説明

資源管理装置、ネットワークシステム、資源管理方法および資源管理プログラム

【課題】 複数の通信機器によって一つの資源を共有する場合に、その資源管理を単純化する。
【解決手段】 資源管理装置10は、複数の通信機器に割り当てる所定数の通信資源と同数のデータ領域を確保すると共に、通信要求を送信してきた通信機器を所定のデータ領域に対応付けるチケット管理部14と、チケット管理部14によるデータ領域と通信機器との対応結果に基づいて、通信機器に通信資源を割り当てる資源管理部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信機器により資源を共有するための資源管理装置および資源管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の通信機器が一つの資源を共有するシステムがある。例えば、複数の通信機器が一つのネットワーク資源を共用することによって、ネットワーク資源を有効活用するネットワークシステムが、例えば、特許文献1に開示される。ここでは、予め定められた特定の通信が必ず使用できる専用資源枠と、専用資源枠以外の一般のネットワーク資源が設けられている。
【0003】
特定の通信機器に資源の一部を常時一定数割り当てる場合、通常、資源は固定的にその通信機器に割り当てられる。例えば、通信機器Aに通信資源のうちの1つを常時割り当てる場合、その通信資源は、通信機器Aに専用の通信資源として常時固定的に割り当てられる。これを専用資源と呼ぶ。
【0004】
このようなネットワークシステムにおいて、通信管理手段は、通信機器Aから通信要求を受けたとき、通信機器Aの専用資源に通信を割り当てる。ここで、もし専用資源が使用不可となった場合、通信管理手段は割り当て可能な他の通信資源を、一時的に通信機器Aの専用資源として割り当てる。このような制御を代行と呼ぶ。代行を行った後に通信機器Aから通信要求を受けた場合、通信管理手段は、代行先の通信資源を通信機器Aの専用資源として割り当てる。その後、使用不可となっていた通信機器Aの専用資源が使用可能となった場合、通信管理手段はその専用資源を復旧させ、代行を解除する。以降、通信管理手段は通信機器Aからの通信要求を受けた場合はその専用資源を通信機器Aに割り当てる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−134155
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、専用資源は固定的に特定の通信機器に割り当てられる。そのため、専用資源の状態が変化した場合、例えば一時的に使用不可となった場合、通信管理手段は、専用資源以外の一般資源を一時的に専用資源として割り当てる、すなわち代行を行う必要がある。また、一時的に使用不可となった資源が使用可能となった場合、通信管理手段は、一時的に専用資源として利用している一般資源を解放して一般資源に戻すと共に、復旧した専用資源を専用資源として割り当て直さなければならない。このように、資源の一部を特定の通信機器に専用資源として割り当てる場合、その管理が複雑になるという問題がある。さらに、資源に発生する状態変化の数が増えれば、その分複合事象が発生するため、管理はより複雑化することになる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の通信機器によって一つの資源を共有する場合に、その資源管理を単純化できる資源管理装置、ネットワークシステム、資源管理方法および資源管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の資源管理装置は、複数の通信機器に割り当てる所定数の通信資源と同数のデータ領域を確保すると共に、通信要求を送信してきた通信機器を所定のデータ領域に対応付ける対応管理部と、対応管理部によるデータ領域と通信機器との対応結果に基づいて、通信機器に通信資源を割り当てる資源管理部とを備える。
【0009】
本発明の第1のネットワークシステムは、複数の通信機器に割り当てる所定数の通信資源と、通信資源と同数のデータ領域を確保すると共に、通信要求を送信してきた通信機器を所定のデータ領域に対応付ける対応管理部と、対応管理部によるデータ領域と通信機器との対応結果に基づいて、通信機器に通信資源を割り当てる資源管理部とを備えた資源管理装置とを備える。
【0010】
本発明の第1の資源管理方法は、複数の通信機器に割り当てる所定数の通信資源と同数のデータ領域を確保すると共に、通信要求を送信してきた通信機器を所定のデータ領域に対応付け、データ領域と通信機器との対応結果に基づいて、通信機器に通信資源を割り当てることを備える。
【0011】
本発明の第1の資源管理プログラムは、複数の通信機器に割り当てる所定数の通信資源と同数のデータ領域を確保すると共に、通信要求を送信してきた通信機器を所定のデータ領域に対応付ける処理と、データ領域と通信機器との対応結果に基づいて、通信機器に前記通信資源を割り当てる処理とを、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の通信機器によって一つの資源を共有する場合に、その資源管理が単純化できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る資源管理装置を含むネットワークシステムの構成を模式的に示す図である。
【図2】同資源管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同資源管理装置が備えるチケット管理テーブルを示す図である。
【図4】同資源管理装置が備える資源管理テーブルを示す図である。
【図5】同資源管理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】同資源管理装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る資源管理装置を含むネットワークシステムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1実施形態
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態に係る資源管理装置10を含むネットワークシステムの構成を模式的に示す図である。通信機器20と通信機器20’は、資源管理装置10と通信スロット30を含むネットワーク手段を介して通信可能である。ここでは、通信機器20から通信機器20’に対して通信要求を出す場合について説明する。
【0016】
資源管理装置10は、通信機器20と通信機器20’との間の通信において利用されるネットワーク資源の割り当てを行う。ここでは、ネットワーク資源を有効活用するために、複数の通信機器20、すなわち通信機器A〜Eによって、通信スロット30を共有している。通信スロット30は、ネットワーク資源の1つであり、関連した周波数を有するタイムスロットであるが、これに限定されず、通信に利用される帯域、チャネル等のネットワーク資源を含む。図1では、通信スロット30を、通信機器20が共有するネットワーク資源として模式的に通信スロットA〜Eにより示している。通信機器20が相手の通信機器20’に対して通信要求を出すと、資源管理装置10がこれを受け取り、その通信が使用する通信スロット30を割り当てる制御を行う。
【0017】
ここで、特定通信について説明する。通信の中には、資源の割り当てを確実に行わなければならない通信や、他の通信より重要な通信などがある。このような通信を、特定通信と称する。また、特定通信が割り当てられる通信機器を特定機器と称する。資源管理装置10は、このような特定通信および特定機器に通信スロットを優先的に割り当てる機能を有する。本第1実施形態では、資源管理装置10が、特定通信を確実に実行しながら、各通信機器に通信スロットを割り当てる動作について説明する。また、本第1実施形態では、特定通信に、固定的ではなく、動的に通信スロットを割り当てることを説明する。
【0018】
図2は、資源管理装置10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、資源管理装置10は、制御部11、通信インタフェース部12、チケット指定部(対応指定部)13、チケット管理部(対応管理部)14、資源管理部15、チケット管理テーブル16および資源管理テーブル17を備える。制御部11は、各構成要素を制御する。通信インタフェース部12は、通信機器20,20’間の通信を制御する。チケット指定部13は、特定通信用のチケットを予め指定する(詳細は後述する)。
【0019】
チケット管理部14は、通信スロットを割り当てるためのチケットを発行すると共に、通信機器20にそのチケットを付与する(詳細は後述する)。チケットは、通信資源である通信スロットと同数発行される。通信機器20は、通信要求を出したとき、このチケットが獲得できた場合のみ、通信スロットを利用できる。資源管理部15は、チケットを獲得できた通信機器20に通信スロットを割り当てる制御を行う。
【0020】
図3は、チケットを管理するためのチケット管理テーブル16を示す図である。チケットとは、通信資源を使用するための権利を意味する。チケット管理部14がチケットを発行するとは、通信資源と同数の使用権を発行することである。具体的には、チケット管理部14は、チケット管理テーブル16に通信資源と同数のデータ領域を確保する。発行されたチケットは単に資源の使用権を意味するものであり、実際に使用する資源とは直接的な関係はない。
【0021】
チケット管理テーブル16は、チケットID(identification)、獲得通信機器ID、特定機器ID、獲得可不可情報を格納する。チケットIDは、チケット管理部14が発行したチケットの識別情報である。獲得通信機器IDは、当該チケットを獲得している通信機器の識別情報である。特定機器IDは、優先的に通信を実行するように予め定められている通信機器の識別情報である。これは、チケット指定部13により指定される。獲得可不可情報は、当該チケットが獲得可であるか獲得不可であるかを示す情報である。
【0022】
図4は、資源管理テーブル17を示す図である。資源管理テーブル17は、ネットワーク資源、すなわち通信スロットの割り当て状況を管理するためのテーブルであり、通信スロットID、使用中通信機器IDを格納する。通信スロットIDは、当該ネットワークにおいて使用可能な通信スロットの識別情報である。使用中通信機器IDは、当該通信スロットを使用して通信を行っている通信機器の識別情報である。
【0023】
資源管理装置10は、通信機器間の通信を中継する前に、以下の処理を予め行っておく。チケット管理部14は、通信スロット30の数と同数のチケットを予め発行する。具体的には、チケット管理部14は、チケット管理テーブル16に通信スロット30の数と同数のデータ領域を確保する。そして、チケット管理部14は、確保したデータ領域の識別情報をチケットIDとしてチケット管理テーブル16に登録しておく。ここでは、図3に示すように、チケットID301〜304の4つのチケットを登録している。
【0024】
また、チケット指定部13は、優先的に通信が割り当てられるべき通信機器、すなわち特定機器のためのチケットを予め指定してチケット管理テーブル16に登録しておく。具体的には、チケット指定部13は、チケット管理部14が発行したチケットのうち、特定機器に割り当てるものを決定し、そのチケットの「特定機器ID」に当該特定機器の識別情報を登録する。ここでは、図3に示すように、チケットIDが304のチケットが通信機器Aのためのチケットとして指定されている。チケット指定部13は、管理者等の指示に基づいて特定機器ID用のチケットを指定してもよいし、資源の割り当てを確実に行わなければならない通信や他の通信より重要な通信を識別してそれに予めチケットを指定してもよい。
【0025】
また、資源管理部15は、当該ネットワーク手段において使用可能な通信スロットの識別情報を資源管理テーブル17に登録しておく。
【0026】
図5は、資源管理装置10の動作を示すフローチャートである。図5を参照して、資源管理装置10の通常の動作について説明する。
【0027】
通信機器Aが通信機器A’に対して通信要求を送信したとする。資源管理装置10は、その通信要求を通信インタフェース部12において受信する(ステップST101)。通信インタフェース部12は、通信機器Aからの通信要求に含まれる情報を制御部11に通知する。制御部11は、受け取った情報をチケット管理部14に通知する。
【0028】
チケット管理部14は、受け取った通信機器の識別情報が、チケット管理テーブル16の特定機器IDに登録されているか否か、すなわち、当該通信機器が自身用に指定されたチケットを有するものであるか否かを調べる(ステップST102)。ここでは、通信端末Aの識別情報がチケット304の特定機器IDとして格納されている。つまり、通信端末Aは、自身用に指定されたチケット304を有する。したがって、チケット管理部14は、通信端末Aに指定されたチケット304を付与する。チケットを付与するとは、通信端末に、資源の使用権を与えることを意味し、具体的には、チケット管理部14が、チケットの獲得通信機器IDに、資源の使用権を与える通信端末の識別情報を登録する。ここでは、チケット管理部14は、チケット304の獲得通信機器IDに「A」を登録する(ステップST103)。
【0029】
チケット管理部14は、通信機器Aがチケット304を獲得した旨を制御部11に通知する。制御部11は、資源管理部15に対して通信機器Aに資源を割り当てるように指示する。資源管理部15は、空いている通信スロットを通信機器Aに割り当てる(ステップST104)。すなわち、例えば通信スロット501に対応する使用中通信機器IDに、「A」を登録する。資源管理部15は、通信機器Aに通信スロット501を割り当てた旨を制御部11に通知する。制御部11は、通信インタフェース部12を介して、通信機器Aが通信スロット501を使用して通信を行うように制御する(ステップST105)。
【0030】
一方、ステップST102において、チケット管理部14は、当該通信機器が自身用に指定されたチケットを有するものでない、すなわち特定機器でないと判断した場合、チケット管理テーブル16に、特定機器用に指定されていない、すなわち無指定であり、かつ獲得されておらず、獲得可であるチケットがあるか否かを調べる(ステップST106)。そのようなチケットがある場合、チケット管理部14は、そのうちの1つを当該通信機器に付与する(ステップST107)。具体的には、チケット管理部14は、そのチケットの獲得通信機器IDに、当該通信機器の識別情報を登録する。そして、ステップST104に進む。一方、上記のようなチケットがない場合、チケット管理部14は、当該通信は実行不可能であると判断し、その旨を制御部11に通知する。制御部11は、通信インタフェース部12を介して、当該通信機器の通信要求を拒否する制御を行う(ステップST108)。
【0031】
次に、通信スロットに障害が発生した場合について説明する。障害が発生した場合でも、資源管理装置10は特定通信に優先的に資源を割り当てて通信を実行する。図6は、いずれかの通信スロットに障害が発生した場合の資源管理装置10の動作を示すフローチャートである。図6を参照して、障害発生時の資源管理装置10の動作を説明する。
【0032】
通信インタフェース部12は、通信スロットのうちの一つに障害が発生したことを検出すると(ステップST201)、その旨を制御部11に通知する。制御部11は、障害が発生した通信スロットの識別情報を認識すると共に、その通信スロットを通信インタフェース部12を介して停止するように制御する(ステップST202)。
【0033】
制御部11は、通信スロットに障害が発生した旨と、その通信スロットの識別情報を資源管理部15に通知する。資源管理部15は、受けとった通信スロットが使用中であるか否かを資源管理テーブル17を参照して調べる(ステップST203)。すなわち、資源管理テーブル17に、その通信スロットの識別情報に対応する「使用中通信機器ID」が登録されていれば、その通信スロットは使用中と判断し、登録されていなければその通信スロットは使用中でないと判断する。
【0034】
その通信スロットが使用中でない場合、資源管理部15は、その旨を制御部11に通知する。制御部11は、使用中でない旨の通知を受けると、チケット管理部14に対して、チケットの一つを獲得不可とするように指示する。チケット管理部14は、上記指示に応答して、チケットの一つを獲得不可とする(ステップST204)。具体的には、チケット管理部14は、チケット管理テーブル16の獲得可不可情報に、「不可」を登録する。これは、障害が発生した通信スロットは通信機器により使用できないため、その使用権の数を削減することにより、使用できる通信スロット数と使用権数を合わせるためである。
【0035】
一方、ステップST203において、障害が発生した通信スロットが使用中であると判断した場合、資源管理部15は、その通信スロットを使用中の通信機器IDを資源管理テーブル17から読み出して、制御部11に通知する。制御部11は、障害が発生した通信スロットを使用中の通信機器IDを受け取ると、通信インタフェース部12を介してその通信機器の通信の終了処理を行う(ステップST205)。また、制御部11は、チケット管理部14に対して、その通信機器IDが獲得しているチケットを解放する指示を出す。チケット管理部14は、上記指示に応答して、その通信機器が獲得しているチケットを解放する(ステップST206)。具体的には、その通信機器の識別情報をチケット管理テーブル16の獲得通信機器IDから削除する。
【0036】
続いて、チケット管理部14は、その通信機器が特定機器であるか否かをチケット管理テーブル16を参照して調べる(ステップST207)。具体的には、その通信機器の識別情報が、チケット管理テーブル16の「特定機器ID」に登録されているか否かを調べる。特定機器でない場合、チケット管理部14は、以下の条件を満たすチケットの1つを獲得不可にする。すなわち、無指定で、獲得されておらず、獲得可であるという条件を満たすチケットの1つを獲得不可にする(ステップST213)。無指定のチケットとは、特定機器用に指定されていない、具体的には、チケット管理テーブル16の「特定機器ID」に識別情報が登録されていないチケットである。獲得されておらず、獲得可のチケットとは、チケット管理テーブル16の「獲得通信機器ID」に識別情報が登録されておらず、かつ「獲得可不可情報」が「可」であるチケットである。ステップST206において、自身が獲得していたチケットを解放しているので、上記条件を満たすチケットは少なくとも1つは存在する。上記条件を満たすチケットが1つであれば、その獲得不可情報を「不可」にする。この場合、当該通信機器が再度通信要求を行った場合に上記条件を満たすチケットが存在しないことになるが、この通信機器は特定機器でないため、通信不可とすればよい。
【0037】
一方、ステップST207において、特定機器である場合、チケット管理部14は、上記条件、すなわち、無指定であり、かつ獲得されておらず、獲得可のチケットがあるか否かを調べる(ステップST208)。この判定を行うのは、当該通信機器が特定機器である場合、上記条件を満たすチケットが存在しない場合があるからである。なぜなら、当該通信機器がステップST206において解放したチケットは、自身用に指定されたチケットであるため、無指定のチケットが存在しない場合があるためである。上記条件を満たすチケットがある場合、そのうちの1つを獲得不可にする(ステップST209)。具体的には、その獲得不可情報を「不可」にする。
【0038】
一方、上記条件を満たすチケットがない場合、チケット管理部14は、すでに獲得されているチケットのうち無指定のチケットの1つを解放する(ステップST210)。これは、当該通信機器は特定機器であるため、この機器用に通信スロットを1つ解放するためである。ここで解放するチケットの選択方法は問わない。そして、チケット管理部14は、解放したチケットを獲得していた通信機器の識別情報をチケット管理テーブル16から読み出し、その通信機器の識別情報と、チケットを解放した旨を制御部11に通知する。
【0039】
制御部11は、上記通知に応答して、資源管理部15に、受け取った識別情報の通信機器が使用している通信スロットを解放する指示を出す。資源管理部15は、上記指示に応答して、受け取った通信機器が使用中の通信スロットを解放する(ステップST211)。具体的には、資源管理部15は、受け取った通信機器の識別情報を、資源管理テーブル17から削除する。
【0040】
続いて、資源管理部15は、上記解放した通信スロットの識別情報を制御部11に通知する。制御部11は、上記通知に応答して、当該通信スロットでの通信の終了処理を通信インタフェース部12を介して行う(ステップST212)。
【0041】
通信中に障害が発生したとき、その通信機器は通信を強制終了させられたことになるため、再度通信要求を送信する。資源管理装置10は、通信要求を受信したら、図5に示した手順により通信スロットの割り当てを制御する。
【0042】
以上のように、第1実施形態によれば、資源管理装置10において、チケット管理部14が、ネットワークシステムにおいて共有する資源数と同数のチケットを発行し、チケット指定部13が特定機器用のチケットを予め指定しておく。通信機器から通信要求を受信すると、チケット管理部14は、その通信機器が特定機器である場合は特定機器用のチケットを付与し、特定機器以外である場合は、無指定であり、かつ獲得されておらず、獲得可能であるチケットを付与する。チケットが獲得できた通信機器に対して、資源管理部15が通信スロットを割り当てる。また、通信スロットに障害が発生した場合、チケット管理部14は、無指定であり、かつ獲得されておらず、獲得可であるチケットの1つを獲得不可にする。また、故障が発生した通信スロットを特定機器が使用していた場合に、無指定であり、かつ獲得されておらず、獲得可であるチケットがない場合は、すでに獲得されているチケットの1つを解放する。
【0043】
以上の動作により、資源管理装置10は、通信スロットに障害が発生したときも特定機器に優先的に通信を割り当てながら、通信を継続することができる。本第1実施形態では、チケットと資源は互いに無関係であるため、特定機器に固定的に専用資源を割り当てることはない。よって、専用資源が一時的に使用不可となった場合に必要であった代行制御や、復旧した場合に必要であった代行解除および割り当て直しといった制御が不要となり、管理が単純化できるという効果が得られる。
【0044】
また、代行制御を行う場合、代行の解除時に資源の一時的な解放あるいは多重割り当てが必要であった。例えば、専用資源に障害が発生し、代行先に通信を割り当てていた場合、復旧したときは代行先の通信を切断するか、あるいは代行先の通信が終了するのを待たなければならなかった。代行先の通信が終了するまでは専用資源を通信に割り当てることはできないとなると、資源の無駄遣いとなっていた。本第1実施形態によれば、このような、通信の中断や資源の無駄遣いが生じるという問題も解消できるという効果が得られる。
【0045】
なお、上記第1実施形態では、通信機器と通信スロットを同数とし、通信スロットを専有する通信機器を1つとして説明したが、通信機器数と通信スロット数は異なってもよいし、複数の通信機器が通信スロットを専有するようにしてもよい。この場合、通信機器数をN、通信スロット数をMとすると、L≦NかつL≦MであるL個の通信機器を、通信スロットを専有する通信機器とすることが可能である。また、1つの通信機器にK個の通信スロットを専有させることも可能である。この場合、L≦Nかつ(K(1)+K(2)+K(3)+・・・+K(L−1)+K(L))≦M(ただし、K(n)はn番目の通信機器が専有するスロットの数)が条件となる。
【0046】
第2実施形態
図7は、本発明の第2実施形態に係る資源管理装置40を含むネットワークシステムの構成を模式的に示す図である。図7に示すように、資源管理装置40は、チケット管理部41、資源管理部42を備える。
【0047】
資源管理装置40は、所定の資源を、複数の通信機器に割り当てる。チケット管理部41は、割り当て可能な資源数と同数のチケットを発行すると共に、通信要求を送信してきた通信機器へのチケットの付与を管理する。資源管理部42は、チケットを獲得できた通信機器に、チケット数と同数の資源を割り当てる。
【0048】
以上のように、この第2実施形態によれば、チケット管理部41が、割り当て可能な資源数と同数のチケットを発行すると共に、通信要求を送信してきた通信機器へのチケットの付与を管理し、資源管理部42が、チケットを獲得できた通信機器に、チケット数と同数の資源を割り当てるようにしたので、複数の通信機器によって一つの資源を共有する場合に、その資源管理が単純化できるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0049】
10、40 資源管理装置
11 制御部
12 通信インタフェース部
13 チケット指定部
14、41 チケット管理部
15、42 資源管理部
16 チケット管理テーブル
17 資源管理テーブル
20、20’ 通信機器
30 通信スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信機器に割り当てる所定数の通信資源と同数のデータ領域を確保すると共に、通信要求を送信してきた通信機器を所定の前記データ領域に対応付ける対応管理部と、
前記対応管理部によるデータ領域と通信機器との対応結果に基づいて、当該通信機器に前記通信資源を割り当てる資源管理部と
を備えた資源管理装置。
【請求項2】
1または複数の所定の通信機器に、当該通信機器が使用する通信資源数と同数の前記データ領域を予め対応付けておく対応指定部をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の資源管理装置。
【請求項3】
前記対応管理部は、通信要求を送信してきた通信機器が、前記対応指定部により予め対応付けられた前記データ領域を持つ通信機器であった場合、当該対応付けられたデータ領域に当該通信機器の情報を書き込み、
前記資源管理部は、当該通信機器の情報が書き込まれた前記データ領域の数と同数の通信資源を前記通信機器に割り当てる
ことを特徴とする請求項2記載の資源管理装置。
【請求項4】
前記対応管理部は、通信要求を送信してきた通信機器が、前記対応指定部により予め対応付けられた前記データ領域を持たない通信機器であった場合、所定の条件を満たすデータ領域に当該通信機器の情報を書き込み、
前記資源管理部は、当該通信機器の情報が書き込まれた前記データ領域の数と同数の通信資源を前記通信機器に割り当てる
ことを特徴とする請求項2記載の資源管理装置。
【請求項5】
前記対応管理部は、前記通信資源に障害が発生すると、所定の条件を満たすデータ領域のうち障害が発生した通信資源数と同数のデータ領域を、通信機器の情報の書き込み不可とすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか1項記載の資源管理装置。
【請求項6】
前記対応管理部は、前記通信資源に障害が発生すると、当該通信資源を使用していた通信機器が、前記対応指定部により予め対応付けられた前記データ領域を持つ通信機器であり、所定の条件を満たすデータ領域がない場合、通信機器の情報が書き込まれているデータ領域のうち障害が発生した通信資源数と同数のデータ領域に書き込まれている通信機器の情報を削除し、
前記資源管理部は、データ領域から情報を削除された通信機器が使用していた通信資源の割り当てを解除することを特徴とする請求項5記載の資源管理装置。
【請求項7】
前記所定の条件とは、前記対応指定部により所定の通信機器に予め対応付けられておらず、通信機器の情報が書き込まれておらず、かつ書き込み不可でないことであることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項記載の資源管理装置。
【請求項8】
複数の通信機器に割り当てる所定数の通信資源と、
前記通信資源と同数のデータ領域を確保すると共に、通信要求を送信してきた通信機器を所定の前記データ領域に対応付ける対応管理部と、前記対応管理部によるデータ領域と通信機器との対応結果に基づいて、当該通信機器に前記通信資源を割り当てる資源管理部とを備えた資源管理装置と
を備えたネットワークシステム。
【請求項9】
前記資源管理装置は、1または複数の所定の通信機器に、当該通信機器が使用する通信資源数と同数の前記データ領域を予め対応付けておく対応指定部をさらに備えたことを特徴とする請求項8記載のネットワークシステム。
【請求項10】
前記対応管理部は、通信要求を送信してきた通信機器が、前記対応指定部により予め対応付けられた前記データ領域を持つ通信機器であった場合、当該対応付けられたデータ領域に当該通信機器の情報を書き込み、
前記資源管理部は、当該通信機器の情報が書き込まれた前記データ領域の数と同数の通信資源を前記通信機器に割り当てる
ことを特徴とする請求項9記載のネットワークシステム。
【請求項11】
前記対応管理部は、通信要求を送信してきた通信機器が、前記対応指定部により予め対応付けられた前記データ領域を持たない通信機器であった場合、所定の条件を満たすデータ領域に当該通信機器の情報を書き込み、
前記資源管理部は、当該通信機器の情報が書き込まれた前記データ領域の数と同数の通信資源を前記通信機器に割り当てる
ことを特徴とする請求項9記載のネットワークシステム。
【請求項12】
前記対応管理部は、前記通信資源に障害が発生すると、所定の条件を満たすデータ領域のうち障害が発生した通信資源数と同数のデータ領域を、通信機器の情報の書き込み不可とすることを特徴とする請求項8ないし請求項11のうちいずれか1項記載のネットワークシステム。
【請求項13】
前記対応管理部は、前記通信資源に障害が発生すると、当該通信資源を使用していた通信機器が、前記対応指定部により予め対応付けられた前記データ領域を持つ通信機器であり、所定の条件を満たすデータ領域がない場合、通信機器の情報が書き込まれているデータ領域のうち障害が発生した通信資源数と同数のデータ領域に書き込まれている通信機器の情報を削除し、
前記資源管理部は、データ領域から情報を削除された通信機器が使用していた通信資源の割り当てを解除することを特徴とする請求項12記載のネットワークシステム。
【請求項14】
前記所定の条件とは、前記対応指定部により所定の通信機器に予め対応されておらず、通信機器の情報が書き込まれておらず、かつ書き込み不可でないことであることを特徴とする請求項11ないし請求項13のいずれか1項記載のネットワークシステム。
【請求項15】
複数の通信機器に割り当てる所定数の通信資源と同数のデータ領域を確保すると共に、通信要求を送信してきた通信機器を所定の前記データ領域に対応付け、
前記データ領域と通信機器との対応結果に基づいて、当該通信機器に前記通信資源を割り当てること
を備えた資源管理方法。
【請求項16】
1または複数の所定の通信機器に、当該通信機器が使用する通信資源数と同数の前記データ領域を予め対応付けておくことをさらに備えたことを特徴とする請求項15記載の資源管理方法。
【請求項17】
通信要求を送信してきた通信機器が、予め対応付けられた前記データ領域を持つ通信機器であった場合、当該対応付けられたデータ領域に当該通信機器の情報を書き込み、
当該通信機器の情報が書き込まれた前記データ領域の数と同数の通信資源を前記通信機器に割り当てることを特徴とする請求項16記載の資源管理方法。
【請求項18】
通信要求を送信してきた通信機器が、予め対応付けられた前記データ領域を持たない通信機器であった場合、所定の条件を満たすデータ領域に当該通信機器の情報を書き込み、
当該通信機器の情報が書き込まれた前記データ領域の数と同数の通信資源を前記通信機器に割り当てることを特徴とする請求項16記載の資源管理方法。
【請求項19】
前記通信資源に障害が発生すると、所定の条件を満たすデータ領域のうち障害が発生した通信資源数と同数のデータ領域を、通信機器の情報の書き込み不可とすることを特徴とする請求項15ないし請求項18のうちいずれか1項記載の資源管理方法。
【請求項20】
前記通信資源に障害が発生すると、当該通信資源を使用していた通信機器が、予め対応付けられた前記データ領域を持つ通信機器であり、所定の条件を満たすデータ領域がない場合、通信機器の情報が書き込まれているデータ領域のうち障害が発生した通信資源数と同数のデータ領域に書き込まれている通信機器の情報を削除し、
データ領域から情報を削除された通信機器が使用していた通信資源の割り当てを解除することを特徴とする請求項19記載の資源管理方法。
【請求項21】
前記所定の条件とは、前記所定の通信機器に予め対応されておらず、通信機器の情報が書き込まれておらず、かつ書き込み不可でないことであることを特徴とする請求項18ないし請求項20のいずれか1項記載の資源管理方法。
【請求項22】
複数の通信機器に割り当てる所定数の通信資源と同数のデータ領域を確保すると共に、通信要求を送信してきた通信機器を所定の前記データ領域に対応付ける処理と、
前記データ領域と通信機器との対応結果に基づいて、当該通信機器に前記通信資源を割り当てる処理と
を、コンピュータに実行させる資源管理プログラム。
【請求項23】
1または複数の所定の通信機器に、当該通信機器が使用する通信資源数と同数の前記データ領域を予め対応付けておく処理をさらに備えたことを特徴とする請求項22記載の資源管理プログラム。
【請求項24】
通信要求を送信してきた通信機器が、予め対応付けられた前記データ領域を持つ通信機器であった場合、当該対応付けられたデータ領域に当該通信機器の情報を書き込む処理と、
当該通信機器の情報が書き込まれた前記データ領域の数と同数の通信資源を前記通信機器に割り当てる処理を備えたことを特徴とする請求項23記載の資源管理プログラム。
【請求項25】
通信要求を送信してきた通信機器が、予め対応付けられた前記データ領域を持たない通信機器であった場合、所定の条件を満たすデータ領域に当該通信機器の情報を書き込む処理と、
当該通信機器の情報が書き込まれた前記データ領域の数と同数の通信資源を前記通信機器に割り当てる処理を備えたことを特徴とする請求項23記載の資源管理プログラム。
【請求項26】
前記通信資源に障害が発生すると、所定の条件を満たすデータ領域のうち障害が発生した通信資源数と同数のデータ領域を、通信機器の情報の書き込み不可とする処理を備えたことを特徴とする請求項22ないし請求項25のうちいずれか1項記載の資源管理プログラム。
【請求項27】
前記通信資源に障害が発生すると、当該通信資源を使用していた通信機器が、予め対応付けられた前記データ領域を持つ通信機器であり、所定の条件を満たすデータ領域がない場合、通信機器の情報が書き込まれているデータ領域のうち障害が発生した通信資源数と同数のデータ領域に書き込まれている通信機器の情報を削除する処理と、
データ領域から情報を削除された通信機器が使用していた通信資源の割り当てを解除する処理を備えたことを特徴とする請求項26記載の資源管理プログラム。
【請求項28】
前記所定の条件とは、前記所定の通信機器に予め対応されておらず、通信機器の情報が書き込まれておらず、かつ書き込み不可でないことであることを特徴とする請求項25ないし請求項27のいずれか1項記載の資源管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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