説明

質量流量検出器

【課題】移送中の粉体を測定路ごと秤量する秤量手段に、移送中の粉体が付着しないようにする。
【解決手段】荷重を測定するための秤量手段10bの支点に測定路10aをブラケット22でもって吊り下げる。このように、秤量手段10bを測定路10aから離し、測定路10aを移送する粉体から隔離する。こうすることで、秤量手段10bにリターンする粉体が付着しないようにして粉体の付着による誤差が起きないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体の質量流量を検出する質量流量検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
定量供給を行うことのできる機器の一つとしてベルト(コンベヤ)スケールがある。ベルトスケールは、コンベヤベルトに、例えば、計量ローラなどの計量センサを設け、前記ローラでベルト上を移送する、例えば、砕石、石炭、鉄鉱石・・・など、重量物の質量流量を測定する。
このとき、ベルトスケールでは、ベルトの一部を含んだ重さを測定しているため、ベルトのテンションによっても測定値が大きく左右される。そのため、粒子が細かく、測定量の小さな化学薬品や薬剤などの粉体に使用するのに不向きである。
【0003】
この質量の小さな化学薬品や薬剤を定量供給できるものとして、ロスインウェートフィーダがある。ロスインウェートフィーダは、フィーダ(供給器)全体を計量器に載せて計量し、その測定した一定時間の減少量を設定値と一致させるように制御する。
そのため、供給中にフィーダが空になると、定量供給を停止してフィーダに補給しなければならず、補給中に正確な計量が構造上できない仕組みになっている。その結果、ベルトスケールと異なり、連続供給ができない問題がある。
【0004】
また、これ以外に質量の小さな粉体を定量供給できるものとして、例えば、特許文献1の図5に示す計量装置(計量コンベヤ)Aがある。
この計量装置Aは、重量チェッカーに使用するためのもので、図5のように、装置フレーム1を介してコンベヤフレーム2を荷重検出器(秤量手段)3で支持する構造となっている。そして、前記荷重検出器3でコンベヤフレーム2を移動する品物を搬送しながら、その搬送中に品物の重量を測定する。
【0005】
ところで、電磁力平衡式の電子天秤では、図6のように、位置検出器4を用いて荷重と電磁力を釣り合わせ、そのときのコイル5に流れる電流に基づいて計量する。
この方式の天秤は精度が高く、微量な計測に適する。また、このセンサと制御装置を組み合わせれば、測定の際の動揺を規制したり、ノイズを識別したりすることが可能であると考えられる(一般的なロードセルも使用できなくはない。しかし、ロードセルの場合は、本来精度が低いので、微量の重量測定には向かない)。
【0006】
したがって、例えば、図6の電子天秤の電磁力平衡式の秤量手段を前記計量コンベヤAの荷重検出に適用したものであれば、粉体の質量流量を搬送しながら正確に測定することができる。そして、その電磁力平衡式の秤量手段を適用した前記計量コンベヤAを、図7のように、ロスインフィーダ6の切り出し量の荷重検出に適用すれば、前記フィーダ6への粉体の補給中も質量流量を搬送しながら正確に測定することができる筈である。
ちなみに、ロスインフィーダ6では、自前の計量器でも秤量ができるので、例えば、フィーダ6への粉体の補給の期間中のみ、前記計量コンベヤAの秤量値を使用して制御することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−98001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の計量コンベヤを使用する方法では、ワークなどの品物に替えて粉体を連続して測定するため、粉体測定の際に誤差が発生する。
すなわち、上記図5の計量装置Aは、荷重検出器3にコンベヤフレーム2を載置した、いわゆる上皿天秤のような構造となっており、この上皿という形状が粉体測定に不向きである。
例えば、図7のフィーダ6などから排出される粉体を測定する場合を考える。
すると、図8のように、測定中にコンベヤベルト25に付着した粉体が舞い戻って(リターンして)荷重検出器3の上に堆積する。特に、図8の符号7aのコンベヤフレーム2を支持する支点の部分に堆積したものは、堆積した粉体の重さが秤量のゼロ点を狂わせる原因となる。また、符号7a、bのように荷重検出器3に堆積する粉体が増加すると、「測定結果=下流への流量」とならないため流量に誤差を生じてしまう問題がある。
【0009】
そこで、この発明の課題は、粉体などの微少流量を誤差なく測定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明では、供給路から排出される粉体を移送する測定路と、前記粉体を移送中の測定路の質量を測定する秤量手段とからなり、前記測定路を移送中の粉体が付着しないように秤量手段を隔離して、その秤量手段が測定した質量と測定路の移送速度及び測定路長とに基づいて質量流量を測定するという構成を採用したのである。
【0011】
このような構成を採用することにより、測定路を移送する粉体から秤量手段を隔離して秤量手段にリターンする粉体が付着しないようにする。こうすることで、粉体の付着による誤差が起きないようにする。
【0012】
このとき、上記秤量手段が測定路を吊り下げた状態で質量を測定し、秤量手段に移送中の粉体が付着しないようにした構成を採用することができる。
【0013】
このような構成を採用することにより、秤量手段を測定路の上方に配置して、測定路を移送される粉体から隔離する。こうすることで、リターンした粉体が秤量手段に付着しないようにして誤差が起きないようにできる。
【0014】
このとき、上記測定路をベルトコンベヤとし、前記コンベヤベルトに付着する粉体を落とす掻き落し手段を設けた構成を採用することができる。
【0015】
このような構成を採用することにより、ベルトに付着した粉体を掻き落として下流へ移送することができるので、測定値と下流への流量との差を少なくできる。
【0016】
また、このとき、上記測定路をベルトコンベヤとし、そのコンベヤの往路と復路のベルトの間に上記秤量手段を配置した状態で質量を測定して前記秤量手段が、ベルトによって粉体を被らないようにした構成を採用することができる。
【0017】
このような構成を採用することにより、秤量手段をベルトの往路と復路の間に配置することで、ベルトの往路を移送される粉体から隔離する。こうすることで、リターンした粉体が秤量手段に付着しないようにして、誤差が起きないようにできる。
【0018】
また、このとき、上記秤量手段を往路と復路の間に配置したベルトに付着する粉体を落とす掻き落し手段を設けた構成を採用すれば、ベルトに付着した粉体を掻き落として下流へ移送することができるので、測定値と下流への流量との差を少なくできる。
【0019】
また、このとき、上記質量流量検出器のいずれかを、粉体を排出する供給路と粉体を収集するシュートの間に配置して測定路の粉体を受けるようにした構成を採用することができる。
【0020】
このような構成を採用することにより、測定路から排出される粉体とリターンする粉体を集めて下流へ移送することができるので、測定誤差を少なくできる。
【0021】
また、上記質量流量検出器の供給路の上流に設けた供給装置の排出量を、前記質量流量検出器の測定する質量流量に基づいて制御して、下流のシュートに定量の粉体を供給する構成を採用すれば、定量供給を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明は、上記のような構成を採用したことにより、連続して途切れることなく粉体の質量流量を測定することができる。また、測定誤差を少なくできるので、微少流量を測定することができる。粉体の付着を気にすることなく安定して質量流量を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)実施形態の模式図、(b)(a)のI−I断面図
【図2】図1の回路ブロック図
【図3】図1の作用説明図
【図4】実施例1の模式図
【図5】従来例の作用説明図
【図6】従来例の作用説明図
【図7】従来例の作用説明図
【図8】従来例の作用説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この形態の質量流量検出器を図面に基づいて説明する。
図1(a)、(b)にこの形態の質量流量検出器を用いた粉体の定量供給装置を示す。前記定量供給装置は、原料供給路11と前記供給路11から排出される粉体を受けるシュート12の間に質量流量検出器10を設けた構成となっている。
【0025】
前記原料供給路11は、傾斜路となっており(例えば、この形態では、粉体の流動性に合わせて図3のように傾斜αとしてある)、パイプ状、樋状、板状のものを採用することができる。また、前記供給路11にはバイブレータなどの振動手段13を取り付けて粉体を滞留させることなく、排出するようにしてある。
【0026】
この原料供給路11の上流にフィーダ14が接続されている。
フィーダ14は、この形態の場合、ストックタンクと一体になったもので、例えばテーブルフィーダ、スクリューフィーダ、振動フィーダなど粉体を供給するためのものである。また、このフィーダ14には、ロスインフィーダなどの計量器を備えたものを使用することができる。このフィーダ14は、図2のように制御装置15に接続されて粉体の供給量を制御する。
【0027】
シュート12は、投入口の広いホッパー状のもので(例えは、ここでは、投入口を粉体に合わせて傾斜αにしてある)、その広い投入口に後述の質量流量検出器10が配置される。
一方、排出口にはニーダー16を設けて、混錬や捏和などをするようにしてある。また、シュート12には、先の原料供給路11と同様な振動手段13を取り付けて粉体を滞留することなく、ニーダー16へ供給できるようにしてある。
なお、この形態では、シュート12の下流にニーダー16を設けたが、下流に設けるものはニーダー16に限定されるものではない。秤量した粉体を用いるものであればどのようなものを配置しても構わない。
【0028】
質量流量検出器10は、粉体を移送する測定路10aと、その測定路10aが粉体を移送中の質量を測定する秤量手段10bとからなっており、前記検出器10は、図1(a)、(b)のように、スタンド20に取り付けられている。
【0029】
測定路10aは、この形態の場合、全長の短い秤量コンベヤを使用している。また、コンベヤの復路(下方)には、図1(b)のように、掻き落とし手段21として、ブラシを取り付けて(ここでは、後述のブラケット22を利用して)ベルト25に付着した粉体を下方のシュート12へ落とすようにしてある。なお、この形態では、掻き落とし手段21としてブラシを用いたが、ブラシに限定されるものではない。これ以外にも、ブラシに替えて粉体の流動性などに応じてスクレイパーなどを用いても良い。
【0030】
秤量手段10bは、ここでは電磁力平衡式の荷重検出器を使用しており、荷重を受ける2個の支点を、図1(a)、(b)のように、上方に突出させた状態でスタンド20の上部に取り付けてある。
スタンド20は、4本脚のもので、前後2本の脚を連結してその連結部に前記秤量手段10bを取り付ける構造となっている。また、スタンド20の下方は、切欠き26を設けて、シュート12を取り付けられるようにしてある。
【0031】
一方、前記スタンド20の上部に取り付けた秤量手段10bの支点には、測定路10aを吊り下げたブラケット22を載せる構造となっている。
すなわち、前記ブラケット22は、コの字形部材の連結(コの字の垂直)部分の真ん中を切り欠いた形状となっており、その切り欠いて2本となった両端の連結部分を秤量手段10bの支点に載置する。
このように、ブラケット22を秤量手段10bの直列した2つの支点に載置することで、この2支点の間に測定路10aのコンベヤの重心が位置するようにしてある。こうすることで、測定路10aがシュート12の投入口に安定して吊り下げられるので、秤量が正確にできる。
また、ブラケット22のコの字の開放部分には、測定路10aのコンベヤを、例えば、ネジ止めなどにより取り付け、その測定路10aを取り付けたブラケット22の下方に掻き落とし手段21であるブラシあるいはスクレイパーなどを取り付けるようにしてある。
【0032】
この質量流量検出器10は、図2のように制御装置15と接続されている。前記制御装置15には、秤量手段10bの測定値を入力するとともに、測定路10aのモータ27を一定速度に制御する。
【0033】
この制御装置15は、質量流量検出器10からの秤量した信号から算出する質量流量と、予め設定した設定流量とを比較する。
ここで、図3に示すように、質量流量検出器10の測定する質量流量は、下記の式で示される。
質量流量=W×S/L
W:秤量手段10bが測定する粉体の質量
S:測定路10aの移送速度
L:測定路10aの長さ(原料長)
【0034】
このとき、測定路10aの長さLは既知であり、Wは秤量手段10bの測定値である(粉体の質量は、秤量値から測定路の質量(既知)を差し引けば求められる)。また、移送速度Sは、適宜設定した速度(少なくとも「設定流量」を移送できる速度)とすれば、秤量手段10bが測定する測定路10aの質量から質量流量を算出できる。
そして、算出した質量流量と予め設定した流量とを比較して、両者の差を無くすようにフィーダ14の排出量を制御する。
【0035】
この形態は、上記のように構成されており、いま、この質量流量検出装置10を作動してフィーダ14に粉体を入れ、制御装置15に流量を設定する。すると、制御装置15は、フィーダ14から粉体の排出を開始する。同時に、質量流量検出器10の測定路10aを所定の移送速度Sで作動する。また、原料供給路11とシュート12の振動手段13を作動させて粉体が滞留しないようにする。
そして、制御装置15は、質量流量検出器10の秤量手段10bにより、測定した質量流量と、設定流量を比較してフィーダ14の排出量を制御し、ニーダー16への定量供給を行う。
【0036】
このように定量供給を開始した定量供給装置では、秤量手段10bを測定路10aから隔離して上方に設けたので、秤量手段10bにリターンする粉体が付着したり、堆積したりしない。そのため、リターンする粉体は落下して、下流のシュート12で受け止められる。その結果、供給誤差を少なくできる。
【0037】
また、このとき、測定路10aのコンベヤベルト25に付着した粉体は、前記ベルト25の復路に掻き落とし手段21として設けたブラシ、スクレイパーが、ベルト25に付着した粉体を掻き落とすと、下方のシュート12が受け止めるので、供給誤差を縮小できる。
【0038】
なお、このとき、掻き落とし手段21を使用しない場合は、付着分に関して校正するようにしても良い。校正は、例えば、ロスインフィーダ14の質量流量の移動平均を求め、その求めた移動平均と質量流量検出器10の測定した質量流量の差から変化量を算出し、その算出した変化量を前記測定した質量流量から減算すればゼロ点補正ができる。
【0039】
また、フィーダ14への粉体の補給は、いつでも行うことができる。これは、フィーダ14の排出量を質量流量検出器10で行っているため、フィーダ14へ供給する粉体に影響されないためである。このため、正確な定量供給が連続して行える。その結果、例えば、下流での粉体の混錬や捏和を均一に行うことができる。
【0040】
なお、ここでは、フィーダ14の排出量を質量流量検出器10で行う場合について述べたが、これ以外にも、ロスインフィーダ14を使用した場合は、ロスインフィーダ14への補給時のみロスインフィーダ14の排出量を質量流量検出器10で行って、それ以外は前記フィーダ14の計量器で行うような方法を採用することもできる。
【実施例1】
【0041】
この実施例1は、質量流量検出器10の他の態様について説明するものである。
すなわち、この実施例1の質量流量検出器は、図4のように、秤量手段10bを測定路10aのコンベヤベルト25の内側に配したものである。このとき、コンベヤベルト25は、幅を広くして内側に配した秤量手段に粉体が付着しないように隔離できるようにする。また、図4のように、従動プーリー27を設けて、前記ベルト25間に秤量手段10bを収容できるようにする。
さらに、図4のように、復路のベルト25に掻き落とし手段21を設けることで、ベルト25に付着した粉体を下流へ移送できる。
【0042】
このようにすることにより、粉体が付着しないようにできるので、供給時の誤差を少なくできる。また、秤量手段10bを測定路10aの上方に配するスペースや構造が必要でなくなる。そのため、小型化、軽量化、ローコスト化が図れるメリットがある。
【0043】
なお、実施形態及び実施例1では、秤量手段10bに電磁力平衡式のものを用いたが、これに限定されるものではない。これ以外にも、測定路10aの質量を量れるものであれば、どのようなものでも良い。例えば、ロードセルを使用することもできる。
また、実施形態及び実施例1では、測定路10aとしてコンベヤを示したが、これに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明は、小さな粉体の質量流量を連続して正確に測定できるので、例えば、充電電池、薬品、食品などの製造ライン全般で利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 質量流量検出器
10a 測定路
10b 秤量手段
11 原料供給路
12 シュート
14 フィーダ
15 制御装置
20 スタンド
21 掻き落とし手段
22 ブラケット
25 コンベヤベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給路から排出される粉体を移送する測定路と、前記粉体を移送中の測定路の質量を測定する秤量手段とからなり、
前記測定路を移送中の粉体が付着しないように秤量手段を隔離して、その秤量手段が測定した質量と測定路の移送速度及び測定路長とに基づいて質量流量を測定する質量流量検出器。
【請求項2】
上記秤量手段が測定路を吊り下げて質量を測定し、吊り下げた測定路と秤量手段を隔離して移送中の粉体が付着しないようにした請求項1に記載の質量流量検出器。
【請求項3】
上記測定路をベルトコンベヤとし、前記ベルトコンベヤに付着する粉体を落とす掻き落し手段を設けた請求項1または2に記載の質量流量検出器。
【請求項4】
上記測定路をベルトコンベヤとし、そのコンベヤの往路と復路のベルトの間に上記秤量手段を配置して質量を測定し、その質量を測定する秤量手段が、ベルトによって粉体を被らないように隔離した請求項1に記載の質量流量検出器。
【請求項5】
上記ベルトコンベヤに付着する粉体を落とす掻き落し手段を設けた請求項4に記載の質量流量検出器。
【請求項6】
上記請求項1〜5に記載の質量流量検出器のいずれかを、粉体を排出する供給路と粉体を収集するシュートの間に配置して前記シュートで測定路の粉体を受けるようにした質量流量検出器。
【請求項7】
上記1〜6のいずれかに記載の質量流量検出器の供給路の上流に設けた供給装置の排出量を、前記質量流量検出器の測定する質量流量に基づいて制御して、下流のシュートに定量の粉体を供給するようにした定量供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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