説明

貯米装置

【課題】計量ドラムとケーシングとの間に米が入ってもその米を容易に排出することができ、計量ドラムのスムーズな回転を確保する。
【解決手段】計量ドラム26の外周面26aに近接して米を案内する案内部材41をケーシング24に設け、案内部材41に計量ドラム26の外周面26aと案内部材41との間に米が介在した際に案内部材41を計量ドラム26の径外方向に逃がす逃がし手段48を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動炊飯機等に設けられる貯米装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、貯米庫の米を計量して排出する貯米装置は、例えば、特許文献1に示すように、米の計量から洗米,炊飯までを自動的に行う自動炊飯器等に設けられている。
貯米装置は、貯米庫と、貯米庫の下側に設けられたケーシングと、ケーシング内に回転自在に支持されて米が投入される開口部を有する計量ドラムとを備えており、計量ドラムの開口部を介して貯米庫の米を当該計量ドラムに投入した後、この計量ドラムを回転させて開口部をケーシングに設けた排出口へ向けることによって計量した米を排出していた。
【特許文献1】特開2001−149241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
貯米装置では、米を計量ドラムに投入した際などに計量ドラムとケーシングとの間に小さな米や割れ米などの米が入り込み、これらの米が計量ドラムとケーシングとの間で詰まってしまうことにより、計量ドラムが回転できなくなるいう問題があった。
そこで、上記問題の対策として、従来の貯米装置では、計量ドラムとケーシングとの隙間を出来る限り小さくして隙間に米が入らなくしたり、計量ドラムを回転させる駆動モータのトルクを上げて計量ドラムを強い力で回転させたり、計量ドラムとケーシングとの間にゴムパッキンなどを介在させて米をケーシングと計量ドラムとの間に入りにくくしたりしていた。
【0004】
しかしながら、上記のような対策を講じでも計量ドラムとケーシングとの間に米が入ることを完全に防ぐことができず、計量ドラムとケーシングとの間で米が詰まってしまい、計量ドラムが回転できなくなるいう問題を完全に防ぐことができなかった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、計量ドラムとケーシングとの間に米が入ってもその米を容易に排出することができ、計量ドラムのスムーズな回転を確保できるようにした貯米装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。即ち、貯米庫の下側にケーシングを設け、このケーシング内に、貯米庫の米が開口部から投入され且つ、投入された米を当該ケーシングに設けた排出口へ排出する計量ドラムを回転自在に設けた貯米装置において、前記計量ドラムの外周面に近接して米を案内する案内部材をケーシングに設け、前記計量ドラムの外周面と当該案内部材との間に米が介在した際に当該案内部材を計量ドラムの径外方向に逃がす逃がし手段を設けている点にある。
これによれば、案内部材によって計量ドラム内の米をケーシングの排出口へ案内することができると共に、該案内部材と計量ドラムの外周面との間に米が入りにくくすることができ、たとえ案内部材と計量ドラムの外周面との間に米が入ったとしても逃がし手段によって案内部材を径外方向に逃がしているため、入り込んだ米を排出口に排出し、計量ドラムのスムーズな回転を確保することができる。
【0006】
前記逃がし手段は、前記案内部材を弾性体で形成して計量ドラムの外周面と当該案内部材との間に米が介在した際に弾性変形により逃げ可能にした点にある。
これによれば、逃がし手段を簡単且つ安価に形成できる。
前記弾性体を計量ドラムの外周面に沿った円弧状に形成した板バネで構成した点にある。
これによれば、弾性体を円弧状の板バネで形成したので板バネを計量ドラムの外周面に近接又は面接触させやすくなり、計量ドラムの外周面と板バネとの間に極力米が入り難くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、計量ドラムとケーシングとの間に米が入ってもその米を容易に排出することができ、計量ドラムのスムーズな回転を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図3は、本発明に係る貯米装置1を具備した業務用自動炊飯装置2を示しており、この炊飯装置2は、機枠3の上部に貯米装置1を備え、該貯米装置1の下方に洗米タンク4を備え、該洗米タンク4の下方に炊飯器5を備えて主構成されており、貯米装置1から供給された米を洗米タンク4内で洗浄し、洗浄した米を炊飯器5に投入して炊飯を行い、これらの作業を1サイクルとして繰り返し自動炊飯を行うことができるようになっている。
前記貯米装置1は、機枠3上部のケース6内に配設されるようになっており、ケース6の前面には操作パネル7を有する制御部8が設けられている。
【0009】
操作パネル7には、炊飯量(炊飯する米の量)、炊飯器5での浸し時間(浸漬時間)、むらし時間、炊飯器5に供給する水加減水量等の炊飯メニューを押しボタン等で設定する設定部と、炊飯メニューの設定表示や炊飯工程などを表示する表示部が備えられている。 制御部8は、操作パネル7において設定された炊飯モード等に基づいて、貯米装置1、洗米タンク4内の洗米装置、炊飯器5の動作を制御し、貯米装置1を制御するものとなっている。
貯米装置1は、上部が角筒形状で下部に先細り状の漏斗部が形成された貯米庫15と、貯米庫15内の米を計量して洗米タンク4へと排出する計量装置16と、貯米庫15に対して米を供給する供給装置(供給手段)17とを有している。
【0010】
供給装置17は、貯米庫15の上部に備えられていて該貯米庫15内を負圧にするブロア等の負圧発生器18と、貯米庫15外に設けられた俵、袋、コンテナ等の米の保留部19と、この保留部19と貯米庫15内の上部とを接続・連通する送給管20とを備え、負圧発生器18の作動によって貯米庫15内を減圧するとともに、この減圧によって保留部19内の米を送給管20を介して貯米庫15内に吸引、供給するように構成している。
図1〜3に示すように、計量装置16は、ケーシング24と、ケーシング24内で前後方向の回転軸25回りに回転する筒状の計量ドラム26と、計量ドラム26の回転軸25を回転させる駆動モータ27とを備えている。
【0011】
ケーシング24は、計量ドラム26の左側を覆う左ケーシング24Lと計量ドラム26の右側を覆う右ケーシング24Rとで2つ割り状に形成して対面接合することによって、上下四角形開口部を有する筒状に形成されており、上開口部は米を投入する投入口32とされ、下開口部は米を排出する排出口33とされている。ケーシング24の投入口32は貯米庫15の下部に形成された排出口34に接続され、ケーシング24の排出口32は洗米タンク4に接続されている。
左右ケーシング24L,24Rの左右側壁31L,31Rは、計量ドラム26の外周面に沿うように円弧状に形成された円弧部35と、この円弧部35の下側から下方にいくにしたがって左右方向中心部へ向けて移行する傾斜部36とを有するものとなっている。
【0012】
計量ドラム26は、鋼板等の板材によって断面C形状(一部切欠の円筒形)に形成されており、計量ドラム26には、計量ドラム26内に米を流入可能とし且つ計量ドラム26内の米を排出可能とする開口部40が形成されている。
計量ドラム26とケーシング24との間には計量ドラム26がケーシング24内で回転するための隙間S1が形成されており、計量ドラム26とケーシング24の左右側壁31L,31Rとの間には計量ドラム26の外周面26aに近接した状態でケーシング24に取り付けられた2つの案内部材41が配置されている。
【0013】
各案内部材41は弾性変形可能な弾性体、即ち、板バネで構成されており、板バネ41はケーシング24の上壁30Uや左右に取り付けられる取付部42と、弾性変形可能な弾性変形部43とを有したものとなっている。
具体的には、前記板バネ41は板材を屈曲させて構成したもので、板バネ41の上板部がケーシング24の上壁30Uに取り付けられる取付部42とされ、この上板部から下方に屈曲して下方に延びる部分が計量ドラム26に近接して弾性変形可能な弾性変形部43とされている。
【0014】
弾性変形部43は、計量ドラム26の外周面26aに沿うように円弧状に形成された円弧部43aと、この円弧部43aからケーシング24に向けて屈曲していて当該ケーシング24の左右側壁31L,31Rに当接する屈曲部43bとを有しており、円弧部43aの内面は計量ドラム26の外周面26aに近接又は面接触状態にとなっている。
板バネ41とケーシング24の左右側壁31L,31Rとの間には米粒よりもやや大きな隙間S2が形成されている。
前記回転軸25には、回転軸25の回転角度等を検出可能な角度検出手段45が設けられており、この角度検出手段45は、回転軸25の回転に同期して一定角度毎にパルス信号を発生するエンコーダ装置で構成されている。エンコーダ装置45は回転軸25の回転に伴うパルス信号を制御部8に出力し、制御部8はパルス信号から回転数や回転角度を判断して、計量ドラム26の開口部40が上向きになったり下向きになるように、計量ドラム26を回転させる駆動モータ27を制御する。
【0015】
計量状態では計量ドラム26の開口部40は上向きになっていて、計量ドラム26内と貯米庫15内とは連通しており、貯米庫15の排出口34及びケーシング24の投入口32を介して計量ドラム26の開口部40へ貯米庫15の米が流入し、当該計量ドラム26内に計量ドラム26の略容積分だけの米が格納される。
米が投入されると計量ドラム26は駆動モータ27の駆動によって矢印a方向に回転し、当該計量ドラム26の開口部40がケーシング24の右側壁31R側に向いた後、ケーシング24の排出口33側に向くように計量ドラム26は右回りに回転する。
【0016】
計量ドラム26の開口部40が右側壁31R側に向くにしたがって当該開口部40は板バネ41の弾性変形部43によって次第に塞がれ、計量ドラム26が90度回転した状態では計量ドラム26内と貯米庫15内との連通が断ち切られ、計量ドラム26内に貯米庫15の米が入らないようになる。
そして、計量ドラム26と貯米庫15との連通が断ち切られた状態で、開口部40がケーシング24の排出口33側に向き、開口部40が板バネ41の弾性変形部43によって塞がれなくなると、計量ドラム26は排出状態になり、計量ドラム26内の米が開口部40から排出口33へ向けて排出される。
【0017】
計量ドラム26が計量状態から排出状態に移行の際、計量ドラム26に板バネ41が近接又は面接触しているので、計量ドラム26の外周面26aと板バネ41(案内部材)の内周面との間に小さな米や割れ米などが入りにくくなっている。
万が一これらの間(計量ドラム26の外周面26aと板バネ41)に米が入り込んでしまった場合は、板バネ41は弾性変形して径外方向、即ち、前記隙間S2側へ逃げて、入り込んだ米をつぶすことなく計量ドラム26の回転に伴ってケーシング24の排出口33へと排出することができる。
【0018】
即ち、貯米装置1には、計量ドラム26の外周面26aと案内部材41との間に米が介在した際に、板バネ41を計量ドラム26の径外方向に逃がす逃がし手段48が設けられており、この逃がし手段48は案内部材(板バネ41)を弾性体で形成して計量ドラム26の外周面26aと板バネ41との間に米が介在した際に弾性変形により逃げ可能にしたことにある。
したがって、前記逃がし手段48によって計量ドラム26の外周面26aと板バネ41の内周面との間に米が入り込んでも、上述したように入り込んだ米をケーシング24の排出口33へと排出させる。
【0019】
本発明は、上記実施形態に限ることなく適宜設計変更可能である。
貯米装置1の供給手段17は、負圧発生器18、保留部19、送給管20とを備えたものでなくてよく、貯米庫15の上部に開口部とこの開口部を閉鎖可能な蓋とを設けて、前記開口部から人が手動で米を貯米庫15に供給するようなものであってもよい。
前記逃がし手段48は、計量ドラム26の外周面26aと案内部材41との間に米が介在した際に案内部材41を計量ドラム26の径外方向に移動させる(逃がす)ものであればよく、例えば、案内部材41を板材で構成し、この板材を径外方向移動できるように板材の上部をヒンジを介してケーシング24に取り付けるようにしてもよい。この場合、板材とケーシング24との間に板材を計量ドラム26に付勢する弾性体を介在させることが好ましい。また、上述した板バネ41を弾性変形可能な合成樹脂等で構成してもよいし、その他の部材で構成してもよい。
【0020】
本発明の貯米装置1は、当該貯米装置1が炊飯器よりも下側に位置する炊飯装置にも適用してもよいし、上述した自動炊飯装置以外に、炊飯機能を備えない自動洗米装置に並設したり、単独で用いるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の貯米装置のケーシング内の側面断面図である。
【図2】計量装置の分解斜視図である。
【図3】貯米装置を備えた自動炊飯装置の全体正面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 貯米装置
15 貯米庫
24 ケーシング
26 計量ドラム
26a 計量ドラムの外周面
40 開口部
41 案内部材(板バネ)
48 逃がし手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯米庫の下側にケーシングを設け、このケーシング内に、貯米庫の米が開口部から投入され且つ、投入された米を当該ケーシングに設けた排出口へ排出する計量ドラムを回転自在に設けた貯米装置において、
前記計量ドラムの外周面に近接して米を案内する案内部材をケーシングに設け、前記計量ドラムの外周面と当該案内部材との間に米が介在した際に当該案内部材を計量ドラムの径外方向に逃がす逃がし手段を設けていることを特徴とする貯米装置。
【請求項2】
前記逃がし手段は、前記案内部材を弾性体で形成して計量ドラムの外周面と当該案内部材との間に米が介在した際に弾性変形により逃げ可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の貯米装置。
【請求項3】
前記弾性体を計量ドラムの外周面に沿った円弧状に形成した板バネで構成したことを特徴とする請求項2に記載の貯米装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−334107(P2006−334107A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161870(P2005−161870)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】