説明

質量分析方法および質量分析装置

【課題】MALDI法のような観測されるスペクトル強度に時間的なムラのあるイオン化法においても、積算によってマススペクトルのS/Nが低下しない質量分析方法および質量分析装置を提供する。
【解決手段】観測されるマススペクトルを所定の回数ずつ1次積算して保存し、測定終了後、1次積算スペクトルのスペクトル強度のタイムトレースに基づき、保存された1次積算スペクトルを所定の規則により選択し、2次積算させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微量化合物の定量分析、定性一斉分析、および試料イオンの構造解析分野に用いられる質量分析方法および質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MALDI(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)法は、レーザーイオン化法の一種である。使用するレーザー光波長に吸収帯を持つマトリックス(液体や結晶性化合物、金属粉など)中に試料を混合・溶解させて、サンプルプレート上に固着させ、これにレーザー照射して試料を気化あるいはイオン化させる。パルスレーザーを用いるパルスイオン化法であるため、飛行時間型質量分析装置(TOFMS、Time-of-Fright Mass Spectrometer)との相性が良く、質量分析部にはTOFMSが用いられることが多い。
【0003】
近年では、マトリックスと試料の混合手順を省略することのできるマトリックスフリーのイオン化法も開発されている。多くの場合、サンプルプレート上の微細構造を利用している。
【0004】
一方、TOFMSは、一定量のエネルギーを与えてイオンを加速・飛行させ、検出器に到達するまでに要する時間からイオンの質量電荷比を求める質量分析装置である。TOFMSでは、イオンを一定のパルス電圧Vaで加速する。このとき、イオンの速度vは、エネルギー保存則から、
mv2/2 = qeVa ………(1)
v = √(2qeV/m) ………(2)
と表わされる(ただしm:イオンの質量、q:イオンの電荷、e:素電荷)。
【0005】
一定距離Lの後に置いた検出器には、飛行時間Tで到達する。
【0006】
T = L/v = L√(m/2qeV) ………(3)
式(3)により、飛行時間Tがイオンの質量mによって異なることを利用して、質量を分離する装置がTOFMSである。図1に直線型TOFMSの一例を示す。また、イオン源と検出器の間に反射場を置くことにより、エネルギー収束性の向上と飛行距離の延長を可能にする反射型TOFMSも広く利用されている。図2に反射型TOFMSの一例を示す。
【0007】
また、TOFMSには、飛行時間測定方式に2種類ある。1つは、イオン源で生成したイオンをそのまま高パルス電圧で引き出し、飛行時間測定を行なう同軸型TOFMSであり、パルスイオン源と組み合わせて用いることが多い。もう1つは、イオン源で生成したイオンを数十eV程度の運動エネルギーで輸送し、その輸送軸方向と垂直方向に高パルス電圧でイオンを加速し、飛行時間測定を行なう垂直加速型TOFMSであり、連続的なイオン源と組み合わせて用いることが多い。
【0008】
レーザー照射を利用するイオン化では、その両方の方式が利用可能であるが、同軸型の場合、レーザー照射と飛行時間測定は同期しており、垂直加速型の場合、レーザー照射と飛行時間測定は非同期である。
【0009】
【特許文献1】特開平7−178070号公報。
【0010】
【特許文献2】特開2005−134181号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
MALDI法は、現在質量分析装置に利用されているイオン化法の中でも、非常に多様な化合物のイオン化が可能である。その反面、マトリックス物質と試料を混合し、結晶化させるときに、1mmφ程度の広がりを持ち、試料がその面積内に局在する場合が多い。イオン化はレーザー照射により行なわれるが、レーザー光の照射径は100μmで、結晶化した面積よりも十分小さいため、試料の局在を反映して、レーザーの照射位置によりイオン強度が大きく異なる問題が発生する。つまり、スペクトル強度を縦軸、データ取得時間を横軸とするグラフ(以下、タイムトレースと呼ぶ)を書くと、図3のようにスペクトル強度の強い複数の山が存在することになる。
【0012】
通常の質量分析装置では、数百〜数千回程度のマススペクトル取得を行ない、積算することでS/Nの良いマススペクトルを得ているが、レーザー照射に合わせて無作為にスペクトルの積算を行なっているため、極端にシグナル強度の低いマススペクトルも積算してしまい、総じてS/Nが悪化する場合がある。
【0013】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、MALDI法のような観測されるスペクトル強度に時間的なムラのあるイオン化法においても、積算によってマススペクトルのS/Nが低下しない質量分析方法および質量分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するため、本発明にかかる質量分析方法は、
質量分析装置でマススペクトルを繰り返し測定し、得られたマススペクトルを積算したスペクトルを求める質量分析方法であって、
観測されるマススペクトルを所定の回数ずつ1次積算して保存し、測定終了後、保存された該1次積算スペクトルから2次積算の対象とするものを所定の規則に基づいて選択し、選択された1次積算スペクトルを2次積算するようにしたことを特徴としている。
【0015】
また、前記スペクトルは、MALDI法によって得られたマススペクトルであることを特徴としている。
【0016】
また、前記質量分析装置は、飛行時間型質量分析装置であることを特徴としている。
【0017】
また、前記所定の規則は、マススペクトルの測定期間に含まれる1つの時間領域、または時間的に連続でない2つ以上の時間領域の1次積算スペクトルを選択する規則であり、ここで選択される時間領域は、1次積算スペクトルのS/Nの良い時間領域であることを特徴としている。
【0018】
また、前記所定の規則は、スペクトル強度に最小閾値を設定し、その最小閾値を超えた1次積算スペクトルを選択する規則であることを特徴としている。
【0019】
また、前記所定の規則は、さらに最大閾値を設定し、最大閾値を超えた1次積算スペクトルを排除する規則であることを特徴としている。
【0020】
また、前記所定の規則は、S/Nの良い1つの時間領域、または時間的に連続でない2つ以上の時間領域の1次積算スペクトルを選択すると同時に、1次積算スペクトルのスペクトル強度に最小閾値を設定し、その最小閾値を超えた1次積算スペクトルを選択する規則であることを特徴としている。
【0021】
また、前記所定の規則は、さらに最大閾値を設定し、最大閾値を超えた1次積算スペクトルを排除する規則であることを特徴としている。
【0022】
また、前記所定の規則は、1次積算スペクトルのスペクトル強度のタイムトレースに基づいて実行されることを特徴としている。
【0023】
また、前記スペクトル強度は、測定されたマススペクトルの所定ピークの強度であることを特徴としている。
【0024】
また、前記スペクトル強度は、測定されたマススペクトルの全域またはある所定の質量電荷比の範囲での全信号強度であることを特徴としている。
【0025】
また、前記所定の規則は、1次積算スペクトルの中から、S/Nの良い順に1次積算スペクトルを順次選択して積算して行き、2次積算スペクトルのS/Nが最も良くなるように積算処理を行なう規則であることを特徴としている。
【0026】
また、前記所定の規則は、2次積算スペクトルのS/Nが増加しなくなった段階で2次積算を終える規則であることを特徴としている。
【0027】
また、前記1次積算時、質量分析装置のドリフトを補償させるようにしたことを特徴としている。
【0028】
また、本発明にかかる質量分析装置は、
マススペクトルを繰り返し測定し、得られたマススペクトルを積算したスペクトルを求める機能を備えた質量分析装置であって、
観測されるマススペクトルを所定の回数ずつ積算して保存するとともに、該積算スペクトルのスペクトル強度のタイムトレースを表示部に表示することを特徴としている。
【0029】
また、前記スペクトル強度は、測定されたマススペクトルの所定ピークの強度であることを特徴としている。
【0030】
また、前記スペクトル強度は、測定されたマススペクトルの全域またはある所定の質量電荷比の範囲での全信号強度であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0031】
本発明の質量分析方法によれば、
質量分析装置でマススペクトルを繰り返し測定し、得られたマススペクトルを積算したスペクトルを求める質量分析方法であって、
観測されるマススペクトルを所定の回数ずつ1次積算して保存し、測定終了後、保存された該1次積算スペクトルから2次積算の対象とするものを所定の規則に基づいて選択し、選択された1次積算スペクトルを2次積算するようにしたので、
MALDI法のような観測されるスペクトル強度に時間的なムラのあるイオン化法においても、積算によってマススペクトルのS/Nが低下しない質量分析方法を提供することができる。
【0032】
また、本発明の質量分析装置によれば、
マススペクトルを繰り返し測定し、得られたマススペクトルを積算したスペクトルを求めることのできる質量分析装置であって、
観測されるマススペクトルを所定の回数ずつ積算して保存するとともに、該積算スペクトルのスペクトル強度のタイムトレースを表示部に表示することができるので、
MALDI法のような観測されるスペクトル強度に時間的なムラのあるイオン化法においても、積算によってマススペクトルのS/Nが低下しない質量分析装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0034】
図4は、本発明に使用されるTOFMSの一実施例である。図中1は、MALDIイオン源である。MALDIイオン源1は、真空部を介して、飛行時間型質量分析計2と接続されている。飛行時間型質量分析計2の後段には、真空部を介して検出系3が接続され、MALDIイオン源1、飛行時間型質量分析計2、および検出系3は、コンピュータなどの制御系4により一体制御されている。検出系3で得られたマススペクトルデータは、コンピュータと記憶装置で構成されるデータ収集・処理系5に送られて、データ処理とデータの保存が行なわれる。
【0035】
このような構成において、MALDIイオン源1、飛行時間型質量分析計2、および検出系3により取得されたマススペクトルは、数十スペクトル単位で積算され、1次積算スペクトルとして、データ収集・処理系5中の記憶媒体に順次保存されていく。
【0036】
このとき、1次積算スペクトルのスペクトル強度の経時変化をタイムトレースとしてモニターに表示しても良い。スペクトル強度は、測定されたマススペクトルの最大ピークの強度であっても良いし、全信号強度の積算値であっても良い。また、強度を指定する質量範囲は、マススペクトル全域であっても良いし、ある特定の質量電荷比の範囲であっても良い。
【0037】
MALDIイオン源1でのレーザー照射がすべて終了し、測定が終了した後、取得・保存されている1次積算スペクトルのうち、ある程度のS/Nがあるもの1次積算スペクトルのみを選択し、選択された1次積算スペクトルを積算して2次積算スペクトルを作成する。2次積算は、測定終了後の積算作業であるため、最良の結果がえられるよう、さまざまな試行錯誤が可能である。2次積算スペクトル作成のための1次積算スペクトルの選択法には、次の5つのモードがある。
【0038】
1.図5に示すように、1次積算スペクトルのタイムトレースを見ながら、スペクトル強度が強いと認められる1つの時間領域、または時間的に連続でない2つ以上の時間領域の1次積算スペクトルを選択する第1のモード。
【0039】
2.1次積算スペクトルのタイムトレースを見ながら、スペクトル強度の最小閾値を設定し、その閾値以上の領域に存在する1次積算スペクトルを選択する第2のモード。ここで、最小閾値はスペクトル強度の弱いスペクトルの排除を目的としている。
【0040】
3.図6に示すように、1次積算スペクトルのタイムトレースを見ながら、スペクトル強度の最大閾値および最小閾値を設定し、その間に存在する1次積算スペクトルを選択する第3のモード。ここで、最小閾値はスペクトル強度の弱いスペクトルの排除、最大閾値は1次積算スペクトルで強度がオーバーフローしたものの排除を目的としている。
【0041】
4.図7に示すように、上記1と3を組み合わせた第4のモード。また、上記1と2の組み合わせであっても良い。
【0042】
5.スペクトル強度の強い順に1次積算スペクトルを自動的に順次選択して積算して行き、得られた2次積算スペクトルのS/Nが最も良くなるように積算処理を行なう第5のモード。その場合、2次積算スペクトルのS/Nを常時モニターしておき、S/Nが増加しなくなった段階で自動的に2次積算作業を打ち切るようにさせる。
【0043】
図8は、このような各モードを選択し、時間領域や閾値などの条件を入力するためのグラフィック・ユーザー・インターフェイスの一実施例を示したものである。図中11は、1次積算スペクトルのタイムトレースを表示するウインドウである。このウインドウの右横には、5つのモードを選択できるコマンドが表示されている。
【0044】
モード1をクリックすると、ウインドウ11に縦方向のカーソル線が表示される。このカーソル線をキーボードやマウスを使って移動させることにより、1次積算スペクトルのタイムトレースを見ながら、スペクトル強度が強いと認められる1つの時間領域、または時間的に連続でない1つ以上の時間領域を設定することができる。設定後、実行キー12をクリックすると、その時間領域内で2次積算が実行される。これは、前述した第1のモードにあたる。
【0045】
モード2をクリックすると、ウインドウ11に横方向のカーソル線が表示される。このカーソル線をキーボードやマウスを使って移動させることにより、1次積算スペクトルのタイムトレースを見ながら、スペクトル強度の最小閾値を設定することができる。設定後、実行キー12をクリックすると、その閾値以上の領域で2次積算が実行される。これは、前述した第2のモードにあたる。
【0046】
モード3をクリックすると、ウインドウ11に横方向のカーソル線が表示される。このカーソル線をキーボードやマウスを使って移動させることにより、1次積算スペクトルのタイムトレースを見ながら、スペクトル強度の最小閾値と最大閾値を設定することができる。設定後、実行キー12をクリックすると、その閾値に挟まれた範囲内で2次積算が実行される。これは、前述した第3のモードにあたる。
【0047】
モード4をクリックすると、ウインドウにラバーバンドのカーソル線が表示される。このカーソル線をキーボードやマウスを使って伸縮させることにより、1次積算スペクトルのタイムトレースを見ながら、スペクトル強度が強いと認められる1つの時間領域、または時間的に連続でない1つ以上の時間領域と、スペクトル強度の最小閾値および最大閾値を同時に設定することができる。設定後、実行キー12をクリックすると、その時間領域内および閾値に挟まれた範囲内で2次積算が実行される。これは、前述した第4のモードにあたる。
【0048】
モード5を選択して実行キー12をクリックすると、スペクトル強度の強い順に1次積算スペクトルが自動的に選択されて2次積算が実行される。その際、2次積算スペクトルのS/Nの変化が常時数字で表示され、S/Nが増加しなくなった段階で自動的に2次積算作業が打ち切られる。これは、前述した第5のモードにあたる。なお、2次積算時のS/Nの経時変化をグラフとして積算中に表示できるように構成すれば、S/Nが増加したり減少したりする変化のようすを、リアルタイムでモニターすることができる。
【0049】
ところで、TOFMSでは、経時的な温度変動に伴い、飛行管の飛行距離や電源電圧がドリフトし、その影響で、同じ質量電荷比を持つイオンを測定している場合でも、マスピークの質量電荷比の値がずれることがしばしば起こる。
【0050】
図9に示すように、当然のことながら、マスピークがドリフトすると、積算時のS/Nの向上が望めないばかりでなく、マスピークがブロードになることにより、分解能の低下を招く。
【0051】
そこで、積算時には、各スペクトルにおいてある基準となるマスピークを1つ以上選出し、そのマスピークの質量電荷比の値が所定の値になるように、質量電荷比軸を補正してから積算することが有効である。ここで言う所定の値とは、指定したマスピークがすべて既知物質であればその理論値、1つでも未知物質がある場合は、最初に取得したマススペクトルにおける質量電荷比の値とすれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
質量分析装置に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】従来の直線型飛行時間型質量分析装置の一例を示す図である。
【図2】従来の反射型飛行時間型質量分析装置の一例を示す図である。
【図3】従来のMALDI−TOFMS法で観測されるマススペクトル強度のタイムトレースの一例を示す図である。
【図4】本発明に使用されるTOFMSの一実施例を示す図である。
【図5】本発明にかかる質量分析方法の一実施例を示す図である。
【図6】本発明にかかる質量分析方法の別の実施例を示す図である。
【図7】本発明にかかる質量分析方法の別の実施例を示す図である。
【図8】本発明にかかる質量分析装置に用いられるグラフィック・ユーザー・インターフェイスの一実施例を示す図である。
【図9】マスピークのドリフトによる影響を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1:MALDIイオン源、2:飛行時間型質量分析装置、3:検出系、4:制御系、5:データ収集・処理系、11:ウインドウ、12:実行キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析装置でマススペクトルを繰り返し測定し、得られたマススペクトルを積算したスペクトルを求める質量分析方法であって、
観測されるマススペクトルを所定の回数ずつ1次積算して保存し、測定終了後、保存された該1次積算スペクトルから2次積算の対象とするものを所定の規則に基づいて選択し、選択された1次積算スペクトルを2次積算するようにしたことを特徴とする質量分析方法。
【請求項2】
前記スペクトルは、MALDI法によって得られたマススペクトルであることを特徴とする請求項1記載の質量分析方法。
【請求項3】
前記質量分析装置は、飛行時間型質量分析装置であることを特徴とする請求項1または2記載の質量分析方法。
【請求項4】
前記所定の規則は、マススペクトルの測定期間に含まれる1つの時間領域、または時間的に連続でない2つ以上の時間領域の1次積算スペクトルを選択する規則であり、ここで選択される時間領域は、1次積算スペクトルのS/Nの良い時間領域であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の質量分析方法。
【請求項5】
前記所定の規則は、スペクトル強度に最小閾値を設定し、その最小閾値を超えた1次積算スペクトルを選択する規則であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の質量分析方法。
【請求項6】
前記所定の規則は、さらに最大閾値を設定し、最大閾値を超えた1次積算スペクトルを排除する規則であることを特徴とする請求項5記載の質量分析方法。
【請求項7】
前記所定の規則は、S/Nの良い1つの時間領域、または時間的に連続でない2つ以上の時間領域の1次積算スペクトルを選択すると同時に、1次積算スペクトルのスペクトル強度に最小閾値を設定し、その最小閾値を超えた1次積算スペクトルを選択する規則であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の質量分析方法。
【請求項8】
前記所定の規則は、さらに最大閾値を設定し、最大閾値を超えた1次積算スペクトルを排除する規則であることを特徴とする請求項7記載の質量分析方法。
【請求項9】
前記所定の規則は、1次積算スペクトルのスペクトル強度のタイムトレースに基づいて実行されることを特徴とする請求項4ないし8のいずれか1項に記載の質量分析方法。
【請求項10】
前記スペクトル強度は、測定されたマススペクトルの所定ピークの強度であることを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1項に記載の質量分析方法。
【請求項11】
前記スペクトル強度は、測定されたマススペクトルの全域またはある所定の質量電荷比の範囲での全信号強度であることを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1項に記載の質量分析方法。
【請求項12】
前記所定の規則は、1次積算スペクトルの中から、S/Nの良い順に1次積算スペクトルを順次選択して積算して行き、2次積算スペクトルのS/Nが最も良くなるように積算処理を行なう規則であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の質量分析方法。
【請求項13】
前記所定の規則は、2次積算スペクトルのS/Nが増加しなくなった段階で2次積算を終える規則であることを特徴とする請求項12記載の質量分析方法。
【請求項14】
前記1次積算時、質量分析装置のドリフトを補償させるようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の質量分析方法。
【請求項15】
マススペクトルを繰り返し測定し、得られたマススペクトルを積算したスペクトルを求める機能を備えた質量分析装置であって、
観測されるマススペクトルを所定の回数ずつ積算して保存するとともに、該積算スペクトルのスペクトル強度のタイムトレースを表示部に表示することを特徴とする質量分析装置。
【請求項16】
前記スペクトル強度は、測定されたマススペクトルの所定ピークの強度であることを特徴とする請求項15記載の質量分析装置。
【請求項17】
前記スペクトル強度は、測定されたマススペクトルの全域またはある所定の質量電荷比の範囲での全信号強度であることを特徴とする請求項15記載の質量分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−70122(P2008−70122A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246311(P2006−246311)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】