説明

貯水槽用壁ユニット

【課題】 貯水空間形成ブロックに平均した荷重伝達が可能な壁を構築できるようにする。
【解決手段】 地下貯水槽で用いる貯水空間形成ブロックの水平構造部の一辺に対応するユニット幅x、貯水空間形成ブロックの高さ寸法の2倍に対応するユニット高さz、所定のユニット厚さyの直方体形状のユニット外形における上下両端面に沿う水平部材12と、幅方向両端面に沿う鉛直部材13からなる外形枠11を備える。ユニット外形のユニット厚さy方向の一方と他方の面にそれぞれ沿う外側フランジ部14と内側フランジ部15とを、ユニット幅x方向に交互に配置すると共に、ユニット厚さy方向の連結用板リブ16を介して連結したものを、外形枠11の内側に連結する。内側フランジ部15の外面に、縦板リブ17と横板リブ18を設け、各フランジ部14,15に透口32を設けて壁ユニット10を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯水空間形成ブロックを水平方向及び垂直方向に組み立てて形成するブロック組立構造体の外周に取り付けて、貯水槽の壁を構築するために用いる貯水槽用壁ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、地下には、貯水槽(雨水貯留浸透施設)を設けて、降雨時に雨水を一時的に貯留できるようにし、この貯留した雨水を徐々に下水に流したり、周囲の地中に徐々に浸透させたりすることにより、洪水の発生を抑制することが行われている。
【0003】
又、上記地下貯水槽に貯留した雨水は、防火用水や、花壇や畑の散水等に利用することも考えられている。
【0004】
上記のような地下貯水槽を構築する場合、近年では、樹脂製の貯水空間形成ブロックとして、図9に示すように、平面形状が正方形で且つ所定の厚み寸法を有する水平構造部2と、該水平構造部2の上面より垂直方向に所定寸法突出する単数又は複数の支柱部3(図9では支柱部3が単数の形式の場合が示してある)とを一体にして備え、且つ上記水平構造部2には、上下方向に水を通過させるための図示しない透口(開口)を設けてなる構成の貯水空間形成ブロック1が多く用いられるようになってきている。
【0005】
この種の貯水空間形成ブロック1を用いて地下貯水槽を構築する場合は、図9に示すように、地面4を掘り下げて平面形状が矩形(正方形を含む)の凹部5を形成する。
【0006】
次いで、上記凹部5の内側にて、上記樹脂製の貯水空間形成用のブロック1を、水平方向に縦横の2方向に配列すると共に上下方向に多段に積層して直方体(立方体を含む)形状に組み立てて、上下に位置する水平構造部2の間の内部に貯水空間を備えた骨格となるブロック組立構造体6を形成する。
【0007】
この際、上記貯水空間形成ブロック1は、水平方向の縦横2方向に配列して組み立てるときに、隣接する貯水空間形成ブロック1同士で、上記平面形状正方形の水平構造部2の外周端面を互いに突き合せて、この突合せ部分を、図示しない連結手段(固定手段)により連結するようにしてある。これにより、組み立てられた上記ブロック組立構造体6では、或る高さ位置毎に、水平面内で各貯水空間形成ブロック1の水平構造部2が連続して配置された構造が形成されるようにして、該ブロック組立構造体6に対して外周より作用する水平方向の荷重を、上記各貯水空間形成ブロック1の各水平構造部2に作用する圧縮荷重として受けて支持することができるようにしてある。
【0008】
又、上記貯水空間形成ブロック1は、上下方向に多段に積層して配置するときには、最も下段の貯水空間形成ブロック1を、支柱部3が上向きとなる通常姿勢に配置すると共に、その上側に、上下を反転させた姿勢の別の貯水空間形成ブロック1を配置して、上下方向に対向配置される両者の支柱部3同士を突き合せて、この突合せ部分を、図示しない連結手段(固定手段)により連結するようにしてある。更に、その真上に、上記と同様に通常姿勢と上下反転姿勢で上下に組み合わせて連結した貯水空間形成ブロック1の組を、所定の段数で重ねて配置するようにしてある。これにより、組み立てられた上記ブロック組立構造体6では、上下方向に積層配置されている各貯水空間形成ブロック1の支柱部3が上下に連続して配置された構造が形成されるようにして、該ブロック組立構造体6に対して上方より作用する鉛直方向の荷重を、上記上下方向に連続配置された上記各貯水空間形成ブロック1の支柱部3に作用する圧縮荷重として受けて支持することができるようにしてある。
【0009】
上記のように凹部5内で組み立てたブロック組立構造体6は、外周に壁(側壁)7を設けると共に上面に天板8を取り付け、更に、周囲を、雨水の貯留や浸透の目的に応じて遮水シートや透水シートや保護シートを適宜選択あるいは組み合わせて用いるシート材9で覆った後、上側から土を埋め戻すことにより、地下貯水槽Iを構築するようにしてある。5aは上記凹部5の底部に設けた平坦な基礎である。
【0010】
ところで、地下に埋設された上記地下貯水槽Iは、周囲の地盤より内向きの水平土圧を受けるようになる。そのため、上記ブロック組立構造体6の外周に設けた壁7は、外面側に上記水平土圧を受けるようになる。
【0011】
この種の地下貯水槽Iの壁7は、たとえば、コンクリート製や鋼製の壁7とすることが従来提案されている。該コンクリート製や鋼製の壁7を用いる場合は、地下貯水槽Iの平面形状の外周縁に沿う位置に、該コンクリート製や鋼製の壁7を設置し、次いで、その内側に樹脂製の貯水空間形成ブロックを充填するようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【0012】
又、上記地下貯水槽Iの壁7は、別の形式のものとして、たとえば、ブロック組立構造体6の周囲となる個所に、水平断面H型の側板支持柱を、所定間隔で配列すると共に、隣接する側板支持柱同士で凹部が互いに対向するような姿勢で設置し、更に、上記隣接配置された側板支持柱同士の間に、側板を嵌め込むように取り付けて構築する形式の壁7が従来提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−284899号公報
【特許文献2】特開2007−23580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、特許文献1に示された地下貯水槽の壁、すなわち、コンクリート製や鋼製の壁は、該コンクリート製や鋼製の壁を設置した後、その内側にて図9に示したと同様の貯水空間形成ブロック1によるブロック組立構造体6を形成しても、該ブロック組立構造体6の外周位置に配置されている貯水空間形成ブロック1の水平構造部2の外周端面と、上記コンクリート製や鋼製の壁とを連結できないため、両者間の密着を図ることが困難である。よって、上記コンクリート製や鋼製の壁は、該壁の外面側に水平土圧が作用する場合、その荷重を上記ブロック組立構造体6の各貯水空間形成ブロック1の水平構造部2に対して伝達することが難しい。
【0015】
したがって、上記コンクリート製や鋼製の壁は、該壁自体で水平土圧を支承可能となる強度を備える必要があることから、該壁を大きな一体物として形成しなければならず、該壁の設置に要するコストが嵩むと共に、施工期間が長くなるという問題がある。
【0016】
又、特許文献2に示された地下貯水槽の壁は、側板支持柱と側板とを組み立てることにより形成できるため、施工期間の短縮化を図るには有利であると考えられる。
【0017】
しかし、該壁は、側板支持柱と側板という2種類の部材が必要であることから、該各部材を別々に製造するためのコストが嵩むという問題がある。又、該壁は、その構築を行うときには、側板支持柱の設置と、該側板支持柱に対する側板の取り付けという2つの工程を経る必要があるため、施工性が悪いという問題もある。
【0018】
更に、該壁は、図9に示したと同様の貯水空間形成ブロック1によるブロック組立構造体6の外周に設置した場合、該ブロック組立構造体6の外周位置に配置されている貯水空間形成ブロック1の水平構造部2の外周端面に接するのは、側板支持柱のみである。
【0019】
そのために、該壁の外面側に水平土圧が作用する場合、その荷重は、該壁の側板より側板支持柱に伝えられ、その後、該側板支持柱から上記ブロック組立構造体6を構成している貯水空間形成ブロック1の水平構造部2に伝達されるようになるため、該側板支持柱と接している特定の貯水空間形成ブロック1に、局所的な荷重が作用する。
【0020】
したがって、該壁では、水平土圧の荷重を、上記ブロック組立構造体6を構成している各貯水空間形成ブロック1に平均して伝えることができないため、局所的に大きな荷重が作用している貯水空間形成ブロックに変形が生じ易く、地下貯水槽の変形や、延いては該地下貯水槽が埋設してある個所の地面の沈下につながる虞が生じるという問題がある。
【0021】
そこで、本発明は、製造が容易であり、且つ貯水空間形成ブロックのブロック組立構造体の外周に壁を設ける作業の施工性を高めることができ、更には、地下貯水槽の壁として、水平土圧による荷重を、ブロック組立構造体を構成している各貯水空間形成ブロックの水平構造部に平均して伝えることが可能な壁を構築できる貯水槽用壁ユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、ユニット幅寸法とユニット高さ寸法を備え且つ該幅寸法、高さ寸法よりも小さいユニット厚さ寸法を有する扁平した直方体形状におけるユニット高さ方向の両端面に沿って配置した一対の板リブ状の水平部材と、ユニット幅方向の両端面に沿って配置した一対の板リブ状の鉛直部材からなる外形枠を備え、上記外形枠の一対の鉛直部材の間に、地下貯水槽の壁の外側となる上下方向に延びる平板状の外側フランジ部と、上記壁の内側となる上下方向に延びる平板状の内側フランジ部とを、ユニット幅方向に互に位置をずらして配置すると共に、該外側フランジ部と内側フランジ部のユニット幅方向の端部同士をユニット厚さ方向の連結用板リブを介して連結したものを、上記外形枠の内側に連結し、上記外側フランジ部と内側フランジ部に、水を通過させるための透口を設けてなる構成とする。
【0023】
又、上記構成において、内側フランジ部の外面に、縦方向の板リブと、横方向の板リブのいずれか一方又は双方を設けるようにした構成とする。
【0024】
更に、上記各構成において、ユニット幅寸法を、地下貯水槽の構築に用いる水平構造部と支柱部からなる貯水空間形成ブロックの該水平構造部の一辺の長さ寸法に対応する寸法とし、且つユニット高さ寸法を、上記貯水空間形成ブロックの高さ寸法の2倍に対応する寸法とした構成とする。
【0025】
更に又、上記構成において、ユニット高さ方向の両端部における内側フランジ部側に、ユニット幅方向に延びるプレート部を設けるようにした構成とする。
【0026】
上述の各構成において、ユニット高さ方向の両端部に、貯水空間形成ブロックの水平構造部と接続するためのブロック接続手段を備えるようにした構成とする。
【0027】
更に、上記各構成において、ユニット厚さ方向と直交する面内での外形を、貯水空間形成ブロックの水平構造部の平面形状と対応する形状とし、更に、該貯水空間形成ブロックの水平構造部に重ねて配置するときに該貯水空間形成ブロックの支柱部と重なる位置に、該支柱部の外形に対応する外形で、ユニット厚さ方向に延びる筒状部を備えるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の貯水槽用壁ユニットによれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)ユニット幅寸法とユニット高さ寸法を備え且つ該幅寸法、高さ寸法よりも小さいユニット厚さ寸法を有する扁平した直方体形状におけるユニット高さ方向の両端面に沿って配置した一対の板リブ状の水平部材と、ユニット幅方向の両端面に沿って配置した一対の板リブ状の鉛直部材からなる外形枠を備え、上記外形枠の一対の鉛直部材の間に、地下貯水槽の壁の外側となる上下方向に延びる平板状の外側フランジ部と、上記壁の内側となる上下方向に延びる平板状の内側フランジ部とを、ユニット幅方向に互に位置をずらして配置すると共に、該外側フランジ部と内側フランジ部のユニット幅方向の端部同士をユニット厚さ方向の連結用板リブを介して連結したものを、上記外形枠の内側に連結し、上記外側フランジ部と内側フランジ部に、水を通過させるための透口を設けてなる構成としてあるので、本発明の貯水槽用壁ユニットを二分割式の金型により製造可能な樹脂成形による一体物として容易に製造することができる。更に、縦剛性に優れたものとすることができるため、地下貯水槽の上方より作用する鉛直方向の荷重を良好に支持させることができる。
(2)又、貯水空間形成ブロックによるブロック組立構造体の外周で上記本発明の貯水槽用壁ユニットを組み立てることで、地下貯水槽の壁を容易に構築できる。したがって、上記ブロック組立構造体の外周に壁を設ける作業の施工性を高めることができる。
(3)更に、本発明の貯水槽用壁ユニットは、水平土圧による荷重を、貯水空間形成ブロックの水平構造部に対して該水平構造部の外周端面の長手方向に分散した状態で伝達することができるため、ブロック組立構造体を構成する各貯水空間形成ブロックに平均して上記水平土圧の荷重を伝えることが可能な壁を構築することができる。
(4)内側フランジ部の外面に、縦方向の板リブと、横方向の板リブのいずれか一方又は双方を設けるようにした構成とすることにより、上記板リブにより内側フランジの外面側に形成される開口部の開口形状と開口面積を適宜定めることで、地下貯水槽にて壁の外周に配置されるシート材が水平土圧を受けても、上記内側フランジの外面側に形成される開口部に撓むように入って損傷する虞を防止することができる。
(5)ユニット幅寸法を、地下貯水槽の構築に用いる水平構造部と支柱部からなる貯水空間形成ブロックの該水平構造部の一辺の長さ寸法に対応する寸法とし、且つユニット高さ寸法を、上記貯水空間形成ブロックの高さ寸法の2倍に対応する寸法とした構成とすることにより、支柱部を上に向けた通常姿勢の貯水空間形成ブロックと、その上側に上下を反転させた姿勢で積層配置した貯水空間形成ブロックとからなる2個一組の貯水空間形成ブロックの側方毎に、本発明の貯水槽用壁ユニットを個別に取り付けることができる。このため、貯水槽の壁の構築をより容易に実施することができる。
(6)ユニット高さ方向の両端部における内側フランジ部側に、ユニット幅方向に延びるプレート部を設けるようにした構成とすることにより、上記上下に積層配置した2個一組の貯水空間形成ブロックの側方に本発明の貯水槽用壁ユニットを取り付けた状態で、上記各プレート部を、上記各貯水空間形成ブロックの水平構造部に対して面で接触させることができるため、水平土圧による荷重をより良好に伝達することができる。
(7)ユニット高さ方向の両端部に、貯水空間形成ブロックの水平構造部と接続するためのブロック接続手段を備えるようにした構成とすることにより、上記上下に積層配置した2個一組の貯水空間形成ブロックの側方への本発明の貯水槽用壁ユニットの取り付けを容易に実施することができる。
(8)ユニット厚さ方向と直交する面内での外形を、貯水空間形成ブロックの水平構造部の平面形状と対応する形状とし、更に、該貯水空間形成ブロックの水平構造部に重ねて配置するときに該貯水空間形成ブロックの支柱部と重なる位置に、該支柱部の外形に対応する外形で、ユニット厚さ方向に延びる筒状部を備えるようにした構成とすることにより、地下貯水槽を構築する場合に、本発明の貯水槽用壁ユニットを、ブロック組立構造体の天板の構築にも使用可能となる。よって、上記地下貯水槽の壁と天板の構築のために別々の部材を用意する必要がなくなるため、地下貯水槽の設置に要するコストの削減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の貯水槽用壁ユニットの実施の一形態を示すもので、(a)は外面側の概略斜視図、(b)は内面側の概略斜視図である。
【図2】図1の貯水槽用壁ユニットの切断平面を拡大して示す図である。
【図3】図1の貯水槽用壁ユニットの切断側面を拡大して示す図である。
【図4】図1の貯水槽用壁ユニットと貯水空間形成ブロックとの接続構造を示す概略平面図である。
【図5】図4のA−A方向矢視拡大図である。
【図6】図1の貯水槽用壁ユニットにより、貯水空間形成ブロックのブロック組立構造体の外周に壁を構築した状態の概要を示す斜視図である。
【図7】従来の一般的な樹脂一体成形部材の概要を示すもので、(a)は部材表面側からの斜視図、(b)は部材裏面側からの斜視図である。
【図8】本発明の実施の他の形態を示すもので、ユニット外面より見た図である。
【図9】樹脂製の貯水空間形成ユニットを用いて構築する地下貯水槽の概要を示す切断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0031】
図1(a)(b)乃至図6は本発明の貯水槽用壁ユニットの実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
【0032】
すなわち、本発明の貯水槽用壁ユニット(以下、単に壁ユニットと云う)は、図1(a)(b)に符号10で示すように、地下貯水槽I(図9参照)を構築するために用いる貯水空間形成ブロック1における水平構造部2の一辺の長さ寸法に対応する寸法のユニット幅(横寸法)x、及び、上記貯水空間形成ブロック1の高さ寸法の2倍に対応する寸法のユニット高さ(上下寸法)zと、所定のユニット厚さ(奥行き寸法)yとを備えて該ユニット厚さy方向に扁平した直方体形状のユニット外形を有する。
【0033】
ここで、上記壁ユニット10のユニット外形については、該壁ユニット10を用いて地下貯水槽Iの壁7(図9参照)を構築する際に、貯水空間形成ブロック1のブロック組立構造体6(図4〜6参照)に臨む側に配置されるユニット厚さy方向の一方の面(図1(b)における手前側の面)をユニット内面、その逆側のユニット厚さy方向の他方の面(図1(a)における手前側の面)をユニット外面と云うものとする。
【0034】
上記壁ユニット10の基本構造は、以下のようにしてある。
【0035】
すなわち、上記壁ユニット10は、図1(a)(b)乃至図3に示すように、上記ユニット外形の上端面と下端面(ユニット高さz方向の両端面)に沿って配置された一対の板リブ状の水平部材12と、該ユニット外形のユニット幅x方向の両端面に沿って配置された一対の板リブ状の鉛直部材13を一体に連結した外形枠11を備える。
【0036】
更に、上記外形枠11の内側には、一対の鉛直部材13同士の間に、ユニット外面に沿ってユニット高さz方向、すなわち、上下方向に延びる平板状の外側フランジ部14と、ユニット内面に沿って上下方向に延びる平板状の内側フランジ部15が、ユニット幅x方向に交互に配置されている。
【0037】
上記外側フランジ部14と内側フランジ部15は、近接する端部同士が、ユニット厚さy方向に平行な鉛直面内に配置された連結用板リブ16を介してそれぞれ上下方向の全長に亘り一体に連結されている。更に、上記各連結用板リブ16は、その上端部と下端部が、それぞれ上記外形枠11の上下の水平部材12にそれぞれ連結されている。
【0038】
上記外側フランジ部14と内側フランジ部15のうち、ユニット幅x方向の両端寄りに配置されているもののユニット幅x方向外側の端縁部、図ではユニット幅x方向の両端寄りに配置された各外側フランジ部14のユニット幅x方向外側の端縁部は、上記各鉛直部材13に連結されている。
【0039】
上記内側フランジ部15は、その外面のユニット幅x方向所定間隔の1個所又は複数個所(図では1個所の場合が示してある)に、ユニット厚さy方向に沿って突出する鉛直方向の縦板リブ17が取り付けられている。上記縦板リブ17は、ユニット厚さy方向に沿ってユニット外面と面一になる位置まで突出するようにすることが好ましい。上記縦板リブ17は、その上端部と下端部が、それぞれ上記外形枠11の上下の各水平部材12にそれぞれ連結されている。
【0040】
又、上記内側フランジ部15は、その外面におけるユニット高さz方向の所定間隔の複数個所に、ユニット厚さy方向に沿って突出する水平方向の横板リブ18が取り付けられている。上記横板リブ18は、ユニット厚さy方向に沿ってユニット外面と面一になる位置まで突出するようにすることが好ましい。上記各横板リブ18は、その長手方向両端部が、上記内側フランジ部15のユニット幅x方向の両側に設けてある連結用板リブ16にそれぞれ連結されている。
【0041】
上記内側フランジ部15の外面に設けられる縦板リブ17のユニット幅x方向の間隔と、上記横板リブ18のユニット高さz方向の間隔は、以下のように設定されるものとする。
【0042】
すなわち、上記壁ユニット10は、上記のように内側フランジ部15の外面に縦板リブ17と横板リブ18を設けた構成では、上記外側フランジ部14の端縁と、縦板リブ17と、ユニット高さz方向に隣接する2つの横板リブ18によって囲まれた個所に、ユニット外面側に開口する開口部19が形成される。更に、図示してないが、1つの内側フランジ部15の外面にユニット幅x方向に複数の縦板リブ17が設けられた構成の場合は、ユニット幅x方向に隣接する2つの縦板リブ17と、ユニット高さz方向に隣接する2つの横板リブ18によって囲まれた個所にも、上記開口部19と同様にユニット外面に開口する開口部が形成される。
【0043】
ところで、図9に示したように、地下貯水槽Iの壁7は、該壁7の周りに配置されるシート材9に水平土圧が外側から作用するときに、該シート材9を健全な状態、すなわち、過剰な撓みによる損傷が生じない状態で内側から支持する機能が求められる。
【0044】
そこで、上記壁ユニット10では、上記地下貯水槽Iで用いるシート材9(図9参照)が該壁ユニット10のユニット外面側に地下貯水槽Iに作用する水平土圧と同様の荷重が作用する状態で押し付けられても、該シート材9を上記各開口部19の周縁で支持して、該各開口部19の内側に上記シート材9が過剰に撓んで入り込んで損傷を生じる虞がないように、該各開口部19の形状及び開口面積を定めて、該所定の開口形状及び開口面積の開口部19が形成されるように、上記縦板リブ17のユニット幅x方向の間隔と、上記横板リブ18のユニット高さz方向の間隔が設定されている。
【0045】
上記壁ユニット10は、外側フランジ部14のうち、ユニット幅x方向の寸法が大きい外側フランジ部14の内面、図では、ユニット幅x方向中央部の外側フランジ部14の内面に、ユニット厚さy方向に上記ユニット内面と面一になる位置まで突出する鉛直方向の縦板リブ20が取り付けられている。該縦板リブ20は、その上端部と下端部が、それぞれ上記外形枠11の上下の水平部材12にそれぞれ連結されている。
【0046】
以上の基本構成を備えることにより、上記壁ユニット10は、全体を樹脂による一体成形物とする場合に、縦剛性に優れたものとすることができるようにしてある。
【0047】
すなわち、ここで、二分割の金型を用いて或る厚み寸法を備えた扁平な直方体形状の外形を有する部材を樹脂で一体成形する場合について考えると、一般的には、該部材は、図7(a)(b)に示すように、上記外形における厚み方向の片側となる部材表面側に、該部材表面の全面に亘る平板状のフランジ部21を形成すると共に、該フランジ部21の裏面側に、板リブ22を格子状に一体に設けた構成とされる。しかし、かかる構成の部材では、その外周端面にフランジ部21の面に沿う方向の荷重が外側より作用すると、上記フランジ部21が存在する部材表面側と、フランジ部21のない部材裏面側で、剛性の差が大となる。したがって、上記部材は、フランジ部21の面に沿う方向の荷重が作用するときに、上記フランジ部21の中央部が突出するように部材全体が曲がる変形を生じ易いため、該フランジ部21の面に沿う方向の荷重に対する剛性が低いという問題が生じてしまう。
【0048】
これに対し、上記壁ユニット10は、ユニット外面に沿う位置で上下方向に延びる外側フランジ部14と、ユニット内面に沿う位置で上下方向に延びる内側フランジ部15を共に備えていることから、ユニット外面側と内面側における縦方向の剛性を平均化することができる。よって、上記壁ユニット10は、縦方向の荷重が作用しても、該荷重を上記外側と内側の各フランジ部14,15を介して上下方向に伝えることができるため、ユニット外面側やユニット内面側に撓みが生じる虞を抑制できることから、該壁ユニット10は、縦剛性に優れたものとなる。
【0049】
なお、上記壁ユニット10は、外形枠11の上下の各水平部材12同士の間で縦方向の荷重を該各水平部材12の長手方向に均等に伝達できるようにするという観点から考えると、上記外形枠11における一対の鉛直部材13の間に、上記連結用板リブ16と、縦板リブ17及び20を、ユニット幅x方向に等間隔で配置した構成とすることが望ましい。
【0050】
更に、図1(b)及び図3に示すように、上記壁ユニット10は、地下貯水槽Iの壁7を構築する際に、ブロック組立構造体6を構成している各貯水空間形成ブロック1の水平構造部2と接触させる個所となるユニット内面側のユニット高さz方向の両端部に、外形枠11の各鉛直部材13間でユニット幅x方向に連続する水平荷重伝達用のプレート部23が設けられている。
【0051】
上記上下の各プレート部23は、図1(b)に示すように、上下方向の外側端部が、外形枠11の水平部材12に一体に連結されている。又、上記上下の各プレート部23の上下方向の内側端部は、内側フランジ部15の上下両端部には、一連に連結されると共に、外側フランジ部14の上下両端部に対しては、斜め方向に配置した傾斜フランジ部24を介して連結されている。
【0052】
これにより、上記壁ユニット10は、上記外形枠11の上下の水平部材12に外側から作用する鉛直方向の荷重を、上下の各プレート部23を介して上記各内側フランジ部15へ伝えると共に、該各プレート部23と傾斜フランジ部24を介して上記各外側フランジ部14へ伝えることができるようにしてある。
【0053】
符号25は、上記各プレート部23の外面側で、該各プレート部23の外面と、上記外形枠11の上下の各水平部材12と、対応する傾斜フランジ部24を繋ぐ板リブである。
【0054】
更に、上記壁ユニット10は、図1(a)(b)、図4乃至図6に示すように、上下方向の両端部に、貯水空間形成ブロック1と接続するためのブロック接続手段26を備える。
【0055】
上記ブロック接続手段26は、たとえば、上部水平部材12の上面と、下部水平部材12の下面における長手方向所定個所(図では2個所)に、ユニット外面からユニット内面までユニット厚さy方向に延びるように設けた溝状凹部27と、該溝状凹部27内におけるユニット内面寄り個所に設けた上下方向の係止用突部28とから構成されている。なお、上記係止用突部28の頂部は、上記上部水平部材12の上面や、上記下部水平部材12の下面よりもやや内側に位置するようにしてある。
【0056】
一方、上記壁ユニット10の接続対象となる貯水空間形成ブロック1は、予め、水平構造部2の外周の各端面における下端寄り(支柱部3の突出する側とは反対側寄り)位置に、上記壁ユニット10の水平部材12に設けた溝状凹部27と対応する配置で、該溝状凹部27に挿入可能な幅寸法で外向きに突出する溝嵌合用突起29を設け、該溝嵌合用突起29の上面に、上記壁ユニット10の係止用突部28を挿入するための係止用穴30を設けた構成としてある。
【0057】
なお、上記貯水空間形成ブロック1は、該ブロック1同士を水平方向の縦横2方向に配列して組み立てるときに、隣接する貯水空間形成ブロック1同士で、各水平構造部2の外周端面を互いに突き合せて配置する必要がある。そのために、上記貯水空間形成ブロック1は、図4に示すように、水平構造部2の四辺において、該各辺の長手方向中間位置から等距離となる位置に、上記溝嵌合用突起29と、該溝嵌合用突起29を受け入れるための凹部31を対で設ける必要がある。よって、上記貯水空間形成ブロック1の水平構造部2の各辺に設けられる上記溝嵌合用突起29は、該各辺の長手方向中間位置を通る対称軸を中心とする線対称位置ではなく、該水平構造部2の中心を対称中心とする水平面内での90度ずつの回転対称位置に配置する必要がある。
【0058】
したがって、上記貯水空間形成ブロック1は、通常姿勢と、上下に反転させた姿勢とでは、それぞれの水平構造部2の各辺に設けられた上記溝嵌合用突起29の位置が水平方向にずれることになる。
【0059】
この点に鑑みて、上記壁ユニット10では、上部水平部材12の長手方向に設ける溝状凹部27及び係止用突部28の配置と、下部水平部材12の長手方向に設ける溝状凹部27及び係止用突部28の配置は、線対称位置ではなく、該壁ユニット10のユニット外面やユニット内面に平行な面内でユニット外形の中心を対称中心とする180度回転対称位置に配置されるように設定してある。
【0060】
なお、図4乃至図6では、上記貯水空間形成ブロック1として、4本の支柱部3を備えた形式のものが例示してある。
【0061】
これにより、図5、図6に示すように、上記壁ユニット10は、上記貯水空間形成ブロック1を通常姿勢とその上側で上下反転させた姿勢で積層配置して連結するときに、該2個一組の貯水空間形成ブロック1の側方に配置する。次いで、該壁ユニット10は、上下の水平部材12に設けてある溝状凹部27の内側の係止用突部28に、上記上下の各貯水空間形成ブロック1の水平構造部2の対応する辺部に設けてある溝嵌合用突起29の係止用穴30を、上下両側から嵌合させるようにする。その後、この状態で、上記上下の各貯水空間形成ブロック1同士を連結することにより、該上下で2個一組の貯水空間形成ブロック1の側面に、上記壁ユニット10が取り付けられるようにしてある。又、この際、上記壁ユニット10における上下のプレート部23は、上記上下の各貯水空間形成ブロック1の水平構造部2の側面に、該水平構造部2の長手方向の全長に亘り接触させることができるようにしてある。
【0062】
なお、上記壁ユニット10には、上記各外側フランジ部14と各内側フランジ部15と上下の各プレート部23における各板リブ16,17,20,25と干渉しない個所に、水を通過させるための透口32が設けてある。上記外側フランジ部14の各透口32は、前述した開口部19と同様に、上記地下貯水槽Iで用いるシート材9(図9参照)が壁ユニット10のユニット外面側に地下貯水槽Iに作用する水平土圧と同様の荷重で押し付けられても、該シート材9が上記各透口32の内側に過剰に撓んで入り込んで損傷を生じる虞がないように、開口形状及び開口面積が設定されているものとする。
【0063】
又、外側フランジ部14とその両側に連結された外形枠の鉛直部材13、連結用板リブ16、及び、縦板リブ20との各連結部分には、補強のための補強用リブ33が図1(b)のように設けてある。
【0064】
上記壁ユニット10は、ユニット外面側とユニット内面側の二分割形式の金型を用いた樹脂による一体成形物としてある。そのため、上記係止用突部28には、必要に応じて、ユニット外面側とユニット内面側のいずれか一方に連通する開口を設けて肉抜きするようにしてもよい。又、樹脂成形用の金型から上記壁ユニット10の製品を取り外す際の利便性を高めるためには、必要に応じて、該壁ユニットの各部に、ユニット厚さy方向の一方に傾斜したテーパを設けるようにしてもよい。
【0065】
以上の構成としてある本発明の壁ユニット10を使用する場合は、図9に示したものと同様に、地面4を掘り下げて形成した凹部5の内側で、上記樹脂製の貯水空間形成ブロック1を、水平構造部2同士が接触するように水平方向の縦横2方向に配列すると共に上下方向に多段に積層して直方体(立方体を含む)形状のブロック組立構造体6を形成するようにする。このときに、図6に示すように、該ブロック組立構造体6の最外周に配置される各貯水空間形成ブロック1に対して、前述したように、通常姿勢とその上側で上下反転させた姿勢の2個一組の貯水空間形成ブロック1の側面毎に、上記壁ユニット10をそれぞれ取り付け、ブロック組立構造体6と壁ユニット10とをブロック接続手段26で接続する。これにより、上記ブロック組立構造体6の外周に、上記壁ユニット10が鉛直方向及び水平方向に配列された地下貯水槽(図9参照)の壁7が構築されるようになる。
【0066】
このように、本発明の壁ユニット10によれば、貯水空間形成ブロック1の組み立てによりブロック組立構造体6を構築するときに、該ブロック組立構造体6の外周で該壁ユニット10の組み立てにより地下貯水槽I(図9参照)の壁7を容易に構築することができる。
【0067】
又、上記壁7は上記壁ユニット10のみの組み立てにより構築することができる。更には、該壁ユニット10は、樹脂の一体成形物として製造することができる。
【0068】
したがって、上記壁7を構築するための部材である上記壁ユニット10の製造を容易なものとすることができる。更に、上記貯水空間形成ブロック1のブロック組立構造体6の外周に壁7を設ける作業の施工性を高めることができる。
【0069】
更に、上記壁ユニット10は、上記地下貯水槽I(図9参照)の壁7を構築したときに、該壁ユニット10におけるユニット内面側の上下両端部に設けてあるプレート部23を、その内側に上下2個一組で配置される貯水空間形成ブロック1のそれぞれの水平構造部2に対して面で接触させることができるため、上記地下貯水槽Iに作用する水平土圧の荷重を、上記ブロック組立構造体6を構成している各貯水空間形成ブロック1の水平構造部2に平均して伝えることが可能な壁7を構築することができる。
【0070】
更に、上記壁ユニット10は、縦剛性に優れたものとしてあるため、該壁ユニット10により構築されている上記地下貯水槽I(図9参照)の壁7を、該地下貯水槽Iの上方より作用する鉛直方向の荷重を良好に支持可能なものとすることができる。
【0071】
上記ブロック接続手段26は、貯水空間形成ブロック1との接続に用いるための係止用突部28を、溝状凹部27の内側に設けるようにしてあるため、該係止用突部28がユニット外形よりはみ出すことがない。よって、使用前の壁ユニット10の保管時や搬送時に、該係止用突部28に無理な力がかかって損傷する虞を防止することができる。更には、上記壁ユニット10は、使用前の保管時や搬送時には、ユニット厚さy方向に重ねて取り扱うことが可能になるため、該壁ユニット10の取扱いを容易なものとすることができる。
【0072】
次いで、図8は本発明の実施の他の形態を示すものである。
【0073】
図8に示した壁ユニット10Aは、図1乃至図6に示したものと同様の構成において、ユニット外形におけるユニット幅xとユニット高さzを一致させて、該壁ユニット10Aのユニット外面及びユニット内面の形状(正面形状)が正方形となるようにする。これにより、該ユニット外形におけるユニット厚さy方向に直交する面内での形状が、貯水空間形成ブロック1の水平構造部2の平面形状に一致するようにしてある。
【0074】
したがって、本実施の形態の壁ユニット10Aの適用対象となる貯水空間形成ブロック1(図6参照)は、その高さ寸法の2倍が、上記壁ユニット10Aのユニット高さzに対応するものであることから、該貯水空間形成ブロック1は、その高さ寸法が、水平構造部2の一辺の長さ寸法の約1/2となるものである。
【0075】
更に、上記壁ユニット10Aは、該壁ユニット10Aをユニット厚さy方向が上下方向に沿う姿勢として上記貯水空間形成ブロック1の水平構造部2に重ねて配置するときに該水平構造部2における支柱部3の設置個所と重なる配置となる該壁ユニット10Aの所定個所に、ユニット厚さy方向にユニット外面からユニット内面(図1(a)(b)参照)まで連続して延びる筒状部34を設けてなる構成とする。
【0076】
なお、上記筒状部34は、その外形が、上記貯水空間形成ブロック1の支柱部3の基端側の上記水平構造部2に対する取付部分の外形に応じた形状となるようにしてあれば、円筒形状、多角筒形状のいずれであってもよい。又、上記筒状部34の径寸法と、上記支柱部3の基端部の径寸法との間に多少の差があってもよい。
【0077】
なお、図8では、支柱部3を4本備えた形式の貯水空間形成ブロック1に適用する壁ユニット10Aの例について示したが、壁ユニット10Aにおける筒状部34の数及び配置は、適用対象とする貯水空間形成ブロック1の支柱部の本数及び配置に応じて適宜変更してよいことは勿論である。
【0078】
その他の構成は図1(a)(b)乃至図6に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0079】
以上の構成としてある本実施の形態の壁ユニット10Aは、ユニット厚さy方向が上下方向となる姿勢で、上記貯水空間形成ブロック1の水平構造部2に重ねて配置した状態とすると、該貯水空間形成ブロック1の支柱部3を経て伝達される鉛直方向の荷重を、該壁ユニット10Aにおけるユニット内面とユニット外面の一方から他方へ、上記筒状部34を介して伝達することができる。又、この際、上記鉛直方向の荷重は、上記壁ユニット10Aの筒状部34に、ユニット厚さy方向の圧縮荷重として受けられるようになるため、該壁ユニット10Aにおける上記筒状部34以外の部分に大きな応力が作用して、変形する虞を防止することができる。
【0080】
したがって、上記壁ユニット10Aは、地下貯水槽Iを構築する際に、組み立てられたブロック組立構造体6の最上層に上下を反転させた姿勢で配置されている各貯水空間形成ブロック1の水平構造部2(図9参照)の上側に、該壁ユニット10Aのユニット厚さy方向を上下方向に向けた姿勢で個別に載置し、この状態で該各壁ユニット10Aを、その直下に位置する貯水空間形成ブロック1に対して図示しない連結手段を介して連結することにより、該壁ユニット10Aを、地下貯水槽1にてブロック組立構造体6の上側に装備する天板8(図9参照)として用いることが可能になる。
【0081】
このように、本実施の形態の壁ユニット10Aによれば、上記地下貯水槽Iを構築する場合に、ブロック組立構造体6の壁7と天板8の構築のために別々の部材を用意する必要がなくなるため、地下貯水槽Iの設置に要するコストの削減化を図ることができる。
【0082】
上記筒状部34は、ユニット厚さy方向に延びる形状であることから、図1(a)(b)乃至図6に示した壁ユニット10の構成に、該筒状部34が付加された構成を備えた上記壁ユニット10Aについて、二分割形式の金型を用いて樹脂の一体成形物として製造する際に何ら問題が生じることはない。
【0083】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、地下貯水槽I(図9参照)の壁7に作用する水平土圧の荷重を、本発明の壁ユニット10,10Aから、その内側に配置されている貯水空間形成ブロック1の水平構造部2へ面で伝えることができるようにするという観点から考えると、該壁ユニット10,10Aのユニット内面側の上下両端部に、ユニット幅x方向に連続するプレート部23を備えることが望ましいが、内側フランジ部15の上下方向両端部と、外形枠11の水平部材12及び鉛直部材13の上下両端部のユニット内面側に露出されている端面と、外側フランジ部14の内面側に設けた縦板リブ20の上下両端部の端面より、上記水平方向の土圧を貯水空間形成ユニット1の水平構造部2へ伝達することができるようにしてあれば、上記プレート部を省略した構成としてもよい。この場合は、壁ユニット10,10Aにて、外側フランジ部14及び内側フランジ部15の上下両端部を、外形枠11の上下の水平部材12に直接連結した構造とすればよい。
【0084】
外側フランジ部14と内側フランジ部15は、それぞれのユニット幅x方向の寸法を変更したり、ユニット幅x方向の配列順序、配列数を変更してもよい。
【0085】
内側フランジ部15の外面に設ける縦板リブ17のユニット幅x方向の数や間隔、横板リブ18のユニット高さz方向に設ける数や間隔は、上記内側フランジ部15のサイズと、地下貯水槽Iを構築する場合に使用するシート材9(図9参照)の撓み易さや強度に応じて適宜変更してもよい。
【0086】
壁ユニット10,10Aのブロック接続手段26は、壁ユニット10,10Aのユニット高さz方向の両端部を、対応する貯水空間形成ブロック1の水平構造部2に接触させた状態で、両者間を接続できるようにしてあれば、溝状凹部27の内側に係止用突部28を設けた構成以外のいかなる接続手段のものを採用してもよい。この場合、貯水空間形成ブロック1の水平構造部2側に備える接続用の手段も、図示した以外の形式のものとしてよいことは勿論である。
【0087】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0088】
I 地下貯水槽
1 貯水空間形成ブロック
2 水平構造部
3 支柱部
10,10A 壁ユニット
11 外形枠
12 水平部材
13 鉛直部材
14 外側フランジ部
15 内側フランジ部
16 連結用板リブ
17 縦板リブ(板リブ)
18 横板リブ(板リブ)
23 プレート部
26 ブロック接続手段
32 透口
34 筒状部
x ユニット幅
y ユニット厚さ
z ユニット高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット幅寸法とユニット高さ寸法を備え且つ該幅寸法、高さ寸法よりも小さいユニット厚さ寸法を有する扁平した直方体形状におけるユニット高さ方向の両端面に沿って配置した一対の板リブ状の水平部材と、ユニット幅方向の両端面に沿って配置した一対の板リブ状の鉛直部材からなる外形枠を備え、
上記外形枠の一対の鉛直部材の間に、地下貯水槽の壁の外側となる上下方向に延びる平板状の外側フランジ部と、上記壁の内側となる上下方向に延びる平板状の内側フランジ部とを、ユニット幅方向に互に位置をずらして配置すると共に、該外側フランジ部と内側フランジ部のユニット幅方向の端部同士をユニット厚さ方向の連結用板リブを介して連結したものを、上記外形枠の内側に連結し、
上記外側フランジ部と内側フランジ部に、水を通過させるための透口を設けてなる構成を有することを特徴とする貯水槽用壁ユニット。
【請求項2】
内側フランジ部の外面に、縦方向の板リブと、横方向の板リブのいずれか一方又は双方を設けるようにした請求項1記載の貯水槽用壁ユニット。
【請求項3】
ユニット幅寸法を、地下貯水槽の構築に用いる水平構造部と支柱部からなる貯水空間形成ブロックの該水平構造部の一辺の長さ寸法に対応する寸法とし、且つユニット高さ寸法を、上記貯水空間形成ブロックの高さ寸法の2倍に対応する寸法とした請求項1又は2記載の貯水槽用壁ユニット。
【請求項4】
ユニット高さ方向の両端部における内側フランジ部側に、ユニット幅方向に延びるプレート部を設けるようにした請求項3記載の貯水槽用壁ユニット。
【請求項5】
ユニット高さ方向の両端部に、貯水空間形成ブロックの水平構造部と接続するためのブロック接続手段を備えるようにした請求項3又は4記載の貯水槽用壁ユニット。
【請求項6】
ユニット厚さ方向と直交する面内での外形を、貯水空間形成ブロックの水平構造部の平面形状と対応する形状とし、更に、該貯水空間形成ブロックの水平構造部に重ねて配置するときに該貯水空間形成ブロックの支柱部と重なる位置に、該支柱部の外形に対応する外形で、ユニット厚さ方向に延びる筒状部を備えるようにした請求項1、2、3、4又は5記載の貯水槽用壁ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−108231(P2013−108231A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251884(P2011−251884)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(509338994)株式会社IHIインフラシステム (104)
【Fターム(参考)】