説明

貯湯式給湯機の梱包装置

【課題】物流荷扱い時の包装材破損を低減させるとともに、物流での荷受時に製品の打痕等の不具合を確認できる構成の貯湯式給湯機の梱包装置を提供すること。
【解決手段】製品1の上面を覆う包装用天カバー15と、製品1の底部に取り付け固定した包装用固定台12と、製品1の角部にて、包装用天カバー15と包装用固定台12とを支持する包装支柱20と、製品1の側面の一方側より覆う第一の側面保護カバー17と、前記製品1の側面の他方側より覆う第二の側面保護カバー21とを備え、第一の側面保護カバー17と第二の側面保護カバー21とがオーバーラップするように構成したことを特徴とする貯湯式給湯機の梱包装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気温水器やヒートポンプ給湯機等における貯湯タンクユニットの梱包に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の貯湯式給湯機の梱包の構成図を図7に示す。図7において、製品1の張り出し部10と包装用固定台12の間に、張り出し部10を保護するベース保護16と、ベース保護16を配設した製品1側面と隣り合わせの左右両側面を含む3面以上を一体的に保護する側面保護カバー17を設けるとともに、側面保護カバー17には梱包作業時に包装用固定台12から脱落しないよう包装用固定台12と係合する係合片17Aを設けている。
【0003】
これによって、製品搬送時と製品落下時の損傷が防止され、また梱包と開梱作業の合理化とが図られると共に、材料をダンボール化することで、材料の回収リサイクルを可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−51153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の貯湯式給湯機の梱包は、側面保護カバー17の横方向の固定が1本の包装用ヨコバンド19のみであったため、図8に示すように、側面保護カバー17の両端部において包装用ヨコバンド19で固定されていない部分(たとえば図8においては包装用固定台12に近い下側)が製品1に対して外側に開き、包装用固定台12よりも外側に張り出す場合があった(図8における網掛け部分)。
【0006】
さらに側面保護カバー17の材料はダンボールであるため、湿度の高い梅雨期や雨天時などには水分を吸収して製品1に対する側面保護カバー17の端面の開きが顕著になる場合もある。通常物流倉庫では、梱包された製品は、リフト等で運搬され、互いの製品同士を隣どうし密着させて配置されたり、あるいは製品の上に別の製品を乗せて配置されたりして、出荷までの間一時保管される。
【0007】
この時側面保護カバー17両端部が製品1に対して外側に開き包装用固定台12よりも外側に張り出しているような場合、リフトで製品同士を密着させる際に、側面保護カバー17端部の開き部分が干渉して、破れ・破損に至る課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、物流荷扱い時の包装材破損を低減させるとともに、物流での荷受時に製品の打痕等の不具合を確認できる構成の貯湯式給湯機の梱包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機の梱包装置は、製品の上面を覆う包装用天カバーと、前記製品の底部に取り付け固定した包装用固定台と、前記製品の角部にて、前記包装用天カバーと包装用固定台とを支持する包装支柱と、前記製品の側面の一方側より覆う第一の側面保護カバーと、前記製品の側面の他方側より覆う第二の側面保護カバーとを備え、前記第一の側面保護カバーと前記第二の側面保護カバーとがオーバ
ーラップするように構成したことを特徴とするもので、側面保護カバーが製品に対して外側に開き、包装用固定台よりも外側に張り出すことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、物流荷扱い時の包装材破損を低減させるとともに、物流での荷受時に製品の打痕等の不具合を確認できる構成の貯湯式給湯機の梱包装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1における貯湯式給湯機の梱包の構成図
【図2】同後面保護カバーのコの字状加工部詳細断面図
【図3】図1のD部詳細断面図
【図4】実施の形態2における貯湯式給湯機の梱包の構成図
【図5】図4のE部詳細断面図
【図6】図4のF部詳細断面図
【図7】従来の貯湯式給湯機の梱包の構成図
【図8】従来の貯湯式給湯機の梱包における側面保護カバーが外側に開いた状態図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、製品の上面を覆う包装用天カバーと、前記製品の底部に取り付け固定した包装用固定台と、前記製品の角部にて、前記包装用天カバーと包装用固定台とを支持する包装支柱と、前記製品の側面の一方側より覆う第一の側面保護カバーと、前記製品の側面の他方側より覆う第二の側面保護カバーとを備え、前記第一の側面保護カバーと前記第二の側面保護カバーとがオーバーラップするように構成したことを特徴とする貯湯式給湯機の梱包装置で、側面保護カバーが製品に対して外側に開き、包装用固定台よりも外側に張り出すことを抑制することができる。
【0013】
第2の発明は、包装支柱に囲まれた製品の周囲を横方向に巻きつけて第一の側面保護カバーと第二の側面保護カバーとを固定する包装用ヨコバンドを備え、前記第一の側面保護カバーと前記第二の側面保護カバーとは、合せ部の一部分でオーバーラップさせるとともに、少なくとも前記オーバーラップ部が形成されない部分に、前記包装用ヨコバンドを配置する構成としたことを特徴とするもので、側面保護カバーが製品に対して外側に開き、包装用固定台よりも外側に張り出すことを抑制することができる。
【0014】
第3の発明は、第一の側面保護カバーおよび/または第二の側面保護カバーのオーバーラップの端面を略コの字状に折り返し、前記略コの字状折り返し部の端部を露出させない構成としたことを特徴とするもので、ダンボール端面部の強度を向上させると共に、側面保護カバーが製品に対して外側に開き、包装用固定台よりも外側に張り出すことをより確実に抑制することができる。
【0015】
第4の発明は、一方の側面保護カバーのオーバーラップの端面を略コの字状に折り返し、前記略コの字状折り返し部にスリット部を設けるとともに、他方の保護カバー端面に突起部を設け、前記スリット部に前記突起部を挿入する構成としたことを特徴とするもので、側面保護カバーが製品に対して外側に開き、包装用固定台よりも外側に張り出すことをより確実に抑制することができる。
【0016】
第5の発明は、第一の側面保護カバーおよび第二の側面保護カバーに開口穴を設けたことを特徴とするもので、製品に打痕等の不具合があった場合、物流荷受時その状態を発見でき消費者に打痕不良の製品が流出する可能性を低減させることができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の
形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における貯湯式給湯機の梱包の構成図である。
【0019】
図1において、製品1の上面を覆う包装用天カバー15と、製品1の底部に取り付け固定した包装用固定台12と、製品1の角部にて、包装用天カバー15と包装用固定台12とを支持する包装支柱20と、製品1の側面の一方側より覆う第一の側面保護カバー17と、前記製品1の側面の他方側より覆う第二の側面保護カバー21と、包装用天カバー15と包装用固定台12とを上下方向に挟み込んで固定する輪状の包装用タテバンド18と、包装支柱20に囲まれた製品1の周囲を横方向に巻きつけて第一の側面保護カバー17と第二の側面保護カバー21とを固定する包装用ヨコバンド19とを備え、第一の側面保護カバー17と第二の側面保護カバー21とがオーバーラップするように構成してある。
【0020】
第一の側面保護カバーである側面保護カバー17の側面部分には、確認用穴22A(対向面側も同様とする)を設けている。この確認用穴22Aから物流での荷受時に、目視または触手によって製品の外観状態を確認することができる。
【0021】
物流運搬時に梱包状態の製品1を落下などさせた場合、張り出し部10(図7参照)を有する構成の貯湯式給湯機では、張り出し部10先端部にストレスがかかり、外装材に打痕・しわ等の外観不良が発生することが多い。
【0022】
従って、梱包側面部において張り出し部10の先端部近傍に確認用穴22Aを設けることは有効である。同様に図1において、第二の側面保護カバーである後面保護カバー21においても、前記側面保護カバー17の場合と同様に、外観不良が発生しやすい部分に確認用穴22Bを設けている。
【0023】
なお、梱包材において、確認用穴22A、22Bの近傍には、「荷受時に目視・触手にて製品の外観不良有無の確認を促す」内容の印刷を施し、作業者に注意喚起をするなどの方法も併せて行うことも有効である。
【0024】
図1は、側面保護カバー17と後面保護カバー21とは、側面保護カバー17の合せ部一部分(ここでは側面保護カバー17の下方80%程度の部分)においてオーバーラップ部分を設ける場合の梱包形態を示している。
【0025】
側面保護カバー17のオーバーラップ部分は、縦方向に折罫線を設け製品1側に折り曲げることができるよう、フラップ形状の構成を施している。一方、後面保護カバー21のオーバーラップ部分は、コの字状に折り返し部を設けている。
【0026】
さらに、折り返し部の先端(C部と記載)は、図2に示すようにコの字状に折り曲げる構成としている。コの字状に折り曲げることで、ダンボール切断面が露出するのを避け、強度をアップさせる効果がある。
【0027】
オーバーラップ部(B部と記載)の構成は、図3に示すように、側面保護カバー17のフラップ形状の部分を製品1側へ倒し、後面保護カバー21のコの字状に先端を加工した折り返し部で押さえつける構成としている。そして、オーバーラップ部分を包装用ヨコバンド19にて固定する。
【0028】
このように、図3のような構成とした場合、引っかかりやすいダンボール切断面が露出することを避けることができるため、物流荷扱い時に他の製品と干渉してダンボール端面
がひっかかる可能性を小さくすることができ、包装材破損を低減させることができる。
【0029】
図1において、オーバーラップ部を形成しない部分(ここでは側面保護カバー17の上方20%程度の部分)は、包装用ヨコバンド19にて固定することで製品1に対して外側に開き、包装用固定台よりも外側に張り出すことを抑制することができる。
【0030】
以上のように本実施の形態においては、側面用保護カバー17と後面用保護カバー21との合せ部のオーバーラップ部分は、特にダンボール切断部の端面部をコの字状に折り返す構成を採用して形成することで、ひっかかりやすいダンボール切断面を露出させることを避けることができるため、物流荷扱い時に他の製品と干渉してダンボール端面がひっかかる可能性を小さくすることができ、包装材破損を低減させることができる。
【0031】
また、確認用穴を設けて、製品の外観状態を容易に確認することを可能とすることで、製品に打痕等の不具合があった場合、物流荷受時その状態を発見でき消費者に打痕不良の製品が流出する可能性を低減させることができる。
【0032】
(実施の形態2)
図4は、本実施の形態における貯湯式給湯機の梱包の構成図である。図1の(実施の形態1)における貯湯式給湯機の梱包の構成と異なるところは、図5に示すように後面保護カバー21のコの字状の折り返し部分にスリットを設けたところと、側面保護カバー17のオーバーラップ形成部分に前記スリットに挿入するための突起を設けたところである。
【0033】
スリットと突起とのかみ合せ状態は、たとえば図4の拡大図および図6の断面図に示すようなものであり、突起先端に引っかかり部を設けスリットから外れにくくしている。
【0034】
以上のように本実施の形態においては、前記(実施の形態1)の構成に加え、側面保護カバー17と後面保護カバーとのオーバーラップ部分にスリットと突起によるかみ合せ構成を採用することで、さらに確実にひっかかりやすいダンボール切断面を露出させることを避けることができるため、物流荷扱い時に他の製品と干渉してダンボール端面がひっかかる可能性を小さくすることができ、包装材破損を低減させることができる。
【0035】
また、確認用穴を設けて、製品の外観状態を容易に確認することを可能とすることで、製品に打痕等の不具合があった場合、物流荷受時その状態を発見でき消費者に打痕不良の製品が流出する可能性を低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明は貯湯式給湯機に限らず、直方体形状の重量物、たとえば冷蔵庫等の梱包においても利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 製品
12 包装用固定台
15 包装用天カバー
17 側面保護カバー
19 包装用ヨコバンド
20 包装支柱
21 後面保護カバー
22A 確認用穴(側面保護カバー部)
22B 確認用穴(後面保護カバー部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の上面を覆う包装用天カバーと、前記製品の底部に取り付け固定した包装用固定台と、前記製品の角部にて、前記包装用天カバーと包装用固定台とを支持する包装支柱と、前記製品の側面の一方側より覆う第一の側面保護カバーと、前記製品の側面の他方側より覆う第二の側面保護カバーとを備え、前記第一の側面保護カバーと前記第二の側面保護カバーとがオーバーラップするように構成したことを特徴とする貯湯式給湯機の梱包装置。
【請求項2】
包装支柱に囲まれた製品の周囲を横方向に巻きつけて第一の側面保護カバーと第二の側面保護カバーとを固定する包装用ヨコバンドを備え、前記第一の側面保護カバーと前記第二の側面保護カバーとは、合せ部の一部分でオーバーラップさせるとともに、少なくとも前記オーバーラップ部が形成されない部分に、前記包装用ヨコバンドを配置する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機の梱包装置。
【請求項3】
第一の側面保護カバーおよび/または第二の側面保護カバーのオーバーラップの端面を略コの字状に折り返し、前記略コの字状折り返し部の端部を露出させない構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯機の梱包装置。
【請求項4】
一方の側面保護カバーのオーバーラップの端面を略コの字状に折り返し、前記略コの字状折り返し部にスリット部を設けるとともに、他方の保護カバー端面に突起部を設け、前記スリット部に前記突起部を挿入する構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯機の梱包装置。
【請求項5】
第一の側面保護カバーおよび第二の側面保護カバーに開口穴を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に貯湯式給湯機の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−116419(P2011−116419A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276290(P2009−276290)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】