説明

質量流量制御システム

【課題】圧力脈動によって反応器中での化学反応(選択性、反応機構、副生成物の生成等)に悪影響を生じない送出システムと制御方法を提供する。
【解決手段】流体Aを静的ミキサ1へと送り込むための送出システムであって、所定の圧力の前記流体Aを含んだタンク2と、前記静的ミキサ1とタンク2とを接続する流路3と、前記流路3内に設けられ、前記タンク2から前記容器中への前記流体Aのフローを制御する制御バルブ4と;前記流体Aの目標流量SP_Q及び前記流体Aの実際の流量PV_Qを受けるための、並びに、バルブ位置を表す前記制御バルブ4への制御シグナルMV_Lを出力して前記流量を調節するための制御器6とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、静的ミキサ、特にはマイクロリアクタのための送出(dosage)システム及びその制御方法に関する。
【0002】
マイクロリアクタなどの静的ミキサは、その中に含まれた流体又は反応物を混合及び/又は反応させるために役立つ。静的ミクスチャは、1以上の流体のための少なくとも1つの、通常は2つの入口を備え、前記流体は、慣習的には、ポンプ、特にはピストンポンプによってミキサへと供給される。しかしながら、このようなポンプは、そのサイクル周期性によって、ミキサ内での圧力揺らぎを生じる。特に、構造化された内部空洞及び表面を有し、温度制御を有するか又は有していない小型の静的ミキサであるマイクロリアクタにおいては、より高い圧力が必要であるため、このような従来のシステムでは、巨大な圧力脈動が生じる。ここで、図3Aは、従来のピストンポンプによってマイクロリアクタへともたらされるフィード圧力を示している。配送ポンプを含む従来のシステム中で生じているこのような圧力揺らぎ、特には圧力脈動は、反応がマイクロ混合制御されているか又は圧力に依存する場合には特に、反応器中での化学反応(選択性、反応機構、副生成物の生成等)に悪影響を及ぼすかもしれない。
【0003】
所望の量の流体を適用するためには、各々の流体の質量流量が、高い精度で測定及び制御されなければならない。
【0004】
質量流量の既知の測定方法は、いわゆるコリオリ式質量流制御器(CMFC)である。CMFCは、ある振幅で振動する長い金属管を備えている。しかしながら、これら振動は、装置の安定性及びマイクロリアクタ内部の特性を損なうかもしれない。更には、既知のCMFCでは、正確な測定のための最小の質量フローは、少なくとも10g/分でなければならない。加えて、低い流量においても優れた精度を達成するためには、非常に小さな直径(1nm未満)の管が必要であり、これは、詰まり(plugging, clogging)等の見地から、更なる問題をもたらすかもしれない。更には、CMFCは金属構造中での比較的長い滞留時間を必要とするため、化学反応、腐食、予備加熱又は予備冷却のための気を遣う作業等の諸問題及び不所望の副作用が生じるかもしれない。
【0005】
したがって、本発明の目的は、静的ミキサのための送出システムであって、質量流が、上記の欠点を回避するか又は少なくとも低減させるように制御されうる送出システムを提供することである。
【0006】
前記目的は、請求項1に係る送出システムによって解決される。
【0007】
流体Aを静的ミキサ1へと送り込むための送出システムであって、前記システムは、所定の圧力の前記流体Aと前記所定の圧力をもたらす加圧要素Bとを含んだタンク2と;前記静的ミキサ1とタンク2とを接続する流路3と;タンク2中に含まれた流体Aの重量PV_Mを検出する重量計5と、前記流路3内に設けられ、前記タンク2から前記静的ミキサ1中への前記流体Aのフローを制御する制御バルブ4と;前記流体Aの目標流量SP_Q及び前記流体Aの実際の流量PV_Qを受けるための;並びに、バルブ位置を表す前記制御バルブ4への制御シグナルMV_Lを出力して前記流量を調節するための制御器6と;異なる時点t0及びt1で前記重量計5により検出されたPV_Mに基づいて、前記実際の流量PV_Qを前記制御器6へと出力するフロー推定器とを具備した送出システム。前記流体は、液体又は気体、例えば、液体若しくは気体の反応剤、又はその中に溶解した反応剤を有していてもいなくてもよい溶媒であってもよい。
【0008】
前記流体の前記ミキサ中への質量流を制御するためには、質量又は体積流が決定されなければならない。そこで、本発明の送出システムにおいては、重量計及びフロー推定器が用いられる。タンク中に含まれた流体の重量、並びに、タンク、流体及び加圧要素の総重量は、タンクからの前記流体のフローによってのみ変化するため、流体の流量は、異なる時点において前記重量計によって検出される、タンク中に含まれた流体の重量に基づいて決定されうる。即ち、仮にタンク内の流体又はシステム全体の重量がある時間の間にある量だけ減少した場合には、流体の流量は、前記量を前記時間で割ることにより与えられる。好ましくは、重量が重量計によって検出され及び前記フロー推定器によって処理される前記時間は、流量の十分な精度をもたらすためには十分に小さいがサンプルノイズを回避するためには十分に大きく選択される。
【0009】
質量フローのこのような制御を用いると、反応メディア容器は、既知のCMFCとは対照的に、鉄、ガラス、ほうろう(email)、ポリマー等の反応に好適な任意の材料によって作られうる。更には、完全な制御器が単純且つ安価な構成要素を用いて組み立てられることができ、且つ従来のCMFCや他の既知の質量フロー制御器と比較して環境の影響に敏感でない。
【0010】
一態様では、加圧要素は、タンクからミキサ中へと流体を送り込むポンプを備えている。前記ポンプは、例えばピストンポンプ又はシリンジポンプのように、あらゆる既知の方法で構成されてもよい。ポンプ及びタンクは、重量計上に置かれるべきであり、重量計は、タンク中に含まれた流体と加圧要素との総重量を決定する。有利には、前記重量計は、タンク、ポンプ等の機器の一定重量を除去すべく、流体を送り込み始める前に初期点(ゼロ点)へとリセットされてもよい。
【0011】
しかしながら、ポンプを備えた加圧要素を用いると、導入部に記載したように、振動及び圧力脈動が生じるかもしれない。したがって、好ましい態様では、加圧要素は、タンクから前記ミキサ中へと所定の圧力で送り込むべき流体を押し出すのに十分な所定の圧力の不活性流体を備えていてもよい。これは、ミキサ中に、送り込まれる。したがって、ポンプにより生成される振動及び圧力脈動は、この態様では、有利に回避されうる。このような無振動及び非可動の送出システムは、単純な管接続を用いた更なる処理(2以上のラインの予備冷却、予備加熱、予備混合など)を可能とする。
【0012】
前記不活性流体が、ミキサ中へと送り込まれるべき流体を含んでいる前記タンク中へと流れると、前記タンクの総重量がこれに従って変化する。しかしながら、前記変化は、ミキサ中へと送り込まれるべき流体の質量流を反映せず、質量流の検出に誤差をもたらすであろう。そこで、不活性流体は、有利には、不活性ガスである。斯かる不活性ガスの低い密度のおかげで、その流入は、質量流の決定に大きく影響しない。更には、このような誤差は、フロー推定器自体の内部で補正されてもよい。
【0013】
前記タンクは、ミキサ中への流体の排出が前記タンク内部の圧力に大きく影響しないように、十分に大きいことが好ましい。
【0014】
好ましい態様では、流路が前記ミキサとタンクとを接続し、制御バルブが前記流路中に設けられて、前記タンクから前記ミキサへの前記流体のフローを制御する。制御器は、オペレータにより選択された前記流体の目標流量、及び、前記流体の実際の流量を受け取る。前記制御器は、その後、バルブ位置を表す前記制御バルブへの制御シグナルを出力して、これに従って流量を調節する。
【0015】
したがって、好ましい態様では、タンク内部の過圧によって、流体がミキサへと供給される。それゆえ、従来の送出システムにおいて、フィードフロー内での圧力揺らぎを伴うポンプ、特にはピストンポンプは、必要でない。したがって、本発明のこの態様に係る送出システムは、より少ない流体フィードフロー内での圧力振動で又は圧力振動なしに流体を供給することができる。図3Bは、本発明の好ましい態様に係る送出システムによってマイクロリアクタへともたらされるフィード圧力を示している。図3Aとの比較から分かるように、圧力特性が著しく滑らかとなる。
【0016】
目標フィード流量と検出された実際のフィード流量との間の差に基づいた制御バルブのフィードバック制御により、前記所望の目標フィード流量は、ストローク等のポンプパラメータの知識なしに、高精度で実現されうる。更には、ポンプがないことは、有利に、コストを低減させるだけでなく、前記ポンプによりもたらされる不純物又は前記ポンプにおいて生じる漏れを回避する。このことは、有害な流体を処理する際に最も好ましく、より密閉性に優れたシステムを提供することができる。
【0017】
好ましくは、静的ミキサは、マイクロリアクタ、即ち、温度制御を有しているか又は有しておらず、構造化された空洞及び内部表面を有し、任意に、所望の化学反応に適合した触媒でコートされていてもよい小型の静的ミキサである。
【0018】
前記好ましい態様において、タンク中に含まれた流体の過圧は、不活性流体によって印加される。ここで、前記タンクは、流体を加圧する所定の圧力の前記不活性流体を更に含んでいる。これは、前記流体の単純な加圧、及び、追加の不活性流体を供給することによる所定の過圧の再達成を可能とする。
【0019】
前記不活性流体は、好ましくは不活性ガスであり、好ましくは前記流体に不溶又は難溶である。一方では、化学反応が前記不活性ガスによって影響を受けず、他方では、このような不活性ガスは、不活性液体と対照的に扱い易く、特には、より高い程度に圧縮されうる。更には、このように難溶又は不溶の不活性ガスを使用することにより、制御バルブの後ろでの圧力低下による泡の生成が有利に妨げられてもよい。ガスの貯蔵器も重量計上に置かれていなければ、ガスを供給することによる過圧は、重量計上に、付加的な質量を加えるであろう。しかしながら、加圧ガスとミキサ中へと送り込まれる流体との密度の大きな差異により、前記付加的な重量は、計算で容易に補償されうる。管及び接続システムの追加重量は、送出システムの精度には影響しない。
【0020】
サンプルレート、数値オペレーション等によるノイズを更に回避又は補正するために、前記重量がアナログ的に又は数値的に時間微分されて実際の流量を生成する一方で、前記重量及び/又は時間微分された前記重量により得られる値が、出力の前に、フィルタにかけられる。主として、質量フローの決定及び制御は、必要とされる任意の精度で実行されてもよい。前記精度は、重量計の精度及び惰性(即ち、時間的に遅れた反応)によってのみ制限される。
【0021】
実際の流量のこの測定は、重量計及び重量を処理するための計算ユニットのみを必要とし、低コストで実行されうるだけでなく、流量測定機器の相互作用を避け、それにより、有利に、送出システムの密閉特性を改善する。更には、フロー推定器は、送出システムの制御器内にも設けられうる。
【0022】
更に好ましい態様では、自動制御モードにおいて、制御バルブへの制御シグナル出力は、前記流体の目標流量と実際の流量との間の差に対応した制御器出力を備えている。この制御器出力は、好ましくは、当技術において知られているように、比例、積分若しくは微分制御、又はこれらの任意の組み合わせによって計算されてもよい。ファジー制御、ニューラルネットワークなどの他の制御方法も用いられうる。
【0023】
制御器の応答を増大させるために、オペレータによって制御器に入力されるフィードフォワードバルブ位置に対応したフィードフォワード制御器出力が、制御器出力に加算され、前記制御バルブへの制御シグナル出力を形成してもよい。従来のPID制御器は、目標値と実際の値との間のみの被制御誤差に従うため、このような制御器は、一定の遅延を示し、前記被制御誤差は、十分な制御量をもたらすのに十分なほどに大きく蓄積しなければならない。所定のフィードフォワード制御器出力を加算することは、対照的に、有意な出力シグナルを、最初から(ab initio)有利にもたらす。
【0024】
第1及び/又は第2ランプ(ramp)ユニットは、時間及び目標フィード流量/フィードフォワードバルブ位置に基づいて、目標フィード流量の軌道及びフィードフォワード制御器出力の各々を決定することができる。突然に一定の目標値を入力すること(段階的な目標軌道に対応)は、制御器出力の急激な変化及び送出システム内の圧力脈動をもたらすであろうため、目標値を所定の値まで滑らかに増大させて、送出システムに、斯かるより滑らかな変化に追随するための時間を与えることが有利である。
【0025】
本発明に係る送出システムは、或いは、手動制御モードで更に操作されてもよい。このような手動制御モードでは、オペレータにより入力される手動バルブ位置が、制御器出力の代わりに、前記制御バルブへの前記制御シグナルとして出力される。
【0026】
制御モードは、オペレータにより、自動から手動に又はその逆に切り替えられてもよい。後者の場合、有利には、手動バルブ位置は、前記フィードフォワードバルブ位置に選ばれてもよい。そうすると、最初は、前もって選択しておいた手動バルブ位置がフィードフォワード制御器出力によって保持され、次いで、実際のフィード流量と目標フィード流量との間の差が制御器出力により最小化されるため、手動から自動モードへの滑らかな移行が達成されうる。
【0027】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、従属項及び好ましい態様の記載に由来する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の一態様に係る送出システムを概略的に示している。
【図2】図2は、図1に示す制御器の構造を示している。
【図3A】図3Aは、ポンプを用いた送出システムにより実現されるフィード圧力を示している。
【図3B】図3Bは、本発明に係る不活性ガスを用いた送出システムにより実現されるフィード圧力を示している。
【0029】
本発明の一態様に係る送出システムは、ミキサ1に高い圧力揺らぎなしに所望の流量SP_Qの流体Aを提供することができる。
【0030】
ここで、システムは、前記流体Aと所定の圧力を有した不活性流体Bとを含んだタンク2を備えている。前記圧力は、流体Aをタンク2からミキサ1中へと押し出すために十分である。
【0031】
前記不活性流体Bは、好ましくは不活性ガスBであり、より好ましくは、流体に難溶である。例えば、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)又は窒素(N2)が、不活性ガスとして、有利に使用されてもよい。
【0032】
ミキサ1及びタンク2は、制御バルブ4が設けられた流路3によって互いに接続されている。前記制御バルブ4は、ミキサ1へと運ばれる流体Aの実際のフィード流量PV_Qの調節を可能としている。ここで、制御バルブ4は、フィード流量を調節するために、制御器6から制御シグナルを受け取る。前記制御シグナルは、例えば、制御バルブ4のバルブ位置MV_Lを表していてもよく、より開いたバルブ位置は、より高いフィード流量をもたらす。好ましくは、前記制御バルブは、空気式制御バルブである。
【0033】
前記流量は、フロー推定器により見積もられる。ここで、タンク2中に含まれる流体Aの重量PV_Mは、重量計5によって検出される。重量計5は、例えば、タンク2とその中に含まれた流体A及び不活性ガスBとの総重量を検出してもよく、又は、必須ではないが、タンク及び不活性ガスの重量が差し引かれてもよい。前記重量PV_Mの微分は、タンク2から抜け出す流体Aの質量流量に対応した時間当りの質量変化を与える。換言すれば、実際の重量PV_M(t1)からその前の重量PV_M(t0)を引いて、経過時間(t1−t0)で割ることにより、フィード流量PV_Q(t)=[(PV_M(t1)−PV_M(t0))/(t1−t0)]がもたらされる。他の態様では、前記質量流量は、代わりに体積フィード流量が測定されうるようにすべく、流体Aの密度によって割られてもよい。
【0034】
検出ノイズ及び数値オペレーションにより生成されたノイズを滑らかにするために、フィルタ5a及び/又はフィルタ5cは、それぞれ、計算ユニット5bにおいてフィード流量PV_Qを計算する前及び後に、重量PV_Mを示すシグナルをフィルタにかけてもよい。2次フィルタ、バターワースフィルタ又は他のあらゆる既知のフィルタが、フィルタ5a及び/又は5cとして用いられうる。好ましくは、2つの独立したシグナルのフィルタ、即ち、重量計の重量シグナル及び微分計算が実行される。
【0035】
図2に示すような自動制御モードでは、フィード流量PV_Qは、制御器6でフィードバック制御される。ここで、前記の検出された実際のフィード流量PV_Qは、所定の又は目標フィード流量SP_Qと同様に、前記制御器6へと入力される。好ましい態様では、制御器6は、目標フィード流量の軌道SP_Q(t)を計算して、所定の又は自由に選択可能な時間T_ramp以内に目標フィード流量SP_Qへと滑らかに至らせる、第1ランプユニット6aを備えている。このような軌道は、例えば、以下の等式を満たしていてもよい:
【数1】

【0036】
検出された実際のフィード流量PV_Qは、前記目標フィード流量の軌道SP_Q(t)又は目標フィード流量SP_Qから差し引かれ、被制御誤差e(t)=SP_Q(t)−PV_Q(t)をもたらす。この被制御誤差は、その後、制御ユニット6b中へと入力され、対応した制御器出力u_Lをもたらす。前記制御ユニットは、例えば、比例(P)、積分(I)若しくは微分(D)制御器又はこれらの任意の組み合わせ等のあらゆる既知の制御アルゴリズムを用いてもよい。好ましい態様では、制御ユニット6bはPID制御器を用い、PID制御器は、制御器出力
【数2】

【0037】
をもたらす。ここで、P、D及びIは、それぞれ、所定の又は自由に選択可能な制御器パラメータである。前記制御器出力u_Lは、その後、バルブ位置MV_Lを表す制御シグナルとして、制御バルブ4へと出力されうる。
【0038】
好ましい態様では、更なるフィードフォワード制御器出力FF_Lが制御器出力u_Lへと加えられる。ここで、オペレータは、フィードフォワードバルブ位置MAN_FF_Lを入力する。全体の制御サイクルを滑らかにするために、及び、圧力脈動の原因となるであろうバルブ位置の急激な変化を制限するために、制御器6は、有利には、第1ランプユニット6aと同様に、前記フィードフォワード制御器出力FF_L(t)を計算して、所定の又は自由に選択可能な時間内にフィードフォワードバルブ位置MAN_FF_Lへと滑らかに至らせる、第2ランプユニット6cを有利に備えていてもよい。その後、制御器出力u_Lとフィードフォワード制御器出力FF_L(t)とが足され、制御バルブ4へと出力され且つそこで実現されるべきバルブ位置を表す制御シグナルMV_L=u_L+FF_Lをもたらす。このような更なるフィードフォワード項FF_Lは、目標流量SP_Qがより素早く到達されるように、より速い応答をもたらす。
【0039】
手動制御モードでは、バルブ位置MV_Lは、手動バルブ位置MAN_Lとして、オペレータにより直接的に入力されてもよい(図2参照)。制御器6は、制御バルブ4への出力シグナルMV_Lとして、制御シグナルu_L+FF_L又は手動バルブ位置MAN_Lの何れかを選択するスイッチ6dにより、両制御モード間の切り替えを可能とする。
【0040】
手動から自動制御モードへの滑らかな切り替えを提供するために、フィードフォワード制御器出力FF_Lは、切り替えに際して、手動バルブ位置(図示せず)に設定されてもよい。こうすると、バルブ4は、最初は、前もって手動で決定されたバルブ位置MV_L=MAN_L=FF_Lに保持され、その後、被制御誤差にしたがって、選択された目標フィード流量SP_Qへと滑らかに適合させられるであろう。
【0041】
過剰の質量フロー又はバックフローを回避するために、バルブ位置MV_Lの上限及び下限が事前に決定されてもよい。
【0042】
上記の制御は、例えばデジタル又はアナログ制御器など、あらゆる既知の方法で実現されてもよく、マイクロ制御器、自由にプログラム可能な多目的又は個人用コンピュータなどによって実行されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体(A)を静的ミキサ(1)へと送り込むための送出システムであって、
所定の圧力の前記流体(A)と加圧要素(B)とを含んだタンク(2)と;
前記静的ミキサ(1)とタンク(2)とを接続する流路(3)と;
タンク(2)中に含まれた流体(A)の重量(PV_M)を検出する重量計(5)と、
前記流路(3)内に設けられ、前記タンク(2)から前記静的ミキサ(1)中への前記流体(A)のフローを制御する制御バルブ(4)と;
前記流体(A)の目標流量(SP_Q)及び前記流体(A)の実際の流量(PV_Q)を受けるための;並びに、バルブ位置を表す前記制御バルブ(4)への制御シグナル(MV_L)を出力して前記流量を調節するための制御器(6)と;
異なる時点(t0,t1)で前記重量計(5)により検出された(PV_M)に基づいて、前記実際の流量(PV_Q)を前記制御器(6)へと出力するフロー推定器と
を具備した送出システム。
【請求項2】
前記静的ミキサはマイクロリアクタである請求項1に記載の送出システム。
【請求項3】
前記流体(A)を加圧する前記加圧要素(B)は不活性流体(B)を具備している請求項1又は2に記載の送出システム。
【請求項4】
前記不活性流体(B)は、好ましくは前記流体(A)に難溶性の不活性ガス(B)である請求項3に記載の送出システム。
【請求項5】
前記不活性ガス(B)は、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)又は窒素(N2)である請求項4に記載の送出システム。
【請求項6】
前記制御バルブは空気式調節バルブである請求項1乃至5の何れか1項に記載の送出システム。
【請求項7】
前記流体(A)を加圧する前記加圧要素(B)はポンプを具備している請求項1又は2の記載の送出システム。
【請求項8】
前記フロー推定器は、前記重量(PV_M)が時間微分されて前記実際の流量(PV_Q)をもたらす計算ユニット(5b)を具備し;
前記重量(PV_M)及び/又は時間微分された前記重量により得られる値は、前記計算ユニット(5b)の前及び/又は後に設けられたフィルタユニット(5a,5c)によってフィルタにかけられる請求項1乃至7の何れか1項に記載の送出システム。
【請求項9】
前記制御器(6)は、制御ユニット(6b)を具備し;
前記制御バルブ(4)へと出力される前記制御シグナル(MV_L)は、自動制御モードにおいて、前記流体(A)の前記目標流量(SP_Q)と前記流体(A)の前記実際の流量(PV_Q)との差に対応して前記制御ユニット(6b)により計算される制御器出力(u_L)に関連している請求項1乃至8の何れか1項に記載の送出システム。
【請求項10】
前記制御ユニット(6b)はPID制御器である請求項9に記載の送出システム。
【請求項11】
オペレータにより前記制御器に入力されるフィードフォワードバルブ位置(MAN_FF_L)に対応したフィードフォワード制御器出力(FF_L)が前記制御ユニット(6b)によって計算された前記制御器出力(u_L)に加算されて、前記制御バルブ(4)へと出力される制御シグナル(MV_L)を形成する請求項9又は10に記載の送出システム。
【請求項12】
前記制御器(6)は、前記目標フィード流量(SP_Q)及び時間(T_ramp)に基づいて目標フィード流量の軌道(SP_Q(t))を決定するための第1ランプユニット(6a)を更に具備している請求項9乃至11の何れか1項に記載の送出システム。
【請求項13】
前記制御器(6)は、前記フィードフォワードバルブ位置(MAN_FF_L)及び時間に基づいて前記フィードフォワード制御器出力(FF_L)を決定するための第2ランプユニット(6c)を更に具備している請求項11又は12に記載の送出システム。
【請求項14】
前記制御バルブ(4)は、手動制御モードにおいて、前記制御ユニット(6b)により決定される制御器出力の代わりに、前記制御バルブ(4)への前記制御シグナル(MV_L)としてオペレータにより入力される手動バルブ位置(MAN_L)を出力するためのスイッチ(6d)を更に具備している請求項9乃至13の何れか1項に記載の送出システム。
【請求項15】
手動から自動制御モードへのスイッチ(6d)の切り替えに際して、前記手動バルブ位置(MAN_L)が前記フィードフォワードバルブ位置(MAN_FF_L)として選ばれる請求項11及び14に記載の送出システム。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載の送出システムの制御方法であって、
前記流体(A)の目標流量(SP_Q)及び実際の流速(PV_Q)を受け取る工程と;
バルブ位置を表す前記制御バルブ(4)への制御シグナル(MV_L)を出力して、前記流体(A)の前記目標及び前記実際の流量(SP_Q,PV_Q)に基づいて流量を調節する工程と
を具備した方法。
【請求項17】
前記実際の流量(PV_Q)は、前記重量計によって異なる時点(t0,t1)で検出されたタンク(2)中に含まれる流体(A)の重量(PV_M)に基づいて、フロー推定器によって決定される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記重量(PV_M)が時間微分されて前記流量(PV_Q)をもたらし;
前記重量(PV_M)及び/又は前記重量を時間微分して得られた値が出力の前にフィルタにかけられる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記制御シグナル(MV_L)は、自動制御モードにおいて、前記流体(A)の前記目標流量(SP_Q)と前記流体(A)の前記実際の流量(PV_Q)との差(e(t))に対応して計算される制御器出力(u_L)に関連している請求項16乃至18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記制御器出力(u_L)は、前記差e(t)に対応した係数、前記間隔の時間微分(d(e(t))/dt)に対応した制御器パラメータ、及び前記間隔の時間積分(∫(e(t))/dt)に対応した係数を具備して計算される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
オペレータにより制御器に入力されるフィードフォワードバルブ位置(MAN_FF_L)に対応したフィードフォワード制御器出力(FF_L)が前記制御器出力(u_L)に加算されて、前記制御バルブ(4)へと出力される制御シグナル(MV_L)を形成する請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
目標フィード流量の軌道(SP_Q(t))は、前記目標フィード流量(SP_Q)及び時間(T_ramp)に基づいて決定される請求項19乃至21の何れか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記フィードフォワード制御器出力(FFL)は、前記フィードフォワードバルブ位置(MAN_FF_L)及び時間に基づいて決定される請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
オペレータにより入力される手動バルブ位置(MAN_L)は、手動制御モードにおいて、前記制御器出力の代わりに、前記制御バルブ(4)への前記制御シグナル(MV_L)として出力されうる請求項19乃至23の何れか1項に記載の方法。
【請求項25】
手動から自動制御モードへの切り替えに際して、前記手動バルブ位置(MAN_L)が前記フィードフォワードバルブ位置(MAN_FF_L)として選ばれる請求項21及び24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2012−256332(P2012−256332A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−159086(P2012−159086)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2008−535986(P2008−535986)の分割
【原出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(398075600)ロンザ アーゲー (58)
【Fターム(参考)】