説明

貯玉管理システムおよび貯玉管理方法

【課題】貯玉補償に関する第三者管理センタの負担を軽減することができるうえ、遊技店による不正行為を抑止することができる貯玉管理システムおよび貯玉管理方法を課題とする。
【解決手段】T/C100は、T/C100と第三者管理センタ200間がオフライン状態であると判定した場合には、オンライン時用に設定されている貯玉許可数をオフライン時用の貯玉許可数として更新し、この更新された貯玉許可数と各会員が所有する貯玉数(貯玉残高)とにより、貯玉上限値を算出し、この算出された貯玉数を各会員の貯玉上限値として設定し、この貯玉上限値を超えない範囲内で貯玉制限を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技客(会員)によって預け入れられた遊技媒体(パチンコ玉やメダル)数を貯玉データ(貯玉残高)として管理する管理装置と、この管理装置によって管理された貯玉データを統括的に管理する第三者管理センタとを備えた貯玉管理システムおよび貯玉管理方法に関し、特に、第三者管理センタが貯玉補償を行なう際の負担を軽減することができる貯玉管理システムおよび貯玉管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パチンコ玉やメダルなどの遊技媒体を遊技機に投入して遊技を行なうパチンコ機やスロットマシンなどの遊技機が知られている。これら遊技機を設置した遊技店においては、プリペイドカード或いは、会員カードなどの各種記録媒体が使用されることが多い。
【0003】
かかる遊技店では、会員カードを所定の会員登録を行なった遊技客に対して発行し、この会員カードの識別番号(例えば、会員IDなど)に関連付けて、例えば、パチンコ機での遊技を終了した際に獲得したパチンコ玉の数量情報(貯玉データ)を登録するシステム、いわゆる貯玉管理システムが構築されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような貯玉管理システムでは、ターミナルコントローラと称される会員管理装置(以下、「T/C」と言う)で各会員が所有する会員カードに対応付けて記憶した貯玉データ(貯玉残高)を管理するとともに、かかるT/Cから公正な第三者が管理する第三者管理センタに貯玉データを送信し、第三者管理センタでは、遊技店のT/Cから送信された貯玉データを統括的に管理する構成としている。
【0005】
また、第三者管理センタは、遊技店のT/Cから送信される貯玉データを統括的に管理する責務があるため、仮に遊技店が倒産した場合などでは、この遊技店に代わって、各会員が所有する貯玉数(貯玉残高)を有価価値として補償することとなる。
【0006】
そして、このような貯玉管理システムによれば、会員は貯玉として預け入れた貯玉数の範囲内で、再プレイ玉貸機を使用した再プレイなどにより再遊技を行なったり、景品交換により煙草などの景品や特殊景品を購入することができる。
【0007】
【特許文献1】特開平11−276698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来の貯玉管理システムの場合には、以下に示すような遊技店の不正行為に起因する問題がある。すなわち、上述したように、遊技客(会員)が遊技店に預け入れた貯玉数(貯玉データ)は、この遊技店に設けたT/Cで管理されるとともに貯玉データは、T/Cと通信回線により通信接続された第三者管理センタにより統括的に管理されている。
【0009】
また、会員個々が1日に貯玉できる貯玉数の上限は、T/Cにより貯玉上限値として設定されているため、会員は、貯玉を行なう場合、この設定されている貯玉上限値まで貯玉を行なうことができる。
【0010】
このため、例えば、遊技店による意図的な不正行為(通信回線の断線など)により、T/Cと第三者管理センタ間の通信がオフライン状態となった場合にも会員が預け入れる貯玉は、通常時(オンライン時)と同様の貯玉上限値までの貯玉が可能となってしまう。このため、特に、T/Cと第三者管理センタ間のオフライン状態が長期間継続すると、第三者管理センタが貯玉補償を行なう際の負担が増大するという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、上述した従来技術による課題(問題点)を解消するためになされたものであり、T/Cと第三者管理センタ間の通信がオフライン状態となった場合に、オフライン時用の貯玉上限値に基づいた貯玉制限を行なうことにより、第三者管理センタが貯玉補償を行なう際の負担を軽減することができる貯玉管理システムおよび貯玉管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、遊技客によって預け入れられた遊技媒体数を貯玉データとして管理する管理装置と、当該管理装置によって管理された貯玉データを統括的に管理する第三者管理センタとを備えた貯玉管理システムであって、前記管理装置は、前記遊技客の識別番号に対応付けて貯玉データを記憶する貯玉データ記憶手段と、前記遊技客が所有する貯玉数に加算できる貯玉許可数を記憶する貯玉許可数記憶手段と、前記第三者管理センタとの間での通信が可能であるかを判定する通信状況判定手段と、前記通信状況判定手段により第三者管理センタとの間での通信が不可であると判定された場合に、前記貯玉許可数記憶手段に記憶された貯玉許可数を更新する貯玉許可数更新手段と、前記貯玉許可数更新手段により更新された貯玉許可数と前記貯玉データ記憶手段に記憶された遊技客の貯玉データとを加算し、当該遊技客の貯玉上限値として設定するとともに、当該貯玉上限値の範囲内で、前記遊技客の貯玉数の制限を行なう貯玉制限手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記管理装置は、前記通信状況判定手段が判定した前記管理装置と第三者管理センタとの通信不可状況を貯玉データの未送信履歴情報として記憶する未送信履歴記憶手段をさらに備え、前記貯玉許可数更新手段は、前記未送信履歴記憶手段に記憶された未送信履歴情報に応じて、前記貯玉許可数記憶手段に記憶された貯玉許可数を段階的に徐々に減算する更新を行なうことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記管理装置は、前記管理装置を設けた遊技店のカード管理装置からカード管理センタにカードデータが送信されたことを判定するカードデータ判定手段と、前記カードデータ判定手段の判定により、前記カード管理装置から前記カード管理センタにカードデータが送信されたことが判定された場合に、前記貯玉制限手段による貯玉制限を解除する貯玉制限解除手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、遊技客によって預け入れられた遊技媒体数を貯玉データとして管理装置で管理し、当該管理装置によって管理された貯玉データを第三者管理センタで統括的に管理する貯玉管理システムであって、前記遊技客の識別番号に対応付けて貯玉データを記憶する貯玉データ記憶工程と、前記遊技客が所有する貯玉数に加算できる貯玉許可数を記憶する貯玉許可数記憶工程と、前記第三者管理センタとの間での通信が可能であるかを判定する通信状況判定工程と、前記通信状況判定手段により第三者管理センタとの間での通信が不可であると判定された場合に、前記貯玉許可数記憶工程に記憶された貯玉許可数を更新する貯玉許可数更新工程と、前記貯玉許可数更新工程により更新された貯玉許可数と前記貯玉データ記憶工程により記憶された遊技客の貯玉データとを加算し、当該遊技客の貯玉上限値として設定するとともに、当該貯玉上限値の範囲内で前記遊技客の貯玉数の制限を行なう貯玉制限工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、会員の貯玉を管理する管理装置と第三者管理センタ間の通信接続が途絶され貯玉データの送信が不可(オフライン状態)となったと判定された場合に、オンライン時用の貯玉許可数をオフライン時用の貯玉許可数として更新するとともに、この新たに設定した貯玉許可数と各会員が所有する貯玉数とに基づいて、貯玉上限値を算出し、この算出された貯玉数を各会員の貯玉上限値として設定し、この貯玉上限値を超えない範囲内で貯玉制限を自動的に運用する構成としたので、遊技店による意図的な不正行為によりオフライン状態で貯玉が行なわれたとしても、貯玉上限値は、通常時(オンライン状態)の設定値よりも、低い設定値(貯玉上限値)に更新されているため、第三者管理センタが貯玉補償を行なう際の負担を軽減することができる。また、この貯玉制限時の貯玉上限値は、各会員が所有している貯玉数(貯玉残高)の変動に応じた貯玉上限値として設定されるため、会員による貯玉時の利便性を損なうことのない貯玉管理を行なうことができる。
【0017】
また、本発明によれば、管理装置から第三者管理センタに対する貯玉データの未送信履歴情報(通信途絶回数/通信途絶期間)に応じて、貯玉上限値を段階的に除々に低い設定値に更新(減算)するとともに、この新たに設定した貯玉上限値に基づく貯玉制限を行なう構成としているので、通信途絶状態(オフライン状態)が長期化する場合でも、第三者管理センタが貯玉補償を行なう際の負担が増大するなどのリスクを回避することができる。
【0018】
また、本発明によれば、管理装置は、遊技店のカード管理装置からカード管理センタにカードデータが送信されたことを判定するカードデータ判定手段と、カードデータ判定手段の判定により、カード管理装置からカード管理センタにカードデータが送信されたことが判定された場合に、貯玉制限手段による貯玉制限を解除する貯玉制限解除手段とをさらに備える構成としているので、管理装置と第三者管理センタ間の通信途絶が遊技店の意図的な通信途絶ではなく、通信機器の故障などであると判定された場合には、貯玉制限解除することができるため、不正行為を行なっていない遊技店に不利益を与えることなく、また、遊技客の貯玉時の利便性を損なうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る貯玉管理システムおよび貯玉管理方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、ここでは、本発明に係る貯玉管理システムの概要および特徴を説明し、その後に、実施例1に係る貯玉管理システムの構成を説明し、次に、貯玉管理システムの各種処理手順を説明し、最後に、他の実施例として種々の変形例(実施例2、実施例3)を説明することとする。
【実施例1】
【0020】
(貯玉管理システムの概要および特徴)
まず最初に、本実施例1に係る貯玉管理システムの概要および特徴について説明する。図1は、本実施例1に係る貯玉管理システムの概要および特徴を説明するための概念図である。同図に示すように、この貯玉管理システムは、遊技客(会員)によって預け入れられた遊技媒体(パチンコ玉やメダル)を貯玉データとして管理する管理装置(以下、ターミナルコントローラ:T/Cと言う)100と、このT/C100によって管理された貯玉データを統括的に管理する第三者管理センタ200とが通信回線(ネットワーク)300を介して相互に通信可能に接続された構成となる。
【0021】
T/C100は、予め会員として登録された遊技客(以下、「会員」と言う)によって遊技店に預け入れられたパチンコ玉やメダルの個数(数量)を貯玉データ(貯玉残高)として管理する管理装置である。具体的に説明すると、このT/C100は、貯玉管理テーブル131(図3)上で各会員(会員A、会員B〜)が所有する会員カードの会員No.(会員ID:00001〜)に対応付けて、これら各会員の貯玉データ(貯玉残高)を管理する。
【0022】
第三者管理センタは、公正な第三者が管理する管理機構であり、遊技店に設置されたT/C100から送信される貯玉データを収集するとともに、この収集した遊技店の貯玉データを統括的に管理する。
【0023】
図1に示すように、T/C100には、島コントローラ20(図6)を介して、景品の管理を行なう景品管理機30と、遊技により獲得したパチンコ玉の個数を計数する玉計数機40と、会員カードを挿入して、貯玉操作を行なう会員カード端末機60とが接続されている。例えば、会員が遊技により獲得したパチンコ玉を玉計数機40で計数した時に、この玉計数機40により計数された計数値は、貯玉データとしてT/C100に送信されるとともに、T/C100に設けた貯玉管理テーブル131(図3)上で会員の所有する会員カードの会員ID(0001〜)に対応付けて記憶される。
【0024】
ここで、本実施例1に係る貯玉管理システムは、T/C100によりT/C100から第三者管理センタ200に対する貯玉データの送信が可能か否かを判定し、通信回線300の断線などにより貯玉データの送信が不可(オフライン状態)であると判定した場合に、このオフライン時には、会員による貯玉上限値を通常時(オンライン状態)の設定値よりも低い値とする更新処理を行なうとともに、この更新された貯玉上限値に基づいて、貯玉制限を行なうことに特徴がある。
【0025】
具体的に説明すると、T/C100は、T/C100と第三者管理センタ200間がオフライン状態であると判定した場合には、オンライン時と同様の貯玉上限値を用いて貯玉管理を行なうのではなく、このオンライン時の貯玉許可数(例えば、3000個)を更新するとともに(例えば、2000個に減算)、この新たに設定した貯玉許可数と各会員が所有する貯玉数(貯玉残高)とにより、貯玉上限値を算出し、この算出された貯玉数を各会員の貯玉上限値として設定する。そして、この設定した貯玉上限値を超えない範囲内で貯玉制限を自動的に運用する構成としている。
【0026】
図1に示す概要図で説明すると、T/C100と第三者管理センタ200間が通信回線300の断線などによりオフライン状態となった場合、貯玉許可数テーブル132上に記憶されている通常時の貯玉許可数(3000個)がオフライン時用の貯玉許可数(2000個)として更新される。以降、この貯玉許可数(2000個)がオフライン時用の貯玉許可数の設定値として使用される。
【0027】
ここで、会員Aが玉計数機40に会員カードを挿入して、計数(貯玉)を行なう場合、T/C100には、会員Aの会員IDと計数値(貯玉データ)を含む「貯玉リクエスト信号」が送信される。
【0028】
一方、T/C100は、玉計数機40から送信された「貯玉リクエスト信号」に基づいて、会員Aの貯玉上限値を算出する。この会員A(会員ID「0001」)の場合、貯玉管理テーブル131により現在の貯玉残高(貯玉データ)が4000個であるので、貯玉上限値は、貯玉残高に貯玉許可数を加算した値である6000個(4000個+2000個=6000個)となり、会員Aの場合には、この貯玉上限値の6000個までの範囲で貯玉が可能となる。この貯玉上限値は、貯玉制限管理テーブル133で作成され、会員の会員ID(「0001」)に対応付けて記憶される。
【0029】
ここで、例えば、この時の玉計数機40による計数値(貯玉データ)が2500個であった場合、貯玉の総数は、貯玉上限値を超えるため(貯玉上限値6000個<4000個+2500個=6500個)、T/C100は、玉計数機40に対して、貯玉制限信号を送信する。
【0030】
玉計数機40は、T/C100から貯玉制限信号が送信された場合には、新たに設定された貯玉上限値を超える貯玉ができない状態となる。すなわち、T/C100から貯玉制限が指示された玉計数機40は、表示部に貯玉制限により新たに設定された貯玉上限値を超える貯玉を不可とする旨のガイダンス(例えば、「本日は、2000個までの貯玉が可能です。」など)を表示する。
【0031】
また、景品管理機30および会員カード端末機60の場合も同様に、T/C100から貯玉制限による貯玉制限信号が送信された場合、会員が景品管理機30(或いは、会員カード端末機60)の挿入口に会員カードを入れて、貯玉操作を行なう時には、景品管理機30(或いは、会員カード端末機60)の表示部(図示せず)には、玉計数機40と同様に、貯玉制限により貯玉上限値を超える貯玉ができない旨のガイダンスを表示する(例えば、「本日、2000個まで貯玉が可能です。」など)。
【0032】
したがって、本実施例1の貯玉管理システムでは、T/C100により、T/C100と第三者管理センタ200間がオフライン状態であると判定した場合には、オンライン時用に設定されている貯玉許可数をオフライン時用の貯玉許可数として更新するとともに、この更新された貯玉許可数と各会員が所有する貯玉数(貯玉残高)とに基づいて、貯玉上限値を算出し、この算出された貯玉数を各会員の貯玉上限値として設定し、この設定した貯玉上限値を超えない範囲内で貯玉制限を自動的に運用する構成としたので、オフライン時には、従来の貯玉上限値よりも低い値に設定された貯玉上限値に基づいて、貯玉制限が行なわれるため、遊技店による通信回線の断線などの不正行為により、T/C100から第三者管理センタ200への貯玉データの送信が不可となった場合でも、第三者管理センタ200が貯玉補償を行なう際の負担を軽減することができる。
【0033】
(T/C100および第三者管理センタ200の構成)
次に、図2を参照して、ターミナルコントローラ(T/C)100および第三者管理センタ200の構成を説明する。図2は、図1に示したT/C100および第三者管理センタ200の構成を示す機能ブロック図である。
【0034】
図2に示すように、T/C100は、遊技客(会員)によって預け入れられた遊技媒体(パチンコ玉やメダル)の数量を貯玉データとして管理する管理装置であり、表示部110と、表示制御部111と、制御部120と、記憶部130と、入力部140と、出力部150と、通信制御IF部160とを有する。
【0035】
表示部110は、CRTや液晶ディスプレイ等の表示デバイスであり、この表示部110には、メニュー画面や貯玉管理テーブル131(図3)などの各種管理データなどを一覧として表示することができる。なお、この表示部110は、タッチパネルとして後述する入力部140の機能をも実現するようにしてもよい。また、表示制御部111は、表示部110による表示を制御する処理部である。
【0036】
制御部120は、OS(OperatingSystem)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有するとともに、T/C100全体の種々の処理を実行する処理部として、各機能部間の各種データの授受を司る機能を備えている。
【0037】
図2に示すように、この制御部120は、本発明に関連する処理部として、通信状況判定部121と、貯玉上限値更新部122と、貯玉制限判定部123と、貯玉制限通知部124とを有する。なお、実際には、かかる通信状況判定部121、貯玉上限値更新部122、貯玉制限判定部123、貯玉制限通知部124に相当するプログラムをCPU上にロードして実行することになる。
【0038】
通信状況判定部121は、T/C100と第三者管理センタ200とを通信接続している通信回線(ネットワーク)300の途絶(オフライン状態)により、T/C100から第三者管理センタ200に対する貯玉データの送信が未送信となったことを判定する処理部である。この通信状況判定部121によりT/C100から第三者管理センタ200に対する貯玉データの送信が不可(未送信)と判定された場合、この未送信履歴情報は未送信回数Cとして未送信回数記憶部134に記憶される。
【0039】
ここで、遊技店のT/C100から第三者管理センタ200に対して貯玉データを送信するタイミングには、リアルタイムで順次送信するケース、一定時間ごと(例えば1時間ごと)に送信するケース、遊技店の閉店後(例えば、23時)に、その日の貯玉データをまとめて送信するケースとがある。なお、この場合の第三者管理センタ200に送信される貯玉データは、記憶部130の貯玉管理テーブル131(図3)に記憶されている貯玉データが送信される。
【0040】
貯玉上限値更新部122は、通信状況判定部121により、T/C100から第三者管理センタ200に対する貯玉データの送信が不可と判定された場合に、オンライン時用として設定されている貯玉上限値をオフライン時用の貯玉上限値として更新する処理部である。
【0041】
具体的に説明すると、この貯玉上限値更新部122は、貯玉許可数テーブル132(図4)により設定されているオンライン時の貯玉許可数(例えば、3000個)を、オフライン用の貯玉許可数(例えば、2000個に減算)として更新するとともに、この更新された貯玉許可数と貯玉管理テーブル131(図3)に記憶されている各会員が所有する貯玉数(貯玉残高)とを参照することで、貯玉上限値を算出し、この算出された貯玉数を各会員の貯玉上限値として設定する。
【0042】
貯玉制限判定部123は、会員が所有している貯玉データ(貯玉残高)と会員が希望する貯玉数(例えば、玉計数機40により計数された貯玉データ)とから算出される貯玉総数と、当該会員の貯玉上限値とを比較し、貯玉制限を行なうか否かを判定する処理部である。
【0043】
具体的に説明すると、貯玉制限判定部123は、T/C100に「貯玉リクエスト信号」が送信された場合に(玉計数機40により計数された貯玉データ)、この送信された貯玉データと会員IDとから貯玉管理テーブル131を参照することで、会員が所有している貯玉データ(貯玉残高)を取得するとともに、この貯玉データとを加算することで、貯玉総数を算出し、この貯玉総数と貯玉上限値とを比較し、貯玉総数が貯玉上限値よりも大である場合は、貯玉制限を行なう判定をする。
【0044】
貯玉制限通知部124は、貯玉制限判定部123により貯玉制限が判定された場合に、玉計数機40や会員カード端末機60に対して、貯玉制限を指示するための貯玉制限信号を送信する処理部である。
【0045】
記憶部130は、制御部120による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する格納手段(記憶手段)であり、ハードディスク等の二次記憶媒体で構成されている。図2に示すように、この記憶部130には、貯玉管理テーブル131と、貯玉許可数テーブル132と、貯玉制限管理テーブル133と、未送信回数記憶部134とを少なくとも有する。
【0046】
(貯玉管理テーブル131の構成)
図3は、貯玉管理テーブル131の一例を示している。同図に示すように、貯玉管理テーブル131は、各会員の貯玉データを含む会員情報を管理するテーブルである。すなわち、同図に示すように、貯玉管理テーブル131は、遊技客を会員として特定する会員名(会員A、会員B、会員C〜)および会員IDに対応付けて、この会員が所有する貯玉データ(貯玉残数)を記憶している。
【0047】
具体的に説明すると、図3に示す貯玉管理テーブル131において、会員Aは、会員ID「0001」に対応付けて、この会員Aが所有する貯玉データ(4000個)を、会員Bは、会員ID「0002」に対応付けて、この会員Bが所有する貯玉データ(3000個)をそれぞれ対応付けて記憶している。
【0048】
なお、この貯玉管理テーブル131に記憶されている貯玉データは、会員(会員A、会員B、会員C〜)が玉計数機40により計数(貯玉操作)を行なう都度、更新(加算)された貯玉データが記憶される。また、景品管理機30や会員カード端末機60により会員が貯玉操作を行なう都度、この会員の会員IDに対応付けて記憶された貯玉データが更新(加算)され、更新された貯玉データが記憶される。
【0049】
また、この貯玉管理テーブル131に記憶されている各会員の貯玉データは、表示部110(図2)を利用して一覧として、表示することができ、この一覧表示により、各会員の貯玉データ(貯玉残数)を目視により把握することができる。
【0050】
(貯玉許可数テーブル132の構成)
図4は、貯玉許可数テーブル132の一例を示している。同図に示すように、貯玉許可数テーブル132は、T/C100と第三者管理センタ200間の通信が途絶していない通常時(オンライン時)に貯玉許可できる貯玉データと、T/C100と第三者管理センタ200間の通信が途絶した時(オフライン時)に貯玉許可できる貯玉データとが設定され記憶されているテーブルである。
【0051】
図4に示す貯玉許可数テーブル132では、通常時(オンライン時)は3000個、オフライン時は、2000個に設定された貯玉許可数が記憶されている。このように、通常時(オンライン時)の貯玉許可数よりもT/C100と第三者管理センタ200間の通信接続が途絶した時(オフライン時)の貯玉許可数を低くすることで、第三者管理センタが貯玉補償を行なう際の負担を軽減することができるようにしている。
【0052】
(貯玉制限管理テーブル133の構成)
図5は、貯玉制限管理テーブル133の一例を示している。同図に示すように、貯玉制限管理テーブル133は、会員からの貯玉操作(例えば玉計数機40による計数)により貯玉の要求(貯玉リクエスト)がある場合に、この会員の会員IDに対応付けて記憶された貯玉データ(貯玉残高)とオフライン時用として設定された貯玉許可数とが記憶されるとともに、これら貯玉残高と貯玉許可数とから算出された貯玉上限値が記憶されるテーブルである。
【0053】
具体的に説明すると、図5に示す貯玉制限管理テーブル133では、会員IDが「0001」の会員に対応付けて、この会員が所有する貯玉残高(4000個)と、オフライン時用の貯玉制限により更新された貯玉許可数(2000個)と会員の貯玉残高(4000個)とにより算出された貯玉上限値である6000個(4000個+2000個=6000個)がそれぞれ記憶されている。すなわち、この会員(会員ID「0001」)の場合、T/C100と第三者管理センタ200間がオフライン状態と判定された場合、貯玉上限値の6000個までの範囲で貯玉が可能となる。
【0054】
未送信回数記憶部134は、通信状況判定部121によりT/C100から第三者管理センタ200に対する貯玉データの送信が不可(未送信)と判定された場合に、この未送信履歴情報を未送信回数C(1日、2日連続、3日以上連続)として記憶する記憶部である。
【0055】
未送信回数記憶部134は、予め設定された第三者管理センタ200に対する貯玉データの送信開始時刻(例えば23時)に遊技店のT/C100から第三者管理センタ200に貯玉データが送信できない場合に、その都度、この未送信回数Cは更新(累積)されて記憶される。
【0056】
ここで、本実施例1では、未送信履歴情報を貯玉データの未送信回数としているが、貯玉データが未送信となっている期間(例えば、9月○日〜9月×日)を記憶するようにしてもよい。
【0057】
図2に戻り、入力部140は、各種の情報を入力するキーボード、マウス及びトラックボールなどの入力デバイスであり、主として遊技店の管理者により使用され、この入力部140を用いた入力により、各種の設定値などを適時変更することができる。
【0058】
出力部150は、プリンタなどの印刷装置であり、この出力部150により表示部110に表示されるメニュー画面や各種の管理データや収集したデータ(例えば、貯玉管理テーブル131)の内容を一覧として印刷することができる。
【0059】
通信制御IF部160は、第三者管理センタ200と通信回線300との間での各種データ通信の制御を行なうためのインターフェース部であり、この通信制御IF部160により、第三者管理センタ200に対して、貯玉データを送信することができる。
【0060】
第三者管理センタ200は、遊技店に備えたT/C100によって管理される貯玉データを統括的に管理する装置を備えた機関である。このため、同図に示すように、第三者管理センタ200は、第三者管理センタ200の全体制御を行なう処理部として機能する制御部210と、遊技店のT/C100から送信される貯玉データを記憶する記憶部220と、T/C100と通信回線300との間で各種通信の制御を行なう通信制御IF部230とを有する。
【0061】
(貯玉管理システムの構成)
次に、本実施例1に係る貯玉管理システムが適用される遊技店の構成を詳細に説明する。図6は、本発明の実施例1における遊技店(ホール)の内部を示す構成図である。同図に示すように、本実施例1の貯玉管理システムにおいて、遊技店の内部には、それぞれ「島」と呼ばれるグループごとに複数のパチンコ機21およびカード処理機22が並設してあるとともに、各島内の管理を行なう島コントローラ20と、この島コントローラ20から各種のデータが送信されるT/C100とにより構成されている。
【0062】
前述したように、本実施例1において、T/C100は、会員によって遊技店に預け入れられたパチンコ玉やメダルの個数(数量)を貯玉データ(貯玉残高)として管理する機能を備えている。
【0063】
また、上述のように構成される遊技店内の所定の位置には、貯玉管理システムを構成する貯玉データに対する更新処理を実行する装置として複数の端末機が適宜設けられている。図6では、このような端末機として、景品管理機30と、景品払出機31と、玉計数機40と、再プレイ玉貸機50と、会員カード端末機60とが設置されている状態を示している。
【0064】
上述したパチンコ機21、カード処理機22および各端末機(景品管理機30、カード発行機32、カード精算機33、玉計数機40、再プレイ玉貸機50、会員カード端末機60・・)は、各島に設けた島コントローラ20を通じてT/C100の制御下にある。
【0065】
パチンコ機21は、パチンコ玉を遊技領域に発射して遊技客が遊技を行なう装置である。カード処理機22は、遊技店に設置された複数のパチンコ機21の相互間に挟まれる形で設置してあり、会員カードや一般カード(プリペイドカード)に関連付けられた度数を上限とするパチンコ玉の貸し出し処理、並びに会員カードおよび一般カードに関連付けられた各度数に対する加算処理を行なう機能を備えている。
【0066】
カード発行機32は、遊技客により投入された有価価値(金額)に応じて、その金額分の一般カード(プリペイドカード)の発行処理、並びに会員カードおよび一般カードに関連付けられたそれぞれの度数に対する加算処理を行なう機能を備えている。カード精算機33は、遊技客(会員)が挿入した一般カード(プリペイドカード)や会員カードに価値付けられた有価価値の残金を精算する機能を備えている。
【0067】
景品管理機30は、大型の液晶表示部、テンキー入力部などを有する景品管理業務を行なう端末装置であり、遊技客(会員)が獲得した玉数(メダル数)の交換対象とする景品の種類を景品種別データとして収集することにより会員に提供する景品の種類や景品の仕入れ数量(在庫管理)の管理を行なう機能を備えている。
【0068】
また、この景品管理機30は、会員カードの読み取りと暗証番号の入力、玉数の入力(計数レシートの読み取りや玉数の手入力)を受け付けて預入処理を行なうと、入力された玉数が貯玉データとして預け入れられ、この時に、T/C100の貯玉データが貯玉管理テーブル131(図3)上で更新(加算)される。
【0069】
景品払出機31は、遊技客が景品交換を行なう場合に、実際に景品を払い出す装置である。この場合、T/C100の貯玉データが更新(減算)されるとともに、この減算された玉数に対応する価値の景品交換が行われる。
【0070】
玉計数機40は、遊技客(会員)が獲得した玉数の計数を行ない、玉数を印字したレシートや玉数を記憶した玉数カードを発行する機能を備えている。前述したように、この玉計数機40は、遊技客(会員)或いは係員が投入した獲得玉を計数した際に、会員カードを読み取って貯玉とする預入処理を行なうと、計数値分の玉が貯玉データとして預け入れられ、この時、T/C100の貯玉管理テーブル131(図3)上で貯玉データの更新(加算)が行なわれる。
【0071】
また、この玉計数機40は、前述したように、T/C100から貯玉制限信号が送信された場合には、表示部に貯玉制限により新たに設定された貯玉上限値を超える貯玉を不可とする旨のガイダンス(例えば、「本日は、2000個までの貯玉が可能です。」など)を表示し、この貯玉上限値を超える貯玉ができない状態となる。
【0072】
再プレイ玉貸機50は、会員が所有する貯玉に基づいて、パチンコ玉(メダル)の貸し出しを行なう機能を備えている。再プレイ玉貸機50では、会員カードの読み取りと暗証番号の入力を受け付けて再プレイ処理を行なうと、T/C100の貯玉データが更新(加算)されるとともに、対応する個数のパチンコ玉が払い出される。
【0073】
会員カード端末機60は、会員カードの挿入とともに、会員による暗証番号の入力、貯玉として希望する玉数の入力を受け付けて預入処理が行なわれた場合に、入力された玉数を貯玉データとして預け入れる機能を有している。また、この会員カード端末機60を利用した引き落としによる景品交換を行なう機能を備えている。
【0074】
(貯玉管理システムによる各種処理手順)
次に、本実施例1に係る貯玉管理システムの各種処理手順を説明する。図7〜図8は、本実施例1に係る貯玉管理システムの貯玉管理手順を示すフローチャートである。このうち、図7は、T/C100によるT/C100と第三者管理センタ200間の通信接続が途絶した時(オフライン時)の処理手順を示している。
【0075】
すなわち、図7のフローチャートに示すように、先ず、T/C100は、T/C100から第三者管理センタ200に対して、貯玉データの送信が可能であるか否かの判定を行なう(ステップS110)。具体的には、T/C100から所定の時間(例えば、23時)に、このT/C100から第三者管理センタ200に対して、貯玉データが送信できない場合に、T/C100と第三者管理センタ200間の通信接続が途絶状態(オフライン状態)であると判定する。
【0076】
そして、このステップS110による判定により、貯玉データが送信可であると判定された場合には(ステップS110肯定)、T/C100から第三者管理センタ200に貯玉データを送信して(ステップS120)、処理を終了する。この場合、貯玉管理テーブル131(図3)に記憶されている貯玉データが第三者管理センタ200に送信される。
【0077】
一方、ステップS110による判定により、貯玉データが送信不可(オフライン状態)であると判定された場合には(ステップS110否定)、貯玉許可数テーブル132(図4)をオフライン時に設定して、処理を終了する(ステップS130)。すなわち、このT/C100による貯玉許可数の更新処理により、貯玉許可数テーブル132の貯玉許可数は、通常時(オンライン時)の3000個からオフライン時の2000個に更新されることとなる。
【0078】
(T/C100と玉計数機40間での処理手順)
次に、図8を参照して、T/C100と玉計数機40とで行なう貯玉管理処理手順を説明する。なお、この図8に示すフローチャートでは、一例として、会員が玉計数機40により獲得したパチンコ玉の計数(貯玉)を行なう場合を説明する。
【0079】
すなわち、図8のフローチャートに示すように、先ず、玉計数機40は、会員による玉の計数があるか否かを判定し(ステップS201)、計数が開始されたと判定された場合には(ステップS201肯定)、玉計数機40に挿入された会員カードの会員IDを読み取り(ステップS202)、次いで、計数された計数値を取得する(ステップS203)。
【0080】
この場合の計数値は、会員Aが貯玉として預け入れる貯玉数(貯玉データ)となる。次いで、玉計数機40は、貯玉の要求(貯玉リクエスト)として、会員IDと貯玉データとをT/C100に送信する(ステップS204)。以下の説明では、会員カードの会員IDを「0001」として、玉計数機40により計数された計数値(貯玉データ)を2500個として説明する。
【0081】
一方、T/C100は、玉計数機40からの貯玉要求(貯玉リクエスト)があるか否かの判定を行ない(ステップS205)、貯玉リクエストがあると判定された場合には(ステップS205肯定)、貯玉リクエストにより玉計数機40から送信された会員カードの会員IDをもとに、貯玉管理テーブル131(図3)から該当する貯玉残高を読み出す(ステップS206)。本例の場合、会員IDは、「0001」であるため、この会員ID(0001)に対応する貯玉残高は4000個となる。
【0082】
次に、貯玉許可数テーブル132(図4)に設定されている貯玉許可数の読み出しを行なう(ステップS207)。本例の場合は、オフライン時用として貯玉許可数テーブル132上で更新されている貯玉許可数(2000個)が読み出される。次いで、ステップS206により読み出された貯玉残高と、ステップS207により読み出された貯玉許可数とにより貯玉制限管理テーブル133を作成する(ステップS208)。次いで、貯玉制限管理テーブル133(図5)から貯玉上限値を算出する(ステップS209)。
【0083】
本例の場合、会員ID(0001)の会員が所有する貯玉残高は、4000個であるため、貯玉上限値は、この貯玉残高(4000個)に貯玉許可数の2000個を加算した数値(4000個+2000個=6000個)となり、この貯玉上限値(6000個)の範囲内で貯玉制限の指示が行なわれることとなる。
【0084】
ここで、本例の場合、玉計数機40により計数した玉数は、2500個であるので、貯玉総数は6500個となる(4000個+2500個=6500個)。これにより、本例の場合、貯玉総数が貯玉上限値を超えているため(貯玉総数6500個>貯玉上限値6000個)、T/C100から玉計数機40に対して、「貯玉制限信号」が送信される(ステップS210)。
【0085】
一方、玉計数機40は、T/C100から送信された「貯玉制限信号」を受信すると(ステップS211肯定)、この「貯玉制限信号」に基づく、貯玉制限に従って制御を行なう(ステップS212)。具体的に説明すると、玉計数機40の表示部には、T/C100の貯玉制限により新たに設定された貯玉上限値を超える貯玉を不可とする旨のガイダンス(例えば、「本日は、2000個までの貯玉が可能です。」など)が表示され、2000個を超える貯玉を不可とする貯玉制限が行なわれることとなる。
【0086】
上述してきたように、本実施例1に係る貯玉管理システムによれば、T/C100は、T/C100と第三者管理センタ200間の通信がオフライン状態であると判定した場合には、オンライン時の貯玉許可数をオフライン時の貯玉許可数として更新し、このオフライン時用の貯玉許可数と各会員が所有する貯玉数(貯玉残高)とにより、貯玉上限値を算出し、この算出された貯玉数を各会員の貯玉上限値として設定し、この貯玉上限値を超えない範囲内で貯玉制限を行なう構成としたので、T/C100から第三者管理センタ200に貯玉データを送信できないオフライン時には、会員が1日に貯玉できる貯玉上限値は、通常時(オンライン時)の貯玉上限値よりも低い値に設定されているため、遊技店による不正行為(通信回線300の断線など)により、T/C100から第三者管理センタ200への貯玉データの送信が不可となった場合でも、第三者管理センタ200が貯玉補償を行なう際の負担を軽減することができる。
【実施例2】
【0087】
次に、本発明の貯玉管理システムに係る実施例2について説明する。すなわち、本実施例2では、オフライン期間(オフライン回数)の長期化にともなって、第三者管理センタ200が負担する貯玉補償のリスクが増えることに着目し、T/C100と第三者管理センタ200との通信途絶回数/期間に応じて、貯玉上限値を段階的に除々に低い値とする貯玉制限を行なうことに特徴がある。
【0088】
具体的には、T/C100から第三者管理センタ200に対する貯玉データの未送信回数(通信の途絶回数)に応じて、貯玉上限値を段階的に除々に低い設定値に更新(減算)する構成としている。
【0089】
このため、本実施例2の場合、オフライン回数に対応する貯玉許可数を設定する貯玉許可数テーブル132aを新たに設ける構成としている。図9は、貯玉許可数テーブル132aの一例を示している。同図に示すように、貯玉許可数テーブル132aは、T/C100と第三者管理センタ200間の通信が途絶した回数(未送信回数:C)に対応付けて、新たに設定した貯玉許可数が記憶されているテーブルである。
【0090】
図9の貯玉許可数テーブル132aに示すように、T/C100から第三者管理センタ200に対する貯玉データの未送信回数Cが0回(通常時)の時、貯玉許可数は「3000個」として設定されている。また、未送信回数Cが1回(オフライン状態が1回)の時、貯玉許可数は「2000個」に、未送信回数Cが2回(オフライン状態が2日連続)の時、貯玉許可数は「1500個」に、未送信回数Cが3回以上継続(オフライン状態が3日以上継続)した時、貯玉許可数は「1000個」にそれぞれ設定されている。
【0091】
以下、図10のフローチャートを参照して、本実施例2に係る貯玉管理処理手順の詳細を説明する。図10のフローチャートは、本実施例2に係るT/C100によるT/C100と第三者管理センタ200間の通信接続が途絶した時(オフライン時)の処理手順を示している。
【0092】
すなわち、図10のフローチャートに示すように、先ず、T/C100は、T/C100から第三者管理センタ200に対して、貯玉データの送信が可能であるか否かの判定を行なう(ステップS110)。具体的には、T/C100と第三者管理センタ200との間の通信が途絶状態(オフライン状態)ではなくオンライン状態であるか否かを判定する。そして、この判定により、貯玉データが送信可であると判定された場合には(ステップS110肯定)、T/C100から第三者管理センタ200に貯玉データを送信して処理を終了する。
【0093】
一方、ステップS110の判定により、貯玉データの送信が不可であると判定された場合には(ステップS110否定)、この時の貯玉データの未送信回数(C)を未送信回数記憶部134(図2)に記憶する(ステップS121)。
【0094】
そして、第三者管理センタ200に対する貯玉データの未送信回数(C)が1回であると判定された場合には(ステップS122肯定)、貯玉許可数を貯玉許可数テーブル132aの未送信回数1回に対応する貯玉許可数(通常時の貯玉許可数の2000個)に設定する(ステップS123)。
【0095】
一方、未送信回数(C)が1回でないと判定された場合には(ステップS122否定)、次に、未送信回数(C)が2回となったかの判定を行なう(ステップS124)。そして、未送信回数(C)が2回となったと判定された場合には(ステップS124肯定)、貯玉許可数を貯玉許可数テーブル132aの未送信回数2回に対応する貯玉許可数(1500個)に設定する(ステップS125)。
【0096】
また、貯玉データの未送信回数(C)が2回でないと判定された場合には(ステップS124否定)、次に、未送信回数(C)が3回以上となったかの判定を行なう(ステップS126)。そして、未送信回数(C)が3回以上となったと判定された場合には(ステップS126肯定)、貯玉許可数を貯玉許可数テーブル132aの未送信回数3回以上に対応する貯玉許可数(1000個)に設定する(ステップS127)。
【0097】
以上説明したように、本実施例2によれば、T/C100から第三者管理センタ200に対する貯玉データの未送信回数(通信途絶回数の累積回数/通信途絶期間)に応じて、貯玉上限値を段階的に除々に低い設定値に更新(減算)するとともに、この新たに設定した貯玉上限値に基づく貯玉制限を行なう構成としているので、T/C100と第三者管理センタ200間のオフライン状態が長期化する場合でも、長期化に応じて、貯玉上限値は段階的に除々に低い値に更新する貯玉制限を行なうため、第三者管理センタが負担する貯玉補償に関するリスクが増大することを回避することができる。
【実施例3】
【0098】
次に、本発明の貯玉管理システムに係る実施例3について説明する。図11は、本実施例3に係る貯玉管理システムの概要および特徴を説明するための構成図である。ここで、図11の構成図では、遊技店のカード処理機22から送信されるカードデータを管理するカードT/C101と、このカードT/C101と通信回線500により通信接続されるカード管理会社400とで構成されるカードシステムを含む貯玉管理システムを示している。
【0099】
すなわち、上述した実施例1、2では、T/C100が、T/C100から第三者管理センタ200に対する貯玉データの送信が不可(T/C100と第三者管理センタ200間がオフライン状態)であると判定した場合に、オフライン時用に貯玉上限値を更新し、この貯玉上限値の範囲で貯玉制限を行なうこととしているが、このような通信回線の断線は、遊技店側の意図的なものではなく、ネットワーク不良などによる通信障害や通信機器の不良に起因する場合もある。
【0100】
このため、単に第三者管理センタ200に対する貯玉データの送信不可や送信不可回数を判定条件として、貯玉制限を行なった場合には、実際に不正行為を行なっていない遊技店が貯玉制限による制裁により不利益を被る恐れがある。また、会員にとっても、貯玉制限が行なわれると、このオフライン時の貯玉上限値は、通常時(オンライン時)の貯玉上限値よりも低い値となり、貯玉できる貯玉数が少なくなるため、利便性を損なうこととなる。
【0101】
このため、本実施例3では、遊技店に設けているカードデータを管理するカードT/C101からカード管理会社400にカードデータが送信されている場合には、遊技店(T/C100)と第三者管理センタとの通信の途絶が意図的なものではないと判定し、この場合には、貯玉制限を解除する構成としたことに特徴がある。
【0102】
以下、図11を参照して、本実施例3の特徴について説明する。すなわち、図11に示すように、遊技店には、貯玉データを管理するT/C100とは別に、カードT/C101を設けており、このカードT/C101は、遊技店に設置してある複数のカード処理機22から送信されるカードデータ(カードID別の残度数)を収集することで、遊技客のカードデータ(カード残度数)により売上を管理している。
【0103】
また、このようにカードT/C101で管理しているカードデータは、定期的に通信回線500を通じて、このカードT/C101からカード管理会社400に送信する構成となっている。このことから、仮にT/C100と第三者管理センタ200間の通信回線300を断線させて、貯玉データに関する不正を行なう遊技店は、この貯玉データの不正以外にも、カードデータに関する不正を行なうものと推測される。
【0104】
このため、本実施例3においては、貯玉データの管理を行なうT/C100とカードデータの管理を行なうカードT/C101とを通信接続し、T/C100の制御部210によりカード管理会社400にカードT/C101からカードデータが送信されているか否かを判定する。そして、カードT/C101からカード管理会社400にカードデータが送信されたことが判定された場合に、T/C100に対して、貯玉制限を解除する構成としている。
【0105】
すなわち、本実施例3では、T/C100により、遊技店のカードT/C101からカード管理会社400に対して、カードデータが送信されているかの確認を行ない、正常にカード管理会社400に遊技店のカードT/C101からカードデータが送信されていることを条件として、この場合には、貯玉データを管理するT/C100と第三者管理センタ200間の通信途絶が遊技店側の不正行為によるものでないと判断し、貯玉制限を解除する構成としている。
【0106】
以上説明したように、本実施例3によれば、T/C100は、カードデータの管理を行なうカードT/C101と通信接続されるとともに、T/C100により遊技店のカードT/C101からカード管理会社400にカードデータが送信されたことを判定し、この判定により、カードT/C101からカード管理会社400にカードデータが送信されたことが判定された場合に、貯玉制限を解除する構成としているので、T/C100と第三者管理センタ200間の通信途絶が悪意のある遊技店の意図的な通信途絶ではなく、通信機器の故障などであると判定された場合には、貯玉制限を解除するので、不正行為を行なっていない遊技店に貯玉制限による不利益を与えることなく、また、遊技客の利便性を損なうことを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上説明したように、本発明に係る貯玉管理システムは、遊技客(会員)によって預け入れられた遊技媒体(パチンコ玉やメダル)数を貯玉データとして管理する管理装置と、管理装置によって管理された貯玉データを統括管理する第三者管理センタとを備えた貯玉管理システムおよび貯玉管理方法に有用であり、特に、遊技店による通信回線の断線などの不正行為が行なわれた場合でも、第三者管理センタが貯玉補償を行なう際の負担を軽減することができる貯玉管理システムおよび貯玉管理方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明に係る貯玉管理システムの概要および特徴を説明するための概念図である。
【図2】本実施例1に係る貯玉管理システムの構成を示すシステム構成図である。
【図3】貯玉管理テーブルに記憶される情報の一例を示す図である。
【図4】貯玉許可数テーブルに記憶される情報の一例を示す図である。
【図5】貯玉制限管理テーブルに記憶される情報の一例を示す図である。
【図6】本実施例1に係る貯玉管理システムが適用される遊技店の内部を示す概略構成図である。
【図7】本実施例1に係る管理装置における貯玉管理処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本実施例1に係る玉計数機と管理装置間の貯玉管理処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本実施例2に係る貯玉許可数テーブルに記憶される情報の一例を示す図である。
【図10】本実施例2に係る管理装置における貯玉管理処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本実施例3に係る貯玉管理システムの概略を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0109】
10 遊技店
20 島コントローラ
21 パチンコ機
22 カード処理機
30 景品管理機
31 景品払出機
32 カード発行機
33 カード精算機
40 玉計数機
50 再プレイ玉貸機
60 会員カード端末機
100 ターミナルコントローラ(T/C)
110 表示部
111 表示制御部
120、210 制御部
121 通信状況判定部
122 貯玉上限値更新部
123 貯玉制限判定部
124 貯玉制限通知部
130、220 記憶部
131 貯玉管理テーブル
132 貯玉許可数テーブル
133 貯玉制限管理テーブル
134 未送信回数記憶部
140 入力部
150 出力部
160 通信制御IF部
200 第三者管理センタ
212 貯玉制限解除部
300、500 通信回線
400 カード管理会社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技客によって預け入れられた遊技媒体数を貯玉データとして管理する管理装置と、当該管理装置によって管理された貯玉データを統括的に管理する第三者管理センタとを備えた貯玉管理システムであって、
前記管理装置は、
前記遊技客の識別番号に対応付けて貯玉データを記憶する貯玉データ記憶手段と、
前記遊技客が所有する貯玉数に加算できる貯玉許可数を記憶する貯玉許可数記憶手段と、
前記第三者管理センタとの間での通信が可能であるかを判定する通信状況判定手段と、
前記通信状況判定手段により第三者管理センタとの間での通信が不可であると判定された場合に、前記貯玉許可数記憶手段に記憶された貯玉許可数を更新する貯玉許可数更新手段と、
前記貯玉許可数更新手段により更新された貯玉許可数と前記貯玉データ記憶手段に記憶された遊技客の貯玉データとを加算し、当該遊技客の貯玉上限値として設定するとともに、当該貯玉上限値の範囲内で、前記遊技客の貯玉数の制限を行なう貯玉制限手段と
を備えることを特徴とする貯玉管理システム。
【請求項2】
前記管理装置は、
前記通信状況判定手段が判定した前記管理装置と第三者管理センタとの通信不可状況を貯玉データの未送信履歴情報として記憶する未送信履歴記憶手段をさらに備え、
前記貯玉許可数更新手段は、
前記未送信履歴記憶手段に記憶された未送信履歴情報に応じて、前記貯玉許可数記憶手段に記憶された貯玉許可数を段階的に徐々に減算する更新を行なうことを特徴とする請求項1に記載の貯玉管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、
前記管理装置を設けた遊技店のカード管理装置からカード管理センタにカードデータが送信されたことを判定するカードデータ判定手段と、
前記カードデータ判定手段の判定により、前記カード管理装置から前記カード管理センタにカードデータが送信されたことが判定された場合に、前記貯玉制限手段による貯玉制限を解除する貯玉制限解除手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の貯玉管理システム。
【請求項4】
遊技客によって預け入れられた遊技媒体数を貯玉データとして管理装置で管理し、当該管理装置によって管理された貯玉データを第三者管理センタで統括的に管理する貯玉管理システムであって、
前記遊技客の識別番号に対応付けて貯玉データを記憶する貯玉データ記憶工程と、
前記遊技客が所有する貯玉数に加算できる貯玉許可数を記憶する貯玉許可数記憶工程と、
前記第三者管理センタとの間での通信が可能であるかを判定する通信状況判定工程と、
前記通信状況判定手段により第三者管理センタとの間での通信が不可であると判定された場合に、前記貯玉許可数記憶工程に記憶された貯玉許可数を更新する貯玉許可数更新工程と、
前記貯玉許可数更新工程により更新された貯玉許可数と前記貯玉データ記憶工程により記憶された遊技客の貯玉データとを加算し、当該遊技客の貯玉上限値として設定するとともに、当該貯玉上限値の範囲内で前記遊技客の貯玉数の制限を行なう貯玉制限工程と
を含むことを特徴とする貯玉管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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