説明

貼り付け型体温計及び貼り付け型体温計を用いた体温測定/管理装置

【課題】バッテリ内蔵型ICタグを含む貼り付け型体温計の場合、バッテリ内蔵型ICタグに内蔵された内蔵電池が温度センサを有するバッテリ内蔵型ICタグの全てのプログラム演算処理の電源となっており、さらに常時電源が入った状態となっているため、無駄な消費電力が大きく、内蔵電池の消耗が激しかった。
【解決手段】バッテリ内蔵型ICタグの電源部と中央制御部(CPU)の間にバイメタルを含む電源スイッチを設け、被検者の体温が所定値以上のときにのみ、電源が入ることにより、無駄な消費電力を無くし、バッテリの長寿命化が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児やお年寄り、寝たきり患者の体温測定/管理ができる貼り付け型体温計に関し、特に、被検者が発熱したとき、電源が入り、体温トレンドのモニタリングができ、被検者が平熱であるときは、電源をOFFにした(切った)状態としたバッテリ内蔵型ICタグを含む貼り付け型体温計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等では、定期的に患者の体温を測定し、測定結果の管理を行っている。一般に、病院等での体温の測定に際しては、体温計を被検者の測定部位に装着し、測定が完了するまでの一定時間、静止した状態を維持させる。また、測定が完了すると、看護師などの測定者が測定結果を確認し記録するといった作業を行う。
【0003】
しかしながら、被検者が幼児や重病の患者の場合、体温計を測定部位に装着させつづけることは困難であり、正確な体温測定を行うことは容易ではない。また、測定結果を確認し記録する作業は、測定者にとって負荷が高く、測定者の手を煩わせることなく記録できることが望ましい。
【0004】
これに対して、例えば、下記特許文献1では、電池内蔵ICタグによる体温計が提案されている。当該特許文献1によれば、測定結果は、体温計が貼り付けられた測定部位にRF−IDリーダ/ライタを近づけるだけで読み取ることができるため、測定者の確認・記録作業の負荷を大幅に軽減させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−229076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の体温計の場合、ICタグに内蔵された内蔵電池で温度センサ付ICタグの全てのプログラム演算処理の電源となっており、さらに常時電源が入った状態となっているため、無駄な消費電力が大きく、必要以上の電力を浪費していた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、バッテリ内蔵型ICタグの電源部と中央制御部(CPU)の間にバイメタルを含む電源スイッチを設け、被検者の体温が所定値以上のときにのみ、電源が入ることにより、無駄な消費電力を無くし、バッテリの長寿命化が可能であることを見出し本発明に至った。
【0008】
上記の課題は以下の(1)から(4)の本発明により解決される。
【0009】
(1)被検者の体表面に貼り付け可能な貼り付け型体温計であって、温度センサを有するバッテリ内蔵型ICタグと、前記被検者の体温が所定値以上になると、電源が入る電源スイッチと、を有することを特徴とする貼り付け型体温計である。
このように、貼り付け型体温計に、温度センサを有するバッテリ内蔵型ICタグと、前記被検者の体温が所定値以上になると、電源が入る電源スイッチと、を有することで、被検者の発熱のときに体温トレンドのモニタリングができ、被検者が平熱であるときは、電源をOFFにした(切った)状態とした貼り付け型体温計が実現できる。
【0010】
(2)前記電源スイッチは、バイメタルを含むことを特徴とする上記(1)に記載の貼り付け型体温計である。
このように、電源スイッチに、バイメタルを含むことで、電源のON/OFFを被検者の体温によって行うことができ、結果、少ない消費電力でバッテリの長寿命化が実現できる。
【0011】
(3)上記(1)または(2)に記載の貼り付け型体温計と、前記貼り付け型体温計で測定したデータを読み取るデータ読み取り装置と、からなることを特徴とする体温測定/管理装置である。
このように、貼り付け型体温計と、貼り付け型体温計で測定したデータを読み取るデータ読み取り装置とを組み合わせた体温測定/管理装置によって、体温トレンドのモニタリングができ、乳幼児やお年寄り、寝たきり患者の体温測定/管理ができる。
【0012】
(4)前記貼り付け型体温計は、前記被検者の体温が所定値以上になると、電源が入り、自動で前記データ読み取り装置との外部通信を開始させる制御手段を有することを特徴とする上記(3)に記載の体温測定/管理装置である。
【0013】
このように、貼り付け型体温計に、被検者の体温が所定値以上になり、電源が入ると、自動でデータ読み取り装置との外部通信を開始させる制御手段を有することで、被検者の急な発熱をデータ読み取り装置を通じて、測定者や看護/介護者へ報知する(知らせる)ことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バッテリ内蔵型ICタグの電源部と中央制御部(CPU)の間にバイメタルとスイッチとからなる電源スイッチを設け、被検者の体温が所定値以上のときにのみ、電源が入ることにより、無駄な消費電力を無くし、バッテリの長寿命化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る体温測定/管理装置の外観構成を示す図である。
【図2】アンテナ102と処理部101を備えるバッテリ内蔵型ICタグ100の機能構成を示すブロック図である。
【図3】電気スイッチ206の機能構成を示す図である。
【図4】データ読み取り装置120の機能構成を示すブロック図である。
【図5】体温測定/管理装置における体温測定処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態における、半導体温度センサを有するバッテリ内蔵型ICタグ(アンテナを備える貼り付け型の体温計)100と、看護師などの測定者によって携帯可能なデータ読み取り装置(携帯装置)120とからなる体温測定/管理装置の外観構成を示す図である。病院等でも同様の携帯端末または据置型の端末を用いて体温測定/管理が適用できる。本発明は、乳幼児やお年寄り、寝たきり患者の体温測定/管理など適宜対応が可能である。また、図4に示すように、データ読み取り装置120に備えた有線通信部414から専用LAN、電話回線、インターネット等の情報通信ネットワーク(不図示)を介して、病院、主治医等のサイトと双方向の情報通信可能としてもよい。
【0017】
<体温測定/管理装置の外観構成>
図1に示すように、バッテリ内蔵型ICタグ100は、表面フィルム103と裏面フィルム104(半透過性で、厚さは100μm程度)との間に、アンテナ102と処理部101が挟まれて固定された構成となっている。
【0018】
表面フィルム103及び裏面フィルム104としては、ポリエーテルウレタンやポリエステルウレタンなどのウレタン系ポリマー、ポリエーテルポリアミドブロックポリマーなどのアミド系ポリマー、ポリアクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリエチレンやポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系ポリマー、ポリエーテルポリエステルなどのポリエステル系ポリマーなどの材料から得ることができる。
【0019】
また、裏面フィルム104は皮膚面への貼り付け時にムレや白化などを生じないようにするために、水蒸気透過性を有する材質から選択することが好ましく、例えばウレタン系やアミド系のフィルムを用いることが好適である。なお、表面フィルム103、裏面フィルム104は上記材料のうちの何れか一種からなるものであってもよく、任意の材料からなるフィルムを複数枚積層した積層フィルムであってもよい。
【0020】
裏面フィルム104は皮膚面に貼付した際に、違和感を生じないようにするために、その厚みを10〜100μm、好ましくは20〜40μm程度にすることがよい。また、皮膚面に貼り付けした際の皮膚追従性を良好にするためには、引張強度を100〜900kg/cm、100%モジュラスを10〜100kg/cm程度に調整することが好ましい。この範囲に調整した裏面のフィルム112を用いると、動きの大きい皮膚面に貼付した際に効果的である。
【0021】
また、上記裏面フィルム104として、無孔フィルムだけでなく、水蒸気透過性であって非透水性である多孔性フィルムを用いることも、貼付中のムレの防止の点から効果的である。このようなフィルムの場合には、材質には特に制限はされず、公知の多孔化技術を施すことによって簡単に得ることができる。無孔性フィルムの場合にはフィルム厚が大きくなるほど水蒸気透過性は低下する傾向が顕著に現れるが、多孔性フィルムの場合には厚みに比例して水蒸気透過性の低下が顕著に現れないので有用である。
【0022】
裏面フィルム104には、粘着剤が塗布されており、バッテリ内蔵型ICタグ100を、被検者の体表面の適所の測定部位に直接、貼り付けることができるように構成されている。粘着剤は、通常の医療用グレードとして用いられるものであればいずれを用いてもよく、例えばアクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、天然ゴム又は合成ゴム系粘着剤、医用高分子を主成分とする溶剤系、水系、ホットメルト系、ドライブレンド系の粘着剤があげられる。ただし放射線滅菌特に強度のガンマー線照射滅菌が必要な場合にはアクリル系粘着剤やポリウレタン系粘着剤の使用は避けた方が望ましい。これらは放射線照射による粘着力の低下を招くおそれがあるからである。
【0023】
また、裏面フィルム104よりも表面フィルム103の面積が大きい場合には、被検者の測定部位に貼り付けられるように貼り付け領域が残されていて、その領域には粘着剤が設けられ、この粘着剤は、通常の医療用グレードとして用いられるものであればいずれを用いてもよく、例えばアクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、天然ゴム又は合成ゴム系粘着剤、医用高分子を主成分とする溶剤系、水系、ホットメルト系、ドライブレンド系の粘着剤があげられる。ただし放射線滅菌特に強度のガンマー線照射滅菌が必要な場合にはアクリル系粘着剤やポリウレタン系粘着剤の使用は避けた方が望ましい。これらは放射線照射による粘着力の低下を招くおそれがあるからである。
【0024】
また、表面フィルム103と裏面フィルム104は、いずれも柔軟性があり、バッテリ内蔵型ICタグ100を被検者の測定部位に貼り付けた際に、測定部位の形状に沿って変形できるようになっている。このように、処理部101が測定部位に密着して固定されることにより、バッテリ内蔵型ICタグ100は、被検者の体温を正確に検出することができる。
【0025】
RF−ID機能を有し半導体温度センサを含む無線タグであるバッテリ内蔵型ICタグ100は、ベースシート上にアンテナ102と処理部101とを備える。バッテリ内蔵型ICタグ100は、処理部101に含まれる電源部207から処理部101全体に電力が供給され、起動し、後述する半導体温度センサを含む感温部において取得されたバンドギャップ電圧データ(被検者の体温と相関する電圧データ)を、各種情報とともにデータとしてアンテナ102を介してデータ読み取り装置120に送信する。
【0026】
なお、バッテリ内蔵型ICタグ100を構成するアンテナ102と処理部101のうち、処理部101は、保温材(例えば、厚さ1mm程度のアルミ材)により覆われているものとする(不図示)。これにより、外気温度の影響を除去することが可能となる。
【0027】
データ読み取り装置120は、RF−IDリーダ/ライタを備えており、バッテリ内蔵型ICタグ100に近づけた際に、バッテリ内蔵型ICタグ100との間で磁気結合し、バッテリ内蔵型ICタグ100からのデータの受信を行う。
【0028】
これにより、測定結果は、所定の周波数、例えば13.56MHzの電磁波を送信するRF−IDリーダ/ライタを備えるデータ読み取り装置120を、バッテリ内蔵型ICタグ100が貼り付けられた測定部位に5〜15mm程度に近づけるだけで読み取ることができるため、測定者による測定結果の確認・記録作業の負荷を大幅に軽減させることができる。
【0029】
<バッテリ内蔵型ICタグ100の機能構成>
次に、バッテリ内蔵型ICタグ100の機能構成について説明する。図2は、アンテナ102と処理部101とを備えるバッテリ内蔵型ICタグ100の機能構成を示す図である。
【0030】
図2において、201は無線通信部であり、中央制御部200において取得された電圧データを各種情報とともに、所定形式のデータとして、アンテナ102を介してデータ読み取り装置101に送信する。
【0031】
202は記憶部であり、後述する感温部の校正データや、バッテリ内蔵型ICタグ100固有の識別情報等を記憶する。この識別情報は、病院等で使用する場合、各患者に対応する番号等を与えておくようにしておく。
【0032】
203は感温部であり、半導体温度センサを備えるセンサ部204と、センサ部204の出力を処理する回路部205とを備える。
【0033】
200は中央制御部(CPU)であり、無線通信部201及び記憶部202の動作を制御する。また、感温部203からの出力を処理し、電圧データとして無線通信部201に送信する。なお、感温部203のセンサ部204に適用される半導体温度センサにおいて、精度の高い体温測定、例えば0.01℃〜0.05℃の測定精度を実現するためには、充分な電圧が必要となるため(記憶部202や中央制御部200を作動させるのに必要な電圧よりも高い電圧(Vcc)が必要となるため)、中央制御部200には、そのための電源回路(昇圧手段)が備えられているものとする。この電源回路は、電源部207からの電力供給に伴って起動される。
【0034】
207は電源部であり、処理部101全体に電力を供給する。
【0035】
206は電源スイッチであり、バイメタル301と、2本のリード303a、303bをガラス管302によって封止したスイッチ300とで構成されている。本実施例では、2本のリード303a、303bは、絶縁体であるガラス管302によって封止されているが、ガラス管302を含まない構成のスイッチ300であってもかまわない。電源スイッチ206は、電源部207と中央制御部200との間に配置され、バッテリ内蔵型ICタグ100の電源をON/OFFするスイッチとしての機能を果たす。
【0036】
<電源スイッチの機能構成>
次に、電源スイッチ206について説明する。スイッチ300は、2本のリード303a、303bをガラス管302のほぼ中央付近でリード303a、303bを所定の間隙で重ね合せ、接点部を構成している。前述したように、ガラス管302は、スイッチ300に含まれていなくてもよい。スイッチ300は、常開型スイッチであり、リード303a、303bが接触していないときは、バッテリ内蔵型ICタグ100の電源は切れた(OFF)状態となっている。そして、図3に示すように、リード303bに対し、バイメタル301が接触した状態で沿うように配置されている。
【0037】
バイメタル301は、熱膨張率の小さい金属板304(例えば、インバーなど)と、熱膨張率の大きい金属板305(例えば、FeとNiの合金に、Mn、Cr、Cu、Mgなどを添加したもの)とを貼り合わせた平板状のものであり、さらに熱膨張率の小さい金属板304と熱膨張率の大きい金属板305を支持し、熱伝導を効率よく行うための熱伝導部材306を備えた構成である。バイメタルは温度の変化によって曲がり方が変化する性質があり、バイメタル301は熱を加えると熱膨張率の小さい金属板304を内側に、熱膨張率の大きい金属板305を外側にして曲がる。この性質を利用し、バイメタル301を変形させることで、リード303aと303bとの接点部を閉成させ、バッテリ内蔵型ICタグ100の電源が入った(ON)状態とすることができる(不図示)。
【0038】
バイメタル301は、好適な実施例として熱伝導部材306を備えているが、被検者の測定部位表面からの放射熱で変形させることで、熱伝導部材306は備えていなくてもかまわない。熱伝導部材306は、裏面フィルム104と接し、被検者の皮膚面と面しているため、皮膚面から伝わる体温を熱膨張率の小さい金属板304と熱膨張率の大きい金属板305へ効率よく伝えることができる。材質は、熱伝導性の高いものであれば何でもよく、銀や銅などが好ましい。他にも、熱伝導性樹脂などであってもよい。
【0039】
バイメタル301は、被検者の体温が所定値以上のとき、例えば、37度以上のときにリード303aと303bとの接点部を閉成させることで、発熱のときだけ体温をモニタリングできるので、無駄な電力消費を減らすことができ、さらに、バッテリ内蔵型ICタグ100の電源が入ると、自動でデータ読み取り装置120との外部通信を開始する制御手段を中央制御部200に有することで、データ読み取り装置120と通信を開始し、発熱を測定者や看護/介護者に報知することができる。インフルエンザなどの発症により突発的な高熱が出ても、すばやく知らせることができるので、測定者や看護/介護者が迅速に対応することが可能となる。
【0040】
また、所定値を35度以上にした場合、貼り付け型体温計を被検者から外すと、徐々にバイメタル301が外気で冷やされ、リード303aと303bとの接点部が開成し、自動で電源が切れ(OFF状態)、貼り付け型体温計を貼り付けると、被検者の体温でバイメタル301が変形をして自動で電源が入る(ON状態)ようになる。
【0041】
このように所定値は、使用する目的に合わせ好適な値とすることができ、バイメタル301の形状や配置、組合せる金属板の熱膨張率によって、バイメタル301の変形の仕方を変え、調節することが可能である。
【0042】
また、バイメタル301に被検者の体温が迅速かつ正確に伝われば良いので、被検者の測定部と接触する裏面フィルム104に近いことが好ましい。さらに、本実施例では、バイメタル301をリード303bに沿うように配置されているが、より接点部の閉成を確実にするために、リード303aにもバイメタルを沿うように配置してもよい。このとき、バイメタル301の二層の金属板のうち、リード303bに近い方、つまり、面する側が熱膨張率の小さい金属板304であるのと同様に、リード303aに面する金属板は熱膨張率の小さい金属板である必要がある。
【0043】
電源スイッチ206は、本実施例に限られたものではなく、バイメタル301が電源スイッチ206に含まれ、被検者の体温が所定値以上であるか否かで、電源のON/OFFが切り替えられれば、どのようなものであってもかまわない。
【0044】
<データ読み取り装置の機能構成>
次に、データ読み取り装置120の機能構成について説明する。図4は、データ読み取り装置120の機能構成を示す図である。データ読み取り装置120は、電池、充電池等で構成される電源部、電源ON/OFFスイッチ、測定レンジを選択する選択スイッチ(選択手段)、体温データ読み取り開始スイッチを含む操作スイッチを備えているが、ここでは省略している。
【0045】
図4において、410はRF−IDリーダ/ライタであり、アンテナ401、無線通信部402、信号変換部403、信号処理部404を備える。
【0046】
アンテナ401は、所定の周波数、例えば13.56MHzの周波数の電磁波を発生させて、バッテリ内蔵型ICタグ100のアンテナ102との間で磁気結合することで、バッテリ内蔵型ICタグ100よりデータを受信する。
【0047】
無線通信部402では、アンテナ401を介してバッテリ内蔵型ICタグ100より受信したデータを信号変換部403に送信したりする。
【0048】
信号変換部403では、無線通信部402より送信されたデータをデジタルデータに変換し、信号処理部404に送信する。
【0049】
信号処理部404では、信号変換部403より受信したデジタルデータを処理し、体温を算出する。具体的には、受信したデジタルデータに含まれる、電圧データと校正データとに基づいて体温データを算出する。また、算出した体温データを、受信したデジタルデータに含まれる識別情報とともに中央制御部(CPU)411に送信する。
【0050】
中央制御部411では、無線通信部402、信号変換部403、信号処理部404の動作を制御する。また、信号処理部404から送信された体温データを、識別情報(例えば、病院等においては各患者に対応した番号)とともに記憶部412に格納したり、表示部413に表示したりする。更に、記憶部412に格納された体温データを、識別情報とともに有線通信部414を介して、他の情報処理装置(有線通信部414を介して有線接続された他の情報処理装置)に送信したりする。
【0051】
他にも、被検者に貼り付けられた貼り付け型体温計から、被検者の発熱を知らせる外部通信を受けると、データ読み取り装置120の近くにいる測定者や看護/介護者にアラーム等で知らせる報知手段416を備えている。
【0052】
<体温測定/管理装置における体温測定処理の流れ>
次に、体温測定/管理装置における体温測定処理の流れについて説明する。図5は、体温測定/管理装置における体温測定処理の流れを示す図である。
【0053】
図5に示すように、測定する前のバッテリ内蔵型ICタグ100は電源が切れている(OFF)状態であり、被検者の体温が所定値以上(この場合37度以上)のとき、電源スイッチ206が入り、測定可能となる(510)。このとき、中央制御部200に組み込まれた制御手段により、自動でデータ読み取り装置120に測定可能となった状態を知らせる外部通信を開始する(501)。
【0054】
バッテリ内蔵型ICタグ100に電源が入り、測定可能になると、データ読み取り装置120を、測定者(不図示)が被検者(不図示)の体温測定部位の適所の1つである胸元に貼り付けられたバッテリ内蔵型ICタグ100の近傍に近づけ、例えば体温データ読み取り開始スイッチ(不図示)を押すことで、所定の周波数、例えば13.56MHzの電磁波が発生し、アンテナ401とアンテナ102との磁気結合により、測定が開始される(502)。
【0055】
電源部207から電力が供給されたバッテリ内蔵型ICタグ100では、処理部101が起動し、バッテリ内蔵型ICタグ100が体温測定の精度に影響を与える状態になっているか否かを判定する。処理部101が体温測定の精度に影響を与える状態になっていると判定された場合には、処理部101では、以降の処理は行わない。この場合、データ読み取り装置120では、磁気結合して測定開始を行ってから一定時間内にバッテリ内蔵型ICタグ100よりデータの送信がないと判断し、表示処理として表示部413にエラー表示を行う。このとき、エラー表示だけでなく、アラーム等の報知手段416により報知してもよい(521)。
【0056】
一方、体温タグ113が体温測定の精度に影響を与える状態になっていないと判定された場合には、処理部101では処理を開始する。
【0057】
具体的には、予め設定された測定レンジに切り替えた後(512)、センサ部204内の半導体温度センサに電流を流し、バンドギャップ電圧を検出する(513)。
【0058】
更に、回路部205が当該検出されたバンドギャップ電圧を処理し(514)、中央制御部200では、電圧データを取得する(515)。
【0059】
取得された電圧データは、記憶部203に記憶された校正データ及び識別情報とともに、データ読み取り装置120に送信される(503、516)。
【0060】
被検者の体温が所定値以上ではなくなったとき、つまり、発熱がおさまり、徐々に平熱に戻ると、自動でバッテリ内蔵型ICタグ100の電源は切れ、測定は終了する(517)。
【0061】
データ読み取り装置120では、表示処理としてバッテリ内蔵型ICタグ100より送信された電圧データ及び校正データに基づいて体温データを算出する。更に、算出された体温データを、識別情報と対応付けて記憶部412に記憶するとともに表示部413に表示する(521)。なお、前述した「バッテリ内蔵型ICタグ100が体温測定の精度に影響を与える状態」とは、この場合、処理部101やアンテナ102の発熱により、体温測定の精度に影響を与える可能性が高い状態を指している。
【符号の説明】
【0062】
100 バッテリ内蔵型ICタグ
101 処理部
102 アンテナ
103 表面フィルム
104 裏面フィルム
120 データ読み取り装置
200,411 中央制御部(CPU)
201,402 無線通信部
202 記憶部
203 感温部
204 センサ部
205 回路部
206 電源スイッチ
207 電源部
300 スイッチ
301 バイメタル
302 ガラス管
303a,303b リード
304 熱膨張率の小さい金属板
305 熱膨張率の大きい金属板
306 熱伝導部材
401 アンテナ
403 信号変換部
404 信号処理部
410 ICタグ読取部
412 記憶部
413 表示部
414 有線通信部
415 入力部
416 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の体表面に貼り付け可能な貼り付け型体温計であって、
温度センサを有するバッテリ内蔵型ICタグと、
前記被検者の体温が所定値以上になると、電源が入る電源スイッチと、
を有することを特徴とする貼り付け型体温計。
【請求項2】
前記電源スイッチは、バイメタルを含むことを特徴とする請求項1に記載の貼り付け型体温計。
【請求項3】
請求項1または2に記載の貼り付け型体温計と、前記貼り付け型体温計で測定したデータを読み取るデータ読み取り装置と、からなることを特徴とする体温測定/管理装置。
【請求項4】
前記貼り付け型体温計は、前記被検者の体温が所定値以上になると、電源が入り、自動で前記データ読み取り装置との外部通信を開始させる制御手段を有することを特徴とする請求項3に記載の体温測定/管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−223745(P2010−223745A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71084(P2009−71084)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】