説明

貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル

【課題】偽造防止として物品本体やそれを包装するケース等に添付される封印ラベルに対して、封印ラベルの粘着層に、溶剤や熱を用いラベルの粘着強度を小さくして剥がしたり、ラベルと被貼付体との間にカッターなどの刃を這わす事によって剥がし、再使用する偽造に対して有効な貼り換え防止機能対策を施された偽造防止封印ラベルを提供する事にある。
【解決手段】基材上にセキュリティ機能層、粘着層を積層してなり、該粘着層に磁性体を含有させたことを特徴とする貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真贋を判定するための封印ラベルに関し、特に貼り換え防止機能を設けた偽造防止媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高級酒などの比較的高価な商品や電化製品の消耗品など、偽造されては困る物品などにおいては、それらの真贋を判定するために、商品本体やそれを包装したケース等に封印ラベルを貼り付けることが行われている。この封印ラベルには、例えばホログラムや蛍光インキ等のセキュリティ機能が具備されており、それを判定することで本物であるかを確認している。
【0003】
さらには、固有の識別情報が記憶されたICチップを埋め込むことで、個々の判別が可能となる非接触IC媒体を搭載したセキュリティ機能を有する封印ラベル等も提案されている(特許文献1)。
【0004】
しかし、このような封印ラベルに用いられる基材は、ポリイミドやポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など強靭な基材であるため、溶剤や熱を用いることにより、ラベルの粘着層の強度を小さくして容易に剥がすことができてしまう。また、ラベルと被貼付体との間にカッターなどの刃を這わす事によって、封印ラベルを剥がすこともできてしまう。被貼付体から剥がされた封印ラベルは、粘着層が破壊されても、新たに粘着層を設けることで使い回すことができてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−150924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、偽造防止として物品本体やそれを包装するケース等に添付される封印ラベルに対して、封印ラベルの粘着層に、溶剤や熱を用いラベルの粘着強度を小さくして剥がしたり、ラベルと被貼付体との間にカッターなどの刃を這わす事によって剥がし、再使用する偽造に対して有効な貼り換え防止機能対策を施された偽造防止封印ラベルを提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、基材上にセキュリティ機能層、粘着層を積層してなり、該粘着層に磁性体を含有させたことを特徴とする貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルである。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記基材上に、溶剤発色層もしくは/及び熱検出層を積層したこと特徴とする請求項1に記載の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルである。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、前記粘着層が基材全面に積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、前記粘着層がパターン状に設けられていることを特徴
とする請求項1または2に記載の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルである。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、前記基材上にICチップに記憶された所定の識別情報をアンテナによって無線で送信する非接触IC媒体を具備したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルである。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、前記偽造防止ラベルに切欠き及び/又はミシン目が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、偽造防止として物品本体やそれを包装するケース等に添付される封印ラベルの粘着剤に含有されている磁性体の磁気出力を読み取ることにより、粘着層に、溶剤や熱を用いラベルの粘着強度を小さくして剥がしたり、ラベルと被貼付体との間にカッターなどの刃を這わす事によって剥がし再使用する偽造に対して、再利用した痕跡を残すことが出来るので、被貼付体に貼り付けた状態での真贋判定が可能な偽造防止策を施された偽造防止封印ラベルを提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルの一例を示した断面概念図である。
【図2】本発明の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルの磁性体含有粘着層をパターン状に設けた一例を示した断面概念図である。
【図3】本発明の溶剤発色層、熱検出層、ICチップ、アンテナを備えた貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルの一例を示した断面概念図である。
【図4】本発明の溶剤発色層、熱検出層、ICチップ、アンテナを備えた貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルの一例を示した断面概念図である。
【図5】本発明の切欠き、ミシン目を備えた貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルの一例を示した表面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル10についての実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル10の断面を示しており、基材2上にセキュリティ機能層1及び磁性体を含有する粘着層3が積層されており、この磁性体を含有する粘着層3の磁気出力は、基材2の上から読み取ることが出来る。
【0017】
基材2は、紙及び押出加工やキャスト加工により作製された無延伸フィルム及び、延伸加工により作製された延伸フィルム等を用いる事ができる。延伸フィルムには、伸ばし方により、1軸延伸フィルム及び2軸延伸フィルムがあり、両者とも使用できる。
【0018】
これらの無延伸フィルム及び延伸フィルムの材料としては、セロハン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリオレフィン(PO)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等があげられる。
【0019】
特に、基材2は、脆性(脆弱性)を有していることが好ましい。材質としては、例えば
、カオリン、炭酸カルシウムなどの可塑剤を適量混合して脆質化した脆性塩化ビニル、脆性ポリエステルなどの合成樹脂フィルムや、又は、セルロースアセテート、低密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイドなどの高結晶性プラスチック素材を溶液成膜により形成したフィルムなどがあげられる。その他の材質として、UV硬化法合成樹脂又はカオリン、炭酸カルシウムなどの粉体を適量混合したUV硬化型合成樹脂を用い、その樹脂薄膜をUV照射により硬化乾燥させて成膜したフィルムなどがあげられる。また、合成繊維での不織布、又は、アート紙、コート紙、上質紙などの用紙があげられる。
【0020】
粘着層に含有させる磁性体としては、Fe、Ni、Mn、Zn、Co、パーマロイ、センダスト、Mn−Znフェライト、Mnフェライト、Znフェライト、FeS、マグネタイト、γ−酸化鉄、Co被着γ−酸化鉄、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、二酸化クロムなどの金属・合金、金属化合物の粉末があげられる。磁性体は、保持力が60Oe以下の軟磁性材料を用いることが好ましい。
【0021】
粘着層の材料としては、基材2を冒すものでなければ、一般的な粘着材料を用いて形成することが出来る。例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル系の粘着層を単独、もしくはアルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、ビニルモノマーなどの凝集成分、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、アクリルニトリルなどに代表される改質成分や重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤などの添加剤を必要に応じて添加したものを用いることが出来る。特に、溶剤や熱に弱いものであることが好ましい。
【0022】
これらの磁性体を前記粘着層材料と混合させインキ化する。この粘着層3の形成は公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法やバーコート法、グラビア法、ロールコート法などの塗布方法などを用いることが出来る。
【0023】
この磁性体を含む粘着層3は基材2のセキュリティ機能層の無い裏面上に塗工することで、さらなる偽造防止効果が得られる。すなわち、基材2を溶剤や熱で被貼付体から剥がし取った後、粘着層3のみを綺麗に取り除いて、新たに粘着層を設けて貼り付けるといった偽造行為が行なわれる場合、上記の同様の磁性体を粘着層3に入れることは不可能であるために、粘着層3を検証することで再利用したことを明らかに出来る。
【0024】
図2は前記磁性体含有の粘着層3をパターン状に施したものを示す。磁性体含有粘着層3は、偽造防止処理が施されていることが分かっても、パターン化することで、溶剤や熱で被貼付体から剥がし取ったときに、そのパターンが崩れてしまうので、再度、磁気出力のパターンを再現することは困難であり、真贋判定として非常に有用である。
【0025】
本発明におけるセキュリティ機能層1には、目視又は簡単な機器を用いることにより、真偽判定が可能な材料を用いることが好ましい。このような材料として、例えば、OVD機能材料、蛍光材料若しくは蓄光材料、又は液晶材料などがあげられる。
【0026】
OVD(Optical Variable Device)とは、光の干渉を利用した画像であり、立体画像の表現や見る角度により色が変化するカラーシフトを生じる表示体であって、目視により真偽判定が可能な媒体である。その中でホログラムや回折格子などのようなOVDとしては、光の干渉縞を微細な凹凸パターンとして平面に記録するレリーフ型や、体積方向に干渉縞を記録する体積型が挙げられる。
【0027】
また、ホログラムや回折格子とは手法が異なるが、光学特性の異なるセラミックスや金
属材料の薄膜を積層した多層膜方式や、或いは液晶材料等による見る角度により色の変化(カラーシフト)を生じる材料もその例である。これらOVDは、立体画像やカラーシフトといった独特な印象を与え、また高度な製造技術を要することから、偽造防止の有効な手段と言える。
【0028】
これらOVDの中でも量産性やコストを考慮した場合には、レリーフ型ホログラム(又はレリーフ型回折格子)や多層薄膜方式のものが好ましく、一般にこれらのOVDが広く利用されている。
【0029】
まず、レリーフ型ホログラムについて述べる。このレリーフ型ホログラム又はレリーフ型回折格子は、それぞれホログラム又は回折格子を成す微細な凹凸パターンからなるレリーフ型のプレス版を用いて量産を行う。すなわち、このプレス版でOVD形成層を加熱・加圧して、微細な凹凸パターンを複製する。
【0030】
OVD形成層は、その回折効率を高めるためのものであり、レリーフ面を構成する高分子材料とは屈折率の異なる材料からなる。用いる材料としては、屈折率の異なるTiO、Si、SiO、Fe、ZnS、などの高屈折率材料や、より反射効果の高いAl、Sn、Cr、Ni、Cu、Au等の金属材料が挙げられ、これらの材料が単独あるいは積層して使用される。これらの材料は真空蒸着法、スパッタリング等の公知の薄膜形成技術にて形成され、その膜厚は用途によって異なるが、0.5〜100nm程度で形成される。なお、ホログラムは非接触IC媒体の通信に影響を及ぼすことがないように、金属蒸着の部分を特定するか、又は非金属蒸着材料による透明ホログラムを用いることが望ましい。
【0031】
さらに、多層薄膜方式について述べる。多層薄膜方式を用いる場合、前述したように、OVD形成層は、異なる光学適性を有する多層薄膜層からなり、金属薄膜、セラミックス薄膜又はそれらを併設してなる複合薄膜として積層形成される。例えば,屈折率の異なる薄膜を積層する場合、高屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜を組み合わせても良く、また特定の組み合わせを交互に積層するようにしてもよい。それらの組み合わせにより、所望の多層薄膜を得ることができる。
この多層薄膜層は、セラミックスや金属などの材料が用いられ、おおよそ2つ以上の高屈折率材料と屈折率が1.5程度の低屈折率材料を所定の膜厚で積層したものである。以下に、用いられる材料の例を挙げる。先ず、セラミックスとしては、Sb(3.0=屈折率n:以下同じ)、Fe(2.7)、TiO(2.6)、CdS(2.6)、CeO(2.3)、ZnS(2.3)、PbCl(2.3)、CdO(2.2)、Sb(2.0)、WO(2.0)、SiO(2.0)、Si(2.5)、In(2.0)、PbO(2.6)、Ta(2.4)、ZnO(2.1)、ZrO(2.0)、MgO(1.6)、SiO(1.5)、MgF(1.4)、CeF(1.6)、CaF(1.3〜1.4)、AlF(1.6)、Al(1.6)、GaO(1.7)等がある。
【0032】
そして、金属単体又は合金の薄膜としては、例えば、Al、Fe、Mg、Zn、Au、Ag、Cr、Ni、Cu、Si等が挙げられる。また、低屈折率の有機ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフロロエチレン(1.35)、ポリメチルメタアクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.60)等が挙げられる。
【0033】
これらの高屈折率材料、又は30%〜60%透過の金属薄膜から少なくとも一種を選択し、低屈折率材料から少なくとも一種選択し、所定の厚さで交互に積層させる事により、特定の波長の可視光に対する吸収又は反射を示すようになる。
【0034】
上記した各材料から屈折率、反射率、透過率等の光学特性や耐候性、層間密着性などに基づき適宜選択され、薄膜として積層され多層薄膜層を形成する。形成方法は公知の手法を用いることができ、膜厚、成膜速度、積層数、あるいは光学膜厚(=n・d、n:屈折率、d:膜厚)などの制御が可能な、通常の真空蒸着法、スパッタリング法にて形成される。
さらには、カラーシフトを生じる材料としては、例えばコレステリック液晶が挙げられる。コレステリック液晶は、螺旋状に配向する液晶で、特定の波長の右又は左の円偏光を反射する偏光分離能を持つ。反射する波長は、螺旋周期のピッチにより決まり、また、円偏光の左右は、螺旋の方向によって決まる。通常の観察光では偏光の左右光が混在しているため画像の確認は出来ないが、偏光フィルタをかざすことによって偏光の一方のみを取り出すことが出来、画像として認識できるものである。
【0035】
つまり、潜像技術と言われるものであり、コレステリック液晶は、反射光が角度により反射波長が変化すため、一見、カラーシフトインキとして用いられ、カモフラージュすることができる。なお、カラーシフトを生じる材料としては、コレステリック液晶に限定されるものではなく同様の効果を発揮するものであればよい。また、セキュリティ機能として、検証器等を用いて判定を行える蛍光インキや蓄光インキ等を用いても良い。
【0036】
蛍光材料又は蓄光材料としては、蛍光体には、紫外線発光蛍光体及び赤外線発光蛍光体があり、以下にはその例を挙げる。紫外線蛍光体は紫外線を照射することにより、可視波長領域の光を発光するもので、例えばCaCl:Eu2+,CaWO,ZnO:ZnSiO:Mn,YS:Eu,ZnS:Ag,YVO:Eu,Y:Eu,GdS:Tb,LaS:Tb,YAl12:Ce等がある。これら蛍光体の添加量は、ブラックライトを照射した際の発光が目視で碓認できるか、又は検出器の受光素子にて蛍光が検知可能となるようにする。
【0037】
また、赤外線発光蛍光体は、赤外線を照射することにより、可視波長領域の光を発光するものと、赤外波長領域の光を発光するものとがある。前者のものとして、例えばYF:YB,Er,ZnS:CuCo等がある。また後者のものとして、例えばLiNd0.9Yb0.1P4O12,LiBi0.2Nd0.7Yb0.112,Nd0・9Yb0.1Nd(MoO,NaNb0.3Yb0.1412,Nd0.8Yb0.2Na5(W0,Nd0.8Yb0.2Na(Mo0.5WO0.5,Ce0.05Gd0.05Nd0.75Yb0.25Na(W0.7Mo0.3、Nd0.3Yb0.1Al(BO、Nd0・9Yb0.1Al2.7Cr0.3(BO、Nd0.4,Nd0.8Yb0.2(PO等がある。後者のものは、赤外線の波長800nm近辺の光を照射することにより、980nm〜1020nmに発光スペクトルのピークを有する赤外線を発光する。
【0038】
インキ中の赤外線発光蛍光体の添加量は、発光が目視で確認できるか、又は検出器の受光素子が蛍光を検出可能となるようにする。さらには、セキュリティ機能としてフィルター判定を行える潜像を設けてもよい。潜像としては、万線潜像や偏光潜像等の既知の潜像を設ける方法を用いると良い。さらに、熱や溶剤で剥がされる事を防止するために、熱検出層や溶剤発色層を設けるてもよい。
【0039】
図3,4に熱検出層6、溶剤発色層7、およびICチップ8とアンテナ9からなる非接触IC媒体を備えた貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベルの断面概念図を示す。基材2上に積層される熱検出層6には、所定の熱を受けることによって色相が変化する、または熱の作用によって化学反応する材料が用いられる。
【0040】
その化学反応を利用して発色されるものとしては、電子供与性の通常無色ないし淡色の
染料前駆体と、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物との反応を利用し、熱により両発色成分を接触させて発色させる方法がある。例えば、熱をかけることによって発色するロイコ染料を主体とし、ビスフェノール等顕色剤とでなる不可逆性感熱発色インキを用いることができる。これは、熱刺激によってインキに分散されたロイコ染料と顕色剤が結合して発色する。このロイコ染料は通常無色か淡色の材料が使用され、熱で反応した際に色調として顕在化するのが適している。
【0041】
上記熱検出層6に使用される感熱発色性物質としては、トリフェニルメタン系、フルオラン系、スピロピラン系、オーラミン系、フェノチアジン系等の通常無色またはやや淡色のロイコ染料であって、従来の感熱記録材料の製造されている既知のロイコ染料を使用することができる。それらの中で代表的なものとして、3、3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3、3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−シメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3、3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフェニル、3−シクロへキンルアミノ−6−クロルフルオラン、3−(N、N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N、N−ジベンジルアミノ)フルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジニチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−n−ブチルアミノフルオラン、ペンゾイルロイコメヂレンブル−1N−フェニルローダミン−β−ラクタム、アミドローダミン−β−サルトン、ベンゾ−β−ナフトスピロピラン、6′−クロロ−87−メドキシーベンゾインドリノベンゾスピロピラン、6′−ブロモ−8′−メトキシ−ベンゾインドリノベンゾスピロビラン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
上記のロイコ染料に結合して発色させる顕色性物質としては、4、4′−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、4、4′−イノプロピリデンビス(2−10ロフエノール)、4、4’−インプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4、4′−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノ−ル)、4、4’−シクロへキノリテンジフェノール、4−tert−ブチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4−tert−オクチルカテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、4−ヒドロキシ−アセトフェノール等のフェノール性化合物、ノボラック型フェノール樹脂、ハロゲン化ノボラック型フェノール樹脂その他のフェノール重合体、安息香酸、サリチル酸、酒石酸、等を挙げることができ、ロイコ染料と同様にこれに限定されるものではない。
【0043】
また、上記以外の発色方法として、所定温度下で溶解・分散といった状態変化をする物
質を含有させて発色させる方法や、所定温度下で溶解するようなカプセル内に染料を入れた材料を用いて発色させる方法なども挙げられる。
【0044】
上記熱検出層6は、上記の各特殊インキを、シルク印刷インキ、オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、フレキソ印刷インキのUV硬化型インキ、酸化重合型インキ、熱乾燥型インキのいずれかの印刷インキに分散して各種印刷方式(スクリーン、オフセット、グラビア、凸版など)によって、地紋印刷の一部として前記ラベル基材の全面に設けることもできる。 これにより、ドライヤなどの熱によりラベルを剥がそうとした際に、上記熱検出層6が発色し痕跡を残すことが可能となる。
【0045】
溶剤発色層7は、被貼付体に貼り付けられた基材2を剥離するための剥離溶剤と化学反応する性質のものからなる。剥離溶剤としては、エチルアルコールやアセトンなどの溶解性の弱い有機溶剤や市販のシール剥し液などがある。溶剤発色層7は、水不溶性で且つ剥離溶剤に対し可溶性の染料粒子を樹脂バインダー中に体質顔料等と分散状態で保持した構造をとる。これにより、剥離溶剤を用いて貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル10の剥離を試みると、溶剤発色層に分散状態で保持した顔料が溶解し、ラベル基材に発色と
して痕跡が残る。すなわち、溶剤発色層7は、溶剤発色機能を有するものである。なお、上記した染料粒子としては、例えばロイコ染料や蛍光増白剤等の染料を使用することができる。
【0046】
さらに高セキュリティ機能として、無線により通信を行うための非接触IC媒体を設けてもよい。非接触IC媒体は、ICチップの駆動電池を持たないパッシブ型のものである。なお、パッシブ型に代えて、ICチップの駆動電池を有するアクティブ型とすることもできる。この場合には、非接触IC媒体の構造は煩雑化するが、読取り距離が伸張する効果がある。
【0047】
また、非接触IC媒体はアルミや銅などの金属により形成されたアンテナ9と、アンテナ9に電気的に接続されたICチップ8とを備えている。このアンテナ9は、例えば、送受信される電波がマイクロ波以上の周波数を有するとき、使用周波数の波長をλとすると、アンテナ9の長手方向の長さをλ/2近傍に設定すると、電波の送受信効率の良いダイポール形のアンテナ9として形成可能である。また、例えば、電波の使用周波数を2.45GHzとすると、ダイポール型におけるアンテナ9の長手方向の最適長さは約40mm〜60mm程度である。非接触IC媒体は、図示しない情報読取装置からの電波をアンテナ9によって受け、アンテナ9の長手方向に生じる電位差をICチップ8に供給するようになっている。
【0048】
ICチップ8は、正方形状に形成されており、その辺部の長さ寸法が0.5mm、高さ寸法が0.1mmとされている。なお、辺部の長さ寸法は、0.5mmに代えて、適宜変更可能である。また、ICチップ8の形状は、例えば長方形状などのように、適宜変更可能である。この場合も、辺部(長辺部)の長さ寸法を0.05mmから0.5mmの範囲とすることが好ましい。なお、このような寸法のチップは、例えば幅0.4mm、奥行き0.4mm、高さ0.1mm程度という寸法にて、(株)日立製作所のミューチップ(TM)で既に実現されており、技術的にそのようなICチップ8を量産製造する事が可能である事が周知となっている。
【0049】
また、ラベル基材2自体が脆性を有していれば、被貼付体に貼り付けられたラベル基材2を引き剥がそうとした場合、その引き剥がそうとする力により、ラベル基材2は容易に破断する。そのため、ラベル基材2の形態をそのまま維持しながら、そのラベル基材2を剥がすことを防止することができる。
【0050】
また、封印ラベルをカラーコピーなどにより複製しようとしても、セキュリティ機能層1が設けられていることから、オリジナルとまったく同じものを複製することを防止することができる。
【実施例1】
【0051】
以下、本発明の実施例について説明する。基材となるTACフィルム上に、セキュリティ層1としてホログラムを形成した。このホログラムは、まず、グラビア印刷法により厚さ0.8μmのエンボス層を塗工・形成した。次に、微小な凹凸の回折格子パターンを有するニッケル製の金型を165℃に加熱し、ロールエンボス法により前記エンボス層の上に押圧することで、その一部に微小な凹凸状の回折格子パターンを形成した。続いて回折格子パターンの上にアルミニウムを真空蒸着法にて厚さ80nmで成膜することによりホログラムを作製した。さらに、熱検出層6及び溶剤発色層7を設けた。
【0052】
その後、磁性体を含有した粘着層3として、磁性粉として酸化鉄(3価)(100部)に
東洋インキ製造社製のBPS5160(50部)に混合させインキ化し、ダイレクトグラビアにて10μmの磁性体を含有した粘着層3をパターンで設けさらに前記磁性体を含有
した粘着層パターンとネガポジの関係で磁性体を含有しない接着層5を設けさらに離型紙4を貼り合わせ、所定の大きさに切り取り、貼り換え防止機能付き偽造防止シール10を得た。
【0053】
これを、商品が内蔵されたボックスに貼り付けた。貼り付けた後に、ラベルに磁気検証機にて検証を行うと特定のパターンで、磁気の出力が得られ、本物であることが確認された。
【0054】
その後、粘着剤をドライヤーで温めながら、ボックスより慎重に剥がした。しかし、熱検出層があるために、剥がした痕跡を確認することが出来た。また、溶剤により粘着層を溶かしながら慎重にはがしても、溶剤発色層があるために、ラベルの色が変化し、剥がした痕跡を確認することが出来る。
【0055】
さらに、カッターなどの刃を用いて、慎重にボックスよりラベルを剥し、再度別の箱に貼り付けた。この場合には、目視では特に変化が無いために、再利用されたことが目視で確認出来ない。しかし、ラベルを磁気検証機にて検証を行うと、最初とは異なるパターンで磁気の出力が得られ、一度剥がした痕跡を確認できた。
【実施例2】
【0056】
実施例1と同じ工程にて貼り換え防止機能付き偽造防止シール10を作製し、さらに図5に示す様な切欠き、ミシン目を設けた。切欠き、ミシン目を設け商品が内蔵されたボックスに貼り付けた。貼りつけられた貼り換え防止機能付き偽造防止シール10に溶剤を用いたり、ドライヤーで温めながら、ボックスより慎重に剥がそうとしたが、剥がす工程で幾つかのサンプルは破壊してしまい、貼り換えが難しくなった。
【符号の説明】
【0057】
1・・・セキュリティ機能層
2・・・基材
3・・・磁性体を含有した粘着層
4・・・剥離紙
5・・・磁性体を含有しない粘着層
6・・・熱検出層
7・・・溶剤発色層
8・・・ICチップ
9・・・アンテナ
10・・・貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル
11・・・切り欠き
12・・・ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にセキュリティ機能層、粘着層を積層してなり、該粘着層に磁性体を含有させたことを特徴とする貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル。
【請求項2】
前記基材上に、溶剤発色層もしくは/及び熱検出層を積層したこと特徴とする請求項1に記載の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル。
【請求項3】
前記粘着層が基材全面に積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル。
【請求項4】
前記粘着層がパターン状に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル。
【請求項5】
前記基材上にICチップに記憶された所定の識別情報をアンテナによって無線で送信する非接触IC媒体を具備したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル。
【請求項6】
前記偽造防止ラベルに切欠き及び/又はミシン目が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の貼り換え防止機能付き偽造防止封印ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−215296(P2011−215296A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82262(P2010−82262)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】