説明

貯湯式給湯機

【課題】貯湯式給湯機の貯湯タンク内は常に満水状態であるため、日常生活で湯の使用を停止しない限りは貯湯タンク内部の水を排水することは出来ない。また、仮に使用を停止して排水した場合でも、給湯機所有者が貯湯タンク内部を分解して洗浄する等のメンテナンスを行うことは、所有者にとって非常に煩わしいものである。
【解決手段】貯湯タンクの下部に接続され、貯湯タンクに市水を供給する給水配管と、給水配管に設けられ給水配管内を流れる市水に微小泡を生じさせる微小泡発生装置を備え、微小泡発生装置により発生した微小泡を貯湯タンク内に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクを有する貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱源器で沸き上げられた湯を貯湯タンクに一旦貯留し、該貯湯タンクに接続された給湯管路の端部に設けた給湯栓をユーザが開けたときに貯湯タンク内の湯がそのまま、または水でうめられて出湯するように構成された給湯機では、浴槽貯湯タンク内の湯を熱源として用いた追焚き用熱交換器により浴槽内の浴水を追焚きする追焚き機能が付加されたものも開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
給湯機に上記の追焚き機能を付加する場合には、例えば、貯湯タンクの上部から湯を取水して該貯湯タンクの下部に戻す熱源用循環管路、浴槽から取水した浴水を浴槽に戻す追焚き用循環管路、および上記の追焚き用熱交換器が給湯機に付加される。追焚き用熱交換器は、熱源用循環路を流下する湯を熱源として用いて、該湯と追焚き用循環管路を流れる浴水との間で熱交換を行い、追焚き用循環管路内の浴水を加温する。
【0004】
このような追焚き機能付き給湯機では、人体から浴水中に洗い流された皮脂や角質等の汚れが追焚き用循環管路を循環して該循環管路の配管内面や追焚き用熱交換器内に不可避的に付着する。そして、上記の汚れがある程度以上堆積すると、追焚き運転時に当該汚れが浴槽に再循環して浴槽や浴水を汚したり、追焚き用熱交換器の熱交換効率を低下させたりする。このため、追焚き用循環管路の配管内や追焚き用熱交換器内に付着し、堆積した汚れを強制的に取り去る配管洗浄が推奨される。また、市水を貯留し沸き上げた湯を貯湯する貯湯タンクは、長年の使用により市水に含まれる不純物や水源から運ばれる微小な物質または市水を沸き上げる際に水の溶解度が低下して析出する不純物などが堆積し、貯湯タンク内部表面へ、ぬめりや水アカ等の汚れとなって付着・堆積する。これらの堆積した汚れが、長期的には貯湯タンクの腐食による水漏れなどの要因になる可能性もある。
【0005】
上記の追焚き用熱交換器に代えて保温ヒータを用いる給湯機に適用されるものではあるが、特許文献1に記載された給湯機の洗浄装置では、浴水を循環させて該浴水を保温ヒータで加熱する循環用配管が設けられ、浴水の排水時に当該循環用配管に水を流して循環用配管内の汚れを洗い流している。
【0006】
ただし、このような洗浄装置による洗浄では追焚き用循環管路の配管内面や追焚き用熱交換器内の汚れを取り去ることは可能となるものの、貯湯タンクと追焚き用循環管路は別経路となっているため、貯湯タンク内の汚れを取り去ることはできない。
【0007】
【特許文献1】特許第3821926号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
貯湯タンク内部は常に満水状態にした状態で通電する必要がある。つまり、日常生活で湯の使用を停止しない限りは貯湯タンク内部の水を排水することは出来ない。また、仮に使用を停止して排水した場合でも、給湯機所有者が貯湯タンク内部を分解して洗浄する等のメンテナンスを行うことは、所有者にとって非常に煩わしいものである。
【0009】
本発明は以上のような問題点を解決するものであり、給湯機所有者に面倒なメンテナンス作業を強いることなく貯湯タンク内部を自動洗浄し、貯湯タンク内部表面へのぬめりや水アカ等の汚れ付着・堆積を防止し、貯湯タンクの腐食による水漏れの可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による貯湯式給湯機は、熱源器で沸き上げられた湯を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンクの下部に接続され、貯湯タンクに市水を供給する給水配管と、給水配管に設けられ給水配管内を流れる市水に微小泡を生じさせる微小泡発生装置とを備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明による貯湯式給湯機は、給湯機所有者に面倒なメンテナンス作業を強いることなく貯湯タンク内部を自動洗浄し、貯湯タンク内部表面へのぬめりや水アカ等の汚れ付着・堆積を防止し、貯湯タンクの腐食による水漏れの可能性を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による貯湯式給湯機の一例を示す概略図である。同図に示す貯湯式給湯機120は、市水等の低温水を熱源器で湯に沸き上げて所望箇所に給湯する機能と、浴槽150に適温の温水を供給する機能と、浴槽150で用いられた浴水150aを追焚きする機能とを有するものであり、当該貯湯式給湯機120は、ヒートポンプユニット10と給湯ユニット100とを備えている。以下、貯湯式給湯機120の各構成要素について説明する。
【0014】
ヒートポンプユニット10は、冷媒を圧縮する圧縮機1と、沸上げ用熱交換器3と、膨張弁5と、蒸発器7と、これらを環状に接続する循環配管9とによって構成された冷凍サイクルシステムを有し、熱源器として機能する。上記の冷凍サイクルシステムでは、冷媒が圧縮機1で圧縮されて高温、高圧となった後に沸上げ用熱交換器3で放熱し、膨張弁5で減圧され、蒸発器7で吸熱してガス状態となって圧縮機1に吸入される。
【0015】
一方、給湯ユニット100は、貯湯タンク20、給水管路30、沸上げ用循環管路40、熱源用循環管路50、追焚き用循環管路60、追焚き用熱交換器65、給湯管路80、制御部90を有している。
【0016】
貯湯タンク20は、ステンレスによって形成され、給水管路30から供給される水を貯留すると共にヒートポンプユニット10で沸き上げられた湯を貯留するものであり、常に満水状態に保たれる。
【0017】
給水管路30は、市水等の低温水を貯湯タンク20、第1混合弁75a,第2混合弁75b、給湯栓160に供給する管路であり、第1〜4給水管部30a〜30dと水圧を所定値以下にする減圧弁25とを含んでいる。第1給水管部30aは水道等の水源(図示せず)と減圧弁25とを繋ぎ、第2給水管部30bは減圧弁25と貯湯タンク20の下部とを繋ぎ、第3給水管部30cは減圧弁25と第1,第2混合弁75a,75bとを繋ぐ。また、第4給水管部30dは第1給水管部30aから分岐して該第1給水管部30aと給湯栓160とを繋いでいる。なお、第2給水管部30bには、内部を流れる水に微小泡を発生、供給する微小泡発生装置70が配置されている。
【0018】
沸上げ用循環管路40は、貯湯タンク20の下部から水を取水して貯湯タンク20の上部から該貯湯タンク20に戻す管路であり、往き管40a,戻り管40b、および沸上げ用送水ポンプ35を含んでいる。往き管40aは貯湯タンク20の下部と沸上げ用熱交換器3とを繋ぎ、戻り管40bは沸上げ用熱交換器3と貯湯タンク20の上部とを繋ぐ。沸上げ用送水ポンプ35は、往き管40aの途中に設けられている。
【0019】
熱源用循環管路50は、貯湯タンク20の上部から湯を取水して貯湯タンク20の下部から該貯湯タンク20に戻す管路であり、往き管50a,戻り管50b、および熱源用送水ポンプ45を含んでいる。往き管50aは貯湯タンク20の上部と追焚き用熱交換器65の上部とを繋ぎ、戻り管50bは追焚き用熱交換器65の下部と貯湯タンク20の下部とを繋いでいる。熱源用送水ポンプ45は、戻り管50bの途中に設けられている。
【0020】
追焚き用循環管路60は、浴槽150の側部から浴水150aを取水して浴槽150の側部から該浴槽150に戻す管路であり、往き管60a、戻り管60b、および追焚き用送水ポンプ55を含んでいる。往き管60aは、浴槽150の側部と追焚き用熱交換器65の下部にある浴槽側入口(図示せず)とを繋ぎ、戻り管60bは、追焚き用熱交換器65の上部にある浴槽側出口(図示せず)と浴槽150の側部とを繋ぐ。追焚き用送水ポンプ55は往き管60aの途中に設けられている。
【0021】
追焚き用熱交換器65は、複数の伝熱プレートが該追焚き用熱交換器65での高さ方向に積層されたプレート式熱交換器であり、熱源用循環管路50を流れる湯と追焚き用循環管路60を流れる浴水150aとの間で熱交換を行って浴水150aを加温する。
【0022】
給湯管路80は、貯湯タンク20に貯留された湯を浴槽150と給湯栓160に供給するものであり、第1〜3給湯管部80a〜80c、第1湯水混合弁75a、および第2湯水混合弁75bを含んでいる。
【0023】
第1給湯管部80aにおける貯湯タンク20側の端部は熱源用循環管路50の往き管50aと共用される共用管路CLになっており、当該第1給湯管部80aでの下流側端部は2つの流路に分岐して一方が第1湯水混合弁75aに、他方が第2湯水混合弁75bにそれぞれ接続されている。また、第2給湯管路部80bは、第1湯水混合弁75aと追焚き用循環管路60での戻り管60bとを繋いでおり、追焚き用循環管路60は給湯管路80の一部となっている。第1給湯管路部80a、第1湯水混合弁75a、第2給湯管路部80b、および追焚き用循環管路60により、貯湯タンク20内の湯を浴槽150に給湯する浴槽用給湯管路BLが構成されている。したがって、浴槽用給湯管路BLは追焚き用循環管路60を含んでいる。
【0024】
給湯管路80における第3給湯管部80cの上流端は第2湯水混合弁75bに接続され、当該第3給湯管部80cでの下流側端部は給湯栓160に接続されている。なお、給水管路30での第1給水管部30aの下流側端部は2つの管路に分岐して一方が上述の第1湯水混合弁75aに、他方が上述の第2湯水混合弁75bにそれぞれ接続されている。
【0025】
制御部90は、リモコン操作部95からユーザにより入力された沸上げ開始時刻、沸上げ温度、湯張り湯量、給湯温度等の情報に基づいてヒートポンプユニット10、沸上げ用送水ポンプ35、熱源用送水ポンプ45、追焚き用送水ポンプ55、微小泡発生装置70、第1湯水混合弁75a、および第2湯水混合弁75bの動作を制御する。第1湯水混合弁75aおよび第2湯水混合弁75bの各々は、電動式の混合弁である。リモコン操作部95は、制御部90に有線接続または無線接続されて、制御部90に対する入力装置として用いられる。
【0026】
以上説明した構成を有する貯湯式給湯機120では、ユーザが設定した沸上げ開始時刻になると制御部90による制御の下にヒートポンプユニット10および沸上げ用送水ポンプ35が動作して、沸上げ運転が行われる。このとき、貯湯タンク20の下部から取水された水が沸上げ用循環管路40を流れ、沸上げ用熱交換器3を通過する過程で湯に沸き上げられて貯湯タンク20の上部から貯湯タンク20に戻される。沸上げ用循環管路40での往き管40aの下流側端部には図示を省略した温度センサが設けられており、制御部90は、この温度センサの検知温度を監視して該検知温度が所定温度になると沸上げ運転を終了させる。
【0027】
ユーザがリモコン操作部95から湯張りを指示すると、制御部90により第1湯水混合弁75aの動作が制御され、貯湯タンク20内の湯が所定の湯温に調整されて浴槽150に所定量給湯される。また、ユーザが給湯栓160を開にすると、制御部90により第2湯水混合弁75bの動作が制御され、貯湯タンク20内の湯が所定の湯温に調整されて当該給湯栓160から給湯される。
【0028】
そして、ユーザがリモコン操作部95から浴水150aの追焚きを指示すると、制御部90による制御の下に熱源用送水ポンプ45および追焚き用送水ポンプ55が動作して、追焚き運転が行われる。
【0029】
このとき、貯湯タンク20の上部から取水された湯が熱源用循環管路50を流れて貯湯タンク20の下部から該貯湯タンク20に戻される一方で、浴槽150から取水された浴水150aが追焚き用循環管路60を流れて浴槽150に戻される。熱源用循環管路50を流れる湯と追焚き器用循環管路60を流れる浴水150aとの間で追焚き用熱交換器65により熱交換が行われて、浴水150aが追焚きされる。追焚き用循環管路60での戻り管60bには図示を省略した温度センサが設けられており、制御部90は、この温度センサの検知温度を監視して該検知温度が所定温度になると追焚き運転を終了させる。
【0030】
この貯湯式給湯機120では、熱源用循環管路50での往き管50aが追焚き用熱交換器65の上部に接続され、追焚き用循環管路60での往き管60aが追焚き用熱交換器65の下部に接続されているので、追焚き用熱交換器65の上部が高温状態となって追焚き時の熱交換量が高まる。追焚き用熱交換器65の下部は低温状態となるので、熱源用循環管路50での戻り管50bを流下して貯湯タンク20の下部に戻される熱交換後の温水の温度をより低温にすることができる。
【0031】
また、この貯湯式給湯機120では、給水管路30を通って市水等の低温水を貯湯タンク20に貯留したり、前述の湯張り動作や給湯栓160からの給湯動作などの際に、第2給水管部30bと貯湯タンク20を繋ぐ部分に設置された微小泡発生装置70を低温水が通過することにより、微小泡発生装置70から第2給水管部30b内を流れる低温水内に自動で微小泡を発生させる。それにより、発生した微小泡が貯湯タンク20内部に放出され、貯湯タンク20内部表面に吸着することで堆積していた汚れを除去すると共に、貯湯タンク20内部表面への汚れ付着を防止する。
【0032】
実施の形態2.
図2は本発明の他の実施の形態により貯湯式給湯機の微小泡発生装置70の内部構成および貯湯タンク20内部の要部拡大図である。図2において図1と同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0033】
微小泡発生装置70は、水流により微小泡を発生させるエジェクタ70a、貯湯タンク20からの逆流を防止するエジェクタ用逆止弁A70b、エジェクタ70aへ流れ込む空気の逆流を防止するエジェクタ用逆止弁B70c、エジェクタ70a側への異物の侵入を抑制するストレーナ70dにて構成されている。エジェクタ70aには空気の吸い込み口が設けられており、この吸い込み口から外部の空気をエジェクタ70a内に取り入れる。この際、吸い込み口にはエジェクタ逆止弁B70cが配置されているため、給水作業が行われていない時にはエジェクタ70a内の残水や第4給水管部30dの残水が外部へ放出されることはない。
【0034】
流量感知センサ70eは、第2給水管部30b内の湯水の流れを検知する。リモコン表示部95aは、リモコン操作部90上に設けられた表示部であり、制御部90から送られる各種情報を表示する。
【0035】
給水時、ストレーナ70dを通過して大きなゴミを除去した市水等の低温水が第2給水管部30bを経由して、エジェクタ70aを通過する際、エジェクタ70aに設けられエジェクタ用逆止弁B70cが接続されている空気の吸い込み口から給水時の流速を利用して外部の空気を吸い込み、微小泡を生成して貯湯タンク20内に放出する。
【0036】
給水された市水がエジェクタ70aを通過すると、微小泡が発生し、貯湯タンク20に放出される。ある程度速い流速で貯湯タンク20内に放出されるため、貯湯タンク20の全体に向けて放出されることになる。しかしこの場合、貯湯タンク20内部で汚れ成分が付着することにより洗浄が必要となる部分は、貯湯タンク20を構成しているステンレスの内側表面である。従って、微小泡はステンレス表面を這うように放出させなければならない。
【0037】
そこで、貯湯タンク20側面のステンレス表面に微小泡を付着させ、這うように移動させるため、側面のステンレス付近にガイド20aを設ける。
【0038】
このガイド20aについて貯湯タンク内部を表した図2を用いて説明する。貯湯タンク20表面に微小泡が付着しやすいようにするため、ガイド20aを貯湯タンク20内部壁面と所定間隔をあけて略沿わせるように設ける。ガイド20a底面の高さは貯湯タンク20底面から20〜30cm、側面から20〜30cmが好ましい。これにより、エジェクタ70aによって生成された微小泡は貯湯タンク20内部全体に放出されることなく、ガイド20aと貯湯タンク20側面の間20〜30cmのみを通過するので、貯湯タンク20表面への微小泡の付着率を増加させることができる。
【0039】
微小泡は極端に小さい径のため浮力が小さく、水中における浮遊時間が長く、ゆっくり浮上していく性質を持つ。そのため、エジェクタ70aを通過することにより生成された微小泡が貯湯タンク20内に放出された直後に貯湯タンク20のステンレス表面近辺に滞在すれば、その後時間が経つにつれてステンレス表面に沿って微小泡が移動することができる。よってガイド20aの高さは貯湯タンク20上部まで必要なく、貯湯タンク20全長の約1/4程度あればよい。また、貯湯タンク20上部までガイド20aの高さを高くした場合、給水された市水は貯湯タンク20の上部へ入ることになる。湯と水の比重関係により、水は貯湯タンク20下部へ、湯は貯湯タンク20上部へと移動するため、給水された水が上部へ入り、湯と混合されることは効率低下の原因となる。このことからもガイド20aの高さは低いほうが好ましい。
【0040】
微小泡を放出した場合のステンレス表面を観察すると、微小泡は流れ方向に沿ってゆっくり移動を行い、付着していた汚れ成分の表面に吸着し、水流と共に除去していくことが確認できた。この作用によって、ステンレス表面において汚れ成分の付着防止・除去効果を得ることが可能となった。
【0041】
微小泡を発生させない場合と比較して、発生させた場合はステンレス表面への汚れ成分付着度が約1/5に低減できることを確認した。
【0042】
なお、微小泡発生装置70としては、上記エジェクタ式のほかに、旋回液流式、スタティックミキサー式、ベンチュリ式、加圧溶解式、微細孔式、蒸気凝縮式などを用いてもよく、液体中に多数の微小泡を生じさせることができるものであればよく、その構造は適宜選定可能である。
【0043】
以上のように、本実施の形態2による貯湯式給湯機120によれば、微小泡発生装置70によって発生させた微小泡を、ガイド20aを設けることで洗浄が必要となる貯湯タンク20内部表面のステンレス部のみに這わせることが出来るため、より高い洗浄効果を得ることが可能となる。
【0044】
実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2による貯湯式給湯機120は、貯湯タンク20内の湯を蛇口160や浴槽150から出湯した際に、水道水圧によって自動的に貯湯タンク20へ給水されるため、その際に微小泡発生装置70を通過して生成した微小泡が貯湯タンク20上部から給湯管路80を通過して、蛇口160や浴槽150へ放出されてしまう場合がある。このような場合、微小泡の発生を意識していない給湯機所有者に何かの故障モードだと誤認識されることが考えられる。この場合の対応につき、本実施の形態3において、図2を中心に説明する。
【0045】
上記のような誤認識を防止するため、図2の構成により、給水された市水等の低温水が第2給水管部30bを経由し、流量感知センサ70eを通ったときに、該流量感知センサ70eからの信号を制御部90に伝達させ、給水中であることを認識させる。認識した制御部90はリモコン操作部95内に配置されているリモコン表示部95aに例えば「タンク内洗浄中」と表示を行うことにより、給湯機所有者は微小泡の発生を確認することが可能となる。したがって、湯張りや給湯時に湯水に微小泡が混入していても違和感を感じることなく、何かの故障モードだと誤認識されることがない。
【0046】
実施の形態4.
前述の実施の形態1から3によれば、給水時に微小泡発生装置70を通過することにより、微小泡発生装置70は自動的に微小泡を生成していたが、給湯機所有者の好ましいタイミングで微小泡を発生させてもよい。その場合の構成について図3を用いて説明する。
【0047】
図3は、本発明の他の実施の形態による貯湯式給湯機120の要部拡大図である。図3において図1、図2と同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。図3において、リモコン操作部95には、微小泡発生装置70の動作を給湯機所有者が設定するための入力手段となる洗浄スイッチ95bが設けられている。また、微小泡発生装置70のエジェクタ70aには、図2の場合のエジェクタ用逆止弁B70cに替えてエジェクタ70aへの空気の流入を開放、遮断する空気用電磁弁70fが取り付けられている。
【0048】
給湯機所有者がリモコン操作部95に配置されている洗浄スイッチ95bを押下することで、制御部90へ信号が伝達され、それにより空気用電磁弁70fが開き、リモコン操作部95内に配置されているリモコン表示部95aへ例えば「タンク内洗浄中」など微小泡が発生中である旨を使用者に伝える表示を行う。
【0049】
空気用電磁弁70f開いたことによって外部の空気がエジェクタ70a内部に取り込まれることで、微小泡が発生し、貯湯タンク20内部に放出される。これによって、貯湯タンク20内部表面のステンレス部分を洗浄することが可能となる。
【0050】
なお、洗浄を停止したい場合すなわち微小泡の発生を停止させたい場合も、給湯機所有者の好ましいタイミングでリモコン操作部95に配置されている洗浄スイッチ95bを再度押下することで、制御部90へ信号が伝達され、空気用電磁弁70fを閉じ、リモコン操作部95内に配置されているリモコン表示部95aから例えば「タンク内洗浄中」の表示を消す。これら一連の動作によって、給湯機所有者の好ましいタイミングで洗浄を開始および停止することが可能となる。
【0051】
また、洗浄スイッチ95bを一定時間押し続けたり、短時間に2度押すなどの操作により、制御部90に対して、微小泡発生装置70による微小泡の発生を禁止したり、連続許可したりする設定を行えるように構成してもよい。また、いずれの場合においても、リモコン表示部95aから例えば「タンク内洗浄中」の表示を行ってもよい。これにより、所有者は、湯張りや給湯時に湯水に微小泡が混入していても違和感を感じることなく、何かの故障モードだと誤認識されることがない。
【0052】
また、リモコン表示部95aでの「タンク内洗浄中」などの表示は、微小泡発生装置70の動作が停止してから一定時間の間、または微小泡発生装置70の動作が停止してから貯湯タンク20内へ流入する水の流量が所定流量を越えるまでの間は表示し続けたり、微小泡発生装置70の動作中と動作後の上述の一定の期間での表示内容を異ならせるようにしてもよい。微小泡は発生を停止してからも貯湯タンク20内に長時間滞留する性質があるので、上述のように、微小泡発生装置70の動作が停止したあとに表示も消してしまうと、所有者が表示を見逃したり忘れてしまった場合においても、湯張りや給湯時に湯水に微小泡が混入していても違和感を感じることなく、何かの故障モードだと誤認識されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯機の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態2および実施の形態3による微小泡発生装置の内部構造および貯湯タンク内部の要部拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態4による微小泡発生装置の内部構造および貯湯タンク内部の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0054】
10 ヒートポンプユニット
20 貯湯タンク
20a ガイド
30 給水管路
30a 第1給水管部
30b 第2給水管部
30c 第3給水管部
30d 第4給水管部
35 沸上げ用送水ポンプ
40 沸上げ用循環管路
70 微小泡発生装置
70a エジェクタ
70b エジェクタ用逆止弁A
70c エジェクタ用逆止弁B
70d ストレーナ
70e 流量感知センサ
70f 空気用電磁弁
80 給湯管路
90 制御部
95 リモコン操作部
95a リモコン表示部
95b 洗浄スイッチ
100 給湯ユニット
120 貯湯式給湯機
150 浴槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源器で沸き上げられた湯を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの下部に接続され、該貯湯タンクに市水を供給する給水配管と、
前記給水配管に設けられ該給水配管内を流れる市水に微小泡を生じさせる微小泡発生装置と、
を備えたことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記貯湯タンク内部に、該貯湯タンク内壁面と所定間隔をあけて略沿わせるように設けたガイド部材と、
を備え、
前記給水配管から供給される市水を、前記貯湯タンク内壁面と前記ガイド部材との間に導入するよう構成することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記微小泡発生装置の動作を制御する制御部と、
前記制御部に前記微小泡発生装置を操作する操作手段を有するリモコンと、
を備え、
前記操作手段により、前記微小泡発生装置の動作を停止可能に構成することを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
前記リモコンに、前記制御部の制御状態を表示する表示部をさらに備え、
前記微小泡発生装置の動作状態を前記リモコンの前記表示部に表示することを特徴とする請求項3に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−293903(P2009−293903A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150666(P2008−150666)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】