
発明の実施の形態5.
本実施の形態にかかる販売促進システムでは、商品リストを客の携帯電話に表示するようにしている。
【0095】
図16に示されるように、本実施の形態にかかる販売促進システムの携帯電話600は、商品リスト生成部620及び商品リスト表示部630を備えている。商品リスト生成部620は、客が手に取った商品のリストを生成する。商品リスト表示部630は、商品リスト生成部620により生成された商品のリストを表示するディスプレイである。
【0096】
続いて、本実施の形態5にかかる販売促進システムにおいて、客が手に取った商品のリストを携帯電話に表示するまでの処理の流れについて説明する。
【0097】
情報収集手段300が、客が手に取った商品の情報を収集し、履歴格納部320に格納するまでの処理は、発明の実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
次に、集計部310は、履歴格納部320に格納された商品陳列手段の識別情報SIDに基づいて、商品情報格納部330を参照して、当該識別情報SIDに対応づけられた商品情報を取得する。この商品情報は、客が手を伸ばした商品の情報である。集計部310は、さらに取得した商品情報を予め登録されたアドレスにより携帯電話600に対して送信する。
【0098】
携帯電話600の商品リスト生成部620は、当該商品情報を受信し、取得する。商品リスト生成部620は、当該商品情報を適宜蓄積していきリスト化する。商品リスト生成部620は、作成した商品リストを商品リスト表示部630に出力する。商品リスト表示部630は、入力された商品リストを表示する。
【0099】
以上説明したように、本実施の形態5にかかる販売促進システムにおいても、客に対して手に取った商品の情報を与えることができるため、販売促進につなげることができる。特に、携帯電話を介して伝達しているため、客はその情報を店外でも確かめることができるので、次回以降の来店時の販売促進にもつながる。
【0100】
なお、上述の例では、携帯電話において商品リストを表示することができるものであったが、さらに、電子メールにより客に対して商品リストを表示するようにしてもよい。
【0101】
さらに、集計部31は、商品リストのみならず、商品の具体的な商品情報(例えば、生産者情報、農薬の使用の有無、効能等)にアクセスできるように、商品情報そのものを送信したり、当該商品情報へのアクセス情報(URL等)を送信するようにしてもよい。
【0102】
また、店舗側は、これらの手を伸ばした商品の情報に基づいて、販売を促す広告情報を客に送信するようにしてもよい。
【0103】
その他の実施の形態.
上述の発明の実施の形態2にかかる販売促進システムでは、集計部310は、商品運搬手段100の識別情報CID及び商品陳列手段200の識別情報SIDを、無線通信部140を介して取得したが、会計手段を介して取得するようにしてもよい。この場合には、商品運搬手段100の人体通信部110と、商品陳列手段200の人体通信部210の通信が確立した段階で、商品陳列手段200の識別情報SIDが人体通信により商品運搬手段100の人体通信部110に伝送され、ID格納部120に格納される。会計時に、会計手段400が、商品運搬手段100のID格納部120に格納された商品運搬手段100の識別情報CID及び商品陳列手段200の識別情報SIDを取得し、集計部310に送信する。
【0104】
図1における第2の処理部201を商品そのものに設けた場合には、当該第2の処理部201は、客が商品を保持している時間を検出することができる。この場合には、当該第2の処理部201に、タイマーを設け、客が商品を保持している時間を計測して、保持時間情報として情報収集手段300に対して送信する。もしくは、第1の処理部101に、タイマーを設け、客が商品を保持している時間を計測して、保持時間情報として情報収集手段300に対して送信する。情報収集手段300は、当該保持時間情報を履歴格納部320に格納する。さらに、保持時間情報を店員に対して報知する手段を情報収集手段300に設けることによって、店員は、保持時間が長い客に対して、商品説明等の販売促進活動を効果的に行うことができる。
【符号の説明】
【0105】
100 商品運搬手段
110 人体通信部
120 ID格納部
130 商品格納部
140 無線通信部
150 商品リスト生成部
160 商品リスト表示部
200 商品陳列手段
210 人体通信部
220 ID格納部
300 情報収集手段
310 集計部
320 履歴格納部
330 商品情報格納部
340 クーポン生成部
400 会計手段
410 購入商品情報取得部
420 クーポン提供部
600 携帯電話
610 クーポン取得部
620 商品リスト生成部
630 商品リスト表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
客によって携行される携行手段に設けられ、当該携行手段を識別する携行手段識別情報を保持し、人体通信可能な第1の処理手段と、
商品又は商品の近傍に設けられ、当該商品を識別する商品識別情報を保持し、人体通信可能な第2の処理手段と、
前記第1の処理手段と前記第2の処理手段との間で前記客の体を介して伝送された前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の一方の情報と、前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の他方の情報とを取得して接触履歴情報として履歴格納部に格納する情報収集手段と、
客が購入した商品の商品識別情報と、購入した客によって携行された携行手段の携行手段識別情報を含む購買履歴情報を取得し、前記情報収集手段に送信する会計手段とを備え、
前記情報収集手段は、さらに、前記履歴格納部に格納された前記接触履歴情報と、前記購買履歴情報に基づいて、客が接触したが購入しなかった商品に関する情報を生成し、この商品に関するクーポン情報を生成する販売促進システム。
【請求項2】
前記情報収集手段は、生成したクーポン情報を前記会計手段に送信する手段を有し、
前記会計手段は、受信したクーポン情報を客に提供する手段を有することを特徴とする請求項1記載の販売促進システム。
【請求項3】
受信したクーポン情報を客に提供する手段は、受信したクーポン情報を印刷する手段であることを特徴とする請求項2記載の販売促進システム。
【請求項4】
前記情報収集手段は、生成したクーポン情報を客の携帯電話に送信する手段を有することを特徴とする請求項1記載の販売促進システム。
【請求項5】
客によって携行される携行手段に設けられ、当該携行手段を識別する携行手段識別情報を保持し、人体通信可能な第1の処理手段と、
商品又は商品の近傍に設けられ、当該商品を識別する商品識別情報を保持し、人体通信可能な第2の処理手段と、
前記第1の処理手段と前記第2の処理手段との間で前記客の体を介して伝送された前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の一方の情報と、前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の他方の情報とを取得して接触履歴情報として履歴格納部に格納する情報収集手段とを備え、
前記情報収集手段は、さらに、前記履歴格納部に格納された前記接触履歴情報に基づいて、客が接触した商品に関する情報を生成し、前記第1の処理手段に送信し、
前記第1の処理手段は、送信された商品情報を表示する販売促進システム。
【請求項6】
客によって携行される携行手段に設けられ、当該携行手段を識別する携行手段識別情報を保持し、人体通信可能な第1の処理手段と、
商品又は商品の近傍に設けられ、当該商品を識別する商品識別情報を保持し、人体通信可能な第2の処理手段と、
前記第1の処理手段と前記第2の処理手段との間で前記客の体を介して伝送された前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の一方の情報と、前記携行手段識別情報あるいは前記商品識別情報の他方の情報とを取得して接触履歴情報として履歴格納部に格納する情報収集手段とを備え、
前記情報収集手段は、さらに、前記履歴格納部に格納された前記接触履歴情報に基づいて、客が接触した商品に関する情報を生成し、客の携帯電話に送信する販売促進システム。
【請求項7】
客によって携行される携行手段に設けられ、人体通信可能な第1の処理手段と、
商品又は商品の近傍に設けられ、当該商品を識別する商品識別情報を保持し、人体通信可能な第2の処理手段と、
前記第1の処理手段は、前記第2の処理手段から前記客の体を介して伝送された前記商品識別情報を受信し、当該商品識別情報に基づいて客が接触した商品に関する情報を生成し、表示する販売促進システム。
【請求項8】
前記携行手段は、商品を格納し、運搬する商品運搬手段であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の記載の販売促進システム。
【請求項9】
商品を陳列する商品陳列手段を識別する商品陳列手段識別情報を当該商品陳列手段から情報収集手段に伝送するステップと、
客によって携行される携行手段を識別する携行手段識別情報を、当該携行手段から客の人体を介して人体通信により前記商品陳列手段に伝送するステップと、
前記商品陳列手段から前記携行手段識別情報を前記情報収集手段に伝送するステップと、
前記情報収集手段において、伝送された前記商品陳列手段識別情報及び前記携行手段識別情報を関連づけて接触履歴情報として格納するステップと、
前記情報収集手段において、格納された前記接触履歴情報と、購買履歴情報に基づいて、客が接触したが購入しなかった商品に関する情報を生成し、この商品に関するクーポン情報を生成するステップを備えた販売促進処理方法。
【請求項10】
前記情報収集手段は、生成したクーポン情報を会計手段に送信し、
前記会計手段は、受信したクーポン情報を印刷することを特徴とする請求項9記載の販売促進処理方法。
【請求項11】
前記情報収集手段は、生成したクーポン情報を客の携帯電話に送信することを特徴とする請求項10記載の販売促進処理方法。
【請求項12】
前記情報収集手段は、さらに、前記履歴格納部に格納された前記接触履歴情報に基づいて、客が接触した商品に関する情報を生成し、前記第1の処理手段に送信し、
前記第1の処理手段は、送信された商品情報を表示する販売促進方法。
【請求項13】
商品を陳列する商品陳列手段を識別する商品陳列手段識別情報を当該商品陳列手段から情報収集手段に伝送するステップと、
客によって携行される携行手段を識別する携行手段識別情報を、当該携行手段から客の人体を介して人体通信により前記商品陳列手段に伝送するステップと、
前記商品陳列手段から前記携行手段識別情報を前記情報収集手段に伝送するステップと、
前記情報収集手段において、伝送された前記商品陳列手段識別情報及び前記携行手段識別情報を関連づけて接触履歴情報として格納するステップと、
前記情報収集手段は、さらに、格納された前記接触履歴情報に基づいて、客が接触した商品に関する情報を生成し、客の携帯電話に送信するステップを備えた販売促進処理方法。
【請求項14】
商品を陳列する商品陳列手段を識別する商品陳列手段識別情報を、当該商品陳列手段から人体通信により、客により携行される携行手段に伝送するステップと、
当該携行手段は、伝送された商品陳列手段識別情報に基づいて、客が接触した商品に関する情報を生成し、表示するステップを備えた販売促進処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−277256(P2010−277256A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127923(P2009−127923)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】