説明

貯湯式給湯機

【課題】一般的に浴室の天井に設置されている温圧制御装置までミスト給湯配管とミスト給水配管を配管しなければならない
【解決手段】貯湯タンク7のお湯を給湯機側に設けたミスト温度制御手段がミスト混合弁13を制御してミスト温度センサ15で検出する温度が適温になるよう予め水と混合してミスト端末2に給湯するので、ミスト端末2側に混合弁等のミスト温度制御手段を持つ必要がなく、またミスト端末2への配管もミスト給湯配管1本で済むので、浴室の天井裏に設置するのが一般的なミスト端末の工事性が格段に向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置に接続可能な貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のミスト機能がついた貯湯式給湯機は一般の給湯器とミスト端末を組み合わせて使用するのが一般的で、給湯器から高温のお湯をミスト端末から浴室に噴霧してミストサウナを実現している。
【0003】
また、さらに快適性を追求するために給湯機からの高温のお湯と給水配管からの水をミスト端末側で混合して最適温度のミスト噴霧を行うようにしている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図5は、特許文献1に記載された従来のミスト機能付貯湯式給湯機とミスト端末の設置構成を示すものである。また図6は図5に示しているミスト機能付貯湯式給湯機、ミスト端末等の機能構成を示すものである。図5に示すように、ヒートポンプ給湯器101と、ミスト端末(ミスト発生装置)102と、ミスト端末102に供給する温水の温度及び給湯圧を制御する温圧制御装置103と(本発明の特徴を表すのに適した範囲で示す)から構成されている。また、図5に示すように温圧制御装置103に内蔵された混合弁104によってミスト給湯配管105からのお湯とミスト給水配管106からの水を混合して適温のお湯をミスト端末102に供給するようになっている。
【特許文献1】特開2006−322693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の構成では、湯と水とを混合した後に、さらにミスト発生装置の直前で水を混合する構成となっているため、ミスト発生装置から噴出される湯を適温に保持することが可能となっている。しかしながら、図5に示すように、前記従来の構成でミスト発生装置を実現する場合には、一般的に浴室の天井に温圧制御装置103を取り付けなければならず、さらに、温圧制御装置までミスト給水配管106を配管しなければならないため、設備が大型化してしまうという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、設備を大型化させることなく、ミスト機能を実現した貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機は、貯湯タンクと、前記貯湯タンクに水を給水する給水配管と、前記貯湯タンクの水を所定温度に沸き上げる沸き上げ手段と、前記沸き上げ手段により沸き上げられた貯湯タンクのお湯を取り出す給湯配管と、前記給湯配管からのお湯と前記給水配管からの水を混合するミスト混合弁と、浴室に温水を霧状にして散布するミスト端末と、前記ミスト混合弁で混合されたお湯を前記ミスト端末に給湯するミスト給湯配管と、前記ミスト給湯配管の前記ミスト混合弁側に設けられたミスト温度センサと、前記ミスト温度センサの温度が目標温度になるよう前記ミスト混合弁を制御するとともにミスト端末からの情報で目標温度に補正を加えるミスト湯温制御手段と、ミスト端末とミスト湯温制御手段の間で情報を伝える通信手段とを備え、前記ミスト湯温制御手段はあらかじめ複数の目標温度を保持し、前記ミスト端末は通信手段を介して目標温度を選択できるようにし、前記通信手段は2線で構成したことを特徴とするものである。
【0008】
これにより、ミスト混合弁からミスト端末までの配管において、湯を供給している最中に放熱による温度低下が発生したとしても、ミスト端末からの温度情報に基づいてミスト混合弁で混合する湯の温度を選択するため、ミスト端末から適温の湯をミスト状に噴出することができるとともに、通信手段が2線で構成されているので簡単な通信手順で必要な情報を送信することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の貯湯式給湯機は、設備を大型化させることなく、ミスト機能を実現した貯湯式給湯機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明の貯湯式給湯機は、貯湯タンクと、前記貯湯タンクに水を給水する給水配管と、前記貯湯タンクの水を所定温度に沸き上げる沸き上げ手段と、前記沸き上げ手段により沸き上げられた貯湯タンクのお湯を取り出す給湯配管と、前記給湯配管からのお湯と前記給水配管からの水を混合するミスト混合弁と、浴室に温水を霧状にして散布するミスト端末と、前記ミスト混合弁で混合されたお湯を前記ミスト端末に給湯するミスト給湯配管と、前記ミスト給湯配管の前記ミスト混合弁側に設けられたミスト温度センサと、前記ミスト温度センサの温度が目標温度になるよう前記ミスト混合弁を制御するとともにミスト端末からの情報で目標温度に補正を加えるミスト湯温制御手段と、ミスト端末とミスト湯温制御手段の間で情報を伝える通信手段とを備え、前記ミスト湯温制御手段はあらかじめ複数の目標温度を保持し、前記ミスト端末は通信手段を介して目標温度を選択できるようにし、前記通信手段は2線で構成したことにより、ミスト端末側に混合弁等のミスト温度の最適化手段を設ける必要がなく、ミスト端末までの配管をミスト給湯配管1本で構成することとなり、工事の困難な浴室天井裏でのミスト端末の設置工事を大幅に簡略化することで省施工化をはかることができるとともに、ミスト混合弁からミスト端末までの配管において、湯を供給している最中に放熱による温度低下が発生したとしても、ミスト端末からの温度情報に基づいてミスト端末からミスト混合弁で混合する湯の温度を選択するため、ミスト端末から適温の湯をミスト状に噴出することができ、さらに、通信手段を2線で構成し簡単な配線で必要な情報を伝達することができる。
【0011】
第2の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、通信手段は、ミスト端末側から貯湯式給湯機側へパルス信号を送ることで通信を行い、貯湯式給湯機側はパルスが受信できない場合には所定の安全動作をおこなうことにより、信号線が短絡や断線した場合、給湯機側での信号ラインがHi固定またはLo固定となり、所定の安全動作をおこなうこととなり安全を確保することができる。
【0012】
第3の発明の貯湯式給湯機は、特に第2の発明において、目標温度は、パルス信号の周期に応じて選択するように構成したことにより、目標温度を設定でき、複雑な通信アルゴリズムを使用することなくパルスの周期で必要な情報を伝達することができる。
【0013】
第4の発明の貯湯式給湯機は、特に第2の発明において、目標温度は、パルス信号の組合せに応じて選択するように構成したこと目標温度を設定でき、複雑な通信アルゴリズムを使用することなくパルスの組合せで必要な情報を伝達することができる。
【0014】
第5の発明の貯湯式給湯機は、特に第2〜4の発明において、所定の安全動作はミスト湯温制御手段の目標温度を水とすることにより、温度的に最も安全な状態にすることで安全を確保することができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の
形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるミスト機能付貯湯式給湯機の構成図、図2はミスト端末とミスト湯温制御手段の間で情報を伝える通信手段の回路図、図3は通信手段信号ラインのパルス信号の波形図を示すものである。
【0017】
図1において、貯湯タンク7に給水配管8より給水し、貯湯タンク7の下部の水を沸上循環ポンプ9で熱源ユニット10に循環させ、過熱したお湯を三方弁11を介して貯湯タンク7の上部に戻すように沸き上げ手段を構成している。
【0018】
熱源ユニット10はヒートポンプを用いて大気熱を回収し、貯湯タンク7からの循環水と熱交換し加熱するように構成されている。また、熱源ユニット10が起動直後で循環水を充分加熱できない間は三方弁11を切り替えて未加熱の循環水を貯湯タンク7の下部に戻すよう構成されている。
【0019】
沸き上げ手段により加熱され貯湯されたお湯は貯湯タンク7の上部より出湯配管12を介してミスト混合弁13で給水配管8からの水と混合され、さらにミスト給湯配管14を介してミスト端末2に供給される。この時ミスト混合弁13はミスト温度センサ15で検出した湯温が所定の目標値になるようミスト温度制御手段によって制御される。
【0020】
ミスト温度制御手段はミスト混合弁13を駆動しているステッピングモータに表1に従って駆動出力を出すようになっている。
【0021】
【表1】

【0022】
次に図2によりミスト端末とミスト湯温制御手段の間で情報を伝える通信手段について説明する。通信ラインはコモンライン16、信号ライン17とから構成され、信号ライン17は抵抗18でDC電源19にプルアップされ、またコモンライン16は受信側で接地されている。
【0023】
送信側では送信信号20によってフォトカプラー21を介して、信号ライン17とコモ
ンライン16をそれぞれ短絡するようになっている。つまり、送信信号20にHiが入れば受信信号22にはLoが出力され、反対に送信信号20にLoが入れば受信信号22にはHiが出力される。図3は、信号ライン17のパルス信号で周期を変えることで、パターンAとパターンBを区別している。
【0024】
次に表2によりミスト温度制御手段の動作について説明する。送信側であるミスト端末2はミスト運転OFF時(表2No1)、図3に示すように信号ライン17には信号を送出されない。このとき受信側であるミスト湯温制御手段は温度制御目標値として水をセットしミスト混合弁13を水側全開とする。
【0025】
ミスト運転がONにされるとミスト端末2は(表2No2)信号ライン17に図3に示すパルスAを送出する。これに対しミスト温度制御手段は温度制御目標値として49℃をセットし、ミスト温度センサ15が温度制御目標値になるよう表1の制御値に従ってミスト混合弁13を制御する。
【0026】
ミスト運転中にミスト端末2で検出したミスト湯温が3分間継続して47℃未満の場合はミスト端末2は(表2No3) 信号ライン17に図3に示すパルスBを送出する。これに対しミスト温度制御手段は温度制御目標値として51℃をセットし、ミスト温度センサ15が温度制御目標値になるよう表1の制御値に従ってミスト混合弁13を制御する。
【0027】
また、ミスト運転中にミスト端末2で検出したミスト湯温が3分間継続して50℃以上の場合はミスト端末2は(表2No2) 信号ライン17に図3に示すパルスA送出する。これに対しミスト温度制御手段は温度制御目標値として49℃をセットし、ミスト温度センサ15が温度制御目標値になるよう表1の制御値に従ってミスト混合弁13を制御するように構成されている。
さらに、信号ライン17がLoの場合(表2No4)、ミスト温度制御手段はミスト端末接続異常として温度制御目標値を水にセットし、ミスト混合弁13を水側全開とするように構成されている。
【0028】
【表2】

【0029】
以上のように構成されたミスト機能付貯湯式給湯機について、以下その動作、作用を説明する。
【0030】
まず、貯湯タンク7のお湯を給湯機側に設けたミスト温度制御手段がミスト混合弁13を制御してミスト温度センサ15で検出する温度が適温になるよう予め水と混合してミスト端末2に給湯するので、ミスト端末2側に混合弁等のミスト温度制御手段を持つ必要がなく、またミスト端末2への配管もミスト給湯配管1本で済むので、浴室の天井裏に設置するのが一般的なミスト端末の工事性が格段に向上する。
【0031】
また、通信手段を介してミスト温度制御手段の温度制御目標値を変更することができるのでミスト端末2側で湯温を検出し、配管や外気温の影響で適温に達しない場合も、ミスト給湯温度補正することができ最適なミスト性能を実現できる。
【0032】
さらに、通信手段は2線の信号で複雑な通信アルゴリズムを使用することなく、パルス周期の組み合わせで容易に実現でき、問題のでない安定した動作のミスト機能付貯湯式給湯機を提供することができる。
【0033】
ミスト機能付貯湯式給湯機側(受信側)で信号ライン17を抵抗を介してプルアップ、コモンラインを接地し、ミスト端末側(送信側)で各信号ラインとコモンラインをフォトカプラー21の短絡と開放を繰り返すことでパルス信号出力を実現する、信号ライン17がHiで停止または信号線の断線、信号ライン17がLoを受信することで信号線の短絡を検出することができる。
【0034】
さらにショート異常、断線異常を検出した場合はミスト温度制御手段が温度制御目標値を水にし、ミスト混合弁13を水全開にすることでミスト端末2に高温のお湯を送ることを防止し、安全を図ることができる。
【0035】
また、ミスト端末側でも所定温度のお湯が送られてこないことで異常を検出してミスト運転を停止させることができる。
【0036】
なお、実施の形態として通信手段の回路構成として受信側で通信ラインを抵抗を介してプルアップし、コモンラインを接地して、送信側でスイッチ素子で通信ラインとコモンラインを短絡することで信号を送信する方式を示しているが、受信側で通信ラインを抵抗を介して接地し、コモンラインをプルアップして、送信側でスイッチ素子で通信ラインとコモンラインを短絡することで信号を送信する方式でも信号の論理を反転させることで同様の効果を実現することができる。
【0037】
また、パルス信号の組合せは2パターンとしているが、2パターン以上にしても良い信号の種類を増やせばよりきめ細かい温度制御が可能となる。
【0038】
また、図4に示すようなパルス信号の組合せでも同様の効果を実現することができる。
【0039】
さらに、送信側回路にダイオードブリッジ回路(図示せず)を介してフォトカプラに接続することで、信号線の極性が無くなりコモンと信号ラインを区別せずに接続でき、誤配線の心配が無くなる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかるミスト機能付貯湯式給湯機は、ミスト給湯配管を介してミスト端末への給湯が可能となるので、浴室に温水を霧状にして散布するミスト機能を有するミスト機能付貯湯式給湯機等の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態1におけるミスト機能付貯湯式給湯機の構成図
【図2】本発明の実施の形態1におけるミスト端末とミスト湯温制御手段の間で情報を伝える通信手段の回路図
【図3】本発明の実施の形態1における通信手段信号ラインのパルス信号の波形図
【図4】本発明の実施の形態1における通信手段信号ラインのパルス信号の波形図
【図5】従来のミスト機能付貯湯式給湯機の設置構成図
【図6】従来のミスト機能付貯湯式給湯機の機能構成図
【符号の説明】
【0042】
2 ミスト端末
7 貯湯タンク
8 給水配管
9 沸上循環ポンプ
10 熱源ユニット
11 三方弁
12 出湯配管
13 ミスト混合弁
14 ミスト給湯配管
15 ミスト温度センサ
16 コモンライン
17 信号ライン
18 抵抗
19 DC電源
20 送信信号
21 フォトカプラー
22 受信信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、前記貯湯タンクに水を給水する給水配管と、前記貯湯タンクの水を所定温度に沸き上げる沸き上げ手段と、前記沸き上げ手段により沸き上げられた貯湯タンクのお湯を取り出す給湯配管と、前記給湯配管からのお湯と前記給水配管からの水を混合するミスト混合弁と、浴室に温水を霧状にして散布するミスト端末と、前記ミスト混合弁で混合されたお湯を前記ミスト端末に給湯するミスト給湯配管と、前記ミスト給湯配管の前記ミスト混合弁側に設けられたミスト温度センサと、前記ミスト温度センサの温度が目標温度になるよう前記ミスト混合弁を制御するとともにミスト端末からの情報で目標温度に補正を加えるミスト湯温制御手段と、ミスト端末とミスト湯温制御手段の間で情報を伝える通信手段とを備え、前記ミスト湯温制御手段はあらかじめ複数の目標温度を保持し、前記ミスト端末は通信手段を介して目標温度を選択できるようにし、前記通信手段は2線で構成したことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
通信手段は、ミスト端末側から貯湯式給湯機側へパルス信号を送ることで通信を行い、貯湯式給湯機側はパルスが受信できない場合には所定の安全動作をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
目標温度は、パルス信号の周期に応じて選択するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
目標温度は、パルス信号の組合せに応じて選択するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の貯湯式給湯機。
【請求項5】
所定の安全動作は、ミスト湯温制御手段の目標温度を水とすることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−286418(P2008−286418A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128938(P2007−128938)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】