説明

貯液部、及びPCAブーストポンプ

【課題】 本発明は、使用者が容器を潰し易く、かつ、容器を潰し切った感覚を得易い貯液部、及びPCAブーストポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】
液体を貯留し、押し潰されることにより前記液体を吐出させる、PCAブーストポンプ100に用いるための貯液部10において、一端に開口が形成されているとともに他端が閉じられた略円筒形状に形成され、前記円筒形状の外周面は、前記円筒形状の軸線cを中心に全周にわたって突出する少なくとも2つの山部10a,10bと、前記山部10a,10bどうしの間に形成された谷部10cとが前記軸線cに沿って形成され、前記谷部10cは、前記山部10a,10bよりも前記軸線cの延びる方向に潰れ難く形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を貯留し、押し潰されることにより液体を吐出させる、PCAブーストポンプに用いるための貯液部、及びこの貯液部を備えたPCAブーストポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を貯留し、貯留した液体を吐出させるポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のポンプは、患者に薬液等の液体を投与するのに用いられている。また、このポンプと患者との間に接続され、患者が痛みを感じた時に、自らポンプを操作して鎮痛薬を投与することのできるPCA(Patient Controlled Analgesia)ブーストポンプがある。PCAブーストポンプは、例えば、枕形状の小さな袋状容器に鎮痛薬が貯留されており、患者は、袋状容器を潰すことにより、鎮痛薬を自ら投与していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−527255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のPCAブーストポンプでは、容器を潰し切ったか否かを感覚的に判断するのは困難であった。このため、術後の痛みを抱えた患者にとって、このような作業を行うことはとても大きなストレスに繋がり、患者のQOL(Quality of Life)の低下に繋がっていた。
【0005】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、使用者が容器を潰し易く、かつ、容器を潰し切った感覚を得易い貯液部、及びPCAブーストポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体を貯留し、押し潰されることにより前記液体を吐出させる、PCAブーストポンプに用いるための貯液部において、一端に開口が形成されているとともに他端が閉じられた略円筒形状に形成され、前記円筒形状の外周面は、前記円筒形状の軸線を中心に全周にわたって突出する少なくとも2つの山部と、前記山部どうしの間に形成された谷部とが前記軸線に沿って形成され、前記谷部は、前記山部よりも前記軸線の延びる方向に潰れ難く形成されたことを特徴とする。
【0007】
この場合において、前記軸線の延びる方向に押し潰されたときに、前記他端の内側が前記谷部に当たってもよい。前記山部は、連続する曲面のみで形成されてもよい。前記山部は、前記軸線の延びる方向に押し潰されたときに、屈曲せずに連続する曲面で形成された状態を維持してもよい。弾性材料で形成されていてもよい。前記軸線の延びる方向に押し潰されたときに前記谷部の拡張量を制御するためのリングが、前記谷部の外周に沿って取り付けられていてもよい。前記リングの内径は、前記谷部の外径と略同径であってもよい。前記リングは、円形形状の断面を有していてもよい。前記一端または前記他端に形成された前記山部の各々は、前記一端または前記他端側が前記谷部側よりも緩やかな曲面で形成されていてもよい。
【0008】
また、この場合において、前記貯液部はケースに収容され、前記ケースは、前記貯液部を前記軸線の延びる方向に押し潰すためのロッドが設けられるとともに、前記ロッドの外部に位置する部分を覆うための壁部が形成されていてもよい。前記壁部は、前記ロッドに沿って板形状に形成されていてもよい。前記壁部は、コの字形状を有して前記ロッドを囲うように形成されていてもよい。
【0009】
さらに、この場合において、前記貯液部は、ケースに収容され、前記ケースは、外部から前記貯液部を視認可能な窓が形成されていてもよい。前記貯液部は、ケースに収容され、前記ケースは、前記軸線の延びる方向の一端に前記軸線と略垂直な面が形成されるとともに、前記軸線の延びる方向の他端に前記貯液部を前記軸線の延びる方向に押し潰すためのロッドが設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、使用者が容器を潰し易く、かつ、容器を潰し切った感覚を得易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係るPCAブーストポンプを示す図である。
【図2】貯液部を示す正面図である。
【図3】貯液部が潰れる様子を示す模式図である。
【図4】貯液部内の液体の流れを示す断面図である。
【図5】リングが取り付けられた貯液部を示す正面図である。
【図6】PCAブーストポンプの内部を示す上面図である。
【図7】PCAブーストポンプの内部を示す上面図である。
【図8】使用者がPCAブーストポンプのロッドを親指で操作している様子を示す図である。
【図9】使用者がPCAブーストポンプのロッドを手の平で操作している様子を示す図である。
【図10】図10(a)は、PCAブーストポンプの変形例を示す図であり、図10(b)は、PCAブーストポンプの変形例を示す上面図である。
【図11】図11(a)は、PCAブーストポンプの変形例を示す図であり、図11(b)は、PCAブーストポンプの変形例を示す上面図である。
【図12】ケースの変形例を示す図である。
【図13】ロッドの変形例を示す図である。
【図14】図14(a)は、PCAブーストポンプの変形例を示す図であり、図14(b)は、押し子ガードのクランプ部がロッドに取り付けられた状態を示す図である。
【図15】押し子ガードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るPCAブーストポンプを示す図である。
【0014】
PCAブーストポンプ100は、自らポンプを操作して鎮痛薬を投与するためのPCAポンプであり、ケース1、ロッド2、チューブ3、及びジョイント4を備えている。
【0015】
ケース1は、ロッド2及びチューブ3が取り付けられている。このケース1は、内部を視認可能な窓5を有し、この窓5から、ロッド2のケース1内に位置するロッド先端2a、後述する貯液部10及びリング11が外部から視認可能になっている。PCAブーストポンプ100は、窓5が形成されていることにより、使用者がロッド2を押し切ったことを目視により確認することができる。なお、この窓は、内部の様子が外部から視認可能になっていれば開口等であってもよい。
【0016】
ロッド2は、ケース1に対してスライド可能にケース1に取り付けられている。
【0017】
チューブ3は、ロッド2が取り付けられた位置の反対側でケース1に取り付けられている。
【0018】
ジョイント4は、チューブ3に取り付けられている。このジョイント4は、端部に雌ねじが形成されていることにより、他の器具に取り付け可能になっている。なお、本実施形態ではジョイント4が取り付けられているが、通常、PCAブーストポンプ100は、ジョイント4が取り付けられておらず、他の機器がチューブ3に直接接着されるようになっている。
【0019】
図2は、ケースに収納された貯液部を示す正面図である。
【0020】
貯液部10は、内部に鎮痛薬等の液体を貯留するための容器であり、山部10a,10b、谷部10c、チューブ取付部10d、及びロッド取付部10eを備えている。山部10a,10b、谷部10c、及びチューブ取付部10dは略円筒形状に形成され、ロッド取付部10eは円柱形状に形成されている。これにより、貯液部10は、全体として、一端に開口が形成されているとともに他端が閉じられた略円筒形状に形成され、円筒形状の外周面に、円筒形状の軸線cを中心に全周にわたって外側に突出する2つの山部10a,10bと、これら山部10a,10bどうしの間に形成された谷部10cと、が軸線cに沿って形成されている。貯液部10は、ロッド取付部10e、山部10a、谷部10c、山部10b、及びチューブ取付部10dの順に同軸で形成されている。貯液部10は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)である弾性材料で形成されている。
【0021】
チューブ取付部10dは、山部10bから突出した略円筒形状に形成され、内側にチューブ3(図1参照)が取り付けられるようになっている。このチューブ取付部10dは、山部10bとの境目に、フランジ状に外側に突出した段部10fが形成されている。これにより、チューブ取付部10dは、山部10bに対してたわみ難くなっている。
【0022】
ロッド取付部10eは、山部10aから突出した円柱形状に形成され、ロッド先端2a(図1参照)に形成された穴部2b(図6参照)に挿入可能になっている。このロッド取付部10eは、中実に形成されている。
【0023】
山部10aと山部10bとは、谷部10cに対して略対称に略同形状で形成されている。これら山部10a,10bは、それぞれ谷部10cとの境界からチューブ取付部10dとの境界、または、谷部10cとの境界からロッド取付部10eとの境界にかけて連続する曲面のみで形成されている。また、山部10a,10bは、それぞれ谷部10c側の方がチューブ取付部10dまたはロッド取付部10e側よりも急激に外径が広がるような曲面で形成されている。すなわち、山部10a,10bは、図2に示すように、山部10a,10bの最も外径の大きな位置までが、谷部10c側よりもチューブ取付部10dまたはロッド取付部10e側の方が緩やかな曲面なるように形成されている。これにより、山部10a,10bは、最も外径の大きな領域がそれぞれ谷部10c側に寄っている。
【0024】
谷部10cは、図2に示すように、軸線cの延びる方向の長さt1が山部10a,10bの軸線cの延びる方向の長さt2よりも短く形成されている。谷部10cは、軸線cの延びる方向に略対称な形状になるように形成されている。谷部10cは、山部10a,10bよりも軸線cの延びる方向に潰れ難く形成されている。
【0025】
図3は、貯液部が潰れる様子を示す模式図である。ここで、図3(a)は、貯液部10が潰れる前の様子を示し、図3(b)は、貯液部10が潰れた様子を示している。また、図4は、貯液部内の液体の流れを示す断面図である。
【0026】
貯液部10は、いわゆるダンプリング(Dumplings)構造を有しており、上述したように、山部10a,10bが貯液部10で最も軸線cの延びる方向に潰れ易く形成されている。一方、谷部10cは、山部10a,10bよりも軸線cの延びる方向に潰れ難く形成されている。このため、図3(a)に示すような貯液部10のモデルに軸線cの延びる方向に力が付加されると、主に山部10a,10bが潰れて図3(b)に示すように潰れるようになっている。
【0027】
このとき、貯液部10内に貯留された液体は、図4に示すように、先ず、チューブ取付部10d内と山部10a,10b及び谷部10cの中央領域とに貯留されていた液体が、図中矢印f1で示すようにチューブ取付部10dを通って外部に吐出される。
【0028】
チューブ取付部10d内と山部10a,10b及び谷部10cの中央領域とに貯留されていた液体が外部に吐出されると、ロッド取付部10e側の山部10a内の外壁側の領域に貯留されていた液体が、図中矢印f2で示すようにチューブ取付部10dを通って外部に吐出される。
【0029】
山部10b内の外壁側の領域に貯留されていた液体が外部に吐出されると、チューブ取付部10d側の山部10b内の外壁側の領域に貯留されていた液体が、図中矢印f3で示すようにチューブ取付部10dを通って外部に吐出される。以上により、貯液部10内の液体のほとんどが吐出される。
【0030】
図5は、リングが取り付けられた貯液部を示す正面図である。
【0031】
PVCの厚みに依存するが、貯液部10は、軸線cの延びる方向に潰されたときに、内部に貯留された液体による圧力を受けて、図5に矢印wで示す方向に膨張してしまうことがある。これにより、軸線cの延びる方向に山部10aに付加された力は、貯液部10の膨張により逃げてしまい、山部10bやチューブ取付部10dに伝わる力が弱まってしまう。このため、貯液部10の谷部10cには、貯液部10が軸線cの延びる方向に押し潰されたときに谷部10cの拡張量を制御するためのリング11を取り付けてもよい。このリング11は、内径が谷部10cの外径と略同径に形成されており、中実の円形断面を有している。貯液部10は、谷部10cの外周に沿ってリング11が取り付けられることにより、谷部10cの矢印w方向への膨張が抑えられ、山部10aに付加された軸線cの延びる方向の力を効率良く山部10bやチューブ取付部10dに伝達することができる。なお、リング11の形状等は中実の円形断面に限らず、形状等を変更することにより谷部10cの拡張量を調節して貯液部10の潰れ方を調節することができる。
【0032】
図6は、PCAブーストポンプの内部を示す上面図である。また、図7は、ロッドを押し込んだときのPCAブーストポンプの内部を示す上面図である。
【0033】
貯液部10は、図6に示すように、ケース1に形成された室1aに収納されている。ケース1は、貯液部10の軸線cに沿って、室1aと外部とを連通させる2つの孔が室1aを挟んで形成されている。ケース1の一方の孔は、挿入されたチューブ3が通って貯液部10のチューブ取付部10dに取り付けられ、他方の孔は、ロッド2が取り付けられている。
【0034】
貯液部10は、一端においてチューブ取付部10dが室1aの当接部1bに当たっている。一方、貯液部10は、他端においてロッド取付部10eがロッド2の穴部2bに挿入されるとともに、山部10aのロッド取付部10e側の端面がロッド先端2aに当たっている。
【0035】
使用者によってロッド2が押し込まれると、図7に示すように、ロッド2は室1aの当接部1bに向かって、軸線cに沿って移動する。このとき、主に山部10a,10bが軸線cの延びる方向に潰れる。室1aは、山部10a,10bが潰れ切ったときに丁度当たる程度の幅で形成されている。谷部10c及びリング11は、図7では潰れた山部10aと山部10bとが被さって見えなくなっているが、軸線cの延びる方向にほとんど潰れずに、潰れた山部10aと山部10bとの間に挟まっている。このとき、山部10a,10bは、軸線cの延びる方向に押し潰されても、屈曲せずに連続する曲面のみで形成された状態を維持している。
【0036】
使用者がロッド2を奥まで押し切って貯液部10が最後まで潰れると、貯液部10内では、山部10aの内面が谷部10cの内面に突き当たり、谷部10cの内面が山部10aの内面に突き当たる。これにより、使用者は、ロッド2を奥まで押し切ったという感覚をはっきりと得ることができる。
【0037】
図8は、使用者がPCAブーストポンプのロッドを親指で操作している様子を示す図である。
【0038】
通常のPCAブーストポンプ100の使用方法では、図8(a)に示すように、使用者は、親指をロッド2の端部に載せるとともに、その他の指と手の平でケース1を握りしめるようにしてPCAブーストポンプ100を保持する。
【0039】
次に、図8(b)に示すように、使用者は、親指を用いてロッド2をケース1に押し込むことにより、貯液部10が潰れて貯液部10内の液体がチューブ3内に吐出される。
【0040】
図9は、使用者がPCAブーストポンプのロッドを手の平で操作している様子を示す図である。
【0041】
ケース1は、貯液部10の軸線cと略垂直な支持面1cが形成されている。
【0042】
握力の弱い人が使用する場合のPCAブーストポンプ100の使用方法では、図9(a)で示すように、使用者は、手の平をロッド2の端部に載せるとともに、中指と薬指とでチューブ3を挟み込むようにケース1の指示面1cを押さえるようにしてPCAブーストポンプ100を保持する。
【0043】
次に、図9(b)に示すように、使用者が手の平を用いてロッド2をケース1に押し込むことにより、貯液部10が潰れて貯液部10内の液体がチューブ3内に吐出される。この方法によると、主に中指及び薬指の2本の指でロッド2をケース1に押し込むため、親指1本でロッド2をケース1に押し込む場合よりも操作が軽く感じられる。
【0044】
本実施形態では、貯液部10は、軸線cを中心に全周にわたって突出する少なくとも2つの山部10a,10bと、山部10a,10bどうしの間に形成された谷部10cと、が軸線cに沿って形成され、谷部10cは、山部10a,10bよりも軸線cの延びる方向に潰れ難く形成されている。これにより、貯液部10は、軸線cの延びる方向に押し潰されるときに山部10aが谷部10cにしっかりと支えられながら真っ直ぐに潰れるので、山部10aに付加された力が山部10bに力が伝わり易い。このため、使用者が貯液部10を潰し易くなるようにすることができる。また、貯液部10が最後まで潰れると、山部10aの内面が谷部10cの内面に突き当たり、谷部10cの内面が山部10aの内面に突き当たる。このため、使用者が貯液部10を潰し切った感覚を得易くすることができる。
【0045】
また、本実施形態に係るPCAブーストポンプは、貯液部10が軸線cの延びる方向に押し潰されるときに、山部10a,10bに効率良く力が伝わって、谷部10cを挟んで山部10a,10bがしっかりと潰れるため、貯液部10内に残留する液体を少なくすることができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、山部10a,10bが連続する曲面で形成されている。これにより、山部10a,10は、復元力を有するとともに、鋭角な部分がないためピンホール等による漏れや気泡が生じ難くなっている。
【0047】
さらにまた、本実施形態では、貯液部10にはリング11が取り付けられている。これにより、貯液部10の谷部10c近傍の強度を上げて谷部10cの拡張量を調節することができるため、貯液部10内の力の伝わる方向や貯液部10の潰れ方等を調節することができる。
【0048】
また、本実施形態では、使用者は、親指をロッド2の端部に載せるとともに、その他の指と手の平とでケース1を握りしめるようにしてPCAブーストポンプ100を保持することができる。このため、使用者の握力差による影響を軽減し、握力の小さい使用者であっても、安定した吐出量を得ることができる。
【0049】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、実施形態では、2つの山部10a,10bを有するだるま形の貯液部10を用いて説明しているが、これに限られることはない。例えば、山部と谷部とが交互に形成されていれば、3つ以上の山部を有する貯液部であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、山部10a,10b及び谷部10cは、連続する曲面のみで形成されているが、これに限られることはない。山部及び谷部は、例えば、山部の頂部及び谷部の底部がそれぞれ軸線に沿って軸線からの距離が略均一に形成されたクランク形状断面を有するように形成してもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態では、ロッド2の端部2c近傍が全て外部に露出しているが、これに限られることはない。例えば、図10(a)に示すように、ロッド2の端部2c近傍をロッド2のケース1の外部に位置する部分と略同じ高さ、かつ、ロッド2の端部2cと略同幅の板形状にロッド2に沿って形成された後壁部1dを設けてもよい。このとき、ロッド2の端部2cは、図10(b)に示すように、PCAブーストポンプ100をロッド2の端部2c側から見て略矩形に形成されており、また、後壁部1dはロッド2の端部2cの長辺に沿って形成されている。また、例えば、図11(a)に示すように、ロッド2の端部2c近傍をロッド2の外部に位置する部分と略同じ高さの後壁部1d及び一対の側壁部1e,1eで囲んでもよい。このとき、ロッド2の端部2cは、図11(b)に示すように、PCAブーストポンプ100をロッド2の端部2c側から見て略矩形に形成されており、後壁部1d及び側壁部1e,1eは、後壁部1dと一対の側壁部1e,1eとでロッド2を囲うようにコの字形状に形成されている。これらの変形例では、ケース1の外部に位置するロッド2の端部2c近傍はその一部が後壁部1dや側壁部1eによって覆われており、落下等により誤ってロッド2がケース1内に押し込まれることが防止されるため、使用者の意図によらない液体の吐出を防止することができる。
【0052】
さらにまた、ケース1は、図12に示すように、使用者がPCAブーストポンプ100を握ったときに、手の中でPCAブーストポンプ100が滑ることを防止するためのリブ1fが形成されていてもよい。なお、図12は、ロッド2がケース1内に押し込まれた状態を示している。
【0053】
また、ロッド2は、図13に示すように、ロッド2がケース1から飛び出る方向の移動範囲を規制するためのストッパ2dが形成されていてもよい。PCAブーストポンプ100は、ロッド2にストッパ2dが形成されたことにより、貯液部10が潰れる前の状態において、ロッド2がケース1から飛び出る方向に移動してしまうことによるロッド2のガタつきを防止することができる。
【0054】
さらに、PCAブーストポンプ100は、図14(a)に示すように、押し子ガード20がケース1に取り付けられていてもよい。この押し子ガード20は、弾性部材で形成されており、図15に示すように、ロッド2を挟み込むためのクランプ部20aと、クランプ部20aをロッド2に取り付けたり取り外したりするときに使用者がつまんで保持するためのつまみ部20bとを備えている。押し子ガード20は、さらにケース1に取り付けられるための取付部20c,20dと、これら取付部20c,20dとクランプ部20a及び摘み部20bとを結ぶひも状の接続部20eとを備えている。押し子ガード20は、図14(a)に示すように、ロッド2をケース1に押し込み可能な通常時は、ロッド2から取り外されてケース1からぶら下がった状態になっている。一方、図14(b)に示すように、誤作動防止目的のために押し子ガード20をロッド2に取り付ける際には、使用者はつまみ部20bをつまんでクランプ20aをロッド2に挟み込ませる。これによりクランプ部20aがロッド2の端部2cとケース1との間に挟まり、ロッド2はケース1内に押し込まれないようになっている。
【符号の説明】
【0055】
1 ケース
1a 室
1b 当接部
1c 支持面
1d 後壁部
1e 側壁部
1f リブ
2 ロッド
2a ロッド先端
2b 穴部
2c 端部
2d ストッパ
3 チューブ
4 ジョイント
5 窓
10 貯液部
10a 山部
10b 山部
10c 谷部
10d チューブ取付部
10e ロッド取付部
10f 段部
11 リング
20 押し子ガード
20a クランプ部
20b つまみ部
20c 取付部
20d 取付部
20e 接続部
100 PCAブーストポンプ
c 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留し、押し潰されることにより前記液体を吐出させる、PCAブーストポンプに用いるための貯液部において、
一端に開口が形成されているとともに他端が閉じられた略円筒形状に形成され、
前記円筒形状の外周面は、前記円筒形状の軸線を中心に全周にわたって突出する少なくとも2つの山部と、前記山部どうしの間に形成された谷部とが前記軸線に沿って形成され、
前記谷部は、前記山部よりも前記軸線の延びる方向に潰れ難く形成されたことを特徴とする貯液部。
【請求項2】
請求項1に記載の貯液部において、
前記軸線の延びる方向に押し潰されたときに、前記他端の内側が前記谷部に当たることを特徴とする貯液部。
【請求項3】
請求項1または2に記載の貯液部において、
前記山部は、連続する曲面のみで形成されたことを特徴とする貯液部。
【請求項4】
請求項3に記載の貯液部において、
前記山部は、前記軸線の延びる方向に押し潰されたときに、屈曲せずに連続する曲面で形成された状態を維持することを特徴とする貯液部。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貯液部において、
弾性材料で形成されたことを特徴とする貯液部。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の貯液部において、
前記軸線の延びる方向に押し潰されたときに前記谷部の拡張量を制御するためのリングが、前記谷部の外周に沿って取り付けられたことを特徴とする貯液部。
【請求項7】
請求項6に記載の貯液部において、
前記リングの内径は、前記谷部の外径と略同径であることを特徴とする貯液部。
【請求項8】
請求項6または7に記載の貯液部において、
前記リングは、円形形状の断面を有することを特徴とする貯液部。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の貯液部において、
前記一端または前記他端に形成された前記山部の各々は、前記一端または前記他端側が前記谷部側よりも緩やかな曲面で形成されたことを特徴とする貯液部。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の貯液部を備えたPCAブーストポンプにおいて、
前記貯液部はケースに収容され、前記ケースは、前記貯液部を前記軸線の延びる方向に押し潰すためのロッドが設けられるとともに、前記ロッドの外部に位置する部分を覆うための壁部が形成されたことを特徴とするPCAブーストポンプ。
【請求項11】
請求項10に記載のPCAブーストポンプにおいて、
前記壁部は、前記ロッドに沿って板形状に形成されたことを特徴とするPCAブーストポンプ。
【請求項12】
請求項10または11に記載のPCAブーストポンプにおいて、
前記壁部は、コの字形状を有して前記ロッドを囲うように形成されたことを特徴とするPCAブーストポンプ。
【請求項13】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の貯液部を備えたPCAブーストポンプにおいて、
前記貯液部はケースに収容され、前記ケースは、外部から前記貯液部を視認可能な窓が形成されたことを特徴とするPCAブーストポンプ。
【請求項14】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の貯液部を備えたPCAブーストポンプにおいて、
前記貯液部はケースに収容され、前記ケースは、前記軸線の延びる方向の一端に前記軸線と略垂直な面が形成されるとともに、前記軸線の延びる方向の他端に前記貯液部を前記軸線の延びる方向に押し潰すためのロッドが設けられたことを特徴とするPCAブーストポンプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−81598(P2013−81598A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222975(P2011−222975)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(591129025)株式会社塚田メディカル・リサーチ (8)
【Fターム(参考)】