説明

貼り合わせ治具及び表示装置の製造方法

【課題】
位置ずれを小さした状態で基板を確実に貼り合わせることができる貼り合わせ治具及び表示装置の製造方法を提供することができる。
【解決手段】
本発明の一態様における貼り合わせ治具は、矩形状の対向基板と、円形の素子基板とを貼り合わせるための貼り合わせ治具であって、側面において対向基板の位置を規制する第1段61と、凹部63の側面で素子基板の位置を規制する第2段64とを有し、凹部63が素子基板の外周形状に沿うように設けられた第1の規制部69a及び第2の規制部69bと、第1の規制部69aと第2の規制部69bとの間に設けられた接続部68とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板を貼り合わせる貼り合わせ治具及びそれを用いて貼り合わされた基板を備える表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FPD(Flat Panel Display)として有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイが注目されている。有機ELディスプレイは、液晶表示装置と比較して視野角が広く、また、応答速度も速く、有機物が有する発光性の多様性から、次世代の表示装置として期待されている。
【0003】
有機EL素子の封止には、例えば、エポキシ系紫外線(UV)硬化性樹脂のシール材が用いられる。対向基板の捕水材を設けた面に、有機EL素子と対向する領域の外周を描くようにディスペンサを用いてシール材を塗布し、二枚の基板を貼り合わせた後、紫外線を照射してシール材を硬化させる。
【0004】
この封止不良を防止するために、素子基板または対向基板に貫通孔を設け、貼り合わせた後、貫通孔を別のシール材により塞ぐ方法や、所定の圧力に減圧した状態で、二枚の基板を貼り合わせる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
有機EL素子の封止には、素子基板と対向基板とを位置合わせして対向配置する必要がある。この場合、素子基板と対向基板の位置合わせ精度が問題となる。すなわち、シール材を塗布する部分や配線を引き出す部分に位置合わせ精度分のマージンを取る必要がある。位置合わせ精度が悪いとこのマージンを大きく取らなければならなくなる。従って、1枚のマザー基板に形成することができる表示パネル数が少なくなり、生産性が低下するという問題点がある。
【0006】
通常、素子基板及び対向基板は矩形の基板が用いられる。しかしながら、生産設備の都合上、一方の基板が円形基板で他方の基板が矩形基板となる場合がある。貼り合わせる基板の形状が異なる場合における問題点について図5を用いて説明する。
【0007】
図5は矩形状の対向基板と円形で一部にオリフラを有する素子基板とを貼り合わせるための貼り合わせ治具の構成を示す上面図である。図5(a)は貼り合わせ治具の構成を示す平面図であり、図5(b)はその側面図である。なお、図5(a)において左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とする。貼り合わせ治具はベース71とその上に設けられた治具60とを備えている。
【0008】
ベース71は矩形状の対向基板の外周全体を囲むように略ロの字状に形成されている。すなわち、ベース71は中央に基板に対応する貫通穴が設けられた略矩形形状をしている。そして、ベースの4辺の中央には対向基板を載置するためのステージ41が内側に設けられている。このステージ41の上に対向基板を配置する。ベース71の内側側面は対向基板の各辺とそれぞれ平行に設けられている。対向基板の各辺はX方向又はY方向のいずれかに対して平行に配置される。ベース71の内側には矩形状の対向基板が配置される。
【0009】
ベース71の上には4つの治具60が設けられている。4つの治具60はロの字状のベース71において、各辺の中央にそれぞれ配置される。すなわち、対向基板20の角部と角部との間に対応する位置に治具60が配置され、ステージ41と対応する位置となる。この各辺の中央に配置された治具60をそれぞれ治具60a〜60dとする。すなわち、ベース71の左辺に載置されたものを治具60aとする。ベース71の右辺に載置されたものを治具60bとする。ベース71の上辺に載置されたものを治具60cとする。ベース71の下辺に載置されたものを治具60dとする。それぞれの治具60は3つのねじ62でベース71に固定されている。
【0010】
治具60は3段の階段状に設けられている。この治具60の各段を下から順番に第1段、第1段、第3段とする。この第1段の内側に矩形状の対向基板が配置され、第1段の内側側面で対向基板の位置を規制する。第2段の内側に略円形の素子基板が配置され、第2段の内側側面で素子基板の水平方向の位置を規制する。この4つの治具60の内側に素子基板が配置される。素子基板の外周は対向基板の外周に対して斜めに配置される。
【0011】
治具60aと治具60bとは素子基板の中心点を挟んで対向する位置に配置されている。治具60cと治具60dとは素子基板の中心点を挟んで対向する位置に配置されている。治具60a、治具60b及び治具60cはそれぞれ同じ構成をしている。治具60a〜60cは円形の素子基板の外周に対応して略円弧状に切り欠かれた凹部63が設けられている。凹部63の円弧の半径は素子基板と治具60の内側側面が遊びを持つよう、素子基板の半径よりも若干大きめに設けられている。そして、この円弧状の凹部63が内側を向くように治具60a〜60cが配置されている。
【0012】
治具60dに対応する位置には素子基板のオリフラが配置されるため凹部63が設けられておらず、内側側面がX方向と平行に設けられている。これにより、オリフラ部分の位置が規制される。このように、治具60の内側側面は素子基板の外周形状に対応して形成されている。この治具60の内側に素子基板が配置される。この状態で素子基板と対向基板とが貼り合わせられる。
【0013】
通常、素子基板と治具との遊びは素子基板に用いられるガラス基板の加工精度を考慮して設けられている。すなわち、素子基板と治具との遊びはガラス基板の加工精度において最大となるガラス基板であっても入るよう設けられている。具体的には、ガラス基板の加工精度が150±0.1mmの時、設計上の片側の遊びは0.05mm以上で形成される。そして、この遊びを大きくすると位置合わせ精度が悪くなってしまう。
【0014】
このように位置合わせ精度の問題上、素子基板と治具との遊びはできる限り小さくすることが好ましい。しかし、治具の取り付け精度によって、治具の位置がずれて、素子基板が治具60に乗り上げてしまう。例えば、図14に示すように治具60aと治具60bとが相対的にX方向に0.5mmずれた場合、設計上の遊びが小さいと素子基板が治具60の内側に入らなくなる。すなわち、治具60aが治具60bに対して上側にずれている場合、加工精度内で加工された基板であっても凹部63の外側に素子基板の一部が配置されてしまうおそれがある。
【0015】
このような治具60のずれは、例えば、治具60とベース71とを固定するねじ62を取り付けるために治具60に設けられている貫通孔によって生じる。すなわち、貫通孔とねじの間には隙間が設けられているため、この隙間分だけ治具60がずれてベース71と固定されるおそれがある。この場合、治具60の上に素子基板が載ってしまい、治具60の内側に素子基板を配置させることができない。素子基板が治具60の上に載ってしまった場合、素子基板と対向基板とを貼り合わせることができない。設計上の遊びを小さくした場合、治具60の内側に入らない基板が、ガラス基板の加工精度に応じてある割合で発生してしまう。
【0016】
従来は、ガラス基板の加工精度が±0.1mmの時であっても、設計上の遊びを例えば、0.5mmと広めに取っていた。すなわち、直径150mmのガラス基板に対して、治具60の凹部63の半径を75.5mmとして治具60を形成していた。これにより、確実に素子基板を治具60の内側に載置することができる。しかし、これでは、位置合わせ精度が悪くなってしまい、位置ずれが生じるという問題点があった。
【0017】
【特許文献1】特開2000−36384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
このように従来の貼り合わせ治具では、位置ずれを小さくすると基板の確実に貼り合わせることができないという問題点があった。
【0019】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであって、位置ずれを小さした状態で基板を確実に貼り合わせることができる貼り合わせ治具及び表示装置の製造方法ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の態様にかかる貼り合わせ治具は、第1基板が載置される第1の支持部と、第1基板の水平方向の位置を規制する第1の段と、第2基板が載置される第2の支持部と、第2基板の水平方向の位置を規制する第2の段とが備えられ、第1基板の上方に第2基板が置かれ、基板面に垂直な方向において、第1基板と第2基板とを相対的に接近するように移動して第1基板と第2基板とを貼り合わせる貼り合わせ治具であって、第1基板と第2基板とは略平行になるように置かれ、基板面に平行な面に第1基板と第2基板とをそれぞれ投影した場合に、第2基板の外周の一部が第1基板の外側に位置し、かつ第2基板の外周の一部が第1基板の外周の一部に対して斜めになるように配置され、第2基板の外周の一部の形状に対応するように第2の段に設けられた凹部の側面で第2基板の水平方向の位置を規制し、凹部に、凹部の端部側から第2基板の外周形状に沿うように設けられた第1の規制部と、第1の規制部が設けられた端部と反対側の端部から第2基板の外周形状に沿うように設けられた第2の規制部と、第1の規制部と第2の規制部との間に位置する接続部とが形成されているものである。これにより、位置ずれを小さした状態で基板を確実に貼り合わせることができる。
【0021】
本発明の第2の態様にかかる貼り合わせ治具は、第1基板が載置される第1の支持部と、第1基板の水平方向の位置を規制する第1の段と、略矩形状で角部にコーナーカットが形成された第2基板が載置される第2の支持部と、第2基板の水平方向の位置を規制する第2の段とが備えられ、第1基板の上方に第2基板が置かれ、基板面に垂直な方向において、第1基板と第2基板とを相対的に接近するように移動して第1基板と第2基板とを貼り合わせる貼り合わせ治具であって、第1基板と第2基板とは略平行になるように置かれ、基板面に平行な面に第1基板と第2基板とをそれぞれ投影した場合に、第2基板のコーナーカットが第1基板の外側に位置するよう配置され、第2基板のコーナーカットの形状に対応するように第2の段に設けられた凹部の側面で第2基板の水平方向の位置を規制し、凹部に、凹部の端部側から第2基板の外周形状に沿うように設けられた第1の規制部と、第1の規制部が設けられた端部と反対側の端部から第2基板の外周形状に沿うように設けられた第2の規制部と、第1の規制部と第2の規制部との間に、コーナーカットに沿って設けられた接続部とが形成されているものである。これにより、位置ずれを小さした状態で基板を確実に貼り合わせることができる。
【0022】
本発明の第3の態様にかかる貼り合わせ治具は、上述の貼り合わせ治具において、第2基板の上に配置された遮光基板を支持する第3の支持部と、遮光基板の水平方向の位置を規制する第3の段をさらに備えるものである。
【0023】
本発明の第4の態様にかかる貼り合わせ治具は、上述の貼り合わせ治具において、接続部が第1の規制部と第2の規制部とを直線的に結ぶよう設けられているものである。これにより、位置ずれを低減することができる。
【0024】
本発明の第5の態様にかかる表示装置の製造方法は、第1基板と、第1基板の上方の第2基板とを略平行になるように配置し、基板面に平行な面に第1基板と第2基板とをそれぞれ投影した場合に、第2基板の外周の一部を第1基板の外側に位置するようにし、かつ、第2基板の外周の一部が第1基板の外周の一部に対して斜めになるように配置し、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる表示装置の製造方法であって、第1基板を所定の位置に配置するステップと、第1基板の位置に対して相対的固定位置にあり、第2基板の外周形状に対応している凹部の側面により第2基板の位置を規制するブロックであって、凹部に、凹部の端部側から第2基板の外周形状に沿うように配設してある第1の規制部と、第1の規制部のある端部と反対側の端部から第2基板の外周形状に沿うように配設してある第2の規制部と、第1の規制部と第2の規制部との間に位置する接続部とを有するブロックの内側に第2基板を配置するステップと、基板面に垂直な方向において、第1基板と第2基板とを相対的に接近するように移動して第1基板と第2基板とを貼り合わせるステップとを備えるものである。
【0025】
本発明の第6の態様にかかる表示装置の製造方法は、第1基板と、第1基板の上方の第2基板とを略平行になるように配置し、第2基板は略矩形状で角部にコーナーカットを有し、基板面に平行な面に第1基板と第2基板とをそれぞれ投影した場合に、第2基板のコーナーカットが第1基板の外側に位置する状態で第1基板と第2基板とを貼り合わせる表示装置の製造方法であって、第1基板を所定の位置に配置するステップと、第1基板の位置に対して相対的固定位置にあり、第2基板の外周形状に対応している凹部の側面により第2基板の位置を規制するブロックであって、凹部に、凹部の端部側から第2基板の外周形状に沿うように配設してある第1の規制部と、第1の規制部が設けられた端部と反対側の端部から第2基板の外周形状に沿うように配設してある第2の規制部と、第1の規制部と第2の規制部との間に、コーナーカットに沿って配設してある接続部とが形成してあるブロックの内側に第2基板を配置するステップと、基板面に垂直な方向において、第1基板と第2基板とを相対的に接近するように移動して第1基板と第2基板とを貼り合わせるステップとを備えるものである。これにより、位置ずれを小さくした状態で、確実に基板を貼り合わせることができる。
【0026】
本発明の第7の態様にかかる表示装置の製造方法は、上述の製造方法において、第1基板と第2基板との間に設けられたシール材を露光するための遮光パターンを有する遮光基板を第2基板の上方に配置するステップと、遮光基板を介してシール材を露光するステップとを有するものである。
【0027】
本発明の第8の態様にかかる表示装置の製造方法は、上述の製造方法において、第1基板を下方から押し上げた状態で遮光基板を介してシール材を露光するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば位置ずれを小さした状態で基板を確実に貼り合わせることができる貼り合わせ治具及び表示装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明を適用可能な実施の形態が説明される。以下の説明は、本発明の実施形態を説明するものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0030】
発明の実施の形態1.
図1を用いて、本実施形態にかかる有機EL表示装置の製造方法について詳細に説明する。図1は、有機EL表示装置の製造工程を示すフローチャートである。まず、有機EL素子を備える素子基板の製造方法について説明する。素子基板には厚さが例えば、0.7mm〜1.1mmのガラス基板を用いる(ステップS101)。ガラス基板には無アルカリガラス(例えば、旭硝子社製AN100)あるいはアルカリガラス(旭硝子社製AS)を用いることができる。
【0031】
このガラス基板上に陽極電極材料であるITOを成膜する(ステップS102)。ITOはスパッタや蒸着によって、ガラス基板全面に均一性よく成膜することができる。ここではDCスパッタ法により膜厚150nmで成膜する。フォトリソグラフィー及びエッチングによりITOパターンを形成する(ステップS103)。このITOパターンが陽極となる。レジストとしてはフェノールノボラック樹脂を使用し、露光現像を行う。エッチングはウェットエッチングあるいはドライエッチングのいずれでもよいが、ここでは塩酸及び硝酸の混合水溶液を使用してITOをパターニングした。レジスト剥離材としてはモノエタノールアミンを使用した。
【0032】
ITOパターンの上から補助配線材料を成膜する(ステップS104)。補助配線材料はAl、Al合金、Ag、Ag合金などの低抵抗性の金属材料を用い、スパッタ、蒸着によって成膜することができる。さらに下地との密着性を向上させるため、あるいは腐食を防止するために、Al膜の下層又は上層にTiNやCr、Mo、Mo合金等のバリア層を形成して補助配線を積層構造としても良い。このバリア層も蒸着あるいはスパッタにより形成できる。ここではDCスパッタ法により総厚が450nmのCr/Al/Crの積層膜やMo−Nb/Al/Mo−Nbの積層膜を補助配線材料として成膜する。MoよりもMo合金、例えば、Mo−W、Mo−Nb、Mo−V、Mo−Ta等を用いると、耐腐食性を向上することができる。また、補助配線材料は、DCスパッタ法のほか、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、電解めっき、無電解めっき等のめっき法で形成することもできる(WO03/086022公報参照)。
【0033】
この補助配線材料をフォトリソグラフィー及びエッチングによりパターニングして、補助配線パターン及びマークを形成する(ステップS105)。エッチングには燐酸、酢酸、硝酸等の混合水溶液よりなるエッチング液を使用することができる。なお、陽極材料と補助配線材料とを順に成膜し、その後に補助配線材料と陽極材料を順番にパターニングすることも可能である。この補助配線パターンにより、陽極又は陰極に信号が供給される。
【0034】
次に開口絶縁膜を形成する(ステップS106)。絶縁膜としては感光性のポリイミドをスピンコーティングして、フォトリソグラフィー工程でパターニングした後、キュアし画素に画素開口部を有する開口絶縁膜を形成する。同時に陰極と補助配線とのコンタクトホールを形成する。例えば、画素開口部を300μm×300μm程度、陰極と補助配線とのコンタクトホールを200μm×200μm程度で形成する。
【0035】
次に陰極隔壁を形成する(ステップS107)。陰極隔壁には、例えば、ノボラック樹脂を用いる。ノボラック樹脂をスピンコートして、フォトリソグラフィー工程でパターニングした後、光反応させて陰極隔壁を形成する。陰極隔壁が逆テーパ構造を有するようネガタイプの感光性樹脂を用いることが好ましい。ネガタイプの感光性樹脂を用いると、上から光を照射した場合、深い場所ほど光反応が不十分となる。その結果、上から見た場合、硬化部分の断面積が上の方より下の方が狭い構造を有する。これが逆テーパ構造を有するという意味である。このような構造にすると、その後、陰極の蒸着時に蒸着源から見て陰になる部分は蒸着が及ばないため、陰極同士を分離することが可能になる。さらに、開口部のITO層の表面改質を行うために、酸素プラズマ又は紫外線を照射してもよい。
【0036】
次に画素開口部の上に有機EL素子を形成する(ステップS108)。例えば、蒸着装置を用い、有機EL層と陰極を蒸着する。有機EL層は界面層、正孔輸送層、発光層、電子注入層等を構成要素とすることが多い。ただし、これとは異なる層構成を有する場合もある。有機EL層の厚さは通常100〜300nm程度である。界面層として銅フタロシアニン(CuPc)を厚さ10nm、正孔輸送層としてN,N'−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ジフェニル−ベンジジン(α‐NPD)を厚さ60nm、発光層としてAlqを厚さ50nm、電子注入層としてLiFを厚さ0.5nm蒸着する。上述の構成で正孔輸送層をα―NPDの代わりにトリフェニルジアミン(TPD)等のトリフェニルアミン系の物質を使用することもできる。
【0037】
陰極にはAlを使用することが多いが、Li等のアルカリ金属、Ag、Ca、Mg、Y、Inやそれらを含む合金を用いることもできる。陰極の厚さは通常50〜300nm程度であり、ここでは厚さ200nmのAlとする。陰極はこの他、スパッタリング、イオンプレーティングなどの物理的気相成長法(PVD)で形成することができる。これにより、有機EL素子を形成する。
【0038】
これらの工程により有機EL素子が複数形成された素子基板が製造される。通常一枚の基板には複数の有機EL素子を有する有機EL表示パネルが複数形成される。そして、各有機EL表示パネルを切断分離することにより、一枚のマザーガラスから複数の有機EL表示パネルが得られる。この工程については後述する。上述の有機EL素子基板の製造工程は典型的な有機EL表示装置に用いられる素子基板の製造工程の一例であり、上述の製造工程に限られるものではない。
【0039】
次に、有機EL素子を封止するための対向基板の製造工程について説明する。有機EL素子は空気中の水分により劣化するので、対向基板を用いて封止する。対向基板として厚さ0.7〜1.1mmのガラス基板を使用し(ステップS201)、素子基板と同様のものを用いることができる。そして、この対向基板を加工して、水分を捕獲する捕水材を配置するための捕水材収納部を設ける(ステップS202)。捕水材収納部は例えば、エッチングやサンドブラストにより、対向基板の一部を掘り込むことによって形成される。このとき、さらに捕水材収納部を囲むように土手が形成される。この捕水材収納部に捕水材を配置する(ステップS203)。捕水材には酸化カルシウム粉末や捕水テープなどが用いられる。
【0040】
そして、対向基板の捕水材収納部を設けた面に、ディスペンサを用いてシール材を塗布する(ステップS204)。シール材を、捕水材収納部周辺の土手の上に、開口を有するように設ける。封止用シールとしては感光性エポキシ樹脂が好ましい。例えば、光カチオン重合型エポキシ樹脂を用いることができ、素子基板と対向基板を貼り合わせるための接着材として機能する。上記の製造工程により封止基板(対向基板)を製造する。なお、上述の製造工程は典型的な一例であり、これに限られるものではない。
【0041】
次に素子基板と対向基板を貼り合わせて、有機EL素子を封止する(ステップS109)。この封止工程について後述する。次に、封止された基板を切断してそれぞれの有機EL表示パネルを分離する(ステップS110)。これにより、それぞれの有機EL表示パネルに分割できる。
【0042】
次に、駆動回路等を実装する(ステップS111)。素子基板には封止用シール材で囲まれた領域から外に補助配線12が延設されている。補助配線の外側の端部には端子部が形成されており、この端子部に異方性導電フィルム(ACF)を貼付け、駆動回路が設けられたTCP(Tape Carrier Package)を接続する。具体的には端子部にACFを仮圧着する。ACFは日立化成製アニソルム7106Uを用いている。仮圧着温度は80℃で、圧着圧力は1.0MPa、圧着時間は5秒である。ついで駆動回路が内蔵されたTCPを端子部に本圧着する。本圧着温度は170度で、圧着圧力は2.0MPa、圧着時間は20秒である。これにより駆動回路を実装する。この有機EL表示パネルを筐体に取り付け、有機EL表示装置が完成する(ステップS112)。
【0043】
本実施の形態では、素子基板には円形の基板が使用されており、対向基板には矩形の基板が使用されている。まず、素子基板の構成について図2を用いて説明する。図2は、素子基板10の有機EL素子等が形成される面の平面図である。図において、11は表示領域、12は補助配線、13は検査用表示領域である。
【0044】
図2は、貼り合わせる前の状態における、素子基板10を示している。例えば、素子基板10は、オリエンテーションフラット(以下、オリフラと称す)を有する直径約150mmのガラス基板である。すなわち、素子基板10は一部に直線状の切欠を有する円形のガラス基板である。素子基板10には6個の表示領域11と4個の検査用表示領域を設けている。表示領域11の大きさは50mm×25mm、検査用表示領域13の大きさは15mm×10mmである。素子基板10は、対向基板を貼り合わせて封止した後、対向基板とともに切断され、6個の有機EL表示パネルと4個の検査用パネルとなる。検査用パネルは、素子特性を測定するためのものである。なお、素子基板10の形状やサイズ、表示領域の形状やサイズ等の値は、製造される有機EL表示パネルに応じて任意の値とすることができる。
【0045】
また、表示領域11には、上述の工程により形成された陽極、有機EL層及び陰極等が形成されており、陽極及び陰極は補助配線12と接続されている。有機EL層は、例えば、ホール注入輸送層、発光層、電子注入輸送層が積層されている。この陽極と陰極を介して有機EL層に電流が供給されると、有機EL層の発光層が自発光する。
【0046】
図2における破線は、対向基板を貼り合わせたときに、対向基板に塗布された封止用シール材が接着する部分である。表示領域11及び検査用表示領域13の周辺が、接着部分となる。
【0047】
次に図3を用いて、本実施形態にかかる対向基板の構成について説明する。図3は、対向基板20のシール材が塗布される面の平面図である。この対向基板20は、図2に示した素子基板10と貼り合わせ、素子を封止する基板である。対向基板20には、凹部を掘り込んで素子基板10の表示領域11及び検査用表示領域13と対向する領域に捕水材収納部21が形成されている。この凹部には酸化カルシウムなどの捕水材が収納される。シール材が塗布される場所は掘り込まず凸型の土手25が形成されている。例えば、土手25の幅は、例えば、2.0mmや1.4mmであり、土手25の高さは、0.5mmである。図の破線は、封止用シール材を塗布する部分である。
【0048】
土手25の上には封止用のシール材が塗布される。このシール材が図2における点線の位置と接着した状態で素子基板10と対向基板20とが貼り合わされる。この素子基板10と対向基板20とを貼り合わせて、封止する工程について図4を用いて説明する。図4は封止工程における、基板及び貼り合わせ治具の構成を模式的に示す断面図である。40は昇降プレート、41はステージ、50は遮光基板、60は治具、71はベースである。
【0049】
ベース71の内側にはステージ41が設けられている。ステージ41とベース71は一体的に形成されており、同じ高さとなっている。すなわち、ベース71の内側に延設された部分が対向基板20を載置するステージ41となる。ステージ41の上には基板を貼り合わせるための治具60が設けられている。治具60は3段の階段状をしている。図4に示すように3段の治具60の各段を下から順番に第1段61、第2段64、第3段65とする。治具60の第1段61の内側面で対向基板20の水平方向の位置を規制する。そして、第1段61の頂面に素子基板10を載置する。第2段64の内側面で素子基板10の水平方向の位置を規制する。
【0050】
第2段64の頂面に遮光基板50が配置される。遮光基板50は第3段65の内側面で水平方向の位置が規制される。この階段状の治具60が貼り合わせ治具となる。治具60は一体的に形成されていてもよく、複数の部品で形成されていてもよい。ステージ41の中央部に設けられた貫通穴には昇降プレート40が配置されている。この貫通穴の大きさは対向基板20よりも小さくなっている。昇降プレート40は昇降可能に設けられている。素子基板10と対向基板20と遮光基板50とは、互いに略平行に配置される。
【0051】
まず、捕水材収納部21が上面に設けられた状態で対向基板20をステージ41の上に載置する。例えば、基板搬送ロボット(図示せず)の上に対向基板20を載置して、所定の位置まで対向基板20を移動させる。そして、昇降プレート40を上昇させて、対向基板20の受け渡しを行う。対向基板20が受け渡されたら、基板搬送ロボットを対向基板20の下から抜き出すよう移動させる。そして、昇降プレート40を下降させて、ステージ41の上に対向基板20を載置する。これにより、対向基板20の端部がステージ41の上に載置される。このとき、対向基板20は第1段61の内側に配置される。第1段61の内側の側面と対向基板20との間には若干の遊びが設けられている。そして、第1段61の内側の側面により、対向基板20の水平方向の位置が規制される。
【0052】
次に対向基板20の上に有機EL素子が下面に設けられた状態で素子基板10を配置させる。例えば、有機EL素子が上面に設けられた状態で基板搬送ロボットの上に素子基板10を載置する。素子基板10を吸引して、真空搬送ロボットに吸着させた状態で素子基板10を反転させる。これにより、有機EL素子が下面に設けられた状態となる。この状態で素子基板10が対向基板20の上に配置されるよう基板搬送ロボットを移動させる。さらに、素子基板10を下に移動して、吸引を停止すると、素子基板が基板搬送ロボットから解放され、第1段の上に載置される。ここで、第1段61は対向基板20の厚みよりも高く設けられているため、第1段61の頂面に素子基板10が載置される。治具60の第2段64の側面で素子基板10の水平方向の位置が規制される。第2段64の内側の側面と素子基板10との間には若干の遊びが設けられている。第2段64の内側の側面と素子基板10との間の遊びを図4(a)に示すようにaとする。
【0053】
さらに、遮光基板50を素子基板10と同様の手順で、素子基板10の上に配置させる。第2段64は素子基板10の厚さよりも高く形成されているため、第2段64の頂面に遮光基板50が載置される。遮光基板50は第3段65の側面で水平方向の位置が規制される。第3段65の内側の側面と遮光基板50との間には若干の遊びが設けられている。これにより図4(a)に示す構成となる。なお、遮光基板50の上に、さらに遮光基板が押し上げられるのを阻止するための固定用の基板を設置してもよい。
【0054】
素子基板10は有機EL素子が下面に設けられた状態で対向基板20の上に載置される。対向基板20の上面には上述の捕水材収納部21が設けられている。この状態で昇降プレート40を上昇させると図4(b)に示す状態となる。すなわち、下方から対向基板20が押し上げられ、対向基板20の上面と素子基板10の下面がシール材を介して密着する。さらに、素子基板10の上面と遮光基板50の下面が密着する。
【0055】
遮光基板50にはシール材として用いられている光硬化性樹脂を硬化するためのパターンが設けられている。すなわち、遮光基板50にはシール材が形成された位置に対応する開口部が設けられている。この状態で遮光基板50を介してシール材に紫外線を照射してシール材を硬化する。これにより、素子基板10と対向基板20とが接着し、貼り合わせられる。有機EL素子に紫外線によるダメージを与えないよう遮光基板50には有機EL表示領域に対応する領域に遮光パターンが設けられている。これにより、有機EL素子に紫外線照射によるダメージを与えずに、素子基板10と対向基板20とを貼り合わせ、有機EL素子を封止することができる。
【0056】
上述の貼り合わせ治具の構成について図5を用いて詳細に説明する。図5(a)は貼り合わせ治具の構成を模式的に示す平面図であり、図5(b)はその側面図である。なお、図5(a)において左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とする。矩形状の昇降プレート40が中央に配置され、その外側にはベース71が配置される。ベース71の上には治具60が配置される。治具60は昇降部レートの各辺の中央に配置されている。治具60は対向基板20の各辺に対応して設けられるため4個設けられている。そして、各治具60と昇降プレート40の間には対向基板20を載置するためのステージ41が配置されている。
【0057】
ベース71は矩形状の対向基板の外周全体を囲むように略ロの字状に形成されている。すなわち、ベース71は中央に基板に対応する貫通穴が設けられた略矩形形状をしている。そして、ベースの4辺の中央には対向基板を載置するためのステージ41が内側に設けられている。このステージ41の上に対向基板を配置する。ベース71の内側側面は対向基板20の各辺とそれぞれ平行に設けられている。対向基板の各辺はX方向又はY方向のいずれかに対して平行に配置される。ベース71の内側には矩形状の対向基板が配置される。
【0058】
ステージ41は矩形状の対向基板20の外縁を支持するように形成されている。ここでは、ステージ41はロの字状に形成されたベース71と一体的に形成されている。すなわち、ロの字型のベース71の各辺の中央部分が内側に突出しており、その突出部分がステージ41となる。従って、突出した部分が素子基板20を載置するためのステージ41となる。ステージ41は、素子基板20の外縁の各辺の中央部分を支持する。ステージ41と昇降プレート40の間には隙間が設けられている。各治具60はステージ41の外側に設けられている。
【0059】
それぞれのステージ41の外側には治具60が設けられている。4つの治具60はロの字状のベース71において、各辺の中央にそれぞれ配置される。すなわち、対向基板20の角部と角部との間に対応する位置に治具60が配置される。この各辺の中央に配置された治具60をそれぞれ治具60a〜治具60dとする。すなわち、ベース71の左辺に載置されたものを治具60aとする。ベース71の右辺に載置されたものを治具60bとする。ベース71の上辺に載置されたものを治具60cとする。ベース71の下辺に載置されたものを治具60dとする。それぞれの治具60は3つのねじ62でベース71に固定されている。この4つの治具60の内側に素子基板10が配置される。素子基板10の外周の一部は対向基板の各辺に対して斜めに傾いて配置される。
【0060】
治具60aと治具60bとは素子基板10の中心点を挟んで対向する位置に配置されている。治具60cと治具60dとは素子基板10の中心点を挟んで対向する位置に配置されている。治具60a、治具60b及び治具60cはそれぞれ略同じ形状をしている。治具60a、治具60b及び治具60cは円形の素子基板10の外周に対応して略円弧状に切り欠かれた凹部63が設けられている。すなわち、第2段64は一部が円弧状に切りかかれている。第2段の凹部63を設けるために切り欠かれた部分は第1段61の頂面となる。凹部63の円弧の半径は素子基板10と治具60の内側側面が遊びを持つよう、素子基板10の半径よりも若干大きめに設けられている。そして、この円弧状の凹部63が内側を向くように治具60a〜60cが配置されている。凹部63の両側は第2段64の頂面となり、遮光基板50が載置される。
【0061】
対向基板20の水平方向の位置は4つの治具60の第1段61の側面で規制される。すなわち、対向基板20のX方向は治具60a及び治具60bの第1段側面で規制され、Y方向は治具60c及び治具60dの第1段側面で規制される。素子基板10の水平方向の位置は治具60の第2段64の側面で規制される。すなわち、素子基板10は凹部63の内側に収納されるように配置される。遮光基板50は凹部63をまたがるように、凹部63の両側に設けられている第2段64の頂面に載置される。遮光基板50は第3段65の側面で水平方向の位置が規制される。
【0062】
なお、本発明において治具60aは素子基板10と治具60の内側側面との間の設計上の遊びaを小さくするため治具60b及び治具60cと異なる形状をしている。治具60aの詳細な構成については後述する。治具60dには素子基板10のオリフラが配置されるため凹部63が設けられておらず、内側側面がX方向と平行に設けられている。このように、治具60の内側側面は素子基板10の外周形状に対応して形成されている。
【0063】
ここで、治具60の形状について図6を用いて詳細に説明する。図6は治具60の形状を示す側面断面図である。図6は貼り合わせ治具60a、60bの端のねじ62の位置における側面断面図である。ベース71には治具60を固定するためにねじ穴が設けられている。そして、治具60にはベース71と固定するための貫通孔66が設けられている。ねじ62は治具60の貫通孔66を貫通して、ベース71のねじ穴と螺合される。これにより、治具60とベース71とが固定される。
【0064】
貫通孔66は通常、ねじ62の外径よりも若干広く設けられている。従って、貫通孔66とねじ62の間の隙間によって、治具60の位置がベース71に対して若干ずれることがある。この場合、素子基板10と治具60の側面との遊びaが小さくなる。従来の貼り合わせ治具では、貫通孔66とねじ62との間の隙間を考慮して、素子基板10と治具60の側面との遊びaを大きくしていた。しかし、これでは、素子基板10と対向基板20の貼り合わせ時における位置ずれを小さくすることができない。
【0065】
素子基板10と対向基板20との貼り合わせ時における位置ずれを小さくするためには、治具60の側面と素子基板10との間の設計上の遊びaを小さくすることが好ましい。従って、対向配置された治具60aと治具60bとの間で第2段64の内側面の間隔を素子基板10の大きさに近づけて設計することが好ましい。しかしながら、治具60に設けられている貫通孔66とねじ62との隙間によって対向する治具60aと治具60bとが水平方向にずれてベース71に取り付けられてしまった場合、素子基板10が治具60の内側に入らない場合がある。例えば、図5(a)のY方向に治具60aと治具60bとが相対的にずれてしまった場合、4つの治具60の中に素子基板10が納まらなくなってしまうおそれがある。
【0066】
このため、従来の貼り合わせ治具では対向する治具60間の設計上の遊びaを小さくすることができなかった。本発明では設計上の遊びaを小さくした場合でも、素子基板10が治具60の内側に入らなくなることを防ぐため治具60aの構成を変えている。この治具60aの構成について図7を用いて説明する。
【0067】
図7は対向配置された治具60aと治具60bとの構成を模式的に示す上面図である。図7(a)は治具60bを図示しており、図7(b)は治具60aを図示している。なお、図7では図5に対応させるため左右方向がY方向となり、上下方向がX方向となる。図7(a)に示すように治具60bの凹部63の円弧と素子基板10の中心は一致している。そして、治具60bの凹部63の半径は素子基板10と治具60bの内側側面が遊びを持つよう、素子基板10の半径よりも若干大きめに設けられている。これにより、治具60bの側面が素子基板10の外周と沿うように形成される。ここでは素子基板10の半径75mmに対して、凹部63の円弧の半径は設計上75.05mmで形成されている。従って、片側の設計上の遊びaは0.05mmとなる。
【0068】
治具60aの凹部63の半径は素子基板10と治具60aの内側側面が遊びを持つよう、素子基板10の半径よりも若干大きめに設けられている。ここでは素子基板10の半径75mmに対して、凹部63の円弧の半径は設計上75.05mmで形成されている。従って、片側の設計上の遊びaは0.05mmとなり、両側で設計上0.1mmの遊びが設けられている。凹部63には、素子基板10の対向基板20から外側にはみ出した部分が配置される。この素子基板10の外側にはみ出して配置された部分において、素子基板10の外周は対向基板20の外周と斜めに形成されている。
【0069】
治具60aは設計上の遊びaを小さくするため、凹部63の円弧が二つの中心を有している。凹部63の2つの中心はY方向に0.5mmずれている。すなわち、素子基板10の中心に対して、左右に0.25mmずつずれた位置に凹部63を構成するための円弧の中心が形成される。左側にずれた中心により治具60aの凹部63の左側が形成され、右方向にずれた中心により治具60aの凹部63の右側が形成される。そして、凹部63と右側と左側は直線で結ばれる。
【0070】
凹部63は異なる中心を持つ2つの円弧を備えて、その2つの円弧が直線で接続されている。すなわち、治具60aの素子基板10に対向する内側部分は、素子基板の外形に沿ったような形状に形成される。本実施の形態では、一つの円形形状ではなく、中心点が平面内でややずれた二つの円弧を、それらの内側端部を直線で結んだ形状を備えている。
【0071】
凹部63には素子基板10の対向基板20よりも外側に配置された部分が収納される。すなわち、基板面と平行な方向に投影した場合において、素子基板10の外周の一部が対向基板の外側に位置する。そして、外側に位置された素子基板10の外周の一部は、対向基板20の外周の一部に斜めになるように配置されている。
【0072】
この治具60aの凹部63の構成について図8を用いて詳細に説明する。図8は治具60aの凹部63の形状を模式的に示す拡大断面図である。図8では図7において点線Bで囲まれた治具60aのY方向における中心近傍を示している。図7を用いて説明したように、凹部63は異なる中心を持つ2つの円弧を備えている。そして、その円弧が直線で結ばれている。ここで、凹部63において、左側の中心に対応する円弧を第1の規制部69aとし、右側の中心に対応する円弧を第2の規制部69bとする。そして第1の規制部69aと第2の規制部69bとの間を接続する部分を接続部68とする。接続部68は第1の規制部69aと第2の規制部69bとを直線的に接続している。第1の規制部69aと第2の規制部69bとでは円弧の中心がY方向に0.5mmずれている。従って、接続部68の長さは2つの円弧の中心のずれに対応するため、0.5mmとなる。
【0073】
第1の規制部69aの中心は対向する位置に配置された治具60bの中心からY方向に沿って左側に0.25mmずれている。第2の規制部69bの中心は対向する位置に配置された治具60bの中心からY方向に沿って右側に0.25mmずれている。従って、左側の円弧の中心からY軸に下ろした垂線は第1の規制部69aと接続部68との境界で交差する。すなわち、左側の円弧の中心からY軸に下ろした垂線は第1の規制部69aと接続部68との境界線になる。
【0074】
接続部68との交点における第1の規制部69aの傾きはY方向と平行になり、接続部68と接続される。すなわち、接続部68は第1の規制部69aの接線となる。接続部68は第1の規制部69aよりも素子基板10及び対向基板20に対して外側に配置されていればよい。すなわち、接続部68はX方向において、第1の規制部69aよりも素子基板10及び対向基板20から離れる方向(図8における下方向)に配置されればよい。第1の規制部69aは凹部63の左側の端部から接続部68まで素子基板10の外周に沿って円弧状に形成されている。
【0075】
右側の円弧の中心からY軸に下ろした垂線は第2の規制部69bと接続部68との境界で交差する。第2の規制部69bの接続部68との交点における傾きはY方向と平行になり、接続部68と接続される。すなわち、接続部68は第1の規制部69aの接線となる。接続部68は第2の規制部69bよりも素子基板10及び対向基板20に対して外側に配置されていればよい。すなわち、接続部68はX方向において、第2の規制部69bよりも素子基板10及び対向基板20から離れる方向(図8における下方向)に配置されていればよい。このように、接続部68は第1の規制部69a及び第2の規制部69bよりも素子基板10及び対向基板20からX方向に離れた位置に配置される。すなわち、接続部68は第1の規制部69a及び第2の規制部69bよりも対向基板20及び素子基板10に対して外側に配置される。第2の規制部69bは凹部63の右側の端部から接続部68まで素子基板10の外周に沿って形成されている。
【0076】
上記の形状の治具60aが用いられることにより、素子基板10と治具60のX方向における遊びaを小さくできる理由について説明する。まず、治具60aが治具60bに対して相対的に右側にずれた状態で固定された場合について考える。この場合、素子基板10の中心が治具60bの凹部63の円弧の中心よりも左側に配置される。すなわち、素子基板10の外周は治具60aにおいて第1の規制部69a側に配置される。第1の規制部69aと素子基板10との遊びは、第2の規制部69bと素子基板10との遊びよりも狭くなる。
【0077】
例えば、第1の規制部69aの円弧の中心と、素子基板10の中心とが一致する位置までずれて治具60a及び治具60bとが固定されたとする。このときの素子基板10の位置を図8の点線で示された素子基板10aで示す。素子基板10aは直径が正確に75mmのもので示したいる。この場合、素子基板10aの外周と第1の規制部69aとの遊びは設計上の遊びと一致する。すなわち、素子基板10aの外周と治具60aの第1の規制部69aの内側側面とが平行になり、素子基板10aの外周と治具60aの第1の規制部69aとの遊びは0.05mmとなる。
【0078】
このとき、接続部68と素子基板10aとの遊び及び第2の規制部69bと素子基板10aとの遊びは第1の規制部69aと素子基板10aの遊びすなわち設計上の遊びa(ここでは0.05mm)よりも大きくなる。従って、接続部68と素子基板10aとの遊び及び第2の規制部69bと素子基板10aとの遊びは設計上の遊びaから右側に行くに従って大きくなっていく。第1の規制部69aの円弧は素子基板10よりも若干大きい半径で形成されているため、第1の規制部69aの内側に素子基板10が配置される。そして、設計上の遊びを小さくした場合であっても、治具60の取り付け精度によらず、治具60の凹部63の内側に素子基板10を配置することができる。
【0079】
次に治具60aが治具60bに対して相対的に左側にずれた状態で固定された場合について考える。この場合、素子基板10の中心が治具60bの凹部63の円弧の中心よりも右側に配置される。すなわち、素子基板10の外周は治具60aにおいて第2の規制部69b側に配置される。第2の規制部69bと素子基板10との遊びは、第1の規制部69aと素子基板10との遊びよりも狭くなる。
【0080】
例えば、第2の規制部69bの円弧の中心と、素子基板10の中心とが一致する位置までずれて治具60a及び治具60bとが固定されたとする。この時の素子基板10の位置を図8の点線で示された素子基板10bで示す。この場合、素子基板10bの外周は第2の規制部69bに沿って配置され、素子基板10bの外周と治具60aの第2の規制部69bとの遊びは設計上の遊びと一致する。すなわち、素子基板10bの外周と治具60aの第2の規制部69bの内側側面とが平行になり、素子基板10bの外周と治具60aの第2の規制部69bとの遊びは0.05mmとなる。
【0081】
このとき、接続部68と素子基板10bとの遊び及び第1の規制部69aと素子基板10bとの遊びは第2の規制部69bと素子基板10bの遊びすなわち設計上の遊びaよりも大きくなる。従って、接続部68と素子基板10bとの遊び及び第1の規制部69aと素子基板10bとの遊びは設計上の遊びaから左側に行くに従って大きくなっていく。第2の規制部69bの円弧は素子基板10よりも若干大きい半径で形成されているため、第2の規制部69bの内側に素子基板10が配置される。設計上の遊びを小さくした場合であっても、治具60の取り付け精度によらず、治具60の凹部63の内側に素子基板10bを配置することができる。従って、治具60と素子基板10との遊びすなわち凹部63の円弧の半径と素子基板10の半径の差を素子基板に用いるガラス基板の加工の最大公差まで小さくすることができる。
【0082】
治具60と素子基板10との遊びすなわち凹部63の円弧の半径と素子基板10の半径の差はガラス基板の加工の最大公差と一致させることが好ましい。すなわち、素子基板10となるガラス基板の加工精度が150mm±0.1mmの場合、治具60と加工誤差なしの素子基板10との遊びすなわち凹部63の円弧の半径と素子基板10の半径の差は0.1mm/2とすることが好ましい。この場合、片側の設計上の遊びは0.05mmとなる。
【0083】
さらに、治具60aの凹部63の2つの中心のずれ、すなわち接続部68の長さは貫通孔66とねじ62との隙間による治具60の位置ずれを考慮したときの、治具60aと治具60bの相対的な位置ずれの最大値と等しくさせることが好ましい。例えば、ねじと貫通孔66との直径が0.5mmであるとき、接続部68の長さは0.5mmとすることが好ましい。これにより、治具60aが治具60bに対して最大限のずれを持って固定された場合でも、素子基板10を4つの治具60の内側に配置させることができる。このような構成により、素子基板10と対向基板20との間の位置ずれを低減することができる。
【0084】
上述の構成の貼り合わせ治具を用いることにより、貼り合わせ時の位置精度を向上することができた。本発明にかかる貼り合わせ治具を用いた場合、貼り合わせ治具に入らないものは発生しなかった。このように本発明の構成により、貼り合わせ治具に入らない基板を発生させることなく、貼り合わせ精度を向上させることができる。よって、生産性を向上することができる。
【0085】
このような構成により、治具60aが治具60bに対してY方向に相対的にずれて固定された場合であっても、貼り合わせ治具に入らない基板を発生させることを防ぐことができる。これにより、治具60と素子基板10との設計上の遊びを小さくすることができ、貼り合わせ時の対向基板20と素子基板10との位置ずれを小さくすることができる。さらに、この治具60aを用いることにより、遊びを小さくした状態であっても、素子基板10をほぼ確実に治具の内側に配置することができる。
【0086】
本実施の形態において第1段61と第2段64と第3段とを有する治具60は一体的に形成されていなくても良い。例えば、図15に示すように対向基板20の四隅のみにおいて水平方向の位置を規制するように第1段61が形成されていてもよい。そして、図15に示す貼り合わせ治具では、第1段と分離した第2段64がそれぞれ各辺の中央に配置される。この場合、貼り合わせ治具60は第1段61を形成するベースブロックと、第2段64を形成するブロックの2種類のブロックを有する。これらのブロックは相対的に固定されていればよい。第1段61と第2段64とを分離して形成した場合であっても、貼り合わせ治具に入らない基板を発生させることなく、貼り合わせ精度を向上させることができる。また、図5に示す治具60において第1段61はベース71と一体的に形成されていてもよい。
【0087】
また、本実施の形態では第1段61の頂面が素子基板10を支持するための支持部となり、第2段64の頂面が遮光基板50を支持するための支持部となる。そして、ステージ41が対向基板20を支持するための支持部となる。もちろん、これに限らず、他の段を設けてそれぞれの基板を支持してもよい。さらに対向基板20は第1段61の側面で位置を規制しなくてもよく、例えば、所定の位置に配置されていればよい。この場合、第2段64の位置は対向基板20の位置に対して相対的に固定されていればよい。また、素子基板10と対向基板20とは相対的に接近するように貼り合わせればよい。
【0088】
発明の実施の形態2.
本実施の形態にかかる貼り合わせ治具について図9を用いて説明する。図9は本実施の形態にかかる貼り合わせ治具に基板を載置したときの構成を模式的に示す上面図である。本実施の形態では、矩形状の対向基板と三角形の素子基板を貼り合わせる貼り合わせ治具について説明を行う。実施の形態1と同様の構成については説明を省略する。また、封止工程及びそれ以外の工程についても実施の形態1と同様の工程であるため、説明を省略する。なお、本実施の形態においても素子基板と治具との間の設計上の遊びは0.05mmとしている。
【0089】
本実施の形態では素子基板10が三角形をしている。そのうちの一辺が対向基板20の一辺に沿って設けられた状態で、素子基板10は対向基板20の上に載置される。この対向基板20の一辺に沿って設けられた素子基板10の辺を底辺26とする。素子基板10の底辺26と対向基板の1辺とは平行に配置されている。素子基板10の頂角27は対向基板20の上側の辺の外側に配置される。すなわち、素子基板10の頂角27をなす2辺が素子基板10の底辺26に沿った対向基板20の辺と対向する辺を横切るよう素子基板10が配置される。頂角をなす2辺は対向基板20の外周に対して斜めに傾いて配置される。三角形の素子基板10の頂点のそれぞれは対向基板20の外側に配置される。
【0090】
本実施の形態では貼り合わせ治具がロの字型のベースブロック72とベースブロック72の上に設けられた3つのブロック73を有している。ベースブロック72が、対向基板20の水平方向の位置を規制する第1段61となり、ブロック73が素子基板10の水平方向の位置を規制する第2段64となる。なお、第3段については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。ベースブロック72とブロック73とはねじ等により固定されている。
【0091】
対向基板20は略ロの字型のベースブロック72によって形成される第1段61の内側面によって、水平方向の位置が規制される。例えば、ロの字型のベースブロック72の四隅は対向基板20の角に対応した形状をしており、四隅で対向基板20のX方向及びY方向の位置を規制する。ベースブロック72の上には3つのブロック73が固定されている。3つのブロック73によって形成される第2段64の内側面によって、素子基板10の水平方向の位置が規制される。
【0092】
ブロック73は素子基板10の各頂点に対応する位置に配置される。ブロック73の側面で素子基板10のXY方向の位置を規制する。2つのブロック73b、73cは底辺26の両端に設けられている。もう一つのブロック73aは頂角27に対応する位置に設けられている。ブロック73aは対向基板20の一辺の中央近傍に配置されている。このように三角形の素子基板10の各頂点に対応する位置にはブロック73がそれぞれ配置されている。ブロック73はねじ等によりベースブロック72の上に固定される。対向基板20はベースブロック72の内側に配置される。ベースブロック72によって形成された第1段61の内側側面で対向基板20の水平方向の位置が規制される。
【0093】
ブロック73b、73cは底辺26の両端の頂点に対応して形成されている。ブロック73bとブロック73cはL字状に形成されている。Lの字型のブロック73b及びブロック73cは内側側面で素子基板10の位置を規制するよう互いに対称に設けられている。これにより、素子基板10のY方向の位置が規制される。ブロック73から形成される第2段64で素子基板10の水平方向の位置を規制する。
【0094】
頂角27に対応するブロック73aには素子基板10の外周形状に対応した凹部63が形成されている。凹部63は三角形の頂点に対応して略くの字状に形成されている。この凹部63の構成について図10を用いて説明する。図10はブロック73aの凹部63の構成を示す拡大断面図である。
【0095】
凹部63には頂角27をなす2辺に沿って形成された2つの規制部69と2つの規制部69を接続する接続部68とが設けられている。2つの規制部69のうち、左側のものを第1の規制部69aとし、右側のものを第2の規制部69bとする。接続部68は第1の規制部69aと第2の規制部69bとを直線で接続している。このように第1の規制部69aと接続部68と規制部69bとによって、凹部63は台形状に設けられている。第1の規制部69aと接続部68との交点を凹部63の第1の頂点28aとし、第2の規制部69bと接続部68との交点を凹部63の第2の頂点28bとする。
【0096】
第1の規制部69aは素子基板10の頂角をなす2辺の左側の辺と平行に設けられている。一方、第2の規制部69bは素子基板10の頂角をなす2辺の右側の辺と平行に設けられている。規制部69は底辺から傾いて設けられている。第1の規制部69aは凹部63の左側の端部から接続部68まで、素子基板10の1辺に沿って設けられている。第2の規制部69bは凹部63の右側の端部から接続部68まで、素子基板の1辺に沿って設けられている。接続部68はY方向に平行な直線で、第1の規制部69aと第2の規制部69bとを接続するよう設けられている。なお、凹部63において接続部68は規制部69よりも素子基板10及び対向基板20に対して外側に配置されていればよい。すなわち、接続部68はX方向において、規制部69よりも素子基板10及び対向基板20から離れる方向に配置されている。
【0097】
上記の構成のブロック73aが用いられることにより、素子基板10とブロック73のX方向における設計上の遊びaを小さくできる理由について説明する。まず、ブロック73aが他のブロック73に対して相対的に右側にずれた状態で固定された場合について考える。この場合、素子基板10の頂点がブロック73aの凹部63において左側に配置される。すなわち、素子基板10の外周はブロック73aにおいて第1の規制部69a側に配置される。第1の規制部69aと素子基板10との遊びは、第2の規制部69bと素子基板10との遊びよりも狭くなる。
【0098】
例えば、素子基板10の頂点が凹部63の第1の頂点28a近傍までY方向にずれてブロック73aが固定されたとする。この時の素子基板10の位置を図10の点線で示された素子基板10aで示す。この場合、素子基板10aの外周とブロック73の第1の規制部69aとの遊びは設計上の遊びと一致する。すなわち、素子基板10aの外周とブロック73の第1の規制部69aの内側側面とが平行になり、素子基板10aの外周とブロック73の第1の規制部69aとの遊びは0.05mmとなる。
【0099】
このとき、接続部68と素子基板10aとの遊びは第1の規制部69aと素子基板10の遊びよりも大きくなる。従って、接続部68と素子基板10aとの遊びは設計上の遊びから右側に行くに従って大きくなっていく。素子基板10aと第2の規制部69bとの遊びは素子基板10aと第1の規制部69aとの間の遊びよりも接続部68の長さに応じて大きくなる。このような構成により第1の規制部69aの内側に素子基板10aが配置される。そして、設計上の遊びを小さくした場合であっても、ブロック73の取り付け精度によらず、ブロック73の凹部63の内側に素子基板10を配置することができる。
【0100】
次にブロック73aが他のブロック73に対して相対的に左側にずれた状態で固定された場合について考える。この場合、素子基板10の頂点がブロック73aの凹部63において右側に配置される。すなわち、素子基板10の外周はブロック73aにおいて第2の規制部69b側に配置される。第2の規制部69bと素子基板10との遊びは、第1の規制部69aと素子基板10との遊びよりも狭くなる。
【0101】
例えば、素子基板10の頂点が凹部62の第2の頂点28b近傍までY方向にずれてブロック73aが固定されたとする。この時の素子基板10の位置を図10の点線で示された素子基板10bで示す。この場合、素子基板10bの外周とブロック73aの第2の規制部69bとの遊びは設計上の遊びと一致する。すなわち、素子基板10bの外周とブロック73aの第2の規制部69bの内側側面とが平行になり、素子基板10bの外周とブロック73aの第2の規制部69bとの遊びは0.05mmとなる。
【0102】
このとき、接続部68と素子基板10bとの遊びは第2の規制部69bと素子基板10bの遊びよりも大きくなる。従って、接続部68と素子基板10bとの遊びは0.05mmから左側に行くに従って大きくなっていく。一方、素子基板10bと第1の規制部69aとの遊びは素子基板10bと第2の規制部69bとの間の遊びよりも接続部68の長さに応じて大きくなる。このような構成により第2の規制部69bの内側に素子基板10bが配置される。そして、設計上の遊びを小さくした場合であっても、ブロック73の取り付け精度によらず、ブロック73の凹部63の内側に素子基板10を配置することができる。
【0103】
このような構成により、ブロック73aが他のブロック73b、73cに対してY方向にずれて固定された場合であっても、第2段64の内側に素子基板10を載置することができる。これにより、Y方向におけるブロック73b、ブロック73cと素子基板10との遊びを小さくすることができ、貼り合わせ時の対向基板20と素子基板10との位置ずれを小さくすることができる。さらに、このブロック73aを用いることにより、設計上の遊びを小さくした状態であっても、素子基板10をほぼ確実にブロック73の内側に配置することができる。
【0104】
ブロック73と素子基板10との遊びはガラス基板の加工精度の最大誤差と一致させることが好ましい。すなわち、ガラス基板の加工精度が150mm±0.1mmの場合、ブロック73と素子基板10との片側の設計上の遊びは0.05mmとすることが好ましい。さらに、接続部68の長さはブロック73を固定するねじと貫通孔との間における隙間による位置ずれを考慮したときの、ブロック73aとブロック73b、ブロック73cの相対的な位置ずれの最大値と等しくさせることが好ましい。これにより、ブロック73aが他のブロック73に対して最大のずれを持って固定された場合でも、素子基板10をブロック73の内側に配置させることができる。このような構成により、素子基板10と対向基板20との間の位置ずれを低減することができる。
【0105】
なお、上述の説明では、簡略化のため遮光基板50について省略したが、遮光基板50は実施の形態1と同様に素子基板10の上に載置される。そして、実施の形態1と同様に露光して対向基板20と素子基板10とを貼り合わせる。
【0106】
本実施の形態では、ブロック73が実施の形態1における第1段61となり、ベースブロック72が実施の形態1における第2段64となる。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、実施の形態1における第3段65及び遮光基板50については同様の構成をしているため説明を省略する。
【0107】
発明の実施の形態3.
本実施の形態にかかる貼り合わせ治具について図11を用いて説明する。図11は本実施の形態にかかる貼り合わせ治具に基板を載置したときの構成を示す上面図である。本実施の形態では、矩形状の対向基板と楕円形の素子基板を貼り合わせる貼り合わせ治具について説明を行う。実施の形態1及び実施の形態2と同様の構成については説明を省略する。また、封止工程及びそれ以外の工程についても実施の形態1と同様の工程であるため、説明を省略する。なお、本実施の形態においても素子基板と治具との設計上の遊びは0.05mmとしている。
【0108】
矩形形状の対向基板20の上には楕円形状の素子基板10が配置される。素子基板10の一部は対向基板20の上から外側にはみ出して、配置される。素子基板10の外周は対向基板20の辺に対して斜めに傾いて配置されている。この素子基板10のはみ出した部分に対応する位置には素子基板10の水平方向の位置を規制するためのブロック73が設けられている。
【0109】
本実施の形態では貼り合わせ治具がロの字型のベースブロック72とベースブロック72の上に設けられた4つのブロック73を有している。ベースブロック72が、対向基板20の水平方向の位置を規制する第1段61となり、ブロック73が素子基板10の水平方向の位置を規制する第2段64となる。4つのブロック73はベースブロック72の各辺の中央に配置される。なお、第3段については実施の形態1と同様であるため説明を省略する。ベースブロック72とブロック73とはねじ等により固定されている。
【0110】
ベースブロック72は実施の形態2と同様の形状をしている。したって、第1段61は上述の実施の形態2と同様にベースブロック73の四隅により形成され、その内部に矩形状の対向基板20が載置される。第1段61上の各辺の中央にはブロック73が固定されている。ブロック73のそれぞれを図11に示すようにブロック73a〜ブロック73dとする。このブロック73が素子基板10の水平方向の位置を規制するための第2段64となる。ブロック73の内側には素子基板の外周形状に対応した凹部63がそれぞれ設けられている。
【0111】
この凹部63の構成について図12を用いて説明する。凹部63は実施の形態1で示した構成と同様の構成をしている。そして、第1の規制部69a及び第2の規制部69bが素子基板10に対応してそれぞれ楕円形状をしている。すなわち、規制部69は素子基板10の外周形状に沿った形状をしている。この第1の規制部69aと第2の規制部69bとの間に接続部68が設けられている。規制部69の楕円の径は、素子基板10の楕円の径よりも若干大きくなっている。第1の規制部69aと第2の規制部69bとの中心は位置がY方向にずれている。この中心のずれ量は接続部68の長さと等しくなっている。この規制部69及び接続部68については実施の形態1と同様の構成をしているため詳細な説明については省略する。
【0112】
上記の構成のブロック73aが用いられることにより、素子基板10とブロック73のX方向における遊びaを小さくできる理由について説明する。まず、ブロック73aがブロック73bに対して相対的に右側にずれた状態で固定された場合について考える。この場合、素子基板10の外周はブロック73aにおいて第1の規制部69a側に配置される。第1の規制部69aと素子基板10との遊びは、第2の規制部69bと素子基板10との遊びよりも狭くなる。
【0113】
例えば、第1の規制部69aの楕円の中心が素子基板10の楕円の中心に対応する位置までY方向にずれてブロック73aが固定されたとする。この時の素子基板10の位置を図12の点線で示された素子基板10aで示す。この場合、素子基板10aの外周と第1の規制部69aとの遊びは設計上の遊びと一致する。すなわち、素子基板10aの外周とブロック73aの第1の規制部69aの内側側面とが平行になり、素子基板10の外周とブロック73aの第1の規制部69aとの遊びは0.05mmとなる。
【0114】
このとき、接続部68と素子基板10aとの遊び及び第2の規制部69bと素子基板10aとの遊びは第1の規制部69aと素子基板10aの遊びよりも大きくなる。従って、接続部68と素子基板10aとの遊び及び第2の規制部69bと素子基板10aとの遊びは設計上の遊びから右側に行くに従って大きくなっていく。このように、第1の規制部69aは素子基板10の外周よりも若干大きく形成されているため、第1の規制部69aの内側に素子基板10が配置される。そして、設計上の遊びを小さくした場合であっても、ブロック73の取り付け精度によらず、ブロック73の凹部63の内側に素子基板10を配置することができる。
【0115】
次にブロック73aが他のブロック73に対して相対的に左側にずれた状態で固定された場合について考える。この場合、素子基板10の外周はブロック73aにおいて第2の規制部69b側に配置される。第2の規制部69bと素子基板10との遊びは、第1の規制部69aと素子基板10との遊びよりも狭くなる。
【0116】
例えば、第2の基板69bの楕円の中心が素子基板10の楕円の中心に対応する位置までY方向にずれてブロック73aが固定されたとする。この時の素子基板10の位置を図12の点線で示された素子基板10bで示す。この場合、素子基板10bの外周は第2の規制部69bに沿って配置され、素子基板10bの外周とブロック73aの第2の規制部69bとの遊びは設計上の遊びと一致する。すなわち、素子基板10bの外周とブロック73aの第2の規制部69bの内側側面とが平行になり、素子基板10bの外周とブロック73aの第2の規制部69bとの遊びは0.05mmとなる。
【0117】
このとき、接続部68と素子基板10bとの遊び及び第1の規制部69aと素子基板10bとの遊びは第2の規制部69bと素子基板10bとの遊びよりも大きくなる。従って、接続部68と素子基板10bとの遊び及び第1の規制部69aと素子基板10bとの遊びは設計上の遊びから左側に行くに従って大きくなっていく。このように、第1の規制部69aは素子基板10bの外周よりも若干大きく形成されているため、第1の規制部69aの内側に素子基板10bが配置される。そして、設計上の遊びを小さくした場合であっても、ブロック73の取り付け精度によらず、ブロック73の凹部63の内側に素子基板10bを配置することができる。従って、ブロック73と素子基板10との遊びすなわち凹部63の楕円の径と素子基板10の径の差を素子基板に用いるガラス基板の加工精度の誤差まで小さくすることができる。
【0118】
これにより、ブロック73と素子基板10との遊びを小さくすることができ、貼り合わせ時の対向基板20と素子基板10との位置ずれを小さくすることができる。さらに、このブロック73aを用いることにより、設計上の遊びを小さくした状態であっても、素子基板10をほぼ確実にブロック73の内側に配置することができる。このような構成のブロック73はブロック73aに限らず、ブロック73cに対しても用いることができる。この場合、ブロック73cの凹部63は素子基板10の外周に対応して形成する。これにより、X方向及びY方向のいずれに対しても設計上の遊びを小さくすることができる。
【0119】
ブロック73と素子基板10との遊びはガラス基板の加工精度の最大誤差と一致させることが好ましい。すなわち、ガラス基板の加工精度が150mm±0.1mmの場合、ブロック73と素子基板10との片側の設計上の遊びは0.05mmとすることが好ましい。さらに、接続部68の長さはブロック73の貫通孔66とねじの隙間による位置ずれを考慮したときの、ブロック73aとブロック73bとの相対的な位置ずれの最大値と等しくさせることが好ましい。これにより、ブロック73aが他のブロック73に対して最大のずれを持って固定された場合でも、素子基板10を第2段64の内側に配置させることができる。このような構成により、素子基板10と対向基板20との間の位置ずれを低減することができる。
【0120】
本発明は実施の形態1〜3で示した基板構成に限られるものではない。すなわち、本発明にかかる貼り合わせ治具は、任意の形状の基板を貼り合わせるときに使用することができる。本発明にかかる貼り合わせ治具は、対向基板20と、一部が対向基板20の外側に配置された状態で対向基板20の上に載置され、対向基板20の外側に配置された部分において、外周の少なくとも一部が対向基板20の外周に対して斜めに形成された素子基板10とを貼り合わせることができる。本発明にかかる貼り合わせ治具は側面において対向基板の位置を規制する第1段61と、対向基板の外側に設けられた第2段64とを有するものであればよい。
【0121】
第1段61と第2段64とは一体的に形成されていてもよく、分離して形成されていてもよい。分離して形成されている場合、ねじ等により第1段61と第2段64との位置を相対的に固定する。そしてブロック73は、素子基板10の外周形状に対応して切り欠かれた凹部63の側面で前記素子基板の位置を規制するものであればよい。この凹部63が端部から素子基板の外周形状に沿うように設けられた第1の規制部69aと、第1の規制部69aが設けられた端部と反対側の端部から素子基板の外周形状に沿うように設けられた第2の規制部69bと、第1の規制部69aと第2の規制部69bとの間に設けられ、第1の規制部69aと第2の規制部69bとを接続する接続部68とを備えていればよい。また、それぞれの基板は任意の大きさのものを用いることができる。もちろん、下側に配置される基板は矩形以外の基板であってもよい。
【0122】
このように上下で異なる形状の基板が貼り合わされた表示装置、様々な利用が考えられる。例えば、一方の基板を複雑な外形形状をもつ図形、たとえば、アニメーションのキャラクターや、非矩形の外形形状、三角形、六角形、曲線を備える外形形状、円形、楕円形、または、それらが部分的に組み合わされた外形形状等の形状に対応するとすることにより、様々な形状に対応する表示装置を製造することができる。さらには一方の基板に円形に近い形状とすることにより、車載メータなどのメータとして用いることができる。
【0123】
なお、上述の説明では対向基板が下で、素子基板が上に配置されたが、反対であってもよい。すなわち、素子基板が下で、対向基板が上に配置されてもよい。この場合、対向基板の一部が素子基板の外側にはみ出す構成となる。このはみ出した部分において、素子基板の外周は対向基板の各辺に対して斜めに傾いた構成となる。そして、第2段64は対向基板の外周形状に対応した凹部を備えている。
【0124】
本実施の形態では、ブロック73が実施の形態における第1段61となり、ベースブロック72が実施の形態1における第2段64となる。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、実施の形態1における第3段65及び遮光基板50については同様の構成をしているため説明を省略する。
【0125】
発明の実施の形態4.
本実施の形態にかかる貼り合わせ治具は矩形状の対向基板と矩形状で角部にコーナーカットが設けられている素子基板に対して用いるものである。実施の形態1〜3と同様の構成については説明を省略する。また、封止工程及びそれ以外の工程についても実施の形態1と同様の工程であるため、説明を省略する。本実施の形態では矩形状同士の基板の位置ずれをコーナーカットにより小さくしている。すなわち、本実施の形態ではコーナーカットを利用して、設計上の遊びを小さくしている。なお、本実施の形態においても素子基板と治具との設計上の遊びは0.05mmとしている。
【0126】
本実施の形態では、上述の実施の形態2と同様の構成を有するベースブロック72により形成される第1段61の内側に対向基板20を載置する。ベースブロック721の各頂点の上には素子基板10の各頂点に対応するブロック73が固定される。ブロック73は矩形状の素子基板の位置を規制するため、実施の形態2におけるブロック73b、ブロック73cと同様にL字型に形成されている。これらの構成については上述の実施の形態と同様の構成であるため説明を省略する。
【0127】
ベースブロック72が第1段61となり、対向基板20の水平方向の位置を規制する。ブロック73が第2段64となり、素子基板10の水平方向の位置を規制する。本実施の形態では矩形状の対向基板よりも大きい素子基板10を用いている。L字型のブロックはコーナーカット以外の角に対応する部分に配置される。すなわち、矩形状の素子基板の3つの角部に対応して配置される。
【0128】
本発明では素子基板10のコーナーカットに対応して配置されたブロック73aの形状がコーナーカットの外周形状に対応して設けられている。そして、素子基板10と第2段64の内側側面との設計上の遊びを小さくした状態であっても、コーナーカットを利用することにより、確実に素子基板を治具の内側に配置することができる。これにより、位置ずれを小さくすることができる。
【0129】
このコーナーカットを利用して、位置ずれを小さくする構成について図13を用いて説明する。図13はコーナーカット部分に配置されるブロック73aの構成を模式的に示す上面図である。図13では素子基板10の各辺はX方向又はY方向に平行に配置されている。すなわち、素子基板10の一辺がX方向と平行に設けられ、X方向と平行な辺と隣りの辺はY方向と平行に設けられている。対向基板の各辺もX方向又はY方向と平行に配置されている。素子基板10の右上の角は各辺から傾いて切り欠かれている。すなわち、この素子基板10の角部の切欠がコーナーカットとなる。
【0130】
ブロック73aはこのコーナーカット29に対応した位置に設けられている。そして、素子基板10の外周形状に対応した凹部63が形成されている。凹部63はX方向に沿った第1の規制部69aと、Y方向に沿って設けられた第2の規制部69bと、第1の規制部69aと第2の規制部69bとの間に設けられた接続部68とを備えている。接続部68はコーナーカット29の形状に沿ってX方向から傾いて形成されている。そして、第1の規制部69aと第2の規制部69bとを直線的に接続している。接続部68はコーナーカット29と略平行に設けられている。接続部68はコーナカット29よりも長く設けられている。
【0131】
ここで、ブロック73aが対向する位置に配置されたブロック73に対して矢印の方向にずれて固定された場合について説明する。まず、ブロック73aが左上の方向にずれた場合について説明する。この場合、素子基板10は相対的に右下に配置される。この時、素子基板10の位置を素子基板10aで示す。素子基板10aは第2の規制部69bよりも第1の規制部69a側に配置される。
【0132】
この場合、素子基板10aのY方向に略平行な辺とブロック73aの第1の規制部69aとの遊びは設計上の遊びと一致する。すなわち、素子基板10aのY方向に平行な辺とブロック73aの第1の規制部69aの内側側面とが平行になり、素子基板10のY方向に平行な辺とブロック73aの第1の規制部69aとの遊びは0.05mmとなる。
【0133】
このとき、接続部68と素子基板10aとの遊びも設計上の遊びと一致する。すなわち、接続部68はコーナーカット29と平行に設けられているため、矢印の方向にずれた場合であっても、設計上の遊びと一致する。これにより、接続部68と素子基板10aとの遊びは0.05mmとなる
【0134】
一方、素子基板10aと第2の規制部69bとの遊びは素子基板10bと第1の規制部69aとの間の遊びよりも接続部68の長さに応じて大きくなる。このような構成により第1の規制部69aの内側に素子基板10aが配置される。そして、設計上の遊びを小さくした場合であっても、ブロック73の取り付け精度によらず、ブロック73の凹部63の内側に素子基板10を配置することができる。
【0135】
次にブロック73aが右下の方向にずれた場合について説明する。この場合、素子基板10は相対的に左上に配置される。この時、素子基板10の位置を素子基板10bで示す。素子基板10bは第1の規制部69aよりも第2の規制部69b側に配置される。
【0136】
この場合、素子基板10bのX方向に平行な辺とブロック73aの第2の規制部69bとの遊びは設計上の遊びと一致する。すなわち、素子基板10bのX方向に平行な辺とブロック73aの第2の規制部69bの内側側面とが平行になり、素子基板10のX方向に平行な辺とブロック73aの第2の規制部69bとの遊びは0.05mmとなる。
【0137】
このとき、接続部68と素子基板10bとの遊びも設計上の遊びと一致する。すなわち、接続部68はコーナーカット29と平行に設けられているため、矢印の方向にずれた場合であっても、設計上の遊びと一致する。これにより、接続部68と素子基板10bとの遊びは0.05mmとなる
【0138】
一方、素子基板10bと第1の規制部69aとの遊びは素子基板10bと第1の規制部69aとの間の遊びよりも接続部68の長さに応じて大きくなる。そして、接続部68はコーナーカットよりも長く設けられている。このような構成により第2の規制部69bの内側に素子基板10bが配置される。そして、設計上の遊びを小さくした場合であっても、ブロック73の取り付け精度によらず、ブロック73の凹部63の内側に素子基板10を配置することができる。
【0139】
このような構成により、ブロック73aが他のブロック73に対して矢印の方向にずれて固定された場合であっても、基板を内側に載置することができる。これにより、ブロック73と素子基板10との間の設計上の遊びを小さくすることができ、貼り合わせ時の対向基板20と素子基板10との位置ずれを小さくすることができる。さらに、このブロック73aを用いることにより、遊びを小さくした状態であっても、素子基板10をほぼ確実にブロック73の内側に配置することができる。
【0140】
さらにコーナーカット29が1つの辺の両端の角にそれぞれ形成されている場合、いずれの方向に対しても位置ずれを低減することができる。すなわち、図13における矢印の方向と傾斜した方向において位置ずれを低減することができる。よって、水平方向のいずれの方向においても、位置ずれを低減することができる。コーナーカット29を利用して、位置ずれを低減する場合、コーナーカット29を大きめに形成することが好ましい。例えば、直角の角部を6mm×6mmで切り欠いてコーナーカット29を形成するようにしてもよい。
【0141】
ブロック73と素子基板10との遊びはガラス基板の加工精度の最大誤差と一致させることが好ましい。すなわち、ガラス基板の加工精度が150mm±0.1mmの場合、ブロック73と素子基板10との遊びは0.05mmとすることが好ましい。さらに、接続部68の長さはブロック73の貫通孔とねじとの間の隙間による位置ずれを考慮したときの、ブロック73aとブロック73b、ブロック73cの相対的な位置ずれの最大値とコーナーカットの長さとの和に等しくさせることが好ましい。これにより、ブロック73aが他のブロック73に対して最大のずれを持って固定された場合でも、素子基板10をブロック73の内側に配置させることができる。このような構成により、素子基板10と対向基板20との間の位置ずれを低減することができる。
【0142】
本実施の形態では、ブロック73が実施の形態における第1段61となり、ベースブロック72が実施の形態1における第2段64となる。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに、実施の形態1における第3段65及び遮光基板50については同様の構成をしているため説明を省略する。
【0143】
本発明にかかる貼り合わせ治具は、2枚の基板を貼り合わせて製造される表示装置の製造方法に好適である。本発明にかかる貼り合わせ治具は有機EL表示装置に限らず、液晶表示装置などの2枚の基板が貼り合わせることにより製造される表示装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の実施にかかる有機EL表示装置の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる素子基板の構成の一例を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる対向基板の構成の一例を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1の封止工程における基板及び貼り合わせ治具の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】矩形状の対向基板と円形の素子基板とを貼り合わせるための貼り合わせ治具の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1における基板及び貼り合わせ治具の構成を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1にかかる貼り合わせ治具の構成を模式的に上面図である。
【図8】本発明の実施の形態1にかかる貼り合わせ治具の構成を模式的に示す拡大平面図である。
【図9】本発明の実施の形態2における基板及び貼り合わせ治具の構成の一例を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2にかかる貼り合わせ治具の構成を模式的に示す拡大平面図である。
【図11】本発明の実施の形態3における基板及び貼り合わせ治具の構成の一例を示す断面図である。
【図12】本発明の実施の形態3にかかる貼り合わせ治具の構成を模式的に示す拡大平面図である。
【図13】本発明の実施の形態4にかかる貼り合わせ治具の構成を模式的に示す拡大平面図である。
【図14】従来例の貼り合わせ治具の構成を上面図である。
【図15】本発明の実施の形態1にかかる別の貼り合わせ治具の構成を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0145】
10 素子基板
11 表示領域
12 補助配線
13 検査用表示領域
20 対向基板
21 捕水材収納部
25 土手
26 底辺
27 頂角
28 頂点
29 コーナーカット
40 昇降プレート
41 ステージ
50 遮光基板
60 治具
61 第1段
62 ねじ
63 凹部
64 第2段
65 第3段
66 貫通孔
68 接続部
69a 第1の規制部
69b 第2の規制部
70 ねじ
71 ベース
72 ベースブロック
73 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板が載置される第1の支持部と、
第1基板の水平方向の位置を規制する第1の段と、
第2基板が載置される第2の支持部と、
第2基板の水平方向の位置を規制する第2の段とが備えられ、
第1基板の上方に第2基板が置かれ、
基板面に垂直な方向において、第1基板と第2基板とを相対的に接近するように移動して第1基板と第2基板とを貼り合わせる貼り合わせ治具であって、
第1基板と第2基板とは略平行になるように置かれ、
基板面に平行な面に第1基板と第2基板とをそれぞれ投影した場合に、第2基板の外周の一部が第1基板の外側に位置し、かつ第2基板の外周の一部が第1基板の外周の一部に対して斜めになるように配置され、
第2基板の外周の一部の形状に対応するように第2の段に設けられた凹部の側面で第2基板の水平方向の位置を規制し、
凹部に、
凹部の端部側から第2基板の外周形状に沿うように設けられた第1の規制部と、
第1の規制部が設けられた端部と反対側の端部から第2基板の外周形状に沿うように設けられた第2の規制部と、
第1の規制部と第2の規制部との間に位置する接続部とが形成されている貼り合わせ治具。
【請求項2】
第1基板が載置される第1の支持部と、
第1基板の水平方向の位置を規制する第1の段と、
略矩形状で角部にコーナーカットが形成された第2基板が載置される第2の支持部と、
第2基板の水平方向の位置を規制する第2の段とが備えられ、
第1基板の上方に第2基板が置かれ、
基板面に垂直な方向において、第1基板と第2基板とを相対的に接近するように移動して第1基板と第2基板とを貼り合わせる貼り合わせ治具であって、
第1基板と第2基板とは略平行になるように置かれ、
基板面に平行な面に第1基板と第2基板とをそれぞれ投影した場合に、第2基板のコーナーカットが第1基板の外側に位置するよう配置され、
第2基板のコーナーカットの形状に対応するように第2の段に設けられた凹部の側面で第2基板の水平方向の位置を規制し、
凹部に、
凹部の端部側から第2基板の外周形状に沿うように設けられた第1の規制部と、
第1の規制部が設けられた端部と反対側の端部から第2基板の外周形状に沿うように設けられた第2の規制部と、
第1の規制部と第2の規制部との間に、コーナーカットに沿って設けられた接続部とが形成されている貼り合わせ治具。
【請求項3】
第2基板の上に配置された遮光基板を支持する第3の支持部と、
遮光基板の水平方向の位置を規制する第3の段をさらに備える請求項1または2に記載の貼り合わせ治具。
【請求項4】
接続部が第1の規制部と第2の規制部とを直線的に結ぶよう設けられている請求項1、2又は3に記載の貼り合わせ治具。
【請求項5】
第1基板と、第1基板の上方の第2基板とを略平行になるように配置し、
基板面に平行な面に第1基板と第2基板とをそれぞれ投影した場合に、第2基板の外周の一部を第1基板の外側に位置するようにし、かつ、第2基板の外周の一部が第1基板の外周の一部に対して斜めになるように配置し、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる表示装置の製造方法であって、
第1基板を所定の位置に配置するステップと、
第1基板の位置に対して相対的固定位置にあり、第2基板の外周形状に対応している凹部の側面により第2基板の位置を規制するブロックであって、
凹部に、
凹部の端部側から第2基板の外周形状に沿うように配設してある第1の規制部と、
第1の規制部のある端部と反対側の端部から第2基板の外周形状に沿うように配設してある第2の規制部と、
第1の規制部と第2の規制部との間に位置する接続部とを有するブロックの内側に第2基板を配置するステップと、
基板面に垂直な方向において、第1基板と第2基板とを相対的に接近するように移動して第1基板と第2基板とを貼り合わせるステップとを備える表示装置の製造方法。
【請求項6】
第1基板と、第1基板の上方の第2基板とを略平行になるように配置し、
第2基板は略矩形状で角部にコーナーカットを有し、
基板面に平行な面に第1基板と第2基板とをそれぞれ投影した場合に、第2基板のコーナーカットが第1基板の外側に位置する状態で第1基板と第2基板とを貼り合わせる表示装置の製造方法であって、
第1基板を所定の位置に配置するステップと、
第1基板の位置に対して相対的固定位置にあり、第2基板の外周形状に対応している凹部の側面により第2基板の位置を規制するブロックであって、
凹部に、
凹部の端部側から第2基板の外周形状に沿うように配設してある第1の規制部と、
第1の規制部が設けられた端部と反対側の端部から第2基板の外周形状に沿うように配設してある第2の規制部と、
第1の規制部と第2の規制部との間に、コーナーカットに沿って配設してある接続部とが形成してあるブロックの内側に第2基板を配置するステップと、
基板面に垂直な方向において、第1基板と第2基板とを相対的に接近するように移動して第1基板と第2基板とを貼り合わせるステップとを備える表示装置の製造方法。
【請求項7】
第1基板と第2基板との間に設けられたシール材を露光するための遮光パターンを有する遮光基板を第2基板の上方に配置するステップと、
遮光基板を介してシール材を露光するステップとを有する請求項5又は6に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
第1基板を下方から押し上げた状態で遮光基板を介してシール材を露光する請求項7に記載の表示装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−18047(P2006−18047A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196006(P2004−196006)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】