説明

販売促進支援用プリンターおよび販売促進支援システム

【課題】売場担当者の棚札やPOPの更新作業に要する負担が大幅に軽減される。
【解決手段】販売促進用媒体の印刷フォーマットを記憶する記憶部112と、操作入力が行われる入力部161と、商品の価格および品名を含む商品情報を取得すべき旨の前記操作入力が行われたことに応じて、商品毎に前記商品情報を管理する管理装置200にアクセスして前記商品に関する前記商品情報を取得する商品情報取得部115と、取得した前記商品情報と、指定された前記印刷フォーマットとに基づいて、前記商品についての前記販売促進用媒体の印刷データを生成して前記販売促進用媒体として印刷する印刷部117と、を備えることを特徴とする販売促進支援用プリンター100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売促進支援用プリンターおよび販売促進支援システムに関する。より詳しくは、棚札およびPOPなどの販売促進用媒体の印刷が可能な販売促進支援用プリンター、および、販売促進支援用プリンターと当該販売促進支援用プリンターからのアクセスに応じて商品情報を出力する管理装置とを備えた販売促進支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーなどの小売店舗では、商品を陳列棚に陳列する際に、陳列棚やその付近に商品名や価格等を表示した棚札(値札)や販売促進用のPOPを掲示する。このような棚札やPOPは、季節の行事や新製品の発売等によって陳列する商品の種類やレイアウトを変更する度に、新たに陳列された商品にあわせた内容のものに取り替える必要がある。その場合、売場担当者は、新たに棚札やPOPを印刷する必要があるが、このような印刷業務を効率化するための様々なシステムが提案されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−38411号公報
【特許文献1】特開2009−48521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、売場から離れたバックヤードなどに設置されたPOS情報を管理するPCおよびプリンターで必要な棚札やPOPを印刷していたことから、売場担当者は、例えば商品の売れ行きに応じて直ちに陳列棚の商品やレイアウトを変更したい場合でも、その都度、バックヤードに出向いて必要な棚札やPOPを印刷する必要があった。このようなことから、棚札やPOPの印刷および取り替えなどの作業は、売場担当者の大きな負担となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することを目的として、本発明は、一の形態として、販売促進用媒体の印刷フォーマットを記憶する記憶部と、操作入力が行われる入力部と、商品の価格および品名を含む商品情報を取得すべき旨の前記操作入力が行われたことに応じて、商品毎に前記商品情報を管理する管理装置にアクセスして前記商品に関する前記商品情報を取得する商品情報取得部と、取得した前記商品情報と、指定された前記印刷フォーマットとに基づいて、前記商品についての前記販売促進用媒体の印刷データを生成して前記販売促進用媒体として印刷する印刷部と、を備えることを特徴とする販売促進支援用プリンターを提供する。
【0006】
このような販売促進支援用プリンターによれば、販売促進用媒体の印刷フォーマットをプリンター側で記憶しており、POSシステムのサーバーなど商品情報を管理する管理装置から対象商品の販売価格などの商品情報を取得することによって、例えば当該対象商品の販促を目的としたPOPや棚札を印刷することができる。したがって、例えば売場担当者がプリンターを売場に持って行き、その場で販売価格等の変更が必要な商品をピックアップしながら当該商品の棚札等を印刷することができるので、棚札やPOPの更新の度にバックヤードなどに設置されたプリンターに棚札やPOPを受け取りに行く場合と比べて、売場担当者の棚札やPOPの更新作業に要する負担が大幅に軽減される。
【0007】
また、上記販売促進支援用プリンターにおいて、前記入力部に対して、取得した前記商品情報を変更すべき旨の操作入力が行われたことに応じて、前記管理装置が管理する前記商品情報を変更するための商品情報変更命令を出力する変更命令出力部を更に備え、前記商品情報取得部は、前記商品情報変更命令が出力されたことに応じて、前記管理装置にアクセスして変更された前記商品情報を取得することが好ましい。
【0008】
これにより、プリンター側で販売価格等を変更したPOPや棚札を印刷した場合に、その商品の売場での販売価格(変更後の販売価格)が、管理装置が管理する販売価格と異なった状態となるのを防ぐことができる。
【0009】
また、上記販売促進支援用プリンターにおいて、前記商品情報取得部は、前記管理装置から前記商品情報を取得できなかった場合に、前記商品情報を取得するまで所定のタイミングで前記アクセスを繰り返し、前記アクセスができない状態が予め定められた時間継続した場合に警告情報を出力する警告情報出力部を有することが好ましい。
【0010】
これにより、プリンターと管理装置との間が所定時間以上にわたって通信不能となったことをプリンターの操作者が確実に認識することができるので、例えば、プリンター側で販売価格等を変更したPOPや棚札を印刷した場合に、その商品の売場での販売価格(変更後の販売価格)が、管理装置が管理する販売価格と異なった状態のままとなっていることを操作者に認識させることができる。
【0011】
また、上記販売促進支援用プリンターにおいて、前記商品情報、前記印刷フォーマット、および前記印刷データの少なくとも何れかを表示可能な表示部を更に備え、前記入力部および前記表示部は、プリンター本体から取り外し可能な操作端末に設けられていることが好ましい。
【0012】
これにより、プリンターの操作者は、手許の操作端末に設けられた表示部を見ながら印刷フォーマットの選択や商品情報の変更などができるので、操作性が向上する。
【0013】
また、上記販売促進支援用プリンターにおいて、前記操作端末には、前記商品の売場の位置を示すロケーションコードおよび前記商品情報を示す商品コードの少なくとも一方を読取可能な読取部が設けられていることが好ましい。
【0014】
これにより、プリンターの操作者は、操作端末に設けられた読取部で既設のPOPや棚札に印字されたロケーションコードや商品コードを読み取ることで販売価格等を変更しようとする商品の現在の販売価格や売場の位置を容易に把握することができる。
【0015】
また、上記販売促進支援用プリンターにおいて、前記プリンター本体および前記操作端末は、これらの少なくとも一方に内蔵されたバッテリーから供給される電力によって駆動することが好ましい。
【0016】
これにより、売場にプリンターを持ち込んだ際に電源を探す必要がなくなり、携行性に優れる。
【0017】
また、本発明は、他の形態として、上記のいずれかの販売促進支援用プリンターと、前記商品毎の前記商品情報を記憶する商品情報記憶部を備えるとともに、前記販売促進支援用プリンターからのアクセスに応じて、当該販売促進支援用プリンターに対して前記商品情報を出力する管理装置と、を備えることを特徴とする販売促進支援システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る販売促進支援システム10の構成図を示す。
【図2】販売促進支援システム10の機能ブロック図を示す。
【図3】プリンター本体110の内部構成を概略的に示す断面図である。
【図4】持ち運ぶ際の販売促進支援用プリンター100の状態を示す斜視図である。
【図5】棚札およびPOPを配置した陳列棚の一例を示す。
【図6】棚札の一例を示す。
【図7】図6に示す棚札の販売価格を変更した例を示す。
【図8】POPの一例を示す。
【図9】図8に示すPOPのフォーマットを変更した例を示す。
【図10】図9に示すフォーマットに変更したPOPの販売価格を変更した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態について説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態における特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る販売促進支援システム10の構成図を示す。また、図2は、販売促進支援システム10の機能ブロック図を示す。また、図3は、プリンター本体110の内部構成を概略的に示す断面図である。また、図4は、持ち運ぶ際の販売促進支援用プリンター100の状態を示す斜視図である。
【0021】
本実施形態に係る販売促進支援システム10は、例えば、スーパーなどの小売店舗において、商品を陳列した陳列棚に貼り付けられた棚札や買物客への商品の啓蒙などを目的としたPOPなどを、売場担当者などが売場にて再度印刷して即座に交換可能なシステムであって、販売促進支援用プリンター100と、ホストコンピューター(管理装置)200と、本部サーバー300とで構成される。
【0022】
販売促進支援用プリンター100は、プリンター本体110と、プリンター本体110から取り外し可能な操作端末160とを備える。操作端末160は、入力部161、バーコードリーダー(読取部)162、および表示部166を有し、さらに、記憶部163、バッテリー164、処理部165、通信部167が内蔵されている。
【0023】
入力部161は、販売促進支援用プリンター100に対する様々な操作入力を行うために設けられており、本例では、複数のボタンで構成されている。バーコードリーダー162は、本発明における読取部の一例であり、陳列棚に貼り付けられた棚札に印字されているバーコードに発光面を近付けて対向させることで当該バーコードが示す情報を読み取ることができる。このバーコードは、例えば当該バーコードが印字された棚札が貼り付けられた陳列棚の位置を示すロケーションコード、あるいは、商品の価格および品名などを含む商品情報を示す商品コードなどであってよく、商品情報や陳列棚の位置などを含む。また、バーコードの種類も1次元バーコートおよび2次元バーコードなどいずれの方式のバーコードであってもよい。
【0024】
表示部166は、商品の価格および品名を含む商品情報、棚札やPOPなどの販売促進用媒体の印刷フォーマット、並びに、商品情報および指定された印刷フォーマットに基づいて生成された販売促進用媒体の印刷データなどを表示することができる。本例の表示部166は、例えば液晶ディスプレイであってよいが、他の表示方式の表示装置であってもよい。
【0025】
記憶部163は、プリンター本体110から送信されて通信部167で受信した商品情報や印刷フォーマット、および当該商品情報や印刷フォーマットに基づいて生成された印刷データなどを記憶する。また、記憶部163は、バーコードリーダー162で読み取ったバーコードが示す情報や、入力部161を介して入力された操作入力のうち通信部167経由でプリンター本体110へ送信する操作入力を、プリンター本体110への送信が完了するまで記憶してもよい。この記憶部163は、例えばDRAMやSRAMなどの揮発性のメモリーであってよいが、ROMやフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーであってもよい。
【0026】
バッテリー164は、例えば交換可能な乾電池あるいは繰り返し充電が可能な充電式電池であり、操作端末160の各部へ電力を供給する。なお、操作端末160がプリンター本体110と有線にて接続し、プリンター本体110から電力の供給を受けることができれば、操作端末160にバッテリー164を設けなくともよい。
【0027】
処理部165は、入力部161からの操作入力の内容に応じて演算処理を実行し、その処理結果に基づいて操作端末160の各部に制御命令を出力する。より具体的には、処理部165は、例えば、入力部161において特定の商品についてのPOPの印刷データの生成モードを選択する旨の操作入力が行われるか、あるいは既設のPOPに印字されたバーコードをバーコードリーダー162で読み取ることにより当該POPにて表示された商品の商品名および販売価格などの商品情報が入力されると、通信部167を介してプリンター本体110からPOPの印刷フォーマットを複数取得する。
【0028】
そして、処理部165は、取得したPOPの印刷フォーマットのうちの1つを表示部166へ表示させるとともに、入力部161から他の印刷フォーマットを選択する旨の操作入力が行われたことに応じて、表示部166へ表示させている印刷フォーマットを他の印刷フォーマットへ変更する。また、このとき、処理部165は、操作入力により指定された商品の商品情報あるいはバーコードリーダー162で読み取ったバーコードに含まれる商品情報を印刷フォーマットに当て嵌めた状態で表示部166へ表示させてもよい。
【0029】
そして、処理部165は、入力部161から印刷フォーマットおよび商品情報を決定して印刷すべき旨の操作入力が行われたことに応じて、指定された印刷フォーマットおよび商品情報に基づいて印刷データを生成し、当該印刷データを通信部167を介してプリンター本体110へと出力する。また、処理部165は、通信部167とプリンター本体110との通信が確立できなかった場合は、生成した印刷データを記憶部163へ記憶させるとともに、通信部167とプリンター本体110との通信が確立できた段階で当該印刷データをプリンター本体110へと出力する。操作端末160で印刷データを生成するまでの具体例については後述する。
【0030】
通信部167は、プリンター本体110における後述の通信部111との間で無線にて信号の送受信を行う。このときの無線通信方式は特に限定されないが、例えば赤外線通信などの近距離通信方式であってよい。
【0031】
プリンター本体110は、通信部111,116、記憶部112、可動式レバー113、バッテリー114、処理部115、および印刷部117などを有する。また、プリンター本体110の上面には、操作端末160を半収納状態で保持するための操作端末収納用凹部118が設けられており、販売促進支援用プリンター100を持ち運ぶ際には、図4に示すように、この操作端末収納用凹部118に操作端末160を嵌め込むことでプリンター本体110と操作端末160とを一体で持ち運ぶことができる。また、操作端末収納用凹部118に操作端末160を嵌め込んだ状態でも、操作端末160の入力部161および表示部166が露出し使用可能な状態となっている。
【0032】
また、図3および図4に示すように、プリンター本体110の後面には単票紙(CP)をプリンター本体110へ給紙するための給紙口130が、前面には印刷されたPOPなどの販売促進用媒体が排紙される排紙口135が、それぞれ設けられている。また、プリンター本体110の前面には、開閉可能な前面カバー119が設けられており、この前面カバー119を開いて内部に収納されるロール紙(RP)の交換などを行うことができる。
【0033】
通信部111は、操作端末160における通信部167との間で無線にて信号の送受信を行う。このときの無線通信方式は特に限定されないが、例えば赤外線通信などの近距離通信方式であってよい。また、通信部116は、ホストコンピューター200との間で無線にて信号の送受信を行う。このときの無線通信方式についても特に限定されないが、例えば無線LAN(Local Area Network)などの通信方式であってよい。
【0034】
記憶部112は、操作端末160から送信されて通信部111で受信した印刷データを記憶する。また、記憶部112は、プリンター本体110が販売促進用媒体を印刷する際の印刷動作に必要な各種のプログラムを記憶する。この記憶部112は、例えばDRAMやSRAMなどの揮発性のメモリーであってよいが、ROMやフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーであってもよい。
【0035】
可動式レバー113は、略コの字型の持ち手であり、その両端はプリンター本体110の両側面にヒンジ113aを介して取り付けられている。可動式レバー113は、このヒンジ113aを中心に回動可能であり、販売促進支援用プリンター100の使用時には図1に示すように、持ち手の部分がプリンター本体110の後面側に倒された状態となる。一方、販売促進支援用プリンター100を持ち運ぶ際には、図4に示すように可動式レバー113を起こして使用する。
【0036】
バッテリー114は、プリンター本体110の各部へ駆動電力を供給するための電源であり、プリンター本体110に内蔵される。このバッテリー114は、例えばニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、あるいはリチウムイオン電池などの繰り返し充電が可能な充電式電池であってよい。プリンター本体110がこのようなバッテリー114を有することにより、売場に販売促進支援用プリンター100を持ち込んだ際に電源を探す必要がなく、携行性に優れる。
【0037】
また、操作端末160をプリンター本体110と電源ケーブルにて接続し、バッテリー114から操作端末160に対して電源を供給してもよい。これにより、操作端末160に別個にバッテリーを設ける必要がない。
【0038】
また、本例では、可動式レバー113が、バッテリー114によるプリンター本体110の各部への電力供給を制御するスイッチとして機能する。より具体的には、バッテリー114は、可動式レバー113が販売促進支援用プリンター100の使用時における固定位置(プリンター本体110の後面側に倒された状態)にあるときにはプリンター本体110の各部へ電力を供給し、当該固定位置以外の位置にあるときには電力の供給を停止する。
【0039】
このように、可動式レバー113を電力供給のスイッチとして機能させることで、販売促進支援用プリンター100を持ち運ぶ際に電源をオフにする操作が必要なくなるだけでなく、使用時以外は確実にバッテリー114からの電力の供給が止まるので、バッテリー114の消耗を抑えることができる。なお、プリンター本体110には、外部電源を利用するための電源プラグ140も設けられており、この電源プラグ140経由で外部から電力の供給を受けることもできる。
【0040】
処理部115は、本発明における商品情報取得部、警告情報出力部、および変更命令出力部として機能し、通信部111を介して操作端末160から入力される印刷データの内容に応じた印刷動作の動作命令を印刷部117へ出力する。また、処理部115は、後述のように、操作端末160において商品情報が変更されたことによって操作端末160から変更後の商品情報が入力されると、ホストコンピューター200が管理する当該商品情報を変更すべき旨の商品情報変更命令を、通信部116を介してホストコンピューター200へと送信する。
【0041】
また、処理部115は、商品情報変更命令が出力されたことに応じて、通信部111を介してホストコンピューター200にアクセスして変更対象の商品の商品情報を取得する。そして、処理部115は、変更対象の商品の商品情報が正しく変更されていない場合は、操作端末160の表示部166に所定の警告メッセージ(警告情報)を表示させて、売場担当者に対して、売場での商品の販売価格(変更後の販売価格)が、ホストコンピューター200で管理されている販売価格と異なった状態となっている可能性があることを通知する。
【0042】
また、処理部115は、プリンター本体110とホストコンピューター200との間で通信が確立できなかったなどの原因によりホストコンピューター200から商品情報を取得できなかった場合は、商品情報を取得するまで例えば一定間隔で通信部111を介してホストコンピューター200に対するアクセスを繰り返し、当該アクセスができない状態が一定時間継続した場合にも、操作端末160の表示部166に所定の警告メッセージを表示させる。
【0043】
販売促進支援用プリンター100がこのような機能を有することにより、ホストコンピューター200で管理されている販売価格と異なった価格で商品が販売されるのを未然に防ぐことができる。なお、売場担当者に対する上記通知の方法は、表示部166に警告メッセージを表示する方法に限られず、例えばプリンター本体110に設けられた後述のステータス表示LED120を点滅させるなどの方法であってもよい。
【0044】
印刷部117は、印刷動作制御部117a、印刷データ生成部117b、印刷動作実行部117cで構成される。印刷動作制御部117aは、処理部115から印刷動作の動作命令を受け取ったことに応じて、プリンター本体110における印刷動作のための各機構の動作を制御する。印刷データ生成部117bは、印刷対象であるロール紙(RP)あるいは単票紙(CP)に対する印刷内容を示す印刷データを生成する。
【0045】
ホストコンピューター200は、商品情報を管理するための管理装置の一例であり、通信部201、入力部202、記憶部203、処理部205、および表示部206を有する。
【0046】
通信部201は、プリンター本体110における通信部116との間で無線にて各種データの送受信を行う。また、通信部201は、本部サーバー300との間でも各種データの送受信を行う。通信部201とプリンター本体110との間の通信方式は特に限定されないが、例えば無線LAN(Local Area Network)などの通信方式であってよい。また、通信部201と本部サーバー300との間の通信方式は有線LANが好ましい。
【0047】
記憶部203は、本発明における商品情報記憶部として機能し、複数の商品毎の商品情報を記憶する。また、記憶部203は、本部サーバー300から送信される各商品の他店での販売動向や販促キャンペーンの情報などを記憶する。また、記憶部203は、例えば、操作端末160の記憶部163のバックアップとして、棚札やPOPなどの販売促進用媒体の印刷フォーマットを記憶してもよい。この記憶部203は、例えばハードディスクドライブ(HDD)が好ましく用いられるが、Flash SSD(フラッシュエスエスディー、Flash Solid State Drive)を用いてもよく、また、ハードディスクドライブとROMやフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーとを組み合わせた記憶装置であってもよい。
【0048】
処理部205は、通信部201を介してプリンター本体110および本部サーバー300から送信される各種のデータや、入力部202からの操作入力の内容に応じて演算処理を実行し、その処理結果に基づいてホストコンピューター200の各部に制御命令を出力する。例えば、処理部205は、プリンター本体110から商品情報変更命令を受信した場合は、記憶部203にアクセスして当該変更命令にて指定された商品の商品情報を変更する。
【0049】
表示部206は、プリンター本体110および本部サーバー300から送信される各種のデータや、入力部202からの操作入力の内容、および、変更された商品情報などを表示する。本例の表示部206は、例えば液晶ディスプレイであってよいが、他の表示方式の表示装置であってもよい。
【0050】
続いて、プリンター本体110における印刷動作のための機構について説明する。図3に示すように、プリンター本体110の内部には、ロール紙(RP)を収納するロール紙ホルダー121と、ロール紙(RP)をキャリッジ126とプラテン128との間の印刷位置へと搬送する紙送りローラーセット123と、ロール紙(RP)の先端位置を検出するペーパーセンサー122と、単票紙(CP)を印刷位置へと搬送する紙送りローラーセット131と、単票紙(CP)の先端位置を検出するペーパーセンサー132と、印刷に使用されるカラーインクが貯留されているインクタンク125と、印刷位置においてプラテン128と対向するようにキャリッジ126に設けられた印刷ヘッド127と、印刷されたロール紙(RP)あるいは単票紙(CP)を排紙口135へと搬送する排紙ローラーセット124と、ロール紙(RP)の印刷時において印刷されたロール紙(RP)の後端をカットするオートカッター129とを備える。
【0051】
そして、プリンター本体110は、印刷データ生成部117bにおいて生成された印刷データに基づいて印刷動作制御部117aがキャリッジ126を印刷対象であるロール紙(RP)あるいは単票紙(CP)の紙面上を往復移動させるとともに、当該紙面に対してインクタンク125から供給される各色のインクを印刷ヘッド127から吐出させることによって、棚札およびPOPなどの各種販売促進用媒体の印刷を行うことができる。また、プリンター本体110の上面の前方側には、プリンター本体110の印刷動作の状況などを示すステータス表示LED120が設けられている。尚、プリンターの印刷方法は、インクジェット方式に限らず、レーザー方式や昇華型熱転写方式などの印刷方法であってもよい。
【0052】
次に、陳列棚に配された棚札およびPOPを販売価格等が変更されたものに更新する場合を例示して、販売促進支援用プリンター100のより具体的な使用態様について説明する。
【0053】
図5示すように、陳列棚500の各段(500A〜500D)に陳列された複数の商品(G1〜G11)の各々に対応して棚札(LB1〜LB11)が配置されており、さらに、新商品である商品G2については、その陳列位置の近傍にPOP(POP1)が配置されている場合を例に説明する。
【0054】
本例において、新商品である商品G2の売れ行きを改善するべく商品G2の価格を下げるとともにPOPをより商品訴求効果の高いデザインへ変更したい場合、売場担当者は、まず、販売促進支援用プリンター100を陳列棚500の近傍に設置し、操作端末160のバーコードリーダー162で商品G2の棚札LB2のバーコードを読み取り、棚札LB2の印刷データを表示部166に表示させる(図6参照)。そして、売場担当者は、例えば図7に示すように、入力部161を介して売れ行きが見込めそうな価格を入力することによって、印刷データ上の表示価格を変更する(本例では120円→98円)。そして、変更後の印刷データをプリンター本体110へと送信することによって、プリンター本体110において価格が変更された棚札LB2が印刷される。
【0055】
次に、売場担当者は、操作端末160のバーコードリーダー162でデザインを変更したいPOP(POP1)のバーコードを読み取り、当該POPの印刷データを表示部166に表示させる(図8参照)。そして、売場担当者は、例えば図9に示すように、入力部161を介して商品訴求効果の高いデザインの印刷フォーマットを指定し、さらに、棚札LB2を変更した際に設定した価格を入力することによって、図10に示すように、POPの印刷データ上の表示価格を変更する。そして、変更後の印刷データをプリンター本体110へと送信することによって、プリンター本体110においてデザインおよび価格が変更されたPOP(POP1)が印刷される。
【0056】
ここで、売場担当者は、陳列棚500を離れることなく変更後の棚札LB2およびPOP(POP1)を受け取ることができるので、棚札やPOPの変更が必要な商品をピックアップしながら、その場でその商品の棚札やPOPを印刷して変更することができる。したがって、棚札やPOPの変更の度にバックヤードなどに設置されたプリンターに棚札やPOPを受け取りに行く場合と比べて、売場担当者の棚札やPOPの変更作業に要する負担が大幅に軽減される。
【0057】
なお、上記のように売場担当者が特定の商品の棚札やPOPの価格(販売価格)を変更すると、管理装置が管理する前記商品情報を変更するための商品情報変更命令を出力する変更命令出力部を更に備え、前記商品情報取得部は、前記商品情報変更命令が出力されたことに応じて、再度、前記管理装置にアクセスして変更された前記商品情報を取得することが好ましい。
【0058】
これにより、プリンター側で販売価格等を変更したPOPや棚札を印刷した場合に、その商品の売場での販売価格(変更後の販売価格)が、管理装置が管理する販売価格と異なった状態となるのを防ぐことができる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることができることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0060】
10…販売促進支援システム、100…販売促進支援用プリンター、110…プリンター本体、111…通信部、112…記憶部、113…可動式レバー、113a…ヒンジ、114…バッテリー、115…処理部(商品情報取得部、警告情報出力部、変更命令出力部)、116…通信部、117…印刷部、117a…印刷動作制御部、117b…印刷データ生成部、118…操作端末収納用凹部、119…前面カバー、120…ステータス表示LED、121…ロール紙ホルダー、122…ペーパーセンサー、123…紙送りローラーセット、124…排紙ローラーセット、125…インクタンク、126…キャリッジ、127…印刷ヘッド、128…プラテン、129…オートカッター、135…排紙口、130…給紙口、131…紙送りローラーセット、132…ペーパーセンサー、135…排紙口、140…電源プラグ、160…操作端末、161…入力部、162…バーコードリーダー(読取部)、163…記憶部、164…バッテリー、165…処理部、166…表示部、167…通信部、200…ホストコンピューター(管理装置)、201…通信部、202…入力部、203…記憶部(商品情報記憶部)、205…処理部、206…表示部、300…本部サーバー、500…陳列棚、CP…単票紙、RP…ロール紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売促進用媒体の印刷フォーマットを記憶する記憶部と、
操作入力が行われる入力部と、
商品の価格および品名を含む商品情報を取得すべき旨の前記操作入力が行われたことに応じて、商品毎に前記商品情報を管理する管理装置にアクセスして前記商品に関する前記商品情報を取得する商品情報取得部と、
取得した前記商品情報と、指定された前記印刷フォーマットとに基づいて、前記商品についての前記販売促進用媒体の印刷データを生成して前記販売促進用媒体として印刷する印刷部と、
を備えることを特徴とする販売促進支援用プリンター。
【請求項2】
前記入力部に対して、取得した前記商品情報を変更すべき旨の操作入力が行われたことに応じて、前記管理装置が管理する前記商品情報を変更するための商品情報変更命令を出力する変更命令出力部を更に備え、
前記商品情報取得部は、前記商品情報変更命令が出力されたことに応じて、再度、前記管理装置にアクセスして変更された前記商品情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の販売促進支援用プリンター。
【請求項3】
前記商品情報取得部は、前記管理装置から前記商品情報を取得できなかった場合に、前記商品情報を取得するまで所定のタイミングで前記アクセスを繰り返し、前記アクセスができない状態が予め定められた時間継続した場合に警告情報を出力する警告情報出力部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の販売促進支援用プリンター。
【請求項4】
前記商品情報、前記印刷フォーマット、および前記印刷データの少なくとも何れかを表示可能な表示部を更に備え、
前記入力部および前記表示部は、プリンター本体から取り外し可能な操作端末に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の販売促進支援用プリンター。
【請求項5】
前記操作端末には、前記商品の売場の位置を示すロケーションコードおよび前記商品情報を示す商品コードの少なくとも一方を読取可能な読取部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の販売促進支援用プリンター。
【請求項6】
前記プリンター本体および前記操作端末は、これらの少なくとも一方に内蔵されたバッテリーから供給される電力によって駆動することを特徴とする請求項4または5に記載の販売促進支援用プリンター。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の販売促進支援用プリンターと、
前記商品毎の前記商品情報を記憶する商品情報記憶部を備えるとともに、前記販売促進支援用プリンターからのアクセスに応じて、当該販売促進支援用プリンターに対して前記商品情報を出力する管理装置と、
を備えることを特徴とする販売促進支援システム。
【請求項8】
前記管理装置は、
前記商品情報記憶部は、前記販売促進支援用プリンターから、前記商品情報を変更すべき旨の商品情報変更命令が入力されたことに応じて、記憶する前記商品情報を変更することを特徴とする請求項7に記載の販売促進支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−143888(P2012−143888A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1730(P2011−1730)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】