説明

赤外線センサ

【課題】基板に装着される発光部の発光方向と受光部の受光方向の調節が容易に行われる赤外線センサを提供する。
【解決手段】基板10は、赤外線の発光部2と受光部3とが装着される略平坦な被装着面11を有する。発光部2と受光部3はそれぞれ、略平坦な底面21、31が被装着面11に装着されるケーシング20、30を備える。発光部2は、最も強く発光する発光方向23が底面21と垂直な方向となる発光素子22を備え、受光部3は、最も強く受光する受光方向33が底面31と垂直な方向となる受光素子32を備える。発光素子22から発光方向23に進む線24上に、発光方向23に進行する赤外線を受光素子32側に屈折させる屈折部4が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検知センサとして用いられる赤外線センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、物体検知センサとして赤外線センサが用いられている(例えば特許文献1参照)。この赤外線センサからなる物体検知センサ1は、図6に示すように、基板10上に赤外線の発光部2と受光部3とが装着されている。そして、基板10(発光部2と受光部3)から所定の距離離れた位置に手等の物体が位置する時に、発光部2から発光された赤外線が前記物体で反射して受光部3で最も強く受光されるように、発光方向と受光方向とが調節される。
【0003】
発光方向と受光方向の調節は、リード線25が曲げられることで発光素子22から最も強く発光する方向が調節され、リード線35が曲げられることで受光素子32が最も強く受光する方向が調節されて行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−329583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リード線25、35が曲げられることで発光方向と受光方向の調節が行われる場合、方向の調節が難しいものであった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、基板に装着される発光部の発光方向と受光部の受光方向の調節が容易に行われる赤外線センサを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成とする。
【0008】
赤外線の発光部と受光部とが装着される基板を備え、前記基板は、前記発光部と前記受光部とが装着される略平坦な被装着面を有し、前記発光部と前記受光部はそれぞれ、底面が前記被装着面に装着される略平坦な装着面となるケーシングを備え、前記発光部は、最も強く発光する発光方向が前記底面と垂直な方向となる発光素子を前記ケーシングに備え、前記受光部は、最も強く受光する受光方向が前記底面と垂直な方向となる受光素子を前記ケーシングに備え、前記発光素子を起点として前記最も強く発光する発光方向に進む線上に、前記発光素子から発光して前記最も強く発光する発光方向に進行する赤外線を、前記受光素子が位置する側に傾斜して進行するように屈折させる屈折部が設けられることを特徴とする。
【0009】
また、赤外線の発光部と受光部とが装着される基板を備え、前記基板は、前記発光部と前記受光部とが装着される略平坦な被装着面を有し、前記発光部と前記受光部はそれぞれ、底面が前記被装着面に装着される略平坦な装着面となるケーシングを備え、前記発光部は、最も強く発光する発光方向が前記底面と垂直な方向となる発光素子を前記ケーシングに備え、前記受光部は、最も強く受光する受光方向が前記底面と垂直な方向となる受光素子を前記ケーシングに備え、前記受光素子を終点として前記最も強く受光する受光方向に進む線上に、前記発光素子が位置する側から略受光素子に向けて傾斜して進行する赤外線を、前記最も強く受光する受光方向に屈折させて前記受光素子に至らせる屈折部が設けられることを特徴とする。
【0010】
また、赤外線の発光部と受光部とが装着される基板を備え、前記基板は、前記発光部と前記受光部とが装着される略平坦な被装着面を有し、前記発光部と前記受光部はそれぞれ、底面が前記被装着面に装着される略平坦な装着面となるケーシングを備え、前記発光部は、最も強く発光する発光方向が前記底面と垂直な方向となる発光素子を前記ケーシングに備え、前記受光部は、最も強く受光する受光方向が前記底面と垂直な方向となる受光素子を前記ケーシングに備え、前記発光素子を起点として前記最も強く発光する発光方向に進む線上に、前記発光素子から発光して前記最も強く発光する発光方向に進行する赤外線を、前記受光素子が位置する側に傾斜して進行するように屈折させる屈折部が設けられ、前記受光素子を終点として前記最も強く受光する受光方向に進む線上に、前記発光素子が位置する側から略受光素子に向けて傾斜して進行する赤外線を、前記最も強く受光する受光方向に屈折させて前記受光素子に至らせる屈折部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にあっては、基板に装着される発光部の発光方向と受光部の受光方向の調節が容易に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の赤外線センサの一実施形態の断面図である。
【図2】他の実施形態の断面図である。
【図3】更に他の実施形態の断面図である。
【図4】更に他の実施形態の断面図である。
【図5】赤外線センサが設けられたスパウト部の斜視図である。
【図6】従来の赤外線センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第一の実施形態について図1、図5に基いて説明する。
【0014】
スパウト部6は、キッチンカウンターのシンクの周辺部や、洗面化粧台のボウルの周辺部等に設けられる、筒状をしてカランの外殻をなすカバーとなるもので、シンクやボウル等の周辺部の上面が、スパウト部6が突設される被取付面となる。スパウト部6は、図5に示すように、被取付面から上方または斜め上方に向けて突出され、途中で曲げられて、下流端の開口は下方または斜め下方を向くように設置される。本実施形態では、側面視略逆J字状をしたものである。なお、スパウト部6の側面視形状は前記逆J字状に限定されず、逆L字状等であってもよい。
【0015】
スパウト部6は、その内部空間に湯や水が流れる管が挿通される。そして、スパウト部6に物体検知センサ1が設けられるもので、本実施形態では、側面視略逆J字状をした頂部の上面部に設けられる。スパウト部6の頂部の上面部には、開口が形成され、この開口によりスパウト部6の内外が連通される。前記開口には透光部材(後述する外ケース14)が嵌め込まれ、水をはじめとする物質がスパウト部6外から内部に侵入するのを阻止するとともに、電磁波を自在に透過させる。物体検知センサ1は赤外線反射型センサであり、本体部となる基板10がスパウト部6内に収容される。
【0016】
基板10は、図1に示すように、赤外線の発光部2と受光部3とを備えるもので、本実施形態ではプリント基板で構成され、発光部2と受光部3とが装着される。基板10は、発光部2と受光部3とが装着される略平坦な面からなる被装着面11を備えている。発光部2は、底面21が略平坦な装着面となるケーシング20を備え、ケーシング20に発光素子22が設けられている。また、受光部3は、底面31が略平坦な装着面となるケーシング30を備え、ケーシング30に受光素子32が設けられている。発光部2のケーシング20と受光部3のケーシング30は、所定の間隔をあけて基板10に実装される。
【0017】
発光素子22の発光方向は、ケーシング20の底面21と垂直な方向23に最も強く発光されるように設定されているが、底面21と垂直な方向23を中心として幾らかの広がりを有する。また、受光素子32の受光方向も、赤外線の強さが同じで方向が異なる場合、ケーシング30の底面31と垂直な方向33に入射した時に最も強く受光されるように設定されているが、底面31と垂直な方向33を中心として幾らかの広がりを有する。以下、発光素子22において最も強く発光される方向23を「発光方向23」といい、受光素子32において最も強く受光させる方向33を「受光方向33」というものとする。
【0018】
発光素子22を起点として発光方向23に進む線24上には、屈折部4が設けられる。この屈折部4は、発光素子22から発光し発光方向23に進行する赤外線を、受光素子32が位置する側に傾斜して進行するように屈折させるものである。前記屈折する角度は、発光方向23に進行する赤外線が、基板10から所定の距離離れた位置70における、発光部2と受光部3の中間線上の点71の方に方向転換するように設定される。ここで、前記所定の距離離れた位置70は、使用者がカラン(スパウト部6)からの吐出の開始/停止の切り替えのためにスパウト部6にかざす手のスパウト部6からの設計上の距離に基づいて決められるもので、本実施形態では15〜30mm程度に設計される。
【0019】
また、受光素子32を終点として受光方向33に進む線34上にも、屈折部5が設けられる。この屈折部5は、発光素子22が位置する側から略受光素子32に向けて傾斜して(すなわち受光方向33から傾斜して)進行してきた赤外線を、受光方向33に進行して受光素子32に至るように屈折させるものである。前記屈折する角度は、前記点71から屈折部5に進行してきた赤外線が受光方向33に方向転換するように設定される。
【0020】
本実施形態では、基板10は、遮光部材で形成される内ケース12内に収容され、基板10に設けられた発光部2と受光部3の発光方向23と受光方向33とに対応する部分に、所定の大きさの開口が穿設されて透光部13が形成されている。また、この内ケース12は外ケース14内に収容されるもので、外ケース14は、スパウト部6の上記開口に嵌め込まれる上記透光部材からなり、可視光を遮光し赤外線を透過させる可視光カットフィルターとして機能するものである。そして、本実施形態では、外ケース14の裏面の一部にプリズムとなる傾斜が設けられることで、このプリズムが屈折部4、5として外ケース14に一体に形成されている。
【0021】
上記のように、屈折部4、5が設けられることで、発光部2と受光部3が、その発光方向23と受光方向33が基板10の被装着面11に対して垂直となるように装着されても、所定の距離離れた位置70よりも基板10に近い位置で反射した赤外線の受光状態が良好になる。
【0022】
すなわち、発光部2から発光方向23に発光された赤外線は、屈折部4において、点71の方に向けて最も強く進行する。そして、使用者が前記点71にかざした手により、屈折部4から点71に向けて進行してきた赤外線が反射し、その一部が屈折部5の方へ向けて進行し、屈折部5にて受光方向33へ方向転換して、受光部3にて受光される。
【0023】
次に、所定の距離離れた位置70よりも基板10に近い位置で赤外線が反射する場合について説明する。発光部2から発光方向23に発光された赤外線が、屈折部4において、所定の距離離れた位置70よりも基板10に近い位置で且つ発光部2と受光部3の中間線上の点72の方に屈折した場合、この点72の方に向けて進行する赤外線は発光部2から発光される最も強い赤外線ではなく、点71に向けて進行する赤外線よりも弱い。そして、その弱くなる程度は、基板10に近い位置である程大きくなる。しかしながら、この場合、赤外線が発光部2から受光部3に至る距離が短くなって減衰が小さくなるため、結果的に、点72で反射し受光部3で受光される赤外線の受光強さと、点71で反射し受光部3で受光される赤外線の受光強さは大きく違わないものとなる。
【0024】
次に、所定の距離離れた位置70よりも基板10に遠い位置で赤外線が反射する場合について説明する。発光部2から発光方向23に発光された赤外線が、屈折部4において、所定の距離離れた位置70よりも基板10に遠い位置で且つ発光部2と受光部3の中間線上の点73の方に屈折した場合、この点73の方に向けて進行する赤外線は発光部2から発光される最も強い赤外線ではなく、点71に向けて進行する赤外線よりも弱い。そして、その弱くなる程度は、基板10から遠い位置である程大きくなる。しかもこの場合、赤外線が発光部2から受光部3に至る距離が長くなって減衰が大きくなるため、点73で反射し受光部3で受光される赤外線の受光強さは、点71で反射し受光部3で受光される赤外線の受光強さと比べて、著しく低下する。
【0025】
このようにして、上記位置70よりも近い位置にかざされた手により反射した赤外線は、受光部3で良好に受光されるのに対し、上記位置70よりも遠い位置にかざされた手により反射した赤外線は、受光部3での受光状態が著しく低下するため、吐出の開始/停止の切り替えのためにかざされる手の有効範囲が明確になる。
【0026】
そして、上記構成により、発光部2と受光部3とが基板10に装着されるにあたり、略平坦な装着面となる底面21が略平坦な被装着面11に装着されるだけでよい。このため、従来のように発光部2と受光部3のリード線の曲げ角度が調節される必要がなく、発光部2と受光部3の基板10への装着が容易となるものである。また、従来のように発光部2と受光部3のリード線が曲げられることにより、発光部2と受光部3とそのリード線が基板10上の大きな容積を占めることもない。
【0027】
次に、他の実施形態について図2に基づいて説明する。図1に示す上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。
【0028】
図1に示す上記実施形態においては、屈折部4、5は可視光カットフィルターとして機能する外ケース14に形成されるプリズムにて構成され、外ケース14に一体に形成されていた。これに対し、本実施形態では、外ケース14(および内ケース12)とは別体のレンズからなるもので、レンズの形状は特に限定されない。このようにすることで、外ケース14にプリズムが形成される必要がなく、外ケース14の設計上の自由度が増す。
【0029】
次に、更に他の実施形態について図3に基づいて説明する。図2に示す上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。
【0030】
図2に示す上記実施形態においては、発光部2と受光部3の両方に対応するように、外ケース14とは別体のレンズからなる屈折部4、5が設けられていた。これに対し、本実施形態では、発光部2にのみ屈折部4が設けられ、受光部3には屈折部5が設けられないものである。この場合、受光部3に屈折部5が設けられる場合と比べて若干感度が低下するものの、受光部3に屈折部5が設けられる場合と比べて屈折部4の屈折角度を大きくしておけば、吐出の開始/停止の切り替えのためにかざされる手の有効範囲を、図1に示す実施形態とほぼ同じにすることができる。またこの場合、受光部3に屈折部5が設けられる必要がなく、製造コストの低減化が図られる。また、本実施形態においても、屈折部4が可視光カットフィルターとして機能する外ケース14に形成されるプリズムにて構成されてもよい。
【0031】
次に、更に他の実施形態について図4に基づいて説明する。図2に示す上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。
【0032】
図2に示す上記実施形態においては、発光部2と受光部3の両方に対応するように、外ケース14とは別体のレンズからなる屈折部4、5が設けられていた。これに対し、本実施形態では、受光部3にのみ屈折部5が設けられ、発光部2には屈折部4が設けられないものである。この場合、発光部2に屈折部4が設けられる場合と比べて若干感度が低下するものの、発光部2に屈折部4が設けられる場合と比べて屈折部5の屈折角度を大きくしておけば、吐出の開始/停止の切り替えのためにかざされる手の有効範囲を、図1に示す実施形態とほぼ同じにすることができる。またこの場合も、発光部2に屈折部4が設けられる必要がなく、製造コストの低減化が図られる。また、本実施形態においても、屈折部5が可視光カットフィルターとして機能する外ケース14に形成されるプリズムにて構成されてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 物体検知センサ
10 基板
11 被装着面
12 内ケース
13 透光部
14 外ケース
2 発光部
20 ケーシング
21 底面
22 発光素子
23 発光方向
3 受光部
30 ケーシング
31 底面
32 受光素子
33 受光方向
4 屈折部
5 屈折部
6 スパウト部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線の発光部と受光部とが装着される基板を備え、前記基板は、前記発光部と前記受光部とが装着される略平坦な被装着面を有し、前記発光部と前記受光部はそれぞれ、底面が前記被装着面に装着される略平坦な装着面となるケーシングを備え、前記発光部は、最も強く発光する発光方向が前記底面と垂直な方向となる発光素子を前記ケーシングに備え、前記受光部は、最も強く受光する受光方向が前記底面と垂直な方向となる受光素子を前記ケーシングに備え、前記発光素子を起点として前記最も強く発光する発光方向に進む線上に、前記発光素子から発光して前記最も強く発光する発光方向に進行する赤外線を、前記受光素子が位置する側に傾斜して進行するように屈折させる屈折部が設けられることを特徴とする赤外線センサ。
【請求項2】
赤外線の発光部と受光部とが装着される基板を備え、前記基板は、前記発光部と前記受光部とが装着される略平坦な被装着面を有し、前記発光部と前記受光部はそれぞれ、底面が前記被装着面に装着される略平坦な装着面となるケーシングを備え、前記発光部は、最も強く発光する発光方向が前記底面と垂直な方向となる発光素子を前記ケーシングに備え、前記受光部は、最も強く受光する受光方向が前記底面と垂直な方向となる受光素子を前記ケーシングに備え、前記受光素子を終点として前記最も強く受光する受光方向に進む線上に、前記発光素子が位置する側から略受光素子に向けて傾斜して進行する赤外線を、前記最も強く受光する受光方向に屈折させて前記受光素子に至らせる屈折部が設けられることを特徴とする赤外線センサ。
【請求項3】
赤外線の発光部と受光部とが装着される基板を備え、前記基板は、前記発光部と前記受光部とが装着される略平坦な被装着面を有し、前記発光部と前記受光部はそれぞれ、底面が前記被装着面に装着される略平坦な装着面となるケーシングを備え、前記発光部は、最も強く発光する発光方向が前記底面と垂直な方向となる発光素子を前記ケーシングに備え、前記受光部は、最も強く受光する受光方向が前記底面と垂直な方向となる受光素子を前記ケーシングに備え、前記発光素子を起点として前記最も強く発光する発光方向に進む線上に、前記発光素子から発光して前記最も強く発光する発光方向に進行する赤外線を、前記受光素子が位置する側に傾斜して進行するように屈折させる屈折部が設けられ、前記受光素子を終点として前記最も強く受光する受光方向に進む線上に、前記発光素子が位置する側から略受光素子に向けて傾斜して進行する赤外線を、前記最も強く受光する受光方向に屈折させて前記受光素子に至らせる屈折部が設けられることを特徴とする赤外線センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−88403(P2013−88403A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232169(P2011−232169)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】