説明

貯湯式給湯機

【課題】それぞれの端末に別熱源を設ける必要なく、ミスト発生装置およびその他の給湯端末の利用を可能にした貯湯式給湯機に関するものであり、ミスト発生装置へ湯水を供給しても、他の給湯端末への湯温制御も最適に実施可能な貯湯式給湯機を提供すること。
【解決手段】本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンク1と、湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置9と、浴槽33と、浴槽33へ貯湯タンク1内の高温水を供給する浴槽給湯管11と、ミスト発生装置9へ貯湯タンク1内の高温水を供給するミスト配管12とを備え、ミスト配管12は、浴槽給湯管11から分岐させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置に接続可能な貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のミスト発生装置は、給水管から給湯装置に水が供給され、給湯装置の湯と、給水源からの水とを混合することによって、浴室などにミストを提供している(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2005−342087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の構成では、ミスト発生装置専用の熱源が設けられており、浴室内の浴槽等とは別熱源で構成されているため、ミスト発生装置の導入コストや設備設置スペース等が大きくなってしまう。
【0004】
本発明は、それぞれの端末に別熱源を設ける必要なく、ミスト発生装置およびその他の給湯端末の利用を可能にした貯湯式給湯機に関するものであり、ミスト発生装置へ湯水を供給しても、他の給湯端末への湯温制御も最適に実施可能な貯湯式給湯機を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置と、浴槽と、前記浴槽へ前記貯湯タンク内の高温水を供給する浴槽給湯管と、前記ミスト発生装置へ前記貯湯タンク内の高温水を供給するミスト配管とを備え、前記ミスト配管は、前記浴槽給湯管から分岐したことを特徴とするものである。
【0006】
これにより、1つの貯湯タンクから1つの出湯管を設けるだけでミスト発生装置および給湯端末へ湯水を供給することができるので、配管の簡素化を図ることができるとともに、カラン等の給湯端末ではなく、浴槽へ高温水を供給する配管から分岐させているので、給湯端末側で使用者に対する影響度合いが少ない。
【発明の効果】
【0007】
本発明の貯湯式給湯機は、それぞれの端末に別熱源を設ける必要なく、ミスト発生装置およびその他の給湯端末の利用を可能にした貯湯式給湯機に関するものであり、ミスト発生装置へ供給する湯水の流量および温度の安定化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置と、浴槽と、前記浴槽へ前記貯湯タンク内の高温水を供給する浴槽給湯管と、前記ミスト発生装置へ前記貯湯タンク内の高温水を供給するミスト配管とを備え、前記ミスト配管は、前記浴槽給湯管から分岐したことにより、1つの貯湯タンクから1つの出湯管を設けるだけでミスト発生装置および給湯端末へ湯水を供給することができるので、配管の簡素化を図ることができるとともに、カラン等の給湯端末ではなく、浴槽へ高温水を供給する配管から分岐させているので、給湯端末側で使用者に対する影響度合いが少ない。
【0009】
第2の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、ミスト配管の断面積の方が、端末給湯管の断面積よりも小さいことにより、ミスト発生装置側に大量に水が流入しないため、浴槽に供給する高温流量の変動を抑えることができるとともに、ミスト発生装置を停止後にミスト配管内に溜まる水が少なくなり、次回ミスト発生装置を運転した時の排水量が少なくなり、水の消費量を抑えることができる。
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図である。図1において、本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンク1と、貯湯タンク1の下方部に貯えられている低温水を高温水に沸き上げる水冷媒熱交換器2と、貯湯タンク1の下方部に貯えられている低温水を水冷媒熱交換器2に送水する水ポンプ3とを備えており、図1に示すように貯湯タンク1と水ポンプ3と水冷媒熱交換器2とを配管で順次環状に接続して、貯湯タンク1の下方部に貯えられている低温水を、水ポンプ3を動作することによって水冷媒熱交換器2に送水し、水冷媒熱交換器2において低温水に熱を放熱することで高温水を生成し、水冷媒熱交換器2で生成された高温水を貯湯タンク1の上方から貯える。
【0012】
また、水冷媒熱交換器2から貯湯タンク1に至る流路の間には、三方弁61が介在しており、圧縮機6の立ち上がり時には、水冷媒熱交換器2で生成される湯の温度が高温になっていないので、ある温度以上の高温水が生成されるまでは、三方弁61を切り替えることによって、水冷媒熱交換器2から出湯する湯を貯湯タンク1の下方部に返流し、ある温度以上の高温水が生成されると、三方弁61を切り替えることによって、水冷媒熱交換器2から出湯する湯を貯湯タンク1の上方に返流する構成としている。なお、貯湯タンク1の底部には、給水源からタンク給水管4が接続されており、常時給水圧が掛かっており、カラン等からの出湯に応じてタンク給水管4から貯湯タンク1に水が供給される。
【0013】
また、本発明の貯湯式給湯機は、熱源としてヒートポンプを使用している。図1に示すように、冷媒を圧縮する圧縮機6と、大気から熱を吸熱する蒸発器7と、冷媒を減圧する減圧装置8とを有し、圧縮機6と水冷媒熱交換器2と減圧装置8と蒸発器7とを冷媒管によって順次環状に接続されており、冷媒管内を流通する冷媒には、二酸化炭素を使用している。つまり高圧側では臨界圧力を超えるので、水に熱を奪われても凝縮することがなく、高温の湯を得ることができる。
【0014】
また、貯湯タンク1の天部には、蛇口やシャワー等の給湯端末に出湯するための給湯管10および、浴槽に湯を出湯するための浴槽給湯管11が接続されている。給湯管10から出湯した湯は、電動式混合弁23で給水源から給水配管14を経て供給される水と混合され、給湯端末31へ供給される。また、浴槽給湯管11から出湯した湯は、電動式混合弁22で給水源から給水配管14を経て供給される水と混合され、浴槽33へ供給される。浴槽33と電動式混合弁22との間には、二方弁等で構成される注湯弁52を設けており、注湯弁52を開くことによって浴槽33への湯水の供給を開始する。
【0015】
電動式混合弁22(電動式混合弁23)は、電動式混合弁22(電動式混合弁23)の下流側に設けられている湯温検出手段であるサーミスタ42(サーミスタ43)で検出される温度が、リモコン13で設定した設定温度となるように駆動制御される。具体的には、リモコン13で設定した設定温度を、制御装置であるマイクロコンピュータ51にデータとして送信し、そのデータを受け取ったマイクロコンピュータ51が、各電動式混合弁の出湯口側に設けられているサーミスタで検出される温度が、リモコン13で設定した設定温度となるように駆動制御する。
【0016】
ミスト発生装置9は、浴室等でミスト浴を楽しむことができる装置であり、使用者は、浴室に設けられているリモコン13で操作することによって、ミスト発生装置9から発生するミストの温度や運転時間を設定することができる。本実施の形態1では、ミスト発生装置9への湯水の供給は、貯湯タンク1内の高温水を浴槽33へ供給する浴槽給湯管11から分岐したミスト配管12を経て行われる。
【0017】
そして、ミスト配管12を経て供給される貯湯タンク1内の高温水と、給水源から給水配管14を経て供給される水とを、サーミスタ41で検出する温度が、リモコン13で設定したミスト温度となるように、電動式混合弁21を駆動制御して、ミスト発生装置9へ湯水を供給している。ミスト発生装置9内には湯水停止手段(図示せず)が設けられており、湯水停止手段(図示せず)が開放することによって、湯水を噴出するミストノズル(図示せず)から湯水が浴室内に放出される。なお、ミスト開始当初は、貯湯タンク1からミスト発生装置9までの間にある配管内に溜まった冷水を浴室等の洗い場に排水することで、ミスト発生装置9から冷水が降り注ぐことのない構成となっている。
【0018】
以上のように構成された貯湯式給湯機について、ミスト配管12の構成について詳しく説明する。
【0019】
本実施の形態における貯湯式給湯機のミスト配管12は、前述した通り浴槽給湯管11より分岐した構造となっている。これは、カラン等の給湯端末31に供給する給湯管10から分岐するよりも、浴槽33に高温水を供給する浴槽給湯管11から分岐する方が、使用者への影響度が少ないことが理由に挙げられる。
【0020】
通常、カラン等の給湯端末31から出湯する場合は、使用者はすぐに湯水を使用したいことが多く、そのため給湯端末31から出湯した湯が直接使用者に触れることが多い。例えば仮に、給湯管10からミスト配管12を分岐させた構造とする。そうした場合、給湯端末31から湯水を出湯している最中に、ミスト発生装置9の運転を開始してしまうと、給湯管10からミスト配管12に高温水が流入してしまい、給湯端末31に供給される高温水の流量が減じてしまう(詳しくは、電動式混合弁23に供給される高温水の流量が変化してしまう)。そのため、一時的ではあるが、サーミスタ43がリモコン13で設定した設定温度となるように電動式混合弁23の駆動制御を行わなければならないため、電動式混合弁23から出湯する湯の温度が変動してしまう。そのため、給湯端末31から出湯した湯が一時的に変動してしまうので、使用者が要求する温度ではない温度で湯が供給されるため不快になってしまう可能性がある。
【0021】
それに対して本発明のように、浴槽33へ高温水を供給する浴槽給湯管11から、ミスト配管12を分岐させた構造とした場合、給湯端末31から湯水を出湯している最中に、ミスト発生装置9の運転を開始しても、給湯端末31から出湯する湯の温度は、ミスト運転の影響を受けることがない。また本実施の形態のように浴槽給湯管11からミスト配管12を分岐させた構造とした場合、浴槽33へ湯張り中もしくは沸き増し中に、ミスト運転を開始しても、使用者の使用方法として通常は、ある程度の湯を浴槽33に貯めてから入浴するか、または、ある程度の湯が既に貯められている浴槽33の中に注湯するため、浴槽給湯管11で流量変化が起きても浴槽33で大量の湯と混合されてしまい、使用者には湯温の変化が感じられにくい構造となる。つまり、浴槽給湯管11からミスト配管12を分岐させたとしても使用者には温度変化が感じられにくい構造となるため、使用者に対して不快にさせることがない。
【0022】
以上のような理由から、浴槽33へ高温水を供給する浴槽給湯管11から、ミスト配管12を分岐させた構造とした方が、使用者への影響度合いが少ないため有効である。
【0023】
また、ミスト配管12の径の大きさは、浴槽給湯管11の径の大きさよりも小さくしている。ミスト発生装置9の運転を停止すると、貯湯タンク1とミスト発生装置9との間にある配管内には湯水が残ってしまう。通常、次回のミスト運転を開始した時には、配管内に残った冷えた湯水を洗い場等に排水してミスト運転を開始するが、ミスト配管12の径を小さく構成することによって、ミスト運転開始時の排水量を極力減らすことができるので、湯水の消費を抑えることができる。
【0024】
また、通常ミスト発生装置9には毎分1L前後の水が必要となるが、これは浴槽33に供給する湯水の量と比べても大幅に小さい。そのため、浴槽給湯管11の径の大きさよりも、ミスト配管12の径の大きさを小さくすることによって、浴槽33への給湯の影響度合いを、さらに低減することができ、さらに、ミスト発生装置9が必要な湯水の量も確実に賄うことができるので、貯湯式給湯機のサイズダウンを図ることができる。
【0025】
以上のように、ミスト発生装置へ高温水を供給する配管を、浴槽へ高温水を供給する配管から分岐させた構成にすることで、使用者への影響を少なくし、かつ、簡単な構成でミスト浴を楽しむことができる貯湯式給湯機を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明にかかる貯湯式給湯機は、簡単な構成でミスト発生装置を接続することができる貯湯式給湯機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図
【符号の説明】
【0028】
1 貯湯タンク
2 水冷媒熱交換器
3 水ポンプ
4 タンク給水管
6 圧縮機
7 蒸発器
8 減圧装置
9 ミスト発生装置
10 給湯管
11 浴槽給湯管
12 ミスト配管
13 リモコン
21 電動式混合弁
22 電動式混合弁
23 電動式混合弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯える貯湯タンクと、湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置と、浴槽と、前記浴槽へ前記貯湯タンク内の高温水を供給する浴槽給湯管と、前記ミスト発生装置へ前記貯湯タンク内の高温水を供給するミスト配管とを備え、前記ミスト配管は、前記浴槽給湯管から分岐したことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
ミスト配管の断面積の方が、端末給湯管の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【公開番号】特開2008−232555(P2008−232555A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74202(P2007−74202)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】