説明

赤外線センサおよびその製造方法

【課題】 パッケージとパッケージ蓋との確実な接合を、容易な構成で実現する表面実装型の赤外線センサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 赤外線を検知する赤外線センサ素子5と、赤外線センサ素子5の出力信号をインピーダンス変換して出力するFFT6と、赤外線センサ素子5およびFFT6を収納し一面に開口部4を有するパッケージ1と、開口部4を塞ぐとともに赤外線を透過する手段を有するパッケージ蓋3とを備える赤外線センサ1であって、パッケージ2は、端縁部2cの少なくとも一部に、パッケージ2の内部と外部を連通し、封止剤にて封止可能な溝7が設けられ、端縁部2cにパッケージ蓋3が接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を検知するセンサ素子を実装した表面実装型の赤外線センサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線センサは、赤外線を検知する赤外線センサ素子を備えている。赤外線センサ素子の一つとして用いられる焦電素子は、赤外線が照射されて生じる温度変化に応じて、表面電荷が変動するという特徴を有しており、この特徴を利用して赤外線を検知している。
【0003】
また、赤外線センサは、赤外線センサ素子やその他の実装部品が収納されている内部空間にガスや水分が侵入すると、絶縁抵抗の劣化や腐食が進行し、長期的な信頼性に影響することがあるため、気密性が必要となる。
【0004】
赤外線センサを他の電子部品とともに基板へ表面実装する場合、一般的に200℃以上のリフロー炉を通過させる。したがって、リフロー工程で発生する加熱による内部圧力の上昇を考慮した構造設計が重要となる。
【0005】
図4は、従来の表面実装型の赤外線センサを示す図で、図4(a)は平面図、図4(b)は、G−G線断面図、図4(c)は、H−H線断面図である。赤外線センサ素子15は、赤外線センサ素子15の出力信号をインピーダンス変換するFET(電界効果トランジスタ)16とともにパッケージ12へ実装される。さらに、パッケージ12の上面に設けられた開口部に、赤外線を透過させる赤外線透過用フィルタ等からなるパッケージ蓋13で蓋をし、接着剤を用いて封止され、赤外線センサ11となる。赤外線センサ11には、赤外線センサ素子15やFET16と電気的に接続した、入出力端子およびグランド端子からなる外部端子20が設けられており、表面実装が可能となっている。このような表面実装型の赤外線センサは例えば特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−158228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図4に示すような従来の表面実装型の赤外線センサは、パッケージ12とパッケージ蓋13を熱硬化性の接着剤を用いて接合している。このような構成において、熱硬化性の接着剤を硬化させるために加熱した場合に、赤外線センサ11の内部が高気密であるため、加熱により発生したガスや水蒸気により、赤外線センサ11の内部の圧力が上昇する。このとき、パッケージ12とパッケージ蓋13を固定している接着剤が外側に滲み出し、十分な接着強度が得られず、パッケージ蓋13が剥がれたり、位置ずれを起こしたりする可能性があるという課題がある。また、赤外線センサ11を表面実装するリフロー工程の際も、赤外線センサ11が加熱されるため、上述した場合と同様にセンサ内部の圧力が上昇し、パッケージ蓋13の剥がれや位置ずれが発生したり、センサ内部の素子の性能に影響したりする可能性があるという課題がある。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、その目的は、パッケージとパッケージ蓋との確実な接合を、容易な構成で実現する表面実装型の赤外線センサおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、赤外線センサおよび前記赤外線センサ素子の出力信号をインピーダンス変換して出力する変換部材を収納するパッケージに、底面部、前記底面部の周囲に立設する側面部を設け、前記底面部に対向する面に前記開口部を形成し、前記側面部の開口部を形成した側の端縁部の少なくとも一部に、前記パッケージの内部と外部を連通し封止可能な通気手段を設けた構成である。この構成により、前記端縁部に前記パッケージ蓋を接合した後に、赤外線センサ内部で発生したガスや水蒸気等を逃がすことができる。したがって、圧力上昇による前記パッケージと前記パッケージ蓋の剥がれや位置ずれを防ぐことが可能となる。
【0010】
すなわち、本発明によれば、赤外線を検知する赤外線センサ素子と、前記赤外線センサ素子の出力信号をインピーダンス変換して出力する変換部材と、前記赤外線センサ素子および前記変換部材を収納し一面に開口部を有するパッケージと、前記開口部を塞ぐとともに赤外線を透過する手段を有するパッケージ蓋とを備える赤外線センサであって、前記パッケージは、底面部と、前記底面部の周囲に立設する側面部とからなり、前記底面部に対向する面に前記開口部を形成し、前記側面部の開口部を形成した側の端縁部の少なくとも一部に、前記パッケージの内部と外部を連通し、封止剤にて封止可能な通気手段が設けられ、前記端縁部に前記パッケージ蓋が接合されていることを特徴とする赤外線センサが得られる。
【0011】
また、本発明によれば、前記通気手段は、前記端縁部の内側と外側がつながっている溝であることを特徴とする上記の赤外線センサが得られる。
【0012】
また、本発明によれば、前記通気手段は、前記パッケージ蓋が接合された状態で、前記開口部を形成した側の少なくとも一部が外部に露出していることを特徴とする上記の赤外線センサが得られる。
【0013】
また、本発明によれば、前記パッケージ蓋は導電性を有する材料からなり、前記パッケージは絶縁性を有する材料からなり、前記通気手段の前記パッケージ蓋と対向する少なくとも一部には導電性を有する第一の導電部材を設け、前記パッケージには、前記赤外線センサ素子および前記変換部材のグランド電位となる部位と前記第一の導電部材とを電気的に接続する第二の導電部材を配設し、前記通気手段は導電性を有する封止剤で封止されることを特徴とする上記の赤外線センサが得られる。
【0014】
また、本発明によれば、前記第二の導電部材は、前記パッケージに埋設され、前記赤外線センサおよび前記変換部材を囲うように前記パッケージの全体に配置されることを特徴とする上記の赤外線センサが得られる。
【0015】
また、本発明によれば、前記パッケージは配線基板であり、前記第一の導電部材および前記第二の導電部材は、配線パターンで形成されることを特徴とする上記の赤外線センサが得られる。
【0016】
また、本発明によれば、赤外線を検知する赤外線センサ素子と、前記赤外線センサ素子の出力信号をインピーダンス変換して出力する変換部材と、前記赤外線センサ素子および前記変換部材を収納し一面に開口部を有するパッケージと、前記開口部を塞ぐとともに赤外線を透過する手段を有するパッケージ蓋とを備える赤外線センサの製造方法であって、前記パッケージには、底面部と、前記底面部の周囲に立設する側面部を設け、前記底面部に対向する面に前記開口部を形成し、前記側面部の開口部を形成した側の端縁部に、前記パッケージの内部と外部を連通する通気手段を設け、前記端縁部に前記パッケージ蓋を接合した後に、前記通気手段を封止剤で封止することを特徴とする赤外線センサの製造方法が得られる。
【0017】
また、本発明によれば、前記パッケージ蓋は導電性を有する材料で構成し、前記パッケージは絶縁性を有する材料で構成し、前記通気手段の前記パッケージ蓋と対向する少なくとも一部に導電性を有する第一の導電部材を設け、前記パッケージに、前記赤外線センサ素子および前記変換部材のグランド電位となる部位と前記第一の導電部材とを電気的に接続する第二の導電部材を配設し、前記通気手段を導電性を有する封止剤で封止することを特徴とする上記の赤外線センサの製造方法が得られる。
【0018】
また、本発明によれば、前記第二の導電部材を、前記パッケージに埋設し、前記赤外線センサおよび前記変換部材を囲むように前記パッケージの全体に配置することを特徴とする上記の赤外線センサの製造方法が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、パッケージとパッケージ蓋を接合した後に、表面実装するためのリフロー工程等で加熱をした場合においても、赤外線センサ内部で発生したガスや水蒸気等を逃がすことができる。このため、赤外線センサ内部の圧力の上昇を緩和し、パッケージとパッケージ蓋の剥がれや位置ずれ等を防ぐことが可能となる。さらに、通気手段に第一の導電部材を設け、赤外線センサ素子および前記変換部材のグランド電位となる部位と前記第一の導電部材とを電気的に接続する第二の導電部材を設け、通気手段を導電性を有する封止剤で封止することにより、パッケージおよびパッケージ蓋がグランド電位となり、外部からの電磁ノイズをシールドことも同時に実現できる。
【0020】
したがって、本発明により、パッケージとパッケージ蓋との確実な接合を、容易な構成で実現する表面実装型の赤外線センサおよびその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一の実施の形態の赤外線センサを示す図。図1(a)は平面図、図1(b)は、A−A線断面図、図1(c)は、B−B線断面図。
【図2】本発明の第二の実施の形態の赤外線センサを示す図。図2(a)は平面図、図2(b)は、C−C線断面図、図2(c)は、D−D線断面図。
【図3】本発明の第三の実施の形態の赤外線センサを示す図。図3(a)は平面図、図3(b)は、E−E線断面図、図2(c)は、F−F線断面図。
【図4】従来の表面実装型の赤外線センサを示す図。図4(a)は平面図、図4(b)は、G−G線断面図、図2(c)は、H−H線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0023】
(第一の実施の形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態の赤外線センサを示す図で、図1(a)は平面図、図1(b)は、A−A線断面図、図1(c)は、B−B線断面図である。
【0024】
本発明の赤外線センサ1は、赤外線を検知する赤外線センサ素子5と、赤外線センサ素子5の出力信号をインピーダンス変換して出力する変換部材であるFET6と、赤外線センサ素子5およびFET6を収納するパッケージ2と、赤外線を透過する手段を有するパッケージ蓋3を備えている。パッケージ2は、底面部2aと、底面部2aの周囲に立設する側面部2bとからなり、底面部2aに対向する面に開口部4を形成している。また、側面部2bの開口部を形成した側(開口面)の端縁部2cには、パッケージ2の内部と外部を連通し封止可能な通気手段として溝7が形成されている。さらに、端縁部2cにパッケージ蓋3が接合している構成となっている。
【0025】
溝7は、端縁部2cの内側と外側がつながって形成されていればばよく、形成位置や数量は限定されない。溝7を形成することにより、パッケージ2とパッケージ蓋3が接合されたときにも、赤外線センサ1の内部と外部の通気を行うことが可能となる。パッケージ2とパッケージ蓋3が接合され、赤外線センサ素子5やFET6等の内部部品の表面実装を行うリフロー工程の後や、赤外線センサの表面実装を行うそれぞれのリフロー工程の後に、溝7は封止剤により封止することが可能である。
【0026】
本発明では、溝7をパッケージ2の端縁部2cに設けることにより、赤外線センサの表面実装を行った後で赤外線センサを密閉することが非常に容易となる。例えば、通気手段をパッケージ底面に設けた場合や、パッケージ側面に設けた場合には、表面実装基板や、赤外線センサと同時に実装される他の部品等に妨げられ、通気手段の封止工程のタイミングが制限されたり、封止工程が煩雑になったりすることが考えられる。本発明の構成により、封止工程は生産性を考えたタイミングで行うことができるため、量産性や設計自由度も向上する。
【0027】
溝7の形状は特に限定されないが、溝7を封止する際に、封止剤がパッケージ2の内側や外側へ流れ込むのを防ぐために、溝7の中心に向かって下るような傾斜を設けたり、封止剤の流れ込み経路を設けたりすることも可能である。
【0028】
また、端縁部2cに接合するパッケージ蓋3を、パッケージ2の開口面の外形寸法よりも小さくし、溝7の一部を開口面側に露出させる構造とするのが好ましい。この構成により、封止剤を注入するときの作業性が格段に良くなり製造が容易となる。
【0029】
赤外線センサ素子5は、パッケージ2内部に、受光面となる開口面と平行またはほぼ平行に設置される。赤外線センサ素子5として、表裏面に一対の電極を形成した焦電素子が用いられ、その材質は、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウム等の強誘電体セラミック、タンタル酸リチウム等の単結晶、ポリフッ化ビニリデン等の有機材料が用いられる。なお、焦電素子に複数組の電極を形成したり、複数の赤外線センサ素子を使用したりすることも可能である。
【0030】
赤外線センサ素子5の出力信号をインピーダンス変換して出力するための変換部材として、本実施の形態では、FET6を使用した。用途に応じて、FET6の他にコンデンサや抵抗等の電子部品を加えて変換部材としてもよい。
【0031】
また、パッケージ2の底面部2aの外側には、赤外線センサ1の入出力を行う入出力端子と、グランド電位を有するグランド端子からなる外部端子10が設けられ、パッケージ2の内側面には、外部端子10と配線パターン等にてそれぞれ電気的に接続された入出力内部端子およびグランド内部端子が設けられている。赤外線センサ素子5およびFET6は、入出力内部端子およびグランド内部端子に導電性接着剤等で電気的に接続する構成となっている。ここで、入出力内部端子およびグランド内部端子は、パッケージ2に直接設けて、赤外線センサ素子5やFET6と接続してもよいし、回路基板を別途準備し、この回路基板に設けて接続してもよい。また、赤外線センサ素子5やFET6の配置場所は、特に限定されないが、小型化を考慮して、パッケージ2の内部に段差を設けて、赤外線センサ素子5とFET6を、一定の距離を開けて重ねるように配置するのが好ましい。
【0032】
パッケージ蓋3は、パッケージ2の開口部を塞ぐとともに、特定範囲の波長を持つ赤外線をパッケージ2の内部に透過させる機能を有している。パッケージ蓋3として、シリコンやゲルマニウムからなる赤外線透過フィルタや赤外線透過レンズ等公知の材料を用いることができるが、導電性を有する材料を用いるのが特に好ましい。
【0033】
パッケージ2は、セラミック基板やガラスエポキシ基板等の公知の配線基板、樹脂成型、金属加工等により作製することが可能であるが、内部に配置する赤外線センサ素子5やFET6の実装や配線を考慮すると、配線基板を用いるのが特に好ましい。また、パッケージ2とパッケージ蓋3の接合は、エポキシ系の熱硬化接着剤が使用できる。
【0034】
(第二の実施の形態)
図2は、本発明の第二の実施の形態の赤外線センサを示す図。図2(a)は平面図、図2(b)は、C−C線断面図、図2(c)は、D−D線断面図である。本実施の形態は、基本構成や構成材料は、第一の実施の形態と同じであるので、第一の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0035】
本実施の形態では、パッケージ2の端縁部2cに設けられた溝7に、第一の導電部材として配線パターンのランドを形成し、この溝7に形成したランドとパッケージ2の内側面に設けたグランド内部端子との間を、第二の導電部材である配線パターン9にて電気的に接合した構成である。この配線パターン9の形状は特に限定されず、多層基板を用いた貫通ビアによる配線も適用できる。さらに、溝7のランドと、端縁部2cに接合したパッケージ蓋3を導電性接着剤8により接合するとともに、溝7を封止する。この構成により、赤外線センサ1の密閉を行うと同時に、外部の電磁ノイズをシールドする機能を有することが可能となる。
【0036】
(第三の実施の形態)
図3は、本発明の第三の実施の形態の赤外線センサを示す図。図3(a)は平面図、図3(b)は、E−E線断面図、図3(c)は、F−F線断面図である。本実施の形態も、基本構成や構成材料は、第一の実施の形態と同じであるので、第一の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0037】
本実施の形態は、第二の実施の形態と同様に、パッケージ2の端縁部2cに設けられた溝7に、第一の導電部材として配線パターンのランドを形成し、この溝7に形成したランドとパッケージ2の内側面に設けたグランド内部端子との間を、第二の導電部材として配線パターン9にて電気的に接合した構成である。さらに、本実施の形態では、配線パターン9の一部は、パッケージ2の底面部2aや側面部2bの内部に埋設され、赤外線センサ素子5およびFET6を囲むように、パッケージ2の全体に配置された構成となっている。この配線パターン9は、貫通ビアを設けた多層基板を使用して形成するのが好ましい。
【0038】
さらに、第二の実施の形態と同様に、溝7のランドと、端縁部2cに接合したパッケージ蓋3を導電性接着剤8により接合するとともに、溝7を封止する。この構成により、赤外線センサ1の密閉を行うと同時に、外部の電磁ノイズを赤外線センサ1の全面でシールドする機能を有することが可能となる。加えて、パッケージ2は絶縁性を有することが可能であるため、赤外線センサ1内部に配置される赤外線センサ素子5やFET6とのショート不良や、赤外線センサ1外部に配置される電子部品とのショート不良等防止することが可能である。
【実施例】
【0039】
本発明の第三の実施の形態の赤外線センサについて、実施例を用いて具体的に説明する。
【0040】
パッケージは、5.0mm×5.0mm×厚さ1.5mmのセラミック多層基板を使用した。パッケージの上面には、3.5mm×3.5mmの開口部を形成した。なお、パッケージの内部には、赤外線センサ素子を支持するための段差を設けるように、セラミック多層基板を加工した。この段差の赤外線センサ素子と接触する面には、赤外線センサ素子と電気的に接続する入出力内部端子とグランド内部端子をそれぞれ形成した。また、パッケージの底面部の内側には、FETと電気的に接続する入出力内部端子とグランド内部端子を形成した。これらの入出力内部端子とグランド内部端子は、貫通ビア等の配線パターンにて、パッケージの底面部の外側に形成した入出力端子およびグランド端子と電気的に接続した。ここで、セラミック多層基板において、パッケージの底面部に位置する部分の一層には全面(ただし、入出力端子と接続する部分を除く)に配線パターンを形成し、パッケージの側面部に位置する部分には、底面部に垂直な貫通ビアを、側面を一周するように複数形成し、グランド端子と接続してグランド電位とした。
【0041】
パッケージの端縁部には、幅0.5mm、深さ0.5mmの溝を2箇所形成した。溝の表面には、配線パターンのランドを形成し、パッケージ内に形成した配線パターンおよびグランド端子と電気的に接続した。
【0042】
赤外線センサ素子は、3.0mm×3.0mm×厚さ0.1mmのチタン酸ジルコン酸鉛からなる焦電体の表裏面に電極を形成したものを使用し、パッケージ内側に形成した段差に配置した。また、FETは、1.5mm×1.5mm×厚さ1mmのものを使用し、パッケージの底面に配置した。ここで、パッケージ内部に形成した入出力内部端子とグランド内部端子には、導電性接着剤を予め塗布し、赤外線センサ素子およびFETを仮固定した。
【0043】
パッケージ蓋は、4.0mm×4.0mm×厚さ0.5mmのシリコンからなる赤外線フィルタを使用し、パッケージの端縁部に配置した。ここで、パッケージの端縁部のパッケージ蓋と接合する部分には、エポキシ系の熱硬化接着剤を予め塗布し、パッケージ蓋を仮固定した。このとき、溝が形成されている部分には、熱硬化接着剤は塗布せず、パッケージの内部と外部を連通する通気手段を形成した。
【0044】
比較例として、端縁部に溝を形成しないパッケージを作製し、その他の構成は実施例と同様に作製した。比較例では、端縁部に溝を形成しないため、パッケージの内部と外部は通気が行われない構造とした。
【0045】
実施例と比較例の試料をそれぞれ50個作製し、赤外線センサ素子およびFETを表面実装し、パッケージとパッケージ蓋を接合するための、第一リフロー工程に投入し、赤外線センサを作製した。リフロー条件は、ピーク温度260℃、15秒とした。
【0046】
続いて、赤外線センサの表面実装を想定した第二リフロー工程に投入した。リフロー条件は、ピーク温度260℃、15秒とした。
【0047】
その後、実施例の赤外線センサに、パッケージの端縁部に形成した溝に導電性接着剤を注入し、熱硬化させた。これにより、溝の表面に形成された配線パターンのランドとパッケージ蓋の電気的接続と、赤外線センサの密閉を同時に行った。
【0048】
実施例と比較例の、第一リフロー工程および第二リフロー工程投入後のパッケージ蓋の剥がれや位置ずれを目視で確認した。その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
表1に示すように、本発明の実施例は、赤外線センサ素子およびFETを表面実装する第一のリフロー工程、赤外線センサを表面実装する第二のリフロー工程のいずれの工程後においても、パッケージ蓋の剥がれや位置ずれは発生しなかった。
【0051】
以上説明したように、本発明によれば、パッケージとパッケージ蓋との確実な接合を、容易な構成で実現する表面実装型の赤外線センサおよびその製造方法を提供することが可能となる。さらに、赤外線センサの電磁ノイズのシールド効果も同時に得ることも可能となる。
【符号の説明】
【0052】
1、11 赤外線センサ
2、12 パッケージ
2a 底面部
2b 側面部
2c 端縁部
3、13 パッケージ蓋
4 開口部
5、15 赤外線センサ素子
6、16 FET
7 溝
8 導電性接着剤
9 配線パターン
10、20 外部端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を検知する赤外線センサ素子と、前記赤外線センサ素子の出力信号をインピーダンス変換して出力する変換部材と、前記赤外線センサ素子および前記変換部材を収納し一面に開口部を有するパッケージと、前記開口部を塞ぐとともに赤外線を透過する手段を有するパッケージ蓋とを備える赤外線センサであって、前記パッケージは、底面部と、前記底面部の周囲に立設する側面部とからなり、前記底面部に対向する面に前記開口部を形成し、前記側面部の開口部を形成した側の端縁部の少なくとも一部に、前記パッケージの内部と外部を連通し、封止剤にて封止可能な通気手段が設けられ、前記端縁部に前記パッケージ蓋が接合されていることを特徴とする赤外線センサ。
【請求項2】
前記通気手段は、前記端縁部の内側と外側がつながっている溝であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。
【請求項3】
前記通気手段は、前記パッケージ蓋が接合された状態で、前記開口部を形成した側の少なくとも一部が外部に露出していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の赤外線センサ。
【請求項4】
前記パッケージ蓋は導電性を有する材料からなり、前記パッケージは絶縁性を有する材料からなり、前記通気手段の前記パッケージ蓋と対向する少なくとも一部には導電性を有する第一の導電部材を設け、前記パッケージには、前記赤外線センサ素子および前記変換部材のグランド電位となる部位と前記第一の導電部材とを電気的に接続する第二の導電部材を配設し、前記通気手段は導電性を有する封止剤で封止されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の赤外線センサ。
【請求項5】
前記第二の導電部材は、前記パッケージに埋設され、前記赤外線センサおよび前記変換部材を囲むように前記パッケージの全体に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の赤外線センサ。
【請求項6】
前記パッケージは配線基板であり、前記第一の導電部材および前記第二の導電部材は、配線パターンで形成されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の赤外線センサ。
【請求項7】
赤外線を検知する赤外線センサ素子と、前記赤外線センサ素子の出力信号をインピーダンス変換して出力する変換部材と、前記赤外線センサ素子および前記変換部材を収納し一面に開口部を有するパッケージと、前記開口部を塞ぐとともに赤外線を透過する手段を有するパッケージ蓋とを備える赤外線センサの製造方法であって、前記パッケージには、底面部と、前記底面部の周囲に立設する側面部を設け、前記底面部に対向する面に前記開口部を形成し、前記側面部の開口部を形成した側の端縁部に、前記パッケージの内部と外部を連通する通気手段を設け、前記端縁部に前記パッケージ蓋を接合した後に、前記通気手段を封止剤で封止することを特徴とする赤外線センサの製造方法。
【請求項8】
前記パッケージ蓋は導電性を有する材料で構成し、前記パッケージは絶縁性を有する材料で構成し、前記通気手段の前記パッケージ蓋と対向する少なくとも一部に導電性を有する第一の導電部材を設け、前記パッケージに、前記赤外線センサ素子および前記変換部材のグランド電位となる部位と前記第一の導電部材とを電気的に接続する第二の導電部材を配設し、前記通気手段を導電性を有する封止剤で封止することを特徴とする請求項7に記載の赤外線センサの製造方法。
【請求項9】
前記第二の導電部材を、前記パッケージに埋設し、前記赤外線センサおよび前記変換部材を囲むように前記パッケージの全体に配置することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の赤外線センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44560(P2013−44560A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180660(P2011−180660)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】